JP2021058676A - 吸湿材含有消臭粉末及び消臭方法 - Google Patents

吸湿材含有消臭粉末及び消臭方法 Download PDF

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Abstract

【課題】被消臭物の放つ悪臭を消臭することができるだけでなく、発酵臭が生じにくい吸湿材含有消臭粉末を提供する。また、この吸湿材含有消臭粉末を用いた消臭方法も提供する。【解決手段】消臭粉末である米糠に、吸湿材であるパーライトを添加した吸湿材含有消臭粉末。この吸湿材含有消臭粉末で被消臭物を被覆することによって、被消臭物を消臭することができる。この場合においては、被消臭物の上面全体に1cm以上の厚みで吸湿材含有消臭粉末を敷き詰めることが好ましい。また、吸湿材含有消臭粉末は、米糠100重量部に対して、パーライトを20重量部以上添加したものとすることが好ましい。【選択図】図3

Description

本発明は、吸湿材を添加した吸湿材含有消臭粉末と、この吸湿材含有消臭粉末を用いた消臭方法とに関する。
リン(P)は、植物の生育に必須の元素である。このため、農業等の分野においては、土壌にリンを供給するためのリン肥料が広く用いられている。しかし、近年、リンの枯渇が問題となっている。すなわち、肥料用途も含め、工業上使用されるリン化合物の大部分は、リン鉱山から採掘されたリン鉱石を原料としているところ、世界の人口増加等に伴うリン消費量の増加によって、経済的に採掘可能なリン鉱石が半世紀〜数世紀程度で枯渇するとも言われている。
その一方で、リンを豊富に含んだ廃棄物が大量に廃棄されているのも実情である。例えば、家畜や人から出る糞尿は、リンを豊富に含んでいる。しかし、糞尿は、通常、強烈な悪臭を放つため、そのまま肥料として利用することは難しい。そこで、これらの糞尿を微生物に分解させて堆肥化することによって悪臭を軽減し、その堆肥を肥料として利用することも行われている。しかし、この方法では、微生物による生分解を待たねばならず、長い時間を要するため、日々大量に排出される糞尿の全てを堆肥化することは難しい。
このため、別の方法として、糞尿を焼却することで悪臭を軽減することも行われている。しかし、糞尿の焼却灰は、そのままでは肥料として利用することは難しい。というのも、糞尿の焼却灰は、通常、水に溶かすと高いpH値(pH12〜13程度)を示すため、これを土壌に撒くと、土壌のpHを上昇させてしまい、却って作物の生育に悪影響を及ぼすおそれがあるからである。
この点、特許文献1には、家畜の糞尿(畜糞)の焼却灰から無機リン化合物を取り出す方法が提案されている。特許文献1に記載の方法は、畜糞の焼却灰と硫酸水溶液とを混合することでリンを溶出させて、溶出したリンを無機リン化合物として回収するものとなっている。具体的には、畜糞の焼却灰と硫酸水溶液とを混合して第一固液混合物を得るリン溶出工程と、 第一固液混合物を固液分離し、液体部分であるリン溶出液を得るリン溶出液取得工程と、リン溶出液と塩化カルシウムとを混合して第二固液混合物を調製する硫酸カルシウム析出工程と、第二固液混合物を固液分離し、リンを含む液体部分である硫酸除去液を得る硫酸除去工程と、硫酸除去液と水酸化カルシウムとを混合して第三固液混合物を得る無機リン化合物析出工程と、第三固液混合物を固液分離し、無機リン化合物を含む固体部分を取得する無機リン化合物取得工程とを経ることで、肥料として利用可能な無機リン化合物を得ることができるとされている。
特開2012−96972号公報
ところが、糞尿等を原料としてリン肥料を得るためには、日々大量に排出される糞尿等を保管しておく必要があるところ、保管中の糞尿等からは強烈な悪臭が放たれる。この点、消臭作用を有する米糠(消臭粉末)で糞尿等(被消臭物)を被覆すると、糞尿等を消臭することができる。しかし、米糠を単独で用いた場合には、米糠が発酵してしまい、発酵臭が生ずるおそれがあった。また、特許文献1に記載の方法は、複雑なプラント設備を必要とするものであり、コストが高くなってしまうという問題を有していた。というのも、同文献に記載の方法を用いる場合には、まず糞尿を焼却する必要があることに加えて、少なくとも3回の混合工程と、各混合工程の後に行われる固液分離工程とを経る必要があり、それぞれの工程を行うための設備が必要となるからである。
さらに、同文献に記載の方法を用いる場合には、目的物である無機リン化合物のほかに、リン溶出液取得工程で得られる固体部分(リンを溶出させた後の焼却灰)と、硫酸除去工程で得られる固体部分(硫酸カルシウムを含む析出物)と、無機リン化合物取得工程で得られる液体部分(リンを析出させた後の上澄み液)とが廃棄物として生じるため、それぞれの廃棄物を改めて処理する必要があった。このため、同文献に記載の方法は、無機リン化合物の取得方法としては実用化できたとしても、畜糞の処理方法としては実用性に欠けるものであった。
本発明は、上記課題を解決するために為されたものであり、被消臭物の放つ悪臭を消臭することができるだけでなく、発酵臭が生じにくい吸湿材含有消臭粉末を提供するものである。また、この吸湿材含有消臭粉末を用いた消臭方法を提供することも本発明の目的である。
上記課題は、消臭粉末である米糠に、吸湿材であるパーライトを添加した吸湿材含有消臭粉末を提供することによって解決される。この吸湿材含有消臭粉末においては、米糠100重量部に対して、パーライトを20重量部以上添加することも好ましい。上記課題は、また、この吸湿材含有消臭粉末で被消臭物を被覆することによって、被消臭物を消臭する消臭方法を提供することによっても解決される。この消臭方法においては、被消臭物の上面全体に1cm以上の厚みで吸湿材含有消臭粉末を敷き詰めることも好ましい。
この吸湿材含有消臭粉末及び消臭方法は、
家畜糞又は人の糞尿を含む原料からリン肥料を製造するリン肥料の製造方法
であって、
原料を乾燥させて乾燥済原料を得る乾燥工程と、
乾燥工程で得られた乾燥済原料を燻製器内で燻煙にさらす燻製工程と
を経る
ことを特徴とするリン肥料の製造方法
にも用いることができる。
上記のリン肥料の製造方法においては、糞尿等を、焼却するのではなく燻煙にさらすことによって、悪臭を軽減させている。このように、燻煙にさらす方法を採用すると、後の実施例において詳しく示すように、水に溶かした際のpHが中性〜弱アルカリ性(pH7.0〜8.5程度)であるリン肥料を製造することができる。すなわち、上記のリン肥料の製造方法を用いることによって、糞尿等を原料としながらも、悪臭が抑えられており、そのまま土壌に撒いたとしても、土壌のpHを上昇させにくいリン肥料を製造することができる。また、上記のリン肥料の製造方法は、糞尿等からリンを取り出そうとするものではなく、糞尿等に処理を施して、そのまま肥料として利用しようとするものである。このため、シンプルなプラント設備によって低コストでリン肥料を製造することができるとともに、製造過程において出る廃棄物を少なくすることができる。したがって、上記のリン肥料の製造方法は、リン肥料の製造方法としてだけではなく、糞尿等の処理方法としても優れたものとなっている。
上記のリン肥料の製造方法においては、乾燥工程の開始前に、原料に硫酸水溶液を加えて混合することで第一スラリー液を得る硫酸処理工程と、硫酸処理工程で得られた第一スラリー液に消石灰(水酸化カルシウム)を加えて混合することで第二スラリー液を得る消石灰処理工程と、消石灰処理工程で得られた第二スラリー液を固液分離して、固体部分である前処理済原料を得る固液分離工程とを行うことが好ましい。これにより、リン肥料の悪臭をより効果的に軽減することができるとともに、リン肥料のリン含有量を高めることができる。この理由については、後で詳しく説明する。
また、乾燥工程の開始前に、原料に硫酸水溶液を加えて混合することで第一スラリー液を得る硫酸処理工程と、硫酸処理工程で得られた第一スラリー液に水を加えて混合することでスラリー希釈液を得る希釈工程と、希釈工程で得られたスラリー希釈液を固液分離して、固体部分である前処理済原料を得る固液分離工程とを行うことも好ましい。これによっても、リン肥料の悪臭をより効果的に軽減することができる。
さらに、乾燥工程の開始前に、原料を消臭粉末で被覆する消臭粉末被覆工程を行うことも好ましい。これによっても、リン肥料の悪臭をより効果的に軽減することができる。加えて、原料を硫酸水溶液等の液体中に浸漬しないので、乾燥工程の前に固液分離工程を行う必要がなくなる。この消臭粉末被覆工程で使用する消臭粉末としては、米糠又は腐葉土を好適に用いることができる。また、消臭粉末には、吸湿材を添加することもできる。消臭粉末に添加する吸湿材としては、パーライトや、ゼオライトや、バーミキュライトや、緑色凝灰岩の細粒又は粒状物等、多孔質粒状物が好適である。
上記のリン肥料の製造方法において、燻製工程で用いる燻製器内の温度は特に限定されない。しかし、燻製器内の温度が高くなりすぎると、乾燥済原料の炭化や燃焼(灰化)が起こり、リン肥料のpH(リン肥料を水に溶かした際のpH。以下同じ。)が高くなってしまうおそれがある。このため、燻製工程においては、燻製器内における乾燥済原料が置かれる箇所の温度が、400°C以下となるようにすると好ましい。
上記のリン肥料の製造方法においては、乾燥工程の終了後、燻製工程の開始前に、乾燥済原料の粒径が10mm以下となるように調整する粒径調整工程をさらに経るようにすると好ましい。というのも、乾燥済原料の粒径が大きいままで燻製工程を行うと、乾燥済原料の粒の内部にまで燻煙や熱が行き届かず、悪臭を効果的に軽減することや、乾燥済原料に含まれる水分や低沸点成分を効率的に蒸発させることが難しくなるおそれがあるからである。
以上のように、本発明によって、被消臭物の放つ悪臭を消臭することができるだけでなく、発酵臭が生じにくい吸湿材含有消臭粉末を提供することができる。また、この吸湿材含有消臭粉末を用いた消臭方法を提供することもできる。この吸湿材含有消臭粉末は、糞尿等を原料としながらも、悪臭が抑えられており、そのまま土壌に撒くことができるリン肥料を、シンプルなプラント設備によって低コストで製造することができるリン肥料の製造方法にも用いることができる。また、製造過程において出る廃棄物を少なくすることができ、糞尿等の処理方法としても優れているリン肥料の製造方法にも用いることができる
第一実施態様のリン肥料の製造方法を説明するフローチャートである。 第二実施態様のリン肥料の製造方法を説明するフローチャートである。 第三実施態様のリン肥料の製造方法を説明するフローチャートである。
本発明の好適な実施態様について、図面を用いてより具体的に説明する。以下においては、第一実施態様から第三実施態様迄の3つの実施態様を例に挙げて、本発明のリン肥料の製造方法を説明する。しかし、本発明のリン肥料の製造方法の技術的範囲は、これらの実施態様に限定されることなく、発明の趣旨を損なわない範囲で適宜変更を施すことができる。
1.第一実施態様のリン肥料の製造方法
まず、第一実施態様のリン肥料の製造方法について説明する。図1は、第一実施態様のリン肥料の製造方法を説明するフローチャートである。第一実施態様のリン肥料の製造方法は、図1に示すように、硫酸処理工程S11と、消石灰処理工程S12と、固液分離工程S13と、乾燥工程S14と、粒径調整工程S15と、燻製工程S16とを経ることによって、家畜糞又は人の糞尿を含む原料からリン肥料を製造するものとなっている。
本発明のリン肥料の製造方法においては、リン肥料の原料として、家畜糞又は人の糞尿や、これらの糞尿を含む汚泥や、糞尿を含む汚泥の加工品(例えば、脱水ケーキ等)を用いることができる。家畜糞としては、鶏糞や、牛糞や、豚糞や、羊糞等を用いることができるが、特に、鶏糞を用いると、本発明の意義が高まるため好ましい。というのも、鶏糞は、家畜糞のなかでも特に悪臭が強く、堆肥化等によって処理する場合には、悪臭対策を徹底しなければ畜産公害に発展するおそれもあることから、従来は焼却のうえ埋め立て処分されることが多かったところ、本発明のリン肥料の製造方法を用いることで、鶏糞を、悪臭を抑えながら処理しつつ、リン肥料として活用することができるからである。また、脱水ケーキとしては、し尿処理場から排出される脱水ケーキを用いると、重金属類の混入が少ないため好ましい。リン肥料の原料は、2種類以上のものを組み合わせて用いることもできる。第一実施態様のリン肥料の製造方法においては、リン肥料の原料として、鶏糞又は脱水ケーキ(し尿処理場から排出されたもの)を使用している。
以下、第一実施態様のリン肥料の製造方法につき、各工程に分けて詳しく説明する。
1.1 硫酸処理工程
硫酸処理工程S11は、上述した原料に硫酸水溶液を加えて混合(懸濁)することで、第一スラリー液を得る工程である。これにより、原料に含まれるアンモニア等の窒素化合物等を中和して、悪臭をより効果的に軽減することができる。原料に加える硫酸水溶液の量は、特に限定されないが、通常、原料100質量部に対して100〜300質量部程度とされる。硫酸の濃度も特に限定されないが、硫酸濃度が低すぎると、悪臭を効果的に軽減しにくくなるおそれがある。このため、第一スラリー液の硫酸濃度が、0.2mol/L以上となるようにすると好ましい。第一スラリー液の硫酸濃度は、0.3mol/L以上となるようにするとより好ましく、0.5mol/L以上となるようにするとさらに好ましい。一方、硫酸濃度が高すぎると、設備が腐食されやすくなるおそれがある。このため、第一スラリー液の硫酸濃度が1mol/L以下となるようにすると好ましい。第一実施態様のリン肥料の製造方法においては、原料100質量部に対して1mol/Lの硫酸水溶液を200質量部加えることで、第一スラリー液の硫酸濃度が0.66mol/L程度となるようにしている。
硫酸処理工程S11においては、原料に硫酸水溶液を加えた後、すぐに次の工程に移行するようにしてもよいが、1〜6時間程度静置又は攪拌してから次の工程に移行するようにすると、より効果的に悪臭を軽減することができるため好ましい。第一実施態様のリン肥料の製造方法においては、第一スラリー液を3時間程度静置してから、次の消石灰処理工程S12に移るようにしている。
1.2 消石灰処理工程
消石灰処理工程S12は、硫酸処理工程S11で得られた第一スラリー液に消石灰(水酸化カルシウム)を加えて混合することで、第二スラリー液を得る工程である。消石灰は、粉末状のものを第一スラリー液に直接加えるようにしてもよいが、第一実施態様のリン肥料の製造方法においては、水に消石灰を懸濁した石灰乳を第一スラリー液に加えている。
この消石灰処理工程S12を設けることによって、最終的に得られるリン肥料のリン含有量を高めることができる。この理由は以下の通りである。すなわち、第一実施態様のリン肥料の製造方法においては、上述したように、硫酸処理工程S11において原料に硫酸を加えているため、元々水に溶けやすい化合物として原料に含まれていたリンだけでなく、水に溶けにくい化合物として原料に含まれていたリンの一部も、水に溶けやすい化合物に形を変えて第一スラリー液の溶液部分に溶出していると考えられる。しかし、この後の工程では、スラリー液を固液分離して得られる固体部分のみがリン肥料として利用され、溶液部分は廃棄処分される。この点、第一実施態様のリン肥料の製造方法のように、第一スラリー液に消石灰を加えると、溶液部分に溶出したリンを、水に溶けにくいカルシウム塩に変化させて沈殿させ、固体部分として回収することが可能になるからである。
第一スラリー液に加える消石灰の量は、リン肥料の原料の組成によっても異なり、特に限定されない。消石灰は、水に溶かすと強い塩基性を示すところ、リンをカルシウム塩として凝集させる反応は、液性がpH10.0〜12.0程度でよく進むことが知られている。このため、第一スラリー液に消石灰を加える際には、スラリー液のpHを測定しながら少しずつ加え、スラリー液が所望のpHに達した時点で止めるようにすると好ましい。具体的には、スラリー液の液性がpH10.0〜12.0程度となった時点で消石灰の添加を止めるようにすると好ましく、スラリー液の液性がpH10.5〜11.5程度となった時点で消石灰の添加を止めるようにするとより好ましい。第一実施態様のリン肥料の製造方法においては、スラリー液の液性がpH11.0程度となった時点で消石灰の添加を止めるようにしている。
消石灰処理工程S12においては、第一スラリー液に消石灰を加えた後、すぐに次の工程に移行するようにしてもよいが、1〜12時間程度攪拌又は静置してから次の工程に移行するようにすると、より多くのリンをカルシウム塩として沈殿させることができるため好ましい。第一実施態様のリン肥料の製造方法においては、第二スラリー液を、1時間に1回程度軽く攪拌しながら6時間程度おき、その後に次の固液分離工程S13に移るようにしている。
1.3 固液分離工程
固液分離工程S13は、消石灰処理工程S12で得られた第二スラリー液を、固体部分と液体部分とに分離する工程である。得られた固体部分である前処理済原料は、次の乾燥工程S14に用いられる。固液分離の方法は、特に限定されず、例えば、重力落下による自然濾過のほか、真空脱水機、加圧脱水機(フィルタープレス)、ベルトプレス、スクリュープレス、遠心濃縮脱水機(スクリューデカンタ)、多重円板脱水機、多重板波動フィルターを用いた方法等を採用することができる。
一方、固液分離によって得られた液体部分は、図1に示すように、浄化処理を施された後、河川等に放流される。液体部分の浄化処理方法も特に限定されないが、第一実施態様のリン肥料の製造方法においては、特開2017−154110の図4に示される土壌処理槽600等を用いて土壌濾過処理を行った後、脱窒菌を用いた脱窒処理を行っている。
1.4 乾燥工程
乾燥工程S14は、固液分離工程S13で得られた固体部分(前処理済原料)を乾燥させて、乾燥済原料を得る工程である。前処理済原料の乾燥方法は、特に限定されず、天日干しや陰干しであってもよいが、乾燥機を用いて加熱、減圧又は風乾すること等によって乾燥させるようにすると好ましい。加熱することによって前処理済原料を乾燥させる場合において、加熱温度は、特に限定されないが、通常50〜300°C程度とされ、好ましくは70〜200°C程度とされる。乾燥時間も特に限定されず、乾燥機の温度や減圧状態等によって調整する。第一実施態様のリン肥料の製造方法においては、前処理済原料を、約100°Cの乾燥機内に入れて約24時間乾燥させているが、乾燥機の温度を150〜170°C程度まで上げる場合には、乾燥時間を2〜3時間程度にしてもよい。乾燥工程S14は、バッチ工程としても、ベルトコンベア等を用いた連続工程としてもよい。
乾燥工程S14においては、前処理済原料を完全に乾燥させる必要はなく、含水量をある程度減らすことができればよい。乾燥工程S14において得られる乾燥済原料の含水率は、求められるリン肥料の性質によっても異なり、特に限定されないが、80%以下であると好ましい。乾燥済原料の含水率は、70%以下であるとより好ましく、60%以下であるとさらに好ましい。こうして得られた乾燥済原料は、次の粒径調整工程S15に用いられる。
1.5 粒径調整工程
粒径調整工程S15は、乾燥工程S14で得られた乾燥済原料の粒径を調整する工程である。具体的には、乾燥工程S14で得られる乾燥済原料はケーキ状又はクラム(そぼろ)状となっている場合が多いところ、これを破砕、選別して、粒径が所定の大きさ(以下、「粒径上限値」と呼ぶことがある。)以下となるようにする。というのも、乾燥済原料の粒径が大きいままで次の燻製工程S16を行った場合には、乾燥済原料の粒の内部まで燻煙や熱が行き届かず、効果的に悪臭を軽減しにくくなるおそれがあるからである。粒径上限値は、10mm以下とすると好ましく、6mm以下とするとより好ましく、3mm以下とするとさらに好ましい。しかし、乾燥済原料の粒径を細かくしすぎると、粒同士の間隙が詰まりすぎて、却って乾燥済原料全体に燻煙や熱が行き届きにくくなるおそれがある。このため、粒径上限値は、0.2mm以上とすると好ましく、0.4mm以上とするとより好ましく、0.7mm以上とするとさらに好ましい。第一実施態様のリン肥料の製造方法においては、粒径上限値を1.0mmとしている。
乾燥済原料の粒径の調整方法は、特に限定されないが、第一実施態様のリン肥料の製造方法においては、粒径上限値に略一致する目の粗さを有するふるい(メッシュ)に乾燥済原料を破砕しながら通すことによって、乾燥済原料の粒径を調整している。
1.6 燻製工程
燻製工程S16は、粒径調整工程S15で粒径を調整された乾燥済原料を燻製器内に入れて、燻煙にさらし、リン肥料を得る工程である。この燻製工程S16によって、リン肥料の悪臭を軽減することができる。また、乾燥済原料に含まれる水分や低沸点成分を蒸発させて、リン肥料の重量を減らし、リン肥料のリン含有量を高めることもできる。
燻製工程S16において、燻煙は、燻製器とは別の箇所で発生させたものを燻製器内に供給するようにしてもよいが、通常、燻製器の底部に配した燻煙材を燃焼させるか加熱することによって発生させる。この場合、乾燥済原料は、燻製器内における、燻煙材が配された箇所よりも上方に配される。乾燥済原料を燻煙にさらす時間は、特に限定されないが、通常1〜6時間程度、好ましくは1.5〜4時間程度とされる。
燻製工程S16における燻製器内の温度は、求められるリン肥料の性質によっても異なり、特に限定されない。しかし、燻製器内の温度が高くなりすぎると、乾燥済原料の炭化や燃焼(灰化)が起こり、リン肥料のpHが高くなってしまうおそれがある。このため、燻製器内における乾燥済原料が置かれる箇所(以下、「原料設置箇所」と呼ぶことがある。)の温度は、燻製工程S16全体を通して、400°C以下となるようにすると好ましい。原料設置箇所の温度は、350°C以下となるようにするとより好ましく、300°C以下となるようにするとさらに好ましい。しかし、原料設置箇所の温度は、炭化や燃焼(灰化)が起こらない範囲内で、ある程度高くした方が、悪臭をより効果的に軽減させることができるとともに、水分や低沸点成分をより効率的に蒸発させることができる。このため、燻製工程S16においては、原料設置箇所の最高到達温度が120°C以上となるようにすると好ましい。原料設置箇所の最高到達温度は、150°C以上となるようにするとより好ましく、180°C以上となるようにするとさらに好ましい。
燻煙を発生させる燻煙材は、植物由来の固体であれば、その種類を特に限定されない。燻煙材としては、スモークチップや、木片や、おが屑や、スモークウッド等を採用することもできるが、いわゆる廃棄物系バイオマスや未利用バイオマスと呼ばれるものを採用すると、コストを抑えることができるととともに環境負荷も低減できるため好ましい。廃棄物系バイオマスとしては、例えば、剪定枝や、刈草や、製材工場残材や、建設廃材や、食品廃棄物(おから、珈琲粕、茶粕等)等が挙げられる。また、未利用バイオマスとしては、例えば、間伐材や、農作物非食用部(稲わら、麦わら、籾殻等)等が挙げられる。第一実施態様のリン肥料の製造方法においては、燻煙材として、街路樹の剪定枝や、川に生える葦等を刈り取って天日干ししたもの等を用いている。
燻製器は、その具体的な構造を特に限定されないが、壁部に断熱材を用いたものとすると、燻製器内の保温性を高めることができるため好ましい。このような断熱材としては、例えば、パーライトコンクリートや珪藻土等の多孔質の素材が挙げられる。燻製工程S16は、バッチ工程としても、ベルトコンベア等を用いた連続工程としてもよい。燻製工程S16が完了すると、第一実施態様のリン肥料の製造方法の全ての工程が終了し、最終製品であるリン肥料が得られる。
2.第二実施態様のリン肥料の製造方法
続いて、第二実施態様のリン肥料の製造方法について説明する。第二実施態様のリン肥料の製造方法については、主に、上述した第一実施態様のリン肥料の製造方法と異なる構成について説明し、その他の構成についての説明を割愛する。第二実施態様のリン肥料の製造方法の説明で特に言及しない構成については、第一実施態様のリン肥料の製造方法と同様の構成を採用することができる。
上述した第一実施態様のリン肥料の製造方法では、リン肥料の製造と糞尿等の処理とを同時に、しかもシンプルなプラント設備によって低コストで実現することができる。しかし、原料価格や流通コストの変動、リンの価格変動等によっては、リン肥料の製造コストをさらに下げる必要が生じる場合も想定される。そのことを考慮して、第二実施態様のリン肥料の製造方法では、第一実施態様のリン肥料の製造方法における各工程のうち、消石灰処理工程S12を、他の工程に置き換えることで、コストをさらに抑えるようにしている。
具体的には、図1の消石灰処理工程S12を、図2に示すように、希釈工程S17で置き換えることができる。図2は、第二実施態様のリン肥料の製造方法を説明するフローチャートである。図2の希釈工程S17は、硫酸処理工程S11で得られた第一スラリー液に水を加えて混合することでスラリー希釈液を得る工程となっている。これにより、消石灰処理工程S12に必要な消石灰を用意する必要が無くなるため、リン肥料の製造コストをさらに削減することが可能になる。この場合にも、最終的に得られるリン肥料は、実用に耐える程度のリン濃度を有することが確認されている。また、悪臭についても、消石灰処理工程S12を行った場合に比べれば若干は残るものの、実用に十分耐えられる程度まで軽減される。
希釈工程S17において、第一スラリー液に加える水の量は、特に限定されない。しかし、第一スラリー液に加える水の量が少なすぎると、第一スラリー液が十分希釈されず、リン肥料の悪臭を十分軽減できないおそれがある。このため、希釈工程S17において第一スラリー液に加える水の量は、第一スラリー液の液量と同量以上(希釈率2倍以上)とすると好ましく、第一スラリー液の液量の3倍以上(希釈率4倍以上)とするとより好ましい。しかし、第一スラリー液に加える水の量が多すぎると、希釈工程S17に用いる設備が巨大化してしまい、却ってコストがかさむおそれがある。このため、希釈工程S17において第一スラリー液に加える水の量は、第一スラリー液の液量の11倍以下(希釈率12倍以下)とすると好ましい。好適な実施形態においては、第一スラリー液に対して、第一スラリー液の液量の5倍程度の水を加えている(希釈率6倍程度)。
3.第三実施態様のリン肥料の製造方法
続いて、第三実施態様のリン肥料の製造方法について説明する。第三実施態様のリン肥料の製造方法については、主に、上述した第一実施態様のリン肥料の製造方法と異なる構成について説明し、その他の構成についての説明を割愛する。第三実施態様のリン肥料の製造方法の説明で特に言及しない構成については、第一実施態様のリン肥料の製造方法と同様の構成を採用することができる。
上述した第一実施態様のリン肥料の製造方法(図1)では、硫酸処理工程S11において、原料を硫酸水溶液に混ぜる必要があった。このため、乾燥工程S14を行う前に、固液分離工程S13を行う必要もあった。加えて、固液分離工程S13で廃棄される溶液部分には、硫酸が含まれている。このため、その溶液部分を廃棄するためには、その硫酸濃度が基準以下となるように、その溶液部分をアルカリで中和する必要や水で希釈する必要が生じる場合もあった。
これに対し、第三実施態様のリン肥料の製造方法では、図3に示すように、乾燥工程S14の前に、原料を消臭粉末で被覆する消臭粉末被覆工程S18を設けている。図3は、第三実施態様のリン肥料の製造方法を説明するフローチャートである。第三実施態様のリン肥料の製造方法(図3)は、第一実施態様のリン肥料の製造方法(図1)における硫酸処理工程S11、消石灰処理工程S12及び固液分離工程S13を、消臭粉末被覆工程S18で置き換えたものとなっている。第三実施態様のリン肥料の製造方法のように、消臭粉末被覆工程S18を設けることによって、乾燥工程S14を行う前の原料を、硫酸水溶液を使用することなく消臭するだけでなく、固液分離工程S13を省略することも可能になる。
消臭粉末被覆工程S18は、例えば、トレイ等の容器の内部に原料(鶏糞等)を敷き詰め、その原料の上側に消臭粉末を敷くことによって行われる。これにより、この後に続く乾燥工程S14を、容器内に原料を入れた状態のまま行うことが可能になる。原料から悪臭が漏れないように、消臭粉末は、原料の上面全体(原料が露出しない状態)に敷き詰める。原料(鶏糞等)を敷き詰める厚さは、特に限定されないが、通常、1〜10cm、好ましくは、4〜5cmである。
消臭粉末としては、消臭作用のある各種資材を用いることができる。消臭作用のある資材としては、米糠や、腐葉土や、炭化物(燻炭や木炭等)や、大鋸屑等が例示される。なかでも、米糠や腐葉土は、鶏糞等の原料に対して優れた消臭作用を発揮するために、上記の消臭粉末として好適に使用することができる。特に、米糠は、腐葉土と比較して、安価で入手しやすいため、上記の消臭粉末として好適に使用することができる。
消臭粉末は、上記の米糠や腐葉土を単独で用いてもよい。しかし、米糠等、発酵するものを消臭粉末として用いた場合には、消臭粉末が発酵してしまい、発酵臭が生ずるおそれがある。実際に、容器内に鶏糞を1cmの厚さで敷き、その鶏糞の上側に米糠を厚さ1cmの厚さで敷いて経過を観察したところ、2ヶ月が経過した後でも、鶏糞の悪臭は殆どしなかったものの、米糠の発酵臭が強く感じられた。
このため、消臭粉末(米糠等)には、吸湿材を添加することが好ましい。これにより、消臭粉末(米糠等)の発酵を抑制し、長期間にわたって発酵臭の発生を抑えることが可能になる。吸湿材の種類は、特に限定されないが、パーライト、ゼオライト又はバーミキュライト等の多孔質鉱物を好適に用いることができる。実際に、米糠のみの試料と、米糠にパーライトを添加した試料と、米糠にゼオライトを添加した試料とをそれぞれ作製して試したところ、パーライトやゼオライト等の多孔質鉱物には、上記の発酵臭を抑える作用があることが確認できた。
消臭粉末(米糠等)に対する吸湿材(パーライト等)の配合割合は、特に限定されない。しかし、吸湿材の配合割合が低すぎると、消臭粉末の発酵を抑えにくくなる。この点、実際に、米糠(消臭粉末)にパーライトやゼオライト等の多孔質鉱物(吸湿材)を配合した試料を複数種類(配合割合の異なる複数種類)作製し、それぞれの試料を鶏糞の上に敷いて経過を観察する実験を行ったところ、米糠(消臭粉末)100重量部に対して多孔質鉱物(吸湿材)25重量部を添加したときには、実用に耐え得るレベルでの発酵抑制効果が確認できた。以上の実験結果から、多孔質鉱物(吸湿材)は、米糠(消臭粉末)100重量部に対して、20重量部以上の割合で添加することが好ましいと考えられる。米糠(消臭粉末)に対する多孔質鉱物(吸湿材)の混合割合は、米糠(消臭粉末)100重量部に対して50重量部以上とすることがより好ましく、70重量部以上とすることがさらに好ましい。
多孔質鉱物(吸湿材)の混合割合に、特に上限はないが、多孔質鉱物(吸湿材)の配合割合を高くしすぎても、嵩が増すだけで、発酵抑制においてはメリットがそれ程得られない。また、上記の実験では、米糠(消臭粉末)100重量部に対して多孔質鉱物(吸湿材)100重量部を添加すると、長期間が経過しても、気になる発酵臭がしないことが確認できている。このため、多孔質鉱物(吸湿材)は、米糠(消臭粉末)100重量部に対して100重量部も配合すればよく、それよりも増やすメリットはあまりない。
消臭粉末を敷き詰める厚さは、消臭粉末に用いる資材の種類や、それに添加する吸湿材の種類等によっても異なる。しかし、各種の消臭粉末につき、消臭粉末を敷き詰める厚さを変えて経過を観察する実験を行ったところ、厚さが1cmのときには、鶏糞の水分が消臭粉末の上面まで到達し、鶏糞の悪臭が感じられる場合があることが分かった。また、いずれの消臭粉末でも、厚さが2cmあれば、鶏糞の悪臭が殆どしなくなることが確認できた。このことから、消臭粉末を敷き詰める厚さは、1cm以上とすることが好ましく、1.5cm以上とすることがより好ましく、2cm以上とすることがさらに好ましいと考えられる。消臭粉末を敷き詰める厚さの上限は、特に限定されないが、厚くしすぎても、消臭粉末の嵩が増すだけである。このため、消臭粉末を敷き詰める厚さは、せいぜい10cmまでである。消臭粉末を敷き詰める厚さは、5cm以下とすることが好ましい。
1.7 リン肥料
本発明のリン肥料の製造方法を用いた場合には、通常、原料100質量部に対して5〜20質量部程度のリン肥料が得られる。このリン肥料のリン含有量は、用いた原料の組成によっても異なるが、通常、P換算で4質量%以上とされ、好ましくは、6質量%以上とされる。上記の実施態様のリン肥料の製造方法においては、P換算で8〜9質量%程度のリンを含むリン肥料を製造することができる。リン肥料の含水率は、燻製工程S16の各種条件(温度や時間等)を変化させることによって、0.5%程度〜50%程度の範囲で調節することができる。
ところで、土壌に肥料を撒く際には、肥料の三大要素である窒素(N)、リン(P)、カリウム(K)をバランスよく撒く必要がある。糞尿等には、リンに加えて窒素も大量に含まれているが、窒素は高温で処理されるとガス化しやすいため、従来のように焼却や炭化によって処理した場合には、糞尿等に含まれる窒素の多くがガス化してしまい、得られる焼却灰や炭化物には窒素分が残りにくかった。この点、本発明のリン肥料の製造方法を用いた場合には、焼却処理や炭化処理等に比べて低温で原料を処理するため、得られるリン肥料に窒素分が残りやすい。上記の実施態様のリン肥料の製造方法においては、通常、1〜3質量%程度の窒素を含むリン肥料を得ることができる。すなわち、本発明を用いて製造したリン肥料は、土壌のpHを上昇させにくいという点に加えて、リンのみならず窒素もある程度供給することができるという点でも優れている。

以下、より具体的な実施例を挙げて本発明を説明するが、本発明の実施態様は、以下の実施例に限定されるものではない。
[リン肥料の製造]
〈実施例1〉
養鶏施設から排出された鶏糞を原料として、以下の要領でリン肥料を製造した。まず、原料100質量部に対し、1mol/Lの希硫酸を200質量部加えて混合し(硫酸処理工程)、その混合液(第一スラリー液)を3時間静置した。次に、第一スラリー液を攪拌しながら、これに消石灰の懸濁液(石灰乳)を徐々に加えてpHが11.0となるように調製し(消石灰処理工程)、その調整液(第二スラリー液)を1時間ごとに軽く攪拌しながら6時間おいた。その後、木綿の濾布を用いた自然濾過によって第二スラリー液を固液分離し(固液分離工程)、得られた固体部分を100°Cの乾燥機内で24時間乾燥させた(乾燥工程)。以下、この乾燥工程を終えた状態の試料を「乾燥済原料(前処理有)」と呼ぶことがある。得られた乾燥済原料(前処理有)を、目の粗さが1.0mmのふるいにかけて粒径調整した(粒径調整工程)後、燻製器内で燻煙にさらした(燻製工程)。具体的には、ドラム缶程度の大きさの燻製器の底部に燻煙材を置き、燻製器下段(燻煙材を入れた箇所の20〜30cm程度上方)に乾燥済原料(前処理有)を置いた状態で、燻製器の底部を外部から加熱して燻煙材に燻煙を発生させた。燻煙材としては、乾燥させた剪定枝を使用した。この状態で燻製器を閉じ、2〜3時間程度放置した。このようにして得られたリン肥料の量は、原料100質量部に対して5〜10質量部程度であった。
〈比較例1〉
実施例1と同じ原料(鶏糞)を、上記の硫酸処理工程、消石灰処理工程及び固液分離工程を経ることなく、そのまま乾燥しただけ(粒径調整工程や燻製工程も行わない)の試料を得た。乾燥は、100°Cの乾燥機内で24時間行った。以下、この状態の試料を「乾燥済原料(前処理無)」と呼ぶことがある。
〈実施例2〉
原料として、し尿処理場から排出された脱水ケーキを用いた以外は、実施例1と同様の条件でリン肥料を製造した。
〈比較例2〉
原料として、実施例2と同じ脱水ケーキを用いた以外は、比較例1と同様の条件で乾燥させ、試料を得た。
[リン含有量の定量]
各試料に含まれるリンの定量を、過塩素酸分解法によって行った。すなわち、試料に硫酸、硝酸及び過塩素酸を加えて加熱し、冷却後濾過して得られた濾液にバナドモリブデン酸液を加えて、波長440nmにおける吸光度を測定した。吸光度計は、日立ハイテクサイエンス社製の「レシオビーム分光光度計 U−1800」を使用した。測定された吸光度を、リン酸標準液を用いて作成した検量線と比較することによって、試料に含まれる総リン含有量[mg/kg]を定量した。
[結果]
結果を表1に示す。なお、肥料の分野においては、リン含有量を五酸化二リン(P)に換算して表示することが通例となっているため、表1においても、上で述べた方法で定量した総リン含有量[mg/kg]を、P含有量[mg/kg]に換算して表示している。
Figure 2021058676
表1における実施例1及び実施例2の結果に示されるように、本発明のリン肥料の製造方法によって、P換算で8〜9質量%程度のリンを含むリン肥料を得ることができた。これは、有機肥料のリン含有量として理想的な値である。
一方、比較例1及び比較例2の結果に示されるように、鶏糞又は脱水ケーキを単に乾燥させただけでも、リン含有量を2〜5質量%程度にまで高めることができた。しかし、比較例1及び比較例2の乾燥済原料(前処理無)は、強烈な悪臭を放つものであった。この点、実施例1及び実施例2で製造されたリン肥料は、悪臭がほとんど感じられず、代わりに燻煙の薫りが感じられるものであった。また、実施例1及び実施例2で得られたリン肥料を水に溶かして(懸濁して)pHを測定したところ、実施例1のリン肥料はpH7.0程度、実施例2のリン肥料はpH8.5程度を示した。このように、本発明のリン肥料の製造方法を用いることによって、鶏糞や脱水ケーキを原料としながらも、悪臭が少なく、土壌のpHを上昇させにくいリン肥料を製造することができることが示された。
S11 硫酸処理工程
S12 消石灰処理工程
S13 固液分離工程
S14 乾燥工程
S15 粒径調整工程
S16 燻製工程
S17 希釈工程

Claims (4)

  1. 消臭粉末である米糠に、吸湿材であるパーライトを添加した吸湿材含有消臭粉末。
  2. 米糠100重量部に対して、パーライトを20重量部以上添加した請求項1記載の吸湿材含有消臭粉末。
  3. 請求項1又は2記載の吸湿材含有消臭粉末で被消臭物を被覆することによって、被消臭物を消臭する消臭方法。
  4. 被消臭物の上面全体に1cm以上の厚みで吸湿材含有消臭粉末を敷き詰める請求項3記載の消臭方法。
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