JP2021056000A - 光学分析装置および光学分析方法 - Google Patents

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直樹 福武
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Abstract

【課題】補正が不要なCARSスペクトルを検出する。【解決手段】光学分析装置であって、ポンプ光およびストークス光を発生する光源と、分析対象を支持し、ポンプ光およびストークス光を透過させる透明板と、分析対象および光源の間に配され、分析対象および透明板の境界に結ばれる焦点を有する第1の対物レンズと、分析対象および透明板を挟んで第1の対物レンズに対向して配置され、分析対象および透明板の境界に結ばれた焦点を有し、第1の対物レンズの開口数と異なる開口数を有する第2の対物レンズと、分析対象および透明板で発生した散乱光を、第2の対物レンズを通じて受光する分光器とを備える。【選択図】図6

Description

本発明は、光学分析装置および光学分析方法に関する。
コヒーレントアンチストークスラマン散乱光(以降の記載においては「コヒーレントアンチストークスラマン散乱」を「CARS」と記載する)のスペクトルにより分析対象に含まれる物質を分析する光学分析方法がある(例えば、特許文献1参照)。
特許文献1 国際公開第2016/009548号
分析対象に励起光を照射した場合、CARS光の発生と同時に、4光波混合による非共鳴バックグラウンドも発生するので、検出されたスペクトルは、自発ラマンスペクトルと異なるプロファイルを有するものとなる。
本発明の第一態様においては、ポンプ光およびストークス光を発生する光源と、分析対象を支持し、ポンプ光およびストークス光を透過させる透明板と、分析対象および光源の間に配され、分析対象および透明板の境界に結ばれる焦点を有する第1の対物レンズと、分析対象および透明板を挟んで第1の対物レンズに対向して配置され、分析対象および透明板の境界に結ばれた焦点を有し、第1の対物レンズの開口数と異なる開口数を有する第2の対物レンズと、分析対象および透明板で発生した散乱光を、第2の対物レンズを通じて受光する分光器とを備える光学分析装置が提供される。
本発明の第二態様においては、分析対象をポンプ光およびストークス光に対して透明な透明板に支持させ、第1の開口数を有して分析対象および透明板の境界に焦点を結ぶ第1の対物レンズを通じて、ポンプ光およびストークス光を分析対象および透明板に照射し、第1の対物レンズに対向して配置され、第1の対物レンズの開口数と異なる開口数を有し、分析対象および透明板の境界に焦点を結ぶ第2の対物レンズを通じて、分析対象および透明板で発生した散乱光を分光器で受光する光学分析方法が提供される。
上記の発明の概要は、本発明の必要な特徴の全てを列挙したものではない。これらの特徴群のサブコンビネーションもまた発明となり得る。
サンプル110の模式的断面図である。 レーザ顕微分光器100の模式図である。 CARS過程を説明する模式図である。 四光波混合過程を説明する模式図である。 対物レンズの焦点付近を示す模式図である。 光線形光学効果による散乱光の点像振幅分布を示す図である。 光線形光学効果による散乱光の点像振幅分布を示す図である。 光線形光学効果による散乱光の点像振幅分布を示す図である。 散乱光の角周波数とCARS光強度との関係を示すグラフである。 散乱光の角周波数とCARS光強度との関係を示すグラフである。 検出したスペクトルを示す図である。 比較例として検出したスペクトルを示す図である。
以下、発明の実施の形態を通じて本発明を説明するが、以下の実施形態は特許請求の範囲にかかる発明を限定するものではない。実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
図1は、レーザ顕微分光器100によるスペクトルの分析対象となるサンプル110の構成を示す模式的断面図である。図示のサンプル110は、分析対象112を、保護液116に浸した状態でサンプル容器114に収容して形成される。分析対象112は、例えば細胞シートのような生体標本であり、保護液116として培養液が用いられている。サンプル容器114は、ガラス製も用いることができるが、ガラスに限定されるわけではない。
図2は、レーザ顕微分光器100の構造を示す模式図である。レーザ顕微分光器100は、レーザ光源120、励起光発生部130、光学系150、ステージ160、ポリクロメータ170、および制御部180を備える。
レーザ顕微分光器100において、分析対象となるサンプル110は、ステージ160に置かれる。レーザ光源120が発生したレーザ光は、励起光発生部130においてポンプ光およびストークス光に変換された後、励起光側対物レンズ152等を通じてサンプル110に照射される。励起光を照射されたサンプル110において発生した散乱光は、信号光側対物レンズ154を通じてポリクロメータ170に検出される。ポリクロメータ170による検出結果は、制御部180において処理され、サンプル110の分光スペクトルが出力される。
レーザ顕微分光器100において、レーザ光源120は、ピコ秒パルスレーザを発生して、励起光発生部130に入射する。レーザ光源120としては、モードロックピコ秒Nd:YVOレーザ、モードロックピコ秒イットリビウムレーザー等を用いることができる。また、レーザ光源120に、ピコ秒パルスの第2高調波を励起光とする光パラメトリック発振器を設けて、ピコ秒パルスレーザの波長を変化させ出力してもよい。
励起光発生部130は、光分岐器132、フォトニック結晶ファイバ134、反射鏡136、および光合波器138を有する。光分岐器132は、レーザ光源120から入射されたピコ秒パルスレーザを2つに分岐させる。
光分岐器132の一方の射出端は一対の反射鏡136を含む光路に結合される。よって、こちら側に入射したピコ秒パルスレーザは、フォトニック結晶ファイバ134を迂回して、光合波器138の一方の入射端に結合された光路に誘導さる。これにより、分岐されたピコ秒パルスレーザの一方は、光合波器138に到達するまでの時間を調整され、フォトニック結晶ファイバ134を経由した他方のピコ秒パルスレーザとタイミングを揃えて光合波器138に入射される。
光分岐器132の他方の射出端は、フォトニック結晶ファイバ134の入射端に結合される。フォトニック結晶ファイバ134に入射したピコ秒パルスレーザは、フォトニック結晶ファイバ134において生じる自己位相変調により、当初入射したピコ秒パルスレーザよりも波長が長い帯域で広スペクトル化する。フォトニック結晶ファイバ134の射出端は、光合波器138の他方の入射端に結合される。
広スペクトル化ピコ秒パルスレーザと、それにタイミングを合わせたピコ秒パルスレーザとは、光合波器138で合波された後、励起光発生部130から合成されたピコ秒パルスレーザとして射出される。励起光発生部130から射出されたピコ秒パルスレーザは、最終的に励起光としてサンプル110に照射される。ここで、当初の狭帯域のピコ秒パルスレーザはポンプ光として、フォトニック結晶ファイバ134で広帯域化されたピコ秒パルスレーザはストークス光として、それぞれサンプル110に照射される。
なお、レーザ光源120は、単一波長のピコ秒パルスレーザを発生するものに限られず、複数の波長のピコ秒パルスレーザを発生するものを用いてもよい。また、ポンプ光となるピコ秒パルスレーザも、フォトニック結晶ファイバにより波長を変換してから出力してもよい。
レーザ顕微分光器100の光学系150は、励起光発生部130とステージ160との間に配された励起光側対物レンズ152を含む。励起光側対物レンズ152は、ステージ160に置かれたサンプル110の内部に焦点を結び、励起光発生部130から伝播した励起光をサンプル110内に集光する。これにより、サンプル110内の焦点付近において、励起光は非線形効果を生じる。
ステージ160は、圧電素子によりステージ160を少なくともX−Y方向に移動させる駆動部162を有する。これにより、光学系を移動させることなく、ステージ160上のサンプル110を励起光で走査できる。
また、光学系150は、ステージ160に置かれたサンプル110に対して、励起光側対物レンズ152と反対側に配された信号光側対物レンズ154を有する。信号光側対物レンズ信号光側対物レンズ154は、ステージ160に置かれたサンプル110の内部に焦点を結び、サンプル110から射出された散乱光を集光する。なお、レーザ顕微分光器100において、励起光側対物レンズ152と、信号光側対物レンズとは、互いに異なる開口数(NA)を有するが、この点については、図6、7、8を参照して後述する。
光学系150は、更に、信号光側対物レンズ154から射出された散乱光の光路上に、光学フィルタ156および結像レンズ158を有する。光学フィルタ156は、サンプル110から射出された散乱光から不要な光学的成分を取り除く。
ここで、不要な成分とは、サンプル110を透過して射出された照射光の一部の帯域を含む。このため、光学フィルタ156は、サンプル110の種類、分析対象の組成、検出目的等に応じて変更される。結像レンズ158は、後述するポリクロメータ170の受光面に、サンプル110で発生した散乱光を結像させる。
なお、レーザ顕微分光器100は、励起光および散乱光の光路上に、反射鏡140、142を有する。これにより、励起光および散乱光の光路が折り曲げられ、レーザ顕微分光器100の寸法の拡大を抑制する。
ポリクロメータ170は、広帯域の照射光をサンプル110に照射した場合に、分析対象112から射出された光を回折格子で分光して複数の受光素子で同時に受光する。これにより、ポリクロメータ170は、照射光が照射された領域におけるサンプル110のスペクトルを検出する検出部として動作する。
なお、ポリクロメータ170は、光学系150の像面のひとつと共役な位置に配された分光器の入射スリットに相当する狭い領域を通して受光した光を分光して検出する。このため、ポリクロメータを用いて射出光を受光する場合は、サンプル110に照射する励起光の光路を変位させることができない。
よって、ポリクロメータ170の1回の検出により得られるスペクトルは、分析対象112のあるひとつの位置における成分に対応する。しかしながら、レーザ顕微分光器100は、駆動部162により、サンプル110を置いたステージ160を変位させることができる。よって、レーザ顕微分光器100では、サンプル110の異なる位置のスペクトルも検出することができる。
制御部180は、キーボード182、マウス184、情報処理装置186および表示装置188を有する。キーボード182およびマウス184は、情報処理装置186に接続され、情報処理装置186にユーザの指示を入力する場合に操作される。情報処理装置186は、汎用パーソナルコンピュータに制御手順を実行させるプログラムを実装して形成できる。
表示装置188は、キーボード182およびマウス184による操作に対するフィードバックをユーザに返すと共に、情報処理装置186が生成した画像または文字列をユーザに向かって表示する。制御部180は、レーザ光源120、駆動部162、ポリクロメータ170等の動作を制御すると共に、ユーザによる指示をレーザ顕微分光器100に設定する。また、ポリクロメータ170の検出結果を映像化して、表示装置188に表示する画像を生成する。
なお、レーザ顕微分光器100は、上記の他に、励起光の光路を変位させて固定されたサンプル110を励起光により走査するガルバノスキャナや、散乱光によるサンプル110のイメージングをする場合に使用する光電子増倍管190等を付加的に設けてもよい。光電子増倍管190等を付加的に設けてもよい。光電子増倍管190等の複数の検出部を設けた場合は、例えば、散乱光の光路において最も下流側に挿抜式反射鏡142を設けて、複数の検出部を選択的に使用してもよい。
図3は、サンプル110における分析対象112に、集光された励起光が照射された場合に生じるCARS過程を説明する図である。CARS過程は、互いに異なる角周波数ω、ωを有するポンプ光およびストークス光を含む励起光をサンプル110に照射して、ポンプ光の光周波数ωとストークス光の光周波数ωとの差[ω−ω]が、サンプルに含まれる分子の固有振動の角振動数ωと共鳴した場合に発生する。
CARS過程により、サンプルに含まれる特定の分子構造の振動モードが励振されると、分子振動が角周波数ωを有する第3のレーザ光であるプローブ光と相互作用することにより、三次の非線形分極に由来するCARS光がラマン散乱光として発生する。
更に、ポンプ光はプローブ光としても利用できるので、[ω=ω]という条件の下で、CARS光が発生する。サンプルにおいて発生するCARS光は、[ωCARS=ω−ω+ω=2ω−ω]を満たす光周波数を有する。よって、サンプルから射出されたCARS光を検出することにより、サンプルに含まれる特定の分子構造、例えば官能基の存在を検出できる。更に、照射光をサンプルに照射する位置を変えながら繰り返しCARS光を検出することにより、分析対象112における特定の分子構造の分布を画像化することができる。
ここで、CARS光は自発ラマン散乱光等に比べると光強度が高いので、光電気変換素子を用いて検出する場合に蓄積時間が短く、高速に検出できる。これにより、ビデオレートでの観察も可能になる。また、特定分子構造の分布だけではなく、分布の変化も検出することができる。更に、サンプルに照射する照射光の帯域を、生細胞に与えるダメージが少ない赤外帯域とすることにより、観察対象の生細胞を生かしたまま観察することができる。
また更に、サンプルの特定の位置に照射する照射光の光周波数を変化させることにより、当該照射位置から射出されたラマン散乱光の周波数分布(波数分布)を示すスペクトル画像が得られる。更に、照射光の光路に対して交差する方向にサンプルを移動させながら照射光を繰り返し照射することにより、観察平面における特定の分子の分布を画像化することもできる。
図4は、サンプル110における分析対象112に、集光された励起光が照射された場合に生じる、CARS過程とは別の現象である四光波混合を説明する図である。四光波混合は、励起光が照射された場合に、分析対象112の3次非線形感受率χ(3)に起因して、図示のように、CARS光と同じ角周波数2ω−ωの散乱光がCARS光と同時に発生する現象である。
このような四光波混合過程に起因する散乱光は、試料の分子振動に依存することなく発生するので非共鳴バックグラウンドと呼ばれ、CARS光像のコントラストを低下させる。また、指紋領域と呼ばれるCARS信号レベルが低い領域では、非共鳴バックグラウンドの影響が相対的に強く、イメージングが困難な場合があった。
更に、レーザ波長を掃引してスペクトルを検出した場合に、CARS光と非共鳴バックグラウンドとが重畳して検出されるので、自発ラマン散乱により検出したスペクトルとは異なるプロファイルのスペクトルが検出される原因となる。このため、生体内で凝集しやすく分子振動が強い脂質の検出に限られる等、CARS顕微法の適用範囲が制限されている。スペクトル検出後に画像処理等による後処理でスペクトルを補正することも試みられているが、処理負荷および処理時間が増加するので、有効な検出までの積算時間が短いというCARS信号の利点が損なわれる。
図5は、レーザ顕微分光器100における励起光側対物レンズ152および信号光側対物レンズ154の光学的配置を模式的に示す図である。図示のように、励起光側対物レンズ152および信号光側対物レンズ154は、それぞれ、分析対象112とガラス製のサンプル容器114との境界に焦点を結ぶ。
このため、励起光側対物レンズ152が集光した励起光は、分析対象112とサンプル容器114の両方において四光波混合を生じる。更に、分析対象112においては、励起光の差周波(ω−ω)が分子振動共鳴周波数と一致した場合に増強されてCARS光が発生する。
よって、分子振動共鳴に依存しない非共鳴バックグラウンドは、3次非線形感受率χ(3)の実部に起因する。一方、CARS光強度は|χ(3)に比例するので、3次非線形感受率χ(3)の実部と虚部の両方を反映する。換言すれば、非線形感受率の虚部Im{χ (3)}が、非共鳴バックグラウンドの影響が除かれた自発ラマンスペクトル(自然スペクトル)と同じスペクトルに相当する。
図6は、図5に示した領域Aにおける点像振幅分布を示す図である。なお、図示の例は、励起光側対物レンズ152の開口数NAEXが、信号光側対物レンズ154の開口数NACLよりも大きい場合を示す。
また、図内の右に、分析対象112側の寄与による散乱光と、サンプル容器114側の寄与による散乱光のアルガン図を併せて示す。図中上側のアルガン図は、分析対象112において発生した散乱光の初期位相に対応する。また、図中下側のアルガン図は、サンプル容器114において発生する散乱光の初期位相に対応する。
Figure 2021056000
Figure 2021056000
Figure 2021056000
Figure 2021056000
Figure 2021056000
Figure 2021056000
Figure 2021056000
図7は、図6と同様に、領域Aにおける点像振幅分布を示す図である。ただし、図7に示した例では、励起光側対物レンズ152の開口数NAEXが、信号光側対物レンズ154の開口数NACLと等しい。また、図7の右に、分析対象112側の寄与による散乱光のアルガン図を併せて示す。
図8は、図6、7と同様に、領域Aにおける点像振幅分布を示す図である。図8に示す例では、励起光側対物レンズ152の開口数NAEXが、信号光側対物レンズ154の開口数NACLよりも小さい。図8の右にも、分析対象112側の寄与による散乱光のアルガン図を併せて示す。
図6、7、8に示すアルガン図を比較すると判るように、励起光側対物レンズ152の開口数NAEXと、信号光側対物レンズ154の開口数NACLとの関係の変化は、発生する散乱光の点像振幅分布に反映され、散乱光の偏角θが変化することが判る。よって、励起光側対物レンズ152の開口数NAEXと、信号光側対物レンズ154の開口数NACLとを適切に設定することにより、上記の式(5)を満足できることが判る。
ここで、円形の瞳を有する励起光側対物レンズ152の開口数NAexを[n・sinθex(nは屈折率)]とし、信号光側対物レンズ154の開口数NAcolを[n・sinθcol(nは屈折率)]とした場合、下記の一連の式(6)に示す条件が満たされることにより上記式(5)が満足される。
Figure 2021056000
また、励起光側対物レンズ152が、外径n・sinθex(out)、内径n・sinθex(in)の環状瞳を有して輪帯照明が形成されている場合は、信号光側対物レンズ154が半径n・sinθcolの円形瞳を有するものとすると、下記の一連の式(7)に示す条件が満たされることにより上記式5が満足される。
Figure 2021056000
上記のように、励起光側対物レンズ152が環状の瞳を有する場合は、信号光側対物レンズ154の円形瞳の半径を大きくとることができる。よって、光学分析装置としての分解能が高くなり、信号光を高効率に集光できる。
図9は、式(5)の関係を満たす開口数NAの組合せの一例として、散乱光の角周波数とCARS光強度との関係を示すグラフである。図示の例は、励起光側対物レンズ152の開口数NAEXを1とし、信号光側対物レンズ154の開口数NACLを0.4として、励起光側対物レンズ152の開口数NAEXの方が大きくなる開口数を選択した場合を示す。このような開口数の関係が成立している場合、角周波数が低い領域でCARS光の強度がより高くなる傾向がある。よって、指紋領域におけるCARSスペクトルの検出に有利である。
図10は、式(5)の関係を満たす開口数NAの組合せの一例として、散乱光の角周波数とCARS光強度との関係を示すグラフである。図示の例は、励起光側対物レンズ152の開口数NAEXを1とし、信号光側対物レンズ154の開口数NACLを1.3として、信号光側対物レンズ154の開口数NACLの方が大きくなる開口数を選択した場合を示す。このような開口数の関係が成立している場合は、角周波数が高い領域でCARS光の強度が高くなる傾向がある。
図11は、上記式(5)に示した関係が成立する条件下で検出したスペクトルのプロファイルを示すグラフである。図示のプロファイルは、自発ラマンスペクトルのプロファイルと略一致する。
図12は、比較のために、レーザ顕微分光器100の励起光側対物レンズ152の開口数NAEXと、信号光側対物レンズ154の開口数NACLとを同じにして測定したスペクトルのプロファイルを示すグラフである。図示のように、このプロファイルは、非共鳴バックグラウンドの影響を受けて、プロファイルが全体に山なりに変形している。また、各ピークの直後にディップが付帯しており、本来のスペクトルとは異なる波形となっている。
このように、励起光側対物レンズ152および信号光側対物レンズ154の開口数NAを適切に設定することにより、デバイスを付加することなく、自発ラマン散乱光のスペクトルと一致する正確なプロファイルのスペクトルを検出できる。また、付加的な画像処理または信号処理も不要なので、分析器の処理負荷および処理時間が減少して、信号レベルが高いというCARSスペクトルの利点を活かすことができ、例えば、正確なスペクトルをビデオレートで検出することも可能になる。
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されない。上記実施の形態に、多様な変更または改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。その様な変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
特許請求の範囲、明細書、および図面中において示した装置、システム、プログラム、および方法における動作、手順、ステップ、および段階等の各処理の実行順序は、特段「より前に」、「先立って」等と明示しておらず、また、前の処理の出力を後の処理で用いるのでない限り、任意の順序で実現しうることに留意すべきである。特許請求の範囲、明細書、および図面中の動作フローに関して、便宜上「まず、」、「次に、」等を用いて説明したとしても、この順で実施することが必須であることを意味するものではない。
100 レーザ顕微分光器、110 サンプル、112 分析対象、114 サンプル容器、116 保護液、120 レーザ光源、130 励起光発生部、132 光分岐器、134 フォトニック結晶ファイバ、136、140 反射鏡、138 光合波器、142 挿抜式反射鏡、150 光学系、152 励起光側対物レンズ、154 信号光側対物レンズ、156 光学フィルタ、158 結像レンズ、160 ステージ、162 駆動部、170 ポリクロメータ、180 制御部、182 キーボード、184 マウス、186 情報処理装置、188 表示装置、190 光電子増倍管

Claims (6)

  1. ポンプ光およびストークス光を発生する光源と、
    分析対象を支持し、前記ポンプ光および前記ストークス光を透過させる透明板と、
    前記分析対象および前記光源の間に配され、前記分析対象および前記透明板の境界に結ばれる焦点を有する第1の対物レンズと、
    前記分析対象および前記透明板を挟んで前記第1の対物レンズに対向して配置され、前記分析対象および前記透明板の境界に結ばれた焦点を有し、前記第1の対物レンズの開口数と異なる開口数を有する第2の対物レンズと、
    前記分析対象および前記透明板で発生した散乱光を、前記第2の対物レンズを通じて受光する分光器と
    を備える光学分析装置。
  2. 前記第1の対物レンズの開口数が、前記第2の対物レンズの開口数よりも大きい請求項1に記載の光学分析装置。
  3. 前記透明板が、前記ポンプ光およびストークス光に対してコヒーレントアンチストークスラマン散乱光を生じない材料で形成される請求項1または2に記載の光学分析装置。
  4. 前記透明板がガラス板である請求項3に記載の光学分析装置。
  5. 前記第1の対物レンズの開口数および前記第2の対物レンズの開口数が、前記ポンプ光および前記ストークス光を照射した場合に、前記分析対象において発生した散乱光の位相と前記透明板で発生した散乱光の位相との差2θが、下記の式(1)に示す条件を満たすように選択されている請求項1から4のいずれか一項に記載の光学分析装置。
    65°≦2θ≦115° ・・・(1)
  6. 分析対象をポンプ光およびストークス光に対して透明な透明板に支持させ、
    第1の開口数を有して前記分析対象および前記透明板の境界に焦点を結ぶ第1の対物レンズを通じて、前記ポンプ光および前記ストークス光を前記分析対象および前記透明板に照射し、
    前記第1の対物レンズに対向して配置され、前記第1の対物レンズの開口数と異なる開口数を有し、前記分析対象および前記透明板の境界に焦点を結ぶ第2の対物レンズを通じて、前記分析対象および前記透明板で発生した散乱光を分光器で受光する
    光学分析方法。
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