JP2021055818A - 差動装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】ピニオンギアとサイドギアの拘束軌道を3次元的に指定することにより、小型化を実現する。【解決手段】ディファレンシャルケース162と、2本のサイドシャフト171、181と、サイドシャフトのそれぞれに一体形成され、ディファレンシャルケースの内部において、互いに対向するサイドギア164L、164Rと、サイドギアの回転軸を法線に持つ面内にあり、サイドギアの回転軸とは交差しないピニオン回転軸163Sに回転自在に装着され、サイドギアと係合するピニオンギア163A、163Bとを備えている。サイドギアと、ピニオンギアは、面対称の三次元曲線である拘束軌跡により回転が規定され、サイドギアに形成された凸部と、ピニオンギアに形成された凹部が順次係合することで差動運動を発生する。【選択図】図2

Description

本発明は、入力軸からの駆動力を分配して2つのシャフトに伝える差動装置に関するものであり、特にロボットアームの指関節などにも適用可能な小型軽量な差動装置に関する。
代表的な差動装置として、自動車には、カーブを曲がる際に生じる内側車輪と外側車輪の速度差を吸収して動力を内側車輪と外側車輪に振り分ける差動装置が広く用いられている。また、ロボットの分野でも、特許文献1、2にみられるように、駆動機構に差動装置を用い、異径物を含む把持対象物を1つのアクチュエータで駆動することも提案されている。
特にロボットハンドでは、複数の指関節に独立した動きが求められているため、限られた空間に複数の差動装置を搭載する必要があり、小型化、堅牢化という相反する課題を同時に解決する必要がある。
しかし、一般的な差動装置では、ピニオンギアならびにサイドギアに傘歯車を用いており、サイドギアの回転軸を中心軸とする略円筒形状のディファレンシャルケースの径が大きくなり、小型化するのが困難である。
また、ロングピニオンギア、ショートピニオンギアからなる2種類のピニオンギアを用意し、これら回転軸をサイドギアの回転軸と平行になるように配置した差動装置も存在する。しかしながら、2種類のピニオンギアを回転軸方向にずらしながら配置することで軸方向が長くなり、またサイドギアの外周側に2種類のピニオンギアを配置することから径方向にも長くなり、やはり小型化するのが困難である。
駆動力を伝達する機構に関する小型化に関して、特許文献3には、立体カム機構を用いた機構が提案されている。この立体カム機構では、立体カムに独立した3次元的なカム案内面を形成し、このカム案内面に従節側リンクの一端に所定の角度にて形成した一対のカムフォロアをガイドさせるようにすることで、小型化を実現しつつ、立体カムの回転運動を従節側リンクの他端の揺動運動に変換することが可能となっている。
特開2001−277175号公報 特開2007−69286号公報 特許第4388566号公報
しかしながら、特許文献3に記載された立体カム機構においては、立体カムに独立した一対の3次元的なカム案内面を形成し、このカム案内面に従節側リンクの一端に所定の角度にて形成した一対のカムフォロアをガイドさせるようにすることが必要である。このため、駆動力の伝達は案内面とフォロアの直線状の線接触を介して行われるので、大きな力を伝達することができないという問題があった。
さらに、立体カムに独立した一対の3次元的なカム案内面を形成し、このカム案内面に従節側リンクの一端に所定の角度にて形成した一対のカムフォロアをガイドさせるようにしているため、フォロアが案内面の末端でフォロアが停止し、立体カムの回転運動が無限回転する場合に適用することもできない。
そこで、本発明は、ピニオンギアとサイドギアの拘束軌道を3次元的に指定することにより、小型化に最適な差動装置の機構を提供することを目的としている。
この課題を達成するため、本発明の差動装置は、ディファレンシャルケースと、このディファレンシャルケースから左右外方に延びる2本のサイドシャフトと、サイドシャフトのそれぞれに一体形成され、ディファレンシャルケースの内部において、互いに対向するサイドギアと、ディファレンシャルケースの内部において、サイドギアの回転軸を法線に持つ面内にあり、サイドギアの回転軸とは交差しないピニオン回転軸に回転自在に装着され、サイドギアと係合するピニオンギアとを備え、サイドギアとピニオンギアは、面対称の三次元曲線である拘束軌跡により回転が規定され、サイドギアに形成された凸部と、ピニオンギアに形成された凹部が順次係合することで、2本のサイドシャフトの間に差動運動を発生させするようにした。
本発明によれば、ディファレンシャルケースの内部にサイドギアの回転軸を法線に持つ面内にピニオン回転軸を配置することができ、伝達される許容トルクに比しディファレンシャルケースを小径化することが可能となる。
図1は、本発明の実施例1に基づく差動装置161を用いた駆動機構の外観を示す斜視図である。 図2は、その差動装置161の構造の分解図である。 図3は、図2とは逆方向から見た差動装置161の構造の分解図である。 図4は、図2と図3に示す差動装置161の内部におけるピニオンギア163A、163Bとサイドギア164L、164Rの配置を示す図である。 図5は、ピニオンギア163A、163Bの正面図、側面図、B−B断面図、C−C断面図、斜視図である。 図6は、一方のサイドギア164L(サイドシャフト181)の平面図、D−D断面図、E−E断面図である。 図7は、他方のサイドギア164R(サイドシャフト171)の平面図、F−F断面図、G−G断面図である。 図8は、噛み合った状態のピニオンギア163Bとサイドギア164Lを、サイドギア164Lの正面、側面からみた図である。 図9はサイドギア164Lの凸部222Lの曲面形状を示す図である。 図10は差動装置161のピニオンギア163A、163Bとサイドギア164L、164Rの動作原理を示す状態図である。 図11は、図10における点線部の拡大図である。 図12は、図10に示す状態からサイドギア164L、164Rがディファレンシャルケース162に対して30度回転した状態、すなわち両サイドギアの相対角度が60度回転した状態を示す拡大図である。 図13は、図10に示す状態からサイドギア164L、164Rがディファレンシャルケース162に対して60度回転した状態、すなわち両サイドギアの相対角度が120度回転した状態を示す拡大図である。 図14は、図10に示す状態からサイドギア164L、164Rがディファレンシャルケース162に対して90度回転した状態、すなわち両サイドギアの相対角度が180度回転した状態を示す拡大図である。 図15は、図10に示す状態からサイドギア164L、164Rがディファレンシャルケース162に対して120度回転した状態、すなわち両サイドギアの相対角度が240度回転した状態を示す拡大図である。 図16は、図10に示す状態からサイドギア164L、164Rがディファレンシャルケース162に対して150度回転した状態、すなわち両サイドギアの相対角度が300度回転した状態を示す拡大図である。 図17は、図10に示す状態からサイドギア164L、164Rがディファレンシャルケース162に対して180度回転した状態、すなわち両サイドギアの相対角度が360度回転した状態を示す拡大図である。 図18は、本発明の実施例2に基づく差動装置161を用いた駆動機構の外観を示す斜視図である。 図19は、その実施例2の差動装置161分解図である。 図20は、図19とは逆方向から見た差動装置161の分解図である。 図21は、本発明の実施例3に基づく差動装置161の分解図である。 図22は、図21とは逆方向から見た差動装置161の分解図である。 図23は、噛み合った状態のピニオンギア163Bとサイドギア164Lを、サイドギア164Lの正面、側面からみた図、A矢視図である。 図24は、図21から図23に示すサイドギア164Lの凸部222Lの曲面形状を示す図である。
[実施例1]
図1は本発明の実施例1に基づく差動装置161を用いた駆動機構の外観を示す斜視図であり、図2、3は、分解した状態の差動装置161を両方向からみ斜視図である。
電動モータ等のアクチュエータ110は、遊星歯車を内蔵して減速等の機能を有する伝達装置110Tを介して伝達シャフト151を駆動回転させることにより駆動力を出力するようになっている。アクチュエータ110は、自動車の車体やロボットの胴体など、図示しないベースフレームに固定されている。
伝達シャフト151の先端には、伝達ギア151Gが同軸上で一体回転するように固定されている。なお、減速等が不要の場合は、伝達装置110Tを介さずに、直接アクチュエータ110の出力軸の先端に、伝達ギア151Gが同軸に一体回転するように固定してもよい。
伝達ギア151Gにリングギア155が噛み合うことで、アクチュエータ110の駆動力がディファレンシャルケース162に伝達されるようになっている。
図2、3に示すように、差動装置161は、ディファレンシャルケース162、ピニオンギア163A、163B、ピニオンシャフト163S、サイドギア164L、164R、サイドシャフト171、181から構成されている。
なお、差動装置161は、自動車の車体やロボットの胴体など、図示しないベースフレームに対して、同じく図示しない軸受を介して軸方向には不動で自由回転可能に軸支されている。
サイドシャフト171はサイドギア164Rに、サイドシャフト181はサイドギア164Lにそれぞれ相対回転不能に一体形成あるいは固定されている。
サイドシャフト171とサイドシャフト181の回転軸がサイドギア164L、164Rの回転軸221(図4参照)と同軸になるように配置され、ディファレンシャルケース162ならびに、図示しないベースフレームに対して、回転軸221の軸方向には不動であるが、回転軸周りに回転可能に軸支されている。
図2、3に示されるように、ピニオンギア163A、163Bはそれぞれのピニオンシャフト163Sに相対回転不能に固定され、ピニオンシャフト163Sはディファレンシャルケース162に対して、ピニオンギア163A、163Bの回転軸211(図4参照)の軸方向には不動であるが、回転軸211の回転軸周りに回転可能に軸支されている。なお、ピニオンシャフト163Sをディファレンシャルケース162に相対回転不能に固定し、ピニオンギア163A、163Bをピニオンシャフト163Sに対して、ピニオン回転軸211の軸方向には不動とし、ピニオン回転軸211軸周りに回転可能に軸支されるようにしてもよい。
図3、4に示すように、ディファレンシャルケース162の内部において、ピニオンギア163A、163Bは、サイドギア164L、164Rの回転軸221を法線に持つ面内にあり、サイドギア164L、164Rの回転軸とは交差しないピニオン回転軸211に回転自在に装着されている。サイドギア164L、164Rと係合するピニオンギア163A、163Bは、互いに噛み合うように配置され、後述するように、サイドギア164R(サイドシャフト171)とサイドギア164L(サイドシャフト181)が差動するように構成されている。
図5のうち、(a)、(b)は、ピニオンギア163A、163Bの正面図、側面図、(c)はB−B断面図、(d)はC−C断面図、(e)は斜視図を示している。図6のうち、(a)は一方のサイドギア164L(サイドシャフト181)の平面図、(b)はD−D断面図、(c)はE−E断面図を示している。また、図7のうち、(a)は他方のサイドギア164R(サイドシャフト171)の平面図、(b)はF−F断面図、(c)はG−G断面図を示している。
ここで、図1に示されるように、リングギア155は、その回転軸がサイドシャフト171の回転軸ならびにサイドシャフト181の回転軸と同軸になるように、すなわちサイドギア164L、164Rの回転軸221(図4参照)と同軸になるように、ディファレンシャルケース162に相対回転不能に固定されている。
このような構成により、アクチュエータ110の出力が、伝達シャフト151、伝達ギア151G、リングギア155を介して、ディファレンシャルケース162まで伝達される構成になっている。
なお、本実施例では、アクチュエータ110の出力をディファレンシャルケース162まで伝達するために、伝達ギア151Gとリングギア155を用いた伝達機構を用いているが、他の伝達機構でも構わない。例えば、伝達シャフト151の先端に駆動プーリを同軸に一体回転するように固定し、従動プーリをサイドシャフト171の回転軸ならびにサイドシャフト181の回転軸と同軸になるようにディファレンシャルケース162に相対回転不能に固定し、伝達ベルトを駆動プーリと従動プーリを共に巻き掛けることにより、アクチュエータ110の出力をディファレンシャルケース162まで伝達する伝達機構を用いてもよい。
例えば、サイドシャフト171、181にラジオコントロール模型自動車の右駆動輪、左駆動輪をそれぞれ固定することで、アクチュエータ110の駆動力をサイドシャフト171とサイドシャフト181に分配し、ラジオコントロール模型自動車が曲がる時にも左右駆動輪の回転差を吸収し、スムーズなコーナリングが実現される。
ここで、サイドギア164L、164Rとピニオンギア163A、163Bは、図6、7に示されるように、各ギアの動き(回転)が、三次元曲線である拘束軌跡201L、201R(3次元の曲線)によって規定された動き(回転)となるように構成されている。
すなわち、サイドギア164Lとピニオンギア163A、163B(図4参照)の各ギアの動き(回転)は、3次元曲線である拘束軌跡201Lによって規定された動き(回転)となり、サイドギア164Rとピニオンギア163A、163Bの各ギアの動き(回転)は、3次元曲線である拘束軌跡201Rによって規定された動き(回転)となるように構成されている。
拘束軌跡201Lと拘束軌跡201Rは、サイドギア回転軸221を法線に持ちピニオン回転軸211を含む平面を面対称面とする面対称な3次元の曲線で構成されている。これにより、サイドギア164L、164Rは、面対称面を対称面とする面対称な3次元の形状で構成される。
なお、拘束軌跡201Lと拘束軌跡201Rは面対称な3次元曲線であり、ピニオンギア163A、163Bに対するサイドギア164Lと164Rの挙動原理は同じであることから、以下では主にサイドギア164Lを用いて説明を行う。
サイドギア164Lには、図6に示すように、サイドギア回転軸221の軸方向から見て渦巻状の凸部222Lが設けられている。また、この凸部222Lが、サイドギア回転軸221の周りに複数個、等配されている。
凸部222Lの等配数をnとすると、実施例1の凸部222Lは、図6に示すようにn=2で設計されているが、後述の設計式を満たす値であればnは任意の正整数で設定可能である。
ピニオンギア163A、163Bは、全く同一形状の部品で構成され、サイドギア回転軸221周りのn等配位置に配置されている(nは、サイドギア回転軸221の周りの凸部222Lの等配数である)。以下では、ピニオンギア163Aと163Bを区別なく、ピニオンギア163として説明を行う。
実施例1のピニオンギア163は、図2から図4に示すようにn=2で設計されているが、サイドギア回転軸221周りのn等配位置にピニオンギア163が配置されていれば、必ずしもピニオンギア163をn個採用(配置)する必要はない。言い換えると、サイドギア回転軸221周りにn等配したn個のピニオンギア163の内、一部のピニオンギアを不採用にする(配置しない)ことも可能であり、サイドギア回転軸221周りのn等配位置にピニオンギア163を配置する必要はあるが、ピニオンギア163の採用数はk個(kは1≦k≦nを満たす正整数)でも良い。例えば、実施例1では2個のピニオンギア163A、163Bが採用(配置)されているが、ピニオンギア163Aを採用(配置)せずにピニオンギア163Bのみを採用(配置)しても良いし、ピニオンギア163Bを採用(配置)せずにピニオンギア163Aのみを採用(配置)しても良い。
また、ピニオンギア163には、図5に示すように、凹部212が設けられており、この凹部212が、ピニオン回転軸211の周りに複数個、等配されている。後述の説明のために、この等配数をmと定義しておく。
本発明の実施例1のピニオンギア163は、図5に示すようにm=6で設計されているが、後述の設計式を満たす値であればmは任意の正整数で設定可能である。
凹部212と凸部222Lが噛み合うことで、サイドギア164Lのサイドギア回転軸221周りの回転運動が、ピニオンギア163のピニオン回転軸211周りの回転運動に変換され、またその逆に、ピニオンギア163のピニオン回転軸211周りの回転運動が、サイドギア164Lのサイドギア回転軸221周りの回転運動に変換される。
図5に示すように、ピニオンギア163に設けた凹部212は、ピニオン回転軸211を法線に持つ面(断面図B−Bの面)内に、ピニオン回転軸211から距離Lp離れた位置に円心201pを持つ円状の拘束接触線202と同一円上にある、中心角90度の1/4円弧状の凹部接触線213を有する形状で形成され、この凹部接触線213が凸部222と接触する接触線となる。
同時に、凹部212は、ピニオン回転軸211を含む面(断面図C−Cの面)内に断面が凸形状の輪郭線215を有する形状で形成され、この輪郭線215の頂点部が凹部接触線213を貫通する輪郭線であり、凹部212は、輪郭線215を凹部接触線213に沿って移動するよう、立体的な曲面を備えている。
ここで、図8(a)、(b)は、噛み合った状態のピニオンギア163Bとサイドギア164Lを、サイドギア164Lの正面、側面からみた図であり、サイドギア164Lに設けた凸部222Lは、図9(a)、(b)に示すように、サイドギア回転軸221を含む拘束接触線断面203(203a〜203g)で、円心が拘束軌跡201Lを貫通するように円状に描かれた拘束接触線202(202a〜202g)を、拘束軌跡201Lに沿って移動して立体化した曲面を有する形状で形成されている。
なお、図9(a)では、サイドギア回転軸221含む拘束接触線断面203(203a〜203g)での凸部222Lの断面輪郭線が、7平面で拘束接触線202に重なっていることを示しているが、この7平面に限らず、サイドギア回転軸221含む任意の平面で凸部222Lをカットした断面の輪郭線には、拘束接触線202が重なるように凸部222Lが形成されている。
この図8と図9に示すように、実施例1では、凹部接触線213を含む平面(ピニオンギア163のピニオン回転軸211方向の厚み中央面、図5のB−B断面)内にサイドギア回転軸221が重なるように、ピニオンギア163が配置されている。
このような凸部222Lを形成するため、実施例1での拘束軌跡201Lは、図8に示す3次元の座標系で、次の式で与えられている。
X = ( Ld − Lp sin(θp) ) cos ( F(θp) )
Y = ( Ld − Lp sin(θp) ) sin ( F(θp) )
Z = Lp cos(θp)
ここで、Ldはピニオン回転軸211とサイドギア回転軸221の距離、Lpはピニオン回転軸211と拘束接触線202の円心201pまでの距離であり、θpはピニオンギアの回転角度、F(θp)はピニオンギアの回転角θpの関数を表しており、サイドギア164Lの回転角θs=F(θp)である。
サイドギア164Lの回転角θsを表すF(θp)に関しては、
±m/n=(F(θp2)−F(θp1))/(θp2−θp1)
を満たす関数で与えることにより、ピニオンギア163A、163B、サイドギア164A、164Bを無限回転させることが可能である。
なお、θp1は、図5に示すように、ピニオンギア163に設けたm等配した凹部212の1つ目の凹部212が、サイドギア164に設けたn等配した凸部222の1つ目の凸部222に噛み合った際のピニオンギアの回転角θpを表している。
また、θp2は、同じく図5に示すように、互いに噛み合っていた1つ目の噛み合った凹部212と1つ目の凸部222の噛み合いが解放され、互いに2つ目の凹部212と2つ目の凸部222の噛み合いに移行した瞬間のピニオンギア163の回転角θpを表している。
また、F(θp1)は、図6に示すように、ピニオンギア163に設けたm等配した凹部212の1つ目の凹部212が、サイドギア164に設けたn等配した凸部222の1つ目の凸部222に噛み合った際のサイドギアの回転角θsを表している。さらに、F(θp2)は、同じく図6に示すように、互いに噛み合っていた1つ目の噛み合った凹部212と1つ目の凸部222の噛み合いが解放され、互いに2つ目の凹部212と2つ目の凸部222の噛み合いに移行した瞬間のサイドギア164の回転角θsを表している。
なお、実施例1では、
F(θp)=+ 3 θp (拘束軌跡201Lに用いる F(θp))
F(θp)=− 3 θp (拘束軌跡201Rに用いる F(θp))
で与えた。
図10から図17を用いて、実施例1の差動装置の差動原理について説明する。これらの図は、いずれもアクチュエータ110により回転駆動されるディファレンシャルケース162からみた、各パーツの作動を示すものである。
図10において、(a)は、差動装置161の側面図(b)におけるA−A断面図であり、(c)、(d)は、ピニオンギア163A、163Bとサイドギア164R、164Lの斜視図を示している。
そして、図11から図17は、ピニオンギア163Aの回転位相に合わせて、図10における点線部を拡大したものである。
本実施例では、前述のように、アクチュエータ110の出力を、伝達ギア151Gとリングギア155を用いた伝達機構を用いて、ディファレンシャルケース162まで伝達され、ディファレンシャルケース162とサイドシャフト171(サイドギア164R)とサイドシャフト181(サイドギア164L)が一体となって(相対回転差が無い状態で)回転を行う。
一方、サイドシャフト171(サイドギア164R)とサイドシャフト181(サイドギア164L)は、両シャフトの駆動状況に応じて運動差(回転速度差)が生じる。
例えば、サイドシャフト171にラジオコントロール模型自動車の右駆動輪を固定し、サイドシャフト181に同ラジオコントロール模型自動車の左駆動輪を固定し、コーナリングを行うと左右輪に運動差(回転速度差)が生じる。
言い換えると、ディファレンシャルケース162(リングギア155)とサイドシャフト171(サイドギア164R)の間に運動差(回転速度差)が生じ、同じく、ディファレンシャルケース162(リングギア155)とサイドシャフト181(サイドギア164L)の間にも運動差(回転速度差)が生じる。
ここで、ディファレンシャルケース162(リングギア155)とサイドシャフト181(サイドギア164L)の間に運動差(回転速度差)が生じた場合を想定する。
具体的には、図11において、サイドシャフト181(サイドギア164L)が回転A(図6(a)からみて反時計周りの回転)を起こした場合、この回転Aにより、ピニオンギア163の凹部212とサイドギア164Lの凸部222Lの噛み合い部分がサイドギア回転軸221に近づくように、運動が行われる。すなわち、図11において、ピニオンギア163Aは、時計方向の回転が発生し、ピニオンギア163B(図10(a)参照)には、反時計方向の回転が発生する。
図11においてピニオンギア163Aが時計周りに回転し、ピニオンギア163Bが反時計周りに回転すると、ピニオンギア163の凹部212とサイドギア164Rの凸部222Rの噛み合い部分がサイドギア回転軸221から遠ざかるように、運動が行われる。これにより、サイドシャフト171(サイドギア164R)は、図11に示す回転B(図7(b)からみて反時計周りの回転)が発生する。
このように、ディファレンシャルケース162に対して、サイドシャフト181(サイドギア164L)は回転A、サイドシャフト171(サイドギア164R)は回転Bを発生し、サイドシャフト181(サイドギア164L)とサイドシャフト171(サイドギア164R)との間に差動運動が発生する。
一方、図11において、サイドシャフト181(サイドギア164L)が回転C(図6(a)からみて時計周りの回転)を起こした場合について考える。
この回転Cにより、ピニオンギア163の凹部212とサイドギア164Lの凸部222Lの噛み合い部分がサイドギア回転軸221から遠ざかるように運動が行われ、これにより、図11において、ピニオンギア163Aは、反時計方向の回転が発生し、ピニオンギア163B(図10参照)は、時計方向の回転が発生する。
図11においてピニオンギア163Aが反時計周りに回転すると(ピニオンギア163Bが時計周りに回転すると)、ピニオンギア163の凹部212とサイドギア164Rの凸部222Rの噛み合い部分がサイドギア回転軸221に近づくように運動が行われ、これにより、サイドシャフト171(サイドギア164R)は、図11に示す回転D(図7(b)からみて時計周りの回転)が発生する。
このように、ディファレンシャルケース162に対して、サイドシャフト181(サイドギア164L)は回転C、サイドシャフト171(サイドギア164R)は回転Dを発生し、サイドシャフト181(サイドギア164L)とサイドシャフト171(サイドギア164R)との間に差動運動が発生する。
以上、ディファレンシャルケース162に対して、サイドシャフト181(サイドギア164L)が図11に示す回転A、回転Cを起こした場合について説明したが、ディファレンシャルケース162に対して、サイドシャフト171(サイドギア164R)が回転B、回転Dを起こした場合についても同様の原理で、サイドシャフト181(サイドギア164L)とサイドシャフト171(サイドギア164R)との間に差動運動が発生する。
そこで、図12から図17の説明では、ディファレンシャルケース162に対して、サイドシャフト181(サイドギア164L)が回転A、サイドシャフト171(サイドギア164Rが回転Bを起こした場合について具体的な説明を行う。
上記のように、ディファレンシャルケース162に対して、サイドシャフト181(サイドギア164L)が回転A、サイドシャフト171(サイドギア164R)が回転Bを起こすと、ピニオンギア163Aが時計方向、ピニオンギア163Bが反時計方向の回転を発生する。
図12は、図11に示す状態からサイドギア164L、164Rがディファレンシャルケース162に対して30度、すなわち両サイドギアの相対角度が60度回転し、ピニオンギア163が10度回転した状態を示している。
図13は、図11に示す状態からサイドギア164L、164Rがディファレンシャルケース162に対して60度、すなわち両サイドギアの相対角度が120度回転し、ピニオンギア163が20度回転した状態を示している。
図14は、図10に示す状態からサイドギア164L、164Rがディファレンシャルケース162に対して90度回転、すなわち両サイドギアの相対角度が180度回転し、ピニオンギア163が30度回転した状態も示している。
加えて、図14は、ピニオンギア163の凹部212とサイドギア164の凸部222が入れ替わる状態も示す状態図である。
図13においてピニオンギア163の凹部212と噛み合っていたサイドギア164Lの凸部222Lはサイドギア回転軸221に近い側となり、図15においてピニオンギア163の凹部212と噛み合うサイドギア164Lの凸部222Lはサイドギア回転軸221から遠い側となる。
一方、図13においてピニオンギア163の凹部212と噛み合っていたサイドギア164Rの凸部222Rはサイドギア回転軸221に遠い側となり、図15においてピニオンギア163の凹部212と噛み合うサイドギア164Rの凸部222Rはサイドギア回転軸221から近い側となる。
図15は、図11に示す状態からサイドギア164L、164Rがディファレンシャルケース162に対して120度、すなわち両サイドギアの相対角度が240度回転し、ピニオンギア163が40度回転した状態を示している。
また、図16は、図11に示す状態からサイドギア164L、164Rがディファレンシャルケース162に対して150度、すなわち両サイドギアの相対角度が300度回転し、ピニオンギア163が50度回転した状態を示している。
さらに、図17は、図11に示す状態からサイドギア164L、164Rがディファレンシャルケース162に対して180度回転、すなわち両サイドギアの相対角度が360度回転し、ピニオンギア163が60度回転した状態を示している。
この図から明らかなように、ピニオンギア163の凹部212とサイドギア164の凸部222の位相が、図11と同じ位相に戻っていることを示している。
[実施例2]
図18は本発明の実施例2に基づく差動装置161を用いた駆動機構を示す図であり、その外観を示す斜視図である。図19は本発明の実施例2に係る差動装置161の構造の分解図であり、図20は図19とは逆方向から見た差動装置161の構造の分解図である。
なお、図20では、ディファレンシャルケース162の内部に設けた突き当て面162t1、162t2を示すために、ディファレンシャルケース162の一部をカットして図示している。
実施例2においても、本発明の実施例1と同様、アクチュエータ110の出力を、伝達ギア151Gとリングギア155を用いた伝達機構を用いて、ディファレンシャルケース162まで伝達している。
アクチュエータ110は、本発明の実施例1と同様、自動車の車体やロボットの胴体など、図示しないベースフレームに固定されている。
また、実施例2の差動装置161は、ディファレンシャルケース162、ピニオンギア163A、163B、ピニオンシャフト163S、サイドギア164L、164R、サイドシャフト171、181、ケース側捻りバネ固定プレート165、シャフト側捻りバネ固定プレート176、186、捻りバネ166、167から構成されている。すなわち、本発明の実施例1の差動装置161の構成に、ケース側捻りバネ固定プレート165、シャフト側捻りバネ固定プレート176、186、捻りバネ166、167を付加し、実施例1における差動動作に制限を持たせている。
本発明の実施例1では、ピニオンギア163とサイドギア164は、多回転可能な構成にしていた。しかしながら、サイドシャフト171(サイドギア164R)もしくはサイドシャフト181(サイドギア164L)のいずれか一方のサイドシャフトが空転する場合、他方のサイドシャフトに駆動力が伝わらない問題が発生する。
このような問題を解決するため、本発明の実施例2では、ディファレンシャルケース162とサイドシャフト171、181の相対運動差に制限を持たせている。以下、具体的な説明を行う。
相対運送差に制限を持たせる1つ目の手法として、図18から図20に示すように、ディファレンシャルケース162とサイドギア164Lに、空転を制限する(サイドシャフト171、181の回転運動を制限する)ストッパとして機能する突き当て面162t1、162t2、164t1、164t2がそれぞれ配置されている。突き当て面162t1と164t1は、ディファレンシャルケース162に対してサイドギア164Lが図6(a)からみて反時計周りに相対運動を起こした際、互いに対面する対向面に形成されていて、突き当て面162t1と164t1が対面接触することで回転運動を制限するように機能する。また、突き当て面162t2と164t2は、同様に、ディファレンシャルケース162に対してサイドギア164Lが図6(a)からみて時計周りに相対運動を起こした際、互いに対面する対向面に形成されていて、突き当て面162t2と164t2が対面接触することで回転運動を制限するように機能する。
本発明の実施例2では、空転を制限する(サイドシャフト171、181の回転運動を制限する)ストッパとして機能する突き当て面162t1、162t2、164t1、164t2により、ディファレンシャルケース162とサイドギア164Lの相対運動を制限している。一方、サイドギア164Rとサイドギア164Lは差動運動を起こすように構成されていることから、空転を制限する(サイドシャフト171、181の回転運動を制限する)ストッパとして機能する突き当て面162t1、162t2、164t1、164t2により、ディファレンシャルケース162とサイドギア164Rの相対運動も制限されている。
なお、突き当て面164t1、164t2をサイドギア164Lに設ける代わりに、サイドギア164Rにディファレンシャルケース162との相対運動を制限する突き当て面を設ける構成でもよく、サイドギア164Lとサイドギア164Rの両者に設ける構成でも良いことはいうまでもない。
加えて、相対運動差に制限を持たせる2つ目の手法として、本発明の実施例2では、ディファレンシャルケース162に対するサイドギア164の相対位置が後述する初期姿勢(両ディファレンシャルシャフト171、181に負荷が作用していない時にある状態の姿勢)に維持されるように構成されている。具体的には、図18から図20に示すように、ケース側捻りバネ固定プレート165が、ディファレンシャルケース162に、そして、シャフト側捻りバネ固定プレート176が、サイドシャフト171に相対回転不能に固定されている。また、シャフト側捻りバネ固定プレート186が、サイドシャフト181に相対回転不能に固定されている。
更に、図18から図20に示すように、捻りバネ166、167がサイドシャフト171、181のそれぞれの周りに位置するように設置されている。この実施例2に使用している捻りバネ166、167の使用角度が自然状態(捻りバネに力を加えず自然にある状態)から捻りを強める方向の角度に制限された捻りバネ166、167を使用している。そのため、サイドシャフト171、181を正転と反転の両回転方向の可動範囲を実現するため、捻りバネ166、167を予め自然状態(捻りバネに力を加えず自然にある状態)から捻った状態で取り付けている。
具体的には、捻りバネ166は、一端がディファレンシャルケース162に設けたバネ固定端191に固定され、他端がサイドシャフト側捻りバネ固定プレート176に設けたバネ固定端193に固定されている。また、捻りバネ167は、一端がケース側捻りバネ固定プレート165に設けたバネ固定端192に、他端がサイドシャフト側捻りバネ固定プレート186に設けたバネ固定端194に固定されている。すなわち、捻りバネ166、167は、一端がディファレンシャルケース162に固定され、他端がサイドシャフト171、181(サイドギア164R、164L)に固定され、ディファレンシャルケース162とサイドシャフト171、181の相対運動差により捻じれ量が変化するように配置している。
また、捻りバネ166は、サイドシャフト171を図18に示す太い矢印の向きに回転させて初期姿勢に戻るように、自然状態から捻った状態で取り付けられ、捻りバネ167は、サイドシャフト181を図18に示す太い矢印の向きに回転させて初期姿勢に戻るように、自然状態から捻った状態で取り付けられている。差動運動が発生する2本のディファレンシャルシャフト171、181を図18に示す太い矢印の向きに回転するように、捻りバネ166、167が自然状態から捻った状態で取り付けているため、両ディファレンシャルシャフト171、181に負荷が作用していない時は、捻りバネ166、167が互いに自然状態に戻ろうとする力が均衡する姿勢(初期姿勢)に維持されるように構成されている。なお、捻りバネ166、167は、サイドシャフト171、181を図18に示す太い矢印の向きとは反対向きに回転させて初期姿勢に戻るように、自然状態から捻った状態で取り付けていてもよい。加えて、捻りバネ166、167の使用角度が自然状態(捻りバネに力を加えず自然にある状態)から捻りを強める方向の角度と捻りを弱める方向の角度の両角度を使用可能な捻りバネ166、167を使用した場合には、自然状態から捻った状態で取り付ける必要は特になく、自然状態で取り付けても良いし、自然状態から捻った状態で取り付けても良く、更に、捻りバネを2本採用する必要はなく、1本で構成しても良い。
このような構成にすることで、本発明の実施例2では、サイドギア164R(サイドシャフト171)とサイドギア164L(サイドシャフト181)の間に差動運動を生成させつつも、差動動作に制限を持たせ、ディファレンシャルケース162に対するサイドギア164の相対姿勢が初期姿勢に維持されるようになっている。
なお、実施例2では、サイドシャフト171、181の回転角を制限するストッパとして機能する突き当て面162t1、162t2、164t1、164t2を導入しつつ、ディファレンシャルケース162に対するサイドギア164の相対位置が初期姿勢に維持されるように機能するケース側捻りバネ固定プレート165、シャフト側捻りバネ固定プレート176、186、捻りバネ166、167を導入している。
しかし、ディファレンシャルケース162とサイドシャフト171、181の相対運動差に制限を持たせる際に、サイドシャフト171、181の回転角の制限のみを実現する場合には、突き当て面162t1、162t2、164t1、164t2を導入すればよく、ケース側捻りバネ固定プレート165、シャフト側捻りバネ固定プレート176、186、捻りバネ166、167の導入は不要である。
また、ディファレンシャルケース162とサイドシャフト171、181の相対運動差の制限を持たせる際に、ディファレンシャルケース162に対するサイドギア164の相対位置が初期姿勢に維持される制限のみを実現する場合には、ケース側捻りバネ固定プレート165、シャフト側捻りバネ固定プレート176、186、捻りバネ166、167を導入すればよく、突き当て面162t1、162t2、164t1、164t2の導入は不要である。
[実施例3]
図21は本発明の実施例3に係る差動装置161の構造の分解図であり、図22は図21とは逆方向から見た差動装置161の構造の分解図である。また、図23(a)、(b)、(c)は、噛み合った状態のピニオンギア163Bとサイドギア164Lを、サイドギア164Lの正面、側面からみた図、A矢視図(ピニオン回転軸211の軸方向から見た図)である。
本発明の実施例3においても、本発明の実施例1と同様、アクチュエータ110の出力を、伝達ギア151Gとリングギア155を用いた伝達機構を用いて、ディファレンシャルケース162まで伝達している(図1参照)。
アクチュエータ110は、本発明の実施例1と同様、自動車の車体やロボットの胴体など、図示しないベースフレームに固定されている。
また、実施例3の差動装置161は、実施例1と同様、ディファレンシャルケース162、ピニオンギア163A、163B、ピニオンシャフト163S、サイドギア164L、164R、サイドシャフト171、181から構成されている。差動装置161は、自動車の車体やロボットの胴体など、図示しないベースフレームに対して、軸方向には不動であるが、同じく図示しない軸受を介して自由回転可能に軸支されている。
上述のように、実施例3の差動装置161の構成は、実施例1の差動装置161の構成と同一であり、その差動原理に関しても同様である。
以下では、実施例1と異なる点を中心に説明を行う。
本発明の実施例3においては、実施例1と同様、サイドギア164L、164Rは、サイドギア回転軸221を法線に持つ、図23におけるXY平面を面対称面とする面対称な形状で構成されている。なお、ピニオンギア163A、163Bに対するサイドギア164Lと164Rの挙動原理は実施例1と同様である。
実施例3においては、ピニオンギア163とサイドギア164の相対位置関係が実施例1と異なり、図23(a)に示すように、ピニオンギア163を、ピニオン回転軸211の軸方向に、サイドギア回転軸221を含む平面から遠ざかる方向に距離Δ分だけピニオンギア163を平行移動している。すなわち、実施例1と比較して、ピニオンシャフト163Sの傾斜と間隔が相違している。
これに伴い、凸部222Lの態様が実施例1と異なり、具体的には下記のとおりである。
サイドギア164Lに設けた凸部222Lは、図24(a)に示すように、サイドギア回転軸221から距離Δ離れた拘束接触線断面203(203a〜203g)で、円心が拘束軌跡201Lを貫通するように円状に描かれた拘束接触線202(202a〜202g)を、図24(b)に示すように、拘束軌跡201Lに沿って移動して立体化した曲面を有する形状で形成されている。
なお、図24では、サイドギア回転軸221から距離Δ離れた7個の拘束接触線断面203(203a〜203g)での凸部222Lの断面輪郭線が、拘束接触線202に重なっていることを示しているが、これらの拘束接触線断面に限らず、サイドギア回転軸221から距離Δ離れた任意の平面で凸部222Lをカットした断面の輪郭線には、拘束接触線202が重なるように凸部222Lが形成されている。
この図23と図24に示すように、実施例3では、凹部接触線213を含む平面(ピニオンギア163のピニオン回転軸211方向の厚み中央面、図5のB−B断面)とサイドギア回転軸221の間の距離が距離Δとなるように、ピニオンギア163が配置されている。
このような凸部222Lを形成するため、実施例3での拘束軌跡201Lは、図23に示す3次元の座標系で、次式で与えられている。
X = Ld cos ( F(θp) )/ cos (φ) − Lp sin(θp) cos ( F(θp) − φ )
Y = Ld sin ( F(θp) )/ cos (φ) − Lp sin(θp) sin ( F(θp) − φ )
Z = Lp cos(θp)
ただし、φ= tan−1( Δ / Ld )
ここで、Ldはピニオン回転軸211とサイドギア回転軸221の距離、Lpはピニオン回転軸211と拘束接触線202の円心201pまでの距離であり、θpはピニオンギアの回転角度、F(θp)はピニオンギアの回転角θpの関数を表しており、サイドギア164Lの回転角θs=F(θp)である。Δは、ピニオンギア163を、ピニオン回転軸211の軸方向に、サイドギア回転軸221から遠ざかる方向に平行移動した距離であり、凹部接触線213を含む平面(ピニオンギア163のピニオン回転軸211方向の厚み中央面、図5のB−B断面)とサイドギア回転軸221の間の距離である。
加えて、サイドギア164Lの回転角θsを表すF(θp)に関しては、実施例1と同様、
±m/n=(F(θp2)−F(θp1))/(θp2−θp1)
を満たす関数で与えることにより、ピニオンギア163A、163B、サイドギア164A、164Bを無限回転させることが可能である。
なお、θp1は、図5と同様、ピニオンギア163に設けたm等配した凹部212の1つ目の凹部212が、サイドギア164に設けたn等配した凸部222の1つ目の凸部222に噛み合った際のピニオンギアの回転角θpを表している。
また、θp2は、互いに噛み合っていた1つ目の噛み合った凹部212と1つ目の凸部222の噛み合いが解放され、互いに2つ目の凹部212と2つ目の凸部222の噛み合いに移行した瞬間のピニオンギア163の回転角θpを表している。
また、F(θp1)は、図6と同様、ピニオンギア163に設けたm等配した凹部212の1つ目の凹部212が、サイドギア164に設けたn等配した凸部222の1つ目の凸部222に噛み合った際のサイドギアの回転角θsを表している。さらに、F(θp2)は、互いに噛み合っていた1つ目の噛み合った凹部212と1つ目の凸部222の噛み合いが解放され、互いに2つ目の凹部212と2つ目の凸部222の噛み合いに移行した瞬間のサイドギア164の回転角θsを表している。
なお、実施例3においても、実施例1と同じく、
F(θp)=+ 3 θp (拘束軌跡201Lに用いる F(θp))
F(θp)=− 3 θp (拘束軌跡201Rに用いる F(θp))
で与えた。
実施例3においては、サイドギア164Lに設けた凸部222Lを、図24(a)に示すように、サイドギア回転軸221から距離Δ離れた拘束接触線断面203(203a〜203g)で、円心が拘束軌跡201Lを貫通するように円状に描かれた拘束接触線202(202a〜202g)を、図24(b)に示すように、拘束軌跡201Lに沿って移動して立体化した曲面を有する形状で形成したことにより、サイドギア回転軸221の軸方向から見た際に、図23(a)に示すように、凸部222Lと噛み合っている凹部212の円心201p(図23(c)の円心201p1)を貫通しピニオン回転軸211と平行な軸が拘束軌跡201Lの接線近傍に位置するため、凸部222Lに対する凹部212の噛み合い状況が、サイドギア164L(サイドシャフト181)の正転時と反転時で均等にすることが可能となる。
なお、実施例2と同様に、実施例3の構成に、ケース側捻りバネ固定プレート165、シャフト側捻りバネ固定プレート176、186、捻りバネ166、167を加えた構成とし、サイドギア164R(サイドシャフト171)とサイドギア164L(サイドシャフト181)の間に差動運動を生成させつつも、差動動作に制限を持たせ、ディファレンシャルケース162に対するサイドギア164の相対位置が初期姿勢に維持する機構を付加することも可能である。
110……アクチュエータ
110E……エンコーダ
110T……伝達装置
151……伝達シャフト
151G……伝達ギア
155……リングギア
161……差動装置
162……ディファレンシャルケース
163……ピニオンギア
163S……ピニオンシャフト
164……サイドギア
165……ケース側捻りバネ固定プレート
166、167……捻りバネ
171、181……サイドシャフト
176、186……シャフト側捻りバネ固定プレート
191、192、193、194……バネ固定端
201……拘束軌跡
202……拘束接触線
203……拘束接触線断面
211……ピニオン回転軸
212……凹部
213……凹部接触線
215……突形状輪郭線
221……サイドギア回転軸
222……凸部
223……凸部接触線

Claims (9)

  1. ディファレンシャルケースと、
    前記ディファレンシャルケースから左右外方に延びる2本のサイドシャフトと、
    前記サイドシャフトのそれぞれに一体形成され、前記ディファレンシャルケースの内部において、互いに対向するサイドギアと、
    前記ディファレンシャルケースの内部において、前記サイドギアの回転軸を法線に持つ面内にあり、前記サイドギアの回転軸とは交差しないピニオン回転軸に回転自在に装着され、前記サイドギアと係合するピニオンギアとを備え、
    前記サイドギアと、前記ピニオンギアは、面対称の三次元曲線である拘束軌跡により回転が規定され、前記サイドギアに形成された凸部と、前記ピニオンギアに形成された凹部が順次係合することで、前記2本のサイドシャフトの間に差動運動を発生させることを特徴とする差動装置。
  2. 前記サイドギアに前記凸部を前記サイドギアの回転軸の周りにn等配し、
    前記ピニオンギアを、前記サイドギアの回転軸周りのn等配位置に配置し、
    前記ピニオンギアに前記凹部を前記ピニオン回転軸の周りにm等配し、前記サイドギアの回転角と前記ピニオンギアの回転角度θpが下記の式を満たすように前記サイドギアと前記ピニオンギアが互いに回転し、前記サイドシャフトが無限回転することを特徴とする請求項1に記載された差動装置。
    ±m/n=(F(θp2)−F(θp1))/(θp2−θp1)
    ただし、F(θp)はピニオンギアの回転角θpの関数を表しており、サイドギアの回転角θs=F(θp)である。また、θp1は、ピニオンギアに設けたm等配した凹部の1つ目の凹部が、サイドギアに設けたn等配した凸部の1つ目の凸部に噛み合った際のピニオンギアの回転角θp、θp2は、互いに噛み合っていた1つ目の噛み合った凹部と1つ目の凸部の噛み合いが解放され、互いに2つ目の凹部と2つ目の凸部の噛み合いに移行した瞬間のピニオンギアの回転角θpを表し、F(θp1)は、ピニオンギアに設けたm等配した凹部の1つ目の凹部が、サイドギアに設けたn等配した凸部の1つ目の凸部に噛み合った際のサイドギアの回転角θsを表し、F(θp2)は、互いに噛み合っていた1つ目の噛み合った凹部と1つ目の凸部の噛み合いが解放され、互いに2つ目の凹部と2つ目の凸部の噛み合いに移行した瞬間のサイドギアの回転角θsを表している。
  3. 前記サイドギアの回転角が下記の式を満たすように前記サイドギアと前記ピニオンギアが互いに回転することを特徴とする請求項2に記載された差動装置。
    F(θp)=±(m/n)× θp
  4. 前記凸部と前記凹部が接触する接触線を含む平面内に前記サイドギアの回転軸が重なるように前記ピニオンギアを配置し、
    前記サイドギアの回転軸をZ軸、前記ピニオンギアの回転軸を含む平面をXY平面とした三次元座標において、前記拘束軌跡が下記により与えられることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載された差動装置。
    X = ( Ld − Lp sin(θp) ) cos ( F(θp) )
    Y = ( Ld − Lp sin(θp) ) sin ( F(θp) )
    Z = Lp cos(θp)
    ただし、Ldはピニオン回転軸とサイドギア回転軸の距離、Lpはピニオン回転軸と拘束接触線の円心までの距離である。また、θpはピニオンギアの回転角度、F(θp)はピニオンギアの回転角θpの関数を表しており、サイドギアの回転角θs=F(θp)である。
  5. 前記凸部と前記凹部が接触する接触線を含む平面と前記サイドギアの回転軸の間の距離が距離Δとなるように前記ピニオンギアを配置し、
    前記サイドギアの回転軸をZ軸、前記ピニオンギアの回転軸を含む平面をXY平面とした三次元座標において、
    前記拘束軌跡が下記により与えられることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載された差動装置。
    X = Ld cos ( F(θp) )/ cos (φ) − Lp sin(θp) cos ( F(θp) − φ )
    Y = Ld sin ( F(θp) )/ cos (φ) − Lp sin(θp) sin ( F(θp) − φ )
    Z = Lp cos(θp)
    ただし、φ= tan−1( Δ / Ld )である。また、Ldはピニオン回転軸とサイドギア回転軸の距離で、Lpはピニオン回転軸と拘束接触線の円心までの距離である。また、θpはピニオンギアの回転角度、F(θp)はピニオンギアの回転角θpの関数を表しており、サイドギアの回転角θs=F(θp)である。Δは、ピニオンギアを、ピニオン回転軸の軸方向に、サイドギア回転軸から遠ざかる方向に平行移動した距離であり、前記凸部と前記凹部が接触する接触線を含む平面と前記サイドギアの回転軸の間の距離である。
  6. 前記ディファレンシャルケースと前記サイドギアの対向面に、互いに対向するよう突き当て面をそれぞれ配置し、これらの突き当て面を対面接触させることで回転運動を制限するようにしたことを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか1項に記載された差動装置。
  7. 前記サイドシャフトの周りに位置するように捻りバネを設置し、
    前記捻りバネは、その一端を前記ディファレンシャルケースに固定し、他端を前記サイドギアに固定し、
    前記ディファレンシャルケースに対する前記サイドギアの相対位置が初期姿勢に維持されるように構成されているようにしたことを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか1項に記載された差動装置。
  8. 前記ディファレンシャルケースと前記サイドギアの対向面に、互いに対向するよう突き当て面をそれぞれ配置し、
    前記サイドシャフトの周りに位置するように捻りバネを設置し、
    前記捻りバネは、その一端を前記ディファレンシャルケースに固定し、他端を前記サイドギアに固定し、
    これらの突き当て面を対面接触させることで回転運動を制限しつつ、前記ディファレンシャルケースに対する前記サイドギアの相対位置が初期姿勢に維持されるように構成されているようにしたことを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか1項に記載された差動装置。
  9. 前記ディファレンシャルケースにアクチュエータからの回転駆動力を伝達し、
    前記回転駆動力を、前記サイドシャフトに分配することを特徴とする請求項1から請求項8のいずれか1項に記載された差動装置。
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JPH10159941A (ja) * 1996-11-27 1998-06-16 Hisashi Kaburagi 差動伝達装置

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