JP2021055159A - リチウムイオン二次電池からのマンガンの浸出方法および金属回収方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】焙焼後LIBから効率的に金属を分離回収する。【解決手段】酸素濃度が11vol%以下の雰囲気下で正極集電体と負極集電体とが焙焼されたリチウムイオン二次電池からマンガンを溶液中に浸出させる際、前記溶液のpHを4.00以下とし、且つ、ORP(3.3M KCl−Ag/AgCl)を−350mV以下とする、リチウムイオン二次電池からのマンガンの浸出方法およびその関連技術を提供する。【選択図】図1

Description

本発明は、リチウムイオン二次電池からのマンガンの浸出方法および金属回収方法に関する。
リチウムイオン二次電池は、従来の鉛蓄電池、ニッカド二次電池などに比較して軽量、高容量、高起電力の二次電池であり、パソコン、電気自動車、携帯機器などの二次電池として使用されている。例えば、リチウムイオン二次電池の正極には、コバルトやニッケルなどの有価物が、コバルト酸リチウム(LiCoO)、三元系正極材(LiNiCoMn2(x+y+z))などとして使用されている。以降、リチウムイオン二次電池のことを単にLIBともいう。
LIBは、今後も使用の拡大が予想されていることから、製造過程で発生した不良品や使用機器および電池の寿命などに伴い廃棄されるLIBから有価物を回収することが、資源リサイクルの観点から望まれている。
特許文献1には、LIBの正極集電体および負極集電体の少なくともいずれかから高品位の有価物を、高い回収率で回収でき、かつ工程が簡単なLIBからの有価物の回収方法を提供する手法が記載されている(例えば特許文献1の[0007])。
特許文献2には、リチウムイオン電池リサイクル原料から対象金属を回収する内容が記載されている。具体的には、リチウムイオン電池リサイクル原料を酸に接触させて過酸化水素水を添加して対象金属を析出させる際に、マンガンを二酸化マンガン等の酸化物として沈殿させる。その際のORPは600〜1400mVvsAgClとする。そして、該酸化物を分離し、その後、ニッケルおよびコバルトのうち一種以上を回収することが記載されている(例えば特許文献2の[請求項1][0007][0008][0010][0025][0033])。
特許文献3には、過酸化水素を添加することなしに、リチウムイオン電池リサイクル原料に含まれる対象金属を有効に酸浸出させる内容が記載されている。その際のORPは600〜1400mVvsAgClとする。そして、該酸化物を分離し、その後、ニッケルおよびコバルトのうち一種以上を回収することが記載されている(例えば特許文献3の[請求項1][請求項2][0009][0033])。
特許文献4には、金属または金属酸化物のスクラップを溶解させる方法であって、鉱酸にて酸浸出を行うに際して、浸出対象の金属よりも卑な金属からなる遷移金属化合物を添加することを特徴とするスクラップの溶解方法が記載されている。該卑な金属をマンガンとしたうえで、マンガンの酸化物を不溶とすることが記載されている(例えば特許文献4の[請求項1][0019])。
特開2018−78024号公報 特開2016−186118号公報 特開2016−186113号公報 特開2015−178642号公報
特許文献1に記載の焙焼処理を経たLIBからコバルトおよびニッケルのうち少なくともいずれかを分離回収する際のマンガンの対処に関する課題が見出された。以降、「特許文献1に記載の焙焼処理を経たLIB」のことを、単に「焙焼後LIB」とも称する。
例えば、焙焼後LIBに対し、特許文献2〜4に記載の手法のようにマンガンを酸化物として沈殿させてマンガンを分離する場合、マンガンを完全ないしほぼ完全に酸化物として沈殿させるのは時間がかかる(例えば特許文献3の[表3]の試験例2の24時間)。
本発明の目的は、焙焼後LIBから効率的に金属を分離回収することにある。
上記課題を解決すべく、本発明者らは鋭意検討を行った。その結果、特許文献2〜4に記載の手法のようにマンガンを酸化物として沈殿させるのとは逆に、焙焼後LIBからマンガンを、コバルトおよびニッケルと比べて選択的に溶液中に浸出させる手法を想到した。この知見に基づき、以下の態様が創出された。
本発明の第1の態様は、
酸素濃度が11vol%以下の雰囲気下で正極集電体と負極集電体とが焙焼されたリチウムイオン二次電池からマンガンを溶液中に浸出させる際、前記溶液のpHを4.00以下とし、且つ、ORP(3.3M KCl−Ag/AgCl)を−350mV以下とする、リチウムイオン二次電池からのマンガンの浸出方法である。
本発明の第2の態様は、第1の態様に記載の発明において、
前記正極集電体と前記負極集電体とを含む前記リチウムイオン二次電池を焙焼する際、前記正極集電体と前記負極集電体とを含む積層体を収容する外装容器が開口部を有し、前記開口部の開口面積が、前記開口部が設けられている前記外装容器の表面積に対して12.5%以下である。
本発明の第3の態様は、第1または第2の態様において、
前記正極集電体と前記負極集電体とを含む前記リチウムイオン二次電池を焙焼する際、前記正極集電体および前記負極集電体のうち融点が低い方の集電体の融点以上且つ融点が高い方の集電体の融点未満の温度で焙焼する。
本発明の第4の態様は、第1〜第3のいずれかの態様に記載の発明において、
前記溶液のpHを3.88以下とする。
本発明の第5の態様は、 第1〜第4のいずれかの態様に記載のリチウムイオン二次電池からのマンガンの浸出方法である第1の浸出工程と、
前記第1の浸出工程後の残渣に対してコバルトおよびニッケルの少なくともいずれかを別の溶液中に浸出させる第2の浸出工程と、
前記別の溶液中からコバルトおよびニッケルの少なくともいずれかを回収する回収工程と、
を有する、金属回収方法である。
本発明の第6の態様は、第5の態様に記載の発明において、
前記回収工程においては、コバルト、ニッケルおよびリチウムを回収する。
本発明によれば、焙焼後LIBから効率的に金属を分離回収することが可能となる。
図1は、本実施形態に係る金属回収方法のフローチャートである。 図2は、実施例の項目にて行ったMn浸出工程での各金属の浸出率(縦軸)と溶液のpH(横軸)との関係を示す図である。 図3は、実施例の項目にて行ったCoNi浸出工程での各金属の浸出率(縦軸)と溶液のpH(横軸)との関係を示す図である。
以下、本実施形態について説明する。本明細書における「〜」は所定の数値以上かつ所定の数値以下を指す。
[準備工程]
本実施形態に係るLIBからのマンガンの浸出方法および金属回収方法の対象となるのは、特許文献1に記載の焙焼工程を経たLIBである。焙焼工程前のLIBは、廃棄されたLIBが挙げられるが、それに限定されない。また、焙焼工程前のLIBとしては、正極集電体と負極集電体とを含むものであり、マンガン(Mn)と、コバルト(Co)およびニッケル(Ni)の少なくともいずれかを含んでいれば特に限定は無い。本実施形態においては、少なくともアルミニウム(Al),コバルト(Co),銅(Cu),マンガン(Mn),ニッケル(Ni),リチウム(Li)を含むLIBを例示する。
以降、各金属のことを元素記号で記載することもある。また、本明細書における金属(Mn,Co,Ni等)は、イオンのように溶液中に溶解している状態のものを含む。また、「コバルト(Co)およびニッケル(Ni)の少なくともいずれか」のことを、説明の便宜上、単に「CoNi」とも称する。
また、本実施形態に係るLIBから回収される金属MがCoNiの場合を主に例示する。つまり、CoNiの回収の時間を短縮すべく、Mnを選択的に溶液に浸出させ、CoNiからなる群からMnを選択的に分離する場合を主に例示する。その一方、金属MはCoNi以外のものを含んでもよい。
具体的な焙焼条件は特許文献1に記載のとおりである。焙焼条件に関し、本明細書は、特許文献1の記載内容を全て参照可能である。なお、以下の焙焼条件下での焙焼後LIBは、金属酸化物と金属単体との混合物である。また、同様の焙焼条件は、特開2016−219402号公報(以降、参考文献1)にも開示している。特許文献1と参考文献1とを合わせて特許文献1等と称する。焙焼条件に関し(特に下段落に記載の開口率に関し)、本明細書は、該公報の記載内容も全て参照可能である。
焙焼条件を特許文献1および参考文献1から引用すると以下のとおりである。
(焙焼条件)
・酸素濃度が11vol%以下の雰囲気下で正極集電体と負極集電体とを焙焼する。
好適には、以下の焙焼条件が挙げられる。
・正極集電体および負極集電体のうち融点が低い方の集電体の融点以上且つ融点が高い方の集電体の融点未満の温度で焙焼する。
・正極集電体と負極集電体とを含む積層体を収容する外装容器が開口部を有し、前記開口部の開口面積が、前記開口部が設けられている前記外装容器の表面積に対して12.5%以下(好適には6.3%以下)である。なお、本明細書では、該割合を開口率と称する。
更に好適には、以下の焙焼条件が挙げられる。
・酸素濃度が0.1vol%以上11vol%以下の雰囲気下、または、少なくとも焙焼中のLIB内部(特にLIBの外装容器内に配置された正極集電体と負極集電体)において酸素濃度が11vol%以下となるように、焙焼を行う。なお、酸素濃度の制御が難しい場合には、酸素濃度が0vol%である不活性ガス雰囲気下で焙焼を行ってもよい。焙焼から冷却の時間にて酸素濃度の調整によっても良いためである。
焙焼温度は、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、低い融点の金属が、アルミニウムであれば670℃以上が好ましく、高い融点の金属が銅であれば、670℃以上1100℃以下がより好ましく、700℃以上900℃以下が特に好ましい。
前記焙焼時間としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、1分間以上5時間以下が好ましく、1分間以上2時間以下がより好ましく、1分間以上1時間以下が特に好ましく、保持時間は短くてもよい。前記焙焼時間が、前記特に好ましい範囲内であると、焙焼にかかるコストの点で有利である。
前記焙焼の方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、焙焼炉を用いる方法などが挙げられる。
前記焙焼炉としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ロータリーキルン、流動床炉、トンネル炉、マッフル等のバッチ式炉、キュポラ、ストーカー炉などが挙げられる。
準備工程において、特許文献1等に記載の手法で焙焼を行うことにより、Mnの浸出が可能となる。言い方を変えると、特許文献1等に記載の手法ではなく従来のように高温且つ酸素雰囲気下で焙焼を行うと、通常の酸溶液に対してMnが浸出し難くなり、焙焼後LIBを全溶解させる他無くなる。そうなると、MnとCoNiとの分離が困難となる。
なお、焙焼工程の後に、特許文献1等に記載の破砕工程、および分離工程を順次行うのが好ましい。
[Mn浸出工程(第1の浸出工程)]
図1は、本実施形態に係る金属回収方法のフローチャートである。
以下、図1を基に、LIBからのMnの浸出方法および金属回収方法を説明する。
Mn浸出工程においては、焙焼後LIBからMnを溶液中に浸出させる際、以下の条件を設定する。
・溶液のpHを4.00以下(好適には3.88以下、より好適には3.88未満、更に好適には3.55以下)とする。
・ORP(3.3M KCl−Ag/AgCl)を−350mV以下(好適には−400mV以下)とする。なお、ORPの条件は、還元剤を添加して実現してもよい。また、−1800〜−350mVが主な実施範囲であり、好ましくは下限は−1400mVである。前述のORP値は、本発明では標準電極に対して+199mV(vs.SHE、25℃)でいわゆる(vsAg/AgCl)である。
上記浸出条件を設定することにより、CoNiに比べてMnを選択的に溶液中に浸出させることができる。つまり、Mnを選択的に溶液中に浸出させることにより、CoNiからなる群から、Mnを選択的に分離できる。それに伴い、以下の格別な効果も得られる。
まず、課題の欄で述べたように、特許文献2〜4に記載の手法のようにMnを酸化物として沈殿させてMnを分離する場合、時間がかかる。その一方、本実施形態に係るMn浸出工程を行うことにより、そもそもMnを沈殿させるのではなく、浸出させる。そのため、Mnの分離に要する時間を短縮化でき、効率的に金属を分離回収できる。
また、特許文献2〜4に記載の手法のようにMnを酸化物として沈殿させると、沈殿物にCoNiが同伴するおそれがある。その一方、本実施形態だと、そもそもMnを沈殿させるのではなく、浸出させるため、そのようなおそれがなくなる。
また、Mnとともに、Liも選択的に浸出する。つまり、従来だと、Liは、Mn、CoNiなどを溶媒抽出により抽出した後に回収されていたところ、本実施形態ならば、Mn浸出工程を経た後の溶液からLiを回収すれば済む。これは、焙焼後LIBからの金属分離回収に要する時間の短縮の一助となる。
Mn浸出工程により、残渣中のCoNiからMnが分離されることになる。これは、CoNi浸出工程後のCoNi溶媒抽出工程にて、不純物としてのMnが無いまたは極めて少ないことを意味する。不純物としてのMnが少なければ、不純物を分離するための薬剤(例えばアルカリ性薬剤)を使用せずに済むため、余分な費用を発生させずに済む。特に、Mn浸出工程では、焙焼後LIBからアルミニウム(Al)も選択的に浸出するため、その効果はより顕著となる。
なお、溶液としてはMnを浸出させられれば特に限定は無く、例えば酸溶液、特に硫酸を含有する(更に具体的には硫酸からなる)硫酸溶液が挙げられる。pHの操作において、pH 7以上のアルカリ側から開始し、アルカリ溶解度が高い元素を分離し、その後、pHを下げる操作をしても良い。また、溶液のpHの下限には特に限定は無いが、例えば0.50以上、1.00以上が挙げられる。
また、浸出工程に要する時間すなわち反応時間は、例えば30〜180分であってもよく、60〜180分でもよい。
以上、本工程が、LIBからのマンガンの浸出方法に該当する。金属回収方法は、本工程に加え、以下の各工程を含む。
[CoNi浸出工程(第2の浸出工程)]
本工程では、マンガン浸出工程後の残渣に対してCoおよびNiの少なくともいずれかを別の溶液中に浸出させる。本工程の具体的な条件には特に限定は無く、公知のCoNi浸出工程を採用してもよい。
CoNi浸出工程での条件の一例を挙げると、酸素を酸化剤として使用、すなわち酸化雰囲気下でpHを4.00以下(好適には3.24以下、また、1.91より高い、好適には2.04以上)とし、且つ、ORP(3.3M KCl−Ag/AgCl)を0mV以上(好適には250mV以上)とする。この条件により、CoNiを高収率で回収できる。また、Cuは、残渣である焙焼後LIBに残存させることができる。
なお、溶液としてはCoNiを浸出させられれば特に限定は無く、例えば酸溶液、特に硫酸を含有する(更に具体的には硫酸からなる)硫酸溶液が挙げられる。また、溶液のpHの下限には特に限定は無いが、例えば0.50以上、1.00以上が挙げられる。
[CoNi溶媒抽出工程(回収工程)]
本工程では、CoNi浸出工程を経た後の浸出液から、CoNiを溶媒抽出する。本工程の具体的な条件には特に限定は無く、公知のCoNi溶媒抽出工程を採用してもよい。例えば、リン酸系抽出剤を使用してもよい。
CoNi溶媒抽出工程後、公知の手法(例えば電解析出工程)を採用し、CoNiを金属として回収してもよい。この回収作業も含めて回収工程と定義してもよい。もちろん、先のMn浸出工程で得られたMnを金属として回収してもよい。
本発明の技術的範囲は上述した実施の形態に限定されるものではなく、発明の構成要件やその組み合わせによって得られる特定の効果を導き出せる範囲において、種々の変更や改良を加えた形態も含む。
次に実施例を示し、本発明について具体的に説明する。本発明は、以下の実施例に限定されるものではない。なお、以下に記載のない内容は、本実施形態で述べた内容と同様とする。
<Mn浸出工程で設定した条件の有意性の確認試験>
本試験においては、Mn浸出工程で設定した条件の有意性を確認する。
まず、参考文献1の実施例1に記載の手順で焙焼後LIBを得た。諸条件は、焙焼温度800℃、LIBの外装容器内の酸素濃度が11%以下となるように、開口率を12.5%未満とした。焙焼後LIB45gを1Lビーカーに添加した。そして、1Lビーカーに2枚の邪魔板を設置したうえで、ディスクタービン(2段)を採用した撹拌機で撹拌しつつ、硫酸溶液(調整剤)を加え、浸出試験を行った。なお、ディスクタービン(2段)の翼長比は1/2とした。また、浸出中の液温は60℃に設定した。
pH、ORP等についての各試験例の試験条件および浸出率は以下の通りである。
Figure 2021055159
上記試験例1−3〜試験例1−6が、本発明における実施例に該当する。
図2は、実施例の項目にて行ったMn浸出工程での各金属の浸出率(縦軸)と溶液のpH(横軸)との関係を示す図である。
なお、本明細書における浸出率は、100×(浸出された所定の金属Mの濃度)/(焙焼前LIB中の金属Mの濃度)で求めた。金属Mの濃度を求める際には、ICP分析装置(Thermo Fisher Scientific,Inc製のiCAP6000)を使用した。また、焙焼前LIB中の金属Mの濃度は、焙焼前LIBを全溶解させた後に該ICP分析装置にて求めた。
本明細書におけるpHおよびORPは、東亜ディーケーケー株式会社製のマルチ水質系MM−43X型を使用して求めた。
表1および図2が示すように、Mn浸出工程において、
・溶液のpHを4.00以下(好適には3.88以下、より好適には3.88未満、更に好適には3.55以下)とする。
・ORP(3.3M KCl−Ag/AgCl)を−350mV以下の電位値(好適には−400mV以下)とする。
という条件を満たすことにより、CoNiに比べ、Mnの浸出率を高くすることができた。具体的には、CoNiの浸出率は30%以下(好適には15%以下)に抑えつつ、Mnの浸出率を80%以上(好適には85%以上)とすることができた。
また、Li、Alの浸出率も、CoNiに比べ、高くすることができた。具体的には、Liの浸出率を80%以上(好適には99%以上)、Alの浸出率を40%以上とすることができた。
しかも、Mn浸出工程での反応時間は長くても3時間であり、焙焼後LIBからの金属分離回収に要する時間の短縮化が可能であることがわかった。
<CoNi浸出工程で設定した条件の有意性の確認試験>
本試験においては、CoNi浸出工程で設定した条件の有意性を確認する。
先のMn浸出工程後の試験例1−3での残渣を1Lビーカーに添加した。そして、1Lビーカーに2枚の邪魔板を設置したうえで、ディスクタービン(2段)を採用した撹拌機で撹拌しつつ、硫酸溶液(調整剤)、酸素ガスを加え、浸出試験を行った。なお、ディスクタービン(2段)の翼長比は1/2とした。また、浸出中の液温は60℃に設定した。
pH、ORP等を各々設定した各試験例の試験条件および浸出率は以下の通りである。
Figure 2021055159
図3は、実施例の項目にて行ったCoNi浸出工程での各金属の浸出率(縦軸)と溶液のpH(横軸)との関係を示す図である。
表2および図3が示すように、CoNi浸出工程において、酸化雰囲気下でpHを4.00以下(好適には3.24以下、また、1.91より高く、好適には2.04以上)とし、且つ、ORP(3.3M KCl−Ag/AgCl)を0mV以上(好適には250mV以上)という条件を満たすことにより、CoNiを高収率で回収できた。また、Cuは焙焼後LIBに残存させることができた。
なお、試験例2−1〜試験例2−8においては、先のMn浸出工程後の試験例1−3での残渣を使用していることから、焙焼後LIBからマンガンを、コバルトおよびニッケルと比べて選択的に溶液中に浸出させている。そのため、試験例2−1〜試験例2−8においては、従来手法のようにマンガンを酸化物として沈殿させる場合に比べ、本発明の目的である、焙焼後LIBから効率的に金属を分離回収することは実現されている。そして試験例2−1〜試験例2−8の中でも、CoNi浸出工程においてpHおよびORPに係る上記条件を満たす例だと、CoNiを高収率で回収できる。
本試験の反応時間は長くても4時間であり、Mn浸出工程での反応時間は長くても3時間であることを考えると、金属回収工程に要した全反応時間は、従来の24時間に比べ、相当な短縮化が可能であることがわかった。その結果、本発明に係る試験結果から、効率的に金属を分離回収できることがわかった。

Claims (6)

  1. 酸素濃度が11vol%以下の雰囲気下で正極集電体と負極集電体とが焙焼されたリチウムイオン二次電池からマンガンを溶液中に浸出させる際、前記溶液のpHを4.00以下とし、且つ、ORP(3.3M KCl−Ag/AgCl)を−350mV以下とする、リチウムイオン二次電池からのマンガンの浸出方法。
  2. 前記正極集電体と前記負極集電体とを含む前記リチウムイオン二次電池を焙焼する際、前記正極集電体と前記負極集電体とを含む積層体を収容する外装容器が開口部を有し、前記開口部の開口面積が、前記開口部が設けられている前記外装容器の表面積に対して12.5%以下である、請求項1に記載のリチウムイオン二次電池からのマンガンの浸出方法。
  3. 前記正極集電体と前記負極集電体とを含む前記リチウムイオン二次電池を焙焼する際、前記正極集電体および前記負極集電体のうち融点が低い方の集電体の融点以上且つ融点が高い方の集電体の融点未満の温度で焙焼する、請求項1または2に記載のリチウムイオン二次電池からのマンガンの浸出方法。
  4. 前記溶液のpHを3.88以下とする、請求項1〜3のいずれかに記載のリチウムイオン二次電池からのマンガンの浸出方法。
  5. 請求項1〜4のいずれかに記載のリチウムイオン二次電池からのマンガンの浸出方法である第1の浸出工程と、
    前記第1の浸出工程後の残渣に対してコバルトおよびニッケルの少なくともいずれかを別の溶液中に浸出させる第2の浸出工程と、
    前記別の溶液中からコバルトおよびニッケルの少なくともいずれかを回収する回収工程と、
    を有する、金属回収方法。
  6. 前記回収工程においては、コバルト、ニッケルおよびリチウムを回収する、請求項5に記載の金属回収方法。
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