JP2021053862A - 三次元造形用粉体材料、三次元造形物及び三次元造形物の製造方法 - Google Patents

三次元造形用粉体材料、三次元造形物及び三次元造形物の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】レーザー焼結式3Dプリンターによる三次元造形物の製造に適した三次元造形用粉体材料を提供する。【解決手段】樹脂粉体とナノファイバーとを含み、平均粒子径が30〜80μmであり、ナノファイバーの含有量が2〜15重量%である三次元造形用粉体材料とする。樹脂粉体は、例えば、熱可塑性樹脂を含む。ナノファイバーは、例えば、セルロースナノファイバーである。この粉体材料では、レーザー回折・散乱法に基づいて測定された体積基準の粒度分布において、粒子径38μm未満の累積頻度が10%以上であってもよい。【選択図】図2

Description

本発明は、三次元造形用粉体材料、三次元造形物及び三次元造形物の製造方法に関する。
3Dプリンターによる三次元造形物の製造が着目されている。3Dプリンターによれば、金型を用いることのない三次元造形物の製造、及び金型では製造が困難である、複雑な形状を有する三次元造形物の製造等が可能となる。3Dプリンターには、種々の方式が存在する。方式の例は、樹脂フィラメントを熱溶融して堆積させる材料押出堆積式(FDM)、インクジェットヘッドから吐出した樹脂を紫外線により硬化させるマテリアルジェッティング式、レーザーによる光硬化性樹脂溶液の硬化層を積層させる光造形式(SLA)及び粉体材料の堆積層をレーザーにより焼結するレーザー焼結式(SLS/SLM)である。特許文献1には、光造形式の3Dプリンターに使用可能なナノファイバー複合体が開示されている。
特許第6256644号
本発明は、レーザー焼結式3Dプリンターによる三次元造形物の製造に適した粉体材料の提供を目的とする。
本発明は、
樹脂粉体とナノファイバーとを含み、
平均粒子径が30〜80μmであり、
前記ナノファイバーの含有量が2〜15重量%である三次元造形用粉体材料、
を提供する。
別の側面から見て、本発明は、
上記本発明の三次元造形用粉体材料にレーザー焼結式3Dプリンターによる造形を適用して得た三次元造形物、
を提供する。
別の側面から見て、本発明は、
上記本発明の三次元造形用粉体材料をレーザー焼結式3Dプリンターにより三次元成形して三次元造形物を得る、三次元造形物の製造方法、
を提供する。
本発明によれば、レーザー焼結式3Dプリンターによる三次元造形物の製造に適した粉体材料が達成される。
図1は、レーザー焼結式3Dプリンターによる三次元造形物の製造プロセスを説明するための模式図である。 図2は、本発明の粉体材料の一例を示す模式図である。 図3は、本発明の三次元造形物の一例を模式的に示す断面図である。 図4は、本発明の三次元造形物の別の一例を模式的に示す断面図である。 図5は、実施例、比較例及び参考例で作製した三次元造形物の曲げ弾性率を示すグラフである。 図6は、実施例、比較例及び参考例で作製した三次元造形物の曲げ強さを示すグラフである。 図7は、実施例、比較例及び参考例で作製した三次元造形物のシャルピー衝撃強さを示すグラフである。
本発明の三次元造形用粉体材料(以下、単に「粉体材料」と記載)は、樹脂粉体とナノファイバーとを含む樹脂粉体材料である。粉体材料の平均粒子径は30〜80μmである。粉体材料におけるナノファイバーの含有量は2〜15重量%である。本発明の粉体材料によれば、レーザー焼結式3Dプリンターによる造形を適用することにより、例えば、機械的特性に優れる三次元造形物を製造できる。機械的特性の例は、曲げ弾性率、曲げ強さ及び衝撃強さである。衝撃強さに特に優れる三次元造形物の製造も可能である。衝撃強さは、例えば、日本工業規格(以下、「JIS」と記載)K 7111−1:2012に定められたシャルピー衝撃強さである。
レーザー焼結式による三次元造形物は、粉体材料の接合体(熱接合体)により構成される。平均粒子径が30〜80μmでは、粉体材料の接合の状態が、機械的特性に優れる三次元造形物の造形に適している。平均粒子径の下限は、35μm以上、40μm以上、45μm以上、更には50μm以上であってもよい。平均粒子径の上限は、75μm以下、70μm以下、更には65μm以下であってもよい。平均粒子径がこれらの範囲にある場合、本発明の粉体材料は、機械的特性に優れる三次元造形物の造形に特に適している。平均粒子径は、レーザー回折・散乱法に基づいて測定された体積基準の粒度分布からd50として求めることができる。
ナノファイバーは、三次元造形物の機械的特性を向上させる補強部材として作用しうる。ナノファイバーの含有量が2重量%以上では、補強部材としての作用が確実となる。含有量が15重量%以下では、レーザー照射によるナノファイバーの燃焼を抑制できる。レーザー照射によるナノファイバーの燃焼は、有機系ナノファイバーにおいて、また、粉体粒子の表面に位置するナノファイバーにおいて、起きやすい。ナノファイバーの含有量の下限は、2.5重量%以上、3.0重量%以上、3.5重量%以上、更には4.0重量%以上であってもよい。含有量の上限は、13.0重量%以下、10.0重量%以下、7.5重量%以下、更には7.0重量%以下であってもよい。ナノファイバーがこれらの範囲にある場合、補強部材としての作用がより確実となる。
なお、ナノファイバーによる補強部材としての上記作用は、ナノファイバーの含有による粉体材料自身の機械的特性の向上にも基づいている。このことは、射出成形体の機械的特性により確認できる。例えば、ポリアミドの1種であるPA6と、ナノファイバーの1種であるセルロースナノファイバー(以下、「CNF」と記載)との複合材料について、CNFを含まないPA6単独の射出成形体の曲げ強さは、103MPaである。一方、CNFを5重量%含む射出成形体の曲げ強さは120MPa、10重量%含む射出成形体の曲げ強さは145MPaであり、それぞれ、16.5%及び40.7%向上する。また、CNFを含まないPA6単独の射出成形体の曲げ弾性率は2.53GPaである。一方、CNFを5重量%含む射出成形体の曲げ弾性率は3.28GPa、10重量%含む射出成形体の曲げ弾性率は4.29GPaであり、それぞれ、29.6%及び69.5%向上する。これらの射出成形体を粉砕して得られたCNFを含む粉体粒子についても、上記CNFを含む射出成形体と同程度の向上率で高められた機械的特性を有すると推定される。
また、本発明の粉体材料によれば、例えば、微粉を多く含む状態でレーザー焼結式3Dプリンターに供給できる。この効果は、粉体材料における微粉の凝集を抑制する凝集阻害剤としてのナノファイバーの作用に基づいている。
レーザー焼結式3Dプリンターにおいて三次元造形物は、典型的には、以下のように製造される(図1参照)。プリンター51は、予備加熱槽52、成形槽53、スクレーパー54及びレーザー照射装置55を備える。予備加熱槽52及び成形槽53の底板58,59は、上下方向に可動である。粉体材料50が、予備加熱槽52に収容されている。粉体材料50は、通常、粉体材料50に含まれる樹脂の融点よりも少し低い温度に予備加熱される。予備加熱を行うことにより、レーザー照射による粉体材料の溶融を速めることができる。このため、例えば、レーザーの掃引速度を向上でき、これにより、造形時間の短縮が可能となる。予備加熱された粉体材料50は、スクレーパー54のスライドにより成形槽53に流し込まれて、成形槽53内で所定の厚さの層を形成する。所定の厚さは、プリンター51のサイズ等により異なるが、典型的には、100〜300μm程度に調整される。次に、成形槽53内の上記粉体材料50の層に対してレーザー照射装置55からレーザー56が照射されて、所定のパターンを有する粉体材料50の接合層(熱接合層)が形成される。予備加熱槽52から成形槽53への粉体材料50の流し込みとレーザー56の照射による接合層の形成とが繰り返されて、三次元造形物が造形される。なお、造形の進行に従い、予備加熱槽52の底板58は上昇し、成形槽53の底板59は下降する。プリンター51は、レーザー焼結式3Dプリンターの一例である。レーザー照射による粉体材料の熱接合を利用する限り、プリンターの構成は上記例に限定されない。
微粉は、粒子間の付着力が大きく、熱容量が小さいため、予備加熱槽52内で凝集する傾向にある。融点未満での加熱であるにもかかわらず、微粉間の熱融着が生じることも多い。微粉が凝集すると、粉体材料50の成形槽53への流し込みが不均一となる。このため、造形した三次元造形物に反りや欠損等の欠陥が生じたり、最悪の場合には、三次元造形物の造形自体ができなくなる。ナノファイバーは、上記微粉の凝集を抑制する凝集阻害剤として作用しうる。ナノファイバーの含有量が2重量%以上では、凝集阻害剤としての作用が確実となる。ナノファイバーの含有量が上記好ましい範囲にある場合、凝集阻害剤としての作用がより確実となる。
微粉を多く含むことが可能であることにより、例えば、以下の効果が期待される。
(1)三次元造形物の造形のために微粉を予め除去する工程が不要となり、粉体材料及び三次元造形物の製造コストを低減できる。従来の粉体材料では、微粉の凝集を防ぐために、篩やメッシュ等を用いた分級処理により微粉を予め除去しておくことが技術常識である。微粉は付着力が大きいため、除去に必要な時間及びコストは大きい。
(2)三次元造形物の表面の平滑性を高めることができる。
(3)微粉の熱容量が小さいことから、レーザーの掃引速度を向上できる。これにより、三次元造形物の製造に要する時間及び製造コストを低減できる。
また、微粉を多く含むことが可能であることにより、機械的特性の更なる向上を視野に入れることができる。図2に示す粉体材料1は、相対的な大きな粒子径を有する粉体2(2A)と相対的に小さな粒子径を有する粉体2(2B)とを含む。この粉体材料1では、三次元造形物の造形時に、粉体2A間の間隙に粉体2Bが入り込んだ状態で接合層が形成される。上記間隙への粉体2Bの充填により、接合層及び当該層が積層された三次元造形物の機械的特性を向上しうる。
微粉を含む程度は、粉体材料に対するレーザー回折・散乱法に基づく粒度分布測定により評価できる。本発明の粉体材料では、レーザー回折・散乱法に基づいて測定された体積基準の粒度分布において、粒子径38μm未満の累積頻度A及び/又は粒子径30μm未満の累積頻度Bが10%以上であってもよい。累積頻度Aは、12%以上、14%以上、15%以上、17%以上、更には19%以上であってもよい。累積頻度Bは、12%以上、13%以上、更には14%以上であってもよい。また、レーザー回折・散乱法に基づいて測定された体積基準の粒度分布において、粒子径20μm未満の累積頻度Cが5%以上であってもよく、6%以上、更には7%以上であってもよい。
樹脂粉体は、例えば、熱可塑性樹脂を含む。樹脂粉体は、熱可塑性樹脂から構成されていてもよい。また、樹脂粉体は、熱可塑性樹脂と熱硬化性樹脂とを含んでいてもよい。熱硬化性樹脂の例は、エポキシ樹脂である。
熱可塑性樹脂は、好ましくは、結晶性樹脂である。結晶性樹脂は、レーザー焼結式3Dプリンターによる三次元造形物の造形に適している。結晶性樹脂は、通常、融点と、溶融後の再結晶温度とを有する。融点以上での接合層の形成の後、当該層の温度が再結晶温度未満に低下する前に次の接合層を形成することで、接合層同士をより確実に接合できる。再結晶温度と融点との差は、好ましくは30℃以上、より好ましくは40℃以上である。再結晶温度及び融点は、示差走査熱量測定(DSC)により評価できる。
樹脂粉体は、ポリアミド、ポリオレフィン及びポリ乳酸から選ばれる少なくとも1種を含んでいてもよく、当該少なくとも1種から構成されていてもよい。ポリアミド、ポリオレフィン及びポリ乳酸は、通常、熱可塑性樹脂であり、結晶性樹脂である。また、ポリアミド、ポリオレフィン及びポリ乳酸における再結晶温度と融点との差は、通常、30℃以上である。ただし、樹脂粉体が含みうる樹脂は、上記例に限定されない。また、結晶性樹脂及び熱可塑性樹脂は、上記例に限定されない。
樹脂粉体がポリアミドを含む場合、機械的特性に特に優れる三次元造形物を造形できる。ポリアミドの例は、PA6、PA12及びPA610から選ばれる少なくとも1種である。ただし、ポリアミドは、上記例に限定されない。
ポリオレフィンの例は、ポリエチレン及びポリプロピレンである。ただし、ポリオレフィンは、上記例に限定されない。
樹脂粉体の平均粒子径(d50)は、例えば、35〜85μmであり、45〜75μm、55〜70μmであってもよい。樹脂粉体の累積頻度A及び/又は累積頻度Bは、例えば、8%以上であり、10%以上、11%以上、更には12%以上であってもよい。樹脂粉体の累積頻度D(後述)は、例えば、80%以上であり、81%以上、更には82%以上であってもよい。
ナノファイバーは、1000nm未満の平均繊維径を有する繊維状物質である。平均繊維径の上限は、500nm以下、250nm以下、100nm以下、80nm以下、60nm以下、更には40nm以下であってもよい。平均繊維径の下限は、例えば、1nm以上であり、5nm以上、更には10nm以上であってもよい。ナノファイバーの平均繊維長は、例えば、10〜1000μmであり、100〜500μmであってもよい。
ナノファイバーの例は、CNF、セルロースナノクリスタル、キチンナノファイバー、キトサンナノファイバー及びカーボンナノチューブである。ただし、ナノファイバーは、上記例に限定されない。凝集阻害剤としての作用に優れることから、ナノファイバーは、好ましくはCNFである。CNFは、未変性CNFであっても、セルロースの水酸基が疎水基等により変性された変性CNFであってもよい。疎水基の例は、アセチル基である。
本発明の粉体材料において、粗大粉は除去されていてもよい。例えば、レーザー回折・散乱法に基づいて測定された体積基準の粒度分布において、粒子径115μm以下の累積頻度Dは85%以上であってもよく、85.5%以上、更には86%以上であってもよい。粗大粉は、篩やメッシュ等を用いた分級処理により除去できる。分級処理には、JIS Z8801:2006に定められた試験用ふるいを使用できる。
本発明の粉体材料は、樹脂粉体及びナノファイバー以外の他の材料を含んでいてもよい。他の材料の例は、着色剤、帯電防止剤、熱安定化剤、難燃化剤、酸化防止剤及び充填剤である。他の材料は、有機材料であっても無機材料であってもよい。ただし、他の材料は、上記例に限定されない。他の材料を含む場合、その含有量は、例えば、5重量%以下であり、4重量%以下、更には3重量%以下であってもよい。含有量の下限は、例えば、0.3重量%以上である。
充填剤を構成する材料の例は、カーボン、ガラス、金属、金属酸化物及びシリカである。金属酸化物の例は、アルミナ及びチタニアである。充填剤の形状は、例えば、ファイバー、ビーズ、フレークである。カーボンは、カーボンファイバーであってもよい。ガラスは、ガラスファイバーやガラスビーズであってもよい。ただし、充填剤は、上記例に限定されない。
本発明の粉体材料は、レーザー焼結式3Dプリンターによる三次元造形物の造形以外の他の用途への使用も可能である。
本発明の粉体材料は、例えば、樹脂粉体とナノファイバーとを混合して形成できる。粉体材料は、樹脂とナノファイバーとを含む樹脂成形体(例えば、シート、ストランド、鱗片体等)を形成し、これを粉砕して形成してもよい。樹脂成形体は、例えば、二軸押出機等を用いた溶融混錬及び成形により形成できる。粉砕は、例えば、凍結粉砕である。ただし、本発明の粉体材料の形成方法は、上記例に限定されない。
[三次元造形物]
本発明の三次元造形物の一例を図3に示す。図3の三次元造形物11は、本発明の粉体材料1にレーザー焼結式3Dプリンターによる造形を適用して得た造形物である。三次元造形物11は、粉体材料1(に含まれる粉体2)の接合体である。三次元造形物11は、互いに接合された粉体材料1の間に間隙12を有していてもよい。
三次元造形物11は、高い機械的特性を有しうる。三次元造形物11の曲げ弾性率は、例えば、0.2GPa以上であり、0.5GPa以上、1.0GPa以上、1.5GPa以上、2.0GPa以上、更には2.5GPa以上であってもよい。曲げ弾性率の上限は、例えば、5GPa以下である。三次元造形物11の曲げ強さは、例えば、5MPa以上であり、15MPa以上、25MPa以上、50MPa以上、70MPa以上、更には90MPa以上であってもよい。曲げ強さの上限は、例えば、150MPa以下である。ただし、曲げ弾性率及び曲げ強さは、JIS K7171:2016に定められたA法(一つの試験速度による、曲げ応力/曲げひずみ曲線の求め方)に準拠して求めた値である。
三次元造形物11のシャルピー衝撃強さは、例えば、0.5kJ/m2以上であり、1.0kJ/m2以上、3.0kJ/m2以上、5.0kJ/m2以上、7.0kJ/m2以上、更には9.0kJ/m2以上であってもよい。シャルピー衝撃強さの上限は、例えば、15kJ/m2以下である。ただし、シャルピー衝撃強さは、JIS K7111−1:2012の規定に準拠し、エッジワイズ衝撃によるノッチなしシャルピー衝撃強さとして求めた値である。
図4に示すように、間隙12には、更なる樹脂14が導入されていてもよい。言い換えると、三次元造形物11は、互いに接合された粉体材料1から構成される母構造13を有し、母構造13における互いに接合された粉体材料1の間の間隙12に更なる樹脂14が導入された構造を有していてもよい。樹脂14の導入により、三次元造形物11の機械的特性を更に向上できる。
樹脂14は、例えば、エポキシ樹脂及びアクリル樹脂から選ばれる少なくとも1種である。ただし、樹脂14は、上記例に限定されない。樹脂14は、熱硬化性樹脂であってもよい。
樹脂14が導入された三次元造形物11は、例えば、レーザー焼結式3Dプリンターによる三次元造形物の造形後、得られた造形物に対して樹脂14を導入する後工程を実施して製造できる。後工程では、例えば、樹脂14(例えば、エポキシ樹脂)の前駆体を間隙12に導入し、導入した前駆体に対する処理(例えば、硬化)を実施する。また、後工程では、樹脂14(例えば、アクリル樹脂)を含む溶液を間隙12に導入し、導入した溶液から乾燥等により溶媒を除去してもよい。溶液は、溶液状の樹脂であってもよい。
三次元造形物11の例は、バンパー、ドアトリム及びホイールカバー等の車両用外装又は内装部品、義足、義手及び治療器具等の医療器具、電子部品、照明器具のパーツ、スポーツ用品、並びに金型(試作用金型を含む)である。ただし、三次元造形物11は、上記例に限定されない。
[三次元造形物の製造方法]
本発明の製造方法では、本発明の粉体材料をレーザー焼結式3Dプリンターにより三次元成形して三次元造形物11を得る。製造する三次元造形物11の例は、上述のとおりである。レーザー焼結式3Dプリンターの構成及び具体的な操作方法は限定されない。本発明の製造方法は、三次元造形物11が得られる限り、任意の工程を含んでいてもよい。得られた三次元造形物11に対して、上述した後工程を実施してもよい。
以下、実施例により、本発明を更に詳細に説明する。本発明は、以下に示す具体的な態様に限定されない。
(実施例1)
PA6のペレット(宇部興産株式会社製、POLYAMIDE6、P1011F)及び特許第6091589号に開示の製法に基づき製造されたCNF(10数nmから数10μmの範囲の繊維径及び数10nmから数100μmの範囲の平均繊維長を有する。平均繊維径は1000nm未満)を溶融混錬した。次に、混錬物を押出機から吐出して、鱗片状の樹脂成形体(CNFの含有量が30重量%)を得た。次に、得られた樹脂成形体とPA6のペレット(宇部興産株式会社製、POLYAMIDE6、P1011FB)とを稀釈混合することで、CNFの含有量が5.0重量%のペレット状の樹脂成形体を得た。次に、得られた樹脂成形体を凍結粉砕し、続いて、粗大粉を除去する分級処理を実施して、実施例1の粉体材料(CNFの含有量が5.0重量%)を得た。分級処理には、JIS Z8801−1に定められた公称目開き106μmの試験用ふるいを用いた。分級処理は、2回実施した。
(実施例2〜5)
樹脂成形体とPA6のペレットとの混合比率を変化させることで、粉体材料におけるCNFの含有量を7.5重量%、10.0重量%、12.5重量%又は15.0重量%に制御した以外は実施例1と同様にして、実施例2〜5の粉体材料を得た。
(比較例)
CNFを添加しなかった以外は実施例1と同様にして、PA6から構成される比較例の粉体材料を得た。
(参考例)
比較例の粉体材料に対して微粉を除去する分級処理を実施して、参考例の粉体材料を得た。分級処理には、JIS Z8801−1に定められた公称目開き38μmの試験用ふるいを用いた。分級処理は、2回実施した。
作製した各粉体材料に対して、レーザー回折・散乱式粒子径分布測定装置(堀場製作所製、LA−950V2)を用いた粒度分布測定を実施して、平均粒子径、粒子径38μm未満の累積頻度A、粒子径30μm未満の累積頻度B及び粒子径115μm以下の累積頻度Dを求めた。測定は2回実施し、その平均値を各特性とした。測定条件は、次のとおりである。
試料前処理:なし
測定ユニット:乾式(圧縮空気分散)
圧縮空気圧:0.3MPa
測定モード:ワンショットモード
測定範囲:0.1〜3000μm
粒子径基準:体積基準
試料屈折率:1.53
作製した各粉体材料をレーザー焼結式3Dプリンターにより三次元造形して、直方体状(幅10mm×長さ76mm×厚さ4mm)の試験片を作製した。三次元造形の条件は、次のとおりである。
レーザー種類:CO2レーザー
レーザー波長:10.6μm
レーザー出力:10W
レーザー掃引速度:5m/秒
接合層の厚さ:150μm
作製した試験片の機械的特性(曲げ弾性率、曲げ強さ及びシャルピー衝撃強さ)を、以下のように評価した。
[曲げ弾性率及び曲げ強さ]
曲げ弾性率及び曲げ強さは、JIS K7171:2016に定められたA法に準拠して評価した。試験機には、オリエンテック社製、テンシロンUCT−30Tを使用した。支点間距離は64mmとし、試験速度は2mm/分とした。測定温度は25℃、測定湿度は50%RHとした。5個の試験片に対する評価を実施し、その平均値を、試験片の曲げ弾性率及び曲げ強さとした。
[シャルピー衝撃強さ]
試験片のシャルピー衝撃強さは、JIS K7111−1:2012の規定に準拠して、エッジワイズ衝撃によるノッチなしシャルピー衝撃強さとして評価した。試験機には、株式会社米倉製作所製、CHARPACK45Cを使用した。測定温度は25℃、測定湿度は50%RHとした。10個の試験片に対する評価を実施し、その平均値を、試験片のシャルピー衝撃強さとした。
評価結果を以下の表1に示す。また、曲げ弾性率、曲げ強さ及びシャルピー衝撃強さの評価結果を、それぞれ、図5、図6及び図7に示す。なお、比較例の試験片は脆く、上記各機械的特性の測定は困難であった(測定不能)。
Figure 2021053862
表1及び図5〜7に示すように、実施例の粉体材料では、比較例の粉体材料に比べて機械的特性に優れる三次元造形物を造形できた。また、実施例1〜3では、CNFを含まず、かつ微粉を除去した参考例に比べて、曲げ弾性率及びシャルピー衝撃強さ、特にシャルピー衝撃強さ、が向上した。更に、実施例1では、参考例に比べて曲げ強さが向上した。なお、実施例4,5では、参考例に比べて機械的特性に劣る三次元造形物が造形されたが、当業者の技術常識に反し、微粉を除去することなくレーザー焼結式3Dプリンターに供給して三次元造形物を造形することが可能であった。
本発明の三次元造形用粉体材料は、従来の三次元造形用粉体材料と同様の用途、例えば、3Dプリンターによる三次元造形物の造形に利用できる。

Claims (11)

  1. 樹脂粉体とナノファイバーとを含み、
    平均粒子径が30〜80μmであり、
    前記ナノファイバーの含有量が2〜15重量%である三次元造形用粉体材料。
  2. 前記樹脂粉体は、熱可塑性樹脂を含む請求項1に記載の三次元造形用粉体材料。
  3. 前記ナノファイバーがセルロースナノファイバーである請求項1又は2に記載の三次元造形用粉体材料。
  4. レーザー回折・散乱法に基づいて測定された体積基準の粒度分布において、粒子径38μm未満の累積頻度が10%以上である請求項1〜3のいずれかに記載の三次元造形用粉体材料。
  5. レーザー回折・散乱法に基づいて測定された体積基準の粒度分布において、粒子径115μm以下の累積頻度が85%以上である請求項1〜4のいずれかに記載の三次元造形用粉体材料。
  6. 前記樹脂粉体は、ポリアミド、ポリオレフィン及びポリ乳酸から選ばれる少なくとも1種を含む請求項1〜5のいずれかに記載の三次元造形用粉体材料。
  7. 前記ポリアミドが、PA6、PA12及びPA610から選ばれる少なくとも1種である請求項6に記載の三次元造形用粉体材料。
  8. 請求項1〜7のいずれかに記載の三次元造形用粉体材料にレーザー焼結式3Dプリンターによる造形を適用して得た三次元造形物。
  9. 互いに接合された前記粉体材料から構成される母構造を有し、
    前記母構造における前記互いに接合された粉体材料の間の間隙に更なる樹脂が導入されている請求項8に記載の三次元造形物。
  10. 前記更なる樹脂が、エポキシ樹脂及びアクリル樹脂から選ばれる少なくとも1種である請求項9に記載の三次元造形物。
  11. 請求項1〜7のいずれかに記載の三次元造形用粉体材料をレーザー焼結式3Dプリンターにより三次元成形して三次元造形物を得る、三次元造形物の製造方法。
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