本発明の典型的な実施形態の幾つかの例を説明する。なお、この明細書にて引用された文献の内容や公知技術を実施形態に援用することができる。
実施形態の眼科検査システムは、各種の施設に設置された眼科検査装置や、可搬型の眼科検査装置を用いた遠隔検査に用いられる。実施形態における遠隔検査では、各種の検者が検査をアシストする。検者の種別として、内部検者や外部検者がある。
内部検者は、眼科検査装置が設置された施設の内部にて検査をアシストする検者である。典型的には、内部検者は、タブレット端末やウェアラブルデバイス(例えば無線型イヤフォン)を用いて、当該施設内にて検査を受けている全て又は一部の被検者の状況を把握して指示を送る。被検者は、内部検者からの指示に基づいて検査を進めることができる。内部検者により使用される情報処理装置を内部検者端末と呼ぶ。
外部検者は、眼科検査装置が設置された施設の外部から検査をアシストする検者である。典型的には、外部検者は、検査を管理するための施設(管理センタ)から、又は、管理センタの外部から、アシストを行うよう構成することができる。管理センタの外部の例として、外部検者の自宅がある。外部検者は、管理センタや自宅等に設置された情報処理装置を用いて、現在検査を受けている全て又は一部の被検者の状況を把握して指示を送る。被検者は、外部検者からの指示に基づいて検査を進めることができる。外部検者により使用される情報処理装置を外部検者端末と呼ぶ。
眼科検査装置が設置される施設の例として、医療機関、眼鏡店、健康診断会場、検診会場、患者の自宅、福祉施設、公共施設、検診車などがある。つまり、眼科検査装置が設置される施設には、医療機関等の固定型施設と、検診車等の移動型施設との少なくとも一方が含まれてよい。また、検者から被検者に送られる指示には、検査の進め方に関する支援や、眼科検査装置の操作や、被検者への助言などが含まれてよい。また、検者から検者に指示を送ることもできる。典型的には、非熟練者である内部検者を、熟練者である外部検者がアシストすることができる。
眼科検査装置は、被検眼の検査に用いられる任意の装置であってよく、眼科測定装置としての機能及び眼科撮影装置としての機能の少なくとも一方を備えてよい。眼科測定装置は、被検眼の特性を測定するための装置である。眼科測定装置の例として、視力検査装置(視標呈示装置、フォロプタ等)、眼屈折検査装置(レフラクトメータ、ケラトメータ等)、眼圧計、スペキュラーマイクロスコープ、ウェーブフロントアナライザ、視野計、マイクロペリメータなどがある。また、眼科撮影装置は、被検眼を画像化するための装置である。眼科撮影装置の例として、OCT、眼底カメラ、SLOなどがある。更に、眼科検査装置は、測定データや撮影画像を処理及び/又は解析するためのアプリケーションを備えていてもよい。
〈眼科検査システムの構成〉
実施形態に係る眼科検査システムの構成の例を説明する。図1Aに例示された眼科検査システム1は、検査が行われるN個の施設(第1施設〜第N施設)と管理装置4と外部検者端末5m(m=1〜M:Mは1以上の整数)とを結ぶネットワーク(通信回線100)を利用して構築されている。
各施設(第n施設:n=1〜N、Nは1以上の整数)には、1以上の眼科検査装置2−in(in=1〜Kn、Knは1以上の整数)が設置されている。眼科検査装置2−inは、眼科検査システム1に含まれる。なお、眼科検査システム1は、眼科以外の検査を実施可能な検査装置を含んでいてもよい。
本例の眼科検査装置2−inは、被検者(被検眼)の検査を実施する「検査装置」としての機能と、各種データ処理や外部装置との通信を行う「コンピュータ」としての機能の双方を備えている。他の例において、検査装置とコンピュータとを別々に設けられていてよい。この場合、検査装置とコンピュータとは互いに通信可能に構成される。検査装置の数とコンピュータの数とはそれぞれ任意である。例えば、単一のコンピュータと複数の検査装置とが設けられていてよい。
N個の施設(第1施設〜第N施設)のうちの少なくとも一部には、内部検者により使用される情報処理装置(内部検者端末)が設置されている。図1Aに示す例では、第1施設及び第N施設には内部検者端末が設置されておらず、第n施設には内部検者端末3−nが設置されている。
内部検者端末3−nは、第n施設において使用されるコンピュータである。内部検者端末3−nは、例えば、タブレット端末やスマートフォン等のモバイル端末、無線型イヤフォン等のウェアラブルデバイス、及び、第n施設に設置されたサーバ(施設内サーバ等)のうちの少なくとも1以上を含んでいてよい。なお、内部検者端末3−nは、第n施設においてその機能を実現可能なコンピュータであれば十分であり、例えば、第n施設の外部に設置されたコンピュータ(クラウドサーバ等)を含んでいてもよい。
眼科検査装置2−inと内部検者端末3−nとは、第n施設内に構築されたネットワーク(施設内LAN等)や、広域ネットワーク(インターネット等)や、近距離通信技術を介して通信を行えるように構成されてよい。
眼科検査装置2−inは、サーバとしての機能を備えていてよい。この構成が適用される場合、眼科検査装置2−inと内部検者端末3−nとが直接に通信を行うように構成することができる。この場合、内部検者端末3−nと管理装置4との間で通信を行う機能を設ける必要はない。つまり、管理装置4と内部検者端末3−nとの間の通信を眼科検査装置2−inを経由して行うように構成することが可能である。
眼科検査システム1は、管理装置4を含んでいてよい。典型的には、管理装置4は管理センタに設置される。管理装置4は、通信回線100(LAN、広域ネットワーク等)を介して外部検者端末5mと通信が可能である。更に、管理装置4は、第1〜第N施設に設置された眼科検査装置2−inと、通信回線100(広域ネットワーク等)を介して通信が可能である。
管理装置4は、複数の眼科検査装置2−inの少なくとも1つと、複数の検者端末(内部検者端末3−n及び外部検者端末5mが含まれる)の少なくとも2つとを含む、少なくとも3つの装置の間の通信を制御する。例えば、管理装置4は、複数の眼科検査装置2−inのうちの1つと、内部検者端末3−nと、外部検者端末5mとを含む3つの装置の間の通信を制御する。他の例では、管理装置4は、複数の眼科検査装置2−inのうちの1つと、2つの内部検者端末3−nとを含む3つの装置の間の通信を制御する。更に他の例では、管理装置4は、複数の眼科検査装置2−inのうちの1つと、2つの外部検者端末5mとを含む3つの装置の間の通信を制御する。なお、管理装置4により通信制御が行われる装置の個数は3つには限定されない。つまり、管理装置4は、4以上の装置の間の通信を制御することができる。
管理装置4は、例えば、眼科検査装置2−inと検者端末との間の通信を中継する機能と、2つの検者端末の間の通信を中継する機能と、2つの眼科検査装置2−inの間の通信を中継する機能とのうち、少なくとも1つの機能を備えていてよい。更に、管理装置4は、通信の内容を記録する機能を備えていてよい。また、管理装置4は、眼科検査装置2−inと検者端末とを対応付ける機能、つまり、眼科検査装置2−inのそれぞれに検者を割り当てる機能を備えていてよい。眼科検査装置2−inと検者端末との間の対応付けは、一対一対応、多対一対応、及び、一対多対応のいずれでもよい。また、管理装置4は、眼科検査装置2−inと検者端末との間の通信の内容に既定のミスが発生したことを検知する機能と、これを記録する機能と、当該検者端末及び/又は他の検者端末に警告を通知する機能とを備えていてよい。
管理装置4は、1以上のコンピュータを含む。管理装置4が複数のコンピュータを含む場合の例を図1Bに示す。図1Bに示す管理装置4は、マスター管理装置6とR個のローカル管理装置7−rとを含む(Rは2以上の整数)。マスター管理装置6と各ローカル管理装置7−rとは、通信回線100を介して通信が可能である。また、2以上のローカル管理装置6が通信回線100を介して通信可能であってもよい。
マスター管理装置6は、第1〜第N施設のそれぞれに設置された装置(少なくとも眼科検査装置2−inが含まれる。内部検者端末3−nが更に含まれてもよい。)と、通信回線100を介して通信が可能である。マスター管理装置6は、管理センタの内部又は外部に設置される。また、マスター管理装置6は、2以上の情報処理装置を含んでいてよい。
1つの例において、2以上の管理センタが設けられていてよい。ローカル管理装置7−rは、例えば、いずれかの管理センタに設置される。当該管理センタ内に1以上の外部検者端末5mが設置されている場合、ローカル管理装置7−rは、当該外部検者端末5mのそれぞれを管理することができる。マスター管理装置6は、ローカル管理装置7−rのそれぞれを管理する。
管理装置4の構成については後述する。管理装置4が複数のコンピュータを含む場合、後述の管理装置4の構成要素が複数のコンピュータに分散配置される。また、任意の構成要素を2以上のコンピュータに重複的に設けることができる。それにより、例えば分散処理や冗長化が実現される。
検者端末(内部検者端末3−n、外部検者端末5m等)のそれぞれは、複数の眼科検査装置2−inのいずれかを用いて実施されている検査を指導・管理する検者が使用するコンピュータを含む。
〈眼科検査装置の構成〉
眼科検査装置2−inの構成について説明する。図2に例示された眼科検査装置2は、図1Aに示す複数の眼科検査装置2−inのそれぞれに相当する。同様に、内部検者端末3−nのそれぞれを内部検者端末3と記載し、外部検者端末5mのそれぞれを外部検者端末5と記載することがある。
眼科検査装置2は、制御部20と、検査部21と、検査状況情報生成部22aと、通信要求生成部22bと、ユーザインターフェイス(UI)部23と、通信部24とを備える。これら構成要素は、一体的に(つまり単一の筐体内に)設けられていてもよいし、2以上の筐体内に分散配置されていてもよい。前者の例として、レフラクトメータ、ケラトメータ、眼圧計、スペキュラーマイクロスコープ、ウェーブフロントアナライザ、視野計、マイクロペリメータ、OCT、眼底カメラ、SLOなどがある。後者の例として、視標呈示装置とフォロプタとを含む視力検査装置がある。また、制御部20の一部又は全部をパーソナルコンピュータや携帯端末に設けることができる。また、ユーザインターフェイス部23の一部又は全部を、パーソナルコンピュータ、携帯端末、テレビ受像機、スマートテレビなどに設けることができる。
〈制御部20〉
制御部20は、各種の制御や演算を実行する。制御部20はプロセッサを含む。なお、本明細書において「プロセッサ」は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、プログラマブル論理デバイス(例えば、SPLD(Simple Programmable Logic Device)、CPLD(Complex Programmable Logic Device)、FPGA(Field Programmable Gate Array))等の回路を意味する。制御部20は、例えば、記憶回路や記憶装置に格納されているプログラムを読み出し実行することで、実施形態に係る機能を実現する。制御部20は、更に、RAM、ROM、ハードディスクドライブ、ソリッドステートドライブなどを含んでいてよい。
〈出力制御部201〉
制御部20は出力制御部201を備える。出力制御部201は、内部検者端末3又は外部検者端末5から眼科検査装置2に送信された情報を出力するための制御を行う。出力される情報の例として視覚情報と音声情報がある。視覚情報は、視覚系により認識される情報であり、文字列情報や画像情報を含む。文字列情報は、例えば、検者の指示を表す文字メッセージを含む。画像情報は、例えば、検者の顔や手の動画像や、検者の指示を表すマークを含む。出力制御部201は、後述のLCD214や表示装置231を制御することにより視覚情報を出力させる。音声情報は、聴覚系により認識される情報であり、警告音や音声メッセージを含む。出力制御部201は、後述の音声出力装置233を制御することにより聴覚情報を出力させる。出力制御部201が実行する処理の具体例は後述される。
〈検査部21〉
検査部21は、制御部20による制御を受けて被検眼の検査を実行する。検査部21は、眼科検査装置2の種別に応じた構成を備える。検査部21の構成は、公知の構成の少なくとも一部であってよく、或いは公知の構成を含んでよい。検査部21は、以下のような光学系と、図示しない機構(アクチュエータ、動力伝達機構等)を含む。
検査部21が被検眼Eの特性を測定する機能を備える場合、検査部21は、例えば、被検眼に光を投射するための光学系を少なくとも備え、被検眼に投射された光の戻り光を検出するための光学系を更に備える。更に、検査部21は、被検眼に固視標を投影するための光学系や、アライメントを行うための光学系や、フォーカシングを行うための光学系など、各種機能の光学系を備えていてよい。また、検査部21は、戻り光の検出結果(画像信号、映像信号等)を処理するためのプロセッサを含んでよい。
検査部21が被検眼Eを撮影する機能を備える場合、検査部21は、例えば、被検眼に光を投射するための光学系と、被検眼に投射された光の戻り光を検出するための光学系とを含む。更に、検査部21は、測定機能の場合と同様に、各種の光学系を含んでよい。また、検査部21は、戻り光の検出結果(画像信号、映像信号等)を処理するためのプロセッサを含んでよい。
以上のような光学系は検査光学系211に相当する。検査光学系211は、光学素子212と投射系213とを含む。光学素子212は、投射系213から出力された光束を被検眼Eに導くために被検眼Eに適用される。光学素子212は、例えば、レンズ(対物レンズ等)、プリズム(対物プリズム等)、凹面鏡(放物面鏡等)、ガラス板などの各種光学素子のいずれかを含んでよい。
投射系213は、被検眼Eを検査するための光束(検査光束)を光学素子212を介して被検眼Eに投射する。投射系213にはLCD214が設けられている。LCD214は、制御部20の制御を受けて動作する。LCD214は、検査に用いられる情報(検査情報:視標、固視標等)を表示する機能と、内部検者端末3又は外部検者端末5から送信された情報を表示する機能とを担う。後者は情報提示光学系の機能であり、LCD214は情報提示光学系の表示部に相当する。更に、投射系213は、内部検者端末3又は外部検者端末5から送信された情報に相当するLCD214からの光束(表示光束)を光学素子212を介して被検眼Eに導く導光系の機能を奏する。つまり、本実施形態の検査部21では、検査光学系と情報提示光学系とが共通の構成となっている。これに対し、検査光学系と情報提示光学系とを別々に構成することも可能であり、その例は後述される。
〈検査状況情報生成部22a〉
検査状況情報生成部22aは、被検眼Eの検査の状況を表す検査状況情報を生成する。検査状況情報は、検査の進行状況(検査のフェーズ)、検査の途中結果(例えば、視力検査における視標の呈示履歴)、検査時間(例えば、検査開始時刻、経過時間)などを含む。眼科検査装置2が被検眼Eや被検者を撮影する機能を備える場合、検査状況情報は、被検眼E等の撮影画像(静止画像、動画像)を含んでよい。また、検査状況情報は、音声入力装置234を介して入力された被検者の音声情報を含んでよい。生成された検査状況情報は、例えば、内部検者端末3及び/又は外部検者端末5に送信され、検者によって参照される。また、本実施形態では、生成された検査状況情報は通信要求生成部22bに送られる。検査状況情報生成部22aは、例えば、プロセッサと、検査を実施するためのコンピュータプログラム又はこれを監視するコンピュータプログラムとを含む。
なお、眼科検査装置2から内部検者端末3及び/又は外部検者端末5に向けて送信される情報の全てが検査状況情報生成部22aに処理される必要はない。例えば、被検眼Eの動画像や被検者の音声情報をそのまま内部検者端末3及び/又は外部検者端末5に向けて送信することができる。それにより、被検眼Eの状態や被検者の状態や被検者のリクエストを実質的にタイムラグなく検者に提供することができる。
〈通信要求生成部22b〉
通信要求生成部22bは、内部検者及び/又は外部検者を読み出すための要求(通信要求)を生成する。通信要求生成部22bは、被検者からの指示に対応して通信要求を生成する処理と、検査状況情報生成部22aにより生成された検査状況情報に基づいて通信要求を生成する処理との少なくとも一方を実行可能に構成される。
被検者からの指示はユーザインターフェイス部23を用いて入力される。指示の入力は、例えば、後述の操作装置232及び/又は音声入力装置234を介して行われる。具体例として、被検者は、操作装置232を用いて、内部検者及び/又は外部検者を呼び出すための所定の操作(ボタンの押下、レバーの傾倒など)を行う。また、被検者は、後述の表示装置231により表示されているソフトウェアキーを操作装置242を用いて操作することにより、或いは、タッチパネルディスプレイに表示されているソフトウェアキーを指で操作することにより、呼び出し要求を入力することができる。また、検査内容を把握していない旨のメッセージや、内部検者及び/又は外部検者の指示を必要とする旨のメッセージを被検者が発声すると、その音声情報を音声入力装置234により検出することができる。本例によれば、被検者の要望に応じてアシストを提供することが可能である。
検査状況情報に基づき通信要求を生成する場合の例を説明する。検査状況情報生成部22aは、検査状況を監視しつつ検査状況情報を逐次に生成する。通信要求生成部22bは、生成された検査状況情報が所定の条件に該当するか否か判定する。所定の条件としては、例えば、検査が進行していないこと、検査の途中結果(例えば、視力検査における視標の呈示履歴)が不適当であること、検査開始からの経過時間が長いこと、瞼が閉じている時間が長いこと、被検眼Eの固視が不適用であることなどがある。検査が進行していないことは、例えば、検査フェーズが所定時間以上移行していないこと(例えば同じ視標が提示されていること)を検出することによって認識される。検査の途中結果が不適当であることは、例えば、視標の提示順序が不適当であること(例えば、応答内容が収束していかないこと)を検出することによって認識される。瞼が閉じていることや被検眼Eの固視状態は、被検眼Eの撮影画像を解析することにより認識される。この画像解析は、例えば瞳孔の検出を含む。本例によれば、アシストが必要な状況を自動で検出することが可能である。
通信要求生成部22bにより生成された通信要求は通信部24によって他装置(管理装置4、内部検者端末3、外部検者端末5等)に送信される。
〈ユーザインターフェイス部23〉
ユーザインターフェイス部23は、被検者(及び内部検者)に向けた情報を出力する機能と、情報入力や操作指示を行うための機能とを備える。ユーザインターフェイス部23は、前者の機能のための表示装置231及び音声出力装置233と、後者の機能のための操作装置232及び音声入力装置234とを含む。
表示装置231は、フラットパネルディスプレイ等の表示デバイスを含む。操作装置232は、眼科検査装置2の筐体や外部に設けられたボタン、キー、ジョイスティック、ノブ、操作パネル等の操作デバイスを含む。また、操作装置232は、眼科検査装置2に接続されたパーソナルコンピュータ等の操作デバイス(マウス、キーボード、トラックパッド、ボタン、タッチパネル等)を含んでよい。ユーザインターフェイス部23は、表示装置231と操作装置232とが一体化されたタッチパネル等のデバイスや、グラフィカルユーザインターフェイス(GUI)を含んでよい。また、ユーザインターフェイス部23は、音声入力装置234から入力された被検者の音声に基づき操作や入力を行うためのプロセッサ及びコンピュータプログラムを含んでもよい。
音声出力装置233は、例えば、出力される音声情報(音声信号)を処理する回路と、処理された音声情報を出力するスピーカとを含む。また、音声入力装置234は、音声情報を電気信号に変換するマイクロフォンと、この電気信号を処理する回路とを含む。
〈通信部24〉
通信部24は、他装置(管理装置4、内部検者端末3、外部検者端末5等)との間でデータ通信を行う。データ通信の方式は任意である。例えば、通信部24は、インターネットに準拠した通信インターフェイス、LANに準拠した通信インターフェイス、近距離通信に準拠した通信インターフェイスなどを含む。データ通信は有線通信でも無線通信でもよい。通信部24により送受信されるデータは暗号化されてよい。その場合、例えば、制御部20は、送信データを暗号化する暗号化処理部と、受信データを復号化する復号化処理部とを含む。
〈内部検者端末の構成〉
内部検者端末3の構成について説明する。図3に例示された内部検者端末3は、制御部30と、ユーザインターフェイス(UI)部31と、送信情報生成部32と、通信部33とを備える。
〈制御部30〉
制御部30は、内部検者端末3の各部の制御と、各種の演算処理とを実行する。制御部30はプロセッサを含む。制御部30は、更に、RAM、ROM、ハードディスクドライブ、ソリッドステートドライブなどを含んでいてよい。
〈ユーザインターフェイス部31〉
ユーザインターフェイス部31は、ユーザに向けた情報を出力する機能と、ユーザが情報入力や操作指示を行うための機能とを備える。ユーザインターフェイス部31は、眼科検査装置2のユーザインターフェイス部23と同様に、表示装置311、操作装置312、音声出力装置313、及び音声入力装置314を含む。
制御部30は、例えば、眼科検査装置2から逐次に送信される検査状況情報を表示し、かつ、被検者への指示を入力するための画面(GUI等)を表示装置311に表示させる。また、制御部30は、被検者の音声情報を音声出力装置313に出力させる。検者は、表示情報や音声情報を参照して指示の内容を決定し、操作装置312を用いてそれを入力する。また、音声による指示は、音声入力装置314を介して入力される。
また、制御部30は、例えば、他の検者端末(他の内部検者端末3、外部検者端末5等)から送信される情報を表示し、かつ、他の検者端末に送信される情報を入力するための画面(GUI等)を表示装置311に表示させる。また、制御部30は、他の検者端末に入力された音声情報を音声出力装置313に出力させる。検者は、他の検者端末から送信された表示情報や音声情報を参照して被検者や他の検者へのメッセージを決定し、操作装置312を用いてメッセージを入力する。また、音声によるメッセージは、音声入力装置314を介して入力される。
〈送信情報生成部32〉
送信情報生成部32は、検者がユーザインターフェイス31を用いて入力した情報に基づいて、他装置のユーザ(眼科検査装置2を使用している被検者、他の検者端末を使用している検者等)に向けた情報(送信情報)を生成する。送信情報生成部32は、例えば、プロセッサと、上記画面(GUI)に連係して実行される送信情報生成プログラムとを含む。
なお、内部検者端末3から他装置に向けて送信される情報の全てが送信情報生成部32に処理される必要はない。例えば、検者の動画像や音声情報をそのまま他装置に向けて送信することができる。それにより、検者のメッセージを実質的にタイムラグなく被検者や他の検者に提供することができる。
〈通信部33〉
通信部33は、他装置(眼科検査装置2、管理装置4、外部検者端末5等)との間でデータ通信を行う。データ通信の方式や暗号化については、眼科検査装置2の通信部24と同様であってよい。
〈外部検者端末の構成〉
外部検者端末5の構成について説明する。図4に例示された外部検者端末5は、制御部50と、撮影部51と、ユーザインターフェイス(UI)部52と、送信情報生成部53と、通信部54とを備える。
〈制御部50〉
制御部50は、外部検者端末5の各部の制御と、各種の演算処理とを実行する。制御部50はプロセッサを含む。制御部50は、更に、RAM、ROM、ハードディスクドライブ、ソリッドステートドライブなどを含んでいてよい。
〈撮影部51〉
撮影部51は、検者を動画撮影するために使用され、例えばビデオカメラを含む。撮影対象は、被検者への指示を表現するために用いられる身体部位(例えば、顔、上半身、手など)を含む。
〈ユーザインターフェイス部52〉
ユーザインターフェイス部52は、検者に向けた情報を出力する機能と、検者が情報入力や操作指示を行うための機能とを備える。ユーザインターフェイス部52は、眼科検査装置2のユーザインターフェイス部23と同様に、表示装置521、操作装置522、音声出力装置523、及び音声入力装置524を含む。
制御部50は、例えば、眼科検査装置2から逐次に送信される検査状況情報を表示し、かつ、被検者への指示を入力するための画面(GUI等)を表示装置521に表示させる。また、制御部50は、被検者の音声情報を音声出力装置523に出力させる。検者は、表示情報や音声情報を参照して指示の内容を決定し、操作装置522を用いてそれを入力する。また、音声による指示は、音声入力装置524を介して入力される。
また、制御部50は、例えば、他の検者端末(内部検者端末3、他の外部検者端末5等)から送信される情報を表示し、かつ、他の検者端末に送信される情報を入力するための画面(GUI等)を表示装置521に表示させる。また、制御部50は、他の検者端末に入力された音声情報を音声出力装置523に出力させる。検者は、他の検者端末から送信された表示情報や音声情報を参照して被検者や他の検者へのメッセージを決定し、操作装置522を用いてメッセージを入力する。また、音声によるメッセージは、音声入力装置524を介して入力される。
〈送信情報生成部53〉
送信情報生成部53は、検者がユーザインターフェイス52を用いて入力した情報に基づいて、他装置のユーザ(眼科検査装置2を使用している被検者、他の検者端末を使用している検者等)に向けた情報(送信情報)を生成する。送信情報生成部53は、例えば、プロセッサと、上記画面(GUI)に連係して実行される送信情報生成プログラムとを含む。
なお、外部検者端末5から他装置に向けて送信される情報の全てが送信情報生成部53に処理される必要はない。例えば、検者の動画像や音声情報をそのまま他装置に向けて送信することができる。それにより、検者のメッセージを実質的にタイムラグなく被検者に提供することができる。
〈通信部54〉
通信部54は、他装置(眼科検査装置2、内部検者端末3、管理装置4等)との間でデータ通信を行う。データ通信の方式や暗号化については、眼科検査装置2の通信部24と同様であってよい。
〈管理装置の構成〉
管理装置4の構成について説明する。図5に例示された管理装置4は、制御部40と、通信確立部41と、通信部42とを備える。これら構成要素の少なくとも1つは、例えば、図1Bに示すマスター管理装置6及び/又はローカル管理装置7−rに含まれるハードウェアとソフトウェアとの協働によって実現される。
〈制御部40〉
制御部40は、管理装置4の各部を制御する。例えば、制御部40の一部(マスター制御部)はマスター管理装置6に設けられており、このマスター制御部が各ローカル管理装置7−rの制御を行う。制御部40は、その他の演算処理を実行可能であってよい。制御部40はプロセッサを含む。制御部40は、更に、RAM、ROM、ハードディスクドライブ、ソリッドステートドライブなどを含んでいてよい。
制御部40は、通信制御部401と転送制御部402とを含む。
通信制御部401は、眼科検査装置2と内部検者端末3との間、眼科検査装置2と外部検者端末5の間、内部検者端末3と外部検者端末5との間、2以上の眼科検査装置2の間、2以上の内部検者端末3の間、2以上の外部検者端末5の間における、通信の確立に関する制御を実行する。例えば、通信制御部401は、複数の眼科検査装置2、1以上の内部検者端末3、及び1以上の外部検者端末5を含む複数の装置のうちから後述の選択部412によって選択された装置のそれぞれに向けて、通信を確立するための制御信号を送信することができる。
転送制御部402は、通信確立部41(及び通信制御部401)により通信が確立された装置の間における情報のやりとりに関する制御を行う。例えば、転送制御部402は、通信確立部41(及び通信制御部401)により通信が確立された少なくとも3つの装置のうちの1つの装置から送信された情報を、他の2以上の装置の少なくとも一部に転送する。
転送制御部402が実行する処理の具体例を説明する。眼科検査装置2と外部検者端末5との間の通信が確立された場合、転送制御部402は、眼科検査装置2(又は外部検者端末5)から送信された情報を外部検者端末5(又は眼科検査装置2)に転送する。このとき、転送制御部402は、眼科検査装置2等から送信された情報を加工して得られた情報を外部検者端末5等に送信するようにしてもよい。例えば、転送制御部402は、眼科検査装置2等から送信された情報の一部を抽出して外部検者端末5等に送信することができる。また、眼科検査装置2等から送信された情報(例えば被検眼Eの画像データ)を管理装置4又は他装置によって解析し、その解析結果(及び元の情報)を外部検者端末5等に送信するようにしてもよい。なお、情報の加工は、このような抽出や解析には限定されず、任意のデータ処理を含んでいてよい。
転送制御部402が実行する処理の他の具体例を説明する。2つの検者端末の間の通信が確立された場合、転送制御部402は、一の検者端末から送信された情報を他の検者端末に転送する。このとき、転送制御部402は、一の検者端末から送信された情報を加工して得られた情報を他の検者端末に送信するようにしてもよい。例えば、転送制御部402は、一の検者端末から送信された情報の一部を抽出して他の検者端末に送信することができる。また、一の検者端末から送信された情報(例えば撮影部51により得られた画像データ)を管理装置4又は他装置によって解析し、その解析結果(及び元の情報)を他の検者端末に送信するようにしてもよい。なお、情報の加工は任意のデータ処理を含んでいてよい。
〈通信確立部41〉
通信確立部41は、少なくとも1つの眼科検査装置2と少なくとも2つの検者端末とを含む少なくとも3つの装置の間の通信を確立するための処理を実行することができる。本実施形態において「通信の確立」とは、例えば、(1)通信が切断された状態から一方向通信を確立すること、(2)通信が切断された状態から双方向通信を確立すること、(3)受信のみが可能な状態から送信も可能な状態に切り替えること、(4)送信のみが可能な状態から受信も可能な状態に切り替えること、のうちの少なくとも1つを含む概念である。
具体例として、「通信の確立」には、眼科検査装置2を使用して実施されている検査を内部検者端末3又は外部検者端末5を用いて検者が監視している状態(受信のみ可能な状態)から、被検者に指示を送信可能な状態に切り替えることが含まれてよい。他の具体例として、「通信の確立」には、一の検者端末を用いた検査のアシストの状況を他の検者端末を用いて監視している状態から、一の検者端末にメッセージを送信可能な状態に切り替えることが含まれてよい。
更に、通信確立部41は、確立されている通信を切断する処理を実行可能である。本実施形態において「通信の切断」とは、例えば、(1)一方向通信が確立された状態から通信を切断すること、(2)双方向通信が確立された状態から通信を切断すること、(3)双方向通信が確立された状態から一方向通信に切り替えること、(4)送信及び受信が可能な状態から受信のみが可能な状態に切り替えること、(5)送信及び受信が可能な状態から送信のみが可能な状態に切り替えること、のうちの少なくとも1つを含む概念である。
具体例として、「通信の切断」には、外部検者端末5を用いて外部検者が被検者に指示を送信可能な状態(送信及び受信が可能な状態)から、検査の監視のみが可能な状態(受信のみ可能な状態)に切り替えることが含まれてよい。他の具体例として、「通信の切断」には、2つの検者端末の間の通信状態を、双方向通信から一方向通信又は無通信に切り替えることが含まれてよい。
眼科検査装置2及び検者端末(内部検者端末3、外部検者端末5)のそれぞれは、他装置(そのユーザ)を呼び出すための通信要求(呼び出し要求)を他装置に送信することができる。また、眼科検査装置2及び検者端末(内部検者端末3、外部検者端末5)のそれぞれは、他の2つの装置の間の通信に割り込むための通信要求(割り込み要求)を他装置に送信することができる。眼科検査装置2及び検者端末(内部検者端末3、外部検者端末5)のそれぞれは、他種別の通信要求を送信可能であってもよい。通信要求は、手動又は自動で発信される。
本例では、眼科検査装置2及び検者端末(内部検者端末3、外部検者端末5)のそれぞれは、管理装置4に通信要求を送信することができる。管理装置4(通信部42)は、眼科検査装置2又は検者端末から送信された通信要求を受信し、この通信要求に応じた処理を実行する。
実施形態において、通信確立部41は選択部412を含んでいてよい。選択部412は、受信された通信要求に基づいて、眼科検査装置2、内部検者端末3、及び外部検者端末5のうち、通信要求を送信した装置以外の2以上の装置を選択する。
例えば、眼科検査装置2からの通信要求を受けた場合、選択部412は、例えば、この眼科検査装置2が設置されている施設の内部検者端末3と、外部検者端末5のいずれかとを含む、2以上の検者端末を選択する。通信確立部41は、選択された2以上の検者端末と、通信要求を発信した眼科検査装置2との間の通信を確立する。なお、眼科検査装置2と内部検者端末3との間の双方向通信等が既に確立されている場合、通信確立部41は、例えば、この内部検者端末3以外の検者端末(当該施設又は他施設に設置された内部検者端末3、外部検者端末5等)と眼科検査装置2との間の通信の確立のみを実行してもよい。このような通信確立処理により、眼科検査装置2の被検者の要求に応じて検者を自動で選択して検査支援を提供することができる。
他の例を説明する。検者端末(内部検者端末3又は外部検者端末5)からの通信要求を受けた場合、選択部412は、例えば、この内部検者端末3が設置されている施設の眼科検査装置2と、外部検者端末5のいずれかとを含む、2以上の検者端末を選択する。通信確立部41は、選択された1以上の眼科検査装置2と1以上の検者端末と、通信要求を発信した検者端末との間の通信を確立する。例えば、通信要求を発信した検者端末と眼科検査装置2との間の双方向通信等が既に確立されている場合、通信確立部41は、この検者端末以外の検者端末と眼科検査装置2との間の通信の確立のみを実行してもよい。このような通信確立処理により、検者の要求に応じて他の検者又は被検者を自動で選択して支援を提供することができる。
通信要求に応じた装置の選択は、例えば、予め設定された属性に基づいて実行される。この属性の例として、検査の種別や、検査のアシストに要求される専門度・熟練度や、言語の種別などがある。本例を実現するために、通信確立部41は、予め作成された属性情報が記憶された記憶部411を含んでいてよい。
本例では、属性情報は、内部検者端末3及び/又はその使用者(内部検者)の属性を表す情報と、外部検者端末5及び/又はその使用者(外部検者)の属性を表す情報とを含む。ここで、内部検者及び外部検者は、例えば、事前に割り当てられた検者IDによって識別される。また、内部検者端末3及び外部検者端末5は、例えば、事前に割り当てられた装置IDやネットワークアドレスによって識別される。典型的な例において、属性情報は、各検者(内部検者及び外部検者のそれぞれ)の属性として、当該検者が支援可能な検査の種別と、当該検者の専門度・熟練度と、当該検者が使用可能な言語の種別とを含む。
他の例において、属性情報は、内部検者端末3及び/又はその使用者(内部検者)の属性を表す情報と、外部検者端末5及び/又はその使用者(外部検者)の属性を表す情報とのうちの一方を含んでいてよい。或いは、属性情報は、検者端末の種別を問わず、所定の検者端末又はその使用者(検者)の属性を示す情報を含んでいてもよい。属性情報に含まれる情報(検者端末、検者、属性等)を編集することができる。
選択部412が属性情報を参照する場合、眼科検査装置2、内部検者端末3、又は外部検者端末5から送信される通信要求は、属性に関する情報を含んでいてよい。例えば、眼科検査装置2から送信される通信要求(例えば呼び出し要求)は、次のいずれかを含んでいてよい:(1)眼科検査装置2により実施されている検査の種別を示す情報;(2)検査支援の難易度を示す情報(検査が困難な被検眼又は被検者であることを示す情報、検査の進行状況を示す情報など);(3)被検者の疾患名や年齢等を示す情報;(4)被検者の使用言語を示す情報。選択部412は、受信された通信要求と属性情報とに基づいて、いずれかの内部検者端末3及びいずれかの外部検者端末5の少なくとも一方を選択する。このとき、選択部412は、通信要求に含まれる属性に関する情報と、属性情報に含まれる情報とを照合する。それにより、選択部412は、例えば次のいずれかの検者に対応する内部検者端末3及び/又は外部検者端末5を選択する:(1)当該検査種別の支援が可能な検者;(2)当該難易度の検査の支援が可能な検者;(3)当該疾患や当該年齢の被検者の支援が可能な検者;(4)当該言語の使用が可能な検者。ここで、内部検者と内部検者端末3との対応、及び、外部検者と外部検者端末5との対応は、例えば、システムへのログイン時に検者端末(装置IDが付与されている)に入力された検者IDによってなされる。
〈通信部42〉
通信部42は、他装置(眼科検査装置2、内部検者端末3、外部検者端末5等)との間でデータ通信を行う。データ通信の方式や暗号化については、眼科検査装置2の通信部24と同様であってよい。
〈使用形態〉
本実施形態の眼科検査システム1の使用形態の典型的な例を説明する。
〈使用形態の第1の例〉
眼科検査システム1の使用形態の第1の例として、被検者が検者にアシストを要求するための使用形態を説明する。本例では図6を参照する。
(S1:検査開始)
複数の眼科検査装置2−inのいずれかである眼科検査装置2を用いた被検眼Eの検査が開始される。なお、眼科検査装置2と1以上の検者端末(内部検者端末3及び/又は外部検者端末5)との間の通信(一方向通信又は双方向通信)をこの段階から開始するようにしてもよい。また、検査の開始を受けて、眼科検査装置2の制御部20は、検査状況情報生成部22aに検査状況情報の生成を開始させる。
(S2:検者呼び出し要求)
被検者は、検者のアシストが必要なとき、ユーザインターフェイス部23を利用して検者を呼び出す。検者のアシストが必要なときの例として、検査のやり方が分からないとき、使用言語を理解できないとき、疲れたとき、検査のステップを戻したいときなどがある。また、呼び出し要求を入力するためのユーザインターフェイス部23の利用方法の例として、操作装置232による所定の操作の実施や、音声入力装置234による音声の入力がある。
(S3:要求・情報の送信)
制御部20は、ステップS2で入力された検者呼び出し要求(通信要求)を所定の情報とともに管理装置4に送信するよう通信部24を制御する。検者呼び出し要求とともに送信される情報の例として、眼科検査装置2に予め割り当てられた識別情報(装置ID)、被検者に予め割り当てられた識別情報(被検者ID)、眼科検査装置2が設置された施設に予め割り当てられた識別情報(施設ID)、現時点までに生成された検査状況情報の少なくとも一部、検者呼び出し要求の内容などがある。
(S4:検者端末の選択)
管理装置4は、ステップS3で眼科検査装置2から送信された検者呼び出し要求及び情報を通信部42によって受信する。選択部412は、当該被検者をアシストする検者を選択する。つまり、選択部412は、当該被検者が検査を行っている施設に設置された内部検者端末3、他の施設に設置された内部検者端末3、及び、外部検者端末5のうち、少なくとも2つを選択する。
典型的な例では、当該被検者が検査を行っている施設に設置された内部検者端末3と眼科検査装置2とはステップS1の段階で通信が開始されており、ステップS4の段階では、当該内部検者端末3と異なる1以上の検者端末(同施設又は他施設に設置された内部検者端末3、及び/又は、外部検者端末5)が選択される。換言すると、本例では、選択部412は、既に通信が開始された内部検者端末3と、1以上の他の検者端末とを含む、2以上の検者端末を選択する。
検者端末を選択する処理の例を説明する。選択部412は、例えば、それぞれの検者端末(内部検者端末3、各外部検者端末5)の稼動状態(通信の確立情報)を監視する機能を備えていてよい。選択部412は、この監視機能により、現在稼働していない検者端末(アシストを現在行っていない検者、アシストを行っているが余裕のある検者、アシストの予約が入っていない検者など)のいずれかを選択することができる。それにより、他の被検者に対するアシストを現在行っていない検者を、呼び出し要求を送った被検者のアシストに割り当てることができる。
なお、上記監視機能は、例えば、定期的又は非定期的に検者端末から入力される情報や、検者端末に送信した情報に対する反応などに基づいて、各検者端末の稼動状態をフラグ等で管理することにより実現可能である。
他の例において、選択部412は、内部検者端末3及び外部検者端末5を含む複数の検者端末のうち、通信要求に対応する検者端末について、通信が現に確立されているか否か判定することができる。当該検者端末の通信が確立されていない場合、選択部412は、当該検者端末と眼科検査装置2との間の通信を確立することができる。他方、当該検者端末の通信が既に確立されている場合、選択部412は、他の検者端末と眼科検査装置2との間の通信を確立することができる。
具体例を説明する。当該施設内の全ての内部検者端末3が稼働中である場合、つまり、当該施設内の内部検者端末3のそれぞれと、他の眼科検査装置2及び/又は外部検者端末5との間の通信が確立されている場合、選択部412は、例えば、他施設内に設置された内部検者端末3及び/又は外部検者端末5のうち、稼働中でない検者端末のいずれかを選択することができる。
他方、当該施設内のいずれかの内部検者端末3が稼働中でない場合、選択部412は、稼働中でない内部検者端末3のいずれかを選択することができる。
本例によれば、複数の検者端末の稼働状態を総合的に勘案することで、被検者へのアシストを迅速に提供することができる。なお、本例についても、例えば、各検者端末の稼動状態をフラグ等により管理することで実現される。
(S5:通信確立のための制御信号の送信)
通信制御部401は、ステップS4で選択された検者端末のそれぞれに、当該検者端末と眼科検査装置2との間の通信を確立するための制御信号を送信する。図6の例において、検者端末は、内部検者端末3又は外部検者端末5であってよい。
(S6:双方向通信の開始)
ステップS5で送信された制御信号により、検者端末と眼科検査装置2との間の双方向通信が確立される。このとき、更に、2以上の検者端末の間の通信を確立することもできる。なお、前述したように、これ以前の段階で通信を確立するように構成してもよい。
(S7:撮影開始)
ステップS5で眼科検査装置2と外部検者端末5との間の通信が確立された場合、管理装置4の転送制御部402は、ステップS3で眼科検査装置2から送信された情報をこの外部検者端末5に送る。外部検者端末5の制御部50は、撮影部51を制御して検者の動画撮影を開始させる。このとき、検者が発する音声の入力も開始される。撮影部51により逐次に取得されるフレームは、リアルタイムで管理装置4を介して眼科検査装置2に転送される。この処理は転送制御部402によって実行される。
ステップS5で眼科検査装置2と内部検者端末3との間の通信が確立された場合においても、同様の撮影を行うことができる。例えば、眼科検査装置2と他施設に設置された内部検者端末3との間の通信が確立された場合であって、この内部検者端末3が撮影部(図4に示す撮影部51と同様の構成を有する)を備えている場合、同様の処理を実行することができる。具体例において、管理装置4の転送制御部402は、ステップS3で眼科検査装置2から送信された情報をこの内部検者端末3に送る。内部検者端末3の制御部30は、図示しない撮影部を制御して検者の動画撮影を開始させる。このとき、検者が発する音声の入力も開始される。撮影部により逐次に取得されるフレームは、リアルタイムで管理装置4を介して眼科検査装置2に転送される。この処理は転送制御部402によって実行される。
ステップS4で選択された2以上の検者端末の間の通信が確立された場合においても、同様の撮影を行うことができる。例えば、眼科検査装置2と同じ施設に設置された内部検者端末3と、外部検者端末5(又は他施設に設置された内部検者端末3)との間の通信が確立された場合、同様の処理を実行することができる。具体例において、外部検者端末5の制御部50は、撮影部51を制御して検者の動画撮影を開始させる。このとき、検者が発する音声の入力も開始される。撮影部51により逐次に取得されるフレームは、リアルタイムで管理装置4を介して内部検者端末3に転送される。この処理は転送制御部402によって実行される。
(S8:動画表示・音声出力の開始)
眼科検査装置2は、外部検者端末5(及び/又は内部検者端末3)から逐次に送信されるフレーム及び音声情報を受信する。出力制御部201は、逐次に受信されるフレームをLCD214にリアルタイムで表示させる。それにより、検者の動画像がリアルタイムで表示される。また、出力制御部201は、逐次に受信される音声情報を音声出力装置233にリアルタイムで出力させる。それにより、検者の音声がリアルタイムで出力される。
このような連係動作により、被検者は、検者の顔や身振り手振りや音声をリアルタイムで把握することができる。逆に、検者も、被検者の音声や操作をリアルタイムで把握することができる。このような双方向の情報のやりとりは、主として管理装置4の転送制御部402によって実現される。
同様に、ステップS4で選択された2以上の検者端末の間の通信が確立された場合、2以上の検者端末のうちの一の検者端末は、他の検者端末から逐次に送信されるフレーム及び音声情報を受信する。典型例では、眼科検査装置2と同じ施設に設置された内部検者端末3が「一の検者端末」であり、外部検者端末5又は他施設に設置された内部検者端末3が「他の検者端末」である。この場合、眼科検査装置2と同じ施設に設置された内部検者端末3の制御部30は、外部検者端末5(又は他施設に設置された内部検者端末3)から逐次に受信されるフレームを表示装置311にリアルタイムで表示させる。それにより、外部検者端末5(又は他施設に設置された内部検者端末3)を使用する検者の動画像がリアルタイムで表示される。また、制御部30は、外部検者端末5(又は他施設に設置された内部検者端末3)から逐次に受信される音声情報を音声出力装置313にリアルタイムで出力させる。それにより、外部検者端末5(又は他施設に設置された内部検者端末3)を使用する検者の音声がリアルタイムで出力される。
このような連係動作により、他の検者のサポートを受けたい検者に対してリアルタイムでサポートを提供することができる。このような双方向の情報のやりとりは、主として管理装置4の転送制御部402によって実現される。
(S9:情報の表示開始)
検者によるアシスト作業を容易化するために、検者端末(内部検者端末3、外部検者端末5等)の制御部(制御部30、50等)は、前述した画面(GUI等)を表示装置(表示装置311、521等)に表示させる。更に、検者端末(内部検者端末3、外部検者端末5等)の制御部(制御部30、50等)は、眼科検査装置2から管理装置4を介して転送された情報(特に検査状況情報)をこの画面に表示させることができる。新たな検査状況情報を受けると、制御部(制御部30、50等)は表示内容を更新する。それにより、検者は、眼科検査装置2を用いて行われている検査の状況を実質的にリアルタイムで把握することができ、視覚情報や音声情報を利用して適切なタイミングで適切なアシストを提供することができる。
(S10:指示の入力開始)
検者は、操作装置(操作装置312、522等)及びGUI等を利用して、所望の指示を入力する。指示の内容の例として、検査の変更、文字列情報の提示、画像情報の提示などがある。また、GUI以外の手段を利用した指示として、身振り手振りによる指示や、音声による指示などがある。
(S11:情報の生成開始)
外部検者端末5の送信情報生成部53は、ステップS10で入力された内容(指示)に基づいて、被検者に向けた送信情報を生成する。送信情報の生成は、例えば、検者が指示の入力を行う度に実行される。
また、内部検者端末3の送信情報生成部32は、ステップS10で入力された内容(指示)に基づいて、被検者に向けた送信情報を生成する。送信情報の生成は、例えば、検者が指示の入力を行う度に実行される。
ステップS4で選択された2以上の検者端末の間の通信が確立された場合、外部検者端末5の送信情報生成部53は、他の検者端末に向けた送信情報を生成することができる。同様に、内部検者端末3の送信情報生成部32は、他の検者端末に向けた送信情報を生成することができる。
(S12:情報の送信開始)
検者端末(外部検者端末5、内部検者端末3)は、ステップS11で生成された送信情報を管理装置4を介して眼科検査装置2に送信する。この処理は転送制御部402によって実現される。
同様に、ステップS4で選択された2以上の検者端末の間の通信が確立された場合、一の検者端末は、ステップS11で生成された送信情報を管理装置4を介して他の検者端末に送信する。この処理は転送制御部402によって実現される。
(S13:アシスト開始)
眼科検査装置2は、ステップS12で検者端末から送信された送信情報を受信する。出力制御部201は、送信情報に基づいて、検者の動画像や指示をLCD214に表示させる。
同様に、ステップS12で一の検者端末から他の検者端末に送信情報が送信された場合、他の検者端末は、一の検者端末から送信された送信情報を受信し、この送信情報に基づいてメッセージを表示する。
検者から被検者に提供される指示の具体例を以下に説明する。検査の変更は、視力検査に用いられる視標の種類をランドルト環からイラストチャートに切り替える動作を含むとする。イラストチャートはイラストからなる視標であり、例えば、複数段階の視力値に相当する文字や画像を日常見慣れた風景に含めて形成された視標である。検査の変更の指示は、例えば、GUIに設けられた所定のソフトウェアキーを操作することにより実施される。眼科検査装置2の出力制御部201は、検査の変更の指示を受けて、LCD214に表示される視力検査用の視標をランドルト環からイラストチャートに切り替える。
ランドルト環を用いた視力検査のための表示の例を図7Aに示す。図7Aに示す表示内容600には、「C」形状のランドルト環と、このランドルト環に対応する視力値を表す文字列「視力値:0.5」と、ランドルト環の切り欠き部の方向を選択入力するためにランドルト環の周囲に配置された上下左右それぞれの方向の矢印画像とが含まれる。
イラストチャートを用いた視力検査のための表示の例を図7Bに示す。図7Bに示す例では、LCD214にイラストチャート610が表示されている。イラストチャート610には、道路を走行する普通自動車とバス、道路標識、デジタル時計などが記載されている。道路標識が示す制限速度「30」、デジタル時計が示す時刻「8:45」、バスの行先を示す文字列「LPH」、バスのナンバープレートに記された文字列「ATG4」、普通自動車のナンバープレートに記された文字列「FZ59」は、それぞれ異なる視力値に対応する大きさで記載されている。図7Bに示す例では、検者画像表示領域620が更に表示されている。検者画像表示領域620には、検者端末により取得されている検者の動画像が、出力制御部201によってリアルタイムで表示される。
検者の指示の表示の例を図7Cに示す。バスの行先を示す文字列「LPH」を被検者に読ませたい場合、検者は、GUIを用いてそのための操作を行う。出力制御部201は、検者端末から送られた送信情報に基づいて、指示内容を示す指示情報630を表示させる。本例の指示情報630は、文字列「バスの行先を読んで下さい」が記載され、かつ、バスの行先表示を指し示す吹き出し画像である。検者は、このような指示情報630を表示させつつ、音声で指示を行うことも可能である。
被検眼Eの視力に関する情報(視力値、屈折度数等)が予め取得された場合、出力制御部201は、この情報に基づいて指示の表示サイズを調整することができる。出力制御部201は、視力値及び/又は屈折度数と、文字及び/又は画像の表示サイズとが関連付けられたテーブル情報を予め記憶している。指示内容に文字列情報や画像情報が含まれているとき、出力制御部201は、被検眼Eの視力値及び/又は屈折度数に関連付けられた表示サイズを選択し、選択された表示サイズで文字列情報や画像情報をLCD214に表示させる。
図7Cに示す例においては、ポインタ640が更に表示されている。検者は、GUIを用いてポインタ640をリアルタイムで移動させることができる。それにより、例えば、バスの行先表示の位置を示すことが可能である。
ステップS4で選択された2以上の検者端末の間の通信が確立された場合に実行可能な処理の例を説明する。この場合、2以上の検者端末の間でメッセージをやりとりすることができる。典型例では、外部検者端末5又は他施設に設置された内部検者端末3を使用する検者が、眼科検査装置2と同じ施設に設置された内部検者端末3を使用する検者をサポートすることができる。
例えば、眼科検査装置2と同じ施設に設置された内部検者端末3を使用する検者は、操作装置312及びGUI等を利用して、質問や疑問や問題を表すメッセージを入力する。また、撮影部や音声入力装置314を利用してメッセージを入力することもできる。入力されたメッセージは、管理装置4を介して、外部検者端末5(又は、他施設に設置された内部検者端末3)に送られる。外部検者端末5の制御部50は、受信されたメッセージを表示装置521や音声出力装置523に出力させる。それにより、外部検者端末5を使用する検者は、内部検者端末3を使用する検者からのメッセージを把握することができる。
外部検者端末5を使用する検者は、内部検者端末3を使用する検者からのメッセージに対する返答メッセージを、操作装置522及びGUI等を利用して入力することができる。また、撮影部51や音声入力装置524を利用してメッセージを入力することもできる。入力されたメッセージは、管理装置4を介して、内部検者端末3に送られる。内部検者端末3の制御部30は、受信されたメッセージを表示装置311や音声出力装置313に出力させる。それにより、内部検者端末3を使用する検者は、外部検者端末5を使用する検者からの返答メッセージを把握することができる。
〈使用形態の第2の例〉
眼科検査システム1の使用形態の第2の例を説明する。本例においては、被検者に応じた属性の検者を選択してアシストを提供することができる。
図8には、被検者の使用言語に応じて検者を選択する場合の具体例が記載されている。しかし、検者の選択において参照可能な属性の種別は、言語に限定されない。例えば、被検者が高齢である等の理由により検査を円滑に行えない場合などにおいても、同様の処理を実行することが可能である。
なお、図6に記載する第1の例と同様のステップや処理については、説明を省略することがある。また、図8に示す例では、内部検者端末3及び外部検者端末3の2つの検者端末が含まれているが、第2の例において動作する検者端末はこの組み合わせに限定されない。一般に、第2の例では、1以上の内部検者端末3及び1以上の外部検者端末5を含む複数の検者端末のうちから任意に選択された2以上の検者端末が動作する。
(S21:検査開始)
本例では、日本語以外の言語(例えば英語)を母語とする被検者であって日本語の理解が不十分な被検者が、日本国内の施設に設置された眼科検査装置2を用いて検査を行う場合について説明する。眼科検査装置2を用いた被検眼Eの検査が開始される。
(S22:言語を理解不能)
眼科検査装置2は、被検者に向けた検査の説明や指示(自動ナビゲーション)を、予め設定された言語で行う。本例では日本語で説明等を行うように設定されている。本例の被検者は、日本語で行われる自動ナビゲーションを十分に理解できない。
(S23:検者を呼び出し)
検者のアシストを要求するために被検者が所定の操作や音声入力を行うと、通信要求生成部22bがこれに基づく通信要求(呼び出し要求)を生成し、通信部24がこの通信要求及び所定の情報を管理装置4に送信する。或いは、眼科検査装置2の検査状況情報生成部22aが検査状況情報を生成し、通信要求生成部22bがこれに基づく通信要求(呼び出し要求)を生成し、通信部24がこの呼び出し要求及び所定の情報を管理装置4に送信する。
(S24:内部検者端末を選択)
管理装置4は、ステップS23で眼科検査装置2から送信された検者呼び出し要求及び情報を通信部42によって受信する。この段階では、選択部412は、当該被検者をアシストする検者として、当該被検者が検査を行っている施設に存在する内部検者端末3のいずれかを選択する。
(S25:通信確立の制御)
通信制御部401は、ステップS24で選択された内部検者端末3に、この内部検者端末3と眼科検査装置2との間の通信を確立するための制御信号を送信する。
(S26:アシスト開始)
ステップS25の制御によって眼科検査装置2との間の通信が確立された内部検者端末3を使用する内部検者は、当該被検者の状況を確認する。例えば、この内部検者は、当該被検者と直接に会話することにより状況を確認する。或いは、この内部検者は、ステップS25で確立された通信を利用して被検者とやり取りすることによって状況を確認する。
(S27:アシストNG)
この内部検者が状況に対応できる場合、被検者のアシストを継続する。他方、状況に対応できないと判断した場合、内部検者は、外部検者にアシストを依頼するためにステップS28に進む。以下、後者の場合を説明する。
(S28:外部検者の呼び出し)
内部検者は、外部検者にアシストを依頼するために、内部検者端末3を用いて所定の操作を行う。この操作は、例えば、被検者の使用言語の選択操作を含んでいてよい。なお、ステップS23において眼科検査装置2から管理装置4に送信された呼び出し要求又は情報に、被検者の使用言語(英語)を示す情報が含まれている場合などには、内部検者は使用言語の選択操作を行う必要はない。通信部33は、外部検者を呼び出すための通信要求(及び所定の情報)を管理装置4に送信する。
(S29:外部検者端末を選択)
管理装置4は、ステップS28で内部検者端末3から送信された通信要求等を通信部42によって受信する。この段階では、選択部412は、属性情報を参照することで、英語を使用可能な外部検者(又は外部検者端末5)を選択する。このとき、英語を使用可能な外部検者それぞれの稼働状態に応じて一の外部検者を選択することができる。
(S30:通信確立の制御)
通信制御部401は、ステップS29で選択された外部検者端末5に(又は、ステップS29で選択された外部検者が使用している外部検者端末5に)、この外部検者端末5と眼科検査装置2との間の通信を確立するための制御信号を送信する。
(S31:双方向通信の開始)
ステップS30で送信された制御信号により、外部検者端末5と眼科検査装置2との間の双方向通信が確立される。このとき、内部検者端末3と外部検者端末5との間の通信を確立することが可能である。また、内部検者端末3と眼科検査装置2との間の通信の確立を継続することも可能である。
(S32:アシスト開始)
ステップS31において眼科検査装置2との双方向通信が開始された外部検者端末5のユーザである外部検者は、英語を使用しつつ被検者のアシストを遠隔的に行う。
本例によれば、検査を円滑に行えない被検者がいるときに、この被検者に対する直接のコミュニケーションを迅速に開始することができる。それにより、被検者に安心感を与えることができる。この直接のコミュニケーションによって問題が解決されない場合であっても、その解決に適した外部検者を自動で選択して遠隔アシストを提供することが可能である。したがって、様々な属性の内部検者を各施設に常時配置しなくても、様々な被検者に対応することが可能である。
〈眼科検査装置の変形例〉
検査光学系と情報提示光学系とが別々に配置された例を図9に示す。眼科検査装置2Aの検査部21Aにおいて、被検眼Eの検査に用いられる検査光学系は、被検眼Eに適用される光学素子215と、被検眼Eを検査するための検査光束を光学素子215を介して被検眼Eに投射する投射系216とを含む。また、被検者に情報を提示するための情報提示光学系は、LCD217(表示部)と、LCD217から出力された表示光束を光学素子215を介して被検眼Eに導く導光系218とを含む。情報提示光学系によって提示される情報としては、眼科検査装置2Aにより自動で提示される情報や、内部検者端末3から送信された情報(内部検者からの指示等)や、外部検者端末5から送信された情報(外部検者からの指示等)などがある。
検査光学系の光路と情報提示光学系の光路とは、ビームスプリッタ219によって合成される。ビームスプリッタ219は、例えば、ハーフミラー、ダイクロイックミラー又は偏光ビームスプリッタである。なお、検査部21以外の構成要素については図2におけるそれらと同様であってよい。
図2のように検査光学系と情報提示光学系とを共通に構成するか、或いは、図9のようにこれらを個別に構成するかは、例えば眼科検査装置が備える機能に応じて決定される。
〈検者端末による情報の提示〉
検者に情報を提示するための構成及び処理について説明する。上記のように、管理センタや自宅に居る外部検者は、所定の眼科検査装置2を用いて検査を行っている被検者を遠隔地からアシストすることができる。また、所定の眼科検査装置2と異なる施設に居る内部検者は、この眼科検査装置2を用いて検査を行っている被検者を遠隔地からアシストすることができる。更に、一の検者は、他の検者を遠隔地からサポートすることができる。
したがって、被検者又は他の検者の状況を適切に把握するための情報を、適切なタイミング及び適切なインターフェイスで提示できることが望ましい。なお、2以上の検者に対する情報の提示を同様に行うことも可能である。この場合、管理装置4(例えば転送制御部402)は、2以上の検者端末に対する情報提示を同期させるように制御を行うことができる。
検者端末(外部検者端末5、内部検者端末3)の制御部(制御部50、30)は、図10に示す画面1000を表示装置(表示装置521、311)に表示させる。画面1000には、提示情報表示領域1010L及び1010Rと、通信内容表示領域1020と、利用状況表示領域1030と、被検者情報表示領域1040と、提示情報操作領域1050とが設けられている。
提示情報表示領域1010L及び1010Rには、それぞれ、被検者の左眼及び右眼に提示されている情報が表示される。本例では、眼科検査装置2は、被検者の左右両眼に同時に情報を提示可能に構成されている。この眼科検査装置2には、例えば、左眼用の検査光学系及び情報提示光学系と、右眼用の検査光学系及び情報提示光学系とが互いに独立に設けられている(例えば、左眼用光学ヘッドと右眼用光学ヘッドとが設けられている)。他の例として、この眼科検査装置2は、単一の検査光学系からの光束を二分割し、一方を左眼に、他方を右眼にそれぞれ導くように構成されていてもよい。更に他の例として、この眼科検査装置2は、単一の情報提示光学系からの光束を二分割し、一方を左眼に、他方を右眼にそれぞれ導くように構成されていてもよい。左右両眼に同時に情報を提示可能な構成はこれらに限定されず、任意の構成であってよい。
図10に示す提示情報表示領域1010L及び1010Rには、両眼視機能検査用の視標が表示されている。これらは、眼科検査装置2により被検者に現在提示されている視標である。現在提示されている視標を示す情報(視標情報)は、眼科検査装置2から管理装置4に送信され、更に、転送制御部402により検者端末(例えば外部検者端末5。内部検者端末3でもよい。)に転送される。
外部検者端末5の制御部50は、管理装置4から転送された視標情報に基づいて、眼科検査装置2が現在提示している視標の種別を特定し、特定された視標を表す画像を提示情報表示領域1010L及び1010Rに表示させる。視標を表す画像は、例えばサムネイルとして制御部50内の記憶装置(図示せず)に予め記憶されている。或いは、視標情報が、視標を表す画像を含んでいてもよい。眼科検査装置2により提示される視標が変更されると、上記転送処理をリアルタイムで実行する。それにより、外部検者端末5を使用する検者は、眼科検査装置2により提示されている視標を実質的にリアルタイムで認識することができる。
通信内容表示領域1020には、検者と被検者との間の通信内容、特に、検者から被検者に提供された支援の内容が表示される。また、検者同士の通信内容を通信内容表示領域1020にすることもできる。表示される情報は、外部検者により提供された情報、内部検者により提供された情報、及び、被検者からの情報(質問内容、応答内容等)のうちの少なくともいずれかを含んでよい。また、ユーザ(外部検者、内部検者、被検者)毎の情報を通信内容表示領域1020に切り替え表示できるようにしてもよい。また、1以上のユーザからの情報を時系列順に表示させることも可能である。
図10に示す例では、管理センタ「A」内の検者(画面1000を使用している本人)が発した質問の内容と、それに対する被検者の応答の内容とが、通信内容表示領域1020に表示されている。なお、検者や被検者が発した音声情報を公知の音声認識技術を用いてテキスト化して表示することも可能である。また、所定の操作に対して予め関連付けられたテキスト情報を表示するようにしてもよい。
利用状況表示領域1030には、眼科検査装置2が設置されている複数の施設の名称「店舗A」、「店舗B」等が表示されている。更に、これら施設のうちから検者又は管理装置4等が選択した施設(例えば店舗B)に設置された複数の眼科検査装置2の識別情報「装置1」、「装置2」等が表示されている。
図10に示す例では、施設の名称の左側に提示されたマークが選択の有無を示している。例えば、店舗Aや店舗Cに付された白星マークは、その施設が選択されていないことを示し、店舗Bに付された黒星マークは、その施設が選択されていることを示す。なお、このような星マーク群をラジオボタンとして構成することができる。この場合、検者は、これら施設のうちから所望の1つを選択することができる。
更に、選択された店舗Bに設置された装置の識別情報の左側に提示されたマークも同様に、検者又は管理装置4等による選択の有無を示している。図10に示す例では、白丸マークは選択されていないことを示し、黒丸マークは選択されていることを示している。図10に示す例では、この検者が支援を担当する眼科検査装置2(被検者)として、店舗Bに設置された識別情報「装置1」の眼科検査装置2が選択されている。なお、このような丸マーク群をラジオボタンとして構成することができる。この場合、検者は、これら眼科検査装置2のうちから所望の1つを選択することができる。
眼科検査装置2の識別情報の右側には、時間情報(例えば、支援を開始した時刻、支援開始からの経過時間等)と、眼科検査装置2に関する通信確立状態(通信モード)とが提示されている。
ここで通信モードについて説明する。本実施形態では、4つの通信モードを選択的に適用することができる。また、一の通信モードから他の通信モードへの移行を任意に行うことが可能である。
通信モード1は、眼科検査装置2による検査を被検者が単独で行っている状態を示す。通信モード1では、被検者は、内部検者からも外部検者からも支援を受けていない。更に、眼科検査装置2は、内部検者端末3との間の通信も、外部検者端末5との間の通信も確立されていない。なお、前述したように、通信モード1が適用されているときであっても、眼科検査装置2からの情報(検査状況情報、画面1000に表示される情報等)をいずれかの検者端末に送信することができる。それにより、眼科検査装置2による検査を監視することができ、検者は、必要に応じて通信要求を発して支援を開始することができる。また、被検者が支援を要請したとき、その要請に迅速に対応することができる。
通信モード2は、外部検者(又は、他施設に居る内部検者)からの支援を受けながら検査を行っている状態を示す。通信モード2では、眼科検査装置2と外部検者端末5(又は、他施設に設置された内部検者端末3)との間の通信が確立されている。なお、前述したように、通信モード2が適用されているときであっても、眼科検査装置2からの情報を、眼科検査装置2と同じ施設に設置された内部検者端末3に送信することができる。それにより、同施設に居る内部検者は、例えば、直接アシストする必要が生じたときに迅速に対応することができる。
通信モード3は、眼科検査装置2と同じ施設に居る内部検者からの支援を受けながら検査を行っている状態を示す。通信モード3では、眼科検査装置2と、同施設内に設置された内部検者端末3との間の通信が確立されている。なお、前述したように、通信モード3が適用されているときであっても、眼科検査装置2からの情報を外部検者端末5(又は、他施設に設置された内部検者端末3)に送信することができる。それにより、外部検者(又は、他施設に居る内部検者)は、例えば、眼科検査装置2と同じ施設に居る内部検者が手に負えないような状況が発生したときに迅速に対応することができる。
通信モード4は、眼科検査装置2と同じ施設に居る内部検者と、外部検者(又は、他施設に居る内部検者)との双方に支援を受けながら検査を行っている状態を示す。通信モード4では、眼科検査装置2と2以上の検者端末とを含む3以上の装置の間で通信が確立されている。典型的な例においては、眼科検査装置2と、眼科検査装置2と同じ施設に設置された内部検者端末3と、外部検者端末5(又は、他施設に設置された内部検者端末3)との三者間の通信が確立される。
通信モード4は、例えば、2以上の検者が話し合う必要がある場合や、一の検者が他の検者に教育を施す場合などに適用される。なお、管理装置4の転送制御部402は、検者同士の間での通信内容を眼科検査装置2に送信しないように制御を行うことが可能である。例えば、転送制御部402は次のような制御を行うことができる:眼科検査装置2が設置された施設に居る内部検者から外部検者に向けた情報を外部検者端末5のみに転送する;外部検者から内部検者に向けた情報を内部検者端末3のみに転送する;内部検者から被検者に向けた情報を外部検者端末5及び眼科検査装置2に転送する;外部検者から被検者に向けた情報を内部検者端末3及び眼科検査装置2に転送する;眼科検査装置2から出力された情報を外部検者端末5及び内部検者端末3に転送する。
通信モードの切り替えは、例えば、被検者又は検者からの通信要求(呼び出し要求、割り込み要求)を受けた管理装置4によって実行される。具体例において、通信モード1のときに被検者からの呼び出し要求が発生すると、通信モード2、3又は4に切り替えられる。どの通信モードに切り替えられるかは、例えば、被検者又は検者による指定や、検査状況情報の内容や、前述した属性などに応じて決定される。
通信モード1のときに、同施設内に居る内部検者からの割り込み要求が発生すると、通信モード3又は4に切り替えられる。同様に、通信モード1のときに外部検者(又は、他施設に居る内部検者)からの割り込み要求が発生すると、通信モード2又は4に切り替えられる。また、通信の切断(通信確立状態からの離脱)は、例えば、本人の選択や、被検者の選択や、検査の終了などに応じて行われる。
被検者情報表示領域1040には、被検者に関する情報が提示される。図10に示す例では、被検者の各眼の測定値(屈折度、乱視度、乱視軸角度、加入度、視力値等)や、各眼の前眼部像や、被検者の顔画像などが表示される。更に、氏名、年齢、性別、疾患名、使用言語、検査困難度など、被検者に関する任意の情報を提示することも可能である。
提示情報操作領域1050には、被検者に提示される情報を操作するためのGUI(ソフトウェアキー等)が設けられている。図10に示す例では、被検者に提示される視標を選択するためのGUI(視標の選択肢、度数変更用ダイヤル等)と、各種の操作ボタン(印刷、エクスポート等)とが設けられている。外部検者端末5を使用する検者は、操作装置522を用いることで、提示情報操作領域1050に設けられたソフトウェアキー等を操作する。同様に、内部検者端末3を使用する検者は、操作装置312を用いることで、提示情報操作領域1050に設けられたソフトウェアキー等を操作する。
〈作用・効果〉
実施形態の作用及び効果について説明する。
実施形態の眼科検査システムは、複数の眼科検査装置(2)と、複数の検者端末(内部検者端末3及び/又は外部検者端末5)と、通信確立手段と、情報送信手段と、出力手段とを含む。複数の眼科検査装置のそれぞれは、被検眼の検査(測定、撮影等)に使用され、被検眼のデータを取得する。複数の検者端末は、複数の検者により使用される。複数の検者には、例えば、眼科検査装置と同じ施設内に居る検者、眼科検査装置と異なる施設に居る検者、自宅に居る検者などが含まれる。
通信確立手段は、複数の眼科検査装置の少なくとも1つと複数の検者端末の少なくとも2つとを含む少なくとも3つの装置の間の通信を確立することが可能に構成される。上記の実施形態では、通信確立部41が通信確立手段として機能する。なお、通信確立手段は管理装置に設けられている必要はない。例えば、複数の眼科検査装置のいずれか、複数の検者端末のいずれか、他の眼科装置、他の情報処理装置などに、通信確立手段を設けることができる。
情報送信手段は、通信確立手段により通信が確立された少なくとも3つの装置のうちのいずれかから送信された情報の少なくとも一部を、他の2以上の装置のうちの少なくとも1つの装置に送信するように構成される。上記の実施形態では、転送制御部402及び通信部42の組み合わせが情報送信手段として機能する。なお、情報送信手段は管理装置4に設けられている必要はない。例えば、複数の眼科検査装置のいずれか、複数の検者端末のいずれか、他の眼科装置、他の情報処理装置などに、情報送信手段を設けることができる。眼科検査装置に情報送信手段が設けられている場合、眼科検査装置から検者端末等に直接に情報を送信することができる。同様に、検者端末に情報送信手段が設けられている場合、検者端末から眼科検査装置又は他の検者端末に直接に情報を送信することができる。
出力手段は、情報送信手段により送信された情報を出力するように構成される。上記の実施形態では、眼科検査装置2のLCD214、表示装置231、及び音声出力装置233のそれぞれが出力手段として機能する。また、内部検者端末3の表示装置311及び音声出力装置313のそれぞれが出力手段として機能する。更に、外部検者端末5の表示装置521及び音声出力装置523のそれぞれが出力手段として機能する。なお、出力手段は、眼科検査装置又は検者端末の一部でなくてもよい。例えば、出力手段は、眼科検査装置に接続された表示装置、又は、検者端末に接続された表示装置であってよい。
このような実施形態によれば、遠隔検査において発生する様々な状況に対応することができる。例えば、被検者の要望や検者の判断に応じて迅速に被検者をアシストすることができる。また、検者の要望や他の検者の判断に応じて迅速に検者をサポートすることができる。また、検査内容に対する被検者の理解の程度に応じ、適切なタイミングで適切な指示を出すことが可能となる。また、被検者に検者が付き添っていない場合、被検者の様子や検査の進行状況等を実質的にリアルタイムで把握して被検者をアシストすることが可能である。また、被検者に検者が付き添っている場合、当該検者の様子や検査の進行状況等を実質的にリアルタイムで把握して当該検者をサポートすることができる。また、アシストを好適に行うために必要な能力を持つ検者(専門性の高い検者、熟練者、外国語を使用可能な検者など)を的確に被検者に割り当てることが可能である。
実施形態の眼科検査システムは、複数の眼科検査装置及び複数の検者端末のいずれかから通信要求を受信する通信要求受信手段を含んでよい。この場合、通信確立手段は、選択手段を含んでよい。選択手段は、通信要求受信手段により受信された通信要求に基づいて、複数の眼科検査装置及び複数の検者端末のうち、通信要求を送信した装置以外の2以上の装置を選択する。更に、通信確立手段は、通信要求を送信した装置と選択手段により選択された2以上の装置とを含む少なくとも3つの装置の間の通信を確立するよう構成されてよい。なお、上記の実施形態では、通信部24、33、42、54等が通信要求受信手段として機能する。また、選択部412が選択手段として機能する。
このような構成によれば、眼科検査装置及び検者端末のいずれかからの通信要求(呼び出し要求、割り込み要求等)に応じて、この要求元と他装置との間の通信を確立することができる。例えば、被検者からの支援の要請に応じて内部検者や外部検者を選択し、この被検者のアシストを担当させることができる。また、内部検者や外部検者は、検査の状況や他の検者による支援状況などに基づいて、サポートの提供を申し出ることができる。
実施形態において、通信確立手段は、記憶手段を含んでいてよい。記憶手段には、複数の検者端末の少なくとも一部について、その使用者の属性を表す属性情報が予め記憶される。この場合、通信要求は、使用者の属性に関する情報を含んでいてよい。更に、選択手段は、通信要求受信手段により受信された通信要求と属性情報とに基づいて、複数の検者端末からの選択を実行するように構成される。なお、上記の実施形態では、記憶部411が記憶手段として機能する。
このような構成によれば、被検者の状況や検者の状況や検査の状況に合致した属性を持つ検者を選択し、被検者のアシストや検者のサポートを担当させることができる。なお、検者端末と検者とが常に一対一に対応付けられている場合には、検者端末の属性と検者の属性とを同一視することができる。このような一対一対応が無い場合、例えば、検者端末の使用時に入力された検者IDによって検者端末と検者とを対応付け、この対応関係を参照して検者端末の選択(検者の選択)を行うことができる。
実施形態において、複数の眼科検査装置の少なくとも一部が、検査状況情報生成手段、通信要求生成手段、及び通信要求送信手段を含んでいてよい。検査状況情報生成手段は、眼科検査装置を用いた被検眼の検査の状況を表す検査状況情報を生成するよう構成される。通信要求生成手段は、検査状況情報生成手段により生成された検査状況情報に基づいて通信要求を生成するよう構成される。通信要求送信手段は、通信要求生成手段により生成された通信要求を通信要求受信手段に向けて送信するよう構成される。上記の実施形態では、検査状況情報生成部22aが検査状況情報生成手段として機能し、通信要求生成部22bが通信要求生成手段として機能し、通信部24が通信要求送信手段として機能している。
このような構成によれば、被検者の状況や検査の状況に応じて通信要求を自動で生成して送信することができる。それにより、被検者のアシストを迅速に開始することが可能となる。また、アシストが必要な被検者を見逃す可能性が低減される。
実施形態において、複数の眼科検査装置及び複数の検者端末のそれぞれは、通信要求受信手段に向けて通信要求を送信するための指示を受け付けるユーザインターフェイスを含んでよい。上記の実施形態では、ユーザインターフェイス部23、31、52等がユーザインターフェイスとして機能する。典型的には、ユーザインターフェイスは、操作装置232、312、522や、音声入力装置234、314、524を含む。また、ユーザインターフェイス部23、31、52等をそれぞれ制御する制御部20、30、50等が含まれていてもよい。
このような構成によれば、被検者や検者は所望のタイミングで通信要求を発信することができる。
実施形態において、複数の眼科検査装置のいずれかからの通信要求を通信要求受信手段が受信したとき、選択手段は、次のような処理を実行するように構成されてよい。まず、選択手段は、複数の検者端末のうち通信要求に対応する第1検者端末の通信が現に確立されているか否か判定する。第1検者端末の通信が確立されていないと判定された場合、選択手段は、第1検者端末を選択する。他方、第1検者端末の通信が確立されていると判定された場合、選択手段は、第1検者端末と異なる第2検者端末を選択する。ここで、通信要求に対応する第1検者端末は、例えば、この眼科検査装置と同じ施設に設置された内部検者端末、所定の属性の内部検者端末(内部検者)、又は、所定の属性の外部検者端末(外部検者)であってよい。
このような構成によれば、被検者からアシスト要請が発せられたとき、当該施設内の内部検者が他の被検者を支援している場合には、他施設内の内部検者や外部検者にアシスト要請を送ることができる。逆に、適当な外部検者及び他施設の内部検者が他の被検者又は検者を支援している場合には、当該施設内の内部検者にアシスト要請を送ることができる。それにより、アシストが必要な被検者を迅速にアシストすることができる。
なお、当該施設内の内部検者、適当な外部検者、及び、他施設内の適当な内部検者のいずれもが、他の被検者や検者に対応していることも考えられる。この場合、例えば、アシスト提供まで時間が掛かる旨のメッセージを被検者に提示することや、被検者が待っている旨のメッセージを検者に提示するように制御を行うことができる。
実施形態において、情報送信手段は、複数の検者端末のうちの第3検者端末と複数の眼科検査装置のいずれかとの間で通信された情報の少なくとも一部を、第3検者端末と異なる第4検者端末に送信するよう構成されてよい。この場合、第4検者端末は、第1表示手段と第1表示制御手段とを含んでよい。第1表示制御手段は、情報送信手段により送信された情報を第1表示手段に表示させるよう構成される。
上記の実施形態において、第3検者端末が内部検者端末3である場合、第4検者端末は他の内部検者端末3及び/又は外部検者端末5である。他方、第3検者端末が外部検者端末5である場合、第4検者端末は他の外部検者端末5及び/又は内部検者端末3である。内部検者端末3が第4検者端末である場合、表示装置311が第1表示手段として機能し、制御部30が第1表示制御手段として機能する。また、外部検者端末5が第4検者端末である場合、表示装置521が第1表示手段として機能し、制御部50が第1表示制御手段として機能する。
このような構成によれば、或る検者が被検者とやり取りした内容を他の検者に提供することができる。それにより、追加的なアシストや検者の教育を好適に行うことが可能となる。
実施形態において、情報送信手段は、通信確立手段による現在の通信確立状態を表す情報を複数の検者端末のうちの第5検者端末に送信するよう構成されてよい。この場合、第5検者端末は、第2表示手段と第2表示制御手段とを含んでよい。第2表示制御手段は、情報送信手段により送信された情報を第2表示手段に表示させるよう構成される。
上記の実施形態において、第5検者端末は、内部検者端末3及び/又は外部検者端末5であってよい。内部検者端末3が第5検者端末である場合、表示装置311が第2表示手段として機能し、制御部30が第2表示制御手段として機能する。また、外部検者端末5が第5検者端末である場合、表示装置521が第2表示手段として機能し、制御部50が第2表示制御手段として機能する。
このような構成によれば、検者は、眼科検査装置に対してどのようなアシストが行われているか把握することができる。それにより、追加的なアシストや検者の教育を好適に行うことが可能となる。
実施形態において、複数の眼科検査装置の少なくとも一部は、視標提示手段と視標情報生成手段とを含んでいてよい。視標提示手段は、視力検査のための視標を被検眼に提示するよう構成される。視標情報生成手段は、視標提示手段により提示されている視標を示す視標情報を生成するよう構成される。更に、情報送信手段は、視標情報生成手段により生成された視標情報を複数の検者端末のうちの第6検者端末に送信するよう構成されてよい。加えて、第6検者端末は、第3表示手段と第3表示制御手段とを含んでよい。第3表示制御手段は、情報送信手段により送信された視標情報に基づいて、被検眼に提示されている視標を第3表示手段に表示させるように構成される。
上記の実施形態において、眼科検査装置2の検査部21、21Aが視標提示手段として機能し、検査状況情報生成部22a(又は制御部20等)が視標情報生成手段として機能する。また、第6検者端末は、内部検者端末3及び/又は外部検者端末5であってよい。内部検者端末3が第6検者端末である場合、表示装置311が第3表示手段として機能し、制御部30が第3表示制御手段として機能する。また、外部検者端末5が第6検者端末である場合、表示装置521が第3表示手段として機能し、制御部50が第3表示制御手段として機能する。
このような構成によれば、検者は、被検眼に現在提示されている視標を容易に把握することができる。それにより、視力検査のアシストを好適に行うことが可能となる。特に、被検者の視力検査が行われている施設の外部に居る検者による遠隔的なアシストを好適に行うことが可能となる。
実施形態において、第3表示制御手段は、視標を選択するためのグラフィカルユーザインターフェイスを第3表示手段に表示させてよい。この場合、第6検者端末は、視標選択情報生成手段を含んでよい。視標選択情報生成手段は、グラフィカルユーザインターフェイスによって選択された視標を示す視標選択情報を生成するよう構成される。情報送信手段は、視標選択情報生成手段により生成された視標選択情報を、視標情報を生成した眼科検査装置に送信するよう構成される。この眼科検査装置の視標提示手段は、情報送信手段により送信された視標選択情報に対応する視標を被検眼に提示するよう構成される。
上記の実施形態では、図10に示す提示情報操作領域1050がグラフィカルユーザインターフェイスとして機能する。提示情報操作領域1050には、被検者に提示される視標を選択するためのGUI(視標の選択肢、度数変更用ダイヤル等)が設けられている。内部検者端末3が第6検者端末である場合、送信情報生成部32(又は制御部30)が視標選択情報生成手段として機能する。また、外部検者端末5が第6検者端末である場合、送信情報生成部53(又は制御部50)が視標選択情報生成手段として機能する。
このような構成によれば、検者端末を操作することによって被検眼に提示される視標を選択したり変更したりすることができる。
検者(例えば非熟練者)の教育や検者の評価などの所定の用途のために、実際に行われた支援の内容を記録することができる。例えば、検者と被検者との間でやり取りされた情報の履歴や、検者同士の間でやり取りされた情報の履歴や、視力検査において被検者に提示された視標の履歴(順序等)を記録することができる。また、支援を行っている検者を録画(例えば動画撮影)したり、支援を受けている被検者を録画したりすることできる。
複数の眼科検査装置と複数の検者端末とを含む遠隔システムを管理するための装置として上記の実施形態の管理装置4を用いることができる。このような管理装置は、上記実施形態において説明された管理装置4の構成及び/又は機能を備えていてよい。例えば、管理装置は、通信確立手段及び情報送信手段の少なくとも一方を含んでよい。
以上に説明した実施形態は本発明の典型的な例示に過ぎない。よって、本発明の要旨の範囲内における任意の変形(省略、置換、付加等)を適宜に施すことが可能である。