JP2021053383A - 紙製ストロー - Google Patents

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准司 山本
Junji Yamamoto
准司 山本
洋子 上銘
Yoko Jomei
洋子 上銘
平井 健二
Kenji Hirai
健二 平井
航平 藤田
Kohei Fujita
航平 藤田
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Abstract

【課題】環境への負荷が小さく、かつ、耐水性に優れ、湿潤状態での強度に優れ、水に浸した状態で長く使用しても潰れにくい紙筒を製造するための紙筒用原紙を提供すること。【解決手段】2層以上5層以下の紙層を有し、前記紙層が、水溶性または水分散性である接着剤で接着され、溶出率が、2.0%以下であり、23℃の純水中に30分含浸させた後に測定した長さ4cmのサンプルでの直径方向の圧縮試験において、応力が発生し始めてから1mm押し込んだときの応力が3.0N以上である紙筒用原紙。【選択図】図1

Description

本発明は、紙製ストロー、特に強度に優れた紙製ストローに関する。
プラスチックは、安価で成形が容易なため、様々な製品の材料として広く用いられており、年間3億トン以上のプラスチック製品が生産されている。
プラスチック製品の多くは、適切に処分されているが、その一部は、管理不十分や不法投棄により、環境中にごみとして流出してしまい、最終的に海に到達する。海洋中に流出するプラスチックごみの量は、年間800万トン以上にのぼると推測され、これらのプラスチックごみの多くは非生分解性であるため、そのほとんどが海洋中に蓄積される。
プラスチックごみによる環境破壊を防ぐための動きが始まっており、プラスチック製使い捨て製品を、環境への負荷が小さい材料で代替することが求められている。中でもプラスチック製のストローは、1日に米国で5億本、世界で10億本以上が消費されているが、海鳥や海亀の誤飲による死亡例が報告されており、環境保護団体等が、プラスチック製ストローを使用しないように呼びかける運動を始めている。
プラスチック製ストローの、環境への負荷が小さい代替材料としては、生分解性プラスチックと並んで紙が注目されている。
例えば、特許文献1、2には、紙製のストローが提案されている。ただし、耐水性に劣る紙をストローとするために、特許文献1では、紙材に熱可塑性樹脂を塗布し、特許文献2では、紙基材の内外両面にポリエチレンフィルムまたはアルミニウム泊を貼付している。
また、紙製ストローは、飲料に浸けた状態で長く使用すると、水が浸透して柔らかくなってしまう場合がある。特に、飲食店、コンビニエンスストア、映画館等で提供されるカップ飲料は、ストローを通すための十字型の切り込み部を備えるプラスチック製の容器蓋を使用する場合があるが、このような容器蓋に紙製ストローを通すと、使用直後は問題なくとも、この状態でしばらく放置すると、十字型の切り込み部が元に戻ろうとする復元力で潰されて筒状が維持できなくなり、ストローとしての用を果たせなくなる場合がある。
特開平06−133840号公報 特開2009−233348号公報
環境への負荷が小さく、かつ、湿潤状態での強度に優れ、水に浸した状態で長く使用しても潰れにくい紙製ストローを提供することを課題とする。
本発明の課題を解決するための手段は、以下の通りである。
1.2層以上5層以下の紙層を有し、
前記紙層が、水溶性または水分散性である接着剤で接着され、
溶出率が、2.0%以下である紙筒用原紙からなり、
23℃の純水中に30分含浸させた後に測定した長さ4cmのサンプルでの直径方向の圧縮試験において、応力が発生し始めてから1mm押し込んだときの応力が3.0N以上であることを特徴とする紙製ストロー。
2.前記紙層の最外層の表面が、JIS P 8155:2010(王研法)による平滑度が150秒以上であることを特徴とする1.に記載の紙製ストロー。
3.前記紙層の最外層の厚さが、25μm以上100μm以下であることを特徴とする1.または2.に記載の紙製ストロー。
4.前記紙層の少なくとも1層の密度が、0.60g/cm以上であることを特徴とする1.〜3.のいずれかに記載の紙製ストロー。
5.前記接着剤が、水分散性であることを特徴とする1.〜4.のいずれかに記載の紙製ストロー。
6.直径が3mm以上20mm以下であることを特徴とする1.〜5.のいずれかに記載の紙製ストロー。
本発明の紙製ストローは、紙を主体としており、環境への負荷が小さい。また、水溶性接着剤または水分散性接着剤を使用しているため、製造時の環境への負荷も小さい。本発明の紙製ストローは、安全性の高い水溶性接着剤または水分散性接着剤を使用し、かつ、溶出率が低いため、飲料品や口に接触する用途に好適に使用することができる。本発明の紙製ストローは、液体に浸けた状態で長く使用しても潰れにくく、ストローとしての機能を長く発揮することができる。
最外層の表面が、JIS P 8155:2010(王研法)による平滑度が150秒以上である紙筒用原紙は、口唇や舌への吸着感が小さく、違和感が小さいため、ストローとして好適に使用することができる。紙層の最外層の厚さが25μm以上100μm以下であると、スパイラル巻きして紙筒を形成した際に、外表面が平滑な紙製ストローを成形することができる。紙層の少なくとも1層の密度が0.60g/m以上である紙製ストローは、強度に優れている。
接着力の経時変化を示すグラフ。
以下、本発明の詳細を説明する。
本発明の紙製ストローは、2層以上5層以下の紙層を有し、この紙層が、水溶性または水分散性である接着剤で接着され、溶出率が、2.0%以下である紙筒用原紙からなり、
23℃の純水中に30分含浸させた後に測定した長さ4cmのサンプルでの直径方向の圧縮試験において、応力が発生し始めてから1mm押し込んだときの応力が3.0N以上であることを特徴とする。
以下、本発明の紙製ストローで使用する紙筒用原紙を、「原紙」ともいう。
(溶出率)
本明細書において、溶出率とは、下記方法により算出される値である。
紙筒用原紙D(g)(2〜3g程度)を、1cm角に断裁後、100ml容ビーカーに、超純水(25℃)50mlとともに入れて、600rpmで2時間撹拌する。
撹拌終了後、ろ紙(アドバンテック社製、No.2ろ紙)で吸引ろ過して固形分と溶液とに分離する。得られた溶液を100℃で24時間乾固し、析出した固形分の重さd(g)を測定し、下記式(1)により溶出率を算出する。
(式1) 溶出率(%)=d(g)/D(g)×100
なお、溶出率は、紙製ストローから切り出した2〜3g程度の紙片を用いて算出することもできる。
本発明で使用する原紙は、溶出率が2.0%以下と低いため、紙製ストローの原紙として好適に利用することができる。また、溶出する成分によっては、液体に濁りや異臭が生じる場合があるが、本発明で使用する原紙は、溶出率が低いため、これらの発生を抑制することができる。本発明において、溶出率は、1.5%以下であることが好ましく、1.0%以下であることがより好ましく、0.7%以下であることがさらに好ましい。なお、本発明で使用する原紙から溶出する成分は、そのほとんどが接着剤由来であり、製紙用薬剤等の助剤由来は極僅かである。
さらに、本発明の紙製ストローは、使用する原紙の溶出率が低いことから明らかなように、液体が浸透しても、浸透前の状態を高く保持している。そのため、本発明の紙製ストローは、湿潤状態における応力が大きく、液体に浸した状態で長く使用しても潰れにくい。
(応力)
本明細書において、応力とは、下記方法により算出される値である。
JIS P8111:1998で定められた調湿状態とした紙製ストローを、両端から1cm以内の部分と蛇腹加工等がされた部分を含まないように、長さ方向の断面が均一な部分から長さ4cmのサンプルを切り出し、23℃の純水中に30分含浸させて湿潤状態とする。圧縮応力測定器のテーブルの上に水平に載置し、テーブルと平行に保たれ、サンプルの全長に接触可能な面を有する圧縮治具を圧縮速度10mm/minで降下させ、応力とその際の治具の移動距離を測定する。
本発明の紙製ストローは、湿潤状態において応力が発生し始めてから1mm押し込んだときの応力が3.0N以上であることが好ましく、3.5N以上であることがより好ましく、4.0N以上であることが更に好ましい。湿潤状態において応力が発生し始めてから2mm押し込んだときの応力が3.5N以上であることが好ましく、4.0N以上であることがより好ましく、4.5N以上であることが更に好ましい。湿潤状態において応力が発生し始めてから3mm押し込んだときの応力が4.0N以上であることが好ましく、4.5N以上であることがより好ましく、5.0N以上であることが更に好ましい。
本発明の紙製ストローにおいて、この湿潤状態における応力は高いほうが好ましく、その上限値は特に制限されないが、例えば応力が発生し始めてから1mm押し込んだときの応力は20.0N以下、2mm押し込んだときの応力は22.0N以下、3mm押し込んだときの応力は25.0N以下程度である。
また、本発明の紙製ストローは、調湿状態において上記と同様に測定した、応力が発生し始めてから1mm押し込んだときの応力が20.0N以上であることが好ましく、22.0N以上であることがより好ましく、24.0N以上であることが更に好ましい。調湿状態において応力が発生し始めてから2mm押し込んだときの応力が22.0N以上であることが好ましく、24.0N以上であることがより好ましく、26.0N以上であることが更に好ましい。調湿状態において応力が発生し始めてから3mm押し込んだときの応力が24.0N以上であることが好ましく、26.0N以上であることがより好ましく、28.0N以上であることが更に好ましい。
本発明の紙製ストローにおいて、この調湿状態における応力は高いほうが好ましく、その上限値は特に制限されないが、例えば応力が発生し始めてから1mm押し込んだときの応力は40.0N以下、2mm押し込んだときの応力は42.0N以下、3mm押し込んだときの応力は44.0N以下程度である。
本発明で使用する原紙は、2層以上5層以下の紙層を有する。紙層の数が少ないほど耐水性に優れるが、直径の小さな紙筒に巻きにくくなり巻加工性が低下する。そのため、紙層の数は、耐水性と巻加工性に応じて、適宜調整すればよい。
本発明で使用する原紙は、全体の坪量が150g/m以上400g/m以下であることが好ましい。坪量が150g/m未満では、紙製ストローとしての剛度が不足する場合がある。坪量が400g/mを超えると、紙筒に巻きにくくなる場合がある。坪量の下限値は、180g/m以上であることが好ましく、200g/m以上であることがより好ましい。また、坪量の上限値は、370g/m以下であることが好ましく、350g/m以下であることがより好ましい。
本発明の原紙は、2層以上5層以下の紙層を有するが、紙層の最外層の表面が、JIS P 8155:2010(王研法)による平滑度が150秒以上であることが好ましい。最外層の表面の平滑度が150秒以上である原紙からなる紙製ストローは、口に咥えた際の口唇、舌への吸着感が小さく、違和感が小さいため好ましい。この平滑度は200秒以上であることがより好ましく、500秒以上であることがさらに好ましい。特に平滑度が1000秒以上であると、従来のプラスチック製ストローと同等の感触を備えた紙筒を得ることができる。なお、本明細書において、最内層、最外層とは、それぞれ紙筒とした際に最も内側に位置する層、最も外側に位置する層をいう。
また、最外層が耐水性を有する紙層であると、最外層からの水等の液体の侵入を防止することができるため、液体に浸漬した場合に紙層間での剥離が生じにくくなり好ましい。また、色のついた液体に浸漬した場合に、吸液による着色が起こりにくくなるため好ましい。ここで、耐水性とは、紙層を水に浸漬した状態で2時間程度はその形態を保ち、若干の膨潤等が生じた場合であっても実用上の強度的不具合を生じない性質をいう。
本発明の原紙は、紙層の最外層の厚さが25μm以上100μm以下であることが好ましい。紙層の最外層の厚さが上記した範囲内であると、原紙をスパイラル巻きして紙筒を形成した際に、原紙の幅方向における重複部分の段差が小さくなり、より平滑な紙筒を成形することができる。紙層の最外層の厚さが25μm未満であると、紙筒製造時に断紙や皺が起こりやすくなり、巻加工性が劣る。また、特に液体に浸漬した時に衝撃等で破れやすくなる。一方、紙層の最外層の厚さが100μmより大きいと、紙筒に巻きにくくなり、やはり巻加工性が劣る。また、特に液体に浸漬した時に端部から剥がれやすくなる。なお、本発明の原紙において、各層の厚さ、坪量は、同一であっても異なっていてもよい。
また、本発明の原紙は、紙層の少なくとも1層の密度が0.60g/cm以上であることが好ましく、最外層の密度が0.60g/cm以上であることがより好ましい。密度が0.60g/cm以上の高密度であると、紙層が硬くなるため、強度に優れる。さらに、最外層は、圧縮変形時に、最も変形量が大きい部分であるため、高密度の紙層を最外層に配することで、紙製ストロー全体の強度向上に効果的である。紙層の少なくとも1層の密度は、0.70g/cm以上であることがより好ましく、0.80g/cm以上であることがより好ましく、0.90g/cm以上であることがさらに好ましい。
<紙層>
本発明において、紙層は、パルプ、填料、各種助剤等からなる層である。
本発明の紙製ストローは、直接、口に咥えられるものであるため、助剤等は、食品添加物として認可を受けている、またはFDA認証取得済み等、食品安全性に適合したものを使用することが好ましい。
パルプとしては、針葉樹の晒クラフトパルプ(NBKP)、針葉樹の未晒クラフトパルプ(NUKP)、広葉樹の晒クラフトパルプ(LBKP)、広葉樹の未晒クラフトパルプ(LUKP)、サルファイトパルプ(SP)等の木材の化学パルプ、グランドパルプ(GP)、リファイナーグランドパルプ(RGP)、ストーングランドパルプ(SGP)、ケミグランドパルプ(CGP)、セミケミカルパルプ(SCP)、サーモメカニカルパルプ(TMP)、ケミサーモメカニカルパルプ(CTMP)等の木材の機械パルプ、ケナフ、バガス、竹、麻、ワラなどから得られた非木材パルプ、古紙を原料とし、脱墨工程にて古紙に含まれるインキを除去した古紙パルプなど、公知のパルプを適宜配合して用いることが可能である。
ただし、異物混入が発生し難いLBKP、NBKP等の化学パルプが好ましく、また、古紙パルプの配合量が少ないことが好ましい。具体的には、パルプ全量に対する化学パルプの配合量が80質量%以上であることが好ましく、90質量%以上であることがより好ましく、95質量%以上であることがさらに好ましく、100質量%であることが最も好ましい。
填料としては、タルク、カオリン、焼成カオリン、クレー、重質炭酸カルシウム、軽質炭酸カルシウム、ホワイトカーボン、ゼオライト、炭酸マグネシウム、炭酸バリウム、二酸化チタン、酸化亜鉛、酸化珪素、非晶質シリカ、水酸化アルミニウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化亜鉛、硫酸バリウム、硫酸カルシウムなどの無機填料、尿素−ホルマリン樹脂、ポリスチレン樹脂、フェノール樹脂、微小中空粒子等の有機填料等の公知の填料を使用することができる。なお、填料は、必須材料ではなく、使用しなくてもよい。
各種助剤としては、ロジン、アルキルケテンダイマー(AKD)、アルケニルコハク酸無水物(ASA)などのサイズ剤、ポリアクリルアミド系高分子、ポリビニルアルコール系高分子、カチオン化澱粉、各種変性澱粉、尿素・ホルマリン樹脂、メラミン・ホルマリン樹脂などの乾燥紙力増強剤、湿潤紙力増強剤、歩留剤、濾水性向上剤、凝結剤、硫酸バンド、嵩高剤、染料、蛍光増白剤、pH調整剤、消泡剤、紫外線防止剤、退色防止剤、ピッチコントロール剤、スライムコントロール剤等が例示可能であり、必要に応じて適宜選択して使用可能である。
本発明において、紙層は、湿潤紙力増強剤を含むことが好ましい。湿潤紙力増強剤は、ポリアミドポリアミンエピクロルヒドリン樹脂、ポリアミンエピクロルヒドリン樹脂、ポリアミドエピクロルヒドリン樹脂、ポリビニルアミン樹脂、ポリエチレンイミン樹脂などが使用できる。その中でもポリアミドポリアミンエピクロルヒドリン樹脂が好ましい。
湿潤紙力増強剤は、製造工程において、全パルプに対し、0.1質量%以上1.5質量%以下の間で添加されることが好ましく、0.5質量%以上1.0質量%以下の間で添加されることがより好ましい。
湿潤紙力増強剤の量は、ケルダール法、エネルギー分散型X線分析等による元素分析により定量することが可能である。本発明において、紙層に含まれる湿潤紙力増強剤の量は、ケルダール法を用いて定量した窒素元素が全てポリアミドポリアミンエピクロルヒドリン樹脂由来とした場合の換算値をいう。紙層は、パルプ全量に対して、湿潤紙力増強剤を、0.05質量%以上0.70質量%以下含有することが好ましい。
<接着剤>
接着剤は、隣接する紙層同士を貼り合わせるものである。
本発明は、接着剤として、水溶性接着剤、または、水分散性接着剤を使用するが、水分散性接着剤を使用することが好ましい。
水溶性接着剤は、一般的に固形分濃度を高くすることが難しく、仮に固形分濃度を高くできたとしても、粘度が上昇して取扱性が低下する場合がある。一方、水分散性接着剤は、水溶性接着剤よりも固形分濃度を高くすることが容易であり、さらに、固形分濃度に依らず粘度はほぼ一定である。そのため、水分散性接着剤は、固形分濃度を高くすることで接着剤を塗工してから水が揮発して接着強度が発現するまでの時間を短くすることができる。特に、紙層の少なくとも一層が耐水性を有する紙層であると、接着強度が発現するまでの時間が長くなってしまうことがあるが、水分散性接着剤を使用することにより、接着強度が発現するまでの時間を短くすることができるため、製造直後の紙層間の剥がれを効果的に防止することができる。また、養生処理を短く、さらには不要とすることができる。
本発明で使用する水溶性接着剤、水分散性接着剤としては、例えば、ポリビニルアルコール系、ポリエチレンオキサイド系、ポリアクリルアミド系、デンプン系、ゼラチン、カゼイン、エーテル系セルロース、フェノール樹脂系、水ガラス等の水溶性接着剤、アクリル系、酢酸ビニル系、エチレン−酢酸ビニル共重合体系、スチレン・ブタジエン共重合体系、ウレタン系、α−オレフィン系等の水分散性接着剤が挙げられる。これらの中で、溶出率を低く抑えることができるため、水溶性接着剤としては、ポリビニルアルコール系、フェノール樹脂系が好ましく、水分散性接着剤としては、アクリル系、スチレン・ブタジエン共重合体系が好ましい。
<抄紙、接着方法>
紙層の製造(抄紙)方法、抄紙機の型式は特に限定されるものではなく、長網抄紙機、ツインワイヤー抄紙機、円網抄紙機、ギャップフォーマー、ハイブリッドフォーマー(オントップフォーマー)等の公知の製造(抄紙)方法、抄紙機が選択可能である。
また、抄紙時のpHは酸性領域(酸性抄紙)、疑似中性領域(疑似中性抄紙)、中性領域(中性抄紙)、アルカリ性領域(アルカリ性抄紙)のいずれでもよく、酸性領域で抄紙した後、紙層の表面にアルカリ性薬剤を塗布してもよい。
紙層を接着する方法は特に限定されず、抄紙、乾燥した紙層を所定幅に断裁した後に接着する方法、抄紙した紙層をウェット状態で接着し、乾燥した後に断裁する方法等が挙げられる。
<紙製ストロー>
紙製ストローの形状は特に制限されず、円筒状、多角筒状等とすることができる。紙製ストローの製造方法は特に制限されず、スパイラル巻き、平巻き等の公知の方法で製造することができるが、連続生産が可能なためスパイラル巻きが好ましい。
紙製ストローの直径は特に制限されず、飲料の粘度や、飲料が果実やタピオカ等の固形物を含む場合はその大きさに応じて様々な直径とすることができる。紙製ストローの直径は、例えば、3mm以上20mm以下であることが好ましく、4mm以上15mm以下であることがより好ましい。なお、本発明の紙筒の直径とは、紙製ストローの外径を指す。
以下、本発明を実施例により説明するが、本発明は下記実施例のみに限定されるものではない。
下記表1に、使用した紙層と接着剤を示す。
Figure 2021053383
「実施例1」
直径8mmのマンドレルに最内層側からA/B/Cの積層順となるように、接着剤a(水分散性接着剤、アクリル系)を各層間あたり固形分で20g/mとなるように塗工して、紙層をスパイラル巻きして接着し、全体の坪量が270g/mである紙筒用原紙からなる紙製ストローを得た。
「実施例2」
接着剤b(水溶性接着剤、耐水ポリビニルアルコール系)を使用した以外は、実施例1と同様にして、全体の坪量が270g/mである紙筒用原紙からなる紙製ストローを得た。
「比較例1」
接着剤c(水分散性接着剤、酢酸ビニル系)を使用した以外は、実施例1と同様にして、全体の坪量が270g/mである紙筒用原紙からなる紙製ストローを得た。
実施例1、2、比較例1で得られた紙製ストローについて、下記評価を行った。結果を表2に示す。
<溶出率>
紙製ストローを長さ1cmに断裁した測定サンプル約2gから、上記方法により溶出率を算出した。
<応力>
紙製ストローを作成後、1週間常温で乾燥・シーズニング(養生処理)を実施し、その後JIS P8111:1998に定められた方法で調湿した。調湿後、紙製ストローの両端から1cm以内の部分を含まないように長さ方向中心部から、長さ4cmのサンプルを切り出した。切り出したサンプルを23℃の純水中に30分含浸させて湿潤状態とし、下記方法により直径方向の圧縮応力を得た。また、純水に含浸させない以外は同様にして、調湿状態での圧縮応力を得た。
1.圧縮応力測定器(株式会社エー・アンド・デイ製 テンシロン万能材料試験機RTC−1250A)の水平に保たれた直径15cmの円盤状金属テーブルの中央部にサンプルを倒して載置し、その上から金属テーブルと平行に保たれた直径10cmの金属製の円盤状圧縮治具を、10mm/分の速度で降下させる。その際、円盤状圧縮治具の円内にサンプルが納まるようにする。
2.圧縮治具の押し込み量と応力の関係を示したデータを記録し、圧縮治具とサンプルが接触し、応力が発生し始めた時点を押し込み量0mmと規定し、押し込み量1mm、2mm、3mmの時点の応力値を得る。
<剥がれ>
製造直後と製造60分後の紙筒を手動式紙裁断機で約1cmの長さに断裁し、断裁面の紙層の剥がれ具合を目視で評価した。
○:紙層が全く剥がれていない。
△:紙層の剥がれが紙筒の周長に対して1/4以下。
×:紙層の剥がれが紙筒の周長に対して1/4を超える。
<吸着感>
紙製ストローを口唇に10秒間咥え、下記基準で評価した。
○:口唇に吸着しない。
△:口唇にわずかに吸着する。
×:口唇に吸着する。
Figure 2021053383
比較例1で製造した紙筒用原紙は、溶出率が2.17%と大きく、また、ろ過後の溶液は白濁していた。
一方、本発明である実施例1、2で製造した紙筒用原紙は、溶出率が1%以下と低く、ろ過後の溶液も透明であった。また、接着剤bを用いた実施例2で製造した紙製ストローは、製造直後は層間の接着力がやや低かったものの、60分後には強固に貼り付いていた。
いずれの紙製ストローも、口唇に咥えると口唇に吸着し、使用時の違和感が大きかった。また、最外層に使用した紙層の紙厚が130μmと厚いため、得られた紙筒の最外面は、紙層Cの重複部分での段差が大きかった。
また、比較例1の紙製ストローは、実施例2の紙製ストローと比較して、調湿状態での強度は優れていたが、湿潤状態での強度は劣っていた。これは、比較例1の紙製ストローは溶出率が大きく、液体に浸漬することで接着剤等が溶出し、紙層と接着剤との結合が緩くなったためであると推測される。
<接着力の経時変化測定>
上記実施例1、2、比較例1より、接着剤bは接着強度の発現が遅かった。接着剤の違いによる接着強度の発現性の違いを確認するため、上記表1の紙層A〜D、接着剤a〜cを用い、接着力の経時変化を測定した。
長辺100mm×短辺50mmに断裁した紙層を2つ作製し、2つの紙層間に接着剤を滴下して、ゴムローラーで押圧して2つの紙層間に接着剤を行き渡らせるとともに余分な接着剤を落とした後、長辺端部側から40mmを剥離してサンプルを作成した。
接着してから30秒後のサンプルを、縦型引張試験機(エー・アンド・デイ社製、テンシロン)の上下の治具それぞれに、剥離させた長辺端部を挟持し、5mm/minの速度で長辺端部側からサンプルを剥離しながら、剥離強度、すなわち、接着強度の経時変化を測定した。
接着層と紙層との界面が剥離せずに紙層が破壊された時間を表3に、紙層が破壊されなかった紙層Aにおける接着力の経時変化を図1に示す。
Figure 2021053383
紙層B〜Dにおいて、水分散性である接着剤a、cは、水溶性である接着剤bよりも、接着強度の発現が早く、紙層が破壊されるまでの時間が短かった。
紙層Aは、耐水性を有するため水の揮発が遅く、測定時間内に紙層の破壊は起こらなかったが、接着強度の上昇は、水分散性である接着剤a、cが、水溶性である接着剤bよりも早かった。
このことから、水分散性接着剤が、水溶性接着剤と比較して接着強度が早期に発現することが確かめられた。
「実施例3」
直径8mmのマンドレルに最内層側からA/C/C/Aの積層順となるように、接着剤aを各層間あたり固形分で20g/mとなるように塗工して、紙層をスパイラル巻きして接着し、全体の坪量が340g/mである紙筒用原紙からなる紙製ストローを得た。
「実施例4」
紙層の積層順を最内層側からA/B/B/Aとした以外は、実施例3と同様にして、全体の坪量が300g/mである紙筒用原紙からなる紙製ストローを得た。
「実施例5」
紙層の積層順を最内層側からA/C/C/Dとした以外は、実施例3と同様にして、全体の坪量が360g/mである紙筒用原紙からなる紙製ストローを得た。
実施例3〜5で得られた紙筒について、上記と同様の評価を行った。結果を表4に示す。
Figure 2021053383
実施例3〜5で製造した紙筒用原紙は、溶出率が0.5%以下と低く、ろ過後の溶液も透明であった。また、実施例3〜5で得た紙製ストローは、製造直後から接着強度に優れており、製造直後に断裁しても紙層間に剥がれがなく、湿潤状態での強度に優れていた。実施例3〜5より、紙層の密度が高いと応力が大きくなること、特に、実施例3、5より、紙層の最外層の密度が高いと応力が大きくなることが確かめられた。
最外層に紙層A(平滑度1547秒、紙厚30μm)を使用した実施例3、4で得られた紙製ストローは、口唇への吸着感がなく、プラスチック製ストローと同等の使用感を有していた。また、得られた紙筒の最外面は、紙層Aの重複部分での段差が小さく平滑であった。
最外層に紙層D(平滑度152秒、紙厚78μm)を使用した実施例5で得られた紙製ストローは、咥えた際にわずかに口唇に吸着したが、違和感は小さかった。また、得られた紙筒の最外面は、紙層Dの重複部分の段差が比較的小さく、概ね平滑であった。

Claims (6)

  1. 2層以上5層以下の紙層を有し、
    前記紙層が、水溶性または水分散性である接着剤で接着され、
    溶出率が、2.0%以下である紙筒用原紙からなり、
    23℃の純水中に30分含浸させた後に測定した長さ4cmのサンプルでの直径方向の圧縮試験において、応力が発生し始めてから1mm押し込んだときの応力が3.0N以上であることを特徴とする紙製ストロー。
  2. 前記紙層の最外層の表面が、JIS P 8155:2010(王研法)による平滑度が150秒以上であることを特徴とする請求項1に記載の紙製ストロー。
  3. 前記紙層の最外層の厚さが、25μm以上100μm以下であることを特徴とする請求項1または2に記載の紙製ストロー。
  4. 前記紙層の少なくとも1層の密度が、0.60g/cm以上であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の紙製ストロー。
  5. 前記接着剤が、水分散性であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の紙製ストロー。
  6. 直径が3mm以上20mm以下であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の紙製ストロー。
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