JP2020048984A - 紙筒、及びこの紙筒からなる飲料用ストロー - Google Patents
紙筒、及びこの紙筒からなる飲料用ストロー Download PDFInfo
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Abstract
【課題】環境への負荷が小さく、コンパクトに収容でき、特に飲料用ストローとして好適な紙筒を提供する。【解決手段】軸線と直交する横断面における頂点の数が3以上であり、かつ、バイオマス度が95%以上であることを特徴とする紙筒。【選択図】なし
Description
本発明は、紙筒と、この紙筒からなる飲料用ストローに関する。
プラスチックは、安価で成形が容易なため、様々な製品の材料として広く用いられており、年間3億トン以上のプラスチック製品が生産されている。
プラスチック製品の多くは、適切に処分されているが、その一部は、管理不十分や不法投棄により、環境中にごみとして流出してしまい、最終的に海に到達する。海洋中に流出するプラスチックごみの量は、年間800万トン以上にのぼると推測され、これらのプラスチックごみの多くは非生分解性であるため、そのほとんどが海洋中に蓄積される。
プラスチック製品の多くは、適切に処分されているが、その一部は、管理不十分や不法投棄により、環境中にごみとして流出してしまい、最終的に海に到達する。海洋中に流出するプラスチックごみの量は、年間800万トン以上にのぼると推測され、これらのプラスチックごみの多くは非生分解性であるため、そのほとんどが海洋中に蓄積される。
プラスチックごみによる環境破壊を防ぐための動きが始まっており、プラスチック製の使い捨て製品を、環境への負荷が小さい材料で代替することが求められている。中でもプラスチック製のストローは、1日に米国で5億本、世界で10億本以上が消費されているが、海鳥や海亀の誤飲による死亡例が報告されており、環境保護団体等が、プラスチック製ストローを使用しないように呼びかける運動を始めている。
プラスチック製ストローの、環境への負荷が小さい代替材料としては、生分解性プラスチックと並んで紙が注目されている。
例えば、特許文献1、2には、紙製のストローが提案されている。しかし、耐水性に劣る紙をストローとするために、特許文献1では、紙材に熱可塑性樹脂を塗布し、特許文献2では、紙基材の内外両面にポリエチレンフィルム等を貼付しており、石油資源由来材料の使用比率が高い。
例えば、特許文献1、2には、紙製のストローが提案されている。しかし、耐水性に劣る紙をストローとするために、特許文献1では、紙材に熱可塑性樹脂を塗布し、特許文献2では、紙基材の内外両面にポリエチレンフィルム等を貼付しており、石油資源由来材料の使用比率が高い。
また、ストローは、筒状であるため、その容量の多くは空気で占められており、保管、輸送等の際にコンパクトに収容することが求められている。コンパクトに収容できるプラスチック製ストローとしては、口径の異なる2つ以上の筒を組み合わせた伸縮式のプラスチック製ストローがある。また、特許文献3には、ストローの長さ方向に折りたたみ可能な部位を設けた合成樹脂製ストローが提案されている。
これらのストローは、多少はコンパクトになるものの、剛直なプラスチック製である以上、低容量化には限界があり、また、構造が複雑になるため、製造コストが上昇するという問題がある。
これらのストローは、多少はコンパクトになるものの、剛直なプラスチック製である以上、低容量化には限界があり、また、構造が複雑になるため、製造コストが上昇するという問題がある。
環境への負荷が小さく、コンパクトに収容でき、特に飲料用ストローとして好適な紙筒を提供することを課題とする。
本発明の課題を解決するための手段は、以下の通りである。
項1: 軸線と直交する横断面における頂点の数が3以上であり、かつ、バイオマス度が95%以上であることを特徴とする紙筒。
項2: 前記横断面において、前記頂点を結んだ対角線の長さが、いずれも4mm以上10mm以下であることを特徴とする項1に記載の紙筒。
項3: 平板状に押し潰すことができることを特徴とする項1または2に記載の紙筒。
項4: 前記紙筒の周壁を形成する紙基材のステキヒトサイズ度が、150秒以上350秒以下であることを特徴とする、項1〜3のいずれかに記載の紙筒。
項5: 前記紙筒の周壁を形成する紙基材のテーバーこわさが、縦方向が2.5mN・m以上5mN・m以下、横方向が1.0mN・m以上2.5mN・m以下であることを特徴とする、項1〜4のいずれかに記載の紙筒。
項6: 前記紙筒の周壁を形成する紙基材の引裂強さが、縦方向が1100mN以上2500mN以下、横方向が1300mN以上2500mN以下であることを特徴とする、項1〜5のいずれかに記載の紙筒。
項7: 前記紙筒の周壁を形成する紙基材のエッジウィック値が、1.7g/100cm以下であることを特徴とする、項1〜6のいずれかに記載の紙筒。
項8: 前記紙筒の周壁を形成する紙基材の坪量が、150g/m2以上400g/m2以下であることを特徴とする、項1〜7のいずれかに記載の紙筒。
項9: 前記軸線と直交する罫線を有することを特徴とする、項1〜8のいずれかに記載の紙筒。
項10: 項1〜9のいずれかに記載の紙筒からなることを特徴とする飲料用ストロー。
項1: 軸線と直交する横断面における頂点の数が3以上であり、かつ、バイオマス度が95%以上であることを特徴とする紙筒。
項2: 前記横断面において、前記頂点を結んだ対角線の長さが、いずれも4mm以上10mm以下であることを特徴とする項1に記載の紙筒。
項3: 平板状に押し潰すことができることを特徴とする項1または2に記載の紙筒。
項4: 前記紙筒の周壁を形成する紙基材のステキヒトサイズ度が、150秒以上350秒以下であることを特徴とする、項1〜3のいずれかに記載の紙筒。
項5: 前記紙筒の周壁を形成する紙基材のテーバーこわさが、縦方向が2.5mN・m以上5mN・m以下、横方向が1.0mN・m以上2.5mN・m以下であることを特徴とする、項1〜4のいずれかに記載の紙筒。
項6: 前記紙筒の周壁を形成する紙基材の引裂強さが、縦方向が1100mN以上2500mN以下、横方向が1300mN以上2500mN以下であることを特徴とする、項1〜5のいずれかに記載の紙筒。
項7: 前記紙筒の周壁を形成する紙基材のエッジウィック値が、1.7g/100cm以下であることを特徴とする、項1〜6のいずれかに記載の紙筒。
項8: 前記紙筒の周壁を形成する紙基材の坪量が、150g/m2以上400g/m2以下であることを特徴とする、項1〜7のいずれかに記載の紙筒。
項9: 前記軸線と直交する罫線を有することを特徴とする、項1〜8のいずれかに記載の紙筒。
項10: 項1〜9のいずれかに記載の紙筒からなることを特徴とする飲料用ストロー。
本発明の紙筒は、バイオマス度が高く、生物由来の材料を多く利用しているため、環境への負荷が非常に小さい。また、本発明の紙筒は、経時でバラバラに分解するため、仮に環境中に流出しても、野生動物等の誤飲、誤食による被害を抑制することができる。
平板状に押し潰すことができる紙筒は、平板状に押し潰してコンパクトに収容することができ、保管、運搬等の際に必要なスペースを減らすことができる。さらに、軸線と直交する罫線を有する本発明の紙筒は、長さ方向に折り畳むことができ、また、蛇腹を形成して折り曲げることができる。
平板状に押し潰すことができる紙筒は、平板状に押し潰してコンパクトに収容することができ、保管、運搬等の際に必要なスペースを減らすことができる。さらに、軸線と直交する罫線を有する本発明の紙筒は、長さ方向に折り畳むことができ、また、蛇腹を形成して折り曲げることができる。
本発明の紙筒は、軸線と直交する横断面における頂点の数が3以上であり、かつ、バイオマス度が95%以上であることを特徴とする。
本発明において、「バイオマス度」とは、石油由来の原料と、生物由来(バイオマス由来)の原料との混合比率を表す指標であり、紙筒中の生物由来の原料の重量比により決定される値であり、下記式で表される。
バイオマス度(%)
=生物由来原料の乾燥重量(g)/紙筒の乾燥重量(g)×100
本発明の紙筒のバイオマス度は、95%以上であり、96%以上であることが好ましく、97%以上であることがより好ましい。
バイオマス度(%)
=生物由来原料の乾燥重量(g)/紙筒の乾燥重量(g)×100
本発明の紙筒のバイオマス度は、95%以上であり、96%以上であることが好ましく、97%以上であることがより好ましい。
本発明の紙筒は、横断面における頂点の数が3以上であることを特徴とし、頂点の数が0である円形、楕円形等、頂点の数が1である水滴型等は含まない。この頂点の数は3以上であれば特に制限されないが、平板状に押し潰すことが容易であるため、4以上の偶数であることが好ましい。さらに、横断面の形状が、4辺の長さが全て等しい四角形(菱形、正方形)、対向する2辺の長さが等しい四角形(平行四辺形、長方形)、6辺の長さが全て等しい六角形(正六角形を含む)、対向する2辺の長さが等しく残りの4辺の長さが等しい六角形(正六角形を線対称の対称軸と平行な方向に伸縮させた六角形)であることが、より好ましい。
なお、本発明の紙筒は、横断面における頂点の数を奇数とすることができる。頂点の数を奇数とする場合は、例えば、横断面の形状が五角形では、隣接する2辺の合計の長さと残りの3辺の合計の長さが同じ、七角形では、隣接する3辺の合計の長さと残りの4辺の合計の長さが同じ、の様に、横断面の奇数多角形を構成する辺を隣接する辺からなる二組に分け、この二組の辺の長さの合計を同じ長さとすることにより、平板状に押し潰すことができる。
本発明の紙筒は、軸線と直交する横断面において、頂点を結んだ対角線の長さが、いずれも4mm以上10mm以下であることが好ましい。なお、頂点の数が3である横断面において、対角線の長さは、三角形の辺の長さに相当する。頂点を結んだ対角線の長さが4mm以上10mm以下であると、飲料用ストローとして使用する際に適度な大きさであり、また、平板状に押し潰してコンパクトに収容することができる。
本発明の紙筒の長さは特に制限されないが、飲料用ストローとして用いる場合、例えば、8cm以上25cm以下程度が挙げられる。
本発明の紙筒の長さは特に制限されないが、飲料用ストローとして用いる場合、例えば、8cm以上25cm以下程度が挙げられる。
本発明の紙筒は、軸線と直交する罫線を有することが好ましい。罫線の本数は限定されない。例えば、軸線と直交する罫線を1本または複数本、間隔を空けて設け、紙筒をこの罫線に沿って折り畳むことにより、紙筒を長さが短い状態で収容することができる。また、軸線と直交する方向に、近接する複数本の罫線を交互に山/谷となるように設け「蛇腹」を形成することにより、折り曲げることができる。
本発明の紙筒の先端形状は限定されず、平板状に押し潰した状態で、長さ方向に対して垂直な方向に断裁することもでき、長さ方向に対して斜め方向に断裁することもできる。また、その断裁面は直線状に限定されず、曲線状に断裁することもでき、複数の直線、または曲線を組み合わせた形状に断裁することもできる。
本発明の紙筒を、平板状に押し潰した状態で、その先端を、鋭角を形成するように断裁することにより、紙パック等に形成されているストロー穴に、本発明の紙筒からなる飲料用ストローを突き刺しやすくなる。
また、本発明の紙筒を、平板状に押し潰した状態で、その先端を、一方の長辺が他方の長辺よりも突出するように断裁することにより、筒に展開した際に先端に突出部を設けることでき、この突出部をかき氷等の冷菓等を掬うスプーンとすることもできる。スプーンとして使用するために、平板状に押し潰した状態の紙筒において、一方の長辺が、他方の長辺よりも8mm以上突出することが好ましく、この突出する長さが10mm以上であることがより好ましく、12mm以上であることがさらに好ましく、15mm以上であることが最も好ましい。
また、本発明の紙筒を、平板状に押し潰した状態で、その先端を、一方の長辺が他方の長辺よりも突出するように断裁することにより、筒に展開した際に先端に突出部を設けることでき、この突出部をかき氷等の冷菓等を掬うスプーンとすることもできる。スプーンとして使用するために、平板状に押し潰した状態の紙筒において、一方の長辺が、他方の長辺よりも8mm以上突出することが好ましく、この突出する長さが10mm以上であることがより好ましく、12mm以上であることがさらに好ましく、15mm以上であることが最も好ましい。
本発明の紙筒は、紙基材が軸線と平行な方向に折り曲げられ、接着剤で貼り合わされて形成されており、その周壁は紙基材から構成されている。本発明の紙筒は、その一面が、紙基材が接着剤で接着された重ね合わせ面である。この重ね合わせ面は、他の面よりも厚く剛直なため、本発明の紙筒は、座屈しにくく、また、この重ね合わせ面を指や口で挟むように保持することにより吸引時等に筒形状を維持することができる。
本発明の紙筒を飲料用ストローとして用いる場合、紙基材、接着剤等の原材料として、食品添加物として認可を受けている、またはFDA認証取得済み等、食品安全性に適合したものを使用することが好ましい。
本発明の紙筒を飲料用ストローとして用いる場合、紙基材、接着剤等の原材料として、食品添加物として認可を受けている、またはFDA認証取得済み等、食品安全性に適合したものを使用することが好ましい。
・紙基材
紙基材は、主としてパルプからなるシートであり、填料や各種助剤を添加することができる。
パルプとしては、針葉樹の晒クラフトパルプ(NBKP)、未晒クラフトパルプ(NUKP)、広葉樹の晒クラフトパルプ(LBKP)、未晒クラフトパルプ(LUKP)、サルファイトパルプ(SP)等の木材の化学パルプ、グランドパルプ(GP)、リファイナグランドパルプ(RGP)、ストーングランドパルプ(SGP)、ケミグランドパルプ(CGP)、セミケミカルパルプ(SCP)、サーモメカニカルパルプ(TMP)、ケミサーモメカニカルパルプ(CTMP)等の木材の機械パルプ、ケナフ、バガス、竹、麻、ワラなどから得られた非木材パルプ、古紙を原料とし、脱墨工程にて古紙に含まれるインキを除去した古紙パルプなど、公知のバイオマス由来のパルプを適宜配合して用いることが可能である。これらの中で、異物混入が発生し難いLBKP、NBKP等の化学パルプが好ましく、また、古紙パルプの配合量が少ないことが好ましい。具体的には、化学パルプの配合量が80%以上であることが好ましく、化学パルプの配合量が100%であることが特に好ましい。
なお、本発明のバイオマス度を満たす限り、ポリエステル繊維、ポリエチレン繊維、ポリプロピレン繊維、及びこれらの共重合体であるポリオレフィン繊維等の合成樹脂からなる合成樹脂繊維を配合することができるが、合成樹脂繊維を含まないことが好ましい。
紙基材は、主としてパルプからなるシートであり、填料や各種助剤を添加することができる。
パルプとしては、針葉樹の晒クラフトパルプ(NBKP)、未晒クラフトパルプ(NUKP)、広葉樹の晒クラフトパルプ(LBKP)、未晒クラフトパルプ(LUKP)、サルファイトパルプ(SP)等の木材の化学パルプ、グランドパルプ(GP)、リファイナグランドパルプ(RGP)、ストーングランドパルプ(SGP)、ケミグランドパルプ(CGP)、セミケミカルパルプ(SCP)、サーモメカニカルパルプ(TMP)、ケミサーモメカニカルパルプ(CTMP)等の木材の機械パルプ、ケナフ、バガス、竹、麻、ワラなどから得られた非木材パルプ、古紙を原料とし、脱墨工程にて古紙に含まれるインキを除去した古紙パルプなど、公知のバイオマス由来のパルプを適宜配合して用いることが可能である。これらの中で、異物混入が発生し難いLBKP、NBKP等の化学パルプが好ましく、また、古紙パルプの配合量が少ないことが好ましい。具体的には、化学パルプの配合量が80%以上であることが好ましく、化学パルプの配合量が100%であることが特に好ましい。
なお、本発明のバイオマス度を満たす限り、ポリエステル繊維、ポリエチレン繊維、ポリプロピレン繊維、及びこれらの共重合体であるポリオレフィン繊維等の合成樹脂からなる合成樹脂繊維を配合することができるが、合成樹脂繊維を含まないことが好ましい。
填料としては、タルク、カオリン、焼成カオリン、クレー、重質炭酸カルシウム、軽質炭酸カルシウム、ホワイトカーボン、ゼオライト、炭酸マグネシウム、炭酸バリウム、二酸化チタン、酸化亜鉛、酸化珪素、非晶質シリカ、水酸化アルミニウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化亜鉛、硫酸バリウム、硫酸カルシウムなどの無機填料、尿素−ホルマリン樹脂、ポリスチレン樹脂、フェノール樹脂、微小中空粒子等の有機填料等の公知の填料を使用することができる。なお、填料は、必須材料ではなく、使用しなくてもよい。
各種助剤としては、ロジン、アルキルケテンダイマー(AKD)、アルケニルコハク酸無水物(ASA)などのサイズ剤、ポリアクリルアミド系高分子、ポリビニルアルコール系高分子、カチオン化澱粉、各種変性澱粉、尿素・ホルマリン樹脂、メラミン・ホルマリン樹脂などの乾燥紙力増強剤、ポリアミドポリアミンエピクロルヒドリン樹脂、ポリアミンエピクロルヒドリン樹脂、ポリアミドエピクロルヒドリン樹脂、ポリビニルアミン樹脂、ポリエチレンイミン樹脂などの湿潤紙力増強剤、歩留剤、濾水性向上剤、凝結剤、硫酸バンド、嵩高剤、染料、蛍光増白剤、pH調整剤、消泡剤、紫外線防止剤、退色防止剤、ピッチコントロール剤、スライムコントロール剤等が例示可能であり、必要に応じて適宜選択して使用可能である。
<抄紙>
紙基材の製造(抄紙)方法、抄紙機の型式は特に限定されるものではなく、長網抄紙機、ツインワイヤー抄紙機、円網抄紙機、ギャップフォーマー、ハイブリッドフォーマー(オントップフォーマー)等の公知の製造(抄紙)方法、抄紙機が選択可能である。
また、抄紙時のpHは酸性領域(酸性抄紙)、疑似中性領域(疑似中性抄紙)、中性領域(中性抄紙)、アルカリ性領域(アルカリ性抄紙)のいずれでもよく、酸性領域で抄紙した後、紙層の表面にアルカリ性薬剤を塗布してもよい。
紙基材の製造(抄紙)方法、抄紙機の型式は特に限定されるものではなく、長網抄紙機、ツインワイヤー抄紙機、円網抄紙機、ギャップフォーマー、ハイブリッドフォーマー(オントップフォーマー)等の公知の製造(抄紙)方法、抄紙機が選択可能である。
また、抄紙時のpHは酸性領域(酸性抄紙)、疑似中性領域(疑似中性抄紙)、中性領域(中性抄紙)、アルカリ性領域(アルカリ性抄紙)のいずれでもよく、酸性領域で抄紙した後、紙層の表面にアルカリ性薬剤を塗布してもよい。
本発明の紙筒において、紙筒の周壁を構成する紙基材のステキヒトサイズ度が、150秒以上350秒以下であることが好ましい。紙基材のステキヒトサイズ度が150秒未満であると、耐水性が十分でない場合がある。紙基材のステキヒトサイズ度は、200秒以上350秒以下であることがより好ましい。なお、紙基材のステキヒトサイズ度は、JIS P8122:2004 紙及び板紙−サイズ度試験方法−ステキヒト法に従い測定することができる。
紙筒の周壁を構成する紙基材のテーバーこわさは、縦方向が2.5mN・m以上5mN・m以下、横方向が1.0mN・m以上2.5mN・m以下であることが好ましい。紙基材のテーバーこわさが縦方向が2.5mN・m未満、または横方向が1.0mN・m未満であると、紙筒が座屈しやすくなることがある。紙基材のテーバーこわさは、縦方向が3.0mN・m以上、横方向が1.3mN・m以上であることがより好ましく、縦方向が3.5mN・m以上、横方向が1.5mN・m以上であることがさらに好ましい。
テーバーこわさとは紙の腰の指標であり、試験片を一定の角度に曲げるのに必要な力を測定するものであり、紙の自重によるたわみではなく、荷重曲げ法といわれる、紙を15度曲げるのに必要な荷重を測定するものである。主として自重ではたわみ難い厚めの紙、特に板紙のこわさを測定する場合に適用される。なお、紙基材のテーバーこわさは、JIS P8125:2000 紙及び板紙−こわさ試験方法−テーバーこわさ試験機法に従い測定することができる。
テーバーこわさとは紙の腰の指標であり、試験片を一定の角度に曲げるのに必要な力を測定するものであり、紙の自重によるたわみではなく、荷重曲げ法といわれる、紙を15度曲げるのに必要な荷重を測定するものである。主として自重ではたわみ難い厚めの紙、特に板紙のこわさを測定する場合に適用される。なお、紙基材のテーバーこわさは、JIS P8125:2000 紙及び板紙−こわさ試験方法−テーバーこわさ試験機法に従い測定することができる。
紙筒の周壁を構成する紙基材の引裂強さは、縦方向が1100mN以上2500mN以下、横方向が1300mN以上2500mN以下であることが好ましい。紙基材の引裂強さが縦方向が1100mN未満、または横方向が1300mN未満であると、紙筒が引き裂かれやすくなる場合がある。紙基材の引裂強さは、縦方向が1300mN以上、横方向が1400mN以上であることがより好ましい。なお、紙基材の引裂強さは、JIS P8116:2000 紙−引裂強さ試験方法−エルメンドルフ形引裂試験機法に従い測定することができる。
紙筒の周壁を構成する紙基材のエッジウィック値は、1.7g/100cm以下であることが好ましい。エッジウィック値が1.7g/100cm未満であると、紙基材の端面からの水の浸透が多くなり、短い時間で紙基材が弱くなるため、紙筒としての剛度が弱くなることがある。紙基材のエッジウィック値は、0.5g/100cm以下が好ましく、0.4g/100cm以下がより好ましい。なお、エッジウィック値とは、紙基材端面からの液体浸透性の指標となるもので、以下の方法により測定することができる。
紙基材を2cm×20cmの試験片に断裁し、この試験片の表裏面に耐水性のテープを貼着し、浸漬前の試験片の重量を測定する。試験片を温度80±1度の温水に10分間浸漬した後、表裏面に付着した温水を十分に拭き取り、浸漬後の試験片の重量を測定する。
エッジウィック値(g/100cm)={(浸漬後の試験片の重量(g)−浸漬前の試験片の重量(g))/試験片の四周端面の総長(cm)}×100
バイオマス度を高くすると紙筒の耐水性が低くなり水濡れに弱くなるが、本発明は、ステキヒトサイズ度を調整し、エッジウィック値を特定の範囲とすることにより、バイオマス度と紙筒の耐水性を両立することができた。
紙基材を2cm×20cmの試験片に断裁し、この試験片の表裏面に耐水性のテープを貼着し、浸漬前の試験片の重量を測定する。試験片を温度80±1度の温水に10分間浸漬した後、表裏面に付着した温水を十分に拭き取り、浸漬後の試験片の重量を測定する。
エッジウィック値(g/100cm)={(浸漬後の試験片の重量(g)−浸漬前の試験片の重量(g))/試験片の四周端面の総長(cm)}×100
バイオマス度を高くすると紙筒の耐水性が低くなり水濡れに弱くなるが、本発明は、ステキヒトサイズ度を調整し、エッジウィック値を特定の範囲とすることにより、バイオマス度と紙筒の耐水性を両立することができた。
紙筒の周壁を構成する紙基材の坪量は、150g/m2以上400g/m2以下であることが好ましい。坪量が150g/m2未満であると、紙筒の強度が不足する場合がある。また、坪量が400g/m2を超えると、折り曲げにくくなり加工適性が低下する場合がある。紙基材の坪量は、150g/m2以上200g/m2以下であることがより好ましい。
・接着剤
本発明の紙筒において、紙基材を貼り合わせる接着剤としては、95%以上のバイオマス度を有する紙筒を製造できる限り、公知の接着剤を特に制限することなく使用することができる。例えば、ポリビニルアルコール系接着剤、アクリル共重合系接着剤、エチレン酢酸ビニル共重合系接着剤、ホットメルト接着剤、にかわ、でんぷん系接着剤、カゼイン系接着剤等を用いることができる。これらの中では、バイオマス由来であり耐水性にも優れるでんぷん系接着剤、カゼイン系接着剤が好ましい。また、バイオマス由来でないものとしては、乾燥工程が不要であり、製造後に養生期間等を必要としないため作業性が良好であると共に、水に不溶であるため耐水性が良好である点からホットメルト接着剤が好ましい。
接着剤の塗工量は、十分な強度を得られる量であれば特に制限されないが、乾燥重量で0.5g/m2以上2g/m2以下が好ましい。
本発明の紙筒において、紙基材を貼り合わせる接着剤としては、95%以上のバイオマス度を有する紙筒を製造できる限り、公知の接着剤を特に制限することなく使用することができる。例えば、ポリビニルアルコール系接着剤、アクリル共重合系接着剤、エチレン酢酸ビニル共重合系接着剤、ホットメルト接着剤、にかわ、でんぷん系接着剤、カゼイン系接着剤等を用いることができる。これらの中では、バイオマス由来であり耐水性にも優れるでんぷん系接着剤、カゼイン系接着剤が好ましい。また、バイオマス由来でないものとしては、乾燥工程が不要であり、製造後に養生期間等を必要としないため作業性が良好であると共に、水に不溶であるため耐水性が良好である点からホットメルト接着剤が好ましい。
接着剤の塗工量は、十分な強度を得られる量であれば特に制限されないが、乾燥重量で0.5g/m2以上2g/m2以下が好ましい。
ただし、本発明の紙筒を飲料用ストローとして用いる場合、接着剤が臭気や味に影響を与えないことが重要である。そのため、有機溶剤系の接着剤よりも水系あるいは水系エマルジョン系の接着剤が好ましい。また、残留モノマーが少ない接着剤や乳化剤を使用しないソープフリーの接着剤が好ましい。また、接合部に残留する水溶性成分が少ないものが好ましく、水等の液体に浸漬した時に接合部が膨潤、溶解しないものが好ましい。
・製造方法
本発明の紙筒は、連続した帯状の紙基材、または、長辺及び短辺が予め所定の寸法に断裁された矩形状の紙基材から製造することができる。抄紙した紙基材から連続的に紙筒を製造することができ、生産性に優れるため、帯状の紙基材から、紙筒を製造することが好ましい。
本発明の紙筒は、連続した帯状の紙基材、または、長辺及び短辺が予め所定の寸法に断裁された矩形状の紙基材から製造することができる。抄紙した紙基材から連続的に紙筒を製造することができ、生産性に優れるため、帯状の紙基材から、紙筒を製造することが好ましい。
まず、紙基材に、長辺方向と平行に紙筒形成用の罫線加工を施す。紙筒形成用の罫線の本数は、紙筒の軸線方向に直交する横断面における頂点の数と同一である。すなわち、頂点の数が4個であれば、4面と接合面の計5面の領域を形成するために4本の罫線を入れ、頂点の数が6個であれば、6面と接合面の計7面の領域を形成するために6本の罫線を入れる。また、必要に応じて長辺方向と直交する方向に罫線加工を施す。この長辺方向と直交する方向への罫線加工は、その工程順は特に問わないが、帯状基材の場合は、紙筒形成用の罫線加工を施した後に行なうことが好ましい。
罫線加工の方法は、特に制限されず、公知の罫線加工器を用いて加工することができる。例えば、基材が帯状の場合は、ロール状加圧加工冶具を用いることにより、長辺方向に連続して紙筒形成用の罫線を設けることができる。
罫線加工の方法は、特に制限されず、公知の罫線加工器を用いて加工することができる。例えば、基材が帯状の場合は、ロール状加圧加工冶具を用いることにより、長辺方向に連続して紙筒形成用の罫線を設けることができる。
次いで、接合面、長辺端面のいずれか、または両方に接着剤を塗布し、幅方向で両端に位置する長辺端面と接合面が、接着剤を塗布した面で重なるように紙筒形成用の罫線に沿って折り畳み、平板状に押し潰した状態で加圧接着する。紙基材は、長辺端面と接合面とが接着されることにより「筒」となるが、折り畳んで平板状に押し潰した状態で加圧接着することにより、接合面が強固に接着した紙筒を製造することができる。
さらに、必要に応じて、所望の長さと先端形状になるように断裁する。
上記製造方法により、本発明の紙筒を製造することができる。ただし、上記製造方法は一実施態様に過ぎず、本発明の紙筒の製造方法は、上記製造方法に限定されない。
さらに、必要に応じて、所望の長さと先端形状になるように断裁する。
上記製造方法により、本発明の紙筒を製造することができる。ただし、上記製造方法は一実施態様に過ぎず、本発明の紙筒の製造方法は、上記製造方法に限定されない。
以下、本発明を実施例により説明するが、本発明は下記実施例のみに限定されるものではない。
<実施例1>
(1)紙基材の作成
カナダ式標準ろ水度(CSF)470mlの広葉樹クラフトパルプ(LBKP)とCSF500mlの針葉樹クラフトパルプ(NBKP)を85/15の重量比で混合して、原料パルプとした。
原料パルプに、サイズ剤として変性ロジンを対絶乾パルプ重量あたり0.52%、乾燥紙力増強剤としてポリアクリルアミド(PAM)を対絶乾パルプ重量あたり0.38%添加した後、長網抄紙機で抄紙し、原紙を得た。
次いで、原紙の両面に乾燥重量で塗工量1g/m2となるように、澱粉をポンド方式で塗工、乾燥し、坪量180g/m2、厚さ246μmの紙基材を得た。この紙基材のステキヒトサイズ度は310秒、テーバーこわさは縦方向が4.7mN・m、横方向が2.2mN・m、引裂き強さは縦方向が1950mN、横方向が2190mNであり、エッジウィック値は0.4g/100cmであった。
(1)紙基材の作成
カナダ式標準ろ水度(CSF)470mlの広葉樹クラフトパルプ(LBKP)とCSF500mlの針葉樹クラフトパルプ(NBKP)を85/15の重量比で混合して、原料パルプとした。
原料パルプに、サイズ剤として変性ロジンを対絶乾パルプ重量あたり0.52%、乾燥紙力増強剤としてポリアクリルアミド(PAM)を対絶乾パルプ重量あたり0.38%添加した後、長網抄紙機で抄紙し、原紙を得た。
次いで、原紙の両面に乾燥重量で塗工量1g/m2となるように、澱粉をポンド方式で塗工、乾燥し、坪量180g/m2、厚さ246μmの紙基材を得た。この紙基材のステキヒトサイズ度は310秒、テーバーこわさは縦方向が4.7mN・m、横方向が2.2mN・m、引裂き強さは縦方向が1950mN、横方向が2190mNであり、エッジウィック値は0.4g/100cmであった。
この紙基材を、長辺210mm×短辺20mmの矩形状に断裁して、基材とした。
罫線加工器により、基材の長辺方向と平行に、一方の長辺端部から4mm(罫線1−1)、8mm(罫線1−2)、12mm(罫線1−3)、16mm(罫線1−4)の位置にそれぞれ角筒形成用の罫線加工を施した。
次いで、折り器で罫線1−1〜4に沿って折り畳み、接合面に澱粉糊を乾燥重量で1g/m2塗工し、直ちに罫線1−2及び罫線1−4に沿って長辺端面と接合面を重ね合わせ、プレスして長辺端面と接合面を加圧接着し、平板状に押し潰された紙筒を得た。
得られた紙筒は、軸線に直交する横断面における頂点の数が4であり、1辺の長さが4mmであった。また、バイオマス度は99%であった。
得られた紙筒は、使用時には、長辺と直交する横断面における断面形状が、4辺の長さがいずれも4mm、横断面において頂点を結んだ対角線の長さがいずれも6mmであり、四角形である多角筒に展開される。
罫線加工器により、基材の長辺方向と平行に、一方の長辺端部から4mm(罫線1−1)、8mm(罫線1−2)、12mm(罫線1−3)、16mm(罫線1−4)の位置にそれぞれ角筒形成用の罫線加工を施した。
次いで、折り器で罫線1−1〜4に沿って折り畳み、接合面に澱粉糊を乾燥重量で1g/m2塗工し、直ちに罫線1−2及び罫線1−4に沿って長辺端面と接合面を重ね合わせ、プレスして長辺端面と接合面を加圧接着し、平板状に押し潰された紙筒を得た。
得られた紙筒は、軸線に直交する横断面における頂点の数が4であり、1辺の長さが4mmであった。また、バイオマス度は99%であった。
得られた紙筒は、使用時には、長辺と直交する横断面における断面形状が、4辺の長さがいずれも4mm、横断面において頂点を結んだ対角線の長さがいずれも6mmであり、四角形である多角筒に展開される。
得られた本発明の紙筒は、従来のプラスチック100%からなるストローと比較すると、バイオマス度が高く、環境への負荷が小さい。また、折りたためるのでコンパクトに収容でき、輸送効率も高く、特に飲料用ストローとして好適である。
Claims (10)
- 軸線と直交する横断面における頂点の数が3以上であり、かつ、バイオマス度が95%以上であることを特徴とする紙筒。
- 前記横断面において、前記頂点を結んだ対角線の長さが、いずれも4mm以上10mm以下であることを特徴とする請求項1に記載の紙筒。
- 平板状に押し潰すことができることを特徴とする請求項1または2に記載の紙筒。
- 前記紙筒の周壁を形成する紙基材のステキヒトサイズ度が、150秒以上350秒以下であることを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載の紙筒。
- 前記紙筒の周壁を形成する紙基材のテーバーこわさが、縦方向が2.5mN・m以上5mN・m以下、横方向が1.0mN・m以上2.5mN・m以下であることを特徴とする、請求項1〜4のいずれかに記載の紙筒。
- 前記紙筒の周壁を形成する紙基材の引裂強さが、縦方向が1100mN以上2500mN以下、横方向が1300mN以上2500mN以下であることを特徴とする、請求項1〜5のいずれかに記載の紙筒。
- 前記紙筒の周壁を形成する紙基材のエッジウィック値が、1.7g/100cm以下であることを特徴とする、請求項1〜6のいずれかに記載の紙筒。
- 前記紙筒の周壁を形成する紙基材の坪量が、150g/m2以上400g/m2以下であることを特徴とする、請求項1〜7のいずれかに記載の紙筒。
- 前記軸線と直交する罫線を有することを特徴とする、請求項1〜8のいずれかに記載の紙筒。
- 請求項1〜9のいずれかに記載の紙筒からなることを特徴とする飲料用ストロー。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2018182640A JP2020048984A (ja) | 2018-09-27 | 2018-09-27 | 紙筒、及びこの紙筒からなる飲料用ストロー |
Applications Claiming Priority (1)
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JP2018182640A JP2020048984A (ja) | 2018-09-27 | 2018-09-27 | 紙筒、及びこの紙筒からなる飲料用ストロー |
Publications (1)
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JP2020048984A true JP2020048984A (ja) | 2020-04-02 |
Family
ID=69994686
Family Applications (1)
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JP2018182640A Pending JP2020048984A (ja) | 2018-09-27 | 2018-09-27 | 紙筒、及びこの紙筒からなる飲料用ストロー |
Country Status (1)
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JP (1) | JP2020048984A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN114619710A (zh) * | 2021-06-07 | 2022-06-14 | 湖南臻诚高分子新材料有限公司 | 一种泡热水不变软不散开低迁移的纸吸管的制备方法 |
-
2018
- 2018-09-27 JP JP2018182640A patent/JP2020048984A/ja active Pending
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CN114619710A (zh) * | 2021-06-07 | 2022-06-14 | 湖南臻诚高分子新材料有限公司 | 一种泡热水不变软不散开低迁移的纸吸管的制备方法 |
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