各図においてZ軸方向は、正の側を上側とし、負の側を下側とする上下方向である。各図に適宜示す中心軸J1の軸方向は、Z軸方向、すなわち上下方向と平行である。以下の説明においては、中心軸J1の軸方向と平行な方向を単に「軸方向Z」と呼ぶ。また、各図に適宜示すX軸方向およびY軸方向は、軸方向Zと直交する水平方向であり、互いに直交する方向である。
また、中心軸J1を中心とする径方向を単に「径方向」と呼び、中心軸J1を中心とする周方向を単に「周方向」と呼ぶ。本実施形態において、上側は、軸方向一方側に相当し、下側は、軸方向他方側に相当する。なお、上下方向、水平方向、上側および下側とは、単に各部の相対位置関係を説明するための名称であり、実際の配置関係等は、これらの名称で示される配置関係等以外の配置関係等であってもよい。
図1および図2に示すように、本実施形態の電動アクチュエータ10は、ケース11と、ベアリング保持部材130と、中心軸J1の軸方向Zに延びるモータシャフト21を有するモータ20と、制御部70と、コネクタ部80と、減速機構30と、出力部40と、回転検出装置60と、配線部材90と、第1ベアリング51と、第2ベアリング52と、第3ベアリング53と、ブッシュ54と、を備える。
本実施形態において第1ベアリング51、第2ベアリング52および第3ベアリング53は、転がり軸受である。第1ベアリング51、第2ベアリング52および第3ベアリング53は、例えば、ボールベアリングである。図2に示すように、第1ベアリング51は、内輪51aと、内輪51aの径方向外側に位置する外輪51bと、内輪51aと外輪51bとの径方向の間に位置する複数のボール51cと、を有する。内輪51aおよび外輪51bは、中心軸J1を中心とする円環状である。図示は省略するが、複数のボール51cは、周方向に沿って並んで配置される。複数のボール51cは、内輪51aと外輪51bとを連結する。第2ベアリング52および第3ベアリング53も、第1ベアリング51と同様に、内輪と、外輪と、複数のボールと、を有する。
図1に示すように、ケース11は、モータ20および減速機構30を収容する。ケース11は、モータ20を収容するモータケース12と、減速機構30を収容する減速機構ケース13と、を有する。モータケース12は、第1ケース筒部12aと、ケース壁部12bと、制御基板収容部12fと、上蓋部12cと、端子保持部12dと、第1配線保持部14と、を有する。すなわち、ケース11は、ケース壁部12bを有する。モータケース12の各部は、例えば、後述する支持部材100および金属部材110を除いて樹脂製である。
第1ケース筒部12aは、中心軸J1を中心として軸方向Zに延びる円筒状である。第1ケース筒部12aは、軸方向Zの両側に開口する。第1ケース筒部12aは、下側に開口する第1開口部12gを有する。すなわち、モータケース12は、第1開口部12gを有する。第1ケース筒部12aは、モータ20の径方向外側を囲む。
ケース壁部12bは、第1ケース筒部12aの内周面から径方向内側に拡がる円環状である。ケース壁部12bは、モータ20の後述するステータ23の上側を覆う。図2に示すように、ケース壁部12bは、樹脂製のケース壁部本体12iと、金属製の金属部材110と、支持部材100と、を有する。
ケース壁部本体12iは、第1ケース筒部12aの内周面から径方向内側に拡がる円環状の部分である。ケース壁部本体12iは、後述するステータ23の上側を覆う。ケース壁部本体12iは、ケース壁部本体12iを軸方向Zに貫通する貫通孔12hを有する。図3に示すように、本実施形態において貫通孔12hは、中心軸J1を中心とする円形状である。貫通孔12hの内径D1は、後述する筒状部101の外径D2よりも大きい。
図2に示すように、金属部材110は、円環状であり、内周面に雌ネジ部111を有する。金属部材110は、例えば、ナットである。金属部材110は、ケース壁部本体12iに埋め込まれる。より詳細には、金属部材110は、ケース壁部本体12iのうち径方向内縁部に埋め込まれる。金属部材110は、貫通孔12hの径方向内側面よりも径方向外側に離れた位置に位置する。金属部材110の上側の面は、ケース壁部本体12iの上側の面よりも上側に位置する。金属部材110の上側の面は、軸方向Zと直交する平坦な面である。図3に示すように、本実施形態において金属部材110は、複数設けられる。複数の金属部材110は、周方向に沿って一周に亘って等間隔に配置される。金属部材110は、例えば、3つ設けられる。
支持部材100は、ケース壁部本体12iに固定される。支持部材100は、金属製である。図4に示すように、支持部材100は、筒状部101と、固定フランジ部102と、を有する。すなわち、ケース壁部12bは、筒状部101と、固定フランジ部102と、を有する。本実施形態において筒状部101と固定フランジ部102とは、同一の単一部材の一部である。
本実施形態において筒状部101は、中心軸J1を中心として軸方向Zに延びる円筒状である。筒状部101は、貫通孔12hに上側から挿入される。筒状部101は、貫通孔12hを介してケース壁部本体12iよりも下側に突出する。
図3に示すように、筒状部101の外径D2は、貫通孔12hの内径D1よりも小さい。そのため、筒状部101の径方向外側面のうち周方向の少なくとも一部は、貫通孔12hの径方向内側面から径方向内側に離れた位置に位置する。図2および図3に示す例では、筒状部101の径方向外側面は、全周に亘って貫通孔12hの径方向内側面から径方向内側に離れた位置に位置する。図2に示すように、筒状部101は、筒状部101の内周面に設けられる雌ネジ部101aを有する。本実施形態において雌ネジ部101aは、筒状部101の内周面の全体に亘って設けられる。
固定フランジ部102は、筒状部101から径方向外側に延びる。本実施形態において固定フランジ部102は、筒状部101の上側の端部から径方向外側に延びる。図4に示すように、固定フランジ部102は、中心軸J1を中心とする円環板状である。固定フランジ部102は、固定フランジ部102を軸方向Zに貫通する貫通部102aを有する。本実施形態において貫通部102aは、径方向に延び、径方向外側に開口する。言い換えると本実施形態において貫通部102aは、固定フランジ部102の径方向外縁部から径方向内側に窪む部分である。
貫通部102aの内側面のうち径方向内側の縁部は、軸方向Zに沿って視て、径方向内側に凹となる円弧状である。貫通部102aの径方向外側の開口部は、径方向外側に向かうに従って周方向の寸法が大きくなる。本実施形態において貫通部102aは、複数設けられる。複数の貫通部102aは、周方向に沿って一周に亘って等間隔に配置される。貫通部102aは、例えば、3つ設けられる。図3に示すように、各貫通部102aの内部は、各金属部材110の上側に位置する。貫通部102aの径方向の寸法Lは、後述するネジ本体部121の外径D3よりも大きい。本実施形態において貫通部102aの径方向の寸法Lは、貫通部102aの径方向内側の端部と固定フランジ部102の径方向外縁部との間の径方向の距離に相当する。貫通部102aの径方向の寸法Lおよび周方向の寸法は、金属部材110の外径よりも小さい。
固定フランジ部102は、ケース壁部本体12iの上側に位置する。固定フランジ部102は、ケース壁部本体12iに固定される。本実施形態において固定フランジ部102は、ケース壁部本体12iに埋め込まれた金属部材110の雌ネジ部111に対して軸方向Zに締め込まれる複数のネジ部材120によって、金属部材110を介してケース壁部本体12iに固定される。すなわち、電動アクチュエータ10は、固定フランジ部102をケース壁部本体12iに固定する複数のネジ部材120をさらに備える。ネジ部材120は、例えば、3つ設けられる。
図2に示すように、ネジ部材120は、ネジ本体部121と、ネジ頭部122と、を有する。ネジ本体部121は、貫通部102aに通されて、金属部材110の雌ネジ部111に締め込まれる。図3に示すように、ネジ本体部121の外径D3は、貫通部102aの径方向の寸法Lよりも小さい。本実施形態において貫通部102aの径方向の寸法Lとネジ本体部121の外径D3との差は、貫通孔12hの内径D1と筒状部101の外径D2との差よりも大きい。
図2に示すように、ネジ頭部122は、ネジ本体部121の上側の端部に設けられる。ネジ頭部122は、固定フランジ部102の上側に位置する。ネジ頭部122は、固定フランジ部102の上側の面のうち貫通部102aの周縁部と接触する。図3に示すように、ネジ頭部122の軸方向Zに沿って視た外形は、例えば、円形状である。ネジ頭部122の外径D4は、貫通部102aの径方向の寸法Lおよび貫通部102aの周方向の寸法よりも大きい。
以上のように、各ネジ部材120が固定フランジ部102の上側から各貫通部102aを通って金属部材110に締め込まれることで、固定フランジ部102がケース壁部本体12iに固定される。本実施形態では、貫通部102aおよびネジ部材120が、周方向に沿って一周に亘って等間隔に3つ以上配置される。そのため、支持部材100をより強固かつ安定してケース壁部本体12iに固定できる。固定フランジ部102の径方向外縁部は、ネジ部材120の径方向外縁部よりも径方向内側に位置する。
図2に示すように、ネジ部材120によって固定された固定フランジ部102は、金属部材110の上側の面に接触する。より詳細には、固定フランジ部102の下側の面のうち貫通部102aの周縁部が、金属部材110の上側の面に接触する。固定フランジ部102は、ケース壁部本体12iから上側に離れた位置に位置する。そのため、金属部材110によって固定フランジ部102を精度よく軸方向Zに位置決めできる。また、固定フランジ部102が軸方向Zに対して傾くことを抑制できる。また、固定フランジ部102がケース壁部本体12iに直接的には接触しない。そのため、線膨張係数の違いによって樹脂製のケース壁部本体12iと金属製の金属部材110との間に熱変形量の差が生じた場合であっても、ケース壁部本体12iに応力が加えられることを抑制できる。これにより、ケース壁部本体12iが破損すること、および金属部材110がケース壁部本体12iから抜けること等を抑制できる。
図1に示すように、制御基板収容部12fは、後述する制御基板71を収容する部分である。制御基板収容部12fは、第1ケース筒部12aの上側部分の径方向内側に構成される。制御基板収容部12fの底面は、ケース壁部12bの上面である。制御基板収容部12fは、上側に開口する。上蓋部12cは、制御基板収容部12fの上端開口を塞ぐ板状の蓋である。端子保持部12dは、第1ケース筒部12aから径方向外側に突出する。端子保持部12dは、径方向外側に開口する円筒状である。端子保持部12dは、後述する端子81を保持する。
第1配線保持部14は、第1ケース筒部12aから径方向外側に突出する。図1では、第1配線保持部14は、第1ケース筒部12aからX軸方向の負の側に突出する。第1配線保持部14は、軸方向Zに延びる。第1配線保持部14の上端部の軸方向位置は、ケース壁部12bの軸方向位置とほぼ同じである。第1配線保持部14の周方向位置は、例えば、コネクタ部80の周方向位置と異なる。
減速機構ケース13は、モータケース12の下側に位置する。減速機構ケース13は、減速機構ケース本体13iと、円筒部材16と、を有する。減速機構ケース本体13iは、樹脂製である。減速機構ケース本体13iは、底壁部13aと、第2ケース筒部13bと、突出筒部13cと、第2配線保持部15と、を有する。底壁部13aは、中心軸J1を中心とする円環状である。底壁部13aは、減速機構30の下側を覆う。
第2ケース筒部13bは、底壁部13aの径方向外縁部から上側に突出する円筒状である。第2ケース筒部13bは、上側に開口する。第2ケース筒部13bの上端部は、第1ケース筒部12aの下端部に接触して固定される。突出筒部13cは、底壁部13aの径方向内縁部から下側に突出する円筒状である。突出筒部13cは、軸方向両側に開口する。
第2配線保持部15は、第2ケース筒部13bから径方向外側に突出する。図1では、第2配線保持部15は、第2ケース筒部13bからX軸方向の負の側、すなわち第1配線保持部14が突出する側と同じ側に突出する。第2配線保持部15は、第1配線保持部14の下側に配置される。第2配線保持部15は、例えば、中空で上側に開口する箱状である。第2配線保持部15の内部は、第2ケース筒部13bの内部と繋がる。第2配線保持部15は、底壁部15aと、側壁部15bと、を有する。底壁部15aは、底壁部13aから径方向外側に延びる。図1では、底壁部15aは、底壁部13aからX軸方向の負の側に延びる。側壁部15bは、底壁部15aの外縁部から上側に延びる。
本実施形態においては、底壁部13aと底壁部15aとによって減速機構ケース本体13iの底部13jが構成される。底部13jは、底部13jの下側の面から上側に窪む収容凹部17を有する。本実施形態において収容凹部17は、底壁部13aと底壁部15aとに跨って設けられる。
円筒部材16は、軸方向Zに延びる円筒状である。より詳細には、円筒部材16は、中心軸J1を中心とし、軸方向両側に開口する多段の円筒状である。円筒部材16は、金属製である。本実施形態において円筒部材16は、板金製である。そのため、金属板をプレス加工することにより円筒部材16を作ることができ、円筒部材16の製造コストを低減できる。本実施形態において円筒部材16は、非磁性材である。
円筒部材16は、減速機構ケース本体13iに埋め込まれる。円筒部材16は、大径部16aと、円環部16bと、小径部16cと、を有する。大径部16aは、円筒部材16の上側部分である。大径部16aは、第2ケース筒部13bに埋め込まれる。大径部16aの内周面のうち上側の端部は、減速機構ケース13の内部に露出する。図5に示すように、大径部16aは、内周面に、径方向外側に窪む位置決め凹部16dを有する。なお、図5においては、減速機構ケース本体13iの図示を省略する。
図1に示すように、円環部16bは、大径部16aの下側の端部から径方向内側に延びる円環状の部分である。本実施形態において円環部16bは、中心軸J1を中心とする円環板状である。円環部16bは、底壁部13aに配置される。本実施形態において円環部16bは、底壁部13aの上側の面に位置する。円環部16bの径方向外縁部は、第2ケース筒部13bに埋め込まれる。円環部16bの上面のうち径方向内側寄りの部分は、減速機構ケース13の内部に露出する。円環部16bは、後述する第1マグネット63の下側を覆う。
小径部16cは、円筒部材16の下側部分である。小径部16cは、円環部16bの径方向内縁部から下側に延びる。小径部16cの外径および内径は、大径部16aの外径および内径よりも小さい。小径部16cは、突出筒部13cの径方向内側に嵌め合わされる。小径部16cの内部には、軸方向Zに延びる円筒状のブッシュ54が配置される。ブッシュ54は、小径部16cに嵌め合わされて、突出筒部13c内に固定される。ブッシュ54は、上端部に径方向外側に突出するブッシュフランジ部54aを有する。ブッシュフランジ部54aは円環部16bの上面に接触する。これにより、ブッシュ54が小径部16cの内部から下側に抜けることが抑制される。
減速機構ケース13は、上側に開口する第2開口部13hを有する。本実施形態において第2開口部13hは、第2ケース筒部13bの上側の開口と第2配線保持部15の上側の開口とによって構成される。モータケース12と減速機構ケース13とは、第1開口部12gと第2開口部13hとが軸方向Zに対向した状態で互いに固定される。モータケース12と減速機構ケース13とが互いに固定された状態において、第1開口部12gの内部と第2開口部13hの内部とは、互いに繋がる。
本実施形態においてモータケース12のうち支持部材100を除く部分および減速機構ケース13は、例えば、それぞれインサート成形によって作られる。モータケース12のうち支持部材100を除く部分は、金属部材110と配線部材90のうち後述する第1配線部材91とをインサート部材としたインサート成形によって作られる。減速機構ケース13は、円筒部材16と配線部材90のうち後述する第2配線部材92とをインサート部材としたインサート成形によって作られる。
ベアリング保持部材130は、ケース壁部12bに設けられ、第1ベアリング51を保持する部材である。図2に示すように、本実施形態においてベアリング保持部材130は、筒状部101の径方向内側に保持される。ベアリング保持部材130は、周壁部131と、支持壁部132と、を有する。図6に示すように、周壁部131は、軸方向Zに延びる筒状である。本実施形態において周壁部131は、中心軸J1を中心とし、軸方向Zの両側に開口する円筒状である。図2に示すように、周壁部131は、筒状部101の径方向内側に位置し、かつ、第1ベアリング51の径方向外側に位置する。周壁部131には、第1ベアリング51が嵌め合わされる。より詳細には、周壁部131の下側部分の径方向内側に、第1ベアリング51の外輪51bが隙間嵌めされる。
周壁部131は、周壁部131の径方向外側面に設けられる雄ネジ部131aを有する。本実施形態において雄ネジ部131aは、周壁部131の径方向外側面の全体に亘って設けられる。雄ネジ部131aは、雌ネジ部101aと噛み合う。これにより、周壁部131は、筒状部101の径方向内側にネジで固定される。
支持壁部132は、周壁部131の上側部分から径方向内側に突出する。支持壁部132は、内径が内輪51aの外径よりも大きい環状である。図6に示すように、本実施形態において支持壁部132は、中心軸J1と中心とする円環状である。本実施形態において支持壁部132の上側の面は、周壁部131の上側の面と軸方向Zにおいて同じ位置に配置される。支持壁部132の上側の面は、周壁部131の上側の面と共にベアリング保持部材130の上側の面を構成する。
図2に示すように、支持壁部132は、筒状部101の径方向内側に位置する。支持壁部132は、モータシャフト21の径方向外側においてモータシャフト21を囲む。本実施形態において支持壁部132の内周面は、内輪51aの外周面よりも径方向外側に位置する。支持壁部132は、第1ベアリング51の上側に位置する。支持壁部132は、上側から第1ベアリング51を支持する。支持壁部132の下面は、第1ベアリング51の上面と接触する。より詳細には、支持壁部132の下面は、外輪51bの上面と接触する。すなわち、本実施形態において支持壁部132は、上側から外輪51bを支持する。
ベアリング保持部材130は、ベアリング保持部材130の上側の面から下側に窪む第1穴部133を有する。本実施形態において第1穴部133は、支持壁部132に設けられる。第1穴部133は、例えば、下側に底部を有する穴である。なお、第1穴部133は、支持壁部132を軸方向Zに貫通してもよい。
図6に示すように、第1穴部133は、周方向に沿って複数設けられる。複数の第1穴部133は、周方向に沿って一周に亘って等間隔に配置される。第1穴部133は、例えば、4つ設けられる。第1穴部133は、軸方向Zに沿って視て、円形状である。第1穴部133は、例えば、支持壁部132の内周面と周壁部131の外周面との径方向の中心に位置する。
ベアリング保持部材130は、ベアリング保持部材130の上側の面から下側に窪むカシメ穴部134を有する。本実施形態においてカシメ穴部134は、周壁部131に設けられる。カシメ穴部134は、例えば、第1穴部133よりも径方向外側に位置する。図2に示すように、カシメ穴部134は、例えば、下側に底部を有する穴である。カシメ穴部134の軸方向Zの深さは、第1穴部133の軸方向Zの深さよりも小さい。
図6に示すように、カシメ穴部134は、周方向に沿って複数設けられる。複数のカシメ穴部134は、周方向に沿って一周に亘って等間隔に配置される。カシメ穴部134は、例えば、2つ設けられる。2つのカシメ穴部134は、中心軸J1を径方向に挟んで配置される。カシメ穴部134の周方向位置は、例えば、周方向に隣り合う第1穴部133同士の間の周方向位置である。カシメ穴部134は、軸方向Zに沿って視て、略円形状である。
カシメ穴部134は、ポンチ等の工具によって広げられた状態となっている。これにより、ベアリング保持部材130のうちカシメ穴部134の周囲は、カシメ穴部134の径方向において、外側にカシメられた状態となっている。
図1に示すように、モータ20は、モータシャフト21と、ロータ本体22と、ステータ23と、を有する。モータシャフト21は、中心軸J1を中心として回転可能である。モータシャフト21は、第1ベアリング51と第3ベアリング53とによって、中心軸J1回りに回転可能に支持される。第1ベアリング51および第3ベアリング53は、モータシャフト21の外周面に固定される。第1ベアリング51は、ベアリング保持部材130に保持され、モータシャフト21のうちロータ本体22よりも上側に位置する部分を回転可能に支持する。図2に示すように、第1ベアリング51の内輪51aは、モータシャフト21の外周面に設けられた段差部21cによって下側から支持される。図1に示すように、第3ベアリング53は、モータシャフト21のうちロータ本体22よりも下側に位置する部分を減速機構ケース13に対して回転可能に支持する。
モータシャフト21の上端部は、貫通孔12hを通ってケース壁部12bよりも上側に突出する。モータシャフト21は、中心軸J1に対して偏心した偏心軸J2を中心とする偏心軸部21aを有する。偏心軸部21aは、ロータ本体22よりも下側に位置する。偏心軸部21aには、第2ベアリング52の内輪が嵌め合わされて固定される。これにより、第2ベアリング52は、モータシャフト21に固定される。
ロータ本体22は、モータシャフト21に固定される。図示は省略するが、ロータ本体22は、モータシャフト21の外周面に固定される円筒状のロータコアと、ロータコアに固定されるマグネットと、を有する。ステータ23は、ロータ本体22と隙間を介して径方向に対向する。ステータ23は、ロータ本体22の径方向外側においてロータ本体22を囲む。ステータ23は、ロータ本体22の径方向外側を囲む環状のステータコア24と、ステータコア24に装着されるインシュレータ25と、インシュレータ25を介してステータコア24に装着される複数のコイル26と、を有する。ステータコア24は、第1ケース筒部12aの内周面に固定される。これにより、モータ20は、モータケース12に保持される。
制御部70は、制御基板71と、第2取付部材73と、第2マグネット74と、第2回転センサ72と、を有する。すなわち、電動アクチュエータ10は、制御基板71と、第2取付部材73と、第2マグネット74と、第2回転センサ72と、を備える。
制御基板71は、軸方向Zと直交する平面に拡がる板状である。制御基板71は、モータケース12に収容される。より詳細には、制御基板71は、制御基板収容部12f内に収容され、ケース壁部12bから上側に離れて配置される。制御基板71は、モータ20と電気的に接続される基板である。制御基板71には、ステータ23のコイル26が電気的に接続される。制御基板71は、例えば、モータ20に供給される電流を制御する。すなわち、制御基板71には、例えば、インバータ回路が搭載される。
第2取付部材73は、中心軸J1を中心とする円環状である。図2に示すように、第2取付部材73の内周面は、モータシャフト21の上端部に位置する縮径部21bの外周面に固定される。縮径部21bは、外径が小さくなる部分である。第2取付部材73は、第1ベアリング51、ベアリング保持部材130、および支持部材100の上側に配置される。第2取付部材73は、例えば、非磁性材である。なお、第2取付部材73は、磁性材であってもよい。第2取付部材73は、縮径部21bに嵌め合わされる筒状の取付筒部73aと、取付筒部73aの上側の端部から径方向外側に拡がる取付円環部73bと、を有する。取付円環部73bは、中心軸J1を中心とする円環板状である。取付円環部73bの径方向外縁部は、下側に窪む。
第2マグネット74は、中心軸J1を中心とする円環状である。第2マグネット74は、取付円環部73bの径方向外縁部の上端面に固定される。第2マグネット74の第2取付部材73への固定方法は、特に限定されず、例えば、接着剤による接着である。第2取付部材73と第2マグネット74とは、モータシャフト21と共に回転する。第2マグネット74は、第1ベアリング51および筒状部101の上側に配置される。第2マグネット74は、周方向に沿って交互に配置されるN極とS極とを有する。
第2回転センサ72は、モータ20の回転を検出するセンサである。第2回転センサ72は、制御基板71の下面に取り付けられる。第2回転センサ72は、第2マグネット74と隙間を介して軸方向Zに対向する。第2回転センサ72は、第2マグネット74によって生じる磁界を検出する。第2回転センサ72は、例えばホール素子である。図示は省略するが、第2回転センサ72は、周方向に沿って複数、例えば3つ設けられる。第2回転センサ72は、モータシャフト21と共に回転する第2マグネット74によって生じる磁界の変化を検出することで、モータシャフト21の回転を検出することができる。
図1に示すコネクタ部80は、ケース11外の電気的配線との接続が行われる部分である。コネクタ部80は、モータケース12に設けられる。コネクタ部80は、上述した端子保持部12dと、端子81と、を有する。端子81は、端子保持部12dに埋め込まれて保持される。端子81の一端は、制御基板71に固定される。端子81の他端は、端子保持部12dの内部を介してケース11の外部に露出する。本実施形態において端子81は、例えば、バスバーである。
コネクタ部80には、図示しない電気的配線を介して外部電源が接続される。より詳細には、端子保持部12dに外部電源が取り付けられ、外部電源が有する電気的配線が端子保持部12d内に突出した端子81の部分と電気的に接続される。これにより、端子81は、制御基板71と電気的配線とを電気的に接続する。したがって、本実施形態では、端子81および制御基板71を介して、外部電源からステータ23のコイル26に電源が供給される。
減速機構30は、モータシャフト21の下側の部分の径方向外側に配置される。減速機構30は、減速機構ケース13の内部に収容される。減速機構30は、底壁部13aおよび円環部16bとモータ20との軸方向Zの間に配置される。減速機構30は、外歯ギア31と、複数の突出部32と、内歯ギア33と、出力フランジ部42と、を有する。
外歯ギア31は、偏心軸部21aの偏心軸J2を中心として、軸方向Zと直交する平面に拡がる略円環板状である。図5に示すように、外歯ギア31の径方向外側面には、歯車部が設けられる。外歯ギア31は、偏心軸部21aに第2ベアリング52を介して連結される。これにより、減速機構30は、モータシャフト21の下側の部分に連結される。外歯ギア31は、第2ベアリング52の外輪に径方向外側から嵌め合わされる。これにより、第2ベアリング52はモータシャフト21と外歯ギア31とを、偏心軸J2回りに相対的に回転可能に連結する。
図1に示すように、複数の突出部32は、外歯ギア31から出力フランジ部42に向かって軸方向Zに突出する。突出部32は、下側に突出する円柱状である。図5に示すように、複数の突出部32は、周方向に沿って配置される。より詳細には、複数の突出部32は、偏心軸J2を中心とする周方向に沿って一周に亘って等間隔に配置される。
内歯ギア33は、外歯ギア31の径方向外側を囲んでケース11に固定され、外歯ギア31と噛み合う。内歯ギア33は、中心軸J1を中心とする円環状である。図1に示すように、内歯ギア33は、円筒部材16の上側の端部の径方向内側に位置する。内歯ギア33は、金属製の円筒部材16の内周面に固定される。そのため、減速機構ケース本体13iを樹脂製としつつ、内歯ギア33を減速機構ケース13に強固に固定できる。これにより、内歯ギア33が減速機構ケース13に対して移動することを抑制でき、内歯ギア33の位置がずれることを抑制できる。本実施形態において内歯ギア33は、大径部16aの内周面に圧入によって固定される。このように、減速機構30は、円筒部材16の内周面に固定され、減速機構ケース13に保持される。図5に示すように、内歯ギア33の内周面には、歯車部が設けられる。内歯ギア33の歯車部は、外歯ギア31の歯車部と噛み合う。より詳細には、内歯ギア33の歯車部は、外歯ギア31の歯車部と一部において噛み合う。
内歯ギア33は、径方向外側に突出する位置決め凸部33aを有する。位置決め凸部33aは、大径部16aに設けられた位置決め凹部16dに嵌め合わされる。これにより、位置決め凸部33aが位置決め凹部16dに引っ掛かり、内歯ギア33が円筒部材16に対して周方向に相対回転することを抑制できる。
出力フランジ部42は、出力部40の一部である。出力フランジ部42は、外歯ギア31の下側に位置する。出力フランジ部42は、中心軸J1を中心として径方向に拡がる円環板状である。出力フランジ部42は、後述する出力シャフト41の上側の端部から径方向外側に拡がる。図1に示すように、出力フランジ部42は、ブッシュフランジ部54aに上側から接触する。
出力フランジ部42は、複数の第2穴部42aを有する。本実施形態において複数の第2穴部42aは、出力フランジ部42を軸方向Zに貫通する。図5に示すように、複数の第2穴部42aは、周方向に沿って配置される。より詳細には、複数の第2穴部42aは、中心軸J1を中心とする周方向に沿って一周に亘って等間隔に配置される。第2穴部42aの軸方向Zに沿って視た形状は、円形状である。第2穴部42aの内径は、突出部32の外径よりも大きい。複数の第2穴部42aのそれぞれには、外歯ギア31に設けられた複数の突出部32がそれぞれ挿入される。突出部32の外周面は、第2穴部42aの内周面と内接する。第2穴部42aの内周面は、突出部32を介して、外歯ギア31を中心軸J1回りに揺動可能に支持する。言い換えれば、複数の突出部32は、第2穴部42aの内側面を介して、外歯ギア31を中心軸J1回りに揺動可能に支持する。
出力部40は、電動アクチュエータ10の駆動力を出力する部分である。図1に示すように、出力部40は、減速機構ケース13に収容される。出力部40は、出力シャフト41と、出力フランジ部42と、を有する。すなわち、電動アクチュエータ10は、出力シャフト41と、出力フランジ部42と、を備える。本実施形態において出力部40は、単一の部材である。
出力シャフト41は、モータシャフト21の下側においてモータシャフト21の軸方向Zに延びる。出力シャフト41は、円筒部41aと、出力シャフト本体部41bと、を有する。円筒部41aは、出力フランジ部42の内縁から下側に延びる円筒状である。円筒部41aは、底部を有し上側に開口する円筒状である。円筒部41aは、ブッシュ54の径方向内側に嵌め合わされる。これにより、出力シャフト41は、ブッシュ54を介して円筒部材16に回転可能に支持される。上述したように円筒部材16には、減速機構30が固定される。そのため、金属製の円筒部材16によって、減速機構30と出力シャフト41とを共に支持することができる。これにより、減速機構30と出力シャフト41とを軸精度よく配置することができる。
円筒部41aの内部には、第3ベアリング53が収容される。第3ベアリング53の外輪は、円筒部41aの内部に嵌め合わされる。これにより、第3ベアリング53は、モータシャフト21と出力シャフト41とを互いに相対回転可能に連結する。円筒部41aの内部には、モータシャフト21の下端部が位置する。モータシャフト21の下端面は、円筒部41aの底部の上面と隙間を介して対向する。
出力シャフト本体部41bは、円筒部41aの底部から下側に延びる。本実施形態において出力シャフト本体部41bは、中心軸J1を中心とする円柱状である。出力シャフト本体部41bの外径は、円筒部41aの外径および内径よりも小さい。出力シャフト本体部41bの下端部は、突出筒部13cよりも下側に突出する。出力シャフト本体部41bの下端部には、電動アクチュエータ10の駆動力が出力される他の部材が取り付けられる。
モータシャフト21が中心軸J1回りに回転されると、偏心軸部21aは、中心軸J1を中心として周方向に公転する。偏心軸部21aの公転は第2ベアリング52を介して外歯ギア31に伝達され、外歯ギア31は、第2穴部42aの内周面と突出部32の外周面との内接する位置が変化しつつ、揺動する。これにより、外歯ギア31の歯車部と内歯ギア33の歯車部とが噛み合う位置が、周方向に変化する。したがって、内歯ギア33に、外歯ギア31を介してモータシャフト21の回転力が伝達される。
ここで、本実施形態では、内歯ギア33は固定されているため回転しない。そのため、内歯ギア33に伝達される回転力の反力によって、外歯ギア31が偏心軸J2回りに回転する。このとき外歯ギア31の回転する向きは、モータシャフト21の回転する向きと反対向きとなる。外歯ギア31の偏心軸J2回りの回転は、第2穴部42aと突出部32とを介して、出力フランジ部42に伝達される。これにより、出力シャフト41が中心軸J1回りに回転する。このようにして、出力シャフト41には、減速機構30を介してモータシャフト21の回転が伝達される。出力シャフト41の回転は、減速機構30によって、モータシャフト21の回転に対して減速される。
回転検出装置60は、出力部40の回転を検出する。回転検出装置60は、第1マグネット63と、被覆部62と、第1回転センサ61と、を有する。第1マグネット63は、中心軸J1を中心とする円環状である。第1マグネット63は、出力部40に取り付けられる。より詳細には、第1マグネット63は、出力フランジ部42の下面に固定される。第1マグネット63は、突出部32の下側に位置する。第1マグネット63の下側の端部は、円環部16bの上側に隙間を介して対向する。
第1回転センサ61は、収容凹部17の内部に位置する。第1回転センサ61は、円環部16bを挟んで第1マグネット63の下側に位置する。第1回転センサ61は、第1マグネット63によって生じる磁界を検出する。第1回転センサ61は、例えばホール素子である。出力部40と共に回転する第1マグネット63によって生じる磁界の変化を検出することで、第1回転センサ61は、出力部40の回転を検出することができる。ここで、本実施形態によれば、円筒部材16は非磁性材である。そのため、第1マグネット63と第1回転センサ61との間に円筒部材16が位置しても、第1回転センサ61による第1マグネット63の磁界の検出精度が低下することを抑制できる。
被覆部62は、収容凹部17の内部に位置する。本実施形態において被覆部62は、収容凹部17の内部に充填される。被覆部62は、樹脂製である。第1回転センサ61は、被覆部62に埋め込まれて覆われる。
配線部材90は、第1回転センサ61に電気的に接続される。本実施形態において配線部材90は、回転検出装置60の第1回転センサ61と制御部70の制御基板71とを繋ぐための部材である。本実施形態において配線部材90は、細長で板状のバスバーである。図示は省略するが、本実施形態において配線部材90は、3つ設けられる。各配線部材90のそれぞれは、第1配線部材91と、第2配線部材92と、が接続されて構成される。
第1配線部材91は、第2配線保持部15の内部から制御基板収容部12fの内部まで延びる。第1配線部材91の一部は、第1配線保持部14、第1ケース筒部12aおよびケース壁部本体12iに埋め込まれる。これにより、第1配線部材91は、モータケース12に保持される。
第1配線部材91の下端部91aは、第1配線保持部14から下側に突出し、第2配線保持部15の内部に位置する。第1配線部材91の上端部91bは、ケース壁部本体12iから上側に突出して制御基板71に接続される。これにより、第1配線部材91は、制御基板71に電気的に接続され、コネクタ部80を介してケース11外の電気的配線と電気的に接続される。
第2配線部材92の一部は、底部13jに埋め込まれる。これにより、第2配線部材92は、減速機構ケース13に保持される。第2配線部材92の上端部92aは、底壁部15aから上側に突出する。第2配線部材92の上端部92aは、第1配線部材91の下端部91aと接続される。第2配線部材92の下端部92bは、底部13jを貫通して収容凹部17の内部に突出する。下端部92bは、配線部材90の一端部に相当する。これにより、配線部材90は、ケース11の内部からケース11を貫通して、一端部が収容凹部17の内部に突出する。下端部92bは、第1回転センサ61と接続される。これにより、第1回転センサ61は、配線部材90の一端部と接続される。下端部92bは、被覆部62に埋め込まれて覆われる。このように、配線部材90の一端部および第1回転センサ61が被覆部62に埋め込まれて覆われるため、収容凹部17内に位置する配線部材90の一端部および第1回転センサ61に水分等が接触することを阻止できる。
図2に示すように、電動アクチュエータ10は、位置調整機構140を備える。位置調整機構140は、雌ネジ部101aと、雄ネジ部131aと、第1穴部133と、を有する。位置調整機構140は、ケース壁部12bに対してベアリング保持部材130を軸方向Zに移動可能な機構である。本実施形態では、雌ネジ部101aに対して雄ネジ部131aを中心軸J1回りに回転させて、噛み合い位置を変化させることで、ベアリング保持部材130を軸方向Zに移動させることができる。具体的には、複数の第1穴部133にレンチ等を挿入して中心軸J1回りに回転させることで、ベアリング保持部材130を軸方向Zに移動させることができる。
なお、本明細書において「位置調整機構がベアリング保持部材を軸方向Zに移動可能である」とは、電動アクチュエータを組み立てる際にベアリング保持部材を軸方向Zに移動可能であればよく、電動アクチュエータが組み立てられた状態においては、ベアリング保持部材が軸方向Zに移動不可能に固定されていてもよい。本実施形態において電動アクチュエータ10は、ケース壁部12bとベアリング保持部材130とを固定する固定部135を備える。
本実施形態において固定部135は、ケース壁部12bとベアリング保持部材130との少なくとも一方の一部がカシメられたカシメ部である。固定部135は、例えば、カシメ穴部134をポンチ等の工具によって広げることでカシメられた部分である。本実施形態において固定部135は、雌ネジ部101aに押し付けられて塑性変形した雄ネジ部131aの一部と、雄ネジ部131aが押し付けられて塑性変形した雌ネジ部101aの一部と、を含む。これにより、雄ネジ部131aの一部と雌ネジ部101aの一部とが互いに潰れて噛み込み、雄ネジ部131aが雌ネジ部101aに対して回転できない状態となっている。したがって、固定部135によって、ベアリング保持部材130がケース壁部12bに対して、軸方向Zに移動不可能に固定されている。
本実施形態によれば、電動アクチュエータ10は、ベアリング保持部材130を軸方向Zに移動可能な位置調整機構140を備える。また、ベアリング保持部材130は、上側から第1ベアリング51を支持する支持壁部132を有する。そのため、モータシャフト21に固定された第1ベアリング51の軸方向Zの位置に合わせて、位置調整機構140によって、支持壁部132の軸方向Zの位置を調整できる。これにより、第1ベアリング51の軸方向Zの組み付け誤差を吸収しつつ、支持壁部132によって第1ベアリング51を上側から支持でき、第1ベアリング51が上側に移動することを抑制できる。したがって、ウェーブワッシャによって第1ベアリング51を上側から支持する場合に比べて、第1ベアリング51と共にモータシャフト21が大きく上側に移動することを抑制できる。以上により、本実施形態によれば、第1ベアリング51の軸方向Zの組み付け誤差を吸収でき、かつ、モータシャフト21が軸方向Zに移動することを抑制できる。
特に、本実施形態のような減速機構30の構造においては、モータシャフト21が軸方向Zに移動することを抑制できることで、モータシャフト21に第2ベアリング52を介して固定された外歯ギア31が大きく上側に移動することを抑制できる。これにより、突出部32が第2穴部42aから抜け出ることを抑制できる。
また、本実施形態によれば、ベアリング保持部材130は、第1ベアリング51が嵌め合わされる筒状の周壁部131を有する。そのため、例えば、第1ベアリング51を雌ネジ部101aが設けられた筒状部101の内周面に嵌め合わせるような場合に比べて、周壁部131の内周面によって安定して第1ベアリング51を保持できる。また、第1ベアリング51が雌ネジ部101aに接触することがないため、雌ネジ部101aが擦れて損傷することを抑制できる。
また、例えば、タップを用いたネジ切り加工によって雌ネジ部101aを作る場合、タップの大きさは、規格によってある程度限られる。そのため、雌ネジ部101aが設けられた筒状部101の内径が、第1ベアリング51の外径と合わず、第1ベアリング51と筒状部101との間に比較的大きな隙間が生じる場合がある。これにより、第1ベアリング51がガタつく虞がある。これに対して、本実施形態によれば、第1ベアリング51が嵌め合わされる周壁部131が設けられる。そのため、周壁部131の内径を第1ベアリング51の外径に合わせて作ることで、第1ベアリング51を好適に保持することができる。これにより、第1ベアリング51がガタつくことを抑制できる。
また、本実施形態によれば、位置調整機構140は、互いに噛み合う雌ネジ部101aと雄ネジ部131aとを有する。そのため、雄ネジ部131aを回転させて噛み合い位置を変化させることで、容易にベアリング保持部材130を軸方向Zに移動させることができる。
また、本実施形態によれば、位置調整機構140は、ベアリング保持部材130の上側の面から下側に窪む第1穴部133を有する。そのため、第1穴部133にレンチ等を挿入して回転させることで、ベアリング保持部材130を容易に回転させることができる。これにより、雄ネジ部131aを容易に回転させて噛み合い位置を変化させることができ、より容易にベアリング保持部材130を軸方向Zに移動させることができる。
また、本実施形態によれば、電動アクチュエータ10は、ケース壁部12bとベアリング保持部材130とを固定する固定部135を備える。そのため、位置調整機構140によってベアリング保持部材130の軸方向Zの位置を調整した後に、固定部135によってケース壁部12bとベアリング保持部材130とを固定することで、調整したベアリング保持部材130の軸方向Zの位置がずれることを抑制できる。これにより、第1ベアリング51およびモータシャフト21が軸方向Zにずれることを抑制できる。
本実施形態では、固定部135は、雌ネジ部101aと雄ネジ部131aとを固定する。そのため、雄ネジ部131aが回転してベアリング保持部材130の軸方向Zの位置がずれることを抑制できる。これにより、第1ベアリング51およびモータシャフト21が軸方向Zにずれることを抑制できる。
また、本実施形態によれば、固定部135は、ケース壁部12bとベアリング保持部材130との少なくとも一方の一部がカシメられたカシメ部である。そのため、位置調整機構140によってベアリング保持部材130の軸方向Zの位置を調整した後に、ケース壁部12bとベアリング保持部材130との少なくとも一方の一部をカシメることで、別の部材を用いることなく容易にケース壁部12bとベアリング保持部材130とを固定できる。これにより、電動アクチュエータ10の部品点数を少なくでき、電動アクチュエータ10を組み立てる工数を低減できる。
また、例えば、固定部135をネジロック剤にして雌ネジ部101aと雄ネジ部131aとを固定する場合、ネジロック剤を雌ネジ部101aと雄ネジ部131aとの少なくとも一方に塗布してから、雌ネジ部101aと雄ネジ部131aとを噛み合わせる。この場合、例えば、未硬化のネジロック剤の一部が垂れる、硬化したネジロック剤の一部が剥がれ落ちる等により、電動アクチュエータ10内に異物が混入する虞がある。これに対して、固定部135をカシメ部とすることにより、電動アクチュエータ10内に異物が混入することを抑制できる。
本実施形態において電動アクチュエータ10を組み立てる作業者等は、位置調整機構140によってベアリング保持部材130の軸方向Zの位置を調整した後に、ベアリング保持部材130のカシメ穴部134をポンチ等の工具によって広げることで、固定部135を作る。なお、作業者等は、各作業を行う作業者および組立装置等を含む。各作業は、作業者のみによって行われてもよいし、組立装置のみによって行われてもよいし、作業者と組立装置とによって行われてもよい。
また、本実施形態によれば、支持壁部132は、内径が内輪51aの外径よりも大きい環状であり、上側から外輪51bを支持する。そのため、組み付け時に支持壁部132の軸方向Zの位置を調整することで、支持壁部132によって外輪51bが下側向きに押された状態とすることができる。これにより、第1ベアリング51に下側向きの予圧を加えることができる。また、第1ベアリング51を介してモータシャフト21に下側向きの予圧を加えることができる。これにより、モータシャフト21が上側にずれることをより抑制できる。
また、本実施形態によれば、貫通孔12hの内径D1は、筒状部101の外径D2よりも大きく、筒状部101の径方向外側面のうち周方向の少なくとも一部は、貫通孔12hの径方向内側面から径方向内側に離れた位置に位置する。そのため、支持部材100がケース壁部12bに固定される前においては、貫通孔12hの径方向内側面と筒状部101の径方向外側面との隙間分だけ支持部材100を径方向に移動させることができる。これにより、支持部材100の径方向内側に保持されたベアリング保持部材130の径方向の位置を、ケース壁部12bに対して調整することができる。したがって、ベアリング保持部材130に保持された第1ベアリング51の径方向の位置を、モータケース12に対して調整することができる。そのため、例えば組み付け誤差等によってモータケース12に対する第3ベアリング53の径方向位置がずれた場合であっても、第1ベアリング51の径方向位置を第3ベアリング53の径方向位置に合わせることができ、第1ベアリング51と第3ベアリング53とを軸精度よく配置することができる。これにより、第1ベアリング51および第3ベアリング53に支持されるモータシャフト21が傾くことを抑制でき、モータシャフト21の軸精度を向上できる。したがって、電動アクチュエータ10から生じる騒音および振動が増大することを抑制できる。
なお、各図においては、筒状部101の中心と貫通孔12hの中心とが共に中心軸J1と一致し、筒状部101の径方向外側面の全周が貫通孔12hの径方向内側面から径方向内側に離れた構成を示しているが、これに限られない。支持部材100の径方向位置の調整量によっては、貫通孔12hの中心は、中心軸J1と一致しない場合もあり得る。また、筒状部101の径方向外側面の一部が貫通孔12hの径方向内側面と接触することもあり得る。
また、本実施形態によれば、貫通部102aを通るネジ部材120によって固定フランジ部102が固定され、貫通部102aの径方向の寸法Lは、ネジ本体部121の外径D3よりも大きい。そのため、支持部材100の径方向位置を調整しても、貫通部102aの径方向の寸法Lとネジ本体部121の外径D3との差分以内であれば、ネジ本体部121を貫通部102aに通すことができ、ネジ部材120を金属部材110の雌ネジ部111に締め込むことができる。これにより、支持部材100の径方向位置を調整しつつ、支持部材100をネジ部材120によってケース壁部本体12iに固定することができる。
また、本実施形態によれば、貫通部102aの径方向の寸法Lとネジ本体部121の外径D3との差は、貫通孔12hの内径D1と筒状部101の外径D2との差よりも大きい。そのため、筒状部101を径方向に移動可能な範囲内であれば、支持部材100の径方向位置をいずれの位置に調整しても、ネジ部材120によって支持部材100をケース壁部本体12iに固定することができる。
また、本実施形態によれば、貫通部102aは、径方向に延び、径方向外側に開口する。そのため、貫通部102aの径方向の寸法Lを大きくしやすく、許容できる支持部材100の径方向位置調整量を大きくできる。
また、本実施形態によれば、第3ベアリング53は、モータシャフト21と出力シャフト41とを互いに相対可能に連結する。そのため、第1ベアリング51と第3ベアリング53との軸精度を向上できることで、モータシャフト21と出力シャフト41との軸精度を向上させることができる。
また、第3ベアリング53によってモータシャフト21と出力シャフト41とが連結される場合、第3ベアリング53は、減速機構ケース13に対して出力シャフト41を介して間接的に支持される。そのため、第3ベアリング53が減速機構ケース13に対して直接的に支持される場合に比べて、第3ベアリング53の位置が不安定となりやすく、モータシャフト21の軸がぶれやすい。これに対して、本実施形態によれば、上述したようにモータシャフト21の軸精度を向上できるため、モータシャフト21の軸がぶれることを抑制できる。すなわち、第3ベアリング53によってモータシャフト21と出力シャフト41とが連結される場合に、本実施形態におけるモータシャフト21の軸精度を向上できる効果をより有用に得られる。
本発明は上述の実施形態に限られず、本発明の技術的思想の範囲内において、他の構成を採用することもできる。位置調整機構の構成は、ケース壁部に対してベアリング保持部材を軸方向Zに移動可能であれば、特に限定されない。位置調整機構は、例えば、ラック・アンド・ピニオンを利用してベアリング保持部材の軸方向Zの位置を調整可能な機構であってもよい。この場合、ベアリング保持部材の下側への移動を許容し、上側への移動を阻止するラチェット機構が設けられてもよい。第1穴部は、設けられなくてもよい。
固定部は、ケース壁部とベアリング保持部材とを固定できるならば、特に限定されない。固定部がカシメ部である場合、ケース壁部の一部のみがカシメられていてもよいし、ベアリング保持部材の一部のみがカシメられていてもよい。固定部は、筒状部の雌ネジ部のうち支持壁部の上側に位置する部分をカシメて、ネジを潰した部分であってもよい。固定部は、筒状部の径方向外側から径方向内側に向かってカシメられて塑性変形した部分であってもよい。
位置調整機構が互いに噛み合う雌ネジ部と雄ネジ部とを有する場合、固定部は、雌ネジ部と雄ネジ部とを固定するネジロック剤であってもよい。上述した実施形態のような構成において固定部は、ベアリング保持部材130の上側に位置して雌ネジ部101aに締め込まれる雄ネジ部を有する部材であってもよい。この場合、当該部材とベアリング保持部材130とが締め付け合い、ベアリング保持部材130の雄ネジ部131aが緩むことを抑制できる。上述した実施形態のような構成において固定部は、径方向外側から径方向内側に向かって筒状部101を径方向に貫通して締め込まれ、雄ネジ部131aに押し付けられるイモネジであってもよい。固定部は、設けられなくてもよい。
筒状部とケース壁部本体とは、一体に成形されてもよい。すなわち、ケース壁部本体に対して固定される別体の支持部材は、設けられなくてもよい。減速機構は、特に限定されない。上述した実施形態では、複数の突出部32は、外歯ギア31から出力フランジ部42に向かって軸方向Zに突出する構成としたが、これに限られない。複数の突出部は、出力フランジ部から外歯ギアに向かって軸方向Zに突出してもよい。この場合、外歯ギアが複数の第2穴部を有する。
また、上述した実施形態の電動アクチュエータの用途は限定されず、上述した実施形態の電動アクチュエータは、いかなる機器に搭載されてもよい。上述した実施形態の電動アクチュエータは、例えば、車両に搭載される。また、本明細書において説明した各構成は、相互に矛盾しない範囲内において、適宜組み合わせることができる。