JP2021051244A

JP2021051244A - 圧力センサを有するシリコーン弾性体よりなる乳房モデル及びその製造方法

Info

Publication number: JP2021051244A
Application number: JP2019175098A
Authority: JP
Inventors: 由美子中居; Yumiko Nakai; 廣宇野; Hiroshi Uno
Original assignee: Medical Craft & Prosthetics Co Ltd
Current assignee: Medical Craft & Prosthetics Co Ltd
Priority date: 2019-09-26
Filing date: 2019-09-26
Publication date: 2021-04-01

Abstract

【課題】乳房マッサージモデル内部に圧力センサを挿入させ、手や指によって乳管開通法時の乳房モデルに加える圧力を数値化し、より一層マッサージの効率を向上させた圧力センサ付乳房モデル及びその製造方法を提供。【解決手段】棒状または薄板状の中子表面にシリコーンの塗膜層を設け、該塗膜層を有する中子をシリコーン弾性体に埋め込み成形した後、前記中子を抜き去ることを特徴とする中空部を有するシリコーン弾性体の製造方法であり、また、シリコーン弾性体よりなる乳頭および乳輪に相当する部分を有する模擬乳房マッサージ練習具の製造方法であって、該練習具の内部に、シリコーン塗膜層を有する力センサに相当する中子を配置し、模擬乳房マッサージ練習具を成形後、前記中子を抜き去り、中空部を有するシリコーン弾性体とした後、該中空部に力センサを挿入したことを特徴とする力センサ付乳房モデルの製造方法である。【選択図】図３

Description

本発明は圧力センサを有するシリコーン弾性体よりなる乳房モデル及びその製造方法に関する。

シリコーン弾性体よりなる乳房モデルを用いて母乳の分泌を促す為のマッサージ方法を習得することが行われている。通常乳腺が母乳で満たされると、乳房全体が大きく張ってき、赤ちゃんがその乳首をくわえることで乳汁は乳管を通り授乳されるが、乳管が乳栓（乳汁のカス等）で詰まると、乳管が閉塞し赤ちゃんが乳首をくわえても母乳が出なくなる場合がある。このような場合、所謂乳管開通法と称されている乳管開通マッサージで乳管に詰まった乳栓（カス等）を取り除くことによって乳管から母乳が出るようにする。その際のマッサージ方法で、どの程度の圧を乳頭・乳輪部に加えることが最も有効であるか等については明らかになっていない。その為、従来より乳房マッサージを習得するための練習具として種々の乳房モデルが提案されている。
例えば、特許文献１には「少なくとも拇指と折り曲げた示指の第２関節部とで乳房をマッサージする二指挟圧法による乳房マッサージの練習具であって、該練習具は伸縮性を有する合成繊維生地で形成された袋体を有し、該袋体は内部に緑豆を充填することにより乳房様の形状をなし、前記袋体の頂部には柔軟材を充填してなる乳頭部を備え、前記袋体の上部に乳輪部が形成され、該乳輪部の周辺下方には乳腺体部が形成されており、前記緑豆の擦接音により二指挟圧法を習得する構成を有する乳房マッサージ用練習具。」が開示されており、特許文献２には「乳房マッサージを練習するための乳房マッサージ練習具であって、内部に水が入れられるタンクを備えた台座と、台座の表面から略半球状に膨出して設けられ、押しつぶしても元の状態に復元する弾力性を有する左右一対の乳房部と、乳房部の先端部から外方へ突出して設けられ、チューブを介して前記タンクと接続され、押しつぶしても元の状態に復元する弾力性を有し、押しつぶした際にはチューブからの水を先端部から外方へ放出可能とされた乳首部とを備えることを特徴とする乳房マッサージ練習具。」が開示されている。また、特許文献３には「硬い支持部上に女性の乳房を模した柔軟隆起部を設けた乳房モデルにおいて、前記柔軟部を乳房皮膚を模した被覆内に上部および下部ならびにこれら上下部間に包み込まれた中間部の三重構造をなす乳房組織を模した内容部を収容して形成し、前記上下両部を弾力性のある軟質の合成樹脂で作り、前記中間部を弾力性がありかつ前記上下部に比べてやや硬い軟質の合成樹脂で作るとともに、前記上下部および中間部を各接触面において互いに離反可能としたことを特徴とする乳房マッサージ練習用模型。」が開示されている。
これらのマッサージ模型では未だ正確にマッサージ方法について習得することは出来ない。
そこで、本発明者らは乳房モデルの内部に圧力センサを挿入して手や指によるマッサージによって乳頭・乳輪部に加える圧力を数値化し、乳頭・乳輪部（乳管開通）マッサージの効率を向上させた圧力センサ付乳房モデルを作成することを試みた。そのため、弾性体よりなる乳房モデル内に圧力センサを挿入すべく種々の検討をした。

弾性体中に物を挿入する方法としては中子（中型）を使用して成形し、成形後、該中子を取りだし、弾性体内部に中空部を設け、該中空部に所望の物品を挿入する方法が一般的である。その一例として弾性体として加硫ゴムの場合、特許文献４には中空状ゴム成形体の製造方法として、中子を樹脂材で成形工程と、中子成形工程で成形した中子を未加硫ゴムで被覆して未加硫ゴム成形体を成形する未加硫ゴム成形工程と、未加硫ゴム成形体を加硫する加硫工程と加硫工程の後に中子を除去する中子除去工程とを備えたことを特徴とする中空状ゴム成形体の製造方法が開示されている。この方法で具体的に開示されているゴム状成形体としては未加硫ゴム成形体を成形型またはオートクレーブで加硫することを特徴とし、中子は熱可塑性樹脂材または熱硬化性樹脂材もしくは無機物で成形し、ゴム弾性体を成形後、樹脂材については加水分解、熔解または破砕し、無機物については破砕して中空状ゴム成形体を製造している。

しかし、乳房マッサージモデルの材質としてはこのような加硫ゴム材では硬くて不適である。本発明ではシリコーン弾性体のような加硫工程を必要としない弾性体を対象とするものであるので、上記加硫ゴムの方法を適用することはできない。

特開２００７−８６５４４号公報特開２００４−１９１７８８号公報実開昭６０−１７６４６８号公報特開２０１６−５１４号公報

そこで、本発明者は中子を溶解もしくは破砕することなく、中空部を有するシリコーン弾性体のような加硫工程を要しない成形体について、種々検討した結果、本発明を完成したもので、本発明の目的は圧力センサを有するシリコーン弾性体よりなる乳房モデル及びその製造方法である。

本発明は、乳房マッサージモデル内部に圧力センサを挿入させ、手や指によって乳頭・乳輪部（乳管開通）マッサージ時に乳房モデルに加える圧力を数値化し、より一層マッサージの効率を向上させた圧力センサ付乳房モデル及びその製造方法を提供するものである。

本願発明の要旨は、中空部を有するシリコーン弾性体よりなる乳房本体部の表面に模擬乳頭部及び模擬乳輪部を有する表層部よりなる乳房マッサージモデルであって、前記乳房本体の中空部に圧力センサが挿入されていることを特徴とする乳房マッサージモデルであり、また、シリコーン弾性体よりなる乳房本体の表面に乳頭および乳輪に相当する部分を有する模擬乳房マッサージモデルの製造方法であって、該乳房本体の内部に、シリコーン塗膜層を有する圧力センサに相当する中子を配置し、模擬乳房マッサージモデルを成形後、前記中子を抜き去り、該中空部を有するシリコーン弾性体とした後該中空部に圧力センサを挿入したことを特徴とする圧力センサ付乳房モデルの製造方法である。

本発明に係る製造方法にあっては成形体の材質と同一の材質よりなる塗膜層を有する中子を使用するので、成形体を成形後、容易に中子を抜き取ることが出来、更に該中空部に圧力センサを挿入することにより圧力センサ付模擬乳房モデルを容易に製造することが出来る。従って、得られた模擬乳房モデルを使用して、これに加えられる圧力を数値化してその値を知ることが出来るので、例えば、助産学生は熟練者（ベテラン者）が行うマッサージの指の力具合を容易に知ることが出来ので、これを習得することによりマッサージの習得効果を向上させることが出来る等の効果を奏する。

模擬乳房と模擬胸部とを一体成形した本発明に係る力センサ付乳房モデルの正面図。図１における乳房部分の断面図である。乳房部分の説明図

本発明について詳細に述べる。
本発明で使用するシリコーンの硬化機構は、ケイ素に結合したビニル基と水酸基を白金触媒によって反応させ架橋させる。この反応は室温でも進行する反応である。中子としての形状は特に問わないが、棒状、短冊状もしくは球状等でその表面に多少の凹凸を有していてもよい。その材質としては金属、合成樹脂等である。特に金属製中子はそれ自体シリコーン弾性体に付着しないので好ましい。外型と中子の表面にシリコーン塗膜層を設ける。塗膜層はシリコーン成形材料と同系列のシリコーンを溶剤に溶かしたシリコーン溶液を使用する。そこにオイル状のシリコーンゲル材を注入成型する。これらのシリコーンはＡ材とＢ材とを混合することによって常温で硬化する。硬化後、中子を引き抜くと、中子表面にはシリコーンの塗膜層があるので、容易に中子を引き抜くことができ、これにより中子の形状に相当する中空部を有するシリコーン弾性体を得ることが出来る。即ち、ゲル状弾性体をシリコーンエラストマーで包み込む形になり、中空のゲル状弾性体が得られる。
これらのシリコーン原料には必要に応じて、充填材を混合する。
外型として乳房に模した形状の型を使用し、中子として圧力センサの外形に模した形状のものを使用することによって圧力センサの形状を有する中空部のある模擬乳房モデルを得るので、この中空部に圧力センサを挿入することによって圧力センサを有する乳房モデルを得ることが出来る。

本発明に係る中空部を有する実施例を示す。
実施例１
本発明で使用したシリコーンは本材をシリコーンＡとし、硬化剤入りシリコーンをシリコーンＢとし両者を同量使用する。中子として圧力センサの外形を有する合成樹脂製のものを使用し、その表面にシリコーンＡとＢを混合した塗膜層を設ける。乳房に模した外形を有する型内に、上記の中子を乳輪部分に載置し、シリコーンゲルを注入し、常温硬化させる。硬化後中子を引き抜くことによって中空部を有する乳房モデルを得ることが出来る。得られた中空部を有する乳房モデルの中空部に簡易圧力センサ（ニッタ（株）製Flexi Force）を挿入することによって圧力センサ付乳房モデルを得ることが出来る。
上記の方法によって得られた圧力センサ付乳房モデルを、模擬人体胸部に模した筺の上面両側に載置することによって、圧力センサ付乳房モデルを得ることが出来る。

実施例２
実施例２として図面をもって圧力センサ付き乳房モデスの製造方法を示す。
図１は模擬乳房と模擬胸部とを弾性シリコーンで成形した本発明に係るモデルの正面図であり、図２は該乳房部分よりなる胸部部分１を筐体６に載置した本発明に係る圧力センサ付き乳房モデルの断面図である。
図１において一対の乳房部分２を有する胸部部分１において、乳房部分２の頂部付近に乳輪３を設け、その中央部に乳首４を設ける。胸部部分１は例えば筺体６の上面に載置する（図２参照）。従って、乳房部分２の裏面は筺体６の中空部に繋げられる。乳房部分２には乳輪３に対してほぼ直角方向に数カ所に５中空部を設け幅約１ｃｍ程度の薄型短冊状の圧力センサ（ニッタ（株）製Flexi Force）７を埋設し、その端部は筺体外部に出しＡＤ変換器と出力箱を介してモニタ（ＰＣ）８に繋げる（図３参照）。胸部部分１全体を皮膚に模した弾力性を有する外皮層で覆う。薄型線状の圧力センサとしては６〜８本程度を使用する。
本発明に係るこのような圧力センサ付乳房モデルを用いて熟練者が行った模擬乳房に加えるマッサージの圧を実習者が知り、これを踏襲することによってマッサージの技術を容易に習得することが出来る。

実施例３
実施例２によって得られた模擬乳房モデルに８本の圧力センサを装着し、センサの位置によって、上部、内側上部、内側部、内側下部、下部、外側下部、外側部、外側上部と名付け、該モデルを使用して熟練助産師２４名および新人助産師２３名の乳管開通法時の指腹の最大平均圧力値の差をＭａｎｎ−ＷｈｉｔｎｅｙのＵ検定を用いて求めた結果を表１に示す。

以上の結果により乳管開通法の最大平均圧力は、熟練助産師２.６５（±０.８２[Ｎ](ニュートン)、新人助産師５.００（±１.２３[Ｎ](ニュートン)で（ｐ<０．０５）で有意差を認めた。（６）外側下部（ｐ<０．０１）、（２）内側上部（ｐ<０．０５）においても熟練助産師が新人助産師よりも弱い力で有意差を認めた。
これらのデータより、新人助産師は容易に熟練助産師の手技を習得することができる。

以上述べたように本発明に係る圧力センサ付乳房モデルは、模擬乳房に加えられた圧を数値化しているので、新人助産師、例えば助産学生は熟練者（ベテラン者）が行うマッサージの力具合を容易に知ることが出来るので、マッサージの習得効果を高めることが出来る。

１模擬胸部部分２模擬乳房部分３模擬乳輪４模擬乳首
５中空部分６筐体７圧力センサ

Claims

中空部を有するシリコーン弾性体よりなる乳房本体部の表面に模擬乳頭部及び模擬乳輪部を有する表層部よりなる乳房マッサージモデルであって、前記乳房本体の中空部に圧力センサが挿入されていることを特徴とする乳房マッサージモデル。
シリコーン弾性体よりなる乳房本体の表面に乳頭および乳輪に相当する部分を有する模擬乳房マッサージモデルの製造方法であって、該乳房本体の内部に、シリコーン塗膜層を有する圧力センサに相当する中子を配置し、模擬乳房マッサージモデルを成形後、前記中子を抜き去り、該中空部を有するシリコーン弾性体とした後該中空部に圧力センサを挿入したことを特徴とする圧力センサ付乳房モデルの製造方法。