JP2021050447A - 繊維の製造方法 - Google Patents

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隆三 加藤
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隆三 加藤
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Abstract

【課題】非常に多くの本数の繊維を同時に製造することができるブッシング体の提供。【解決手段】収容槽4の底部6に取り付けられるブッシング本体と、ブッシング本体の底壁16に設けられた複数の紡糸ノズル24とを備えたブッシング体。複数の紡糸ノズル24の各々は少なくとも10万個以上のノズル孔を有し、各ノズル孔の内径は15μm以下であり、複数の紡糸ノズル24のノズル孔の総数は80万個以上である。このように複数の紡糸ノズル24を用いることにより、非常に多数、例えば80万本以上の繊維を同時に製造することができる。このことは、この繊維として例えばアクリル繊維(アクリロニトリル)を製作し、製作した繊維を耐炎化処理を行った後に炭素化処理することによって、80万本以上の炭化繊維束、即ち超ラージトウの炭素繊維を製造することができる。【選択図】図1

Description

本発明は、繊維を製造するときに用いるブッシング体及びこれを用いた繊維の製造方法に関する。
繊維を製造するために用いるブッシング体として、エレクトロフォーミング(所謂、電鋳)技術を利用したものが知られている(例えば、特許文献1参照)。このブッシング体は、ブッシング本体の底壁に固定されたノズルプレートを備え、このノズルプレートに多数のノズル孔が設けられている。
このようなブッシング体を用いて繊維を製造するときには、収容槽の底部にブッシング体を取り付ける。そして、収容槽に溶融した樹脂(例えば、アクリル樹脂)を収容し、この溶融した樹脂をブッシング体の多数のノズル孔から流出させ、この流出した樹脂が冷却して糸状となることにより繊維が形成される。
このような製造方法では、ノズルプレートのノズル孔の個数により一度に製造できる繊維の本数が決まり、ノズル孔の個数を増やすことにより繊維を製造する際の製造効率を高めることができる。また、これらのノズル孔の大きさにより製造できる繊維の太さが決まり、ノズル孔のサイズを小さくすることにより製造する際の繊維の太さを細くすることができる。
特開2001−200420号公報
しかしながら、従来のブッシング体では、例えば縦:10mm、横20mmのサイズのノズルプレートに100〜3000個ほどしか設けられておらず、一層の製造効率の改善が望まれている。
また、近年、例えばアクリル樹脂(例えば、アクニロニトリル)を炭化させた繊維(所謂、炭素繊維)が注目され、航空機、自動車などの種々の分野に利用されている。この炭素繊維では、繊維束(「フィラメント」とも称される)を構成する繊維数が多くなるほど強度が増し、24,000本以下の繊維束はレギュラートウ(又はスモールトウ)と称され、40,000本以上の繊維束はラージトウと称されている。
炭素繊維のラージトウを製造する場合、40,000本以上の繊維(例えば、アクリル繊維)を同時に製造し、これら繊維を耐炎化させた後に炭化処理しなければならない。このようなことから、炭素繊維の分野では、非常に多くの本数の繊維を同時に製造することができるブッシング体の実現が望まれていた。
本発明の目的は、非常の多くの本数の繊維を同時に製造することができるブッシング体及びこれを用いた繊維の製造方法を提供することである。
本発明のブッシング体は、収容槽の底部に取り付けられるブッシング本体と、前記ブッシング本体の底壁に設けられた複数の紡糸ノズルとを備え、前記複数の紡糸ノズルの各々は少なくとも10万個以上のノズル孔を有し、各ノズル孔の内径は15μm以下であり、前記複数の紡糸ノズルの前記ノズル孔の総数は80万個以上であることを特徴とする。
また、本発明の繊維の製造方法では、ブッシング本体の底壁に設けられた複数の紡糸ノズルのノズル孔を通し繊維を製造する繊維の製造方法において、
前記複数の紡糸ノズルの各々は少なくとも10万個以上のノズル孔を有し、各ノズル孔の内径は15μm以下であり、前記複数の紡糸ノズルの前記ノズル孔の総数は80万個以上であり、前記複数の紡糸ノズルの前記ノズル孔を通して多数本の極細繊維を同時に形成することを特徴とする。
本発明のブッシング体及びこれを用いた繊維の製造方法によれば、ブッシング本体の底壁に設けられた複数の紡糸ノズルの各々は少なくとも10万個以上のノズル孔を有し、各ノズル孔の内径は15μm以下であり、複数の紡糸ノズルのノズル孔の総数は80万個以上であるので、複数の紡糸ノズルを用いて非常に多数、即ち80万本以上の繊維を同時に製造することができる。例えば、この繊維としてアクリル繊維(例えば、アクリロニトリル)を製作し、製作した繊維を耐炎化処理を行った後に炭素化処理することによって、80万本以上の炭化繊維束、即ち超ラージトウの炭素繊維を製造することができる。
本発明に従う繊維の製造方法の一例を実施するための製造装置の一部を簡略的に示す部分断面図。 図1の製造装置のブッシング体を示す平面図。 図2のブッシング体に固定された紡糸ノズルを拡大して示す平面図。 紡糸ノズルのノズル内径及びノズルピッチを説明するための説明図。 ブッシング体の他の実施形態を示す平面図。
以下、添付図面を参照して、本発明に従うブッシング体及びこれを用いた繊維の製造方法の一実施形態について説明する。
図1及び図2において、図示の製造装置は、収容空間2を規定する収容槽4を備え、この収容槽4に溶融した樹脂、例えばアクリル樹脂(例えば、アクニロニトリル)が収容される。この収容槽4の底部6にはブッシング体8が取り付けられ、このブッシング体8を通して、後述するようにして多数の繊維10が製造される。
この実施形態では、収容槽4の底壁部12に円形状の開口14が設けられ、この開口14に外側からブッシング体8が取り付けられる。図示のブッシング体8は、円形状の底壁16及びこの底壁16の外周部から垂直上方に延びる周側壁18を有するブッシング本体19を備え、この周側壁18(即ち、ブッシング本体19)の上端部に、径方向外方に延びる環状フランジ20が設けられている。このブッシング体8は、環状フランジ20を収容槽4の底壁部12の外面に位置付け、押圧リング22をこの底壁部12に取り付けることにより、収容槽4の底部6に取り付けられる。
ブッシング体8の底壁16には、複数の紡糸ノズル24が設けられている。図3をも参照して、各紡糸ノズル24は、円形状のノズルプレート26を有し、このノズルプレート26の外周部30を除くほぼ全域に非常に多数のノズル孔28が設けられている。ブッシング体8の底壁16には、紡糸ノズル24の配置部位に対応して円形状のノズル開口32が設けられ、各紡糸ノズル24は、外側からノズル開口32を塞ぐように配設され、その外周部30がブッシング体8の底壁16に例えば溶接(例えば、レーザ溶接、電子ビーム溶接など)により固定される。
この実施形態では、ノズルプレート26は円形状に形成されているが、楕円状、矩形状などの適宜の形状に形成することができ、例えば円形状、矩形状などに形成したときには、ブッシング体8の底壁16側のノズル開口32も、ノズルプレート26の形状に対応して楕円状、矩形状などに形成される。
各紡糸ノズル24には、10万個以上のノズル孔28を設けることができ、15万個以上のノズル孔28を設けるのが好ましい。このように非常に多くのノズル孔28を設けることにより、紡糸ノズル24から流出する樹脂(例えば、アクリル樹脂)の本数が非常に多くなり、多数本の糸状の繊維を同時に製造することができる。
図4をも参照して、これらノズル孔28は、それらの内径Rが15μm以下であり、隣接するノズル孔28間のピッチP(具体的には、隣接するノズル孔28の中心間の距離)が30μm以下であり、このような寸法関係のノズル孔28を設けることにより、小さいノズルプレート26でもって多くの繊維10を製造することができる。これらノズル孔28の内径Rが10μm以下で、ノズル孔28間のピッチPが25μm以下であるのが好ましく、このように構成することにより、より小さいノズルプレート26でもってより多くの繊維10を製造することができる。尚、ノズル孔28の内径Rとは、円形である場合にはノズル孔28の直径となるが、円形でない場合にはノズル孔28の平均内径となる。
このような紡糸ノズル24は、エレクトロフォーミング(所謂、電鋳)技術を用いることにより形成することができ、ノズルプレート26の肉厚を厚くすることにより、充分な強度のものを製作することができる。この紡糸ノズル24の具体的な製造方法については、特開2001−200420号公報を参照されたい。
このような紡糸ノズル24は、ブッシング体8の底壁16に複数個設けることができ、例えば8個以上設けるようにするのが好ましい。例えば、8個以上設ける場合、図2に示すように、ブッシング体8の底壁16に周方向に間隔をおいて設けることができ、図2に示すように一重に設けるようにしてもよいが、同心状に二重に設けるようにしてもよい。
例えば、ノズル孔28の内径Rが15μm以下で、ノズル孔28間のピッチPが30μm以下である場合、小さなノズルプレート26に10万個以上設けることができ、このような紡糸ノズル24を8個備えたブッシング体8では、ノズル孔28の総数が80万個以上となり、一度に非常に多くの本数(即ち、80万本以上)の繊維10を製造することができる。
上述した実施例よりもノズル孔28の内径R及びピッチPより小さくし、例えば、ノズル孔28の内径Rが10μm以下で、ノズル孔28間のピッチPが25μm以下である場合、小さなノズルプレート26に15万個以上設けることができ、このような紡糸ノズル24を8個備えたブッシング体8では、ノズル孔28の総数が120万個以上となり、一度に更に多くの本数(即ち、120万本以上)の繊維10を製造することができる。
この製造装置を用いて繊維を製造するときには、収容槽4内に溶融した樹脂(例えば、アクリル樹脂)を収容した後、収容槽4の収容空間2に所望圧力を加えればよい。このように収容空間2内に圧力を加えると、収容槽4内の溶融樹脂が複数の紡糸ノズル24の多数のノズル孔28から流出し、この流出した樹脂が冷却されて固まることにより、直径5〜10μm程度の細長い連続した微細繊維が一度に製造することができる。
このように一度に多くの繊維ができる場合、炭素繊維の製造に適用するのが望ましい。炭素繊維を製造する前の段階の製糸段階で80万本以上(又は120万本以上)の糸状繊維10(例えば、直径5μm程度の極細繊維)を同時に製造することができ、このことはその後に行われる耐炎化処理(耐炎化繊維の生成)及び炭素化処理(炭素繊維の生成)を同時に行って80万本以上(又は120万本以上)が一つの束となった超ラージトウの繊維の製造を可能とするものである。
図5は、ブッシング体の他の実施形態を示している。尚、この実施形態において、上述した実施形態と実質上同一の部材には同一の参照番号を付し、その説明を省略する。
図5において、この実施形態のブッシング体8Aでは、その底壁16Aに合計48個の紡糸ノズル24が間隔をおいて設けられている。径方向内側の領域に8個の紡糸ノズル24が周方向に間隔をおいて設けられ、また径方向外側の領域に24個の紡糸ノズル24が周方向に間隔をおいて設けられ、更に径方向中間(内側領域と外側領域との間の中間領域)に16個の紡糸ノズル24が周方向に間隔をおいて設けられている。このように48個の紡糸ノズル24を設けた場合、各紡糸ノズル24のノズル孔28が10万個以上(又は15万個以上)であると、総数480万個以上(又は720万個以上)のノズル孔28が存在することになり、このことは炭素繊維の製造に適用したときには、その後に行われる耐炎化処理及び炭素化処理を同時に行って480万本以上(又は7200万本以上)が一つの束となった超ラージトウの繊維の製造を可能とするものである。
図5に示す実施例では、紡糸ノズル24が同心状に三重に設けられているが、例えば同心状に二重に設けるようにしてもよく、この場合、紡糸ノズル24が例えば24個設けられるようになる。これら紡糸ノズル24は、必ずしも同心状に設ける必要はなく、適当な間隔をおいてランダムに設けるようにしてもよい。
以上、本発明に従うブッシング体及びこれを用いた繊維の製造方法について説明したが、本発明はかかる実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲を逸脱することなく種々の変更乃至修正が可能である。
例えば、上述した実施形態では、紡糸ノズル24のノズル孔28を円形状に形成しているが、楕円状、三角状、菱形状、十字状、Y字状などの適宜の形状にすることができ、この場合、かかる形状のノズル孔28を通すことにより、楕円状、三角状、菱形状、十字状、Y字状などの断面形状の繊維を製造することができる。
4 収容槽
6 底部
8,8A ブッシング体
10 繊維
16,16A 底壁
19 ブッシング本体
24 紡糸ノズル
26 ノズルプレート
28 ノズル孔

Claims (5)

  1. 収容槽の底部に取り付けられるブッシング本体と、前記ブッシング本体の底壁に設けられた複数の紡糸ノズルとを備え、前記複数の紡糸ノズルの各々は少なくとも10万個以上のノズル孔を有し、各ノズル孔の内径は15μm以下であり、前記複数の紡糸ノズルの前記ノズル孔の総数は80万個以上であることを特徴とするブッシング体。
  2. 前記複数の紡糸ノズルは、前記ブッシング本体の前記底壁に周方向に間隔をおいて環状に配設されていることを特徴とする請求項1に記載のブッシング体。
  3. 前記複数の紡糸ノズルは、前記ブッシング体の前記底壁に周方向に間隔をおいて環状に配設されているとともに、同心状に二重以上にわたって設けられていることを特徴とする請求項2に記載のブッシング体。
  4. 前記複数の紡糸ノズルの各々は少なくとも15万個以上のノズル孔を有し、各ノズル孔の内径は10μm以下であり、前記複数の紡糸ノズルの前記ノズル孔の総数は120万個以上であることを特徴とするブッシング体。
  5. ブッシング本体の底壁に設けられた複数の紡糸ノズルのノズル孔を通し繊維を製造する繊維の製造方法において、
    前記複数の紡糸ノズルの各々は少なくとも15万個以上のノズル孔を有し、各ノズル孔の内径は10μm以下であり、前記複数の紡糸ノズルの前記ノズル孔の総数は80万個以上であり、前記複数の紡糸ノズルの前記ノズル孔を通して多数本の極細繊維を同時に形成することを特徴とする繊維の製造方法。
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