JP2021050306A - 樹脂シート及びパワー半導体装置 - Google Patents

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紗也香 菊池
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Itaru Yamaura
格 山浦
直樹 古川
Naoki Furukawa
直樹 古川
智彦 小竹
Tomohiko Kotake
智彦 小竹
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Abstract

【課題】低圧力での接着が可能な樹脂シートの提供。【解決手段】樹脂シートは、ブロックイソシアネート基を含む(メタ)アクリル樹脂と、平均円形度が0.8以上の充填材と、を含有する樹脂組成物を含む樹脂組成物層を有する。【選択図】なし

Description

本開示は、樹脂シート及びパワー半導体装置に関する。
電子部品装置には、電気絶縁等を目的とした樹脂を含む部材(樹脂部材)が用いられている。近年、電子部品装置の小型化及び高出力化に伴って発熱量が増大する傾向にあり、発生した熱をいかに放散させるかが重要な課題となっている。しかし、樹脂は絶縁性に優れる一方で熱伝導性に劣る性質を有する。そこで、樹脂部材に優れた熱伝導性を付与する技術の開発が進められている(例えば、特許文献1参照)。
特開2014−240466号公報
特許文献1に記載の発明では、エポキシ樹脂及び架橋構造含有ポリマーを含む樹脂組成物と熱伝導性フィラーとを含有する熱伝導性樹脂シート(樹脂シート)を用いることで、熱伝導性の向上を達成している。
しかし、従来の放熱性に優れる樹脂シートでは、熱伝導性を確保するために熱伝導性フィラーの充填率が高く、流動性に劣る場合がある。流動性に劣る樹脂シートを介して半導体部材、冷却部材等の被着体同士を接着するためには高い接着圧力を要することがあり、接着工程での半導体部材にかかる圧力の低減が求められていた。例えば、接着工程において0.5MPaを超える圧力をかけると、半導体部材が破損する恐れがある。
本開示は上記従来の事情に鑑みてなされたものであり、低圧力での接着が可能な樹脂シート、及び、この樹脂シートを用いたパワー半導体装置を提供することを目的とする。
前記課題を達成するための具体的手段は以下の通りである。
<1> ブロックイソシアネート基を含む(メタ)アクリル樹脂と、平均円形度が0.8以上の充填材と、を含有する樹脂組成物を含む樹脂組成物層を有する樹脂シート。
<2> 前記樹脂組成物が、硬化剤をさらに含有する<1>に記載の樹脂シート。
<3> 前記硬化剤が、フェノール系硬化剤を含む<2>に記載の樹脂シート。
<4> 前記樹脂組成物が、硬化促進剤をさらに含有する<2>又は<3>に記載の樹脂シート。
<5> 前記充填材が、アルミナ、窒化アルミニウム、窒化ケイ素、炭化ケイ素、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、マグネサイト、シリカ及び黒鉛からなる群より選択される少なくとも1種を含む<1>〜<4>のいずれか1項に記載の樹脂シート。
<6> 前記樹脂組成物層の固形分の全体積を100体積%としたときに、前記充填材の含有率が、30体積%〜90体積%である<1>〜<5>のいずれか1項に記載の樹脂シート。
<7> 前記樹脂組成物層が、Bステージ状態にある<1>〜<6>のいずれか1項に記載の樹脂シート。
<8> 前記ブロックイソシアネート基を含む(メタ)アクリル樹脂の120℃における粘度が、80Pa・s以下である<1>〜<7>のいずれか1項に記載の樹脂シート。
<9> 前記樹脂組成物層が、基材上に配置されている<1>〜<8>のいずれか1項に記載の樹脂シート。
<10> 前記基材が、金属箔である<9>に記載の樹脂シート。
<11> 金属板、はんだ層及び半導体チップがこの順に積層された半導体モジュールと、
放熱部材と、
前記半導体モジュールの前記金属板と前記放熱部材との間に配置された<1>〜<8>のいずれか1項に記載の樹脂シートの硬化物と、
を備えるパワー半導体装置。
本開示によれば、低圧力での接着が可能な樹脂シート、及び、この樹脂シートを用いたパワー半導体装置を提供することができる。
本開示のパワー半導体装置の構成の一例を示す概略断面図である。 本開示のパワー半導体装置の構成の別の一例を示す概略断面図である。
以下、本開示を実施するための形態について詳細に説明する。但し、本開示は以下の実施形態に限定されるものではない。以下の実施形態において、その構成要素(要素ステップ等も含む)は、特に明示した場合を除き、必須ではない。数値及びその範囲についても同様であり、本開示を制限するものではない。
本開示において「工程」との語には、他の工程から独立した工程に加え、他の工程と明確に区別できない場合であってもその工程の目的が達成されれば、当該工程も含まれる。
本開示において「〜」を用いて示された数値範囲には、「〜」の前後に記載される数値がそれぞれ最小値及び最大値として含まれる。
本開示中に段階的に記載されている数値範囲において、一つの数値範囲で記載された上限値又は下限値は、他の段階的な記載の数値範囲の上限値又は下限値に置き換えてもよい。また、本開示中に記載されている数値範囲において、その数値範囲の上限値又は下限値は、実施例に示されている値に置き換えてもよい。
本開示において、各成分には、該当する物質が複数種含まれていてもよい。組成物中に各成分に該当する物質が複数種存在する場合、各成分の含有率又は含有量は、特に断らない限り、組成物中に存在する当該複数種の物質の合計の含有率又は含有量を意味する。
本開示において、各成分に該当する粒子には、複数種の粒子が含まれていてもよい。組成物中に各成分に該当する粒子が複数種存在する場合、各成分の粒子径は、特に断らない限り、組成物中に存在する当該複数種の粒子の混合物についての値を意味する。
本開示において「層」との語には、当該層が存在する領域を観察したときに、当該領域の全体に形成されている場合に加え、当該領域の一部にのみ形成されている場合も含まれる。
本開示において「積層」との語は、層を積み重ねることを示し、二以上の層が結合されていてもよく、二以上の層が着脱可能であってもよい。
本開示において「(メタ)アクリロイル基」とは、アクリロイル基及びメタクリロイル基の少なくとも一方を意味し、「(メタ)アクリル」はアクリル及びメタクリルの少なくとも一方を意味し、「(メタ)アクリレート」はアクリレート及びメタクリレートの少なくとも一方を意味する。
本開示において層又は積層体の平均厚みは、対象となる層又は積層体の5点の厚みを測定し、その算術平均値として与えられる値とする。
層又は積層体の厚みは、マイクロメーター等を用いて測定することができる。本開示において、層又は積層体の厚みを直接測定可能な場合には、マイクロメーターを用いて測定する。一方、積層体の一部を構成する1つの層の厚み又は複数の層の総厚みを測定する場合には、電子顕微鏡を用いて、積層体の積層方向に平行な断面を観察することで測定する。
本開示において、「固形分」とは、樹脂組成物層を構成する成分から揮発性の成分を除去した残分を意味する。
本開示において、Aステージ、Bステージ及びCステージについては、JIS K6900:1994の規定を参照するものとする。
<樹脂シート>
本開示の樹脂シートは、ブロックイソシアネート基を含む(メタ)アクリル樹脂(以下、特定アクリル樹脂と称することがある。)と、平均円形度が0.8以上の充填材と、を含有する樹脂組成物を含む樹脂組成物層を有する。
本開示の樹脂シートは、低圧力での接着が可能となる。その理由は明確ではないが、以下のように推察される。
平均円形度が0.8以上の充填材の形状は球状に近いため、樹脂シートに圧力が加えられた場合に、樹脂組成物層に含有される充填材は樹脂組成物層内で移動しやすく、樹脂組成物層の流動性は高くなると考えられる。樹脂組成物層の流動性が高いことから、樹脂組成物層が容易に変形して被着体表面の凹凸に追従しやすくなり、樹脂シートを低圧力で接着することが可能になると推察される。
樹脂組成物層は1層であっても2層以上であってもよい。また、本開示の樹脂シートは、必要に応じて、離型フィルム、金属箔等の基材をさらに含んで構成されてもよい。本開示の樹脂シートが基材をさらに含む場合、樹脂組成物層は、離型フィルム、金属箔等の基材上に配置されていてもよい。樹脂組成物層を金属箔上に配置することで、本開示の樹脂シートを樹脂付金属箔として用いてもよい。
[樹脂組成物層]
本開示の樹脂シートは、特定アクリル樹脂と平均円形度が0.8以上の充填材とを含有する樹脂組成物を含む樹脂組成物層を有する。樹脂組成物は、特定アクリル樹脂及び充填材以外のその他の成分を含有してもよい。
以下、樹脂組成物を構成する成分について説明する。
(特定アクリル樹脂)
樹脂組成物は、特定アクリル樹脂を含有する。特定アクリル樹脂は、ブロックイソシアネート基を含み、アクリルモノマー及びメタクリルモノマーの少なくとも一方由来の構造単位を含む樹脂であれば特に限定されるものではない。
特定アクリル樹脂は、下記式(1)で表される第1のモノマーと、第1のモノマーと共重合可能であり、ブロックイソシアネート基を有する第2のモノマーとを含むモノマー成分を重合させてなる(メタ)アクリル樹脂であってもよい。
Figure 2021050306
式(1)中、Rは水素原子又はメチル基を表し、Rは炭素数1〜30のアルキル基を表す。
で表されるアルキル基は、直鎖状であっても分岐状であってもよい。Rで表されるアルキル基の炭素数は、好ましくは1〜20、より好ましくは1〜10、さらに好ましくは1〜5である。
第1のモノマーは、言い換えれば、炭素数1〜30の直鎖状又は分岐状のアルキル基をエステル基の末端に有するアルキル(メタ)アクリレートである。第1のモノマーとしては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、へプチル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、ウンデシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート(ラウリル(メタ)アクリレート)、テトラデシル(メタ)アクリレート、ヘキサデシル(メタ)アクリレート、オクタデシル(メタ)アクリレート(ステアリル(メタ)アクリレート)、ドコシル(メタ)アクリレート(ベヘニル(メタ)アクリレート)、テトラコシル(メタ)アクリレート、ヘキサコシル(メタ)アクリレート、オクタコシル(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらの第1のモノマーは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
第1のモノマーは、単独重合体としたときのガラス転移温度が25℃以下となるモノマーであってもよい。
第1のモノマーは、好ましくは、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート及びメチル(メタ)アクリレートからなる群より選択される少なくとも1種である。
第1のモノマーの含有量は、柔軟性の観点から、モノマー成分100質量部に対して、好ましくは60質量部以上、より好ましくは70質量部以上、さらに好ましくは75質量部以上であり、例えば98質量部以下であってよい。
第2のモノマーは、ブロックイソシアネート基を有するモノマーである。ブロックイソシアネート基は、熱により脱離可能なブロック剤(保護基)によってブロック(保護)されたイソシアネート基であり、下記式(3)で表される。
Figure 2021050306
式(3)中、Bは保護基を表し、*は結合手を表す。
ブロックイソシアネート基における保護基は、脱保護開始温度が40℃以上であることが好ましく、60℃以上であることがより好ましく、80℃以上であることがさらに好ましく、90℃以上であることが特に好ましい。
本開示において、脱保護開始温度は、示差走査熱量測定により測定される。
ブロックイソシアネート基は、脱保護条件下(脱保護開始温度以上の温度)で、ブロック剤(保護基)と後述する硬化剤との置換反応が生じ得る。あるいは、ブロックイソシアネート基は、脱保護によりイソシアネート基が生成し、イソシアネート基が後述する硬化剤と反応することもできる。
ブロックイソシアネート基におけるブロック剤としては、ホルムアルドオキシム、アセトアルドオキシム、アセトオキシム、メチルエチルケトオキシム、シクロヘキサノンオキシム等のオキシム類;ピラゾール、3−メチルピラゾール、3,5−ジメチルピラゾール等のピラゾール類;ε−カプロラクタム、δ−バレロラクタム、γ−ブチロラクタム、β−プロピオラクタム等のラクタム類;チオフェノール、メチルチオフェノール、エチルチオフェノール等のメルカプタン類;酢酸アミド、ベンズアミド等の酸アミド類;コハク酸イミド、マレイン酸イミド等のイミド類;などが挙げられる。
第2のモノマーは、好ましくは、ブロックイソシアネート基及び(メタ)アクリロイル基を有するモノマー(ブロックイソシアネート基を有する(メタ)アクリルモノマー)である。第2のモノマーは、好ましくは、下記式(4)で表されるモノマーである。
Figure 2021050306
式(4)中、Rは水素原子又はメチル基を表し、Rはアルキレン基を表し、Bは保護基を表す。
で表されるアルキレン基は、直鎖状であっても分岐状であってもよい。Rで表されるアルキレン基は、炭素数が1〜10であることが好ましく、1〜8であることがより好ましく、1〜6であることがさらに好ましく、1〜4であることが特に好ましい。
第2のモノマーとしては、例えば、2−[(3,5−ジメチルピラゾリル)カルボニルアミノ]エチルメタクリレート及び2−([1’−メチルプロピリデンアミノ]カルボキシアミノ)エチルメタクリレートが挙げられる。これらの第2のモノマーは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
第2のモノマーの含有量は、特定アクリル樹脂の重量平均分子量(詳細は後述)が200000以上である場合は、硬化物の耐熱性を向上する観点から、モノマー成分100質量部に対して、好ましくは2質量部以上、より好ましくは3質量部以上、さらに好ましくは5質量部以上、特に好ましくは7質量部以上である。
第2のモノマーの含有量は、特定アクリル樹脂の重量平均分子量(詳細は後述)が100000以下である場合は、樹脂組成物の硬化性を向上する観点から、モノマー成分100質量部に対して、好ましくは2質量部以上、より好ましくは3質量部以上、さらに好ましくは5質量部以上、特に好ましくは7質量部以上である。
第2のモノマーの含有量は、特定アクリル樹脂の重量平均分子量(詳細は後述)によらず、架橋密度を低く抑えて貯蔵弾性率を低減する観点から、モノマー成分100質量部に対して、2質量部以上、3質量部以上、5質量部以上、又は7質量部以上であってよく、35質量部以下であってよく、好ましくは30質量部以下、より好ましくは25質量部以下である。
モノマー成分は、第1のモノマー及び第2のモノマーに加えて、必要に応じて第1のモノマー及び第2のモノマー以外のモノマーをさらに含有することができる。第1のモノマー及び第2のモノマー以外のモノマーとしては、イソボルニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート等の環状炭化水素基をエステル基の末端に有するシクロアルキル(メタ)アクリレート(以下、第3のモノマーと称することがある。)が挙げられる。第3のモノマーは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
モノマー成分は、一実施形態において、第1のモノマーと、第2のモノマーと、必要に応じて用いられる第3のモノマーのみを含有する。言い換えれば、モノマー成分は、一実施形態において、第1のモノマー、第2のモノマー及び第3のモノマー以外のモノマー(例えばシロキサン骨格を有する(メタ)アクリルモノマー)を含有しない。モノマー成分は、一実施形態において、第1のモノマーと第2のモノマーのみを含有してよく、他の一実施形態において、第1のモノマーと第2のモノマーと第3のモノマーのみを含有してよい。
モノマー成分に占める、第1のモノマー、第2のモノマー及び必要に応じて用いられる第3のモノマー以外のその他のモノマーの含有量は、特定アクリル樹脂の重量平均分子量(詳細は後述)によらず、モノマー成分100質量部に対して、30質量部以下であることが好ましく、15質量部以下であることがより好ましく、0質量部であることがさらに好ましい。
特定アクリル樹脂の120℃における粘度は、さらなる低圧力での接着を可能とする観点から、80Pa・s以下であることが好ましく、75Pa・s以下であることがより好ましく、70Pa・s以下であることがさらに好ましい。
特定アクリル樹脂の120℃における粘度は、レオメーター装置(Anton Paar製 MCR102)を用いて測定できる。測定条件は、プレート直径:12mm、ギャップ:0.2mm、振り角:800%、周波数:0.5Hz、初期温度:120℃、保持温度:120℃とする。
特定アクリル樹脂の120℃における粘度は、第1のモノマー、第2のモノマー及び必要に応じて用いられる第3のモノマー等の種類及び量を適宜選択することで調製することができる。
特定アクリル樹脂は、第1のモノマー、第2のモノマー及び必要に応じて用いられる第3のモノマー等を含むモノマー成分を重合させることにより得られる。重合方法は、各種ラジカル重合等の公知の重合方法から適宜選択でき、例えば、懸濁重合法、溶液重合法、塊状重合法等であってよい。重合方法としては、特定アクリル樹脂の重量平均分子量を大きく(例えば200000以上に)する場合には、好ましくは懸濁重合法が用いられ、特定アクリル樹脂の重量平均分子量を小さく(例えば100000以下に)する場合には、好ましくは溶液重合法が用いられる。
懸濁重合法を用いる場合には、原料となるモノマー成分、重合開始剤、必要に応じて添加される連鎖移動剤、水及び懸濁剤を混合し、分散液を調製する。
懸濁剤としては、例えば、ポリビニルアルコール、メチルセルロース、ポリアクリルアミド等の水溶性高分子、リン酸カルシウム、ピロリン酸マグネシウム等の難溶性無機物質などが挙げられる。これらの中でも、ポリビニルアルコール等の水溶性高分子が好ましく用いられる。
懸濁剤の配合量は、原料であるモノマー成分の総量100質量部に対して、好ましくは0.005質量部〜1質量部、より好ましくは0.01質量部〜0.07質量部である。懸濁重合法を用いる場合、必要に応じて、メルカプタン系化合物、チオグリコール、四塩化炭素、α−メチルスチレンダイマー等の連鎖移動剤をさらに添加してもよい。重合温度は、好ましくは0℃〜200℃、より好ましくは40℃〜120℃、さらに好ましくは50℃〜100℃である。
溶液重合法を用いる場合、使用する溶媒としては、例えば、トルエン、キシレン等の芳香族系溶剤、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン系溶剤、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル系溶剤、四塩化炭素等の塩素系溶剤、2−プロパノール、2−ブタノール等のアルコール系溶媒などが挙げられる。
溶液重合開始時の溶液における固形分濃度は、得られる特定アクリル樹脂の重合性の観点から、好ましくは30質量%〜80質量%、より好ましくは40質量%〜70質量%、さらに好ましくは45質量%〜55質量%である。重合温度は、好ましくは0℃〜200℃、より好ましくは40℃〜120℃、さらに好ましくは50℃〜100℃である。
各重合法において用いられる重合開始剤は、ラジカル重合開始剤であれば、特に制限なく使用することができる。ラジカル重合開始剤としては、例えば、過酸化ベンゾイル、過酸化ラウロイル、ジ−t−ブチルパーオキシヘキサヒドロテレフタレート、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、1,1−t−ブチルパーオキシ−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、t−ブチルペルオキシイソプロピルカーボネート等の有機過酸化物、アゾビスイソブチロニトリル、アゾビス−4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル、アゾビスシクロヘキサノン−1−カルボニトリル、アゾジベンゾイル等のアゾ化合物などが挙げられる。
重合開始剤の配合量は、モノマーを十分に重合させる観点から、モノマーの総量100質量部に対して、好ましくは0.01質量部以上、より好ましくは0.05質量部以上、さらに好ましくは0.1質量部以上である。重合開始剤の配合量は、特定アクリル樹脂の分子量が好適な範囲になると共に、分解生成物を抑制し、好適な接着強度が得られる観点から、モノマーの総量100質量部に対して、好ましくは10質量部以下、より好ましくは5質量部以下、さらに好ましくは3質量部以下である。
以上のようにして得られる特定アクリル樹脂は、第1のモノマーに由来する構造単位と第2のモノマーに由来する構造単位を有している。すなわち、一実施形態に係る樹脂組成物は、第1の構造単位(第1のモノマーに由来する構造単位)と、第2の構造単位(第2のモノマーに由来する構造単位)とを含むアクリル樹脂を含有する。
第1の構造単位は、下記式(2)で表される。
Figure 2021050306
式(2)中、Rは水素原子又はメチル基を表し、Rは炭素数1〜30のアルキル基を表す。Rで表されるアルキル基の具体例等は、式(1)のRの場合と同様である。
第1の構造単位の含有量は、柔軟性の観点から、特定アクリル樹脂を構成する全構造単位100質量部に対して、好ましくは60質量部以上、より好ましくは70質量部以上、さらに好ましくは75質量部以上であり、例えば98質量部以下であってよい。
第2の構造単位は、ブロックイソシアネート基を有している。第2の構造単位は、例えば、上述したブロックイソシアネート基を有するモノマーに由来する構造単位である。
第2の構造単位は、好ましくは、下記式(5)で表される構造単位である。
Figure 2021050306
式(5)中、Rは水素原子又はメチル基を表し、Rはブロックイソシアネート基を含む1価の有機基を表す。ブロックイソシアネート基における保護基は、上述した第2のモノマーが有するブロックイソシアネート基における保護基と同様の基であってよい。
第2の構造単位は、好ましくは、下記式(6)で表される。
Figure 2021050306
式(6)中、Rは水素原子又はメチル基を表し、Rはアルキレン基を表し、Bは保護基を表す。Rで表されるアルキレン基の具体例等は、式(4)のRの場合と同様であり、Bで表される保護基の具体例等は、式(3)のBの場合と同様である。
第2の構造単位の含有量は、特定アクリル樹脂の重量平均分子量(詳細は後述)が200000以上である場合は、硬化物の耐熱性を向上する観点から、特定アクリル樹脂を構成する全構造単位100質量部に対して、好ましくは2質量部以上、より好ましくは3質量部以上、さらに好ましくは5質量部以上、特に好ましくは7質量部以上である。
第2の構造単位の含有量は、特定アクリル樹脂の重量平均分子量(詳細は後述)が100000以下である場合は、樹脂組成物の硬化性を向上する観点から、特定アクリル樹脂を構成する全構造単位100質量部に対して、好ましくは2質量部以上、より好ましくは3質量部以上、さらに好ましくは5質量部以上、特に好ましくは7質量部以上である。
第2の構造単位の含有量は、特定アクリル樹脂の重量平均分子量(詳細は後述)によらず、架橋密度を低く抑えて貯蔵弾性率を低減する観点から、特定アクリル樹脂を構成する全構造単位100質量部に対して、2質量部以上、3質量部以上、5質量部以上、又は7質量部以上であってよく、35質量部以下であってよく、好ましくは30質量部以下、より好ましくは25質量部以下である。
特定アクリル樹脂は、第1の構造単位及び第2の構造単位に加えて、必要に応じて第1の構造単位及び第2の構造単位以外の構造単位をさらに含有することができる。第1の構造単位及び第2の構造単位以外の構造単位は、上述した第3のモノマーに由来する構造単位(第3の構造単位)等であってよい。
特定アクリル樹脂は、一実施形態において、第1の構造単位と、第2の構造単位と、必要に応じて第3の構造単位のみを含有する。言い換えれば、特定アクリル樹脂は、一実施形態において、第1の構造単位、第2の構造単位及び第3の構造単位以外のその他の構造単位(例えばシロキサン骨格を有する(メタ)アクリルモノマーに由来する構造単位)を含有しない。特定アクリル樹脂は、一実施形態において、第1の構造単位と第2の構造単位のみを含有してよく、他の一実施形態において、第1の構造単位と第2の構造単位と第3の構造単位のみを含有してよい。
特定アクリル樹脂に占める、第1の構造単位、第2の構造単位及び必要に応じて用いられる第3の構造単位以外のその他の構造単位の含有量は、特定アクリル樹脂の重量平均分子量(詳細は後述)によらず、全構造単位100質量部に対して、30質量部以下であることが好ましく、15質量部以下であることがより好ましく、0質量部であることがさらに好ましい。
特定アクリル樹脂は、ランダム共重合体、ブロック共重合体又はグラフト共重合体のいずれであってもよい。
特定アクリル樹脂の重量平均分子量は、一実施形態において、硬化物の強度を向上する観点から、好ましくは200000以上、より好ましくは250000以上である。特定アクリル樹脂の重量平均分子量は、樹脂組成物のハンドリングのしやすさの観点から、好ましくは2000000以下、より好ましくは1500000以下、さらに好ましくは1000000以下である。
特定アクリル樹脂の重量平均分子量は、他の一実施形態において、樹脂組成物の粘度を低減する観点から、好ましくは100000以下、より好ましくは70000以下、さらに好ましくは50000以下である。この場合、特定アクリル樹脂の重量平均分子量は、例えば5000以上であってよい。
本開示において、特定アクリル樹脂の重量平均分子量(Mw)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定された値をいう。GPCによるMwの測定は、分析用GPCカラムに東ソー株式会社のG2000HXL及び3000HXLを使用し、移動相にはテトラヒドロフランを用い、試料濃度を0.2質量%とし、流速を1.0mL/minとして測定を行う。ポリスチレン標準サンプルを用いて検量線を作成し、ポリスチレン換算値でMwを計算する。
特定アクリル樹脂の含有率は、樹脂組成物層へ柔軟性と接着性を付与する観点から、樹脂組成物層の固形分全体の1質量%〜15質量%であることが好ましく、2質量%〜12質量%であることがより好ましく、3質量%〜10質量%であることがさらに好ましい。
(充填材)
樹脂組成物は、平均円形度が0.8以上の充填材を含有する。充填材の平均円形度は、0.85以上であることが好ましく、0.9以上であることがより好ましい。
本開示において、充填材の円形度とは、充填材の投影面積と同じ面積を持つ円の直径である円相当径から算出される円としての周囲長を、充填材の投影像から測定される周囲長(輪郭線の長さ)で除して得られる数値であり、下記式で求められる。尚、円形度は真円では1.00となる。
円形度=(相当円の周囲長)/(粒子断面像の周囲長)
具体的に平均円形度は、走査型電子顕微鏡で倍率1000倍に拡大した画像を観察し、任意に10個の充填材を選択し、上記方法にて個々の充填材の円形度を測定し、その算術平均値として算出される値である。なお、円形度、相当円の周囲長及び粒子の投影像の周囲長は、市販されている画像解析ソフトによって求めることが可能である。
充填材として2種類以上の充填材が併用される場合、充填材の平均円形度は、2種類以上の充填材の混合物としての値をいう。
充填材は、非導電性であっても、導電性であってもよい。非導電性の充填材を使用することによって硬化物の絶縁性の低下が抑制される傾向にある。また、導電性の充填材を使用することによって硬化物の熱伝導性がより向上する傾向にある。
非導電性の充填材として具体的には、酸化アルミニウム(アルミナ)、酸化マグネシウム、窒化アルミニウム、窒化ホウ素、窒化ケイ素、炭化ケイ素、酸化亜鉛、マグネサイト、シリカ(二酸化ケイ素)、酸化ケイ素、水酸化アルミニウム、硫酸バリウム等が挙げられる。また導電性の充填材としては、金、銀、ニッケル、銅、黒鉛等が挙げられる。中でも熱伝導率の観点から、充填材としては、アルミナ、窒化アルミニウム、窒化ケイ素、炭化ケイ素、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、マグネサイト、シリカ及び黒鉛からなる群より選択される少なくとも1種を含むことが好ましく、窒化ホウ素及び酸化アルミニウム(アルミナ)からなる群より選択される少なくとも1種であることがより好ましく、酸化アルミニウム(アルミナ)であることがさらに好ましい。充填材は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
充填材は、2種以上の互いに体積平均粒子径の異なるものを混合して用いることが好ましい。これにより大粒子径の充填材の空隙に小粒子径の充填材がパッキングされることによって、単一粒子径の充填材のみを使用するよりも充填材が密に充填されるため、より高熱伝導率を発揮することが可能となる。
充填材の体積平均粒子径(D50)は、レーザー回折法を用いて測定することができる。例えば、樹脂組成物中の充填材を抽出し、レーザー回折散乱粒度分布測定装置(例えば、ベックマン・コールター社、商品名:LS230)を用いて測定する。具体的には、有機溶剤、硝酸、王水等を用い、樹脂組成物中から充填材を抽出し、超音波分散機等で十分に分散し、この分散液の体積累積粒度分布曲線を測定する。
体積平均粒子径(D50)は、上記測定より得られた体積累積粒度分布曲線において、小径側から累積が50%となる粒子径をいう。
充填材の含有率は特に制限されない。中でも熱伝導性の観点から、充填材の含有率は、樹脂組成物層の固形分の全体積を100体積%とした場合に、30体積%〜90体積%であることが好ましく、60体積%〜85体積%であることがより好ましい。
充填材の含有率が30体積%以上であれば、より高い熱伝導率を達成することが可能となる傾向にある。一方、充填材の含有率が90体積%以下であると、樹脂組成物層の硬化物の柔軟性の低下及び絶縁性の低下を抑制する傾向にある。
充填材の質量基準の含有率は、樹脂組成物層の固形分全体の30質量%〜95質量%であることが好ましく、50質量%〜95質量%であることがより好ましく、70質量%〜95質量%であることがさらに好ましい。
(エポキシ樹脂)
樹脂組成物は、硬化物の電気絶縁性、耐熱性等を向上する観点から、エポキシ樹脂を含有してもよい。
エポキシ樹脂の種類は特に制限されず、樹脂組成物の所望の特性等に応じて選択できる。エポキシ樹脂として具体的には、フェノール、クレゾール、キシレノール、レゾルシン、カテコール、ビスフェノールA、ビスフェノールF等のフェノール化合物及びα−ナフトール、β−ナフトール、ジヒドロキシナフタレン等のナフトール化合物からなる群より選択される少なくとも1種のフェノール性化合物と、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド等の脂肪族アルデヒド化合物とを酸性触媒下で縮合又は共縮合させて得られるノボラック樹脂をエポキシ化したものであるノボラック型エポキシ樹脂(フェノールノボラック型エポキシ樹脂、オルソクレゾールノボラック型エポキシ樹脂等);上記フェノール性化合物と、ベンズアルデヒド、サリチルアルデヒド等の芳香族アルデヒド化合物とを酸性触媒下で縮合又は共縮合させて得られるトリフェニルメタン型フェノール樹脂をエポキシ化したものであるトリフェニルメタン型エポキシ樹脂;上記フェノール化合物及びナフトール化合物と、アルデヒド化合物とを酸性触媒下で共縮合させて得られるノボラック樹脂をエポキシ化したものである共重合型エポキシ樹脂;ビスフェノールA、ビスフェノールF等のジグリシジルエーテルであるジフェニルメタン型エポキシ樹脂;アルキル置換又は非置換のビフェノールのジグリシジルエーテルであるビフェニル型エポキシ樹脂;スチルベン系フェノール化合物のジグリシジルエーテルであるスチルベン型エポキシ樹脂;ビスフェノールS等のジグリシジルエーテルである硫黄原子含有エポキシ樹脂;ブタンジオール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等のアルコール類のグリシジルエーテルであるエポキシ樹脂;フタル酸、イソフタル酸、テトラヒドロフタル酸等の多価カルボン酸化合物のグリシジルエステルであるグリシジルエステル型エポキシ樹脂;アニリン、ジアミノジフェニルメタン、イソシアヌル酸等の窒素原子に結合した活性水素をグリシジル基で置換したものであるグリシジルアミン型エポキシ樹脂;分子内のオレフィン結合をエポキシ化したものであるビニルシクロヘキセンジエポキシド、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、2−(3,4−エポキシ)シクロヘキシル−5,5−スピロ(3,4−エポキシ)シクロヘキサン−m−ジオキサン等の脂環型エポキシ樹脂;パラキシリレン変性フェノール樹脂のグリシジルエーテルであるパラキシリレン変性エポキシ樹脂;メタキシリレン変性フェノール樹脂のグリシジルエーテルであるメタキシリレン変性エポキシ樹脂;テルペン変性フェノール樹脂のグリシジルエーテルであるテルペン変性エポキシ樹脂;ジシクロペンタジエン変性フェノール樹脂のグリシジルエーテルであるジシクロペンタジエン変性エポキシ樹脂;シクロペンタジエン変性フェノール樹脂のグリシジルエーテルであるシクロペンタジエン変性エポキシ樹脂;多環芳香環変性フェノール樹脂のグリシジルエーテルである多環芳香環変性エポキシ樹脂;ナフタレン環含有フェノール樹脂のグリシジルエーテルであるナフタレン型エポキシ樹脂;ハロゲン化フェノールノボラック型エポキシ樹脂;ハイドロキノン型エポキシ樹脂;トリメチロールプロパン型エポキシ樹脂;オレフィン結合を過酢酸等の過酸で酸化して得られる線状脂肪族エポキシ樹脂;フェノール・アラルキル樹脂、ナフトール・アラルキル樹脂等のアラルキル型フェノール樹脂をエポキシ化したものであるアラルキル型エポキシ樹脂;などが挙げられる。これらのエポキシ樹脂は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
樹脂組成物がエポキシ樹脂を含有する場合、エポキシ樹脂の含有率は、耐熱性を向上する観点から、樹脂組成物層の固形分全体の0.1質量%〜20質量%であることが好ましく、1質量%〜15質量%であることがより好ましく、2質量%〜10質量%であることがさらに好ましい。
(硬化剤)
樹脂組成物は、耐熱性を向上させる観点から、硬化剤をさらに含有してもよい。
硬化剤は、第2のモノマー(第2の構造単位)に含まれるブロックイソシアネート基の脱保護開始温度以上の温度で、ブロックイソシアネート基と反応しうる。より具体的には、硬化剤は、第2のモノマー(第2の構造単位)に含まれるブロックイソシアネート基に対して、脱保護開始温度以上の温度において、ブロック剤(保護基)と置換反応し得る硬化剤である。あるいは、硬化剤は、第2のモノマー(第2の構造単位)に含まれるブロックイソシアネート基において、ブロック剤が脱離(脱保護)することにより生成されるイソシアネート基と反応し得る硬化剤である。
硬化剤としては、特定アクリル樹脂と硬化剤との反応性を高め、硬化速度を速める観点から、好ましくは、アミン系硬化剤、アルコール系硬化剤及びフェノール系硬化剤からなる群より選択される少なくとも1種の化合物である。硬化剤は、特定アクリル樹脂同士を架橋する機能を有していてもよく、架橋剤と呼ぶこともできる。
架橋剤としては、耐熱性の観点から、フェノール系硬化剤が好ましい。
樹脂組成物がエポキシ樹脂を含有する場合、硬化剤は、イソシアネート基と反応するだけでなく、エポキシ樹脂に含まれるエポキシ基と反応するものであってもよい。また、イソシアネート基と反応する硬化剤とエポキシ基と反応する硬化剤とを併用してもよい。
アミン系硬化剤としては、例えば、ジアミノジフェニルメタン、ジアミノジフェニルスルホン、ジアミノジフェニルエーテル、p−フェニレンジアミン、m−フェニレンジアミン、o−フェニレンジアミン、1,5−ジアミノナフタレン、m−キシリレンジアミン等の芳香族アミン、エチレンジアミン、ジエチレンジアミン、ジエチレントリアミン、ヘキサメチレンジアミン、イソホロンジアミン、ビス(4−アミノ−3−メチルジシクロヘキシル)メタン、ポリエーテルジアミン等の脂肪族アミン;ジシアンジアミド、1−(o−トリル)ビグアニド等のグアニジン類などが挙げられる。
アルコール系硬化剤としては、グリセリン、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,9−ノナンジオール、ジエチレングリコール等の多価アルコールが挙げられる。
フェノール系硬化剤としては、フェノール化合物(例えば、フェノール、クレゾール、キシレノール、レゾルシン、カテコール、ビスフェノールA及びビスフェノールF)並びにナフトール化合物(例えば、α−ナフトール、β−ナフトール及びジヒドロキシナフタレン)からなる群より選択される少なくとも1種と、アルデヒド化合物(例えば、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、ベンズアルデヒド及びサリチルアルデヒド)とを、酸性触媒下で縮合又は共縮合させて得られるノボラック樹脂;フェノール・アラルキル樹脂;ビフェニル・アラルキル型フェノール樹脂;並びにナフトール・アラルキル樹脂;が挙げられる。
硬化剤の含有率は、熱伝導性及び接着性の観点から、樹脂組成物層の固形分全体の0.1質量%〜5質量%であることが好ましく、0.2質量%〜3質量%であることがより好ましく、0.5質量%〜2質量%であることがさらに好ましい。
(硬化促進剤)
樹脂組成物が硬化剤を含有する場合、樹脂組成物は、特定アクリル樹脂及び必要に応じて用いられるエポキシ樹脂と硬化剤との反応を促進させる観点から、好ましくは硬化促進剤をさらに含有する。
硬化促進剤としては、例えば、イミダゾール系硬化促進剤、有機リン系硬化促進剤、第3級アミン系硬化促進剤、第4級アンモニウム塩系硬化促進剤、スズ触媒等が挙げられる。これらの中でも、ジラウリン酸ジブチルスズ等のスズ触媒が好ましい。なお、これらの硬化促進剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
硬化促進剤の含有率は、成形性の観点から、樹脂組成物層の固形分全体の0.01質量%〜2質量%であることが好ましく、0.02質量%〜1質量%であることがより好ましく、0.05質量%〜0.5質量%であることがさらに好ましい。
(その他の成分)
樹脂組成物は、必要に応じて、上記成分に加えてその他の成分を含んでいてもよい。その他の成分としては、例えば、エラストマ、シランカップリング剤、分散剤及び沈降防止剤を挙げることができる。これらの成分は、それぞれ1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
樹脂組成物は、シランカップリング剤を含むことが好ましい。シランカップリング剤を含むことで、硬化物としたときの熱伝導性及び絶縁性がより向上する傾向にある。
シランカップリング剤としては、市販のものを使用してもよい。特定アクリル樹脂又は硬化剤との相溶性、特定アクリル樹脂と充填材との界面での熱伝導損失の低減等の観点からは、エポキシ基、アミノ基、メルカプト基、ウレイド基、水酸基等の官能基を有するシランカップリング剤を用いることが好適である。
シランカップリング剤としては、具体的には、例えば、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン、3−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリエトキシシラン及び3−ウレイドプロピルトリエトキシシランを挙げることができる。また、SC−6000KS2(日立化成テクノサービス株式会社製)に代表されるシランカップリング剤オリゴマ等も挙げられる。
これらシランカップリング剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
樹脂組成物がシランカップリング剤を含有する場合、樹脂組成物におけるシランカップリング剤の含有率は特に制限されない。例えば、シランカップリング剤の含有率は、樹脂組成物層の固形分全体の0.01質量%〜0.5質量%であることが好ましい。
シランカップリング剤は、樹脂組成物中に含有されていればよく、充填材の表面を被覆した状態で存在していても、充填材とは別個に存在していてもよい。
(樹脂組成物層の形成)
樹脂組成物層は、溶剤を樹脂組成物に添加して調製されるワニス状の樹脂組成物(以下、「樹脂ワニス」ともいう)を、PETフィルム等の離型フィルム、金箔、銅箔、アルミニウム箔等の金属箔などの基材上に付与し、乾燥することで製造することができる。
溶剤としては、樹脂組成物の硬化反応を阻害しないものであれば特に制限はなく、通常用いられる有機溶剤を適宜選択して用いることができる。溶剤の具体例としては、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、乳酸エチル等を挙げることができる。
樹脂ワニスに含まれる溶剤の含有率は、樹脂ワニス全体の10質量%〜40質量%であることが好ましく、10質量%〜35質量%であることがより好ましく、10質量%〜30質量%であることがさらに好ましい。
離型フィルムの平均厚みは特に制限されず、例えば、10μm〜100μmであってもよい。
金属箔の平均厚みは特に制限されず、例えば、1μm〜500μmであってもよい。なお、20μm以下の金属箔を用いることで、樹脂付金属箔の可とう性がより向上する傾向にある。
金属箔として、ニッケル、ニッケル−リン合金、ニッケル−スズ合金、ニッケル−鉄合金、鉛、鉛−スズ合金等を中間層とし、中間層の一方の面に0.5μm〜15μmの銅層を設け、中間層の他方の面に10μm〜300μmの銅層を設けた3層構造の複合箔、又はアルミニウム箔と銅箔とを複合した2層構造の複合箔を用いることもできる。
樹脂ワニスの25℃における粘度は、0.5Pa・s〜5Pa・sであることが好ましく、0.5Pa・s〜4Pa・sであることがより好ましく、1Pa・s〜3Pa・sであることがさらに好ましい。樹脂ワニスの25℃における粘度は、コーンプレート(直径40mm、コーン角0°)を装着した回転式のせん断粘度計を用いて、5.0s−1のせん断速度で温度25℃で測定される値をいう。
また、樹脂ワニスの25℃における揺変指数は、3〜15であることが好ましく、3.5〜10であることがより好ましく、4〜7であることがさらに好ましい。
樹脂ワニスの揺変指数は、まず、樹脂ワニスの温度を25℃にして、0.5s−1のせん断速度での粘度(η1)及び5.0s−1のせん断速度での粘度(η2)を測定し、(η1)/(η2)を算出して得た値とする。詳細には、「揺変指数」は、せん断粘度として、コーンプレート(直径40mm、コーン角0°)を装着した回転式のせん断粘度計を用いて、温度25℃で測定される。
樹脂ワニスの付与は公知の方法により実施することができる。具体的には、コンマコート、ダイコート、リップコート、グラビアコート等の方法が挙げられる。所定の厚みに樹脂組成物層を形成するための樹脂ワニスの付与方法としては、ギャップ間に被塗工物を通過させるコンマコート法、ノズルから流量を調節した樹脂ワニスを塗布するダイコート法等が挙げられる。乾燥前の樹脂組成物層の平均厚みが50μm〜500μmの場合には、コンマコート法を用いることが好ましい。
乾燥方法は、樹脂ワニス中に含まれる有機溶剤の少なくとも一部を除去できれば特に制限されず、通常用いられる乾燥方法から適宜選択することができる。
乾燥後の樹脂組成物層において、樹脂ワニスに使用した有機溶剤が80質量%以上除去されていることが好ましい。乾燥温度は60℃〜180℃程度であり、乾燥時間は、ゲル化を考慮して適宜選択することができ、特に制限はない。
樹脂組成物層の密度は特に制限されず、通常、3.0g/cm〜3.4g/cmとされ、柔軟性と熱伝導性の両立の観点からは、3.0g/cm〜3.3g/cmであることが好ましく、3.1g/cm〜3.3g/cmであることがより好ましい。樹脂組成物層の密度は、例えば、充填材の配合量で調整することができる。
本開示において、樹脂組成物層の密度は、樹脂組成物層が2層以上の樹脂組成物層を有する場合、全ての樹脂組成物層の密度の平均値をいう。また、樹脂シートに離型フィルム、金属箔等の基材が含まれている場合、基材を除いた樹脂組成物層の密度をいう。
樹脂シートは、樹脂組成物を含む第1の樹脂組成物層と、第1の樹脂組成物層上に積層されている樹脂組成物を含む第2の樹脂組成物層と、を有することが好ましい。例えば、樹脂シートは、樹脂組成物から形成される第1の樹脂組成物層と、樹脂組成物から形成される第2の樹脂組成物層との積層体であることが好ましい。これにより絶縁耐圧をより向上させることができる。第1の樹脂組成物層及び第2の樹脂組成物層を形成する樹脂組成物は、同一の組成であっても互いに異なる組成を有していてもよい。熱伝導性の観点からは、第1の樹脂組成物層及び第2の樹脂組成物層を形成する樹脂組成物は、同一の組成であることが好ましい。
樹脂シートが積層体である場合、樹脂組成物から形成される第1の樹脂組成物層と第2の樹脂組成物層とを重ね合わせて製造されることが好ましい。かかる構成であることにより、絶縁耐圧がより向上する傾向にある。
これは例えば以下のように考えることができる。すなわち、2つの樹脂組成物層を重ねることで、一方の樹脂組成物層中に存在しうる厚みの薄くなる箇所(ピンホール又はボイド)がもう一方の樹脂組成物層により補填されることになる。これにより、最小絶縁厚みを大きくすることができ、絶縁耐圧がより向上すると考えることができる。樹脂シートの製造方法におけるピンホール又はボイドの発生確率は高くはないが、2つの樹脂組成物層を重ねることで薄い部分の重なり合う確率はその2乗になり、ピンホール又はボイドの個数はゼロに近づくことになる。絶縁破壊は最も絶縁的に弱い箇所で起こることから、2つの樹脂組成物層を重ねることにより絶縁耐圧がより向上する効果が得られると考えることができる。さらに、2つの樹脂組成物層を重ねることにより、充填材同士の接触確率も高くなり、硬化物としたときの熱伝導性がさらに向上する効果も生じると考えることができる。
樹脂シートの製造方法は、樹脂組成物から形成される第1の樹脂組成物層上に、樹脂組成物から形成される第2の樹脂組成物層を重ねて積層体を得る工程と、得られた積層体を加熱加圧処理する工程とを含むことが好ましい。かかる製造方法であることにより、絶縁耐圧がより向上する傾向にある。
樹脂シートの厚みは、目的に応じて適宜選択することができる。樹脂組成物層の平均厚みは、例えば、50μm〜350μmとすることができ、熱伝導性、絶縁性及びシート可とう性の観点からは、60μm〜300μmとすることが好ましい。
樹脂組成物層は、Bステージ状態にあってもよい。つまり、樹脂シートは、樹脂組成物の半硬化物を含む半硬化樹脂組成物層を有するBステージシートであってもよい。Bステージシートは、例えば、本開示の樹脂シートにおける樹脂組成物層をBステージ状態まで熱処理する工程を含む製造方法により製造できる。
取り扱い性の観点からは、Aステージ状態の樹脂組成物層をBステージ化して、Bステージシートとすることが好ましい。
Aステージ状態の樹脂組成物層をBステージ化するための熱処理条件は、樹脂組成物層をBステージ状態にまで半硬化することができれば特に制限されず、樹脂組成物の構成に応じて適宜選択することができる。樹脂組成物を付与する際に生じた樹脂組成物層中の空隙(ボイド)を消滅させる目的から、熱真空プレス、熱ロールラミネート等から選択される熱処理方法を適用することが好ましい。これにより平坦なBステージシートを効率よく製造することができる。具体的には例えば、80℃〜180℃で、1秒〜3分間、減圧下(例えば、1kPa)で加熱加圧処理することで樹脂組成物層をBステージ状態に半硬化することができる。また、加圧の圧力は、0.1MPa〜0.5MPaとすることができる。
半硬化樹脂組成物層の平均厚みは、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、50μm〜350μmとすることができ、熱伝導性、絶縁性及びシート可とう性の観点からは、60μm〜300μmとすることが好ましい。また、2層以上の樹脂シートを積層した状態で加熱加圧処理することによりBステージシートを作製することもできる。
樹脂組成物層は、Cステージ状態にあってもよい。つまり、樹脂シートは、樹脂組成物の硬化物を含む硬化樹脂組成物層を有するCステージシートであってもよい。Cステージシートは、例えば、樹脂シート又はBステージシートをCステージ状態まで熱処理する工程を含む製造方法により製造できる。樹脂シート又はBステージシートを熱処理する条件は、樹脂組成物層又は半硬化樹脂組成物層をCステージ状態にまで硬化することができれば特に制限されず、樹脂組成物の構成に応じて適宜選択することができる。Cステージシート中のボイドの発生を抑制し、Cステージシートの耐熱性を向上させる観点からは、熱真空プレス等の熱処理方法を適用することが好ましい。これにより平坦なCステージシートを効率よく製造することができる。具体的には、100℃〜250℃で、1分間〜60分間、0.1MPa〜0.5MPaで加熱加圧処理することで樹脂組成物層又は半硬化樹脂組成物層をCステージ状態に硬化することができる。
硬化樹脂組成物層の平均厚みは、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、50μm〜350μmとすることができ、熱伝導性、絶縁性及びシート可とう性の観点からは、60μm〜300μmとすることが好ましい。また、2層以上の樹脂シート又はBステージシートを積層した状態で加熱加圧処理することによりCステージシートを作製することもできる。
<パワー半導体装置>
本開示のパワー半導体装置は、金属板、はんだ層及び半導体チップがこの順に積層された半導体モジュールと、放熱部材と、前記半導体モジュールの前記金属板と前記放熱部材との間に配置された本開示の樹脂シートの硬化物と、を備える。
パワー半導体装置は、半導体モジュール部分のみが封止材等で封止されていても、パワー半導体モジュール全体がモールド樹脂等でモールドされていてもよい。以下、パワー半導体装置の例を、図面を用いて説明する。
図1はパワー半導体装置の構成の一例を示す概略断面図である。図1では、金属板106とはんだ層110と半導体チップ108とがこの順に積層された半導体モジュールにおける金属板106と、放熱ベース基板104との間に樹脂シートの硬化物102が配置され、半導体モジュールの部分が封止材114で封止されている。
また、図2はパワー半導体装置の構成の別の一例を示す概略断面図である。図2では、金属板106とはんだ層110と半導体チップ108とがこの順に積層された半導体モジュールにおける金属板106と、放熱ベース基板104との間に樹脂シートの硬化物102が配置され、半導体モジュールと放熱ベース基板104とがモールド樹脂112でモールドされている。
このように、本開示の樹脂シートの硬化物は、図1に示すように半導体モジュールと放熱ベース基板との間の放熱性の接着層として用いることが可能である。また、図2のようにパワー半導体装置の全体をモールド成形する場合でも、放熱ベース基板と金属板との間の放熱材として用いることが可能である。
以下、本開示を実施例により具体的に説明するが、本開示はこれらの実施例に限定され
るものではない。以下に樹脂組成物の調製に用いた材料とその略号を示す。
[アクリル樹脂の合成例]
以下のとおり、公知の溶液重合方法により、実施例1〜2で用いたアクリル樹脂1A及び1Bを合成した。
(ブロックイソシアネート基を含むアクリル樹脂1Aの合成)
撹拌機、温度計、窒素ガス導入管、排出管及び加熱ジャケットを備えた500mLフラスコを反応器とし、モノマーとしてエチルアクリレート27g、ブチルアクリレート58g、2−[(3,5−ジメチルピラゾリル)カルボニルアミノ]エチルメタクリレート(脱保護開始温度:90℃)15g、溶媒としてメチルエチルケトン118gを混合し、反応器に加え、室温下(25℃)、撹拌回転数200回/分で撹拌し、1時間、窒素を100mL/分で流した。その後、65℃に昇温し、昇温完了から1時間後、アゾビスイソブチロニトリル0.3gをメチルエチルケトン4mLに溶解した溶液を反応器に添加し、反応を開始させた。その後、反応器内温度65℃で撹拌し、4時間反応させた。その後、80℃まで昇温し、さらに2時間反応させた。その後、溶媒を除去し、乾燥し、アクリル樹脂1Aを得た。アクリル樹脂1AのMwは28万6000であった。また、アクリル樹脂1Aの120℃における粘度は、126Pa・sであった。
(ブロックイソシアネート基を含むアクリル樹脂1Bの合成)
撹拌機、温度計、窒素ガス導入管、排出管及び加熱ジャケットを備えた500mLフラスコを反応器とし、モノマーとしてエチルアクリレート27g、ブチルアクリレート58g、2−[(3,5−ジメチルピラゾリル)カルボニルアミノ]エチルメタクリレート15g、溶媒としてイソプロパノール110gを混合し、反応器に加え、室温下(25℃)、撹拌回転数200回/分で撹拌し、1時間、窒素を100mL/分で流した。その後、70℃に昇温し、昇温完了から1時間後、アゾビスイソブチロニトリル0.25gをメチルエチルケトン2mLに溶解した溶液を反応器に添加し、反応を開始させた。その後、2−[(3,5−ジメチルピラゾリル)カルボニルアミノ]エチルメタクリレート9.7gを1時間30分かけて反応器に滴下したのち、さらに2時間反応させた。その後、80℃まで昇温し、アゾビスイソブチロニトリル0.05gをメチルエチルケトン1mLに溶解した溶液を反応器に添加し、反応器内温度80℃で撹拌し、2時間反応させた。その後、溶媒を除去し、乾燥し、アクリル樹脂1Bを得た。アクリル樹脂1BのMwは3万4000であった。また、アクリル樹脂1Bの120℃における粘度は、2Pa・sであった。
(エポキシ樹脂)
・エポキシ樹脂:ビフェニル型エポキシ樹脂、エポキシ当量:172g/eq
(硬化剤)
・硬化剤:ビフェニル・アラルキル型フェノール樹脂、水酸基当量:136g/eq
(充填材)
・AA−04:アルミナ粒子、D50:0.4μm
・AA−3:アルミナ粒子、D50:3μm
・AA−18:アルミナ粒子、D50:18μm
・HP−40:窒化ホウ素粒子、D50:40μm
(硬化促進剤)
・硬化促進剤1:ジラウリン酸ジブチルスズ
・硬化促進剤2:トリフェニルホスフィン
(シランカップリング剤)
・KBM−573:N−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン
(基材)
・PETフィルム[平均厚み:50μm]
・銅箔[平均厚み:105μm]
[実施例1]
(樹脂組成物の調製)
アクリル樹脂1Aを3.55質量%と、アクリル樹脂1Bを3.55質量%と、硬化剤を1.04質量%と、硬化促進剤1を0.41質量%と、充填材としてAA−04を7.69質量%と、AA−3を18.45質量%と、AA−18を50.75質量%と、添加剤としてKBM−573を0.38質量%と、溶剤としてメチルエチルケトンを14.66質量%と、を混合し、ワニス状の樹脂組成物を調製した。
アルミナの密度を3.98g/cm、及び樹脂(アクリル樹脂と硬化剤の混合物)の密度を1.20g/cmとして、樹脂組成物の全固形分の全体積に対する充填材の割合を算出したところ、74体積%であった。
(Aステージ樹脂シートの作製)
PETフィルムを基材とし、テーブルコーター(テスター産業株式会社)を用いて、樹脂組成物をPETフィルム上に塗工した。70℃のボックス型オーブンで10分間加熱乾燥させ、PETフィルム上にAステージ状態で平均厚みが200μmの樹脂組成物層が形成されたAステージシートを得た。
(評価用のCステージシートの作製)
次いで、乾燥後のAステージシートの上に銅箔を設置し、真空プレスにて熱間加圧(プレス温度:100℃、真空度:1kPa、プレス圧:0.5MPa、加圧時間:2分)を行い、樹脂シートをBステージの状態にした。
次いで、Bステージ状態の銅箔付きの樹脂シートからPETフィルムを剥がし、その上に銅箔を配置した。この状態で、真空プレスにて真空熱圧着(プレス温度:120℃、真空度:1kPa、プレス圧:0.5MPa、加圧時間:10分)し、銅箔付のCステージシートを得た。
[実施例2]
(樹脂組成物の調製)
アクリル樹脂1Aを2.3質量%と、アクリル樹脂1Bを2.3質量%と、硬化剤を0.6質量%と、硬化促進剤1を0.2質量%と、充填材としてAA−04を7.0質量%と、AA−3を16.9質量%と、AA−18を46.6質量%と、添加剤としてKBM−573を0.3質量%と、溶剤としてメチルエチルケトンを23.8質量%と、を混合し、ワニス状の樹脂組成物を調製した。
アルミナの密度を3.98g/cm、及び樹脂(アクリル樹脂と硬化剤の混合物)の密度を1.20g/cmとして、樹脂組成物の全固形分の全体積に対する充填材の割合を算出したところ、80体積%であった。
実施例1と同様に評価用のAステージシート及びCステージシートを作製した。
[比較例1]
(樹脂組成物の調製)
アクリル樹脂1Aを9.9質量%と、アクリル樹脂1Bを9.9質量%と、硬化剤を2.9質量%と、硬化促進剤1を1.1質量%と、充填材としてAA−04を5.7質量%と、HP−40を49.6質量%と、添加剤としてKBM−573を0.3質量%と、溶剤としてメチルエチルケトンを20.6質量%と、を混合し、ワニス状の樹脂組成物を調製した。
窒化ホウ素の密度を2.20g/cm、アルミナの密度を3.98g/cm、及び樹脂(アクリル樹脂と硬化剤の混合物)の密度を1.20g/cmとして、樹脂組成物の全固形分の全体積に対する充填材の割合を算出したところ、56体積%であった。
(Aステージ樹脂シートの作製)
実施例1と同様にAステージシートを作製した。
(Cステージシートの作製)
乾燥後のAステージシートの上に銅箔を設置し、真空プレスにて熱間加圧(プレス温度:150℃、真空度:1kPa、プレス圧:10MPa、加圧時間:1分)を行い、銅箔付きの樹脂シートをBステージの状態にした。
Bステージ状態の銅箔付きの樹脂シートからPETフィルムを剥がし、その上に銅箔を配置した。この状態で、真空プレスにて真空熱圧着(プレス温度:150℃、真空度:1kPa、プレス圧:10MPa、加圧時間:30分)して、銅箔付のCステージシートを得た。なお、プレス圧:0.5MPaでは、銅箔がCステージシートに付着しなかった。
[比較例2]
(樹脂組成物の調製)
エポキシ樹脂を11.0質量%と、硬化剤を8.6質量%と、硬化促進剤2を0.2質量%と、充填材としてAA−04を5.7質量%と、HP−40を49.6質量%と、添加剤としてKBM−573を0.3質量%と、溶剤としてシクロヘキサノンを24.6質量%と、を混合し、ワニス状の樹脂組成物を調製した。
窒化ホウ素の密度を2.20g/cm、アルミナの密度を3.98g/cm、及び樹脂(エポキシ樹脂と硬化剤の混合物)の密度を1.20g/cmとして、樹脂組成物の全固形分の全体積に対する充填材の割合を算出したところ、56体積%であった。
(Aステージシートの作製)
乾燥条件を温度:130℃、時間:6分に変更した以外は、実施例1と同様にAステージシートを作製した。
(Cステージシートの作製)
プレス圧力を10MPaに変更した以外は、実施例1と同様にCステージシートを作製した。なお、プレス圧:0.5MPaでは、銅箔がCステージシートに付着しなかった。
[評価]
(充填材の平均円形度)
各実施例及び比較例の充填材の平均円形度は、走査型電子顕微鏡(装置:日本電子株式会社製 JSM−6010PLUS/LA)を用い、Cステージシートの厚み方向に平行な断面をプラチナ蒸着後、加圧電圧10kVで倍率1000倍に拡大した画像を観察し、画像解析ソフト(Image J)を使用して求めた。
(圧着圧力の評価)
Cステージシート作製時の硬化プレスに要した圧力を評価した。
(圧着圧力の評価基準)
A:0.5MPa以下
B:0.5MPaを超える
(熱伝導率の評価)
作製した銅箔付のCステージシートの銅箔をエッチングして取り除き、Cステージシートを得た。得られたCステージシートを縦10mm、横10mmに切って試料を得た。試料をグラファイトスプレーにて黒化処理した後、キセノンフラッシュ法(NETZSCH社LFA447 nanoflash)にて熱拡散率を評価した。この値と、アルキメデス法で測定した密度と、DSC(示差走査熱量測定装置;Perkin Elmer社DSC Pyris1)にて測定した比熱との積から、Cステージシートの厚み方向の熱伝導率を求めた。
Figure 2021050306
評価結果から明らかなように、樹脂シートを構成する樹脂組成物が特定アクリル樹脂及び平均円形度が0.8以上の充填材を含むことで、定着圧力を低減可能であることがわかる。
102:樹脂シートの硬化物、104:放熱ベース基板、106:金属板、108:半導体チップ、110:はんだ層、112:モールド樹脂、114:封止材

Claims (11)

  1. ブロックイソシアネート基を含む(メタ)アクリル樹脂と、平均円形度が0.8以上の充填材と、を含有する樹脂組成物を含む樹脂組成物層を有する樹脂シート。
  2. 前記樹脂組成物が、硬化剤をさらに含有する請求項1に記載の樹脂シート。
  3. 前記硬化剤が、フェノール系硬化剤を含む請求項2に記載の樹脂シート。
  4. 前記樹脂組成物が、硬化促進剤をさらに含有する請求項2又は請求項3に記載の樹脂シート。
  5. 前記充填材が、アルミナ、窒化アルミニウム、窒化ケイ素、炭化ケイ素、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、マグネサイト、シリカ及び黒鉛からなる群より選択される少なくとも1種を含む請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の樹脂シート。
  6. 前記樹脂組成物層の固形分の全体積を100体積%としたときに、前記充填材の含有率が、30体積%〜90体積%である請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載の樹脂シート。
  7. 前記樹脂組成物層が、Bステージ状態にある請求項1〜請求項6のいずれか1項に記載の樹脂シート。
  8. 前記ブロックイソシアネート基を含む(メタ)アクリル樹脂の120℃における粘度が、80Pa・s以下である請求項1〜請求項7のいずれか1項に記載の樹脂シート。
  9. 前記樹脂組成物層が、基材上に配置されている請求項1〜請求項8のいずれか1項に記載の樹脂シート。
  10. 前記基材が、金属箔である請求項9に記載の樹脂シート。
  11. 金属板、はんだ層及び半導体チップがこの順に積層された半導体モジュールと、
    放熱部材と、
    前記半導体モジュールの前記金属板と前記放熱部材との間に配置された請求項1〜請求項8のいずれか1項に記載の樹脂シートの硬化物と、
    を備えるパワー半導体装置。
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