JP2021049870A - 車両の制動装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】ABS制御の実施中におけるホイールシリンダ内の液圧の制御性の低下を抑制すること。【解決手段】制動装置40は、マスタシリンダ51と、制動アクチュエータ60と、制御装置100とを備える。制動アクチュエータ60は、差圧調整弁62と、保持弁64と、減圧弁65と、ポンプ68とを有する。制御装置100は、ABS制御を実施するABS制御部110と、差圧調整弁62を制御することにより、中間液圧を調整する中間液圧調整部120とを有する。ABS制御部110は、ABS制御の実施中においてWC圧を増圧させるときにWC圧が徐々に高くなるように保持弁64を制御する。中間液圧調整部120は、ABS制御の実施中においてWC圧が増圧されるときに、差圧調整弁62に対する差圧指令値を大きくすることにより、中間液圧を増大させる中間液圧増大制御を実施する。【選択図】図1

Description

本発明は、車輪に対して設けられているホイールシリンダ内の液圧を調整する制動アクチュエータと、制動アクチュエータを制御する制御装置とを備える車両の制動装置に関する。
制動アクチュエータとしては、例えば特許文献1に開示されているように、マスタシリンダとホイールシリンダとを繋ぐ液路に設けられる差圧調整弁と、ホイールシリンダ内の液圧を増大させないときに閉弁される保持弁と、ホイールシリンダ内を減圧させるときに開弁される減圧弁と、差圧調整弁と保持弁との間の液路である中間液路にブレーキ液を供給するポンプとを有するものが知られている。
特許文献1には、差圧調整弁の一例の具体的な構成も開示されている。この差圧調整弁は、弁座から弁体を離間させる方向への付勢力を弁体に付与するバルブスプリングと、電流が供給されるソレノイドとを有している。ソレノイドに供給される電流を指示電流値とした場合、当該差圧調整弁では、弁体を弁座に接近させる力である吸引力が、指示電流値が大きいほど大きくなる。より具体的には、当該差圧調整弁は、指示電流値の変更に対して弁体の位置がリニアに変化するように構成されている。ソレノイドへの給電によって吸引力が発生している場合、弁体は、吸引力と、吸引力とは弁体に対して反対方向に作用する力である反対作用力とが釣り合う位置で保持される。なお、吸引力と反対作用力とが釣り合っているときの弁体の位置を「バランス点」という。
上記のような差圧調整弁にあっては、指示電流値の変更に応じて吸引力が変化する場合、吸引力の変化速度と、反対作用力の変化速度との差分が大きいほど、弁体の位置をバランス点に戻す力である復元力が大きい。そのため、当該差分が大きいほど、弁体の位置の制御性が高い。
特開2012−112529号公報
車両制動時にアンチロックブレーキ制御が実施されることがある。アンチロックブレーキ制御では、ポンプからブレーキ液を吐出させつつ、保持弁及び減圧弁が制御される。すなわち、アンチロックブレーキ制御中においてホイールシリンダ内の液圧を減圧させるときには、保持弁を閉弁させつつ減圧弁が開弁される。これにより、ホイールシリンダ内のブレーキ液がリザーバに流出するため、液圧が減圧される。また、アンチロックブレーキ制御中においてホイールシリンダ内の液圧を増圧させるときには、減圧弁を閉弁させつつ保持弁の開度が調整される。このようにホイールシリンダ内の液圧を増圧させるときには、上記中間液路の液圧と、ホイールシリンダ内の液圧との差である調整液圧差が徐々に小さくなるように保持弁の開度が調整される。これにより、ホイールシリンダ内の液圧を徐々に高くすることが可能である。
ここで、保持弁として、上記の差圧調整弁と同じような構成の電磁弁を採用する場合を考える。この場合、中間液路から保持弁内に流入したブレーキ液によって、弁体は弁座から離間する方向に押されることになる。このように中間液路から保持弁に流入したブレーキ液から弁体が受ける力を「流体力」という。つまり、上記の反対作用力は、当該流体力と、バルブスプリングから弁体に付与される付勢力とを含んでいる。
調整液圧差が小さい場合では、調整液圧差が大きい場合よりも中間液路から保持弁内を介してホイールシリンダ側にブレーキ液が流動しにくい。つまり、調整液圧差が小さいほど、流体力が変化しにくくなる。そして、保持弁に対する指示電流値を変更させて吸引力を変化させるに際し、調整液圧差が小さい場合では、調整液圧差が大きい場合と比較し、流体力が変化しにくい分、反対作用力の変化速度が低くなる。その結果、吸引力の変化速度と反対作用力の変化速度との差分が小さくなる。
したがって、アンチロックブレーキ制御中においてホイールシリンダ内の液圧を増圧させる場合、保持弁に対する指示電流値を小さくしていくときに、調整液圧差が小さくなりすぎると、吸引力の変化速度と反対作用力の変化速度との差分が小さくなり、上記復元力が小さくなることがある。このように復元力が小さいと、弁体の位置とバランス点とのずれを解消しにくくなる。すなわち、保持弁における弁体の位置の制御性が低下し、結果として、ホイールシリンダ内の液圧の制御性が低下してしまう。
上記課題を解決するための車両の制動装置は、制動要求に応じて液圧を発生する液圧発生源と、車輪に対して設けられているホイールシリンダ内の液圧を調整する制動アクチュエータと、前記制動アクチュエータを制御する制御装置と、を備える。前記制動アクチュエータは、前記液圧発生源と前記ホイールシリンダとを繋ぐ液路に設けられ、前記液圧発生源側の液路と前記ホイールシリンダ側の液路との差圧を調整する差圧調整弁と、前記差圧調整弁と前記ホイールシリンダとを繋ぐ液路に設けられ、同ホイールシリンダ内の液圧を増大させないときに閉弁される保持弁と、前記ホイールシリンダ内の液圧を減圧させるときに開弁される減圧弁と、前記差圧調整弁と前記保持弁との間の液路である中間液路にブレーキ液を供給するポンプと、を有する。前記制御装置は、前記ポンプ、前記保持弁及び前記減圧弁を制御することにより、前記ホイールシリンダ内の液圧を調整して前記車輪のスリップを抑制するアンチロックブレーキ制御を実施するABS制御部と、前記差圧調整弁を制御することにより、前記中間液路の液圧である中間液圧を調整する中間液圧調整部と、を有する。前記ABS制御部は、前記アンチロックブレーキ制御の実施中において前記ホイールシリンダ内の液圧を増圧させるときに、前記ホイールシリンダ内の液圧と前記中間液圧との差である調整液圧差の調整を通じて前記ホイールシリンダ内の液圧が徐々に高くなるように前記保持弁を制御する。前記中間液圧調整部は、前記アンチロックブレーキ制御の実施中において前記ホイールシリンダ内の液圧が増圧されるときに、前記差圧調整弁に対する差圧指令値を大きくすることにより、前記中間液圧を増大させる中間液圧増大制御を実施する。
上記構成によれば、アンチロックブレーキ制御中においてホイールシリンダ内の液圧を増大させる際に中間液圧増大制御が実施されると、中間液圧増大処理を実施しない場合と比較して中間液圧が高くなる。これにより、保持弁の開度を大きくしてホイールシリンダ内の液圧を高くしていくときに、上記調整液圧差が小さくなりすぎることを抑制できる。すなわち、保持弁の開度を大きくしていくときに、流体力の変化速度が小さくなることを抑制できる。そのため、保持弁の開度調整を通じてホイールシリンダ内の液圧が高くなっていく過程で、吸引力の変化勾配と反対作用力の変化勾配との差分が小さくなりにくい。その結果、吸引力と反対作用力とが釣り合う点をバランス点とした場合、弁体の位置をバランス点に戻す力である復元力が小さくなることを抑制できる。したがって、アンチロックブレーキ制御の実施中におけるホイールシリンダ内の液圧の制御性の低下を抑制できるようになる。
実施形態における車両の制動装置の概略構成を示す図。 同制動装置が備える保持弁を模式的に示す端面図。 弁体のリフト量と、弁体に作用する力との関係を示すグラフ。 弁体のリフト量と、弁体に作用する力との関係を示すグラフ。 アンチロックブレーキ制御を実施するために実行される処理ルーチンを説明するフローチャート。 中間液圧増大制御を実施するために実行される処理ルーチンを説明するフローチャート。 (a)〜(d)は、比較例においてアンチロックブレーキ制御が実行される場合のタイミングチャート。 (a)〜(e)は、実施形態においてアンチロックブレーキ制御が実行される場合のタイミングチャート。
以下、車両の制動装置の一実施形態を図1〜図8に従って説明する。
図1に示す車両は、本実施形態の制動装置40と、複数の車輪10に対して個別に設けられている複数の制動機構20とを備えている。各制動機構20は、ホイールシリンダ21内の液圧であるWC圧Pwcが高いほど、対応する車輪10と一体回転する回転体22に対して摩擦材23を強く押し付けるように構成されている。摩擦材23を回転体22に押し付けることにより、車輪10に制動力が付与される。
制動装置40は、液圧発生装置50と、各ホイールシリンダ21内のWC圧Pwcを個別に調整することのできる制動アクチュエータ60とを有している。
液圧発生装置50は、マスタシリンダ51を有している。マスタシリンダ51内で発生する液圧であるMC圧Pmcは、運転者による制動操作部材41の操作量が多いほど高くなる。すなわち、本実施形態では、マスタシリンダ51が、運転者の制動操作に応じた液圧を発生する「液圧発生源」の一例である。なお、制動操作部材41としては、例えば、ブレーキペダル及びブレーキレバーを挙げることができる。
制動アクチュエータ60には、2系統の液圧回路611,612が設けられている。第1液圧回路611には、各ホイールシリンダ21のうちの2つのホイールシリンダ21が接続されている。また、第2液圧回路612には、残りの2つのホイールシリンダ21が接続されている。
第1液圧回路611には、マスタシリンダ51とホイールシリンダ21とを繋ぐ液路に設けられている差圧調整弁62と、WC圧Pwcの増大を規制する際に閉弁される保持弁64と、WC圧Pwcを減少させる際に開弁される減圧弁65とが設けられている。第1液圧回路611では、第1液圧回路611に接続されるホイールシリンダ21と同数の保持弁64及び減圧弁65が設けられている。また、第1液圧回路611には、各ホイールシリンダ21から流出したブレーキ液を一時的に貯留するリザーバ66が設けられている。
差圧調整弁62は常開型のリニア電磁弁であり、保持弁64は常開型の電磁弁であり、減圧弁65は常閉型の電磁弁である。そして、差圧調整弁62は、差圧調整弁62よりもマスタシリンダ51側の液路と差圧調整弁62よりもホイールシリンダ21側の液路との差圧を調整すべく駆動する。保持弁64は、差圧調整弁62とホイールシリンダ21とを繋ぐ液路に配置されている。保持弁64は、保持弁64よりも差圧調整弁62側の液路と保持弁64よりもホイールシリンダ21側の液路との圧力差である調整液圧差ΔP1を調整すべく駆動する。減圧弁65は、ホイールシリンダ21とリザーバ66とを繋ぐ液路に配置されている。減圧弁65が開弁されると、ホイールシリンダ21内のブレーキ液が減圧弁65を介してリザーバ66に流出されるため、WC圧Pwcが減圧される。
第1液圧回路611には、電動モータ67の駆動に基づき作動するポンプ68が接続されている。このポンプ68は、リザーバ66内のブレーキ液、及び、マスタシリンダ51内のブレーキ液を汲み上げ、差圧調整弁62と保持弁64との間の液路にブレーキ液を吐出する。以降の記載において、差圧調整弁62と保持弁64との間の液路のことを、「中間液路69」ともいう。
なお、第2液圧回路612の構造は、第1液圧回路611の構造とほぼ同一であるため、本明細書では、第2液圧回路612の構造の説明については割愛するものとする。
次に、図2を参照し、保持弁64の構成について説明する。
保持弁64は、保持弁64のハウジングに固定されている弁座81と、軸方向Zに延びるスリーブ82と、スリーブ82内において軸方向Zに進退移動する弁体83とを有している。弁座81には、中間液路69と保持弁64内とを連通する連通路811が形成されている。連通路811は、軸方向Zに延びている。弁体83は、弁座81に着座するロッドと、軸方向Zにおいてロッドを挟んで弁座81の反対側に位置するプランジャとを含んでいる。そして、弁体83を弁座81に着座させることにより、連通路811が閉塞される。このように連通路811が閉塞されると、保持弁64よりもホイールシリンダ21側の液路と中間液路69との保持弁64内を介したブレーキ液の流通が規制される。
また、保持弁64は、弁体83に対して弁座81から離間させる方向への付勢力FBを付与するバルブスプリング84と、電流が供給されると、弁体83に対して弁座81に接近させる方向の力である吸引力FSを付与するソレノイド85とを有している。ソレノイド85に流す電流の大きさを示す値である電流値が大きくなると、吸引力FSが大きくなるため、弁体83を弁座81に接近させることができる。一方、電流値を小さくすると、吸引力FSが小さくなるため、弁体83が弁座81から離間する。
なお、以降の記載において、弁座81に着座しているときの弁体83の位置を基準とする軸方向Zへの弁体83の移動量を、「リフト量LB」という。
次に、図2〜図4を参照し、弁体83のリフト量LBと、弁体83に作用する力との関係について説明する。
ソレノイド85に電流が供給されている場合、弁体83には吸引力FSが作用する。また、弁体83には、バルブスプリング84から付与される付勢力FBが作用する。さらに、中間液路69の液圧である中間液圧Pmdが、保持弁64よりもホイールシリンダ21側の液路の圧力よりも高い場合、調整液圧差ΔP1に応じた流体力FRが弁体83に作用する。流体力FRとは、中間液路69から連通路811を介して保持弁64内に流入するブレーキ液から弁体83が受ける力のことである。よって、調整液圧差ΔP1が大きいと、中間液路69から連通路811に流入するブレーキ液の流量が多くなるため、流体力FRが大きくなる。
図2に黒塗りの矢印で示すように、吸引力FSはリフト量LBを小さくする方向に弁体83に対して作用する力である。一方、図2に白抜きの矢印で示すように、付勢力FB及び流体力FRは、リフト量LBを大きくする方向に弁体83に対して作用する力である。すなわち、付勢力FB及び流体力FRは、弁体83に対して吸引力FSとは反対方向に作用する力である。すなわち、吸引力FSとは弁体83に対して反対方向に作用する力を反対作用力FAとした場合、反対作用力FAは、付勢力FBと流体力FRとの和が大きいほど大きくなる。
図3及び図4では、保持弁64に対する指示電流値Inoの変更に応じたリフト量LBの変化に伴う吸引力FSの推移が破線で示され、指示電流値Inoの変更に応じたリフト量LBの変化に伴う反対作用力FAの推移が実線で示されている。また、図3及び図4におけるバランス点LBBとは、吸引力FS、反対作用力FA、及び弁体83を変位させる際に弁体83とスリーブ82との間で発生する摺動抵抗が釣り合うときのリフト量LBである。
すなわち、調整液圧差ΔP1が「0」よりも大きい状態、すなわち中間液圧PmdがWC圧Pwcよりも高い状態で、WC圧Pwcを変更すべく保持弁64を駆動させる場合、指示電流値Inoが変更されると、吸引力FSが変わるため、バランス点LBBが変わる。すると、変更後のバランス点LBBに向けてリフト量LBが変化し、リフト量LBがバランス点LBBで収束する。
図3には、上記調整液圧差ΔP1が大きいときにおける吸引力FSと反対作用力FAとの関係が図示されている。なお、指示電流値Inoの変更に対する吸引力FSの変化量を「吸引力FSの変化勾配DFS」とし、指示電流値Inoの変更に対する反対作用力FAの変化量を「反対作用力の変化勾配DFA」とする。図3に示す場合のように調整液圧差ΔP1が大きいと、指示電流値Inoを変更してリフト量LBを変化させる際に、吸引力の変化勾配DFSと反対作用力の変化勾配DFAとの差分である変化勾配差分ΔSPnoが比較的大きくなる。よって、指示電流値Inoを変更させると、吸引力FSと反対作用力FAとの差分が比較的大きく変化する。こうした差分の変化量は、リフト量LBを新たなバランス点LBBに向けて変化させる力である復元力FRSに相当する。このように復元力FRSが大きいと、弁体83とスリーブ82との間で発生する摺動抵抗に抗して弁体83を変位させやすい。その結果、新たなバランス点LBBにリフト量LBが収束しやすい。つまり、調整液圧差ΔP1が大きいと、リフト量LBを精度良く調整でき、ひいてはWC圧Pwcの制御性が高い。
図4には、上記調整液圧差ΔP1が小さいときにおける吸引力FSと反対作用力FAとの関係が図示されている。このように調整液圧差ΔP1が小さい場合、調整液圧差ΔP1が大きい場合と比較し、変化勾配差分ΔSPnoが小さい。すなわち、指示電流値Inoを変更させても、吸引力FSと反対作用力FAとの差分があまり変化しない。そのため、復元力FRSが大きくならず、弁体83とスリーブ82との間で発生する摺動抵抗に抗して弁体83を変位させにくくなる。その結果、新たなバランス点LBBにリフト量LBを収束させにくくなる。つまり、調整液圧差ΔP1が小さいと、リフト量LBの調整精度が低くなり、ひいてはWC圧Pwcの制御性が低くなる。
次に、図1を参照し、制動装置40の制御装置100について説明する。
制御装置100には、各種のセンサからの検出信号が入力される。各種のセンサとしては、ブレーキスイッチ201、MC圧センサ202及び車輪速度センサ203などを挙げることができる。ブレーキスイッチ201は、制動操作部材41が運転者によって操作されているか否かを検出するものであり、その検出結果に応じた信号を検出信号として出力する。MC圧センサ202は、マスタシリンダ51内のMC圧Pmcを検出し、MC圧Pmcに応じた信号を検出信号として出力する。車輪速度センサ203は、車輪10毎に設けられている。そして、車輪速度センサ203は、対応する車輪10の回転速度である車輪速度VWを検出し、車輪速度VWに応じた信号を検出信号として出力する。
制御装置100では、各車輪10のうちの少なくとも1つの車輪10の車輪速度VWを基に、車両の車体速度VSが算出される。また、車体速度VSから車輪速度VWを引いた値が車輪10のスリップ量Slpとして算出される。
制御装置100は、制動アクチュエータ60を制御するための機能部として、ABS制御部110及び中間液圧調整部120を有している。
ABS制御部110は、アンチロックブレーキ制御の実行条件が成立しているときに、制動アクチュエータ60の保持弁64、減圧弁65及びポンプ68を制御することにより、WC圧Pwcを調整して車輪10のスリップを抑制するアンチロックブレーキ制御を実施する。アンチロックブレーキ制御を実施する際の具体的な処理内容については後述する。なお、以降の記載では、アンチロックブレーキ制御のことを「ABS制御」という。
中間液圧調整部120は、差圧調整弁62を制御することにより、中間液圧Pmdを調整する。すなわち、中間液圧調整部120は、ABS制御の実施中においてWC圧Pwcが増圧されるときに、差圧調整弁62の駆動によって中間液圧Pmdを増大させる中間液圧増大制御を実施する。中間液圧調整部120は、中間液圧増大制御を実施するための機能部として、MC圧取得部121、勾配差分推定部122、差圧指令値導出部123及び作動指示部124を含んでいる。なお、中間液圧増大制御の具体的な処理内容については後述する。
MC圧取得部121は、MC圧Pmcを取得する。
勾配差分推定部122は、変化勾配差分ΔSPnoを推定演算する。
差圧指令値導出部123は、勾配差分推定部122によって推定された変化勾配差分ΔSPnoを基に、差圧調整弁62に対する差圧指令値Ismを導出する。
作動指示部124は、差圧指令値導出部123によって導出された差圧指令値Ismを基に、差圧調整弁62を駆動させる。
次に、図5を参照し、ABS制御を実施するためにABS制御部110が実行する処理ルーチンについて説明する。本処理ルーチンは、ABS制御の開始条件が成立してからABS制御の終了条件が成立するまでの間、所定の制御サイクル毎に繰り返し実行される。開始条件としては、例えば、車輪10のスリップ量Slpが判定スリップ量SlpTh以上になったことを挙げることができる。終了条件としては、運転者による制動操作が解消されるなどして車両への制動要求がなくなった場合、及び、車両が停止したことなどを挙げることができる。なお、ここでは、ABS制御の実施対象となる車輪10を「対象車輪」といい、対象車輪に対して設けられているホイールシリンダ21内のWC圧Pwcのことを「対象車輪のWC圧Pwc」という。
本処理ルーチンにおいて、はじめのステップS11では、対象車輪のWC圧Pwcの減圧条件が成立しているか否かの判定が行われる。減圧条件としては、例えば、対象車輪のスリップ量Slpが判定スリップ量SlpThよりも大きいことを挙げることができる。減圧条件が成立している場合(S11:YES)、処理が次のステップS12に移行される。ステップS12において、減圧モードで制動アクチュエータ60が制御される。すなわち、ポンプ68からブレーキ液を吐出させる状態で、保持弁64が閉弁され、且つ、減圧弁65が開弁される。これにより、対象車輪のホイールシリンダ21からブレーキ液が減圧弁65を介してリザーバ66に流出されるため、対象車輪のWC圧Pwcが減圧される。そして、処理が次のステップS13に移行される。一方、ステップS11において、減圧条件が成立していない場合(NO)、処理が次のステップS13に移行される。
ステップS13において、対象車輪のWC圧Pwcの増圧条件が成立しているか否かの判定が行われる。増圧条件としては、対象車輪のスリップ量Slpが判定スリップ量SlpThよりも小さいことを挙げることができる。増圧条件が成立している場合(S13:YES)、処理が次のステップS14に移行される。ステップS14において、増圧モードで制動アクチュエータ60が制御される。すなわち、ポンプ68からブレーキ液を吐出させる状態で、減圧弁65が閉弁され、且つ保持弁64の開度が調整される。この際、WC圧Pwcが時間の経過に従って徐々に増圧されるように、保持弁64に対する指示電流値Inoが徐々に減少される。そして、処理が次のステップS15に移行される。一方、ステップS13において、増圧条件が成立していない場合(NO)、処理が次のステップS15に移行される。
ステップS15において、対象車輪のWC圧Pwcの保持条件が成立しているか否かの判定が行われる。保持条件としては、対象車輪のスリップ量Slpが判定スリップ量SlpThと等しいことを挙げることができる。保持条件が成立している場合(S15:YES)、処理が次のステップS16に移行される。ステップS16において、保持モードで制動アクチュエータ60が制御される。すなわち、ポンプ68からブレーキ液を吐出させる状態で、保持弁64及び減圧弁65がそれぞれ閉弁される。そして、本処理ルーチンが一旦終了される。一方、ステップS15において、保持条件が成立していない場合(NO)、本処理ルーチンが一旦終了される。
次に、図6を参照し、ABS制御が実施される際に中間液圧調整部120が実行する処理ルーチンについて説明する。本処理ルーチンは、ABS制御が実施されている場合には繰り返し実行される。
本処理ルーチンにおいて、はじめのステップS21において、MC圧取得部121によって取得されたMC圧Pmcが判定MC圧PmcTh以下であるか否かの判定が行われる。MC圧Pmcが低いと中間液圧Pmdが低くなりやすい。増圧モードでの制御の開始前において中間液圧Pmdが低い場合、次回に増圧モードでの制御によって対象車輪のWC圧Pwcを増圧していく過程で、WC圧Pwcの制御性が低下する範囲まで調整液圧差ΔP1が小さくなるおそれがある。そこで、こうした事象が発生する可能性があるか否かをMC圧Pmcで判断するための基準として、判定MC圧PmcThが設定されている。
MC圧Pmcが判定MC圧PmcTh以下である場合、この状態で増圧モードでの制御が開始されると、WC圧Pwcを高くしていく過程でWC圧Pwcの制御性が低下する可能性がある。そのため、MC圧Pmcが判定MC圧PmcTh以下である場合(S21:YES)、処理が次のステップS23に移行される。一方、MC圧Pmcが判定MC圧PmcThよりも高い場合、この状態で増圧モードでの制御が開始されても、WC圧Pwcを高くしていく過程でWC圧Pwcの制御性が低下することはない。そのため、MC圧Pmcが判定MC圧PmcThよりも高い場合(S21:NO)、処理が次のステップS22に移行される。ステップS22において、実施フラグFLGにオフがセットされる。実施フラグFLGは、増圧モードでの制動アクチュエータ60の制御中に中間液圧増大制御を実施するか否かを決めるためのフラグである。実施フラグFLGにオンがセットされているときには、増圧モードでの制御時に中間液圧増大制御が実施される。一方、実施フラグFLGにオフがセットされているときには、増圧モードでの制御時でも中間液圧増大制御が実施されない。そして、本処理ルーチンが一旦終了される。
ステップS23において、勾配差分推定部122によって推定された変化勾配差分ΔSPnoが判定勾配差分ΔSPnoTh以下であるか否かの判定が行われる。変化勾配差分ΔSPnoが小さいほど、保持弁64における復元力FRSが小さくなる。そして、復元力FRSが小さすぎると、保持弁64を駆動させてWC圧Pwcを調整する際に、WC圧Pwcの制御性が低くなるおそれがある。そこで、判定勾配差分ΔSPnoThとして、WC圧Pwcの制御性が低下する可能性があるほど変化勾配差分ΔSPnoが小さいか否かを判断できる値が設定されている。
変化勾配差分ΔSPnoが判定勾配差分ΔSPnoTh以下である場合、この状態で増圧モードでの制御が開始されると、WC圧Pwcを高くしていく過程でWC圧Pwcの制御性が低下する可能性がある。そのため、変化勾配差分ΔSPnoが判定勾配差分ΔSPnoTh以下である場合(S23:YES)、処理がステップS24に移行される。一方、変化勾配差分ΔSPnoが判定勾配差分ΔSPnoThよりも大きい場合、この状態で増圧モードでの制御が開始されても、WC圧Pwcを高くしていく過程でWC圧Pwcの制御性が低下することはない。そのため、変化勾配差分ΔSPnoが判定勾配差分ΔSPnoThよりも大きい場合(S23:NO)、処理が前述したステップS22に移行される。
ここで、勾配差分推定部122によって実行される変化勾配差分ΔSPnoの推定処理について説明する。上述したように、変化勾配差分ΔSPnoとは、吸引力の変化勾配DFSと反対作用力の変化勾配DFAとの差分である。よって、吸引力の変化勾配DFS及び反対作用力の変化勾配DFAを導出することにより、変化勾配差分ΔSPnoが推定演算される。
吸引力FSは、ソレノイド85への電流の供給によって発生する力である。つまり、保持弁64に対する指示電流値Inoが大きいほど吸引力FSは大きくなる。そのため、吸引力FSは、指示電流値Inoを基に導出できる。そして、現時点から増圧モードでの制動アクチュエータ60の制御を開始したという仮定の下で、指示電流値Inoの推移が推測される。このように指示電流値Inoの推移を推測できるということは、現時点から増圧モードでの制御を開始したと仮定した場合の吸引力FSの推移を推測できることを意味する。そのため、指示電流値Inoの推移の推測結果を基に、吸引力FSの推移が推測される。さらに、吸引力FSの推移の推測結果を基に、吸引力の変化勾配DFSが導出される。
反対作用力FAは、付勢力FBと流体力FRとの和が大きいほど大きい値となる。付勢力FBは、バルブスプリング84の特性から定まる値である。そのため、諸元に基づいて付勢力FBが導出される。
流体力FRは、調整液圧差ΔP1が大きいほど大きくなる。調整液圧差ΔP1とは、中間液圧PmdとWC圧Pwcとの圧力差である。制御装置100では、中間液圧PmdとWC圧Pwcとの双方を把握している。そのため、中間液圧PmdからWC圧Pwcを引いた値が調整液圧差ΔP1として導出される。そして、現時点から増圧モードでの制御を開始させてWC圧Pwcを増圧させるという仮定の下、その際のWC圧Pwcの増圧速度の指標が把握される。そして、把握した当該WC圧Pwcの増圧速度の指標を基に、現時点から増圧モードでの制御が開始された場合における調整液圧差ΔP1の推移が導出される。さらに、導出した調整液圧差ΔP1の推移を基に、流体力FRの推移が導出される。すると、導出した流体力FRの推移と、諸元から導出した付勢力FBとを基に、反対作用力の変化勾配DFAが導出される。すなわち、流体力FRの変化が大きいほど、反対作用力の変化勾配DFAが大きくなる。
そして、勾配差分推定部122では、導出した吸引力の変化勾配DFSと反対作用力の変化勾配DFAとの差分が変化勾配差分ΔSPnoとして導出される。
図6に戻り、ステップS24において、差圧指令値導出部123によって、差圧調整弁62に対する差圧指令値Ismが導出される。すなわち、差圧指令値Ismとして、変化勾配差分ΔSPnoが大きいほど小さい値が導出される。続いて、次のステップS25において、実施フラグFLGにオンがセットされる。そして、処理が次のステップS26に移行される。
ステップS26において、増圧モードで制動アクチュエータ60が制御されているか否かの判定が行われる。すなわち、ABS制御の実施中でWC圧Pwcが増圧されるか否かの判定が行われる。増圧モードで制動アクチュエータ60が制御されていない場合(S26:NO)、減圧モード又は保持モードで制動アクチュエータ60が制御されているため、WC圧Pwcが増圧されない。よって、本処理ルーチンが一旦終了される。
一方、ステップS26において、増圧モードで制動アクチュエータ60が制御される場合(YES)、処理が次のステップS27に移行される。ステップS27において、実施フラグFLGにオンがセットされているか否かの判定が行われる。実施フラグFLGにオフがセットされている場合(S27:NO)、本処理ルーチンが一旦終了される。このように実施フラグFLGにオフがセットされている場合、MC圧Pmcが判定MC圧PmcThよりも高かったり、変化勾配差分ΔSPnoが判定勾配差分ΔSPnoThよりも大きかったりするため、今回の増圧モードでの制御中に中間液圧増大制御が実施されない。
なお、増圧モードでの制動アクチュエータ60の制御中において中間液圧増大制御が実行されている状況下で、運転者による制動操作部材41の操作量が増大されることがある。この場合、MC圧Pmcが高くなって判定MC圧PmcThを上回ることがある。本実施形態では、中間液圧増大制御の実施中において、MC圧Pmcが判定MC圧PmcTh以下の状態からMC圧Pmcが判定MC圧PmcThよりも高い状態になった際には、実施フラグFLGがオフにセットされるため、増大モードでの制御途中であっても中間液圧増大制御の実施が終了される。
一方、ステップS27において、実施フラグFLGにオンがセットされている場合(YES)、処理が次のステップS28に移行される。ステップS28において、中間液圧増大制御が実施される。中間液圧増大制御では、増圧モードでの制御の開始に先立って差圧指令値導出部123によって導出された差圧指令値Ismを基に、作動指示部124によって差圧調整弁62が制御される。これにより、MC圧Pmcと中間液圧Pmdとの間に、差圧指令値Ismに応じた差圧が発生する。そして、本処理ルーチンが一旦終了される。
なお、増圧モードでの制動アクチュエータ60の制御が終了され、増圧モード以外の他のモードでの制御が実施されるようになると、ステップS26の判定が「NO」となるため、中間液圧増大制御(S28)が実施されなくなる。すなわち、中間液圧増大制御が終了される。
次に、図7及び図8を参照し、本実施形態の作用及び効果について説明する。
まず、図7を参照し、増圧モードでの制動アクチュエータ60の制御中に中間液圧増大制御を実施しない比較例の場合について説明する。なお、前提として、増圧モードへの移行時点では、調整液圧差ΔP1が小さいものとする。
図7(a),(b),(c),(d)に示すように、運転者による制動操作によって車両に制動力が付与されている状況下のタイミングt11でABS制御の開始条件が成立すると、ABS制御が開始される。ABS制御が開始されると、モードとして減圧モードが選択され、減圧モードで制動アクチュエータ60が制御される。この場合、ポンプ68からブレーキ液が吐出される状態で、保持弁64に対する指示電流値Inoとして、閉弁電流値InoMaxが設定される。これにより、保持弁64が閉弁される。さらに、減圧弁65が開弁される。そのため、WC圧Pwcが減圧される。また、このようにWC圧Pwcが減圧されると、調整液圧差ΔP1が大きくなる。
そして、減圧モードによってWC圧Pwcが減圧され、対象車輪のスリップが解消されると、図7に示す比較例では、タイミングt12でモードが減圧モードから増圧モードに移行される。すると、ポンプ68からブレーキ液が吐出される状態は維持しつつ、減圧弁65が閉弁される。さらに、保持弁64に対する指示電流値Inoが徐々に減少される。すると、吸引力FSが徐々に小さくなるため、保持弁64のバランス点LBBが、弁体83のリフト量LBを大きくする方向に移行する。その結果、リフト量LBが大きくなり、調整液圧差ΔP1が小さくなる。すなわち、WC圧Pwcが徐々に高くなる。
増圧モードでの制動アクチュエータ60の制御が継続されていると、調整液圧差ΔP1が小さくなる。図7に示す比較例では、タイミングt12において、MC圧Pmcが判定MC圧PmcTh以下であるとともに、変化勾配差分ΔSPnoが判定勾配差分ΔSPnoTh以下である。そのため、増圧モードで制動アクチュエータ60を制御する期間の後半に、変化勾配差分ΔSPnoが低くなりすぎてしまう。すなわち、図4に示した状態のようになってしまう。その結果、復元力FRSが小さくなりすぎてしまい、図7に示すタイミングt13以降では、バランス点LBBの変化に対して弁体83のリフト量LBが適切に変化しないようになる。これにより、調整液圧差ΔP1及びWC圧Pwcの制御性が低下してしまう。すなわち、調整液圧差ΔP1が段階的に減少するようになるため、WC圧Pwcが段階的に増大されるようになる。
図7に示したようにWC圧Pwcが段階的に増大されると、対象車輪に付与される制動力が段階的に大きくなることとなり、車両の減速度が段階的に大きくなるおそれがある。
次に、図8を参照し、増圧モードでの制動アクチュエータ60の制御中に中間液圧増大制御を実施する本実施形態の場合について説明する。
図8(a),(b),(c),(d),(e)に示すように、運転者によって制動操作が行われている最中のタイミングt21からABS制御が開始される。すると、減圧モードで制動アクチュエータ60が制御されるため、WC圧Pwcが減圧されるとともに、調整液圧差ΔP1が大きくなる。
本実施形態では、減圧モードで制動アクチュエータ60が制御されている期間に、増圧モードへの移行に先立って、中間液圧増大制御の実施の準備が行われる。すなわち、当該期間中において、MC圧Pmcが判定MC圧PmcTh未満であり、且つ、変化勾配差分ΔSPnoが判定勾配差分ΔSPnoTh以下である場合、この状態から増圧モードでの制動アクチュエータ60の制御が開始されると、WC圧Pwcの増圧中にWC圧Pwcの制御性が低下する可能性があるため、差圧指令値Ismとして「0」よりも大きい値が導出される。なお、このように差圧指令値Ismが導出されても、増圧モードが選択されていない期間中では、当該差圧指令値Ismに基づいた差圧調整弁62の制御は行われない。
そして、こうしたWC圧Pwcの減圧によって対象車輪のスリップが解消されると、タイミングt22でモードが減圧モードから増圧モードに移行される。すると、増圧モードでの制動アクチュエータ60の制御が開始され、且つ、中間液圧増大制御が開始される。これにより、WC圧Pwcが増圧されるようになる。
図8(b)におけるタイミングt22からタイミングt23までの期間において、中間液圧増大制御が実施されない上記比較例の場合における指示電流値Inoの推移が二点鎖線で示されている。中間液圧増大制御が実施されると、中間液圧増大制御が実施されない比較例の場合と比較し、中間液圧Pmdが高くなる。その結果、中間液圧増大制御が実施されない場合と比較し、調整液圧差ΔP1もまた大きくなる。これにより、増圧モードでの制動アクチュエータ60の制御によってWC圧Pwcが高くなる過程で、流体力FRが小さくなりすぎることを抑制できる。すなわち、図3に示した状態を維持できる。
そのため、WC圧Pwcが高くなる過程では、復元力FRSを十分に確保できる。よって、保持弁64に対する指示電流値Inoの低下によって吸引力FSが小さくなり、バランス点LBBが弁体83のリフト量LBを小さくする方向に変化しても、リフト量LBをバランス点LBBの変化に追随させることができる。その結果、WC圧Pwcが高くなっても、保持弁64の制御性の低下を抑制できるため、WC圧Pwcを適切に制御できる。したがって、増圧モードでの制動アクチュエータ60の制御中において、WC圧Pwcの制御性の低下を抑制できる。
なお、このような状況下で、モードが、増圧モード以外の他のモードに移行すると、保持弁64が閉弁され、且つ中間液圧増大制御が終了される。図8に示す例では、タイミングt23で、保持モードでの制動アクチュエータ60の制御が開始される。保持弁64が閉弁され、且つ中間液圧増大制御が終了されると、中間液圧Pmdが減圧される。そのため、WC圧Pwcの増圧が停止された状態で、調整液圧差ΔP1が減少される。
本実施形態では、以下に示す効果をさらに得ることができる。
(1)本実施形態では、増圧モードでの制動アクチュエータ60の制御の開始前において、MC圧Pmcが判定MC圧PmcTh以上であったり、変化勾配差分ΔSPnoが判定MC圧PmcTh以上であったりした場合、増圧モードでの制動アクチュエータ60の制御中にWC圧Pwcの制御性が低下しないと判断できる。そのため、増圧モードでの制動アクチュエータ60の制御が開始されても、中間液圧増大制御が実施されない。これにより、中間液圧増大制御の実施回数の増加を抑制できる。したがって、ABS制御の実施中における差圧調整弁62の駆動機会の増大を抑制でき、ひいては差圧調整弁62の製品寿命の短縮を抑制できる。
(2)増圧モードでの制動アクチュエータ60の制御の開始に先立って差圧指令値Ismを導出する場合、変化勾配差分ΔSPnoが大きいほど小さい値が差圧指令値Ismとして導出される。これは、中間液圧Pmdをそれほど高くしなくても、増圧モードでの制動アクチュエータ60の制御によってWC圧Pwcを増圧させるに際してWC圧Pwcの制御性の低下を抑制できるためである。本実施形態では、差圧調整弁62として常開型の電磁弁を採用しているため、差圧指令値Ismが小さいということは、差圧調整弁62に供給される電流の大きさを示す値である電流値が小さくなることである。よって、変化勾配差分ΔSPnoに基づいて差圧指令値Ismを設定することにより、中間液圧増大制御の実施中に、過剰に大きな電流が差圧調整弁62に供給されることを抑制できる。その結果、差圧調整弁62に過剰な電流を供給することによる発熱量の増大を抑制できる。また、制動アクチュエータ60としての消費電力の増大を抑制できる。
上記実施形態は、以下のように変更して実施することができる。上記実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
・運転者の制動操作が行われていないときにも車両制動が行われることがある。こうした自動制動時にあっては、ポンプ68及び差圧調整弁62の制御を通じて各ホイールシリンダ21内のWC圧Pwcが調整される。この際にABS制御が実施されることもある。このような場合であっても、ABS制御の実施中において増圧モードで制動アクチュエータ60を制御するときに、中間液圧増大制御を実施することもできる。この場合、差圧調整弁62に対する差圧指令値Ismを、中間液圧増大制御の開始前よりも大きくすることにより、中間液圧増大制御を実施しない場合よりも中間液圧Pmdを高くすることができる。
・中間液圧増大制御の実施中における差圧指令値Ismを、変化勾配差分ΔSPnoとは別のパラメータに応じて可変させるようにしてもよい。例えば、増圧モードでの制動アクチュエータ60の制御の開始時点でのMC圧Pmcが高いほど小さい値を、差圧指令値Ismとして導出するようにしてもよい。また、ブレーキ液の温度が低いほどブレーキ液の粘度が高くなり、WC圧Pwcの制御性の低下が懸念される。そのため、ブレーキ液の温度又は外気温が低いほど大きい値を、差圧指令値Ismとして導出するようにしてもよい。
・中間液圧増大制御の実施中における差圧指令値Ismを規定値で固定してもよい。すなわち、中間液圧増大制御の実施中における差圧指令値Ismを、変化勾配差分ΔSPnoの大きさなどに応じて可変させなくてもよい。
・増圧モードでの制動アクチュエータ60の制御の開始前において、変化勾配差分ΔSPnoが判定勾配差分ΔSPnoTh以下である場合、MC圧Pmcが判定MC圧PmcTh以下であるか否かに拘わらず、差圧指令値Ismとして「0」とは異なる値を導出し、実施フラグFLGにオンをセットするようにしてもよい。すなわち、増圧モードでの制御の開始前において変化勾配差分ΔSPnoが判定勾配差分ΔSPnoTh以下である場合には、MC圧Pmcの大きさによらず、増圧モードでの制御中に中間液圧増大制御が実施されることになる。
・増圧モードでの制動アクチュエータ60の制御の開始前において、MC圧Pmcが判定MC圧PmcTh以下である場合、変化勾配差分ΔSPnoが判定勾配差分ΔSPnoTh以下であるか否かに拘わらず、差圧指令値Ismとして「0」とは異なる値を導出し、実施フラグFLGにオンをセットするようにしてもよい。すなわち、増圧モードでの制御の開始前においてMC圧Pmcが判定MC圧PmcTh以下である場合、変化勾配差分ΔSPnoの大きさによらず、増圧モードでの制御中に中間液圧増大制御が実施されることになる。
・反対作用力の変化勾配DFAが小さければ、変化勾配差分ΔSPnoが小さくなりやすい。そこで、反対作用力の変化勾配DFAを基に、増圧モードでの制御中に中間液圧増大制御を実施するか否かを判断するようにしてもよい。例えば、変化勾配DFAが閾値以下であるときには、変化勾配差分ΔSPnoが小さいと判断し、増圧モードでの制御中に中間液圧増大制御を実施するようにしてもよい。
また、反対作用力の変化勾配DFAは、流体力FRの変化勾配が小さいほど小さくなる。流体力FRの変化勾配とは、指示電流値Inoの変更に対する流体力FRの変化量である。流体力FRの変化勾配を基に、増圧モードでの制御中に中間液圧増大制御を実施するか否かを判断するようにしてもよい。例えば、流体力FRの変化勾配が閾値以下であるときには、変化勾配差分ΔSPnoが小さいと判断し、増圧モードでの制御中に中間液圧増大制御を実施するようにしてもよい。
・増圧モードでの制動アクチュエータ60の制御中では、増圧モードでの制御の開始前におけるMC圧Pmcや変化勾配差分ΔSPnoによらず、中間液圧増大制御を実施するようにしてもよい。
・中間液圧増大制御の実施によって、差圧指令値Ismに応じた差圧を、中間液路69と、差圧調整弁62よりもマスタシリンダ51側の液路との間に発生させるようになるまでには多少の時間が要する。しかし、こうした時間は、予め把握することができる。そこで、当該時間を見越し、増圧モードでの制動アクチュエータ60の制御が開始される前から中間液圧増大制御を開始させるようにしてもよい。
・ABS制御以外の他の制動制御でも、保持弁64に対する指示電流値Inoを可変させることによりWC圧Pwcを調整することがある。こうした制動制御時にあっても、中間液圧増大制御を実施するようにしてもよい。
・上記実施形態で実施される中間液圧増大制御では、差圧調整弁62に対する電流値を調整することによって中間液圧Pmdを高くしている。ポンプ68からブレーキ液の吐出量を変更させることによっても中間液圧Pmdを変化させることができる。そこで、中間液圧増大制御では、差圧調整弁62に対する電流値の調整に加え、ポンプ68からブレーキ液の吐出量を増大させるようにしてもよい。
・制御装置40は、コンピュータプログラムに従って動作する1つ以上のプロセッサ、各種処理のうち少なくとも一部の処理を実行する専用のハードウェアなどの1つ以上の専用のハードウェア回路又はこれらの組み合わせを含む回路として構成し得る。専用のハードウェアとしては、例えば、特定用途向け集積回路であるASICを挙げることができる。プロセッサは、CPU並びに、RAM及びROMなどのメモリを含み、メモリは、処理をCPUに実行させるように構成されたプログラムコード又は指令を格納している。メモリすなわち記憶媒体は、汎用又は専用のコンピュータでアクセスできるあらゆる利用可能な媒体を含む。
・液圧発生源は、内部で液圧を発生させることができるのであれば、制動操作部材41が連結されているマスタシリンダ51ではなくてもよい。マスタシリンダ51以外の他の液圧発生源としては、例えば「特開2017−154563号公報」及び「特開2008−184057号公報」に開示されているような電動シリンダを挙げることができる。電動シリンダとは、電動モータの駆動量に応じた大きさの液圧を内部に発生するものである。
次に、上記実施形態及び変更例から把握できる技術的思想について記載する。
(イ)前記中間液圧調整部は、前記中間液圧増大制御では、前記液圧発生源内の液圧が低いほど、前記差圧調整弁に対する差圧指令値を大きくするようにしてもよい。
10…車輪、21…ホイールシリンダ、40…制動装置、51…液圧発生源の一例であるマスタシリンダ、60…制動アクチュエータ、62…差圧調整弁、64…保持弁、65…減圧弁、68…ポンプ、69…中間液路、81…弁座、811…連通路、83…弁体、84…バルブスプリング、85…ソレノイド、100…制御装置、110…ABS制御部、120…中間液圧調整部。

Claims (3)

  1. 制動要求に応じて液圧を発生する液圧発生源と、車輪に対して設けられているホイールシリンダ内の液圧を調整する制動アクチュエータと、前記制動アクチュエータを制御する制御装置と、を備え、
    前記制動アクチュエータは、
    前記液圧発生源と前記ホイールシリンダとを繋ぐ液路に設けられ、前記液圧発生源側の液路と前記ホイールシリンダ側の液路との差圧を調整する差圧調整弁と、
    前記差圧調整弁と前記ホイールシリンダとを繋ぐ液路に設けられ、同ホイールシリンダ内の液圧を増大させないときに閉弁される保持弁と、
    前記ホイールシリンダ内の液圧を減圧させるときに開弁される減圧弁と、
    前記差圧調整弁と前記保持弁との間の液路である中間液路にブレーキ液を供給するポンプと、を有し、
    前記制御装置は、
    前記ポンプ、前記保持弁及び前記減圧弁を制御することにより、前記ホイールシリンダ内の液圧を調整して前記車輪のスリップを抑制するアンチロックブレーキ制御を実施するABS制御部と、
    前記差圧調整弁を制御することにより、前記中間液路の液圧である中間液圧を調整する中間液圧調整部と、を有し、
    前記ABS制御部は、前記アンチロックブレーキ制御の実施中において前記ホイールシリンダ内の液圧を増圧させるときに、前記ホイールシリンダ内の液圧と前記中間液圧との差である調整液圧差の調整を通じて前記ホイールシリンダ内の液圧が徐々に高くなるように前記保持弁を制御し、
    前記中間液圧調整部は、前記アンチロックブレーキ制御の実施中において前記ホイールシリンダ内の液圧が増圧されるときに、前記差圧調整弁に対する差圧指令値を大きくすることにより、前記中間液圧を増大させる中間液圧増大制御を実施する
    車両の制動装置。
  2. 前記保持弁は、
    当該保持弁内と前記中間液路とを連通する連通路が形成されている弁座と、
    前記弁座に着座するときには前記連通路を閉塞することによって前記中間液路から前記保持弁内へのブレーキ液の流入を規制する弁体と、
    前記弁体に対して前記弁座から離間させる方向への付勢力を付与するバルブスプリングと、
    電流が供給されると、前記弁体に対して前記弁座に接近させる方向の力である吸引力を付与するソレノイドと、を有し、
    前記ソレノイドに電流が供給されるときにおいて、前記吸引力の発生に起因する前記弁体の前記弁座への接近を妨げる力を反対作用力とし、前記ソレノイドに供給される電流の大きさの変更に対する前記吸引力の変化量を前記吸引力の変化勾配とし、前記ソレノイドに供給される電流の大きさの変更に対する前記反対作用力の変化量を前記反対作用力の変化勾配とした場合、
    前記中間液圧調整部は、前記吸引力の変化勾配と前記反対作用力の変化勾配との差分である変化勾配差分が判定勾配差分以下であること、及び、前記液圧発生源内の液圧が判定液圧以下であることのうちの少なくとも一方が成立する場合、前記アンチロックブレーキ制御の実施中において前記ホイールシリンダ内の液圧が増圧されるときに前記中間液圧増大制御を実施する
    請求項1に記載の車両の制動装置。
  3. 前記保持弁は、
    当該保持弁内と前記中間液路とを連通する連通路が形成されている弁座と、
    前記弁座に着座するときには前記連通路を閉塞することによって前記中間液路から前記保持弁内へのブレーキ液の流入を規制する弁体と、
    前記弁体に対して前記弁座から離間させる方向への付勢力を付与するバルブスプリングと、
    電流が供給されると、前記弁体に対して前記弁座に接近させる方向の力である吸引力を付与するソレノイドと、を有し、
    前記ソレノイドに電流が供給されるときにおいて、前記吸引力の発生に起因する前記弁体の前記弁座への接近を妨げる力を反対作用力とし、前記ソレノイドに供給される電流の大きさの変更に対する前記吸引力の変化量を前記吸引力の変化勾配とし、前記ソレノイドに供給される電流の大きさの変更に対する前記反対作用力の変化量を前記反対作用力の変化勾配とした場合、
    前記中間液圧調整部は、前記中間液圧増大制御では、前記吸引力の変化勾配と前記反対作用力の変化勾配との差分が大きいほど、前記差圧調整弁に対する差圧指令値を小さくする
    請求項1又は請求項2に記載の車両の制動装置。
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