本発明の第1の態様によれば、喫煙材の少なくとも一つの成分を揮発させるために喫煙材を加熱するよう構成された装置が提供され、この装置は、当該装置内に使用時に収容される喫煙材を加熱するよう構成され配置された少なくとも一つの薄膜ヒータを備え、
薄膜ヒータが、当該装置内に使用時に収容される喫煙材の様々な複数の部分を加熱するための複数の加熱領域を有し、薄膜ヒータの少なくとも第1の加熱領域が、薄膜ヒータの少なくとも第2の加熱領域とは異なるワット密度を有する。
いくつかの例において、これは、例えば喫煙材の様々な複数の部分が異なる温度に加熱され得ることを意味する。他の例としては、これは、喫煙材の少なくとも一部又は全体に対してより平坦でより均一な温度プロファイルを達成できることを意味する。
一実施形態において、薄膜ヒータの第1の加熱領域のワット密度は、薄膜ヒータの第2の加熱領域のワット密度よりも低く、第1の加熱領域は薄膜ヒータの第1の端部の近くに配置され、第2の加熱領域は薄膜ヒータの第1の端部から離れて配置される。
一実施形態において、第1の加熱領域は少なくとも第1の導電性加熱部分を有し、第2の加熱領域は少なくとも第2の導電性加熱部分を有し、第1の導電性加熱部分の電気抵抗し第2の導電性加熱部分の電気抵抗とは相違する。
一実施形態において、第1の導電性加熱部分の断面積は、第2の導電性加熱部分の断面積とは相違する
一実施形態において、第1の加熱領域は複数の導電性加熱部分を有し記第2の加熱領域は複数の導電性加熱部分を有し、第1の加熱領域における複数の導電性加熱部分のうちの少なくとも一つの電気抵抗が第2の加熱領域における複数の導電性加熱部分のうちの少なくとも一つの電気抵抗とは相違する。
一実施形態において、第1の加熱領域における複数の導電性加熱部分は互いに直列に電気的に接続され、第2の加熱領域における複数の導電性加熱部分は互いに直列に電気的に接続される。
一実施形態において、薄膜ヒータは、該薄膜ヒータの概ね中央部に配置された非加熱領域を有する。
一実施形態において、本装置は、第1の加熱領域と第2の加熱領域とに同じ電圧を印加するよう配置された電源を備える。
本発明の第2の態様によれば、或る装置を用いて喫煙材の少なくとも一つの成分を揮発させるよう喫煙材を加熱する方法が提供され、前記装置は、使用時に収容される喫煙材を加熱するよう構成され配置された少なくとも一つのヒータを備え、ヒータは、装置内に使用時に収容される喫煙材の様々な複数の部分を加熱するための複数の加熱領域を有し、ヒータの少なくとも第1の加熱領域はヒータの少なくとも第2の加熱領域とは異なるワット密度を有する。そして、本方法は、
前記装置内に喫煙材を挿入することと、
第1の加熱領域及び第2の加熱領域から異なる熱流束を、喫煙材の対応の異なる部分に与えるようにヒータを作動させて、喫煙材の前記対応の異なる部分が異なる温度に加熱されるようにすることとを含む。
一実施形態において、装置は、第1の加熱領域と第2の加熱領域とに同じ電圧を印加する電源を備える。
添付図面を参照してなされる、例としてのみ与えられる本発明の好適な実施形態の以下の詳細な説明から、本発明のさらなる特徴及び利点が明らかとなろう。
本書では、用語「喫煙材」は、加熱されると揮発成分を、典型的にはエアロゾルの形態で供する材料を含む。「喫煙材」は任意のタバコ含有材料を含み、例えば、タバコ自体、タバコ派生物、膨張タバコ、再生タバコ、又はタバコ代替品のうちの一つ以上を含んでもよい。「喫煙材」はまた、他の非タバコ製品を含んでいてもよい。この非タバコ製品は、製品によってニコチンを含んでもよいし、含まなくてもよい。「喫煙材」は、例えば、固体、液体、ゲル、又は蝋等の形態をとることができる。「喫煙材」はまた、例えば、材料を組み合わせたもの、又はブレンドしたものであってもよい。
典型的には、喫煙材を燃やさずに、又は燃焼させずに吸引することができるエアロゾルを形成するために喫煙材を加熱して喫煙材の少なくとも一つの成分を揮発させる装置が知られている。このような装置は、「非燃焼加熱式」装置、又は「タバコ加熱製品」、又は「タバコ加熱装置」、又はこれらと類似するものとしても説明される。同様に、いわゆるeシガレット装置(電子タバコ装置)もあり、これは、典型的には、液体の形態の喫煙材(ニコチンを含むものも含まないものあり得る)を気化する。喫煙材は、装置内に挿入され得るロッド、カートリッジ又はカセット等の形態をとる場合や、これらの一部として提供される場合もある。喫煙材を加熱し揮発させるためのヒータは装置の「永久」部品として提供されてもよく、或いは喫煙品の一部、又は使用後破棄され交換される消耗品として提供されてもよい。これに関連して「喫煙品」は、使用時に喫煙材を含み又は収容しており、使用時に加熱され、喫煙材及び任意選択的に他の成分を揮発させる装置、物品又は他の構成部品である。
図1〜図3を参照すると、喫煙材の少なくとも一つの成分を揮発させることができるよう喫煙材を受容すべく構成された装置100の一例が示されている。(以下で詳細に説明するように、本書にて説明する幾つかの特定の例において、喫煙材は、喫煙材252と任意のその他の成分を含むロッド250として提供される。)装置100は、第1の端部、近位端又は口側の端部(口側端部)102と、第2の端部又は遠位端104とを有する。
装置100は、喫煙材252を受容するためのハウジング106を提供する。ハウジング106は、喫煙材252を通すことができる少なくとも一つの開口部を有する。図示の特定の例では、二つの開口部がある。第1の開口部108は、喫煙材252がハウジング106に導入され、またハウジング106から取り出されることを可能にするために設けられている。第2の開口部110は、使用者がハウジング106の内部にアクセスできるように、例えばハウジング106の内部を清掃することができるように、設けられている。図示されている特定の例では、開口部108,110はそれぞれ口側端部102と遠位端104に配置されている。ハウジング106はまた、口側端部102と遠位端104との間に配置されたチャンバ112を有する。図3に最も明瞭に示されるように、開口部108,110は、ハウジング106内のチャンバ112の両端に配置されている。喫煙材252は、使用時にチャンバ112内に受容される。使用前、使用者は、喫煙材252を第1の開口部108を通してチャンバ112に挿入することができる。使用後、使用者は、喫煙材252をチャンバ112から取り出し、例えばパイプクリーナを第2の開口部110に挿入することによってチャンバ112を清掃することができる。
図示の例では、装置100は、開口部108,110を閉開することを可能にする蓋すなわちカバー116,118を有する。ヒンジ式のカバー116は、遠位端110にてハウジング106に枢動可能に取り付けられ、開位置と閉位置と(それぞれ図1及び図2に示す)の間を移動することができる。摺動可能なカバー118は、ハウジング106の近位端102に取り付けられ、開位置と閉位置との間を摺動可能に移動することができる。スライドカバー118は、喫煙材252を装置100内に挿入する前に開位置に移動される。
ここで特に図3を参照すると、これは、(少なくとも)喫煙材252が装置100内に配置されるように、前側の開口部108を部分的に挿入された喫煙材252を含むロッド250を示している。ロッド250は、エアロゾルを濾過するためのフィルタ及び/又はエアロゾルを冷却するための冷却要素254のうちの一つ以上を含むマウスピースアセンブリを口側端部に有する。フィルタ/冷却要素254は、空間256によって喫煙材252から離隔され、また、別の空間258によって口側端部から離隔されている。
装置100は、内部に配置され又は固定されたヒータ200、制御回路202及び電源204を有している。この例では、ヒータ200、制御回路202及び電源204は、制御回路21が概ねヒータ20と電源22との間に配置された状態で、横方向に隣り合っているが(すなわち、一端から見て隣り合っているが)、他の場所としても可能である。制御回路202は、以下でさらに説明するように、喫煙材252の加熱を制御するように構成され配置されたマイクロプロセッサ装置のようなコントローラを含むことができる。電源204は、例えば、再充電可能なバッテリー又は再充電できないバッテリーのようなバッテリーであってもよい。適切なバッテリーの例には、例えば、リチウムイオン電池、(ニッケル−カドミウム電池のような)ニッケル電池、アルカリ電池等が含まれる。バッテリー204は、必要時に電力を供給するために、また制御回路202の制御下において喫煙材252が開口部110を通して装置100内に挿入された後、喫煙材252を加熱するために、ヒータ200に電気的に接続されている。電源204をヒータ200の側方に隣接して配置する利点は、装置100全体を過度に長くさせることなく、物理的に大きな電源204を使用できることである。理解されるように、一般に、物理的に大きな電源204は、より高い容量(すなわち、供給可能な総電気エネルギー、多くの場合はアンペア時等で測定されるもの)を有し、したがって、装置100のバッテリー寿命をより長くすることができる。
一例では、ヒータ200は、概ね、中空の内部加熱チャンバ206を有する円筒形の中空管の形態をとり、加熱チャンバ206内に喫煙材252が使用時に加熱のために挿入される。ヒータ200は別の異なる構成とすることもできる。例えば、ヒータ200は、単一の加熱素子から形成されてもよいし、ヒータ200の長手方向軸線に沿って整列された複数の加熱素子から形成されてもよい。ヒータ200は、環状であってもよいし、管状であってもよく、又はその周りにおいて少なくとも部分的に環状であっても、部分的に管状であってもよい。一例では、加熱素子は薄膜ヒータとすることができる。他の例では、加熱素子はセラミックス材料から作られたものでもよい。適切なセラミックス材料の例には、アルミナ、窒化アルミニウム及び窒化ケイ素セラミックスがあり、これらは積層され焼結されてもよい。他の加熱装置も可能であり、例えば、誘導加熱、赤外線を放射することによって加熱する赤外線加熱素子、又は例えば抵抗電気巻線によって形成された抵抗加熱素子等がある。一つの特定の例では、ヒータ200は、基板上に形成された少なくとも一つの導電路を有する基板から作られたものとすることができる。基板はシートの形態であってもよく、例えば、プラスチック層を含んでもよい。特定の例では、層はポリイミド層である。導電路は、層上に印刷されたものでも、さもなければ積層されたものでもよい。ヒータ200は、導電路上に形成された又は導電路を覆うように形成されたさらなるプラスチック層を有してもよい。この例では、導電路は二つのプラスチック層の間にあることになる。ヒータ200は、挿入時に喫煙材252の実質的に全体がヒータ200の加熱素子内に配置され、喫煙材252の実質的に全体が使用中に加熱されるように、寸法決めされる。ヒータ200は、喫煙材252の選択された部分が、例えば、必要に応じて順番に(徐々に)又は一緒に(同時に)個別に加熱されるように配置構成され得る。
この例のヒータ200は、熱絶縁体212によってその長さの少なくとも一部に沿って囲まれている。熱絶縁体212は、ヒータ200から装置100の外部に伝わる熱を減少させるのに役立つ。これは、一般に熱損失を低減するので、ヒータ200の電力条件を低く抑えるのに役立つ。熱絶縁体212はまた、ヒータ200の動作中に装置100の外部を低温に維持するのに役立つ。一例では、熱絶縁体212は二重壁型のスリーブであり、これはスリーブの二つの壁の間に低圧領域を有するとよい。すなわち、熱絶縁体212は、例えば、「真空」管、すなわち熱伝導及び/又は対流による伝熱を最小限にするために少なくとも部分的に排気された管であるとよい。二重壁型のスリーブに加えて又はその代わりに、例えば適当な発泡型の材料を含む断熱材料を使用すること等、熱絶縁体212のための他の配置構成も可能である。
組み立てられた装置100において、ヒータ200は、円筒形の中空管の形態であり、この中空管の一端が口側端部102にて開口部108と流体連通するように且つ他端が遠位端104にて開口部110と連通するように、ハウジング106内に配置される。
図1〜図3に示され上述された装置100は、喫煙材を加熱するための装置の一例に過ぎず、他の配置や構成も可能であることは理解されよう。
次に図4を参照すると、喫煙材を加熱するための装置に使用されるヒータの一例の第1の概略平面図であって、その例のヒータにおける様々な加熱領域及び加熱ゾーンを概略的に示す図を示している。ヒータは、例えば、図1〜図3に示され上述されたタイプの装置100に使用することができ、喫煙材を加熱するための他の装置に使用することもできる。
ヒータ200は、装置100に挿入された喫煙材の少なくとも一つの成分を揮発させるための熱を発生されるための複数の加熱ゾーンを有する。図示の特定の例では、ヒータ200は、第1の加熱ゾーン220と、第2の加熱ゾーン230とを有する。他の例としては、ヒータ200は、一つのヒータゾーン又は三つ以上の加熱ゾーンを有することができる。加熱ゾーンの少なくとも一つは、喫煙材の異なる複数の部分を加熱するためにそのゾーン内に複数の加熱領域を設けるよう形成されるとよい。
より詳細には、図4に示される例では、ヒータ200の第1の加熱ゾーン220は、第1の加熱領域222、第2の加熱領域224及び第3の加熱領域226を有する。また、この例の第2の加熱ゾーン230は、第1の加熱領域232、第2の加熱領域234及び第3の加熱領域236を有する。ヒータ200における第1の加熱ゾーン220の少なくとも第1の加熱領域222と第2の加熱領域224とは、ワット密度が異なる。他の例では、ヒータ200の全ての加熱領域は異なるワット密度を有してもよいし、同じワット密度を有するいくつかの加熱領域と異なるワット密度を有する他の加熱領域とがあってもよい。
使用時、ヒータ200の加熱領域の異なるワット密度は、異なる熱流束が喫煙材252の異なる部分に作用することを確実にする簡単な方法を提供する。したがって、ヒータ200は、例えば、装置100内の喫煙材252の異なる部分を異なる温度に加熱することができる。特定の例では、喫煙材252の口側端部は、喫煙材252の他の部分よりも小さな熱流束で加熱される。より小さな熱流束は、使用者による吸引前にエアロゾルからより多くの水蒸気を凝縮させることになる。これにより、エアロゾルの温度を低下させることができ、また、「ホットパフ(熱い吸引)」として知られる現象の可能性を低減することができる。
ヒータ200の様々な加熱領域222,224,226,232,234,236の異なるワット密度は、異なる方法で達成されてもよい。例えば、様々な加熱領域222,224,226,232,234,236は、異なる材料で形成されること、及び/又は、異なる電気抵抗を有すること、及び/又は、異なる寸法(例えば異なる厚さ、又はより一般的には異なる断面積)を有することのような、異なる特性を有する加熱素子を有してもよい。別の例として、様々な加熱領域222,224,226,232,234,236は、異なる熱容量を有してもよい。特定の例については、以下でさらに説明する。
ヒータ200の加熱ゾーン220,230は、互いに異なる寸法(長さ、幅、高さ)を有してもよい。図4の特定の例では、ヒータ200の六つの加熱領域222,224,226,232,234,236は同じ長さLである。しかしながら、領域222,224,226,232,234,236の幅は、全て同じとはなっていない。この例では、第1の加熱ゾーン220の第1の加熱領域222の幅Uと第2の加熱ゾーン230の第1の加熱領域232の幅Zは同一又は実質的に同じである。しかし、この例では、第1の加熱領域220の第1の加熱領域222と第2の加熱領域230の第1の加熱領域232との幅U、Zは、他の加熱領域224,226,234,236の幅V,W,X,Yとは異なっている。いくつかの特定の例では、幅Uは5mm〜6mmの範囲内とし、幅Vは9mm〜10mmの範囲内とし、幅Wは6mm〜7mmの範囲内とし、幅X6mm〜7mmの範囲内とし、幅Yは9mm〜10mmの範囲内とし、幅Zは5mm〜6mmの範囲内とすることができる。
次に図5を参照すると、ヒータ300は、少なくとも一つの導電性の加熱部分を有している。図示の特定の例では、ヒータ300は、二つの加熱ゾーン320,330と、六つの導電性加熱部分322,324,326,332,334,336とを有する。他の例では、ヒータは、より多くの又はより少ない加熱ゾーン及びより多い又はより少ない加熱部分を有してもよい。第1の加熱ゾーン320は、第1の加熱部分322、第2の加熱部分324及び第3の加熱部分326を有し、第2の加熱ゾーン330は、第1の加熱部分332、第2の加熱部分334及び第3の加熱部分336を有する。(図5に概略的に示される六つの導電性加熱部分322,324,326,332,334,336は、図4に概略的に示される六つの加熱領域222,224,226,232,234,236に相当する。)一例では、導電性の加熱部分は導電性の材料によって形成される。導電性加熱部分に適した材料には、金属、セラミック等の導電性材料が含まれる。導電性材料は、層、配線路、一つ以上の要素、又は一つ以上のワイヤの形態であってもよい。導電性加熱部分は、例えば、ポリイミド基材のようなポリマー基材上に印刷されるか、そうでなければポリマー基材上に成膜される薄い金属配線路とすることができる。
加熱ゾーン320,330における導電性加熱部分322,324,326,332,334,336の配置の一例を図5に示す。第1の加熱部分322は、ヒータ300の第1の端部302の近くに配置されている。第2の加熱部分324は、ヒータ300の第1の端部302から離れて配置されている。図示の特定の例では、第1の加熱部分322は第1の加熱ゾーン320における第2の加熱部分324に隣接し、第3の加熱部分326は第2の加熱部分324に隣接し、ヒータ300の中心部の近くに配置されている。また、第2の加熱ゾーン330の配置も示されている。第2の加熱ゾーン330における第1の加熱部分332は、ヒータ300の第2の端部304の近くに配置され、第2の加熱ゾーン330における第2の加熱部分334はヒータ300の第2の端部304から離れて、第1の加熱部分332に隣接して配置されており、第3の加熱部分336は、第2の加熱部分334に隣接し、ヒータ300の中心部の近くに配置されている。
使用時、電流が導電性加熱部分322,324,326,332,334,336に通され、熱が生成されて、装置100のチャンバ112内に使用中収容される喫煙材252を加熱するようになっている。異なるワット密度が与えられると、様々な不均一な熱プロファイルが喫煙材252に与えられる。これは、例えば、喫煙材252の異なる部分を異なる温度に加熱することができることを意味する。別の例としては、これは、喫煙材252の少なくとも一部又は全部について、より平坦でより均一な温度プロファイルを達成することができることを意味し、このことは、例えば喫煙材252のいくつかの部分が同じ温度を得るために他の部分よりも加熱する必要があるという事実を考慮したものである(例えば、異なる部分では熱損失率が異なっているため)。加熱部分322,324,326,332,334,336によって与えられる熱流束は、例えば導電性の加熱部分322,324,326,332,334,336の電気抵抗を含む様々な要因に依存する。
ヒータ300の一つの加熱部分の電気抵抗は、ヒータ300の別の加熱部分の電気抵抗と異なっていてもよい。一例では、第1の加熱ゾーン320における第1の加熱部分322の電気抵抗は、第2の加熱ゾーン330における第2の加熱部分324の電気抵抗と異なっていてもよい。
導電性の加熱部分322,324,326,332,334,336の少なくともいくつかは、互いに電気的に接続されていてもよい。これらの部分322,324,326,332,334,336は、装置100の電力制限に応じて、製造中に直列又は並列に接続されるとよい。
一例では、第1の加熱ゾーン320内に複数の加熱部分がある場合、複数の加熱部分は互いに直列に接続されてもよい。同様に、第2の加熱ゾーン330内に複数の加熱部分がある場合、それらは互いに直列に接続されてもよい。すなわち、図示された特定の例では、第1の加熱ゾーン320における加熱部分322,324,326が互いに直列に接続され、第2の加熱ゾーン330における加熱部分332,334,336互いに直列に接続される。いずれの場合も、これは、例えば、第1の加熱ゾーン320における加熱部分322,324,326についての単一の連続的な導電性の加熱要素と、第2の加熱ゾーン330における加熱部分についての単一の連続した導電性の加熱要素とがあることによって達成され得る。
使用時、装置100の電源204は、ヒータに印加される電圧を供給する。図5に示されるヒータ300では、同じ電圧が、一つの電源204から二つの加熱ゾーン320,330に印加される。個々の加熱部分322,324,326,332,334,336のいずれかについてもそこを横断する特定の電圧降下は、その部分の電気抵抗に比例する。その部分によって生成される熱流束は、この電圧降下に関係する。したがって、ヒータ300は、加熱部分322,324,326,332,334,336の電気抵抗と、一つの電源204の電圧とに基づいて、喫煙材252に多様な熱プロファイルを提供する。
以下の表1は、利用可能な様々な特性の例を示すために、ヒータ300の特定の例についての加熱部分の電気抵抗及びワット密度を含む詳細を示す。例えば、二つの導電性加熱部分の断面積が異なる場合、それらの導電性加熱部分の電気抵抗は異なる。第1の加熱部分322の断面積が小さくなると、その部分322の電気抵抗が高くなり、第1の加熱部分322の熱流束が大きくなる。別の例では、第1の加熱部分322の長さが第2の加熱部分324の長さよりも長いため、第1の加熱ゾーン320の第1の加熱部分322及び第2の加熱部分324の電気抵抗は異なる。加熱部分が長くなればなるほど、その加熱部分の抵抗が大きくなり、したがってヒータが作動することができる温度もより高くなる。ヒータ200の作動温度は、例えば150℃〜250℃の範囲内であり、特定の加熱ゾーンの連続加熱の最高温度は約255℃である。特定の加熱ゾーンの短期間(1秒未満)の最高温度は約260℃である。
装置100は、温度の変化に対して抵抗が変化する構成要素を有することができる。この構成要素は、一つ以上の加熱部分の温度を制御するための温度制御装置として働くことができ、例えば装置100の制御回路202の一部であってもよいし、制御回路202と関連されるものであってもよい。特定の例では、温度制御装置は、第1の加熱ゾーン320の第1の加熱部分322の温度を制御する。温度制御装置の抵抗は温度と共に変化し、そのため、加熱部分322の両端の電圧が変化する。これは、ひいてはヒータ300内の他の加熱部分324,326,332,334,336における電圧を変化させる。したがって、この例の加熱部分322は「主」加熱部分として機能し、「主」加熱部分の温度変化の結果として熱出力が変化する他の加熱部分324,326,332,334,336は「従属」部分として機能する。温度制御装置は、例えば、正温度係数(PTC)タイプ又は負温度係数(NTC)タイプのサーミスタ又は抵抗温度検出器(RTD)であってもよい。
これの利点は、簡単な制御を有する単純な電源のみが必要であり、しかも喫煙材に沿う不均一な熱プロファイルを得ることができるという点である。実際には、第1の加熱ゾーン320の各加熱部分322,324,326と、第2の加熱ゾーン330の各加熱部分332,334,336とに同じ電流を供給する一つの電源のみが必要とされる。供給される電流は、一つの加熱部分322の温度を単に監視することによって制御される。その一つの加熱部分322の温度が制御され、他の加熱部分324,326,332,334,336の温度が「自動的に」それに従う。これは、比較的単純なハードウェアで達成され、複雑なソフトウェア制御等を回避し、コストを削減し、信頼性を向上させる。
再び図4及び図5を参照すると、この例では、ヒータ200は非加熱領域310を有する。非加熱領域310は幅Tを有する。幅Tは、例えば2mm〜3mmとすることができる。図示の特定の例では、非加熱領域310は、ヒータ200の概ね中央部に、二つの加熱ゾーン320,330間に配置されている。非加熱領域310は、導電性要素上に配置された断熱面によって提供されてもよい。或いは、第1の加熱ゾーン320の第3の加熱部分326と第2の加熱ゾーン330の第3の加熱部分336との間に間隙を設けてもよい。この例では、間隙は非加熱領域310として作用することができ、ヒータ300は単一の一体ヒータ300であるが、ヒータ300は、詳細に前述し表1に示されるようなワット密度についての様々なプロファアイルを有する二つの別個の加熱領域320,330を有する。
ヒータ要素領域は、例えばPEEK(ポリエーテルエーテルケトン)シュリンクチューブ等の外部誘電体層によって覆われてもよい。誘電体層は、温度制御装置又はセンサ(設けられている場合)が、例えば上述の「真空」絶縁体212のような金属構成要素に短絡するのを防止するのに役立つ。誘電体層はまた、ヒータに外圧を加え、上記の内部ステンレススチール支持管と密着させておくことができる。
本書で説明した様々な実施形態は、特許請求される特徴の理解と教示を助けるためだけに提示されている。これらの実施形態は単に実施形態のうちの代表的な例として提供されており、包括的及び/又は排他的なものではない。本書で説明した利点、実施形態、例、機能、特徴、構造、及び/又は他の態様は、特許請求の範囲によって規定される本発明の範囲を限定するもの、或いは特許請求の範囲の均等物を限定するものと考えるべきではなく、特許請求される発明の範囲から逸脱することなく他の実施形態を利用し、変形を施すことができることを理解されたい。本発明の様々な実施形態は、本書で特に説明されたもの以外の開示された要素、構成部品、特徴、部品、ステップ、手段等の適切な組合せを好適に備え、それらから構成され、或いは実質的にそれらから構成されてもよい。さらに、本開示は、特許請求の範囲に現在は記載されていないが将来記載される可能性のある他の発明を含む可能性がある。