JP2021047304A - 定着部材、その製造方法及び電子写真画像形成装置 - Google Patents

定着部材、その製造方法及び電子写真画像形成装置 Download PDF

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Abstract

【課題】本発明の課題は、優れたトナー離型性と定着性とを有する安価な定着部材、その製造方法及びそれを具備する電子写真画像形成装置を提供することである。【解決手段】本発明の定着部材は、シリコーンゴムを含有する最表層を備える定着部材であって、前記シリコーンゴムが、フッ素原子を有するシランカップリング剤の単独重合物を含有することを特徴とする。【選択図】なし

Description

本発明は、定着部材、その製造方法及び電子写真画像形成装置に関する。より詳しくは、本発明は、優れたトナー離型性と定着性とを有する安価な定着部材、その製造方法及びそれを具備する電子写真画像形成装置に関する。
電子写真方式の画像形成装置では、未定着トナーを記録材上に定着するために、定着ベルト又は定着ローラーのような定着部材を用いることが知られている。
定着部材の表面には高いトナー離型性が求められている。定着部材の表面に付着したトナーは、次に搬送されてきた記録材料に定着され、当該記録材の電子写真品質を低下させてしまう。また、溶融トナーと定着部材が接着して、記録材料として用いる紙の分離性が劣化し、著しい場合には、紙詰まりを起こしてしまうといった問題を生じる場合がある。したがって、定着用の部材の表面を構成するトナー離型層のトナー離型性をいかに向上させるかが、定着部材の性能上重要であるといえる。
一般に、定着部材は、基材上にシリコーンゴム等の弾性体からなる弾性層と、当該弾性層の表面にフッ素樹脂からなる弾性層より硬度の高いトナー離型層とを有している。
しかし、フッ素樹脂からなるトナー離型層と弾性層の接着性が弱いと耐久性で問題を生ずる。このため、シランカップリング剤を弾性層であるシリコーンゴムの表面に塗布し反応させて、フッ素樹脂からなる最表層との接着性の改良のために用いることが知られている(特許文献1及び特許文献2参照)。また、接着性改良のため、シリコーンゴムにシランカップリング剤を入れる方法も報告されている(特許文献3参照)。
一方、定着部材の最表層に対しては、柔軟さが求められている。柔軟な最表層は、紙繊維の凹凸に対する追従性が高いため、紙繊維の凹部に入り込んだトナーに対してもよく熱を伝え、十分に定着することができる。
したがって、トナー離型性と柔軟性を両立させることが必要である。このため、パーフルオロアルキル基を含むシランカップリング剤で処理した無機充填物が分散された耐熱性エラストマーからなる最表層を有する定着部材が提案されている(特許文献4参照)。
しかしながら、トナー離型性と柔軟性を両立した最表層を実現させる点では、このような定着部材でも不十分で、さらなる改良が求められていた。
特開2015−135483号公報 特開2015−203836号公報 特開2016−157066号公報 特開平10−10896号公報
本発明は、上記問題・状況に鑑みてなされたものであり、その解決課題は、優れたトナー離型性と定着性とを有する安価な定着部材、その製造方法及びそれを具備する電子写真画像形成装置を提供することである。
本発明者は、上記課題を解決すべく、上記問題の原因等について検討した結果、シリコーンゴムを含有する弾性層中に、フッ素原子を有するシランカップリング剤の単独重合物を含有させ、この層を最表層に用いることにより、シリコーンゴムの柔軟性を維持した優れた定着性とトナー離型性とを両立した定着部材とすることができることを見いだし本発明に至った。
すなわち、本発明に係る上記課題は、以下の手段により解決される。
1.シリコーンゴムを含有する最表層を備える定着部材であって、
前記シリコーンゴムが、フッ素原子を有するシランカップリング剤の単独重合物を含有することを特徴とする定着部材。
2.少なくとも基材と前記最表層とからなることを特徴とする第1項に記載の定着部材。
3.前記シリコーンゴム中のX線光電子分光法(XPS)で解析されるフッ素原子の含有量が、0.05〜10.00%の範囲内であることを特徴とする第1項又は第2項に記載の定着部材。
4.温度25℃における前記最表層の硬度が、3〜50度の範囲内であることを特徴とする第1項から第3項までのいずれか一項に記載の定着部材。
5.第1項から第4項までのいずれか一項に記載の定着部材を製造する定着部材の製造方法であって、
前記フッ素原子を有するシランカップリング剤を溶解した溶液を前記シリコ―ンゴムに含浸させる工程と、
含浸した前記シリコ―ンゴムを加熱することにより、シリコーンゴム中の前記シランカップリング剤を重合させる工程とを有することを特徴とする定着部材の製造方法。
6.第1項から第4項までのいずれか一項に記載の定着部材を具備することを特徴とする電子写真画像形成装置。
本発明の上記手段により、優れたトナー離型性と定着性とを有する安価な定着部材、その製造方法及びそれを具備する電子写真画像形成装置を提供することができる。
本発明の効果の発現機構ないし作用機構については、明確にはなっていないが、以下のように推察している。
シリコーンゴムは、柔軟性は良好であるが、トナー離型性は良好でないため定着時にワックスが付着・堆積することにより紙分離性能が低下する。シリコーンゴムを、分子量の小さなフッ素基を有するシランカップリング剤の硬化物との混合物にすると、シリコーンゴム内の自由体積の部分にシランカップリング剤硬化物が存在するものと考えられる。このため、シリコーンゴムの特性を変えることなく、トナー成分に含まれるワックスの染み込みやそれに伴う付着を抑制して、トナー離型性をあげることができるものと推察される。
本発明の定着ベルトの一例を模式的に示す図 本発明の定着ベルトの一例を模式的に示す図 本発明の定着装置の一例を模式的に示す図 本発明の一画像形成装置の一例を模式的に示す図
本発明の定着部材は、シリコーンゴムを含有する最表層を備える定着部材であって、
前記シリコーンゴムが、フッ素原子を有するシランカップリング剤の単独重合物を含有することを特徴とする。この特徴は、下記各実施態様(形態)に共通する又は対応する技術的特徴である。
本発明の実施態様としては、本発明の効果発現の観点から、少なくとも基材と前記最表層とからなることが、コスト面及び性能安定性の観点から好ましい。
また、前記シリコーンゴム中のX線光電子分光法(XPS)で解析されるフッ素原子の含有量が、0.05〜10.00%の範囲内であることが、最表層の柔軟性とトナー離型性の観点から好ましい。
さらに、本発明においては、温度25℃における前記最表層の硬度が、3〜50度の範囲内であることがトナー離型性の観点から好ましい。
本発明の定着部材は、電子写真画像形成装置に好適に具備され得る。
さらに、本発明の定着部材を製造する定着部材の製造方法としては、前記フッ素原子を有するシランカップリング剤を溶解した溶液を前記シリコ―ンゴムに含浸させる工程と、含浸した前記シリコ―ンゴムを加熱することにより、シリコーンゴム中の前記シランカップリング剤を重合させる工程とを有することが、製造に関する時間を少なくし、安価な費用で製造できる観点から好ましい。
以下、本発明とその構成要素、及び本発明を実施するための形態・態様について詳細な説明をする。なお、本願において、「〜」は、その前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む意味で使用する。
《本発明の定着部材の概要》
本発明の定着部材は、シリコーンゴムを含有する最表層を備える定着部材であって、
前記シリコーンゴムが、フッ素原子を有するシランカップリング剤の単独重合物を含有することを特徴とする。
このような構成とすることで、弾性層上にフッ素樹脂からなる離型層を別途用いることなく、シリコーンゴムの柔軟性を維持した優れた定着性とトナー離型性とを両立した最表層を有する安価な定着部材として用いることができる。
[最表層]
本発明に係る最表層は、シリコーンゴムを含有し、前記シリコーンゴムが、フッ素原子を有するシランカップリング剤の単独重合物を含有する。
(シリコーンゴム)
前記樹脂層を構成する前記シリコーンゴムとしては特に制限はなく、一般に知られているシリコーン樹脂の中から目的に応じて適宜選択することができる。例えば、オルガノシロキサン結合のみからなるストレートシリコーン樹脂や、アルキド樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、アクリル樹脂又はウレタン樹脂等で変性したシリコーン樹脂、などが挙げられる。中でも、ストレートシリコーン樹脂が柔軟性の観点から好ましい。
(フッ素原子を有するシランカップリング剤)
本発明に用いられるフッ素原子を有するシランカップリング剤としては、フッ素原子を少なくとも一つ有する基と、シリル基を少なくとも一つ有する化合物が挙げられる。
フッ素原子を少なくとも一つ有する基としては、フッ素原子が一分子中に2個以上含まれることが好ましい。具体的には、フッ素原子を有するアルキル基又はフッ素原子を有するアリール基を有している化合物であることが好ましい。フッ素原子を有する基は、さらに置換基を有していてもよい。置換基としては、反応性や熱安定性の観点から任意に選択することができ、例えば、ハロゲン原子、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルコキシカルボニル基、アシル基、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、ヒドロキシ基及びカルボキシ基などが挙げられる。
シリル基としては、シラノール基又は加水分解性シリル基を有することが好ましい。加水分解性シリル基とは、加水分解性を有するシリル基のことであり、加水分解性基としては、アルコキシ基、メルカプト基、ハロゲン原子、アミド基、アセトキシ基、アミノ基、イソプロペノキシ基等を挙げることができる。シリル基は加水分解してシラノール基となり、シラノール基は脱水縮合してシロキサン結合が生成する。
本発明において、フッ素原子を有するシランカップリング剤は、層間の接着性や、フィラーと樹脂の接着性の向上を目的としない。フッ素原子を有するシランカップリング剤を加水分解して生成したシラノールの重縮合物を単独重合物としてシリコーンゴム中に含有させることにより、優れたトナー離型性と定着性とを有する定着部材を得るものである。
後述するように、これらのフッ素原子を有するシランカップリング剤を溶解した溶液を、シリコ―ンゴムに含浸させて、含浸したシリコ―ンゴムを加熱することにより、シリコーンゴム中の前記シランカップリング剤を重合させて、本発明の定着部材を得ることができる。
具体的には、例えば、例示化合物として以下に示すフルオロアルキルシランやフルオロアリールシランを挙げることができる。
F−1:ジクロロ(メチル)(3,3,3−トリフルオロプロピル)シラン
F−2:ジメトキシ(メチル)(3,3,3−トリフルオロプロピル)シラン
F−3:トリクロロ(3,3,3−トリフルオロプロピル)シラン
F−4:トリメトキシ(3,3,3−トリフルオロプロピル)シラン
F−5:トリメトキシ(1H,1H,2H,2H−ノナフルオロヘキシル)シラン
F−6:トリエトキシ(1H,1H,2H,2H−ノナフルオロヘキシル)シラン
F−7:クロロジメチル(3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,8−トリデカフルオロ−n−オクチル)シラン
F−8:トリクロロ(1H,1H,2H,2H−トリデカフルオロ−n−オクチル)シラン
F−9:トリメトキシ(1H,1H,2H,2H−トリデカフルオロ−n−オクチル)シラン
F−10:トリエトキシ−1H,1H,2H,2H−トリデカフルオロ−n−オクチルシラン
F−11:トリクロロ(1H,1H,2H,2H−ヘプタデカフルオロデシル)シラン
F−12:トリメトキシ(1H,1H,2H,2H−ヘプタデカフルオロデシル)シラン
F−13:トリエトキシ(1H,1H,2H,2H−ヘプタデカフルオロデシル)シラン
F−14:トリエトキシ[5,5,6,6,7,7,7−ヘプタフルオロ−4,4−ビス(トリフルオロメチル)ヘプチル]シラン
F−15:ペンタフルオロフェニルジメチルクロロシラン
F−16:ペンタフルオロフェニルエトキシジメチルシラン
F−17:トリメトキシ(ペンタフルオロフェニル)シラン
F−18:トリエトキシ(ペンタフルオロフェニル)シラン
F−19:クロロジメチル[3−(2,3,4,5,6−ペンタフルオロフェニル)プロピル]シラン
F−20:トリクロロ[3−(ペンタフルオロフェニル)プロピル]シラン
F−21:トリメトキシ(11−ペンタフルオロフェノキシウンデシル)シラン
(フッ素含有量)
前記シリコーンゴム中のX線光電子分光法(XPS)で解析されるフッ素原子の含有量が、0.05〜10.00%の範囲内であることが好ましい。より好ましくは、シリコーンゴム中のフッ素原子の含有量は、0.10〜5.00%の範囲内である
シリコーンゴム中のフッ素原子の含有量が0.05%以上であれば、硬度が増加しトナー離型性が優れるために好ましく、10.00%以下であれば、柔軟性が優れ定着性が良好である。
(X線光電子分光法で測定されるフッ素含有量の測定)
シリコーンゴム中のフッ素原子の含有量は、X線光電子分光法(XPS)を用いて解析することができる。
具体的には、XPS測定装置として「アルバック・ファイ社製 Quantera SXM」を使用し、測定は、X線源として単色化されたAlKα線(25W−15kV)を用い、フッ素原子について測定する。分析領域は、約100μmφとする。そして、フッ素原子について、F1sスペクトルを測定し、当該フッ素原子のスペクトル基づいて、元素個数を求めて、シリコーンゴムの全原子量に対するフッ素原子含有率を算出する。
なお、シリコーンゴムの最表層のフッ素含有量は、そのまま試験片を作製し、測定する。
(添加剤)
最表層は、伝熱性や硬度を高めるための伝熱性のフィラーをさらに含んでいてもよい。当該フィラーの材料の例には、シリカ、金属シリカ、アルミナ、亜鉛、窒化アルミニウム、窒化ホウ素、窒化ケイ素、炭化ケイ素、カーボン及び黒鉛が含まれる。上記フィラーの形態は、限定されず、例えば、球状粉末、不定形粉末、扁平粉末又は繊維である。
(硬度)
さらに、本発明においては、温度25℃における前記最表層の硬度が、3〜50度の範囲内であることがトナー離型性の観点から好ましい。硬度は、シリコーンゴム中のシランカップリング剤や添加物の種類や添加量で調整することもできる。
最表層の硬度は、厚さ2.0mmの測定用に最表層と同様の処方で作製したシリコーンゴムシートを用いて、JIS K6253(2012)に従い、デュロメータA(アスカーA型;高分子計器株式会社製)により測定することができる。
最表層の厚さは、例えば、伝熱性及び弾性を十分に発現させる観点から、5〜600μmであることが好ましく、10〜500μmであることがより好ましく、20〜400μmであることがさらに好ましい。
[基材]
本発明の定着部材は少なくとも基材と前記最表層とからなることが好ましい。
基材は、耐熱性樹脂製であることが好ましい。上記耐熱性樹脂は、定着ベルトの使用温度において変性及び変形を生じない樹脂から適宜に選ばれ、一種でもそれ以上でもよい。
上記耐熱性樹脂の例には、ポリフェニレンサルファイド、ポリアリレート、ポリサルフォン、ポリエーテルサルフォン、ポリエーテルイミド、ポリイミド、ポリアミドイミド及びポリエーテルエーテルケトンが含まれる。中でも、耐熱性の点から、ポリイミドが好ましい。
ポリイミドは、その前駆体であるポリアミド酸の、200℃以上の加熱による、又は触媒を用いることによる、脱水・環化(イミド化)反応を進めることによって得ることができる。ポリアミド酸は、テトラカルボン酸二無水物とジアミン化合物とを溶媒に溶解し、混合・加熱による重縮合反応によって製造してもよいし、市販品を用いてもよい。上記ジアミン化合物及びテトラカルボン酸二無水物の例には、特開2013−25120号公報の段落0123〜0130に記載の化合物が含まれる。
上記基材は、本実施形態の効果が得られる範囲において、耐熱性樹脂以外の成分をさらに含んでいてもよい。例えば、上記基材の材料は、他の樹脂成分をさらに含んでいてもよい。上記基材の材料における上記耐熱性樹脂の含有量は、成形性などの観点から、40〜100体積%であることが好ましい。
必要に応じ基材と最表層の間に中間層を設けてもよい。
《定着部材の製造方法》
本発明の定着部材を製造する定着部材の製造方法としては、フッ素原子を有するシランカップリング剤を溶解した溶液を前記シリコ―ンゴムに含浸させる工程と、含浸した前記シリコ―ンゴムを加熱することにより、シリコーンゴム中の前記シランカップリング剤を重合させる工程とを有することが好ましい。このような製造方法により、弾性層上にフッ素樹脂からなる離型層を別途用いることなく、トナー離型性と定着性とを両立することのできる最表層を有する定着部材を製造することができる。このため、製造に関する時間を少なくし、安価な費用で製造することができる。
[フッ素原子を有するシランカップリング剤を溶解した溶液を前記シリコ―ンゴムに含浸させる工程]
フッ素原子を有するシランカップリング剤を溶解した溶液を前記シリコ―ンゴムに含浸させる工程(以下「含浸工程」ともいう)は、カップリング剤を溶媒に溶解させた溶液を硬化したシリコーンゴム内に含浸させる工程である。溶液にシリコーンゴムをつけ含浸させる方法や、表面に溶液を塗布してシリコーンゴムに含浸させる方法などがある。
具体的にはシリコーンゴムを膨潤させることのできる溶媒を用い、この溶媒にフッ素原子を有するシランカップリング剤を溶解し、シリコーンゴムに含浸させる。
つまり、フッ素原子を有するシランカップリング剤の溶解性とシリコーンゴムの膨潤性を満足させる溶媒が必要である。
溶解性としては、フッ素原子を有するシランカップリング剤を25度において、0.5〜150質量%を溶解できる溶媒であることが好ましい。また、シリコーンゴムの膨潤度は、25度において102〜170%の範囲内であることが好ましい。
膨潤度は次の式で求められる。
膨潤度(%)=(溶液が含浸したシリコーンゴムの質量)/(含浸前のシリコーンゴムの質量)×100
前記有機溶剤としては、フッ素原子を有するシランカップリング剤の溶解性とシリコーンゴムの膨潤性を満足させる溶媒であれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、トルエン、キシレン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、セルソルブ、ブチルアセテートなどが挙げられる。
シランカップリング剤を溶解する温度、及び含浸させる温度は、15〜40℃の範囲が好ましい。含浸させる時間は5〜60分の範囲が好ましい。その後室温で30分放置することが好ましい。
[含浸したシリコ―ンゴムを加熱することにより、シリコーンゴム中のシランカップリング剤を重合させる工程]
含浸したシリコ―ンゴムを加熱することにより、シリコーンゴム中のシランカップリング剤を重合させる工程(以下「重合工程」ともいう)では、シランカップリング剤の単独重合体を均一に含有し、シリコーンゴムの弾性とトナー離型性を有する最表層を形成することができる。
重合は加熱することで行われる。加熱温度及び時間は適宜選ぶことができる。150〜200℃で、30〜60分間、例えば、恒温槽に放置することにより重合を行うことが好ましい。
また、加水分解するシランカップリング剤には必ずしも添加する必要がないが、加水分解しにくいシランカップリング剤に対しては、溶液のpHを酸性にし、反応を促進するために酢酸等を入れることもできる。
[定着ベルト]
図1は、本発明の定着ベルトの一例を模式的に示す図である。図1Aは、無端状の定着ベルトの一例を模式的に示す図であり、図1Bは、図1A中のB部を拡大して示す図である。
定着ベルト10は、図1Aに示されるように、無端状の形状を有し、図1Bに示されるように、基材12と、基材12の外周面上に配置された最表層16を有する。基材12は、例えばポリイミド製であり、最表層16は、フッ素原子を有するシランカップリング剤の単独重合物を含有するシリコーンゴムである。
上記のような定着ベルト10は、下記の二軸ベルト式の定着装置における定着ベルトに好適に採用され、特に高速の画像形成装置において顕著な効果を奏する。
[定着装置]
本実施の形態に係る定着装置は、前述の無端状の定着ベルトと、当該定着ベルトを軸支する二以上のローラーと、上記定着ベルトを介して上記ローラーのうちの一つに対して相対的に付勢されるように配置される加圧ローラーと、を有する。上記定着装置は、前述の定着ベルトを有する以外は、公知のいわゆる二軸ベルト式定着装置と同様に構成することができる。
上記定着ベルトを軸支する上記ローラーは、二以上であり、当該定着ベルトを加熱するための加熱ローラーを含む。加熱ローラーは、例えば、アルミニウム製などの伝熱性のスリーブと、当該スリーブの内側に配置されるハロゲンヒータなどの加熱源とを有する。当該スリーブの外周面は、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)などのフッ素樹脂製の層によって被覆されていてもよい。
上記定着ベルトを軸支する上記加熱ローラー以外のローラーは、一以上あればよく、所望の他の機能に応じて適宜に構成することが可能である。
上記の二以上のローラーに軸支されている上記定着ベルトの張力は、より高速の画像形成に適用させる観点から、46N以下であることが好ましく、43N以下であることがより好ましい。当該張力は、例えば、上記ローラーの軸間距離を拡げる方向に上記ローラーを付勢するばねなどの弾性部材の弾性力(付勢力)や、上記定着ベルトを軸支するローラーの軸間距離などによって調整することが可能である。
上記加圧ローラーは、定着時に定着ベルトとの当接部(定着ニップ部)を構成する。加圧ローラーの例には、外周面に弾性を有するローラー、及びその回転軸が上記定着ベルトに対して接近、離間自在なローラーが含まれる。
上記ローラーのうちの、上記加圧ローラーに付勢されるローラーのローラー径は、より高速の画像形成に適用させる観点から、45mm以上であることが好ましく、60mm以上であることがより好ましい。上記ローラーのローラー径の上限は、例えば、定着装置の許容される大きさによって適宜に決めることができる。
また、上記定着装置において、定着に供された記録媒体の分離角は、67〜85°であることが、より高速の画像形成に適用させる観点から好ましい。当該分離角とは、定着ニップ部を構成する二つのローラーの軸を結ぶ直線に平行な直線(図2中のL1)に対して、上記定着ニップ部における記録媒体の搬送方向の下流端において、定着ベルトの接線(図2中のL2)がなす角度(図2中のθ)である。
一般に、分離角が大きいと、画像形成の高速化には有利となり、定着ベルトに対する記録媒体の分離性の観点からは不利となる傾向がある。しかしながら、上記の定着ベルトは、前述したtanδの条件を満足する。したがって、画像形成の高速化には不利とされてきた比較的大きな分離角においても、十分な上記分離性を発現する。画像形成の高速化と上記分離性とを両立させる観点から、上記分離角は、70〜81°であることがより好ましく、73〜77°であることがさらに好ましい。
上記分離角は、例えば、上記定着ニップ部を構成する上記ローラーのローラー径や、画像形成速度、上記加圧ローラーの付勢力(ニップ圧)などによって調整することが可能である。
上記定着装置は、本実施形態の効果が得られる範囲において、上記以外の他の構成をさらに有していてもよい。当該他の構成の例には、加熱ローラーで加熱された定着ベルトの温度を検出するための第1の温度センサー、上記加圧ローラーの軸移動機構、上記加圧ローラー内に配置される第2のヒータ、上記加圧ローラーの温度を検出するための第2の温度センサー、上記定着ニップ部において記録媒体が定着ベルトから剥がれる方向に気流を生じるための気流分離装置、及び記録媒体を上記定着ニップ部に、又は当該定着ニップ部から案内するためのガイド部材、が含まれる。これらの他の構成には、公知の定着装置で採用されている公知の部材などを採用することができる。
以下、上記定着装置の一例をより詳しく説明する。
定着装置70は、例えば、図2に示されるように、定着ベルト10、加熱ローラー71、第1加圧ローラー72、第2加圧ローラー73、ヒータ74、75、第1温度センサー76、第2温度センサー77、気流分離装置78、案内板79及び案内ローラー80を有している。
定着ベルト10は、前述した本実施形態に係る定着ベルトである。定着ベルト10は加熱ローラー71と第1加圧ローラー72とによって軸支され、張設されている。定着ベルト10の張力は、例えば43Nである。
加熱ローラー71は、回転自在なアルミニウム製のスリーブと、その内部に配置されたヒータ74とを有する。第1加圧ローラー72は、例えば、回転自在な芯金と、その外周面上に配置された弾性層とを有している。
第2加圧ローラー73は、定着ベルト10を介して第1加圧ローラー72に対向して配置されている。第2加圧ローラー73は、例えば、回転自在なアルミニウム製のスリーブと、当該スリーブ内に配置されるヒータ75とを有する。第2加圧ローラー72は、第1加圧ローラー72に対して接近、離間自在に配置されており、第1加圧ローラー72に対して接近したときに、定着ベルト10を介して第1加圧ローラー71の弾性層を押圧し、定着ベルト10との接触部である定着ニップ部を形成する。
第1温度センサー76は、加熱ローラー71によって加熱された定着ベルト10の温度を検出するための装置であり、第2温度センサー77は、第2加圧ローラー73の外周面の温度を検出するための装置である。
気流分離装置78は、定着ベルト10の移動方向の上流側から上記定着ニップ部に向けて気流を生じ、定着ベルト10からの記録媒体の分離を促すための装置である。
案内板79は、未定着のトナー画像を有する記録媒体を上記定着ニップ部に案内するための部材であり、案内ローラー80は、トナー画像が定着された記録媒体を上記定着ニップ部から画像形成装置外へ案内するための部材である。
定着装置70において、第1加圧ローラー72のローラー径は、例えば60mmであり、定着ベルト10の回転移動速度は、315m/秒であり、分離角θは73°である。上記定着ベルト10の回転移動速度は、A4版の記録媒体への画像形成速度(「定着速度」又は「印刷速度」)に換算すると、60枚/分である。
分離角θは、図2中、第1加圧ローラー72の回転軸と第2加圧ローラー73の回転軸とを結ぶ直線に平行な直線L1に対して、記録媒体の搬送方向における定着ニップ部の下流端での定着ベルト10の接線がなす角度のうち、第2加圧ローラー73側の角度である。当該分離角は、第2加圧ローラー73のローラー径などによって調整することが可能である。
例えば、第2加圧ローラー73のローラー径が50mmであるときの分離角をθ50(例えば79°)とすると、第2加圧ローラー73のローラー径が40mmである場合には、そのときの分離角θ40は、(θ50−4)°となる。また、例えば、第2加圧ローラー73のローラー径が60mmである場合には、そのときの分離角θ60は、(θ50+4)°となる。
定着ベルト10は、上記の速度で回転駆動し、例えば、第1温度センサー76によるフィードバック制御によりヒータ74によって所望の温度(例えば190℃)に加熱される。第2加圧ローラー73は、例えば第2温度センサー77によるフィードバック制御によりヒータ75によって所望の温度(例えば180℃)に加熱される。そして、第2加圧ローラー73は、記録媒体の到着に合わせて、定着ベルト10を介して第1加圧ローラー72の外周面を付勢し、定着ニップ部を形成する。
一方で、未定着のトナー画像を担持する記録媒体は、案内板79に案内されながら上記ニップ部に案内される。定着ベルト10は、前述したtanδの条件を満たすことから、記録媒体に十分に密着する。したがって、十分に加熱された定着ベルト10によって、未定着のトナー画像は、速やかに記録媒体に定着される。
定着ニップ部の下流端において、トナー画像が定着された記録媒体には、定着ベルト10に付着する力と、定着ベルト10の接線方向に進もうとする力とがかかる。前述したtanδの条件を満たす定着ベルト10は、前述したように、上記定着ニップ部の下流端で、記録媒体に対して適度な反発力を発現すると考えられ、その結果、記録媒体は、定着ベルト10から離れて定着ベルト10の接線方向に移動する。
また、記録媒体は、当該定着ニップ部の下流端で、気流分離装置78からの気流を受ける。このため、記録媒体の定着ベルト10からの分離が促進される。
定着ベルト10から分離した記録媒体は、案内ローラー80により、画像形成装置外に向けて案内される。
なお、定着ニップ部は、前述のように第1加圧ローラー72の周面及び定着ベルト10が窪むことで形成されてもよいし、又は第2加圧ローラー73の周面が窪むことによって形成されてもよい。
このように、上記定着装置は、電子写真方式の画像形成装置の定着装置に好適に採用され、特に、高速の画像形成装置に採用されることにより、顕著な効果を発現する。
[画像形成装置]
本実施の形態に係る画像形成装置は、記録媒体上に電子写真方式によって形成された未定着のトナー画像を加熱及び加圧によって記録媒体に定着させるための上記の定着装置を有する。上記画像形成装置は、上記定着装置が定着装置として採用される以外は、公知の画像形成装置と同様に構成され得る。以下、本実施の形態に係る画像形成装置の一例を、図3に基づいて説明する。
画像形成装置50は、図3に示されるように、画像形成部、中間転写部、定着装置70、画像読み取り部及び記録媒体搬送部を有する。
上記画像形成部は、例えば、イエロー、マゼンタ、シアン及びブラックの各色に対応する四つの画像形成ユニットを含む。画像形成ユニットは、図3に示されるように、感光体ドラム51、感光体ドラム51を帯電させる帯電装置52、帯電した感光体ドラム51に光を照射して静電潜像を形成する露光装置53、静電潜像が形成された感光体ドラム51にトナーを供給して静電潜像に応じたトナー画像を形成する現像装置54、及び感光体ドラム51の残留トナーを除去するクリーニング装置55を有する。
感光体ドラム51は、例えば、光導電性を有する負帯電型の有機感光体である。帯電装置52は、例えば、コロナ帯電器である。帯電装置52は、帯電ローラーや帯電ブラシ、帯電ブレードなどの接触帯電部材を感光体ドラム51に接触させて帯電させる接触帯電装置であってもよい。露光装置53は、例えば、半導体レーザーで構成される。現像装置54は、例えば、電子写真方式の画像形成装置における公知の現像装置である。「トナー画像」とは、トナーが画像状に集合した状態をいう。
上記中間転写部は、一次転写ユニットと二次転写ユニットを含む。当該一次転写ユニットは、中間転写ベルト61、一次転写ローラー62、バックアップローラー63、複数の支持ローラー64及びクリーニング装置65を有する。中間転写ベルト61は、無端状のベルトである。中間転写ベルト61は、バックアップローラー63及び支持ローラー64によって、ループ状に張架される。バックアップローラー63及び支持ローラー64の少なくとも一つのローラーが回転駆動することにより、中間転写ベルト61は、無端軌道上を一方向に一定速度で走行する。
上記二次転写ユニットは、二次転写ベルト66、二次転写ローラー67及び複数の支持ローラー68を有する。二次転写ベルト66も、無端状のベルトである。二次転写ベルト66は、二次転写ローラー67及び支持ローラー68によってループ状に張架される。
定着装置70は、例えば、図2に示される定着装置70である。紙Sは、記録媒体に相当する。
上記画像読み取り部は、給紙装置81、スキャナー82、CCDセンサー83及び画像処理部84を有する。上記記録媒体搬送部は、三つの給紙トレイユニット91及び複数のレジストローラー対92を有する。給紙トレイユニット91には、坪量やサイズなどに基づいて識別された紙S(規格紙、特殊紙)があらかじめ設定された種類ごとに収容される。レジストローラー対92は、所期の搬送経路を形成するように配置されている。
[画像形成方法]
本実施の形態に係る画像形成方法は、記録媒体上に電子写真方式によって形成された未定着のトナー画像を、上記の定着装置を用いて加熱及び加圧によって記録媒体に定着させる工程を含む。上記画像形成方法は、上記の画像形成装置50によって行うことが可能である。当該画像形成方法の一例として、画像形成装置50による画像の形成を以下に説明する。
スキャナー82は、給紙装置81から送られたコンタクトガラス上の原稿Dを光学的に走査して読み取る。原稿Dからの反射光がCCDセンサー83により読み取られ、入力画像データとなる。入力画像データは、画像処理部84において所定の画像処理が施され、露光装置53に送られる。
一方で、感光体ドラム51は、A4版の記録媒体で60枚/分以上の印刷速度に相当する一定の周速度で回転する。
帯電装置52は、感光体ドラム51の表面を一様に負極性に帯電させる。露光装置53は、各色成分の入力画像データに対応するレーザー光で感光体ドラム51を照射する。こうして感光体ドラム51の表面には、静電潜像が形成される。現像装置54は、感光体ドラム51の表面にトナーを付着させることにより静電潜像を可視化する。こうして感光体ドラム51の表面に、静電潜像に応じたトナー画像が形成される。感光体ドラム51の表面のトナー画像は、中間転写ベルト61に転写される。感光体ドラム51の転写残トナーは、クリーニング装置55によって除去される。中間転写ベルト61には、各感光体ドラム51で形成された各色のトナー画像が順次重なるように転写される。
一方、二次転写ローラー67は、二次転写ベルト66をバックアップローラー63に向けて押圧し、中間転写ベルト61に圧接させる。それにより、二次転写ニップ部が形成される。他方、給紙トレイユニット91からレジストローラー対92を介して上記二次転写ニップ部に紙Sが搬送される。レジストローラー対92は、紙Sの傾きを補正し、また搬送のタイミングを調整する。
二次転写ニップに紙Sが搬送されると、二次転写ローラー67に転写電圧が印加され、中間転写ベルト61上のトナー画像が紙Sに転写される。トナー画像が転写された紙Sは、二次転写ベルト66によって、定着装置70に搬送される。中間転写ベルト61上の転写残トナーは、クリーニング装置65によって除去される。
定着装置70では、定着ベルト10がA4版の記録媒体で60枚/分以上の印刷速度に相当する一定の速度で回転し、紙Sの搬送に際して、前述したように、第2加圧ローラー74が定着ベルト10と定着ニップ部を形成する。紙Sは、当該定着ニップ部で加熱、加圧され、前述したように定着ベルト10の反発力によって画像形成装置50の外に向けて案内され、排出される。こうして、紙S上のトナー画像が形成され、当該紙Sは、機外に排出される。
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、実施例において「部」又は「%」の表示を用いるが、特に断りがない限り「質量部」又は「質量%」を表す。
〔実施例1〕
定着部材として定着ベルトを作製した。
《定着ベルトの作製》
[定着ベルト1の作製]
内径99mm、長さ360mm、厚さ70μmの熱硬化性ポリイミド樹脂からなるベルト基材の内側に、外径99mmのステンレス製の円筒状の芯金を密着させた。次いで、当該ベルト基材の外側に、円筒金型を被せ、このようにして上記芯金と上記円筒金型を同軸で保持するとともに、両者の間にキャビティを形成した。次いで、当該キャビティにシリコーンゴムAを注入し、加熱硬化して、厚さ250μmのシリコーンゴムAによるシリコーンゴム層を作製し、基材とシリコーンゴム層(最表層)からなるベルトを得た。
シランカップリング剤A(例示化合物F−4:T2720 東京化成社製)5質量部に対して、酢酸20質量部と、水23質量部、トルエン50質量部を室温で混合し、超音波(US)分散15分を行う。次に、得られた溶液中に、先ほど得たベルトを入れ、10分間含浸した。ベルトを溶液から引き上げ、空気中で25分放置した後、重合工程において、150℃に保った恒温槽に入れ、1時間加熱硬化を行い定着ベルト1を得た。
[定着ベルト2〜14の作製]
定着ベルト1の作製において、以下の表1のように、シリコーンゴム及びシランカップリング剤の種類、及び含浸する溶液組成を変えた他は定着ベルト1と同様の方法で定着ベルト2〜14を作製した。
なお、以下の表中「−」は、その欄の材料を使用しなかったことを示す。
Figure 2021047304
なお、シランカップリング剤は以下のものを使用した。
シランカップリング剤A(例示化合物F−4:T2720 東京化成社製)
シランカップリング剤B(例示化合物F−5:T2918 東京化成社製)
シランカップリング剤C(例示化合物F−12:T2917 東京化成社製)
シランカップリング剤D(T2875(トリメトキシ−n−オクチルシラン)東京化成社製)
また、シリコーンゴムは以下の表IIに示す物性値を有するものを使用した。
硬度は、前述の方法で測定した。引張強度及び伸びは、硬度の測定用に作製した厚さ2mmのシリコーンゴムシートと同じものを用いて、テンシロン万能引張試験機(株式会社エー・アンド・デイ製)により測定した。このとき、上記ゴムシートを23℃、50%RHの環境下において、引張速度2mm/分で引っ張った。
Figure 2021047304
《評価》
定着ベルト1を、図2に示されるような二軸ベルト式定着装置を備え、図3に示す電子写真方式の画像形成装置の定着ベルトとして設置した。定着ニップ部を構成するローラーであって、定着ベルト1を軸支する側のローラーのローラー径は60mmであり、A4普通紙で60枚/分の印刷速度のときの上記定着装置における分離角は73°である。また、トナーには、コニカミノルタ株式会社製「デジタルトナーHD+」を用いた。
(トナー離型性)
定着ベルト1の表面温度を180℃とし、上記ベタ画像を有するA4サイズのコピー紙mondi社製「カラーコピー」坪量90g/mを用いて、60枚/分の速度で縦方向に搬送する。このときの画像側における定着ベルト1と上記コピー紙との分離性をトナー離型性として下記の基準により判定する。なお、ベタ画像の先端から画像の始まるまでの白紙の部分を余白といい、余白があると分離性は良くなる。
◎:余白なしでも分離する
○:紙がカールすることなく分離する
△:紙が少しカールするが、問題ないレベル
×:分離しない
(定着性)
60枚/分の印刷速度で、搬送方向に対して垂直方向に5cm幅のベタ黒帯状画像をA4サイズの普通紙に形成し、得られた画像を目視にて観察し、定着性を以下の基準により判定する。
◎:ベタ画像に定着不良による欠陥が全く見られない
○:ベタ画像に定着不良による欠陥がわずかにみられる場合がある
△:細かな欠陥がみられるが問題ないレベル
(フッ素原子含有量)
定着部材(定着ベルト)中、最表層のフッ素原子含有量は、前述したXPSにより求めた。
以上の結果を表IIIに示す。
Figure 2021047304
表IIIから明らかなように、本発明の定着部材を具備する電子写真画像形成装置は、定着性及びトナー離型性のいずれにも十分な性能を示していることが分かる。
10 定着ベルト
12 基材
16 最表層
50 画像形成装置
51 感光体ドラム
52 帯電装置
53 露光装置
54 現像装置
55、65 クリーニング装置
61 中間転写ベルト
62 一次転写ローラー
63 バックアップローラー
64、68 支持ローラー
66 二次転写ベルト
67 二次転写ローラー
70 定着装置
71 加熱ローラー
72 第1加圧ローラー
73 第2加圧ローラー
74、75 ヒータ
76 第1温度センサー
77 第2温度センサー
78 気流分離装置
79 案内板
80 案内ローラー
81 給紙装置
82 スキャナー
83 CCDセンサー
84 画像処理部
91 給紙トレイユニット
92 レジストローラー対
D 原稿
S 紙

Claims (6)

  1. シリコーンゴムを含有する最表層を備える定着部材であって、
    前記シリコーンゴムが、フッ素原子を有するシランカップリング剤の単独重合物を含有することを特徴とする定着部材。
  2. 少なくとも基材と前記最表層とからなることを特徴とする請求項1に記載の定着部材。
  3. 前記シリコーンゴム中のX線光電子分光法(XPS)で解析されるフッ素原子の含有量が、0.05〜10.00%の範囲内であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の定着部材。
  4. 温度25℃における前記最表層の硬度が、3〜50度の範囲内であることを特徴とする請求項1から請求項3までのいずれか一項に記載の定着部材。
  5. 請求項1から請求項4までのいずれか一項に記載の定着部材を製造する定着部材の製造方法であって、
    前記フッ素原子を有するシランカップリング剤を溶解した溶液を前記シリコ―ンゴムに含浸させる工程と、
    含浸した前記シリコ―ンゴムを加熱することにより、シリコーンゴム中の前記シランカップリング剤を重合させる工程とを有することを特徴とする定着部材の製造方法。
  6. 請求項1から請求項4までのいずれか一項に記載の定着部材を具備することを特徴とする電子写真画像形成装置。
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