JP2021046846A - 燃料噴射制御装置及び燃料噴射制御方法 - Google Patents

燃料噴射制御装置及び燃料噴射制御方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2021046846A
JP2021046846A JP2019171315A JP2019171315A JP2021046846A JP 2021046846 A JP2021046846 A JP 2021046846A JP 2019171315 A JP2019171315 A JP 2019171315A JP 2019171315 A JP2019171315 A JP 2019171315A JP 2021046846 A JP2021046846 A JP 2021046846A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
injection
fuel
fuel injection
compression stroke
amount
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2019171315A
Other languages
English (en)
Inventor
亮 草壁
Akira Kusakabe
亮 草壁
助川 義寛
Yoshihiro Sukegawa
義寛 助川
猿渡 匡行
Masayuki Saruwatari
匡行 猿渡
大場 久浩
Hisahiro Oba
久浩 大場
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Hitachi Astemo Ltd
Original Assignee
Hitachi Astemo Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Hitachi Astemo Ltd filed Critical Hitachi Astemo Ltd
Priority to JP2019171315A priority Critical patent/JP2021046846A/ja
Priority to PCT/JP2020/026523 priority patent/WO2021053935A1/ja
Publication of JP2021046846A publication Critical patent/JP2021046846A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Classifications

    • FMECHANICAL ENGINEERING; LIGHTING; HEATING; WEAPONS; BLASTING
    • F02COMBUSTION ENGINES; HOT-GAS OR COMBUSTION-PRODUCT ENGINE PLANTS
    • F02DCONTROLLING COMBUSTION ENGINES
    • F02D29/00Controlling engines, such controlling being peculiar to the devices driven thereby, the devices being other than parts or accessories essential to engine operation, e.g. controlling of engines by signals external thereto
    • F02D29/06Controlling engines, such controlling being peculiar to the devices driven thereby, the devices being other than parts or accessories essential to engine operation, e.g. controlling of engines by signals external thereto peculiar to engines driving electric generators
    • FMECHANICAL ENGINEERING; LIGHTING; HEATING; WEAPONS; BLASTING
    • F02COMBUSTION ENGINES; HOT-GAS OR COMBUSTION-PRODUCT ENGINE PLANTS
    • F02DCONTROLLING COMBUSTION ENGINES
    • F02D41/00Electrical control of supply of combustible mixture or its constituents
    • F02D41/02Circuit arrangements for generating control signals
    • F02D41/04Introducing corrections for particular operating conditions
    • FMECHANICAL ENGINEERING; LIGHTING; HEATING; WEAPONS; BLASTING
    • F02COMBUSTION ENGINES; HOT-GAS OR COMBUSTION-PRODUCT ENGINE PLANTS
    • F02DCONTROLLING COMBUSTION ENGINES
    • F02D41/00Electrical control of supply of combustible mixture or its constituents
    • F02D41/30Controlling fuel injection
    • F02D41/32Controlling fuel injection of the low pressure type
    • F02D41/34Controlling fuel injection of the low pressure type with means for controlling injection timing or duration
    • FMECHANICAL ENGINEERING; LIGHTING; HEATING; WEAPONS; BLASTING
    • F02COMBUSTION ENGINES; HOT-GAS OR COMBUSTION-PRODUCT ENGINE PLANTS
    • F02DCONTROLLING COMBUSTION ENGINES
    • F02D43/00Conjoint electrical control of two or more functions, e.g. ignition, fuel-air mixture, recirculation, supercharging or exhaust-gas treatment
    • FMECHANICAL ENGINEERING; LIGHTING; HEATING; WEAPONS; BLASTING
    • F02COMBUSTION ENGINES; HOT-GAS OR COMBUSTION-PRODUCT ENGINE PLANTS
    • F02DCONTROLLING COMBUSTION ENGINES
    • F02D45/00Electrical control not provided for in groups F02D41/00 - F02D43/00
    • FMECHANICAL ENGINEERING; LIGHTING; HEATING; WEAPONS; BLASTING
    • F02COMBUSTION ENGINES; HOT-GAS OR COMBUSTION-PRODUCT ENGINE PLANTS
    • F02PIGNITION, OTHER THAN COMPRESSION IGNITION, FOR INTERNAL-COMBUSTION ENGINES; TESTING OF IGNITION TIMING IN COMPRESSION-IGNITION ENGINES
    • F02P5/00Advancing or retarding ignition; Control therefor
    • F02P5/04Advancing or retarding ignition; Control therefor automatically, as a function of the working conditions of the engine or vehicle or of the atmospheric conditions
    • F02P5/145Advancing or retarding ignition; Control therefor automatically, as a function of the working conditions of the engine or vehicle or of the atmospheric conditions using electrical means
    • F02P5/15Digital data processing
    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02TCLIMATE CHANGE MITIGATION TECHNOLOGIES RELATED TO TRANSPORTATION
    • Y02T10/00Road transport of goods or passengers
    • Y02T10/10Internal combustion engine [ICE] based vehicles
    • Y02T10/40Engine management systems

Landscapes

  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Combustion & Propulsion (AREA)
  • Mechanical Engineering (AREA)
  • General Engineering & Computer Science (AREA)
  • Signal Processing (AREA)
  • Electrical Control Of Air Or Fuel Supplied To Internal-Combustion Engine (AREA)
  • Combined Controls Of Internal Combustion Engines (AREA)
  • Electrical Control Of Ignition Timing (AREA)
  • Control Of Vehicle Engines Or Engines For Specific Uses (AREA)

Abstract

【課題】環境条件が変化した場合であっても、点火プラグ周りにリッチな混合気を形成し、かつ排気を抑制する。【解決手段】本発明の一態様は、内燃機関の1燃焼サイクル中に燃料噴射装置101から複数回燃料を噴射する燃料噴射制御装置150において、燃料噴射装置101に供給する燃料圧力が高いほど、1燃焼サイクルにおける圧縮行程803の後期の中で一番大きな噴射量を伴う最大噴射よりも前に行われる噴射の噴射量の合計値に対する、最大噴射の噴射量の比率を小さくする方向に制御する制御部104、を備える。【選択図】図12

Description

本発明は、内燃機関の燃焼室内に燃料を噴射する燃料噴射装置を制御する燃料噴射制御装置及び燃料噴射制御方法に関する。
近年、地球温暖化防止や、化石燃料の資源枯渇抑制の観点から、内燃機関のエンジンでは、モード走行時の二酸化炭素(CO2)を低減することから求められる。CO2低減のためには燃料の消費量を抑制する必要があり、燃料が空気に対して希薄な状態で燃焼されるリーン燃焼が有効な技術である。特にリーン燃焼では、エンジン筒内の等量比が薄い状態で混合気に着火する必要があるため、燃焼速度が緩慢となり、燃焼が不安定となりやすい。このため、圧縮行程の後期に燃料を噴射して点火プラグ近傍を僅かに燃料がリッチな状態とすることで燃焼を安定化させる弱成層燃焼が有効な手段である。
近年、排気規制の強化に伴い、モード走行時のエンジンからの排気中の未燃焼粒子(PM:Particulate Matter)の総量と、その個数である未燃焼粒子数(PN:Particulate Number)と、HC(炭化水素)と、NOx(窒素酸化物)とを低減することが求められている。排気中のPN及びHCは、燃料噴射装置から噴射した燃料が、燃焼室のピストン及びボア壁面に付着することで生じる。また、未燃焼粒子数は、点火の直前における空気と燃料との比である当量比が大きい、すなわち、燃料が濃い領域があると増加する傾向にある。このことから、PNとHCを抑制するためには、燃料付着を低減することが有効である。HCは、触媒が活性化していないエンジン始動時に多く排出されるため、点火タイミングを暖機完了後のアイドルよりもリタード(遅角)させ、排気損失を大きくして排気の温度を高くして触媒を早期に昇温させる技術が求められる。
点火リタードでは、圧縮行程が終了し、ピストンが上死点から下死点に向かうまでの膨張期間で点火するため、燃焼が不安定となり易い。したがって、確実に点火するためには、点火プラグ周りに点火に必要な濃い(リッチな)混合気を形成する技術が求められる。点火するタイミングにおいて、点火プラグの周りにリッチな混合気を形成するためには、ピストンの冠面にキャビティを形成し、圧縮行程に燃料を噴射してキャビティに入れた混合気を巻き上げることで、点火プラグ周りに混合気を集める技術が有効である。
このためには、貫徹力が強い燃料を噴射して、混合気を点火プラグに確実に届かせる必要がある。また、噴霧の貫徹力は、燃料噴射装置に供給される燃料の圧力に依存して変化するため、燃料圧力などの環境条件の変化に応じて噴射条件を変化させる必要がある。
上記のような環境条件の変化に対応する手段として、特許文献1に開示されている方法がある。特許文献1では、燃料圧力が高い場合には、圧縮行程の2つの噴射のいずれか一方の噴射を、最大高さ位置(フルリフト)よりも低い高さ位置(ハーフリフト)で制御する方法が開示されている。
特開2018−204447号公報
エンジン始動後の触媒暖気時には、燃焼安定性に必要な点火プラグ周りの混合気を確保するため、圧縮行程に燃料を噴射する必要がある。特に燃料噴射装置が燃焼室の側面に取り付けられているサイド噴射の場合、燃料噴射装置と点火プラグとの距離が長いため、点火タイミングにおいて、点火プラグ周りに混合気を形成するためには、圧縮行程に噴射する噴射量を多くする必要がある。圧縮行程では、燃料噴射装置とピストン冠面との幾何学的な距離が短いため、噴射した燃料がピストンに付着しやすく、燃焼室から排出されるHCやPNが多くなってしまう課題がある。
触媒暖気時においては、エンジンを始動した直後であるので、燃料噴射装置に供給する燃料の圧力が低い状態から目標とする圧力まで徐々に上昇する。このような環境条件が変化する、例えば燃料噴射装置に供給される燃料の圧力が変化する場合、環境条件が変化する前と同じ噴射条件で燃料を噴射すると、点火プラグ周りに点火に必要な濃い(リッチな)混合気を形成できない場合や、PN、HC、NOxなどの排気が増加する場合があった。
上記の状況から、環境条件が変化した場合であっても、点火プラグ周りにリッチな混合気を形成し、かつ排気を抑制する手法が要望されていた。
上記課題を解決するために、内燃機関の1燃焼サイクル中に燃料噴射装置から複数回燃料を噴射する燃料噴射制御装置において、燃料噴射装置の燃料圧力が高いほど、1燃焼サイクルにおける圧縮行程の後期の中で一番大きな噴射量を伴う最大噴射よりも前に行われる噴射の噴射量の合計値に対する、最大噴射の噴射量の比率を小さくする方向に制御する制御部、を備える。
本発明の少なくとも一態様によれば、燃料圧力などの環境条件が変化した場合であっても燃料噴射装置の噴霧の貫徹力を調整し、点火プラグ周りにリッチな混合気を形成し、かつ排気を抑制することができる。
上記した以外の課題、構成及び効果は、以下の実施形態の説明により明らかにされる。
本発明の第1の実施形態に係る燃料噴射装置とECUを含む燃料噴射システムの一例を示した概略図である。 本発明の第1の実施形態に係る燃料噴射装置の縦断面の例と、この燃料噴射装置に接続されるECUの構成例を示した図である。 本発明の第1の実施形態における燃料噴射装置の駆動部構造の断面拡大図を示した図である。 燃料噴射装置を駆動する際における一般的な、噴射パルス、駆動電圧、駆動電流、及び弁体変位量についての時間変化を示したタイミングチャートである。 本発明の第1の実施形態における燃料噴射装置のECUの詳細を示した回路図である。 本発明の第1の実施形態におけるエンジンの気筒内及びエンジン周囲の構成についての模式図である。 本発明の第1の実施形態におけるエンジンの吸気系及び排気系の一部を示した構成図である。 エンジン動作時の一般的なクランク角度と噴射タイミングの関係を示した図である。 図6のA−A´断面において、燃料噴射装置の方向を向いた場合における燃料噴射装置のオリフィスから噴射される燃料噴霧についての投影図である。 エンジン停止後時間と燃料噴射装置に供給する燃料圧力の関係を示した図である。 本発明の第1の実施形態における燃料噴射装置に供給する燃料圧力と、燃焼変動率(CoV)、NOx、及びPNの関係を示した図である。 本発明の第1の実施形態におけるクランク角度と噴射タイミングの関係を示した図である。 本発明の第1の実施形態における燃料圧力と、吸気行程の噴射量に対する圧縮行程の噴射量の比率との関係を示した図である。 本発明の第2の実施形態における燃料圧力ごとの、クランク確度と噴射タイミングの関係を示した図である。 本発明の第2の実施形態における燃焼圧力と吸気行程に対する圧縮行程の噴射量の比率との関係、及び、燃焼圧力と圧縮行程の噴射タイミングとの関係を示した図である。 本発明の第2の実施形態における燃料噴射装置に供給する燃料圧力と、燃焼変動率(CoV)、NOx、及びPNの関係を示した図である。 本発明の第3の実施形態における点火リタード量と1燃焼サイクル当たりの噴射量の関係を示した図である。 本発明の第3の実施形態における燃料噴射装置に通電する噴射パルス幅と、噴射量及び噴射量のショットばらつきとの関係を示した図である。 本発明の第4の実施形態におけるエンジン再始動後の時間と、エンジン回転数及び燃料圧力との関係を示した図である。 本発明の第5の実施形態における燃料圧力ごとの、クランク確度と噴射タイミングの関係を示した図である。
以下、本発明を実施するための形態の例について、添付図面を参照して説明する。本明細書及び添付図面において実質的に同一の機能又は構成を有する構成要素については、同一の符号を付して重複する説明を省略する。
<1.第1の実施形態>
[燃料噴射システムの構成]
本発明の第1の実施形態に係る燃料噴射制御装置が適用された燃料噴射システムについて、図1〜図13を用いて説明する。
始めに、図1を用いて、第1の実施形態に係る燃料噴射システムの概略を説明する。
図1は、第1の実施形態に係る燃料噴射システムの一例を示した概略図である。燃料噴射システム1は、本発明を筒内直接噴射式エンジン(内燃機関の一例)に適用した例であるが、本発明はこの例に限らない。本明細書において、筒内直接噴射式エンジンを単に「エンジン」と称することがある。
本実施形態に係る筒内直接噴射式エンジンは、4つの気筒108(エンジンシリンダ)を備える。燃料噴射システム1は、4つの気筒108に対応して、4つの燃料噴射装置101A〜101Dと、燃料噴射制御装置の一例としてのECU(Engine Control Unit)150を備える。以下の説明において、燃料噴射装置101A〜101Dを区別しない場合には、「燃料噴射装置101」と称する。
燃料噴射システム1の各気筒108には、燃料噴射装置101A〜101Dが、その燃料噴射孔219(後述する図2参照)から霧状の燃料が燃焼室107に直接噴射されるように設置されている。図示しない燃料タンクに貯留された燃料は、燃料ポンプ106によって昇圧されて高圧配管120を介してレール状の燃料配管105に送出され、燃料配管105から各燃料噴射装置101A〜101Dに配送されるようになっている。燃料配管105の一端部には、燃料配管105内の燃料の圧力(燃料圧力:燃圧と称する)を測定する圧力センサ102が設置されている。
燃料配管105内の燃料圧力は、燃料ポンプ106によって吐出された燃料の流量と、各燃料噴射装置101によって各燃焼室107内に噴射された燃料の噴射量とのバランスによって変動する。
本実施形態では、ECU150が、圧力センサ102から出力されるセンサ情報(燃圧値を示す情報)に基づいて、燃料配管105内の燃圧が所定の目標圧力値となるように、燃料ポンプ106の燃料の吐出量を制御する。
燃料噴射装置101による燃料の噴射は、ECU150のCPU104(制御部の一例)から送出される噴射パルス(図4参照)によって制御される。すなわち、燃料の噴射量は、燃料噴射装置101に供給される噴射パルスのパルス幅(噴射パルス幅)に基づいて決定される。この噴射パルス幅の指令が、燃料噴射装置101ごとに設けられた駆動回路103に入力される。駆動回路103は、CPU104からの指令に基づいて駆動電流の波形を決定し、噴射パルス(パルス幅)に基づく時間だけ燃料噴射装置101に上記波形の駆動電流を供給する。
すなわち、燃料噴射制御装置の制御部(ECU150のCPU104)は、後述する1燃焼サイクルにおける噴射間の噴射量の比率を変更するときに、噴射パルスのパルス幅に基づいて燃料噴射装置(燃料噴射装置101)を駆動する電流波形を変更する。このように、噴射パルスのパルス幅に基づいて電流波形を変更することで、燃料噴射装置が噴射する燃料の噴射量を調整することができる。また、CPU104から駆動回路103に送出する噴射パルスのタイミング(オフ/オンの切り替わり)を変更することで、燃料噴射装置が燃料を噴射するタイミングを調整することができる。
なお、ECU150の駆動回路103とCPU104とは、一体の部品や基板として実装されてもよい。また、駆動回路103が、ECU150とは別体でもよい。
次に、燃料噴射装置101及びECU150の構成と基本的な動作を説明する。
図2は、燃料噴射装置101の縦断面の例と、この燃料噴射装置101に接続されるECU150の構成例を示す。
図3は、燃料噴射装置101の駆動部構造の断面拡大図である。
ECU150のCPU104は、エンジンの状態を示す各種信号を各種センサから取り込んで、エンジンの運転条件に応じて燃料噴射装置101から噴射する燃料の噴射量を制御するための噴射パルスの幅や噴射タイミングの演算を行う。CPU104は、演算結果に対応する噴射パルスを駆動回路103に出力する。
CPU104は、各種センサからの信号を取り込むための図示しないA/D変換器、I/Oポート等を備えている。各種センサとしては、例えば、エンジン回転数(回転速度)を測定可能なセンサ(例えば、エンジンの図示しないクランク軸の回転角を検出するセンサ)や、燃料配管105内の燃圧を測定する圧力センサ102や、排気温度を測定する排気温度センサ等がある。
CPU104から出力される噴射パルスは、信号線110を通して駆動回路103に入力される。駆動回路103は、燃料噴射装置101のソレノイド205(コイルの一例)に印加する電圧を制御し、ソレノイド205に電流を供給する。CPU104は、通信ライン111を通して、駆動回路103(図5の駆動IC502)と通信可能であり、燃料噴射装置101に供給されている燃料の圧力や運転条件等によって、駆動回路103により生成する駆動電流を切り替えるように制御したり、駆動電流及び電流を出力する時間の設定値を変更したりすることができる。
燃料噴射装置101は、通常時閉弁型の電磁弁(電磁式燃料噴射装置)であり、コイルの一例としてのソレノイド205と、可動子202と、固定コア207と、略棒状の弁体214とを備える。燃料噴射装置101は、ソレノイド205が通電されていない状態では、スプリング210によって弁体214が閉弁方向(図面下方向)に付勢され、弁体214が弁座218に密着した状態(閉弁状態)となっている。
可動子202は、戻しばね212によって開弁方向へ付勢されている。閉弁状態においては、スプリング210により弁体214に作用する力が、戻しばね212による力に比べて大きいため、可動子202の上端面202Aが弁体214のつば部302に接触し、可動子202は静止した状態となる。
弁体214と可動子202とは、相対変位可能に構成されており、共にノズルホルダ201に内包されている。ノズルホルダ201は、その内部に戻しばね212のばね座となる端面303を有している。スプリング210による付勢力は、固定コア207の内径に固定されるバネ押さえ224の押し込み量によって組み立て時に調整されている。
燃料噴射装置101においては、固定コア207、可動子202、ノズルホルダ201、及びハウシング203によって磁気回路が構成されている。可動子202と、固定コア207との間には、空隙301が設けられている。ノズルホルダ201の空隙301に対応する部分(空隙301の外周側)には、ノズルホルダ201の外周面に周方向の溝部が形成されてなる磁気絞り211が形成されている。
ソレノイド205は、ボビン204に巻き付けられた状態でノズルホルダ201の外周側に取り付けられている。ノズルホルダ201の弁体214の弁座218側の先端部の近傍となる位置には、ロッドガイド215が固定されている。このような構成により、弁体214は、弁体214のつば部302と固定コア207とが摺動する箇所と、弁体214とロッドガイド215とが摺動する箇所との2つの摺動箇所により、弁軸方向(図面上下方向)にガイドされて動くようになっている。
ノズルホルダ201の先端部には、弁座218と燃料噴射孔219とが形成されたオリフィス216が固定されている。このような構成により、弁体214の先端部と、オリフィス216の弁座218とが接触することにより、ノズルホルダ201と弁体214の先端部との間の内部空間(燃料通路)を封止した状態(閉弁状態)にできるようになっている。
燃料配管105から燃料噴射装置101に供給された燃料は、燃料噴射装置101が閉弁状態の場合においては、燃料通路孔231を通って弁体214の先端側まで流れるが、弁体214の弁座218側の先端部分とオリフィス216の弁座218とが接触して燃料噴射孔219を封止しているので、燃料噴射孔219を介して外部に噴射されない。燃料噴射装置101が閉弁状態の場合には、燃料圧力によって弁体214の上部と下部との間に差圧が生じ、燃料圧力と弁座位置における受圧面積とを乗じて求まる差圧力及びスプリング210の荷重によって弁体214が閉弁方向に押されている。
そして、燃料噴射装置101が閉弁状態の場合において、ソレノイド205への電流の供給が開始されると、磁気回路に磁界が生じ、固定コア207と可動子202との間に磁束が通過して、可動子202に磁気吸引力が作用する。可動子202に作用する磁気吸引力が、差圧力及びスプリング210による荷重を超えるタイミングで、可動子202は、固定コア207に向かう方向に変位を開始する。そして、可動子202の移動に伴い弁体214が開弁動作を開始した後、可動子202は固定コア207に近づくように移動し、可動子202が固定コア207に衝突する。
可動子202が固定コア207に衝突した後には、可動子202は固定コア207からの反力を受けて跳ね返る動作をするが、可動子202に作用する磁気吸引力によって可動子202は固定コア207に吸引され、やがて停止し、開弁動作を終了する。このとき、可動子202には、戻しばね212によって固定コア207の方向に力が作用しているため、跳ね返りが収束するまでの時間を短縮できる。跳ね返り動作が小さいことで、可動子202と固定コア207との間のギャップが大きくなってしまう時間が短くなり、より小さい噴射パルス幅に対しても安定した動作が行えるようになる。
このようにして開弁動作を終えた可動子202及び弁体214は、開弁状態で静止する。開弁状態では、弁体214と弁座218との間には隙間が生じており、燃料噴射孔219より燃料が噴射される。なお、燃料通路孔231を通って供給される燃料は、固定コア207に設けられた中心孔と、可動子202に設けられた下部燃料通路孔305を通過して下流方向(燃料噴射孔219側)へ流れる。
この後、燃料噴射装置101のソレノイド205への通電が断たれると、磁気回路中に生じていた磁束が消滅し、可動子202に作用する磁気吸引力も消滅する。このように可動子202に作用する磁気吸引力が消滅すると、可動子202及び弁体214は、スプリング210の荷重と、差圧力とによって、弁座218に接触する閉弁位置に押し戻される。
このように、弁体214が開弁状態から閉弁状態となる際には、弁体214が弁座218と接触した後、可動子202が弁体214から分離して閉弁方向に移動して、或る程度の時間運動した後に、戻しばね212の作用によって、閉弁状態の初期位置まで戻される。すなわち、弁体214が閉弁状態となる瞬間に可動子202が、弁体214から離間する。これにより、弁体214が弁座218と衝突する瞬間の可動部材の質量を可動子202の質量分だけ低減することができるため、可動部材(実質的には弁体214)が弁座218と衝突する際の衝突エネルギーを小さくすることが可能である。したがって、弁体214が弁座218に衝突することによって生じる弁体214のバウンドを抑制できる。
本実施形態に係る燃料噴射装置101では、開弁時に可動子202が固定コア207と衝突した瞬間、及び、閉弁時に弁体214が弁座218と衝突した瞬間の短い時間において、弁体214と可動子202との間で相対的な変位を生じることにより、可動子202の固定コア207に対するバウンドや、弁体214の弁座218に対するバウンドを抑制することができる。
次に、第1の実施形態に係るECU150の構成について説明する。
図5は、燃料噴射装置101の駆動回路103を含むECU150の詳細を示した回路図である。
ECU150は、制御部の一例としてのCPU104と、駆動回路103とを備えている。例えば駆動回路103には、駆動IC(Integrated Circuit)502が内蔵されている。CPU501と駆動IC502を含めて、制御部と言うこともできる。CPU104は、圧力センサ102に加え、図示しないA/F(Air Flow)センサ、酸素センサ、及びクランク角センサ等の各種センサが出力するエンジンの状態を示す信号(情報)を取り込む。
圧力センサ102は、燃料噴射装置101の上流の燃料配管105に取り付けられている(図1参照)。A/Fセンサは、気筒108への流入空気量(空燃比)を測定する。酸素センサは、気筒108から排出された排気ガスの酸素濃度を検出する。CPU104は、各種センサから取り込んだ信号に基づいて、内燃機関の運転条件に応じて燃料噴射装置101から噴射する燃料の噴射量を制御するための噴射パルスのパルス幅(噴射パルス幅Ti)や、噴射タイミングの演算を行う。
そして、CPU104は、噴射パルス幅Ti(すなわち噴射量)や噴射タイミングを演算後、通信ライン504を通して駆動回路103の駆動IC502に、適切なタイミングで噴射パルス幅Tiの噴射パルスを出力する。その後、駆動IC502によって、スイッチング素子505,506,507の通電/非通電を切り替えて燃料噴射装置101(ソレノイド205)へ駆動電流を供給する。
ECU150には、噴射パルス幅の演算等のエンジンの制御に必要な数値データを記憶させるために、レジスタ及びメモリが搭載されている。レジスタ及びメモリは、CPU104に内包されていてもよいし、CPU104の外部に配置されてもよい。図5では、CPU104の外部にメモリ104M(記憶媒体の一例)が配置された例が示されている。
メモリ104Mには、CPU104が燃料噴射装置101の駆動を制御するためのコンピュータープログラムが格納されていてもよい。この場合、CPU104が、メモリ104Mに記録されたコンピュータープログラムを読み出して実行することにより、燃料噴射装置101の駆動を制御する機能の全部又は一部が実現される。なお、CPU104に代えてMPU(Micro Processing Unit)等の他の演算処理装置を用いてもよい。
スイッチング素子505,506,507は、例えばFETやトランジスタ等によって構成され、燃料噴射装置101への通電/非通電を切り替えることができる。
スイッチング素子505は、昇圧電圧VHを供給する昇圧回路514(高電圧源)と、燃料噴射装置101が備えるソレノイド205の高電圧側の端子(電源側端子590)との間に接続されている。昇圧回路514が出力する昇圧電圧VHは、不図示の低電圧源(例えばバッテリ)が駆動回路103に供給する低電圧(バッテリ電圧VB)よりも高い。ここで、バッテリ電圧VBの電圧値は、例えば、12〜14V程度である。昇圧回路514の初期電圧値である昇圧電圧VHは、例えば60Vであり、バッテリ電圧VBを昇圧回路514によって昇圧することで生成される。
昇圧回路514は、例えばDC/DCコンバータ等により構成するようにしてもよく、図5に示すように、ソレノイド530(コイル)、トランジスタ531(スイッチング素子)、ダイオード532、及びコンデンサ533で構成するようにしてもよい。図5に示す昇圧回路514の場合、トランジスタ531をONにすると、バッテリ電圧VBによる電流はソレノイド530を介して接地電位534側へ流れる。一方、トランジスタ531をOFFにすると、ソレノイド530に発生する高い電圧がダイオード532を通して整流され、コンデンサ533に電荷が蓄積される。トランジスタ531のON/OFFが繰り返し実行されることで、コンデンサ533の電圧が昇圧電圧VHまで上昇する。トランジスタ531は、駆動IC502もしくはCPU104と接続されて、駆動IC502もしくはCPU104によりON/OFFが制御される。昇圧回路514から出力される電圧は、駆動IC502もしくはCPU501で検出できるように構成されている。
ソレノイド205の電源側端子590とスイッチング素子505との間には、昇圧回路514(高電圧源)から、ソレノイド205及び接地電位515の方向へ電流が流れるようにダイオード535が設けられている。また、ソレノイド205の電源側端子590とスイッチング素子507との間にも、低電圧源(例えばバッテリ)から、ソレノイド205及び接地電位515の方向へ電流が流れるようにダイオード511が設けられている。したがって、スイッチング素子506が通電している間は、接地電位515からソレノイド205を介して、バッテリ及び昇圧回路514へ向けては電流が流れない構成となっている。
また、スイッチング素子507は、低電圧源であるバッテリと燃料噴射装置101の電源側端子590との間に接続されている。スイッチング素子506は、燃料噴射装置101の低電圧側の端子と接地電位515との間に接続されている。駆動IC502は、電流検出用の抵抗508,512,513の各々により、燃料噴射装置101(駆動回路103の各部)に流れている電流値を検出する。駆動IC502は、検出した電流値によって、スイッチング素子505,506,507の通電/非通電を切り替え、所望の駆動電流を生成している。
ダイオード509,510は、燃料噴射装置101のソレノイド205に逆電圧を印加して、ソレノイド205に供給されている電流を急速に低減するために備え付けられている。CPU104は、通信ライン503を通して、駆動IC502と通信を行っており、燃料噴射装置101に供給する燃料の圧力や運転条件に応じて、駆動IC502によって生成する駆動電流を切り替えることが可能である。また、抵抗508,512,513の両端は、駆動IC502のA/D変換ポートに接続されており、抵抗508,512,513の両端にかかる電圧を駆動IC502で検出できるように構成されている。
次に、CPU104から出力される噴射パルスと、燃料噴射装置101が備えるソレノイド205の端子両端の駆動電圧と、駆動電流(励磁電流)と、燃料噴射装置101の弁体214の変位量(弁体挙動)との関係について説明する。
図4は、燃料噴射装置101を駆動する際における一般的な、噴射パルス、駆動電圧、駆動電流、及び弁体変位量についての時間変化を示したタイミングチャートである。
駆動IC502にCPU104からの噴射パルス(ON)が入力されると、駆動IC502は、スイッチング素子505,506を通電してバッテリ電圧よりも高い高電圧401(昇圧回路514により昇圧された昇圧電圧VH)をソレノイド205に印加して、ソレノイド205への電流の供給を開始する。駆動IC502は、ソレノイド205への電流値が予めCPU104において定められたピーク電流値Ipeakに到達すると、高電圧401の印加を停止する。
その後、駆動IC502は、スイッチング素子505、スイッチング素子506、及びスイッチング素子507を非通電にする。この結果、燃料噴射装置101のインダクタンスによる逆起電力によって、ダイオード509とダイオード510とが通電し、電流が高圧電源(昇圧回路514)側へ帰還され、燃料噴射装置101に供給されていた電流は、電流402のようにピーク電流値Ipeakから急速に低下する。
なお、ピーク電流値Ipeakから電流403(保持電流)への移行期間にスイッチング素子506をONにするようにしてもよく、このようにすると、逆起電力エネルギーによる電流は接地電位515側に流れ、電流が回路内を回生し、ソレノイド205には、ほぼ0Vの電圧が印加されて電流は緩やかに低下する。
電流値が所定の電流値404より小さくなると、駆動IC502は、スイッチング素子506を通電し、スイッチング素子507の通電/非通電によってバッテリ電圧VBの印加を行い、所定の電流403が保たれるように制御するスイッチング期間を設ける。
ここで、燃料噴射装置101に供給される燃料圧力が大きくなると、弁体214に作用する閉弁方向の流体力が増加し、弁体214が目標開度に到達するまでの時間が長くなる。この結果、ピーク電流Ipeakの到達時間に対して目標開度への到達タイミングが遅れる場合があるが、電流を電流402のように急速に低減すると、可動子202に働く磁気吸引力も急速に低下するため、弁体214の挙動が不安定となり、場合によっては通電中にも関わらず閉弁を開始してしまう場合がある。これに対し、ピーク電流Ipeakから電流403への移行中にスイッチング素子505をONにして電流を緩やかに減少させるようにすると、磁気吸引力の急速な低下を抑制できる。それにより、高燃料圧力での弁体214の安定性を確保でき、噴射量のばらつきを抑制することが可能となる。
このような駆動電流のプロファイルにより、燃料噴射装置101は駆動される。高電圧401の印加からピーク電流値Ipeakに達するまでの間に、可動子202及び弁体214がタイミングt41で変位を開始し、その後、可動子202及び弁体214が最大高さ位置に到達する。可動子202が最大高さ位置に到達したタイミングt42で、可動子202が固定コア207に衝突し、可動子202が固定コア207との間でバウンド動作を行う。弁体214は可動子202に対して相対変位可能に構成されているため、弁体214は可動子202から離間し、弁体214の変位は、最大高さ位置を超えてオーバーシュートする。その後、電流403によって生成される磁気吸引力と戻しばね212の開弁方向への力によって、可動子202は、所定の最大高さ位置で静止し、弁体214は可動子202に着座して最大高さ位置で静止し、開弁状態となる(タイミングt43)。
なお、弁体と可動子とが一体となっている可動弁を持つ燃料噴射装置の場合には、弁体の変位量は、最大高さ位置よりも大きくならず、最大高さ位置に到達後の可動子と弁体の変位量は同等となる。
次に、第1の実施形態に係るエンジンの気筒108内及びエンジン周囲の構成について説明する。
図6は、第1の実施形態におけるエンジンの気筒108内及びエンジン周囲の構成を示す。図6は、エンジンの気筒108内の中心における断面図であり、燃料噴射装置101のオリフィス216の先端部から燃料が噴射された直後の状態を示している。筒内直接噴射式エンジンでは、気筒108内に直接燃料が噴射される。なお、吸気バルブ605を2個備え、排気バルブ610を2個備えている筒内直接噴射式エンジンでは、気筒108内の中心における断面では、吸気バルブ605及び排気バルブ610は見えないが、図6では、説明上、吸気バルブ605と排気バルブ610とを図示している。
エンジンは、燃料噴射装置101と、点火プラグ604と、吸気ポート607と、排気ポート608と、ピストン609と、吸気バルブ605と、排気バルブ610とを備える。
ピストン609の点火プラグ604側の面(冠面)には、ピストン609の点火プラグ604側(図中右側)の上端部よりも低いキャビティ606(凹部)が形成されている。このキャビティ606は、燃料噴射装置101から噴射された燃料と吸気ポート607から吸気された空気との混合気を一時的に保持する機能を有している。
ここで、本実施形態では、キャビティ606とは、ピストン609の点火プラグ604側の冠面において、上端部から最も深い(点火プラグ604側から最も遠い)部分のことをいう。キャビティ606は、点火プラグ604のマイナス電極612とプラス電極613との間の中心ギャップ617から、ピストン609のストローク方向(摺動方向)へ引いた一点鎖線の延長線618がキャビティ606内となるような範囲に形成されている。中心ギャップ617は、マイナス電極612とプラス電極613との間の火花が発生する発火位置を含む領域である。
本実施形態では、キャビティ606は、ストローク方向に垂直な方向については、吸気ポート607側(図面左側)から、中心ギャップ617のピストン609のストローク方向の延長線618との交点よりも排気ポート608側(図面右側)となる範囲まで形成されている。このような構成により、キャビティ606に保持された混合気が、点火プラグ604の中心ギャップ617の直下(延長線618上)に位置することとなる。これにより、キャビティ606の混合気を点火プラグ604側に引き上げることにより、点火プラグ604による点火によって効果的に燃焼させることができる。
吸気ポート607には、当該吸気ポート607の上部流路(第1流路)620と下部流路(第2流路)611とに空気の流れを分断する固定式の隔壁602が取り付けられている。下部流路611の上流には、下部流路611側の開閉(解放/遮断)を行うバルブ601が設けられている。このバルブ601は、ECU150のCPU104により開弁/閉弁を制御できるように構成されている。図6においては、バルブ601が閉弁している状態を示している。
次に、エンジンにおける吸気及び排気に関わる構成の一部について説明する。
図7は、第1の実施形態におけるエンジンの吸気系及び排気系の一部を示す。
エンジンの燃焼室107には、図示しない吸気口から、エアークリーナー701、過給室704、インタークーラー705、スロットルバルブ706、及び吸気ポート607を介して、空気が吸入される。エアークリーナー701は、吸入した空気中のごみを取り除く。これにより、エンジンにごみが吸入されて、エンジン内部が摩耗等することが抑制される。
過給室704には過給機702が備えられている。過給機702は、吸気側の空気を圧縮するコンプレッサ702Aと、排気側に配置され排気ガスの流れにより回転されるタービン702Bと、コンプレッサ702Aとタービン702Bとを接続するシャフト707とを備える。過給機702においては、タービン702Bが排気ガスの流速に応じて回転され、さらにシャフト707を介してコンプレッサ702Aが回転される。その結果、エアークリーナー701を通過した空気が、コンプレッサ702Aの回転により圧縮されてインタークーラー705側に流される。これにより、エンジンの燃焼室107への流入空気量を増加することができ、エンジンの出力を向上することができる。なお、過給室704を通過した空気は、コンプレッサ702Aにより圧縮されるので、温度が上昇する。
インタークーラー705は、コンプレッサ702Aで圧縮された温度が上昇した空気を冷却する。スロットルバルブ706は、エンジンの燃焼室107に吸入する空気量を調整する。スロットルバルブ706の開度は、図示しないアクセルの開度等に基づいて、ECU150により制御される。
吸気ポート607には、吸気バルブ605が設けられており、所定のタイミングで吸気バルブ605を開弁することにより、エンジンの燃焼室107内に空気が流入する。
エンジンにおいては、吸気ポート607側のピストン609のストローク方向と交わる方向から燃焼室107に向けて燃料を噴射するように燃料噴射装置101が配置されている。
エンジンの燃焼室107においては、流入した空気と、燃料噴射装置101から噴射された燃料とが混合されて混合気となり、点火プラグ604による着火により、燃焼される。この混合気の燃焼により発生する力がピストン609、コンロッド(コネクティングロッド)710を介して、図示しないクランクシャフトに伝達される。
燃焼室107において混合気が燃焼して発生した排気ガスは、膨張行程に排気バルブ610が開弁された際に、排気ポート608を通過して、過給機702のタービン702Bを回転させる。タービン702Bを回転させた排気ガスは、触媒703を通過して、外部に排出される。触媒703は、例えば、パラジウム、ロジウム、及びプラチナなどにより作製された触媒を有する3元触媒であり、排ガス中に含まれるHC、NOx、CO(一酸化炭素)を触媒により還元をさせたり、酸化させたりすることにより除去する。この触媒703は、温度が低い場合では、還元能力が低いため、例えば、エンジンの始動直後においては、触媒703の温度を早期に暖めるための暖機が必要となる。
次に、エンジン動作時の一般的な噴射タイミングの制御について説明する。
図8は、エンジン動作時の一般的なクランク角度と噴射タイミングの関係を示す。図8において、横軸は、上死点後(ATDC)のクランクシャフトの角度(クランク角度)を示し、縦軸は、吸気バルブ605のリフト量(Valve lift)、燃焼室107の空気の乱れ速度(Turbulent velocity)、タンブル(tumble)を示す。図8においては、吸気バルブ605のリフト量を点線で示し、エンジンの燃焼室107内における空気の乱れ速度の平均値を破線で示し、燃焼室107内のタンブル(縦渦流)を実線で示す。クランク角度は、吸気行程のTDC(上死点)を−360degとし、BDC(下死点)を−180degとし、圧縮行程のTDCを0degとしている。
ECU150は、ピストン609がTDC(−360deg)に到達するタイミングt81、且つ排気バルブ610が閉弁する直前又は同時のタイミングにおいて、吸気バルブ605の開弁を開始させ、燃焼室107に空気を取り込む。
次いで、ECU150は、吸気バルブ605が開弁を開始し、最大リフト量に到達するまでの間のタイミングt82(クランク角度−300deg付近)において、吸気行程802の噴射(噴射パルス幅810)を行う。
次いで、ECU150は、ピストン609がBDCに到達して燃焼サイクルが圧縮行程803に入り、ピストン609がTDCに到達する前のタイミングt83(クランク角度−60deg付近)において、圧縮行程803の噴射(噴射パルス幅811)を行う。
次いで、ECU150は、ピストン609がTDCに到達した後の点火タイミングt84において、点火プラグ604による点火を行って、混合気に着火させて燃焼させる。
ここで、点火タイミングt84において点火プラグ604の電極周りに混合気を確保するためには、圧縮行程803の噴射量を多くすることが考えられる。しかしながら、圧縮行程803では燃料噴射装置101とピストン609との距離が近いため、燃料噴射装置101から噴射した燃料がピストン609に付着し、HCやPNが増加する場合があった。
次に、本実施形態に係る燃料噴射装置101から噴射される噴霧の状態について説明する。
図9は、図6のA−A’断面において、燃料噴射装置101の方向を向いた場合における燃料噴射装置のオリフィスから噴射される燃料噴霧についての投影図である。
燃料噴射装置101は、複数の燃料噴射孔を有するマルチホールタイプの燃料噴射装置である。燃料噴射装置101は、例えば、点火プラグ604を指向する噴霧D1を形成する燃料噴射孔と、吸気バルブ605に近い方向へ噴射される噴霧D2,D6のそれぞれを形成する2つの燃料噴射孔と、ピストン609側を指向する噴霧D3,D4,D5のそれぞれを形成する3つの燃料噴射孔との合計6つの燃料噴射孔を備える。
燃料噴射装置101による噴霧をこのようにしたのは、圧縮行程における燃料の噴射において、噴霧D4をキャビティ606に入れて、点火プラグ604の近傍に当量比の高い混合気を形成するコンセプトに基づいている。キャビティ606の大きさや、噴射タイミングによっては噴霧D1,D2,D6をキャビティ606内に入れるようにしてもよい。
第1実施形態における燃料噴射装置101では、噴霧D1,D2,D6に比べて、ピストン609を指向する噴霧D3,D4,D5の流量を小さくするように構成するとよい。この構成により、圧縮行程に燃料を噴射する場合であっても、ピストン609への燃料付着を抑制できるため、PNやHCを低減することができる。具体的には、噴霧D1,D2,D6の燃料噴射孔に比べて、噴霧D3,D4,D5の燃料噴射孔の断面積を小さくするように、例えば、燃料噴射孔の径を小さくするとよい。
次に、第1実施形態に係る触媒暖機時の燃料圧力が高い(燃料圧力が所定の目標燃圧以上)場合における燃料の噴射タイミングについて説明する。
図10は、エンジン停止後時間と燃料噴射装置101に供給する燃料圧力の関係を示す。図10において、横軸はエンジン停止後時間、縦軸は燃料圧力を表している。
HEV(Hybrid-Electric Vehicle)では、バッテリの電力でモーターを駆動する場合に、エンジンが停止する時間がある。例えばエンジンがタイミング1005で停止すると、高圧の燃料は、燃料ポンプ106の低圧側と燃料噴射装置101の先端側とから徐々に漏れる。そのため、燃料圧力曲線1001,1002,1003に示すように、タイミング1005においてそれぞれ異なる燃料圧力が時間の経過とともに徐々に減少する。エンジンが停止する燃料圧力とエンジン停止後時間との関係は、噴射制御やバッテリの充填状態(SOC)で決まるため、エンジン再始動時の燃料圧力が変動する。したがって、燃料圧力が変動した場合であっても安定的に燃焼できる制御が必要になる。
また、エンジンが高負荷の条件で車両が停止した場合には、走行風によるエンジンの冷却効果がなくなるため、エンジンの温度が上昇し、燃料配管105内の燃料の体積が膨張して、燃料配管105内の圧力が上がる場合がある。この場合には、燃料圧力曲線1004に示すように、エンジン停止後に燃料圧力が増加することがあった。燃料圧力が増加すると、燃料ポンプ106に設けた図示しないリリーフ弁が開いて燃料が低圧側に流れて燃料配管105内の圧力が減少するように構成されている。しかし、リリーフ弁が開く燃料圧力までは燃料配管105内の燃料圧力が増加する場合があり、燃料圧力が高い場合であっても燃焼安定性を確保する技術が重要である。
次に、図8に示した一般的な噴射制御を用いた場合において、燃料噴射装置101に供給される燃料圧力が変化した場合の燃焼変動率(CoV:Coefficient of Variation)について説明する。
図11は、図8の燃料噴射装置に供給する燃料圧力と、CoV、NOx、及びPNの関係を示す。図11では上側に、燃焼室107内において異なる燃料圧力(1)〜(3)で燃料を噴射したときの噴霧の状態を表し、その下側にCoV[%]、NOx[g/kWh]、及びPN[#/cc]の測定結果を表している。CoV、NOx、及びPNの各測定結果において、黒い四角のプロット点は燃料圧力の変化前後で噴射条件が一定の場合の例を示し、丸いプロット点は燃料圧力の変化後に、本実施形態における噴射制御を実施した場合の例を示す。燃料は、燃焼室107の吸気側(左側のIn)から排気側(右側のEx)に向かって噴射されている。
図11に示すように、燃料配管105内の燃料圧力すなわち燃料噴射装置101に供給する燃料圧力が(1)10MPaから(2)25MPaまで高くなるにつれて、CoVが小さくなり、燃焼安定性が改善する。これは、燃料圧力が大きくなることで噴霧の到達距離が長くなり、燃料圧力25MPaの範囲1102(一点鎖線で示す丸)に示すように、点火プラグ604の中心ギャップ617を中心にして当量比Φ1.5以上となるリッチな混合気1115が形成されるためである。なお、リッチな混合気の当量比Φを1.5以上としたが、この値に限定するものではない。
燃料圧力が(1)10MPaの場合は、燃料噴射装置101から噴射する噴霧の貫徹力が小さいため、当量比Φ1.5以上となるリッチな混合気1114が点火プラグ604の中心ギャップ617に形成できない。それにより、一点鎖線の範囲1101に示すように、点火プラグ604の中心ギャップ617の周りの混合気1114がリーンになるため、燃焼安定性が悪化する場合があった。
また、燃料圧力が(3)35MPaまで高くなると,燃料噴射装置101から噴射する噴霧の貫徹力がさらに強くなり、一点鎖線の範囲1103に示すように、混合気1116が排気側(Ex)に寄ってしまう。そのため、点火プラグ604の中心ギャップ617の周りを中心にリッチな混合気1116が形成できず、燃焼が不安定になる場合があった。特に、圧縮行程803(図8参照)の後期で燃料を噴射する場合には、ピストン609が上死点方向に動いており、燃焼室107内の体積が小さくなって燃焼室107の圧力(筒内圧力)が上昇するため、噴霧の貫徹力を調整する制御が重要となる。
なお、圧縮行程803の後期とは、内燃機関(気筒108、ピストン609)のクランク角度について吸気行程802の上死点を0度とし、圧縮行程803の上死点を360度とした場合、クランク角度が280度以降に相当する。この後期に該当するクランク角度では、燃料噴射が点火タイミングt84に近く、且つ、点火タイミングt84までに燃料噴射が完了することが好ましい。
以上に説明したように、燃料噴射装置101に供給する燃料圧力が変動した場合に、変動前と同じ噴射条件で燃料を噴射すると、噴霧の貫徹力が変化し、燃焼安定性が変化する。このため、燃料圧力に応じた噴射条件の設定が必要となる。
次に、第1の実施形態におけるエンジン動作時の噴射タイミングの制御について説明する。
図12は、第1の実施形態におけるクランク角度と噴射タイミングの関係を示す。図12の上側(a)は、比較のため図8の場合と同じ噴射条件での噴射制御を示し、図12の下側(b)は、上側(a)よりも燃料圧力が高くなった場合の噴射制御の例を示している。
図12の下側(b)に示すように、燃料噴射装置101に供給する燃料圧力が高くなった場合には、吸気行程802の噴射量(上側(a))に対して圧縮行程803の噴射量の比率を小さくするよう制御するとよい。具体的には、燃料圧力が高くなった場合には、圧縮行程803の噴射パルス幅811(上側(a))を噴射パルス幅1211(下側(b))まで小さくし、且つ、吸気行程802の噴射パルス幅810(上側(a))を噴射パルス幅1210まで大きくするように、吸気行程802と圧縮行程803の噴射パルス幅の比率をECU150により補正する。吸気行程802及び圧縮行程803において、噴射を開始するタイミングt82,t83は同じである。
このように、燃料圧力が高くなった場合に、圧縮行程803の噴射パルス幅1211を小さくすることによって、燃料噴射装置101から噴射される噴霧の貫徹力が弱くなる。それにより、噴霧の到達距離が短くなり、点火プラグ604周りにリッチな混合気が形成されやすい。この結果、図11の燃料圧力の(3)35MPaに示すように、燃焼変動率(CoV)がプロット点1104からプロット点1105まで低下し、燃焼安定性を改善できる。
燃料噴射装置101に供給する燃料圧力は、燃料配管105に取り付けた圧力センサ102(図1参照)を用いて検出するとよい。
また、燃料圧力が高い条件において、吸気行程802の噴射パルス幅に対する圧縮行程803の噴射パルス幅の比率を小さくすることによって、当量比Φが1.5以上となるリッチな混合気の量が減少する。その結果、図11の燃料圧力の(3)35MPaに示すように、PNをプロット点1108からプロット点1109まで小さくでき、CoVとPNを両立できる。
また、NOxについては、点火前の点火プラグ604周りの温度が支配的であるが、圧縮行程の噴射量を絞ったとしても、点火プラグ604周りを中心としてリッチな混合気を形成することで、気化冷却効果によって点火プラグ604周りの温度を低減できる。そのため、図11の燃料圧力の(3)35MPaに示すように、NOxをプロット点1106からプロット点1107まで低減することができる。
また、図11に示すように、同じ噴射条件で噴射した場合、燃料圧力が高いほど燃料噴射装置101から噴射される噴霧の微粒化が促進され、さらに噴霧の貫徹力が増加する。そのため、圧縮行程803の後期で燃料を噴射しても、混合気が拡散しやすく、PNが低減する。第1の実施形態における噴射制御によれば、高い燃料圧力であっても、CoVを小さくすることで燃焼安定性を確保でき、燃焼安定性とPNを両立することが可能である。
図13は、第1の実施形態における燃料圧力と、吸気行程の噴射量に対する圧縮行程の噴射量の比率との関係を示す。図13において、横軸は燃料圧力[MPa]、縦軸は吸気行程の噴射量に対する圧縮行程の噴射量の比率[%]を表す。
本実施形態の噴射制御方法では、図13に示すように、燃料圧力が高くなるほど吸気行程の噴射量に対する圧縮行程の噴射量の比率を小さくするように制御する。このように制御することで、燃料噴射装置101に供給する燃料圧力が高くなった場合であっても、噴霧の到達距離(貫徹力)を調整し、点火プラグ604周りを中心としてリッチな混合気を形成することで燃焼安定性を改善できる。例えば、図13では、噴射量比率の補正量の一例として、燃料圧力20MPaでの吸気行程に対する圧縮行程の噴射量比率が25%とすると、燃料圧力35MPaでは吸気行程に対する圧縮行程の噴射量の比率を18%程度まで小さくなるように補正するとよい。
また、図11に示すように、燃料圧力が(1)25MPaから(2)35MPaに変化すると、CoVが急激に大きくなる。しかし、例えば、燃料圧力25MPaから15MPaの範囲においては燃焼変動率(CoV)の増加幅が小さいため、吸気行程に対する圧縮行程の噴射量比率を変えない燃料圧力の範囲があってもよい。部分的に噴射量比率を変えない範囲を設けることで、制御を容易にできる利点がある。
本実施形態における噴射制御方法は、エンジン再始動時の触媒暖気の制御に用いると有効である。一般に、触媒暖気の制御では、点火タイミングを上死点よりも遅角し、膨張行程で点火して排気損失を意図的に大きくして、触媒の温度を上昇させる。例えば、点火タイミングは、上死点後10〜30[deg]の範囲で設定されることが多い。この噴射条件では、燃焼が不安定となりやすいが、本実施形態の噴射制御を用いることで、燃焼安定性を確保でき、さらにPNやNOxを抑制する効果が得られる。
以上のとおり、本実施形態では、内燃機関(気筒108、ピストン609)の1燃焼サイクル中に燃料噴射装置(燃料噴射装置101)から複数回燃料を噴射する燃料噴射制御装置(ECU150)において、燃料噴射装置に供給する燃料圧力が高いほど、1燃焼サイクルにおける圧縮行程803の後期の中で一番大きな噴射量を伴う最大噴射(例えば噴射1211a)よりも前に行われる噴射(例えば噴射1210a)の噴射量の合計値に対する、最大噴射の噴射量の比率を小さくする方向に制御する制御部(CPU104)、を備えるように構成されている。
また、上記の本実施形態では、制御部(CPU104)は、燃料噴射装置の燃料圧力が高いほど、吸気行程802における噴射量の合計値に対する、圧縮行程803における噴射量の合計値の比率を小さくする方向に制御するように制御されている。
<2.第2の実施形態>
次に、本発明の第2の実施形態に係る燃料噴射装置の制御方法について、図14、図15及び図16を用いて説明する。第2の実施形態に係る噴射制御が、第1の実施形態に係る噴射制御と異なる点は、燃料噴射装置101に供給する燃料圧力に応じて圧縮行程の噴射タイミングを変更することである。
(第2の実施形態における第1の噴射制御)
図14は、第2の実施形態における燃料圧力ごとの、クランク角度と噴射タイミングの関係を示す。図14の上側(a)には、図8との比較のため、図8に示した噴射制御の一例を併記する。図14の中央(b)は、上側(a)よりも燃料圧力が高くなった場合の噴射制御の例(第1の噴射制御)を示している。図14の下側(c)は、上側(a)よりも燃料圧力が高くなった場合の噴射制御の他の例(第2の噴射制御)を示している。
図14の上側(a)に示すように、図8の噴射制御では、ECU150は、燃焼サイクルが圧縮行程803に入り、ピストン609がTDCに到達する前のタイミングt83(クランク角度−60deg付近)において圧縮行程の噴射を行っていた。これに対し、本実施形態では、図14の中央(b)に示すように、タイミングt83(クランク角度−60deg付近)よりも遅いタイミングt141(クランク角度−50deg付近)において圧縮行程の噴射を行う(第1の噴射制御)。このとき圧縮行程の噴射パルス幅811すなわち噴射量は変わらない。また、吸気行程802の噴射タイミング(タイミングt82)と噴射パルス幅810も変わらない。
ここで、燃料圧力と圧縮行程の噴射タイミングについて図15を用いて説明する。
図15は、第2の実施形態における燃料圧力と吸気行程に対する圧縮行程の噴射量の比率との関係、及び、燃料圧力と圧縮行程の噴射タイミングとの関係を示す。図15において、吸気行程に対する圧縮行程の噴射量の比率を実線で表し、圧縮行程の噴射タイミング[deg.ATDC]を一点鎖線で表す。圧縮行程の噴射タイミングを、吸気行程のTDCを0度とし、圧縮行程のTDCを360度とした場合のクランク角度で表している。
図15に示すように、燃料圧力が高くなるほど圧縮行程の噴射タイミングが遅角する。図15の例では、燃料圧力が15MPaのとき噴射タイミングは315度、燃料圧力が30MPaのとき噴射タイミングは321度であることが示されている。
図16は、第2の実施形態における燃料噴射装置に供給する燃料圧力と、燃焼変動率(CoV)、NOx、及びPNとの関係を示す。図16では、図8及び図12の上側(a)と同じ噴射条件で噴射した場合の結果を黒い四角印、燃料圧力が高い条件(例えば35MPa)で図12の下側(b)に示す噴射制御(第1:噴射量比率の低下)を実施した場合の結果を丸印で示す。さらに、図16では、燃料圧力が高い条件(例えば35MPa)で図14(c)の噴射制御(第2:噴射量比率の低下と噴射タイミングの遅角化)を実施した場合の結果を三角印で示している。
第2の実施形態における第1の制御方法によれば、ECU150は、燃料圧力が高い条件の場合(図14の中央(b))には、燃料圧力が低い条件の場合(図14(a))に比べて、圧縮行程803の噴射タイミングを遅角化するように制御する。燃料圧力が高い場合には、燃料噴射装置101から噴射する噴霧の貫徹力が強くなるが、圧縮行程803の噴射を遅らせることで、気筒108内の圧力が高くなって、噴霧の貫徹力が弱くなる。これにより、燃料噴射装置101から噴射した混合気を点火プラグ604周りに保持する効果が得られ、その結果、燃焼安定性を改善できる。
また、燃料圧力が低い場合には、噴霧の貫徹力が弱く、圧縮行程803の後期で燃料を噴射すると当量比Φが1.5以上となるリッチな混合気の量が増加し、PNが増加する場合があった。これに対し、燃料圧力が高くなるほど、圧縮行程803の最後の噴射タイミングを遅角化することで、PNを抑制しつつ燃焼安定性を改善することができる。
(第2の実施形態における第2の噴射制御)
また、第2の実施形態における第1の噴射制御は、第1の実施形態の噴射制御と組み合わせることで燃焼安定性と排気を両立しやすくなる。以下、第1の実施形態の噴射制御と第2の実施形態における第1の噴射制御とを組み合わせた場合の制御方法(第2の実施形態における第2の噴射制御)について、図14の下側(c)を用いて説明する。
第2の実施形態における第2の噴射制御では、制御部(ECU150のCPU104)は、燃料噴射装置(燃料噴射装置101)の燃料圧力が高いほど、圧縮行程803の最大噴射(例えば噴射1402a)よりも前に行われる噴射(例えば噴射1401a)の噴射量の合計値に対する、最大噴射の噴射量の比率を小さくし、且つ圧縮行程803の噴射タイミングを遅角する方向に制御する。
ECU150は、図14の上側(a)の環境条件が変化して燃料噴射装置101に供給される燃料圧力が高くなると、図14の下側(c)に示すように、吸気行程802に対する圧縮行程803の噴射量の比率を小さくし、さらに圧縮行程803の噴射タイミングをタイミングt141まで遅角化させるよう制御する。噴射量の比率は、具体的には、吸気行程802の噴射パルス幅810と圧縮行程803の噴射パルス幅811を変えて、図14の上側(a)に比べて、吸気行程802に対する圧縮行程803の噴射量の比率が小さくなるようにECU150で設定する。吸気行程802の噴射量に対する圧縮行程803の噴射量の比率を小さくすることによって、噴射タイミングを遅角化してもリッチな混合気の増加を抑えられるため、PNを抑制しつつ燃焼安定性をさらに改善できる。
例えば、図16の燃料圧力1601の条件で、吸気行程802に対する圧縮行程803の噴射量の比率を小さくし、且つ圧縮行程803の噴射タイミングを遅角化すると、CoVがプロット点1602からプロット点1603まで改善し、PNがプロット点1604からプロット点1605に減少する。
一方、圧縮行程803の噴射タイミングを固定して、吸気行程802に対する圧縮行程803の噴射量の比率を小さくした場合(第1の実施形態、図12の下側(b))には、CoVがプロット点1602からプロット点1606に低下し、PNがプロット点1604からプロット点1607まで減少する。
第1の実施形態の噴射制御では、CoVの改善幅は、噴射タイミングと噴射量の比率を両方変える場合(第2の実施形態における第2の噴射制御)よりも小さい。しかし、圧縮行程803の噴射タイミングを遅角化しない分、当量比Φが1.5以上となるリッチな混合気が減少するため、PNを大幅に抑制することができる。
以上の結果から、ECU150が、燃焼変動率とPNを検出し、検出結果に基づくエンジンの状態に合わせて、噴射制御を切り替えることが有効である。すなわち、ECU150は、燃焼変動率改善が必要な場合には、吸気行程802に対する圧縮行程803の噴射量の比率を小さくして、圧縮行程803の噴射タイミングを遅角する。また、ECU150は、PN低減が必要な場合には、吸気行程802に対する圧縮行程803の噴射量の比率を小さくするように制御する。燃焼変動率は、筒内の筒内圧を直接検出することで求められ、PNは計測装置、又は予め各噴射条件に対するPN発生量のマップデータ(テーブル)をECU10に記憶させておいてもよい。
このように、制御部(CPU104)は、燃焼変動率CoVの低下を優先する場合には、圧縮行程の最大噴射よりも前に行われる噴射の噴射量の合計値に対する、最大噴射の噴射量の比率を小さくし、且つ圧縮行程の噴射タイミングを遅角する制御を行い、未燃焼粒子数PNの低減を優先する場合には、圧縮行程の最大噴射よりも前に行われる噴射の噴射量の合計値に対する、最大噴射の噴射量の比率を小さくする制御を行うように構成されるとよい。
圧縮行程803の噴射タイミングが遅いほど、燃料噴射装置101から噴射した噴霧によって形成される混合気が、ピストン609のキャビティ606に入りやすくなる。そして、点火タイミングと圧縮行程の噴射タイミングの差が小さいほど、混合気のサイクルごとのばらつきが小さくなるため、燃焼安定性が改善する。しかし、ピストン609への燃料付着が増えることによって、排気が悪化したり、気筒108内の平均当量比が小さくなったりすることがある。本実施形態における第2の噴射制御によれば、圧縮行程803の噴射タイミングを遅角化しつつ、吸気行程に対する圧縮行程の噴射量の比率を小さくすることで、ピストン609への燃料付着の低減や当量比の高いリッチな混合気を抑制できる効果が得られる。
<3.第3の実施形態>
次に、本発明の第3の実施形態に係る燃料噴射装置の制御方法について、図2、図17及び図18を用いて説明する。
図17は、第3の実施形態における点火リタード量と1燃焼サイクル当たりの噴射量の関係を示す。図17に示すように、圧縮行程803のTDCからの点火タイミングt84の遅角量(点火リタード量)が大きくなるほど、排気損失が増えて熱効率が下がるため、1燃焼サイクル当たりの噴射量が増加する。1燃焼サイクル当たりの噴射量が増加すると、圧縮行程803の噴射量も相対的に大きくなる。
図18は、第3の実施形態における燃料噴射装置101に通電する噴射パルス幅と、噴射量及び噴射量のショットばらつきとの関係を示す。図18では、噴射量とその噴射量のショットばらつきについて、燃料圧力が低い条件の場合の例を一点鎖線で、燃料圧力が高い条件の場合の例を実線で記載する。
燃料圧力が高くなると、弁体214に作用する流体力が増加するため、図18に示すように、弁体214が開弁を開始するタイミングが遅れて、気筒108内の噴射量が増加するタイミングが、タイミング1801からタイミング1802へと遅くなる(図18上側)。弁体214が固定コア207に衝突せずに弁体214が放物運動する期間1803,1804は、弁体214が固定コア207に衝突してから弁体214が閉弁を開始する場合に比べて、噴射量のショットばらつきが大きくなる(図18下側)。これは、弁体214のリフト量が固定コア207で決まる場合に比べて、弁体214が放物運動する条件では、弁体214が、流体力及び磁気吸引力などのばらつきの影響を受けやすいためである。
また、燃料噴射装置101が噴射する噴射量は、燃料圧力の増加に応じて大きくなるため、噴射量のショットばらつきが閾値1805を下回る噴射パルス幅は、燃料圧力が低い条件の噴射パルス幅1806に比べて、燃料圧力が高い条件の噴射パルス幅1807の方が大きくなる。また、噴射量のショットばらつきが閾値1805を下回る期間では、同じ噴射パルス幅で比較した場合の噴射量も、燃料圧力が低い場合に比べて燃料圧力が高い場合の方が大きくなる。PNを小さくするために、燃料圧力を上げたい要求があり、また燃焼安定性を確保するためには、圧縮行程803の噴射量の比率を小さくする必要がある。しかし、噴射量のショットばらつきが大きくなると燃焼変動が大きくなるため、吸気行程802に対する圧縮行程803の噴射量の比率を適切に設定することが重要となる。
本発明の第3の実施形態では、制御部(ECU150のCPU104)が、点火リタード量が大きくなるほど、燃料噴射装置(燃料噴射装置101)に供給する燃料圧力を高くする機能を有するとよい。そして、第1の実施形態と同様に、制御部(CPU104)は、燃料圧力が高いほど、吸気行程802における噴射量の合計値に対する、圧縮行程803における噴射量の合計値の比率を小さくする方向に制御する。
点火リタード量に応じて1燃焼サイクルの噴射量が大きくなることで、圧縮行程803の噴射量も相対的に増加する。そのため、燃料圧力を大きくして且つ圧縮行程803の噴射量を小さくしたとしても、ショットばらつきが閾値1805を下回る噴射パルス幅で運転することが可能となる。この結果、噴射量のショットばらつき低減に加えて、吸気行程802に対する圧縮行程803の噴射量の比率を小さくしたことで燃焼安定性も改善することができ、燃焼安定性の確保とPN低減を両立できる。
また、上記の本実施形態において、さらに燃料噴射装置(燃料噴射装置101)の燃料圧力が高いほど、圧縮行程803の噴射タイミングを遅角する方向に制御してもよい。すなわち、第2の実施形態における第2の噴射制御と同様に、燃料圧力が高いほど、圧縮行程803の噴射タイミングを遅角する方向に制御する。これにより、上記本実施形態の効果の他に、既述の第2の実施形態における第2の噴射制御と同様の効果が得られる。
圧縮行程803の最後の噴射、すなわち点火タイミングt84に最も近い燃料噴射では、ECU150が、噴射量のショットばらつきが小さい、弁体214が固定コア207に衝突するフルリフトの条件を用いるように噴射パルス幅を設定してもよい。精密な混合気の制御が求められる圧縮行程803の最後の噴射をフルリフトの条件で噴射することで、点火プラグ604の周りにリッチな混合気を形成でき、燃焼安定性を向上することができる。
<4.第4の実施形態>
次に、本発明の第4の実施形態に係る燃料噴射装置の制御方法について、図19を参照して説明する。
図19は、第4の実施形態におけるエンジン再始動後の時間と、エンジン回転数及び燃料圧力との関係を示す。
バッテリとモーターを搭載した電動化車両(例えばHEV)において、エンジンとモーターが連動して動くことが可能に構成されている場合は、エンジンが再始動する前に、モーターでエンジン回転数を目標値1901まで上昇させることができる。エンジン回転数の上昇に伴って、燃料ポンプ106で加圧した燃料が燃料配管105に吐出されて、燃料配管105の燃料圧力が上昇していく。燃料圧力がECU150で設定した目標値1902を超えたタイミング以降で、燃料噴射装置101から燃料を噴射して燃焼させることで、PNを抑制しやすい燃料圧力が高い条件でエンジンを始動することが可能となる。
エンジンが始動しない条件においては、吸気バルブ605の閉弁するタイミングが早いと、圧縮行程803で空気を圧縮する仕事によって機械圧縮分の駆動損失が発生する。エンジンが始動せずにモーターでエンジン回転数を変化させる場合には、吸気バルブ605の閉弁タイミングを遅くするような制御を行うことで、駆動損失を抑制し、消費電力を低減できる。
以上のとおり、本実施形態の一例として、内燃機関(気筒108)が車両に搭載されたモーターにより回転数を上昇可能に構成されている場合、制御部(CPU104)は、モーターにより内燃機関の回転数が上昇して燃料噴射装置101の燃料圧力が目標値を超えたタイミング以降で、燃料噴射装置101から複数回燃料を噴射する制御を行うとよい。燃料噴射装置101から複数回燃料を噴射する制御方法は、第1〜第3、又は第5の実施形態のいずれかを実行する。
また、HEVでは、バッテリの充電状態を表す充電率(SOC:State of charge)が一定値を下回った状態で車両が始動されると、モーターでエンジン回転数を上昇させられない場合がある。SOCがECU150で予め設定した閾値を超えていると、モーターでエンジン回転数を上昇させる制御を行い、SOCがECU150で予め設定した閾値を下回ると、エンジンでの始動すなわち第1〜第3の実施形態に記載した制御方法に切り替えてもよい。制御方法を切り替えることで、バッテリのSOCの状況に応じて、PN低減と燃焼安定性の確保を両立することができる。
HEVでは、モーターが搭載されていない内燃機関の動力のみで走行する車両に比べて、エンジンの停止頻度が増える。エンジンの再始動はSOCがECU150で設定した閾値を下回ったタイミングと、触媒温度がある閾値を下回ったタイミングのいずれかにするとよい。
触媒温度がECU150で設定した閾値を下回ったタイミングでエンジンを始動する場合には、触媒温度が低いほど点火リタード量を大きくするように設定するとよい。点火リタード量を大きくすると、触媒に捨てる熱量が増加するため、触媒の温度を短時間に増加させることができる。また、触媒温度が高い条件では点火リタード量を小さくして、燃焼安定性を確保する制御を行うことで、燃焼安定性を確保しつつ燃料噴射装置101から噴射する1燃焼サイクル当たりの噴射量が低下する。このため、単位時間当たりのHC、NOx、PNを抑制することが可能となる。
さらにまた、触媒温度が低い条件では触媒温度が高い条件に比べて、エンジンの再始動時の燃料圧力が高くなるようにモーターを制御してもよい。触媒温度が低下するほど点火リタード量を大きくし、さらに燃料圧力を高めることで、微粒化効果を高めつつ、圧縮行程803の最後の噴射量の比率を小さくすることができる。このため、圧縮行程803の最後の噴射タイミングを遅角でき、燃焼安定性の向上とPN低減を両立できる。
以上のとおり、本実施形態の一例として、制御部(CPU104)は、内燃機関(気筒108)の排気が供給される触媒(触媒703)の温度が低いほど、点火遅角量を大きくし、当該点火遅角量が大きくなるほど、燃料噴射装置101の燃料圧力を高くするとよい。燃料噴射装置101から複数回燃料を噴射する制御方法は、第1〜第3、又は第5の実施形態のいずれかを実行する。
ところで、気筒108内に噴射した燃料の気化時間は、燃料噴射装置101に供給する燃料の組成に依存する。軽質燃料に比べて重質燃料では、燃料の気化速度が遅いため、軽質燃料と重質燃料とで同じタイミングで燃料を噴射すると、重質燃料で当量比の高いリッチな混合気が増加し、PNが増加する場合があった。
重質燃料の場合、分子を構成する炭素数が多いため、一般的に自着火する限界温度が下がってノッキングが発生しやすい。点火タイミングを進角化し、エンジンに取り付けたノッキングセンサを用いてノッキングの点火限界を検出することで、燃料の重質、軽質を判定することができる。軽質燃料に比べて重質燃料が入った場合には、圧縮行程803の噴射タイミングを早期化するようにECU150により制御するとよい。その結果、気化時間を確保することででき、点火プラグ604周りの当量比を確保しつつPNを低減できる。なお、重質燃料と軽質燃料の噴射制御については、第1の実施形態から第4の実施形態のいずれかの制御方法と組み合わせてもよい。
また、軽質燃料に比べて重質燃料が燃料噴射装置101に供給される場合には、エンジンを始動する前にモーターでエンジンを駆動して燃料圧力を上昇させてから燃料を噴射するとよい。重質燃料は気化しにくいが、燃料圧力を高くして微粒化を促進させることで、ピストン609や気筒108内の壁面への燃料付着を抑制し、混合を促進させて均質性を高める。これにより、重質燃料であっても気化を促進させて、PN抑制並びに燃焼安定性を確保できる。
<5.第5の実施形態>
次に、本発明の第5の実施形態に係る燃料噴射装置の制御方法について、図2、図12、及び図20を用いて説明する。本実施形態では、制御部(CPU104)は、1燃焼サイクルにおける圧縮行程の後期の中で一番大きな噴射量を伴う最大噴射よりも前に行われる噴射の噴射タイミングを遅角する方向に制御するものである。
図20は、第5の実施形態における燃料圧力ごとの、クランク角度と噴射タイミングの関係を示す。図20の上側(a)は、燃料噴射装置101に供給する燃料圧力が低い場合の噴射制御を示し、図20の中央(b)は、燃料圧力が高い場合の噴射制御を示している。また、図20の下側(c)には、図14(c)との比較のため、図14(c)に示した噴射制御の一例を併記する。
本実施形態の一例として、制御部(CPU104)は、燃料噴射装置(燃料噴射装置101)に供給する燃料圧力が高いほど、吸気行程802の噴射タイミングを遅角する方向に制御する。
冷機始動時などの燃料圧力が低い条件では、図20の上側(a)に示すように、吸気行程802の噴射タイミングを遅角化し、さらに噴射回数を増やすことが有効である。これにより、噴霧の到達距離を低減して、燃料の気筒108の内壁及びピストン609への付着を抑制することができる。
図20の上側(a)では、吸気行程802において2回の噴射2001a,2002aが行われ、圧縮行程803においても、2回の噴射2003a,2004aが行われている例が示されている。吸気行程802の最初の噴射2001aの噴射タイミングは、タイミングt82よりも遅いタイミングt201である。なお、噴射2001a〜2004aはそれぞれ、噴射パルス幅2001〜2004で実施されている。圧縮行程803の後期(図中最後)における噴射2004aの噴射パルス幅2004は、同じ圧縮行程803の噴射2003aの噴射パルス幅2003よりも大きい。一般に、圧縮行程の後期(特に最後)に行われる噴射は、圧縮行程の中でも最大の噴射量である。圧縮行程の最後の噴射2004a,2008aのような、1燃焼サイクルにおける圧縮行程の後期の中で一番大きな噴射量を伴う最大噴射(噴射2004a,2008a)よりも前に行われる噴射の噴射量の合計値に対する、最大噴射の噴射量の比率を小さくする方向に制御することで、噴射量比率を変更する本発明の効果が高まる。
また、燃料圧力が高くなると、燃料噴射装置101から噴射する噴霧の流速が増加して、微粒化が促進される。噴霧の貫徹力が増加することで、噴霧の到達距離が増加し、気筒108の内壁及びピストン609へ付着する燃料が増加する場合があった。そこで、燃料圧力が高い場合は、燃料圧力が低い場合に比べて、圧縮行程803の最後に行われる噴射2004aより前の噴射2001a〜2003aの噴射タイミングを遅角するように制御してもよい。
図20の中央(b)では、上側(a)の噴射2001a〜2003aに対応する噴射2005a〜2007aの噴射タイミングがそれぞれ遅角している例が示されている。さらに、噴射2005a〜2007aはそれぞれ、噴射パルス幅2001〜2004よりも長い噴射パルス幅2005〜2007で実施されている。このため、圧縮行程803の最後の噴射2008aの噴射パルス幅2008は、噴射2004aの噴射パルス幅2004よりも短くなっている。
圧縮行程803の最後の噴射より前の噴射の噴射タイミングを遅角することで、燃料噴射装置101とピストン609との距離を確保できるため、燃料圧力を大きくしたことによる微粒化によって混合気の均質度を確保しつつ、燃料の付着を抑制することができる。このように、混合気の均質度を確保することで、気筒108内においてリッチな混合気の発生が抑制される。さらに、燃料付着の抑制によって、PN及びHCを低減し、且つ燃焼安定性を高められる。
また、ピストン609への燃料付着量は、燃料噴射装置101からピストン609までの距離に依存する。このため、燃料圧力が高い場合には、燃料圧力が低い場合に比べて、燃料噴射装置101とピストン609との距離が近い吸気行程802の最初の噴射2001aに相当する噴射2005aのみ噴射タイミングを遅角化してもよい。あるいは、最初の噴射2001aに相当する噴射2005aと次の噴射2002aに相当する噴射2006aのみ噴射タイミングを遅角化してもよい。
圧縮行程803の最初の噴射2003aは、噴射タイミングが遅いほど、燃料噴射装置101とピストン609との距離が近づくため、吸気行程802の噴射を燃料圧力に応じて変化させることで、排気抑制効果が高められる。なお、燃料圧力が高いほど、圧縮行程803の噴射2003aをBDCに近づけるように噴射タイミングを早める制御を行ってもよい(図示略)。噴射タイミングをBDCの方向に早期化することで、燃料噴射装置101とピストン609との距離を確保し、PNが抑制できる。さらに、場合によっては、噴射2003aの噴射開始タイミングは、吸気行程802まで早期化してもよい。
このように、第5の実施形態では、図20の上側(a)に示す燃料圧力が低い場合に比べて、図20の中央(b)に示す燃料圧力が高い場合には、1燃焼サイクル中の最後の噴射2008aより前の噴射2005a,2006a,2007aの噴射量に比べて1燃焼サイクル中の最後の噴射2008aの噴射量の比率を小さくする制御方法を備えるとよい。この結果、高い燃料圧力の条件においても、噴霧の貫徹力を抑制して、点火プラグ604の中心ギャップ617の周りにリッチな混合気を形成しつつ、当量比Φが1.5以上となるリッチな混合気の量を抑制することができる。また、吸気行程802の噴射により気筒108及びピストン609への燃料付着を抑制することによって、PNを低減できる。
また、燃料圧力が低い場合の4回の噴射、すなわち噴射2001a,2002a,2003a,2004aにおいて、圧縮行程803よりも吸気行程802の方が噴射量の割合を大きくするとよい。吸気行程802に多くの燃料を噴射して、乱れ速度が大きいタイミングで最後の噴射をすることで、空気と燃料の混合が促進され、点火タイミングt84における気筒108内の混合気の均質度を高められる。その結果、燃焼安定性を向上し、部分的に高い当量比の発生を抑制してPNを低減できる。
例えば、図20の上側(a)において、1燃焼サイクルの噴射量を1.0とすると、噴射2001a,2002a,2003a,及び2004aの噴射量の比率は、一例として0.25:0.25:0.2:0.3のように設定(補正)するとよい。また、図20の中央(b)において、噴射2005a,2006a,2007a、及び2008aの噴射量の比率は、一例として0.3:0.25:0.25:0.2のように設定(補正)するとよい。すなわち、燃料圧力が高いほど、1燃焼サイクル中の最後の噴射2008aより前の噴射2005a,2006a,2007aの噴射量の合計値に比べて、1燃焼サイクル中の最後の噴射2008aの噴射量の比率をより小さくする。
吸気行程802の噴射量の比率は、乱れ速度が大きいタイミングで噴射する噴射2001a又は20005aの噴射量が最も大きくなるように設定してもよい。この結果、空気と燃料の混合が促進されて、均質度を向上させることができる。また、1燃焼サイクル中において、吸気行程802に対して、圧縮行程803の最後の噴射である2004a又は2008aの噴射量の比率が最も小さくなるように設定してもよい。圧縮行程803の噴射量を小さくすることで、点火プラグ604の周りに形成するリッチな混合気の量を必要最低限にすることができ、燃焼安定性を確保しつつ、当量比が1.5以上となるリッチな混合気の量を抑制し、PNを低減できる。
また、本実施形態の一例として、制御部(CPU104)は、さらに1燃焼サイクルにおける圧縮行程803の後期の中で一番大きな噴射量を伴う最大噴射(噴射2004a,2008a)よりも前に行われる噴射間の間隔を広げる方向に制御する。
燃料圧力が高くなった場合は、弁体214に作用する閉弁方向に働く流体力が増加するため、開弁開始が遅くなり、噴射パルスを停止してから弁体214が閉弁するまでの時間が早くなる。また、燃料圧力が高くなると、単位時間に噴射する噴射量が増加するため、同じ噴射量の比率の場合には、噴射パルス幅が短くなる傾向にある。
したがって、燃料圧力が高くなった場合には、噴射1回目と2回目、噴射2回目と3回目の噴射間隔が短くなるように噴射タイミングを変更してもよい。燃料圧力が高くなるほど、噴射間隔を短くすることによって、燃料圧力が高い場合には、燃料圧力が低い場合に比べて噴射タイミングを遅らせつつ、2回目又は3回目の噴射が終了するタイミングが早くなるため、吸気行程802の乱れ速度、並びにタンブルが強いタイミングで燃料を噴射でき、PN抑制と、均質度の向上による燃焼安定性の向上を両立できる。
噴射1回目又は2回目の噴射間隔と、噴射2回目と3回目の噴射間隔は、燃料圧力が高い場合には、燃料圧力が低い場合に比べて噴射1回目と2回目の噴射間隔のみ、小さく制御してもよい。特に、噴射1回目と2回目は噴射3回目以降に比べて、乱れ速度が大きいタイミングで燃料を噴射するため、噴射間隔を低減する効果が高められる。言い換えれば、燃料圧力が高い場合には、燃料圧力が低い場合に比べて、噴射2回目と噴射3回目の噴射間隔に対して噴射1回目と2回目の噴射間隔の方が小さくなるように制御してもよい。
また、図20に示した噴射制御によれば、噴射回数が増加したり、流動と噴霧を同期させたりするために、噴射2003a及び噴射2007aのように、吸気行程802の噴射が圧縮行程803の前半にくる場合がある。この場合、燃料圧力が低い条件の1燃焼サイクル中の最後の噴射2004aと、噴射2004aより前の噴射である噴射2001a,2002a,2003aとの噴射量の比率に比べて、燃料圧力が高い場合には、噴射2005a,2006a,2007aと比較して1燃焼サイクル中の最後の噴射2008aの噴射量比率が小さくなるようにECU150で制御するとよい。
燃料圧力が高い場合に、1燃焼サイクル中の最後、すなわち点火タイミングt84に最も近い噴射の噴射量の比率を他の噴射量の合計値よりも小さくすることで、燃料圧力が高くなった場合であっても、噴霧の貫徹力を抑制し、点火タイミングt84において点火プラグ604の周りにリッチな混合気を形成できる。この結果、燃焼安定性が向上できる。
さらに、本発明は上述した各実施形態に限られるものではなく、特許請求の範囲に記載した本発明の要旨を逸脱しない限りにおいて、その他種々の応用例、変形例を取り得ることは勿論である。
例えば、上述した各実施形態は本発明に対する理解を助けるために燃料噴射装置及び燃料噴射システムの構成を詳細かつ具体的に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成要素を備えるものに限定されない。また、ある実施形態の構成の一部を他の実施形態の構成要素に置き換えることが可能である。また、ある実施形態の構成に他の実施形態の構成要素を加えることも可能である。また、各実施形態の構成の一部について、他の構成要素の追加又は置換、削除をすることも可能である。
また、上記の各構成、機能、処理部等は、それらの一部又は全部を、例えば集積回路で設計するなどによりハードウェアで実現してもよい。ハードウェアとして、FPGA(Field Programmable Gate Array)やASIC(Application Specific Integrated Circuit)などを用いてもよい。
100…燃料噴射システム、 101…燃料噴射装置、 102…圧力センサ、 105…燃料配管、 107…燃焼室、 108…気筒、 609…ピストン、 104…CPU、 104M…メモリ、 150…ECU、 802…吸気行程、 803…圧縮行程、 1401a〜1402a,2001a〜2008a…噴射、 810〜811,1210〜1211,1401〜1402,2001〜2008…噴射パルス幅、 t84…点火タイミング

Claims (15)

  1. 内燃機関の1燃焼サイクル中に燃料噴射装置から複数回燃料を噴射する燃料噴射制御装置において、
    前記燃料噴射装置に供給する燃料圧力が高いほど、1燃焼サイクルにおける圧縮行程の後期の中で一番大きな噴射量を伴う最大噴射よりも前に行われる噴射の噴射量の合計値に対する、前記最大噴射の噴射量の比率を小さくする方向に制御する制御部、を備える
    燃料噴射制御装置。
  2. 前記制御部は、前記燃料噴射装置の燃料圧力が高いほど、吸気行程における噴射量の合計値に対する、圧縮行程における噴射量の合計値の比率を小さくする
    請求項1に記載の燃料噴射制御装置。
  3. 前記制御部は、前記燃料噴射装置の燃料圧力が高いほど、圧縮行程の前記最大噴射よりも前に行われる噴射の噴射量の合計値に対する、前記最大噴射の噴射量の比率を小さくし、且つ圧縮行程の噴射タイミングを遅角する
    請求項1に記載の燃料噴射制御装置。
  4. 前記制御部は、
    燃焼変動率の低下を優先する場合には、圧縮行程の前記最大噴射よりも前に行われる噴射の噴射量の合計値に対する、前記最大噴射の噴射量の比率を小さくし、且つ圧縮行程の噴射タイミングを遅角する制御を行い、
    未燃焼粒子数の低減を優先する場合には、圧縮行程の前記最大噴射よりも前に行われる噴射の噴射量の合計値に対する、前記最大噴射の噴射量の比率を小さくする制御を行う
    請求項3に記載の燃料噴射制御装置。
  5. 前記制御部は、点火遅角量が大きくなるほど、前記燃料噴射装置の燃料圧力を高くする
    請求項1に記載の燃料噴射制御装置。
  6. 前記制御部は、前記燃料噴射装置の燃料圧力が高いほど、圧縮行程の噴射タイミングを遅角する
    請求項5に記載の燃料噴射制御装置。
  7. 前記内燃機関が車両に搭載されたモーターにより回転数を上昇可能に構成されている場合、
    前記制御部は、前記モーターにより前記内燃機関の回転数が上昇して前記燃料噴射装置の燃料圧力が目標値を超えたタイミング以降で、前記燃料噴射装置から複数回燃料を噴射する制御を行う
    請求項1に記載の燃料噴射制御装置。
  8. 前記制御部は、前記内燃機関の排気が供給される触媒の温度が低いほど、点火遅角量を大きくし、前記点火遅角量が大きくなるほど、前記燃料噴射装置の燃料圧力を高くする
    請求項1に記載の燃料噴射制御装置。
  9. 前記制御部は、前記噴射量の比率を変更するときに、噴射パルスのパルス幅に基づいて前記燃料噴射装置を駆動する電流波形を変更する
    請求項1に記載の燃料噴射制御装置。
  10. 前記制御部は、1燃焼サイクルにおける圧縮行程の後期の中で一番大きな噴射量を伴う最大噴射よりも前に行われる噴射の噴射タイミングを遅角する
    請求項1に記載の燃料噴射制御装置。
  11. 前記制御部は、前記燃料噴射装置の燃料圧力が高いほど、吸気行程の噴射タイミングを遅角する
    請求項10に記載の燃料噴射制御装置。
  12. 前記制御部は、さらに1燃焼サイクルにおける圧縮行程の後期の中で一番大きな噴射量を伴う最大噴射よりも前に行われる噴射間の間隔を広げる
    請求項10に記載の燃料噴射制御装置。
  13. 前記内燃機関のクランク角度について吸気行程の上死点を0度とし、圧縮行程の上死点を360度とした場合、
    前記圧縮行程の後期とは、前記クランク角度が280度以降である
    請求項1に記載の燃料噴射制御装置。
  14. 前記最大噴射は、圧縮工程の最後に行われる噴射である
    請求項1に記載の燃料噴射制御装置。
  15. 内燃機関の1燃焼サイクル中に燃料噴射装置から複数回燃料を噴射する燃料噴射制御装置による燃料噴射制御方法であって、
    前記燃料噴射制御装置は、前記燃料噴射装置に供給する燃料圧力が高いほど、1燃焼サイクルにおける圧縮行程の後期の中で一番大きな噴射量を伴う最大噴射よりも前に行われる噴射の噴射量の合計値に対する、前記最大噴射の噴射量の比率を小さくする方向に制御する
    燃料噴射制御方法。
JP2019171315A 2019-09-20 2019-09-20 燃料噴射制御装置及び燃料噴射制御方法 Pending JP2021046846A (ja)

Priority Applications (2)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2019171315A JP2021046846A (ja) 2019-09-20 2019-09-20 燃料噴射制御装置及び燃料噴射制御方法
PCT/JP2020/026523 WO2021053935A1 (ja) 2019-09-20 2020-07-07 燃料噴射制御装置及び燃料噴射制御方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2019171315A JP2021046846A (ja) 2019-09-20 2019-09-20 燃料噴射制御装置及び燃料噴射制御方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2021046846A true JP2021046846A (ja) 2021-03-25

Family

ID=74878083

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2019171315A Pending JP2021046846A (ja) 2019-09-20 2019-09-20 燃料噴射制御装置及び燃料噴射制御方法

Country Status (2)

Country Link
JP (1) JP2021046846A (ja)
WO (1) WO2021053935A1 (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2023162086A1 (ja) * 2022-02-24 2023-08-31 日立Astemo株式会社 燃料噴射制御装置及び燃料噴射制御方法

Citations (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2014125899A (ja) * 2012-12-25 2014-07-07 Toyota Motor Corp 内燃機関の燃料噴射制御装置
JP2018204447A (ja) * 2017-05-31 2018-12-27 日立オートモティブシステムズ株式会社 燃料噴射制御装置

Family Cites Families (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP6056273B2 (ja) * 2012-08-29 2017-01-11 マツダ株式会社 火花点火式直噴エンジン
JP5987763B2 (ja) * 2013-04-15 2016-09-07 マツダ株式会社 火花点火式エンジンの制御装置

Patent Citations (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2014125899A (ja) * 2012-12-25 2014-07-07 Toyota Motor Corp 内燃機関の燃料噴射制御装置
JP2018204447A (ja) * 2017-05-31 2018-12-27 日立オートモティブシステムズ株式会社 燃料噴射制御装置

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2023162086A1 (ja) * 2022-02-24 2023-08-31 日立Astemo株式会社 燃料噴射制御装置及び燃料噴射制御方法

Also Published As

Publication number Publication date
WO2021053935A1 (ja) 2021-03-25

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP6945356B2 (ja) 燃料噴射制御装置
EP2339158B1 (en) Control apparatus for direct injection type internal combustion engine
JP5809796B2 (ja) 内燃機関の燃料噴射制御装置
JP2002206446A5 (ja)
EP2511505B1 (en) Combustion control device
JPWO2012046312A1 (ja) 内燃機関の着火遅れ期間推定装置及び着火時期制御装置
US20180306135A1 (en) Control device for internal combustion engine
JP2014020211A (ja) 筒内噴射式エンジンの燃料噴射制御装置
WO2021053935A1 (ja) 燃料噴射制御装置及び燃料噴射制御方法
JP5229185B2 (ja) 内燃機関の燃焼制御装置
US20180010510A1 (en) Control device for internal combustion engine
US20210363937A1 (en) Injector control device
JP2009036086A (ja) 直噴式エンジン及びその制御方法
US9624862B2 (en) Control apparatus for internal combustion engine
EP3267018A1 (en) Fuel injection valve, control device for fuel injection valve, and control method
JP5257519B2 (ja) 内燃機関の制御装置
JP5703341B2 (ja) 筒内噴射式内燃機関の制御装置
JP2000008883A (ja) ディーゼルエンジンの燃料噴射装置および制御装置
US20190107041A1 (en) Internal Combustion Engine Control Device
JP5257520B2 (ja) 内燃機関の制御装置
WO2023162086A1 (ja) 燃料噴射制御装置及び燃料噴射制御方法
JP5196028B2 (ja) 内燃機関の燃料噴射制御装置
JP2014074337A (ja) 内燃機関の制御装置
Hammer et al. Modern GDI combustion systems with focus on fuel metering technology fulfilling future emission legislation
JP2007077996A (ja) 内燃機関及び内燃機関の燃料噴射制御装置

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20220518

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20230627

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20230801

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20231107

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20231215

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20240319