以下、図面を参照して実施形態について説明する。
[ショベルの構成]
まず、図1〜図4を参照して、本実施形態に係るショベルの構成について説明をする。
図1は、本実施形態に係るショベルを示す側面図である。
図1に示すように、油圧アクチュエータとしての走行油圧モータ1A,1B(図2、図7参照)により油圧駆動される下部走行体1には、旋回機構2を介して上部旋回体3が搭載される。上部旋回体3には、ブーム4が取り付けられる。ブーム4の先端には、アーム5が取り付けられ、アーム5の先端には、バケット6が取り付けられる。アタッチメントとしてのブーム4、アーム5、及びバケット6は、油圧アクチュエータとしてのブームシリンダ7、アームシリンダ8、及びバケットシリンダ9によりそれぞれ油圧駆動される。また、上部旋回体3には、オペレータが搭乗するキャビン10が設けられると共に、エンジン11(図2、図7参照)等が搭載される。
図2は、本実施形態に係るショベルの駆動系を中心とする構成の一例を示すブロック図である。
尚、図中、機械的動力系は二重線、高圧油圧ラインは太い実線、パイロットラインは破線、電気駆動・制御系は細い実線でそれぞれ示される。
本実施形態に係るショベルのメイン駆動部としてのエンジン11(例えば、軽油を燃料とするディーゼルエンジン)と、アシスト駆動部としての電動発電機12は、減速機13の2つの入力軸にそれぞれ接続される。減速機13の出力軸には、メインポンプ14及びパイロットポンプ15が直列に接続される。即ち、エンジン11は、減速機13を介してメインポンプ14及びパイロットポンプ15を駆動し、電動発電機12は、エンジン11をアシストしてメインポンプ14及びパイロットポンプ15を駆動することができる。メインポンプ14には、高圧油圧ライン16を介してコントロールバルブ17が接続される。
メインポンプ14は、例えば、可変容量式油圧ポンプであり、斜板の角度(傾転角)を制御することでピストンのストローク長を調整し、吐出流量(吐出圧)を制御することができる。
パイロットポンプ15は、例えば、固定容量式油圧ポンプである。パイロットポンプ15は、パイロットライン25を介して操作装置26と接続される。
コントロールバルブ17は、オペレータによる操作装置26の操作に応じて、油圧系の制御を行う油圧制御装置である。走行油圧モータ1A(右用),1B(左用)、ブームシリンダ7、アームシリンダ8、バケットシリンダ9等は、高圧油圧ラインを介してコントロールバルブ17に接続される。コントロールバルブ17は、メインポンプ14と各油圧アクチュエータとの間に設けられ、メインポンプ14から油圧アクチュエータのそれぞれに供給される作動油の流量と流れる方向を制御する複数の油圧制御弁(方向切換弁)を含むバルブユニットである。
操作装置26は、レバー26A,26Bと、ペダル26Cを含み、オペレータが各動作要素(下部走行体1、上部旋回体3、ブーム4、アーム5、バケット6等)の操作を行う操作入力手段である。換言すれば、操作装置26は、各動作要素を駆動する各油圧アクチュエータ(走行油圧モータ1A,1B、ブームシリンダ7、アームシリンダ8、バケットシリンダ9等)や後述する電動アクチュエータ(旋回用電動機21)等の操作を行う操作入力手段である。操作装置26(レバー26A,26B、及びペダル26C)は、油圧ライン27及び油圧ライン28を介して、コントロールバルブ17及び圧力センサ29にそれぞれ接続される。これにより、コントロールバルブ17には、操作装置26における下部走行体1、ブーム4、アーム5、及びバケット6等の操作状態に応じたパイロット信号(パイロット圧)が入力される。圧力センサ29は、コントローラ30に接続される。これにより、コントローラ30には、操作装置26における下部走行体1、上部旋回体3、ブーム4、アーム5、及びバケット6等の操作状態に応じた圧力信号(圧力検出値)が入力される。
尚、レバー26A,26Bは、それぞれ、キャビン10内の操縦席に着座したオペレータから見て、左側及び右側に配置され、中立状態(操作がなされない状態)を基準にして前後方向及び左右方向に傾倒可能に構成される。即ち、レバー26Aの前後方向の傾倒、レバー26Aの左右方向の傾倒、レバー26Bの前後方向の傾倒、及びレバー26Bの左右方向の傾倒のそれぞれに対して、上部旋回体3、ブーム4、アーム5、及びバケット6の何れかを操作対象として任意に設定できる。以下、レバー26A,26Bの操作パターンは、JIS(ISO)パターンであること、即ち、上部旋回体3の操作は、レバー26Aを中立状態から左右方向に傾倒させることにより行われることを前提に説明を行う。
また、パイロットポンプ15と操作装置26の間のパイロットライン25には、ゲートロック切替弁36が設けられる。
ゲートロック切替弁36は、キャビン10内の操縦席への乗降部に設けられるゲートの開閉操作を行うための操作部であるゲートロックレバー32の操作状態に応じて、パイロットライン25の連通状態と非連通状態を切り替える。具体的には、ゲートロック切替弁36は、ゲートロックレバー32の操作状態に連動するゲートロックレバースイッチ(ゲートロックレバーSW)34から出力されるゲートロックレバー信号(ON/OFF)に応じて、電磁ソレノイドのON/OFF切替が行われる電磁切替弁である。ゲートロックレバーSW34は、ゲートロックレバー32が下された状態(操縦席への乗降部が開放された状態)では、OFFされる。そして、ゲートロック切替弁36は、ゲートロックレバーSW34からOFF状態を示すゲートロックレバー信号(所定の閾値電圧以下の電圧信号)が入力されると、パイロットライン25を非連通状態にし、パイロットポンプ15から操作装置26への作動油の供給を遮断する。一方、ゲートロックレバーSW34は、ゲートロックレバー32が上げられた状態(操縦席への乗降部が閉鎖された状態)では、ONされる。そして、ゲートロック切替弁36は、ゲートロックレバーSW34からON状態を示すゲートロックレバー信号(所定の閾値電圧より高い電圧信号)が入力されると、パイロットライン25を連通状態にし、パイロットポンプ15から操作装置26へ作動油(パイロット圧)が供給される。ゲートロックレバー32が上げられた状態は、オペレータが操縦席に着座し、操縦可能な状態にあると判断できる。そのため、ゲートロックレバー32が引き上げられた場合にのみパイロット圧が操作装置26に供給されることにより、操作装置26への意図しない操作入力による各油圧アクチュエータの作動を防止している。即ち、ゲートロックレバーが下げられた状態では、各油圧アクチュエータの作動をロックし、ゲートロックレバーが上げられた状態では、各油圧アクチュエータの作動のロックを解除する(アンロックする)。以下、ゲートロックレバー32が下げられた状態を"ロック状態"と称し、ゲートロックレバー32が上げられた状態を"アンロック状態"と称する。
尚、図中、ゲートロック切替弁36は、ゲートロックレバー32が上げられている(ゲートロックレバーSW34がONされている)場合を表しており、パイロットポンプ15から操作装置26にパイロット圧が供給されている。
電動発電機12には、インバータ18Aを介して、蓄電装置の一例としてのキャパシタ19(図3参照)を含む蓄電系120が接続される。
また、本実施形態に係るショベルは、旋回機構2が電動化され、旋回機構2(即ち、上部旋回体3)を駆動する旋回用電動機21が設けられる。旋回用電動機21は、インバータ18Bを介して蓄電系120に接続される。また、旋回用電動機21は、上部旋回体3の旋回減速動作に応じて、回生発電を行う。旋回用電動機21の回転軸21Aには、レゾルバ22、メカニカルブレーキ23、及び旋回減速機24が接続される。
旋回用電動機21は、上部旋回体3を旋回駆動する力行運転と、上部旋回体3を回生制動(回生電力を発生させて旋回制動)する回生運転の双方を実現可能に構成される。力行運転の際、旋回用電動機21の動力が旋回減速機24により増力され(即ち、駆動トルクが増大され)、上部旋回体3が旋回駆動される。また、回生運転の際(即ち、上部旋回体3を旋回減速させる際)、上部旋回体3の慣性回転力が旋回減速機24を介して旋回用電動機21に伝達され、回生電力を発生させる(即ち、上部旋回体3が旋回制動される)。本実施形態に係る旋回用電動機21は、インバータ18Bから供給される三相交流電力により駆動される。旋回用電動機21は、例えば、IPM(Interior Permanent Magnet)モータを含んで構成することができる。これにより、より大きな誘導起電力を発生させることができるので、回生制動時に旋回用電動機21による発電電力を増大させることができる。
レゾルバ22(速度検出部の一例)は、旋回用電動機21の回転位置(回転角)、回転速度等を検出する既知の検出手段である。レゾルバ22は、検出した回転角、回転速度に対応する検出信号(検出値)をコントローラ30に送信する。
尚、旋回用電動機21の回転角、回転速度が検出可能であれば、レゾルバ22の代わりに、任意のセンサ(例えば、エンコーダ等)を用いてもよい。
メカニカルブレーキ23は、上部旋回体3を旋回制動する既知の機械的な制動手段である。メカニカルブレーキ23は、回転軸21Aと一体に回転し、回転軸21A方向に移動可能な(例えば、回転軸21Aにスプライン結合された)ディスクと、回転せず、回転軸21A方向に移動可能(例えば、固定部であるケース内面にスプライン結合された)プレートとの面接触により制動力トルクを発生させる。メカニカルブレーキ23は、旋回用電動機21の回転軸21Aを機械的に停止させ、上部旋回体3の停止状態を保持することができる。また、メカニカルブレーキ23は、旋回機構2(上部旋回体3)が旋回する状態で作動することにより、旋回機構2(上部旋回体3)を減速させ、停止させることができる。
旋回減速機24は、旋回用電動機21の出力(トルク)を減速させることにより、増力させる(トルクを増大させる)手段である。旋回減速機24は、旋回機構2と接続され、旋回用電動機21の出力を減速させて、直接、旋回機構2を旋回駆動する。即ち、旋回用電動機21は、旋回減速機24を介して、旋回機構2(上部旋回体3)を旋回駆動する。
また、旋回用電動機21とインバータ18Bの間の電力経路には、電流センサ21sが設けられる。電流センサ21sは、旋回用電動機21の電流を検出する。電流センサ21sは、旋回用電動機21の電流を検出可能であれば、磁気抵抗効果を用いる磁気センサであってもよいし、シャント抵抗等を用いる直接計測式のセンサであってもよい。
尚、旋回用電動機21は、インバータ18Bから供給される3相(U相、V相、W相)交流電力で駆動するため、電流センサ21sは、3相のうちの少なくとも2相の電流を検出可能な態様(即ち、複数の電流センサを含む態様)で設けられる。また、電流センサ21sは、インバータ18Bに内蔵され、インバータ18Bから出力される電流を検出する態様であってもよい。
コントローラ30は、ショベルにおける駆動制御を行う主たる制御装置である。コントローラ30は、例えば、CPU、ROM、RAM、I/O等を含む演算処理装置(マイクロコンピュータ)で構成され、ROMに格納される各種駆動制御用のプログラムをCPU上で実行することにより各種駆動制御が実現される。
コントローラ30は、圧力センサ29から供給される圧力信号(操作装置26における上部旋回体3の操作状態を表す信号)を速度指令Cに変換し、旋回用電動機21の駆動制御を行う。詳細は、後述する。
尚、圧力センサ29から供給される圧力信号(圧力検出値)は、旋回機構2(即ち、上部旋回体3)を旋回させるための操作装置26(レバー26A)における操作量を表す信号である。
また、コントローラ30は、電動発電機12の運転制御(電動(アシスト)運転又は発電運転の切り替え)を行うとともに、昇降圧コンバータ100(図3参照)を駆動制御することによるキャパシタ19(図3参照)の充放電制御を行う。コントローラ30は、キャパシタ19の充電状態、電動発電機12の運転状態(電動(アシスト)運転又は発電運転)、及び旋回用電動機21の運転状態(力行運転又は回生運転)に基づき、昇降圧コンバータ100の昇圧動作と降圧動作の切替制御を行い、これにより、キャパシタ19の充放電制御を行う。
図3は、蓄電系120の構成の一例を示す回路図である。
蓄電系120は、キャパシタ19、昇降圧コンバータ100、DCバス110等を含む。
DCバス110は、キャパシタ19、電動発電機12、及び旋回用電動機21の間での電力の授受を制御する。キャパシタ19には、キャパシタ19の電圧値、及び電流値を検出するキャパシタ電圧検出部112、及びキャパシタ電流検出部113が設けられる。キャパシタ電圧検出部112、及びキャパシタ電流検出部113により検出されるキャパシタ電圧値、及びキャパシタ電流値は、コントローラ30に供給される。
昇降圧コンバータ100は、電動発電機12、及び旋回用電動機21の運転状態に応じて、DCバス電圧値を一定の範囲内に収まるように昇圧動作と降圧動作を切り替える。DCバス110は、インバータ18A、18Bと昇降圧コンバータ100との間に配設され、キャパシタ19、電動発電機12、及び旋回用電動機21は、DCバス110を介して、電力の授受を行う。
昇降圧コンバータ100の昇圧動作と降圧動作の切替制御は、DCバス電圧検出部111により検出されるDCバス電圧値、キャパシタ電圧検出部112により検出されるキャパシタ電圧値、及びキャパシタ電流検出部113により検出されるキャパシタ電流値に基づき、コントローラ30により実行される。
図4は、本実施形態に係るショベルの上部旋回体3の制御系(旋回制御系)の構成の一例を示す機能ブロック図である。図4に示すように、旋回制御系に関連する機能ブロックとして、コントローラ30は、旋回制御部301、監視部302を含む。
旋回制御部301(第1制御部の一例)は、電流センサ21sの電流検出値Is、レゾルバ22の回転速度の検出値(速度検出値)ωs、及び上部旋回体3の旋回操作に対応する圧力センサ29(圧力センサ29−1,29−2)からの圧力検出値P1s,P2sに基づき、旋回用電動機21を駆動制御する。旋回制御部301は、指令生成部3011、速度・トルクフィードバック制御部(速度・トルクFB制御部)3012を含む。
尚、圧力センサ29−1,29−2は、それぞれ、左旋回操作(レバー26Aの左方向への傾倒操作)、及び右旋回操作(レバー26Aの右方向への傾倒操作)の操作量に対応するパイロット圧の検出値(圧力検出値P1s,P2s)をコントローラ30に送信する。即ち、圧力センサ29−1,29−2は、上部旋回体3を操作するレバー26Aの(左右方向への)操作量を検出する操作量検出部の一例である。また、電流センサ21sの電流検出値Isには、含まれる複数の電流センサの複数の検出値が含まれる。
指令生成部3011は、コントローラ30の所定のインターフェースを介して受信した圧力センサ29−1,29−2の圧力検出値P1s,P2sに基づき、速度指令C(旋回用電動機21を駆動制御するために生成される制御指令値の一例)を生成する。速度指令Cは、例えば、レバー26Aのフルストローク時の旋回速度(最大旋回速度ωmax)に対する割合(パーセンテージ)を示す指令信号として生成される。指令生成部3011は、生成した速度指令Cを速度・トルクFB制御部3012に送信する。
速度・トルクFB制御部3012は、速度指令Cに対応する旋回速度を実現するため、レゾルバ22の速度検出値ωs、及び電流センサ21sの電流検出値Is(に対応する旋回用電動機21のトルク)に基づく、旋回用電動機21の速度フィードバック制御、及びトルクフィードバック制御を行う。具体的には、速度・トルクFB制御部3012は、速度指令Cに対応する旋回速度ωcと速度検出値ωsとの差分に応じて、トルク指令を生成する。そして、速度・トルクFB制御部3012は、生成したトルク指令と、電流検出値Isに対応するトルク値との差分に応じて、インバータ18Bを駆動する駆動信号、例えば、PWM信号(Pulse Width Modulation)信号を生成する。速度・トルクFB制御部3012は、駆動信号を監視部302に送信する。
監視部302(第2制御部の一例)は、コントローラ30の所定のインターフェースを介して受信したゲートロックレバーSW34からのゲートロックレバー信号(ゲートロックレバー32の操作状態に対応する情報の一例)に基づき、上部旋回体3の動作(旋回動作)に関する異常を監視する。例えば、監視部302は、ゲートロックレバー信号がOFFである場合、旋回動作に関する異常の検出を行う(異常検出処理)。また、例えば、監視部302は、ゲートロックレバー信号がOFFである場合であって、旋回動作に関する異常を検出した場合、或いは、異常に対応する所定条件を満足した場合、レバー26Aの操作状態(旋回制御部301の動作状態)とは無関係に、上部旋回体3の停止制御を行う。「上部旋回体3の停止制御」は、旋回中の上部旋回体3を停止(減速)させる制御(減速制御)及び上部旋回体3の停止状態を維持する制御(旋回ロック制御)の双方を含む。即ち、監視部302は、ゲートロックレバー信号がOFFである(即ち、ゲートロックレバー32がロック状態である場合)、レバー26Aの操作の有無に関わらず、上部旋回体3を旋回させないようにする。監視部302は、通常、即ち、旋回動作に関する異常がない状況において、速度・トルクFB制御部3012から送信された駆動信号をインバータ18Bに出力する。一方、監視部302は、旋回動作に関する異常がある状況において、駆動信号の出力を禁止する(出力しない)ことにより、上部旋回体3の停止制御を実現する。監視部302による処理の詳細は、後述する。
尚、上部旋回体3の停止制御は、メカニカルブレーキ23を作動させることにより、実現されてもよい。また、監視部302は、旋回ロック制御を行う際、駆動信号の出力を禁止すると共に、自らが駆動信号を生成し、停止状態を維持する制御(所謂0速制御)を行ってもよい。
[監視部の処理]
次に、図5〜図8を参照して、監視部302における監視処理の詳細について説明する。
まず、図5は、監視部302による第1監視処理の一例を概略的に示すフローチャートである。本フローチャートによる処理は、例えば、ショベルのキーオン時(起動時)やキーオフ時(運転終了時)に実行される。また、図7で後述するように、ショベルの運転中(キーオンからキーオフまでの間)で、実行されてもよい。
図5を参照するに、ステップS102にて、監視部302は、ゲートロックレバー信号がOFFであるか否か(即ち、ゲートロックレバー32がロック状態であるか否か)を判定する。監視部302は、ゲートロックレバー信号がOFFである場合、ステップS204に進み、ゲートロックレバー信号がOFFでない(ONである)場合、ステップS104,S106をスキップして、今回の処理を終了する。
ステップS104にて、監視部302は、異常検出処理を行う。例えば、監視部302は、旋回動作に関する監視対象の出力値が正常範囲にあるか否か、即ち、上部旋回体3の停止状態に対応する範囲にあるか否かを判定する。「旋回動作に関する監視対象」は、例えば、電流センサ21s、レゾルバ22、指令生成部3011、圧力センサ29等である。そして、監視部302は、監視対象の出力値が上部旋回体3の停止情報に対応する範囲にない場合、旋回動作に関する異常があると判定してよい(異常判定)。上述の如く、ゲートロックレバー32がロック状態である場合、オペレータによるショベルの操作が行われていないか、仮にレバー26Aに意図せず触れたとしても、ゲートロック切替弁36の作用で、操作装置26の二次側にパイロット圧は発生しない。特に、ショベルのキーオン時(起動時)には、ゲートロックレバー32は必ずと言っていいほどロック状態になっており、且つ、ショベルの操作が行われていない。そのため、このような状況で、監視対象の出力値が上部旋回体3の停止状態に対応する範囲にない場合、旋回動作に関する異常があると判断することができる。
ステップS106にて、監視部302は、旋回用電動機21を駆動する駆動信号のインバータ18Bへの出力を禁止(遮断)する、即ち、旋回ロック制御を開始し、今回の処理を終了する。
尚、図5に示す処理では、監視部302は、異常検出処理の結果に依らず、旋回ロック制御を行うが、異常検出処理の結果、旋回動作に関する異常があると判定された場合に限り、旋回ロック制御を行ってもよい。
このように、監視部302は、ゲートロックレバー信号がOFFである、即ち、ゲートロックレバー32がロック状態である場合、レバー26Aの操作の有無に関わらず、上部旋回体3を旋回させないようにする。具体的には、監視部302は、ゲートロックレバー信号がOFFである場合、旋回用電動機21を駆動する駆動信号のインバータ18Bへの出力を禁止(遮断)する、即ち、旋回ロック制御を行う。また、監視部302は、ゲートロックレバー信号がOFFである場合、旋回動作に関する監視対象の異常検出処理を行う。これにより、例えば、オペレータが実際に発生した旋回動作に関する異常を感知する前に、旋回動作に関する異常を検出したり、当該異常に対応して旋回動作を禁止したりすることができるため、上部旋回体3を電気駆動するショベルの安全性をより高めることができる。
続いて、図6は、監視部302による第1監視処理の他の例を概略的に示すフローチャートである。本フローチャートによる処理は、図5と同様、例えば、ショベルのキーオン時(起動時)やキーオフ時(運転終了時)に実行される。また、図8で後述するように、ショベルの運転中(キーオンからキーオフまでの間)で、実行されてもよい。
監視部302は、以下で説明するように、ゲートロックレバー信号と、速度検出値ωs、電流検出値Is、圧力検出値P1s,P2s、及び速度指令Cに基づき、上部旋回体3の動作に関する異常の検出を行うと共に、上部旋回体3の停止制御を行う。
尚、後述する異常フラグF1〜F4は、初期設定として、正常である旨を示す"0"に設定されている。
図6を参照するに、ステップS202にて、監視部302は、ゲートロックレバー信号がOFFであるか否か(即ち、ゲートロックレバー32がロック状態であるか否か)を判定する。監視部302は、ゲートロックレバー信号がOFFである場合、ステップS204に進み、ゲートロックレバー信号がOFFでない(ONである)場合、ステップS204〜S224をスキップして、今回の処理を終了する。
ステップS204にて、監視部302は、電流検出値Isが、上部旋回体3の停止状態に対応する範囲、即ち、所定閾値Isth以下の範囲にあるか否かを判定する。監視部302は、電流検出値Isが所定閾値Isth以下でない場合、ステップS206に進み、所定閾値Isth以下である場合、ステップS206をスキップして、ステップS208に進む。より具体的には、監視部302は、電流センサ21sに含まれる複数のセンサの少なくとも1つでも上記条件を満足しない場合、ステップS206に進み、電流センサ21sに含まれる全てのセンサが上記条件を満足する場合、ステップS208に進む。
尚、所定閾値Isthは、電流0或いは所謂0速制御(例えば、傾斜による重力成分等の外力が作用しても旋回用電動機21の回転速度をゼロに維持する制御)に対応する程度の非常に小さい電流値として設定される。
ステップS206にて、監視部302は、電流センサ21sに異常がある(電流センサ異常)と判定し、電流センサ21sの異常の有無を表す異常フラグF1を、異常を示す"1"に設定する。上述の如く、ゲートロックレバー32がロック状態である場合、オペレータによるショベルの操作が行われていないか、仮にレバー26Aに意図せず触れたとしても、ゲートロック切替弁36の作用で、操作装置26の二次側にパイロット圧は発生しない。特に、ショベルのキーオン時(起動時)には、ゲートロックレバー32は必ずと言っていいほどロック状態になっており、且つ、ショベルの操作が行われていない。そのため、このような状況で、電流センサ21sの電流検出値Isが上部旋回体3の停止状態に対応する範囲にない場合、電流センサ21sに異常があると判断することができる。
ステップS208にて、監視部302は、速度検出値ωsが、上部旋回体3の停止状態に対応する範囲、即ち、所定閾値ωsth以下の範囲にあるか否かを判定する。監視部302は、速度検出値ωsが所定閾値ωsth以下でない場合、ステップS210に進み、所定閾値ωsth以下である場合、ステップS210をスキップして、ステップS212に進む。
尚、所定閾値ωsthは、回転速度0或いは所謂0速制御に対応する程度の非常に小さい回転速度値として設定される。
ステップS210にて、監視部302は、レゾルバ22に異常がある(レゾルバ異常)と判定し、レゾルバ22の異常の有無を表す異常フラグF2を、異常を示す"1"に設定する。ステップS206における電流センサ21sの異常判定と同様の理由からである。
ステップS212にて、監視部302は、圧力検出値P1s,P2sが共に上部旋回体3の停止状態に対応する範囲、即ち、所定閾値Psth以下の範囲にあるか否かを判定する。監視部302は、圧力検出値P1s,P2sの何れか一方でも所定閾値Psth以下でない場合、ステップS214に進み、圧力検出値P1s,P2sが共に所定閾値Psth以下である場合、ステップS214をスキップして、ステップS216に進む。
尚、所定閾値Psthは、ゲートロック切替弁36の作用によるパイロット圧0(操作量0)に対応する程度の非常に小さい圧力値として設定される。
ステップS214にて、監視部302は、圧力センサ29−1,29−2の少なくとも一方に異常がある(圧力センサ異常)と判定し、圧力センサ29−1,29−2の異常の有無を表す異常フラグF3を、異常を示す"1"に設定する。ステップS206における電流センサ21sの異常判定と同様の理由からである。
尚、ステップS214では、ステップS212の判定結果に応じて、圧力センサ29−1,29−2のそれぞれについての異常の有無を判定してもよい。
ステップS216にて、監視部302は、異常フラグF3が"0"(即ち、圧力センサ29−1,29−2が正常)であり、且つ、速度指令Cが、上部旋回体3の停止状態に対応する範囲にない、即ち、所定閾値Cthより大きいか否かを判定する。監視部302は、当該条件を満足する場合、ステップS218に進み、当該条件を満足しない場合、ステップS218をスキップして、ステップS220に進む。
尚、所定閾値Cthは、回転速度0或いは所謂0速制御に対応する程度の非常に小さい値(パーセンテージ)として設定される。
ステップS218にて、監視部302は、指令生成部3011(即ち、指令生成部3011を実現するソフトウェア処理)に異常がある(指令生成部異常)と判定し、指令生成部3011の異常の有無を表す異常フラグF4を、異常を示す"1"に設定する。上述の如く、ゲートロックレバー32がロック状態である場合、オペレータによるショベルの操作が行われていないか、仮にレバー26Aに意図せず触れたとしても、ゲートロック切替弁36の作用で、操作装置26の二次側にパイロット圧は発生しない。特に、ショベルのキーオン時(起動時)には、ゲートロックレバー32は必ずと言っていいほどロック状態になっており、且つ、ショベルの操作が行われていない。そのため、このような状況で、圧力検出値P1s,P2sが正常である(パイロット圧0に対応する)値を示しているにも関わらず、指令生成部3011により生成される速度指令Cが上部旋回体3の停止状態に対応する範囲にない場合、指令生成部3011に異常があると判断できる。
ステップS220にて、監視部302は、異常フラグF1〜F4の値が何れか1つでも"1"であるか、即ち、電流センサ21s、レゾルバ22、圧力センサ29−1,29−2、指令生成部3011の少なくとも1つに異常があるか否かを判定する。監視部302は、異常フラグF1〜F4の値が何れか1つでも"1"である場合、ステップS222に進み、異常フラグF1〜F4の値が全て"0"である場合、ステップS222,S224をスキップして、今回の処理を終了する。
ステップS222にて、監視部302は、旋回用電動機21を駆動する駆動信号のインバータ18Bへの出力を禁止(遮断)する、即ち、旋回ロック制御を開始する。
ステップS224にて、監視部302は、コントローラ30と通信可能に接続されるキャビン10内のモニタ(不図示)に異常発生の通知(警告)と異常箇所を表示させて、今回の処理を終了する。これにより、オペレータやサービスマンは、異常の発生と、異常箇所を認識し、修理等の適切な対応を取ることができる。
尚、図6に示す処理における監視対象に関する異常の有無を判定する順序は、任意であってよい。但し、指令生成部3011の異常の有無を判定する処理(ステップS216)は、圧力センサ29−1,29−2の異常の有無を判定する処理(ステップS212)後に行う必要がある。また、図6に示す処理では、旋回動作に関する異常として、レゾルバ22(速度検出値ωs)、電流センサ21s(電流検出値Is)、圧力センサ29−1,29−2(圧力検出値P1s,P2s)、及び指令生成部3011(速度指令C)の全ての監視対象に関する異常の有無を判定するが、一部の監視対象に関する異常の有無を判定する態様であってもよい。即ち、監視部302は、ゲートロックレバー信号と、速度検出値ωs、電流検出値Is、圧力検出値P1s,P2s、及び速度指令Cの少なくとも1つとに基づき、旋回動作に関する異常の検出を行う態様であってよい。但し、ゲートロックレバー信号と、速度指令Cだけを用いる場合、旋回動作に関する異常の検出は可能であるが、異常箇所の特定はできない。また、図6に示す処理では、異常検出と旋回ロック制御の双方を行うが、異常検出のみを行う態様であってもよいし、旋回ロック制御のみを行う態様であってもよい。旋回ロック制御のみを行う態様の場合、監視部302は、後述するステップS204,S208,S212,S216の処理において、異常があると判定される条件の何れか1つでも満足すると、旋回ロック制御(ステップS222の処理)を行う。
このように、監視部302は、ゲートロックレバー信号と、速度検出値ωs、電流検出値Is、圧力検出値P1s,P2s、及び速度指令Cの少なくとも1つとに基づき、旋回動作に関する異常の検出を行う、又は、旋回ロック制御を行う。具体的には、監視部302は、ゲートロックレバー信号が、ゲートロックレバー32のロック状態を表している場合であって、速度検出値ωs、電流検出値Is、圧力検出値P1s,P2s、及び速度指令Cの少なくとも1つが、上部旋回体3の停止状態に対応する範囲にない場合、旋回動作に関する異常があると判定する、又は、旋回ロック制御を行う。これにより、例えば、オペレータが実際に発生した旋回動作に関する異常を感知する前に、旋回動作に関する異常を検出したり、当該異常に対応して旋回動作を禁止したりすることができるため、上部旋回体3を電気駆動するショベルの安全性をより高めることができる。
続いて、図7は、監視部302による第2監視処理の一例を概略的に示すフローチャートである。本フローチャートによる処理は、ショベルの運転中(キーオンからキーオフまでの間で)、ゲートロックレバー信号がONからOFFに変化した場合に実行されてよい。
図7を参照するに、ステップS302にて、監視部302は、ゲートロックレバー信号がOFFであるか否か(即ち、ゲートロックレバー32がロック状態であるか否か)を判定する。監視部302は、ゲートロックレバー信号がOFFである場合、ステップS304に進み、ゲートロックレバー信号がOFFでない(ONである)場合、ステップS304〜S310の処理をスキップして、今回の処理を終了する。
ステップS304にて、監視部302は、上部旋回体3が旋回中であるか否かを判定する。監視部302は、速度検出値ωs、電流検出値Is、圧力検出値P1s,P2s、及び速度指令Cのうちの複数を用いて、総合的に旋回中であるか否かを判定してよい。これにより、電流センサ21s、レゾルバ22、圧力センサ29−1,29−2、及び指令生成部3011の何れかに異常が発生している場合でも旋回中か否かをより正確に判定できる。また、監視部302は、何れか1つ(典型的には、速度検出値ωs)を用いて、旋回中であるか否かを判定してもよい。監視部302は、上部旋回体3が旋回中である場合、ステップS306に進み、上部旋回体3が旋回中でない場合、ステップS308に進む。
ステップS306にて、監視部302は、上部旋回体3を緊急停止させる処理(緊急停止処理)を行う。
一方、ステップS304にて、上部旋回体3が旋回していないと判定した場合、ステップS308,S310にて、監視部302は、図5(ステップS104,S106)と同様、異常検出処理及び旋回ロック制御を行い、今回の処理を終了する。
このように、監視部302は、上部旋回体3の旋回時に、ゲートロックレバー信号がONからOFF、即ち、ゲートロックレバー32がアンロック状態からロック状態に遷移した場合、旋回制御部301の動作とは無関係に、上部旋回体3を緊急停止させる。これにより、安全性を更に高めることができる。
続いて、図8は、監視部302による第2監視処理の他の例を概略的に示すフローチャートである。本フローチャートによる処理は、図7と同様、ショベルの運転中(キーオンからキーオフまでの間で)、ゲートロックレバー信号がONからOFFに変化した場合に実行されてよい。
図8を参照するに、ステップS402にて、監視部302は、ゲートロックレバー信号がOFFであるか否か(即ち、ゲートロックレバー32がロック状態であるか否か)を判定する。監視部302は、ゲートロックレバー信号がOFFである場合、ステップS404に進み、ゲートロックレバー信号がOFFでない(ONである)場合、ステップS404〜S412の処理をスキップして、今回の処理を終了する。
ステップS404にて、監視部302は、上部旋回体3が旋回中であるか否かを判定する。監視部302は、上述の如く、速度検出値ωs、電流検出値Is、圧力検出値P1s,P2s、及び速度指令Cのうちの複数を用いて、総合的に旋回中であるか否かを判定してよい。また、監視部302は、上述の如く、何れか1つ(典型的には、速度検出値ωs)を用いて、旋回中であるか否かを判定してもよい。監視部302は、上部旋回体3が旋回中である場合、ステップS406に進み、上部旋回体3が旋回中でない場合、ステップS412に進む。
ステップS406にて、監視部302は、指令生成部3011からの駆動信号を遮断(無効化)すると共に、自ら駆動信号を生成し、上部旋回体3を減速させて緊急停止させる制御を行う(減速制御)。上部旋回体3の旋回中にゲートロックレバー32がロック状態にされた場合、オペレータが旋回動作に何等かの異常を感知してゲートロックレバー32を操作したと推定できるからである。
ステップS408にて、監視部302は、上部旋回体3が停止したか否かを判定する。監視部302は、ステップS404と同様、速度検出値ωs、電流検出値Is、圧力検出値P1s,P2s、及び速度指令Cのうちの複数を用いて、総合的に旋回中であるか否かを判定してよいし、何れか1つ(典型的には、速度検出値ωs)を用いて、旋回中であるか否かを判定してもよい。監視部302は、上部旋回体3が停止した場合、ステップS410に進み、上部旋回体3が停止していない場合、停止するまで、ステップS406,S408の処理を繰り返す。
ステップS410にて、監視部302は、旋回用電動機21を駆動する駆動信号のインバータ18Bへの出力を禁止(遮断)する、即ち、旋回ロック制御を開始し、今回の処理を終了する。これにより、オペレータが感知した旋回動作に関する異常に応じて、迅速に、上部旋回体3の旋回動作を禁止することができる。
尚、ステップS410の処理の代わりに、図6に示す第1監視処理に移行してもよい。これにより、オペレータが感知した異常が実際に発生していることを確認した上で、旋回ロック制御の開始できる(即ち、上部旋回体3の旋回動作を禁止できる)。
一方、ステップS404にて、上部旋回体3が旋回していないと判定された場合、ステップS412にて、監視部302は、図6に示す第1監視処理に移行して、今回の処理を終了する。これにより、例えば、ショベルの運転中、オペレータがキャビン10から降りる度に、旋回動作に関する異常の有無を判定できるため、異常検出の機会を増やし、異常発生から検出までのタイムラグを短くすることが可能となり、安全性を更に高めることができる。
このように、監視部302は、上部旋回体3の旋回時に、ゲートロックレバー信号がONからOFF、即ち、ゲートロックレバー32がアンロック状態からロック状態に遷移した場合、旋回制御部301の動作とは無関係に、旋回用電動機21を減速させる制御を行う。これにより、オペレータが旋回動作に何等かの異常を感知してゲートロックレバー32を操作した場合に、旋回している上部旋回体3を緊急停止させることができ、安全性を更に高めることができる。
[構成の他の例]
次に、図9、図10を参照して、本実施形態に係るショベルの構成の他の例について説明する。本例では、上述した一例(図2,図4)とは異なり、速度・トルクFB制御部3012の機能(ドライバ機能)がインバータ18Bに内蔵され、監視部302の機能がコントローラ30の外部の監視装置38として実現される。以下、上述した一例と同様の構成には同一の符号を付し、異なる部分を中心に説明する。
図9は、本実施形態に係るショベルの駆動系を中心とする構成の他の例を示すブロック図である。図10は、本実施形態に係る旋回制御系の構成の他の例を示す機能ブロック図である。
尚、図9中、機械的動力系は二重線、高圧油圧ラインは太い実線、パイロットラインは破線、電気駆動・制御系は細い実線でそれぞれ示される。また、ショベルの外観(側面図)及び蓄電系120の構成は、上述した一例と同様、図1及び図3で表されるため、説明を省略する。
旋回制御部301(第1制御部の他の例)は、コントローラ30に含まれる指令生成部3011と、インバータ18Bに内蔵される速度・トルクFB制御部3012を含む。
指令生成部3011は、速度指令Cをインバータ18Bに送信すると共に、監視装置38にも送信する。
インバータ18Bは、インバータ回路181B、通信線182B、遮断部183B、速度・トルクFB制御部3012を含む。
インバータ回路181Bは、通信線182Bを通じて、速度・トルクFB制御部3012から送信される駆動信号(PWM信号)に基づき、作動する。具体的には、インバータ回路181Bは、当該駆動信号に基づき、蓄電系120から供給される電力を、旋回用電動機21を駆動する三相交流電力に変換したり、旋回用電動機21からの回生電力を直流電力に変換し蓄電系120に供給したりする。
遮断部183Bは、インバータ回路181Bと速度・トルクFB制御部3012を通信可能に接続する通信線182B上に設けられ、通信線182Bの接続と遮断とを切り替えることができる。遮断部183Bは、インバータ18Bの所定のインターフェースを通じて監視装置38から受信する遮断信号に応じて、通信線182Bを遮断する。遮断部183Bは、例えば、機械式スイッチや半導体スイッチ(スイッチング素子)である。
速度・トルクFB制御部3012は、例えば、インバータ18Bに内蔵されるドライバIC(Integrated Circuit)である。速度・トルクFB制御部3012は、インバータ18Bの所定のインターフェースを通じてコントローラ30(指令生成部3011)から受信した速度指令C(以下、指令生成部3011が生成し、出力した速度指令Cと区別するため、「受信速度指令Crcv」と称する)に基づき、駆動信号を生成する。即ち、速度・トルクFB制御部3012は、受信速度指令Crcvに対応する旋回速度を実現するため、レゾルバ22の速度検出値ωs、及び電流センサ21sの電流検出値Is(に対応する旋回用電動機21のトルク)に基づく、旋回用電動機21の速度フィードバック制御、及びトルクフィードバック制御を行う。速度・トルクFB制御部3012は、通信線182Bを通じて、生成した駆動信号をインバータ回路181Bに送信する。
監視装置38(第2制御部の他の例)は、インバータ18B、コントローラ30とは別に設けられ、電流センサ21s、レゾルバ22、圧力センサ29−1,29−2、ゲートロックレバーSW34、インバータ18B、及びコントローラ30と通信可能に接続される。監視装置38は、ゲートロックレバーSW34からのゲートロックレバー信号に基づき、旋回動作に関する異常を監視する。監視装置38は、例えば、旋回動作に関する異常の検出を行う。また、監視装置38は、例えば、旋回動作に関する異常を検出した場合、或いは、異常に対応する所定条件を満足した場合、レバー26Aの操作状態(旋回制御部301の動作状態)とは無関係に、上部旋回体3の停止制御を行う。監視装置38は、旋回動作に関する異常がある状況において、遮断部183に遮断信号を送信し、通信線182Bを遮断することにより、上部旋回体3の停止制御を実現する。監視装置38による処理の詳細は、後述する。
尚、上部旋回体3の停止制御は、メカニカルブレーキ23を作動させることにより、実現されてもよい。また、監視装置38は、旋回ロック制御を行う際、駆動信号の出力を禁止すると共に、自らが駆動信号を生成し、停止状態を維持する制御(所謂0速制御)を行ってもよい。また、遮断部183Bを省略し、監視装置38が速度・トルクFB制御部3012に対して駆動信号の出力を禁止する旨の指令を送信することにより、上部旋回体3の停止制御を実現してもよい。
[監視装置の処理]
次に、図11を参照して、監視装置38における処理の詳細について説明する。
図11は、監視装置38による第1監視処理の一例を概略的に示すフローチャートである。本フローチャートによる処理は、例えば、ショベルのキーオン時(起動時)やキーオフ時(運転終了時)に実行される。また、ショベルの運転中(キーオンからキーオフまでの間)で、実行されてもよい(後述して引用する図8参照)。
監視装置38は、上述した一例に係る監視部302と同様、以下で説明するように、ゲートロックレバー信号と、速度検出値ωs、電流検出値Is、圧力検出値P1s,P2s、及び速度指令Cに基づき、上部旋回体3の動作に関する異常の検出を行うと共に、上部旋回体3の停止制御を行う。
尚、図11に示す処理では、旋回動作に関する異常として、速度検出値ωs、電流検出値Is、圧力検出値P1s,P2s、速度指令C、及びコントローラ30(指令生成部3011)とインバータ18B(速度・トルクFB制御部3012)との間の通信状態の全てに関する異常を検出するが、少なくとも1つに関する異常を検出する態様であってもよい。即ち、監視装置38は、ゲートロックレバー信号と、速度検出値ωs、電流検出値Is、圧力検出値P1s,P2s、速度指令C、及び受信速度指令Crcvの少なくとも1つとに基づき、旋回動作に関する異常の検出を行う態様であってよい。但し、例えば、ゲートロック信号と、速度指令C又は受信速度指令Crcvだけを用いる場合、旋回動作に関する異常の検出は可能であるが、異常箇所の特定はできない。また、図5に示す処理では、異常検出と旋回ロック制御の双方を行うが、異常検出のみを行う態様であってもよいし、旋回ロック制御のみを行う態様であってもよい。旋回ロック制御のみを行う態様の場合、監視装置38は、後述するステップS504,S508,312,S516,S520の処理において、異常があると判定される条件の何れか1つでも満足すると、旋回ロック制御(ステップS222の処理)を行う。また、後述する異常フラグF1〜F5は、初期設定として、正常である旨を示す"0"に設定されている。
本フローチャートにおけるステップS502〜S518の処理は、図5に示すステップS202〜S218の処理と同様であるため、説明を省略する。
ステップS520にて、監視装置38は、異常フラグF3,F4が"0"(即ち、圧力センサ29−1,29−2、指令生成部3011が正常)であり、且つ、受信速度指令Crcvが上部旋回体3の停止状態に対応する範囲にない、即ち、所定閾値Cthより大きいか否かを判定する。監視装置38は、当該条件を満足する場合、ステップS522に進み、当該条件を満足しない場合、ステップS522をスキップして、ステップS524に進む。
尚、本ステップにて、監視装置38は、速度指令Cと、受信速度指令Crcvが同じであるか否かを判定してもよい。当該処理を採用する場合、速度指令Cと、受信速度指令Crcvが同じでない場合、ステップS522に進み、速度指令Cと、受信速度指令Crcvが同じである場合、ステップS522をスキップして、ステップS524に進む。
ステップS522にて、監視装置38は、コントローラ30(指令生成部3011)とインバータ18B(速度・トルクFB制御部3012)の間の通信状態に異常がある(通信異常)と判定し、通信異常を表す異常フラグF5を、異常を示す"1"に設定する。上述の如く、ゲートロックレバー32がロック状態である場合、オペレータによるショベルの操作が行われていないか、仮にレバー26Aに意図せず触れたとしても、ゲートロック切替弁36の作用で、操作装置26の二次側にパイロット圧は発生しない。特に、ショベルのキーオン時(起動時)には、ゲートロックレバー32は必ずと言っていいほどロック状態になっており、且つ、ショベルの操作が行われていない。そのため、このような状況で、圧力検出値P1s,P2sが正常である(パイロット圧0に対応する)値を示し、且つ、指令生成部3011により生成される速度指令Cも正常な値を示しているにも関わらず、受信速度指令Crcvが上部旋回体3の停止状態に対応する範囲にない場合、通信異常があると判断できる。
ステップS524にて、監視装置38は、異常フラグF1〜F5の値が何れか1つでも"1"であるか、即ち、電流センサ21s、レゾルバ22、圧力センサ29−1,29−2、指令生成部3011、コントローラ30とインバータ18Bとの間の通信状態の少なくとも1つに異常があるか否かを判定する。監視装置38は、異常フラグF1〜F5の値が何れか1つでも"1"である場合、ステップS526に進み、異常フラグF1〜F5の値が全て"0"である場合、ステップS526,S528をスキップして、今回の処理を終了する。
ステップS526にて、監視装置38は、インバータ18B(遮断部183B)に遮断信号を送信する、即ち、旋回ロック制御を開始する。
ステップS526にて、監視装置38は、通信可能に接続されるキャビン10内のモニタ(不図示)に異常発生の通知(警告)と異常箇所を表示させて、今回の処理を終了する。これにより、オペレータやサービスマンは、異常の発生と、異常箇所を認識し、修理等の適切な対応を取ることができる。
このように、本例に係る構成(指令生成部3011がコントローラ30に含まれ、速度・トルクFB制御部3012がインバータ18Bに含まれる構成)において、監視装置38は、ゲートロック信号と、圧力検出値P1s,P2s、速度指令C、及び受信速度指令Crcvに基づき、コントローラ30(指令生成部3011)とインバータ18B(速度・トルクFB制御部3012)との間の通信異常を検出することができる。
また、監視装置38は、上述した一例に係る監視部302と同様、第2監視処理を行う。監視装置38による第2監視処理は、上述した一例と同様、図8で表されるため、説明を省略する。
以上、実施形態について詳述したが、本開示はかかる特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。