JP2021046675A - 地盤改良工事の施工方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】セメントそのものの吸水量を考慮することで、実施工時の改良体の品質のばらつきや施工性の低下を未然に防止した、地盤改良工事のための配合試験方法を提供する。【解決手段】撹拌混合処理直後の安定処理土の流動値が目標流動値となるときの水セメント比を求める工程を含み、原土と撹拌混合処理されることになるセメントスラリについて、撹拌混合処理直後にセメントそのものが吸水してしまう性質に短時間吸水量および短時間吸水率という概念、及び、セメントに加える水の量に全添加水量および純加水量という概念を用い、これらの各概念に基づいて、最終的に原地盤中に吐出させるセメント添加量と、そのセメント添加量のもとでの水セメント比を決定する。【選択図】なし

Description

本発明は、原地盤の強度増加を図る地盤改良工事に用いるセメントやセメント系固化材(以下「セメント」という。)の吸水率(吸水量)およびその吸水率を用いた配合試験方法に関する。
原土とセメントスラリを撹拌混合処理して強度増加を図る地盤改良工法において、攪拌混合処理直後の安定処理土の流動値を管理して、経済性に優れ、しかも混合むら等の不具合の発生をなくして、その処理品質の向上を図った地盤改良工法が例えば特許文献1にて提案されている。
特許文献1に開示された地盤改良工法は、本発明者が提案したものであるが、撹拌混合処理直後における処理土の流動値を測定して、その流動値が予め定めた管理流動限界値を超えている場合には、当該セメントスラリの水セメント比を増減(補正)して、撹拌混合処理直後における安定処理土の流動値を常に前記管理流動限界値の範囲内に納まるように管理して、施工性や安定処理土の品質を確保しようとするものである。
特開2006−63786号公報
地盤改良工法(地盤改良工事)で使用されるセメントの粒径は概ね1〜20ミクロン程度と極微細であり、その表面吸水量は非常に大きく、セメントの水和反応による水の消費量(吸水量)等も考慮すると、セメントの吸水率はセメント重量比概ね36%〜40%程度にも達するとされている。にもかかわらず、特許文献1に代表される既存技術での水セメント比の増減は、そのセメントが吸収する水の吸水量は考慮しない提案であった。その結果として、水セメント比の増減では実際の添加水量の増減量が過大となり、補正後の流動値や処理後の改良体の品質にばらつきが生じるなどの課題が生じていた。
すなわち、上記特許文献1に代表される既存技術では、水セメント比を基準にその添加水量を増減(補正)しているが、その添加水量はその原土に添加される全水量(全添加水量)を対象に増減を図るものであって、セメントに吸収されてしまう水の吸水量は考慮されていなかった。そのため、必要以上に全添加水量を増減する結果となり、撹拌混合処理直後の安定処理土の流動値は予想を超える増減となっていた。この過大な増減により、造成される改良体の品質のばらつきや施工性の低下を招く結果となっていた。
そんな中、実施工に先立ち実施される配合試験に適用する前記吸水率を前述のセメント重量比36%〜40%として行うものの、この吸水率による吸水量はセメントが水に反応して水和反応を終えるまで(セメントスラリの製造から原土とセメントスラリが撹拌混合された後、概ね30日〜60日)の吸水量であり、前記課題解決のための吸水量としては過大な吸水量となっていた。
別の関連技術として、特開2004−19276号公報、特開2005−113392号公報、および特開2010−203226号公報に開示されたものがある。
特開2004−19276号公報では、処理土(安定処理土)の流動性の指標であるスランプ値と水セメント比(セメントスラリの水セメント比)の相関より目標流動値とするときの水セメント比を求め、その水セメント比にてセメント添加量を求める方法が紹介されている。しかし、セメントの吸水率については触れておらず、セメント添加量によっては、前記スランプ値(流動値)がばらつくなどの課題があった。
また、特開2005−113392号公報では、攪拌混合処理直後のテーブルフロー値と改良処理深度との相関より、改良処理深度に応じたテーブルフロー値(目標流動値)を求め、固化材(セメント)の添加形態を決定するとしているが、固化材(セメント)の吸水率については触れられていない。
さらに、特開2010−203226号公報では、セメント(粉体状の固化材)による水分吸水量(吸水率)をセメント重量の40%相当量として相対添加水量や全添加水量を求める事例を紹介している。しかし、その吸水率は先に説明したようにセメントの長期に及ぶ吸水率であり、吸水率が大きすぎることによる課題があった。
本発明は、このような従来の既存技術が具備する課題に着目してなされたものであり、前記配合試験にて適用する吸水率を、セメントスラリの製造から、そのセメントスラリと原土(試料土)の撹拌混合処理直後の安定処理土の流動値を測定するまでの、概ね5分〜15分の短時間の吸水量(短時間吸水量)より求めた吸水率(短時間吸水率)と、その短時間吸水率を適用する配合試験方法を提案するものである。
本発明は、セメントと水を混練りしたセメントスラリを原地盤中に吐出して、そのセメントスラリと原地盤との撹拌混合処理にて安定処理土を造成する地盤改良工事の施工に先立って実施する配合試験である。
前記地盤改良工事は、セメントスラリと原地盤との撹拌混合処理直後の安定処理土の流動値について予め目標流動値を定めておいてその施工を行うものである。
他方、前記配合試験は、前記撹拌混合処理直後の安定処理土の流動値を前記目標流動値にするセメントスラリの水セメント比と、前記安定処理土の強度を前記地盤改良工事の目的に適う地盤強度へと増加させるのに必要なセメント添加量を求めるものであって、次の(a)〜(g)に示す工程を含むことを特徴としている。
(a)前記原地盤より採取した試料土の土質性状と前記地盤改良工事に使用予定のセメントより、前記安定処理土の強度を前記地盤改良工事の目的に適う地盤強度へと増加させるに必要と思われるセメント添加量を前記配合試験での暫定添加量とする工程。
(b)前記暫定添加量のもとで前記試料土に対し複数の水セメント比によるセメントスラリを添加・撹拌混合処理した安定処理土の撹拌混合処理直後の流動値を測定し、前記複数の水セメント比と前記測定した流動値との相関より、その流動値が前記目標流動値となるときの水セメント比を求める工程。
(c)前記暫定添加量と前記(b)にて求めた水セメント比を下記式に代入して、撹拌混合処理直後の安定処理土の流動値が前記目標流動値となるときのセメントスラリの純加水量を求める工程。
セメントスラリの純加水量={暫定添加量×(水セメント比/100)}−{暫定添加量×(セメントの短時間吸水量/100)}
(d)前記(c)にて求めたセメントスラリの純加水量が同じになる水セメント比のセメントスラリを、複数のセメント添加量にて前記試料土に対し添加・撹拌混合処理する配合試験を行い、前記安定処理土の強度を前記地盤改良工事の目的に適う強度へと増加させるに必要なセメント添加量を求める工程。
(e)前記(c)にて求めたセメントスラリの純加水量と前記(d)にて求めたセメント添加量を下記式に代入して、セメントスラリの純加水量が同じになる当該セメントスラリの全添加水量を求める工程。
セメントスラリの全添加水量=純加水量+{セメント添加量×(セメントの短時間吸水率/100)
(f)前記(d)にて求めたセメント添加量と前記(e)にて求めたセメントスラリの全添加水量を下記式に代入して、撹拌混合処理直後の安定処理土の流動値が前記目標流動値となるセメントスラリの水セメント比を求める工程。
セメントスラリの水セメント比=(全添加水量/セメント添加量)×100
(g)前記(d)にて求めたセメント添加量と、前記(f)にて求めたセメントスラリの水セメント比を、前記原地盤中に吐出させるセメント添加量と、そのセメント添加量のもとでの水セメント比として決定する工程。
本発明によれば、原地盤から採取した試料土を使っての配合試験に際して、セメントそのものの短時間吸水率(短時間吸水量)が予め考慮されているので、実施工時の改良体の品質のばらつきや施工性の低下を未然に防止することができる。
セメント添加量を4段階に変化させたときのセメントスラリの水セメント比とテーブルフロー値(TF値)との相関を示す図。 表8に基づいて作成した水セメント比とテーブルフロー値(TF値)との相関を示す図。 表9に基づいて作成したセメント添加量と一軸圧縮強さとの相関を示す図。 表10に基づいて作成したセメント添加量と一軸圧縮強さとの相関を示す図。
1.用語の定義
・セメントスラリ:粉体状のセメントと水が混練りされたスラリ状の固化材をいう。
・水セメント比:セメントスラリの濃度を示す数値であって、その単位は%にて表示する。
・全添加水量:セメントスラリとして試料土に添加される全水量をいう。単位体積当たりの試料土に添加される全水量であって、その単位はリットル/m3とする。
・セメントの短時間吸水量:セメントの表面吸水により吸収される水の吸水量(消費量)であって、セメントスラリの製造から流動値試験を終える、概ね5分〜15分の間にセメントが吸収する吸水量をいう。その単位はリットル/m3とする。
・セメントの短時間吸水率:前記短時間吸水量をセメント重量比にて表示した値であって、百分率(%)による表示が通常となっている。
・純加水量:全添加水量からセメントの短時間吸水量を減じた添加水量を言う。この値は、安定処理土の流動化の指標値であって、その単位はリットル/m3とする。
・目標流動値:施工に際して混合性(品質)や作業性(経済性)の最も望ましい状態となるときの撹拌混合処理直後の安定処理土の流動値を言う。以下の実施例での流動値は、テーブルフロー試験でのテーブルフロー値にて述べる。
・暫定添加量:撹拌混合処理直後の安定処理土の流動値を目標流動値とするに必要なセメントスラリの水セメント比(濃度)を求める試験に適用するセメント添加量であって、供試体(安定処理土)の強度が目標強度になると推定されるセメント添加量をもって暫定添加量とする。
2.セメントの短時間吸水率試験
一般的に言われているセメント(紛体状の固化材)の吸水率は、セメントと水の混練りに始まり、セメントの水和反応が概ね終了するまでの期間(約30日〜60日)に吸水する吸水量より求めた吸水率であって、セメント重量の概ね36%〜40%と言われている。
しかし、本発明で着目するセメントの短時間吸水率は、地盤改良工事の施工に先立って実施する配合試験にて、水とセメントとの混練りに始まり、混練り後のセメントスラリと試料土の撹拌混合処理直後の安定処理土による流動試験(テーブルフロー試験)を終えるまでの短時間(概ね5分〜15分)に当該セメントが吸水する吸水量(セメントの短時間吸水量)より求めた値であって、前記セメントの短時間吸水量をセメント重量比にて求めた値を、百分率(%)表示した数値である。つまり、セメントの表面吸水であり、セメントの粒度(比表面積)によって、その吸水量は異なるものの、セメントの水和反応による吸水量はほぼ含まれない吸水量となっている。
以下にて、前記短時間吸水率を求める短時間吸水率試験の一例を示す。
(1)短時間吸水率試験の概要
ここで述べるセメントの短時間吸水率を求める試験は、水とセメントを混練りしたセメントスラリの製造から、混練り後のセメントスラリと試料土を攪拌混合処理した安定処理土の、攪拌混合処理直後の流動値を測定するまでの概ね5分〜15分の短時間に当該セメントが吸水した吸水量(短時間吸水量)を求め、その短時間吸水量より前記短時間吸水率を求める試験である。
任意の原地盤から採取した試料土と複数の水セメント比によるセメントスラリの添加・撹拌混合処理にあたり、複数のセメント添加量にて添加・撹拌混合処理した安定処理土の撹拌混合処理直後の流動値(テーブルフロー値)を測定して、前記複数のセメント添加量による安定処理土のテーブルフロー値(以下、「TF値」と言う。)が同じTF値となるときのセメントの吸水量を前記短時間吸水量として求め、その短時間吸水量より前記短時間吸水率を求める試験である。
前記短時間吸水率試験に使用する、材料および緒元を以下に示す。
・試料土の土質性状:粘性土(埼玉県大宮市産)
湿潤密度:1.543g/cm3
含水比:80.8%
・セメントの種類:A社製高炉セメント
・セメント添加量:100kg/m3、150kg/m3、200kg/m3、250kg/m3による、複数の添加量(4添加量)とする。
・セメントスラリの水セメント比:攪拌混合処理直後の安定処理土のTF値が目標流動値となる水セメント比は、セメント添加量によって異なる。よって、ここでの水セメントは、前記複数のセメント添加量のいずれのセメントスラリにおいても、前記TF値が目標流動値になると思われる水セメント比を包含する水セメント比(80%〜330%)とする。
・目標流動値:撹拌混合処理直後によるTF値にて、120mmとする。
(2)短時間吸水率試験結果とそのまとめ
前記複数のセメント添加量にて、撹拌混合処理直後の安定処理土のTF値が120mm(目標流動値)になると思われる水セメント比を推定し、その水セメント比を包含する複数の水セメント比における安定処理土の、撹拌混合処理直後のテーブルフロー試験(以下、「TF試験」と言う。)を行い、前記複数のセメント添加量ごとの水セメント比に対するそれぞれのTF値を測定する。なお、このTF値の測定に要した時間(セメントスラリの製造からTF値の測定を終えるまでの時間)は、一試料あたり、10分から12分であった。前記流動値の測定結果は、表1に示す。
Figure 2021046675
以下の手順にて、前記TF値が120mm(目標流動値)となるときの全添加水量を、複数のセメント添加量ごとにおける複数の全添加水量(それぞれの全添加水量)を求める。
・前記表1に基づき、水セメント比とTF値の相関図(図1)を作成する。
・前記図1より、前記複数のセメント添加量ごとに、前記TF値が120mmとなるときの複数の水セメント比(それぞれの水セメント比)を求める。前記複数の水セメント比は、表2に示す。
Figure 2021046675
・表2に示すセメント添加量と水セメント比より、セメント添加量ごとにおける前記複数の全添加水量を求める。前記複数の全添加水量は、表3に示す。
Figure 2021046675
以下にて、前記複数の全添加水量を求める計算の一例(セメント添加量100kg/m3、水セメント比190%の場合)を示す。
全添加水量=セメント添加量×(水セメント比/100)‥‥(1)
=100×(190/100)=190リットル/m3
(3)セメントの短時間吸水率の検証
前記セメントの短時間吸水率試験の結果より、前記短時間吸水率を36%と仮定したうえで、前記短時間吸水率を検証する。
・短時間吸水量と純加水量を求める。
以下にて、前記全添加水量(表3参照)より、前記短時間吸水率を36%と仮定したときの短時間吸水量と純加水量を求める。前記純加水量は、前記全添加水量から当該セメントが短時間に吸水した吸水量(短時間吸水量)を差し引いた吸水量であって、下記式2より求められる。
純加水量=全添加水量−短時間吸水量‥‥(2) 前記短時間吸水量は、下記式3より求める。
短時間吸水量=セメント添加量×(短時間吸水率/100)‥‥(3)
前記式2および式3にて求めた、複数のセメント添加量(それぞれのセメント添加量)ごとにおける複数の短時間吸水量(それぞれの短時間吸水量)と複数の純加水量(それぞれの純加水量)を、表4に示す。
Figure 2021046675
以下にて、前記短時間吸水量と純加水量を求める計算の一例(セメント添加量100kg/m3の場合)を示す。
短時間吸水量=100×(36/100)=36リットル/m3
純加水量=190−36=154リットル/m3
・前記複数のセメント添加量ごとによる、それぞれの純加水量の差の総和を求める。
前記複数のセメント添加量(a、b、c、d)における、セメント添加量ごとによるそれぞれの純加水量の差の総和を求める式を以下に示す。
セメント添加量aの純加水量を純加水量a、セメント添加量bの純加水量を純加水量b、セメント添加量cの純加水量を純加水量c、セメント添加量dの純加水量を純加水量dとすると、それぞれの純加水量の差の総和を求める式は、下記に示す通りとなる。
それぞれの純加水量ごとの差の総和=(純加水量a−純加水量b)+(純加水量a−純加水量c)+(純加水量a−純加水量d)+(純加水量b−純加水量c)+(純加水量b−純加水量d)+(純加水量c−純加水量d)‥‥(4)
前記式4に、前述にて求めたそれぞれの純加水量(表4参照)を代入すると以下のようになる。
それぞれの純加水量ごとの差の総和=(154−150)+(154−134)+(154−130)+(150−134)+(150−130)+(134−130)=88リットル/m3
・短時間吸水率の検証
前述のそれぞれの純加水量ごとの差の総和は、88リットル/m3となった。これは、当該セメントの短時間吸水率が、先に仮定した36%よりも小さいことを示すものである。例えば、仮定した短時間吸水率と当該セメントの短時間吸水率が合致もしくは概ね近似していれば、それぞれの純加水量ごとの差の総和はゼロ(0)もしくは限りなくゼロ(0)に近い値となる。すなわち、それぞれの純加水量ごとの差の総和がゼロ(0)もしくは限りなくゼロ(0)に近い値となることは、それぞれの純加水量ごとの差の総和が0(ゼロ)を含む極小の値となることを意味する。
前述の、限りなくゼロ(0)に近い値とは、求めたそれぞれの純加水量ごとの差の総和の値を、少数点以下第一位にて四捨五入した場合、その値がゼロ(0)となる範囲における値を言う。
また、表4に示すそれぞれの純加水量が130リットル/m3〜154リットル/m3とばらついており、この純加水量からしても仮定した短時間吸水率(36%)と前記短時間吸水率との隔たりを示すものであり、セメント添加量が変動しても安定処理土の攪拌混合処理直後の安定処理土の流動値(TF値)を一定とする(流動値がばらつかない)セメントスラリの水セメント比(濃度)を求めるには、この短時間吸水率を正確に求めることが不可欠となる。
以下にて、前記短時間吸水率を求める実施例について述べる。
(4)短時間吸水率を求める。
前記TF試験の結果より、当該セメント(A社製の高炉メント)の短時間吸水率を求める実施例について述べる。なお、前記短時間吸水率は攪拌混合処理直後の安定処理土の流動値を管理するうえで重要な指標値となる数値であって、原土(試料土)に添加するセメント添加量を変化させた場合の攪拌混合処理直後の安定処理土の流動値を一定(概ね一定)に維持するセメントスラリの全添加水量(水セメント比)を求めるうえで重要な数値である。
前記短時間吸水率は、前記それぞれの純加水量ごとの差の総和がゼロ(0)もしくは概ねゼロ(0)となるときの吸水率であり、以下の手順にて求めることができる。
前記短時間吸水率をxとすると、当該セメントスラリの純加水量は、以下に示す式にて表わされる。なお、セメントの吸水率は、通常は百分率(%)表示であるが、ここでは便利上、小数点以下第三位までの数値表示とする。
純加水量=全添加水量−セメントの短時間吸水量=全添加水量−(セメント添加量×x)‥‥(5)
前記式4に式5を代入すると、それぞれの純加水量ごとの差の総和を示す式は、以下のように表わされる。
それぞれの純加水量ごとの差の総和={(aの全添加水量−a×x)−(bの全添加水量−b×x)}+{(aの全添加水量−a×x)−(cの全添加水量−c×x)}+{(aの全添加水量−a×x)−(dの全添加水量−d×x)}+{(bの全添加水量−b×x)−(cの全添加水量−c×x)}+{(bの全添加水量−b×x)−(cの全添加水量−c×x)}+{(cの全添加水量−c×x)−(dの全添加水量−d×x)}‥‥(6)
前記式6に、TF値が120mm(任意の目標流動値)となるときのセメント添加量ごとによるそれぞれの全添加水量(表3参照)と、その時のそれぞれのセメント添加量を代入すると、以下の式となる。
それぞれの純加水量ごとの差の総和={(190−100x)−(204−150x)}+{(190−100x)−(206−200x)}+{(190−100x)−(220−250x)}+{(204−150x)−(206−200x)}+{(204−150x)−(220−250x)}+{(206−200x)−(220−250x)}
={3(190−100x)+2(204−150x)+(206−200x)}−{(204−150x)+2(206−200x)+3(220−250x)}
=500x−92
前述のそれぞれの純加水量ごとの差の総和がゼロ(0)となる式は、以下に示す式となる。
0=500x−92‥‥(7)
式7より、xを求める。
500x=92であり、x=92/500=0.184となる。
前記xを百分率(%)表示すると、当該セメントの短時間吸水率は以下のように表わされる。
セメントの短時間吸水率=0.184×100=18.4%
上記より、この度の試験に供したA社製の高炉セメントの短時間吸水率は、18.4%となる。
(5)短時間吸水率の検証
前記(4)にて求めた短時間吸水率(18.4%)の検証を以下にて行う。
前記短時間吸水率を18.4%とする場合による短時間吸水量と純加水量を求め、それぞれのセメント添加量ごとによる全添加水量と短時間吸水量および純加水量を、表5に示す。
Figure 2021046675
前記式4に、前記純加水量(表5参照)を代入すると、それぞれの純加水量ごとの差の総和を示す式は、以下の通りとなる。
それぞれの純加水量ごとの差の総和=(171.6−176.4)+(171.6―169.2)+(171.6―174.0)+(176.4―169.2)+(176.4―174.0)+(169.2―174.0)=−0.2≒0リットル/m3
前記短時間吸水率を18.4%とした場合、それぞれの純加水量ごとの差の総和は−0.2リットル/m3となった。この値を、小数点以下第一位にて四捨五入するとゼロ(0)となり、限りなくゼロ(0)に近く、概ねゼロ(0)となる値と言える。よって、前記A社製の高炉セメントの短時間吸水率は概ね18.4%と求められる。
また、表5に示す純加水量が169.2リットル/m3〜176.4リットル/m3と僅かではあるがばらつき(流動試験の誤差)が生じている。前記それぞれの純加水量ごとの差の総和が−0.2リットル/m3となった要因は、このばらつきによるものであるが、原土が変化する地盤改良工事の実施工を考慮すると、このばらつきは微小であり、許容範囲内のばらつきと言える。
(6)他のセメントの短時間吸水率
A社、B社、C社の三社が出荷している三種類のセメント(高炉セメント、特殊土用固化材、高有機質土用固化材)について、前述同様に撹拌混合処理直後の安定処理土のTF試験を行い、表6に示す結果が得られた。
Figure 2021046675
セメントの比表面積(表7参照)は、セメントの種類および製造メーカーによっても異なるが、セメントの短時間吸水率は、17.4%〜29.6%(平均値は、概ね25%)の範囲となった。ここで求めた短時間吸水率は、セメントの比表面積と概ね比例(比表面積が大きいほど短時間吸水率が高くなっている)する結果となり、セメントの水和反応による吸水は限りなくゼロに近い結果となっている。
Figure 2021046675
配合試験の精度を高めるには、メーカー毎によるセメントの種類別に短時間吸水率を定めることが望ましいが、短時間吸水率に影響するセメントの比表面積は出荷ロットによっても変動している(ばらつきを有している)。そのばらつきを念頭におくと配合試験の都度、使用するセメントの短時間給水率を求めることとなるが、その都度、短時間吸水率を求めるのは、多くの時間(労力)を要し合理的とは言えない。
以上より、原土の変化により変動する攪拌混合処理直後の安定処理土の流動値を管理するセメントの短時間吸水率としては、前記短時間吸水率試験で求めた短時間吸水率の平均値25%(表6参照)を適用することが合理的であり、望ましいと言える。
また、ここまでに述べた流動値は、テーブルフロー試験によるテーブルフロー値で述べたが、スランプ試験によるスランプ値やベーン試験によるベーンせん断強さによる値であっても良く、撹拌混合処理直後の安定処理土の流動値を示す試験値ならばテーブルフロー値に限定するものではない。
3.短時間吸水率の応用例
セメントと水を混練りしたセメントスラリを原地盤中に吐出して、そのセメントスラリと原地盤との撹拌混合処理にて原地盤の強度増加を図る地盤改良工事の施工に先立って実施する配合試験にて、前記短時間吸水率(25%)を引用した実施例を以下に示す。なお、実施例にて使用する試料土(原土)とセメントは、前述の短時間吸水率試験にて使用した試料土(埼玉県大宮市産、粘性土)およびセメント(A社製高炉セメント)とする。
安定処理土の攪拌混合処理直後の当該安定処理土の目標流動値:TF値にて120mm
安定処理土の目標強度:一軸圧縮強さにて500kN/m2(σ28)
上記条件より、この配合試験での暫定添加量は、150kg/m3とする。
(1)暫定添加量による流動試験
前記暫定添加量(150kg/m3)にて当該安定処理土の撹拌混合処理直後のTF値が概ね120mmになると思われる水セメント比を推定し、その水セメント比を包含する複数の水セメント比(130%、180%、230%)によるセメントスラリにて、前記試料土に前記暫定添加量(150kg/m3)相当量のセメント添加量を添加・撹拌混合処理したうえで、その安定処理土による攪拌混合処理直後の安定処理土の流動試験(TF試験)を行う。前記TF試験の結果を表8に示す。
Figure 2021046675
(2)目標流動値となるときの水セメント比および純加水量を求める。
前記表8に基づき、水セメント比とTF値の相関図(図2)を作成する。
前記図2より、TF値が120mm(目標流動値)となるときの水セメント比(136%)を求める。
・セメント添加量150kg/m3、水セメント比136%における全添加水量を求める。
全添加水量=150×(136/100)=204リットル/m3
・セメント添加量150kg/m3における短時間吸水量を、当該セメントの短時間吸水率を25%として求める。
短時間吸水量=150×(25/100)=37.5リットル/m3
・純加水量を求める。
前記全添加水量と短時間吸水量より、当該セメントスラリの純加水量を求める。
純加水量=全添加水量−短時間吸水量=204−37.5=166.5リットル/m3
以上より、前記試料土の攪拌混合処理直後の安定処理土の目標流動値を、TF値にて120mmとするに必要なセメントスラリの純加水量は166.5リットル/m3となる。
複数のセメント添加量による配合試験を行うにあたり、当該セメントの添加量を変化させても、前記純加水量(166.5リットル/m3)を一定とする全添加水量(水セメント比)による配合試験を行なえば、セメント添加量を変化させた場合のいずれのセメント添加量においても攪拌混合処理直後の安定処理土のTF値は、概ね120mm(目標流動値)となる。
純加水量を一定とする配合試験例を以下に示す。
(3)純加水量を一定とする配合試験
以下にて、前記純加水量(166.5リットル/m3)を一定とする配合試験の実施例を述べる。
なお、純加水量を一定とする配合試験とは、攪拌混合処理直後の安定処理土の目標流動値を予め定めたうえで、撹拌混合処理直後の安定処理土の流動値(TF値)がいずれの添加量においても、前記目標流動値(流動値一定)となるように当該セメントスラリの全添加水量(水セメント比)を調整して行う配合試験である。
以下では、安定処理土の目標強度を500kN/m2として、所定の養生を経た後の供試体(安定処理土)の一軸圧縮強さが目標強度になると推定されるセメント添加量(暫定添加量)を含む、複数のセメント添加量(100kg/m3、150kg/m3、200kg/m3、250kg/m3)による、一軸圧縮試験を行う配合試験例について述べる。
・前記複数のセメント添加量での短時間吸水量を求める。
前記複数のセメント添加量におけるそれぞれの短時間吸水量を以下にて求める。
短時間吸水量=セメント添加量×(短時間吸水率/100)‥‥(8)
100kg/m3添加の場合:100×(25/100)=25.0リットル/m3
150kg/m3添加の場合:150×(25/100)=37.5リットル/m3
200kg/m3添加の場合:200×(25/100)=50.0リットル/m3
250kg/m3添加の場合:(250×(25/100)=62.5リットル/m3
・前記複数のセメント添加量におけるそれぞれの全添加水量を求める。
前記純加水量(166.5リットル/m3)と前記式8にて求めた複数のセメント添加量におけるそれぞれの短時間吸水量より、それぞれの全添加水量を、以下にて求める。
全添加水量=純加水量+短時間吸水量‥‥(9)
100kg/m3添加の場合:166.5+25.0=191.5リットル/m3
150kg/m3添加の場合:166.5+37.5=204.0リットル/m3
200kg/m3添加の場合:166.5+50.0=216.5リットル/m3
250kg/m3添加の場合 166.5+62.5=229.0リットル/m3
前記それぞれの全添加水量における水セメント比を求める。
前記式9で求めたそれぞれの全添加水量と前記複数のセメント添加量におけるそれぞれの水セメント比を、以下にて求める。
水セメント比=(全添加水量/セメント添加量)×100‥‥(10)
100kg/m3添加の場合:(191.5/100)×100≒192%
150kg/m3添加の場合:(204.0/150)×100=136%
200kg/m3添加の場合:(216.5/200)×100=108%
250kg/m3添加の場合:(229.0/250)×100=92%
・純加水量を一定とする配合試験
前記式10で求めた複数のそれぞれの水セメント比(192%、136%、108%、92%)によるセメントスラリにて、当該試料土に、100kg/m3、150kg/m3、200kg/m3、250kg/m3のセメント添加量を添加・撹拌混合処理した安定処理土による一軸圧縮試験用の供試体を作製し、所定の標準養生後、一軸圧縮試験を行う、純加水量を一定とする配合試験を、以下に述べる。なお、この配合試験における安定処理土の撹拌混合処理直後のTF値は、前記いずれのセメント添加量においても概ね120mmとなる。
前記一軸圧縮試験の結果を、表9に示す。
Figure 2021046675
・安定処理土の目標強度を得るに必要なセメント添加量を求める。
表9に基づき、セメント添加量と一軸圧縮強さの相関図を(図3)を作成する。
前記図3より、安定処理土の一軸圧縮強さが500kN/m2(室内目標強度)となるときのセメント添加量(178kg/m3)を求める。
・前記セメント添加量における全添加水量および水セメント比を求める。
前述にて求めたセメント添加量(178kg/m3)における、純加水量を一定とするセメントスラリの全添加水量と水セメント比を求める。
全添加水量=純加水量+短時間吸水量=純加水量+{セメント添加量×(短時間吸水率/100)}‥‥(11)
=166.5+{178×(25/100)}≒211リットル/m3
水セメント比=(全添加水量/セメント添加量)×100‥‥(12)
=(211/178)×100=118.5≒119%
上記より、前記試料土(原土)と水セメント比119%のセメントスラリにて178kg/m3のセメント添加量を添加・撹拌混合処理することで、当該安定処理土の攪拌混合処理直後のTF値(流動値)は概ね120mmとなり、且つ、所定養生後の一軸圧縮強さは、概ね500kN/m2となる。
4.純加水量を一定とする配合試験と水セメント比を一定とする配合試験の相違
(1)水セメント比を一定とする配合試験
前述の実施例では、純加水量を一定とする配合試験例を述べたが、以下では、水セメント比を一定とする配合試験例について述べる。
・水セメント比を一定とする配合試験
いずれのセメント添加量(100kg/m3、150kg/m3、200kg/m3、250kg/m3)においても、前記暫定添加量(150kg/m3)にて、撹拌混合処理直後の流動値が目標流動値となる水セメント比を、先に求めた水セメント比(136%)によるセメントスラリにて、添加・撹拌混合処理した安定処理土による一軸圧縮試験用の供試体を作製し、所定時間の標準養生後、一軸圧縮試験を行うべく、水セメント比を一定とする配合試験を、以下に述べる。
前記一軸圧縮試験の結果を表10に示す。
Figure 2021046675
・安定処理土の目標強度を得るに必要なセメント添加量を求める。
前記表10の結果に基づき、セメント添加量と一軸圧縮強さの相関図(図4)を作成する。
図4より、安定処理土(供試体)の一軸圧縮強さが500kN/m2となるセメント添加量(204kg/m3)を求める。
・決定添加量における全添加水量を求める。
水セメント比136%、決定添加量204kg/m3における全添加水量を求める。
全添加水量=204×(136/100)=277.4リットル/m3
・撹拌混合処理直後の安定処理土の流動値(TF値)
試料土と水セメント比136%のセメントスラリにて、全てのセメント添加量で撹拌混合した結果、撹拌混合処理直後の安定処理土の流動値は、以下に示すTF値となった。
100kg/m3の場合のTF値:114mm
150kg/m3の場合のTF値;120mm
200kg/m3の場合のTF値:126mm
250kg/m3の場合のTF値 132mm
撹拌混合処理直後の目標TF値は120mmであったが、セメント添加量が100kg/m3時には目標TF値よりも低い114mmとなり、セメント添加量が200kg/m3および250kg/m3時では目標TF値よりも高いTF値を示す結果となり、撹拌混合処理直後のTF値は、114mm〜132mmの範囲にばらつく結果となった。
(2)純加水量を一定とする配合試験と水セメント比を一定とする配合試験の相違
純加水量を一定とする配合試験と水セメント比を一定とする配合試験による試験結果を、表11に示す。
Figure 2021046675
・水セメント比と撹拌混合処理直後のTF値
先に求めた純加水量を一定とする配合試験の水セメント比(119%)と、水セメント比を一定とする配合試験の水セメント比(136%)による、撹拌混合処理直後の安定処理土のTF値は、前者は120mm、後者は127mmとなった。純加水量を一定とする配合試験は目標流動値となったが、水セメント比を一定とする配合試験では目標流動値を大きく上回る結果となった。
・必要なセメント添加量と撹拌混合処理直後の安定処理土の流動値
安定処理土の目標強度を得るに必要なセメント添加量は、純加水量を一定とする配合試験は178kg/m3、水セメント比を一定とする配合試験は204kg/m3となり、適切な短時間吸水率を適用した純加水量を一定とする配合試験を行うことにより、経済的なセメント添加量の決定が可能となった。
また、適切なセメントの短時間吸水率の応用により、当該地盤改良工事における適切な全添加水量(水セメント比)を予め求めることが可能となり、現場内にてセメント添加量が変化する場合であっても、撹拌混合処理直後の安定処理土の流動値(TF値)を安定させる地盤改良工事が可能となる。
本発明は、原地盤の強度増加を図る地盤改良工事の施工方法に関し、特に当該地盤改良工事に用いるセメントやセメント系固化材(以下、両者を区別することなく単に「セメント」という。)の吸水率(吸水量)に着目した地盤改良工事の施工方法に関する。
本発明は、このような従来の既存技術が具備する課題に着目してなされたものであり、前記配合試験にて適用する吸水率を、セメントスラリの製造から、そのセメントスラリと原土(試料土)の撹拌混合処理直後の安定処理土の流動値を測定するまでの、概ね5分〜15分の短時間の吸水量(短時間吸水量)より求めた吸水率(短時間吸水率)とする地盤改良工事の施工方法を提案するものである。
本発明は、セメントと水を混練りしたセメントスラリを原地盤中に吐出して、そのセメントスラリと原地盤との撹拌混合処理にて安定処理土を造成する地盤改良工事の施工方法である。
その上で、前記撹拌混合処理直後の安定処理土の流動値を前記目標流動値にするセメントスラリの水セメント比と、前記安定処理土の強度を前記地盤改良工事の目的に適う地盤強度へと増加させるのに必要なセメント添加量を、前記地盤改良工事の施工に先立って実施する配合試験にて求めるものであって、次の(a)〜(g)に示す工程を含むことを特徴としている。
(a)前記原地盤より採取した試料土の土質性状と前記地盤改良工事の施工に使用予定のセメントより、前記安定処理土の強度を前記地盤改良工事の目的に適う地盤強度へと増加させるに必要と思われるセメント添加量を前記配合試験での暫定添加量とする工程。
(c)前記暫定添加量と前記(b)にて求めた水セメント比と、水とセメントを混練りしたセメントスラリの製造から、そのセメントスラリと原地盤より採取した試料土を撹拌混合処理した安定処理土の撹拌混合処理直後の流動値を測定するまでの短時間に当該セメントが吸水する短時間吸水量と、より求めたセメントの短時間吸水率を、それぞれ下記式に代入して、撹拌混合処理直後の安定処理土の流動値が前記目標流動値となるときのセメントスラリの純加水量を求める工程。
セメントスラリの純加水量={暫定添加量×(水セメント比/100)}−{暫定添加量×(セメントの短時間吸水/100)}
(d)前記(c)にて求めたセメントスラリの純加水量が同じになる水セメント比のセメントスラリを、複数のセメント添加量にて前記試料土に対し添加・撹拌混合処理した安定処理土による供試体を作製し、その供試体による強度試験より得られたセメント添加量と当該安定処理土の強度との相関より、前記安定処理土の強度を前記地盤改良工事の目的に適う強度へと増加させるに必要なセメント添加量を求める工程。
(e)前記(c)にて求めたセメントスラリの純加水量と前記(d)にて求めたセメント添加量と、前記セメントの短時間吸水率を、それぞれ下記式に代入して、セメントスラリの純加水量が同じになる当該セメントスラリの全添加水量を求める工程。
セメントスラリの水セメント比=(全添加水量/セメント添加量)×100
(g)前記(d)にて求めたセメント添加量と、前記(f)にて求めた水セメント比によるセメントスラリにて、前記地盤改良工事の施工をする工程。

Claims (4)

  1. セメントと水を混練りしたセメントスラリを原地盤中に吐出して、そのセメントスラリと原地盤との撹拌混合処理にて安定処理土を造成する地盤改良工事の施工に先立って実施する配合試験にして、
    前記地盤改良工事は、セメントスラリと原地盤との撹拌混合処理直後の安定処理土の流動値について予め目標流動値を定めておいてその施工を行うものである一方、
    前記配合試験は、前記撹拌混合処理直後の安定処理土の流動値を前記目標流動値にするセメントスラリの水セメント比と、前記安定処理土の強度を前記地盤改良工事の目的に適う地盤強度へと増加させるのに必要なセメント添加量を求めるものであり、
    前記配合試験は、次の(a)〜(g)に示す工程を含むことを特徴とする地盤改良工事のための配合試験方法。
    (a)前記原地盤より採取した試料土の土質性状と前記地盤改良工事に使用予定のセメントより、前記安定処理土の強度を前記地盤改良工事の目的に適う地盤強度へと増加させるに必要と思われるセメント添加量を前記配合試験での暫定添加量とする工程。
    (b)前記暫定添加量のもとで前記試料土に対し複数の水セメント比によるセメントスラリを添加・撹拌混合処理した安定処理土の撹拌混合処理直後の流動値を測定し、前記複数の水セメント比と前記測定した流動値との相関より、その流動値が前記目標流動値となるときの水セメント比を求める工程。
    (c)前記暫定添加量と前記(b)にて求めた水セメント比を下記式に代入して、撹拌混合処理直後の安定処理土の流動値が前記目標流動値となるときのセメントスラリの純加水量を求める工程。
    セメントスラリの純加水量={暫定添加量×(水セメント比/100)}−{暫定添加量×(セメントの短時間吸水量/100)}
    (d)前記(c)にて求めたセメントスラリの純加水量が同じになる水セメント比のセメントスラリを、複数のセメント添加量にて前記試料土に対し添加・撹拌混合処理する配合試験を行い、前記安定処理土の強度を前記地盤改良工事の目的に適う強度へと増加させるに必要なセメント添加量を求める工程。
    (e)前記(c)にて求めたセメントスラリの純加水量と前記(d)にて求めたセメント添加量を下記式に代入して、セメントスラリの純加水量が同じになる当該セメントスラリの全添加水量を求める工程。
    セメントスラリの全添加水量=純加水量+{セメント添加量×(セメントの短時間吸水率/100)
    (f)前記(d)にて求めたセメント添加量と前記(e)にて求めたセメントスラリの全添加水量を下記式に代入して、撹拌混合処理直後の安定処理土の流動値が前記目標流動値となるセメントスラリの水セメント比を求める工程。
    セメントスラリの水セメント比=(全添加水量/セメント添加量)×100
    (g)前記(d)にて求めたセメント添加量と、前記(f)にて求めたセメントスラリの水セメント比を、前記原地盤中に吐出させるセメント添加量と、そのセメント添加量のもとでの水セメント比として決定する工程。
  2. 請求項1に記載の地盤改良工事のための配合試験方法において、
    前記(e)におけるセメントの短時間吸水率は、水とセメントを混練りしたセメントスラリの製造から、混練り後のセメントスラリと試料土を攪拌混合処理した安定処理土の攪拌混合処理直後の流動値を測定するまでの間に当該セメントが吸水した吸水量を求めて、その吸水量を当該セメントの重量比にて表示した値であって、
    前記セメントの短時間吸水率の決定にあたり、次の(h)〜(m)に示す工程を含むことを特徴とする地盤改良工事のための配合試験方法。
    (h)任意の原地盤から採取した試料土とセメントスラリを撹拌混合処理した安定処理土の撹拌混合処理直後の流動値を測定するにあたり、
    その流動値の目標流動値を任意の値に設定したうえで、前記試料土と複数の水セメント比のセメントスラリを複数のセメント添加量にて添加・撹拌混合処理した安定処理土のそれぞれについて撹拌混合処理直後の流動値を測定する工程。
    (i)前記(h)における複数の水セメント比と前記(h)で測定した流動値に基づいて、前記任意に設定した目標流動値となるときの水セメント比を前記複数のセメント添加量ごとに求める工程。
    (j)前記(i)における複数のセメント添加量と前記(i)で求めた複数の水セメント比によるセメントスラリの全添加水量をセメント添加量ごとに求める工程。
    (k)前記(j)で求めた複数の全添加水量と前記複数のセメント添加量を下記式に代入して、前記複数のセメント添加量ごとの複数の純加水量を個別に求める工程。
    純加水量=全添加水量−(セメント添加量×セメントの吸水率)
    (l)前記(k)で求めたそれぞれの純加水量ごとの差の総和を求め、その差の総和が0(ゼロ)を含む極小の値となるときのセメントの吸水率を求める工程。
    (m)前記(l)で求めたセメントの吸水率を当該セメントの短時間吸水率として決定する工程。
  3. 請求項2に記載の地盤改良工事のための配合試験方法において、
    前記(l)におけるセメントの吸水率を求めるにあたり、
    前記複数のセメント添加量におけるそれぞれの純加水量について、セメント添加量aの純加水量はa、セメント添加量bの純加水量はb、セメント添加量cの純加水量はc、セメント添加量dの純加水量はdとしたとき、
    下記式にて、前記それぞれの純加水量ごとの差の総和が0(ゼロ)を含む極小の値となるときのセメントの吸水率を求めることを特徴とする地盤改良工事のための配合試験方法。
    それぞれの純加水量の差の総和=(純加水量a−純加水量b)+(純加水量a−純加水量c)+(純加水量a−純加水量d)+(純加水量b−純加水量c)+(純加水量b−純加水量d)+(純加水量c−純加水量d)
  4. 請求項1または2に記載の地盤改良工事のための配合試験方法において、
    前記セメントの短時間吸水率を、当該セメントの重量あたり17%〜30%相当量とすることを特徴とする地盤改良工事のための配合試験方法。
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