JP2021046512A - ノズルおよびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】液だれの発生が適切に防止されたノズルを提供すること。【解決手段】テトラフルオロエチレン/フルオロ(アルキルビニルエーテル)共重合体、および、テトラフルオロエチレン/ヘキサフルオロプロピレン共重合体からなる群より選択される少なくとも1種の共重合体を含むノズルであって、ノズル先端の少なくとも一部における、対水接触角が、80度以下であるノズルを提供する。【選択図】図1
Description
本開示は、ノズルおよびその製造方法に関する。
半導体製造のウェットプロセスで使用される薬液配管部材や薬液滴下部材等には、テトラフルオロエチレン/パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)共重合体等のフッ素樹脂材料が使用されている(たとえば、特許文献1参照)。
本開示では、液だれの発生が適切に防止されたノズルおよびこのようなノズルの製造方法を提供することを目的とする。
本開示によれば、テトラフルオロエチレン/フルオロ(アルキルビニルエーテル)共重合体、および、テトラフルオロエチレン/ヘキサフルオロプロピレン共重合体からなる群より選択される少なくとも1種の共重合体を含むノズルであって、ノズル先端の少なくとも一部における、対水接触角が、80度以下であるノズルが提供される。
ノズル先端の外面の少なくとも一部における、対水接触角が、80度以下であることが好ましい。
前記共重合体の372℃でのメルトフローレートが、1〜60g/10分であることが好ましい。
前記共重合体が、テトラフルオロエチレン/フルオロ(アルキルビニルエーテル)共重合体であることが好ましい。
ノズル先端の開口径が2〜18mmであることが好ましい。
前記共重合体の372℃でのメルトフローレートが、1〜60g/10分であることが好ましい。
前記共重合体が、テトラフルオロエチレン/フルオロ(アルキルビニルエーテル)共重合体であることが好ましい。
ノズル先端の開口径が2〜18mmであることが好ましい。
また、本発明によれば、テトラフルオロエチレン/フルオロ(アルキルビニルエーテル)共重合体、および、テトラフルオロエチレン/ヘキサフルオロプロピレン共重合体からなる群より選択される少なくとも1種の共重合体を含むノズル状成形品の少なくとも先端部に対して、表面温度が150℃以上に加熱された状態でプラズマ処理を行う工程を備えるノズルの製造方法が提供される。
本開示によれば、液だれの発生が適切に防止されたノズルおよびこのようなノズルの製造方法を提供することができる。
以下、本開示の具体的な実施形態について詳細に説明するが、本開示は、以下の実施形態に限定されるものではない。
本開示のノズルは、テトラフルオロエチレン(TFE)/フルオロ(アルキルビニルエーテル)(FAVE)共重合体(TFE/FAVE共重合体)、および、テトラフルオロエチレン(TFE)/ヘキサフルオロプロピレン(HFP)共重合体(TFE/HFP共重合体)からなる群より選択される少なくとも1種の共重合体を含むノズルであって、ノズル先端の少なくとも一部における、対水接触角が、80度以下である。
半導体の製造プロセスには、ウェハー上に、レジスト液や洗浄液などの各種薬液や水を滴下することで、ウェハー表面にレジスト膜を形成したり、ウェハー表面の洗浄を行う、薬液あるいは水滴下プロセスがある。TFE/FAVE共重合体やTFE/HFP共重合体は、耐薬液性やクリーン性に優れることから、このような薬液あるいは水滴下プロセスに用いられるノズルを形成するための材料として、好適に用いられている。その一方で、TFE/FAVE共重合体やTFE/HFP共重合体は、通常、対水接触角が100度を超えていることから、各種薬液や水に濡れにくく、特に、水系の薬液に対しては撥水性を示すものである。そのため、TFE/FAVE共重合体やTFE/HFP共重合体を含むノズルは、ウェハー上へ薬液や水を供給した後、薬液や水の供給を止めた際に、ノズル先端から、薬液や水が滴下してしまうという問題、すなわち、いわゆる「液だれ」の問題がある。
特に、このような液だれの問題は、液だれによって汚れの拭きとり作業が発生してしまうという不具合や、液だれによって、定量化の精度が低下してしまうという不具合等を引き起こす。そのため、TFE/FAVE共重合体やTFE/HFP共重合体を含むノズルを、半導体の製造プロセスにおいて用いた場合はもちろんのこと、他の用途に適用した場合にも問題となる。また、ノズルに接続される弁として、シャット弁を採用する方法や、サックバック方式を採用する方法などの各種手法により、このような液だれの問題は、ある程度解決するものの、完全に解決するには至っていない。
これに対し、本開示のノズルによれば、テトラフルオロエチレン/フルオロ(アルキルビニルエーテル)共重合体、および、テトラフルオロエチレン/ヘキサフルオロプロピレン共重合体からなる群より選択される少なくとも1種の共重合体を含むノズルであって、ノズル先端の少なくとも一部における、対水接触角が、80度以下であることから、このような液だれの発生を有効に防止できるものである。特に、本開示によれば、対水接触角が、80度以下であることにより、ノズル先端の表面における表面張力を高めることができ、これにより、薬液や水に対して、分子間で引き合う力を向上させることができ、このような作用により、ノズル先端からの液だれを有効に抑制できるものと推測される。
本開示のノズルは、ノズル先端の少なくとも一部における、対水接触角が、80度以下であり、液だれの発生の防止効果をより高めることができることから、対水接触角は、好ましくは70度以下であり、より好ましくは60度以下であり、下限は特に限定されないが、製造容易性の観点から、好ましくは40度以上である。対水接触角は、本開示のノズルのノズル先端の一部分についての対水接触角であってよい。
なお、本開示のノズルにおいて、ノズル先端とは、ノズル末端から所定の長さの領域を意味し、たとえば、このような所定の長さは、ノズル開口径の大きさと同じとすることができる。ここで、図1に、本開示の一実施形態に係るノズルのノズル先端部の断面図を示す。図1に示すノズルにおいては、ノズル内を通った薬液または水が、図1中の矢印方向に滴下されるように構成される。そして、図1に示すように、ノズルの開口径をRとし、ノズル先端を構成する領域における長さである先端部長さをLとした場合に、R=Lとなる長さを先端部長さとし、ノズル末端から、先端部長さLの長さ領域を、ノズル先端とすることができる。
また、本開示のノズルは、ノズル先端の少なくとも一部における、対水接触角が、80度以下であればよく、内面(内側に位置する面)としての内周面(図1参照)、ならびに、外面(外側に露出している面)としての外周面および端面(図1参照)のうち、少なくとも一部における、対水接触角が、80度以下であればよい。ノズル先端からの液だれの発生の防止効果をより高めることができることから、外面としての外周面および端面のうち、少なくとも一部における、対水接触角が、80度以下であることが好ましく、端面のうち、少なくとも一部における、対水接触角が、80度以下であることがより好ましい。また、外面としての外周面および端面のうち、少なくとも一部における、対水接触角は、より好ましくは70度以下であり、さらに好ましくは60度以下であり、下限は特に限定されないが、製造容易性の観点から、好ましくは40度以上である。
また、図1に示すように、ノズル先端(図1中、先端部長さLの範囲にある領域)には、内面としての内周面、外面としての外周面および端面が含まれ、本開示においては、これらのうち少なくとも一部における、対水接触角が80度以下であればよいが、たとえば、内周面、外周面および端面の全面の対水接触角が80度以下であってもよく、内周面および外周面の全面の対水接触角が80度以下であってもよく、内周面および端面の全面の対水接触角が80度以下であってもよく、外周面および端面の全面の対水接触角が80度以下であってもよい。さらに、内周面の全面の対水接触角が80度以下であってもよく、外周面の全面の対水接触角が80度以下であってもよく、端面の全面の対水接触角が80度以下であってもよい。なお、ここでいう全面は、先端部長さLの範囲にある領域にある面を意味するが、本開示においては、先端部長さLの範囲にある領域以外の部分も、対水接触角が80度以下であってもよい。
本開示において、対水接触角は、接触角計を用いて測定する。
また、本開示のノズルとしては、特に限定されないが、図1に示すような、ノズル末端を構成する端面が水平端面である場合以外に、たとえば、図2に示すように、ノズル末端を構成する端面がテーパー状端面であってよい。テーパー状端面における傾斜角度は、特に限定されず、任意に設定できる。ここで、図2は、本開示の別の実施形態に係るノズルのノズル先端部の断面図である。なお、本開示のノズルは、図1、図2に示す態様に特に限定されるものではなく、その内部に、薬液または水を流通可能であり、かつ、末端から薬液または水を滴下可能な構造であれば、特に限定されない。本開示のノズルは、薬液または水を流通させるための流通配管の先端に接続され、流通配管から流通された薬液または水を、滴下させるためのノズルであってもよいし、このような流通配管をも兼ねたノズルであってもよい。
本開示のノズルの表面粗度Raは、好ましくは0.20μm以下であり、液だれの抑制効果をより高めるという観点より、より好ましくは0.18μm以下であり、より好ましくは0.16μm以下であり、下限は特に限定されないが、製造容易性の観点から、好ましくは0.01μm以上である。表面粗度Raは、本開示のノズルの一部分についての表面粗度Raであってよい。
本開示において、表面粗度Raは、JIS B0601−1994に準拠して測定する。
本開示のノズルの開口径(図1、図2中における、開口径R)は、特に限定されないが、好ましくは2〜18mmであり、より好ましくは3〜16mmである。本開示のノズルの外径は、特に限定されないが、好ましくは3〜20mmであり、より好ましくは4〜12mmである。また、本開示のノズルの長さは、特に限定されないが、好ましくは2〜100cmであり、より好ましくは10〜50cmである。
本開示のノズルは、テトラフルオロエチレン(TFE)/フルオロ(アルキルビニルエーテル)(FAVE)共重合体(TFE/FAVE共重合体)、および、テトラフルオロエチレン(TFE)/ヘキサフルオロプロピレン(HFP)共重合体(TFE/HFP共重合体)からなる群より選択される少なくとも1種の共重合体を含有する。
本開示のノズルに含まれる共重合体は、溶融加工性のフッ素樹脂である。溶融加工性とは、押出機および射出成形機などの従来の加工機器を用いて、ポリマーを溶融して加工することが可能であることを意味する。
共重合体のメルトフローレートは、共重合体の成形性およびノズルの機械物性の観点から、好ましくは1〜60g/10分であり、より好ましくは50g/10分以下であり、さらに好ましくは40g/10分以下であり、特に好ましくは30g/10分以下である。
本開示において、メルトフローレートは、ASTM D1238に従って、メルトインデクサー(安田精機製作所社製)を用いて、372℃、5kg荷重下で内径2.1mm、長さ8mmのノズルから10分間あたりに流出するポリマーの質量(g/10分)として得られる値である。
共重合体の融点は、ノズルの耐熱性および機械物性の観点から、好ましくは200〜322℃であり、より好ましくは210℃以上であり、さらに好ましくは220℃以上であり、より好ましくは315℃以下であり、さらに好ましくは310℃以下である。融点は、示差走査熱量計〔DSC〕を用いて測定できる。
共重合体としては、TFE/FAVE共重合体がより好ましい。TFE/FAVE共重合体は、TFE単位およびFAVE単位を含有する。
TFE/FAVE共重合体のFAVE単位の含有量は、ノズルの機械物性の観点から、全単量体単位に対して、好ましくは3.3〜7.0質量%であり、より好ましくは4.0質量%以上であり、さらに好ましくは5.0質量%以上であり、より好ましくは6.5質量%以下であり、さらに好ましくは6.0質量%以下である。
TFE/FAVE共重合体のTFE単位の含有量は、ノズルの機械物性の観点から、全単量体単位に対して、好ましくは96.7〜93.0質量%であり、より好ましくは96.0質量%以下であり、さらに好ましくは95.0質量%以下であり、より好ましくは93.5質量%以上であり、さらに好ましくは94.0質量%以上である。
本開示において、共重合体中の各単量体単位の含有量は、19F−NMR法により測定できる。
FAVE単位を構成するFAVEとしては、一般式(1):
CF2=CFO(CF2CFY1O)p−(CF2CF2CF2O)q−Rf (1)
(式中、Y1はFまたはCF3を表し、Rfは炭素数1〜5のパーフルオロアルキル基を表す。pは0〜5の整数を表し、qは0〜5の整数を表す。)で表される単量体、および、一般式(2):
CFX=CXOCF2OR1 (2)
(式中、Xは、同一または異なり、H、FまたはCF3を表し、R1は、直鎖または分岐した、H、Cl、BrおよびIからなる群より選択される少なくとも1種の原子を1〜2個含んでいてもよい炭素数が1〜6のフルオロアルキル基、若しくは、H、Cl、BrおよびIからなる群より選択される少なくとも1種の原子を1〜2個含んでいてもよい炭素数が5または6の環状フルオロアルキル基を表す。)で表される単量体からなる群より選択される少なくとも1種を挙げることができる。
CF2=CFO(CF2CFY1O)p−(CF2CF2CF2O)q−Rf (1)
(式中、Y1はFまたはCF3を表し、Rfは炭素数1〜5のパーフルオロアルキル基を表す。pは0〜5の整数を表し、qは0〜5の整数を表す。)で表される単量体、および、一般式(2):
CFX=CXOCF2OR1 (2)
(式中、Xは、同一または異なり、H、FまたはCF3を表し、R1は、直鎖または分岐した、H、Cl、BrおよびIからなる群より選択される少なくとも1種の原子を1〜2個含んでいてもよい炭素数が1〜6のフルオロアルキル基、若しくは、H、Cl、BrおよびIからなる群より選択される少なくとも1種の原子を1〜2個含んでいてもよい炭素数が5または6の環状フルオロアルキル基を表す。)で表される単量体からなる群より選択される少なくとも1種を挙げることができる。
なかでも、FAVEとしては、ノズルの機械物性の観点から、一般式(1)で表される単量体が好ましく、パーフルオロ(メチルビニルエーテル)、パーフルオロ(エチルビニルエーテル)(PEVE)およびパーフルオロ(プロピルビニルエーテル)(PPVE)からなる群より選択される少なくとも1種がより好ましく、PEVEおよびPPVEからなる群より選択される少なくとも1種がさらに好ましく、PPVEが特に好ましい。
TFE/FAVE共重合体は、ノズルの機械物性の観点から、TFEおよびFAVEと共重合可能な単量体に由来する単量体単位を含有してもよい。TFEおよびFAVEと共重合可能な単量体の含有量は、共重合体の全単量体単位に対して、好ましくは0〜10質量%であり、より好ましくは0.1〜3.5質量%である。
TFEおよびFAVEと共重合可能な単量体としては、HFP、CZ1Z2=CZ3(CF2)nZ4(式中、Z1、Z2およびZ3は、同一または異なって、HまたはFを表し、Z4は、H、FまたはClを表し、nは2〜10の整数を表す。)で表されるビニル単量体、および、CF2=CF−OCH2−Rf1(式中、Rf1は炭素数1〜5のパーフルオロアルキル基を表す。)で表されるアルキルパーフルオロビニルエーテル誘導体等が挙げられる。なかでも、HFPが好ましい。
TFE/FAVE共重合体の融点は、ノズルの耐熱性および機械物性の観点から、好ましくは280〜322℃であり、より好ましくは285℃以上であり、さらに好ましくは295℃以上であり、特に好ましくは300℃以上であり、より好ましくは315℃以下であり、さらに好ましくは310℃以下である。
TFE/FAVE共重合体のガラス転移温度(Tg)は、好ましくは70〜110℃であり、より好ましくは80℃以上であり、より好ましくは100℃以下である。ガラス転移温度は、動的粘弾性測定により測定できる。
共重合体としては、TFE/HFP共重合体も挙げられる。TFE/HFP共重合体は、TFE単位およびHFP単位を含有する。
TFE/HFP共重合体のHFP単位の含有量は、ノズルの機械物性の観点から、全単量体単位に対して、好ましくは0.2質量%以上であり、より好ましくは1.0質量%以上であり、さらに好ましくは2.0質量%以上であり、好ましくは30質量%以下であり、より好ましくは15質量%以下である。
TFE/HFP共重合体のTFE単位の含有量は、ノズルの機械物性の観点から、全単量体単位に対して、好ましくは70質量%以上であり、より好ましくは85質量%以上であり、好ましくは99.8質量%以下であり、より好ましくは99.0質量%以下であり、さらに好ましくは98.0質量%以下である。
TFE/HFP共重合体の融点は、ノズルの耐熱性および機械物性の観点から、好ましくは200〜322℃であり、より好ましくは210℃以上であり、さらに好ましくは220℃以上であり、より好ましくは300℃未満であり、さらに好ましくは280℃以下である。
TFE/HFP共重合体のガラス転移温度(Tg)は、好ましくは60〜110℃であり、より好ましくは65℃以上であり、より好ましくは100℃以下である。
共重合体としては、ノズルの耐熱性および機械物性の観点から、TFE単位およびFAVE単位のみからなる共重合体、および、TFE/FAVE/HFP共重合体からなる群より選択される少なくとも1種が好ましく、TFE単位およびFAVE単位のみからなる共重合体がより好ましい。
本開示のノズルの成形加工に用いる共重合体(たとえば、成形加工に用いる原料ペレットに含まれる共重合体)としては、官能基の熱分解による発泡による成形不良が発生しにくいことから、少ない官能基数を有する共重合体が好ましい。共重合体の官能基数としては、炭素原子106個あたり、好ましくは50個以下であり、より好ましくは30個以下であり、さらに好ましくは15個以下である。共重合体の官能基数の下限は0個であってよい。
上記官能基は、共重合体の主鎖末端または側鎖末端に存在する官能基、および、主鎖中または側鎖中に存在する官能基である。上記官能基としては、−CF=CF2、−CF2H、−COF、−COOH、−COOCH3、−CONH2および−CH2OHからなる群より選択される少なくとも1種が好ましい。
上記官能基の種類の同定および官能基数の測定には、赤外分光分析法を用いることができる。
官能基数については、具体的には、以下の方法で測定する。まず、共重合体を330〜340℃にて30分間溶融し、圧縮成形して、厚さ0.25〜0.3mmのフィルムを作製する。このフィルムをフーリエ変換赤外分光分析により分析して、共重合体の赤外吸収スペクトルを得、完全にフッ素化されて官能基が存在しないベーススペクトルとの差スペクトルを得る。この差スペクトルに現れる特定の官能基の吸収ピークから、下記式(A)に従って、共重合体における炭素原子1×106個あたりの官能基数Nを算出する。
N=I×K/t (A)
I:吸光度
K:補正係数
t:フィルムの厚さ(mm)
N=I×K/t (A)
I:吸光度
K:補正係数
t:フィルムの厚さ(mm)
参考までに、本開示における官能基について、吸収周波数、モル吸光係数および補正係数を表1に示す。また、モル吸光係数は低分子モデル化合物のFT−IR測定データから決定したものである。
なお、−CH2CF2H、−CH2COF、−CH2COOH、−CH2COOCH3、−CH2CONH2の吸収周波数は、それぞれ表中に示す、−CF2H、−COF、−COOH freeと−COOH bonded、−COOCH3、−CONH2の吸収周波数から数十カイザー(cm−1)低くなる。
従って、たとえば、−COFの官能基数とは、−CF2COFに起因する吸収周波数1883cm−1の吸収ピークから求めた官能基数と、−CH2COFに起因する吸収周波数1840cm−1の吸収ピークから求めた官能基数との合計である。
従って、たとえば、−COFの官能基数とは、−CF2COFに起因する吸収周波数1883cm−1の吸収ピークから求めた官能基数と、−CH2COFに起因する吸収周波数1840cm−1の吸収ピークから求めた官能基数との合計である。
上記官能基数は、−CF=CF2、−CF2H、−COF、−COOH、−COOCH3、−CONH2および−CH2OHの合計数であってよい。
上記官能基は、たとえば、共重合体を製造する際に用いた連鎖移動剤や重合開始剤によって、共重合体に導入される。たとえば、連鎖移動剤としてアルコールを使用したり、重合開始剤として−CH2OHの構造を有する過酸化物を使用したりした場合、共重合体の主鎖末端に−CH2OHが導入される。また、官能基を有する単量体を重合することによって、上記官能基が共重合体の側鎖末端に導入される。
このような官能基を有する共重合体を、フッ素化処理することによって、上記範囲内の官能基数を有する共重合体を得ることができる。すなわち、本開示の製造方法において用いる共重合体は、フッ素化処理されたものであることが好ましく、完全にフッ素化されたものであることがより好ましい。また、共重合体は、−CF3末端基を有することも好ましい。
上記フッ素化処理は、フッ素化処理されていない共重合体とフッ素含有化合物とを接触させることにより行うことができる。
上記フッ素含有化合物としては特に限定されないが、フッ素化処理条件下にてフッ素ラジカルを発生するフッ素ラジカル源が挙げられる。上記フッ素ラジカル源としては、F2ガス、CoF3、AgF2、UF6、OF2、N2F2、CF3OF、フッ化ハロゲン(例えばIF5、ClF3)等が挙げられる。
上記F2ガス等のフッ素ラジカル源は、100%濃度のものであってもよいが、安全性の面から不活性ガスと混合し5〜50質量%に希釈して使用することが好ましく、15〜30質量%に希釈して使用することがより好ましい。上記不活性ガスとしては、窒素ガス、ヘリウムガス、アルゴンガス等が挙げられるが、経済的な面より窒素ガスが好ましい。
上記フッ素化処理の条件は、特に限定されず、溶融させた状態の共重合体とフッ素含有化合物とを接触させてもよいが、通常、共重合体の融点以下、好ましくは20〜220℃、より好ましくは100〜200℃の温度下で行うことができる。上記フッ素化処理は、一般に1〜30時間、好ましくは5〜25時間行う。上記フッ素化処理は、フッ素化処理されていない共重合体をフッ素ガス(F2ガス)と接触させるものが好ましい。
上記TFE/FAVE共重合体、TFE/HFP共重合体は、例えば、その構成単位となるモノマーや、重合開始剤等の添加剤を適宜混合して、乳化重合、懸濁重合を行う等の従来公知の方法により製造することができる。
本開示のチューブは、必要に応じてTFE/FAVE共重合体、およびTFE/HFP共重合体からなる群より選択される少なくとも1種の共重合体以外の他の成分を含んでいてもよい。他の成分としては、架橋剤、耐熱安定剤、発泡剤、発泡核剤、酸化防止剤、界面活性剤、光重合開始剤、摩耗防止剤、表面改質剤等の添加剤等を挙げることができる。
本開示のノズルの製造方法は、TFE/FAVE共重合体、およびTFE/HFP共重合体からなる群より選択される少なくとも1種の共重合体を含むノズル状成形品の少なくとも先端部に対して、表面温度が150℃以上に加熱された状態でプラズマ処理を行う工程を備える。本開示のノズルの製造方法は、このような構成を備えることから、ノズル先端の対水接触角を小さくすることができる。したがって、本開示の製造方法により得られるノズルは、ノズル先端からの液だれの発生が有効に抑制されたものとなる。加えて、本開示のノズルの製造方法によれば、ノズル先端における、小さい対水接触角が長期間維持されたものとすることもできる。
本開示の製造方法においては、TFE/FAVE共重合体、およびTFE/HFP共重合体からなる群より選択される少なくとも1種の共重合体を用いることによって、得られるノズルのノズル先端の対水接触角を十分に低下させることができることに加えて、ノズル先端における、小さい対水接触角を長期間維持できるという効果が得られる。この理由は明確ではないが、プラズマ処理によって、ノズル先端の表面に親水性官能基が生成するだけでなく、表面付近のポリマー分子が架橋されて、生成した親水性官能基が成形品表面に固定化されるからであると考えられる。通常、表面に生成した極性官能基は、バルクや大気よりも高い表面自由エネルギー(分散力成分は低下するが、双極子力成分と水素結合成分が増加し、総計で増加するため)を有しており、ノズルなどの成形品の内部に潜った方が表面自由エネルギー的に安定なため、極性基の内部反転と呼ばれる分子運動がおこると考えられる。特に、TFE/FAVE共重合体やTFE/HFP共重合体などの半結晶性のポリマーの場合は、結晶化度が低いと非結晶部のポリマー鎖はルーズで分子運動し易いために、内部反転も起こり易くなる。本開示の製造方法においては、TFE/FAVE共重合体、およびTFE/HFP共重合体からなる群より選択される少なくとも1種の共重合体を用い、特定のプラズマ処理条件を採用することによって、表面のポリマー分子が架橋され、表面に生成した親水性官能基の分子運動が抑制されて、長期間にわたり小さい対水接触角が保持されると推測される。
本開示の製造方法において用いるTFE/FAVE共重合体、およびTFE/HFP共重合体としては、本開示のノズルが含むTFE/FAVE共重合体、TFE/HFP共重合体と同様のものを挙げることができ、本開示のノズルが含むTFE/FAVE共重合体、TFE/HFP共重合体と同様のものが好適である。
対水接触角がより一層小さい表面を形成するためには、特定のFAVE単位の含有量を有するTFE/FAVE共重合体を用いることが好ましい。上記TFE/FAVE共重合体におけるFAVEに基づく単量体単位の含有量は、全単量体単位に対して、好ましくは3.3〜7.0質量%であり、より好ましくは4.0質量%以上であり、さらに好ましくは5.0質量%以上であり、より好ましくは6.5質量%以下であり、さらに好ましくは6.0質量%以下である。
また、対水接触角がより一層小さい表面を形成するためには、官能基を有するTFE/FAVE共重合体を用いることが好ましい。官能基を有するTFE/FAVE共重合体を用いることによって、プラズマ処理による親水性官能基の導入と、架橋反応が、円滑に進行するものと推測される。また、親水性官能基を導入するとともに、ノズル先端の表面付近のポリマー分子を架橋させることによって、長期間に渡って親水性官能基を維持できるものと推測される。この場合の官能基数は1以上であることが好ましい。
本開示の製造方法において用いるTFE/FAVE共重合体、TFE/HFP共重合体が有し得る官能基としては、本開示のノズルが含むTFE/FAVE共重合体、TFE/HFP共重合体と同様のものを挙げることができ、本開示のノズルが含むTFE/FAVE共重合体、TFE/HFP共重合体と同様のものが好適である。また、官能基の数も、本開示のノズルが含むTFE/FAVE共重合体、TFE/HFP共重合体と同様の数であってよい。
本開示の製造方法におけるプラズマ処理は、ノズル状成形品と放電電極との間隙にガスを導入しながら放電電極に電圧を印加して、ノズル状成形品と放電電極との間に発生したプラズマガスにより該成形品表面をプラズマ照射処理することにより、実施できる。この際においては、ノズル状成形品の少なくとも先端部が、プラズマ処理されるように処理を行えばよく、ノズル状成形品の先端部のみならず、先端部以外の部分や、ノズル状成形品全体がプラズマ処理されるように処理を行ってよい。
本開示の製造方法におけるプラズマ処理としては、ノズル先端に対し、対水接触角がより小さい表面を効率良く形成できることから、真空プラズマ処理または大気圧プラズマ処理が好ましく、真空プラズマ処理が好ましい。特に、真空プラズマ処理によれば、外面としての外周面および端面に加えて、内面としての内周面(内周面のうち、少なくともノズル先端に対応する領域)についても同時にプラズマ処理をすることができるため、外面としての外周面および端面に加えて、内面としての内周面についてもプラズマ処理する場合に好適である。
大気圧プラズマ処理の処理時間としては、対水接触角がより小さい表面を効率良く形成できることから、その下限は、好ましくは5秒以上であり、より好ましくは10秒以上であり、その上限は、好ましくは50秒以下であり、より好ましくは50秒未満であり、さらに好ましくは45秒以下であり、よりさらに好ましくは40秒以下であり、より一層好ましくは35秒以下であり、特に好ましくは30秒以下であり、最も好ましくは25秒以下である。一方で、真空プラズマの場合は、ガス種や真空度、チャンバーサイズや電極距離などにより異なるが、処理時間は、数十秒〜10分程度であり、好ましくは1分〜8分、より好ましくは3分〜7分である。
本開示の製造方法においては、プラズマ処理を、表面温度が150℃以上に加熱された、ノズル状成形品の少なくとも先端部に対して行うことが好ましい。本開示において、プラズマ処理の際の表面温度とは、プラズマが照射されている間のノズル状成形品表面の最高温度をいう。プラズマ処理の際の表面温度が低すぎると、得られるノズルのノズル先端の接触角を十分に低下させられなかったり、ノズル先端の表面近傍に存在するポリマー分子の分子運動性を十分に高めることができず、表面付近のポリマー分子の架橋反応を促進できないことから、小さい対水接触角を長期間維持できなかったりする。
本開示の製造方法において、プラズマ処理に供するノズル状成形品の表面温度は、日油技研工業社製サーモラベルを用いて測定することができる。
プラズマ処理の際の表面温度の上限は、ノズル状成形品の熱変形を抑制する観点から、TFE/FAVE共重合体、TFE/HFP共重合体の融点以下であることが好ましい。プラズマ処理の際の表面温度としては、より好ましくは155℃以上、より好ましくは280℃以下、さらに好ましくは240℃以下である。プラズマ処理の際の表面温度が高すぎると、得られるノズルの形状が損なわれるおそれがある。
また、PTFEは、非溶融加工性を有することから、表面を非常に高い温度まで上昇させても、成形品の形状が大きく変化しない。したがって、PTFEのこの性質を利用して、たとえば、表面に凹凸があるPTFE成形品に対してプラズマ処理をする際に、非常に高い温度まで昇温させることによって、表面のみを適度に溶かして、平滑化させることができる。一方、TFE/FAVE共重合体、TFE/HFP共重合体は、通常、溶融加工性を有することから、プラズマ処理の際の表面温度を非常に高くすると、そもそもの成形品の形状が損なわれるおそれがある。
また、PTFEは、非溶融加工性を有することから、表面を非常に高い温度まで上昇させても、成形品の形状が大きく変化しない。したがって、PTFEのこの性質を利用して、たとえば、表面に凹凸があるPTFE成形品に対してプラズマ処理をする際に、非常に高い温度まで昇温させることによって、表面のみを適度に溶かして、平滑化させることができる。一方、TFE/FAVE共重合体、TFE/HFP共重合体は、通常、溶融加工性を有することから、プラズマ処理の際の表面温度を非常に高くすると、そもそもの成形品の形状が損なわれるおそれがある。
プラズマ処理の際の表面温度の制御方法は、特に限定されず、プラズマ処理の条件により制御する方法、外部加熱設備により制御する方法などが挙げられる。たとえば、大気圧プラズマ処理を利用する場合には、電力密度や処理時間を調整することによって、所望の温度範囲に自然に昇温させることができる。なお、TFE/FAVE共重合体、TFE/HFP共重合体のノズル状成形品に対して、大気圧プラズマ処理を過度に長時間行うと、融点以上の温度まで自然に昇温してしまい、成形品の形状が損なわれるおそれがある。また、パルス変調周波数を使用したり、真空プラズマ処理を利用したりする場合には、プラズマ処理によりノズル状成形品の表面温度が昇温しにくいので、外部加熱設備を用いて成形品の表面温度を140〜240℃に昇温した後にプラズマ処理する方法、プラズマ処理装置内に加熱手段を設置して加熱する方法などを使用することが好適である。加熱手段としては、加熱ヒータ、電熱コイルを内蔵した熱盤ヒータ、ハロゲンランプなどが挙げられる。
プラズマ処理に用いる電極の構造は、特に限定されないが、得られるノズルの形状に適した構造が好ましい。高圧側電極および接地側電極の材質は、導電材料であれば特に限定されず、金属の場合、ステンレス系鋼、真鍮、炭素鋼、超鋼等の合金や、銅、アルミニウム等が挙げられ、これらを単体もしくは適宜組み合わせて使用することができる。または非導電性のプラスチック、セラミック等の表面に銅、金、金属酸化物透明導電材料等をコーティングし導電化処理したもの等を使用することもできる。
プラズマ処理には、反応性ガス、または、反応性ガスと励起ガスとの混合ガスを用いることができる。反応性ガスとしては、空気、水素、酸素、アンモニア、水蒸気、メタンなどが挙げられる。励起ガスとしては、アルゴン、ヘリウム、窒素などが挙げられる。混合ガスとしては、たとえば、酸素ガスとアルゴンガスとの混合ガス、酸素ガスと窒素ガスとの混合ガスなどが挙げられる。反応性ガスと励起ガスとの体積比(反応性ガス/励起ガス)は、0.5/100〜1.5/100の範囲であってよい。また、用いるガス中の酸素濃度は、0.0005〜0.3体積%の範囲であってよい。
特に、酸素ガスを用いると、ノズル状成形品の表面で親水性官能基が生成し、対水接触角を十分に低下させられることが期待できる。ただし、ヘリウムガス、アルゴンガスなど励起ガスに対する酸素量が多すぎると、放電を維持するための電力量が多くなるおそれがある。電力量が多くなると、成形品表面にダメージを与え、対水接触角も大きくなるおそれがある。したがって、プラズマ処理に酸素ガスと励起ガスとの混合ガスを用いる場合は、酸素ガスと励起ガスとの体積比(酸素ガス/励起ガス)を、0.5/100〜1.5/100の範囲とすることが好ましい。
また、励起ガスとしてのヘリウムガスは、発光分光測定により、プラズマ中で高エネルギー準位に励起されることが明らかとなっており、活性化されたHeとO2が反応して、酸素の様なプロセスガスを効率よく解離し原子状酸素を容易に生成することができる(ペニング効果)。
プラズマ処理は、バッチ式で行ってもよし、コンベアー機構などを用いた処理などの連続式で行ってもよい。
次に大気圧プラズマ処理を利用する場合の処理条件について説明する。大気圧プラズマ処理に用いる反応装置としては、外部電極の流通管型、内部電極のベルジャー型などが挙げられる。
大気圧プラズマ処理に用いる高周波電源の電圧周波数は、50Hz〜2.45GHzが好ましい。また、均一なプラズマ空間を安定生成する高周波として、13.56MHzが推奨される。電極単位面積当たりの電力密度は、通常、5〜50W/cm2であり、好ましくは10〜30W/cm2であり、ある程度の高電圧でノズル状成形品を加熱するとポリマー分子の架橋反応が進み易い傾向がある。大気圧プラズマ処理の際の圧力は、500〜1300hPa(375〜975torr)の範囲であってよい。
大気圧プラズマ処理に用いる電極とノズル状成形品との距離は、比較的低電圧でも所望の効果が得られ、安全性および経済性にも優れることから、好ましくは0.5〜5mmであり、より好ましくは1〜5mmである。
大気圧プラズマ処理におけるガス流量は、50〜500cc/分(常圧)であってよい。より好ましくは10〜400cc/分(常圧)である。
次に真空プラズマ処理を利用する場合の処理条件について説明する。真空プラズマ処理に利用する電圧周波数は、好ましくは5Hz〜15MHzである。真空プラズマ処理に用いる真空装置としては、効率がよいことから、ローターリーポンプが好ましい。真空プラズマ処理の際の圧力は、放電が安定し、十分な処理速度が得られることから、通常、0.01〜10Torr(1.3〜1330Pa)であり、好ましくは0.1〜2Torr(13.3〜266Pa)である。
真空プラズマ処理におけるガス流量は、5〜500cc/分(常圧)であってよい。ガス流量は、ニードルバルブを用いて調節できる。その他の処理条件は、大気圧プラズマ処理の好適な処理条件と同様であってよい。
本開示の製造方法は、上記TFE/FAVE共重合体、およびTFE/HFP共重合体からなる群より選択される少なくとも1種の共重合体を成形することにより、ノズルを構成することとなるノズル状成形品を得る工程をさらに備えることが好ましい。また、ノズル状成形品を得る工程は、プラズマ処理を行う工程の前に実施することが好ましい。たとえば、プラズマ処理を行う工程の後に成形品をカットしてノズル状成形品を得た場合、得られるノズル状成形品の切断面は対水接触角が大きいものとなり、所望の対水接触角を有するノズル先端を形成することが困難になるおそれがある。
上記共重合体を成形する方法としては、上記共重合体を、融点以上に加熱して溶融させ、成形する方法が使用できる。上記共重合体を成形する方法としては、特に限定されず、押出成形、射出成形、トランスファー成形、インフレーション成形等の公知の方法が挙げられる。これらの成形方法は、得られるノズルの形状に応じて適宜選択すればよい。これら成形方法のなかでも、押出成形または射出成形が好ましく、押出成形がより好ましい。
押出成形によりノズル状成形品を得る場合において、得られたノズル状成形品をプラズマ処理に供する際には、押出機から押出成形されたノズル状成形品を、所望の長さにカットし、所望の長さにカットされたノズル状成形品を、プラズマ処理装置に供給し、該成形品の少なくとも先端部について、プラズマ処理を行うことができる。
プラズマ処理装置に供給されたノズル状成形品は、該成形品と放電電極との間隙にガスを導入しながら放電電極に電圧を印加して、該成形品の表面と放電電極との間に発生したプラズマガスにより、該成形品の少なくとも先端部について、その表面をプラズマ照射処理することができる。
以上、実施形態を説明したが、特許請求の範囲の趣旨および範囲から逸脱することなく、形態や詳細の多様な変更が可能なことが理解されるであろう。
つぎに本開示の実施形態について実施例をあげて説明するが、本開示はかかる実施例のみに限定されるものではない。
実施例の各数値は以下の方法により測定した。
(融点)
示差走査熱量計〔DSC〕を用いて10℃/分の速度で昇温したときの融解熱曲線における極大値に対応する温度として求めた。
示差走査熱量計〔DSC〕を用いて10℃/分の速度で昇温したときの融解熱曲線における極大値に対応する温度として求めた。
(MFR)
ASTM D1238に従って、メルトインデクサー(安田精機製作所社製)を用いて、372℃、5kg荷重下で内径2.1mm、長さ8mmのノズルから10分間あたりに流出するポリマーの質量(g/10分)を求めた。
ASTM D1238に従って、メルトインデクサー(安田精機製作所社製)を用いて、372℃、5kg荷重下で内径2.1mm、長さ8mmのノズルから10分間あたりに流出するポリマーの質量(g/10分)を求めた。
(単量体単位の含有量)
各単量体単位の含有量は、19F−NMR法により測定した。
各単量体単位の含有量は、19F−NMR法により測定した。
(官能基数)
試料を330〜340℃にて30分間溶融し、圧縮成形して、厚さ0.25〜0.3mmのフィルムを作製する。このフィルムをフーリエ変換赤外分光分析装置〔FT−IR(商品名:1760X型、パーキンエルマー社製)〕により40回スキャンし、分析して赤外吸収スペクトルを得、完全にフッ素化されて官能基が存在しないベーススペクトルとの差スペクトルを得る。この差スペクトルに現れる特定の官能基の吸収ピークから、下記式(A)に従って試料における炭素原子1×106個あたりの官能基数Nを算出する。
試料を330〜340℃にて30分間溶融し、圧縮成形して、厚さ0.25〜0.3mmのフィルムを作製する。このフィルムをフーリエ変換赤外分光分析装置〔FT−IR(商品名:1760X型、パーキンエルマー社製)〕により40回スキャンし、分析して赤外吸収スペクトルを得、完全にフッ素化されて官能基が存在しないベーススペクトルとの差スペクトルを得る。この差スペクトルに現れる特定の官能基の吸収ピークから、下記式(A)に従って試料における炭素原子1×106個あたりの官能基数Nを算出する。
N=I×K/t (A)
I:吸光度
K:補正係数
t:フィルムの厚さ(mm)
I:吸光度
K:補正係数
t:フィルムの厚さ(mm)
参考までに、本開示における官能基について、吸収周波数、モル吸光係数および補正係数を表2に示す。また、モル吸光係数は低分子モデル化合物のFT−IR測定データから決定したものである。
(対水接触角)
室温下で接触角計(協和界面科学社製のFACECONTACT−ANGLEMETERCA−D型)を使用して測定した。
プラズマ照射を行ったノズルについては、プラズマ照射から1日が経過した後のノズルに対し、プラズマ照射処理面の対水接触角の測定を行った。
室温下で接触角計(協和界面科学社製のFACECONTACT−ANGLEMETERCA−D型)を使用して測定した。
プラズマ照射を行ったノズルについては、プラズマ照射から1日が経過した後のノズルに対し、プラズマ照射処理面の対水接触角の測定を行った。
(液だれ)
ノズルを、水を満たしたビーカに漬けることにより、ノズル内部(ノズル内周面により形成される空間)に水を吸い込ませた。次いで、ノズルの両末端のうち、一方の末端を、指で栓をした状態として、水に漬けたノズルをビーカから取り出した。そして、ビーカから取り出したノズルを、指で栓をした末端と反対側の末端を下方に向けた状態とした後、栓をした末端から指を静かに外し、内部に吸い込まれた水を滴下させた。そして、この時におけるノズル先端の水滴の残留状態を観察し、以下の基準で評価した。
〇:ノズル内部に水が残った状態(ノズル末端から、2mm以上の高さで、ノズル内部に水が残った状態)。
△:ノズル末端に、僅かに水滴が留まった状態、または、ノズル末端に水膜が形成された状態。
×:ノズル内部にも、ノズル末端にも、水が残っていない状態。
ノズルを、水を満たしたビーカに漬けることにより、ノズル内部(ノズル内周面により形成される空間)に水を吸い込ませた。次いで、ノズルの両末端のうち、一方の末端を、指で栓をした状態として、水に漬けたノズルをビーカから取り出した。そして、ビーカから取り出したノズルを、指で栓をした末端と反対側の末端を下方に向けた状態とした後、栓をした末端から指を静かに外し、内部に吸い込まれた水を滴下させた。そして、この時におけるノズル先端の水滴の残留状態を観察し、以下の基準で評価した。
〇:ノズル内部に水が残った状態(ノズル末端から、2mm以上の高さで、ノズル内部に水が残った状態)。
△:ノズル末端に、僅かに水滴が留まった状態、または、ノズル末端に水膜が形成された状態。
×:ノズル内部にも、ノズル末端にも、水が残っていない状態。
比較例1
TFE/PPVE共重合体1(TFEとPPVEとの組成比(質量%):TFE/PPVE=96.5/3.5)、融点:307℃、MFR:2.0g/10分、官能基数6(個/C106個))を押出成形機で成形し、次いで、カットすることにより、外径10.0mm、内径8.0mm、長さ20cmのノズル(8.0mm品)を得た。また、これとは別に、TFE/PPVE共重合体1を押出成形機で成形し、次いで、カットすることにより、外径6.35mm、内径4.35mm、長さ20cmのノズル(4.35mm品)を得た。
そして、得られたノズル(8.0mm品および4.35mm品)について、上記方法にしたがって、ノズル先端の、対水接触角の測定および液だれの評価を行った。結果を表3に示す。
なお、比較例1においては、ノズル先端の対水接触角に関し、端面については、対水接触角の測定は困難であったが、端面、ならびに、内周面および外周面はいずれも、プラズマ処理を行っていないこと、端面は、内周面および外周面との間に、連続面として存在するものであること、さらには、内周面および外周面のいずれも、対水接触角の値が同じであったことから、端面の対水接触角の値は、内周面および外周面の対水接触角の値と同じものであると判断した(後述する実施例3も同様に判断した。)。
TFE/PPVE共重合体1(TFEとPPVEとの組成比(質量%):TFE/PPVE=96.5/3.5)、融点:307℃、MFR:2.0g/10分、官能基数6(個/C106個))を押出成形機で成形し、次いで、カットすることにより、外径10.0mm、内径8.0mm、長さ20cmのノズル(8.0mm品)を得た。また、これとは別に、TFE/PPVE共重合体1を押出成形機で成形し、次いで、カットすることにより、外径6.35mm、内径4.35mm、長さ20cmのノズル(4.35mm品)を得た。
そして、得られたノズル(8.0mm品および4.35mm品)について、上記方法にしたがって、ノズル先端の、対水接触角の測定および液だれの評価を行った。結果を表3に示す。
なお、比較例1においては、ノズル先端の対水接触角に関し、端面については、対水接触角の測定は困難であったが、端面、ならびに、内周面および外周面はいずれも、プラズマ処理を行っていないこと、端面は、内周面および外周面との間に、連続面として存在するものであること、さらには、内周面および外周面のいずれも、対水接触角の値が同じであったことから、端面の対水接触角の値は、内周面および外周面の対水接触角の値と同じものであると判断した(後述する実施例3も同様に判断した。)。
実施例1
比較例1と同様にして得られたノズル(8.0mm品および4.35mm品)を、外部加熱手段により190℃に加熱した後、互いに平行な一対の電極を備える真空プラズマ処理装置(高周波電源13.56MHz)内に設置し、処理装置内の圧力が20Paに保持されるように、酸素および窒素の混合ガス(酸素と窒素の体積比(O2/N2)が1/100)を処理装置内にガス流量50cc/分で連続的に導入し、電力密度20W/cm2の電力を印加して、5分間のプラズマ処理を行った。プラズマ処理は、ノズルのノズル先端を含む全体に対して行った。
そして、得られたプラズマ処理後のノズル(8.0mm品および4.35mm品)について、上記方法にしたがって、ノズル先端の、対水接触角の測定および液だれの評価を行った。結果を表3に示す。
なお、実施例1においても、ノズル先端の対水接触角に関し、端面については、対水接触角の測定は困難であったが、端面、ならびに、内周面および外周面はいずれも、プラズマ処理を行ったものであること、端面は、内周面および外周面との間に、連続面として存在するものであること、さらには、内周面および外周面のいずれも、対水接触角の値が同じであったことから、端面の対水接触角の値は、内周面および外周面の対水接触角の値と同じものであると判断した(後述する実施例2も同様に判断した。)。
比較例1と同様にして得られたノズル(8.0mm品および4.35mm品)を、外部加熱手段により190℃に加熱した後、互いに平行な一対の電極を備える真空プラズマ処理装置(高周波電源13.56MHz)内に設置し、処理装置内の圧力が20Paに保持されるように、酸素および窒素の混合ガス(酸素と窒素の体積比(O2/N2)が1/100)を処理装置内にガス流量50cc/分で連続的に導入し、電力密度20W/cm2の電力を印加して、5分間のプラズマ処理を行った。プラズマ処理は、ノズルのノズル先端を含む全体に対して行った。
そして、得られたプラズマ処理後のノズル(8.0mm品および4.35mm品)について、上記方法にしたがって、ノズル先端の、対水接触角の測定および液だれの評価を行った。結果を表3に示す。
なお、実施例1においても、ノズル先端の対水接触角に関し、端面については、対水接触角の測定は困難であったが、端面、ならびに、内周面および外周面はいずれも、プラズマ処理を行ったものであること、端面は、内周面および外周面との間に、連続面として存在するものであること、さらには、内周面および外周面のいずれも、対水接触角の値が同じであったことから、端面の対水接触角の値は、内周面および外周面の対水接触角の値と同じものであると判断した(後述する実施例2も同様に判断した。)。
実施例2
比較例1と同様にして得られたノズル(8.0mm品および4.35mm品)について、外周面がプラズマ処理されないように、外周面にポリイミド製テープを張り付けて、外周面をマスキングした状態とした以外は、実施例1と同様にして、プラズマ処理を行った。
そして、得られたプラズマ処理後のノズル(8.0mm品および4.35mm品)について、上記方法にしたがって、ノズル先端の、対水接触角の測定および液だれの評価を行った。結果を表3に示す。
比較例1と同様にして得られたノズル(8.0mm品および4.35mm品)について、外周面がプラズマ処理されないように、外周面にポリイミド製テープを張り付けて、外周面をマスキングした状態とした以外は、実施例1と同様にして、プラズマ処理を行った。
そして、得られたプラズマ処理後のノズル(8.0mm品および4.35mm品)について、上記方法にしたがって、ノズル先端の、対水接触角の測定および液だれの評価を行った。結果を表3に示す。
実施例3
比較例1と同様にして得られたノズル(8.0mm品および4.35mm品)について、外周面および端面がプラズマ処理されないように、外周面および端面にポリイミド製テープを張り付けて、外周面および端面をマスキングした状態とした以外は、実施例1と同様にして、プラズマ処理を行った。
そして、得られたノズル(8.0mm品および4.35mm品)について、上記方法にしたがって、ノズル先端の、対水接触角の測定および液だれの評価を行った。結果を表3に示す。
比較例1と同様にして得られたノズル(8.0mm品および4.35mm品)について、外周面および端面がプラズマ処理されないように、外周面および端面にポリイミド製テープを張り付けて、外周面および端面をマスキングした状態とした以外は、実施例1と同様にして、プラズマ処理を行った。
そして、得られたノズル(8.0mm品および4.35mm品)について、上記方法にしたがって、ノズル先端の、対水接触角の測定および液だれの評価を行った。結果を表3に示す。
Claims (6)
- テトラフルオロエチレン/フルオロ(アルキルビニルエーテル)共重合体、および、テトラフルオロエチレン/ヘキサフルオロプロピレン共重合体からなる群より選択される少なくとも1種の共重合体を含むノズルであって、
ノズル先端の少なくとも一部における、対水接触角が、80度以下であるノズル。 - ノズル先端の外面の少なくとも一部における、対水接触角が、80度以下である請求項1に記載のノズル。
- 前記共重合体の372℃でのメルトフローレートが、1〜60g/10分である請求項1または2に記載のノズル。
- 前記共重合体が、テトラフルオロエチレン/フルオロ(アルキルビニルエーテル)共重合体である請求項1〜3のいずれかに記載のノズル。
- ノズル先端の開口径が2〜20mmである請求項1〜4のいずれかに記載のノズル。
- テトラフルオロエチレン/フルオロ(アルキルビニルエーテル)共重合体、および、テトラフルオロエチレン/ヘキサフルオロプロピレン共重合体からなる群より選択される少なくとも1種の共重合体を含むノズル状成形品の少なくとも先端部に対して、表面温度が150℃以上に加熱された状態でプラズマ処理を行う工程を備えるノズルの製造方法。
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