JP2021046337A - 接合体及び接合体の製造方法 - Google Patents

接合体及び接合体の製造方法 Download PDF

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徹 白神
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Abstract

【課題】耐久性を容易に高めることを可能にした接合体及び接合体の製造方法を提供する。【解決手段】接合体11は、基材12と、基材12上に設けられた第1ガラス部材13と、第1ガラス部材13上に設けられた第2ガラス部材14とを備える。接合体11は、基材12と第1ガラス部材13とを接合する基材接合部15と、第1ガラス部材13と第2ガラス部材14とに接合された中間接合部16とを備えている。接合体11は、第1ガラス部材13と第2ガラス部材14と中間接合部16とにより囲まれた第1の空間17を有している。【選択図】図2

Description

本発明は、接合体及び接合体の製造方法に関する。
従来、特許文献1に開示されるように、ガラスセラミックス容器等の基材と、ガラスリッド等のガラス部材とを接合材により接合させることで、パッケージ等の接合体を製造する方法が知られている。
特開2014−236202号公報
上記のような接合体において、基材上に設けるガラス部材を厚くすると、熱的な耐衝撃性が低くなり、これにより接合体を製造することが困難となる。そこで、基材上に設けるガラス部材を薄くすると、ガラス部材の熱的な耐衝撃性が高まるため、接合体を容易に製造することが可能となる。ところが、基材上に設けるガラス部材を薄くすることでガラス部材の機械的な耐衝撃性が低下し、接合体の耐久性が得られ難くなるおそれがあった。
本発明は、こうした実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、耐久性を容易に高めることを可能にした接合体及び接合体の製造方法を提供することにある。
上記課題を解決する接合体は、基材と、前記基材上に設けられた第1ガラス部材と、前記第1ガラス部材上に設けられた第2ガラス部材と、前記基材と前記第1ガラス部材とを接合する基材接合部と、前記第1ガラス部材と前記第2ガラス部材とを接合する中間接合部と、を備え、前記第1ガラス部材と前記第2ガラス部材と前記中間接合部とにより囲まれた空間を有する。
この構成によれば、接合体の第1ガラス部材を、中間接合部により接合された第2ガラス部材によって補強することができ、また第1ガラス部材と第2ガラス部材と中間接合部とにより囲まれた空間を有することで、例えば、残留応力を緩和することができる。
上記接合体において、前記中間接合部は、ガラスを含有し、枠状に形成されてもよい。
上記接合体において、前記第1ガラス部材の形状及び前記第2ガラス部材の形状は、板状であり、前記第2ガラス部材の厚さ寸法は、前記第1ガラス部材の厚さ寸法よりも大きいことが好ましい。
この構成によれば、第2ガラス部材による補強効果を高めることができるため、接合体の機械的な耐衝撃性をより高めることが可能となる。
上記接合体において、前記第1ガラス部材の厚さ寸法及び前記第2ガラス部材の厚さ寸法は、0.05mm以上、1.0mm以下の範囲内であることが好ましい。
上記接合体において、ガラスから構成された基材本体を備えてもよい。
上記接合体において、前記基材の形状は、板状、又は開口を有する容器形状であってもよい。
接合体の製造方法は、基材と、前記基材上に設けられた第1ガラス部材と、前記第1ガラス部材上に設けられた第2ガラス部材と、前記基材と前記第1ガラス部材とを接合する基材接合部と、前記第1ガラス部材と前記第2ガラス部材とを接合する中間接合部と、を備え、前記中間接合部は、ガラスを含有する、接合体の製造方法であって、前記基材と前記第1ガラス部材との間に配置した第1接合材を加熱して前記基材接合部を形成する基材接合部形成工程と、前記第1ガラス部材と前記第2ガラス部材との間に配置した第2接合材を加熱して前記中間接合部を形成する中間接合部形成工程と、を備える。
上記接合体の製造方法において、前記中間接合部形成工程をレーザー光の照射により行うことが好ましい。
この方法によれば、例えば、比較的短時間で接合材から中間接合部を形成することができる。
上記接合体の製造方法において、前記基材接合部形成工程をレーザー光の照射により行うことが好ましい。
この方法によれば、例えば、比較的短時間で接合材から基材接合部を形成することができる。
上記接合体の製造方法において、前記基材接合部形成工程の後に、前記中間接合部形成工程を行うこともできる。
上記接合体の製造方法において、前記基材接合部形成工程と前記中間接合部形成工程とを同時に行うこともできる。
上記接合体の製造方法において、前記第1接合材及び前記第2接合材がガラス粉末を含有するペーストの塗布膜又は焼成膜から構成されてもよい。
上記接合体の製造方法において、前記第1ガラス部材に前記第1接合材が予め固定された第1接合用部材を前記基材に重ねて配置した後に前記基材接合部形成工程を行い、前記第2ガラス部材に前記第2接合材が予め固定された第2接合用部材を前記基材に重ねて配置した後に前記中間接合部形成工程を行ってもよい。
本発明によれば、接合体の耐久性を容易に高めることが可能となる。
実施形態における接合体を示す平面図である。 図1の2−2線に沿った断面図である。 基材接合部形成工程を説明する断面図である。 中間接合部形成工程を説明する断面図である。 接合体の製造方法のフロー図である。 接合体の変更例を示す断面図である。
以下、接合体及び接合体の製造方法の一実施形態について図面を参照して説明する。
なお、図面では、説明の便宜上、構成の一部を誇張又は簡略化して示す場合がある。また、各部分の寸法比率についても、実際と異なる場合がある。
図1及び図2に示すように、接合体11は、基材12と、基材12の両主面のうち一方の主面上に設けられた第1ガラス部材13と、第1ガラス部材13上に設けられた第2ガラス部材14とを備えている。接合体11は、基材12と第1ガラス部材13とを接合する基材接合部15と、第1ガラス部材13と第2ガラス部材14とを接合する中間接合部16とを備えている。接合体11の第2ガラス部材14は、第1ガラス部材13が基材12と接合される面とは反対側の面上に設けられている。
接合体11は、第1ガラス部材13と第2ガラス部材14と中間接合部16とにより囲まれた第1の空間17を有している。
<基材12>
基材12における基材本体の材質としては、例えば、ガラス、ガラスセラミックス、セラミックス等が挙げられる。ガラスとしては、例えば、ケイ酸塩系ガラス、ホウ酸塩系ガラス、ホウケイ酸塩系ガラス、リン酸塩系ガラス、ホウリン酸塩系ガラス、無アルカリガラス、LAS系結晶化ガラス、ソーダ石灰ガラス、サファイアガラス、石英ガラス等が挙げられる。
ガラスセラミックスは、ガラスとセラミックスとを含有し、低温同時焼成セラミックス(LTCC:Low Temperature Co-fired Ceramics)が例示される。セラミックスとしては、例えば、コーディエライト、ウイレマイト、アルミナ、窒化アルミニウム、リン酸ジルコニウム系化合物、ジルコン、ジルコニア、酸化スズ、β−石英固溶体、β−ユークリプタイト、β−スポジュメン等が挙げられる。セラミックスは、一種又は二種以上を用いることができる。
基材12は、ガラスから構成された基材本体を備えることが好ましい。基材本体の厚さ寸法は、0.05mm以上、1.0mm以下の範囲内であることが好ましい。
基材12は、基材本体のみから構成されてもよいが、上記の材質から構成される基材本体と、基材本体上に設けられた膜とを有していてもよい。膜としては、例えば、導電膜、酸化被膜等が挙げられる。導電膜としては、例えば、ITO膜、FTO膜、ATO膜等の透明導電膜が挙げられる。基材12は、例えば、ガラス基板とガラス基板上に設けられた透明導電膜とを有していてもよい。
本実施形態では、基材12の形状は、板状である一例を示している。基材12は、基材本体と、基材本体に設けられた配線とを有していてもよい。
<第1ガラス部材13及び第2ガラス部材14>
第1ガラス部材13のガラス及び第2ガラス部材14のガラスとしては、例えば、石英ガラス、ケイ酸塩系ガラス、ホウ酸塩系ガラス、ホウケイ酸塩系ガラス、リン酸塩系ガラス、ホウリン酸塩系ガラス、無アルカリガラス、LAS系結晶化ガラス、ソーダ石灰ガラス、サファイアガラス等が挙げられる。第1ガラス部材13のガラス及び第2ガラス部材14のガラスは、同じ種類のガラスであることが好ましい。
第1ガラス部材13の形状及び第2ガラス部材14の形状は、板状以外の形状であってもよいが、本実施形態のように板状であることが好ましい。板状とは、平板状であってもよいし、例えば、部分的に窪んだ形状の等の凹凸部を有する板状であってもよい。
板状の第1ガラス部材13の厚さ寸法と、板状の第2ガラス部材14の厚さ寸法は、同じであってもよいし、互いに異なってもよい。第2ガラス部材14の厚さ寸法は、第2ガラス部材14の機械的な耐衝撃性を高めるという観点から、第1ガラス部材13の厚さ寸法よりも大きいことが好ましい。第2ガラス部材14の厚さ寸法は、第1ガラス寸法の厚さ寸法をtとしたとき、1.1×t以上であることが好ましく、より好ましくは、1.2×t以上であり、さらに好ましくは、1.3×t以上である。第2ガラス部材14の厚さ寸法の上限は、例えば、5.0×t以下である。
第1ガラス部材13の厚さ寸法及び第2ガラス部材14の厚さ寸法は、0.05mm以上、1.0mm以下の範囲内であることが好ましい。第1ガラス部材13の厚さ寸法及び第2ガラス部材14の厚さ寸法を大きくするほど、機械的な耐衝撃性を高めることができる。第1ガラス部材13の厚さ寸法及び第2ガラス部材14の厚さ寸法を小さくするほど、熱的な耐衝撃性を高めることができる。
第1ガラス部材13及び第2ガラス部材14の少なくとも一方は、ガラス基板の両主面のうち一方の主面に設けられた機能性膜を有していてもよい。機能性膜としては、例えば、導電膜、酸化皮膜等が挙げられる。導電膜としては、例えば、ITO膜、FTO膜、ATO膜等の透明導電膜が挙げられる。
<基材接合部15及び中間接合部16>
基材接合部15は、ガラスを含有することが好ましい。中間接合部16は、ガラスを含有することが好ましい。基材接合部15及び中間接合部16に含有されるガラスとしては、ケイ酸塩系ガラス、酸化ビスマス系ガラス、リン酸塩系ガラス、酸化鉛系ガラス、酸化テルル系ガラス、酸化バナジウム系ガラス等が挙げられる。
ガラスを含有する基材接合部15は、ガラス粉末を含有する第1接合材から得ることができる。ガラスを含有する中間接合部16は、ガラス粉末を含有する第2接合材から得ることができる。第1接合材及び第2接合材は、フィラーを含むことが好ましい。フィラーとしては、例えば、コーディエライト、ウイレマイト、アルミナ、窒化アルミニウム、リン酸ジルコニウム系化合物、ジルコン、ジルコニア、酸化スズ、β−石英固溶体、β−ユークリプタイト、β−スポジュメン等が挙げられる。フィラーは、一種又は二種以上を用いることができる。
ガラス粉末のメジアン径(D50)は、2μm未満であることが好ましい。ガラス粉末の99%径(D99)は、15μm未満であることが好ましい。フィラーのメジアン径(D50)は、2μm未満であることが好ましい。フィラーの99%径(D99)は、15μm未満であることが好ましい。
接合材は、ガラス粉末、フィラー、バインダー、溶剤等を混合したペーストを用いて作製することができる。具体的には、ペーストをスクリーン印刷法等の印刷法やディスペンサー等の塗布方法によって、例えば、第1ガラス部材13に塗布する。このように第1ガラス部材13等に形成したペーストの塗布膜を接合材としてもよいが、ペーストをさらに熱処理することで、第1ガラス部材13上に焼結させた焼成膜を接合材とすることが好ましい。
本実施形態において、基材12と第1ガラス部材13との間に設けられた第1接合材の形状、すなわち基材接合部15の形状は枠状である。また、第1ガラス部材13と第2ガラス部材14との間に設けられた第2接合材の形状、すなわち中間接合部16の形状についても、枠状である。例えば、接合体11において、光透過性を有する部分をより広く確保するという観点から、枠状の中間接合部16は、枠状の基材接合部15の周方向にわたって重なるように配置されていることが好ましい。光透過性を有する部分をさらに広く確保するという観点から、接合体11の平面視、すなわち第1ガラス部材13及び第2ガラス部材14の厚さ方向から見たとき、中間接合部16の形成領域の形状寸法と、基材接合部15の形成領域の形状寸法とが一致することがより好ましい。
基材接合部15の厚さは、1μm以上、1000μm以下の範囲内であることが好ましく、より好ましくは2μm以上、100μm以下の範囲内であり、さらに好ましくは3μm以上、10μmの範囲内である。基材接合部15の幅は、例えば、1μm以上、10000μm以下の範囲内であることが好ましく、より好ましくは10μm以上、5000μm以下の範囲内であり、さらに好ましくは50μm以上、1000μm以下の範囲内である。
中間接合部16の厚さは、1μm以上、1000μm以下の範囲内であることが好ましく、より好ましくは2μm以上、100μm以下の範囲内であり、さらに好ましくは3μm以上、10μmの範囲内である。中間接合部16の幅は、例えば、1μm以上、10000μm以下の範囲内であることが好ましく、より好ましくは10μm以上、5000μm以下の範囲内であり、さらに好ましくは50μm以上、1000μm以下の範囲内である。
<接合体11の空間>
本実施形態の接合体11において、第1ガラス部材13と第2ガラス部材14と中間接合部16とにより囲まれた第1の空間17は、気密性を有している。
接合体11は、基材12と第1ガラス部材13と基材接合部15とにより囲まれた第2の空間18を有している。本実施形態の第2の空間18は、気密性を有している。
本実施形態の接合体11は、第2の空間18に配置された部品19を備えている。部品19としては、例えば、レーザーモジュール、LED光源、光センサ、撮像素子、光スイッチ等の光学デバイス、液晶表示部、有機EL表示部等の表示部、太陽電池セル、振動センサ、加速度センサ、電極等が挙げられる。
なお、上述した部品19を、接合体11の第1の空間17にさらに配置することもできる。すなわち、接合体11は、第1の空間17に配置された部品19を備えていてもよい。
接合体11の用途の具体例としては、有機ELディスプレイ、有機EL照明装置等の有機ELデバイス、色素増感型太陽電池、ペロブスカイト型太陽電池、有機薄膜太陽電池、CIGS系薄膜化合物太陽電池等の太陽電池、MEMSパッケージ等のセンサパッケージ、深紫外線等の光を照射するLEDパッケージ等が挙げられる。
<接合体11の製造方法>
図3〜図5に示すように、接合体11の製造方法は、基材12と第1ガラス部材13との間に配置した第1接合材M1を加熱して基材接合部15を形成する基材接合部形成工程(ステップS1)を備えている。接合体11の製造方法は、第1ガラス部材13と第2ガラス部材14との間に配置した第2接合材M2を加熱して中間接合部16を形成する中間接合部形成工程(ステップS2)をさらに備えている。
図3に示すように、接合体11の製造方法において、ステップS1の基材接合部形成工程では、まず、基材12と第1ガラス部材13との間に第1接合材M1を配置した第1積層体20を準備する。このとき、基材12及び第1ガラス部材13に対して第1接合材M1が密着するように、治具等を用いて第1積層体20を保持することが好ましい。
基材12と第1ガラス部材13との間に第1接合材M1を配置する方法は特に限定されないが、第1接合材M1を容易に位置決めするという観点から、基材12又は第1ガラス部材13に第1接合材M1を予め固定することが好ましい。本実施形態のように第1ガラス部材13に第1接合材M1が予め固定された第1接合用部材13Mを基材12に重ねて配置することがより好ましい。基材12又は第1ガラス部材13に第1接合材M1を予め固定する場合、第1接合材M1は、ガラス粉末を含有するペーストの塗布膜又は焼成膜から構成することが好ましい。
本実施形態におけるステップS1の基材接合部形成工程は、レーザー光LBの照射により行われる。すなわち、ステップS1の基材接合部形成工程では、第1ガラス部材13を透過させたレーザー光LBを用いて第1接合材M1を加熱することで、第1接合材M1から基材接合部15を形成する。
次に、図4に示すように、ステップS1の基材接合部形成工程後の第1ガラス部材13と第2ガラス部材14との間に第2接合材M2を配置した第2積層体21を準備する。このとき、第1ガラス部材13及び第2ガラス部材14に対して第2接合材M2が密着するように、治具等を用いて第2積層体21を保持することが好ましい。
第1ガラス部材13と第2ガラス部材14との間に第2接合材M2を配置する方法は特に限定されないが、第2接合材M2を容易に位置決めするという観点から、第1ガラス部材13又は第2ガラス部材14に第2接合材M2を予め固定することが好ましい。より好ましくは、本実施形態のように第2ガラス部材14に第2接合材M2が予め固定された第2接合用部材14Mを第1ガラス部材13に重ねて配置する。第1ガラス部材13又は第2ガラス部材14に第2接合材M2を予め固定する場合、第2接合材M2は、ガラス粉末を含有するペーストの塗布膜又は焼成膜から構成することが好ましい。
本実施形態におけるステップS2の中間接合部形成工程は、ステップS1の基材接合部形成工程と同様にレーザー光LBの照射により行われる。すなわち、ステップS2の中間接合部形成工程では、第2ガラス部材14を透過させたレーザー光LBを用いて第2接合材M2を加熱することで、第2接合材M2から中間接合部16を形成する。
ステップS1の基材接合部形成工程、及びステップS2の中間接合部形成工程で用いるレーザー光LBの波長は、第1接合材M1及び第2接合材M2を加熱することができる波長であれば特に限定されない。レーザー光LBの波長は、例えば、600〜1600nmの範囲内であることが好ましい。レーザー光LBを出射する光源としては、例えば、半導体レーザーを用いることが好ましい。
次に、本実施形態の作用及び効果について説明する。
(1)接合体11は、基材12と、基材12上に設けられた第1ガラス部材13と、第1ガラス部材13上に設けられた第2ガラス部材14と、基材12と第1ガラス部材13とを接合する基材接合部15と、第1ガラス部材13と第2ガラス部材14とを接合する中間接合部16とを備えている。接合体11は、第1ガラス部材13と第2ガラス部材14と中間接合部16とにより囲まれた第1の空間17を有している。
この構成によれば、接合体11の第1ガラス部材13を、中間接合部16により接合された第2ガラス部材14によって補強することができ、また第1の空間17を有することで、例えば、残留応力を緩和することができる。これにより、接合体11の耐久性を高めることが可能となる。
(2)接合体11は、第1ガラス部材13の形状及び第2ガラス部材14の形状が板状である場合、第2ガラス部材14の厚さ寸法は、第1ガラス部材13の厚さ寸法よりも大きいことが好ましい。この場合、第2ガラス部材14による補強効果を高めることができるため、接合体11の機械的な耐衝撃性をより高めることが可能となる。従って、接合体11の耐久性をより高めることが可能となる。
(3)接合体11において、第1ガラス部材13の厚さ寸法及び第2ガラス部材14の厚さ寸法は、0.05mm以上、1.0mm以下の範囲内であることが好ましい。第1ガラス部材13の厚さ寸法及び第2ガラス部材14の厚さ寸法が1.0mm以下の場合、熱的な耐衝撃性を高めることができる。第1ガラス部材13の厚さ寸法及び第2ガラス部材14の厚さ寸法が0.05mm以上の場合、機械的な耐衝撃性を高めることができる。
(4)接合体11の製造方法において、ステップS2の中間接合部形成工程をレーザー光LBの照射により行っている。この場合、例えば、比較的短時間で第2接合材M2から中間接合部16を形成することができる。従って、接合体11の製造効率を高めることが容易となる。また、レーザー光LBを用いることで、第2接合材M2を局所的に加熱することができるため、部品19の耐熱性が低い場合であっても、部品19の性能劣化を回避することができる。
(5)接合体11の製造方法において、ステップS1の基材接合部形成工程をレーザー光LBの照射により行っている。この場合、例えば、比較的短時間で第1接合材M1から基材接合部15を形成することができる。従って、接合体11の製造効率を高めることが容易となる。また、レーザー光LBを用いることで、第1接合材M1を局所的に加熱することができるため、部品19の耐熱性が低い場合であっても、部品19の性能劣化を回避することができる。
(6)接合体11の製造方法において、ステップS1の基材接合部形成工程の後に、ステップS2の中間接合部形成工程を行っている。
この場合、例えば、第1ガラス部材13側からレーザー光LBを第1接合材M1に照射することで、ステップS1の基材接合部形成工程を行った後、第2ガラス部材14側から第2接合材M2にレーザー光LBを照射することで、ステップS2の中間接合部形成工程を行うことができる。
従って、例えば、ステップS1の基材接合部形成工程及びステップS2の中間接合部形成工程の両工程で用いるレーザー光LBの光源を共通化することが可能となるため、接合体11の製造装置の複雑化を回避することができる。また、ステップS1の基材接合部形成工程とステップS2の中間接合部形成工程との両工程を独立して順次行うことで、例えば、基材接合部15及び中間接合部16の品位をより高めることが可能となる。
(変更例)
本実施形態は、以下のように変更して実施することができる。本実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
・図6に示すように、基材12の形状は、開口を有する容器形状であってもよい。より具体的には、基材12の形状は、角柱状又は円柱状の容器形状であってもよい。この場合、第1ガラス部材13は、基材12の開口を施蓋及び封止するように配置され、基材12の凹部内、すなわち第1の空間17内の気密性を確保する蓋体となる。また、第1ガラス部材13の形状は、開口形状に対応した形状であることが好ましい。なお、図示を省略するが、第1ガラス部材13又は第2ガラス部材14の形状についても、開口を有する容器形状であってもよい。
・基材接合部15は、ガラスを含有する接合部に限定されず、例えば、第2の空間18に気密性が高度に要求されない用途では、樹脂系の接合材から得られた接合部であってもよい。ステップS1の基材接合部形成工程は、レーザー光LBを用いて第1接合材M1を加熱する工程に限定されず、例えば、レーザー光LB以外の熱線を用いて第1接合材M1を加熱する工程であってもよい。
・中間接合部16は、ガラスを含有する接合部に限定されず、例えば、第1の空間17に気密性が高度に要求されない用途では、樹脂系の接合材から得られた接合部であってもよい。ステップS2の中間接合部形成工程は、レーザー光LBを用いて第2接合材M2を加熱する工程に限定されず、例えば、レーザー光LB以外の熱線を用いて第2接合材M2を加熱する工程であってもよい。
・ステップS1の基材接合部形成工程では、第1ガラス部材13側から第1接合材M1にレーザー光LBを照射しているが、基材12の基材本体をガラスから構成した場合、基材12側から第1接合材M1にレーザー光LBを照射することで、ステップS1の基材接合部形成工程を行うこともできる。
・接合体11の製造方法において、ステップS1の基材接合部形成工程とステップS2の中間接合部形成工程とを同時に行うこともできる。具体的には、例えば、基材12と第1ガラス部材13との間に第1接合材M1を配置するとともに、第1ガラス部材13と第2ガラス部材14との間に第2接合材M2を配置した積層体を準備し、第1接合材M1及び第2接合材M2に同時にレーザー光LBを照射することで、基材接合部15と中間接合部16とを同時に形成する。レーザー光LBは、第2ガラス部材14側のみから照射してもよいし、基材12側のみから照射してもよい。ステップS1の基材接合部形成工程では、基材12側から第1接合材M1にレーザー光LBを照射し、ステップS2の中間接合部形成工程では、第2ガラス部材14側から第2接合材M2にレーザー光LBを照射してもよい。この場合、レーザー光LBの焦点を第1接合材M1の位置と第2接合材M2の位置との両位置に合わせることで、効率的に第1接合材M1及び第2接合材M2を加熱することが可能となる。
・接合体11の第1の空間17を省略することもできる。すなわち、接合体11の基材接合部15を基材12と第1ガラス部材13との間を埋めるように配置することもできる。このような接合体11では、例えば、基材12が備える膜を第1ガラス部材13及び第2ガラス部材14によって保護することができる。
・接合体11は、例えば、一つの基材12上に枠状の基材接合部15を複数並設することで、基材12上に並設された複数の第1の空間を有していてもよい。この場合、接合体11は、各第1の空間に配置された複数の部品を備えていてもよい。
また、上記のように、一つの基材12上に枠状の基材接合部15を複数並設した場合、中間接合部16についても、基材接合部15の数に応じて変更することができる。接合体11は、一つの第1ガラス部材13上に枠状の中間接合部16を複数並設することで、第1ガラス部材13上に並設された複数の第2の空間18を有していてもよい。
・基材接合部15の形状は、平面視で連続した枠状であってもよいし、不連続の枠状であってもよい。基材接合部15の形状は、第1の空間17を気密にする形状に限定されず、基材12と第1ガラス部材13とを接合できる形状であればよい。
・中間接合部16の形状は、平面視で連続した枠状であってもよいし、不連続の枠状であってもよい。すなわち、中間接合部16の形状は、第2の空間18を気密にする形状に限定されず、第1ガラス部材13と第2ガラス部材14とを接合できる形状であればよい。
・第1の空間17及び第2の空間18の空間のうち少なくとも一つの空間を、例えば、窒素ガスや、空気、その他の任意の気体で満たすことができる。また、第1の空間17及び第2の空間18の空間のうち少なくとも一つの空間を、真空状態とすることもできる。この場合、例えば、断熱性が向上することで、部品19の保護能力を向上することができる。
・第1の空間17及び第2の空間18の空間のうち少なくとも一つの空間に、例えば、液体や、樹脂等を充填することもできる。樹脂としては、例えば、発泡性樹脂や、非発泡性樹脂を用いることができる。樹脂や液体には、例えば蛍光体粒子等の機能性粒子を分散させることができる。この場合、部品19の機能や保護能力を向上することが可能となる。
・接合体11は、図6に二点鎖線で示すように、第2ガラス部材14上に設けられた第3ガラス部材22と、第2ガラス部材14と第3ガラス部材とを接合する第3の接合部23とをさらに備えていてもよい。第3ガラス部材22のガラスとしては、第1ガラス部材13及び第2ガラス部材14のガラスとして例示したものを用いることができる。第3ガラス部材22の寸法は、第1ガラス部材13又は第2ガラス部材14と同じであってもよいし、異なってもよい。第2ガラス部材14と第3ガラス部材とを接合する第3の接合部23を形成する第3の接合材としては、第1接合材M1や第2接合材M2と同様の材料を用いてもよいが、任意の材料を用いることができる。
なお、接合体11のガラス部材は、基材12に接合される第1ガラス部材13と、その第1ガラス部材13に接合される第2ガラス部材14とを少なくとも備えていればよく、例えば、さらに補強したい場合は、第1ガラス部材13及び第2ガラス部材14に加えて上述した第3ガラス部材22を含む3つ以上のガラス部材を備えていてもよい。
・接合体11の第2ガラス部材14上には、ガラス以外の材質からなる部材をさらに備えていてもよい。
・上記実施形態では、基材接合部15を形成する第1接合材M1と、中間接合部16を形成する第2接合材M2とが同一材料である一例を示したが、第1接合材M1と第2接合材M2とは、異なる材料であってもよい。例えば、第1接合材M1に含有されるガラス粉末のガラス組成と、第2接合材M2に含有されるガラス粉末のガラス組成とは、異なってもよい。また、第1接合材M1及び第2接合材M2の接合材のうち少なくとも一つの接合材として、樹脂接着剤や、金属はんだ材等を用いてもよい。金属はんだ材としては、例えば、AuやSnを含む金属多層膜や、これらの合金を使用可能である。
<試験例>
次に、接合体及び接合体の製造方法の試験例を説明する。
(試験例1)
試験例1では、基材、第1ガラス部材、及び第2ガラス部材としてガラス基板(無アルカリガラス基板、日本電気硝子株式会社製、OA−10G)を用いて接合体を作製した。表1中の“G1”は、無アルカリガラスを表している。基材の外形寸法は、縦40mm、横40mmである。
接合材のペーストは、ガラスを含有するペーストであり、このペーストは、封着材料、及びビークルを混錬した後、三本ロールミルで封着材料粉末が均一に分散するまで混錬することで得た。
封着材料は、ガラス粉末を74体積%、フィラーの粉末を26体積%の割合で混合することで作製した。ガラス粉末は、酸化ビスマス系ガラスの粉末であり、この粉末のメジアン径(D50)は、1.0μμmであり、99%径(D99)は、3.0μmである。なお、酸化ビスマス系ガラスは、ガラス組成として、質量%で、Bi:80%、B+ZnO:11%、MnO+Al+CuO+Fe:9%を含有する。フィラーの粉末は、β−ユークリプタイトの粉末であり、この粉末のメジアン径(D50)は、1.0μmであり、99%径(D99)は、3.0μmである。封着材料の熱膨張係数は、70×10−7/℃であった。熱膨張係数は、押棒式TMA装置を用いて、測定温度範囲を30〜300℃の条件で測定した。
ビークルとしては、グリコールエーテル系溶剤にエチルセルロース樹脂を溶解させたものを使用した。
得られた接合材のペーストを第1ガラス部材及び第2ガラス部材のそれぞれにスクリーン印刷機を用いて塗布し、乾燥及び焼成することで、第1接合材が第1ガラス部材に固定された第1接合用部材と第2接合材が第2ガラス部材に固定された第2接合用部材を得た。
次に、第1接合用部材を第1接合材が基材側となるようにして基材と重ね合わせることで第1積層体を準備した。続いて、基材接合部形成工程を行った後に、第1ガラス部材上に、第2接合用部材を第2接合材が第1ガラス部材側となるように重ね合わせることで第2積層体を準備した。続いて、中間接合部形成工程を行うことで、試験例1の接合体を得た。なお、基材接合部形成工程及び中間接合部形成工程では、半導体レーザー装置を用いて、波長808nm、2〜10Wのレーザー光を第1接合材及び第2接合材に照射した。基材接合部形成工程では、第1ガラス部材側からレーザー光を照射し、中間接合部形成工程では、第2ガラス部材側からレーザー光を照射した。
(試験例2〜5)
試験例2〜5では、接合体の構成を表1に示すように変更した以外は、試験例1と同様に接合体を作製した。なお、試験例3,4の接合体は、第3ガラス部材を備えており、第2ガラス部材と第3ガラス部材を接合する接合部は、試験例1と同様の接合材を用いて形成した。また、試験例5では、第2ガラス部材、すなわち中間接合部形成工程を省略している。
表1中の“G2”は、アルカリホウケイ酸ガラス(日本電気硝子株式会社製、BDA)を表している。
表1中の“C1”は、グリーンシートの積層体を焼成して得られるガラスセラミックスを表している。
表1中の“C2”は、酸化アルミニウムを表している。
(外観検査)
上記のように得られた試験例1〜5の各接合体における接合部を光学顕微鏡で観察し、接合部におけるクラック及び剥離の有無を確認した。接合部におけるクラック及び剥離が確認されなかった接合体については、外観が良好と判定し、接合部におけるクラック及び剥離が確認された接合体については、外観が不良と判定した。その結果を表1中の“外観検査”欄に示す。
(衝撃耐性の評価)
試験例1〜5の各接合体を静置し、ガラス部材から100mm高さとなる位置から5gの鋼球をガラス部材の外表面に落下させた。次に、試験例1〜5の各接合体の基材接合部を光学顕微鏡で観察し、基材接合部におけるクラック及び剥離の有無を確認し、基材接合部におけるクラック及び剥離が確認されなかったものを衝撃耐性が良好、基材接合部におけるクラック及び剥離が確認されたものを衝撃耐性が不良と判定した。その結果を表1中の“衝撃耐性”欄に示す。
Figure 2021046337
表1に示すように、試験例1〜4の接合体では、外観検査及び衝撃耐性のいずれも良好な結果が得られた。試験例5の接合体では、厚さ寸法の比較的小さい第1ガラス部材を用いることで、外観検査において良好な結果が得られたものの、この接合体は、第2ガラス部材を備えていないため、衝撃耐性の結果が不良となった。
11…接合体、12…基材、13…第1ガラス部材、13M…第1接合用部材、14…第2ガラス部材、14M…第2接合用部材、15…基材接合部、16…中間接合部、17…第1の空間、18…第2の空間、LB…レーザー光、M1…第1接合材、M2…第2接合材。

Claims (13)

  1. 基材と、
    前記基材上に設けられた第1ガラス部材と、
    前記第1ガラス部材上に設けられた第2ガラス部材と、
    前記基材と前記第1ガラス部材とを接合する基材接合部と、
    前記第1ガラス部材と前記第2ガラス部材とを接合する中間接合部と、を備え、
    前記第1ガラス部材と前記第2ガラス部材と前記中間接合部とにより囲まれた空間を有する、接合体。
  2. 前記中間接合部は、ガラスを含有し、枠状に形成される、請求項1に記載の接合体。
  3. 前記第1ガラス部材の形状及び前記第2ガラス部材の形状は、板状であり、前記第2ガラス部材の厚さ寸法は、前記第1ガラス部材の厚さ寸法よりも大きい、請求項1又は請求項2に記載の接合体。
  4. 前記第1ガラス部材の厚さ寸法及び前記第2ガラス部材の厚さ寸法は、0.05mm以上、1.0mm以下の範囲内である、請求項3に記載の接合体。
  5. 前記基材は、ガラスから構成された基材本体を備える、請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の接合体。
  6. 前記基材の形状は、板状、又は開口を有する容器形状である、請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の接合体。
  7. 基材と、
    前記基材上に設けられた第1ガラス部材と、
    前記第1ガラス部材上に設けられた第2ガラス部材と、
    前記基材と前記第1ガラス部材とを接合する基材接合部と、
    前記第1ガラス部材と前記第2ガラス部材とを接合する中間接合部と、を備え、
    前記中間接合部は、ガラスを含有する、接合体の製造方法であって、
    前記基材と前記第1ガラス部材との間に配置した第1接合材を加熱して前記基材接合部を形成する基材接合部形成工程と、
    前記第1ガラス部材と前記第2ガラス部材との間に配置した第2接合材を加熱して前記中間接合部を形成する中間接合部形成工程と、を備える、接合体の製造方法。
  8. 前記中間接合部形成工程をレーザー光の照射により行う、請求項7に記載の接合体の製造方法。
  9. 前記基材接合部形成工程をレーザー光の照射により行う、請求項7に記載の接合体の製造方法。
  10. 前記基材接合部形成工程の後に、前記中間接合部形成工程を行う、請求項7に記載の接合体の製造方法。
  11. 前記基材接合部形成工程と前記中間接合部形成工程とを同時に行う、請求項7に記載の接合体の製造方法。
  12. 前記第1接合材及び前記第2接合材がガラス粉末を含有するペーストの塗布膜又は焼成膜から構成される、請求項7から請求項11のいずれか一項に記載の接合体の製造方法。
  13. 前記第1ガラス部材に前記第1接合材が予め固定された第1接合用部材を前記基材に重ねて配置した後に前記基材接合部形成工程を行い、
    前記第2ガラス部材に前記第2接合材が予め固定された第2接合用部材を前記基材に重ねて配置した後に前記中間接合部形成工程を行う、請求項7から請求項12のいずれか一項に記載の接合体の製造方法。
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