以下、図面を参照して本発明を実施するための形態について説明する。下記、各図面において、同一構成部には同一符号を付し、重複した説明を省略する場合がある。
なお、実施形態の用語において、「電力」は「電気エネルギー」と同義とする。また、「電力の使用」、「電力の供給」、「給電」、「放電」は同義とする。
実施形態の用語において、「直並切替」とは、電気回路を直接接続から並列接続に切り替えること、又は電気回路を並列接続から直接接続に切り替えることをいう。また、複数の蓄電デバイスの接続を直列から並列に切り替えるための電圧値を直並切替電圧値といい、複数の蓄電デバイスの接続を並列から直列に切り替えるための電圧値を並直切替電圧値という。
さらに、実施形態では、一時的にでも蓄電装置から電力が供給されるものを「電力供給対象」という。
<実施形態に係る蓄電システム100a及び100bの構成例>
まず、図1Aを用いて蓄電システム100aについて説明する。図1Aは、蓄電システム(エネルギー蓄電システム)100aの構成の一例を示すブロック図である。図1Aに示すように、蓄電システム100aは、蓄電装置1と、発電素子2と、電力供給対象3と、整流回路4とを備える。
これらのうち、蓄電装置1は、直並切替制御部5と、直並切替部6と、蓄電部7とを備える。蓄電部7は、複数の蓄電デバイスの一例としてのコンデンサC1、C2によって構成されている。直並切替部6は、直並切替制御部5の制御下で、コンデンサC1、C2の接続を、直列又は並列の何れか一方に切り替えることができる。
発電素子2は、発電ゴムや圧電素子、静電誘導によって発電する素子であり、高電圧で、また低い電流の電力を生成する。発電素子2による発電については、別途、図3を用いて詳述する。
電力供給対象3は、例えば、LED(Light Emitting Diode)や、CPU(Central Processing Unit)機能を有するIC(Integrated Circuit)、センサー、無線伝送IC等から構成される負荷である。一例として、IoTデバイスが挙げられる。
蓄電システム100aは、発電素子2により発電された電力を、整流回路4により整流した後、蓄電部7において直列に接続されたコンデンサC1、C2に蓄電する。蓄電された電力は、直並切替部6により並列接続に切り替えられたコンデンサC1、C2によって電力供給対象3に給電される。
より詳しくは、整流回路(整流部の一例)4は、発電素子2より発電された交流の電力を整流する。直並切替部6は、直並切替制御部5の制御下で、蓄電部7におけるコンデンサC1、C2を直列接続の状態にし、コンデンサC1、C2は、整流回路4から入力される電力(蓄電電圧)を蓄電する。
その後、蓄電電圧が直並切替電圧値としての第1電圧値に達した場合に、直並切替制御部5は直並切替部6を作動させ、コンデンサC1、C2を並列接続に切り替える。コンデンサC1、C2は、並列接続された状態で電力供給対象3に給電する。
その後、コンデンサC1、C2から給電される電圧が、並直切替電圧値としての第2電圧値以下になった場合に、直並切替制御部5は直並切替部6を作動させ、コンデンサC1、C2を直列接続に切り替える。コンデンサC1、C2には、コンデンサC1、C2が直列接続された状態で、再び発電素子2が発電した電力が蓄電される。
次に、図1Bは、蓄電システム100bの構成の一例を示すブロック図である。図1Bに示すように、蓄電システム100bは、蓄電装置1と、電力供給対象3aとを備える。また電力供給対象3aは、負荷駆動蓄電装置10と、電力供給対象回路3'とを備える。
蓄電システム100bは、発電素子2により発電された電力を整流回路4により整流した後、蓄電部7において直列接続されたコンデンサC1、C2により蓄電する。その後、蓄電部7の蓄電電圧が第1電圧値に達した場合に、コンデンサC1、C2の接続を並列に切り替え、並列接続状態で、蓄電部7から負荷駆動蓄電装置10及び電力供給対象回路3'の両方に並行して給電する。
負荷駆動蓄電装置10は、電気二重層キャパシタ、リチウムイオンキャパシタ、リチウムイオン電池、又は鉛蓄電池等の各種蓄電デバイスを備え、蓄電及び給電が可能な装置である。負荷駆動蓄電装置10は、電力供給対象回路3'に駆動電力を給電できる。
負荷駆動蓄電装置10による電力供給対象回路3'への給電の制御方法は特に限定されないが、例えば、外部装置からの制御信号に基づき制御されてもよい。または、負荷駆動蓄電装置10にタイマーを備えさせ、タイマーによる計測時間に基づき、所定の時間周期で給電されるように制御されてもよい。
<比較例に係る蓄電システム100Xの構成例>
ここで、比較例として、環境発電素子により発電された電力を蓄電し、電力供給対象に給電するシステムを説明する。図2は、比較例に係る蓄電システム100Xの構成を示すブロック図である。なお、図2において、図1に示した蓄電システム100と同様の機能を備える構成には、便宜的に同じ部品番号を付している。
蓄電システム100Xは、一般的なエネルギーハーベストシステムである。蓄電システム100Xは、環境発電素子が発電した電力を、整流回路4を介して蓄電装置1Xに蓄電し、蓄電した電力を電力供給対象3に給電する。
図2に示すように、蓄電装置1Xは、発電側蓄電部である第1蓄電部101と、電力変換回路102と、給電側蓄電部である第2蓄電部103とを備える。
第1蓄電部101に蓄電された電圧は、DC/DCコンバータ等の電力変換回路102により電力供給対象3の動作電圧に変換された後、第2蓄電部103に蓄電される。その後、第2蓄電部103に蓄電された電力は、電力供給対象3に給電される。
このような蓄電装置1Xでは、以下の問題が生じる場合がある。
(A):電力変換回路102における消費電流によるロスの発生
(B):変換効率によるロスの発生
(C):インダクタ等の構成部品の増加
より詳しくは、蓄電システム100Xでは、第1蓄電部101に蓄電される電圧と第2蓄電部103に蓄電される電圧の関係で、電圧を昇圧変換または降圧変換することが好ましい。例えば、第1蓄電部101の蓄電電圧より第2蓄電部103の蓄電電圧が大きい場合は、昇圧変換することが好ましく、低い電圧で電力を蓄電するため、下記(式1)に基づき、蓄電装置1Xの第1蓄電部101を大きくすることが好ましい。
ここで、Wは蓄電電力、Cはコンデンサ容量、Vは蓄電電圧である。
また、蓄電電力は蓄電電圧の2乗に比例するため、圧電素子や発電ゴム、静電誘導により発電された高電圧で低い電流の電力を出力する発電素子2による蓄電では、蓄電電圧の上昇効率が悪く、かつ電力変換回路102における消費電流によるロスが発生することで、蓄電効率は低くなってしまう(A)。
次に、第1蓄電部101の蓄電電圧が第2蓄電部103の蓄電電圧より大きい場合は、降圧変換することが好ましい。この場合は(式1)に基づき、高い電圧で第1蓄電部101に蓄電できるため、蓄電装置1Xの第1蓄電部101を小さくして高い電圧で蓄電できる。しかし、第1蓄電部101の蓄電電圧と第2蓄電部103の蓄電電圧の差が発生するため、電力変換回路102における消費電流がロスとなり、電力変換効率が低下する(B)。
以上のように、蓄電システム100Xでは、電力変換回路102における電流消費量が大きくなってしまうロスと電圧変換によるロスが大きくなるとともに、構成部品が増加する分、蓄電装置が大型化する場合がある。
これと比較して、実施形態に係る蓄電システム100では、複数のコンデンサを有する蓄電部7を蓄電時と給電時とで共通して用いることで、電圧変換時の電力のロスを抑制することができる。
<発電素子例>
次に、蓄電システム100の備える発電素子2の動作を説明する。図3は、発電素子2の動作例を示す図である。
発電素子2は、発電ゴム等で構成され、剥離の力、摩擦の力、振動の力、或いは変形の力がかかることで、電荷を発生させて発電を行なう。また、発電素子2は、圧力によって発電してもよい。
発電素子2の発電量は、発電電圧10〜1000V(例えば、40V)、発電電流50nA〜100μA(例えば6μA)である。
図3に示すように、発電ゴムや圧電素子で構成される発電素子2は、高抵抗で、所定の電荷による電流を出力するため、電流源21と、内部抵抗22で近似できる。内部抵抗22の抵抗値は、1〜100MΩ(メガオーム)(例えば、10MΩ)である。
ここで、発電素子2に接続されるコンデンサと抵抗負荷について、図4〜図5を用いて説明する。
図4(a)は、発電素子2を用いた蓄電時の等価回路図であり、図4(b)は、コンデンサに蓄電する条件による蓄電効率について説明する図である。
図4(b)は、最大時の蓄電電力を100%とし、発電素子2により発電されて蓄電される電力の、コンデンサ容量に伴う比率(%)の変化を表している。
コンデンサ容量を図4(b)の白抜き矢印の部分に設定した場合、コンデンサと、定電流源と内部抵抗からなる発電素子2(出力側)と、インピーダンス整合が取れて、最も効率よく蓄電できる。
図5(a)は、発電素子2を用いた抵抗負荷による給電時の等価回路図であり、図5(b)は、抵抗負荷に給電する条件による給電効率について説明する図である。
図5(b)は、最大時の給電電力を100%とし、発電素子2により発電されて給電される電力の、負荷抵抗の抵抗値に伴う比率(%)の変化を表している。
負荷抵抗の抵抗値を図5(b)の白抜き矢印の部分に設定した場合、負荷抵抗と、発電素子2の内部抵抗とが等しい状態となり、内部抵抗と負荷抵抗が等しい時に、電力供給対象3(出力側)とインピーダンス整合が取れて、最も効率よく給電できる。
<コンデンサの接続例>
次に、蓄電部7におけるコンデンサC1、C2の接続例について、図6〜図7を参照して説明する。図6は、コンデンサC1、C2の直列接続の一例を示す図であり、図7は、コンデンサC1、C2の並列接続の一例を示す図である。
図6に示すように、直並切替部6は、3つのスイッチSw1、Sw2、Sw3を備える。蓄電部7は、2つのコンデンサC1、C2を備える。コンデンサは蓄電デバイスの一例であって、電気二重層キャパシタ、リチウムイオンキャパシタ、リチウムイオン電池、又は鉛蓄電池等の各種蓄電デバイスを用いることができる。
図6に示すように、直並切替部6のスイッチSw2がオン状態(接続した状態)で、スイッチSw1及びSw3がオフ状態(接続していない状態)であることで、蓄電部7のコンデンサC1、C2は、直列接続状態になる。
また、図7に示すように、直並切替部6のスイッチSw1及びSw3がオン状態で、スイッチSw2がオフ状態であることで、蓄電部7のコンデンサC1、C2は、並列接続状態になる。
<直並切替制御部5の構成例>
次に、直並切替制御部5の構成について、図8〜図9を参照して説明する。図8は、直並切替制御部5の第1構成例について説明する図である。図8に示すように、直並切替制御部5は、直並切替スイッチ制御部50と、2つの抵抗R1、R2と、2つのスイッチSw4、Sw5とを備える。
直並切替スイッチ制御部50は、直列又は並列の切替えの基準となる入力電圧Vinを監視し、制御信号S1を出力する電圧監視回路(電圧監視部の一例)として機能する。そして、直並切替スイッチ制御部50は、端子11への入力電圧Vinの検出結果に応じて、制御信号S1を生成し、生成した制御信号S1で、スイッチSw4及びスイッチSw5を制御する。
また、直並切替制御部5では、抵抗R1及びスイッチSw4がハイインピーダンス駆動のインバータ51を形成し、抵抗R2及びスイッチSw5がハイインピーダンス駆動のインバータ52を形成している。スイッチSw4、Sw5は、例えば、FET(Field Effect Transistor)等のNch(Nチャネル)トランジスタによって構成されている。
直並切替制御部5は、直並切替部6を制御する制御信号φ1を生成し、これを端子53から出力する。また、直並切替制御部5は、直並切替部6を制御する制御信号φ2を生成し、これを端子54から出力する。
直並切替制御部5において、直並切替スイッチ制御部50及びインバータ51は、ヒステリシス生成回路Hとして機能する。ヒステリシス生成回路Hは、入力電圧Vinの変化を素早く検出するとともに、一旦Lowレベル→Highレベル(或いはHighレベル→Lowレベル)に切り替わった信号が不安定に切り替わることを防ぐように、切り替え閾値にヒステリシス(差)を設けている。実施形態では、ヒステリシス生成回路Hは、入力電圧Vinが上昇して第1電圧値に達すると、制御信号φ1をHighレベルからLowレベルに切り替える。また、第1電圧値から入力電圧Vinが低下して第2電圧値に達すると、制御信号φ1をLowレベルからHighレベルに切り替える。より詳しくは、図14も参照して後述する。
実施形態では、インバータ51にハイインピーダンスの抵抗R1を使用し、インバータ52にハイインピーダンスの抵抗R2を使用する。これにより、圧電素子や静電誘導により発電された高電圧で低電流であるハイインピーダンス出力の発電素子2でも、蓄電装置1の回路を駆動することができる。抵抗R1及びR2の抵抗値は、1MΩ〜500MΩ等である。
次に、図9は、直並切替制御部5の第2構成例について説明する図である。図9に示す直並切替制御部5Aは、直並切替スイッチ制御部50と、2つの定電流源IC1、IC2と、2つのスイッチSw4、Sw5とを備えている。
また、直並切替制御部5Aでは、定電流源IC1及びスイッチSw4がハイインピーダンス駆動のインバータ51Aを形成し、定電流源IC2及びスイッチSw5がハイインピーダンス駆動のインバータ52Aを形成している。スイッチSw4、Sw5は、Nchトランジスタ等によって構成されている。
直並切替スイッチ制御部50により生成された制御信号S1で、スイッチSw4及びSw5が制御され、直並切替部6を制御する制御信号φ1を生成して端子53から出力する。また、直並切替部6を制御する制御信号φ2を生成して、端子54から出力する。直並切替制御部5Aにおいて、直並切替スイッチ制御部50及びインバータ51Aは、ヒステリシス生成回路Hとして機能する。
実施形態では、インバータ51Aにハイインピーダンスの定電流源IC1を使用し、インバータ52Aにハイインピーダンスの定電流源IC2を使用することで、圧電素子や静電誘導により発電された高電圧で低電流であるハイインピーダンス出力の発電素子2でも、蓄電装置1の回路を駆動することができる。定電流源IC1、IC2のそれぞれが生成する電流値は10nA〜100μA等である。
<蓄電装置1の回路構成例>
次に、蓄電装置1の回路構成について説明する。図10は、蓄電装置1の回路構成の一例を示す図である。
図10に示すように、蓄電装置1は、直並切替制御部5Bと、直並切替部6と、蓄電部7と、出力スイッチ部8(出力部の一例)とを備える。なお、蓄電装置1は、1つのICにまとめて蓄電ICとして構成してもよい。
直並切替制御部5Bには、直並切替スイッチ制御部50Bと、2つのディプリージョン型トランジスタTr1、Tr3と、2つのNchトランジスタTr2、Tr4とを備える。
実施形態では、直並切替スイッチ制御部50Bは、NchトランジスタTr5、及び3つの抵抗R3、R4、R5によって構成されている。3つの抵抗R3、R4、R5は高い抵抗値(高インピーダンス)を有する高抵抗の抵抗器である。NchトランジスタTr5は、ヒステリシス生成スイッチであり、電力供給対象3の状態を示す信号が入力されてもよい。
直並切替スイッチ制御部50Bは、直列接続を並列接続に切り替える電圧である入力電圧Vinを監視し、制御信号S1を出力する。
直並切替制御部5Bは、直並切替スイッチ制御部50Bにより生成された制御信号(S1)で制御される、2つのインバータ51B、52Bを備えている。
インバータ51Bは、ディプリージョン型トランジスタTr1と、NchトランジスタTr2で構成されている。インバータ51Bからの制御信号φ1は、端子53で取り出される。
直並切替スイッチ制御部50B及びインバータ51Bは、ヒステリシス生成回路Hを構成する。インバータ52Bは、ディプリージョン型トランジスタTr3と、NchトランジスタTr4で構成されている。インバータ52からの制御信号φ2は、端子54で取り出される。なお、インバータ51B、52Bのそれぞれは、Nchトランジスタと抵抗器とを含んで構成されてもよい。
なお、ディプリージョン型トランジスタTr1、Tr3は、図9の定電流源IC1、IC2として機能する。NchトランジスタTr2、Tr4は、図9のスイッチSw4,Sw5として機能する。
直並切替制御部5Bは、蓄電期間中は、複数のコンデンサC1、C2を直列接続させるように、Highレベルの制御信号φ1及びLowレベルの制御信号φ2を出力する。そして、入力電圧Vinが第1電圧値に達した時点で、コンデンサC1、C2を並列接続させるように、Lowレベルの制御信号φ1及びHighレベルの制御信号φ2を出力する。
その後、電力供給対象による電力使用により、入力電圧Vinが低下して第2電圧値より小さくなると、コンデンサC1、C2を、直列接続させるように、Highレベルの制御信号φ1及びLowレベルの制御信号φ2を出力する。
また、直並切替部6はPch(Pチャネル)トランジスタTr6、NchトランジスタTr7、アナログスイッチTr8、Tr9で形成されている。
直並切替部6において、PchトランジスタTr6は、図6、図7のスイッチSw1に対応し、NchトランジスタTr7はスイッチSw3に対応し、スイッチSw2は、2つのトランジスタTr8,Tr9からなるアナログスイッチで構成されている。
直並切替部6及び出力スイッチ部8を、アナログスイッチであるトランジスタで構成することで、電圧損失(電位差)が発生しない。比較としてダイオードでスイッチを構成すると、電圧損失が発生する。直並切替部6及び出力スイッチ部8を、アナログスイッチであるトランジスタで構成することで、電位差なく、スイッチを作動させることが可能となる。
直並切替部6において、PchトランジスタTr6及びNchトランジスタTr7をダイオードに置き換えてもよい。PchトランジスタTr6に対してはダイオードのカソードをVinラインに、アノードをアナログスイッチの一方の端子に接続し、NchトランジスタTr7に対してはダイオードのカソードをアナログスイッチの一方の端子にアノードをGNDのラインに接続する。
また、直並切替部6において、PchトランジスタTr6及びNchトランジスタTr7をダイオードと並列に接続してもよい。PchトランジスタTr6に対してはダイオードのカソードをVinラインに、アノードをアナログスイッチの一方の端子に接続し、NchトランジスタTr7に対してはダイオードのカソードをアナログスイッチの一方の端子にアノードをGNDのラインに接続する。
なお、図1では示さなかったが、蓄電装置1は、図10のように、並列接続時に電力供給対象に給電するための出力スイッチ部8を備えていてもよい。出力スイッチ部8は、PchトランジスタTr10とNchトランジスタTr11のアナログスイッチで形成されている。
蓄電装置1において、並列接続時に電力供給対象に給電する出力スイッチ部8は、PchトランジスタTr10のみで構成してもよい。
蓄電装置1において、高抵抗や定電流トランジスタは高い抵抗を有するものを用いるため、直並切替制御部5Bは高いインピーダンスを有している(ハイインピーダンスである)。そのため、発電素子2から発電される、高電圧で、低電流(例えば、400V、6μA)な発電素子2よりも、さらに低い電流(例えば、60nA)でも蓄電装置1を駆動できる。
また、図10の構成において、直並切替制御部5B、直並切替部6、及び出力スイッチ部8を構成する素子が有するインピーダンスの合計を、発電素子2の内部インピーダンス以上にすることができる。これにより、蓄電装置1の直並切替に必要とする駆動消費電力を抑えることができ、蓄電効率を高めることができる。
直並切替部6、及び出力スイッチ部8を構成する素子はMOS(Metal Oxide semiconductor)トランジスタで構成されているため、直並切替制御部5Bにより制御される、直並切替部6及び出力スイッチ部8で消費される電力は、スイッチ部をオン、オフした時のMOSトランジスタゲート駆動電力のみであり、蓄電効率を高めることができる。
さらに、蓄電時の蓄電装置1のインピーダンスは、給電時の蓄電装置1のインピーダンスよりも高くなっている。従って、蓄電装置1は高電圧、低電流で蓄電が可能となり、蓄電効率を高めることができる。また、給電時には蓄電装置1の給電電圧は例えば3Vであり、数mAの消費電流を必要とするCPU等の電子機器を駆動することができる。
なお、図10においてディプリージョン型トランジスタとNchトランジスタで構成されるインバータ51B、52Bは2段構成になっているが、ゲインが必要な場合は同様のインバータの段数を増やしても良い。その場合は、インバータ51Bの制御信号φ1及びインバータ52Bの制御信号φ2のそれぞれ信号変化のタイミングを、直並切替部6のスイッチ切替えタイミングに合わせると好適である。
ここで、図10の蓄電装置1における電流の流れを、図11を参照して説明する。図11は、蓄電装置1における電流の流れを示す回路図であり、(a)は蓄電時のコンデンサC1、C2が直列接続された状態を示す図、(b)は給電時のコンデンサC1、C2が並列接続された状態を示す図である。
スイッチSw1を構成するPchトランジスタTr6のゲートには、制御信号φ1が入力されているため、制御信号φ1がLowレベル、即ち給電時にオン状態になる。
スイッチSw3を構成するNchトランジスタTr7のゲートには、制御信号φ2が入力されているため、制御信号φ2がHighレベル、即ち給電時にオン状態になる。
スイッチSw2を構成する、PchトランジスタTr8のゲートには、制御信号φ2が入力され、NchトランジスタTr9のゲートには、制御信号φ2が入力されている。よってスイッチSw2は、制御信号φ2がLowレベル且つ制御信号φ1がHighレベル、即ち、蓄電時にオン状態になる。
また、出力スイッチ部8のスイッチSw4において、PchトランジスタTr10のゲートには、制御信号φ1が入力され、NchトランジスタTr11のゲートには、制御信号φ2が入力されている。よってスイッチSw4は、制御信号φ1がLowレベル且つ制御信号φ2がHighレベル、即ち、電力供給対象への給電時にオン状態になる。
直並切替部6に含まれるスイッチSw1、Sw2、Sw3と、出力スイッチ部8のスイッチSw4には、直並列の切り替え時のみ、スイッチの状態を変化させるために電流が流れる。そのため、蓄電時及び給電時の消費電流を小さくすることができる。
<蓄電システム100の回路構成例>
次に、蓄電システム100の回路構成について、図12を参照して説明する。図12は、蓄電システム100の回路構成の一例を示す図である。
整流回路4は、4つのダイオードD1、D2、D3、D4から成るダイオードブリッジによって構成されている。整流回路4は、発電素子2から出力された交流電力を全波整流する。
整流された電力を、蓄電装置1で直列接続されたコンデンサC1、C2に蓄電し、第1電圧値に達すると、図11(b)のコンデンサC1、C2が並列に接続された状態に切り替えられ、コンデンサC1、C2に蓄電された電力は電力供給対象に給電される。
<IC化の例>
次に、蓄電システム100をIC化した場合の一例を、図13を参照して説明する。図13は、通信モジュール31による制御回路を含んでIC化された蓄電システム100cの構成の一例を示す図である。
図13に示すように、蓄電システム100cにおける電力供給対象3は、通信モジュール31と、センサー32とを備える。また、蓄電装置1Cは、直並切替制御部5、直並切替部6、及び出力スイッチ部8が一体化された直並切替IC9を備えている。
直並切替IC9は、マイコン搭載の通信モジュール31と連係して、直並切替のタイミングを制御する機能を備えている。蓄電システム100cは、直並切替IC9の出力電圧Voutにより通信モジュール31と、センサー32に給電する。
直並切替IC9は、コンデンサC1、C2が並列接続状態になった時に、通信モジュール31に備えられたマイコンに並列状態になったことを示す信号SSTを出力して、通信モジュール31に給電が可能であることを通知する。
通信モジュール31のシステム動作が完了した後、所定のタイミングで、通信モジュール31から直並切替IC9に、マイコンに給電が必要なくなったことを示す信号SENDを出力して蓄電に移行させるように指示する。当該指示を受けた蓄電装置1は、コンデンサC1、C2を直列接続状態に切替えて充電を開始させる。ここで、信号SENDは、図11の直並切替制御部5のNchトランジスタTr5のゲートに電圧を制御することでコンデンサC1、C2の接続を並列から直列に変化させる信号である。
蓄電システム100cの構成により、蓄電装置1Cは、電力供給対象3側のCPUと連携することで、蓄電効率を向上することができる。
また、蓄電システム100cは、センサー32からの信号が通信モジュール31に備えられたマイコンで信号処理された結果を、無線等の通信手段を通じてIoTエッジ端末として活用することもできる。
<蓄電装置1の動作>
次に、蓄電装置1(図10参照)の動作について、図14を参照して説明する。図14は、蓄電装置1の直並切替動作の一例を示すタイミングチャートである。
発電素子2により発電された電力は、整流回路4で整流され、蓄電装置1に入力される。
時刻T0では、コンデンサC1、C2は蓄電されていない状態である。
時刻T1において、整流された電力が蓄電装置1に入力され始めると、直並切替制御部5Bがハイインピーダンス構成となっているため、発電素子2よりハイインピーダンスで出力された電力により回路が起動し制御信号φ1及びφ2が生成される。
蓄電が開始されると、制御信号φ1はHighレベル、制御信号φ2はLowレベルとなり、直並切替部6が作動してスイッチSw1、Sw3がオフ状態で、スイッチSw2がオン状態となり、蓄電部7のコンデンサC1、C2が直列に接続される。
コンデンサC1、C2が直列接続された状態で、発電素子2からの電力である入力電圧Vinが10V(第1電圧値)に達すると、時刻T2において、直並切替スイッチ制御部50Bが動作し、制御信号φ1がLowレベル、制御信号φ2がHighレベルに切り替わる。これに応答して直並切替部6が作動し、スイッチSw2がオフ状態で、スイッチSw1、Sw3がオン状態となり、蓄電部7におけるコンデンサC1、C2が並列に接続される。コンデンサC1,C2が直列接続から並列接続に切り替わると、(Vin=VC1+VC2)の状態から(Vin=VC1=VC2)の状態へ電圧が変化するため、蓄電電圧(入力電圧Vin)は半分に減る(10V⇒5V)。ここで、VC1はコンデンサC1の蓄電電圧、VC2はコンデンサC2の蓄電電圧である。
時刻T3において、電力供給対象が駆動すると電力(出力電圧Vout)が電力供給対象に給電され、入力電圧Vinも低下していく。
なお、ここでは、時刻T2〜T4までは発電素子2からの電力の入力は無いものとする。
入力電圧Vinが低下して2V(第2電圧値)に達すると、時刻T4において、制御信号φ1がHighレベル、制御信号φ2がLowレベルとなり、スイッチSw1、Sw3がオフ状態で、スイッチSw2がオン状態となることで、蓄電部7のコンデンサC1、C2が直列接続となり、発電素子2からの電力は蓄電される。
この後、入力電圧Vinが上昇して10Vに達すると、コンデンサC1、C2は並列接続に切り替えられる。
以上の動作が継続して行われる。
ここで、図14では、入力電圧Vinが10V(第1電圧値の一例)になるタイミングを時刻T2とし、入力電圧Vinが2V(第2電圧値の一例)になるタイミングを時刻T4とする例を示したが、時刻T2及びT4に対応する第1電圧値及び第2電圧値は、これらに限定されるものではない。直並切替スイッチ制御部50Bの抵抗R3、R4、R5の抵抗値を変えることで、第1電圧値及び第2電圧値のそれぞれを、任意の電圧に設定できる。
また、並列状態で発電素子2からの電力の入力を継続することも可能である。その場合は時刻T3〜T4までの入力電圧Vinの電圧低下は緩やかになるか、上昇する場合もある。
次に、蓄電システム100c(図13参照)の動作例について、図14の時刻T6以後を参照して説明する。蓄電システム100cにおいても、時刻T0〜T5までの動作は同じである。
時刻T6のタイミングで、直並切替IC9は、通信モジュール31に備えられたマイコンに、並列状態になったことを示す信号SSTを出力して通信モジュール31に給電が可能であることを通知する。なお、図14中、時刻T3〜T4及び時刻T6〜T7の期間は、蓄電装置1が通信モジュール31と同期して通信モジュール31へ給電している、電力供給対象動作期間(給電期間、システム動作期間)に該当する。
時刻T7で通信モジュール31のシステム動作が完了した後、時刻T8のタイミングで、通信モジュール31から直並切替IC9に信号SENDが入力されると、コンデンサC1、C2は直列接続状態に切り替えられ、充電が開始される。
蓄電装置1が通信モジュール31と連携して動作する場合は、給電期間中、電圧が2Vまで低下するか、信号SENDが出力されるか、何れか早い方で給電が停止される。図14の例では、電圧が2Vまで低下する前に信号SENDが出力されたため、その時点で給電が停止され、コンデンサC1、C2の接続状態が直列に切り替えられて、蓄電動作に移行されている。
<蓄電電力例>
ここで、コンデンサに蓄電する電力について説明する。
コンデンサに蓄電できる電力W(J)は、以下の(式1)で表せる。
また、コンデンサをn個、直列接続すると、容量Csnは、以下の(式2)で表せる。
コンデンサをn個、並列接続すると、容量Cpnは、以下の(式3)で表せる。
コンデンサn個直列接続で蓄電できる電力Wsは、以下の(式4)で表せる。
コンデンサn個並列接続で蓄電できる電力Wpは、以下の(式5)で表せる。
例えば、具体的に、n=2、C=1(μF;マイクロファラッド)、V=5(V;ボルト)とすると、コンデンサ2個を直列接続で蓄電できる電力Wsは、以下の(式6)のように計算できる。
コンデンサ2個並列接続で蓄電できる電力Wpは、以下の(式7)のように計算できる。
以上のように、Ws=Wpになり、同じ容量のコンデンサをn個直列で蓄電しても、並列で蓄電しても同じ電力量をコンデンサに蓄電できる。n個直列に接続したコンデンサに蓄電するためには、高電圧n×V(V)の状態で蓄電する必要がある。
一方、蓄電された電力はIoTのようなシステムでは、CPUを駆動したり、センサー等を接続する電子機器に給電することが求められる。これらの機器はリチウム電池1〜3本程度、例えば3〜10V程度の電圧、数μA〜数mA程度の電流で駆動することが求められる。
ここで、同じ容量Cのコンデンサをn個直列に接続した高インピーダンスの状態で蓄電し、それらのコンデンサを直列接続から並列接続に切り替えることで、コンデンサに蓄電された電力を保持したまま、低い電圧で低インピーダンスの状態でIoTシステム等を駆動できる。
回路上に設けられる抵抗の抵抗値をRとすると、インピーダンスZは以下の(式8)で定義される。
コンデンサをn個直列にした場合の回路のインピーダンスZsnは、(式2)のように表されるため、以下の(式9)のように表すことができる。
コンデンサをn個並列にした場合の回路のインピーダンスZpnは、(式3)のように表されるため、以下の(式10)のように表すことができる。
となる。ここで、回路上に設けられる抵抗の抵抗値Rを小さくすると、直列時のインピーダンスZns(式9)が高く、並列時のインピーダンスZpn(式10)が低くなる。
以上のように、コンデンサの直並切替を行なうことで、蓄電時は(式4)と(式9)から高電圧n×V(V)で高インピーダンスで蓄電し、給電時は(式5)と(式10)から低い電圧V(V)で電力供給対象に効率よく給電できる。
圧電素子や発電ゴムの静電誘導による発電では数10V〜数100Vという高電圧が発生する。また、出力電流はnA〜μAといった単位の低電流であり、出力インピーダンスの高い定電流電源と見ることができる。このため、圧電素子や静電誘導により高電圧でコンデンサに蓄電した電力を、3〜10V程度の電圧で数μA〜数mA程度の電流で駆動する電力供給対象への給電電力に、高効率で変換する回路が必要となる。
ここで、図15に比較例として、コンデンサの容量を固定した場合の蓄電、給電の際の電流の推移を示し、図16に実施形態のように、コンデンサの容量を直列と並列で切り替える場合の蓄電、給電の際の電流の推移を示す。
より詳しくは、図15(a)は、コンデンサの容量を固定した回路図、図15(b)は、図15(a)の状態での蓄電電流及び蓄電電圧、給電の際のコンデンサ端子間電圧の推移を示す図である。
図15では、0.25μFの容量のコンデンサを1つ用いて、充電時、給電時ともに、容量0.25μFで動作させる例を示している。
一般的に、CPU動作、センサー駆動、無線伝送ICの駆動電圧は、2〜5V程度である。図15(b)に示すように、比較例では、給電時にコンデンサに蓄えている容量が少ないため急激に電圧値が降下し、電圧値が、2〜4.5Vの範囲にある時間は、20msである。そのため、20msしか電力を使用できない。
これに対して、図16(a)はコンデンサの直並列を切り替える回路図、図16(b)は、図16(a)の状態での蓄電電流および蓄電電圧、給電の際のコンデンサ端子間電圧の推移を示す図である。
図16では、0.5μFの容量のコンデンサを2つ用いて、充電時は直列状態にして容量0.25μFで動作させ、給電時は並列状態にして容量1.0μFで動作させる例を示している。
図16(b)に示すように、実施形態では、給電時はコンデンサを直列接続から並列接続に切り替えることで、切り替え時に電圧値は半分になるが、その後、容量が大きいコンデンサを用いた給電により電圧値が緩やかに降下する、そのため、電圧値が、2〜4.5Vの範囲にある時間は、84msである。図15(b)と比較すると、充電時のコンデンサの容量は同じながら、直列接続から並列接続への切り替えにより、給電時に電力を使用できる時間が4倍以上に増える。
図16に示したように、実施形態に係る蓄電システムでは、コンデンサの直列接続又は並列接続を切り替えることで、蓄電時に、高電圧、高インピーダンスでインピーダンス整合して蓄電できる。一方、給電時は、IoTシステムなどに対して必要な電圧で、低インピーダンスでインピーダンス整合して給電できる。
<蓄電装置にコンデンサを多数設ける例>
上記は、蓄電装置1に2つのコンデンサを含む構成について説明したが、コンデンサの数は2つに限られない。図17は、4つのコンデンサを直列に接続する回路の構成例を説明する図である。図17は、4つのコンデンサを備える蓄電部70と、4つのコンデンサの接続を切り替える4直並切替IC90の内部ブロックを示している。
直並切替スイッチ部60は、図10の直並切替部6と対応しており、スイッチ群61、62、63で構成される。スイッチ群61、63は、コンデンサC1、C2、C3、C4を並列接続にするときにオン状態となり、直列接続にするときにオフ状態となる。スイッチ群62は、コンデンサC1、C2、C3、C4を直列接続にするときにオン状態となり、並列接続にするときにオフ状態となる。また、スイッチ80は図10の出力スイッチ部8に対応する。
直並切替制御回路5B'は、図10の2つのコンデンサ切り替え用の直並切替制御部5Bに対応するが、図18のようにカスコード接続してコンデンサを多段直列接続する場合には、マスター側とスレーブ側の切替えをするためのマスター/スレーブ切替回路55を備えている。
次に、図18は、コンデンサ多段接続回路の構成例を示す図である。図18において、コンデンサ多段接続回路90Eは、4直並列切替マスターIC91と、4直並列切替スレーブIC92、93、94、95で構成される。
マスターIC91に、図17のマスター/スレーブ切替回路55を設けることで、4つのIC92、93、94、95はスレーブICとしてカスコード接続できるよう構成し、それぞれの出力電圧Vout出力を4直並列切替えマスターIC91に接続でき多段接続が可能である。
このように、多段接続する場合、カスコード接続をマスタースレーブ方式で多段接続制御する。これにより、より多段のコンデンサを接続することができ、更なる高効率化が可能になる。
以上説明したように実施形態に係る蓄電装置は、高電圧、低電流で切替え電圧を検出でき、高電圧、低電流で動作して直並接続を切替え、高効率で蓄電できる。
なお、上述した実施形態では、直並切替制御部5が、ヒステリシス生成回路Hを内部に備えることで、制御信号φ1に対してヒステリシスを設けていた。しかし、直並切替制御部5でヒステリシスを設けることができれば、ヒステリシス生成回路は直並切替制御部5以外に設けられてもよい。
[第1実施形態]
次に、第1実施形態に係る蓄電システム200について説明する。
ここで、上述した蓄電システム100a(図1A参照)では、給電時に並列接続に切り替えられたコンデンサC1、C2は、蓄電電圧が第2電圧値以下になると、コンデンサC1、C2は直列接続に復帰する。そして、直列接続されたコンデンサC1、C2への充電が開始される。その後、蓄電電圧が第1電圧値に達するとコンデンサC1、C2は並列接続に切り替わり、コンデンサC1、C2は並列接続の状態で電力供給対象3に電力を供給する。
電力供給対象3への供給電力は、コンデンサC1、C2に蓄電された電力であるため、蓄電システム100aでは、蓄電部7への蓄電量と電力供給対象3による消費電力量で直列並列切り替えのタイミングが決まるように、第1電圧値と第2電圧値が予め設定されている。
しかし、電力供給対象3の電力消費量が少ない場合は、蓄電電圧が第2電圧値以下になるまで直列接続に切り替えることができず、並列接続状態で蓄電するため、蓄電部7は直列復帰することなく蓄電され続け、蓄電電圧が上昇し続ける場合がある。蓄電電圧の上昇により、電力供給対象3の動作が不安定になったり、電力供給対象3が劣化したりする場合がある。
そこで、本実施形態に係る蓄電システム200では、電力供給対象3への供給電圧、又は蓄電部7の蓄電電圧が所定の変更電圧値以上になった場合に、並直切替電圧値を変更する。例えば、並直切替電圧値として設定していた第2電圧値を、第2電圧値より低い第4電圧値に変更することで、発電素子2による直列状態での充電のタイミングを遅らせる。
そして、電力供給対象3への供給電圧が変更電圧値以下になった場合に、直並切替電圧値として第1電圧値を用い、並直切替電圧値として第2電圧値を用いる直並列の切替制御に戻す。なお、上記の第1電圧値、第2電圧値、第4電圧値及び変更電圧値のそれぞれは、電力供給対象3の電力消費仕様等に合わせて予め定められている。
このようにして、電力供給対象3の動作電圧範囲及び保証電圧範囲に応じて、蓄電部7への蓄電電圧及び電力供給対象3への供給電圧を制御でき、電力供給対象3の安全動作および劣化を防止する。
以下において、このような蓄電システム200の構成及び動作を詳細に説明する。
<蓄電システム200の構成例>
蓄電システム200の構成について、図19を参照して説明する。図19は、蓄電システム200の構成の一例を示すブロック図である。
図19に示すように、蓄電システム200は、発電素子2と、整流回路4と、蓄電装置201と、電力供給対象3とを備えている。
発電素子2が発電した電力は、整流回路4により整流された後、蓄電装置201に入力される。蓄電装置201は、整流回路4から入力した電力を、蓄電部7において直列に接続されたコンデンサC1、C2により蓄電する。蓄電部7の蓄電電圧が第1電圧値に達した場合に、直並切替制御部5は直並切替部6を作動させ、コンデンサC1、C2を並列接続に切り替える。その後、コンデンサC1、C2は並列接続された状態で電力供給対象3に給電する。
また、蓄電装置201は、電力供給対象電圧検出部13と、直列復帰制御部14とを備え、コンデンサC1、C2の接続を並列から直列に切替える制御を行うことができる。
電力供給対象電圧検出部13は、電力供給対象3の電圧を検出し、検出値を直列復帰制御部14に出力する。直列復帰制御部14は、電力供給対象電圧検出部13による検出値が変更電圧値以上になった場合に、並直切替電圧値を、第2電圧値から第4電圧値に変更する。
直並切替制御部5は、並列接続状態のコンデンサC1、C2の電圧が第4電圧値以下になった場合に、直並切替部6を作動させ、コンデンサC1、C2の接続を並列から直列に切り替える。コンデンサC1、C2は、直列接続の状態で発電素子2による電力を蓄電する。
<蓄電装置201の構成例>
次に、蓄電システム200に含まれる蓄電装置201の構成を、図20を参照して説明する。図20は、蓄電装置201の回路構成の一例を示す図である。
図20に示すように、蓄電装置201は、直並切替制御部5Bと、直並切替部6と、蓄電部7と、出力スイッチ部8と、電力供給対象電圧検出部13と、直列復帰制御部14とを備えている。なお、蓄電装置201は、直並切替制御部5B、直並切替部6、蓄電部7、出力スイッチ部8、電力供給対象電圧検出部13及び直列復帰制御部14が一体化されたICを備えてもよい。
電力供給対象電圧検出部13は、電力供給対象3への供給電圧Vsup(以下、供給電圧Vsupという)を検出する電流コンパレータを構成するディプリージョン型トランジスタTr13と、NchトランジスタTr14とを備えている。
ここで、ディプリージョン型トランジスタTr13に流れる電流は、定電流Itr13となる。NchトランジスタTr14とディプリージョン型トランジスタTr13は、電流コンパレータとして動作するため、NchトランジスタTr14の電流Itr14が定電流Itr13より大きい時に、出力信号φ3はLowレベルとなる。一方、電流Itr14が定電流Itr13より小さい時に、出力信号φ3はHighレベルとなる。NchトランジスタTr14とディプリージョン型トランジスタTr13のトランジスタサイズ比により、変更電圧値を設定することができる。
直列復帰制御部14において、供給電圧Vsupが変更電圧値以上の時に、直並切替スイッチ制御部50BのR5のGND側端子とGND端子間に接続されたNchトランジスタTr15がオフ状態になる。また、直並切替スイッチ制御部50BのR5のGND側端子とGND端子間に接続されたR6が、R5のGND側端子に接続された状態になる。
コンデンサC1、C2が並列に接続された状態において、NchトランジスタTr5がオフ状態であるため、NchトランジスタTr2に入力される電圧は、入力電圧Vinに対してR3とR4+R5+R6の分圧比となる。これにより、並直切替電圧値は低下して、当初の第2電圧値から、第2電圧値より低い第4電圧値に変更される。
そして、入力電圧Vinが第4電圧値以下になると、コンデンサC1、C2を直列接続させるためのHighレベルの制御信号φ1とLowレベルの制御信号φ2が、直並切替制御部5Bに出力される。
また、直並切替部6は、PchトランジスタTr6、NchトランジスタTr7、アナログスイッチTr8及びTr9を含んで構成されている。
出力スイッチ部8のスイッチSw4において、PchトランジスタTr10のゲートには、制御信号φ1が入力され、NchトランジスタTr11のゲートには、制御信号φ2が入力される。よってスイッチSw4は、制御信号φ1がLowレベル且つ制御信号φ2がHighレベル、即ち、電力供給対象3に給電時にオン状態になる。
供給電圧Vsupが変更電圧値より小さい時には、NchトランジスタTr14がオフ状態になり、出力信号φ3がHighレベルになる。これにより、NchトランジスタTr15がオン状態になって、NchトランジスタTr2に入力される電圧は、入力電圧Vinに対してR3とR4+R5の分圧比となり、並直切替電圧値は第4電圧値から第2電圧値に変更される。
このように、供給電圧Vsupが上昇して変更電圧値を超えた場合に、並直切替電圧値が低くなるように変更することで、直列状態における充電を抑制する。供給電圧Vsupを監視することで、蓄電部7の蓄電電力量と電力供給対象3の消費電力量を制御し、電力供給対象3の動作電圧範囲、及び/又は安全や劣化に伴う保証電圧範囲の範囲内に、供給電圧Vsupを収めることができる。
<蓄電装置201の動作例>
次に、蓄電装置201(図20参照)の動作について、図21を参照して説明する。図21は、蓄電装置201の動作の一例を示すタイミングチャートである。
発電素子2により発電された電力は、整流回路4で整流され、蓄電装置201に入力される。
時刻T0では、コンデンサC1、C2は蓄電されていない状態である。
時刻T1において、整流された電力が蓄電装置201に入力され始めると、直並切替制御部5Bがハイインピーダンス構成となっているため、発電素子2よりハイインピーダンスで出力された電力により、回路が起動し、制御信号φ1及びφ2が生成される。
蓄電が開始されると、制御信号φ1はHighレベル、制御信号φ2はLowレベルとなり、直並切替部6が作動して、スイッチSw1、Sw3がオフ状態で、スイッチSw2がオン状態となる。これにより、コンデンサC1、C2が直列に接続される。また、電力供給対象電圧検出部13による出力信号φ3はHighレベルとなり、直列復帰制御部14によるNchトランジスタTr15はオン状態となる。
コンデンサC1、C2が直列状態で、発電素子2から入力される入力電圧Vinが、10V(第1電圧値の一例)に達すると、時刻T2において、直並切替スイッチ制御部50Bが動作し、制御信号φ1がLowレベル、制御信号φ2がHighレベルに切り替わる。
これに応答して、直並切替部6が作動し、スイッチSw2がオフ状態で、スイッチSw1、Sw3がオン状態となり、コンデンサC1、C2が並列に接続される。コンデンサC1、C2が直列接続から並列接続に切り替わると、(Vin=VC1+VC2)の状態から(Vin=VC1=VC2)の状態へ電圧が変化するため、蓄電電圧(入力電圧Vin)は半分に減る(10V⇒5V)。同時に、コンデンサC1、C2に蓄電された電力が電力供給対象3に給電され、電力供給対象3の電圧が上昇する。
その後、時刻T2において、電力供給対象3への電力供給が始まる。そして、時刻T3において、入力電圧Vinが3.5V(第2電圧値の一例)以下になると、出力信号φ3はHighレベルとなる。直列復帰制御部14のNchトランジス15はオン状態のままであり、制御信号φ1がHighレベル、制御信号φ2がLowレベルとなる。スイッチSw1、Sw3がオフ状態、スイッチSw2がオン状態となることで、コンデンサC1、C2が直列接続となり、コンデンサC1、C2は発電素子2が発電した電力を蓄電する。
なお、時刻T2〜T3の間は、発電素子2からの電力の入力は無いものとする。
コンデンサC1、C2が直列状態で、発電素子2からの電力である入力電圧Vinが10Vに達すると、時刻T4において、直並切替スイッチ制御部50Bが動作し、制御信号φ1がLowレベル、制御信号φ2がHighレベルに切り替わる。これに応答して、直並切替部6が作動し、スイッチSw2がオフ状態、スイッチSw1、Sw3がオン状態となり、コンデンサC1、C2が並列に接続される。
コンデンサC1、C2が直列接続から並列接続に切り替わると、(Vin=VC1+VC2)の状態から(Vin=VC1=VC2)の状態へ電圧が変化するため、蓄電電圧(入力電圧Vin)は半分に減る(10V⇒5V)。同時に、コンデンサC1、C2に蓄電された電力が電力供給対象3に給電され、電力供給対象3の電圧が上昇する。
電力供給対象3の電圧が上昇し、時刻T9において供給電圧Vsupの電圧が2.8V(変更電圧値の一例)に達すると、電力供給対象電圧検出部13の出力信号φ3がLowレベルとなり、直列復帰制御部14のNchトランジスタTr5がオフ状態となる。NchトランジスタTr2に入力される電圧は、入力電圧Vinに対してR3とR4+R5+R6の分圧比となり、並直切替電圧値が3.5Vから3.0V(第4電圧値の一例)に変更される。
その後、時刻T11において、供給電圧Vsupは2.8V以上であるため、入力電圧Vinが3.0V以下になると、出力信号φ3はHighレベルとなる。直列復帰制御部14のNchトランジス15はオン状態のままであり、制御信号φ1がHighレベル、制御信号φ2がLowレベルとなり、スイッチSw1、Sw3がオフ状態、スイッチSw2がオン状態となる。これにより、コンデンサC1、C2が直列接続となり、コンデンサC1、C2は発電素子2が発電した電力を蓄電する。
このようにして、蓄電システム200は、電力供給対象電圧検出部13による検出値に応じて、供給電圧Vsupを制御することができる。
<蓄電システム200の作用効果>
以上説明してきたように、本実施形態では、供給電圧Vsupが上昇して変更電圧値を超えた場合に、並直切替電圧値が低くなるように変更することで、直列状態における充電を抑制できる。供給電圧Vsupに応じて発電素子2から入力される電力を制御することで、蓄電システム200を、電力供給対象3の動作電圧範囲、及び/又は安全や劣化に伴う保証電圧範囲の範囲内で動作させることができる。また、供給電圧Vsupが低下した場合においても、発電素子2から入力される電力を制御できるため、発電素子2が発電する電力を効率よく活用しながら、電力供給対象3を安全に動作させ、且つ劣化を防止することができる。
なお、本実施形態は、発電ゴム等の低周波の発電素子2による電力を蓄電、給電する場合に特に好適であるが、これに限定されるものではない。エネルギーハーベスト等の高周波の発電素子による電力の蓄電、給電にも適用可能である。
また、本実施形態に係る蓄電システム200と、蓄電装置201は各種の変形が可能である。以下に、各種変形例について、蓄電システム200、又は蓄電装置201との相違点を中心に説明する。
(第1変形例)
まず、第1変形例に係る蓄電システム200aについて、図22を参照して説明する。図22は蓄電システム200aの構成の一例を示すブロック図である。図22に示すように、蓄電システム200aは、負荷駆動蓄電装置10を含む電力供給対象3aを備えている。
蓄電システム200aでは、発電素子2により発電された電力を整流回路4により整流した後、蓄電部7において直列接続されたコンデンサC1、C2に蓄電する。その後、蓄電電圧が第1電圧値に達するとコンデンサC1、C2は並列接続に切り替わり、コンデンサC1、C2は並列接続の状態で、電力供給対象3aに含まれる負荷駆動蓄電装置10及び電力供給対象回路3'の両方に並行して給電する。
負荷駆動蓄電装置10は、電気二重層キャパシタ、リチウムイオンキャパシタ、リチウムイオン電池、又は鉛蓄電池等の各種蓄電デバイスを備え、蓄電及び給電が可能な装置であり、電力供給対象回路3'に駆動電力を給電する。
負荷駆動蓄電装置10による電力供給対象回路3'への給電の制御方法は特に限定されないが、例えば、外部装置からの制御信号に基づき制御されてもよいし、負荷駆動蓄電装置10にタイマーを備えさせ、タイマーによる計測時間に基づき、所定の時間周期で給電されるように制御されてもよい。
上述したように、直列接続されたコンデンサC1、C2の蓄電電圧が第1電圧値に達すると、直並切替部6が作動してコンデンサC1、C2が並列接続される。そして、Vin=VC1=VC2=Vochになるように、コンデンサC1、C2に蓄電された電力は、負荷駆動蓄電装置10に給電されて蓄電されるとともに、電力供給対象回路3'に給電される。ここで、Vochは負荷駆動蓄電装置10の蓄電電圧である。
但し、電力供給対象回路3'の起動電圧を設定した場合、蓄電電圧Vochが電力供給対象回路3'の起動電圧より低い場合は、負荷駆動蓄電装置10のみに給電される。そして、蓄電電圧Vochが電力供給対象回路3'の起動電圧以上になった場合に、負荷駆動蓄電装置10と電力供給対象回路3'の両方に給電される。
その後、蓄電部7の蓄電電圧が第2電圧値以下になると、直並切替制御部5の制御下で直並切替部6が作動して、コンデンサC1、C2は直列接続に切り替えられる。コンデンサC1、C2は直列接続された状態で、発電素子2による発電電力を蓄電する。
蓄電装置201は、電力供給対象回路3'及び負荷駆動蓄電装置10に給電し、蓄電部7の蓄電電圧が第2電圧以下になった場合に、コンデンサC1、C2が直列接続に切り替えられて、発電素子2による電力を蓄電できるため効率よく充電できる。
また、蓄電システム200aが蓄電中で、蓄電システム200aから電力供給対象回路3'に給電できない時にも、負荷駆動蓄電装置10が蓄電した電力を電力供給対象回路3'に給電することができる。そのため、電力供給対象回路3'を継続して駆動させることができる。
また、電力供給対象3aへの供給電圧Vsupを検出することで、電力供給対象3aの動作電圧範囲、及び/又は安全や劣化に伴う保証電圧範囲の範囲内で、供給電圧Vsupを制御できる。
(第2変形例)
図23は、第2変形例に係る蓄電装置201bの回路構成の一例を示す図である。図23に示すように、蓄電装置201bは、電力供給対象電圧検出部13bを備えている。
電力供給対象電圧検出部13bは、供給電圧Vsupを検出する際に、電力供給対象3で発生するノイズ、及び/又は発電素子2で発生するノイズ等の影響で、蓄電装置201bの動作が不安定になることを防止するための安定化回路を備えている。電力供給対象電圧検出部13bを設けることで、蓄電装置201bの動作を安定化させることができる。他の構成及び動作は、蓄電装置201と同様であるため、重複する説明を省略する。
(第3変形例)
((構成例))
図24は、第3変形例に係る蓄電装置201cの回路構成の一例を示す図である。図24に示すように、蓄電装置201cは、電力供給対象電圧検出部13cと、直並切替制御部5Bcとを備えている。
電力供給対象電圧検出部13cは、供給電圧Vsupを検出する電流コンパレータを構成するディプリージョン型トランジスタTr13とNchトランジスタTr14とを備えている。ここで、ディプリージョン型トランジスタTr13に流れる電流は定電流Itr13となり、NchトランジスタTr14とディプリージョン型トランジスタTr13は電流コンパレータとして動作する。そのため、NchトランジスタTr14の電流Itr14が定電流Itr13より大きい時に、出力信号φ3はLowレベルとなる。一方、電流Itr14が定電流Itr13より小さい時に、出力信号φ3はHighレベルとなる。NchトランジスタTr14とディプリージョン型トランジスタTr13のトランジスタサイズ比により、変更電圧値を設定することができる。
直列復帰制御部14cにおいて、供給電圧Vsupが変更電圧値以上の時に、直並切替スイッチ制御部50BcのR3のVin側端子とVin端子間に接続されたPchトランジスタTr15がオン状態となる。そして、コンデンサC1、C2が並列接続状態においてNchトランジスタTr5がオフ状態となる。これにより、NchトランジスタTr2に入力される電圧は、入力電圧Vinに対してR3とR4+R5の分圧比となり、並直切替電圧値は低下して、当初の第2電圧値から、第2電圧値より低い第4電圧値に変更される。
そして、入力電圧Vinが第4電圧値以下になると直並切替制御部5Bcに、コンデンサC1、C2を直列接続させるためのHighレベルの制御信号φ1とLowレベルの制御信号φ2が出力される。
また、供給電圧Vsupが変更電圧値以上の時にコンデンサC1、C2が直列状態で充電される場合においても、NchトランジスタTr2に入力される電圧は、入力電圧Vinに対してR3とR4+R5の分圧比となり、直並切替電圧値は低下して、当初の第1電圧値から、第1電圧値より低い第5電圧値に変更される。
供給電圧Vsupが変更電圧値より小さい時には、NchトランジスタTr14がオフ状態、出力信号φ3がHigh、PchトランジスタTr15がオフ状態になる。NchトランジスタTr2に入力される電圧はVinに対してR3+R6とR4+R5の分圧比となり、並列から直列への復帰電圧は第4電圧値から第2電圧値に変更される。また、直列から並列への復帰電圧は第5電圧値から第1電圧値に変更される。
((動作例))
次に、蓄電装置201c(図24参照)の動作について、図25を参照して説明する。図25は、蓄電装置201cの動作の一例を示すタイミングチャートである。なお、図25は、電力供給対象3aに負荷駆動蓄電装置10が含まれる蓄電システム200aに対して、蓄電装置201cを適用した場合の動作例を示している。
発電素子2により発電された電力は、整流回路4で整流され、蓄電装置201cに入力される。
時刻T0では、コンデンサC1、C2は蓄電されていない状態である。
時刻T1において、整流された電力が蓄電装置201cに入力され始めると、直並切替制御部5Bがハイインピーダンス構成となっているため、発電素子2よりハイインピーダンスで出力された電力により、回路が起動し、制御信号φ1及びφ2が生成される。
蓄電が開始されると、制御信号φ1はHighレベル、制御信号φ2はLowレベルとなり、直並切替部6が作動して、スイッチSw1、Sw3がオフ状態で、スイッチSw2がオン状態となる。これにより、コンデンサC1、C2が直列に接続される。また、電力供給対象電圧検出部13による出力信号φ3はHighレベルとなり、直列復帰制御部14によるNchトランジスタTr15はオン状態となる。
コンデンサC1、C2が直列状態で、発電素子2から入力される入力電圧Vinが、10V(第1電圧値の一例)に達すると、時刻T2において、直並切替スイッチ制御部5Bcが動作し、制御信号φ1がLowレベル、制御信号φ2がHighレベルに切り替わる。
これに応答して、直並切替部6が作動し、スイッチSw2がオフ状態で、スイッチSw1、Sw3がオン状態となり、コンデンサC1、C2が並列に接続される。コンデンサC1、C2が直列接続から並列接続に切り替わると、(Vin=VC1+VC2)の状態から(Vin=VC1)の状態へ電圧が変化するため、蓄電電圧(入力電圧Vin)は半分に減る(10V⇒5V)。同時に、コンデンサC1、C2に蓄電された電力が電力供給対象3に給電され、電力供給対象3の電圧が上昇する。
その後、時刻T2において、電力供給対象3への電力供給が始まる。そして、時刻T3において、入力電圧Vinが3.5V(第2電圧値の一例)以下になると、出力信号φ3はHighレベルとなる。直列復帰制御部14cのPchトランジス15はオフ状態のままであり、制御信号φ1がHighレベル、制御信号φ2がLowレベルとなる。スイッチSw1、Sw3がオフ状態、スイッチSw2がオン状態となることで、コンデンサC1、C2が直列接続となり、コンデンサC1、C2は発電素子2が発電した電力を蓄電する。
なお、時刻T2〜T3の間は、発電素子2からの電力の入力は無いものとする。
コンデンサC1、C2が直列状態で、発電素子2からの電力である入力電圧Vinが10Vに達すると、時刻T4において、直並切替スイッチ制御部5Bcが動作し、制御信号φ1がLowレベル、制御信号φ2がHighレベルに切り替わる。これに応答して、直並切替部6が作動し、スイッチSw2がオフ状態、スイッチSw1、Sw3がオン状態となり、コンデンサC1、C2が並列に接続される。
コンデンサC1、C2が直列接続から並列接続に切り替わると、(Vin=VC1+VC2)の状態から(Vin=VC1)の状態へ電圧が変化するため、蓄電電圧(入力電圧Vin)は半分に減る(10V⇒5V)。同時に、コンデンサC1、C2に蓄電された電力が電力供給対象3に給電され、電力供給対象3の電圧が上昇する。
時刻T9において供給電圧Vsupの電圧が2.8V(変更電圧値の一例)に達すると、電力供給対象電圧検出部13の出力信号φ3がLowレベルとなる。また、直列復帰制御部14のPchトランジスタTr5がオン状態となる。NchトランジスタTr2に入力される電圧は入力電圧Vinに対してR3とR4+R5の分圧比となり、並直切替電圧値は低下して、3.5V(第2電圧値の一例)から3.0V(第4電圧値の一例)に変更される。また、入力電圧Vinに対してR3とR4+R5の分圧比が保持されたままであるため、直並切替電圧値は、第1電圧値から10V(第1電圧値の一例)より低い8V(第5電圧値の一例)に切替わる。
その後、時刻T11において供給電圧Vsupが変更電圧値以上であるため、入力電圧Vinが3.0V以下になると、出力信号φ3はLowレベルとなり、直列復帰制御部14のPchトランジス15はオン状態のままである。制御信号φ1がHighレベル、制御信号φ2がLowレベルとなり、スイッチSw1、Sw3がオフ状態、スイッチSw2がオン状態となることで、コンデンサC1、C2が直列接続となり、コンデンサC1、C2は、発電素子2が発電した電力を蓄電する。
コンデンサC1、C2が直列状態で、入力電圧Vinが8Vに達すると、時刻T12において、直並切替スイッチ制御部50Bcが動作し、制御信号φ1がLowレベル、制御信号φ2がHighレベルに切り替わる。これに応答して、直並切替部6が作動し、スイッチSw2がオフ状態で、スイッチSw1、Sw3がオン状態となって、コンデンサC1、C2が並列に接続される。
コンデンサC1、C2が並列接続に切り替わると、(Vin=VC1+VC2)の状態から(Vin=VC1=VC2)の状態へ電圧が変化するため、蓄電電圧(入力電圧Vin)は半分に減る(8V⇒4V)。同時に、コンデンサC1、C2に蓄電された電力が電力供給対象3に給電され、電力供給対象3aにおける負荷駆動蓄電装置10の電圧が上昇する。
この時、直並切替電圧値が第5電圧値となっているため、並列接続時の電圧(Vin=VC1=VC2)が低くなっており、負荷駆動蓄電装置10への供給電力が減少している。
時刻T9から時刻T15において、供給電圧Vsupが変更電圧値以下になるまでは、入力電圧Vinが第4電圧値になった時に、コンデンサC1、C2の接続が並列から直列に切り替わり、第5電圧値以上になると直並切替電圧値が継続する。
時刻T15において、供給電圧Vsupが変更電圧値以下になると、時刻T16において、第2電圧値でコンデンサC1、C2の接続が並列から直列に切り替わる。
続いて、時刻T17において、第4電圧値でコンデンサC1、C2の接続が直列から並列へ切り替わる。
このようにして、蓄電装置201cは、負荷駆動蓄電装置10を有する電力供給対象3aを接続する場合に、電力供給対象電圧検出部13cによる検出値に応じて、供給電圧Vsupを制御できる。
また、上述した例では、電力供給対象3aに負荷駆動蓄電装置10を含む蓄電システム200aに蓄電装置201cを適用した場合の動作を示したが、電力供給対象3aに負荷駆動蓄電装置10を含まない場合でも同様に動作可能である。つまり、蓄電装置201cが並列接続時に発電素子2から電力供給され続けることで蓄電部7の蓄電電圧が上昇し、蓄電装置201cからの供給電圧Vsupが2.8V以上になった場合に、供給電圧Vsupを制御できる。
また、蓄電装置201cにおいても、供給電圧Vsupを検出する際に、電力供給対象3aで発生するノイズ、及び/又は発電素子2で発生するノイズ等の影響で、蓄電装置201dの動作が不安定になることを防止するための安定化回路を設けることができる。
図26は、安定化回路を設けた蓄電装置201dの回路構成の一例を示している。図26に示すように、蓄電装置201dは、電力供給対象電圧検出部13dを備えている。
電力供給対象電圧検出部13dは、供給電圧Vsupを検出する際に、電力供給対象3aで発生するノイズ、及び/又は発電素子2で発生するノイズ等の影響で、蓄電装置201dの動作が不安定になることを防止するための安定化回路を備えている。電力供給対象電圧検出部13dを設けることで、蓄電装置201dの動作を安定化させることができる。他の構成及び動作は、蓄電装置201と同様であるため、重複する説明を省略する。
(第4変形例)
上述した例では、2つのコンデンサC1、C2を備える蓄電装置を示したが、コンデンサの数はこれに限定されるものではなく、さらに増やしてもよい。図27は、コンデンサの数を増やした場合の蓄電装置201eの回路構成の一例を示す図であり、4つのコンデンサを備える蓄電部70と、4つのコンデンサの接続を切り替える4直並切替IC90Aの内部ブロックを示している。
直並切替スイッチ部60は、図20の直並切替部6に対応しており、スイッチ群61、62、63で構成されている。スイッチ群61、63のそれぞれは、コンデンサC1、C2、C3、C4を並列接続にする時にオン状態となり、直列接続にする時にオフ状態となる。また、スイッチ群62は、コンデンサC1、C2、C3、C4を直列接続にするときにオン状態となり、並列接続にするときにオフ状態となる。スイッチ80は、図20の出力スイッチ部8に対応する。
直並切替制御部5Dは、図20の2つのコンデンサ切り替え用の直並切替制御部5Bに対応する。図18に示したようにカスコード接続してコンデンサを多段直列接続する場合には、マスター側とスレーブ側の切替えをするためのマスター/スレーブ切替回路55が搭載される。
マスター/スレーブ切替回路55を設けることで、スレーブICとして複数のICをカスコード接続できるよう構成し、それぞれの出力電圧Vout出力を4直並列切替えマスターICに接続でき多段接続が可能である。
このように、多段接続する場合、カスコード接続をマスタースレーブ方式で多段接続制御する。これにより、より多段のコンデンサを接続することができ、更なる高効率化が可能になる。
[第2実施形態]
次に、第2実施形態に係る蓄電システム200fについて説明する。
<蓄電システム200fの構成例>
蓄電システム200fの構成について、図28を参照して説明する。図28は、蓄電システム200fの構成の一例を示すブロック図である。図28に示すように、蓄電システム200fは電力供給対象3fを備えている。また、電力供給対象3fは第2蓄電部10fを備えている。
蓄電システム200fでは、発電素子2により発電された電力を整流回路4により整流した後、蓄電部7において直列接続されたコンデンサC1、C2に蓄電する。その後、蓄電電圧が第1電圧値に達するとコンデンサC1、C2は並列接続に切り替わり、コンデンサC1、C2は並列接続の状態で、第2蓄電部10f及び電力供給対象回路3'の両方に並行して給電する。
第2蓄電部10fは、電気二重層キャパシタ、リチウムイオンキャパシタ、リチウムイオン電池、又は鉛蓄電池等の各種蓄電デバイスを備え、蓄電及び給電が可能な装置である。第2蓄電部10fは、電力供給対象回路3'に駆動電力を給電する。
第2蓄電部10fによる給電の制御方法は特に限定されないが、例えば、外部装置からの制御信号に基づき制御されてもよいし、第2蓄電部10fにタイマーを備えさせ、タイマーによる計測時間に基づき、所定の時間周期で給電されるように制御されてもよい。
直列接続されたコンデンサC1、C2の蓄電電圧が第1電圧値に達すると、直並切替部6が作動してコンデンサC1、C2が並列に接続される。そして、Vin=VC1=VC2=Vaccになるように、コンデンサC1、C2に蓄電された電力は、第2蓄電部10fに給電されて蓄電されるとともに、電力供給対象回路3'に給電される。ここで、Vaccは第2蓄電部10fの蓄電電圧である。
但し、電力供給対象回路3'の起動電圧を設定した場合は、蓄電電圧Vaccが電力供給対象回路3'の起動電圧より低い場合は、第2蓄電部10fのみに給電される。そして、蓄電電圧Vaccが電力供給対象回路3'の起動電圧以上になった場合に、第2蓄電部10fと電力供給対象回路3'の両方に給電される。
その後、蓄電部7の蓄電電圧が第2電圧値以下になると、直並切替制御部5は直並切替部6を作動させ、コンデンサC1、C2を直列接続に切り替える。コンデンサC1、C2は、直列接続された状態で、発電素子2による電力を蓄電する。
また、電力供給対象電圧検出部13は、蓄電部7から供給する電力供給対象3の電圧を検出し、検出結果を直列復帰制御部14に出力する。直列復帰制御部14は、電力供給対象電圧検出部13による検出値が変更電圧値以上になった場合に、直並切替制御部5により、並直切替電圧値を第2電圧値から第4電圧値に変更する。その後、並列接続状態のコンデンサC1、C2の電圧が第4電圧値以下になると、直並切替制御部5は直並切替部6を作動させ、コンデンサC1、C2の接続を並列から直列に切り替える。コンデンサC1、C2は、直列接続の状態で、発電素子2による発電電力を蓄電する。
また、蓄電システム200fが蓄電中で、蓄電システム200fから電力供給対象回路3'に給電できない時にも、第2蓄電部10fに蓄電した電力を電力供給対象回路3'に給電できるため、電力供給対象回路3'を継続して駆動させることができる。
<蓄電システム100Cの作用効果>
以上説明してきたように、本実施形態では、第2蓄電部10fと電力供給対象回路3'とを接続する場合にも、電力供給対象3fへの供給電圧を検出することで、第2蓄電部10f及び電力供給対象回路3'の動作電圧範囲、及び/又は安全や劣化に伴う保証電圧範囲の範囲内で、蓄電システム200fを動作させることができる。
また、複数のコンデンサが直列接続された状態で、電力供給対象3fに給電可能にし、給電効率を向上させることができる。
また、本実施形態では、蓄電装置201が2つのコンデンサC1、C2を備える例を示したが、コンデンサの数はこれに限定されるものではなく、さらに増やしてもよい。コンデンサの数を増やすことで、電力供給対象3は発電素子2により発電されるタイミングによらず、継続的に動作することも可能になる。
[第3実施形態]
次に、第3実施形態に係る蓄電システム200gについて、図29を参照して説明する。
図29は、蓄電システム200gの構成の一例を示すブロック図である。図29に示すように、蓄電システム200gは、電力供給対象3gと、ノーマリーオフ回路36とを備えている。また、電力供給対象3gは、メモリ33と、MPU(Micro Processing Unit)34と、無線装置35とを備えている。電力供給対象3gとしてIoTデバイス等が挙げられる。
メモリ33は、各種プログラムやデータ、IoTデバイスで取得される計測データ、画像等の種々の情報を記憶する。メモリ33は、揮発性又は不揮発性の半導体メモリ等の記憶装置で構成される。なお、メモリ33が、ROM(Read Only Memory)、及び/又はRAM(Random Access Memory)を含んでもよい。
MPU34はプロセッサ等で構成され、電力供給対象3gの各部の動作及び全体動作を制御する。
無線装置35は、他の装置又はデバイスと接続され、情報を送受信するためのインタフェースとして機能する。無線装置35は、USBコネクタ等を含んでもよい。
ノーマリーオフ回路36は、通常時は、蓄電装置1g及び負荷駆動蓄電装置10から電力供給対象3gへの給電を遮断し、動作すべきタイミングで給電を開始させる電気回路である。ノーマリーオフ回路36は、MOSFET等を含んで構成される。
蓄電システム200gの構成により、通常時は給電を遮断し、動作すべきタイミングのみ給電を行うことで、消費電力を削減できる。通常時は給電を遮断し、予め定められた周期や条件下のみに、データ取得やデータの送受信を行うことが多いIoTデバイス等において、特に好適である。
以上、本発明の好ましい実施形態について詳述したが、本発明は係る特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の実施形態の要旨の範囲内において、種々の変形、変更が可能である。
上述した例では、全ての構成要素を電気回路等のハードウェアで構成するものを示したが、一部の機能をソフトウェアで実現する構成としてもよい。
また実施形態では、第1電圧値を10V、第2電圧値を3.5V、変更電圧値を2.8V、第4電圧値を3.0V、第5電圧値を8Vとする例を示したが、これに限定されるものではなく、任意に変更可能である。
例えば、リチウム二次電池のように充電電圧を監視して過充電過放電保護する場合や充電電圧によりSOC(充電率)を管理することにより劣化抑制を行う場合がある。この場合に、発電素子2による発生電力量と電力供給対象3で消費する電力量から第1電圧値から第5電圧値を試算して予め設定しておき、供給電圧Vsupを検出してSOCを管理することもできる。
また、実施形態は、制御装置も含む。例えば、制御装置は、電力を蓄電する複数の蓄電デバイスを有する蓄電部と、前記複数の蓄電デバイスの接続を直列又は並列の何れか一方に切り替える直並切替部と、前記直並切替部による切替を制御する直並切替制御部と、を有する蓄電装置を制御する制御装置であって、前記複数の蓄電デバイスが並列に接続されている時に、前記蓄電部から電力供給対象に供給される供給電圧に基づいて、前記複数の蓄電デバイスの接続を並列から直列へと切り替える直列復帰制御部と、を備える。このような制御装置により、上述した蓄電装置と同様の効果を得ることができる。