次に、本発明に係る好適実施形態を挙げ、図面に基づき詳細に説明する。
最初に、本実施形態に係る撮像光学系Cの基本構成について、図1を参照して説明する。なお、図1は後述する実施例1に係る撮像光学系Cの構成を兼ねている。
本実施形態に係る撮像光学系Cは、デジタルカメラ用交換レンズに適用することを想定できる。図1中、OBJは物体(被写体)を示し、IMGは像(撮像素子)を示している。この場合、物体OBJ側が光軸Dc方向の前方となり、像IMG側が光軸Dc方向の後方となる。
撮像光学系Cは、開口絞りSTOに対して、物体OBJ側に前レンズ群101を配し、かつ像IMG側に後レンズ群102を配するとともに、Fナンバーを2.2以下に設定したレンズ全系100を備える。そして、前レンズ群101と後レンズ群102のレンズ枚数は、それぞれ5枚以下に設定するとともに、それぞれのレンズ枚数の差を1枚以内に設定する。本実施形態に係る撮像光学系Cでは、後述するよう、開口絞りSTOに対して、物体OBJ側と像IMG側へそれぞれ順次配した、一番目のレンズ同士(LfbとLrb)…,二番目のレンズ同士(LfaとLra)…及び三番目のレンズ同士(LFとLE)…における屈折力を同符号(正又は負)に設定する構成を前提とするため、レンズ全系100を構成するレンズ枚数の最大は10枚になり、最少は6枚になる。
具体的には、前レンズ群101が5枚で後レンズ群102が5枚となる全10枚の態様、前レンズ群101が5枚で後レンズ群102が4枚となる全9枚の態様、前レンズ群101が4枚で後レンズ群102が5枚となる全9枚の態様、前レンズ群101が4枚で後レンズ群102が4枚の全8枚の態様、前レンズ群101が3枚で後レンズ群102が4枚の全7枚の態様、前レンズ群101が4枚で後レンズ群102が3枚の全7枚の態様、図1に示す前レンズ群101が3枚で後レンズ群102のレンズ枚数は3枚の全6枚の態様,の七通りの態様が含まれ、それぞれのレンズ枚数の差は1枚以下となる。
また、最終レンズLEから物体OBJ側へ順に、両面が光軸Dcの同一方向に湾曲した非球面レンズによる最終レンズLE,所定の空気空間S,両凹レンズLra,両凸レンズLrbを配したレンズ群を有する後レンズ群102を含めて構成するとともに、開口絞りSTOに対して、物体OBJ側と像IMG側へそれぞれ順次配した、一番目のレンズLfbとLrb同士,二番目のレンズLfaとLra同士及び三番目のレンズ、即ち、最前レンズLFと最終レンズLE同士における屈折力を同符号に設定する。例示の場合、一番目のレンズLfbとLrb同士は正パワー,二番目のレンズLfaとLra同士は負パワー,三番目に位置する最前レンズLFと最終レンズLE同士は負パワーの屈折力にそれぞれ設定される。さらに、開口絞りSTOから像IMG側へ配した三番目までのレンズLrb,Lra,LEに両凹レンズLraが含まれるとともに、開口絞りSTOに対向する前レンズ群101側の2番目までの空気接触レンズ面(i=5,3)と後レンズ群102側の2番目までの空気接触レンズ面(i=7,9)の湾曲方向を反対方向に設定する。
この場合、最終レンズLEは、光軸Dc上の光線と光軸Dc外の光線が分離して通過するため、非球面レンズを用いる。これにより、収差補正を有利にできるとともに、最終レンズLEの開口絞りSTO側には空気空間Sを設けることにより、光軸Dc上の光線と光軸Dc外の光線の分離度を高めている。なお、最終レンズLEに用いる非球面レンズは、両面に非球面形状を設けることが収差の補正効果を高める上で望ましいが、非球面形状は片面のみであってもよい。
なお、図1に示すレンズ全系100の場合は、順次配した2枚の正レンズLm,Lmの両側に負レンズLs,Lsをそれぞれ配した部分対称レンズ群Gcが構成されるが、本実施形態に係る撮像光学系Cは、順次配した2枚以上の正レンズLm,Lm…の両側に負レンズLs,Lsをそれぞれ配して構成した一つ又は二つ以上の部分対称レンズ群Gc…を含めることができる。これにより、前レンズ群101と後レンズ群102のそれぞれに異なる部分対称レンズ群Gc…を配することが可能になるため、特に、後レンズ群102において、前レンズ群101の残存収差を補正することができ、レンズ全系100内における相互間の収差を良好にバランスさせることができる。
即ち、レンズ全系100に、一つ又は二つ以上の部分対称レンズ群Gc…を含めれば、部分的に対称性を有するレンズ群を構築できるため、レンズ群内における収差の発生と補正をバランスさせた光束を容易に得ることができる。撮像光学系の場合、物体OBJ側の空間距離と像IMG側の空間距離が対称にならないため、レンズ構成を完全対称にした場合には良好な収差補正を行うことができない。したがって、前レンズ群101では大きな物体OBJからの光線を収束させる収斂作用を高めている。また、部分対称レンズ群Gc…内においては、正レンズLm…を連続使用して屈折力の差を少なくしている。これにより、光線が入出射するレンズ面に対する光線角度を緩やかにできるため、収差の発生及び誤差感度を有効に抑えることができる。特に、異常部分分散性を有する低屈折率レンズ等は、曲率が小さい場合、所定の屈折力が得られないため、正レンズLm…の連続使用は有効である。即ち、前レンズ群101の正レンズLm…に、高屈折率レンズを追加して屈折力を負担させることができるため、色収差の補正に効果的な異常部分分散性の低屈折率レンズを有効に利用できる(なお、図1の撮像光学系Cには使用していない)。
一方、前レンズ群101のコンパクト化を図るには、正レンズLm…の両面が物体OBJ側に湾曲(膨出)するメニスカスレンズを用いることにより全長を短縮できる。これにより、屈折力を均等に近付け、光線の入出射角度を緩めることが可能になるため、収差の発生及び誤差感度を抑えることができる。また、部分対称レンズ群Gcを後レンズ群102に使用し、特に、後述する二つの対称性を有する接合レンズにより構成すれば、アッベ数に差をつけることにより、光軸Dc外の色収差補正を有効に行うことができるとともに、屈折率に差をつけることにより、球面収差補正を有効に行うことができるため、前レンズ群101からの残存収差をバランス良く補正することができる。
さらに、部分対称レンズ群Gc…には、順次配した2枚の両凸レンズLfb,Lrbの両側にそれぞれ両凹レンズLfa,Lraを配した計4枚のレンズにより構成する少なくとも一つの部分対称レンズ群Gcを含ませることができる。これにより、特に、レンズ全系100における対称性の高いレンズ群を構築できるため、部分対称レンズ群Gcの内部又は部分対称レンズ群Gc…同士の収差打消し効果をより高めることができる。
なお、図1に示す撮像光学系Cの場合、開口紋りSTOは、一つの部分対称レンズ群Gcを構成する2枚の両凸レンズLfbとLrb間に配した場合を示す。この開口紋りSTOは後述する他の実施例で示すように、一つの部分対称レンズ群Gcに対して、物体OBJ側に配してもよい。したがって、本実施形態に係る撮像光学系Cの場合、開口紋りSTOは、一つの部分対称レンズ群Gcを構成する2枚の両凸レンズ間に配してもよいし、一つの部分対称レンズ群Gcに対して、物体OBJ側に配してもよいなど、レンズ全系100全体の設計自由度を高めることができる。
また、図1示す撮像光学系Cは、部分対称レンズ群Gcに、両凹レンズLfaを用いた負レンズLsと両凸レンズLfbを用いた正レンズLmを接合した接合レンズJbと、両凹レンズLraを用いた負レンズLsと両凸レンズLrbを用いた正レンズLmを接合した接合レンズJaの二つの接合レンズJa,Jbを使用し、二つの接合レンズJa,Jbの正レンズLm,Lm同士を対向させている。この場合、接合レンズとして構成するか否かは任意であり、本発明の必須の構成要素となるものではない。しかし、このような接合レンズJa…を用いて構成すれば、アッベ数に差を設けることにより軸外色収差の補正を容易かつ有効に行うことができるとともに、屈折率に差を設けることにより球面収差の補正をより強化することができる。加えて、接合レンズJaとJb間を調整空間として収差変動を少なくすることができるとともに、後レンズ群102の開口絞りSTOに近いレンズ面を当該開口絞りSTOに対向させることができるため、対称配置タイプを用いたレンズ構成の有効性をより高めることができる。
ところで、通常、レンズを配置する場合、正レンズと負レンズを順次配置した方が収差を補正する上で有利になるが、正レンズ又は負レンズの一方の屈折力を大きくする場合、他方のレンズも大きしてバランスさせる必要がある。しかし、この場合、曲率も大きくなるため、容易に加工できないとともに、レンズ面に入出射する光線角度も大きくなるため、誤差変化も大きくなるなどの不都合を生じる。両凸レンズの場合、正パワーの大きい屈折力を得ることができるが、反面、レンズ面のカーブが強い場合、レンズ厚を大きくする必要があるため、エッジ厚を確保できない。特に、接合レンズとして屈折力のバランスを確保する場合や色収差補正に効果のある屈折率の小さい異常部分分散性レンズを使用する場合はその傾向が大きくなる。したがって、この場合には、2枚の連続使用により屈折力を分担させたり、一部に高屈折率レンズを使用して屈折力を負担させるなどにより、色収差補正を有効に行うことができる。
さらに、望遠領域の画角では、前レンズ群101に、物体OBJ側に湾曲(膨出)した正のメニスカスレンズを2枚以上使用するとともに、最も開口絞りSTO側に、像IMG側に湾曲した負のメニスカスレンズを使用することが望ましい、この場合、色収差補正に有利となるように、硝材に異常部分分散性ガラスを使用することができるとともに、コンパクト化を図るため、全ての面形状を物体OBJ側に湾曲(膨出)させることもできる。また、物体OBJ側から一及び二番目の正レンズの後側に広い空気空間Sを空けることにより、レンズ全体の重量バランスが前側(OBJ側)に傾斜する不具合を回避することもできる。
一方、本実施形態に係る撮像光学系Cでは、各種フォーカス方式を利用可能である。図1の形態では、物体OBJの距離が無限遠から近距離に変化するときのフォーカス調整にはフォーカス方式〔F11〕−〔F16〕で示す6種類の方式が可能である。〔F11〕は、「LF」を固定し、「Jb(Lfa,Lfb)」,「Ja(Lra,Lrb)+LE」を、それぞれ一体とした二つの各レンズ群(指定レンズ群)Lp…を、物体OBJ側に異なる量で移動させ、JbとLFの空気間隔,開口絞りSTO含む空気間隔,像IMG側の空気間隔,をそれぞれ変化させる方式、〔F12〕は、「Ja+LE」を固定し、「LF」,「Jb」を、それぞれ一体とした二つの各指定レンズ群Lp…を、物体OBJ側に異なる量で移動させ、LFとJbの空気間隔,開口絞りSTO含む空気間隔,をそれぞれ変化させる方式、〔F13〕は、「LF+Jb」,「Ja」,「LE」を、それぞれ一体とした三つの各指定レンズ群Lp…を、物体OBJ側に異なる量で移動させ、開口絞りSTO含む空気間隔,JaとLEの空気間隔,像IMG側の空気間隔,をそれぞれ変化させる方式、〔F14〕は、「LF」,「Jb」,「Ja+LE」を、それぞれ一体とした三つの各指定レンズ群Lp…を、物体OBJ側に異なる量で移動させ、LFとJbの空気間隔,開口絞りSTO含む空気間隔,像IMG側の空気間隔,をそれぞれ変化させる方式、〔F15〕は、「LF+Jb」,「Ja+LE」を、それぞれ一体とした二つの各指定レンズ群Lp…を、物体OBJ側に異なる量で移動させ、開口絞りSTO含む空気間隔,像IMG側の空気間隔,をそれぞれ変化させる方式、〔F16〕は、レンズ全群「LE+Jb+Ja+LE」を一体として物体OBJ側に移動させ、像IMG側の空気間隔を変化させる方式である。
フォーカス調整時に移動する指定レンズ群Lp…は、最大三つに分けられるため、変化する空気間隔は、最終レンズLEと像IMG間の空気間隔(バックフォーカス)を含めて二つ乃至四つとなる。〔F11〕は、二つの指定レンズ群Lp…を移動させるリアフォーカス方式である。このリアフォーカス方式は、最も物体OBJ側のレンズが像面に対して不動になるため、レンズ全長(先端のレンズ面(i=1)から像IMG面間)は不変になる。〔F12〕は、二つの指定レンズ群Lp…を移動させるフロントフォーカス方式である。このフロントフォーカス方式は、最終レンズLEが像IMG面に対して不動になるため、一つ乃至三つのレンズ群が移動し、像IMG空間を除いたレンズ内における一つ乃至三つの空気間隔が変化する。〔F13〕は、三つの指定レンズ群Lp…を移動させるフォーカス方式であり、〔F14〕は、三つの指定レンズ群Lp…を移動させるフォーカス方式である。一方、インナーフォーカス方式(実施例10)は、リアフォーカス方式に対して、最終レンズLEが像IMG面に対して不動になるため、フォーカス調整時に移動する指定レンズ群Lp…は、最大三つに分けられ、二つ乃至四つの空気間隔が変化し、全長は変化しない。多群フォーカス方式において、レンズ全長が変化する場合、開口絞りSTOの空気間隔又は連続する両凸レンズLfb,Lrb間の空気間隔の一つ以上が含まれるため、二つ乃至三つの指定レンズ群Lp…が移動し、像IMG間の空間間隔を除いたレンズ内における一つ乃至二つの空気間隔が変化する。
また、様々なフォーカス方式において、レンズ全長,像IMG空間,又は指定レンズ群Lp…間,の変化が少ない場合であって、特に、全ての指定レンズ群Lp…の移動距離が小さい場合は、レンズ全系100を物体OBJ側に移動させる全体繰出し方式と同等となる。物体OBJまでの距離が無限遠から近距離に変化した場合、像IMG位置が変化し、全体繰出し方式では、像IMG位置の変化量として、レンズ全系100全体を物体OBJ側に移動させてフォーカス調整を行うため、開口絞りSTOに対して対称配置又は部分対称レンズ群Gc…を用いれば、物体OBJまでの距離の変化による収差変動が少なくなり、広角域付近が対象となる撮影レンズでは全体繰出し方式を適用できる場合もある。前玉が重くなる広角域や望遠域に近い撮影レンズ、特に、大口径レンズでは、レンズ全長が変化しないフォーカス方式が望ましい。この場合、焦点調整時の重量バランスが良好となり、指定レンズ群Lp…を移動させるパワーが少なくなるとともに、付加する支持機構も簡略化できる。本実施形態で示すフォーカス調整の間隔は収差補正を伴っているが、特定の調整間隔が変化しないようにしたり、全体繰出し方式にして、例えば、球面収差を残したソフトな像にすることもできる。
近距離に対して光学系全体を移動させ、像IMG面において像面湾曲がマイナスに変化する状態を考えた場合、焦点面は、像IMG面における画面中心から周辺にかけてレンズ側にカーブするため、画面中心に焦点を合わせた場合、周辺に行くに従ってボケる傾向がある。この現象を、物体OBJ側に置き換えた場合、画面中心の被写体に焦点を合わせることにより、周辺に行くに従って近方に焦点が合うカーブとなり、これより遠方は、よりボケた画像や映像となる。したがって、開口紋りSTOを絞ることにより収差を少なくするとともに、被写体深度を広くして平面被写体を平面像面にする方法が一般的である。即ち、収差を少なくするようにレンズ群を移動させるフォーカス調整方式は、近距離平面(光軸に垂直な平面)の被写体をボケさせないように平面像面にする撮影方式となる。
一方、撮影技法として、画面の一部の被写体に焦点を合わせることにより、その前後の空間を、よりボカして撮影効果を得る“画づくり”のために、近距離において光学系全体を移動させる方式やレンズ群を移動させて収差を発生させる方式もある。本実施形態のように近距離の被写体において良好な撮像性能を得ることができる調整間隔がわかっている場合は、像面湾曲の度合をコントロールすることにも利用できる。
このように、フォーカス調整に関しては、前レンズ群101及び後レンズ群102におけるフォーカス調整時に変化する空気間隔の前後の指定レンズ群Lp…として、最大三つの指定レンズ群Lp…を移動可能に構成することができる。このように構成すれば、特に、対称配置タイプのレンズ構成における、前レンズ群101と後レンズ群102により収差を打ち消すメリットを利用できるため、このメリットを利用した柔軟なフォーカス調整機構を構築することができる。また、この際、フォーカス調整時に変化する空気間隔は、開口絞りSTOを含む空気間隔,順次配した2枚以上の正レンズLm…の両側に負レンズLs,Lsをそれぞれ配して構成した部分対称レンズ群Gcにおける2枚の正レンズLm,Lm間の空気間隔の少なくとも一つを含ませることができる。これにより、部分対称レンズ群Gc…を含む各種形態の撮像光学系Cに対する最適なフォーカス調整機構を構築することができる。さらに、前レンズ群101の焦点距離FFLと後レンズ群102の焦点距離RFLが共に正パワーのときのフォーカス調整時には、レンズ全系を物体OBJ側に移動させて像IMG側の空気間隔を変化させるように構成できる。これにより、フォーカス調整機構の全体構造の単純化を図りつつ、物体OBJとの距離変化による収差変動を少なくすることができる。
撮像光学系の場合、物体OBJ(被写体)との距離を変化させて撮影を行うため、光学系の対称性を少し変形(空気間隔を変化)させながら撮像性能を確保する。したがって、本実施形態に係る撮像光学系Cでは、物体OBJとの距離の変化による収差変動を少なくするため、開口絞りSTO前後の空気間隔を変化、即ち、前レンズ群101と後レンズ群102の一方又は双方を移動させ、前レンズ群101の結像位置の無限遠からの移動量を少なくして像性能を確保している。本実施形態に係る撮像光学系Cでは、対称点位置の前後において収差を打ち消す効果があることを利用して、開口絞りSTOの空間や2枚の両凸レンズの空間により区切られたレンズ群を主に移動させている。
さらに、本実施形態に係る撮像光学系Cでは、所定の光学条件を満たすように設定する。第一の光学条件は、開口絞りSTOとこの開口絞りSTOから物体OBJ側に三番目のレンズLFにおける物体OBJ側の面間の距離をDF3,開口絞りSTOとこの開口絞りSTOから像IMG側に三番目のレンズLEにおける像IMG側の面間の距離をDR3,物体OBJまでの距離を無限遠としたとき、
0.55<DF3/DR3<1.35 … (光学条件1)
を満たすことを条件に設定する。
この条件を満たすように設定すれば、開口絞りSTOに対して、前レンズ群101側のレンズ(LF)…と後レンズ群102側のレンズ(LE)…間の対称性を一定の水準内に確保できるため、収差発生をより抑制することができる。この場合、DF3/DR3は、開口絞りSTOから物体OBJ側と像IMG側に、1番目から3番目同士の二つのレンズの屈折力の符号が同じ場合における開口絞りSTOからの距離の対称性を示している。したがって、開口絞りSTOまでの距離が同じであれば、DF3/DR3の値は「1」になる。「1」以下は、後レンズ群102側における3番目のレンズの像IMG側の面までの距離が長いことを示すとともに、「1」以上は、前レンズ群101側における3番目のレンズの物体OBJ側の面までの距離が長いことを示している。
また、開口絞りSTOに対して、物体OBJ側と像IMG側にそれぞれ一つ又は二つ以上の部分対称レンズ群Gc…を有する構成,又はレンズ全系100に、一つの部分対称レンズ群Gcを有し、かつ当該部分対称レンズ群Gcの内部に開口絞りSTOを有する構成であって、開口絞りSTOとこの開口絞りSTOから最も物体OBJ側のレンズ(LF)…における物体OBJ側の面間の距離をDF4,開口絞りSTOとこの開口絞りSTOから最も像IMG側のレンズ(LE)…における像IMG側の面間の距離をDR4としたとき、或いは、レンズ全系100に、一つの部分対称レンズ群Gcを有する構成であって、前レンズ群101における最も開口絞りSTOに近い正レンズLmの物体OBJ側の面とこの面から最も物体OBJ側のレンズLEにおける物体OBJ側の面間の距離をDF4,後レンズ群102における最も開口絞りSTOに近い正レンズLmの像IMG側の面とこの面から最も像IMG側のレンズLEにおける像IMG側の面間の距離をDR4,物体OBJまでの距離を無限遠としたとき、
0.45<DF4/DR4<1.55 … (光学条件2)
を満たすことを条件に設定する。
この条件を満たすように設定すれば、部分対称レンズ群Gc…に係わる対称性を一定の水準内に確保できるため、収差発生をより抑制することができる。この場合、DF4/DR4は、部分対称レンズ群Gc…における対称点位置からの対称性を示しており、対称点位置から部分対称レンズ群Gc…までの距離が同じであれば、DF4/DR4の値は「1」になる。「1」以下は、部分対称レンズ群Gcにおける像IMG側の面までの距離が長いことを示すとともに、「1」以上は、部分対称レンズ群Gcにおける物体OBJ側の面までの距離が長いことを示している。
撮像光学系の場合、物体OBJ側の空間距離と像IMG側の空間距離が対称にならないため、レンズ構成を完全対称にした場合には良好な収差補正を行うことができない。したがって、対称点位置(レンズ全系100では開口紋りSTO)の前後において、レンズパワーや空気間隔を変えることにより対称性を崩している。この結果、上述した光学条件1及び2を満たさない場合、対称点位置の前後において部分的な収差の発生や補正のバランスが損なわれ、レンズ全系100で収差が残存してしまう。通常、撮影レンズの場合、物体OBJ側の空間距離やその変化が大きいため、レンズ移動により対応させている。開口紋りSTO前後の空気間隔を変化させた場合、開口絞りSTOを対称点位置として各光学条件1,2の数値は変化する。特に、全長不動の開口絞りSTOの後におけるレンズ群Lpを物体OBJ側へ移動させた場合、無限物体時に、開口絞りSTOと移動するレンズ群Lpの距離を移動量だけ長くする必要があるため、前述した各光学条件1,2の数値は小さくなる。
このように、本実施形態に係る撮像光学系Cは、基本構成として、 前レンズ群101と後レンズ群102のレンズ枚数をそれぞれ5枚以下に設定し、かつそれぞれのレンズ枚数の差を1枚以内に設定し、最終レンズLEから物体OBJ側へ順に、両面が光軸Dcの同一方向に湾曲した非球面レンズによる最終レンズLE,所定の空気空間S,両凹レンズLs,両凸レンズLmを配したレンズ群を有する後レンズ群102を含むとともに、開口絞りSTOに対して、物体OBJ側と像IMG側へそれぞれ順次配した、一番目のレンズ同士,二番目のレンズ同士及び三番目のレンズ同士における屈折力を同符号(正又は負)に設定し、かつ像IMG側へ配した三番目までのレンズに両凹レンズを含むとともに、開口絞りSTOに対向する前レンズ群101側の2番目までの空気接触レンズ面と後レンズ群102側の2番目までの空気接触レンズ面の湾曲方向を反対方向に設定してなるため、軸上光線と軸外光線の分離度が増加し、残存収差に対する補正効果を高めることができる。この結果、撮影距離域全体における各種収差の変動を少なくしてその安定性を高めることができるとともに、広角域から中望遠域の撮影レンズにおいて、十分な光学性能をカバーする明るい交換レンズを得ることができる。これにより、大型高精細撮像素子に対応し、かつ小型コンパクト化を図るデジタルカメラ等に最適な交換レンズを提供することができる。
次に、本実施形態における各種実施例(実施例1−14)について、図1−図32を参照して説明する。
まず、実施例1に係る撮像光学系Cについて、図1,表1及び図2−図4を参照して説明する。
図1は、実施例1に係る撮像光学系Cの構成を示す。実施例1に係る撮像光学系Cの構成は、上述した実施形態において説明したとおりとなるため、以下には、実施例となる具体的な構成について追加説明する。
実施例1は、基本構成として、前レンズ群101と後レンズ群102のレンズ枚数をそれぞれ3枚同士に設定し、最終レンズLEから物体OBJ側へ順に、両面が光軸Dcの同一方向に湾曲した非球面レンズによる最終レンズLE,所定の空気空間S,両凹レンズLra,両凸レンズLrbを配したレンズ群を有する後レンズ群102を備えるとともに、開口絞りSTOに対して、物体OBJ側と像IMG側へそれぞれ順次配した、一番目の両凸レンズLfbとLrb同士,二番目の両凹レンズLfaとLra同士及び三番目の最前レンズLFと最終レンズLE同士における屈折力を同符号、即ち、正パワー同士,負パワー同士及び負パワー同士に設定し、かつ像IMG側へ配した三番目までのレンズLrb,Lra,LEに両凹レンズLraを含め、さらに、開口絞りSTOに対向する前レンズ群101側の2番目までの空気接触レンズ面(i=5,3)と後レンズ群102側の2番目までの空気接触レンズ面(i=7,9)の湾曲(膨出)方向を反対方向に設定したものである。
したがって、実施例1は、全体を6枚のレンズによりレンズ全系100を構成し、開口絞りSTOから物体OBJ側と像IMG側へそれぞれ順次配したレンズの同一順位の面の湾曲方向を開口絞りSTOに対して相互に反対になるように設定した構成を備える。実施例1の構成は、構築し得る最少のレンズ枚数により構成できるため、撮像光学系C全体の小型化及び低コスト化に寄与できる。
また、実施例1は、前レンズ群101に、両面が光軸Dcの同一方向(物体OBJ方向)に湾曲した1枚の非球面レンズによる最前レンズLFを設ける。このように、前レンズ群101に、少なくとも1枚の非球面レンズを設ければ、前レンズ群101に、物体OBJ側に強い負の両凹レンズや非球面レンズを含めた構成にできるため、準広角領域から標準領域の画角において、広い入射角の収差補正効果を高めることができる。
さらに、前レンズ群101及び後レンズ群102のそれぞれに1枚の非球面レンズ、即ち、非球面レンズによる最前レンズLFに加え、後レンズ群102に非球面レンズによる最終レンズLEを設ける。この場合、最前レンズLF(非球面レンズ)と最終レンズLE(非球面レンズ)は同一形状に形成し、かつ光軸Dc方向において反対向き(対称)に配する。このように、前レンズ群101及び後レンズ群102のそれぞれに1枚の非球面レンズを含めるとともに、各非球面レンズを同一形状に形成し、かつ光軸Dc方向において対称に配するようにすれば、同一レンズを用意すれば足りるため、加工を要するレンズの種類を低減でき、特に、成形製造する非球面レンズのコストダウンに寄与できる。しかも、各レンズを対称配置すれば、緒収差を抑えることができるとともに、対称なレンズ配置内において物体距離による空気間隔を変化させることにより、収差変動を低減することができる。実施例1は、各レンズのパワーが順番に(−)(−)(+)(+)(−)(−)の対称配置となる。
この場合、最終レンズLEに用いる非球面レンズは、両面が光軸Dcの像IMG方向に湾曲する。これにより、各画角における主光線がレンズ面の法線に近い角度で入出射するため、軸外収差の発生を少なくすることができる。また、この非球面レンズに対して開口絞りSTO側の両凹レンズLraは、軸上光線から軸外光線を分離させるように、上方に徐々に跳ね上がるため、軸上収差から軸外に至る収差を補正するのに有利となる。この場合、最終レンズLEの開口絞りSTO側のレンズ面は物体OBJ側に凹形状となるため、空気空間Sには両凸形状の空気レンズが形成される。一方、フォーカス方式、即ち、物体OBJの距離が無限遠から近距離に変化する場合のフォーカス調整の方式は、図1に示すように、前述した6種類のフォーカス方式〔F11〕−〔F16〕を適用することができる。
表1に、実施例1の撮像光学系Cにおけるレンズ全系のレンズデータを示す。無限物点時〔F1s〕の撮像光学系Cは、焦点距離:40.00mm,Fナンバー:1.97,半画角:28.4゜である。また、前述したDF3/DR3は、0.81となり、光学条件1を満たすとともに、DF4/DR4は、0.81となり、光学条件2を満たす。さらに、前レンズ群101の焦点距離は、55.12mm、後レンズ群102の焦点距離は、255.73mmである。
表1の「面データ」は、物体OBJ側から数えたレンズ面の面番号をiで示し、この面番号iは、図1に示した符号(数字)に一致する。これに対応して、レンズ面の曲率半径R(i)、軸上面間隔D(i)、硝材の屈折率nd(i)、硝材のアッベ数νd(i)をそれぞれ示す。nd(i)及びνd(i)はd線(586.56〔nm〕)に対する数値である。軸上面間隔D(i)は相対向する面と面間のレンズ厚或いは空気空間を示す。なお、実施例1では無使用であるが、dPgF(i)は、異常部分分散性の大きな硝材の場合の異常部分分散値を示す。また、FL(i)は、空気中に置いた単体レンズ(接合レンズは複数として扱う)の焦点距離を示す。曲率半径R(i),面間隔D(i),焦点距離FL(i)の単位は〔mm〕である。面番号のOBJは物体、STOは開口絞り、IMGは像の位置を示す。曲率半径R(i)のInfinityは平面であり、面番号iの後にAが付いた面は面形状が非球面であることを示す。屈折率nd(i)とアッベ数νd(i)の空欄は空気であることを示す。
また、表1の「非球面係数」は、面の中心を原点とし、光軸Dc方向をZとした直交座標系(X,Y,Z)において、ASPを非球面の面番号としたとき、Zは数1により表される。数1において、Rは中心曲率半径、Kは円錐定数、A4,A6,A8,A10は、それぞれ4次,6次,8次,10次の非球面係数、Hは光軸上の原点からの距離である。なお、表2において、「E」は「×10」を意味する。
図2−図4に、実施例1の撮像光学系Cにおけるフォーカス方式〔F11〕−〔F16〕に対応する縦収差図を示す。なお、図2中の〔F1s〕は、無限遠時における縦収差図を示す。各縦収差図は、左側から、球面収差(656.27nm,586.56nm,435.83nm)、非点収差(586.56nm)、歪曲収差(586.56nm)を示す。各スケールは、±0.50mm,±0.50mm,±3.0%である。
実施例1は、ほぼ対称となるレンズ構成に対して、対称中心となる開口絞りSTOの空気空間Sを変化させる空気間隔の一つとするとともに、他の空気間隔を開口絞りSTOに対して対称となる前レンズ群101における最前レンズLFと両凹レンズLfa間の空気間隔、又は後レンズ群102における両凹レンズLraと最終レンズLE間の空気間隔を変化する調整間隔としたことにより、いずれのフォーカス方式〔F1s〕及び〔F11〕−〔F16〕であっても良好な収差、即ち、撮像性能が得られることを確認できる。
次に、実施例2に係る撮像光学系Cについて、図5,表2及び図6−図7を参照して説明する。
図5は、実施例2に係る撮像光学系Cの構成を示す。実施例2の撮像光学系Cは、図5に示すように、対称性を有する二つのレンズ群(部分対称レンズ群)Gc…を開口絞りSTOの前後にそれぞれ配した構成を備える。即ち、実施例2に係る撮像光学系Cは、開口絞りSTOの前後に、4枚のレンズにより構成した前レンズ群101と5枚のレンズにより構成した後レンズ群102を配したものであり、前レンズ群101に、物体OBJ側から、両凹レンズを用いた最前レンズLF,両面が物体OBJ側に湾曲(膨出)した非球面の正メニスカスレンズLfa,両凸レンズLfb,両面が物体OBJ側に湾曲した負メニスカスレンズLfcを配した部分対称レンズ群Gcを備える。したがって、レンズLF(Ls),Lfa(Lm),Lfb(Lm),Lfc(Ls)のパワーは、(−)(+)(+)(−)となる。
また、後レンズ群102には、物体OBJ側から、両凹レンズLrd,両凸レンズLrc,両凸レンズLrb,両凹レンズLraを配した部分対称レンズ群Gcが含まれる。この場合、両凹レンズLrdと両凸レンズLrcは接合レンズJbとして構成するとともに、両凸レンズLrbと両凹レンズLraは接合レンズJaとして構成し、さらに、接合レンズJaに対して像IMG側に最終レンズLEを配した。この最終レンズLEには、物体OBJ側に湾曲した非球面の負メニスカスレンズを用いる。したがって、レンズLrd(Ls),Lrc(Lm),Lrb(Lm),Lra(Ls)のパワーは、(−)(+)(+)(−)となる。なお、実施例1の最終レンズLEは、両面が光軸Dcの像IMG側に湾曲する非球面レンズを用いた場合を示したが、実施例2の最終レンズLEには、両面が光軸Dcの物体OBJ側に湾曲する非球面レンズを用いている。この場合、非球面の位置の法線に対して、軸上光線と軸外光線が均等に近い角度により入出射し、軸上収差から軸外収差を同じように補正可能になる。この結果、後レンズ群102の像IMG側のレンズにより軸外収差を補正可能になるため、正レンズと負レンズの特性の異なるレンズ構成により収差補正を行なうことができる。
一方、フォーカス方式、即ち、物体OBJの距離が無限遠から近距離に変化する場合のフォーカス調整の方式は、図5に示すように、4種類のフォーカス方式〔F21〕−〔F24〕を適用した。〔F21〕は、「前レンズ群101」,「Jb」,「Ja+LE」をそれぞれ一体とした三つの各指定レンズ群Lp…を物体OBJ側に異なる量で移動させ、開口絞りSTO含む空気間隔,接合レンズJaとJb間の空気間隔,像IMG側の空気間隔を変化させる方式、〔F22〕は、「前レンズ群101」,「後レンズ群102」をそれぞれ一体とした二つの各指定レンズ群Lp…を物体OBJ側に異なる量で移動させ、開口絞りSTO含む空気間隔,像IMG側の空気間隔を変化させる方式、〔F23〕は、「前レンズ群101+Jb」,「Ja+JE」をそれぞれ一体とした二つの各指定レンズ群Lp…を物体OBJ側に異なる量で移動させ、接合レンズJaとJb間の空気間隔,像IMG側の空気間隔を変化させる方式、〔F24〕は、レンズ全系100を一体とした指定レンズ群Lpを物体OBJ側に移動させ、像IMG側の空気間隔を変化させる方式である。
表2に、実施例2のレンズ全系のレンズデータを示す。無限物点時F2sの撮像光学系Cは、焦点距離:36.01mm,Fナンバー:1.23,半画角:31.4゜である。また、前述したDF3/DR3は、0.94となり、光学条件1を満たすとともに、DF4/DR4は、1.03となり、光学条件2を満たす。さらに、前レンズ群101の焦点距離は、111.36mm、後レンズ群102の焦点距離は、40.58mmである。
図6及び図7に、実施例2の撮像光学系Cにおけるフォーカス方式〔F21〕−〔F24〕に対応する縦収差図を示す。なお、図6の〔F2s〕は、無限遠時における縦収差図を示す。各縦収差図は、図2の場合と同じであり、左側から、球面収差、非点収差、歪曲収差を示す。図6及び図7に示すように、Fナンバーを1.27に大口径化した実施例2の場合であっても良好な撮像性能を確保することができる。
次に、実施例3に係る撮像光学系Cについて、図8及び表3を参照して説明する。
図8は、実施例3に係る撮像光学系Cの構成を示す。実施例3は、基本的なレンズ構成は実施例2と同じである。ただし、実施例2は、図5に示すように、最前レンズLF(Ls)と二番目のレンズである正メニスカスレンズLfa(Lm)間に所定の間隔を有する空気空間Sを設けているが、実施例3では、図8に示すように、最前レンズLF(Ls)と二番目の正メニスカスレンズLfa(Lm)間の空気空間Sは、最小(接触しない間隔)の状態に設定した点と、実施例2は、準広角であるのに対して、実施例3は、標準域の焦点距離及び撮影画角を有する点が異なる。
表3に、実施例3のレンズ全系のレンズデータを示す。無限物点時F2sの撮像光学系Cは、焦点距離:48.00mm,Fナンバー:1.26,半画角:24.4゜である。また、前述したDF3/DR3は、1.10となり、光学条件1を満たすとともに、DF4/DR4は、1.12となり、光学条件2を満たす。さらに、前レンズ群101の焦点距離は、126.00mm、後レンズ群102の焦点距離は、53.15mmである。
近距離物体に対するフォーカス調整のタイプは実施例2と同じになる4タイプである。実施例3も実施例2と同様、Fナンバーが1.26となる大口径化した実施例となるが、実施例2と同様の撮像性能を得ることができる。
次に、実施例4に係る撮像光学系Cについて、図9及び表4を参照して説明する。
図9は、実施例4に係る撮像光学系Cの構成を示す。実施例4の撮像光学系Cは、図9に示すように、二つの部分対称レンズ群Gc…を開口絞りSTOの前後にそれぞれ配した構成を備える。即ち、実施例4に係る撮像光学系Cは、実施例2(及び実施例3)と同様、開口絞りSTOの前後に、4枚のレンズにより構成した前レンズ群101と5枚のレンズにより構成した後レンズ群102を配したものである。ただし、実施例4の前レンズ群101は、物体OBJ側から、両凹レンズを用いた最前レンズLF,両凸レンズLfa,両面が物体OBJ側に湾曲した正メニスカスレンズLfb,両面が物体OBJ側に湾曲した負メニスカスレンズLfcを配した部分対称レンズ群Gcを備え、特に、この負メニスカスレンズLfcを非球面レンズにより構成した点が実施例2とは異なる。レンズLF(Ls),Lfa(Lm),Lfb(Lm),Lfc(Ls)のパワーは、(−)(+)(+)(−)となる。
また、後レンズ群102には、物体OBJ側から、両凹レンズLrd,両凸レンズLrc,両凸レンズLrb,両凹レンズLraを配した部分対称レンズ群Gcが含まれる。この場合、両凹レンズLrdと両凸レンズLrcは接合レンズJbとして構成するとともに、両凸レンズLrbと両凹レンズLraは接合レンズJaとして構成し、さらに、この接合レンズJaに対して像IMG側に最終レンズLEを配した。レンズLrd(Ls),Lrc(Lm),Lrb(Lm),Lra(Ls)のパワーは、(−)(+)(+)(−)となる。実施例4における後レンズ群102の最終レンズLEには、実施例1と同じタイプとなる両面が光軸Dcの像IMG側に湾曲する非球面の負メニスカスレンズを用いており、この点も、最終レンズLEに両面が光軸Dcの物体OBJ側に湾曲する非球面レンズを用いた実施例2とは異なる。
表4に、実施例4のレンズ全系のレンズデータを示す。無限物点時F2sの撮像光学系Cは、焦点距離:51.14mm,Fナンバー:1.26,半画角:22.9゜である。また、前述したDF3/DR3は、1.06となり、光学条件1を満たすとともに、DF4/DR4は、1.09となり、光学条件2を満たす。さらに、前レンズ群101の焦点距離は、128.45mm、後レンズ群102の焦点距離は、65.65mmである。
近距離物体に対するフォーカス調整のタイプは実施例2と同じになる4タイプである。実施例4も実施例2と同様、Fナンバーが1.26となる大口径化した実施例となるが、レンズ構成の一部を変更した場合であっても実施例2と同様の撮像性能を得ることができる。
次に、実施例5に係る撮像光学系Cについて、図10,表5及び図11−図13を参照して説明する。
図10は、実施例5に係る撮像光学系Cの構成を示す。実施例5の撮像光学系Cは、図10に示すように、二つの部分対称レンズ群Gc,Gcを開口絞りSTOの前後にそれぞれ配した構成を備える。即ち、実施例5に係る撮像光学系Cは、開口絞りSTOの前後に、5枚のレンズにより構成した前レンズ群101と5枚のレンズにより構成した後レンズ群102を配したものであり、前レンズ群101には、物体OBJ側から、両凹レンズを用いた最前レンズLF,両面が物体OBJ側に湾曲した非球面の正メニスカスレンズLfa,両凸レンズLfb,両凸レンズLfc,両面が物体OBJ側に湾曲した負メニスカスレンズLfdを配した部分対称レンズ群Gcを備える。したがって、レンズLF(Ls),Lfa(Lm),Lfb(Lm),Lfc(Lm),Lfd(Ls)のパワーは、(−)(+)(+)(+)(−)となる。
また、後レンズ群102の基本的なレンズ構成は実施例4と同じになり、レンズLrd(Ls),Lrc(Lm),Lrb(Lm),Lra(Ls)のパワーは、(−)(+)(+)(−)となるとともに、両凹レンズLraと最終レンズLE間には実施例4の場合よりも広い空気空間S(空気間隔)を設けている。このため、図10(実施例5)に示す後レンズ群102における図9(実施例4)と同一部分には同一符号を付した。
一方、フォーカス方式、即ち、物体OBJの距離が無限遠から近距離に変化する場合のフォーカス調整の方式は、図10に示すように、6種類のフォーカス方式〔F31〕−〔F36〕を適用した。〔F31〕は、「LF+Lfa+Lfb」,「Lfc+Lfd+後レンズ群102」をそれぞれ一体とした二つの各指定レンズ群Lp…を物体OBJ側に異なる量で移動させ、両凸レンズLfbと両凸レンズLfc間の空気間隔,像IMG側の空気間隔を変化させる方式、〔F32〕は、「前レンズ群101+Jb」,「La+LE」をそれぞれ一体とした二つの各指定レンズ群Lp…を物体OBJ側に異なる量で移動させ、両凸レンズLrcと両凸レンズLrb間の空気間隔,像IMG側の空気間隔を変化させる方式、〔F33〕は、「LF+Lfa」,「Lfb+Lfc+Lfd」,「後レンズ群102」をそれぞれ一体とした三つの各指定レンズ群Lp…を物体OBJ側に異なる量で移動させ、正メニスカスレンズLfaと両凸レンズLfb間の空気間隔,開口絞りSTO含む空気間隔,像IMG側の空気間隔を変化させる方式、〔F34〕は、「LF+Lfa+Lfb」,「Lfc+Lfd」,「後レンズ群102」をそれぞれ一体とした三つの各指定レンズ群Lp…を物体OBJ側に異なる量で移動させ、両凸レンズLfbと両凸レンズLfc間の空気間隔,開口絞りSTO含む空気間隔,像IMG側の空気間隔を変化させる方式、〔F35〕は、「LF+Lfa+Lfb+Lfc」,「Lfd+Jb」,「Ja+LE」をそれぞれ一体とした三つの各指定レンズ群Lp…を物体OBJ側に異なる量で移動させ、両凸レンズLfcと負メニスカスレンズLfd間の空気間隔,両凸レンズLrcと両凸レンズLrb間の空気間隔,像IMG側の空気間隔を変化させる方式、〔F36〕は、「前レンズ群101」,「Jb」,「Ja+LE」をそれぞれ一体とした三つの各指定レンズ群Lp…を物体OBJ側に異なる量で移動させ、開口絞りSTO含む空気間隔,両凸レンズLrcと両凸レンズLrb間の空気間隔,像IMG側の空気間隔を変化させる方式である。
表5に、実施例5のレンズ全系のレンズデータを示す。無限物点時F3sの撮像光学系Cは、焦点距離:49.28mm,Fナンバー:1.93,半画角:23.7゜である。また、前述したDF3/DR3は、1.05となり、光学条件1を満たすとともに、DF4/DR4は、1.24となり、光学条件2を満たす。
図11−図13に、実施例5の撮像光学系Cにおけるフォーカス方式〔F31〕−〔F36〕に対応する縦収差図を示す。なお、図11の〔F3s〕は、無限遠時における縦収差図を示す。各縦収差図は、図2の場合と同じであり、左側から、球面収差、非点収差、歪曲収差を示す。図11−図13に示すように、いずれのフォーカス方式〔F31〕−〔F36〕であっても良好な撮像性能を確保することができる。
次に、実施例6に係る撮像光学系Cについて、図14,表6及び図15−図16を参照して説明する。
図14は、実施例6に係る撮像光学系Cの構成を示す。実施例6の撮像光学系Cは、図14に示すように、二つの部分対称レンズ群Gc,Gcを開口絞りSTOの前後にそれぞれ配した構成を備える。即ち、実施例6に係る撮像光学系Cは、開口絞りSTOの前後に、5枚のレンズにより構成した前レンズ群101と5枚のレンズにより構成した後レンズ群102を配したものであり、基本的なレンズ構成は実施例5と同じである。異なる点は、前レンズ群101における物体OBJ側から4番目の正レンズLmにおいて、実施例5は、両凸レンズLfcを用いたのに対して、実施例6は、両面が物体OBJ側に湾曲した正メニスカスレンズLfcを用いた点にある。このため、図14(実施例6)に示すレンズ全系100における図10(実施例5)と同一部分には同一符号を付した。
一方、物体OBJの距離が無限遠から近距離に変化する場合のフォーカス調整の方式は、図14に示すように、2種類のフォーカス方式〔F41〕−〔F42〕を適用した。〔F41〕は、「Ja+LE」を固定、即ち、像IMG側の空気間隔を固定し、「LF+Lfa+Lfb」,「Lfc+Lfd+Jb」をそれぞれ一体とした二つの各指定レンズ群Lp…を物体OBJ側に異なる量で移動させ、両凸レンズLfbと正メニスカスレンズLfc間の空気間隔,両凸レンズLrcと両凸レンズLrb間の空気間隔を変化させる方式、〔F42〕は、〔F41〕と同様に「Ja+LE」を固定し、残りのレンズ群、即ち、「前レンズ群101+Jb」を一体とした一つの指定レンズ群Lpを物体OBJ側に移動させ、両凸レンズLrcと両凸レンズLrb間の空気間隔を変化させる方式であり、いずれもフロントフォーカス方式となる。
表6に、実施例6のレンズ全系のレンズデータを示す。無限物点時F4sの撮像光学系Cは、焦点距離:48.73mm,Fナンバー:1.92,半画角:23.9゜である。また、前述したDF3/DR3は、0.88となり、光学条件1を満たすとともに、DF4/DR4は、1.14なり、光学条件2を満たす。
図15−図16に、実施例6の撮像光学系Cにおけるフォーカス方式〔F41〕−〔F42〕に対応する縦収差図を示す。なお、図15の〔F4s〕は、無限遠時における縦収差図を示す。各縦収差図は、図2の場合と同じであり、左側から、球面収差、非点収差、歪曲収差を示す。図16に示すように、いずれのフォーカス方式〔F41〕−〔F42〕であっても良好な撮像性能を確保することができる。
次に、実施例7に係る撮像光学系Cについて、図17,表7及び図18を参照して説明する。
図17は、実施例7に係る撮像光学系Cの構成を示す。実施例7の撮像光学系Cは、図17に示すように、二つの部分対称レンズ群Gc,Gcを開口絞りSTOの前後にそれぞれ配した構成を備える。即ち、実施例7に係る撮像光学系Cは、開口絞りSTOの前後に、4枚のレンズにより構成した前レンズ群101と5枚のレンズにより構成した後レンズ群102を配したものである。前レンズ群101は、物体OBJ側から、両凹レンズを用いた最前レンズLF,両面が物体OBJ側に湾曲した正メニスカスレンズLfa,両面が物体OBJ側に湾曲した正メニスカスレンズLfb,物体OBJ側に湾曲した負メニスカスレンズLfcを配した部分対称レンズ群Gcを備える。したがって、レンズLF(Ls),Lfa(Lm),Lfb(Lm),Lfc(Ls)のパワーは、(−)(+)(+)(−)となる。
また、後レンズ群102の基本的なレンズ構成は、実施例6と同じである。異なる点は、最終レンズLEにおいて、実施例6の最終レンズLEは、両面が光軸Dcの像IMG側に湾曲する非球面レンズを用いた場合を示したが、実施例7の最終レンズLEには、両面が光軸Dcの物体OBJ側に湾曲する非球面レンズを用いていた点にある。このため、図17(実施例7)に示す後レンズ群102における図14(実施例6)と同一部分には同一符号を付した。
一方、物体OBJの距離が無限遠から近距離に変化する場合のフォーカス調整の方式は、図17に示すように、フォーカス方式〔F51〕を適用した。〔F51〕は、「LF+Lfa+Lfb」を固定、即ち、「LF+Lfa+Lfb」を像IMG面に対して固定し、「Lfc+Jb」,「Ja+LE」をそれぞれ一体とした二つの各指定レンズ群Lp…を物体OBJ側に異なる量で移動させるリアフォーカス方式としたものである。
表7に、実施例7のレンズ全系のレンズデータを示す。無限物点時F5sの撮像光学系Cは、焦点距離:49.80mm,Fナンバー:1.95,半画角:23.5゜である。また、前述したDF3/DR3は、1.11となり、光学条件1を満たすとともに、DF4/DR4は、1.18となり、光学条件2を満たす。
図18に、実施例7の撮像光学系Cにおけるフォーカス方式〔F51〕に対応する縦収差図を示す。なお、図18の〔F5s〕は、無限遠時における縦収差図を示す。各縦収差図は、図2の場合と同じであり、左側から、球面収差、非点収差、歪曲収差を示す。図18に示すように、「Lfc+Jb」と「Ja+LE」の指定レンズ群Lp,Lpを移動させるフォーカス方式〔F51〕であっても良好な撮像性能を確保することができる。
次に、実施例8に係る撮像光学系Cについて、図19,表8及び図20を参照して説明する。
図19は、実施例8に係る撮像光学系Cの構成を示す。実施例8の撮像光学系Cは、図19に示すように、開口絞りSTOの前後に、4枚のレンズにより構成した前レンズ群101と5枚のレンズにより構成した後レンズ群102を配したものであり、後レンズ群102には部分対称レンズ群Gcが含まれる。前レンズ群101は、物体OBJ側から、両面が物体OBJ側に湾曲した正メニスカスレンズLF,両面が物体OBJ側に湾曲した正メニスカスレンズLfa,両面が物体OBJ側に湾曲した正メニスカスレンズLfb,両面が物体OBJ側に湾曲した非球面レンズを用いた負メニスカスレンズLfcを備える。レンズLF,Lfa,Lfb,Lfcのパワーは、(+)(+)(+)(−)となる。
また、後レンズ群102の基本的なレンズ構成は、実施例7と同じである。最終レンズLEは非球面レンズである。後レンズ群102に備える部分対照レンズ群Gc内のレンズLrd(Ls),Lrc(Lm),Lrb(Lm),Lra(Ls)のパワーは、(−)(+)(+)(−)となる。なお、図19(実施例8)に示す後レンズ群102における図17(実施例7)と同一部分には同一符号を付した。
一方、物体OBJの距離が無限遠から近距離に変化する場合のフォーカス調整の方式は、図19に示すように、フォーカス方式〔F61〕を適用した。〔F61〕は、「前レンズ群101+Jb」,「Ja+LE」をそれぞれ一体とした二つの各指定レンズ群Lp…を物体OBJ側に異なる量で移動させ、両凸レンズLrcと両凸レンズLrb間の空気間隔,像IMG側の空気間隔を変化させる方式である。
表8に、実施例8のレンズ全系のレンズデータを示す。無限物点時F6sの撮像光学系Cは、焦点距離:50.37mm,Fナンバー:1.23,半画角:23.3゜である。また、前述したDF3/DR3は、0.85となり、光学条件1を満たすとともに、DF4/DR4は、0.96となり、光学条件2を満たす。
図20に、実施例8の撮像光学系Cにおけるフォーカス方式〔F61〕に対応する縦収差図を示す。なお、図20の〔F6s〕は、無限遠時における縦収差図を示す。各縦収差図は、図2の場合と同じであり、左側から、球面収差、非点収差、歪曲収差を示す。図20に示すように、実施例8の撮像光学系Cであっても良好な撮像性能を確保することができる。
次に、実施例9に係る撮像光学系Cについて、図21,表9及び図22を参照して説明する。
図21は、実施例9に係る撮像光学系Cの構成を示す。実施例9の撮像光学系Cは、中望遠の撮影レンズに適用したものであり、図21に示すように、開口絞りSTOの前後に、4枚のレンズにより構成した前レンズ群101と5枚のレンズにより構成した後レンズ群102を配したものであり、後レンズ群102に部分対称レンズ群Gcが含まれる。前レンズ群101の基本的なレンズ構成は、実施例8(図19)と同じである。特に、前レンズ群101における物体OBJ側から最前レンズLF,正メニスカスレンズLfa,正メニスカスレンズLfbは、いずれも正レンズであり、二枚の正メニスカスレンズLfa,Lfbの硝材は、異常部分分散値dPgFの絶対値は、0.0369であり、正メニスカスレンズLfaの焦点距離FLfaと正メニスカスレンズLfbの焦点距離FLfbの比となるFLfa/FLfbは「1.00」となる。
また、後レンズ群102の基本的なレンズ構成も、実施例8(図19)と同じである。ただし、後レンズ群102における最終レンズLEにおいて、実施例8は、両面が光軸Dcの物体OBJ側に湾曲した負メニスカスレンズを用いた場合を示したが、実施例9は、両面が光軸Dcの像IMG側に湾曲した負メニスカスレンズを用いている。このため、図21(実施例9)に示す前レンズ群101及び後レンズ群102における図19(実施例8)と同一部分には同一符号を付した。
さらに、実施例9は、後述するように、半画角が17〜8度及びFナンバーが2.2以下であり、物体OBJ側から一番目の正レンズLmとこの正レンズLmに続く二番目の正レンズLm間の間隔をDT12,FLをレンズ全系100の焦点臣離,FNOをレンズ全系100のFナンバー,(FL/FNO)を軸上入射光束径,物体OBJまでの距離を無限遠としたとき、
0.2<DT12/(FL/FNO)<0.7 … (光学条件3)
を満たすように構成した。このように構成すれば、物体OBJ側から二番目の正レンズLm以降のレンズ径を最小化できる利点がある。実施例9のDT12/(FL/FNO)は、0.24となり、光学条件3を満たしている。
一方、物体OBJの距離が無限遠から近距離に変化する場合のフォーカス調整の方式は、図21に示すように、フォーカス方式〔F71〕を適用した。〔F71〕は、「前レンズ群101」,「後レンズ群102」をそれぞれ一体とした二つの各指定レンズ群Lp…を物体OBJ側に異なる量で移動させ、開口絞りSTO含む空気間隔,像IMG側の空気間隔を変化させる方式である。
表9に、実施例9のレンズ全系のレンズデータを示す。無限物点時F7sの撮像光学系Cは、焦点距離:73.00mm,Fナンバー:1.73,半画角:16.5゜である。また、前述したDF3/DR3は、0.81となり、光学条件1を満たすとともに、DF4/DR4は、0.98となり、光学条件2を満たす。
図22に、実施例9の撮像光学系Cにおけるフォーカス方式〔F71〕に対応する縦収差図を示す。なお、図22の〔F7s〕は、無限遠時における縦収差図を示す。各縦収差図は、図2の場合と同じであり、左側から、球面収差、非点収差、歪曲収差を示す。図22に示すように、実施例9の撮像光学系Cであっても良好な撮像性能を確保することができる。
次に、実施例10に係る撮像光学系Cについて、図23,表10及び図24を参照して説明する。
図23は、実施例10に係る撮像光学系Cの構成を示す。実施例10の撮像光学系Cは、撮影画角をより狭くした中望遠の撮影レンズであり、図23に示すように、開口絞りSTOの前後に、4枚のレンズにより構成した前レンズ群101と5枚のレンズにより構成した後レンズ群102を配したものであり、後レンズ群102には部分対称レンズ群Gcが含まれる。前レンズ群101の基本的なレンズ構成は、実施例9(図21)と同じであり、レンズLF,Lfa,Lfb,Lfcのパワーは、(+)(+)(+)(−)となる。
また、後レンズ群102は、物体OBJ側から、両凹レンズLrd,両凸レンズLrc,両凸レンズLrb,両凹レンズLra,最終レンズLEを備える。この場合、実施例10は、両凸レンズLrbと両凹レンズLraをそれぞれ単レンズにより構成した点が、接合レンズにより構成した実施例9とは異なるとともに、最終レンズLEに、両面が光軸Dcの物体OBJ側に湾曲した非球面の正メニスカスレンズを用いた点が、像IMG側に湾曲した負メニスカスレンズを用いた実施例9とは異なる。部分対称レンズ群Gcを構成するレンズLrd(Ls),Lrc(Lm),Lrb(Lm),Lra(Ls)のパワーは、(−)(+)(+)(−)となる。
両凹レンズLfcは物体OBJ側に大きい曲率により湾曲したレンズ面を有するとともに、両凹レンズLrdは像IMG側に大きい曲率により湾曲したレンズ面を有し、これらの各レンズ面は開口絞りSTOを介して対面する。なお、図23(実施例10)に示す前レンズ群101及び後レンズ群102における図21(実施例9)と同一部分には同一符号を付した。
さらに、実施例10は、後述するように、半画角が17〜8度及びFナンバーが2.2以下であり、物体OBJ側から一番目の正レンズLmとこの正レンズLmに続く二番目の正レンズLm間の間隔をDT12,FLをレンズ全系100の焦点臣離,FNOをレンズ全系100のFナンバー,(FL/FNO)を光軸Dc上の入射光束径としたとき、「0.2<DT12/(FL/FNO)<0.7」の条件を満たしている。
一方、物体OBJの距離が無限遠から近距離に変化する場合のフォーカス調整の方式は、図23に示すように、フォーカス方式〔F81〕を適用した。〔F81〕は、「前レンズ群101」と「Lra+LE」を固定し、「Jb+Lrb」を物体OBJ側に異なる量で移動させることにより、開口絞りSTOを含む空気間隔と、凸レンズLrbと両凹レンズLra間の空気間隔を変化させる方式である。したがって、この場合、像IMG側の空気間隔と全長が変化しないインナーフォーカス方式となる。
表10に、実施例10におけるレンズ全系のレンズデータを示す。無限物点時F8sの撮像光学系Cは、焦点距離:134.00mm,Fナンバー:2.03,半画角:9.17゜である。また、前述したDF3/DR3は、0.66となり、光学条件1を満たし、DF4/DR4は、0.60となり、光学条件2を満たすとともに、DT12/(FL/FNO)は、0.31となり、光学条件3を満たす。
図24に、実施例10の撮像光学系Cにおけるフォーカス方式〔F81〕に対応する縦収差図を示す。なお、図24の〔F8s〕は、無限遠時における縦収差図を示す。各縦収差図は、図2の場合と同じであり、左側から、球面収差、非点収差、歪曲収差を示す。図24に示すように、実施例10の撮像光学系Cであっても良好な撮像性能を確保することができる。
次に、実施例11に係る撮像光学系Cについて、図25,表11及び図26を参照して説明する。
図25は、実施例11に係る撮像光学系Cの構成を示す。実施例11の撮像光学系Cは、実施例10に対して、より大口径化した中望遠の撮影レンズであり、図25に示すように、開口絞りSTOの前後に、4枚のレンズにより構成した前レンズ群101と5枚のレンズにより構成した後レンズ群102を配したものであり、後レンズ群102に一つの部分対称レンズ群Gcが含まれる。前レンズ群101は、前レンズ群101の基本的なレンズ構成は、実施例9(図21)と同じである。また、後レンズ群102の基本的なレンズ構成は、実施例8(図19)と同じである。このため、図25(実施例11)に係る前レンズ群101において、実施例9(図21)と同一部分には同一符号を付すとともに、図25(実施例11)に係る後レンズ群102において、実施例8(図19)と同一部分には同一符号を付した。
さらに、実施例11は、後述するように、半画角が17〜8度及びFナンバーが2.2以下であり、物体OBJ側から一番目の正レンズLmとこの正レンズLmに続く二番目の正レンズLm間の間隔をDT12,FLをレンズ全系100の焦点臣離,FNOをレンズ全系100のFナンバー,(FL/FNO)を光軸Dc上の入射光束径としたとき、「0.2<DT12/(FL/FNO)<0.7」の条件を満たしている。
一方、物体OBJの距離が無限遠から近距離に変化する場合のフォーカス調整の方式は、図25に示すように、フォーカス方式〔F91〕を適用した。〔F91〕は、「LF」を固定し、「前レンズ群101」,「後レンズ群102」をそれぞれ一体とした二つの各指定レンズ群Lp…を物体OBJ側に異なる量で移動させ、開口絞りSTO含む空気間隔,像IMG側の空気間隔を変化させる方式である。
表11に、実施例11におけるレンズ全系のレンズデータを示す。無限物点時F9sの撮像光学系Cは、焦点距離:134.00mm,Fナンバー:1.20,半画角:9.17゜である。また、前述したDF3/DR3は、1.28となり、光学条件1を満たし、DF4/DR4は、1.46となり、光学条件2を満たすとともに、DT12/(FL/FNO)は、0.64となり、光学条件3を満たす。
図26に、実施例11の撮像光学系Cにおけるフォーカス方式〔F91〕に対応する縦収差図を示す。なお、図26の〔F9s〕は、無限遠時における縦収差図を示す。各縦収差図は、図2の場合と同じであり、左側から、球面収差、非点収差、歪曲収差を示す。図26に示すように、実施例11のレンズ構成及びフォーカス方式〔F91〕の場合であっても良好な撮像性能を確保することができる。
次に、実施例12に係る撮像光学系Cについて、図27,表12及び図28を参照して説明する。
図27は、実施例12に係る撮像光学系Cの構成を示す。実施例12の撮像光学系Cは、図27に示すように、開口絞りSTOの前後に、4枚のレンズにより構成した前レンズ群101と5枚のレンズにより構成した後レンズ群102を配したものであり、開口絞りSTOの両側に接合レンズJcとJbを配した部分対称レンズ群Gcが含まれる。
前レンズ群101は、物体OBJ側から、両面が光軸Dcの物体OBJ側に湾曲した負メニスカスレンズを用いた最前レンズLF,両面が光軸Dcの物体OBJ側に湾曲した非球面の正メニスカスレンズLfa,両凹レンズLfb,両凸レンズLfcを備え、両凹レンズLfbと両凸レンズLfcは接合レンズJcとして構成する。物体OBJ側から、レンズLF,Lfa(Lm),Lfb(Lm),Lfc(Ls)のパワーは、(−)(+)(−)(+)となる。実施例12は、前レンズ群101の一番目に負レンズLFを配したとき、当該負レンズLFにおける物体OBJ側の面,と前レンズ群101の二番目の負レンズLs、即ち、両凹レンズLfbに対して所定の空気間隔を介した物体OBJ側に配した正レンズLmの像IMG側の面間の焦点距離は負に設定する。
また、後レンズ群102は、物体OBJ側から、両凸レンズLrd,両凹レンズLrc,両凸レンズLrb,両凹レンズLra,最終レンズLEを備え、両凸レンズLrdと両凹レンズLrcは接合レンズJbとして構成するとともに、両凸レンズLrbと両凹レンズLraは接合レンズJaとして構成する。物体OBJ側から、レンズLrd(Lm),Lrc(Ls),Lrb(Lm),Lra(Ls),LEのパワーは、(+)(−)(+)(−)(−)となる。したがって、両凸レンズLfcの凸面と両凸レンズLrdの凸面は、開口絞りSTOを介して対面する。最終レンズLEは、両面が像IMG側に湾曲した非球面レンズである。
一方、物体OBJの距離が無限遠から近距離に変化する場合のフォーカス調整の方式は、図27に示すように、フォーカス方式〔F101〕を適用した。〔F101〕は、「前レンズ群101」,「後レンズ群102」をそれぞれ一体とした二つの各指定レンズ群Lp…を物体OBJ側に異なる量で移動させ、開口絞りSTO含む空気間隔,像IMG側の空気間隔を変化させる方式である。
表12に、実施例12におけるレンズ全系のレンズデータを示す。無限物点時F10sの撮像光学系Cは、焦点距離:25.80mm,Fナンバー:1.86,半画角:39.9゜である。また、前述したDF3/DR3は、1.05となり、光学条件1を満たし、DF4/DR4は、0.95となり、光学条件2を満たす。
図28に、実施例12の撮像光学系Cにおけるフォーカス方式〔F101〕に対応する縦収差図を示す。なお、図28の〔F10s〕は、無限遠時における縦収差図を示す。各縦収差図は、図2の場合と同じであり、左側から、球面収差、非点収差、歪曲収差を示す。実施例12は、半画角が32度以上及びFナンバーが2.2以下である。この条件を前提に、前レンズ群101の一番目に負レンズLFを配したとき、当該負レンズLFにおける物体OBJ側の面,と前レンズ群101の二番目の負レンズLsとなる両凹レンズLfbに対して所定の空気間隔を介した物体OBJ側に配した正メニスカスレンズLfa(正レンズLm)の像IMG側の面間の焦点距離を負に設定すれば、特に、前レンズ群101の物体OBJ側の面が全て凸面となる正レンズLm…に入出射する光線角度を緩やかにできるため、収差発生を抑えることにより収差補正を有利に行うことができるとともに、撮像光学系Cの全長を短くすることにより小型コンパクト化にも寄与できる。実施例12は、広角レンズであり、最前レンズLFと正メニスカスレンズLfaの焦点距離は、−69.83mmとなる。図28に示すように、実施例12の撮像光学系C、即ち、焦点距離の短い広角化した撮影レンズであっても良好な撮像性能を確保することができる。
次に、実施例13に係る撮像光学系Cについて、図29,表13及び図30を参照して説明する。
図29は、実施例13に係る撮像光学系Cの構成を示す。実施例13の撮像光学系Cは、図29に示すように、開口絞りSTOの前後に、4枚のレンズにより構成した前レンズ群101と5枚のレンズにより構成した後レンズ群102を配したものであり、開口絞りSTOの両側に対称に配したレンズにより構成される部分対称レンズ群Gcが含まれる。
実施例13の基本的なレンズ構成は、実施例12と同じになる。前レンズ群101は、物体OBJ側から、両凹レンズを用いた最前レンズLF,両凸レンズLfa,非球面の両凹レンズLfb,両凸レンズLfcを備え、それぞれ単レンズにより構成する。したがって、実施例12と同様、レンズLF,Lfa,Lfb,Lfcのパワーは、(−)(+)(−)(+)となる。
また、後レンズ群102は、物体OBJ側から、両凸レンズLrd,非球面の両凹レンズLrc,両凸レンズLrb,両凹レンズLra,最終レンズLEを備え、それぞれ単レンズにより構成する。したがって、実施例12と同様、レンズLrd,Lrc,Lrb,Lra,LEのパワーは、(+)(−)(+)(−)(−)となる。
前レンズ群101における非球面の両凹レンズLfbと後レンズ群102における非球面の両凹レンズLrcは、同一形状であり、開口絞りSTOに対してそれぞれ反対向き(対称)に配している。さらに、4枚の両凸レンズLfa,Lfc,Lrd,Lrbも同一形状のレンズを使用し、前レンズ群101の両凸レンズLfaとLfcは相互に反対向きに配するとともに、後レンズ群102の両凸レンズLrdとLrbも相互に反対向きに配し、前レンズ群101の両凸レンズLfa,Lfcと後レンズ群102の両凸レンズLrd,Lrbは、開口絞りSTOに対してそれぞれ反対向き(対称)に配している。
一方、物体OBJの距離が無限遠から近距離に変化する場合のフォーカス調整の方式は、図29に示すように、フォーカス方式〔F111〕を適用した。〔F111〕は、「前レンズ群101」,「後レンズ群102」をそれぞれ一体とした二つの各指定レンズ群Lp…を物体OBJ側に異なる量で移動させ、開口絞りSTO含む空気間隔,像IMG側の空気間隔を変化させる方式である。
表13に、実施例13におけるレンズ全系のレンズデータを示す。無限物点時F11sの撮像光学系Cは、焦点距離:49.23mm,Fナンバー:1.81,半画角:23.7゜である。また、前述したDF3/DR3は、1.10となり、光学条件1を満たし、DF4/DR4は、1.07となり、光学条件2を満たす。
図30に、実施例13の撮像光学系Cにおけるフォーカス方式〔F111〕に対応する縦収差図を示す。なお、図30の〔F11s〕は、無限遠時における縦収差図を示す。各縦収差図は、図2の場合と同じであり、左側から、球面収差、非点収差、歪曲収差を示す。図30に示すように、実施例13の撮像光学系Cであっても良好な撮像性能を確保することができる。
次に、実施例14に係る撮像光学系Cについて、図31,表14及び図32を参照して説明する。
図31は、実施例14に係る撮像光学系Cの構成を示す。実施例14の撮像光学系Cは、図31に示すように、開口絞りSTOの前後に、4枚のレンズにより構成した前レンズ群101と5枚のレンズにより構成した後レンズ群102を配したものである。前レンズ群101は、物体OBJ側から、両面が光軸Dcの物体OBJ側に湾曲した負メニスカスレンズを用いた最前レンズLF,両面が光軸Dcの物体OBJ側に湾曲した正メニスカスレンズLfa,両面が光軸Dcの物体OBJ側に湾曲した正メニスカスレンズLfb,両面が光軸Dcの物体OBJ側に湾曲した負メニスカスレンズLfcを備える。物体OBJ側から、レンズLF,Lfa,Lfb,Lfcのパワーは、(−)(+)(+)(−)となる。
また、後レンズ群102は、物体OBJ側から、両凹レンズLrd,両凸レンズLrc,両凸レンズLrb,両凹レンズLraを配した部分対称レンズ群Gcが含まれる。この場合、両凹レンズLrdと両凸レンズLrcは接合レンズJbとして構成するとともに、両凸レンズLrbと両凹レンズLraは接合レンズJaとして構成し、さらに、接合レンズJaに対して像IMG側に最終レンズLEを配した。この最終レンズLEには、像IMG側に湾曲した非球面の負メニスカスレンズを用いる。したがって、レンズLrd(Ls),Lrc(Lm),Lrb(Lm),Lra(Ls),LEのパワーは、(−)(+)(+)(−)(−)となる。この場合、前レンズ群101の負メニスカスレンズLfcと後レンズ群102の最終レンズLEは、同一形状のレンズを使用し、開口絞りSTOに対して相互に反対向き(対称)に配する。
一方、物体OBJの距離が無限遠から近距離に変化する場合のフォーカス調整の方式は、図31に示すように、フォーカス方式〔F121〕を適用した。〔F121〕は、「(前レンズ群101)+(Ja+LE)」,「Jb」をそれぞれ一体とした二つの各指定レンズ群Lp…を物体OBJ側に異なる量で移動させる方式である。この場合、「(前レンズ群101)+(Ja+LE)」の移動量に対して「Jb」の移動量を少ない移動量に設定する。これにより、「Jb」の移動量は相対的に像IMG側へ移動する。即ち、レンズ全体が移動しながら「Jb」のみが像IMG側に移動するフローティング方式となる。特に、「Jb」の前後において開口絞りSTOを含む空気間隔,両凸レンズLrcと両凸レンズLrb間の空気間隔,変化させることができる。
実施例14は、撮影倍率が0.2以上であることを条件に、フォーカス調整時に、三つの指定レンズ群Lp…が移動し、かつ前後両側に位置する二つの指定レンズ群lp,Lpが一体に移動する構成となる。なお、撮影倍率は、(像IMGのサイズ)/(物体OBJのサイズ)である。実施例14の構成によれば、見掛上、全体が移動しながら中間位置にある指定レンズ群Lpのみを像IMG側へ移動させ、この指定レンズ群Lpの前後における空気間隔を変化させることができるため、部分対称レンズ群Gcの利点を有効に利用することができる。
表14に、実施例14におけるレンズ全系のレンズデータを示す。無限物点時F12sの撮像光学系Cは、焦点距離:47.00mm,Fナンバー:1.75,半画角:24.7゜である。また、前述したDF3/DR3は、0.61となり、光学条件1を満たし、DF4/DR4は、0.54となり、光学条件2を満たす。
図32に、実施例14の撮像光学系Cにおけるフォーカス方式〔F121〕に対応する縦収差図を示す。なお、図32の〔F12s〕は、無限遠時における縦収差図を示す。各縦収差図は、図2の場合と同じであり、左側から、球面収差、非点収差、歪曲収差を示す。図30に示すように、フォーカス方式〔F121〕を適用した実施例14の撮像光学系C、即ち、撮影倍率が0.61のマクロレンズであっても良好な撮像性能を確保することができる。
以上、実施例1−14を含む好適実施形態について詳細に説明したが、本発明は、このような実施形態に限定されるものではなく、細部の構成,形状,素材,数値等において、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、任意に変更,追加,削除することができる。
例えば、レンズ全系100に、順次配した2枚以上の正レンズ(Lm,Lm)の両側に負レンズ(Ls,Ls)をそれぞれ配して構成した一つ又は二つ以上の部分対称レンズ群Gc…を含ませることが望ましいが、必ずしも必須の構成要素となるものではない。また、部分対称レンズ群Gcを構成するに際し、両凹レンズを用いた負レンズLs…と両凸レンズを用いた正レンズLm…を接合した二つの接合レンズJa,Jbにより構成し、二つの接合レンズJa,Jbの正レンズLm,Lm同士を対向させて配した構成を含めることが望ましいが、必ずしも接合レンズJa,Jbにより構成することを要しない。他方、開口絞りSTOとこの開口絞りSTOから物体OBJ側に三番目のレンズ(LF)…における物体OBJ側の面間の距離をDF3,開口絞りSTOとこの開口絞りSTOから像IMG側に三番目のレンズ(LE)…における像IMG側の面間の距離をDR3,物体OBJまでの距離を無限遠としたとき、「0.55<DF3/DR3<1.35」の条件を満たすことの設定要件、また、開口絞りSTOに対して、物体OBJ側と像IMG側にそれぞれ一つ又は二つ以上の部分対称レンズ群Gc…を有する構成,又はレンズ全系100に、一つの部分対称レンズ群Gcを有し、かつ当該部分対称レンズ群Gcの内部に開口絞りSTOを有する構成であって、開口絞りSTOとこの開口絞りSTOから最も物体OBJ側のレンズ(LF)…における物体OBJ側の面間の距離をDF4,開口絞りSTOとこの開口絞りSTOから最も像IMG側のレンズ(LE)…における像IMG側の面間の距離をDR4としたとき、「0.45<DF4/DR4<1.55」の条件を満たすことの設定要件、或いは、レンズ全系100に、一つの部分対称レンズ群Gcを有する構成であって、前レンズ群101における最も開口絞りSTOに近い正レンズLmの物体OBJ側の面とこの面から最も物体OBJ側のレンズLEにおける物体OBJ側の面間の距離をDF4,後レンズ群102における最も開口絞りSTOに近い正レンズLmの像IMG側の面とこの面から最も像IMG側のレンズLEにおける像IMG側の面間の距離をDR4としたとき、「0.45<DF4/DR4<1.55」の条件を満たすことの設定要件は、いずれか一つのみを満たす場合を排除しないとともに、いずれも満たさない場合を排除するものではない。