JP2021042726A - 蒸気タービン - Google Patents

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Abstract

【課題】高強度かつ低線膨張であるオーステナイト系耐熱鋼を使用した蒸気タービン構造によって、高温高効率かつ負荷変動に対応可能なタービンシステムを提供する。【解決手段】複数の構成部材からなる蒸気タービンにおいて、少なくとも2つの構成部材が、(イ)オーステナイト系耐熱鋼とフェライト系耐熱鋼との組み合わせ、もしくは(ロ)オーステナイト系耐熱鋼とNi基合金との組み合わせによって構成されており、温度T(℃)が400〜700℃の範囲における前記2つの構成部材の形成材料の平均線膨張係数差Δα(1/℃)が、(イ)についてはΔα=(1.5+(1.4×10−3)×T)×10−6以下であり、(ロ)ついてはΔα=(2.2−(1.4×10−3)×T)×10−6以下であることを特徴とする、蒸気タービン。【選択図】図3

Description

本発明の実施の形態は、高温高効率、高負荷変動およびコンパクト化に対応する蒸気タービンシステムおよびそれを構成する部品、材料に関する。
近年、大気中への二酸化炭素の排出量の削減要求、再生可能エネルギーの台頭などに伴うエネルギーミックスの多様化、さらに世界各国の顧客からの多種多様な要求に応えるべく、火力発電プラントは更なる付加価値の向上が求められている。特に火力発電プラントに備えられる蒸気タービンシステムは、熱効率の向上、負荷変動への対応、コンパクト化などの性能向上が求められている。
蒸気タービンにおける上記の要求を達成するためには、タービン設計において様々な特性を有する材料を最適に選定し、構造的に組み合わせることが重要である。熱効率の観点では、従来プラントを上回る蒸気温度で運用することが望ましく、そのためには高温で優れた強度を有する耐熱材料を選定する必要がある。負荷変動対応の観点では、繰り返される起動停止時に発生する熱応力や熱的変形を抑えることが望ましく、そのためには材料単体もしくは材料間の熱膨張差を低減する必要がある。コンパクト化の観点では、各部材を薄肉化することが望ましく、そのためには高強度な材料を選定する必要がある。
従来プラントのタービン部材には、主としてフェライト系耐熱鋼が使用されている。しかしながら、フェライト系耐熱鋼では上記した高温強度が十分に得られないため、フェライト系耐熱鋼のみで目標のタービンを構成することは困難である。そのため、より高温強度に優れ、かつ熱膨張が小さい合金、例えばNi基合金、あるいはTiAl基合金などを選定し、フェライト系耐熱鋼と構造的に組み合わせて使用する例が提案されている(特開2014−176877号公報および特開2016−113683号公報)。
しかし、これらの合金は、主構成元素がNiなどの高価格なものであること、また加工変形特性に劣ることから、材料製造および加工にかかる費用が著しく高い。したがって、これらの合金を選定することでタービンの製造価格が上昇し、競争力が低下する要因となる。
特開2014−176877号公報 特開2016−113683号公報
高温高効率化、高負荷変動およびコンパクト化に対応する蒸気タービンシステムを構築する上では蒸気温度の向上、耐熱応力設計、高強度材料の使用などが重要な因子である。しかしながら、従来の提案では、上記を低コストで達成するための材料および構造設計が出来ていない。
上記背景により、本発明の目標は、高強度かつ低線膨張であることを特徴とするオーステナイト系耐熱鋼を使用したタービン構造によって、上記のタービンシステムを提供することにある。
本発明の実施形態による蒸気タービンは、蒸気タービンシステムにおいて、少なくとも2つの構成部材が、(イ)オーステナイト系耐熱鋼とフェライト系耐熱鋼との組み合わせ、もしくは(ロ)オーステナイト系耐熱鋼とNi基合金との組み合わせによって構成されており、温度T(℃)が400〜700℃の範囲における前記2つの構成部材の形成材料の平均線膨張係数差Δα(1/℃)が、前記(イ)についてはΔα=(1.5+(1.4×10−3)×T)×10−6以下であり、前記(ロ)ついてはΔα=(2.2−(1.4×10−3)×T)×10−6以下であること、を特徴とする。
このような本発明の実施形態による蒸気タービンは、好ましい態様として、タービンの構成部材である羽根、静翼、ボルト、ロータ、ケーシング、ノズルボックス、配管および小型部材の少なくとも一つが質量で、Ni:24〜50%、Cr:5〜13%、V:0.1〜0.5%、Ti:1.90〜2.35%、Al:0.01〜0.30%、B:0.001〜0.01%、C:0.001〜0.1%を含有し、残部がFeおよび不可避的不純物であるオーステナイト系耐熱鋼からなる蒸気タービンを包含する。
本発明の実施の形態によれば、高強度かつ低線膨張であるオーステナイト系耐熱鋼を使用した蒸気タービンを提供される。本発明の実施の形態の蒸気タービンは、構成部品単体ならびに構成部材の熱膨張差が低減されたものであることから、繰り返される起動停止時に発生する熱応力や熱的変形が抑えられたものである。
したがって、本発明の実施の形態による蒸気タービンよれば、高温高効率、負荷変動およびコンパクト化に対応可能な蒸気タービンシステムを低コストで提供できる。
公知のフェライト系耐熱鋼の線膨張係数の範囲、公知のオーステナイト系耐熱鋼の線膨張係数の一例、および実施形態のオーステナイト系耐熱鋼の線膨張係数の一例を示す図。 公知のNi基合金の線膨張係数の範囲、公知のオーステナイト系耐熱鋼の線膨張係数の一例、および実施形態のオーステナイト系耐熱鋼の線膨張係数の一例を示す図。 表1で示した公知のフェライト系耐熱鋼と、公知および実施形態のオーステナイト鋼との400℃〜700℃の範囲における平均線膨張係数の差Δαを示す図。 表2で示した公知のNi基合金と、公知および実施形態のオーステナイト鋼との400℃〜700℃の範囲における平均線膨張係数の差Δαを示す図。 実施形態の蒸気タービンの断面図。
以下、本発明の実施の形態を説明する。
背景で述べたように、従来プラントで使用されているフェライト系耐熱鋼は高温強度が十分に得られないため、フェライト系耐熱鋼のみで高温化およびコンパクト化を実現することは困難である。また、Ni基合金などの耐熱合金は、高価格で加工性に劣ることから、材料製造および加工にかかる費用が著しく高い。
一方、従来プラントの蒸気ボイラ用配管材に主として使用されているオーステナイト系耐熱鋼は、フェライト系耐熱鋼と比較して高温での金属組織安定性に優れることから高温強度が高く、約650℃まで十分な強度を有する。また、安価な鉄を主成分とするオーステナイト系耐熱鋼は、Ni基合金などと比較して低価格であり加工性に優れている。したがって、オーステナイト系耐熱鋼の使用は、高温化およびコンパクト化を実現する上で適した選択肢の一つである。
しかしながら、一般的なオーステナイト系耐熱鋼は、高温において線膨張係数が大きいことが知られている。このようなオーステナイト系耐熱鋼をタービンロータや羽根およびケーシングに使用した場合、自身の熱変形、および対向、接触もしくは接合している他材料との熱伸び差によって、高温での低サイクル疲労、フレッティング疲労、あるいはクリープ損傷などを生じ、場合によっては破壊に至るほどの設計的な問題となる。このようなオーステナイト系耐熱鋼を使用した場合、特に起動停止における運用上の制約を設ける必要が生じるなど、負荷変動に対応した設計が困難となる。
このような状況に鑑み、本発明者らは、オーステナイト系耐熱鋼からなる構成部材について、フェライト系耐熱鋼やNi基合金との線膨張係数の差を、各温度において十分に小さくすることによって、上記のような運用上の制約を設ける必要がなく対応することが可能であることを見出した。また、このように設計されたオーステナイト系耐熱鋼からなる構成部材は、高温強度に優れるという特徴から、当該構成部材の蒸気温度の向上と薄肉化によるコンパクト化を果たせることを見出した。
以下、実施の形態を具体的に説明する。
本発明の実施形態に係る蒸気タービンは、少なくとも2つの構成部材が、(イ)オーステナイト系耐熱鋼とフェライト系耐熱鋼との組み合わせ、もしくは(ロ)オーステナイト系耐熱鋼とNi基合金との組み合わせによって構成されており、
温度T(℃)が400〜700℃の範囲における前記2つの構成部材の形成材料の平均線膨張係数差Δα(1/℃)が、前記(イ)についてはΔα=(1.5+(1.4×10−3)×T)×10−6以下であり、前記(ロ)ついてはΔα=(2.2−(1.4×10−3)×T)×10−6以下であることを特徴とする蒸気タービンである。
ここで、「オーステナイト系耐熱鋼」とは、「オーステナイト組織を示す耐熱鋼」(JIS G0203:2009)を意味し、「フェライト系耐熱鋼」とは、「フェライト組織を示す耐熱鋼」(JIS G0203:2009)を意味する。「Ni基合金」とは、Niを主要成分とする合金をいう。例えば、Cr、Co、その他の元素を含むNi基超合金は、上記「Ni基合金」に包含される。
また、本発明の実施形態による蒸気タービンは、オーステナイト系耐熱鋼の構成部材と、フェライト系耐熱鋼もしくはNi基合金の構成部材があるクリアランスを持って対向している、接触している、もしくは溶接などの手段によって接合されていることを特徴とする。
ここで、各温度での平均線膨張係数は、同じ試験片において、室温(T)における長さ(L)と、所定の温度(T)における長さ(L)を用いて、次の式(1)によって求められる。
平均線膨張係数 =(L−L)/(T−T)/L …式(1)
上記の各温度での平均線膨張係数差Δαは、対向、接触もしくは接合している2つの構成部材の温度Tにおける平均線膨張係数が大きい材料から、小さい材料の平均線膨張係数を引いた差分と定義する。
図1に、公知のフェライト系耐熱鋼の線膨張係数の範囲、公知のオーステナイト系耐熱鋼の線膨張係数の一例、および実施形態のオーステナイト系耐熱鋼の線膨張係数の一例を示す。
公知のオーステナイト系耐熱鋼としては、例としてガスタービンや発電機に使用されているJIS SUH 660鋼などがある。また、公知のフェライト系耐熱鋼としては、Cr−Mo−V低合金鋼や高Cr−Mo−V−Nb−Ta鋼などがある。
図1は、これら代表的な鋼種の線膨張係数の範囲を示している。公知のオーステナイト系耐熱鋼の室温から700℃までの平均線膨張係数は、公知のフェライト系耐熱鋼よりも著しく大きい。一方、実施形態のオーステナイト系耐熱鋼は、公知のオーステナイト系耐熱鋼よりも線膨張係数が小さく、かつ公知のフェライト系耐熱鋼と近い値を示す。
図2に、公知のNi基合金の線膨張係数の範囲、公知のオーステナイト系耐熱鋼の線膨張係数の一例、および実施形態のオーステナイト系耐熱鋼の線膨張係数の一例を示す。公知のNi基合金としては、MarM252合金やInconel X−750合金などがある。図2には、これら代表的な鋼種の線膨張係数の範囲を示している。公知のオーステナイト系耐熱鋼の室温から700℃までの平均線膨張係数は、公知のNi基合金よりも大きいが、実施形態のオーステナイト系耐熱鋼は、公知のNi基合金と近い値を示す。
Figure 2021042726
表1に、公知および実施形態のオーステナイト鋼と、公知のフェライト系耐熱鋼との400℃〜700℃の範囲における平均線膨張係数の差Δαを示す。比較例で示す試料6〜8の公知のオーステナイト系耐熱鋼の400℃から700℃までの平均線膨張係数は、公知のフェライト系耐熱鋼よりも著しく大きく、線膨張係数差Δαも大きい。一方、実施形態のオーステナイト系耐熱鋼である試料1〜5は、自身の平均線膨張係数が小さいため、公知のフェライト系耐熱鋼との平均線膨張係数差が小さい。
図3に、表1で示した公知のフェライト系耐熱鋼と、公知および実施形態のオーステナイト鋼との400℃〜700℃の範囲における平均線膨張係数の差Δαを横軸温度の範囲で示す。
ここで、前述したように、対向、接触、もしくは接合している2つの構成部材について、線膨張係数の差を十分に小さくすることによって、起動停止などの運用上の制約を設ける必要がなく対応することが可能である。オーステナイト系耐熱鋼とフェライト系耐熱鋼に関して、このような効力を発揮する線膨張係数差は、400〜700℃の範囲においてはΔα=(1.5+(1.4×10−3)×T)×10−6以下であることが望ましい。また、このような効力をさらに十分に発揮する線膨張係数差は、Δα=(0.7+(1.4×10−3)×T)×10−6以下である。
表2に、公知および実施形態のオーステナイト鋼と、公知のNi基合金との400℃〜700℃の範囲における平均線膨張係数の差Δαを示す。比較例で示す試料6〜8の公知のオーステナイト系耐熱鋼の400℃から700℃までの平均線膨張係数は、公知のNi基合金よりも大きく、線膨張係数差Δαも大きい。一方、実施形態のオーステナイト系耐熱鋼である試料1〜5は、自身の平均線膨張係数が小さいため、公知のNi基合金との平均線膨張係数差が小さい。図4に、表2で示した公知のNi基合金と、公知および実施形態のオーステナイト鋼との400℃〜700℃の範囲における平均線膨張係数の差Δαを横軸温度の範囲で示す。
ここで、前述したように、対向、接触、もしくは接合している2つの構成部材について、線膨張係数の差を十分に小さくすることによって、起動停止などの運用上の制約を設ける必要がなく対応することが可能である。オーステナイト系耐熱鋼とNi基合金に関して、このような効力を発揮する線膨張係数差は、400〜700℃の範囲においてはΔα=(2.2−(1.4×10−3)×T)×10−6以下であることが望ましい。また、このような効力をさらに十分に発揮する線膨張係数差は、Δα=(0.5−(3.0×10−4)×T)×10−6以下である。
Figure 2021042726
なお、規定する温度範囲を400〜700℃とした理由は、400℃以下の場合、膨張による構成部材の熱伸びの絶対量が小さく、破壊に至るほどの熱変形が生じないためである。また、700℃以上の場合は膨張による熱変形よりもクリープ変形主体の破壊を生じるため、上記効力が発揮されないためである。
以上のような実施形態を得るためには、タービンの構成部材である羽根、静翼、ボルト、ロータ、ケーシング、ノズルボックス、配管および小型部材の少なくとも一つが質量で、Ni:24〜50%、Cr:5〜13%、V:0.1〜0.5%、Ti:1.90〜2.35%、Al:0.01〜0.30%、B:0.001〜0.01%、C:0.001〜0.1%を含有し、残部がFeおよび不可避的不純物であるオーステナイト系耐熱鋼からなることが望ましい。
また、上記オーステナイト系耐熱鋼に対して、Co:0.1〜12%、あるいは、Nb:0.1〜5%を含有することも望ましい。
不可避的不純物としては、例えばN、Si、Mn、PおよびSなどが挙げられる。
このようなオーステナイト系耐熱鋼は、公知のオーステナイト系耐熱鋼よりもNiを添加し、Crを低減することによって、インバー効果(磁気体積効果)を発揮することにより小さい線膨張係数が得られることが特徴である。この根拠を、各成分の効果と成分範囲を基に以下に説明する。
(1)Ni(ニッケル)
Niは、Fe母相に固溶し、母相の固溶強化および線膨張係数の低下をもたらす。これらの効果は、Niの含有率が24%以上において発揮される。また、Niの含有率が50%以下において、材料コストの増加や加工性の低下が抑えられる。そのため、Niの含有率を24〜50%とした。より好ましいNiの含有率は34〜45%であり、さらに好ましいNiの含有率は38〜45%であり、最も好ましいNiの含有率は38〜41%である。
(2)Cr(クロム)
Crは、Fe母相に固溶し、母相の固溶強化および線膨張係数の増加をもたらす。また、Crは、γ’相の固溶温度を上昇させるため、γ’相の析出が促進される。これらの効果は、Crの含有率が5%以上で発揮される。また、Crの含有率が13%以下において、十分に小さい線膨張係数が得られる。そのため、Crの含有率を5〜13%とした。より好ましいCrの含有率は6〜10%であり、さらに好ましいCrの含有率は6〜8%である。
(3)Co(コバルト)
Coは、Fe母相に固溶し、母相の固溶強化および線膨張係数の低下をもたらす。これらの効果は、Coの含有率が0.1%以上で発揮される。また、Coの含有率が12%以下において、材料コストの増加や耐力の低下が抑えられる。そのため、Coの含有率を0.1〜12%とした。より好ましいCoの含有率は0.1〜6%であり、さらに好ましいCoの含有率は0.1〜4%である。
(4)Nb(ニオブ)
Nbは、Fe母相に固溶し、母相の固溶強化および線膨張係数の低下をもたらす。また、Nbは、γ’相を形成して安定化させる。これらの効果は、Nbの含有率が0.1%以上で発揮される。また、Nbの含有率が5%以下において、材料コストの増加やδ(Ni(Nb,Ta))相(金属間化合物)の析出が抑えられる。そのため、Nbの含有率を0.1〜5%以下とした。より好ましいNbの含有率は0.1〜3%であり、さらに好ましいNbの含有率は0.1〜2%である。
(5)V(バナジウム)
Vは、Fe母相に固溶し、線膨張係数の低下をもたらす。これらの効果は、Vの含有率が0.1%以上で発揮される。また、Vの含有率が0.5%以下において、安定したオーステナイト構造が得られるとともに、σ相の析出が抑制される。そのため、Vの含有率を0.1〜0.5%とした。より好ましいVの含有率は0.1〜0.4%であり、さらに好ましいVの含有率は0.1〜0.3%である。
(6)Ti(チタン)
Tiは、γ’相を形成して、強度を高める。Tiの含有率が1.90%以上において、γ’相の析出の促進が図れる。また、Tiの含有率が2.35%以下において、安定したオーステナイト構造が得られるとともに、線膨張係数の増加を抑え、炭化物や窒化物の形成による延性の低下を抑制する。そのため、Tiの含有率を1.90〜2.35%とした。
(7)Al(アルミニウム)
Alは、γ’相を形成して強度を高めるが、添加することでγ’相が過剰に析出して溶接性が低下する。そのため、Alの含有率を0.01〜0.30%とした。より好ましいAlの含有率は0.01〜0.20%であり、さらに好ましいAlの含有率は0.01〜0.10%である。
(8)B(ホウ素)
Bは、Fe母相に固溶して、特に粒界偏析するため、粒界強化をもたらす。また、Bは、Tiを多く含む場合、η相の析出を抑制する効果がある。これらの効果は、Bの含有率が0.001%以上において発揮される。また、Bの含有率が0.01%以下において、母相の融点の低下を抑え、熱間加工性の低下を抑制する。そのため、Bの含有率を0.001〜0.01%とした。より好ましいBの含有率は0.004〜0.006%である。
(9)C(炭素)
Cは、Crとの炭化物を形成もしくは母相に固溶し、母相の固溶強化をもたらす。Cの含有率が0.001%未満の場合には、上記した効果が十分に発揮されない。一方、Cの含有率が0.1%を超えると、オーステナイト構造の不安定化をもたらすとともに、炭化物が粗大化しすぎて高温強度を低下させる。そのため、Cの含有率を0.001〜0.1%とした。さらに好ましいCの含有率は0.01〜0.08%であり、さらに好ましいCの含有率は0.01〜0.05%である。
(10)N(窒素)、Si(ケイ素)、Mn(マンガン)、P(リン)およびS(硫黄)
N、Si、Mn、PおよびSは、実施の形態のオーステナイト系耐熱鋼においては、不可避的不純物に分類されるものである。これらの不可避的不純物は、可能な限りその残存含有率を0%に近づけることが好ましい。
次に、実施形態の蒸気タービンシステムについて説明する。
図5に、実施形態の蒸気タービンシステムの一例を示す。図5に示される実施形態の蒸気タービンは、タービンロータ(I)1、タービンロータ(II)2、タービンロータ(III)3、羽根4およびノズルダイアフラム5を有する。ここでタービンロータ(I)1、タービンロータ(II)2、タービンロータ(III)3は、それぞれ溶接などによって接合されており、一体物としてタービンロータを構成している。また、羽根4は、タービンロータに植え込まれている動翼と、ノズルダイアフラム5やノズルボックスに溶接などによって接合されている静翼からなる。これらタービンロータ、羽根4、ノズルダイアフラム5は、グランドパッキン6、ノズルボックス7、内部ケーシング8、外部ケーシング9によって支持されており、蒸気が漏えいしないような構造となっている。また、グランドパッキン6、ノズルボックス7、内部ケーシング8、外部ケーシング9は、上半分と下半分に部材が分かれており、水平フランジ面において多数のボルト10によって締結されている。また、外部ケーシング9には、主蒸気配管11が溶接などによって接合されている。
このような実施形態において、蒸気温度が620℃以上となる高温高効率な蒸気タービンシステムにおいては、主蒸気配管11、内部ケーシング8、ボルト10、ノズルボックス7、タービンロータ(II)2、羽根4、ノズルダイアフラム5などのメタル温度が620℃近くに達し、高温蒸気に晒される部位について、高温強度が高いオーステナイト系耐熱鋼あるいはNi基合金を使用することが望ましい。一方、外部ケーシング9、内部ケーシング8の一部、グランドパッキン6、タービンロータ(III)3、タービンロータ(I)1、羽根4、ノズルダイアフラム5などのメタル温度が600℃以下もしくは550℃以下に晒される部位については、従来プラントで使用されている高Crフェライト系耐熱鋼もしくは低合金鋼を使用することが望ましい。
このような実施形態において、オーステナイト系耐熱鋼からなる構成部材と、フェライト系耐熱鋼もしくはNi基合金からなる構成部材があるクリアランスを持って対向する箇所としては、タービンロータとグランドパッキン6、羽根4とノズルダイアフラム5がある。また、オーステナイト系耐熱鋼からなる構成部材と、フェライト系耐熱鋼もしくはNi基合金からなる構成部材が接触する箇所としては、タービンロータと羽根4、ノズルダイアフラム5と内部ケーシング8、内部ケーシング8と内部ケーシング8、内部ケーシング8とボルト10がある。さらに、オーステナイト系耐熱鋼からなる構成部材と、フェライト系耐熱鋼もしくはNi基合金からなる構成部材が接合する箇所としては、タービンロータ(I)1とタービンロータ(II)2、タービンロータ(II)2とタービンロータ(III)3、ノズルボックス7と羽根4、ノズルダイアフラム5と羽根4、外部ケーシング9と主蒸気配管11がある。
ここで、接合方法の代表例は溶接であるが、接合方法は溶接に限定されず、摩擦圧接、摩擦撹拌接合、ロウ付けなどの手段も該当する。
このような実施形態において、オーステナイト系耐熱鋼からなる構成部材とフェライト系耐熱鋼もしくはNi基合金からなる構成部材が対向、接触もしくは接合している箇所について、材料の平均線膨張係数差を400℃〜700℃の範囲で小さくすることにより、各箇所の熱変形による疲労やクリープ損傷を軽減することが可能であり、運用上の制約を必要としない蒸気タービンシステムの構築が可能となる。
なお、実施形態は、上記の例に限定されるものではない。なお、実施形態のオーステナイト系耐熱鋼やタービン構成部材は、例えば、蒸気タービン、ガスタービン、COタービンなどの様々な発電用タービンに適用することができる。
以上、本発明のいくつかの実施形態による蒸気タービンならびに蒸気タービンシステムを説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定するものではない。これらの実施形態は、その他の様々な形態で実施することが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更あるいは付加等を行うことができる。これらの実施形態やその変形例は、発明の範囲や要旨に含まれると共に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
1:タービンロータ(I)、2:タービンロータ(II)、3:タービンロータ(III)、4:羽根、5:ノズルダイアフラム、6:グランドパッキン、7:ノズルボックス、8:内部ケーシング、9:外部ケーシング、10:ボルト、11:主蒸気配管

Claims (8)

  1. 複数の構成部材からなる蒸気タービンにおいて、少なくとも2つの構成部材が、(イ)オーステナイト系耐熱鋼とフェライト系耐熱鋼との組み合わせ、もしくは(ロ)オーステナイト系耐熱鋼とNi基合金との組み合わせによって構成されており、
    温度T(℃)が400〜700℃の範囲における前記2つの構成部材の形成材料の平均線膨張係数差Δα(1/℃)が、前記(イ)についてはΔα=(1.5+(1.4×10−3)×T)×10−6以下であり、前記(ロ)ついてはΔα=(2.2−(1.4×10−3)×T)×10−6以下であることを特徴とする、蒸気タービン。
  2. 前記オーステナイト系耐熱鋼の構成部材と、前記フェライト系耐熱鋼もしくはNi基合金の構成部材がクリアランスを持って対向している、請求項1に記載の蒸気タービン。
  3. 前記オーステナイト系耐熱鋼の構成部材と、前記フェライト系耐熱鋼もしくはNi基合金の構成部材が接触している、請求項1に記載の蒸気タービン。
  4. 前記オーステナイト系耐熱鋼の構成部材と、前記フェライト系耐熱鋼もしくはNi基合金の構成部材が接合されている、請求項1に記載の蒸気タービン。
  5. 620℃以上の蒸気に接する構成部材において前記オーステナイト系耐熱鋼が用いられている、請求項1〜4にいずれか1項に記載の蒸気タービン。
  6. 前記タービンの構成部材である動翼、静翼、ボルト、ロータ、ケーシング、ノズルボックス、配管および小型部材の少なくとも一つが、質量で、Ni:24〜50%、Cr:5〜13%、V:0.1〜0.5%、Ti:1.90〜2.35%、Al:0.01〜0.30%、B:0.001〜0.01%、C:0.001〜0.1%を含有し、残部がFeおよび不可避的不純物であるオーステナイト系耐熱鋼からなる、請求項1〜5のいずれか1項に記載の蒸気タービン。
  7. 前記タービンの構成部材である動翼、静翼、ボルト、ロータ、ケーシング、ノズルボックス、配管および小型部材の少なくとも一つが、質量で、Ni:24〜50%、Cr:5〜13%、Co:0.1〜12%、V:0.1〜0.5%、Ti:1.90〜2.35%、Al:0.01〜0.30%、B:0.001〜0.01%、C:0.001〜0.1%を含有し、残部がFeおよび不可避的不純物であるオーステナイト系耐熱鋼からなる、請求項1〜5のいずれか1項に記載の蒸気タービン。
  8. 前記タービンの構成部材である動翼、静翼、ボルト、ロータ、ケーシング、ノズルボックス、配管および小型部材の少なくとも一つが、質量で、Ni:24〜50%、Cr:5〜13%、Nb:0.1〜5%、V:0.1〜0.5%、Ti:1.90〜2.35%、Al:0.01〜0.30%、B:0.001〜0.01%、C:0.001〜0.1%を含有し、残部がFeおよび不可避的不純物であるオーステナイト系耐熱鋼からなる、請求項1〜5のいずれか1項に記載の蒸気タービン。
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