JP2021042334A - 難燃性樹脂組成物、これを用いたケーブル及びワイヤハーネス - Google Patents
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Abstract
【課題】優れた難燃性、耐摩耗性及び耐ブルーム性を有する難燃性樹脂組成物等を提供すること。【解決手段】ポリオレフィン樹脂を含むベース樹脂と、難燃剤と、難燃助剤とを含み、難燃剤が、シリコーン系化合物と、脂肪酸含有化合物と、炭酸カルシウム粒子及び珪酸塩化合物粒子からなる群より選択される少なくとも1種からなる無機粒子とを含み、難燃助剤が、水酸化アルミニウムと、ヒンダードアミン系化合物とを含み、ベース樹脂100質量部に対して、シリコーン系化合物が1〜10質量部の割合で配合され、脂肪酸含有化合物が3〜20質量部の割合で配合され、無機粒子が6〜40質量部の割合で配合され、水酸化アルミニウムが3〜40質量部の割合で配合され、ヒンダードアミン系化合物が0.1〜5質量部の割合で配合される、難燃性樹脂組成物。【選択図】なし
Description
本発明は、難燃性樹脂組成物、これを用いたケーブル及びワイヤハーネスに関する。
ケーブルにおいては、導体又は光ファイバケーブルを被覆する絶縁体として難燃性樹脂組成物が使用されることがある。
このような難燃性樹脂組成物としては、ポリオレフィン樹脂に、難燃剤又は難燃助剤として、シリコーン系化合物、脂肪酸含有化合物、炭酸カルシウム及びトリアジン環含有ヒンダードアミン系化合物を配合した難燃性樹脂組成物が知られている(下記特許文献1参照)。
また、ポリオレフィン樹脂に、難燃剤又は難燃助剤として、シリコーン系化合物、脂肪酸含有化合物、炭酸カルシウム及び水酸化アルミニウムを配合した難燃性樹脂組成物も知られている(下記特許文献2参照)。
また、ポリオレフィン樹脂に、難燃剤又は難燃助剤として、シリコーン系化合物、脂肪酸含有化合物、水酸化アルミニウム及びトリアジン環含有ヒンダードアミン系化合物を配合した難燃性樹脂組成物も知られている(下記特許文献3参照)。
しかし、上記特許文献1〜3に記載の難燃性樹脂組成物は、難燃性の点で改善の余地を有していた。ここで、ポリオレフィン樹脂に配合するシリコーン系化合物、脂肪酸含有化合物又は炭酸カルシウムの添加量を増加させれば難燃性を向上させることはできるが、この場合、難燃性樹脂組成物の耐ブルーム性又は耐摩耗性が低下する。
このため、優れた難燃性、耐摩耗性及び耐ブルーム性を有する難燃性樹脂組成物が求められていた。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、優れた難燃性、耐摩耗性及び耐ブルーム性を有する難燃性樹脂組成物、これを用いたケーブル及びワイヤハーネスを提供することを目的とする。
本発明者らは上記課題を解決するため検討を重ねた。その結果、本発明者らは、以下の発明により上記課題を解決し得ることを見出した。
すなわち本発明は、ポリオレフィン樹脂を含むベース樹脂と、難燃剤と、難燃助剤とを含み、前記難燃剤が、シリコーン系化合物と、脂肪酸含有化合物と、炭酸カルシウム粒子及び珪酸塩化合物粒子からなる群より選択される少なくとも1種からなる無機粒子とを含み、前記難燃助剤が、水酸化アルミニウムと、ヒンダードアミン系化合物とを含み、前記ベース樹脂100質量部に対して、前記シリコーン系化合物が1〜10質量部の割合で配合され、前記脂肪酸含有化合物が3〜20質量部の割合で配合され、前記無機粒子が6〜40質量部の割合で配合され、前記水酸化アルミニウムが3〜40質量部の割合で配合され、前記ヒンダードアミン系化合物が0.1〜5質量部の割合で配合される、難燃性樹脂組成物である。
本発明の難燃性樹脂組成物によれば、優れた難燃性、耐摩耗性及び耐ブルーム性を有する。
なお、本発明者らは、本発明の難燃性樹脂組成物において、上記の効果が得られる理由については以下のように推察している。
すなわち、難燃性樹脂組成物中に、シリコーン系化合物、脂肪酸含有化合物及び無機粒子が難燃剤として含まれることで、難燃性樹脂組成物の燃焼時に、ポリオレフィン樹脂を含むベース樹脂の表面に炭化層(チャー)が形成される。ここで、水酸化アルミニウム及びヒンダードアミン系化合物が難燃助剤として含まれることで、これら難燃助剤が、上記難燃剤との相乗効果により、難燃性樹脂組成物の難燃性を高めるように作用する。このため、ベース樹脂の燃焼が抑制され、難燃性樹脂組成物において優れた難燃性が得られる。また難燃性樹脂組成物において優れた難燃性が得られるため、ベース樹脂に対するシリコーン系化合物及び脂肪酸含有化合物の配合割合を小さくすることができる。そのため、難燃性樹脂組成物において優れた耐ブルーム性が得られる。さらに、難燃性樹脂組成物において優れた難燃性が得られるため、ベース樹脂に対する無機粒子の配合割合を小さくすることができる。そのため、難燃性樹脂組成物において優れた耐摩耗性が得られる。
上記難燃性樹脂組成物においては、下記式(A)で表されるRが1〜60質量%であることが好ましい。
R=100×r1/r2・・・(A)
(上記式(A)中、r1は、前記ベース樹脂100質量部に対する前記ヒンダードアミン系化合物の配合割合を表し、r2は、前記ベース樹脂100質量部に対する前記水酸化アルミニウムの配合割合を表す。)
R=100×r1/r2・・・(A)
(上記式(A)中、r1は、前記ベース樹脂100質量部に対する前記ヒンダードアミン系化合物の配合割合を表し、r2は、前記ベース樹脂100質量部に対する前記水酸化アルミニウムの配合割合を表す。)
この場合、Rが1質量%未満である場合に比べて、難燃性樹脂組成物の難燃性をより向上させることができる。また、Rが60質量%を超える場合に比べて、難燃性樹脂組成物の難燃性をより向上させることができる。
上記難燃性樹脂組成物においては、前記ヒンダードアミン系化合物が、トリアジン環及び下記式(1)で表される一価の基の少なくとも一方を含有するヒンダードアミン系化合物であることが好ましい。
(前記式(1)中、R1〜R4は各々独立に、炭素数1〜8のアルキル基を表し、R5は、炭素数1〜50のアルキル基、炭素数5〜12のシクロアルキル基、炭素数7〜25のアラルキル基又は炭素数6〜12のアリール基を表す。)
この場合、ヒンダードアミン系化合物が、トリアジン環及び上記式(1)で表される一価の基のいずれも含有しないヒンダードアミン系化合物である場合に比べて、難燃性樹脂組成物の難燃性をより向上させることができる。
上記難燃性樹脂組成物においては、前記ポリオレフィン樹脂中の、極性基を含有する極性基含有ポリオレフィン樹脂の含有率が1〜10質量%であることが好ましい。
この場合、ポリオレフィン樹脂中の極性基含有ポリオレフィン樹脂の含有率が1質量%未満である場合と比べて、ポリオレフィン樹脂と難燃剤及び難燃助剤との相溶性がより高まり、難燃性樹脂組成物の耐ブルーム性及び耐摩耗性をより向上させることができる。一方、ポリオレフィン樹脂中の極性基含有ポリオレフィン樹脂の含有率が10質量%を超える場合と比べて、難燃性の低下を抑制するとともに、コストの上昇をより十分に抑えることができる。
また本発明は、導体又は光ファイバで構成される伝送媒体と、前記伝送媒体を被覆する絶縁体とを備え、前記絶縁体が、上述した難燃性樹脂組成物で構成される絶縁部を含む、ケーブルである。
上述した難燃性樹脂組成物が、優れた難燃性、耐摩耗性及び耐ブルーム性を有するため、上述した難燃性樹脂組成物で構成される絶縁部を含む絶縁体で伝送媒体を被覆したケーブルは、優れた難燃性、耐摩耗性及び耐ブルーム性を有する。
上記ケーブルにおいては、導体が、アルミニウム又はアルミニウム合金であることが好ましい。
この場合、導体として銅などを用いる場合に比べて、ケーブルをより軽量化できる。
また本発明は、上述したケーブルを有するワイヤハーネスである。
本発明のワイヤハーネスは、優れた難燃性及び耐摩耗性を有するケーブルを有するので、優れた難燃性及び耐摩耗性を有することが可能となる。
本発明によれば、優れた難燃性、耐摩耗性及び耐ブルーム性を有する難燃性樹脂組成物、これを用いたケーブル及びワイヤハーネスが提供される。
以下、本発明の実施形態について詳細に説明する。
<難燃性樹脂組成物>
本発明の難燃性樹脂組成物は、ポリオレフィン樹脂を含むベース樹脂と、難燃剤と、難燃助剤とを含む。難燃剤は、シリコーン系化合物と、脂肪酸含有化合物と、炭酸カルシウム粒子及び珪酸塩化合物粒子からなる群より選択される少なくとも1種からなる無機粒子とを含み、難燃助剤は、水酸化アルミニウムと、ヒンダードアミン系化合物とを含む。そして、ベース樹脂100質量部に対して、シリコーン系化合物が1〜10質量部の割合で配合され、脂肪酸含有化合物が3〜20質量部の割合で配合され、無機粒子が6〜40質量部の割合で配合され、水酸化アルミニウムが3〜40質量部の割合で配合され、ヒンダードアミン系化合物が0.1〜5質量部の割合で配合される。
本発明の難燃性樹脂組成物は、ポリオレフィン樹脂を含むベース樹脂と、難燃剤と、難燃助剤とを含む。難燃剤は、シリコーン系化合物と、脂肪酸含有化合物と、炭酸カルシウム粒子及び珪酸塩化合物粒子からなる群より選択される少なくとも1種からなる無機粒子とを含み、難燃助剤は、水酸化アルミニウムと、ヒンダードアミン系化合物とを含む。そして、ベース樹脂100質量部に対して、シリコーン系化合物が1〜10質量部の割合で配合され、脂肪酸含有化合物が3〜20質量部の割合で配合され、無機粒子が6〜40質量部の割合で配合され、水酸化アルミニウムが3〜40質量部の割合で配合され、ヒンダードアミン系化合物が0.1〜5質量部の割合で配合される。
本発明の難燃性樹脂組成物は、優れた難燃性、耐摩耗性及び耐ブルーム性を有する。
以下、ベース樹脂、難燃剤及び難燃助剤について詳細に説明する。
(A)ベース樹脂
ベース樹脂はポリオレフィン樹脂を含む。この場合、ベース樹脂がポリオレフィン樹脂を含まない場合に比べて、難燃性樹脂組成物の耐摩耗性をより向上させることができる。
ベース樹脂はポリオレフィン樹脂を含む。この場合、ベース樹脂がポリオレフィン樹脂を含まない場合に比べて、難燃性樹脂組成物の耐摩耗性をより向上させることができる。
ポリオレフィン樹脂としては、例えばポリエチレン(PE)、プロピレン系樹脂、ポリブテン、ポリメチルペンテンなどの極性基非含有ポリオレフィン樹脂、極性基含有ポリオレフィン樹脂及びオレフィン系熱可塑性エラストマなどが挙げられる。これらは単独で又は2種以上を組み合せて用いることができる。
ポリオレフィン樹脂としては、コスト及び比重の観点からは、PE、プロピレン系樹脂が好ましく、耐熱性及び耐摩耗性の観点からは、プロピレン系樹脂が好ましい。
プロピレン系樹脂は、プロピレンを主として構成単位として含む樹脂であり、プロピレン系樹脂としては、例えばホモポリプロピレン、プロピレンブロックコポリマー及びプロピレンランダムコポリマーが挙げられる。これらは単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。これらの中でも、プロピレンブロックコポリマーが、耐衝撃性及び低温脆性の観点から好ましい。
極性基含有ポリオレフィン樹脂は、極性基を含有するポリオレフィン樹脂である。
極性基含有ポリオレフィン樹脂の極性基としては、例えばマレイン酸基、メタクリル酸基、無水フマル酸基、無水マレイン酸基、ヒドロキシル基及びカルボキシ基などが挙げられる。中でも、極性基としては、無水マレイン酸基が好ましい。この場合、ベース樹脂中のポリオレフィン樹脂の含有率が少量でもベース樹脂と、上記無機粒子、シリコーン系化合物及び脂肪酸含有化合物を含む難燃剤との相溶性がより高まり、難燃性樹脂組成物の耐ブルーム性及び耐摩耗性をより向上させることができる。
極性基含有ポリオレフィン樹脂としては、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)、エチレン−アクリル酸エチル共重合体(EEA)、エチレン−アクリル酸ブチル共重合体(EBA)、それらの無水マレイン酸変性ポリマー、無水マレイン酸変性ポリプロピレン、および、マレイン酸、無水マレイン酸などの不飽和カルボン酸で変性されたエチレン−α−オレフィン共重合体、などが挙げられる。
ここで、ポリオレフィン樹脂中の極性基含有ポリオレフィン樹脂の含有率は特に制限されるものではないが、1〜10質量%であることが好ましい。この場合、ポリオレフィン樹脂中の極性基含有ポリオレフィン樹脂の含有率が1質量%未満である場合と比べて、ポリオレフィン樹脂と難燃剤及び難燃助剤との相溶性がより高まり、難燃性樹脂組成物の耐ブルーム性及び耐摩耗性をより向上させることができる。一方、ポリオレフィン樹脂中の極性基含有ポリオレフィン樹脂の含有率が10質量%を超える場合と比べて、難燃性の低下を抑制するとともに、コストの上昇をより十分に抑えることができる。ポリオレフィン樹脂中の極性基含有ポリオレフィン樹脂の含有率は2〜5質量%であることがより好ましい。
ベース樹脂は、ポリオレフィン樹脂以外の樹脂(非ポリオレフィン樹脂)をさらに含んでいてもよい。このような非オレフィン樹脂としては、例えばスチレン系熱可塑性エラストマ、ポリアミド樹脂及びポリエステル樹脂などが挙げられる。これらは単独で又は2種以上を混合して用いることができる。
ベース樹脂は架橋されていてもよく、架橋されていなくてもよいが、架橋されていることが好ましい。ベース樹脂が架橋されている場合、難燃性樹脂組成物の耐熱性及び耐摩耗性をより向上させることができる。ここで、架橋としては、シラン架橋、電子線架橋および過酸化物架橋が挙げられる。中でも、シラン架橋が好ましい。シラン架橋は、電子線架橋と比べて、高度な設備が不要であり、難燃性樹脂組成物の厚さが大きくても十分にベース樹脂を架橋できる。また、シラン架橋は、過酸化物架橋に比べて、押出時のスコーチの発生を十分に抑制することができる。
(B)難燃剤
難燃剤は、シリコーン化合物と、脂肪酸含有化合物と、無機粒子とを含む。
難燃剤は、シリコーン化合物と、脂肪酸含有化合物と、無機粒子とを含む。
(B1)シリコーン化合物
シリコーン化合物としては、ポリオルガノシロキサンなどが挙げられる。ここで、ポリオルガノシロキサンは、シロキサン結合を主鎖とし側鎖に有機基を有するものであり、有機基としては、例えばメチル基、エチル基、プロピル基などのアルキル基;ビニル基;及びフェニル基などのアリール基などが挙げられる。具体的にはポリオルガノシロキサンとしては、例えばジメチルポリシロキサン、メチルエチルポリシロキサン、メチルオクチルポリシロキサン、メチルビニルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン及びメチル(3,3,3−トリフルオロプロピル)ポリシロキサンなどが挙げられる。ポリオルガノシロキサンは、シリコーンオイル、シリコーンパウダー、シリコーンガム又はシリコーンレジンの形態で用いられる。中でも、ポリオルガノシロキサンは、シリコーンガムの形態で用いられることが好ましい。この場合、シリコーン化合物がシリコーンガム以外のシリコーン化合物である場合に比べて、難燃性樹脂組成物の耐ブルーム性をより向上させることができる。
シリコーン化合物としては、ポリオルガノシロキサンなどが挙げられる。ここで、ポリオルガノシロキサンは、シロキサン結合を主鎖とし側鎖に有機基を有するものであり、有機基としては、例えばメチル基、エチル基、プロピル基などのアルキル基;ビニル基;及びフェニル基などのアリール基などが挙げられる。具体的にはポリオルガノシロキサンとしては、例えばジメチルポリシロキサン、メチルエチルポリシロキサン、メチルオクチルポリシロキサン、メチルビニルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン及びメチル(3,3,3−トリフルオロプロピル)ポリシロキサンなどが挙げられる。ポリオルガノシロキサンは、シリコーンオイル、シリコーンパウダー、シリコーンガム又はシリコーンレジンの形態で用いられる。中でも、ポリオルガノシロキサンは、シリコーンガムの形態で用いられることが好ましい。この場合、シリコーン化合物がシリコーンガム以外のシリコーン化合物である場合に比べて、難燃性樹脂組成物の耐ブルーム性をより向上させることができる。
シリコーン化合物は、上述したようにベース樹脂100質量部に対して1〜10質量部の割合で配合される。この場合、ベース樹脂100質量部に対するシリコーン化合物の配合割合が1質量部未満である場合に比べて、難燃性樹脂組成物の難燃性を向上させることができる。
また、ベース樹脂100質量部に対するシリコーン化合物の配合割合が10質量部を超える場合に比べて、難燃性樹脂組成物の耐ブルーム性をより向上させることができる。
ベース樹脂100質量部に対するシリコーン化合物の配合割合は1.5質量部以上であることが好ましい。この場合、ベース樹脂100質量部に対するシリコーン化合物の配合割合が1.5質量部未満である場合に比べて、難燃性樹脂組成物の難燃性をより向上させることができる。ベース樹脂100質量部に対するシリコーン化合物の配合割合は3質量部以上であることがより好ましい。この場合、ベース樹脂100質量部に対するシリコーン化合物の配合割合が3質量部未満である場合に比べて、難燃性樹脂組成物の難燃性をより一層向上させることができる。
ベース樹脂100質量部に対するシリコーン化合物の配合割合は8質量部以下であることが好ましい。この場合、ベース樹脂100質量部に対するシリコーン化合物の配合割合が8質量部を超える場合に比べて、難燃性樹脂組成物の耐ブルーム性をより向上させることができる。ベース樹脂100質量部に対するシリコーン化合物の配合割合は7質量部未満であることがより好ましい。この場合、ベース樹脂100質量部に対するシリコーン化合物の配合割合が7質量部以上である場合に比べて、難燃性樹脂組成物の耐ブルーム性をより一層向上させることができる。
(B2)脂肪酸含有化合物
脂肪酸含有化合物は、脂肪酸又はその金属塩を言う。ここで、脂肪酸としては、例えば炭素原子数が12〜28である脂肪酸が用いられる。このような脂肪酸としては、例えばラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ツベルクロステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、アラキドン酸、ベヘン酸及びモンタン酸が挙げられる。中でも、脂肪酸としては、ステアリン酸又はツベルクロステアリン酸が好ましく、ステアリン酸が特に好ましい。この場合、ステアリン酸又はツベルクロステアリン酸以外の脂肪酸を用いる場合に比べて、より優れた難燃性が得られる。
脂肪酸含有化合物は、脂肪酸又はその金属塩を言う。ここで、脂肪酸としては、例えば炭素原子数が12〜28である脂肪酸が用いられる。このような脂肪酸としては、例えばラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ツベルクロステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、アラキドン酸、ベヘン酸及びモンタン酸が挙げられる。中でも、脂肪酸としては、ステアリン酸又はツベルクロステアリン酸が好ましく、ステアリン酸が特に好ましい。この場合、ステアリン酸又はツベルクロステアリン酸以外の脂肪酸を用いる場合に比べて、より優れた難燃性が得られる。
脂肪酸含有化合物は脂肪酸の金属塩であることが好ましい。この場合、脂肪酸含有化合物が脂肪酸である場合に比べて、難燃性樹脂組成物において、より優れた難燃性が得られる。脂肪酸の金属塩を構成する金属としては、マグネシウム、カルシウム、亜鉛及び鉛などが挙げられる。脂肪酸の金属塩としては、ステアリン酸マグネシウムが好ましい。この場合、ステアリン酸マグネシウム以外の脂肪酸金属塩を用いる場合に比べて、難燃性樹脂組成物においてより少ない添加量でより優れた難燃性が得られる。
脂肪酸含有化合物は、上述したようにベース樹脂100質量部に対して3〜20質量部の割合で配合される。この場合、ベース樹脂100質量部に対する脂肪酸含有化合物の割合が3質量部未満である場合に比べて、難燃性樹脂組成物の難燃性を向上させることができる。
また、ベース樹脂100質量部に対する脂肪酸含有化合物の配合割合が20質量部を超える場合に比べて、難燃性樹脂組成物の耐ブルーム性をより向上させることができる。
ベース樹脂100質量部に対する脂肪酸含有化合物の配合割合は4質量部以上であることが好ましい。この場合、ベース樹脂100質量部に対する脂肪酸含有化合物の配合割合が4質量部未満である場合に比べて、難燃性樹脂組成物の難燃性をより向上させることができる。ベース樹脂100質量部に対する脂肪酸含有化合物の配合割合は5質量部以上であることがより好ましい。この場合、ベース樹脂100質量部に対する脂肪酸含有化合物の配合割合が5質量部未満である場合に比べて、難燃性樹脂組成物の難燃性をより一層向上させることができる。
ベース樹脂100質量部に対する脂肪酸含有化合物の配合割合は15質量部以下であることが好ましい。この場合、ベース樹脂100質量部に対する脂肪酸含有化合物の配合割合が15質量部を超える場合に比べて、難燃性樹脂組成物の耐ブルーム性をより向上させることができる。ベース樹脂100質量部に対する脂肪酸含有化合物の配合割合は10質量部以下であることが好ましい。この場合、ベース樹脂100質量部に対する脂肪酸含有化合物の配合割合が10質量部を超える場合に比べて、難燃性樹脂組成物の耐ブルーム性をより一層向上させることができる。
(B3)無機粒子
無機粒子は、炭酸カルシウム粒子、珪酸塩化合物粒子又はこれらの混合物で構成される。
無機粒子は、炭酸カルシウム粒子、珪酸塩化合物粒子又はこれらの混合物で構成される。
無機粒子として炭酸カルシウム粒子、珪酸塩化合物粒子又はこれらの混合物を用いると、水酸化マグネシウムに比べて、少量で効果的に難燃性を向上させることができるため、難燃性樹脂組成物の軽量化を図ることができる。炭酸カルシウム粒子は、重質炭酸カルシウム又は軽質炭酸カルシウムのいずれでもよい。また、珪酸塩化合物粒子としてはタルク粒子及びクレー粒子などが挙げられる。
無機粒子の平均粒径は、特に制限されるものではないが、0.7μm以上であることが好ましい。この場合、無機粒子の平均粒径が0.7μm未満である場合と比べて、より優れた難燃性が得られる。但し、無機粒子の平均粒径は、1.8μm以下であることが好ましい。この場合、無機粒子の平均粒径が1.8μmを超える場合に比べて、絶縁層2及び被覆層3において耐摩耗性を向上させることができる。
無機粒子は、ベース樹脂100質量部に対して6〜40質量部の割合で配合される。この場合、ベース樹脂100質量部に対する無機粒子の配合割合が6質量部未満である場合に比べて、難燃性樹脂組成物の難燃性をより向上させることができる。また、ベース樹脂100質量部に対する無機粒子の配合割合が40質量部を超える場合に比べて、難燃性樹脂組成物の耐摩耗性をより向上させることができる。
ベース樹脂100質量部に対する無機粒子の配合割合は8質量部以上であることが好ましい。この場合、ベース樹脂100質量部に対する無機粒子の配合割合が8質量部未満である場合に比べて、難燃性樹脂組成物の難燃性をより向上させることができる。ベース樹脂100質量部に対する無機粒子の配合割合は10質量部以上であることがより好ましい。
また、ベース樹脂100質量部に対する無機粒子の配合割合は30質量部以下であることが好ましい。この場合、ベース樹脂100質量部に対する無機粒子の配合割合が30質量部を超える場合と比べて、難燃性樹脂組成物の耐摩耗性をより向上させることができる。ベース樹脂100質量部に対する無機粒子の配合割合は、20質量部以下であることがより好ましい。
(C)難燃助剤
難燃助剤は、水酸化アルミニウムと、ヒンダードアミン系化合物とを含む。
難燃助剤は、水酸化アルミニウムと、ヒンダードアミン系化合物とを含む。
(C1)水酸化アルミニウム
水酸化アルミニウムは、ベース樹脂100質量部に対して3〜40質量部の割合で配合される。この場合、ベース樹脂100質量部に対する水酸化アルミニウムの配合割合が3質量部未満である場合に比べて、難燃性樹脂組成物の難燃性をより向上させることができる。また、ベース樹脂100質量部に対する水酸化アルミニウムの配合割合が40質量部を超える場合に比べて、難燃性樹脂組成物の難燃性をより向上させることができる。
水酸化アルミニウムは、ベース樹脂100質量部に対して3〜40質量部の割合で配合される。この場合、ベース樹脂100質量部に対する水酸化アルミニウムの配合割合が3質量部未満である場合に比べて、難燃性樹脂組成物の難燃性をより向上させることができる。また、ベース樹脂100質量部に対する水酸化アルミニウムの配合割合が40質量部を超える場合に比べて、難燃性樹脂組成物の難燃性をより向上させることができる。
ベース樹脂100質量部に対する水酸化アルミニウムの配合割合は4質量部以上であることが好ましい。この場合、ベース樹脂100質量部に対する水酸化アルミニウムの配合割合が4質量部未満である場合に比べて、難燃性樹脂組成物の難燃性をより向上させることができる。ベース樹脂100質量部に対する水酸化アルミニウムの配合割合は5質量部以上であることがより好ましい。
また、ベース樹脂100質量部に対する水酸化アルミニウムの配合割合は30質量部以下であることが好ましい。この場合、ベース樹脂100質量部に対する水酸化アルミニウムの配合割合が30質量部を超える場合と比べて、難燃性樹脂組成物の難燃性をより向上させることができる。ベース樹脂100質量部に対する水酸化アルミニウムの配合割合は、20質量部以下であることがより好ましい。
(C2)ヒンダードアミン系化合物
ヒンダードアミン系化合物は、トリアジン環及び下記式(1)で表される一価の基(以下、「NOR含有基」と呼ぶ)の少なくとも一方を含有していてもよいし、いずれも含有していなくてよいが、含有していることが好ましい。
(上記式(1)中、R1〜R4は各々独立に、炭素数1〜8のアルキル基を表し、R5は、炭素数1〜50のアルキル基、炭素数5〜12のシクロアルキル基、炭素数7〜25のアラルキル基又は炭素数6〜12のアリール基を表す。)
ヒンダードアミン系化合物は、トリアジン環及び下記式(1)で表される一価の基(以下、「NOR含有基」と呼ぶ)の少なくとも一方を含有していてもよいし、いずれも含有していなくてよいが、含有していることが好ましい。
この場合、ヒンダードアミン系化合物は、トリアジン環及びNOR含有基のいずれも含有していない場合に比べて、難燃性樹脂組成物の難燃性をより向上させることができる。
また、ヒンダードアミン系化合物は、トリアジン環及びNOR含有基をいずれも含有していることが好ましい。この場合、ヒンダードアミン系化合物がトリアジン環を含有しNOR含有基を含有しない場合に比べて、難燃性樹脂組成物の難燃性をより向上させることができる。
上記式(1)において、R1〜R4は各々独立に、炭素数1〜8のアルキル基を表し、R5は、炭素数1〜50のアルキル基、炭素数5〜12のシクロアルキル基、炭素数7〜25のアラルキル基又は炭素数6〜12のアリール基を表す。
上記式(1)において、R1〜R4で表されるアルキル基としては、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基およびオクチル基が挙げられる。
ここで、「アルキル基」には、非置換アルキル基のみならず、置換アルキル基も含まれる。置換アルキル基としては、非置換アルキル基の水素原子を塩素等のハロゲン原子で置換したものなどを用いることができる。
上記式(1)において、R5で表されるアルキル基としては、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基およびオクタデシル基などが挙げられる。
R5で表されるシクロアルキル基としては、シクロペンチル基、シクロへキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、シクロノニル基、シクロデシル基、シクロウンデシル基及びシクロドデシル基などが挙げられる。
R5で表されるアラルキル基としては、ベンジル基(フェニルメチル基)、フェニルエチル基、フェニルプロピル基、ナフチルメチル基、ナフチルエチル基、アントリルメチル基及びアントリルエチル基などが挙げられる。
R5で表されるアリール基としては、フェニル基及びナフチル基などが挙げられる。
上記式(1)においては、R1〜R4が各々独立に、炭素数1〜3のアルキル基を表し、R5は、炭素数5〜8のシクロアルキル基を表すことが好ましい。この場合、難燃性樹脂組成物の難燃性をより向上させることができる。
ヒンダードアミン化合物としては、具体的には、下記式(2)で示される化合物、下記式(3)で示される化合物などが挙げられる。
(上記式(2)中、R6〜R9はアルキルアミノ基を表し、R10〜R14は上記一般式(1)で表される基を表し、R15及びR16はアルキレン基を表し、R17はアルキルイミノ基を表す。nは1〜15の整数を表す。)
(上記式(3)中、R18〜R20は下記一般式(4)で表される基を表す。)
(上記式(4)中、R21〜R24は上記一般式(1)で表される基又はアルキル基を表し、R21〜R24のうち少なくとも2つは上記一般式(1)で表される基を表す。)
ヒンダードアミン系化合物は、ベース樹脂100質量部に対して0.1〜5質量部の割合で配合される。この場合、ベース樹脂100質量部に対するヒンダードアミン系化合物の配合割合が0.1質量部未満である場合に比べて、難燃性樹脂組成物の難燃性をより向上させることができる。また、ベース樹脂100質量部に対するヒンダードアミン系化合物の配合割合が5質量部を超える場合に比べて、難燃性樹脂組成物の難燃性をより向上させることができる。
ベース樹脂100質量部に対するヒンダードアミン系化合物の配合割合は0.2質量部以上であることが好ましい。この場合、ベース樹脂100質量部に対するヒンダードアミン系化合物の配合割合が0.2質量部未満である場合に比べて、難燃性樹脂組成物の難燃性をより向上させることができる。ベース樹脂100質量部に対するヒンダードアミン系化合物の配合割合は0.3質量部以上であることがより好ましい。
また、ベース樹脂100質量部に対するヒンダードアミン系化合物の配合割合は4質量部未満であることが好ましい。この場合、ベース樹脂100質量部に対するヒンダードアミン系化合物の配合割合が4質量部以上である場合と比べて、難燃性樹脂組成物の難燃性をより向上させることができる。ベース樹脂100質量部に対するヒンダードアミン系化合物の配合割合は、2質量部以下であることがより好ましい。
なお、上記難燃性樹脂組成物においては、下記式(A)で表されるRは特に制限されるものではないが、1〜60質量%であることが好ましい。
R=100×r1/r2・・・(A)
(上記式(A)中、r1は、ベース樹脂100質量部に対するヒンダードアミン系化合物の配合割合(質量部)を表し、r2は、ベース樹脂100質量部に対する水酸化アルミニウムの配合割合(質量部)を表す。)
R=100×r1/r2・・・(A)
(上記式(A)中、r1は、ベース樹脂100質量部に対するヒンダードアミン系化合物の配合割合(質量部)を表し、r2は、ベース樹脂100質量部に対する水酸化アルミニウムの配合割合(質量部)を表す。)
この場合、Rが上記範囲内にあると、Rが1質量%未満である場合に比べて、難燃性樹脂組成物の難燃性をより向上させることができる。また、Rが上記範囲内にあると、Rが60質量%を超える場合に比べて、難燃性樹脂組成物の難燃性をより向上させることができる。
上記難燃性樹脂組成物は、酸化防止剤、紫外線劣化防止剤、加工助剤、着色顔料、滑剤などの充填剤を必要に応じてさらに含んでもよい。
上記難燃性樹脂組成物は、ベース樹脂、シリコーン化合物、脂肪酸含有化合物、無機粒子、水酸化アルミニウム、ヒンダードアミン系化合物等を混練することにより得ることができる。混練は、例えばバンバリーミキサ、タンブラ、加圧ニーダ、混練押出機、二軸押出機、ミキシングロール等の混練機で行うことができる。このとき、シリコーン化合物の分散性を向上させる観点からは、ベース樹脂の一部とシリコーン化合物とを混練し、得られたマスターバッチ(MB)を、残りのベース樹脂、脂肪酸含有化合物及び無機粒子等と混練してもよい。
<ケーブル>
(ケーブルの第1実施形態)
次に、本発明のケーブルの第1実施形態について図1及び図2を参照しながら説明する。図1は、本発明に係るケーブルの第1実施形態を示す部分側面図、図2は、図1のII−II線に沿った断面図である。
(ケーブルの第1実施形態)
次に、本発明のケーブルの第1実施形態について図1及び図2を参照しながら説明する。図1は、本発明に係るケーブルの第1実施形態を示す部分側面図、図2は、図1のII−II線に沿った断面図である。
図1及び図2に示すように、ケーブル10は、伝送媒体としての導体1と、導体1を被覆する絶縁体2とを備えている。そして、絶縁体2は、導体1を被覆する絶縁部としての第1絶縁層3と、第1絶縁層3を被覆する絶縁部としての第2絶縁層4とを有している。
ここで、第1絶縁層3及び第2絶縁層4はいずれも、上述した難燃性樹脂組成物で構成され、上述した難燃性樹脂組成物は、優れた難燃性、耐摩耗性及び耐ブルーム性を有する。このため、ケーブル10は、優れた難燃性、耐摩耗性及び外観を有する。
(導体)
導体1は、1本の素線のみで構成されてもよく、複数本の素線を束ねて構成されたものであってもよい。また、導体1は、導体径や導体の材質などについて特に限定されるものではなく、用途に応じて適宜定めることができる。導体1の材料としては、例えば、銅、アルミニウム、又はそれらを含む合金が好ましいが、カーボン材料などの導電性物質も適宜使用できる。
導体1は、1本の素線のみで構成されてもよく、複数本の素線を束ねて構成されたものであってもよい。また、導体1は、導体径や導体の材質などについて特に限定されるものではなく、用途に応じて適宜定めることができる。導体1の材料としては、例えば、銅、アルミニウム、又はそれらを含む合金が好ましいが、カーボン材料などの導電性物質も適宜使用できる。
なお、ケーブル10は、絶縁部として、第1絶縁層3及び第2絶縁層4からなる絶縁体2を有しているが、絶縁体2における絶縁部の数は2つに限定されるものではなく、1つでも3以上でもよい。従って、絶縁体2においては、第1絶縁層3又は第2絶縁層4のいずれかが省略されてもよく、あるいは、絶縁部としての絶縁層が必要に応じてさらに追加されてもよい。
(ケーブルの第2実施形態)
次に、本発明のケーブルの第2実施形態について図3を参照しながら説明する。図3は、本発明のケーブルの第2実施形態としての光ファイバケーブルを示す断面図である。
次に、本発明のケーブルの第2実施形態について図3を参照しながら説明する。図3は、本発明のケーブルの第2実施形態としての光ファイバケーブルを示す断面図である。
図3に示すように、ケーブル20は、伝送媒体としての光ファイバ21と、これを被覆する絶縁体22とを備えている。ここで、光ファイバ21は、絶縁体22を貫通するように設けられている。ここで、絶縁体22は絶縁部で構成され、絶縁部は、上記ケーブルの第1実施形態において第1絶縁層3及び第2絶縁層4を構成する難燃性樹脂組成物で構成される。また、絶縁体22には光ファイバ21を挟むようにノッチ23が形成されている。
ここで、上述した難燃性樹脂組成物は、優れた難燃性、耐摩耗性及び耐ブルーム性を有し、絶縁部が、この難燃性樹脂組成物で構成される。このため、ケーブル20は、優れた難燃性、耐摩耗性及び外観を有する。
なお、ケーブル20においては、絶縁体22が絶縁部で構成されているが、絶縁体22は、絶縁部を被覆し且つ上記実施形態において第1絶縁層3及び第2絶縁層4を構成する難燃性樹脂組成物で構成されていない被覆部をさらに有していてもよい。また、ケーブル20は必ずしもノッチ23を有していなくてもよい。
<ワイヤハーネス>
図4は、本発明のワイヤハーネスの一実施形態を示す断面図である。図4に示すように、ワイヤハーネス30は、ケーブルとしての複数本(図4では4本)のケーブル10を束ねるテープ31とを備える。テープ31は、複数本のケーブル10をその長さ方向に沿って全体的に被覆している必要はなく、複数のケーブル10をその長さ方向に沿って必要な箇所で部分的に被覆していればよい。
図4は、本発明のワイヤハーネスの一実施形態を示す断面図である。図4に示すように、ワイヤハーネス30は、ケーブルとしての複数本(図4では4本)のケーブル10を束ねるテープ31とを備える。テープ31は、複数本のケーブル10をその長さ方向に沿って全体的に被覆している必要はなく、複数のケーブル10をその長さ方向に沿って必要な箇所で部分的に被覆していればよい。
このワイヤハーネス30は、優れた難燃性、耐摩耗性及び耐ブルーム性を有するケーブル10を有するので、優れた難燃性、耐摩耗性及び耐ブルーム性を有することが可能となる。
上記ワイヤハーネス30は、ケーブル10を複数本備えているが、ケーブル10を1本のみ備えていてもよい。
また、上記ワイヤハーネス30は、テープ31を備えているが、ワイヤハーネス30はテープ31の代わりに結束帯、コルゲートチューブ等を用いることもできる。
以下、実施例及び比較例を挙げて本発明の内容をより具体的に説明するが、本発明は、以下の実施例に限定されるものではない。
(実施例1〜71及び比較例1〜33)
ベース樹脂、シリコーンマスターバッチ(シリコーンMB)、脂肪酸含有化合物、無機粒子、水酸化マグネシウム、ヒンダードアミン系化合物及び水酸化アルミニウムを、表1〜12に示す配合量で配合し、2軸押出機(日本製鋼所社製、シリンダ径32mm)によって混練し、難燃性樹脂組成物を得た。なお、表1〜12において、各配合成分の配合量の単位は質量部である。また表1〜12において、ポリオレフィン樹脂の欄の配合量が100質量部となっていないが、ポリオレフィン樹脂の配合量とシリコーンMB中に含まれるポリエチレン(LDPE)又はポリプロピレン(PP)の配合量とを合計すれば、その合計配合量は100質量部となる。
ベース樹脂、シリコーンマスターバッチ(シリコーンMB)、脂肪酸含有化合物、無機粒子、水酸化マグネシウム、ヒンダードアミン系化合物及び水酸化アルミニウムを、表1〜12に示す配合量で配合し、2軸押出機(日本製鋼所社製、シリンダ径32mm)によって混練し、難燃性樹脂組成物を得た。なお、表1〜12において、各配合成分の配合量の単位は質量部である。また表1〜12において、ポリオレフィン樹脂の欄の配合量が100質量部となっていないが、ポリオレフィン樹脂の配合量とシリコーンMB中に含まれるポリエチレン(LDPE)又はポリプロピレン(PP)の配合量とを合計すれば、その合計配合量は100質量部となる。
次いで、この難燃性樹脂組成物を、単軸押出機(シリンダー径25mm、スクリュー形状:フルフライトスクリュー、マース精機社製)に投入し、その押出機からチューブ状の押出物を押し出し、直径0.32mmの銅素線を37本撚り合わせて直径2.25mmにした導体(断面積3mm2)上に、厚さ0.7mmとなるように被覆した。こうして直径3.65mmのケーブルを得た。
上記ベース樹脂、シリコーンMB、脂肪酸含有化合物、無機粒子、水酸化マグネシウム、ヒンダードアミン系化合物及び水酸化アルミニウムとしては具体的には下記のものを用いた。
(1)ベース樹脂
(1−1)ポリオレフィン樹脂
直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)
MFR(230℃、2.16kg重)7.4g/10分、密度0.937g/cm3(住友化学社製)
低密度ポリエチレン(LDPE)
MFR(190℃、2.16kg重)10.0g/10分密度0.917g/cm3(宇部丸善ポリエチレン社製)
プロピレンブロックコポリマー
MFR(230℃、2.16kg重)9.0g/10分(プライムポリマー社製)
無水マレイン酸変性ポリプロピレン
三井化学社製
無水マレイン酸変性ポリエチレン
デュポン社製
(1−2)熱可塑性エラストマ(非ポリオレフィン樹脂)
スチレン系熱可塑性エラストマ(水添スチレン−ブタジエンゴム(水添SBR))、製品名「ダイナロン1320P」、JSR社製
(1−4)変性ポリオレフィン
(1−1)ポリオレフィン樹脂
直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)
MFR(230℃、2.16kg重)7.4g/10分、密度0.937g/cm3(住友化学社製)
低密度ポリエチレン(LDPE)
MFR(190℃、2.16kg重)10.0g/10分密度0.917g/cm3(宇部丸善ポリエチレン社製)
プロピレンブロックコポリマー
MFR(230℃、2.16kg重)9.0g/10分(プライムポリマー社製)
無水マレイン酸変性ポリプロピレン
三井化学社製
無水マレイン酸変性ポリエチレン
デュポン社製
(1−2)熱可塑性エラストマ(非ポリオレフィン樹脂)
スチレン系熱可塑性エラストマ(水添スチレン−ブタジエンゴム(水添SBR))、製品名「ダイナロン1320P」、JSR社製
(1−4)変性ポリオレフィン
(2)難燃剤
(2−1)シリコーンMB
シリコーンMB1
50質量%シリコーンガムと50質量%低密度ポリエチレン(LLDPE)とを含有(信越化学社製)
シリコーンMB2
50質量%シリコーンガムと50質量%プロピレン系樹脂(PP)とを含有(信越化学社製)
(2−2)脂肪酸含有化合物
ステアリン酸Mg(ADEKA社製)
ステアリン酸(日油社製)
(2−3)無機粒子
炭酸カルシウム粒子
平均粒径1.7μm、製品名「NCC−P」、日東粉化社製
珪酸塩化合物粒子1
カオリンクレー、平均粒径1.5μm、製品名「Glomax LL」、竹原化学工業社製
珪酸塩化合物粒子2
タルク粒子、平均粒径2.5μm、製品名「SG−95」、日本タルク社製
(2−4)水酸化マグネシウム
平均粒径1.1μm、高級脂肪酸表面処理、神島化学社製
(2−1)シリコーンMB
シリコーンMB1
50質量%シリコーンガムと50質量%低密度ポリエチレン(LLDPE)とを含有(信越化学社製)
シリコーンMB2
50質量%シリコーンガムと50質量%プロピレン系樹脂(PP)とを含有(信越化学社製)
(2−2)脂肪酸含有化合物
ステアリン酸Mg(ADEKA社製)
ステアリン酸(日油社製)
(2−3)無機粒子
炭酸カルシウム粒子
平均粒径1.7μm、製品名「NCC−P」、日東粉化社製
珪酸塩化合物粒子1
カオリンクレー、平均粒径1.5μm、製品名「Glomax LL」、竹原化学工業社製
珪酸塩化合物粒子2
タルク粒子、平均粒径2.5μm、製品名「SG−95」、日本タルク社製
(2−4)水酸化マグネシウム
平均粒径1.1μm、高級脂肪酸表面処理、神島化学社製
(3)難燃助剤
(3−1)ヒンダードアミン系化合物
HA系化合物1(トリアジン環及びNOR含有基を含有)
下記構造式で表されるヒンダードアミン化合物、商品名「Flamestab NOR 116FF」、BASF社製
HA系化合物2(トリアジン環及びNOR含有基を含有)
下記構造式で表されるヒンダードアミン化合物、商品名「TINUVIN NOR371FF」、BASF社製
HA系化合物3(トリアジン環を含有し且つNOR含有基を含有せず)
下記構造式で表されるヒンダードアミン化合物、商品名「CYASORB UV−3529」、サンケミカル社製
HA系化合物4(トリアジン環もNOR含有基も含有せず)
下記構造式で表されるヒンダードアミン化合物、商品名「TINUVIN 622SF」、BASF社製
(3−2)水酸化アルミニウム
商品名「BF013S」、日本軽金属社製
(3−1)ヒンダードアミン系化合物
HA系化合物1(トリアジン環及びNOR含有基を含有)
下記構造式で表されるヒンダードアミン化合物、商品名「Flamestab NOR 116FF」、BASF社製
下記構造式で表されるヒンダードアミン化合物、商品名「TINUVIN NOR371FF」、BASF社製
下記構造式で表されるヒンダードアミン化合物、商品名「CYASORB UV−3529」、サンケミカル社製
下記構造式で表されるヒンダードアミン化合物、商品名「TINUVIN 622SF」、BASF社製
商品名「BF013S」、日本軽金属社製
上記のようにして得られた実施例1〜71及び比較例1〜33のケーブルについて、以下のようにして難燃性、耐摩耗性及び耐ブルーム性についての評価を行った。
<難燃性>
実施例1〜71及び比較例1〜33の各々で得られたケーブルから長さ600mmの部分を切り出してサンプルとし、このサンプルについて、JIS C3665−1規格に準拠した垂直一条燃焼試験を行った。具体的には、サンプルの両端を上部支持材と下部支持材とで固定し、上記規格に適合するバーナーで60秒間接炎を行い、上部支持材の下端と炭化の開始点との間の距離D1を難燃性の評価指標の一つとして測定した。なお、上記規格によれば、距離D1が50mm以上で且つ燃焼が上部支持材の下端から540mmより下方に広がらなければ合格(規格合格)であるが、実施例同士間の難燃性の差(裕度)を見るためにさらに、炭化された部分の長さ(燃焼距離)D2を測定し、この燃焼距離D2も難燃性の評価指標に加えた。そして、以下のようにしてランク付けを行い、難燃性の評価を行った。結果を表1〜12に示す。難燃性の合格基準は下記の通りとした。
(評価ランク)
◎◎・・・規格に合格し且つD2が170mm未満
◎・・・・規格に合格し且つD2が170mm以上200mm未満
〇・・・・規格に合格し且つD2が200mm以上300mm未満
△・・・・規格に合格し且つD2が300mm以上
×・・・・規格に不合格
(合格基準)評価ランクが◎◎、◎、〇又は△であること
実施例1〜71及び比較例1〜33の各々で得られたケーブルから長さ600mmの部分を切り出してサンプルとし、このサンプルについて、JIS C3665−1規格に準拠した垂直一条燃焼試験を行った。具体的には、サンプルの両端を上部支持材と下部支持材とで固定し、上記規格に適合するバーナーで60秒間接炎を行い、上部支持材の下端と炭化の開始点との間の距離D1を難燃性の評価指標の一つとして測定した。なお、上記規格によれば、距離D1が50mm以上で且つ燃焼が上部支持材の下端から540mmより下方に広がらなければ合格(規格合格)であるが、実施例同士間の難燃性の差(裕度)を見るためにさらに、炭化された部分の長さ(燃焼距離)D2を測定し、この燃焼距離D2も難燃性の評価指標に加えた。そして、以下のようにしてランク付けを行い、難燃性の評価を行った。結果を表1〜12に示す。難燃性の合格基準は下記の通りとした。
(評価ランク)
◎◎・・・規格に合格し且つD2が170mm未満
◎・・・・規格に合格し且つD2が170mm以上200mm未満
〇・・・・規格に合格し且つD2が200mm以上300mm未満
△・・・・規格に合格し且つD2が300mm以上
×・・・・規格に不合格
(合格基準)評価ランクが◎◎、◎、〇又は△であること
<耐摩耗性>
耐摩耗性は、上記実施例1〜71及び比較例1〜33のケーブルについて、JASO D618に記載の試験方法にてスクレープ摩耗試験を行い、このとき測定される「導通するまでのスクレープ摩耗回数」の最小値を指標とした。そして、ケーブルについて、以下のようにしてランク付けを行って評価した。結果を表1〜12に示す。耐摩耗性の合格基準は下記の通りとした。
(評価ランク)
◎・・・スクレープ摩耗回数が5000回以上
○・・・スクレープ摩耗回数が1500回以上5000回未満
△・・・スクレープ摩耗回数が750回以上1500回未満
×・・・スクレープ摩耗回数が750回未満
(合格基準)評価ランクが◎、〇又は△であること
耐摩耗性は、上記実施例1〜71及び比較例1〜33のケーブルについて、JASO D618に記載の試験方法にてスクレープ摩耗試験を行い、このとき測定される「導通するまでのスクレープ摩耗回数」の最小値を指標とした。そして、ケーブルについて、以下のようにしてランク付けを行って評価した。結果を表1〜12に示す。耐摩耗性の合格基準は下記の通りとした。
(評価ランク)
◎・・・スクレープ摩耗回数が5000回以上
○・・・スクレープ摩耗回数が1500回以上5000回未満
△・・・スクレープ摩耗回数が750回以上1500回未満
×・・・スクレープ摩耗回数が750回未満
(合格基準)評価ランクが◎、〇又は△であること
<耐ブルーム性>
耐ブルーム性は、上記実施例1〜71及び比較例1〜33のケーブルについて、目視で観察するとともに、表面をマイクロスコープにて倍率20倍及び100倍で観察し、異物が確認できるかどうかによって評価した。そして、ケーブルについて、以下のようにしてランク付けを行って評価した。結果を表1〜12に示す。耐ブルーム性の合格基準は下記の通りとした。
(評価ランク)
◎:マイクロスコープ100倍及び目視で確認不可
○:マイクロスコープ100倍で確認可かつマイクロスコープ20倍及び目視で確認不可
△:マイクロスコープ20倍で確認可かつ目視で確認不可
×:目視で確認可能
(合格基準)評価ランクが◎、〇又は△であること
耐ブルーム性は、上記実施例1〜71及び比較例1〜33のケーブルについて、目視で観察するとともに、表面をマイクロスコープにて倍率20倍及び100倍で観察し、異物が確認できるかどうかによって評価した。そして、ケーブルについて、以下のようにしてランク付けを行って評価した。結果を表1〜12に示す。耐ブルーム性の合格基準は下記の通りとした。
(評価ランク)
◎:マイクロスコープ100倍及び目視で確認不可
○:マイクロスコープ100倍で確認可かつマイクロスコープ20倍及び目視で確認不可
△:マイクロスコープ20倍で確認可かつ目視で確認不可
×:目視で確認可能
(合格基準)評価ランクが◎、〇又は△であること
表1〜12に示す結果より、実施例1〜71の難燃性樹脂組成物は、難燃性、耐摩耗性及び耐ブルーム性について合格基準に達していた。これに対し、比較例1〜33の難燃性樹脂組成物は、難燃性、耐摩耗性及び耐ブルーム性のうち少なくとも1つについて合格基準に達していなかった。
このことから、本発明の難燃性樹脂組成物が、優れた機難燃性、耐摩耗性及び耐ブルーム性を有することが確認された。
1…導体(伝送媒体)
2…絶縁体
3…第1絶縁層(絶縁部)
4…第2絶縁層(絶縁部)
10、20…ケーブル
21…光ファイバ(伝送媒体)
22…絶縁体
30…ワイヤーネス
2…絶縁体
3…第1絶縁層(絶縁部)
4…第2絶縁層(絶縁部)
10、20…ケーブル
21…光ファイバ(伝送媒体)
22…絶縁体
30…ワイヤーネス
Claims (7)
- ポリオレフィン樹脂を含むベース樹脂と、
難燃剤と、
難燃助剤とを含み、
前記難燃剤が、
シリコーン系化合物と、
脂肪酸含有化合物と、
炭酸カルシウム粒子及び珪酸塩化合物粒子からなる群より選択される少なくとも1種からなる無機粒子とを含み、
前記難燃助剤が、
水酸化アルミニウムと、
ヒンダードアミン系化合物とを含み、
前記ベース樹脂100質量部に対して、
前記シリコーン系化合物が1〜10質量部の割合で配合され、
前記脂肪酸含有化合物が3〜20質量部の割合で配合され、
前記無機粒子が6〜40質量部の割合で配合され、
前記水酸化アルミニウムが3〜40質量部の割合で配合され、
前記ヒンダードアミン系化合物が0.1〜5質量部の割合で配合される、難燃性樹脂組成物。 - 下記式(A)で表されるRが1〜60質量%である、請求項1に記載の難燃性樹脂組成物。
R=100×r1/r2・・・(A)
(上記式(A)中、r1は、前記ベース樹脂100質量部に対する前記ヒンダードアミン系化合物の配合割合を表し、r2は、前記ベース樹脂100質量部に対する前記水酸化アルミニウムの配合割合を表す。) - 前記ポリオレフィン樹脂中の、極性基を含有する極性基含有ポリオレフィン樹脂の含有率が1〜10質量%である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の難燃性樹脂組成物。
- 導体又は光ファイバで構成される伝送媒体と、
前記伝送媒体を被覆する絶縁体とを備え、
前記絶縁体が、請求項1〜4のいずれか一項に記載の難燃性樹脂組成物で構成される絶縁部を含む、ケーブル。 - 前記導体が、アルミニウム又はアルミニウム合金である、請求項5に記載のケーブル。
- 請求項5又は6に記載のケーブルを有する、ワイヤハーネス。
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