本発明を回転式の塵芥収集車に適用した実施形態について、図面を参照して説明する。なお、以下の説明においては、便宜上、塵芥収集車の前後左右を単に「前後左右」と言うこともある。
図1、図2には、本発明の実施形態に係る塵芥収集車100を示している。塵芥収集車100では、車台1上に塵芥収容箱2と塵芥投入箱3とが設けられており、塵芥収容箱2の後方の開口部と塵芥投入箱3の前面の開口部とが連通されている。また、塵芥投入箱3は、その上部に設けられた左右方向の枢軸3aによって塵芥収容箱2に対して軸支されており、左右一対の傾動シリンダ(図示省略)によって傾動されるようになっている。
また、塵芥投入箱3の背面における下寄りの部位には、塵芥G(図8参照)を投入するための略矩形状の塵芥投入口4が開口され、昇降可能なテールゲート5によって、塵芥投入口4が開閉されるようになっている。塵芥投入口4の左側方には、塵芥積込装置の作動などの操作のためのスイッチボックス6が設けられている。また、塵芥投入口4の上方には、塵芥投入口4およびその近傍のエリアを撮影するようにカメラユニット7が配設されている。カメラユニット7は、塵芥投入口4より上方に配設された塵芥投入箱3の傾斜後面部(湾曲状の後面部)3bから後方に突出する支持部材80を介して、塵芥投入箱3の上部に固定されている。
より具体的に説明すると、図2〜図4に示すように、支持部材80は、傾斜後面部3bの左右両端部に基端部を有する枠状となっている。カメラユニット7は、支持部材80において塵芥投入箱3の左右中央部となる位置に固定されている。カメラユニット7は画像取得部としてのカメラ71と、報知部としての検出ランプ73と、第2の報知部としての作動中ランプ72と、距離センサ76とを有している。カメラ71としては、例えば従来からバックアイカメラとして実績のある単眼カメラが用いられている。
カメラ71は、カメラユニット7の左右中央部に設けられた凹部74の中に取付ブラケット75を介して取り付けられている。カメラ71は、撮像レンズ71aを有しており、この撮像レンズ71aが斜め下方に向くようにしてカメラユニット7の取付ブラケット75に対し水平軸回りに上下回動調整可能に取り付けられている。カメラ71の近傍に、距離計測部としての距離センサ76が配設されている。距離センサ76は、カメラ71とは別の部品であり、例えば赤外線式の距離センサや、超音波式の距離センサ等が用いられる。カメラユニット7の凹部74の左右両側には、水平面に対して後方上傾状の(車両後方に向かうにつれて上方に傾斜する)固定面7aが設けられている。左側の固定面7aには作動中ランプ72が下向きに取り付けられている。また、右側の固定面7aには、検出ランプ73が下向きに取り付けられている。つまり、作動中ランプ72と検出ランプ73は、カメラ71の撮像レンズ71aの近傍となるカメラ71の左右両側に設けられている。
次に、図3に示すように、塵芥投入箱3の内部には、投入された塵芥Gを塵芥収容箱2に積み込む塵芥積込装置が装備されている。この塵芥積込装置によって、塵芥投入箱3に投入された塵芥を、塵芥投入箱3の前方に連設された塵芥収容箱2へ押し込むようになっている。塵芥収容箱2には、収容された塵芥を排出する図示省略の塵芥排出装置が設けられている。この塵芥排出装置としては、例えば塵芥収容箱2を、車台1と塵芥収容箱2との間に介設されたダンプシリンダによって傾動させて塵芥を排出したり、塵芥収容箱2の内部に設けた排出板を排出シリンダにより塵芥収容箱2の後方に移動させて塵芥を排出したりするものが考えられる。
次に、本実施形態の塵芥積込装置について具体的に説明する。本実施形態の塵芥積込装置は、回転板(積込部材)10の回転によって塵芥Gを掻き上げるとともに、押込板20によって塵芥収容箱2内へと押し込む、いわゆる回転式の塵芥積込装置として構成されている。塵芥投入箱3内の下部においてその幅方向に延びるように回転軸11が架設され、これに回転板10の基端側が固定されている。
図示の例では、回転軸11の端部に減速機構12を介して正逆回転可能な油圧モータ13が連結されている。この油圧モータ13の回転が減速機構12によりトルクアップされて回転軸11に伝達され、この回転軸11と一体に回転板10が回転されることで、その先端部は、断面略半円弧状に形成された塵芥投入箱3の底壁に沿って前後方向に移動するようになる。
一方、押込板20は、回転板10の上方において塵芥投入箱3の幅方向全体に亘って設けられ、その上部に設けられた左右方向の揺動軸21の周りに前後方向に揺動自在に支持されている。また、押込板20には、揺動軸21よりも上方に延びる延設部22が設けられ、この延設部22とその前方の支持ピン23との間に押込シリンダ24が架設されており、その伸縮作動によって押込板20を前後方向に揺動させるようになっている。
具体的には、図3に実線で示すように、押込板20が塵芥収容箱2の側に最も揺動した位置(前進限界位置)にあるときは、この押込板20に干渉することなく回転板10が上方に回動するようになり、これに遅れて押込板20が塵芥投入口4側へ揺動する。そして、押込板20が塵芥投入口4側に最も揺動し、図3に仮想線で示す後退限界位置に達した後も、回転板10の回動は継続される。
このようにして回転する回転板10は、塵芥Gを塵芥収容箱2側に掻き込んで、図3に実線で示すように、前方の塵芥収容箱2側に延びる設定停止位置に一旦、停止する。そうすると、今度は押込板20が塵芥収容箱2側に揺動して、回転板10上の塵芥Gを塵芥収容箱2に押し込んでいく。そして、押込板20が再び前進限界位置に達すると、再び回転板10が上方へ回動するようになる。
このように互いに同期して回転板10の回転および押込板20の揺動が繰り返されることによって、塵芥投入箱3に投入された塵芥Gが連続的に塵芥収容箱2に積み込まれる塵芥積込作動が行われる。このように回転板10および押込板20を作動させるための油圧回路および制御系の構成については後述する。
塵芥投入箱3の内部には、回転板10および押込板20の位置を検出するためのスイッチLS1〜LS4が設けられている。具体的には、図3に示すように、押込板20が前進限界位置または後退限界位置にあるときにそれぞれオンになるスイッチLS1,LS2と、回転板10が設定停止位置にあるときにオンになるスイッチLS3と、その設定停止位置から回転板10が正の向き(図1の時計回り)に所定角度回転したときにオンになり、さらに所定角度回転したときにオフになるスイッチLS4とが設けられている。
なお、スイッチLS1,LS2は、押込板20の揺動軸21の端部に設けられたドグ(図示省略)を検出するようになっており、スイッチLS3〜LS4は、回転板10の回転軸11の端部に設けられたドグ(図示省略)を検出するようになっている。また、これらのスイッチLS1〜LS4としては、例えばリミットスイッチ、光電スイッチ、近接スイッチなどを用いることができる。また、スイッチLS4は、図3にハッチングで示すように、回転板10が塵芥投入口4の前縁部(上縁部)4aの真下から、その後方へ回転しつつ下降して塵芥投入口4の後縁部(下縁部)4bに最も近接するまでの角度範囲Zを検出するもので、回転板10が塵芥投入口4の近傍にて作動していることを検出するためのセンサである。
さらに、図1、図3に示すように、塵芥投入口4の近傍には、塵芥積込装置の作動を停止させるための緊急停止ボタン60,61や、緊急停止プレート62などが配設されている。図1に示すように、塵芥投入口4の左側に設けられたスイッチボックス6の側面に緊急停止ボタン60(図6のスイッチSW1に対応)が配設され、また、図3に破線で示すように、塵芥投入口4の右側に緊急停止ボタン61(図6のスイッチSW3に対応)が配設されている。緊急停止プレート62は、塵芥投入口4の下方においてスイッチSW2をオンオフするように配設されている。また、図2に示すように、スイッチボックス6の後面には、停止解除スイッチ63が配設されている。この停止解除スイッチ63は例えばモーメンタリのスイッチSW4をオンオフするように配設されている。停止解除スイッチ63は、後述する塵芥積込装置の塵芥積込動作の緊急停止を解除する際に操作される。
−塵芥積込装置の制御系−
次に、図5、図6を参照して、塵芥積込装置を作動させるための制御系について説明する。この制御系は、塵芥積込装置の油圧モータ13や、押込シリンダ24などに供給する油圧を制御する油圧回路と、この油圧回路に設けられた電磁制御弁V1,V2に制御信号を出力する本体制御部PLC(プログラマブル ロジック コントローラ)と、カメラ71からの画像データに基づいて人物認識処理を行う人物検出部としての画像処理ユニット9とを備えている。なお、本体制御部PLCは、塵芥積込装置の駆動だけでなく塵芥排出装置の駆動も制御するようになっている。
まず、図5を参照して油圧回路について説明する。この油圧回路は、油圧ポンプPと、オイルリザーバTと、押込シリンダ24を制御するための電磁制御弁V1と、油圧モータ13を制御するための電磁制御弁V2とを備えている。なお、油圧ポンプPには、車両走行駆動源としてのエンジン(図示省略)の動力を取り出すPTO(パワー テイク オフ)によって駆動力が伝達されるようになっている。
一例として、電磁制御弁V1,V2は、いずれも6ポート3位置の電磁式の方向切替弁からなる。電磁制御弁V1は、本体制御部PLCによりソレノイドSOLaが励磁されると第1連通位置(図5の上位置)に切り替わって、油圧ポンプPからの作動油を一対の押込シリンダ24のロッド側油室に供給する。一方、電磁制御弁V1は、本体制御部PLCによりソレノイドSOLbが励磁されると第2連通位置(図5の下位置)に切り替わって、作動油をヘッド側油室に供給する。
そして、電磁制御弁V1から作動油がヘッド側油室に供給されると、一対の押込シリンダ24が伸長作動して押込板20を前方に揺動させる。一方、作動油がロッド側油室に供給されると、一対の押込シリンダ24は収縮作動して、押込板20を後方に揺動させる。また、いずれのソレノイドSOLa,SOLbも励磁されていないときに、電磁制御弁V1は中立位置(図5の中央位置)に復帰するようになる。
電磁制御弁V2は、ソレノイドSOLcが励磁されると第1連通位置(図5の下位置)に切り替わって、作動油を油圧モータ13の正転側油室に供給し、当該油圧モータ13を正転作動させるほか、押込シリンダ24も伸縮作動させることができる。一方、ソレノイドSOLdが励磁されると電磁制御弁V2は第2連通位置(図5の上位置)に切り替わって、作動油を油圧モータ13の逆転側油室に供給し、当該油圧モータ13を逆転作動させる。
また、いずれのソレノイドSOLc,SOLdも励磁されていないときに、電磁制御弁V2は中立位置(図5の中央位置)に復帰するようになる。電磁制御弁V1,V2の両方が中立位置にあるとき、作動油はオイルリザーバTへ還流するようになる。なお、図示の油圧回路において、符号V3はチェック弁であり、また、符号V4は、油圧ポンプPの吐出圧の上限を設定するためのリリーフ弁である。
次に、図6を参照して本体制御部PLCおよび画像処理ユニット9の信号の入出力状態について説明する。まず、本体制御部PLCへの電力供給はバッテリBTによって行われる。このバッテリBTの正極から図6の右側に延びてグランドラインK1に至る通電ラインK2には、塵芥収集車100のイグニッションスイッチSWK、PTOスイッチSWP、リレーコイルR1などが介設されている。
また、イグニッションスイッチSWKおよびバッテリBTの中間において通電ラインK2から分岐するように、通電ラインK3の上流端が接続されており、その上流側(バッテリBTに近い側)にはリレーコイルR1の接点(リレースイッチ)r1が介設されている。この通電ラインK3には電源ランプLが介設されており、リレーコイルR1が励磁されて接点r1が閉じられると、通電ラインK3に通電することによって電源ランプLが点灯する。
また、リレーコイルR1の接点r1および電源ランプLの中間において通電ラインK3から分岐するように、通電ラインK4の上流端が接続されており、これにより本体制御部PLCの信号用電力供給部(図示省略)に電力が供給されるようになっている。つまり、接点r1が閉じられると、通電ラインK3,K4を介して本体制御部PLCに電力が供給される。
さらに、通電ラインK4から分岐する通電ラインK5によって、塵芥積込装置の塵芥積込作動中には必ず本体制御部PLCに通電されるようになっている。つまり、通電ラインK5は、いわゆる積込継続信号を入力するラインであり、ここには、上述した緊急停止ボタン60,61および緊急停止プレート62の操作に対応して開閉されるスイッチSW1〜SW3などが介設されている。これらのスイッチSW1〜SW3によって通電(つまり、積込継続信号の入力)が遮断されると、本体制御部PLCは、電磁制御弁V1,V2のソレノイドSOLa〜SOLdを励磁させるための制御信号の出力をオフするようになっている。これにより、電磁制御弁V1,V2が中立位置に復帰するようになり、塵芥積込装置の作動が停止されるようになっている。
また、通電ラインK4にはその途中から分岐する複数の分岐ラインが接続されており、これらの分岐ラインのそれぞれに、上述したスイッチLS1〜LS4が介設されている。スイッチLS1〜LS4からの信号は本体制御部PLCに入力されるようになっており、これらの信号に基づいて塵芥積込装置の回転板10および押込板20の位置、言い換えれば作動状況が検出される。
さらに、スイッチLS1〜LS4の他にも本体制御部PLCへの入力側には、塵芥積込装置をサイクル作動させるための積込スイッチ(積込ボタン)SW5、塵芥積込装置の塵芥積込動作または塵芥排出装置の塵芥排出動作を切り替えるための切替スイッチSW6、塵芥投入箱3を傾動させて開放するためのスイッチSW7、塵芥積込動作の単動または連続の選択スイッチ(図示省略)、回転板10や押込板20を単独で作動させるスイッチ(図示省略)なども電気的に接続されている。切替スイッチSW6は、通電ラインK4から通電ラインK5が分岐する分岐位置に設けられており、通電ラインK5は、切替スイッチSW6の積込側に接続されている。
上述のように各種スイッチが入力側に接続されている一方、本体制御部PLCの出力側には、上述した電磁制御弁V1,V2のソレノイドSOLa〜SOLdなどが接続されている。そして、本体制御部PLCは、スイッチSW1〜SW3,LS1〜LS4などから入力する信号に基づいて、予め設定された手順に従い、油圧モータ13や押込シリンダ24などを作動させるべく、対応するソレノイドSOLa〜SOLdに出力するようにプログラムされている。
具体的には、塵芥積込装置が塵芥積込作動するときには、通電ラインK2上のイグニッションスイッチSWKおよびPTOスイッチSWPがいずれもオンになると、リレーコイルR1が励磁される。これにより、リレーコイルR1の接点r1が閉じられるので、通電ラインK3およびK4によって本体制御部PLCに電力供給されることにより、本体制御部PLCが作動可能な状態になって適宜、ソレノイドSOLa〜SOLdに制御信号を出力するようになる。
この制御信号を受けてソレノイドSOLa〜SOLdが励磁され、電磁制御弁V1,V2の位置が適宜、切り替えられることで、油圧モータ13や押込シリンダ24などに作動油圧が供給される。これにより、油圧モータ13や押込シリンダ24などがそれぞれ作動し、上述したように、回転板10の回転および押込板20の揺動が互いに同期して繰り返されることになる。
詳細には、まず図3に実線で示すように押込板20が前進限界位置にあって、スイッチLS1からオン信号が出力されるとともに、回転板10が設定停止位置にあって、スイッチLS3からもオン信号が出力されるときに、積込スイッチSW5の信号を受けた本体制御部PLCから制御信号が出力され、電磁制御弁V2が第1連通位置に切り替えられて、油圧モータ13が正転作動を開始する。これにより、回転板10は上方に回動し始める。
そして、所定の期間が経過すると本体制御部PLCから電磁制御弁V1のソレノイドSOLaへ制御信号が出力されて、電磁制御弁V1が第1連通位置に切り替えられ、押込シリンダ24が収縮作動を開始する。これにより押込板20は後方の塵芥投入口4側へ揺動するようになり、この押込板20が後退限界位置に達すると、スイッチLS2からオン信号が出力される。
これを受けて本体制御部PLCがソレノイドSOLaへの制御信号の出力を停止することで、電磁制御弁V1が中立位置に復帰し、押込板20の揺動が停止する。また、そうして押込板20が揺動している間も回転板10の回動は継続しており、塵芥Gを塵芥収容箱2側に掻き込んでゆくが、こうして回動する回転板10が設定停止位置に至り、スイッチLS3からオン信号が出力される。
これを受けて本体制御部PLCが、電磁制御弁V2のソレノイドSOLcへの制御信号の出力を停止することで、電磁制御弁V2が中立位置に復帰し、油圧モータ13の回動が停止する。また、本体制御部PLCは、電磁制御弁V1のソレノイドSOLbへ制御信号を出力し、電磁制御弁V1が第2連通位置に切り替えられて、押込シリンダ24が伸長作動を開始することで、押込板20が前方へ揺動し始める。
こうして前方の塵芥収容箱2側に揺動する押込板20が、回転板10上の塵芥Gを塵芥収容箱2に押し込んでいき、前進限界位置に達すれば、スイッチLS1からオン信号が出力される。これを受けて本体制御部PLCがソレノイドSOLbへの制御信号の出力を停止することで、電磁制御弁V1が中立位置に復帰し、押込シリンダ24の伸長作動、つまり、押込板20の前方への揺動が停止し、一連の動作が終了する。
また、図6に示すように、イグニッションスイッチSWKおよびPTOスイッチSWPの中間において、通電ラインK6の上流端が接続されており、この通電ラインK6には、画像処理ユニット9が接続されている。イグニッションスイッチSWKがオンになると、この通電ラインK6を介して、画像処理ユニット9に電力が供給される。画像処理ユニット9は、通電ラインK7を介してカメラユニット7のカメラ71に接続されている。また、画像処理ユニット9には、通電ラインK8を介して、車両の運転操作に基づく後退信号が入力されるようになっている。また、画像処理ユニット9は、通電ラインK18を介して距離センサ76に接続されている。
画像処理ユニット9は、本発明における人物検出部と整合判定部の機能を有するものである。また、画像処理ユニット9は、本体制御部PLCと合わせて本発明における制御装置を構成する。
具体的に説明すると、画像処理ユニット9には、所定のプログラムを実行して各種の制御を行う中央処理部CPU、カメラ71からの画像データを取得し画像処理を行う画像処理部DSP、中央処理部CPUや画像処理部DSPにおいて使用されるデータを記憶する記憶部としてのメモリM、中央処理部CPUの指令を受けて監視用のモニタ93(図1参照)に画像処理の結果などを表示させる画像出力部VOP、データログの時刻を計時する計時部C、カメラ71の制御を行うカメラ制御部(図示省略)などが設けられている。画像処理部DSPは、画像処理ロジックを高速で行う集積回路であり、例えば図9のフローチャートに示すような人物認識処理のルーチンを実行する。なお、リレーコイルR1の接点r1よりも上流側において通電ラインK3から分岐するように、通電ラインK9の上流端が接続されており、この通電ラインK9を介して計時部Cへの電力供給が行われる。このため、イグニッションスイッチSWKがオフの場合にも、計時部Cへの通電が常時行われるようになっている。
また、画像処理ユニット9には、通電ラインK5から分岐する通電ラインK10が接続されている。この通電ラインK10は、画像処理ユニット9による人物認識処理について、塵芥積込装置の塵芥排出動作の際は機能せず、塵芥積込装置の塵芥積込動作の際に機能するための積込信号ラインになっている。通電ラインK10は、切替スイッチSW6の積込側に接続されており、PTOスイッチSWPがオンであって、切替スイッチSW6が積込側に切り替えられている場合に、画像処理ユニット9に積込ライン信号が入力されるようになっている。
画像処理ユニット9と、本体制御部PLCとの間には、作動スイッチSWSが介在されている。画像処理ユニット9には、人物安全信号の出力ポートが設けられており、この出力ポートと作動スイッチSWSとが通電ラインK16により接続されている。また、画像処理ユニット9には、データログ開始信号の入力ポートが設けられており、この入力ポートと作動スイッチSWSとが通電ラインK17により接続されている。また、作動スイッチSWSには、通電ラインK10から分岐された通電ラインK15が接続されている。
作動スイッチSWSがオン側に切り替えられている場合、通電ラインK16と通電ラインK12とを介して、画像処理ユニット9の人物安全信号の出力ポートと本体制御部PLCとが接続される。
ここで、画像処理ユニット9から出力される人物安全信号は、通電ラインK16と通電ラインK12とを通って本体制御部PLCに入力されるようになっている。しかし、塵芥積込装置の塵芥積込動作の際に人物が侵入禁止エリア(後述の第2の検知エリアY12)に入ると、画像処理ユニット9から人物安全信号が出力されず、本体制御部PLCに人物安全信号が入力されない。本体制御部PLCは、人物安全信号の入力がないことを条件の1つとして、塵芥積込装置の塵芥積込動作の緊急停止を行うようになっている。
また、作動スイッチSWSがオン側に切り替えられている場合、通電ラインK6から分岐された通電ラインK11が通電ラインK17と接続される。この場合、イグニッションスイッチSWKがオンになると、通電ラインK6に通電が行われることにより、通電ラインK11と通電ラインK17を通じて、データログ開始信号が画像処理ユニット9に送られる。そして、それをトリガとしてデータログが実行される。
一方、作動スイッチSWSがオフ側に切り替えられている場合、通電ラインK15と通電ラインK12とを介して、通電ラインK10と本体制御部PLCとが接続される。この場合、画像処理ユニット9に積込ライン信号が入力されているときに、通電ラインK10からの電圧が、人物安全信号の代わりに本体制御部PLCに入力される。このため、画像処理ユニット9が侵入禁止エリアで人物を認識したか否かにかかわらず、本体制御部PLCは、人物安全信号の入力が常時あると認識するようになっている。
なお、作動スイッチSWSがオフ側に切り替えられている場合、通電ラインK17への通電は行われず、データログは開始されないようになっている。
また、画像処理ユニット9と、本体制御部PLCとの間には、停止解除スイッチ63に対応するスイッチSW4が介在されている。スイッチSW4は、通電ラインK10から分岐された通電ラインK13に介設されている。停止解除スイッチ63がオン操作されていない場合には、スイッチSW4がオフ状態になっており、本体制御部PLCには、信号が入力されないようになっている。一方、停止解除スイッチ63がオン操作された場合には、スイッチSW4がオン状態になり、画像処理ユニット9に積込ライン信号が入力されているときに、通電ラインK10からの電圧が、停止解除のオン信号として本体制御部PLCに入力されるようになっている。なお、塵芥積込装置の塵芥排出動作の際には、画像処理ユニット9に積込ライン信号が入力されないため、停止解除スイッチ63の機能が無効になる。
本体制御部PLCは、停止解除スイッチ63のオン信号を認識した場合、画像処理ユニット9からの人物安全信号の入力がなくなったとしてもそれを条件として塵芥積込装置の塵芥積込動作の緊急停止を行わないようになっている。
画像処理ユニット9には、運転席周辺に配設されているパイロットランプ(図示省略)、塵芥投入口4の近傍に配設されている報知部としての作動中ランプ72および検出ランプ73が電気的に接続されており、それらの点灯制御が中央処理部CPUにより行われる。また、画像処理ユニット9には、後退警告音を出力するブザー91が接続されており、この制御についても中央処理部CPUにより行われる。作動中ランプ72、検出ランプ73およびブザー91の低電位側は、通電ラインK14を介してグランドラインK1に接続されている。
また、図1、図7、図8に示すように、塵芥投入箱3の背面の上部、言い換えれば、塵芥投入口4の上方にはカメラ71が配設され、その撮像レンズ71aが後方の斜め下に向けられている。図7、図8には、塵芥投入口4の近傍に立った人物H(作業者)が両腕を前方に伸ばして、塵芥G(図7、図8では、ごみ袋)を積み込む様子が示されている。カメラ71は、図7、図8に一例を示すように塵芥投入口4およびその後方の所定範囲を撮影する。
カメラ71の撮像レンズ71aの光軸は、図3のX1線に沿う方向に延びており、塵芥投入口4の後方を撮影するために、鉛直下向きから後方に振り向けられて、塵芥投入口4の近傍の人物Hおよび塵芥Gを上方から撮影するようになっている。そして、カメラ71によって撮影(取得)され、画像処理ユニット9に入力された画像のデータに基づいて、画像処理ユニット9は、作業者などの人物Hが塵芥投入口4およびその後方の人物検出用エリア(図8において破線で囲まれたエリアと実線で囲まれたエリア)にいるか否かを判定するようにしている。また、画像処理ユニット9が人物検出用エリアのうち第2の検知エリアY12に人物Hがいると判定すれば、本体制御部PLCは、塵芥積込装置の作動を停止させるか否かを判定するようにしている。
具体的に説明すると、積込用の人物検出用エリアは、第1の検知エリアY11(図8に破線で示す)と第2の検知エリアY12(図8に実線で示す)とに分かれている。第2の検知エリアY12は、第1の検知エリアY11よりも塵芥投入口4の近傍に設けられ、侵入禁止エリアとしての機能を有している。画像処理ユニット9は、第1の検出エリアY11または第2の検知エリアY12に人物Hがいるか否かを判定し、侵入禁止エリアとしての第2の検知エリアY12に人物Hがいると判定すれば停止信号を本体制御部PLCに送り、本体制御部PLCが塵芥積込装置の作動を停止させるようにしている。例えば、第1の検知エリアY11は、作業者が塵芥積込作業を行う際の通常エリアであり、塵芥投入口4の近傍の矩形のエリアに設定される。第2の検知エリアY12は、塵芥投入口4の前縁部4aと後縁部4b近傍との間の矩形のエリアに設定される。この第2の検知エリアY12は、少なくとも塵芥投入口4の前縁部(上縁部)4a、後縁部(下縁部)4b、左縁部4c、および右縁部4dで囲まれた領域の一部を含むように設定される。
これに加え、車両の後退時、人物Hが塵芥投入口4の後方の第3の検知エリアY2(図7、図8に1点鎖線で示す)にいるか否かが画像処理ユニット9により判定される。そして、第3の検知エリアY2に人物Hがいると判定すれば、画像処理ユニット9が運転者に報知して注意を喚起するようにしている。第3の検知エリアY2は、第2の検知エリアY12、第1の検知エリアY11、およびその後方のエリアを含む矩形のエリアに設定される。なお、モニタ93上には、カメラ71の画像とともに、第1の検知エリアY11の外縁に対応するライン(図8に破線で示す)、第2の検知エリア(侵入禁止エリア)Y12の外縁に対応するライン(図8に実線で示す)、第3の検知エリアY2の外縁に対応するライン(図8に1点鎖線で示す)が表示されている。
本実施形態では、距離センサ76によって、カメラ71から塵芥投入口4の周囲の物体までの距離が計測される。つまり、カメラ71と距離センサ76とが略同じ位置に設けられているため、距離センサ76から出力された赤外線や超音波等が、塵芥投入口4の周囲の物体によって反射されて戻ってくるまでの時間に基づいて、カメラ71から物体までの距離が計測されるようになっている。この場合、第1の検知エリアY11または第2の検知エリアY12内の物体に赤外線や超音波等が到達し、第1の検知エリアY11外の物体には赤外線や超音波等が到達しないように、距離センサ76から出力される赤外線や超音波等の方向および強度が調整されることが好ましい。また、距離センサ76から出力された赤外線や超音波等が、塵芥投入口4の後縁部(下縁部)4bの高さ位置より上方の物体に到達する一方、塵芥投入口4の後縁部(下縁部)4bの高さ位置より下方の物体に到達しないように、距離センサ76から出力される赤外線や超音波等の方向および強度が調整されることが好ましい。
−人物認識処理のルーチン−
次に、図9のフローチャートを参照して、塵芥収集車100で行われる人物認識処理のルーチンについて説明する。この人物認識処理は、塵芥収集車100において、積込スイッチSW5がオンになっており、塵芥積込装置の塵芥積込動作が行われている場合に、画像処理ユニット9によって実行される。
図9に示す人物認識処理を行うにあたって、画像処理ユニット9の中央処理部CPUは、人物認識処理に用いる特徴データ(辞書データ)を積込用特徴データに設定し、また、人物検出判定に用いる検知エリアを積込用の人物検出用エリアに設定する。積込用特徴データは、人物認識処理の際に参照されるものであって、画像処理ユニット9のメモリMに格納されている。積込用特徴データは、予め多くの人物の頭部の画像を撮影して、その大きさや形状などの特徴を抽出したものである。積込用特徴データとして抽出される特徴については、人物を上方から見たときの頭部形状を主体としている。積込用の人物検出用エリアは、人物検出判定の際に用いられるものであって、画像処理ユニット9のメモリMに格納されている。上述したように、積込用の人物検出用エリアは、作業者が塵芥積込作業を行う際の通常エリアとして設定された第1の検知エリアY11と、侵入禁止エリアとしての第2の検知エリアY12とに分かれており、それぞれのエリアがメモリMに格納されている。
ステップS1において、画像処理ユニット9の画像処理部DSPによって、人物検出処理が実行される。この人物検出処理では、まず、カメラ71によって撮影され、画像処理ユニット9に入力される画像のデータ(入力画像データ)に対する二値化処理が、画像処理部DSPによって行われる。この二値化処理は、例えば、入力画像データについて各画素の輝度値が予め設定された閾値以上である場合に最大輝度値とし、閾値未満であれば最小輝度値とする処理である。生成される二値化画像データは、ノイズや光量変化の影響の多くが除去されたものとなる。
次に、二値化画像データに対するラベリング処理が、画像処理部DSPによって行われる。このラベリング処理は、二値化画像データにおいて互いに近接する各画素を領域化するものであり、例えば同じ輝度値に属するとともに、所定距離内で密接する複数の画素について1つの領域とみなす処理である。ラベリング処理は画像平面全体について行われ、これにより1つの領域とされたものが、それぞれ物体像として抽出される。
そして、画像処理部DSPによって、上述した第1の検知エリアY11または第2の検知エリアY12内で検知されたそれぞれの物体像についての人物識別処理が行われる。本実施形態では、塵芥投入口4の上方にカメラ71を配設し、下方の塵芥投入口4近傍をほぼ真上から撮影するようにしている。このため、その画像には、図8に一例を示すように人物の頭部が大きく表示されるとともに、上方から見た顔の一部も表示されることになる。そこで、予め設定されている積込用特徴データを参照し、この積込用特徴データの条件を満たすような物体像を、人物の頭部であると判定する。
次に、ステップS2において、画像処理ユニット9の中央処理部CPUによって、物体検出処理が実行される。この人物検出処理では、距離センサ76によって、第1の検知エリアY11または第2の検知エリアY12内に物体があるかどうかが検出される。つまり、距離センサ76から出力された赤外線や超音波等が、第1の検知エリアY11または第2の検知エリアY12内の物体によって反射されて戻ってきた場合には、第1の検知エリアY11または第2の検知エリアY12内に物体が検出される。一方、距離センサ76から出力された赤外線や超音波等が、第1の検知エリアY11または第2の検知エリアY12内の物体によって反射されて戻ってこない場合には、第1の検知エリアY11または第2の検知エリアY12内に物体が検出されない。
次に、ステップS3では、画像処理ユニット9の中央処理部CPUがステップS1の判定結果に基づいて処理の流れを決める。具体的には、ステップS1でカメラ71によって撮影された画像のデータに人物の頭部であると判定された物体像があるという判定結果が出た場合にはステップS4へ進む。一方、ステップS1で物体像がないという判定結果が出た場合には、ステップS1へ戻る。
次に、ステップS4では、画像処理ユニット9の中央処理部CPUがステップS2の検出結果に基づいて処理の流れを決める。具体的には、ステップS2で第1の検知エリアY11または第2の検知エリアY12内に物体が検出された場合には、ステップS5へ進む。一方、第1の検知エリアY11または第2の検知エリアY12内に物体が検出されなかった場合には、ステップS1へ戻る。
次に、ステップS5において、画像処理ユニット9の中央処理部CPUによって、上述したステップS1の人物検出処理で検出された人物の大きさが算出される。この場合、カメラ71によって撮影された画像のデータにおける人物の頭部を含むエリアの大きさを算出することによって、ステップS1の人物検出処理で検出された人物の大きさを求めることが可能である。例えばカメラ71によって撮影された画像のデータにおける人物の頭部を含むエリアの面積や、画素数等を算出することによって、ステップS1の人物検出処理で検出された人物の大きさを求めることが可能である。
次に、ステップS6において、画像処理ユニット9の中央処理部CPUによって、上述したステップS2の物体検出処理で検出された物体までの距離が計測される。この場合、距離センサ76から出力された赤外線や超音波等が、物体によって反射されて戻ってくるまでの時間に基づいて、物体までの距離を計測することが可能である。距離センサ76から最も近い物体(最も高い位置にある物体)までの距離が計測される。本実施形態では、カメラ71の近くに距離センサ76が配設されているので、距離センサ76で測定された物体までの距離は、カメラ71から物体までの距離として考えることができる。
塵芥積込作業の際、作業者(人物)は、塵芥Gを手に持ち、立った状態でその塵芥Gを塵芥投入口4に投入する。作業者は、塵芥Gを効率的に塵芥投入口4に投入するため、基本的に塵芥Gを頭上まで持ち上げることはなく、塵芥投入口4の下半分程度を使って塵芥投入口4に塵芥Gを投入する。そのため、作業者が第1の検知エリアY11または第2の検知エリアY12内に入って塵芥積込作業をしている場合には、距離センサ76で計測される物体は、塵芥Gではなくて人物(の頭部)であると推定できる。
次に、ステップS7において、上述したステップS6で算出された物体までの距離に基づいて、画像処理ユニット9の中央処理部CPUは、物体が所定の高さ閾値hc以上かどうかを判定する。
具体的には、上述のように、作業者は、塵芥投入口4の下半分程度を使って塵芥投入口4に塵芥Gを投入し、投入される塵芥Gよりも高い位置に作業者の頭部があるので、例えば、高さ閾値hcを、地面から塵芥投入口4の上下半分近くの高さ位置に設定する(図7参照)。中央処理部CPUは、ステップS6で算出された物体までの距離を、物体の地面からの高さに換算し、高さ閾値hcと比較する。そして、中央処理部CPUにより物体の地面からの高さが高さ閾値hc以上であると判定された場合には、ステップS8へ進む。一方、物体の地面からの高さが高さ閾値hc未満であると判定された場合には、ステップS1へ戻る。このステップS7の処理が入ることにより、塵芥Gを人物と誤判定されることを抑制できる。
次に、ステップS8において、画像処理ユニット9の中央処理部CPUによって、上述したステップS5で算出された人物の大きさ(カメラ71によって撮影された画像のデータにおける人物の頭部を含むエリアの大きさ)と、上述したステップS6で算出された物体までの距離(カメラ71から物体までの距離)との間に整合性があるかどうかが判定される。このステップS8の判定では、ステップS7で地面からの高さが高さ閾値hc未満と判定された物体が除かれている。
ステップS8では、例えば図10の判定表に示すように、物体までの距離が基準距離よりも近くであって、人物の大きさが基準値よりも小さい場合、整合性がないと判定される。また、物体までの距離が基準距離よりも遠くであって、人物の大きさが基準値よりも大きい場合、整合性がないと判定される。一方、物体までの距離が基準距離よりも近くであって、人物の大きさが基準値よりも大きい場合、整合性があると判定される。また、物体までの距離が基準距離よりも遠くであって、人物の大きさが基準値よりも小さい場合、整合性があると判定される。なお、物体までの距離に関する閾値である基準距離としては、例えばカメラ71から塵芥投入口4の前縁部(上縁部)4aまでの距離とカメラ71から上述の高さ閾値hcの高さまでの距離との中間位置までの距離を採用することが可能である。また、人物の大きさに関する閾値である基準値としては、例えば塵芥投入口4の前縁部(上縁部)4aの高さと高さ閾値hcの高さとの中間位置に人物の頭部があると想定した場合の人物の頭部を含むエリアの大きさを採用することが可能である。なお、物体までの距離に関する基準距離および人物の大きさに関する基準値は一例であって、それ以外の距離および値を採用してもよい。
ステップS8の整合性に関する判定の結果、整合性があると判定された場合には、ステップS9へ進み、整合性がないと判定された場合には、ステップS1へ戻る。
ステップS9において、画像処理ユニット9の中央処理部CPUによって、人物が第2の検知エリア(侵入禁止エリア)Y12に存在するか否かが判定される。人物が第2の検知エリアY12に存在すると判定された場合には、ステップS10へ進む。一方、人物が第2の検知エリアY12に存在すると判定されなかった場合、言い換えれば、人物が第1の検知エリア(通常エリア)Y11に存在すると判定された場合には、ステップS11へ進む。
ステップS10において、画像処理ユニット9の中央処理部CPUは、検出ランプ73のオン信号を出力するとともに、人物安全信号の出力をオフにする塵芥積込装置の停止処理を行う。これにより、本体制御部PLCは、人物安全信号の入力がないことを条件の1つとして、塵芥積込装置の塵芥積込動作の緊急停止を行い、ルーチンを終了する(エンド)。
ステップS11において、画像処理ユニット9の中央処理部CPUは、検出ランプ73のオン信号を出力し、ルーチンを終了する(エンド)。
上述したように、本実施形態では、塵芥投入箱3の背面に開口する塵芥投入口4の近傍を撮影するカメラ71と、カメラ71から塵芥投入口4近傍の物体までの距離を計測する距離センサ76と、塵芥積込装置の駆動を制御する制御装置(本体制御部PLCおよび画像処理ユニット9)とを備え、制御装置は、カメラ71によって撮影された画像に基づいて、画像内の物体像を抽出して物体像が人物であるか否かを認識するとともに塵芥投入口4近傍の第2の検知エリア(侵入禁止エリア)Y12に人物が入っているか否かを判定する人物検出部と、人物検出部によって人物が第2の検知エリアY12に入っていると判定された場合、カメラ71によって撮影された画像における人物の頭部を含むエリアの大きさと、距離センサ76によって計測されたカメラ71から人物までの距離との間に整合性があるか否かを判定する整合判定部とを有し、整合判定部によって整合性がないと判定された場合には、塵芥積込装置の塵芥積込動作の緊急停止を行わないように構成されている。
本実施形態によれば、カメラ71と距離センサ76とを併用し、カメラ71によって撮影された画像における人物の頭部を含むエリアの大きさと、距離センサ76によって計測されたカメラ71から人物までの距離との間に整合性があるか否かを判定し、整合性がないと判定された画像に基づく塵芥積込装置の塵芥積込動作の緊急停止を行わないようにしている。つまり、カメラ71によって撮影された画像のデータのうち、上記の整合性がないと判定された画像のデータを塵芥積込装置の塵芥積込動作の緊急停止に関する処理の判定対象から除外することによって、カメラ71によって撮影された画像に基づく人物検出の精度を向上させることができる。したがって、塵芥投入口4に投入される物体やカメラ71の画像に写り込んだ収集場所の物体が、人物の頭部に類似した特徴を有していたとしても、上記の整合性が取れない場合には、塵芥積込装置の塵芥積込動作の緊急停止に関する処理の判定対象から除外されるので、その物体が人物であるという誤判定を抑制することができ、そのような誤判定に起因する塵芥積込作業の効率の悪化を抑制することができる。
本実施形態では、図10に示すように、カメラ71から人物までの距離が基準距離よりも近くであって、カメラ71によって撮影された画像における人物の頭部を含むエリアの大きさが基準値よりも大きい場合、または、カメラ71から人物までの距離が基準距離よりも遠くであって、カメラ71によって撮影された画像における人物の頭部を含むエリアの大きさが基準値よりも小さい場合には、整合判定部によって整合性があると判定される。例えば、塵芥投入口4の近傍で起立して作業を行う作業者の頭部は比較的大きな物体像として表示される一方、塵芥投入口4の近傍で体を屈めて作業を行う作業者の頭部は比較的小さな物体像として表示される。これらの場合、整合判定部によって整合性があると判定される。
これに対し、カメラ71から人物までの距離が基準距離よりも近くであって、カメラ71によって撮影された画像における人物の頭部を含むエリアの大きさが基準値よりも小さい場合、または、カメラ71から人物までの距離が基準距離よりも遠くであって、カメラ71によって撮影された画像における人物の頭部を含むエリアの大きさが基準値よりも大きい場合には、整合判定部によって整合性がないと判定される。カメラ71から人物までの距離が基準距離よりも近い場合、本来であればカメラ71によって撮影された画像における人物の頭部を含むエリアの大きさが基準値よりも大きくなるべきところ、基準値よりも小さくなっており、カメラ71によって撮影された画像における人物の頭部を含むエリアの大きさと、距離センサ76によって計測されたカメラ71から人物までの距離との間に整合性がなく矛盾が生じている。また、カメラ71から人物までの距離が基準距離よりも遠い場合、本来であればカメラ71によって撮影された画像における人物の頭部を含むエリアの大きさが基準値よりも小さくなるべきところ、基準値よりも大きくなっており、カメラ71によって撮影された画像における人物の頭部を含むエリアの大きさと、距離センサ76によって計測されたカメラ71から人物までの距離との間に整合性がなく矛盾が生じている。本実施形態によれば、これら2つの場合の画像のデータを塵芥積込装置の塵芥積込動作の緊急停止に関する処理の判定対象から除外することができ、カメラ71によって撮影された画像に基づく人物検出の精度を向上させることができ、塵芥積込作業の効率の悪化を抑制することができる。
また、本実施形態では、塵芥投入口4の前縁部(上縁部)4aと後縁部(下縁部)4bとの間に所定の高さ閾値hcが設定され、制御装置は、距離センサ76により計測された物体までの距離に基づき、物体の高さが高さ閾値hc以上であると判定した場合のみ、人物検出部の判定に基づく塵芥積込装置の塵芥積込動作の緊急停止を行うように構成している。これにより、カメラ71により撮影された画像に物体像があった場合に、当該物体像の高さ位置が高さ閾値hcより下方であれば、当該物体像を、塵芥積込装置の塵芥積込動作の緊急停止に関する処理の判定対象から除外することができる。その結果、塵芥投入口4に投入される塵芥Gや画像取得部の画像に写り込んだ収集場所の物体を人物と誤判定することを抑制できるので、カメラ71によって撮影された画像に基づく人物検出の精度を向上させることができる。
また、本実施形態では、カメラ71は、塵芥投入口4の上方に配設された単眼カメラとされている。従来では、単眼カメラを用いた場合には、必ずしも人物検出の精度よく行えないといった問題点があったが、単眼カメラによって撮影された画像のデータのうち、上記の整合性がないと判定された画像のデータを塵芥積込装置の塵芥積込動作の緊急停止に関する処理の判定対象から除外することによって、単眼カメラによって撮影された画像に基づく人物検出の精度を向上させることができ、塵芥積込作業の効率の悪化を抑制することができる。
−その他の実施形態−
今回、開示した実施形態は全ての点で例示であって、限定的な解釈の根拠となるものではない。本発明の技術的範囲は、前記した実施形態のみによって解釈されるものではなく、特許請求の範囲の記載に基づいて画定される。また、本発明の技術的範囲には、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内での全ての変更が含まれる。
上記実施形態では、距離センサ76によって計測されたカメラ71から人物までの距離、および、カメラ71によって撮影された画像における人物の頭部を含むエリアの大きさをそれぞれ2段階に区分けしたが(図10参照)、これに限らず、例えば図11に示すように、3段階以上に区分けしてもよい。図11の判定表では、距離センサ76によって計測されたカメラ71から人物までの距離が、第1基準距離および第2基準距離を境として3段階に区切られており、また、カメラ71によって撮影された画像における人物の頭部を含むエリアの大きさが、第1基準値および第2基準値を境として3段階に区切られている。
そして、カメラ71から人物までの距離が第1基準距離よりも近くであって、カメラ71によって撮影された画像における人物の頭部を含むエリアの大きさが第2基準値よりも大きい場合には、整合判定部によって整合性があると判定される。また、カメラ71から人物までの距離が第2基準距離よりも遠くであって、カメラ71によって撮影された画像における人物の頭部を含むエリアの大きさが第1基準値よりも小さい場合には、整合判定部によって整合性があると判定される。さらに、カメラ71から人物までの距離が、第1基準距離および第2基準距離の中間であって、カメラ71によって撮影された画像における人物の頭部を含むエリアの大きさが、第1基準値および第2基準値の中間である場合には、整合判定部によって整合性があると判定される。
一方、上記以外の6つの場合には、整合判定部によって整合性があると判定される。したがって、これら6つの場合の画像のデータを塵芥積込装置の塵芥積込動作の緊急停止に関する処理の判定対象から除外することができ、カメラ71によって撮影された画像に基づく人物検出の精度を向上させることができ、塵芥積込作業の効率の悪化を抑制することができる。
上述した人物検出用エリア(第1の検知エリアY11、第2の検知エリアY12)は一例であって、上記以外のエリアを採用してもよい。例えば、塵芥投入口4の後縁部4bよりも前方側のエリア全体を第2の検知エリアY12(侵入禁止エリア)として設定してもよい。
上記実施形態では、カメラ71および距離センサ76を塵芥投入口4の上方に配設したが、これ以外の箇所に距離センサ76を配設してもよい。また、上記実施形態では、カメラ71および距離センサ76を1つのカメラユニット7に組み込んだが、カメラ71および距離センサ76を別々の箇所に配設してもよい。
上記実施形態では、画像取得部は、塵芥投入口4の上方に配設されたカメラ(単眼カメラ)71であり、距離計測部は、カメラ71とは別の距離センサ76であったが、本発明はこれに限らず、画像取得部と距離計測部とを兼ねたセンサによって画像の取得と距離の計測を行うようにしてもよい。例えば、距離画像センサやステレオカメラ、3D−LIDAR等によって、画像の取得と距離の計測の両方を行うようにしてもよい。
上記実施形態では、制御装置として塵芥収集車100に本体制御部PLCおよび画像処理ユニット9を設けた場合について説明したが、塵芥収集車100に単一の制御装置のみを設ける構成としてもよい。例えば、本体制御部PLCに画像処理ユニット9の機能も備えさせ、本体制御部PLCに、図9のフローチャートを実行させるようにしてもよい。
上記実施形態では、いわゆる回転式の塵芥積込装置を装備した塵芥収集車100として本発明を具現化した場合について説明しており、塵芥積込装置の主要部は回転板10および押込板20により構成されている。しかし、これに限らず、塵芥積込装置の主要部は昇降板および押込板によって構成されていてもよく、その構造を特に限定するものではない。