JP2021041537A - インクジェットヘッド及びインクジェットヘッドの製造方法 - Google Patents

インクジェットヘッド及びインクジェットヘッドの製造方法 Download PDF

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知宏 西浦
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Abstract

【課題】本発明は、寸法安定性、インク耐性及び耐久性に優れたノズルプレートを具備したインクジェットヘッドと、外形加工時の加工形状が良好で、ボイドの発生がなく切断面の緻密性に優れたノズルプレートを製造するインクジェットヘッドの製造方法を提供することである。【解決手段】本発明のインクジェットヘッドは、基板2を有するノズルプレート1に形成されたノズル孔Nから液滴を吐出するインクジェットヘッドであって、前記基板が、液晶ポリマーを含有しており、かつ、前記基板の側面部S表面に存在する、面積が0.01μm2以上のボイドの平均発生数が、1μm2当たり1個未満である、又は、前記基板の側面部表面の面積に対する前記ボイドの総面積の平均比率が1.0%以下であることを特徴する。【選択図】図1

Description

本発明は、インクジェットヘッド及びインクジェットヘッドの製造方法に関する。更に詳しくは、寸法安定性、インク耐性及び耐久性に優れたノズルプレートを具備したインクジェットヘッドと、インクジェットヘッドの製造方法に関する。
近年、インクジェットヘッドは高精細化が進んでおり、複数のインクジェットヘッドを搭載しているプリンターにおいては、インクジェットヘッド毎のノズルピッチが揃うこと、具体的には、印字長のバラつきが小さいノズルプレートが要求されている。また、ノズルプレートを構成する材料には、様々な特性を備えた各種インクに対応できるよう、高いインク耐性(例えば、高い耐薬品性)を備えることが求められる。
上記要望に適応する特性を備えた材料として、液晶ポリマー(以下、LCP(Liquid Crystalline Polymer)ともいう。)が注目されている。
LCPは高いガスバリアー性を有しており、湿度変化に対する寸法安定性に優れ、印字長のバラつきの小さいノズルプレートを提供することができる。LCPの高ガスバリアー性は、通常のポリマーに比べて表面での直鎖方向の配向性が高く、自由体積が小さいことに起因するといわれている。また、配向した剛直な分子間に化学物質が拡散するためには非常に大きなエネルギーが必要になるため、高い耐薬品性も備えている。
このような寸法安定性及びインク耐性に優れた特性を有するLCPをノズルプレートの基板として適用する方法が提案されている。例えば、特許文献1には、グリコール系誘導体を溶媒としたインクを用いるインクジェットヘッドにおいて、ノズルプレートの基板として液晶ポリマーを用いることにより、印字品質、生産性に優れたインクジェットヘッドが開示されている。また、特許文献2では、ノズル孔が形成されたノズルプレートにおいて、構成材料として液晶ポリマー、好ましくは、半芳香族液晶ポリエステルを用いることにより、多品種インク適性(インク耐久性)、生産性、アクチュエーターとの接合部の剥離耐性が向上するノズルプレートが開示されている。また、特許文献3には、インクジェットヘッドのノズルプレートとして、特定の線膨張係数を有する液晶ポリマー樹脂材料を適用することにより、ノズルプレートとヒーターボード間の密着性を向上させることができるインクジェットヘッドが開示されている。
優れた特性を備えているLCPであるが、LCPは主鎖方向に配向性を持つため、フィルム表面の分子配列は緻密である反面、側鎖方向は緻密でないという特性を有している。すなわち、表面はスキン層と呼ばれ強度は高いが、内部はコア層と呼ばれ強度が弱い傾向にある。
そのため、LCPを基板として用いてノズルプレートを製造する工程で、大面積のノズルプレートを作製した後、インクジェットヘッドに装着するため、所定のサイズに加工する断裁工程において、LCPを側鎖方向に切断すると、その露出した側面部に、内部の自由体積の大きい領域が露出して、ボイドが形成され、このボイド部分にワイピング等の操作時にインクが接触する、またはインクジェット画像記録時にインクが接触することにより、浸食が生じる。
その結果、インクがこの浸食部よりノズルプレートとアクチュエーターの界面部に浸透することにより、剥離や膨潤を起こすことにより、ノズルプレートに形成したノズル孔の間隔、すなわち印字長の変動やノズル形状の変形を引き起こし、形成するインクジェット画像品質を低下させる。加えて、ノズルプレートとアクチュエーターの接着面で膨潤すると、界面が剥離してインクリークを引き起こし、インクジェットヘッドの信頼性を低下させる。また、外力が加わると構造的に弱い部分に沿って裂けてしまい、耐久性の低下を引き起こすという問題を抱えている。
従って、ノズルプレートの基板として液晶ポリマーを適用した際に、寸法安定性、インク耐性及び耐久性に優れたノズルプレートを具備したインクジェットヘッドの開発が要望されている。
特開平6−344563号公報 特開平9−327924号公報 特開平9−011485号公報
本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、その解決課題は、寸法安定性、インク耐性及び耐久性に優れたノズルプレートを具備したインクジェットヘッドと、外形加工時の外形形状に優れ、ボイドの発生がなく切断面の緻密性に優れたノズルプレートを製造するインクジェットヘッドの製造方法を提供することにある。
本発明者は、上記課題を解決すべく、上記問題の原因等について検討する過程において、インクジェットヘッドとして、液体を吐出するノズル孔が形成されたノズルプレートを具備し、圧力振動子による圧力伝播によってノズル孔から液滴を吐出するインクジェットヘッドであって、前記ノズルプレートは、主成分として液晶ポリマーで構成される基板を有し、所望のサイズに断裁した後の前記液晶ポリマーで構成される基板の側面部表面における特定のサイズ以上のボイドの発生数、又は前記基板の側面部におけるボイドの発生面積比率が特定の発生数以下とすることにより、寸法安定性、インク耐性及び耐久性に優れたノズルプレートを具備したインクジェットヘッドを形成することができることを見出し、本発明に至った。
すなわち、本発明に係る上記課題は、以下の手段により解決される。
1.基板を有するノズルプレートに形成されたノズル孔から液滴を吐出するインクジェットヘッドであって、
前記基板が、液晶ポリマーを含有しており、かつ、
前記基板の側面部表面に存在する、面積が0.01μm以上のボイドの平均発生数が、1μm当たり1個未満である、又は、
前記基板の側面部表面の面積に対する前記ボイドの総面積の平均比率が1.0%以下であることを特徴するインクジェットヘッド。
2.前記液晶ポリマーが、アミド結合を有するポリエステル系ポリマーであることを特徴とする第1項に記載のインクジェットヘッド。
3.前記基板のインク吐出面に、撥液層が形成されていることを特徴とする第1項又は第2項に記載のインクジェットヘッド。
4.第1項から第3項までのいずれか一項に記載のインクジェットヘッドを製造するインクジェッットヘッドの製造方法であって、
液晶ポリマーを含有する基板上に、少なくとも撥液層を形成する工程と、
ノズルプレートを、所定のサイズに外形加工する工程と、
前記基板に、インクを射出するノズル孔を加工する工程と、
を経てノズルプレートを製造することを特徴とするインクジェッットヘッドの製造方法。
5.前記撥液層の形成温度が、80℃以下であることを特徴とする第4項に記載のインクジェッットヘッドの製造方法。
6.前記ノズルプレートの外形加工に、レーザーを用いることを特徴とする第4項又は第5項に記載のインクジェッットヘッドの製造方法。
7.前記レーザーが、パルスレーザー又はCWレーザーであることを特徴とする第6項に記載のインクジェッットヘッドの製造方法。
8.前記レーザーを用いたノズルプレートの外形加工時の温度を、前記液晶ポリマーの融点以上の温度にすることを特徴とする第6項又は第7項に記載のインクジェッットヘッドの製造方法。
9.前記ノズルプレートの外形加工と同時に、基板の表面の前記ノズル孔の形成列に沿って、1本以上の溝を形成することを特徴とする第4項から第8項までのいずれか一項に記載のインクジェッットヘッドの製造方法。
10.前記溝の形状が、溝幅が75μm以下で、かつ溝の深さが50μm以下であることを特徴とする第9項に記載のインクジェッットヘッドの製造方法。
11.前記ノズル孔が、レーザー加工法により形成することを特徴とする第4項から第10項までのいずれか一項に記載のインクジェッットヘッドの製造方法。
12.前記レーザー加工法に用いるレーザーが、エキシマレーザーであることを特徴とする第11項に記載のインクジェッットヘッドの製造方法。
13.前記ノズル孔を、マスクパターンの縮小転写法により形成することを特徴とする第4項から第12項までのいずれか一項に記載のインクジェッットヘッドの製造方法。
上記手段によれば、寸法安定性、インク耐性及び耐久性に優れたノズルプレートを具備したインクジェットヘッドと、外形加工時の外形形状に優れ、ボイドの発生がなく切断面の緻密性に優れたノズルプレートを製造するインクジェットヘッドの製造方法を提供することができる。
本発明で規定する構成からなるノズルプレートの技術的特徴とその効果の発現機構は、以下のとおりである。
本発明のノズルプレートでは、液晶ポリマーを含有する基板上に各構成層を形成した後、インクジェットヘッドへ装着するサイズに断裁する際に、具体的には、レーザーを用いたノズルプレートの外形加工時の温度を、適用している基板の液晶ポリマーの融点以上の温度にすることにより、外形加工後の側面部表面におけるボイドの発生数を低減でき、その結果、ボイドに起因する密着性の低下を防止することができたものである。
基板としてLCPを適用した際、露出した側面部に、内部の自由体積の大きい領域が露出して、ボイドが形成され、このボイド部分にワイピング等の操作時にインクが接触することにより、浸食が生じる。その結果、インクがこの浸食部よりノズルプレートとアクチュエーターの界面部に浸透し、剥離や膨潤を起こすことにより、ノズルプレートに形成したノズル孔の間隔のばらつきやノズル孔の変形を引き起こし、形成するインクジェット画像品質を低下させる、という問題について、本発明者らが鋭意検討を進めた結果、上記の問題に対しては、LCPを側鎖方向に切断して使用する際には、側鎖方向の構造を緻密に制御し、裁断後の側面におけるボイドの発生頻度を特定の条件以下とする方法が有効であると考えた。
その条件を実現するための具体的な方法の一つとして、所望のサイズに切断する際に、熱を加えて、LCPの切断面を溶融しながら切断する方法が、ボイドの発生を抑制することができる極めて有効な方法であることを見出した。
すなわち、切断する側面を、基板であるLCPの融点以上に加熱することにより、分子鎖が自由に動くことができる状態で切断することができ、その後、常温でゆっくりと固めることで、分子鎖がエネルギー的に安定である緻密に充填された構造を取り、結晶化度の高い切断面を得ることができる。その結果、インク浸漬に対するノズルプレート単体の耐性やノズルプレートとアクチュエーターとの接着面の耐性や外力に対する耐性が向上し、インク耐性や耐久性及び信頼性を向上させることができる。
本発明に係るノズルプレートの構成の一例を示す斜視図と概略断面図 ノズルプレートを構成する基板の裁断後の側面に発生するボイドを説明するための電子顕微鏡写真(比較例) 本発明の外形加工後のノズルプレートの側面部表面の一例を示す電子顕微鏡写真 本発明に係るノズルプレートの製造工程の一例を示すフロー図 本発明の代表的なノズルプレートの製造方法における製造ステップ(その1)を示す斜視図 本発明の代表的なノズルプレートの製造方法における製造ステップ(その2)を示す斜視図 本発明に係るノズルプレートの適用が可能なインクジェットヘッドの構造の一例を示す概略斜視図 図7に示すインクジェットヘッドを構成するノズルプレートの一例を示す底面図
本発明のインクジェットヘッドは、基板を有するノズルプレートに形成されたノズル孔から液滴を吐出するインクジェットヘッドであって、前記基板が、液晶ポリマーを含有しており、かつ、前記基板の側面部表面に存在する、面積が0.01μm以上のボイドの平均発生数が、1μm当たり1個未満である、又は、前記基板の側面部表面の面積に対する前記ボイドの総面積の平均比率が1.0%以下であることを特徴する。この特徴は、下記各実施形態に係る発明に共通する技術的特徴である。
本発明の実施形態としては、本発明の効果発現の観点から、前記液晶ポリマーとして、アミド結合を有するポリエステル系ポリマーを適用することが、ノズルプレートしての耐熱性の向上と、高弾性率化を達成することができる点で好ましい。
また、基板のインク吐出面に、撥液層が形成されていることが、インク出射時のインクミスト等のノズルプレート表面への付着を防止することができ、長期間にわたりインク出射安定性を維持することができる点で好ましい。
本発明のインクジェットヘッドを製造するインクジェッットヘッドの製造方法では、
液晶ポリマーを含有する基板上に、少なくとも撥液層を形成する工程と、
ノズルプレートを、所定のサイズに外形加工する工程と、
前記基板に、インクを射出するノズル孔を加工する工程と、
を経てノズルプレートを製造することを特徴とする。
更には、本発明のインクジェッットヘッドの製造方法においては、撥液層の形成温度を80℃以下とし、基板である液晶ポリマー上に、非湿式塗布方法、例えば、乾式成膜法である室温スパッタ法等を適用して、撥液層を形成することが、高品位のノズルプレートを作製することができる点で好ましい。
また、ノズルプレートの外形加工として、レーザーを用いること、更にはレーザーとして、パルスレーザーを適用すること、更に詳しくは、レーザーを用いたノズルプレートの外形加工時の温度を、液晶ポリマー(LCP)の融点以上の温度にすることが、外形加工時に高温下での裁断を行うことにより、裁断後のノズルプレートの側面部の表面におけるボイドの発生を抑制することができ、その結果、ボイドによる密着性低下等を防止することができ、寸法安定性、インク耐性、耐久性に優れたノズルプレートを作製することができる点で好ましい。
また、ノズルプレートの外形加工と同時に、基板の表面のノズル孔の形成列に沿って、1本以上の溝、より具体的には、幅が75μm以下で、かつ深さが50μm以下の溝を形成することが、ノズルプレートとアクチュエーターとを接着剤を用いて張り合わせた際に、過剰の接着剤をノズル部から逃し、ノズル孔が接着剤により詰まるのを防止することができる点で好ましい。
また、ノズル孔を、エキシマレーザー等を用い、マスクパターンの縮小転写法により形成することが、高い加工精度で複数のノズル孔を連続して形成することができる点で好ましい。
以下、本発明とその構成要素、及び本発明を実施するための形態・態様について詳細な説明をする。なお、本願において、数値範囲を表す「〜」は、その前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む意味で使用している。また、以下の説明において、各構成要素のあとに記載の数字は、各図に記載した各構成要素の符号を表す。
《ノズルプレートの基本構成》
本発明に係るノズルプレートは、基板が液晶ポリマーを含有して構成され、基板上に、少なくとも撥液層が形成され、基板の表面にはインク液滴を吐出するノズル孔が形成されている。また、基板上には、最表層である撥液層の他に、必要に応じて、下地層、導電層、密着層等が形成される。
図1は、本発明に係るノズルプレートの構成の一例を示す斜視図と概略断面図である。
図1の(a)で示すように、本発明に係るノズルプレート1は、液晶ポリマーを含有する基板2を有することを特徴の一つとする。液晶ポリマーを含有する基板2に隣接して、下地層3が形成され、インク吐出面側の最表層に、撥液層4が設けられている。また、基板2のアクチュエーターに接する面側から撥液層4にかけて、ライン状に複数のノズル孔Nの列が形成されている。
本発明に係るノズルプレート1を構成する液晶ポリマーを含有する基板2においては、基板の4面の側面部Sに存在する、面積が0.01μm以上のボイドの平均発生数が、1μm当たり1個未満である、又は、前記基板の側面部表面の面積に対する前記ボイドの総面積の平均比率が1.0%以下であることを特徴する。ボイドの詳細については後述する。
図1の(b)で示す断面図は、図1の(a)で示した図において、切断線A−A′における断面図を示してある。ノズルプレート1は、基板2に隣接して、下地層3、撥液層4が積層され、ノズル孔Nが、基板の表面から撥液層4表面まで、貫通した形状で形成されている。
《ボイドについて》
本発明に係るノズルプレートにおいては、基板の4面の側面部Sに存在する、面積が0.01μm以上のボイドの平均発生数が、1μm当たり1個未満である、又は、前記基板の側面部表面の面積に対する前記ボイドの総面積の平均比率が1.0%以下であることを特徴する。
本発明でいう「ボイド」とは、下記条件下で撮影した電子顕微鏡写真により観察され得る基板の側面部表面の凹状のへこみ(一般に「ひけ」という。)及び基板内部の空洞(狭義の「ボイド」という。)を含めた欠陥(本願では、広義の「ボイド」とする。)をいう。なお、「ひけ」も狭義の「ボイド」も、樹脂成形において樹脂が冷却固化する過程で、局所的に異常な収縮を起こすために発生する現象である。
本発明では、外形加工により所望の形状に断裁した後のノズルプレートを構成する基板の側面部表面について観察を行い、下記の条件でボイドを検出する。
はじめに、作製した液晶ポリマーを含有する基板を有するノズルプレートを所定のサイズに外形加工した後、ミクロトームで各側面の表面部を1μm以下の平坦度にトリミングを行う。
次いで、各側面の表面部を下記の条件で、電子顕微鏡写真を撮影する。
例えば、電子顕微鏡として、日本電子(JEOL)社製の走査型電子顕微鏡(SEM)JSM−6060LAを用い、加速電圧10kV、撮影倍率5000倍で、4つの側面で計30か所(横:6か所、縦:9か所)で撮影を行い、電子顕微鏡写真を作成する。この時、0.01μm以上のサイズの空隙部をボイドとして判定する。
図2は、ノズルプレートを構成する基板の裁断後の側面に発生するボイドを説明するための比較例のノズルプレートを構成する基板の側面を撮影した電子顕微鏡写真の一例である。
図2のVで示した箇所がボイドの一例であり、切断面において空隙のエッジ部が立っているため、観察時の二次電子や反射電子が強く検出される結果、輪郭が白く明るく見え、内側が暗く観察され、1μm当たりの0.01μm以上のサイズのボイドの発生数を計測し、観察する30か所での平均発生数を求める。本発明では、面積が0.01μm以上のボイドの数が、1μm当たり、0を含む1個未満であることを特徴の一つとする。
また、本発明で規定する単位面積当たりの発生面積比率の算出は、上記条件でノズルプレートの基板の側面を観察した後、図2で示すように、25μm×25μmの面積範囲で発生しているボイドVの面積の総和を算出して、発生面積比率を求める。ここでいうボイドVの面積とは、直線距離で、最長の軸長×最短の軸長で計算して求める。この発生面積比率を、無作為に抽出した基板の側面30か所で求め、そのボイドの総面積の平均比率を求める。本発明では、基板の側面部表面の面積に対するボイドの総面積の平均比率が、0を含む1.0%以下であることを特徴する。
図2に示す電子顕微鏡写真は、上記で説明した、比較例のノズルプレートを構成する基板の裁断後の側面に発生するボイドを説明するための電子顕微鏡写真である。例えば、金属片刃や金属金型を用いて、所定のサイズのノズルプレートの外形加工したのち、側面部をミクロトームによりトリミングしたノズルププレートの基板側面を撮影した電子顕微鏡写真であり、側面部表面に多数のボイドVが生じている。
これに対し、図3に示す電子顕微鏡写真は、本発明の製造方法で作製した外形加工後のノズルプレートの側面部表面の一例を示す電子顕微鏡写真である。例えば、レーザーを用いてノズルプレートの外形加工を行い、その際の加工条件として液晶ポリマーの融点以上の温度でレーザー照射を行ったのちのノズルプレートの基板の側面部表面の一部を示しているものであり、図2の従来法に比較し、基板の側面部の表面におけるボイドの発生が極めて少ないことがわかる。
《ノズルプレートの構成材料》
次いで、本発明に係るノズルプレートの主要な構成材料の詳細について説明する。
〔基板:液晶ポリマー〕
液晶ポリマー(Liquid Crystal Polymer 略称:LCP)は、溶融状態で液晶を形成し、溶融状態で応力が加わると分子膜が一方向に配向し、溶融粘度が低下する。LCPのうちサーモトロピック型に属するものは、溶融状態で分子の直鎖が規則正しく並んだ液晶様性質を示す、熱可塑性樹脂に属する合成樹脂の総称として定義される。具体的には、パラヒドロキシ安息香酸等を基本構造とし、各種の成分と直鎖上にエステル結合させた芳香族ポリエステル系樹脂であり、耐熱性、耐薬品性、寸法安定性に優れた特性を有している。
本発明においては、基板に適用するLCPとして、全芳香族ポリエステルであることが好ましい。
LCPとしては、分子設計上、大きく分けて、下記に示すタイプI〜タイプIIIの3種の基本構造に分類することができる。本発明では、その中でも、耐熱性と強度に優れたタイプIIを用いることが好ましい。
(タイプI)
タイプIは、下記に示す構造単位である、p−ヒドロキシ安息香酸と4,4′−ジヒドロキシビフェニル、フタル酸から構成される重縮合体からなる液晶ポリマーである。
Figure 2021041537
タイプIの液晶ポリマーは、特に、耐熱性に優れた特性を有している。タイプIに属する液晶ポリマーは、市販品としても入手することができ、例えば、住友化学社製のスミカスーパーザイダー、デュポン社製のゼナイト等を挙げることができる。
(タイプII)
タイプIIは、下記に示す構造単位であるρ−ヒドロキシ安息香酸と2−ヒドロキシ−6−ナフトエ酸から構成される重縮合体からなる液晶ポリマーである。
Figure 2021041537
タイプIIで表される液晶ポリマーは、比較的高強度で、耐熱性と強度に優れた液晶ポリマーである。タイプIIに属する液晶ポリマーは、市販品としても入手することができ、例えば、セラニーズ社製のベクトラ、ポリプラスチックス社製のラペロス LCP、上野製薬社製のUENO LCP等を挙げることができる。
(タイプIII)
タイプIIIは、下記に示す構造単位である、p−ヒドロキシ安息香酸とエチレンテレフタレートから構成される重縮合体からなる液晶ポリマーである。
Figure 2021041537
タイプIIIで表される液晶ポリマーは、成形加工性に優れた特性を有しているが、耐熱性等が十分ではない。タイプIIに属する液晶ポリマーは、市販品としても入手することができ、例えば、セラニーズ社製のイーストマンコダック社製のX7G等を挙げることができる。
液晶ポリマーの製造方法としては、一般には、溶融重合法により製造することができる。芳香族ヒドロキシ酸を無水酢酸等によってアセチル化し、加熱して脱酢酸重縮合反応により、直鎖構造とする。
これら液晶ポリマーの各種構成及び製造方法の詳細に関しては、例えば、特開2003−82101号公報、特開2006−45517号公報、特開2010−31256号公報等に記載されている内容を参照することができる。
(液晶ポリマーのエステルアミド化)
本発明に係る液晶ポリマーとしては、芳香族ポリアミド等によりアミド結合を付与してエステルアミド化することにより、高弾性率化させることができ、かつ耐熱性を向上させることができる点で好ましい。
本発明に適用可能な芳香族ポリアミドとしては、メタ配向芳香族ポリアミドとパラ配向芳香族ポリアミドが挙げられる。このうちメタ配向芳香族ポリアミドとは、アミド結合が芳香族環のメタ位又はそれに準じた配向位(例えば、1,3−フェニレン、3,4′−ビフェニレン、1,6−ナフタレン、1,7−ナフタレン、2,7−ナフタレン等)で結合される繰り返し単位から実質的になるものであり、メタ配向芳香族ジアミンとメタ配向芳香族ジカルボン酸ジクロライドの縮合重合により得られ、具体的にはポリメタフェニレンイソフタルアミド、ポリ(メタベンズアミド)、ポリ(3,4′−ベンズアニリドイソフタルアミド)、ポリ(メタフェニレン−3,4′−ビフェニレンジカルボン酸アミド)、ポリ(メタフェニレン−2、7−ナフタレンジカルボン酸アミド)が挙げられる。
一方、パラ配向芳香族ポリアミドとは、アミド結合が芳香族環のパラ位、又はそれに準じた配向位(例えば、4,4′−ビフェニレン、1,5−ナフタレン、2,6−ナフタレン等のような反対方向に同軸または平行に延びる配向位)で結合される繰り返し単位から実質的になるものであり、パラ配向芳香族ジアミンとパラ配向芳香族ジカルボン酸ジハライドの縮合重合により得られるものである。具体的には、ポリ(パラフェニレンテレフタルアミド)、ポリ(パラベンズアミド)、ポリ(4,4′−ベンズアニリドテレフタルアミド)、ポリ(パラフェニレン−4,4′−ビフェニレンジカルボン酸アミド)、ポリ(パラフェニレン−2,6−ナフタレンジカルボン酸アミド)、ポリ(2−クロロ−パラフェニレンテレフタルアミド)、パラフェニレンジアミンと2,6−ジクロロパラフェニレンジアミンとテレフタル酸ジクロライドとの共重合体等のパラ配向芳香族ポリアミドが挙げられる。
液晶ポリマーのエステルアミド化(イミド化)に関しては、例えば、特開2003−821901号公報や特開2004−292346号公報に記載されている内容を参照することができる。
(液晶ポリマーの添加剤)
本発明に係る液晶ポリマーには、液晶ポリマーの欠点である成形品(基板)の異方性やウエルド強度の低さを改善するため、ガラス繊維などを充填する改質が行われる。また、弾性や強度向上のため、炭素繊維やマイカなどの無機フィラーによる強化も行われる。
(液晶ポリマー基板の製造方法)
本発明に係る液晶ポリマーを含有する基板は、従来公知の製膜方法、例えば、押し出し法、インフレ法、溶媒キャスト法等に従って製造することができる。
以下に、一例として、液晶ポリマーを含有する基板を溶媒キャスト法により成膜する方法について説明する。
以下、溶媒キャスト法による液晶ポリマーより構成される液晶ポリエステルフィルムの作製方法について説明する。
まず、上述した各種液晶ポリエステルを特定の溶媒に溶解することにより、溶媒とこの溶媒に溶解した液晶ポリエステルとが含まれる所定の粘度の液状組成物(ドープともいう。)を調製する。
ドープを構成する溶媒としては、液晶ポリエステルを溶解するものであれば特に限定されないが、例えば、N,N′−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン、N−メチルカプロラクタム、N,N′−ジメチルホルムアミド、N,N′−ジエチルホルムアミド、N,N′−ジエチルアセトアミド、N−メチルプロピオンアミド、ジメチルスルホキシド、γ−ブチロラクトン、ジメチルイミダゾリジノン、テトラメチルホスホリックアミドおよびエチルセロソルブアセテート、並びにパラフルオロフェノール、パラクロロフェノール、ペルフルオロフェノール等のハロゲン化フェノール類などが挙げられる。これらの溶媒は、1種類を単独で使用してもよく、2種類以上を混合して使用しても構わない。
こうした溶媒の中でも、取扱性の観点から、N,N′−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン、N−メチルカプロラクタム、N,N′−ジメチルホルムアミド、N,N′−ジエチルホルムアミド、N,N′−ジエチルアセトアミド、N−メチルプロピオンアミド、ジメチルスルホキシド、γ−ブチロラクトン、ジメチルイミダゾリジノン、テトラメチルホスホリックアミドおよびエチルセロソルブアセテートからなる群から選択される非プロトン性有機溶媒が好適である。
この溶媒の使用量は、液晶ポリエステルを0.1質量%以上含有する液状のドープを調製するような量であれば、適用する溶媒の種類に応じて適宜選択することができるが、溶媒100質量部に対して、液晶ポリマーが0.5〜50質量部の範囲内であることが好ましく、10〜20質量部の範囲内であることがより好ましい。液晶ポリマーが0.5質量部未満であると、ドープの粘度が低すぎて均一に製膜することができない傾向があり、液晶ポリマーが50質量部を超えると、高粘度化する傾向がある。
なお、このドープには、機械的強度向上を目的として少量の無機フィラーを配合してもよい。フィラーを配合する際の配合量は、この液晶ポリマーフィルムのフレキシブル性を損なわない範囲で選ばれ、通常、ドープ中に5質量%以下であると好ましい。なお、好適なフィラーとしては、ホウ酸アルミニウム、チタン酸カリウム、硫酸マグネシウム、酸化亜鉛、炭化ケイ素、窒化ケイ素、ガラスまたはアルミナなどの無機物質からなるフィラーであり、これらのフィラーの形状は繊維状、板状、粒子状のいずれであってもよい。
また、このドープには、必要に応じて、例えば、シランカップリング剤、酸化防止剤に代表される添加剤が含まれていてもよい。この添加剤は、ドープの調製に使用した溶媒に可溶であると好ましい。
次いで、こうして調製されたドープをステンレス等の無端ベルト上に流延塗布する。この流延塗布方法としては、例えば、ローラーコート法、ディップコーター法、スプレイコーター法、スピンコート法、カーテンコート法、スロットコート法、スクリーン印刷法など各種の方法が挙げられる。
最後に、こうして無端ベルト上に流延塗布されたドープの溶媒を除去する。この溶媒除去は、溶媒の蒸発により行うことが好ましい。溶媒を蒸発する方法としては、加熱、減圧、通風などの方法が挙げられるが、これらの中でも生産効率、取扱性の点から加熱による蒸発が好ましく、通風しつつ加熱して蒸発させることがより好ましい。加熱により溶媒を除去する場合、例えば、温度80〜200℃において10〜120分間保持すればよい。
なお、この液晶ポリマーを含有する基板の厚さは、製膜性や機械特性の観点から、0.5〜500μmであることが好ましく、取扱性の観点から1〜150μmであることがより好ましい。
〔撥液層〕
本発明において、撥液層としては、特に制限はないが、フッ素系化合物を含有し、当該フッ素系化合物が、(1)少なくともアルコキシシリル基、ホスホン酸基若しくはヒドロキシ基を含有するパーフルオロアルキル基を有する化合物、又はアルコキシシリル基、ホスホン酸基若しくはヒドロキシ基を含有するパーフルオロポリエーテル基を有する化合物、又は、(2)パーフルオロアルキル基を有する化合物を含む混合物、又はパーフルオロポリエーテル基を有する化合物を含む混合物であることが好ましい。
フッ素系化合物は、市販品としても入手が可能であり、例えば、東レ・ダウコーニングシリコーン(株)、信越化学工業(株)、ダイキン工業(株)(例えば、オプツールDSX)、旭ガラス社(例えば、サイトップ)、また、(株)セコ(例えば、Top CleanSafe(登録商標))、(株)フロロテクノジー(例えば、フロロサーフ)、Gelest Inc.ソルベイ ソレクシス(株)(例えば、Fluorolink S10)等により上市されており、容易に入手することができる他、例えば、J.Fluorine Chem.,79(1).87(1996)、材料技術,16(5),209(1998)、Collect.Czech.Chem.Commun.,44巻,750〜755頁、J.Amer.Chem.Soc.1990年,112巻,2341〜2348頁、Inorg.Chem.,10巻,889〜892頁,1971年、米国特許第3,668,233号明細書等、また、特開昭58−122979号、特開平7−242675号、特開平9−61605号、同11−29585号、特開2000−64348号、同2000−144097号の各公報等に記載の合成方法、又はこれに準じた合成方法により製造することができる。
具体的には、シラン基末端パーフルオロポリエーテル基を有する化合物としては、例えば、上記に示したダイキン工業(株)製の「オプツールDSX」、シラン基末端フルオロアルキル基を有する化合物としては、例えば、フロロサーフ社製の「FG−5010Z130−0.2」等、パーフルオロアルキル基を有するポリマーとしては、例えば、AGCセイミケミカル社製の「エスエフコートシリーズ」、主鎖に含フッ素ヘテロ環状構造を有するポリマーとしては、例えば、上記旭ガラス社製の「サイトップ」等を挙げることができる。また、FEP(4フッ化エチレン−6フッ化プロピレン共重合体)分散液とポリアミドイミド樹脂との混合物も挙げることができる。
その他には、フッ素樹脂を適用することもでき、例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、テトラフルオロエチレン−エチレン共重合体(ETFE)、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)等を用いることができるが、FEPは臨界表面張力が低く、撥液性に優れており、また、熱処理温度である300〜400℃における溶融粘度が低く、均一な膜形成が可能な点で好ましい。
その他のフッ素系化合物としては、例えば、特開2017−154055号公報に記載のフッ素基を含有する加水分解性シラン化合物、国際公開第2008/120505号に記載の有機系フッ素化合物、含フッ素有機金属化合物等を挙げることができる。
撥液層をPVD法により形成する方法としては、フッ素系化合物として、フルオロアルキルシラン混合酸化物であるメルクジャパン社のEvaporation substance WR1及びWR4を用い、例えば、シリコン基板にWR1による撥液層を形成する場合の下地として下地層又は密着層として酸化シリコン層を予め形成しておくことが好ましい。WR1及びWR4により形成される撥液層は、水以外にエタノール等のアルコール、エチレングリコール(ポリエチレングリコールを含む)、シンナー及び塗料等の有機溶媒に対して撥液性を示す。
本発明に係る撥液層の層厚は、1nm〜3.00μmの範囲内であることが好ましいが、レーザー等によりノズル孔の形成を行う場合には、300nm以下であることがより好ましい。
〔その他の構成層〕
本発明に係るノズルプレートにおいては、基板及び撥液層の他に、必要に応じて、各種構成層を設けることができる。
(下地層)
本発明において、基板と撥液層の間に下地層を設けることができる。
本発明に係る下地層としては、第1の構成としては、タンタル、ジルコニウム、ハフニウム、ニオビウム、チタン、タングステン、コバルト、モリブテン、バナジウム、ランタン、マンガン、クロム、イットリウム、プラセオジウム、ルテニウム、ロジウム、レニウム、イリジウム、セリウム及びアルミニウムから選ばれる単数又は複数の種類の金属元素を含有し、かつ、酸素、窒素、炭素から選ばれる単数又は複数の種類の元素を含有する化合物により構成されていることが好ましい。
また、第2の構成としては、下地層が酸化シリコン、酸化炭化シリコン、タンタルシリケート及び炭化酸化シリコンから選ばれる化合物を含有することが好ましい。
また、第3の構成としては、下地層がポリアミド又はイソシアネートで構成されていることが好ましい。
下地層の厚さは、0.5nm〜1μmの範囲内とすることが好ましいが、その中でも、1〜50nmの範囲であることが好ましい。
(導電層)
本発明で適用可能な導電層としては、通電特性を備えた材料により構成される層を挙げることができ、下地層と撥液層間の任意の位置に設けることができる。
導電層としては、JIS K 6911, ASTM D257に準拠した2重リング方式で測定したシート抵抗が、好ましくは1.0×1010Ω/sq.以下、より好ましくは5.0×10Ω/sq.以下であり、さらに好ましくは3.0×10Ω/sq.以下である(ただし、0を除く)。
〈昇華性化合物〉
本発明に適用可能な導電層においては、昇華性化合物により形成されていることが好ましい。更には、昇華性化合物として導電性のカーボン材料又は金属化合物を、例えば、蒸着法を用いて導電層として形成する方法、又はこれらの材料を微粒子の状態で含む微粒子分散液等として用い、樹脂材料(例えば、熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂、活性エネルギー線硬化性樹脂等)中に分散した状態で存在させて、所望の抵抗値を有する樹脂成分を含む導電層を形成する方法である。
本発明において、導電層の形成に適用可能なカーボン材料の具体例としては、フラーレン(例えば、フラーレンC60、フラーレンC70、フラーレンC76、フラーレンC78、フラーレンC84、フラーレンC240、フラーレンC540、ミックスドフラーレン、フラーレンナノチューブ、多層ナノチューブ、単層ナノチューブ、ナノホーン(円錐型)等)、グラフェン、カーボンナノチューブ、アモルファスカーボン(ガラス状炭素、Si、O、Hの少なくとも1つの元素を含む非晶質炭素、ダイヤモンドライクカーボン、水素フリーダイヤモンドライクカーボン)等を挙げることができる。
また、導電層の形成に適用可能な金属化合物としては、金属酸化物を好ましく用いることがでる。例えば、ITO(スズドープ酸化インジウム)、ZnO、Nb、ZnO/Sb(アンチモン酸亜鉛)、ZrO、CeO、Ta、TiO、Ti、Ti、Ti、TiO、SnO、LaTi、IZO(インジウム・亜鉛酸化物)、AZO(アルミニウムドープ・亜鉛酸化物)、GZO(ガリウムドープ・亜鉛酸化物)、ATO(アンチモン・スズ酸化物)、ICO(インジウム・セリウム酸化物)、Bi、a−GIO、Ga、GeO、SiO、Al、HfO、SiO、MgO、Y、WO、a−GIO(ガリウム・インジウム酸化物)、IGZO(インジウム−ガリウム−亜鉛酸化物)等が挙げられる。
本発明においては、導電層が、有機導電性ポリマーにより形成されていることが好ましい。
本発明に適用可能な有機導電性ポリマーとしては、それ自身がバインダーとして機能し、導電性樹脂層を形成する材料であっても、又は、導電性高分子化合物により導電性樹脂微粒子を形成し、それを分散状態(樹脂エマルジョン)で、既存の樹脂材料中に添加して、導電性樹脂層を形成する方法であってもよい。
本発明に適用可能な有機導電性ポリマーとしては、例えば、ポリピロール類、ポリインドール類、ポリカルバゾール類、ポリチオフェン類、ポリアニリン類、ポリアセチレン類、ポリフラン類、ポリパラフェニレンビニレン類、ポリアズレン類、ポリパラフェニレン類、ポリパラフェニレンサルファイド類、ポリイソチアナフテン類、ポリチアジル類等の鎖状導電性ポリマーやポリアセン系導電性ポリマーを挙げることができるが、本発明においては、特に、ポリチオフェン類、ポリアニリン類及びポリピロール類から選ばれる少なくとも一種のカチオン性π共役系導電性高分子であることが好ましい。
なお、導電層形成材料の詳細については、例えば、特開2016−126954号公報の段落(0045)〜(0151)に記載されている内容を参照することができる。
導電層の厚さは、1nm〜3.00μmの範囲内とすることが好ましいが、その中でも、5〜500nmの範囲であることが好ましい。
(密着層)
本発明において、基板と下地層の間に密着層を設けることもできる。
本発明に適用可能な密着層としては、タンタル、ジルコニウム、ハフニウム、チタン、ルテニウム、ロジウム、レニウム、イリジウム、アルミニウム、シリコン、カーボンの少なくとも一つの酸化物からなることが好ましい。酸化シリコンのように、これらのうちの一つの元素の酸化物でもよいし、タンタルシリケートのように、これらのうちの二つ以上の元素が結合した酸化物でもよい。
密着層の厚さは、0.5nm〜1μmの範囲内とすることが好ましいが、その中でも、1〜50nmの範囲であることが好ましい。
《ノズルプレートの製造方法》
本発明のインクジェットヘッドは、先述のとおり、液晶ポリマーを含有する基板を適用し、基板の側面部表面に存在する、面積が0.01μm以上のボイドの平均発生数が、1μm当たり1個未満である、又は、前記基板の側面部表面の面積に対する前記ボイドの総面積の平均比率が1.0%以下であることを特徴する。
上記で規定する基板の特性を達成するためのインクジェッットヘッドの製造方法としては、
1)液晶ポリマーを含有する基板上に、少なくとも撥液層を形成する工程と、
2)ノズルプレートを、所定のサイズに外形加工する工程と、
3)前記基板に、インクを射出するノズル孔を加工する工程と、
を経てノズルプレートを製造することを特徴とする。
更に、基板の側面部表面で、本発明で規定するボイドの発生を制御する具体的な製造条件としては、
A)ノズルプレートの外形加工に、レーザーを用いること、
B)レーザーとして、パルスレーザー又はCWレーザーを適用すること、
C)レーザーを用いたノズルプレートの外形加工時の温度を、液晶ポリマー(LCP)の融点以上の温度に設定すること、
である。
〔ノズルプレートの製造工程〕
図4に、本発明に係るノズルプレートの製造工程の一例を示すフロー図を、図5及び図6には、本発明の代表的なノズルプレートの製造方法における製造ステップの斜視図を示す。
本発明に係るノズルプレートの製造方法の一例としては、図4に示すステップS1〜ステップS9及び図5及び図6に示す製造ステップを挙げることができ、以下のその詳細について説明する。
(ステップS1)
図4に示すステップS1は、基板(LCP)の裁断工程であり、図5の(a)で示すように、LCPを含有する基板2を、成膜装置のチャンバーに入るように所定の大きさに裁断する。ステップS1における裁断手段については、特に制限はなく、例えば、ロータリー式断裁刃や、一対の上刃と下刃を組み合わせた裁断刃を用いた機械的な裁断方法であっても、レーザー等を用いた裁断方法であってもよい。
(ステップS2)
図4に示すステップS2は、下地層の形成工程であり、図5の(b)で示すように、基板2上に、SiOやSiCを用いて、常温スパッタ法により下地層3を形成する。
(ステップS3)
図4に示すステップS3は、下地層上に撥液層を形成する工程であり、図5の(c)で示すように、撥液剤としてフッ素系化合物、例えば、パーフルオロアルキル基を有する化合物等を用いて、CVD法等により、撥液層4を設けて、ノズルプレート母体Pを作製する。この時、撥液層4の形成温度としては、80℃以下であることが好ましい態様である。
(ステップS4)
図4に示すステップS4は、ノズルプレート母体Pの下地層4形成面側に保護シート5を貼り付ける工程であり、図5の(d)で示すように、次工程であるステップS5で所定のノズルプレートサイズに外形加工する際に、枚葉状のノズルプレート1が、離間しないように固定することを目的とするものである。
〈保護シート〉
保護シート、又は粘着シートは、基材、好ましくはフィルム状又はシート状の基材上に、粘着性層を有する構成であり、ステップS4で撥液層上に貼付した後、ステップ8で撥液層から剥離を行う。
保護シートを構成する基材としては、特に制限はないが、フレキシブル性を有している基材であることが好ましく、例えば、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ナイロン、芳香族ポリアミド、ポリエーテルケトン、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリイミド、ポリエーテルイミド等の各樹脂フィルム、さらには前記樹脂を2層以上積層してなる樹脂フィルム等を挙げることができる。この中で、特に好ましいのは、ポリエチレン、ポリプロピレン、及びこれらを変性したポリオレフィン系の樹脂が柔軟性の点で好ましく用いられる。
また、粘着性層を構成する材料としては、それ自身常温で粘着性を有するもの、熱や圧力を掛けることにより粘着性を発現するものなどの何れでもよく、例えば、天然ゴム(NR)やブタジエンゴム(BR)、イソプレンゴム(IR)、ブチルゴム(IIR)、クロロプレンゴム(CR)、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)、アクリロニトリル−ブタジエンゴム(NBR)、エチレンプロピレンゴム(EPDM)などのジエン系ゴム、ポリ(n−ブチルアクリレート)、ポリイソブチルアクリレート、ポリヘキシルアクリレート、ポリ(2−エチルヘキシルアクリレート)、ポリイソオクチルアクリレート、ポリ(n−オクチルアクリレート)、ポリ(2−メチルブチルアクリレート)などのアクリル系ポリマー、ポリエーテル系やポリエステル系などのウレタンゴム、シリコーンゴム、スチレン−ブタジエン−スチレン共重合体(SBS)、スチレン−エチレン−ブタジエン−スチレン共重合体(SEBS)、スチレン−イソプレン−スチレン共重合体(SIS)、スチレン−エチレン−プロピレン共重合体(SEP)、スチレン−エチレン−プロピレン−スチレン共重合体(SEPS)、スチレン−イソプレン−プロピレン−スチレン共重合体(SIPS)、エチレン-酢酸ビニル共重合体(EVA)、エチレン-エチルアクリレート共重合体(EEA)、エチレン-メチルメタクリレート共重合体(EMMA)、クロス共重合体などの熱可塑性エラストマーが挙げられる。
保護シートの厚さは10〜1000μm程度が好ましく、さらに好ましくは10〜500μmであり、粘着性層の厚さは1〜100μm程度が好ましく、さらに好ましくは1.0〜50μmである。
(ステップS5)
図4に示すステップS5は、上記ステップS1〜S4までで作製したノズルプレート母体Pを、インクジェットヘッドに装着する所望のサイズのノズルプレート1に分割するためのレーザーを用いる外形加工工程である。
具体的には、図6の(a)で示すように、ノズルプレート母体PのLCPを含有する基板2側より、レーザー光発振器6を用いてスキャン加工することにより、外形加工ライン7に沿って所定のノズルプレート1のサイズに外形加工する。
本発明のインクジェッットヘッドの製造方法におけるノズルプレートの外形加工方法としては、ノズルプレートの外形加工に、レーザーを用いること、好ましくは、レーザーがパルスレーザー又はCWレーザーであること、更に好ましくは、レーザーを用いた外形加工時の温度を、基板を構成する液晶ポリマーの融点以上の温度にすることが好ましい。
ステップS5で適用可能なレーザーとしては、連続発振型のレーザービーム(CWレーザービーム)やパルス発振型のレーザービーム(パルスレーザービーム)を用いることが好ましい。
ここで用いることができるレーザービームは、Arレーザー、Krレーザー、エキシマレーザーなどの気体レーザー、単結晶のYAG、YVO、フォルステライト(MgSiO)、YAlO、GdVO、若しくは多結晶(セラミック)のYAG、Y、YVO、YAlO、GdVOに、ドーパントとしてNd、Yb、Cr、Ti、Ho、Er、Tm、Taのうち1種または複数種添加されているものを媒質とするレーザー、ガラスレーザー、ルビーレーザー、アレキサンドライトレーザー、Ti:サファイアレーザー、銅蒸気レーザーまたは金蒸気レーザーのうち一種または複数種から発振されるものが挙げられる。
これらの中でも、使用されるレーザーは波長266nm程度の紫外レーザー光を発光する、例えば、YAG−UV(イットリウム・アルミニウム・ガーネット結晶:波長266nm)や、YVO(波長:355nm)が好ましい。特に、波長266nm程度のレーザーでは、熱作用により加工対象物である液晶ポリマーを加工すると同時に有機材料でC−H結合やC−C結合等の分子結合を解離させることが可能である。
照射条件の一例としては、例えば、YAG−UV(波長266nm)では、パルス幅が12nsec、出力が1.6Wであり、YVO(波長:355nm)の場合は、パルス幅が18nsec、出力が2.4Wである。
(ステップS6)
図4に示すステップS6は、上記ステップS5におけるノズルプレートの外形加工と同時に、後述するステップS7で基板2の表面にノズル孔Nを形成位置に沿って、図6の(b)で示すように、1本以上の溝9、より具体的には、幅が75μm以下で、かつ深さが50μm以下の溝9を形成する工程である。
この溝の形成方法としては、ステップ5で説明したのと同様のレーザーを適用することができる。
基板2表面に溝9を形成することにより、インクジェットヘッドを形成する際に、ノズルプレートとアクチュエーターとを接着剤を用いて張り合わせるが、過剰の接着剤をノズル部から逃し、ノズル孔が接着剤により詰まるのを防止することができる。
(ステップS7)
図4に示すステップS7は、基板2の表面にノズル孔Nを形成する工程であり、本発明においては、ノズル孔が、レーザー加工法により形成することが好ましく、レーザー加工法に用いるレーザーが、エキシマレーザーであることがより好ましく、ノズル孔をマスクパターンの縮小転写法により形成することが特に好ましい。
〈縮小転写法によるマスク形成〉
図6の(c)に、縮小転写法によるマスク形成の一例を示す。
ステップS6まで、外形加工、ノズル列に沿っての溝の形成を行ったノズルプレート1に対して、図1で示すようなノズルNを形成する。
図6の(c)に示すように、レーザー光発振器10と、レーザー光発振器10から出射されたノズル孔を穿孔するためのレーザー光Lの光量を均一にするための複数のレンズから構成されるレンズアレイを備えたホモジナイザー光学系11と、ホモジナイザイー光学系11を通過したレーザー光Lをマスクするフォトマスク12が配置されている。ホモジナイザイー光学系は、シリンドリカルレンズとコンデンサレンズ等により構成されている。フォトマスク12には、ノズルプレート1上にノズルNを所定の間隔で形成するためのノズル形状のマスクパターン13が設けられている。マスクパターン13を介してフォトマスク12を通過したレーザー光Lは、反射ミラーMで反射させたのち、対物レンズ14により、基板2上に縮小転写して、ノズルNのパターン加工を行う。
レーザー光発振器10により発生させるレーザー光Lとしては、例えば、エキシマレーザー光等を好ましく例示できる。エキシマレーザー光は、波長が短く、好ましい微細加工が可能であるからである。エキシマレーザー光の波長は190nm〜355nmの範囲であり、具体的には、例えば、ArF(波長193nm)、KrF(248nm)、XeCl(波長308nm)、XeF(波長351nm)等を好ましく挙げられる。
フォトマスク12は、レーザー光を透過する基材と、基材表面に設けられているパターン膜とで構成され、パターン膜はレーザー光を遮光する所定のマスクパターンが形成されている。基材としては、合成石英、石英等で構成されている。また、パターン膜としては、例えば、クロム膜、誘電体多層膜等で構成されている。
更には、縮小転写法によるマスク形成のその他の詳細に関しては、例えば、特開2017−1073号公報に記載の内容を参照することができる。
(ステップS8、S9)
上記方法に従って作製したノズルプレート1より、保護シート5を剥離して、ノズルプレートを作製する。
《インクジェットヘッド》
図7は、本発明に係るノズルプレートを適用可能なインクジェットヘッドの構造の一例を示す概略外観図である。また、図8は、インクジェットヘッドの底面図である。
図7で示すように、本発明のインクジェットヘッド100は、インクジェットプリンタ(図示略)に搭載されるものであり、インクをノズルから吐出させるヘッドチップと、このヘッドチップが配設された配線基板と、この配線基板とフレキシブル基板を介して接続された駆動回路基板と、ヘッドチップのチャネルにフィルターを介してインクを導入するマニホールドと、内側にマニホールドが収納された筐体56と、この筐体56の底面開口を塞ぐように取り付けられたキャップ受板57と、マニホールドの第1インクポート及び第2インクポートに取り付けられた第1及び第2ジョイント81a及び81bと、マニホールドの第3インクポートに取り付けられた第3ジョイント82と、筐体56に取り付けられたカバー部材59とを備えている。また、筐体56をプリンター本体側に取り付けるための取り付け用孔68がそれぞれ形成されている。
また、図8に示すキャップ受板57は、キャップ受板取り付け部62の形状に対応して、外形が左右方向に長尺な略矩形板状として形成され、その略中央部に複数のノズルNが配置されているノズルプレート61を露出させるため、左右方向に長尺なノズル用開口部71が設けられている。また、図7で示すインクジェットヘッド内部の具体的な構造に関しては、例えば、特開2012−140017号公報に記載されている図2等を参照することができる。
図7及び図8にはインクジェットヘッドの代表例を示したが、そのほかにも、例えば、特開2012−140017号公報、特開2013−010227号公報、特開2014−058171号公報、特開2014−097644号公報、特開2015−142979号公報、特開2015−142980号公報、特開2016−002675号公報、特開2016−002682号公報、特開2016−107401号公報、特開2017−109476号公報、特開2017−177626号公報等に記載されている構成からなるインクジェットヘッドを適宜選択して適用することができる。
《インクジェットインク》
本発明のインクジェットヘッドを用いる画像形成方法に適用可能なインクジェットインクとしては、特に制限はなく、例えば、水を主溶媒とする水系インクジェットインク、室温では揮発しない不揮発性溶媒を主とし、実質的に水を含まない油性インクジェットインク、室温で揮発する溶媒を主とし、実質的に水を含まない有機溶媒系インクジェットインク、室温では固体のインクを加熱溶融して印字するホットメルトインク、印字後、紫外線等の活性光線により硬化する活性エネルギー線硬化型インクジェットインク等、様々な種類のインクジェットインクがある。
また、適用する色材の種類により、染料インクや顔料インク等に分類される。
本発明の画像形成方法においては、適用するインクジェットインクが、溶媒としてエーテル基又はヒドロキシ基を有する炭化水素類を、インク全質量の40質量%以上含有するインクジェットインクであることが好ましい態様である。
本発明でいうエーテル基又はヒドロキシ基を有する炭化水素類としては、アルコール類、多価アルコール類、多価アルコールエーテル類が好ましく、例えば、アルコール類(例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、イソブタノール、セカンダリーブタノール、ターシャリーブタノール等)、多価アルコール類(例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、ブチレングリコール、ヘキサンジオール、ペンタンジオール、グリセリン、ヘキサントリオール、チオジグリコール等)、多価アルコールエーテル類(例えば、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル、プロピレングリコールモノフェニルエーテル等)を挙げることができる。
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれにより限定されるものではない。なお、実施例において「部」又は「%」の表示を用いるが、特に断りがない限り「質量部」又は「質量%」を表す。また、特記しない限り、各操作は、室温(25℃)で行った。
《ノズルプレートの作製》
〔ノズルプレート1の作製〕
(1)基板の準備
基板として、前述のタイプIIのp−ヒドロキシ安息香酸と2−ヒドロキシ−6−ナフトエ酸から構成される重縮合体からなる液晶ポリマーで、かつエステルアミド化されている液晶ポリマー1(厚さ:50μm、スミカスーパーLCP 住友化学社製。)を基板1として準備した。基板1のサイズは、縦が220mm、横が170mmとした。
(2)下地層の形成
次いで、上記準備した基板1上に、下地層形成材料として、アルキルシリコン化合物(略称:TMS、テトラメチルシラン、Si(CH))を含む成膜ガスと、添加ガスとして二酸化炭素、不活性ガスとしてアルゴンを使用し、公知のプラズマCVD装置を用いて蒸着し、炭化酸化シリコンで構成される層厚が20nmの下地層を形成した。
(3)撥液層の形成
次いで、上記形成した下地層に隣接して、撥液層形成材料として、フッ素系化合物(ダイキン工業社製 オプツールDSX、シラン基末端パーフルオロポリエーテル化合物)を用い、スプレー塗布により、30℃で層厚が5nmの撥液層を形成し、ノズルプレート母体Pを作製した。
(4)保護シートの付与
次いで、粘着層を一方の面側に有する厚さ80μmのポリエチレンテレフタレートフィルムを保護シートとして準備し、ノズルプレート母体Pの撥液層と保護シートの粘着層とを対向させて貼合し、図5の(d)に記載の構成とした。
(5)ノズルプレートサイズへの外形加工:加工方式1
次いで、図6の(a)で示す方法に従って、保護シートを付与したノズルプレート母体Pの基板面側から、レーザー光発振器を用いて下記のパルス発振レーザーを照射して、複数個のインクジェットヘッドに装着する縦81.5mm、横4.6mmのノズルプレートサイズに分割裁断を行った。
〈加工方式1〉
レーザー照射:エキシマレーザー Kr−F
(6)溝の形成
次いで、図6の(b)で示すように、上記レーザー光発振器を用いて、ノズル孔を形成する位置に、溝幅が20μm、深さが10μmの溝を複数列形成した。
(7)ノズル孔の形成
次いで、図6の(c)で示すマスクパターンを用いた縮小転写法に従って、直径が25μmのノズル孔を形成した。1枚のノズルプレート当たりのノズル孔は、一列あたり258個とし、2列形成した。
〈縮小転写法〉
レーザー光発振器:エキシマレーザー Kr−F、波長:248nm
(8)保護シートの隔離
最後に、保護シートを剥離して、ノズルプレート1を作製した。
〔ノズルプレート2の作製〕
上記ノズルプレート1の作製において、(5)ノズルプレートサイズへの外形加工における加工方式1を、下記に示す加工方式2に変更した以外は同様にして、ノズルプレート2を作製した。
〈加工方式2〉
レーザー照射:固体レーザー YAG−UV
〔ノズルプレート3の作製〕
上記ノズルプレート1の作製において、(5)ノズルプレートサイズへの外形加工における加工方式1を、下記に示す加工方式3に変更した以外は同様にして、ノズルプレート3を作製した。
〈加工方式3〉
レーザー照射:固体レーザー YVO
〔ノズルプレート4の作製〕
上記ノズルプレート1の作製において、基板として液晶ポリマー1に代えて、前述のタイプIのp−ヒドロキシ安息香酸と4,4′−ジヒドロキシビフェニル、フタル酸から構成される重縮合体からなる液晶ポリマーで、かつエステルアミド化されている液晶ポリマー2(厚さ:50μm)を基板2として準備した。基板2のサイズは、縦が220mm、横が170mmとした。
〔ノズルプレート5の作製〕
上記ノズルプレート1の作製において、基板として液晶ポリマー1に代えて、前述のタイプIIIであるp−ヒドロキシ安息香酸とエチレンテレフタレートから構成される重縮合体からなる液晶ポリマーで、かつエステルアミド化されている液晶ポリマー3(厚さ:50μm)を基板3として準備した。基板3のサイズは、縦が220mm、横が170mmとした。
〔ノズルプレート6の作製〕
上記ノズルプレート1の作製において、(1)基板の準備〜(3)撥液層の形成の手順に従って、ノズルプレート母体Pを作製した後、(4)保護シートの付与は行わずに、下記の方法に従って、機械的方法により外形加工を行って、ノズルプレート6を作製した。
(A)溝の形成
図6の(b)で示すように、上記レーザー光発振器を用いて、ノズル孔を形成する位置に、溝幅が20μm、深さが10μmの溝を複数列形成した。
(B)ノズル孔の形成
次いで、図6の(c)で示すマスクパターンを用いた縮小転写法に従って、直径が25μmのノズル孔を形成した。1枚のノズルプレート当たりのノズル孔は、一列あたり258個とし、2列形成した。
〈縮小転写法〉
レーザー光発振器:エキシマレーザー Kr−F、波長:248nm
(C)外形加工:機械的裁断
最後に、ノズルプレート母体Pの基板面側から、市販のロール刃を用い、25℃の環境下で、複数個のインクジェットヘッドに装着する縦81.5mm、横4.6mmのノズルプレートサイズに分割裁断を行って、ノズルプレート6を作製した。
〔ノズルプレート7の作製〕
上記ノズルプレート6の作製において、ノズルプレート母体Pを構成する基板を、液晶ポリマー1に代えて、厚さ75μmのポリイミドシート(宇部興産社製、ユービレックス)を用いた以外は同様にして、ノズルプレート7を作製した。
《ノズルプレートの評価》
上記作製した各ノズルプレートについて、下記に示す各評価を行った。
〔加工形状の評価〕
上記作製した各ノズルプレートの側面部の形状を目視観察し、下記の基準に従って加工形状の評価を行った。
◎:加工側面において、端部の破断やめくれの発生が全くなく、きわめて良好な面質である
〇:加工側面において、端部の破断やめくれの発生がなく、良好な面質である
×:加工側面において、明らかな端部の破断やめくれが発生し、実用上問題となる品質である
〔切断面の緻密性:ボイド発生の確認〕
上記作製した各ノズルプレートの4つの側面に対し、ミクロトームを用いて、表面のトリミング処理を行って、走査型電子顕微鏡による撮影面を形成した。
次いで、日本電子(JEOL)社製の走査型電子顕微鏡(SEM)JSM−6060LAを用い、加速電圧10kV、撮影倍率5000倍で、4つの側面で無作為に計30か所(横:6か所、縦:9か所)で撮影を行い、電子顕微鏡写真を作成した。
次いで、各電子顕微鏡写真について、0.01μm以上のサイズの空隙部をボイドとして判定し、1μm当たりの0.01μm以上のサイズのボイドの発生数を計測し、観察する30か所での平均発生数を求めた。また、25μm×25μmの面積範囲で発生しているボイドVの面積の総和を算出して、ボイドの発生面積の平均比率を求めた。
上記方法で撮影した電子顕微鏡写真の一例を、図2及び図3に示す。
図2に、比較例であるノズルプレート6の電子顕微鏡写真であり、左側が側面部表面を1500倍の撮影倍率で撮影した写真であり、右側の写真は、その一部(四角で囲った領域)を5000倍で撮影した写真である。
図3は、本発明のノズルプレート2の電子顕微鏡写真であり、左側が側面部表面を1500倍の撮影倍率で撮影した写真であり、右側の写真は、その一部(四角で囲った領域)を5000倍で撮影した写真である。
上記測定した0.01μm以上のサイズのボイドの平均発生数と、ボイドの発生面積の平均比率を基に、下記の基準に従って、切断面の緻密性の評価を行った。
◎:0.01μm以上のサイズのボイドの発生数が1個未満で、かつボイドの発生面積の平均比率が0.5%未満である
〇:0.01μm以上のサイズのボイドの発生数が1個未満で、かつボイドの発生面積の平均比率が0.5%以上、1.0%以下である
△:0.01μm以上のサイズのボイドの発生数が1個未満、又はボイドの発生面積の平均比率が、1.0%以下である
×:0.01μm以上のサイズのボイドの発生数が1個以上、5個未満で、かつボイドの発生面積の平均比率が、1.0%を超え、3.0%未満である
××:0.01μm以上のサイズのボイドの発生数が5個以上で、かつボイドの発生面積の平均比率が、3.0%以上である
〔生産性の評価:スループット〕
上記ノズルプレートの作製において、ノズルプレート1枚当たりの加工時間を測定し、下記の基準に従って生産性の評価を行った。
〇:ノズルプレート1枚当たりの加工時間が、30秒未満である
△:ノズルプレート1枚当たりの加工時間が、30秒以上、45秒未満である
×:ノズルプレート1枚当たりの加工時間が、45秒以上である
〔寸法安定性の評価〕
上記作製した各ノズルプレートを、図7及び図8に示すインクジェットヘッドに装着し、pHが9.0のアルカリ性インクを用いて、作製直後のノズルプレートの横幅1を測定した。次いで、連続印字とワイピング処理を1か月間行ったのち、同様にノズルプレートの横幅2を測定し、ノズルプレートの横幅1に対する横幅2の変動幅(横幅2/横幅1×100%)を求めた。変動幅が小さいほど寸法安定性に優れていることを示す。
◎:ノズルプレートの変動幅が、±1.0%未満である
〇:ノズルプレートの変動幅が、±1.0%以上、2.0%未満である
△:ノズルプレートの変動幅が、±2.0%以上、3.0%未満である
×:ノズルプレートの変動幅が、±3.0%以上である
以上により得られた結果を、表Iに示す。
Figure 2021041537
表Iに記載の結果より明らかなように、本発明のノズルプレートの製造方法で作製したノズルプレートは、比較例に対し、切断した側面部の加工形状に優れ、ボイドの発生が大幅に抑制され、寸法安定性に優れていることがわかる。また、生産性についても、従来の機械的な切断加工方法と遜色がないことがわかる。
また、上記作製した各ノズルプレートを、図7及び図8に示すインクジェットヘッドに装着し、pHが9.0のアルカリ性インクを用いて、連続印字とワイピング処理を1か月間行ったのち、基板界面における浸食の有無を光学顕微鏡で確認した結果、本発明のノズルプレートでは、浸食による界面の剥離の発生がなく、インク耐性に優れていることを確認することができた。
1 ノズルプレート
2 基板
3 下地層
4 撥液層
5 インク吐出口
6、8、10 レーザー光発振器
7 外形加工ライン
9 溝
11 ホモジナイザー光学系
12 フォトマスク
13 マスクパターン
14 対物レンズ
56 筐体
57 キャップ受板
59 カバー部材
61 ノズルプレート
62 キャップ受板取り付け部
68 取り付け用孔
71 ノズル用開口部
81a 第1ジョイント
81b 第2ジョイント
82 第3ジョイント
100 インクジェットヘッド
L レーザー光
M 反射ミラー
N ノズル孔
P ノズルプレート母体
S 基板の側面部

Claims (13)

  1. 基板を有するノズルプレートに形成されたノズル孔から液滴を吐出するインクジェットヘッドであって、
    前記基板が、液晶ポリマーを含有しており、かつ、
    前記基板の側面部表面に存在する、面積が0.01μm以上のボイドの平均発生数が、1μm当たり1個未満である、又は、
    前記基板の側面部表面の面積に対する前記ボイドの総面積の平均比率が1.0%以下であることを特徴するインクジェットヘッド。
  2. 前記液晶ポリマーが、アミド結合を有するポリエステル系ポリマーであることを特徴とする請求項1に記載のインクジェットヘッド。
  3. 前記基板のインク吐出面に、撥液層が形成されていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のインクジェットヘッド。
  4. 請求項1から請求項3までのいずれか一項に記載のインクジェットヘッドを製造するインクジェッットヘッドの製造方法であって、
    液晶ポリマーを含有する基板上に、少なくとも撥液層を形成する工程と、
    ノズルプレートを、所定のサイズに外形加工する工程と、
    前記基板に、インクを射出するノズル孔を加工する工程と、
    を経てノズルプレートを製造することを特徴とするインクジェッットヘッドの製造方法。
  5. 前記撥液層の形成温度が、80℃以下であることを特徴とする請求項4に記載のインクジェッットヘッドの製造方法。
  6. 前記ノズルプレートの外形加工に、レーザーを用いることを特徴とする請求項4又は請求項5に記載のインクジェッットヘッドの製造方法。
  7. 前記レーザーが、パルスレーザー又はCWレーザーであることを特徴とする請求項6に記載のインクジェッットヘッドの製造方法。
  8. 前記レーザーを用いたノズルプレートの外形加工時の温度を、前記液晶ポリマーの融点以上の温度にすることを特徴とする請求項6又は請求項7に記載のインクジェッットヘッドの製造方法。
  9. 前記ノズルプレートの外形加工と同時に、基板の表面の前記ノズル孔の形成列に沿って、1本以上の溝を形成することを特徴とする請求項4から請求項8までのいずれか一項に記載のインクジェッットヘッドの製造方法。
  10. 前記溝の形状が、溝幅が75μm以下で、かつ溝の深さが50μm以下であることを特徴とする請求項9に記載のインクジェッットヘッドの製造方法。
  11. 前記ノズル孔が、レーザー加工法により形成することを特徴とする請求項4から請求項10までのいずれか一項に記載のインクジェッットヘッドの製造方法。
  12. 前記レーザー加工法に用いるレーザーが、エキシマレーザーであることを特徴とする請求項11に記載のインクジェッットヘッドの製造方法。
  13. 前記ノズル孔を、マスクパターンの縮小転写法により形成することを特徴とする請求項4から請求項12までのいずれか一項に記載のインクジェッットヘッドの製造方法。
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