JP2021038760A - 作業車 - Google Patents

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Abstract

【課題】連れ回りを抑制する構成の複雑化を招くことなく、油圧クラッチが遮断状態にある場合には車体が低速で移動する不都合を抑制する作業車を構成する。【解決手段】第1軸46aから走行機構に伝えられる走行駆動力を断続する湿式の第1クラッチ機構C1と、第2軸46bから走行機構に伝えられる走行駆動力を断続する湿式の第2クラッチ機構C2と、第1軸46aに対し、この第1軸46aの回転に伴う引き摺りトルクにより回転する中間回転部材85と、中間回転部材85の回転力を第2クラッチ機構C2の出力部に伝える連係部85Gを備えた。【選択図】図7

Description

本発明は、多板式のクラッチの断続操作によって走行速度の変速が可能な作業車に関する。
上記構成の作業車として特許文献1には、走行推進軸からの駆動力を高低2段に変速するように高速側の第1油圧クラッチと、低速側の第2油圧クラッチとを有する油圧変速装置を備え、第1油圧クラッチと第2油圧クラッチとが共に切り状態にある場合に、油圧変速装置の伝動体に接触するブレーキ部材を備えた連れ回り防止構造が記載されている。
この特許文献1では、第2油圧クラッチからの駆動力が伝えられる第2ギヤを、伝動体としており、ミッションケースの内部の油室にピストンを収容し、このピストンの先端にブレーキ部材を備えている。
この特許文献1では、第1油圧クラッチと第2油圧クラッチとの一方に選択的に作動油を供給する切換弁を備えており、切換弁が第1油圧クラッチと第2油圧クラッチとの何れにも作動油を供給しない状態では、ピストンに作動油を供給することでブレーキ部材を突出させ伝動体に制動力を作用させている。
特開平5−164238号公報
特許文献1に記載される連れ回り防止構造は、第1油圧クラッチと第2油圧クラッチとが切り状態にある場合に、推進軸の回転に伴い油圧変速装置の一部が推進軸に連れ回る結果、推進軸の駆動力が車輪に伝えられ車両が極めて低速で移動する現象を抑制する。
しかしながら、特許文献1の構成では、連れ回りを抑制するために、ミッションケースに油室を必要とし、ピストンとブレーキ部材とを必要とするだけでなく、油圧変速装置の2つの油圧クラッチが切り状態にある場合に油室に作動油を供給する切換弁と、油路とを必要とするため、構造が複雑化し、部品点数の増大を招き、コストの上昇に繋がるものであった。
このような理由から、連れ回りを抑制する構成の複雑化を招くことなく、油圧クラッチが遮断状態にある場合には車体が低速で移動する不都合を抑制する作業車が求められる。
本発明に係る作業車の特徴構成は、第1軸から走行機構に伝えられる走行駆動力を断続する湿式の第1クラッチ機構と、第2軸から走行機構に伝えられる走行駆動力を断続する湿式の第2クラッチ機構と、前記第1軸に対し、当該第1軸の回転に伴う引き摺りトルクにより回転する中間回転部材と、前記中間回転部材の回転力を、前記第2クラッチ機構の出力部に伝える連係部とを備えている点にある。
上記構成では、第1クラッチ機構を遮断状態に設定した場合、第1クラッチ機構の摩擦板に作用する引き摺りトルクが走行駆動系に伝えられる。これと同様に第2クラッチ機構を遮断状態に設定した場合、第2クラッチ機構の摩擦板に作用する引き摺りトルクが走行駆動系に駆動力が伝えられる。
これに対し特徴構成によると、第1伝動軸の回転に伴う引き摺りトルクにより回転する中間回転部材の回転力を、連係部を介して第2クラッチ機構の出力部に対して伝えることにより、例えば、第2クラッチの出力部の回転速度と、連係部から伝えられる回転速度との速度差を大きくすることが可能となる。また、連係部から伝えられる駆動力の回転方向を逆向きに設定することにより、互いの回転を抑制するトルクを作用させ走行駆動系に伝えられる駆動力を相殺することも可能となる。つまり、遮断状態にある2つのクラッチ機構で発生する引き摺りトルクを利用することにより、アクチュエータを備えない構成でありながら走行駆動系に伝えられる回転力の低減や相殺を可能にする。
その結果、連れ回りを抑制する構成の複雑化を招くことなく、油圧クラッチが遮断状態にある場合には車体が低速で移動する不都合を抑制する作業車が構成された。
上記構成に加えた構成として、走行駆動力を変速して前記第1軸に伝える第1遊星ギヤ変速装置と、走行駆動力を変速して前記第2軸に伝える第2遊星ギヤ変速装置とを備え、前記第1クラッチ機構が、伝動状態において前記第1軸の駆動力を前記走行機構に前進駆動力として伝える構成であり、前記第2クラッチ機構が、伝動状態において前記第2軸の駆動力を前記走行機構に前進駆動力として伝える前進クラッチ部と、伝動状態において前記第2軸の駆動力を前記走行機構に後進駆動力として伝える後進クラッチ部とを有しており、前記第2クラッチ機構が、前記後進クラッチ部から後進駆動力を出力する後進出力ギヤを有し、前記後進出力ギヤが後進伝動ギヤに咬合することにより後進駆動力を前記走行機構に伝えるように構成しても良い。
これによると、走行駆動力は第1遊星ギヤ変速装置から第1軸を介して第1クラッチ機構に伝えられる。第1クラッチ機構は、伝動状態において第1軸の駆動力を走行機構に前進駆動力として伝える。また、走行駆動力は第2遊星ギヤ変速装置から第2軸を介して第2クラッチ機構に伝えられる。第2クラッチ機構の前進クラッチ部は伝動状態において第2軸の駆動力を前進駆動力として走行機構に伝え、第2クラッチ機構の後進クラッチ部は伝動状態において後進出力ギヤに咬合する後進伝動ギヤに後進駆動力を伝える。
上記構成に加えた構成として、前記連係部が、前記中間回転部材の回転力によって回転するギヤ部であり、前記ギヤ部が、前記後進伝動ギヤに咬合しても良い。
これによると、第1クラッチ機構と、第2クラッチ機構とが遮断状態にある場合には、第1軸の回転に伴い第1クラッチ機構から走行機構に前進方向に引き摺りトルクが作用し、第2軸の回転に伴い第2クラッチの前進クラッチ部から走行機構に前進方向に引き摺りトルクが作用し、第2軸の回転に伴い第2クラッチの後進クラッチ部から走行機構に後進方向に引き摺りトルクが作用する。
ここで中間回転部材を備えない比較構成を考えると、この比較構成では、2つのクラッチ機構から前進方向に引き摺りトルクが作用し、1つのクラッチ機構から後進方向に引き摺りトルクが作用するため、後進方向に作用する引き摺りトルクと比較して、前進方向への引き摺りトルクが大きく、車体が低速で前進する不都合を招くものであった。これに対し、第1軸の引き摺りトルクによって回転する回転部材の回転力で回転するギヤ部を、後進伝動ギヤに噛合させることにより、前述した比較構成において走行機構に作用する後進方向への引き摺りトルクを増大させ、前進方向への引き摺りトルクと、後進方向への引き摺りトルクとを相殺させることも可能となる。
上記構成に加えた構成として、前記ギヤ部が、前記中間回転部材の外周に形成されても良い。
これによると、中間回転部材の回転力を、この中間回転部材の外周に形成されたギヤ部から後進伝動ギヤに対して直接的に回転力を伝えることが可能となり、伝動構造の簡素化も可能となる。
上記構成に加えた構成として、前記第1クラッチ機構が伝動状態にある際に前記第1軸から前記走行機構に伝えられる駆動速度が、前記第2クラッチ機構の前進クラッチ部が伝動状態にある際に前記第2軸から前記走行機構に伝えられる駆動速度より高速であり、前記中間回転部材が、前記第1軸に回転自在に支持されると共に、当該中間回転部材と一体的に回転する摩擦板を有し、前記摩擦板が、前記第1クラッチ機構のクラッチハウジングと一体回転する摩擦部材に隣接配置されても良い。
これによると、第1クラッチ機構を伝動状態に設定することで所定速度での走行を可能にし、第2クラッチ機構の前進クラッチ部を伝動状態に設定することで、前述した所定速度より低速での走行を可能にする。また、第1クラッチ機構のクラッチハウジングと一体回転する摩擦部材に、中間回転部材と一体回転する摩擦板が隣接配置されることにより、第1軸の回転に伴う引き摺りトルクにより第1クラッチ機構のクラッチハウジングが回転した場合に、この回転を中間回転部材に伝えることが可能となる。
上記構成に加えた構成として、前記第1クラッチ機構と前記第2クラッチ機構とからの駆動力を変速する副変速装置を備えても良い。
これによると、第1クラッチ機構からの走行駆動力と、第2クラッチ機構からの走行駆動力とを副変速装置で変速して走行機構に伝えることが可能となる。
上記構成に加えた構成として、エンジンの駆動力を無段階に変速して前記第1遊星ギヤ変速装置と前記第2遊星ギヤ変速装置とに対し走行駆動力として伝える静油圧式の無段変速装置を備え、前記第1遊星ギヤ変速装置と、前記第2遊星ギヤ変速装置とが並列する位置関係でミッションケースに収容されても良い。
これによると、エンジンからの駆動力を静油圧式の無段変速装置で無段階に変速して第1遊星ギヤ変速装置と第2遊星ギヤ変速装置とに伝えることが可能となり、第1遊星ギヤ変速装置と第2遊星ギヤ変速装置とが並列する位置関係でミッションケースに収容されることにより、ミッションケースの前後長を短縮できる。
上記構成に加えた構成として、前記エンジンと前記無段変速装置とが、この順序で前後方向に沿って配置され、前記無段変速装置より後方に前記第1遊星ギヤ変速装置と前記第2遊星ギヤ変速装置とが並列する位置関係で配置され、前記無段変速装置が、前記エンジンで駆動される可変容量型の油圧ポンプと、前記油圧ポンプから供給される作動油により回転する油圧モータとを有し、前記油圧ポンプの入力軸と、前記油圧モータの出力軸とが、当該無段変速装置から後方に突出形成され、前記エンジンの駆動力を伝える駆動軸が、前記無段変速装置を前後方向に沿って貫通して配置され、前記駆動軸のうち前記無段変速装置を貫通した貫通部位の駆動力を前記入力軸に伝える駆動ギヤ機構と、前記出力軸の駆動力を前記第1遊星ギヤ変速装置と前記第2遊星ギヤ変速装置とに伝える分岐ギヤ機構を備えても良い。
これによると、エンジンの駆動力で駆動される可変容量型の油圧ポンプから、油圧モータに供給される作動油の油量の設定により、油圧モータの駆動速度を調節できる。また、油圧ポンプの入力軸と、油圧ポンプの出力軸とが無段変速装置から後方に突設されているため、駆動軸のうち無段変速装置を貫通した貫通部位からの駆動力を駆動ギヤ機構から入力軸に伝え、分岐ギヤ機構から第1遊星変速装置と第2遊星変速装置とに伝えることが可能となる。
上記構成に加えた構成として、前記無段変速装置が、前記エンジンで駆動される可変容量型の油圧ポンプと、前記油圧ポンプから供給される作動油により回転する油圧モータと、前記油圧ポンプと前記油圧モータとの間に形成される油圧回路が形成されるポートブロックとを備え、前記ポートブロックの後面側に前記油圧ポンプと前記油圧モータとが配置されても良い。
これによると、ポートブロックの後面側に油圧ポンプと油圧モータとを配置することにより、例えば、油圧ポンプの入力軸を後方に突出させ、油圧モータの出力軸を後方に突出させる構成も容易となる。
トラクタの側面図である。 クラッチハウジングと無段変速ハウジングとの配置を示す平面図である。 無段変速ハウジングの断面図である。 伝動構造を模式的に示す図である。 別実施形態(a)の伝動構造を模式的に示す図である。 別実施形態(b)の伝動構造を模式的に示す図である。 別実施形態(b)の中間回転部材と連係部とを模式的に示す図である。 別実施形態(b)の第1クラッチ機構と第2クラッチ機構とギヤ部とを示す図である。 別実施形態(b)のギヤ部と第2後進入力ギヤとを示す図である。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
〔全体構成〕
図1に示すように、走行車体Aに左右一対の前車輪1と左右一対の後車輪2とを備え、走行車体のAの前部のエンジンボンネット3の内部にエンジン4を備え、走行車体Aの後部位置にキャビン5を有する運転部Bを配置して作業車としてのトラクタが構成されている。このトラクタでは左右の前車輪1と左右の後車輪2とが走行機構として機能する。
図1、図2に示すように図中のFは「前方向」を示し、Bは「後方向」を示し、Uは「上方向」を示し、Dは「下方向」を示す。Rは「右方向」を示し、Lは「左方向」を示している。
キャビン5の内部には左右の後輪フェンダー6の中間位置に配置される運転座席7と、その前方に配置されるステアリングホイール8とを備えており、運転座席7の近傍に操作レバーや、スイッチ類を備えている。
図1〜図4に示すように、このトラクタは、エンジン4の後部側に主クラッチハウジング10と、無段変速ハウジング11と、ミッションケース12とを、この順序で連結している。ミッションケース12には左右の前車輪1と後車輪2とに駆動力を伝える走行変速装置50が収容されている。
ミッションケース12の後部には、油圧シリンダ13の駆動力により揺動昇降する左右一対のリフトアーム14と、左右一対のロアーリンク15とが備えられ、リフトアーム14の揺動端とロアーリンク15とがリフトロッド16によって吊り下げ状態で連結している。ミッションケース12の後面には駆動力の外部への取り出しを可能にする動力取出軸17が備えられている。
このトラクタでは、左右のロアーリンク15の後端にロータリ耕耘装置やプラウなどの作業装置を連結し、左右のリフトアーム14の昇降作動により作業装置の昇降を行うことが可能に構成されている。また、作業装置としてロータリ耕耘装置が用いられる場合には、動力取出軸17とロータリ耕耘装置との間に駆動力を伝える駆動軸が備えられる。
〔変速構成〕
このトラクタでは、図1〜図4に示すように、主クラッチハウジング10の内部に主クラッチ機構18を収容しており、無段変速ハウジング11に静油圧式の無段変速装置20を収容している。また、ミッションケース12は変速率が小さい高速側の第1遊星ギヤ変速装置Q1と、変速率が大きい低速側の第2遊星ギヤ変速装置Q2と、第1クラッチ機構C1と第2クラッチ機構C2と、走行変速装置50と、作業変速装置70とを収容している。
図4に示すように、この変速構成では、無段変速装置20と、第1遊星ギヤ変速装置Q1と、第2遊星ギヤ変速装置Q2と、第1クラッチ機構C1と、第2クラッチ機構C2と、これらに連係する伝動ギヤによって主変速装置50Aが構成されている。また、第1変速部54と、第2変速部55と、これらに連係する伝動ギヤによって副変速装置50Bが構成されている。
更に、走行変速装置50からの駆動力を後輪駆動軸53から後輪デファレンシャルギヤ61に伝え、更に後車輪2に伝える走行伝動構造を備えると共に、後輪駆動軸53からの駆動力を前輪デファレンシャルギヤ62に伝え、更に前車輪1に伝える走行伝動構造を備えている。
また、前車輪1に駆動力を伝える走行伝動構造は、後輪駆動軸53からの駆動力を前輪伝動ギヤ63により前輪伝動軸64に伝え、この前輪伝動軸64から前輪変速装置65を介して前輪駆動軸66に伝え、更に前輪デファレンシャルギヤ62に伝えるように構成されている。
特に、この構成において第1遊星ギヤ変速装置Q1と、第2遊星ギヤ変速装置Q2とは複数の遊星ギヤ減速装置の具体例であり、第1クラッチ機構C1と第2クラッチ機構C2とは遊星ギヤ減速機構からの駆動力を断続するクラッチ機構の具体例である。
主クラッチ機構18は、作業者の操作に基づきエンジン4の駆動力を伝える状態と遮断する状態とに設定自在に構成されている。無段変速装置20は、作業者の変速操作に基づき、走行速度を無段階に変速すると共に、駆動力を出力しない状態を作り出し走行車体Aの停止も可能にする。
〔主変速装置:無段変速装置〕
図3、図4に示すように、無段変速装置20は、エンジン4の駆動力が入力軸21を介して伝えられる可変容量型の油圧ポンプPと、変速駆動力を、出力軸22を介して第1遊星ギヤ変速装置Q1と第2遊星ギヤ変速装置Q2とに伝える油圧モータMと、油圧ポンプPと油圧モータMとの間で作動油の給排を行う一対の油路が形成されるポートブロック23とを無段変速ハウジング11に収容した構成を有している。また、入力軸21と、出力軸22とは、突出端を後方に向け、平行する姿勢で設けられている。
油圧ポンプPは、入力軸21と一体回転するポンプ本体24aに複数のプランジャが伸縮自在に備えられ、この油圧ポンプPには、ポンプ本体24aの駆動回転時にプランジャの伸縮量を設定する可動斜板24bが備えられている。この可動斜板24bの姿勢を制御するサーボピストン(図示せず)が無段変速ハウジング11に支持されている。
油圧モータMは、出力軸22と一体回転するモータ本体26aに複数のプランジャが伸縮自在に備えられ、プランジャの伸縮作動を回転運動に変換する固定斜板26bが備えられている。
この構成から、可動斜板24bが所定の角度(ポンプ軸芯に対する角度)に設定された状態で、ポンプ本体24aが駆動回転した場合には、回転に伴い油圧ポンプPの複数のプランジャの端部が可動斜板24bに当接して順次収縮する際にポートブロック23の一対の油路の一方に作動油を送り出し、この作動油の圧力で油圧モータMの複数のプランジャを順次伸長させ、この伸長時に固定斜板26bからの反力によりモータ本体26aを回転させる。尚、油圧モータMの回転に伴い油圧モータMのプランジャが収縮し、この収縮に伴い作動油が他方の流路を介して油圧ポンプPに戻される。
この無段変速装置20では、サーボピストンの作動により可動斜板24bの角度を調節することにより、作動油の吐出量が制御され油圧モータMの回転速度を任意に設定することが可能となる。また、可動斜板24bの角度を入力軸芯に対して直交するように設定することにより油圧ポンプPと油圧モータMとの間での作動油の給排が停止し、油圧モータMを停止させることも可能となる。
図3、図4に示すように、主クラッチ機構18を介してエンジン4からの駆動力が伝えられる主駆動軸31が、無段変速装置20を前後方向に貫通して配置され、この主駆動軸31からの駆動力を無段変速装置20の入力軸21に伝える駆動ギヤ機構32を備えている。
また、無段変速装置20の出力軸22からの駆動力を第1遊星ギヤ変速装置Q1と、第2遊星ギヤ変速装置Q2とに伝える分岐ギヤ機構33を備えている。
〔主変速装置:遊星ギヤ変速装置〕
図4に示すように、第1遊星ギヤ変速装置Q1と、第2遊星ギヤ変速装置Q2とは左右方向に並列する位置関係でミッションケース12に収容されている。第1遊星ギヤ変速装置Q1の第1出力軸46aからの駆動力を断続するように、第1出力軸46aと同軸芯上に第1クラッチ機構C1が配置されている。これと同様に第2遊星ギヤ変速装置Q2の第2出力軸46bからの駆動力を断続するように、第2出力軸46bと同軸芯上に第2クラッチ機構C2が配置されている。
つまり、第1遊星ギヤ変速装置Q1は、第1入力軸41aに第1サンギヤ42aを備え、第1入力軸41aと同軸芯で回転自在に配置した第1リングギヤ43aと第1サンギヤ42aとの間に複数の第1プラネタリギヤ44aを備え、複数の第1プラネタリギヤ44aを支持する第1キャリア45aに形成したギヤ部に、主駆動軸31に備えた連動ギヤ部34を咬合させている。
また、この第1遊星ギヤ変速装置Q1は、第1リングギヤ43aと一体回転するように第1出力軸46aを備えている。
第2遊星ギヤ変速装置Q2は、第2入力軸41bに第2サンギヤ42bを備え、第2入力軸41bと同軸芯で回転自在に配置した第2リングギヤ43bと第2サンギヤ42bとの間に複数の第2プラネタリギヤ44bを備え、複数の第2プラネタリギヤ44bを支持する第2キャリア45bに形成したギヤ部に、主駆動軸31に備えた連動ギヤ部34を咬合させている。
この第2遊星ギヤ変速装置Q2は、第2キャリア45bと一体回転するように第2出力軸46bを備えている。
〔主変速装置:クラッチ機構〕
図4に示すように、第1クラッチ機構C1は、作動油の給排により駆動力を伝える伝動状態と遮断する遮断状態とに切換自在な湿式の摩擦多板式に構成されている。第2クラッチ機構C2は、作動油の給排により駆動力を伝える伝動状態と遮断する遮断状態とに切換自在な湿式の摩擦多板式のクラッチ部を2つ備えて構成されている。
主駆動軸31と同軸芯で相対回転自在に筒状の中間軸35を備えており、第1クラッチ機構C1が伝動状態に設定された際に、第1遊星ギヤ変速装置Q1の第1出力軸46aからの高速駆動力を、第1伝動ギヤ36を介して中間軸35に伝えるように構成されている。
第2クラッチ機構C2の2つのクラッチ部のうちの一方(図4で右側)は、前進伝動用として構成され、このクラッチ部を伝動状態に設定することにより第2遊星ギヤ変速装置Q2の第2出力軸46bからの低速駆動力を、第2伝動ギヤ37を介して中間軸35に伝えるように構成されている。
また、第2クラッチ機構C2の2つのクラッチ部の他方(図4で左側)は、後進伝動用として構成され、このクラッチ部を伝動状態に設定することにより第2遊星ギヤ変速装置Q2の第2出力軸46bからの低速駆動力を、第3伝動ギヤ38を介して第1カウンタ軸51に伝えるように構成されている。
第1カウンタ軸51は、中間軸35と平行姿勢に備えられるものであり、これらに平行する姿勢の第2カウンタ軸52が備えられ、第1カウンタ軸51と同軸芯上に後輪駆動軸53が備えられている。
〔副変速装置〕
副変速装置50Bは、第1カウンタ軸51と後輪駆動軸53との間に備えた第1変速部54と、第2カウンタ軸52と同軸芯上に備えた第2変速部55と、これらに連係する伝動ギヤを備えて構成されている。この副変速装置50Bは高速、中速、低速の3段の変速を実現すると共に、後進伝動状態を実現する。
第1変速部54と第2変速部55は、マニュアル操作される咬合式クラッチとして構成されている。
この副変速装置50Bは、中間軸35と、第1変速部54との間に、高速伝動ギヤ56と、中速伝動ギヤ57とを備えており、第1カウンタ軸51と第2カウンタ軸52との間に第1低速伝動ギヤ58を備え、第2変速部55と後輪駆動軸53との間に第2低速伝動ギヤ59を備えている。
〔伝動形態〕
走行変速装置50が、このように構成されるため、エンジン4の駆動力は無段変速装置20において無段階に変速される。第1クラッチ機構C1を伝動状態に設定することにより第1遊星ギヤ変速装置Q1で変速された高速駆動力が第1伝動ギヤ36を介して中間軸35に伝えられる。また、第2クラッチ機構C2の一方のクラッチ部を伝動状態に設定することにより、低速駆動力が第2伝動ギヤ37を介して中間軸35に伝えられる。更に、第2クラッチ機構C2の他方のクラッチ部を伝動状態に設定することにより、後進のための駆動力が第1カウンタ軸51に伝えられる。
この主変速装置50Aでは、第1クラッチ機構C1と第2クラッチ機構C2とが同時に伝動状態に設定されないように制御形態が設定されている。これと同様に、第1変速部54と第2変速部55とが同時に伝動状態に設定されないように操作形態が設定されている。
副変速装置50Bでは、第1クラッチ機構C1と第2クラッチ機構C2との何れかの駆動力が中間軸35に伝えられる状態において、第1変速部54が、高速伝動ギヤ56からの駆動力を後輪駆動軸53に伝えることにより高速回転の駆動力が後車輪2と前車輪1とに伝えられる。
これと同様に、第1クラッチ機構C1と第2クラッチ機構C2との何れかの駆動力が中間軸35に伝えられる状態において、第1変速部54が中速伝動ギヤ57からの駆動力を後輪駆動軸53に伝えることにより中速回転の駆動力が後車輪2と前車輪1とに伝えられる。
また、第1クラッチ機構C1と第2クラッチ機構C2との何れかの駆動力が中間軸35に伝えられる状態において、第1変速部54で伝動が行われない場合には、高速伝動ギヤ56で伝えられる駆動力により第1カウンタ軸51が回転する状態にある。従って、この状態で第2変速部55を伝動状態に設定することにより、第1低速伝動ギヤ58と、第2低速伝動ギヤ59とで減速された低速駆動力が後輪駆動軸53に伝えられ、低速回転の駆動力が後車輪2と前車輪1とに伝えられる。
更に、第2クラッチ機構C2の2つのクラッチ部のうちの他方を伝動状態に設定することで第3伝動ギヤ38からの駆動力を第1カウンタ軸51に伝える状態で、第1変速部54の操作により、第1カウンタ軸51の駆動力を後輪駆動軸53に伝えることで、逆転駆動力が後車輪2と前車輪1とに伝えられる。尚、第2クラッチ機構C2において第1カウンタ軸51からの駆動力を後輪駆動軸53に伝える作動位置は、高速伝動ギヤ56からの駆動力を後輪駆動軸53に伝える位置と同じである。
前輪変速装置65は、前輪伝動軸64の駆動力を前輪駆動軸66との間に配置され、等速伝動ギヤ65aと、増速伝動ギヤ65bと切換クラッチ機構65cとを備えている。この切換クラッチ機構65cは、作動油の給排により選択的に駆動力を伝える状態と、駆動力を遮断する状態とに作動する油圧多板式に構成されている。
この構成から、走行車体Aが直進する際には、切換クラッチ機構65cの制御で等速伝動ギヤ65aを伝動状態に設定することにより前車輪1の周速度と後車輪2の周速度とを等しくする。また、ステアリングホイール8が設定量を超えて操作された際には、切換クラッチ機構65cの制御で増速伝動ギヤ65bを伝動状態に設定することにより前車輪1の周速度を後車輪2の周速度より高速化し、旋回半径を小さくするように機能する。更に、前車輪1に駆動力を伝えない状態(2駆状態)で走行する場合には、切換クラッチ機構65cにおいて駆動力の伝達を遮断する状態に設定することになる。
〔作業変速装置〕
中間軸35の後方位置に、主駆動軸31からの駆動力を、ポンプ駆動ギヤ71を介して作業ポンプ72に伝える伝動構造を備えている。
作業変速装置70は、主駆動軸31からの駆動力を断続する油圧多板式の作業クラッチ73と、作業変速部74と、この作業変速部74からの駆動力が伝えられる作業変速軸75と、この作業変速軸75からの駆動力を動力取出軸17に伝える出力ギヤ76を備えている。
作業変速部74は、作業変速軸75と同軸芯上に配置される2つの作業変速クラッチ74aと、後輪駆動軸53に相対回転自在に外嵌する作業カウンタ軸74bと、作業クラッチ73からの駆動力を作業カウンタ軸74bに伝える第1作業ギヤ74cと、作業カウンタ軸74bからの駆動力を2つの作業変速クラッチ74aのうち対応するものに伝える3つの第2作業ギヤ74dとを備えている。尚、2つの作業変速クラッチ74aの各々が、マニュアル操作される咬合式のクラッチとして構成されている。
この作業変速部74では、作業クラッチ73を伝動状態に設定した状況において、2つの作業変速クラッチ74aの選択的な操作により、主駆動軸31から伝えられる駆動力を減速伝動状態と、中速伝動状態と、高速伝動状態と、逆転伝動状態との何れかに設定して作業変速軸75に伝えることが可能となる。また、作業ポンプ72は、ミッションケース12に貯留される潤滑油を作動油として供給するように構成されている。
尚、作業ポンプ72の作動油は、制御バルブ(図示せず)を介して前述した第1クラッチ機構C1と、第2クラッチ機構C2と、切換クラッチ機構65cと、作業クラッチ73とに対して供給される。
〔実施形態の作用効果〕
エンジン4の駆動力が無段変速装置20で無段階に変速され、このように変速された駆動力が第1遊星ギヤ変速装置Q1と第2遊星ギヤ変速装置Q2との2つの遊星ギヤ変速装置で大きく減速できるため、無段変速装置20に小容量のものを用いることが可能となる。また、第1遊星ギヤ変速装置Q1と第2遊星ギヤ変速装置Q2とで変速された駆動力は、各々に対応する第1クラッチ機構C1と第2クラッチ機構C2とを介して個別に取り出し、走行変速装置50に伝えることが可能となる。
特に、第1遊星ギヤ変速装置Q1と第2遊星ギヤ変速装置Q2とが並列する位置関係で配置されるため、複数の遊星ギヤ変速装置を直列に配置する構成と比較して遊星ギヤ変速装置を収容する空間の前後方向での寸法の縮小が可能となる。これにより静油圧式の無段変速装置20と遊星ギヤ変速装置とを用いる有効性を損なうことなく、変速構成の大型化を抑制し、変速構成の単純化も可能なトラクタが構成された。
〔別実施形態〕
本発明は、上記した実施形態以外に以下のように構成しても良い(実施形態と同じ機能を有するものには、実施形態と共通の番号、符号を付している)。
(a)図5に示すように、実施形態に記載した主クラッチハウジング10と主クラッチ機構18とを備えずにトラクタ(作業車の一例)のミッションケース12を構成している。この別実施形態(a)は、主クラッチハウジング10と主クラッチ機構18とを除き、ミッションケース12は実施形態と基本的に共通する構成を備えている。
この別実施形態(a)の構成では、エンジン4を始動する際、あるいは、走行車体Aを停車させる際には、無段変速装置20の可動斜板24bの角度をポンプ軸芯に対して直交する姿勢に設定することで作動油の流れを停止する制御、あるいは、第1クラッチ機構C1と第2クラッチ機構C2とを同時に遮断状態に設定することになる。
このように別実施形態(a)では、実施形態に記載した主クラッチハウジング10と主クラッチ機構18とを構成する部品が不要になるため、作業車の点数の低減が可能となり、車体の前後方向での寸法を短縮して車体の小型化を可能にし、また、車体の軽量化も可能となる。
(b)図6に示すように、先に説明した別実施形態(a)と同様に、実施形態に記載した主クラッチハウジング10と主クラッチ機構18とを備えずにトラクタ(作業車の一例)のミッションケース12を構成している。特に、湿式の第1クラッチ機構C1と湿式の第2クラッチ機構C2とがともに遮断状態にある場合に、第1出力軸46a(第1軸の一例)と第2出力軸46b(第2軸の一例)との各々から作用する引き摺りトルクによって走行車体Aが低速で移動する不都合を抑制する構成を備えている。
図6、図7に示すように、第1クラッチ機構C1は、伝動状態で第1出力軸46a(第1軸の一例)の駆動力を前進駆動力として第1前進出力ギヤ36aから中間軸35の第1前進入力ギヤ36bに伝える。
また、第2クラッチ機構C2は、前進クラッチ部C2fと、後進クラッチ部C2rとを有している。前進クラッチ部C2fは、伝動状態において第2出力軸46b(第2軸の一例)の駆動力を前進駆動力として第2前進出力ギヤ37aから中間軸35の第2前進入力ギヤ37bに伝える。後進クラッチ部C2rは、伝動状態において第2出力軸46bの駆動力を後進駆動力として第2後進出力ギヤ38a(後進出力ギヤの一例)から第1カウンタ軸51の第2後進入力ギヤ38b(出力部、後進伝動ギヤの一例)に伝える。
尚、このミッションケース12では、第1クラッチ機構C1が伝動状態に設定された際に前車輪1と後車輪2とに伝えられる駆動速度が、第2クラッチ機構C2の前進クラッチ部C2fが伝動状態に設定された際に前車輪1と後車輪2とに伝えられる駆動速度より高速であるように構成されている。
この別実施形態(b)では、図7〜図9に示すように、第1出力軸46aの回転に伴い引き摺りトルクが作用する中間回転部材85を備え、この中間回転部材85の回転力を、第2後進出力ギヤ38a(後進伝動ギヤの一例)に伝えることで、走行機構としての左右の前車輪1と左右の後車輪2とに走行駆動力が伝えられる現象を抑制するように構成されている。
第1クラッチ機構C1は、第1クラッチハウジングCH1の内部に、第1前進出力ギヤ36aと一体回転する第1スリーブ36sを配置している。また、第1クラッチハウジングCH1の外周の複数の第1スリット80aに嵌合する複数の駆動側摩擦板81と、第1スリーブ36sにトルク伝動自在に外嵌する複数の従動側摩擦板82と、圧油供給により駆動側摩擦板81及び従動側摩擦板82を圧接させる第1ピストン83を備えている。
この第1クラッチ機構C1は、第1クラッチハウジングCH1が第1出力軸46aと一体回転し、駆動側摩擦板81と従動側摩擦板82とが交互に配置されている。第1ピストン83に対する作動油の給排を行う油路が第1出力軸46aの内部に形成されている。
そして、作動油の供給によって第1ピストン83に作動油が供給されることで複数の駆動側摩擦板81と複数の従動側摩擦板82とが圧接する伝動状態に達し、第1出力軸46aの駆動力を第1前進出力ギヤ36aに伝える。尚、作動油の排出によってピストンからの圧力が解除され、複数の駆動側摩擦板81と複数の従動側摩擦板82とが離間し、駆動力を伝えない遮断状態に達する。
第2クラッチ機構C2は、第2クラッチハウジングCH2の内部に前進クラッチ部C2fと後進クラッチ部C2rとを収容した構成である。また、前進クラッチ部C2fと後進クラッチ部C2rとは、第1クラッチ機構C1と基本的に共通する構成であり、前進クラッチ部C2fは摩擦板を圧接する前進ピストンC2fpを備え、後進クラッチ部C2rは摩擦板を圧接する後進ピストンC2rpを備えている。
このような構成から、前進ピストンC2fpに作動油が供給されることで第2出力軸46bの駆動力を第2前進出力ギヤ37aに伝える伝動状態となり、作動油が排出されることにより駆動力を伝えない遮断状態となる。また、後進ピストンC2rpに作動油が供給されることで第2出力軸46bの駆動力を第2後進出力ギヤ38aに伝える伝動状態となり、作動油が排出されることにより駆動力を伝えない遮断状態となる。
第1クラッチ機構C1と第2クラッチ機構C2とは、ミッションケース12に貯留された潤滑油の浸入が可能となる構成である。このような構造であるため、第1クラッチ機構C1が遮断状態にある場合には、駆動側摩擦板81と従動側摩擦板82とが離間する位置関係にあっても、潤滑油の粘性によりこれらが連れ回りし、引き摺りトルクが第1前進出力ギヤ36aを介して前車輪1と後車輪2とに伝わることになる。
また、第2クラッチ機構C2の前進クラッチ部C2fと後進クラッチ部C2rとが遮断状態にある場合には、第1クラッチ機構C1と同様に、内部の摩擦板が潤滑油の粘性により連れ回りし、引き摺りトルクが前車輪1と後車輪2とに伝わることになる。
この別実施形態(b)では、中間回転部材85が、第1出力軸46aに相対回転自在に外嵌する筒状部材であり、この中間回転部材85に対し、この中間回転部材85の外周側に連係部としてギヤ部85Gを一体形成しており、このギヤ部85Gが第2後進入力ギヤ38bに咬合している。
図8に示すように、中間回転部材85は、第1クラッチハウジングCH1の内部で、第1出力軸46aの軸芯に沿う方向で第1スリーブ36sと反対側に配置されている。第1クラッチハウジングCH1には、第1出力軸46aの軸芯に沿う方向で第1スリット80aと反対側に、複数の第2スリット80bが形成されている。
更に、第1クラッチハウジングCH1の第2スリット80bに嵌合する複数の板状の摩擦プレート86(摩擦部材の一例)と、中間回転部材85の外周にトルク伝動自在に外嵌する複数の板状の摩擦リング87(摩擦板の一例)とを備えている。複数の摩擦プレート86と複数の摩擦リング87とは、第1クラッチ機構C1の構成と類似するものであるが、複数の摩擦プレート86と複数の摩擦リング87とを接触させるピストンを備えない点で第1クラッチ機構C1と異なる。
前述したように第1クラッチハウジングCH1が第1出力軸46aと一体回転するため、第1クラッチ機構C1が遮断状態にある場合でも第1クラッチハウジングCH1が回転し、この回転に伴い摩擦プレート86が回転し、これに近接する摩擦リング87が引き摺りトルクの作用により回転する。この結果として、中間回転部材85に回転力が伝えられ、この回転力が第2後進入力ギヤ38bから第1カウンタ軸51に伝えられる。このように中間回転部材85から第1カウンタ軸51に伝えられる引き摺りトルクが走行車体Aを後進させる方向に作用する。
別実施形態(b)の〔作用効果〕
図6〜図9に示すミッションケース12の構成では、第1クラッチ機構C1が遮断状態にあり、第2クラッチ機構C2の前進クラッチ部C2fと後進クラッチ部C2rとが遮断状態にある場合には、第1クラッチ機構C1と前進クラッチ部C2fとから前車輪1と後車輪2とに対し前進方向に引き摺りトルクが作用し、後進クラッチ部C2rから前車輪1と後車輪2とに後進方向に引き摺りトルクが作用する。
このように2つのクラッチから前進方向に引き摺りトルクが作用し、1つのクラッチから後進方向に引き摺りトルクが作用するものは、後進方向の引き摺りトルクと比較して前進方向への引き摺りトルクが大きく、車体が低速で前進する不都合に繋がるものである。
これに対し、図8、図9に示すように、中間回転部材85のギヤ部85Gを第2後進入力ギヤ38bに咬合させているため、中間回転部材85の回転力を、後進方向に作用させることが可能となる。これにより、後進方向への引き摺りトルクを増大させ、前進方向への引き摺りトルクと、後進方向への引き摺りトルクとを相殺させ、走行車体Aが低速で移動する不都合を解消する。特に、この構成は、引き摺りトルクの作用によって走行車体Aが低速で走行する不都合を抑制するためのアクチュエータを備えない構成であるため、構造の複雑化や、部品点数の増大を招くこともない。
(c)中間回転部材85の回転力を第2クラッチ機構C2の第2後進入力ギヤ38b(出力部)に伝えるための連係部として、タイミングベルトを用いることや、複数のギヤを用いる。
この別実施形態(c)の変形例として、第2クラッチ機構C2の第2後進出力ギヤ38aを出力部とし、この第2後進出力ギヤ38aに中間回転部材85の回転力を伝えるように、中間回転部材85の外周に形成したギヤ部85Gと、このギヤ部85Gに咬合するアイドルギヤとで連係部を構成することも可能である。この構成では、アイドルギヤが第2後進出力ギヤ38aに咬合することにより、中間回転部材85の回転方向と逆向きの回転力を第2後進出力ギヤ38aに伝えることになる。
(d)中間回転部材85に第1出力軸46a(第1軸)の回転に伴う引き摺りトルクを作用させる構成として、第1出力軸46aに対して中間回転部材85を単純に遊嵌する構成や、流体を利用することで第1出力軸46aの引き摺りトルクを作用させるカップリングを用いても良い。更に、中間回転部材85と連係部(ギヤ部85Gなど)とを異なる軸体に支持するものでも良い。
別実施形態(d)は、中間回転部材85と連係部(ギヤ部85Gなど)とは必ずしも第1出力軸46a(第1軸)と同軸芯上に配置する必要がない概念を含むものである。従って、例えば、連係部としてのギヤ部85を第1出力軸46aと異なる位置の軸体に支承し、中間回転部材85からの引き摺りトルクをギヤ部85に伝えるタイミングベルトや、無端チェーン、ギヤ(複数のギヤ含む)等で伝えるように構成することが考えられる。
これと類似する構成として、第1出力軸46aの駆動力で回転する軸体を、第1出力軸46aと異なる位置に備え、この軸体に中間回転部材85を外嵌することによって軸体の回転に伴う引き摺りトルクを中間回転部材85に伝え、更に、この中間回転部材85からギヤ部85に伝える構成も考えられる。
本発明は、2つの湿式クラッチの制御で変速を行う作業車に利用できる。
1 前車輪(走行機構)
2 後車輪(走行機構)
4 エンジン
12 ミッションケース
20 無段変速装置
21 入力軸
22 出力軸
23 ポートブロック
31 主駆動軸(駆動軸)
32 駆動ギヤ機構
33 分岐ギヤ機構
38a 第2後進出力ギヤ(後進出力ギヤ)
38b 第2後進入力ギヤ、後進伝動ギヤ(出力部、)
46a 第1出力軸(第1軸)
46b 第2出力軸(第2軸)
50 走行変速装置
50B 副変速装置
85 中間回転部材
85G ギヤ部、連係部
86 摩擦プレート、摩擦部材
87 摩擦リング、摩擦板
A 走行車体(車体)
C1 第1クラッチ機構
C2 第2クラッチ機構
C2f 前進クラッチ部
C2r 後進クラッチ部
CH1 第1クラッチハウジング(クラッチハウジング)
Q1 第1遊星ギヤ変速装置
Q2 第2遊星ギヤ変速装置
P 油圧ポンプ
M 油圧モータ

Claims (9)

  1. 第1軸から走行機構に伝えられる走行駆動力を断続する湿式の第1クラッチ機構と、
    第2軸から走行機構に伝えられる走行駆動力を断続する湿式の第2クラッチ機構と、
    前記第1軸に対し、当該第1軸の回転に伴う引き摺りトルクにより回転する中間回転部材と、
    前記中間回転部材の回転力を、前記第2クラッチ機構の出力部に伝える連係部とを備えている作業車。
  2. 走行駆動力を変速して前記第1軸に伝える第1遊星ギヤ変速装置と、
    走行駆動力を変速して前記第2軸に伝える第2遊星ギヤ変速装置とを備え、
    前記第1クラッチ機構が、伝動状態において前記第1軸の駆動力を前記走行機構に前進駆動力として伝える構成であり、
    前記第2クラッチ機構が、伝動状態において前記第2軸の駆動力を前記走行機構に前進駆動力として伝える前進クラッチ部と、伝動状態において前記第2軸の駆動力を前記走行機構に後進駆動力として伝える後進クラッチ部とを有しており、
    前記第2クラッチ機構が、前記後進クラッチ部から後進駆動力を出力する後進出力ギヤを有し、前記後進出力ギヤが後進伝動ギヤに咬合することにより後進駆動力を前記走行機構に伝えるように構成している請求項1に記載の作業車。
  3. 前記連係部が、前記中間回転部材の回転力によって回転するギヤ部であり、前記ギヤ部が、前記後進伝動ギヤに咬合している請求項2に記載の作業車。
  4. 前記ギヤ部が、前記中間回転部材の外周に形成されている請求項3に記載の作業車。
  5. 前記第1クラッチ機構が伝動状態にある際に前記第1軸から前記走行機構に伝えられる駆動速度が、前記第2クラッチ機構の前進クラッチ部が伝動状態にある際に前記第2軸から前記走行機構に伝えられる駆動速度より高速であり、
    前記中間回転部材が、前記第1軸に回転自在に支持されると共に、当該中間回転部材と一体的に回転する摩擦板を有し、前記摩擦板が、前記第1クラッチ機構のクラッチハウジングと一体回転する摩擦部材に隣接配置されている請求項1〜4のいずれか一項に記載の作業車。
  6. 前記第1クラッチ機構と前記第2クラッチ機構とからの駆動力を変速する副変速装置を備えている請求項1〜5のいずれか一項に記載の作業車。
  7. エンジンの駆動力を無段階に変速して前記第1遊星ギヤ変速装置と前記第2遊星ギヤ変速装置とに対し走行駆動力として伝える静油圧式の無段変速装置を備え、
    前記第1遊星ギヤ変速装置と、前記第2遊星ギヤ変速装置とが並列する位置関係でミッションケースに収容されている請求項2に記載の作業車。
  8. 前記エンジンと前記無段変速装置とが、この順序で前後方向に沿って配置され、前記無段変速装置より後方に前記第1遊星ギヤ変速装置と前記第2遊星ギヤ変速装置とが並列する位置関係で配置され、
    前記無段変速装置が、前記エンジンで駆動される可変容量型の油圧ポンプと、前記油圧ポンプから供給される作動油により回転する油圧モータとを有し、前記油圧ポンプの入力軸と、前記油圧モータの出力軸とが、当該無段変速装置から後方に突出形成され、
    前記エンジンの駆動力を伝える駆動軸が、前記無段変速装置を前後方向に沿って貫通して配置され、
    前記駆動軸のうち前記無段変速装置を貫通した貫通部位の駆動力を前記入力軸に伝える駆動ギヤ機構と、前記出力軸の駆動力を前記第1遊星ギヤ変速装置と前記第2遊星ギヤ変速装置とに伝える分岐ギヤ機構を備えている請求項7に記載の作業車。
  9. 前記無段変速装置が、前記エンジンで駆動される可変容量型の油圧ポンプと、前記油圧ポンプから供給される作動油により回転する油圧モータと、前記油圧ポンプと前記油圧モータとの間に形成される油圧回路が形成されるポートブロックとを備え、
    前記ポートブロックの後面側に前記油圧ポンプと前記油圧モータとが配置されている請求項7又は8に記載の作業車。
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