JP2021037914A - ハイブリッド車両の変速制御装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】切替機構(係合機構)に噛み合い式の切替機構を用いた変速機を搭載したハイブリッド車両において、要求駆動力の出力に要する時間を短くすることが可能なハイブリッド車両の変速制御装置を提供する。【解決手段】噛み合い式の切替機構を用いた変速機を搭載した車両であって、シリーズHV走行とパラレルHV走行とが可能であり、シリーズHV走行からパラレルHV走行へ切り替える場合に(ステップS1〜S2)、変速機のギヤ段を予め定めた所定の低速ギヤ段で待機させるように構成し(ステップS5〜S7)、パラレルHV走行からシリーズHV走行へ切り替える場合に、変速機のギヤ段を所定の低速ギヤ段同士の間のニュートラル位置に待機させる。【選択図】図4
Description
この発明は、所定の変速段を設定するための切替機構(係合機構)に噛み合い式の切替機構を用いたハイブリッド車両の変速制御装置に関するものである。
この種の変速機が特許文献1に記載されている。特許文献1に記載された変速機は、複数の変速ギヤと、その変速ギヤに軸線方向で隣り合う位置に配置された出力軸と、出力軸と変速ギヤとが一体回転あるいは相対回転する状態を切り替える切替機構(クラッチ機構)と、前記切替機構をストロークさせるシフトフォークとを備え、前記切替機構を作動させることにより複数のギヤ段を設定可能に構成されている。また、前記変速ギヤには、切替機構に対向する面に複数のドグ歯が設けられている。さらに、前記切替機構は、第1リングと、第2リングと、その第1リングと第2リングとを軸線方向で相互に接近する方向に付勢する弾性部材とを備え、前記変速ギヤに対向する面には前記ドグ歯と噛み合う係合歯が形成されている。
また、特許文献2には、前輪を駆動する第1駆動装置、および、後輪を駆動する第2駆動装置を備えた車両が記載されている。この特許文献2に記載された車両は、例えば第1駆動装置がエンジンおよびモータ・ジェネレータ、第2駆動装置がモータの場合には、いわゆるシリーズ走行およびパラレル走行が可能となる。
特許文献1に記載された変速機は、シフトフォークにより切替機構を変速ギヤ側にストロークさせて、その変速ギヤと切替機構におけるドグ歯とを係合することで所定のギヤ段が形成される。この変速機において、通常、所定ギヤ段(例えば第4速)から所定の目標ギヤ段(例えば第2速)へダウンシフトする際には、ドグ歯とそのドグ歯に噛み合う係合歯との接触を防ぐために、一段ずつダウンシフトする。すなわち第4速から第3速、第2速の順に係合および解放の動作を繰り返し実行する。つまり、目標ギヤ段へ変速する際に中間段(上記の第3速)でギヤ段を形成しつつ変速を行う。このような変速機を特許文献2に記載された車両に適用した場合、例えばシリーズ走行からパラレル走行に切り替える場合には、一般的には発熱を低減しつつ、かつ車速に応じたギヤ段を形成した状態で待機する。その状態で運転者のアクセル要求の増大によりシリーズ走行からパラレル走行に切り替える場合には、上述したように飛び変速(例えば第4速から第2速へ変速)ができず、変速時間が長くなるため、ひいては運転者の要求する駆動力を出力するまでの時間が長くなるおそれがある。
この発明は上記の技術的課題に着目して考え出されたものであり、切替機構(係合機構)に噛み合い式の切替機構を用いた変速機を搭載したハイブリッド車両において、要求駆動力の出力に要する時間を短くすることが可能なハイブリッド車両の変速制御装置を提供することを目的とするものである。
上記の目的を達成するために、この発明は、エンジンと、発電機能を有する第1モータと、前記エンジンおよび前記第1モータの出力側に設けられ、かつ変速比をステップ的に変化させる有段式の変速機と、前記エンジンおよび前記第1モータと前記変速機との間に配置されたクラッチ機構と、第2モータとを備え、前記変速機は、出力軸と相対回転可能に連結されかつ入力軸にトルク伝達可能に連結された複数の変速ギヤと、前記出力軸と一体回転しかつ所定のギヤ段を設定するために係合される噛み合い式の切替機構を備え、前記エンジンのトルクで前記第1モータを駆動して発電させるとともに、前記第2モータが出力するトルクで駆動力を発生させるシリーズHV走行モードと、前記クラッチ機構を係合した状態で前記エンジンを運転し、前記エンジンが出力するトルクおよび前記第1モータと第2モータとの少なくともいずれかのモータのトルクで駆動力を発生させるパラレルHV走行モードとを設定することが可能なハイブリッド車両の変速制御装置において、前記ハイブリッド車両を制御するコントローラを備え、前記コントローラは、前記シリーズHV走行モードから前記パラレルHV走行モードへ切り替えの要求があるか否か、あるいは、前記パラレルHV走行モードから前記シリーズHV走行モードへ切り換えの要求があるか否かを判断し、前記シリーズHV走行モードから前記パラレルHV走行モードへの切り替えの要求があると判断した場合に、前記変速機のギヤ段を予め定めた所定の低速ギヤ段で待機させるように構成し、前記パラレルHV走行モードから前記シリーズHV走行モードへの切り替えの要求があると判断した場合に、前記変速機のギヤ段を前記所定の低速ギヤ段同士の間のニュートラル位置に待機させるように構成されていることを特徴とするものである。
この発明によれば、シリーズHV走行モードからパラレルHV走行モードへ切り替える際に、変速機のギヤ段を予め定めた低速ギヤ段で待機させるように構成されている。またパラレルHV走行モードからシリーズHV走行モードへ切り替える際に、変速機のギヤ段を予め定めた低速ギヤ段側のニュートラル位置で待機させるように構成されている。そのため、シリーズHV走行モードからパラレルHV走行モード(あるいはパラレルHV走行モードからシリーズHV走行モード)への切り替え要求があり、その走行モードを切り替える際には低速側のギヤ段が形成されているから、目標ギヤ段への変速時間を短くすることができ、ひいては運転者の要求する駆動力を早期に出力することができる。つまり、このような切替機構にドグ歯を備えた変速機を採用した車両であっても、要求駆動力を早期に出力することが可能となる。
この発明の実施形態を、図を参照して説明する。なお、以下に示す実施形態は、この発明を具体化した場合の一例に過ぎず、この発明を限定するものではない。
この発明の実施形態で制御対象にする車両は、例えばエンジン、ならびに、二つのモータを動力源とするハイブリッド車両である。第1モータはエンジンの出力側に配置され、エンジンが出力するエンジントルクを受けて駆動されることにより発電する機能を有している。第2モータは、駆動輪に対して動力伝達可能に連結されている。そして、エンジンおよび第1モータと駆動輪との間に、それらの間で選択的にトルクの伝達および遮断を行う係合機構が設けられている。したがって、この発明の実施形態におけるハイブリッド車両は、係合機構を解放することにより、駆動系統からエンジンおよび第1モータを切り離すことができる。その状態で、第2モータが出力するモータトルクによってハイブリッド車両を走行させることができる。すなわち、ハイブリッド車両を第2モータを駆動力源とする電気自動車として走行させることができる。一方、係合機構を係合することにより、少なくとも、エンジントルクによってハイブリッド車両を走行させることができる。あるいは、エンジントルクおよび第2モータのモータトルクでハイブリッド車両を走行させることができる。また、エンジントルクおよび第2モータのモータトルクに加え、第1モータが出力するモータトルクでハイブリッド車両を走行させることもできる。
図1に、この発明の実施形態で制御対象にするハイブリッド車両の駆動システム(駆動系統および制御系統)の一例を示してある。また、この図1に示す例では、四輪駆動車(4WDあるいはAWDと称される)の例を示しており、ここに示す例は、エンジン1の動力を後輪2に伝達するいわゆるFR(フロントエンジン・リヤドライブ)車をベースとした四輪駆動車の例である。図1に示すハイブリッド車両(以下、車両と記す)Veは、動力源として、前述のエンジン(ENG)1、ならびに、後輪2にトルクを伝達可能な第1モータ(リア・モータ)3、および、前輪4にトルクを伝達可能な第2モータ(フロント・モータ)5を備えている。また、車両Veは、他の主要な構成要素として、バッテリ(BATT)6、自動変速機7、パワーコントロールユニット(PCU)8、ブレーキシステム(AHBRx)9、および、ECU(電子制御装置)10を備えている。なお、対象とする車両Veは、図1に示す車両に限られず、FF(フロントエンジン・フロントドライブ)車、MR(ミッドエンジン・リヤドライブ)車、あるいは、RR(リヤエンジン・リヤドライブ)車であってもよい。
エンジン1は、例えば、ガソリンエンジンやディーゼルエンジンなどの内燃機関であり、出力の調整、ならびに、始動および停止などの作動状態が電気的に制御されるように構成されている。ガソリンエンジンであれば、スロットルバルブの開度、燃料の供給量または噴射量、点火の実行および停止、ならびに、点火時期などが電気的に制御される。ディーゼルエンジンであれば、燃料の噴射量、燃料の噴射時期、あるいは、EGR[Exhaust Gas Recirculation]システムにおけるスロットルバルブの開度などが電気的に制御される。またエンジン1は、エンジンブレーキにより後輪2に減速力を発生させる。
第1モータ(リア・モータ)3は、エンジン1の出力側に配置されている。第1モータ3は、少なくとも、エンジン1が出力するエンジントルクを受けて駆動されることにより電気を発生する発電機としての機能を有している。この発明の実施形態における車両Veでは、第1モータ3は、電力が供給されることにより駆動されてモータトルクを出力する電動機としての機能も有している。すなわち、第1モータ3は、発電機能を有するモータ(いわゆる、モータ・ジェネレータ)であり、例えば、永久磁石式の同期モータ、あるいは、誘導モータなどによって構成されている。第1モータ3には、パワーコントロールユニット(Rr−PCU)8aを構成するインバータ(図示せず)を介して、バッテリ6が接続されている。したがって、第1モータ3を発電機として駆動し、その際に発生する電気をバッテリ6に蓄えることができる。また、バッテリ6に蓄えられている電気を第1モータ3に供給し、第1モータ3を電動機として駆動してモータトルクを出力することもできる。なお、第1モータ3は、図1に示すようにエンジン1に直接連結されているものの、この構成に替えて、歯車機構などの伝動機構を介して連結してもよい。また、そのエンジン1と第1モータとの間にダンパ機構やトルクコンバータなどの機構を配置してもよい。
第2モータ(フロント・モータ)5は、少なくとも、電力が供給されることにより駆動されてモータトルクを出力する電動機としての機能を有している。この発明の実施形態における車両Veでは、第2モータ5は、外部からトルクを受けて駆動されることによって電気を発生する発電機としての機能も有している。すなわち、第2モータ5は、上記の第1モータ3と同様に、発電機能を有するモータ(いわゆる、モータ・ジェネレータ)であり、例えば、永久磁石式の同期モータ、あるいは、誘導モータなどによって構成されている。第2モータ5には、パワーコントロールユニット(Fr−PCU)8bを構成するインバータを介して、バッテリ6が接続されている。したがって、バッテリ6に蓄えられている電気を第2モータ5に供給し、第2モータ5を電動機として駆動してモータトルクを出力することができる。また、後述するように、第2モータ5は、前輪4に対して動力伝達可能に連結されている。したがって、前輪4から伝達されるトルクによって第2モータ5を発電機として駆動し、その際に発生する回生電力をバッテリ6に蓄えることもできる。さらに、第1モータ3および第2モータ5は、インバータ(図示せず)を介して、互いに電力の授受が可能なように接続されている。例えば、第1モータ3で発生した電気を、直接、第2モータ5に供給し、第2モータ5でモータトルクを出力することも可能である。
バッテリ6は、上記の第1モータ3および第2モータ5で発生した電気を蓄える蓄電装置であり、第1モータ3および第2モータ5に対して、それぞれ、電力の授受が可能なように接続されている。したがって、上記のように第1モータ3で発生した電気をバッテリ6に蓄えることができる。また、バッテリ6に蓄えた電気を第1モータ3に供給し、第1モータ3を駆動することができる。同様に、上記のように第2モータ5で発生した電気をバッテリ6に蓄えることができる。また、バッテリ6に蓄えた電気を第2モータ5に供給し、第2モータ5を駆動することができる。なお、蓄電装置としては、図1に示すようなバッテリ6に限らず、例えば、キャパシタ(コンデンサ)であってもよい。
自動変速機7は、図1に示すようにエンジン1と同一の軸線上に配置され、かつ第1モータ3の出力側に配置されており、エンジン1および第1モータ3と後輪2との間でトルクを伝達する変速機構である。自動変速機7は、要は、入力回転数の出力回転数に対する比率を適宜に変更できる機構であって、複数の変速比をステップ的に設定することができる。図1に示す例では、係合機構(切替機構)を係合もしくは解放させることにより駆動トルクの伝達経路を変えて変速を実行するように構成された有段自動変速機によって構成されている。具体的には、第1ドグリングと第2ドグリングとの2つのリングと、その第1ドグリングと第2ドグリングとを相互に接近させる方向に付勢するスプリングとを備えたダブルドグリング機構(以下、DDR切替機構と記す)11を有する多段変速機(例えば前進8速)が用いられている。なお、この自動変速機7は前進8速に限られず、それ以下あるいはそれ以上の多段変速機を用いてもよい。
図2および図3はそのDDR切替機構11を含む自動変速機7の概要を説明する図であり、図2は各ギヤ段に変速するのに必要なシフト操作力をDDR切替機構11に付与するシフト機構(アクチュエータ)12の概要を示す斜視図である。また図3は、DDR切替機構11の構成を模式的に示す図であって、特にDDR切替機構11が変速ギヤ段側にストロークして所定の変速ギヤの噛合歯がDDR切替機構11側に入り込む例を示している。なお、図2においては、所定のギヤ段を設定するための2つのDDR切替機構11a,11bを示しており、その他のDDR切替機構は省略し、ならびに、DDR切替機構11a,11bと隣り合う位置に配置される一方の変速ギヤについても省略している。以下に、DDR切替機構11aを例として説明する。なお、DDR切替機構11bについては、DDR切替機構11aと同様の構成であるためその説明を省略する。
具体的には、DDR切替機構11aは、各ギヤ段(変速ギヤ)を形成する際の切替機構(すなわちクラッチ機構)であって、図3に示すように、主に円盤状の第1ドグリング13、円盤状の第2ドグリング14、第1ドグリング13および第2ドグリング14のそれぞれに形成された複数の係合歯15,16,17,18、軸線C方向(リング移動方向)で貫通する貫通孔20,21、および、第1ドグリング13と第2ドグリング14とを相互に接近させる方向に付勢するスプリング22から構成されている。なお、図3に示す符号19は、係合歯17と噛み合う変速ギヤにおける噛合歯である。
より具体的には、第1ドグリング13の軸線C方向で図示しない所定のギヤ(紙面下側)と向かい合う側の面には、その所定のギヤに向かって突設された複数の第1係合歯15が周方向で等角度間隔に形成されている。第1係合歯15は、第1ドグリング13が前記所定のギヤ側に向かって軸線C方向に移動した際に、その所定のギヤに形成されている噛合歯と噛み合う位置に形成されている。また、第1ドグリング13の軸線C方向で第2ドグリング14と向かい合う面には、その第2ドグリング14に向かって突き出す複数の第2係合歯16が周方向で等角度間隔に形成されている。第2係合歯16は、組付後において第2ドグリング14に形成された貫通孔20を貫通し、所定のギヤ(例えば図2の第2速ギヤ23a)の噛合歯と噛み合い可能に構成されている。
そして、第1ドグリング13には、その第1ドグリング13を軸線C方向に貫通する複数の貫通孔20が、周方向で等角度間隔に形成されている。貫通孔20は、組付後において第2ドグリング14の後述する第4係合歯18が貫通する位置に形成されている。
同様に第2ドグリング14の軸線C方向でギヤ(例えば第2速ギヤ)23aと向かい合う側の面には、その第2速ギヤ23aに向かって突設された複数の第3係合歯17が、周方向で等角度間隔に形成されている。第3係合歯17は、第2ドグリング14が第2速ギヤ23a側に向かって軸線C方向に移動した際に、第2速ギヤ23aに形成されている噛合歯19と噛み合う位置に形成されている。なお、噛合歯19は、軸線C方向で切替機構11aと向かい合う側の面であって、第2係合歯16および第3係合歯17と噛合可能な位置に形成(突設)されている。また、第2ドグリング14の軸線C方向で第1ドグリング13と向かい合う面には、その第1ドグリング13に向かって突き出す複数の第4係合歯18が周方向で等角度間隔に形成されている。第4係合歯18は、組付後において第1ドグリング13の貫通孔20を貫通し、図示しない所定のギヤの噛合歯と噛合可能に構成されている。また、図3に示す第3係合歯17の一方の歯は、噛合歯19との噛み合いにおいて誤係合を防止するために、傾斜面(スロープ)24が形成されている。
そして、第2ドグリング14には、その第2ドグリング14を軸線C方向に貫通する複数の貫通孔21が、周方向で等角度間隔に形成されている。貫通孔21は、組付後において第1ドグリング13の第2係合歯16が貫通する位置に形成されている。
なお、DDR切替機構11aにおける第1ドグリング13の内周部と第2ドグリング14の内周部とには、図2に示すようにスリーブ25が設けられ、そのスリーブ25を介して第1ドグリング13および第2ドグリング14が出力軸26にスプライン嵌合され、その第1ドグリング13および第2ドグリング14は、出力軸26に対して一体回転可能となるとともに、出力軸26に対して軸線C方向への相対移動可能に構成されている。
なお、上述した第2速ギヤ23aなど各変速ギヤは、出力軸26に対して相対回転可能に連結されかつ自動変速機7の入力軸7aにトルク伝達可能に連結されている。
つぎに、シフト機構12について図2を参照しつつ説明する。シフト機構12は、各DDR切替機構11に嵌合するシフトフォーク27と、そのシフトフォーク27を保持する保持シャフト28と、シフトバレル29とを備えて構成されている。保持シャフト28およびシフトバレル29は、出力軸26の軸線Cと平行に配置されている。
DDR切替機構11の外周部には、環状の凹溝30が形成されており、その凹溝30にシフトフォーク27が嵌合している。
シフトフォーク27は、二股状に形成されて凹溝30と嵌合する嵌合部31と、保持シャフト28によって保持される保持部32とから構成されている。シフトフォーク27の保持部32は、保持シャフト28の軸線C方向への相対移動可能に嵌め付けられている。これより、シフトフォーク27は、保持シャフト28に保持された状態で、軸線C方向(ギヤ23a側あるいはギヤ23b側)への移動が許容されている。
また、シフトフォーク27の保持部32には、図示しない突起が形成されており、この突起がシフトバレル29に形成されているシフト溝33と係合されている。シフト溝33は、シフトバレル29の周方向の一部が屈曲しており、シフトバレル29が回転し、前記突起がこの屈曲した部位と接触すると、突起がシフト溝33の形状に応じて軸線C方向に移動させられる。これにより、突起に連動してシフトフォーク27が軸線C方向に移動させられる。また、シフトフォーク27が軸線C方向に移動させられると、シフトフォーク27および凹溝30を介してDDR切替機構11を軸線C方向へ移動する力、すなわちDDR切替機構11の作動状態を切り替えるために必要なシフト操作力が付与される。
そして、DDR切替機構11aは、図2に示すように軸線C方向で第2速ギヤ23aと隣り合う位置に配置され、シフトフォーク27を軸線C方向にストロークさせることで第2速ギヤ23aあるいは図示しない(紙面左側)ギヤとを選択的に連結する。具体的には、DDR切替機構11aは、第2速ギヤ23aと出力軸26とが一体的に回転する状態と、第2速ギヤ23aと出力軸26とが相対回転する状態とに切り替え可能に構成されている。つまり、第2速ギヤ23aと出力軸26とが一体的に回転する状態に切り替えられると、第2速が成立する。
また、同様にDDR切替機構11bは、図2に示すように軸線C方向で第3速ギヤ23bと隣り合う位置に配置され、シフトフォーク27を軸線C方向にストロークさせることで第3速ギヤ23bあるいは図示しない(紙面右側)ギヤとを選択的に連結する。具体的には、DDR切替機構11bは、第3速ギヤ23bと出力軸26とが一体的に回転する状態と、第3速ギヤ23bと出力軸26とが相対回転する状態とに切り替え可能に構成されている。つまり、第3速ギヤ23bと出力軸26とが一体的に回転する状態に切り替えられると、第3速が成立する。
なお、図示しないその他のDDR切替機構についても同様に、シフトバレル29が回転することで、シフト溝33および突起を介してシフトフォーク27から軸線方向へ移動する力が付与されるように構成されている。また、上記のシフトバレル29に形成されて各切替機構11の突起と嵌合する各シフト溝33は、屈曲する部位が周方向で異なる位置に形成されている。具体的には、シフトバレル29が回転するに従い、第1速のギヤ段から第8速のギヤ段の順番で順次変速されるように各シフト溝33の形状が形成されている。また、その第1速から第8速の各ギヤ段の間はそれぞれニュートラル位置とされている。なお、その他このDDR切替機構11を有する自動変速機7の構成は前掲の特許文献1に記載されているものと同様のためここではその説明を省略する。
そして、図1に示すように自動変速機7はリヤデファレンシャルギヤ34に連結され、すなわちそのリヤデファレンシャルギヤ34ならびにドライブシャフト35を介して左右の後輪2にトルクを伝達するように構成されている。
また、その自動変速機7とエンジン1および第1モータ3との間には、選択的にトルクの伝達および遮断を行うクラッチ機構K1が設けられている。したがって、この発明の実施形態における車両Veは、クラッチ機構K1を解放することにより、駆動系統からエンジン1および第1モータ3を切り離すことができ、それとは反対にクラッチ機構K1を係合することにより、駆動系統とエンジン1および第1モータ3とを連結することができる。
パワーコントロールユニット(PCU)8は、インバータやコンバータ(共に図示せず)を含み、モータの温度やモータの出力を調整する。なお、図1に示す車両Veでは第1モータ3に連結されたRrーPCU8aと、第2モータ5に連結されたFrーPCU8bとが設けられている。
ブレーキシステム(AHBRx)9は、油圧ブレーキと回生ブレーキとを協調させて制動力を発生させることが可能なブレーキシステムであって、減速力を油圧によって前輪4および後輪2に発生させ、回生ブレーキ時には、回生量に応じた要求ブレーキ力との差分を油圧ブレーキで発生させるように構成されている。
また、前述の第2モータ5は、車両Veの前輪4側に配置されており、モータトルクを前輪4に伝達して駆動力を発生することが可能なように、車両Veの駆動系統に連結されている。図1に示す例では、第2モータ5の出力軸が、減速ギヤ対36に連結され、すなわち、第2モータ5が出力するモータトルクは、その減速ギヤ対36およびフロントデファレンシャルギヤ37で増幅され、ドライブシャフト38を介して左右の前輪4に伝達される。したがって、車両Veは、エンジン1を停止した状態で、第2モータ5が出力するモータトルクを前輪4に伝達して駆動力を発生することが可能である。また、クラッチ機構K1を解放した状態でエンジン1を運転し、エンジントルクで第1モータ3を駆動して発電させるとともに、第2モータ5のモータトルクを前輪4に伝達して駆動力を発生することが可能である。そして、クラッチ機構K1を係合した状態でエンジン1を運転し、エンジントルクおよび第2モータ5のモータトルクを後輪2ならびに前輪4に伝達して駆動力を発生することが可能である。
ECU10は、この発明の実施形態における「コントローラ」に相当し、図1に示す例では、HV−ECU10aとAHBRx−ECU10bとが設けられている。HV−ECU10aは、主に第1モータ3、第2モータ5、自動変速機7、クラッチ機構K1、および、バッテリ6をそれぞれ制御し、AHVRx−ECU10は、主にブレーキシステム9を制御する。なお、図示しないものの、その他エンジン1を制御するECUが設けられている。それら各ECU10a,10bは、例えばマイクロコンピュータを主体にして構成される電子制御装置である。各ECU10a,10bには、各種センサから検出または算出されたデータが入力される。その入力されるデータは、例えばアクセル開度、車速、車両の前後加速度や横加速度、ブレーキ踏力もしくはブレーキペダルの踏み込み量、バッテリ6の充電残量、前輪4および後輪2の車輪速度などである。また、各ECU10a,10bは、入力された各種データおよび予め記憶させられているデータや計算式等を使用して演算を行う。そして、各ECU10a,10bは、その演算結果を制御指令信号として出力し、上記第1モータ3、第2モータ5、クラッチ機構K1、自動変速機7、および、ブレーキシステム9などをそれぞれ制御するように構成されている。
この発明の実施形態における車両Veは、上述したエンジン1、第1モータ3、第2モータ5、自動変速機7、および、クラッチ機構K1などを制御することにより、複数の走行モードで走行することが可能である。すなわち、車両Veは、エンジン1を停止した状態で、第2モータ5が出力するモータトルクを前輪4に伝達して駆動力を発生させるEV走行モード、クラッチ機構K1を解放した状態でエンジン1を運転し、エンジントルクで第1モータ3を駆動して発電させるとともに、第2モータ5のモータトルクを前輪4に伝達して駆動力を発生させるシリーズHV走行モード、クラッチ機構K1を係合した状態でエンジン1を運転し、エンジントルクおよび第2モータ5(ならびに第1モータ3)のモータトルクを後輪2および前輪4に伝達して駆動力を発生させるパラレルHV走行モードのいずれかの走行モードを設定して走行する。なお、このような各走行モードの切り替えは、例えば要求駆動力および車速をパラメータとするモードの切り替えマップを用いて設定される。
このように構成された車両Veは、前掲の特許文献1と同様の切替機構にドグ歯を備えた自動変速機を備えているから、通常、目標ギヤ段に変速する際は、一段ずつ変速する。例えば第4速から第2速へダウンシフトする際には、切替機構と次のギヤ段である第4速、第3速、ならびに、目標ギヤ段である第2速までの各ギヤ段とで係合および解放の動作を繰り返し実行して目標のギヤ段へ変速する。しかしながら、このように各ギヤ段での係合および解放の動作を実行すると変速時間が長くなり、例えば運転者のアクセル要求の増大によりシリーズ走行からパラレル走行に切り替える際に、いわゆる飛び変速(飛びダウンシフト)ができず、要求駆動力を出力するまでの時間が長くなるおそれがある。そこで、この発明の実施形態では、要求駆動力を出力するまでの時間を短くするように構成されている。以下に、ECU10で実行される制御例について説明する。
図4は、その制御の一例を示すフローチャートであって、先ずシリーズHV走行モードからパラレルHV走行モードへの切り替え要求があるか否かを判断する(ステップS1)。これは例えば、運転者のアクセル要求や、上述の走行モードを定めた切り替えマップ等から判断される。したがって、このステップS1で否定的に判断された場合、すなわちシリーズHV走行モードからパラレルHV走行モードへの切り替え要求がないと判断された場合には、これ以降の制御を実行することなく、この制御例を一旦終了する。
一方、このステップS1で肯定的に判断された場合、すなわちシリーズHV走行モードからパラレルHV走行モードへの切り替え要求がある場合には、待機段領域を算出する(ステップS2)。この待機段領域とは、シリーズHV走行モードからパラレルHV走行モードへ切り替える際の自動変速機7におけるギヤ段を待機させる領域であり、この発明の実施形態では、パラレルHV走行モードへ切り替えた際に要求駆動力の出力を早く可能とするために、予め低速側のギヤ段を形成して待機するように構成されている。
待機段領域は、例えば図5に示すマップから求めることができ、下限車速から上限車速の間の矢印で示した領域で待機段を形成することでシリーズHV走行モードからパラレルHV走行モードの切り替えが可能とされる。
ついで、要求ギヤ段が待機段領域内か否かを判断する(ステップS3)。これは要求するギヤ段、すなわちシリーズHV走行モードからパラレルHV走行モードへ切り替える際の低速ギヤ段の領域内であるか否かを確認するためのステップである。つまり、ステップS2で算出した待機段領域内に要求ギヤ段が存在するか否かを判断する。したがって、このステップS1で否定的に判断された場合、すなわち要求ギヤ段が待機段領域内でないと判断された場合には、シリーズHV走行モードからパラレルHV走行モードへの要求を却下し(ステップS4)、この制御例を一旦終了する。
それとは反対に、このステップS4で肯定的に判断された場合、すなわち要求ギヤ段が待機段領域内であると判断された場合には、クラッチ機構K1を係合する(ステップS5)。つまり、パラレルHV走行モードを設定するためにクラッチ機構K1を係合する。
ついで、要求ギヤ段を設定、すなわち低速側のギヤ段(例えば第1速、第2速)を設定するために回転数を同期させる(ステップS6)。つまり、DDR切替機構11の回転数(すなわち出力軸回転数)と目標ギヤ段における回転数(すなわち入力軸回転数)とを同期させる。そして、回転数同期が完了したらドグを係合させてる(ステップS7)。
つぎに、パラレルHV走行モードからシリーズHV走行モードに切り替える場合の制御例について説明する。上述したように、この発明の実施形態では、シリーズHV走行モードからパラレルHV走行モードに切り替える際に要求駆動力を早期に実現することを目的としている。そのため、例えば再度パラレルHV走行モードに切り替えた際に低速ギヤ段で発進することが想定されるため予め低速ギヤ段側のニュートラルを構築するように構成されている。図6は、その制御の一例を示すフローチャートである。
先ず、パラレルHV走行モードからシリーズHV走行モードへの切り替え要求があるか否かを判断する(ステップS100)。これは、上述のステップS1と同様に、運転者のアクセル要求や、上述の走行モードを定めた切り替えマップ等から判断される。したがって、このステップS100で否定的に判断された場合、すなわちシリーズHV走行モードへの切り替え要求がない場合には、これ以降の制御を実行することなくこの制御例を一旦終了する。
一方、このステップS100で肯定的に判断された場合、すなわちシリーズHV走行モードへの切り替え要求があると判断された場合には、待機段領域を算出する(ステップS10)。これは上述のステップS2と同様のステップであって、図5のマップから走行モードの切り替えが可能な待機段領域を算出する。そして、その待機段領域を算出したら、現在の車速がステップS110で算出した待機段領域内にあるか否かを判断する(ステップS120)。つまり、走行モードの切り替えを許可するか否かを判断する。例えば図5のマップにおけるシリーズHV走行モードとパラレルHV走行モードとでモード切り替え可能な領域の車速であればこのステップS120で肯定的に判断される。したがって、このステップS120で否定的に判断された場合、すなわち現在の車速が待機段領域内でない場合には、パラレルHV走行モードへの要求を却下して(ステップS130)、この制御例を一旦終了する。
それとは反対に、このステップS120で肯定的に判断された場合、すなわち現在の車速が待機段領域内であると判断された場合には、自動変速機7の入力トルクを「0」あるいは「0」に近似した値にする(ステップS140)。つまり、クラッチ機構K1を解放してシリーズHV走行モードへ切り替えるために、自動変速機7へ入力されるトルクを「0」もしくはそれに近似したトルクに制御する。
ついで、入力トルクが「0」に制御されたことでドグを解放し(ステップS150)、低速側のギヤ段間(第1速から第2速)のニュートラル位置にシフトバレル29を回転させる(ステップS160)。そして、シフトバレル29の位置が第1速と第2速との間のニュートラル位置に回転完了した後にクラッチ機構K1を解放する(ステップS170)。つまり、シリーズHV走行モードへの切り替えが完了する。
このように、この発明の実施形態では、シリーズHV走行モードからパラレルHV走行モードへ切り替える際に、予め低速側のギヤ段を形成するように構成されている。そのため、要求駆動力を出力するための変速時間を短くすることができ、ひいては運転者の要求する駆動力を早期に出力することができる。また、パラレルHV走行モードからシリーズHV走行モードへ切り替える際に、予め低速ギヤ段側のニュートラル位置にシフトバレル29を回転させてから走行モードの切り替えを行うように構成されている。そのため、再度、パラレルHV走行モードへ切り替える際には、既に低速ギヤ段が形成されていることになるので、要求駆動力を早期に出力することが可能となる。
つぎに、この発明の実施形態における他の制御例について説明する。上述した例では、いわゆる飛び変速ができない場合、すなわち変速する際には、一段ずつ係合と解放とを繰り返し行い変速する場合の制御例について説明した。その一方で、いわゆる飛び変速が可能な場合には、以下に示す制御例を実行してよい。なお、ここでいういわゆる飛び変速とは、少なくとも一つの変速段を越えて変速する(例えば第4速から第2速へ変速する)ことをいい、第3速の中間段での係合を行わないことを意味する。つまり、完全係合させずに、切替機構11をストロークさせてドグ歯が相手方のドグ歯(すなわち変速段側の歯)に接触しないように、抜き挿しを実行して変速する。
図7は、その制御の一例を示すフローチャートであり、先ずシリーズHV走行モードからパラレルHV走行モードへの切り替え要求があるか否かを判断する(ステップS200)。つまり、アクセル要求、あるいは、走行モードの切り替えマップからパラレルHV走行モードへの切り替え要求があるか否かを判断する。したがって、このステップS1で否定的に判断された場合、すなわちパラレルHV走行モードへの切り替え要求がない場合には、待機段領域を算出する(ステップS210)。
この待機段領域は、例えば図8に示すマップから求めることができ、車速に応じて待機段を算出する。図8に示すマップでは、矢印で示す範囲が車速に応じた待機段領域とされる。ついで、要求ギヤ段が待機段領域内か否かを判断する(ステップS220)。すなわち、現在のギヤ段がパラレルHV走行モードへ切り替える際に要求駆動力を出力可能な要求ギヤ段であるか否かを判断する。したがって、このステップS220で否定的に判断された場合、すなわち要求ギヤ段が待機段領域でないと判断された場合には、要求ギヤ段の位置に飛び変速を行う(ステップS230)。具体的には、走行モードをパラレルHV走行モードへ切り替えた際に要求駆動力を出力可能なギヤ段、あるいは、そのギヤ段に近いギヤ段へ飛び変速する。そして、飛び変速を行ったらこの制御例を一旦終了する。また、同様にこのステップS220で肯定的に判断された場合、すなわち要求ギヤ段がステップS210の待機段領域内である場合にも、この制御例を一旦終了する。
一方、上記のステップS200で肯定的に判断された場合、すなわちシリーズHV走行モードからパラレルHV走行モードへの切り替え要求があると判断された場合には、要求ギヤ段が待機段領域内か否かを判断する(ステップS240)。このステップは、上述のステップS220と同様のステップであり、実際に要求ギヤ段が待機段領域内であるか否かを確認するステップである。つまり、シリーズHV走行している間に、ステップS210からステップS230の制御を実行しているため、基本的にはこのステップS240は肯定的に判断される。仮に、このステップS240で否定的に判断された場合には、要求ギヤ段の位置に飛び変速を行うものの(ステップS250)、これもシリーズHV走行している間に、ステップS210からステップS230の制御において実行しているため確認のためのステップとなる。
したがって、ステップS240あるいはステップS250の制御を実行したら、ついでクラッチ機構K1を係合する(ステップS260)。つまり、パラレルHV走行モードへ切り替えるためにクラッチ機構K1を係合する。
そして、要求ギヤ段を形成するために切替機構11の回転数(すなわち出力軸回転数)と目標ギヤ段における回転数(すなわち入力軸回転数)とを同期させる(ステップS270)。そして、回転数同期が完了したらドグを係合させる(ステップS280)。
つぎに、飛び変速が可能な場合のパラレルHV走行モードからシリーズHV走行モードに切り替える場合の制御例について説明する。上述したように、この発明の実施形態では、シリーズHV走行モードからパラレルHV走行モードに切り替える際に要求駆動力を早期に実現することを目的としている。そのため、例えば再度パラレルHV走行モードに切り替えた際に低速ギヤ段で発進することが想定されるため予め低速ギヤ段側のニュートラルを構築するように構成されている。図9は、その制御の一例を示すフローチャートである。
先ず、パラレルHV走行モードからシリーズHV走行モードへの切り替え要求があるか否かを判断する(ステップS300)。これは、上述のステップS200と同様に、運転者のアクセル要求や、上述の走行モードを定めた切り替えマップ等から判断される。したがって、このステップS300で否定的に判断された場合、すなわちシリーズHV走行モードへの切り替え要求がない場合には、待機段領域を算出する(ステップS310)。これは、上述のステップS210と同様の判断であって、例えば図8のマップから車速に応じた待機段領域を算出する。そして、その待機段領域を算出したら、現在の車速が、その待機段領域内か否かを判断する(ステップS320)。図8の例では、第1速から第2速の矢印の領域、第2速から第3速の矢印の領域、あるいは、第3速から第4速の矢印の領域かが判断される。なお、現在の車速が、図8で示す下限車速から図示しない上限車速の間に存在しない場合には、このステップS320で否定的に判断される。その場合には、所定のギヤ段のニュートラル位置へ飛び変速を行う(ステップS330)。そして、飛び変速を実行したら、この制御を一旦終了する。また、ステップS320で肯定的に判断された場合、すなわち現在車速が待機段領域内であると判断された場合も、同様にこの制御例を一旦終了する。
一方、上記のステップS300で肯定的に判断された場合、すなわちパラレルHV走行モードからシリーズHV走行モードへの切り替え要求がある場合には、現在車速が待機段領域か否かを判断する(ステップS340)。このステップは、上述のステップS320と同様のステップであり、実際に現在の車速が待機段領域内であるか否かを確認するステップである。つまり、パラレルHV走行している間に、ステップS310からステップS330の制御を実行しているため、基本的にはこのステップS340は肯定的に判断される。仮に、このステップS340で否定的に判断された場合には、所定の低速側のギヤ段のニュートラル位置に飛び変速を行うものの(ステップS350)、これもパラレルHV走行している間に、ステップS310からステップS330の制御において実行しているため確認のためのステップとなる。
したがって、ステップS340あるいはステップS350の制御を実行したら、自動変速機7の入力トルクを「0」あるいは「0」に近似した値にする(ステップS360)。つまり、クラッチ機構K1を解放してシリーズHV走行モードへ切り替えるために、自動変速機7へ入力されるトルクを「0」もしくはそれに近似したトルクに制御する。
ついで、入力トルクが「0」近傍に制御されたことでドグを解放し(ステップS370)、所定の低速側のギヤ段のニュートラル位置にシフトバレル29を回転させる(ステップS380)。そしてシフトバレル29の位置が所定の低速側のギヤ段側のニュートラル位置に回転完了した後にクラッチ機構K1を解放する(ステップS390)。つまり、シリーズHV走行モードへの切り替えが完了する。
このように、飛び変速を実行可能な場合においても、上述の実施形態と同様の作用および効果が得られる。すなわちシリーズHV走行モードからパラレルHV走行モードへ切り替える際に、ならびに、パラレルHV走行モードからシリーズHV走行モードへ切り替える際に、予め低速側のギヤ段を形成(あるいはニュートラル位置に待機)するように構成されている。そのため、上述した実施形態と同様、要求駆動力を出力するための変速時間を短くすることができ、ひいては運転者の要求する駆動力を早期に出力することができる。
以上、この発明の実施形態について説明したが、この発明は上述した例に限定されないのであって、この発明の目的を達成する範囲で適宜変更してもよい。上述した実施形態では、待機段領域を算出する際に、予め定めたマップから算出するように構成してものの、マップに替えて例えば、待機段がアップシフトなのか、あるいは、ダウンシフトなのかを判断する制御(図示せず)を実行し、その待機段領域を算出するように構成してもよい。
1…エンジン(ENG)、 2…後輪、 3…第1モータ(リア・モータ)、 4…前輪、 5…第2モータ(フロント・モータ)、 6…バッテリ(BATT)、 7…自動変速機、 7a…入力軸、 8,8a,8b…パワーコントロールユニット(PCU)、 9…クラッチ機構、 10…ECU(コントローラ)、 11,11a,11b…切替機構、 12…シフト機構、 13…第1ドグリング、 14…第2ドグリング、 15,16,17,18…係合歯、 19…噛合歯、 20,21…貫通孔、 22…スプリング、 23a,23b…ギヤ(変速ギヤ)、 24…傾斜面(スロープ)、 25…スリーブ、 26…出力軸、 27…シフトフォーク、 28…保持シャフト、 29…シフトバレル、 30…凹溝、 31…嵌合部、 32…保持部、 33…シフト溝、 34…リヤデファレンシャルギヤ、 35,38…ドライブシャフト、 36…減速ギヤ対、 37…フロントデファレンシャルギヤ、 Ve…車両。
Claims (1)
- エンジンと、発電機能を有する第1モータと、前記エンジンおよび前記第1モータの出力側に設けられ、かつ変速比をステップ的に変化させる有段式の変速機と、前記エンジンおよび前記第1モータと前記変速機との間に配置されたクラッチ機構と、第2モータとを備え、
前記変速機は、出力軸と相対回転可能に連結されかつ入力軸にトルク伝達可能に連結された複数の変速ギヤと、前記出力軸と一体回転しかつ所定のギヤ段を設定するために係合される噛み合い式の切替機構を備え、
前記エンジンのトルクで前記第1モータを駆動して発電させるとともに、前記第2モータが出力するトルクで駆動力を発生させるシリーズHV走行モードと、前記クラッチ機構を係合した状態で前記エンジンを運転し、前記エンジンが出力するトルクおよび前記第1モータと第2モータとの少なくともいずれかのモータのトルクで駆動力を発生させるパラレルHV走行モードとを設定することが可能なハイブリッド車両の変速制御装置において、
前記ハイブリッド車両を制御するコントローラを備え、
前記コントローラは、
前記シリーズHV走行モードから前記パラレルHV走行モードへ切り替えの要求があるか否か、あるいは、前記パラレルHV走行モードから前記シリーズHV走行モードへ切り換えの要求があるか否かを判断し、
前記シリーズHV走行モードから前記パラレルHV走行モードへの切り替えの要求があると判断した場合に、前記変速機のギヤ段を予め定めた所定の低速ギヤ段で待機させるように構成し、
前記パラレルHV走行モードから前記シリーズHV走行モードへの切り替えの要求があると判断した場合に、前記変速機のギヤ段を前記所定の低速ギヤ段同士の間のニュートラル位置に待機させるように構成されている
ことを特徴とするハイブリッド車両の変速制御装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2019162273A JP2021037914A (ja) | 2019-09-05 | 2019-09-05 | ハイブリッド車両の変速制御装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2019162273A JP2021037914A (ja) | 2019-09-05 | 2019-09-05 | ハイブリッド車両の変速制御装置 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
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Family
ID=74848114
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2019162273A Pending JP2021037914A (ja) | 2019-09-05 | 2019-09-05 | ハイブリッド車両の変速制御装置 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2021037914A (ja) |
-
2019
- 2019-09-05 JP JP2019162273A patent/JP2021037914A/ja active Pending
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