JP2021037828A - 可変ピッチプロペラ - Google Patents

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Abstract

【課題】プロペラ翼のピッチ角が変更された場合においても、ハブボルテックスを低減することにより、良好なプロペラ効率を達成する。【解決手段】可変ピッチプロペラのプロペラ翼は、プロペラボスに回動可能に取り付けられている。プロペラボスのうちプロペラ翼より後方、又は、プロペラボスの後方に取り付けられたボスキャップ上には、プロペラ翼に対して相対的に移動可能に取り付けられたフィンが備えられる。【選択図】図3

Description

本開示は、プロペラ翼のピッチ角を変更可能な可変ピッチプロペラに関する。
船舶の推進効率は、船体の抵抗、プロペラ効率、並びに、船体及びプロペラの相互影響などに基づいて決定され、近年の地球環境への負担低減への流れを受けて、より一層の高効率化が求められている。プロペラ効率を低下させる要因の一つとしてハブボルテックスが知られており、それを低減するための様々なデバイスが提案されている。例えば特許文献1〜3では、プロペラ翼より後方側において、プロペラ翼が取り付けられるプロペラボスや、プロペラボスの後方に取り付けられるボスキャップの表面に、ハブボルテックスを低減するためのフィンを設けることが開示されている。
特開昭63−154494号公報 特開2010−215187号公報 特開2010−234861号公報
上記特許文献1〜3では、プロペラ翼より後方側にフィンを設けることでハブボルテックスの低減を図っている。このようなフィンは、翼弦長やフィン高さ、取付け角、プロペラ翼との位置関係などの数多くの要素を考慮して設計される。
ところで、船舶に用いられるプロペラとして、近年、減速運航時における燃費性能向上などを目的として、プロペラ翼のピッチ角を変更可能な可変ピッチプロペラが用いられることがある。可変ピッチプロペラは、船舶の運航状況に応じてプロペラ翼のピッチ角が変更される。上記特許文献1〜3では、プロペラ翼がプロペラボスに対して固定される固定ピッチプロペラが用いられているため、ハブボルテックスを低減するためのフィンの角度や位置の設計が容易であるが、可変ピッチプロペラを採用した場合には、状況に応じてプロペラ翼のピッチ角が変化するため、フィンの性能を十分に発揮できないおそれがある。
本発明の少なくとも一実施形態は上述の事情に鑑みなされたものであり、プロペラ翼のピッチ角が変更された場合においても、ハブボルテックスを低減することにより、良好なプロペラ効率を達成可能な可変ピッチプロペラを提供することを目的とする。
(1)本発明の少なくとも一実施形態に係る可変ピッチプロペラは上記課題を解決するために、
少なくとも1のプロペラ翼がプロペラボスに回動可能に取り付けられている可変ピッチプロペラにおいて、
前記プロペラボスのうち前記プロペラ翼より後方、又は、前記プロペラボスの後方に取り付けられたボスキャップ上に、前記プロペラ翼に対して相対的に移動可能に取り付けられたフィンを備える。
上記(1)の構成によれば、プロペラ翼のピッチ角が変更可能な可変ピッチプロペラにおいて、プロペラボスのうちプロペラ翼より後方、又は、プロペラボスの後方に取り付けられたボスキャップ上に、ハブボルテックスを低減するためのフィンが設けられる。このフィンはプロペラ翼のピッチ角に応じて、プロペラ翼に対して相対的に移動可能に構成される。これにより、プロペラ翼のピッチ角が変更された場合においても、フィンとプロペラ翼との位置関係を適切に調整することで、ハブボルテックスを低減し、良好なプロペラ効率を達成することができる。
尚、フィンとプロペラ翼との相対的な位置関係の調整は、例えばフィン又はプロペラ翼の取り付け角度、翼弦長、取り付け箇所からの高さなどの各種パラメータによって規定されるが、これらのうち少なくとも一つのパラメータを変化させる場合を含む。
(2)幾つかの実施形態では上記(1)の構成において、
前記フィンは前記ボスキャップ上に配設され、
前記ボスキャップは前記プロペラボスに対して回動可能に取り付けられている。
上記(2)の構成によれば、フィンが配設されたボスキャップをプロペラボスに対して回動することで、フィンとプロペラ翼との相対的位置関係を調整することができる。
(3)幾つかの実施形態では上記(1)又は(2)の構成において、
前記フィンは前記ボスキャップ上に回動可能に取り付けられている。
上記(3)の構成によれば、ボスキャップ上でフィンを回動させることにより、フィンとプロペラ翼との相対的位置関係を調整することができる。
(4)幾つかの実施形態では上記(1)から(3)のいずれか一構成において、
前記プロペラ翼及び前記フィンは互いにリンク機構を介して機械的に連動可能に構成される。
上記(4)の構成によれば、プロペラ翼及びフィンの回動をリンク機構を介して行うことで、構造の複雑化を抑え、コスト低減を図ることができる。
(5)幾つかの実施形態では上記(4)の構成において、
前記リンク機構は、
前記プロペラボス内に設けられた変節軸と、
前記プロペラボス内において前記変節軸と連結され、前記プロペラ翼の変節を行うための第1変節機構と、
前記プロペラボス内において前記変節軸と連結され、前記フィンの変節を行うための第2変節機構と、
を備える。
上記(5)の構成によれば、プロペラ翼及びフィンの相対的移動は、変節機構を利用して行われる。
(6)幾つかの実施形態では上記(5)の構成において、
前記第2変節機構は、前記ボスキャップ内に回転可能に設けられ、前記フィンが側面に固定された構造体を含み、
前記構造体のうち前記プロペラボス側の端面には、前記変節軸の先端に偏心して設けられる偏心部に当接しながら摺動可能な溝部が、前記フィン及び前記プロペラ翼の位置関係に対応するように形成される。
上記(6)の構成によれば、変節軸の先端には偏心した偏心部が設けられる。偏心部は、ボスキャップ内に回転可能に設けられた構造体のプロペラボス側の端面に形成された溝部に対して当接しながら摺動可能に構成される。これにより、変節軸が軸方向に沿って前後移動すると、偏心部が溝部に沿って移動しながら構造体が回転し、構造体に固定されたフィンがプロペラボスに設けられたプロペラ翼に対して回動する。本構成では、このようなメカニズムにより、フィン及びプロペラ翼の相対的位置関係を、プロペラ翼のピッチ角に応じて変更することができる。
(7)幾つかの実施形態では上記(6)の構成において、
前記溝部は、前記変節軸を通る断面上において、前記端面の一端側から他端側に向けて前記プロペラボスから単調に離れるプロファイルを有する。
上記(7)の構成によれば、このような溝部を用いることで、変節軸の移動に対してプロペラ翼とフィンとの相対的位置関係を好適に調整することができる。
(8)幾つかの実施形態では上記(7)の構成において、
前記プロファイルは、前記変節軸の端部側から中心軸に向けて、前記中心軸の垂直面に対する傾斜角度が増加するように設定される。
上記(8)の構成によれば、変節軸の可動範囲のうち中心側において傾斜角度が増加するようにプロファイルを設定することで、プロペラ翼のピッチ角の変更に対応するフィン角度調整ができる。
(9)幾つかの実施形態では上記(4)の構成において、
前記リンク機構は、
前記プロペラボス内において軸方向に延在する油圧管と、
前記油圧管から供給される油圧により、前記プロペラ翼の変節を行うための第1変節機構と、
前記油圧管から供給される油圧により、前記フィンの変節を行うための第2変節機構と、
を備える。
上記(9)の構成によれば、プロペラ翼及びフィンの相対的移動は、それぞれ油圧を利用した変節機構を用いて行われてもよい。
(10)幾つかの実施形態では上記(1)から(9)のいずれか一構成において、
前記フィンは、前記プロペラ翼の前縁及び後縁を通る基準線と前記フィンの前端部との前記回転軸の周方向に沿った距離が所定値未満になるように設定される。
上記(10)の構成によれば、当該条件を満たすようにプロペラ翼及びフィンの相対的位置関係を設定することで、プロペラ翼のピッチ角が変更された場合においても、フィンによってハブボルテックスを好適に低減することができる。
(11)幾つかの実施形態では上記(10)の構成において、
前記所定値は、前記ボスキャップ上に前記回転軸の周方向に沿って設けられた隣接する2つの前記フィンの間隔の20%である。
上記(11)の構成によれば、所定値をこのように設定することで、プロペラ翼のピッチ角が変更された場合においても、フィンによってハブボルテックスを好適に低減することができる。
(12)幾つかの実施形態では上記(1)から(9)のいずれか一構成において、
前記回転軸の垂直面に対する前記プロペラ翼の角度をθ1、前記回転軸の垂直面に対する前記フィンの角度をθ2とすると、前記フィンは|θ1−θ2|が所定値未満になるように設定される。
上記(12)の構成によれば、当該条件を満たすようにプロペラ翼及びフィンの相対的位置関係を設定することで、プロペラ翼のピッチ角が変更された場合においても、フィンによってハブボルテックスを好適に低減することができる。
(13)幾つかの実施形態では上記(12)の構成において、
前記所定値は20degである。
上記(11)の構成によれば、所定値をこのように設定することで、プロペラ翼のピッチ角が変更された場合においても、フィンによってハブボルテックスを好適に低減することができる。
本発明の少なくとも一実施形態によれば、プロペラ翼のピッチ角が変更された場合においても、ハブボルテックスを低減することにより、良好なプロペラ効率を達成可能な可変ピッチプロペラを提供できる。
本発明の少なくとも一実施形態に係る可変ピッチプロペラの全体構成図である。 図1のA方向から可変ピッチプロペラを示す平面図である。 図2のフィンがプロペラ翼に対応して回動する様子を示す一例である。 図3の回転軸に沿った断面図である。 プロペラ翼とフィンとの位置関係の制御例を示す模式図である。 図3の変形例である。 図6に比べて変節軸が下流側に移動した状態を示す模式図である。 構造体の端面のプロファイルの他の例である。 図4の変形例である。 図3の変形例である。 図10の回転軸に沿った断面図である。 図11の変形例である。
以下、添付図面を参照して本発明の幾つかの実施形態について説明する。ただし、実施形態として記載されている又は図面に示されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対的配置等は、本発明の範囲をこれに限定する趣旨ではなく、単なる説明例にすぎない。
図1は本発明の少なくとも一実施形態に係る可変ピッチプロペラ1の全体構成図であり、図2は図1のA方向から可変ピッチプロペラ1を示す平面図である。
可変ピッチプロペラ1は、例えば船舶の船体に配置されることで、航行時の推力を発生するための推力発生装置として用いられる。図1の可変ピッチプロペラ1は、プロペラボス2上にプロペラ翼4が設けられており、不図示の動力源から伝達される動力によってプロペラボス2が回転軸Cの周りに回転されることで、プロペラ翼4によって周囲の流体を加速し、推力を発生させる。
プロペラ翼4は、プロペラボス2の表面において回転軸Cの周方向に沿って少なくとも1つ設けられる。図1の例では、プロペラボス2には、回転軸Cの周りに沿って複数のプロペラ翼4が設けられている。複数のプロペラ翼4の設置間隔は任意でよいが、例えば、複数のプロペラ翼4は等間隔に設置される。
プロペラボス2のうち、動力源(不図示)とは反対側には、ボスキャップ6が取り付けられている。ボスキャップ6は、プロペラボス2に取り付けられた際に、下流側(図1において左側)に向けて径が小さくなる外形状を有する。ボスキャップ6をこのような形状に構成することで、ボスキャップ6の下流側に生じるハブボルテックス(渦流)の抑制に貢献することができる。
可変ピッチプロペラ1のうちプロペラ翼4より下流側には、フィン8が設けられる。本実施形態では、プロペラ翼4が取り付けられるプロペラボス2の下流側に配置されたボスキャップ6上にフィン8が設けられている。フィン8は、プロペラ翼4よりも翼高さ方向長さ(図1において回転軸Cに直交する方向に沿った長さ)が小さく、プロペラ翼4に対応する位置に配置されることで、ボスキャップ6の下流側に生じるハブボルテックス(渦流)を抑制する機能を有する。フィン8の翼弦長、高さ、取付け角、プロペラ翼4との位置関係などの諸仕様は、ボスキャップ6の下流側に生じるハブボルテックス(渦流)が抑制可能なように設計される。
尚、本実施形態ではフィン8がボスキャップ6上に設けられる場合を示しているが、プロペラボス2のうちプロペラ翼4より下流側に設けられていてもよい。
可変ピッチプロペラ1では、プロペラ翼4がプロペラボス2上において回動することで、ピッチ角が可変に構成される。プロペラ翼4のピッチ角は、例えば、減速運航時における燃費性能向上などを目的として調整され、運行状態に応じて適宜制御される。
フィン8は、プロペラ翼4に対して回動可能に構成される。すなわちプロペラ翼4及びフィン8は、少なくとも一方が回動することにより相対的な位置関係が変更可能に構成される。前述のようにプロペラ翼4のピッチ角が変化した場合、フィン8は変更後のプロペラ翼4に対して所定の位置関係になるように回転又は移動する。これにより、プロペラ翼4のピッチ角が変更された場合においても、ハブボルテックスを低減するために適したフィン8とプロペラ翼4との位置関係を実現することができる。
尚、本実施形態のフィン8は、図2に示すように、略矩形状の断面を有する板状部材であるが、プロペラ翼4と同様に前縁及び後縁を有する翼形状を有してもよい。また可変ピッチプロペラ1はフィン8を少なくとも1つ備えればよく、その数を問わないが、プロペラ翼4と同数若しくは多くてもよい。
図3は図2のフィン8がプロペラ翼4に対応して回動する様子を示す一例であり、図4は図3の回転軸Cに沿った断面図である。この例では、プロペラ翼4はプロペラボス2上において台座15上において中心軸の周りに回動することでピッチ角が変更可能に構成されている。これに対してフィン8はボスキャップ6上に固定されており、当該ボスキャップ6は回転軸Cの周りに回動可能にプロペラボス2に対して取り付けられている。そのためボスキャップ6が回転軸Cの周りに回転すると、ボスキャップ6上に固定されたフィン8はボスキャップ6とともに回転軸Cの周りに回転し、プロペラボス2上のプロペラ翼4に対する位置関係を変更することができる。これにより、プロペラ翼4のピッチ角が変化した場合においても、プロペラ翼4とフィン8との位置関係を調整することで、プロペラ翼4から生じるハブボルテックスをフィン8によって直接受けやすくなる。その結果、ボスキャップ6の下流側に生じるハブボルテックス(渦流)の抑制効果を適切に維持することができる。
プロペラ翼4とフィン8との位置関係は、ボスキャップ6の下流側に生じるハブボルテックス(渦流)を抑制可能なように制御される。図5はプロペラ翼4とフィン8との位置関係の制御例を示す模式図である。この制御例では、プロペラ翼4の前縁4a及び後縁4bを通る基準線L1とフィン8の前端部との回転軸Cの周方向に沿った距離Lが所定値未満になるようにフィン8の位置を調整することで、ハブボルテックスの低減を図っている。好ましくは、当該所定値はボスキャップ6上に回転軸Cの周方向に沿って設けられた隣接する2つのフィン8の間隔の20%未満であるとよい。
このようなプロペラ翼4及びフィン8の動作は、互いに連動して行われるように構成されてもよい。図3及び図4に示す実施形態では、プロペラ翼4及びフィン8はリンク機構10を介して互いに機械的に連動して回動可能に構成される。リンク機構10は、変節軸12と、第1変節機構14と、第2変節機構16と、を備える。リンク機構10は、変節軸12に入力される動力によって第1変節機構14及び第2変節機構16を介して、プロペラ翼4及びフィン8を所定の比率で回動させることで、ハブボルテックスを効果的に抑制するための位置関係を実現可能に構成されている。
変節軸12はプロペラボス2内に設けられる。プロペラボス2は、内部に回転軸Cに沿って延びる中空空間2aを有する。中空空間2aに設けられた変節軸12は、中空空間2aにおいて回転軸Cの軸方向に沿って前後移動可能に構成される。変節軸12のうちボスキャップ6とは反対側には、アクチュエータ等の動力源(不図示)が接続されており、変節軸12は、動力源から入力される動力によって、中空空間2a内を軸方向に沿って移動可能になっている。
第1変節機構14はプロペラボス2内において変節軸12と連結され、プロペラ翼4の変節を行う。すなわち第1変節機構14は、一端側が変節軸12に連結されるとともに、他端側がプロペラ翼4に連結されることにより、変節軸12の軸方向に沿った前後動作を、プロペラ翼4のピッチ方向回転動作に変換する。
第2変節機構16はプロペラボス2内において変節軸12と連結され、フィン8の変節を行う。すなわち第2変節機構16は、一端側が変節軸12に連結されるとともに、他端側がボスキャップ6に連結されることにより、変節軸12の軸方向の前後動作を、ボスキャップ6の回転軸Cの周りに沿った回転動作に変換可能に構成される。これにより変節軸12の前後動作によってボスキャップ6が周方向に回転し、ボスキャップ6上に固定されたフィン8がプロペラ翼4に対して回動可能となる。
これら第1変節機構14及び第2変節機構16では、図4に示すように、共通の変節軸12が用いられている。これにより、第1変節機構14及び第2変節機構16に対して別々の変節軸を設ける場合に比べて、簡易的な構造でプロペラ翼4及びフィン8の連動が可能となる(例えばプロペラ翼4を回動させるためにサーボ機構が用いられることがあるが、フィン8を回動させるためにサーボ機構を追設する必要がない)。また前述のようにフィン8はプロペラ翼4に比べて翼長が短いため、変節に要するトルクがプロペラ翼4に比べて小さく済む。そのため第1変節機構14に加えて第2変節機構16を増設したとしても変節軸12及びその動力源に要求される仕様変更が少なく済むため、導入が容易である。
図6は図3の変形例である。この変形例では、図3に示す実施形態と比較して、第1変節機構14はプロペラ翼4を中心軸の周りに回動可能に構成されている点で共通しているが、第2変節機構16に関する構造が異なっている。ボスキャップ6は、プロペラボス2に対して固定された外殻6aと、外殻6aの内側に内部空間6bを有する。内部空間6bには構造体18が回転軸Cの周りに回転可能に収容されている。構造体18の側面にはフィン8が固定される。フィン8はボスキャップ6の外殻6aに形成されたスリット(不図示)を介して外部に至り、当該スリットはボスキャップ6内で構造体18が回転した際に、フィン8が外殻と干渉しない形状を有している。
変節軸12のうちボスキャップ6側の端部には、回転軸Cに平行に偏心した偏心部20が設けられる。この偏心部20は、構造体18のうちプロペラボス2側の端面18aに形成された溝部22に嵌合可能に構成される。溝部22は構造体18の端面18a上に所定パターンで形成されており、変節軸12が回転軸Cに沿って前後運動した際に、偏心部20が溝部22に沿って当接しながら摺動するに伴って、構造体18が周方向に沿って回転する(図7は、図6に比べて変節軸12が下流側に移動した際に構造体18が内部空間6bで回転することでフィン8が回動している様子を示している)。
構造体18の端面18a上における溝部22のパターンは、フィン8及びプロペラ翼4の位置関係に対応するように形成される。図6及び図7に示すように、溝部22は、端面18aの一端側から他端側に向けてプロペラボス2から単調に離れるプロファイルPを有する。これにより、変節軸12が回転軸Cの軸方向に沿って移動すると、溝部22に沿って偏心部20が摺動しながら移動するとともに構造体18が回転軸Cの周りに回転する。これにより、構造体18に固定されたフィン8も回転軸Cの周りに移動し、プロペラ翼4に対して回動する。
尚、図6及び図7では、プロファイルPは回転軸Cに垂直な面に対して一定の傾斜角度θを有するが、当該傾斜角度θは一定でなくともよい。例えば図8は構造体18の端面18aのプロファイルの他の例である。図8では、端面18aの一端側から他端側に向けて傾斜角度θが連続的に変化するように形成されている。図8では特に、端面18aの端部近傍において中心側(回転軸C側)に比べて傾斜角度θが小さくなるように構成されている。これにより、変節軸12の可動範囲のうち中間領域におけるプロペラ翼4とフィン8の回動量を多くすることができる。
上述の実施形態では第1変節機構14及び第2変節機構16を機械的なリンク機構10によって実現した場合を例示したが、これらは油圧を利用した油圧機構24によって実現してもよい。図9は図4の変形例である。この変形例では、プロペラボス2の中空空間2aには変節軸12に代えて、作動媒体である作動油が導入可能な油圧管26が設けられている。
第1変節機構14は、油圧管26に連通する第1シリンダ14a、プロペラ翼4に連結される第1ピストン14bとを備える。第1シリンダ14a及び第1ピストン14bによって規定される第1作動室14cには、油圧管26から作動油が導入又は排出されることによって第1作動室14cの圧力に応じてプロペラ翼4のピッチ角度を可変に構成されている。
第2変節機構16は、油圧管26に連通する第2シリンダ16a、プロペラ翼4に連結される第2ピストン16bとを備える。第2シリンダ16a及び第2ピストン16bによって規定される第2作動室16cには、油圧管26から作動油が導入又は排出されることによって、第2作動室16cの圧力に応じてボスキャップ6が回転軸Cの周方向に沿って回転可能に構成される。これにより、ボスキャップ6上に固定されたフィン8のピッチ角度が可変になる。
プロペラ翼4及びフィン8を連動して回動可能なリンク機構10は、他の構成が採用されてもよい。図10は図3の変形例であり、図11は図10の回転軸Cに沿った断面図である。この変形例では、ボスキャップ6上に設けられるフィン8は、第1変節機構14によるプロペラボス2上におけるプロペラ翼4の回動と同様に、第2変節機構16によって中心軸の周りに回動可能に構成される。つまり、フィン8はボスキャップ6上に固定されておらず、ボスキャップ6上において自らがピッチ回動可能に構成される。尚、ボスキャップ6はプロペラボス2に対して回転軸Cの周りに回動可能に構成されていてもよいし、プロペラボス2に対して固定されていてもよい。
このように図10及び図11に示す変形例では、第1変節機構14及び第2変節機構を類似の構造で形成することで、プロペラ翼4及びフィン8の回動をリンク付ける構成を容易に実現できる。
このようなリンク機構10を採用する場合、フィン8の角度は、プロペラ翼4からの流出角度に対応するように設定されてもよい。例えば図10に示すように、回転軸Cの垂直面に対するプロペラ翼4の角度(プロペラ翼4からの流出角度)をθ1、回転軸Cの垂直面に対するフィン8の角度をθ2(>0deg)とすると、両者の差分|θ1−θ2|は所定値未満であることが好ましい。例えば、差分|θ1−θ2|は20deg未満であることが好ましい。
また図10及び図11に示す変形例もまた油圧機構24を利用して構成してもよい。図12は図11の変形例である。この変形例では、プロペラボス2の中空空間2aには変節軸12に代えて、作動媒体である作動油が導入可能な油圧管26が設けられている。
第1変節機構14は、油圧管26に連通する第1シリンダ14a、プロペラ翼4に連結される第1ピストン14bとを備える。第1シリンダ14a及び第1ピストン14bによって規定される第1作動室14cには、油圧管26から作動油が導入又は排出されることによって第1作動室14cの圧力に応じてプロペラ翼4のピッチ角度を可変に構成されている。
第2変節機構16は、油圧管26に連通する第2シリンダ16a、フィン8に連結される第2ピストン16bとを備える。第2シリンダ16a及び第2ピストン16bによって規定される第2作動室16cには、油圧管26から作動油が導入又は排出されることによって第2作動室16cの圧力に応じてボスキャップ6上においてフィン8のピッチ角度を可変に構成されている(この場合、フィン8はボスキャップ6に対して回動可能に取り付けられており、固定されていない)。
以上説明したように上述の実施形態によれば、プロペラ翼4のピッチ角が変更可能な可変ピッチプロペラ1において、プロペラボス2のうちプロペラ翼4より後方、又は、プロペラボス2の後方に取り付けられたボスキャップ6上に、ハブボルテックスを低減するためのフィン8が設けられる。このフィン8はプロペラ翼4のピッチ角に応じて、プロペラ翼4に対して相対的に移動可能に構成される。これにより、プロペラ翼4のピッチ角が変更された場合においても、フィン8とプロペラ翼4との位置関係を適切に調整することで、ハブボルテックスを低減し、良好なプロペラ効率を達成することができる。
本発明の少なくとも一実施形態は、プロペラ翼のピッチ角を変更可能な可変ピッチプロペラに利用可能である。
1 可変ピッチプロペラ
2 プロペラボス
2a 中空空間
4 プロペラ翼
6 ボスキャップ
6a 外殻
6b 内部空間
8 フィン
10 リンク機構
12 変節軸
14 第1変節機構
14a 第1シリンダ
14b 第1ピストン
14c 第1作動室
16 第2変節機構
16a 第2シリンダ
16b 第2ピストン
16c 第2作動室
18 構造体
20 偏心部
22 溝部
24 油圧機構
26 油圧管

Claims (13)

  1. 少なくとも1のプロペラ翼がプロペラボスに回動可能に取り付けられている可変ピッチプロペラにおいて、
    前記プロペラボスのうち前記プロペラ翼より後方、又は、前記プロペラボスの後方に取り付けられたボスキャップ上に、前記プロペラ翼に対して相対的に移動可能に取り付けられたフィンを備える、可変ピッチプロペラ。
  2. 前記フィンは前記ボスキャップ上に配設され、
    前記ボスキャップは前記プロペラボスに対して回動可能に取り付けられている、請求項1に記載の可変ピッチプロペラ。
  3. 前記フィンは前記ボスキャップ上に回動可能に取り付けられている、請求項1又は2に記載の可変ピッチプロペラ。
  4. 前記プロペラ翼及び前記フィンは互いにリンク機構を介して機械的に連動可能に構成される、請求項1から3のいずれか一項に記載の可動ピッチプロペラ。
  5. 前記リンク機構は、
    前記プロペラボス内に設けられた変節軸と、
    前記プロペラボス内において前記変節軸と連結され、前記プロペラ翼の変節を行うための第1変節機構と、
    前記プロペラボス内において前記変節軸と連結され、前記フィンの変節を行うための第2変節機構と、
    を備える、請求項4に記載の可変ピッチプロペラ。
  6. 前記第2変節機構は、前記ボスキャップ内に回転可能に設けられ、前記フィンが側面に固定された構造体を含み、
    前記構造体のうち前記プロペラボス側の端面には、前記変節軸の先端に偏心して設けられる偏心部に当接しながら摺動可能な溝部が、前記フィン及び前記プロペラ翼の位置関係に対応するように形成される、請求項5に記載の可変ピッチプロペラ。
  7. 前記溝部は、前記変節軸を通る断面上において、前記端面の一端側から他端側に向けて前記プロペラボスから単調に離れるプロファイルを有する、請求項6に記載の可変ピッチプロペラ。
  8. 前記プロファイルは、前記変節軸の端部側から中心軸に向けて、前記中心軸の垂直面に対する傾斜角度が増加するように設定される、請求項7に記載の可変ピッチプロペラ。
  9. 前記リンク機構は、
    前記プロペラボス内において軸方向に延在する油圧管と、
    前記油圧管から供給される油圧により、前記プロペラ翼の変節を行うための第1変節機構と、
    前記油圧管から供給される油圧により、前記フィンの変節を行うための第2変節機構と、
    を備える、請求項4に記載の可変ピッチプロペラ。
  10. 前記フィンは、前記プロペラ翼の前縁及び後縁を通る基準線と前記フィンの前端部との前記回転軸の周方向に沿った距離が所定値未満になるように設定される、請求項1から9のいずれか一項に記載の可変ピッチプロペラ。
  11. 前記所定値は、前記ボスキャップ上に前記回転軸の周方向に沿って設けられた隣接する2つの前記フィンの間隔の20%である、請求項10に記載の可変ピッチプロペラ。
  12. 前記回転軸の垂直面に対する前記プロペラ翼の角度をθ1、前記回転軸の垂直面に対する前記フィンの角度をθ2とすると、前記フィンは|θ1−θ2|が所定値未満になるように設定される、請求項1から9のいずれか一項に記載の可変ピッチプロペラ。
  13. 前記所定値は20degである、請求項12に記載の可変ピッチプロペラ。
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