JP2021037478A - クリーニングシート及びそれを用いたクリーニング方法 - Google Patents

クリーニングシート及びそれを用いたクリーニング方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2021037478A
JP2021037478A JP2019161072A JP2019161072A JP2021037478A JP 2021037478 A JP2021037478 A JP 2021037478A JP 2019161072 A JP2019161072 A JP 2019161072A JP 2019161072 A JP2019161072 A JP 2019161072A JP 2021037478 A JP2021037478 A JP 2021037478A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
cleaning
resin layer
resin
cleaning sheet
bubbles
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2019161072A
Other languages
English (en)
Other versions
JP7493315B2 (ja
Inventor
鈴木 基文
Motofumi Suzuki
基文 鈴木
匠 永嶌
Takumi Nagashima
匠 永嶌
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Fujibo Holdins Inc
Original Assignee
Fujibo Holdins Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Fujibo Holdins Inc filed Critical Fujibo Holdins Inc
Priority to JP2019161072A priority Critical patent/JP7493315B2/ja
Priority claimed from JP2019161072A external-priority patent/JP7493315B2/ja
Publication of JP2021037478A publication Critical patent/JP2021037478A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP7493315B2 publication Critical patent/JP7493315B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Cleaning Implements For Floors, Carpets, Furniture, Walls, And The Like (AREA)
  • Cleaning In General (AREA)

Abstract

【課題】カード読取装置に対するクリーニング性に優れるクリーニングシートを提供する。【解決手段】被クリーニング物を清掃するための第一クリーニング面を有する発泡体からなる第一樹脂層を備え、第一樹脂層は、第一クリーニング面の内側に、第一樹脂層の厚さ方向に複数の気泡が重畳すると共に均等に分散するように形成された発泡構造を有しており、第一クリーニング面において、第一樹脂層が有する気泡の一部から形成される開口が形成されており、厚さが0.5〜2.0mmである、クリーニングシート。【選択図】なし

Description

本発明は、クリーニングシート及びそれを用いたクリーニング方法に関し、特に接触型ICカードとの間でデータ通信を行うICカードリーダの接触端子をクリーニングするためのクリーニングシート及びそれを用いたクリーニング方法に関する。
ICカードは、半導体記憶回路や制御用マイクロコンピュータを板状にモールドした情報記憶手段であり、その表面にはICカードリーダライタに接続するための複数の端子を備えている。金融分野におけるキャッシュカードやクレジットカード、自動料金収受用車載機器におけるETCカードには、主に接触型のICカードが用いられている。接触型のICカードは、それをカードリーダライタに差し込むことで、両者の金属同士が接触することにより電力が供給され、ICカード内の情報を読み書きすることができる。
ICカードは、それを人が直接的に携帯や使用するため、人の手垢(皮脂汚れ)に由来する油汚れ等及びそれらに貼着した塵、埃等により汚染を受けている。ICカードが汚染を受けると、ICカードを介して様々な種類のカード読取装置に汚染物が付着する。また、例えば自動料金収受用車載機器におけるETCカード読取装置においては、車両の排気ガスに由来するススや埃が当該ETCカード読取装置を直接汚染する。このように、カード読取装置が汚染されると、そのカード読取部において、ICカード内の情報を読み書きするための信号の交信に支障をきたす場合があるため、カード読取装置を清掃する必要がある。カード読取装置を清掃する際、装置を分解して清掃することは煩雑なため、クリーニングカードを用いて清掃する手法がよく用いられている。
例えば特許文献1には、カード読取部に付着した汚染物を容易かつ素早く削り落とし、かつ、拭き取って清掃するクリーニングカードを提供することを目的として、基板の片面または両面上に研磨粒子が塗布された不織布を貼り合わせて成る、カード読取装置の読取部を清掃するクリーニングカードであって、そのクリーニングカードの大きさおよび厚さがカード読取装置に使用するカードの大きさおよび厚さとほぼ同じで、かつそのクリーニングカードの少なくとも一部が不透明となる、ことを特徴とするカード読取装置の読取部を清掃するカードが開示されている。
実開平5−73707号公報
しかしながら、特許文献1に記載される従来のクリーニングカードを用いてカード読取装置を清掃すると、不織布が密着性に劣り、表面の凹凸の程度が大きいため、装置内で汚染されている箇所に対する密着性が十分ではなく、拭き取りにムラが生じ、クリーニング性に劣る。また、クリーニング性に劣るため、清掃操作を繰り返すと、一度不織布に吸着した汚染物が再付着することや、不織布自体が脱落することの二次的な汚染が生じる場合もある。さらに、クリーニングカードに含まれる研磨粒子が、カード読取部を損傷してしまい、ICカード内の情報を読み書きするための信号の交信に支障をきたす場合がある。加えて、クリーニング性を向上させるためにクリーニング液を不織布に対して滴下して用いるため、被クリーニング物が電子機器である場合にはクリーニングの際にその電源を切る必要があり、繁雑である。またさらに、不織布は、表面の形状などが比較的不均一であるため、吸着した汚染物の一部を容易に脱落する一方、吸着した汚染物の他の一部を強固に吸着するため、不織布を洗浄しても繊維に浸み込んだ皮脂汚れ等を除去することは難しいうえ、洗浄により表面の繊維に脱落やほつれが生じ繊維がよれるため汚染物を除去するのに適した面形状が減少・消失してしまうため再使用することは難しい。
そこで、本発明は、カード読取装置に対するクリーニング性に優れるクリーニングシートを提供することを目的とする。
本発明者らは、上記従来技術の課題を解決すべく鋭意検討した結果、被クリーニング物を清掃するための第一クリーニング面を有する発泡体からなる第一樹脂層を備え、第一樹脂層は、第一クリーニング面の内側に、第一樹脂層の厚さ方向に複数の気泡が重畳すると共に均等に分散するように形成された発泡構造を有しており、第一クリーニング面において、第一樹脂層が有する気泡の一部から形成される開口が形成されており、厚さが0.5〜2.0mmである、クリーニングシートを用いることで、カード読取装置に対するクリーニング性に優れることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明は以下のとおりである。
〔1〕
被クリーニング物を清掃するための第一クリーニング面を有する発泡体からなる第一樹脂層を備え、
前記第一樹脂層は、前記第一クリーニング面の内側に、前記第一樹脂層の厚さ方向に複数の気泡が重畳すると共に均等に分散するように形成された発泡構造を有しており、
前記第一クリーニング面において、前記第一樹脂層が有する前記気泡の一部から形成される開口が形成されており、
厚さが0.5〜2.0mmである、クリーニングシート。
〔2〕
第一クリーニング面における開口の平均開口径が5.0〜30μmである、
〔1〕に記載のクリーニングシート。
〔3〕
第一樹脂層における発泡構造の開口形成割合が第一クリーニング面に対して1000〜50000個/mm2である、
〔1〕又は〔2〕に記載のクリーニングシート。
〔4〕
前記第一樹脂層の前記第一クリーニング面とは反対側に、基材と、被クリーニング物を清掃するための第二クリーニング面を有する発泡体からなる第二樹脂層とをさらに備え、
前記第二樹脂層は、前記第二クリーニング面の内側に、前記第二樹脂層の厚さ方向に複数の気泡が重畳すると共に均等に分散するように形成された発泡構造を有しており、
前記第二クリーニング面において、前記第二樹脂層が有する前記連結気泡の一部から形成される開口が形成されている、
〔1〕〜〔3〕のいずれかに記載のクリーニングシート。
〔5〕
前記第一樹脂層及び前記第二樹脂層がポリウレタン樹脂を含む、
〔1〕〜〔4〕のいずれかに記載のクリーニングシート。
〔6〕
前記第一樹脂層及び前記第二樹脂層が湿式成膜法により得られる、
〔5〕に記載のクリーニングシート。
〔7〕
〔1〕〜〔6〕のいずれかに記載のクリーニングシートを用いて被クリーニング物を清掃する工程を含む、クリーニング方法。
〔8〕
前記被クリーニング物が接触によりカード情報を読み取る読取部を備える、〔7〕に記載のクリーニング方法。
本発明に係るクリーニングシートは、カード読取装置に対するクリーニング性に優れる。
本実施形態のクリーニングシートの一部について、第一樹脂層、第一粘着層、基材をこの順に備える場合の一例を模式的に示す部分断面図である。 本実施形態のクリーニングシートの一部について、クリーニングシートが第一樹脂層、第一粘着層、基材、第二粘着層、第二樹脂層をこの順に備える場合の一例を模式的に示す部分断面図である。
以下、必要に応じて図面を参照しつつ、本発明を実施するための形態(以下、単に「本実施形態」という。)について詳細に説明するが、本発明は下記本実施形態に限定されるものではない。本発明は、その要旨を逸脱しない範囲で様々な変形が可能である。なお、図面中、同一要素には同一符号を付すこととし、重複する説明は省略する。また、上下左右等の位置関係は、特に断らない限り、図面に示す位置関係に基づくものとする。更に、図面の寸法比率は図示の比率に限られるものではない。
本実施形態のクリーニングシートは、被クリーニング物を清掃するための第一クリーニング面を有する発泡体からなる第一樹脂層を備える。このようなクリーニングシートは、例えば、基材を粘着層により樹脂層のクリーニング面とは反対側に貼り付けることにより作製することができる。
また、第一樹脂層は、第一クリーニング面の内側に、第一樹脂層の厚さ方向に複数の気泡が重畳すると共に均等に分散するように形成された発泡構造を有している。さらに、第一クリーニング面において、気泡の一部から形成される開口が形成されている。加えて、本実施形態のクリーニングシートの厚さは0.5〜2.0mmである。
このようなクリーニングシートが、カード読取装置に対するクリーニング性に優れる要因は次のように考えている。ただし、要因はこれに限定されない。従来の不織布からなるクリーニングシートを用いてカード読取装置を清掃すると、不織布が装置内の形状に対する追従性が十分ではなく、汚染物に対する密着性に劣り、クリーニング性に劣る。また、クリーニング性に劣るため、繰り返して清掃操作を繰り返すと、一度不織布が吸着した汚染物が再付着することや、不織布繊維自体が脱落することの二次的な汚染が生じる場合もある。さらに、クリーニングカードに研磨粒子が含まれる場合には、カード読取部を損傷してしまい、ICカード内の情報を読み書きするための信号の交信に支障をきたすおそれがある。加えて、クリーニング性を向上させるためにクリーニング液を不織布に対して滴下して用いるため、被クリーニング物が電子機器である場合にはクリーニングの際にその電源を切る必要があり、繁雑である。またさらに、不織布は、表面の形状などが比較的不均一であるため、吸着した汚染物の一部を容易に脱落する一方、吸着した汚染物の他の一部を強固に吸着するため、不織布を洗浄してもそれを再使用することは難しい。一方、本実施形態のクリーニングシートは、被クリーニング物を清掃するための第一クリーニング面を有する発泡体からなる第一樹脂層を備えることにより、樹脂の素材からなる第一クリーニング面は被クリーニング物の形状に追従しやすく、装置内で汚染されている箇所に密着する結果、クリーニング性に優れる。また、本実施形態のクリーニングシートは、発泡体からなる樹脂の素材からなる第一クリーニング面側での圧縮変形量を発泡体中の複数の気泡により比較的大きくすることができるため、被クリーニング物の形状により追従しやすく、様々なサイズの汚染物を除去することができる。さらに、本実施形態のクリーニングシートは、従来の不織布を用いた場合のようにクリーニング液を用いる必要がない。
加えて、本実施形態のクリーニングシートは、第一クリーニング面において、第一樹脂層が有する気泡の一部から形成される開口が形成されていることにより、被クリーニング物から除去された開口を介して汚染物を気泡に保持することができるため、一度除去された汚染物が脱落しにくい。また、その後にクリーニングシートの第一クリーニング面を洗浄することにより、保持した埃や塵などを容易に除去し、乾燥することでクリーニングシートを再度使用することができる。さらに、本実施形態のクリーニングシートは、第一樹脂層に厚さ方向へ複数の気泡が重畳すると共に均等に分散するように形成された発泡構造を有していることにより、第一クリーニング面において、微細気孔によって微細な空隙はあるものの大きな空隙がない。これにより接触する樹脂面積が大きいため、クリーニング面に対する摩擦抵抗が高まるとともに、小さな開口がエッジ効果を発揮し強固な汚染物も除去することが可能である。さらにまた、厚さ方向に複数の気泡が重畳し均等に分散しているため、使用を繰り返すことで製品が摩耗してしまった場合も、開口径や開口の量、開口の分布状態に変化がなく、長期にわたってクリーニングに使用できる。
以上により、本実施形態のクリーニングシートはカード読取装置に対するクリーニング性に優れる。
図1は、本実施形態のクリーニングシートの一部について、第一樹脂層、第一粘着層、基材をこの順に備える場合の一例を模式的に示す部分断面図である。クリーニングシート1Aは、ポリウレタン製樹脂層2(以下、単に「樹脂層2」という。)を備えている。樹脂層2は被クリーニング物を清掃するためのクリーニング面Pを有しており、クリーニング面Pは、発泡体の気泡が露出して開口部となるように、また樹脂層2の厚さ(図1の縦方向の長さ)がほぼ一様となるように、後述する樹脂層2を準備する工程での表面(上面)に対して、バフ処理又はスライス処理が施されている。他方、樹脂層2におけるクリーニング面Pの背面側はバフ処理又はスライス処理が施されていない。ただし、バフ処理又はスライス処理が施されていてもよい。また、クリーニングシート1Aは、クリーニング面Pの背面側(バフ処理されていない面側)と、基材8の片面とが粘着層である接着剤7を介して貼り合わされている。
図2は、本実施形態のクリーニングシートの一部について、クリーニングシートが第一樹脂層、第一粘着層、基材、第二粘着層、第二樹脂層の順に備える場合の一例を模式的に示す部分断面図である。クリーニングシート1B(以下、クリーニングシート1A、1Bをまとめて「クリーニングシート1」ともいう。)は、図1の構成と同様に、被クリーニング物を清掃するためのクリーニング面P1を有する第一樹脂層2aと、第一粘着層である接着剤7aと、基材8a(図2中では基材8と区別しない)とを備えている。
クリーニングシート1Bは、基材8aが接着剤7aを介して樹脂層2aと貼り合わされている面とは反対側に、第一樹脂層2a及び第一粘着層である接着剤7aと同様の第二樹脂層2b(以下、第一樹脂層2a及び第二樹脂層2bをまとめて「樹脂層2」ともいう。)と、第二粘着層である接着剤7b(以下、接着剤7a、7bをまとめて「接着剤7」ともいう。)とを備えている。ここで、基材8b(図2中では基材8と区別しない)は、接着剤7bを介して樹脂層2bと貼り合わされている。また、樹脂層2bは、樹脂層2aと同様にクリーニング面P2(以下、クリーニング面P1、P2をまとめて「クリーニング面P」ともいう。)を備えている。
図2における基材8は、便宜上、基材8aと基材8bとを同一の基材として示しているが、基材8aと基材8bとは同一であってもよく、別々の基材であってもよい。別々の基材である場合には、互いに接着剤や両面テープで接着すればよい。なお、両面テープで接着する場合には、両面テープは、基材の両面に接着剤を配するものであっても、基材を有しないノンサポートタイプのものであってもよい。
以下、図1及び2に示すクリーニングシートについて、特に区別しない場合には包括して、クリーニングシートを説明する。
樹脂層2は、層を構成する樹脂の発泡体からなり、クリーニング面Pの内側に、樹脂層2の厚さ方向に複数の気泡が重畳すると共に均等に分散するように形成された発泡構造を有している。樹脂層2の発泡3は、スキン層に形成された微多孔の空間体積の直径より大きい連通孔で立体網目状につながっている、気泡同士が連結した連結気泡である。ただし、樹脂層2に含まれる気泡は、そのほとんどが連結気泡であるが、一部において独立した気泡であってもよい。クリーニング面Pはバフ処理等により現れた面であるため、そのクリーニング面Pには発泡3の開口が形成されている。なお、図1及び図2において、バフ処理又はスライス処理が施される前の樹脂層2は、クリーニング面P側に、緻密な微多孔が形成されたスキン層を有する。ここで、「複数の気泡が重畳すると共に均等に分散する」とは、例えば図1、2に示されている気泡のように、樹脂層中において複数の気泡が、任意の厚さ方向で樹脂層を観察した場合に、複数の気泡が確認できると共に、最も近接している気泡同士の距離が同程度であることをいう。
樹脂層2の厚さは特に限定されないが、例えば、100〜1500μmであってもよく、200〜500μmであってもよい。なお、樹脂層2の厚さは、JIS K6550:1994に記載された測定方法に準拠して測定される。つまり、樹脂層2の厚み方向に初荷重として1cm2当たり100gの荷重をかけた(負荷した)ときの厚さである。
本実施形態の樹脂層2における、クリーニング面Pに通じた開口の平均開口径は、1.0μm以上であると好ましく、5.0〜30μmであるとより好ましい。平均開口径が1.0μm以上であることにより、汚染物質の捕集能力を高めることに起因して、クリーニング性により優れる。また、平均開口径が30μm以下であることにより、開口のエッジ部がこびりついた油汚れ等を容易にそぎ落とし汚れを内部に取り込む作用に起因して、クリーニング性により優れる。
樹脂層2における発泡構造の開口形成割合は、クリーニング面Pに対して1000個/mm2以上であると好ましく、1000〜50000個/mm2であるとより好ましい。発泡構造の開口形成割合が1000個/mm2以上であることにより、クリーニングシートが清掃時に汚染物質を取り込むことのできる箇所が十分に確保することができ、従来の不織布からなるクリーニングシートでは汚れを塗り広げるだけで拭き取ることが困難であった油性の汚染物質を容易に拭き取ることができ、クリーニング性により優れる。発泡構造の開口形成割合が50000個/mm2以下であることにより、クリーニングシートの清掃時の接触樹脂面積を確保し摩擦抵抗を高め優れたワイピング性能(拭き取り性能)を得られることに起因して、クリーニング性により優れる。
樹脂層2の平均開口径及び発泡構造の開口形成割合は、下記のようにして測定される。すなわち、まず、樹脂層2のクリーニング面Pの任意に選択した1.0mm×1.4mmの矩形領域を、レーザー顕微鏡(例えばKEYENCE社製商品名「VK−X105」)で200倍に拡大して観察し、その画像を得る。次いで、得られた画像を画像解析ソフト(例えば、三谷商事株式会社製商品名「WinRoof」)により二値化処理することで、開口とそれ以外の部分とを区別する。そして、区別した各々の開口の面積から円相当径、すなわち開口が真円であると仮定して開口径を算出する。そして、各々の開口の開口径を相加平均して平均開口径(μm)とする。また、上記の開口の個数を発泡の個数とみなして、一定面積に対する上記開孔の個数を、開口形成割合(個/mm2)とする。
樹脂層2は、樹脂等のマトリックスを構成する材料(以下、「マトリックス材料」という。)中に複数の気泡3を有するものであり、所謂湿式成膜法により形成されたものである。ただし、本発明のクリーニングシートにおける樹脂層は、クリーニング面Pにおいて気泡による開口が形成されている限り、乾式成型法あるいはその他の成型法により形成されたものであってもよい。
樹脂層2を構成するマトリックス材料は、例えばポリウレタン樹脂を最も多く含む組成であり、ここで、樹脂層2は、そのマトリックス材料の全体量に対して、ポリウレタン樹脂を80〜100質量%含むものであってもよい。樹脂層2は、その全体量に対して、ポリウレタン樹脂をより好ましくは85〜100質量%含み、更に好ましくは90〜100質量%含み、特に好ましくは90〜95質量%含む。
ポリウレタン樹脂としては、例えば、ポリエステル系ポリウレタン樹脂、ポリエーテル系ポリウレタン樹脂及びポリカーボネート系ポリウレタン樹脂が挙げられ、これらは1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いられる。これらの中では、本発明の目的をより有効且つ確実に奏する観点から、ポリエステル系ポリウレタン樹脂が好ましい。
ポリウレタン樹脂は、常法により合成してもよく、市販品を入手してもよい。市販品としては、例えば、クリスボン(DIC(株)社製商品名)、サンプレン(三洋化成工業(株)社製商品名)、レザミン(大日本精化工業(株)社製商品名)が挙げられる。ポリウレタン樹脂は1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いられる。
樹脂層2は、ポリウレタン樹脂以外に、ポリサルホン樹脂及び/又はポリイミド樹脂等の他の樹脂を含んでもよい。ポリサルホン樹脂は、常法により合成してもよく、市販品を入手してもよい。市販品としては、例えば、ユーデル(ソルベイアドバンストポリマーズ(株)社製商品名)が挙げられる。ポリイミド樹脂は、常法により合成してもよく、市販品を入手してもよい。市販品としては、例えば、オーラム(三井化学(株)社製商品名)が挙げられる。
樹脂層2は、ポリウレタン樹脂を溶解可能な水混和性の有機溶媒のN,N−ジメチルホルムアミド(以下、DMFと略記する。)を混合してポリウレタン樹脂を溶解させた後、樹脂溶液に、気泡3を形成させるために、発泡調整用の調整有機溶媒を適宜混合する。調整有機溶媒には、水に対する溶解度がDMFより小さく、DMFに溶解させたポリウレタン樹脂を凝固(ゲル化)させることなく、ポリウレタン樹脂を溶解させた混合液に略均一に混合又は分散できるものを用いる。具体例としては、酢酸エチル、イソプロピルアルコール等を挙げることができる。調整有機溶媒の配合量は、気泡3のクリーニング面Pでの開口径、開口数に応じて設定する。本例では、開口径、開口形成割合を上述した範囲に設定するため、調整有機溶媒の配合量をポリウレタン樹脂溶液の100質量部に対して20〜45質量部の範囲で適宜調整することが好ましい。20〜45質量部の範囲であれば、凝固速度が極端に遅くならず、上述した開口径や開口形成割合の樹脂層2を得ることができる。
樹脂層2は、樹脂以外にも、本発明の課題解決を阻害しない範囲で、樹脂層に通常用いられる材料、例えば、カーボンブラック等の顔料、ラウリル硫酸ナトリウム等の親水性添加剤、及びポリプロピレングリコール等の疎水性添加剤、撥水剤の1種又は2種以上を含んでもよい。更には、樹脂層2には、樹脂層2の製造過程において用いられた溶媒等の各種の材料が、本発明の課題解決を阻害しない範囲で残存していてもよい。
樹脂層2における顔料の含有量は、樹脂層2を構成する全固形分100質量%に対して、好ましくは0.1質量%以上20質量%以下であり、より好ましくは1.0質量%以上15質量%以下である。顔料の含有量が上記範囲内にあることにより、樹脂層2内部の気泡の均一性が乱れることに起因すると思われるクリーニング面の密着性をより向上でき、樹脂層2の剛性を向上させることができるので、クリーニング性と耐久性を良化できる傾向にある。
樹脂層2における疎水性添加剤の含有量は、樹脂層2を構成する全固形分100質量%に対して、好ましくは0.01質量%以上20質量%以下であり、より好ましくは0.1質量%以上10質量%以下であり、さらに好ましくは1.0質量%以上5.0質量%以下である。疎水性添加剤の含有量が上記範囲内にあることにより、樹脂層内部の気泡形成を促進させることやポリウレタン樹脂の凝固再生を安定化させることができ、クリーニングシートの物性安定化に寄与できる傾向にある。
樹脂層2における親水性添加剤の含有量は、樹脂層2を構成する全固形分100質量%に対して、好ましくは0.01質量%以上20質量%以下であり、より好ましくは0.1質量%以上10質量%以下であり、さらに好ましくは0.5質量%以上3.0質量%以下である。親水性添加剤の含有量が上記範囲内にあることにより、樹脂層内部の気泡形成を促進させることやポリウレタン樹脂の凝固再生を安定化させることができ、クリーニングシートの物性安定化に寄与できる傾向にある。
接着剤7は、樹脂層やプラスチック材料を接合するために通常用いられる両面テープ又は粘着剤を含むものであってもよい。この際用いられる接着剤や両面テープに特に制限はなく、当技術分野において公知の接着剤や両面テープの中から任意に選択して使用することができる。
基材8は、樹脂層2を支持するためのものであり、特に限定されず、樹脂層やプラスチック材料を支持するために通常用いられる基材であってもよく、ポリエチレンテレフタレート(以下、「PET」という。)フィルム等の樹脂フィルムが挙げられる。
クリーニングシートの厚さは、0.5〜2.0mmであり、好ましくは0.3〜1.0mmである。厚さが上記範囲内にあるため、自動改札機、ATM、自動販売機、各種カードリーダライタ等の機器内部に対して密着性が向上し、より効果的にクリーニングができる。
クリーニングシートの密度は0.5〜1.5g/cm3であることが好ましく、0.6〜1.2g/cm3であることがより好ましく、0.7〜1.0g/cm3であることがさらに好ましい。密度が上記範囲内にあると、剛性が保たれるため、繰り返し使用することができる。
クリーニングシートの圧縮率は、3〜20%であることが好ましく、5〜18%であることがより好ましく、6〜17%であることがさらに好ましい。圧縮率が上記範囲内にあると、クリーニング面の形状に追従するように圧縮変形することができ、クリーニング面との密着性が向上するため、クリーニング性を向上させることができる。
クリーニングシートの圧縮弾性率は、80〜100%が好ましく、85〜99%がより好ましく、90〜98%がさらに好ましい。圧縮弾性率が上記範囲内にあると、圧縮され密着したクリーニングシートがクリーニング面を押し戻す応力が高くなるため、クリーニング性を向上させることができる。
クリーニングシートのショアA硬度は50〜95°であることが好ましく、60〜90°であることがより好ましく、70〜85°であることがさらに好ましい。ショアA硬度が上記範囲内にあると、クリーニング面は圧縮性、圧縮弾性率を有し柔軟性を有するものの、シート全体として硬度が高いため適度な剛性を有し、クリーニングをする装置内部の複雑な搬送経路に対しても折れ曲ることなく追従することができ、使用後、洗浄し繰り返し使用が可能な耐久性を有することができる。
クリーニングシートを使用後、洗浄により再使用することについて、従来の不織布からなるクリーニングシートでは、洗浄するとクリーニング面の繊維に脱落やほつれが生じ、繊維が偏り、埃や塵を除去するための凹凸が減少・消失してしまう。一方、本願のクリーニングシートは、洗浄しても気泡構造が崩れず、クリーニング面に付着した埃や塵を洗浄・除去し、乾燥させることで再利用が可能である。さらに、使用を繰り返すことで製品が摩耗してしまった場合も、開口径や開口の量、開口の分布状態に変化がないため、洗浄、乾燥することで長期にわたりクリーニングシートとして使用できる。
次に、本実施形態のクリーニングシートの製造方法の一例について説明する。ここでは、樹脂層2を湿式成膜法で作製する場合を説明するが、本発明のクリーニングシートにおける樹脂層の作製方法は、これに限定されない。この製造方法では、樹脂層2を準備する工程と、樹脂層2に接着剤7を用いて基材8を貼り合わせてクリーニングシート1を得る工程とを有する。
樹脂層2を準備する工程は、更に、樹脂と溶媒と、必要に応じて顔料、親水性添加剤及び疎水性添加剤とを含む樹脂溶液を、撹拌翼を配した撹拌装置を用いて調製する工程(樹脂溶液調製工程)と、樹脂溶液から樹脂層2を成形する工程(成形工程)とを有するものである。
樹脂層2を成形する工程は、また更に、樹脂溶液を成膜用基材の表面に塗布する工程(塗布工程)と、樹脂溶液中の樹脂を凝固再生して、前駆体シートを形成する工程(凝固再生工程)と、前駆体シートを洗浄・乾燥して樹脂層2を得る工程(洗浄・乾燥工程)と、樹脂層2をバフ処理又はスライス処理により研削及び/又は一部除去する工程(研削・除去工程)とを有するものである。以下、各工程について説明する。
まず、樹脂溶液調製工程では、上述のポリウレタン樹脂等の樹脂と、発泡調整用の調整有機溶媒とその樹脂を溶解可能であって、後述の凝固液に混和する溶媒と、必要に応じて樹脂層2に含まれ得る顔料、親水性添加剤及び疎水性添加剤やその他の材料(例えば、孔形成剤、撥水剤等)とを混合し、更に必要に応じて減圧下で脱泡して樹脂溶液を調製する。調整有機溶媒には、水に対する溶解度がDMFより小さく、DMFに溶解させたポリウレタン樹脂を凝固(ゲル化)させることなく、ポリウレタン樹脂を溶解させた溶液に均一に混合又は分散できるものを用いる。具体例としては、酢酸エチル、イソプロピルアルコール等を挙げることができる。調整有機溶媒の添加量を変えることで、樹脂層2の内部に形成される気泡3の大きさや量(個数)を制御することができ、クリーニング面の開口径や開口形成割合を調整することができる。本例では、樹脂層2の開口径と開口形成割合を上述した範囲に設定するため、調整有機溶媒の添加量を樹脂溶液の100質量部に対して20〜45質量部の範囲とすることが好ましい。溶媒としては、特に限定されないが、例えば、N,N−ジメチルホルムアミド(以下、「DMF」という。)及びN,N−ジメチルアセトアミドが挙げられる。樹脂溶液の全体量に対する樹脂の含有量は、特に限定されないが、例えば10〜50質量%の範囲であってもよく、15〜35質量%の範囲であってもよい。
次に、塗布工程では、樹脂溶液を、好ましくは常温下で、ナイフコーター等の塗布装置を用いて帯状の成膜用基材の表面に塗布して塗膜を形成する。このときに塗布する樹脂溶液の厚さは、最終的に得られる樹脂層2の厚さが所望の厚さになるように、適宜調整すればよい。成膜用基材の材質としては、例えば、PETフィルム等の樹脂フィルム、布帛及び不織布が挙げられる。これらの中では、厚みが薄くともクリーニングシート全体の剛性を高めることのできるPETフィルム等の樹脂フィルムが好ましい。
次いで、凝固再生工程では、成膜用基材に塗布された樹脂溶液の塗膜を、樹脂に対する貧溶媒(例えばポリウレタン樹脂の場合は水)を主成分とする凝固液中に連続的に案内する。凝固液には、樹脂の再生速度を調整するために、樹脂溶液中の溶媒等の極性溶媒等の有機溶媒を添加してもよい。また、凝固液の温度は、樹脂を凝固できる温度であれば特に限定されず、例えば、15〜65℃であってもよい。凝固液中では、まず、樹脂溶液の塗膜と凝固液との界面に皮膜(スキン層)が形成され、皮膜の直近の樹脂中に無数の緻密な微多孔が形成される。その後、樹脂溶液中の調整有機溶媒と凝固液との置換の進行が遅くなる。このため、スキン層より内側にはスキン層に形成された微多孔より大きく略球状の気泡3が略均等に形成され、樹脂溶液に含まれる溶媒の凝固液中への拡散と、樹脂中への貧溶媒の浸入との協調現象により、好ましくは連続気泡構造を有する樹脂の再生が進行する。このとき、成膜用基材が液を浸透し難いもの(例えばPETフィルム)であると、凝固液がその基材に浸透しないため、樹脂溶液中の溶媒と貧溶媒との置換がスキン層付近で優先的に生じ、スキン層付近よりもその内側にある領域の方に、より大きな空孔が形成される傾向にある。こうして成膜用基材上に前駆体シートが形成される。
ここで、クリーニング面Pの内側に、樹脂層2の厚さ方向に複数の気泡が重畳すると共に均等に分散するように形成された発泡構造について説明すると、樹脂溶液中では、調整有機溶媒とポリウレタン樹脂の相溶性が乏しいため、2相分離していると考えられる。その上、ポリウレタン樹脂の凝固再生時には、調整有機溶媒とポリウレタン樹脂の凝固液中での凝固特性が異なるため、収縮量に差が生じ、また、相溶性が乏しいことから、調整有機溶媒とポリウレタン樹脂間の界面接合力が小さくなり脱離的現象も生じるので、気泡3が形成されると考えられる。このため、気泡3の孔径はスキン層の微多孔より大きく略球状の気泡3が略均等に形成される。また気泡3は、上記方法以外にも上記凝固液の溶媒の濃度を高くすることにより得ることもできる。具体的には、凝固液のDMF濃度を高くすることで、樹脂溶液における樹脂エマルジョン中のDMFの溶出が抑制されるため、樹脂エマルジョン中のDMFと凝固液との置換速度が遅くなる。このため、樹脂の再生凝固が遅くなるので、得られる樹脂は、大きなセルの形成が抑制されてスキン層の内側に発泡が概ね均等に分散した表面層が形成され、厚さ方向にほぼ一様な発泡構造となる。
次に、凝固再生工程により得られた前駆体シートを成膜基材から剥離した後、洗浄・乾燥処理を行う。洗浄・乾燥工程では、洗浄処理により形成された前駆体シート中に残存する溶媒を除去して樹脂層2を得る。洗浄に用いられる洗浄液には、水を用いることができる。洗浄した後の樹脂層2を、乾燥処理する。樹脂層2の乾燥処理は従来行われている方法で行えばよく、例えば80〜150℃で5〜60分程度乾燥機内で乾燥させればよい。上記工程を経た樹脂層2をロール状に巻き取ってもよい。
次いで、研削・除去工程では、樹脂層2を準備する工程での表面(上面)及び/又は裏面(下面)を、バフ処理又はスライス処理で研削及び/又は一部除去する。バフ処理やスライス処理により連結気泡がクリーニング面に露出して開口が形成されるため、被クリーニング物からの汚染物を気泡内に保持することができる。
次に、樹脂層2の、バフ処理又はスライス処理を行っていない面に対して、接着剤7を介して基材8を貼り合わせてクリーニングシート1を得る。こうして、樹脂層2の一面に対して、粘着層である接着剤7、基材8の順に積層されて、クリーニングシート1Aが得られる。さらに、両面テープを介して、クリーニングシート1Aに用いた樹脂層2と同様のもう1つの樹脂層2(第二樹脂層)の、当該第二樹脂層のバフ処理又はスライス処理を行っていない面に対して、クリーニングシート1Aを接合することにより、クリーニングシート1Bが得られる。
クリーニングシート1で清掃する被クリーニング物は、シート状の物質が挿入される挿入口とその挿入口の内部にシート状の物質を配置する配置部とを備えるものであって、クリーニングシート1を挿入口から挿入して、配置部においてそのクリーニングシート1と接触する部分を清掃することが可能なものであれば特に限定されない。具体的には、カードを搬入及び搬出するための挿入口を備えている電子端末機器が挙げられる。このような電子端末機器では、挿入口から挿入されるカードを搬入及び搬出する複数の搬送ローラ対が搬送路内に備えられている。挿入口から挿入されたカードは、搬送ローラ対により搬送路内を搬送され、所定位置(配置部)に配置させられ、カード読取部と接触又は非接触により、カード内の情報を読み書きすることができる。クリーニングシート1は、このような電子端末機器であれば、挿入口から挿入されるカードと同様に挿入されて搬送されることにより、上記カードと接触して汚れたり、あるいは挿入口から混入する埃などにより汚れたりする部材(搬送ローラ対、カード読取部)と接触して、これを清掃する。
本実施形態のクリーニング方法は、上述したクリーニングシートを用いて被クリーニング物を清掃する工程を含む。
以下、実施例によって本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
マトリックス樹脂となる原料樹脂のポリエステル系ポリウレタン樹脂をDMF(N,N−ジメチルホルムアミド)に30質量%溶解させた溶液100質量部に対して、粘度調整用のDMF60質量部、顔料のカーボンブラック(三菱化学社製の商品名「RCF44」)12質量%を含むDMFを16質量%溶解させたDMF分散液40質量部、成膜安定剤として疎水性活性剤2質量部、調整有機溶媒の酢酸エチルの45部を添加して、混合撹拌し、樹脂溶液を調製した。
次に、成膜用基材として市販のPETフィルムを用意し、そこへ調製した樹脂溶液を塗布し、塗布装置のクリアランスを調整することで厚さ350μmの塗膜を得た。次いで得られた塗膜を成膜用基材と共に、凝固液である水からなる18℃の凝固浴に浸漬し、樹脂を凝固再生して前駆体樹脂層を得た。前駆体樹脂層を凝固浴から取り出し、成膜用基材を前駆体樹脂層から剥離した後、前駆体樹脂層を水からなる室温の洗浄液(脱溶媒浴)で洗浄し、乾燥させた後、巻き取った。次に、樹脂層の表面(成膜用基材を剥離した側の面とは反対の面であって、成膜用基材に接触していた面とは反対の面)に対して厚さ150μm分のバフ処理を施して、200μmの厚さにすると共に、バフ処理後の表面に開口を形成した。
得られた樹脂層の表面(バフ処理した面と反対側の面)と厚さ0.188mmの市販のPET基材を接着剤で貼り合わせたシートを2枚用意し、市販の両面テープを用い、PET基材が露出している面同士を貼り合わせ、樹脂層、接着剤、PET基材、両面テープ、PET基材、接着剤、樹脂層の順に積層されたクリーニングシートを得た。その後、JIS II型サイズ(53.9mm×85.6mm)の大きさに打ち抜き、厚さ0.89mmのクリーニングシートを作製した。
(比較例1)
アクリル系合成繊維からなる不織布をポリエチレンテレフタレート製基材の両面に接着した厚さ0.79mmのチカミミルテック社製「S85PG」を使用した。
実施例1及び比較例1で得られた各クリーニングシートの各開口径及び開口形成割合を下記の方法でそれぞれ測定した。
クリーニング面における開口について、平均開口径及び開口形成割合を次のとおり測定した。マイクロスコープ(KEYENCE社製の商品名「VH−6300」)で約1.3mm四方の範囲を175倍に拡大して観察し、得られた画像を画像処理ソフト(Image Analyzer V20LAB Ver.1.3)により処理し算出した。結果を下記表1に示す。
実施例1及び比較例1で得られた各クリーニングシートを用いて、以下の条件にてクリーニング性を評価した。
下記のように、準備した粉体1〜3、人工皮脂及び綿埃を用いて、試験用汚染物1〜5を調製した。
粉体1:JIS Z8901の試験用粉体3種(硅砂:SiO295%以上、粒径9〜61μm、硬度が高く、粒子形状に角がある砂埃の基準物質)
粉体2:JIS Z8901の試験用粉体15種(混合粉体8種72%、12種23%、コットンリンター5%の混合品、衣類等から出る、所謂、綿埃が入った屋内ダストを想定し標準化した物質)
粉体3:JIS Z8901の試験用粉体12種(カーボンブラック、粒径0.03〜0.2μm、すす状物質を想定し標準化した物質)
人工皮脂:オレイン酸70質量%とパルミチン酸30質量%との混合物
綿埃:コットンリンター(直径1.5μmx長さ1mm以下)
試験用汚染物1:粉体1
試験用汚染物2:試験用粉体1と人工皮脂との、質量基準1:10での混合物
試験用汚染物3:試験用粉体2と人工皮脂との、質量基準1:10での混合物
試験用汚染物4:試験用粉体3と人工皮脂との、質量基準1:10での混合物
試験用汚染物5:人工皮脂
カード処理装置内のICチップ読取部に調製した各試験用汚染物をカード処理装置の読み取りがエラーになる程度までに付着させた後、クリーニングシートを5回出し入れして、清掃するための操作を行った。その後、クリーニングシートに付着した汚れを目視で確認するとともに、カード処理装置の読み取りのエラーが解消されたか否かを動作確認した。クリーニングシートに汚れが多く付着していることが確認でき、カード処理装置の読み取りのエラーが解消されている場合を「○」、クリーニングシートに汚れが付着しておらず、カード処理装置の読み取りのエラーが解消されていない場合を「×」と、クリーニング性を評価した。
上記カード処理装置を用い、紛体1の試験後の実施例、比較例のクリーニングシートのクリーニング面を水で洗浄し、クリーニングシートを乾燥させた後、洗浄・乾燥後のクリーニングシートの外観が使用前と変わらないと判断できる場合を「○」、外観が変わっていると判断できる場合を「×」と、洗浄性を評価した。また、洗浄・乾燥後の実施例、比較例のクリーニングシートを用いて、再度粉体1を対象として上記クリーニング性能試験を行った。クリーニングシートに汚れが多く付着していることが確認でき、カード処理装置の読み取りのエラーが解消されている場合を「○」、クリーニングシートに汚れが付着しておらず、カード処理装置の読み取りのエラーが解消されていない場合を「×」として、再利用性を評価した。
Figure 2021037478
クリーニング面が不織布である比較例1品は紛体のみであればふき取りが可能であるものの、人工皮脂を含む汚れに対してクリーニング性を発揮することができなかった。また洗浄・乾燥後の比較例品は、クリーニング面の繊維がほつれ、使用前の状態に戻ることはなく、洗浄・乾燥後の比較例1で粉体に対しクリーニングしたところ、ふき取りが不可能となった。一方、実施例品はクリーニング面の開口やクリーニングシートの密着性、剛性に由来して、紛体、および、人工皮脂を含む落ちにくい汚れに対してクリーニング性を発揮するとともに、洗浄・乾燥後も外観が使用前と変わらず、再利用も可能であった。
1、1A、1B…クリーニングシート
2、2a、2b…樹脂層
3…気泡
7、7a、7b…接着剤
8…基材
P、P1、P2…クリーニング面
本発明は、接触型のICカードとの間でデータ通信を行うICカードリーダや、ICカードリーダの搬送経路をクリーニングするためのクリーニングシートとして産業上の利用可能性を有する。

Claims (8)

  1. 被クリーニング物を清掃するための第一クリーニング面を有する発泡体からなる第一樹脂層を備え、
    前記第一樹脂層は、前記第一クリーニング面の内側に、前記第一樹脂層の厚さ方向に複数の気泡が重畳すると共に均等に分散するように形成された発泡構造を有しており、
    前記第一クリーニング面において、前記第一樹脂層が有する前記気泡の一部から形成される開口が形成されており、
    厚さが0.5〜2.0mmである、クリーニングシート。
  2. 第一クリーニング面における開口の平均開口径が5.0〜30μmである、
    請求項1に記載のクリーニングシート。
  3. 第一樹脂層における発泡構造の開口形成割合が第一クリーニング面に対して1000〜50000個/mm2である、
    請求項1又は2に記載のクリーニングシート。
  4. 前記第一樹脂層の前記第一クリーニング面とは反対側に、基材と、被クリーニング物を清掃するための第二クリーニング面を有する発泡体からなる第二樹脂層とをさらに備え、
    前記第二樹脂層は、前記第二クリーニング面の内側に、前記第二樹脂層の厚さ方向に複数の気泡が重畳すると共に均等に分散するように形成された発泡構造を有しており、
    前記第二クリーニング面において、前記第二樹脂層が有する前記連結気泡の一部から形成される開口が形成されている、
    請求項1〜3のいずれか一項に記載のクリーニングシート。
  5. 前記第一樹脂層及び前記第二樹脂層がポリウレタン樹脂を含む、
    請求項1〜4のいずれか一項に記載のクリーニングシート。
  6. 前記第一樹脂層及び前記第二樹脂層が湿式成膜法により得られる、
    請求項5に記載のクリーニングシート。
  7. 請求項1〜6のいずれか一項に記載のクリーニングシートを用いて被クリーニング物を清掃する工程を含む、クリーニング方法。
  8. 前記被クリーニング物が接触によりカード情報を読み取る読取部を備える、請求項7に記載のクリーニング方法。
JP2019161072A 2019-09-04 クリーニングシート及びそれを用いたクリーニング方法 Active JP7493315B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2019161072A JP7493315B2 (ja) 2019-09-04 クリーニングシート及びそれを用いたクリーニング方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2019161072A JP7493315B2 (ja) 2019-09-04 クリーニングシート及びそれを用いたクリーニング方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2021037478A true JP2021037478A (ja) 2021-03-11
JP7493315B2 JP7493315B2 (ja) 2024-05-31

Family

ID=

Citations (12)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS63225910A (ja) * 1987-03-16 1988-09-20 Toshiba Corp クリ−ニングカ−ド
JPH04316898A (ja) * 1991-04-16 1992-11-09 Fujikura Ltd カード型クリーナー
JPH0957634A (ja) * 1995-08-14 1997-03-04 Nippon Micro Coating Kk 液晶パネル用のクリーニングテープおよびその製造方法
JP2007098509A (ja) * 2005-10-04 2007-04-19 Nihon Micro Coating Co Ltd クリーニングシート及びその製造方法
JP2011212759A (ja) * 2010-03-31 2011-10-27 Fujibo Holdings Inc 研磨パッドおよび研磨パッドの製造方法
JP2011212779A (ja) * 2010-03-31 2011-10-27 Fujibo Holdings Inc 研磨パッドおよび研磨パッドの製造方法
JP2012056032A (ja) * 2010-09-09 2012-03-22 Fujibo Holdings Inc 発泡シート材
JP2013132741A (ja) * 2011-12-27 2013-07-08 Fujibo Holdings Inc 研磨パッド及び研磨パッドの製造方法
JP2013208670A (ja) * 2012-03-30 2013-10-10 Fujibo Holdings Inc 研磨パッド
JP2014079878A (ja) * 2012-09-28 2014-05-08 Fujibo Holdings Inc 研磨パッド
JP2015100855A (ja) * 2013-11-21 2015-06-04 富士紡ホールディングス株式会社 研磨パッドの製造方法及び研磨パッド
JP2018167388A (ja) * 2017-03-30 2018-11-01 富士紡ホールディングス株式会社 研磨パッド

Patent Citations (12)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS63225910A (ja) * 1987-03-16 1988-09-20 Toshiba Corp クリ−ニングカ−ド
JPH04316898A (ja) * 1991-04-16 1992-11-09 Fujikura Ltd カード型クリーナー
JPH0957634A (ja) * 1995-08-14 1997-03-04 Nippon Micro Coating Kk 液晶パネル用のクリーニングテープおよびその製造方法
JP2007098509A (ja) * 2005-10-04 2007-04-19 Nihon Micro Coating Co Ltd クリーニングシート及びその製造方法
JP2011212759A (ja) * 2010-03-31 2011-10-27 Fujibo Holdings Inc 研磨パッドおよび研磨パッドの製造方法
JP2011212779A (ja) * 2010-03-31 2011-10-27 Fujibo Holdings Inc 研磨パッドおよび研磨パッドの製造方法
JP2012056032A (ja) * 2010-09-09 2012-03-22 Fujibo Holdings Inc 発泡シート材
JP2013132741A (ja) * 2011-12-27 2013-07-08 Fujibo Holdings Inc 研磨パッド及び研磨パッドの製造方法
JP2013208670A (ja) * 2012-03-30 2013-10-10 Fujibo Holdings Inc 研磨パッド
JP2014079878A (ja) * 2012-09-28 2014-05-08 Fujibo Holdings Inc 研磨パッド
JP2015100855A (ja) * 2013-11-21 2015-06-04 富士紡ホールディングス株式会社 研磨パッドの製造方法及び研磨パッド
JP2018167388A (ja) * 2017-03-30 2018-11-01 富士紡ホールディングス株式会社 研磨パッド

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4555559B2 (ja) 研磨布及び研磨布の製造方法
CN104321370B (zh) 研磨垫及研磨垫的制造方法
JP5753677B2 (ja) 研磨パッドおよび研磨パッドの製造方法
JP5544131B2 (ja) 研磨パッド
JP5371661B2 (ja) 研磨パッド
JP7493315B2 (ja) クリーニングシート及びそれを用いたクリーニング方法
JP2021037478A (ja) クリーニングシート及びそれを用いたクリーニング方法
JP2007190643A (ja) クリーニングシート及び方法
JP7495215B2 (ja) クリーニングシート及びそれを用いたクリーニング方法
JP7471064B2 (ja) クリーニングシート及びそれを用いたクリーニング方法
JP2016190313A (ja) 研磨パッド
JP2021037477A (ja) クリーニングシート及びそれを用いたクリーニング方法
JP2011148049A (ja) 保持パッド
JP2012056032A (ja) 発泡シート材
JP5683194B2 (ja) 保持パッド
JP2010058231A (ja) 研磨加工方法
JP2001181962A (ja) ガラス磨き用不織布
JP5355165B2 (ja) 保持シート
JP5355004B2 (ja) 研磨パッドおよびその製造方法
JP6859056B2 (ja) 研磨パッド及びその製造方法
JP5324962B2 (ja) 研磨パッド
JP2016047560A (ja) シート状物
JP5639822B2 (ja) 保持パッド
JP6987584B2 (ja) 保持パッドの製造に用いるための積層体及びその製造方法
JP7020836B2 (ja) 保持パッド及びその製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20220511

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20230315

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20230322

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20230512

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20230810

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20231006

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20231204

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20240301

A911 Transfer to examiner for re-examination before appeal (zenchi)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A911

Effective date: 20240412

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20240502

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20240521