第1の実施の形態.
<画像形成装置の構成>
図1は、第1の実施の形態の画像形成装置1の全体構成を示す図である。画像形成装置1は、ここでは、電子写真法を用いてカラー画像を形成するプリンタである。画像形成装置1は、印刷用紙等の媒体Pを搬送する媒体搬送機構70と、媒体Pにトナー像(現像剤像)を形成する画像形成部10と、媒体Pにトナー像を定着する定着装置80と、トナー像が定着した媒体Pを排出する媒体排出機構85とを備える。
媒体搬送機構70は、媒体Pを積載状態で収容する給紙トレイ71と、給紙トレイ71に収容された一番上の媒体Pに当接するように配置されたピックアップローラ72と、ピックアップローラ72に隣接して配置されたフィードローラ73と、フィードローラ73に対向するように配置されたリタードローラ74とを有する。
ピックアップローラ72は、給紙トレイ71の媒体Pに当接して回転し、給紙トレイ71から媒体Pを引き出す。フィードローラ73は、ピックアップローラ72によって引き出された媒体Pを搬送路R1に送り出す。リタードローラ74は、媒体Pの重送を防止するため、フィードローラ73による送り出し方向とは逆方向に回転し、媒体Pに搬送抵抗を付与する。
媒体搬送機構70は、また、媒体Pの搬送路R1に沿って、2対のローラ対である搬送ローラ75,76を有する。搬送ローラ75は、レジストローラ75aとピンチローラ75bとで構成され、媒体Pの先端が両ローラのニップ部に当接してから所定のタイミングで回転を開始することで、媒体Pのスキューを矯正して搬送する。搬送ローラ76は、一対のローラで構成され、搬送ローラ75からの媒体Pを画像形成部10に搬送する。
画像形成部10は、ブラック、イエロー、マゼンタおよびシアンのトナー像を形成する画像形成ユニットとしての4つのプロセスユニット11K,11Y,11M,11Cと、プロセスユニット11K,11Y,11M,11Cで形成されたトナー像を媒体Pに転写する転写ユニット60とを有する。
また、プロセスユニット11K,11Y,11M,11Cの各感光体ドラム13(後述)に対向するように、露光装置としての露光ヘッド2K,2Y,2M,2Cが配置されている。
プロセスユニット11K,11Y,11M,11Cは、媒体Pの搬送路に沿って(ここでは図中右から左に)配列されている。プロセスユニット11K,11Y,11M,11Cは、使用するトナーを除いて共通の構成を有するため、「プロセスユニット11」として説明する。また、露光ヘッド2K,2Y,2M,2Cは、「露光ヘッド2」として説明する。
図2は、プロセスユニット11の構成を示す断面図である。図2に示すように、プロセスユニット11は、像担持体としての感光体ドラム13を有する。感光体ドラム13は、導電性の基体の表面に感光層(電荷発生層および電荷輸送層)を備えたドラム状の部材であり、図中時計回りに回転する。
プロセスユニット11は、さらに、帯電部材としての帯電ローラ14と、現像剤担持体としての現像ローラ15と、供給部材としての供給ローラ16と、現像剤規制部材としての現像ブレード17と、クリーニング部材18とを有する。
帯電ローラ14は、感光体ドラム13の表面に当接するように配置され、感光体ドラム13の回転に追従して回転する。帯電ローラ14は、帯電電圧を印加され、感光体ドラム13の表面を一様に帯電させる。一様に帯電した感光体ドラム13の表面には、露光ヘッド2の光照射によって静電潜像が形成される。
現像ローラ15は、感光体ドラム13の表面に当接するように配置され、感光体ドラム13と逆方向に回転する。現像ローラ15は、現像電圧を印加され、感光体ドラム13の表面に形成された静電潜像にトナーを付着させ、トナー像を形成する。
供給ローラ16は、現像ローラ15の表面に当接または対向するように配置され、現像ローラ15と同方向に回転する。供給ローラ16は、供給電圧を印加され、現像ローラ15にトナーを供給する。
現像ブレード17は、現像ローラ15の表面に押し当てられた金属製のブレードであり、現像ローラ15の表面に形成されるトナー層の厚さを規制する。
クリーニング部材18は、感光体ドラム13の表面に当接するように配置されたブレードまたはローラである。クリーニング部材18は、転写後に感光体ドラム13の表面に残ったトナーを掻き取る。
これら感光体ドラム13、帯電ローラ14、現像ローラ15、供給ローラ16、現像ブレード17およびクリーニング部材18は、プロセスユニット11のユニット筐体110に収容されている。
ユニット筐体110の上部には、現像剤収容体としてのトナーカートリッジ19が着脱可能に取り付けられている。トナーカートリッジ19は、トナー(図2に符号Tで示す)を収容し、現像ローラ15および供給ローラ16にトナーを補給する。
図1に戻り、露光ヘッド2は、LED(発光ダイオード)等の発光素子を有し、感光体ドラム13に対向するように配置されている。露光ヘッド2は、感光体ドラム13の表面を露光して静電潜像を形成する。露光ヘッド2の構成については、後述する。
転写ユニット60は、無端状の転写ベルト62と、転写ベルト62が張架されたドライブローラ63およびアイドルローラ64と、転写ベルト62を介してプロセスユニット11K,11Y,11M,11Cの各感光体ドラム13に対向配置された転写ローラ61K,61Y,61M,61Cとを有する。
転写ベルト62は、その表面に媒体Pを静電気力により吸着保持して走行する。ドライブローラ63は、図中反時計回りに回転し、転写ベルト62を矢印R2で示す方向に走行させる。アイドルローラ64は、転写ベルト62に張力を付与する。転写ローラ61K,61Y,61M,61Cは、転写電圧を印加され、各感光体ドラム13上のトナー像を転写ベルト62上の媒体Pに転写する。
定着装置80は、媒体Pの搬送方向において画像形成部10の下流側に配置されている。定着装置80は、熱源を有する加熱ローラ81と、加熱ローラ81の表面に押圧される加圧ローラ82とを有する。加熱ローラ81および加圧ローラ82は、媒体P上のトナー像に熱と圧力を加えて、媒体Pに定着させる。
媒体Pの搬送方向において定着装置80の下流側には、媒体Pの搬送路を切り替える切り替えガイド91が配置されている。切り替えガイド91は、定着装置80から送り出された媒体Pを、排出搬送路R3または戻り搬送路R4に選択的に案内する。
媒体排出機構85は、排出搬送路R3に配置された排出ローラ86,87が配置されている。排出ローラ86,87は、切り替えガイド91によって排出搬送路R3に案内された媒体Pを搬送し、画像形成装置1の外部に排出する。画像形成装置1の上部カバーには、排出ローラ86,87によって排出された媒体を積載するスタッカ部88が設けられている。
画像形成装置1は、また、両面印刷のため、トナー像が定着した媒体Pを反転させて、戻り搬送路R4に沿って搬送する再搬送機構90を備えている。再搬送機構90は、上述した切り替えガイド91により戻り搬送路R4に案内された媒体Pを退避路R5に一旦退避させる搬送ローラ92と、退避路R5から媒体Pを逆向きに送り出す搬送ローラ94および切り替えガイド93を有する。
再搬送機構90は、また、搬送ローラ94によって送り出された媒体Pを戻り搬送路R4に沿って搬送する搬送ローラ95,96,97を有する。戻り搬送路R4の出口は、上述した搬送ローラ75の上流側で搬送路R1に合流している。戻り搬送路R4から搬送路R1に到達した媒体Pは、搬送ローラ75,76によって画像形成部10に搬送される。なお、画像形成装置1が両面印刷機能を有さない場合は、再搬送機構90は不要である。
図1において、画像形成装置1は、XY面(ここでは水平面)に置かれているものとする。画像形成装置1の感光体ドラム13および各ローラの軸方向は、X方向とする。X方向は、画像形成装置1の幅方向であり、媒体Pの幅方向でもある。XY面においてX方向に直交する方向を、Y方向(ここでは前後方向)とする。また、XY面に直交する方向を、Z方向(ここでは鉛直方向)とする。
これらX方向、Y方向およびZ方向は、画像形成装置1の向きを限定するものではない。また、プロセスユニット11K,11C,11M,11Yの配列方向は、図1ではXY面に対して傾斜しているが、必ずしも傾斜している必要はない。
図3は、画像形成装置1の外観を示す斜視図である。画像形成装置1は、図1を参照して説明した各構成要素を収容する装置筐体101と、装置筐体101の上面(+Z方向の面)を覆う開閉可能なカバー部材としてのトップカバー102と、装置筐体101の前面(−Y方向の面)を覆う開閉可能なフロントカバー103とを有する。
図4は、画像形成装置1のトップカバー102およびフロントカバー103を共に開いた状態を示す斜視図である。トップカバー102は、装置筐体101に、X方向の回動軸C1を中心として回動可能に支持されている。回動軸C1は、ここでは、装置筐体101の後端部(−Y方向の端部)で且つ上端部(+Z方向の端部)に形成されている。
トップカバー102には、回動軸C1と反対側の端部に、トップカバー102を開放する際に操作されるレバー操作部106を有する。レバー操作部106は、トップカバー102が閉鎖された位置(図3)にあるときには、フロントカバー103によって覆われている。
トップカバー102には、上述した露光ヘッド2K,2Y,2M,2Cが取り付けられている。図4に示すようにトップカバー102が開いている状態では、露光ヘッド2K,2Y,2M,2Cは、装置筐体101内のプロセスユニット11K,11Y,11M,11Cの各感光体ドラム13から大きく離間している。トップカバー102を閉じることにより、露光ヘッド2K,2Y,2M,2Cが、プロセスユニット11K,11Y,11M,11Cの各感光体ドラム13に対向する。
フロントカバー103は、装置筐体101に、X方向の回動軸C2を中心として回動可能に支持されている。フロントカバー103は、表示部および操作部を備えた操作パネル104と、フロントカバー103を開放する際に操作されるロック解除部105とが設けられているが、詳細説明は省略する。
<露光ヘッドの構成>
次に、露光ヘッド2の構成について説明する。露光ヘッド2は開閉可能なトップカバー102に取り付けられているが、露光ヘッド2(およびこれを保持するヘッドホルダ3)の構成については、トップカバー102が閉鎖位置にあるものとして、X方向、Y方向およびZ方向を用いて説明する。
図5は、露光ヘッド2と感光体ドラム13との位置関係を模式的に示す、X方向に直交する断面図である。図5では、感光体ドラム13の回転軸を、符号C3で示す。露光ヘッド2は、感光体ドラム13に対向するように配置されたレンズユニット200と、レンズユニット200に対して感光体ドラム13と反対の側に配置された配線基板50と、これらを保持する保持部材としての筐体20とを有する。
配線基板50は、ガラスエポキシ等の基板に、発光素子としての複数のLEDを有するLEDアレイチップ51と、LEDアレイチップ51の各LEDを駆動する駆動回路とを搭載したものである。
LEDアレイチップ51の各LEDの光の出射方向は、−Z方向である。各LEDは、X方向(すなわち感光体ドラム13の軸方向)に一列に配列されている。そのため、X方向は主走査方向とも称し、Y方向は副走査方向とも称する。
レンズユニット200は、Z方向の光軸Axを有する複数のレンズ要素をX方向に配列したものである。レンズ要素は、例えば、Z方向の中心軸を有する円筒状のロッドレンズであるが、これに限定されるものではない。レンズユニット200の各レンズ要素は、LEDアレイチップ51に対向する入射面201と、感光体ドラム13に対向する出射面202とを有する。
LEDアレイチップ51の各LED(物体面)から入射面201までの距離LOと、出射面202から感光体ドラム13の表面13a(結像面)までの距離LIとは、互いに等しい(L1=LO)。レンズユニット200の各レンズ要素は、LEDアレイチップ51の各LEDからの出射光を、感光体ドラム13の表面13aに結像させる。
露光ヘッド2の筐体20は、例えば液晶ポリマ等の樹脂で構成されている。筐体20は、Y方向に対向する一対の側壁部21と、感光体ドラム13に対向する底部22とを有し、+Z方向(上方)が開放されている。一対の側壁部21から内側に突出するように、当接部28がそれぞれ形成されている。配線基板50は、その上方に配置されたベース部材27により、当接部28に押し当てられた状態で保持されている。
筐体20の底部22は、X方向に長い溝状の開口部22a(図11参照)が形成され、この開口部22aにレンズユニット200が接着等により固定されている。なお、筐体20の構成は、図5に示した構成に限らず、配線基板50とレンズユニット200とをZ方向に位置決めして保持する構成であればよい。
図6は、露光ヘッド2と、露光ヘッド2を保持するヘッドホルダ3とを示す斜視図である。図6に示すように、露光ヘッド2の筐体20はX方向に長く、筐体20のX方向の両端部23がヘッドホルダ3によって支持されている。
ヘッドホルダ3は、露光ヘッド2に対して+Z方向、すなわち感光体ドラム13とは反対側に配置されている。ヘッドホルダ3は、X方向の両端に位置する一対のアーム35と、これら一対のアーム35の間に設けられ、Y方向に対向する一対の側壁部31とを有する。
各アーム35の+Z方向の端部には、トップカバー102(図4)の所定箇所に固定される固定部38がそれぞれ形成されている。ヘッドホルダ3は、トップカバー102(図4)に対して露光ヘッド2を吊り下げた状態で保持する。
図7は、露光ヘッド2とヘッドホルダ3とを示す縦断面図である。露光ヘッド2のX方向の両端部23には、X方向両側に突出する係合部24が形成されている。ヘッドホルダ3の一対のアーム35には、係合部24を保持する保持溝36が形成されている。保持溝36は、Z方向に長く(図10(A)参照)、係合部24は保持溝36内でZ方向に移動可能である。これにより、露光ヘッド2は、ヘッドホルダ3にZ方向に移動可能に保持される。
ヘッドホルダ3は、露光ヘッド2を感光体ドラム13側に付勢する一対のレバー(移動部材)40を有する。一対の回動レバー40は、露光ヘッド2のX方向中心を中心として対称な2か所に配置されている。
一対の回動レバー40は、支軸32に取り付けられた根元部42と、根元部42からX方向外側にそれぞれ延在する延在部41と、延在部41の先端に位置する先端部43とを有する。支軸32は、軸方向をY方向とする円柱状の部材である。回動レバー40は、支軸32を中心として回動可能に支持されている。
図8は、回動レバー40の支持構造を示す断面図である。ヘッドホルダ3の一対の側壁部31には、支軸32が嵌合する穴31aが形成されている。支軸32は、各側壁部31の穴31aに嵌合することにより保持されている。なお、図8に示した支持構造に限らず、回動レバー40を回動可能に支持できればよい。
図7に戻り、各回動レバー40の先端部43には、−Z方向に突出する凸部である第1の当接部45が形成されている。また、各回動レバー40の先端部43に対して+Z方向には、ばね部材としてのスプリング48が配置されている。スプリング48は、例えば圧縮コイルばねであり、回動レバー40を露光ヘッド2に向けて(すなわち−Z方向に)付勢する。
回動レバー40およびスプリング48は、露光ヘッド2を付勢する付勢部を構成する。また、ヘッドホルダ3のうち、回動レバー40およびスプリング48を除く部分は、露光ヘッド2を保持するホルダ部を構成する。
露光ヘッド2の上面(+Z方向の端面)において、一対の第1の当接部45にそれぞれZ方向に対向する位置には、凸部である一対の第2の当接部25が形成されている。一対の第2の当接部25は、レンズユニット200(図5)が配置される領域、すなわち露光ヘッド2の開口部22a(図11)よりもX方向外側に配置されている。
露光ヘッド2の下面(−Z方向の端面)において、一対の第2の当接部25にそれぞれZ方向に対向する位置には、凸部である一対の第3の当接部26が形成されている。各第3の当接部26は、感光体ドラム13上のスペーサ12(図13)に当接する。
スプリング48と、回動レバー40の第1の当接部45と、露光ヘッド2の第2の当接部25および第3の当接部26とは、Z方向の同一軸線上に位置している。露光ヘッド2が後述する画像形成位置にあるときには、回動レバー40の第1の当接部45と露光ヘッド2の第2の当接部25とが互いに当接する。
図9は、露光ヘッド2およびヘッドホルダ3を示す、図7における線分IX−IXに沿った矢視方向の断面図である。スプリング48は、ヘッドホルダ3の天板部30から−Z方向に突出するポスト34を囲むように取り付けられている。
また、回動レバー40の先端部43のY方向両端には、さらにY方向外側に突出するガイド突起44が形成されている。ヘッドホルダ3の一対の側壁部31には、ガイド突起44が係合するガイド溝33が形成されている。ガイド溝33は、付勢部(回動レバー40およびスプリング48)の付勢力を規制する規制部に相当する。
ガイド溝33はZ方向に長く(図6参照)、ガイド突起44はガイド溝33内をZ方向に移動可能である。ガイド突起44とガイド溝33との係合により、回動レバー40の支軸32を中心とする回動範囲が規制される。
露光ヘッド2が画像形成位置にない場合(すなわちトップカバー102が完全には閉鎖されていない場合)には、図7に示すように、露光ヘッド2の係合部24が、ヘッドホルダ3の保持溝36の下端部36aに当接した状態で保持される。
この状態では、図9に示すように、回動レバー40のガイド突起44は、ヘッドホルダ3のガイド溝33の下端部33aに当接している。このときの回動レバー40の第1の当接部45と、露光ヘッド2の第2の当接部25との間には、Z方向に例えば数mmの隙間が形成される。
スプリング48は、圧縮された状態で回動レバー40の+Z方向の端面に当接しているが、上記のように第1の当接部45と第2の当接部25とが離間しているため、スプリング48の付勢力は露光ヘッド2に作用しない。すなわち、付勢部(回動レバー40およびスプリング48)の付勢力が規制されている。
図10(A),(B)は、ヘッドホルダ3の一対のアーム35をそれぞれ拡大して示す図である。図10(A),(B)に示すように、一対のアーム35には、上記の通り、露光ヘッド2の係合部24(図7)に係合する保持溝36がそれぞれ形成されている。
各保持溝36は、上記の通りZ方向に長く、−Z方向の端部すなわち下端部36aを有する。露光ヘッド2の係合部24が、保持溝36の下端部36aに当接しているときには(図7)、係合部24と保持溝36の下端部36aとの当接により、露光ヘッド2のZ方向位置が決まる。
保持溝36のY方向の幅は、係合部24がY方向に僅かに変位できる幅に設定されている。保持溝36のX方向の深さは、露光ヘッド2がX方向に僅かに変位できる深さに設定されている。すなわち、ヘッドホルダ3の保持溝36は、露光ヘッド2をXY面内で僅かに変位できるように保持している。
また、図10(A)に示すように、一方のアーム35(ここでは−X方向のアーム35)には、保持溝36から−Y方向に延在する着脱部としてのスリット37が形成されている。スリット37は、露光ヘッド2をヘッドホルダ3に取り付ける際、およびヘッドホルダ3から取り外す際に、露光ヘッド2の係合部24を通過させる部分である。
図11は、露光ヘッド2の筐体20を示す下面図である。レンズユニット200(図4)が収容される開口部22aは、筐体20の底部22のX方向の中央域に形成されている。開口部22aのX方向両側に、上述した第3の当接部26がそれぞれ形成されている。
また、筐体20の底部22の+X方向の端部近傍には、略円形の位置決め穴22bが形成されている。底部22の−X方向の端部近傍には、X方向に長い位置決め穴22cが形成されている。
筐体20の位置決め穴22b,22cは、露光ヘッド2が画像形成位置にあるときに、プロセスユニット11のユニット筐体110(図2)に設けられた突起と係合する。露光ヘッド2の位置決め穴22b,22cと、プロセスユニット11に設けられた突起との係合によって、露光ヘッド2がXY面内で位置決めされる。
図12は、画像形成位置にある露光ヘッド2と、ヘッドホルダ3と、感光体ドラム13とを示す図である。感光体ドラム13のX方向両端部には、露光ヘッド2の第3の当接部26に当接するスペーサ12がそれぞれ設けられている。スペーサ12は、露光ヘッド2と感光体ドラム13との距離を規定する部材である。
図13は、+X方向のスペーサ12と感光体ドラム13とを示す模式図である。スペーサ12は、感光体ドラム13の表面13aに沿った円弧状の摺動面12aと、露光ヘッド2の第3の当接部26に当接する平坦な当接面12bとを有する。
スペーサ12は、また、X方向の両端面12cと、Y方向の両端面12dとを有する。これらの端面12c,12dは、プロセスユニット11のユニット筐体110に形成された当接部にX方向およびY方向に当接し、これによりスペーサ12はX方向およびY方向に位置決めされる。
トップカバー102を閉鎖し、トップカバー102に取り付けられたヘッドホルダ3とこれに保持された露光ヘッド2が−Z方向に移動すると、図12に示すように、露光ヘッド2の第3の当接部26が感光体ドラム13上のスペーサ12に当接する。これにより、露光ヘッド2がヘッドホルダ3に対して+Z方向に移動し、露光ヘッド2の係合部24が保持溝36の下端部36aから離れ、保持溝36の内部を+Z方向に移動する。
その結果、露光ヘッド2の第2の当接部25が回動レバー40の第1の当接部45に当接する。これにより、回動レバー40が支軸32を中心として+Z方向に回動し、回動レバー40のガイド突起44がガイド溝33の下端部33aから+Z方向に離間する。
これにより、スプリング48の付勢力は、回動レバー40の第1の当接部45と、露光ヘッド2の当接部25,26を介して、感光体ドラム13上のスペーサ12に作用する。すなわち、露光ヘッド2と感光体ドラム13との距離が、スペーサ12によって規定された距離に定まる。このときの露光ヘッド2の位置を、画像形成位置と称する。
図12において、スプリング48、第1の当接部45、第2の当接部25、第3の当接部26およびスペーサ12は、同一直線(図12に符号Bで示す)上に位置する。より具体的には、スプリング48、第1の当接部45、第2の当接部25、第3の当接部26およびスペーサ12のそれぞれの中心位置は、X方向において互いに一致している。そのため、スプリング48の付勢力は、露光ヘッド2を湾曲させる方向には作用しない。
<画像形成装置1の動作>
次に、画像形成装置1の動作について、図1を参照して説明する。画像形成装置1は、上位装置から印刷コマンドと印刷データを受信すると、画像形成動作を開始する。
まず、ピックアップローラ72およびフィードローラ73が、給紙トレイ71内の媒体Pを一枚ずつ搬送路R1に送り出す。さらに搬送ローラ75,76が、媒体Pを搬送路R1に沿って画像形成部10まで搬送する。
画像形成部10では、ドライブローラ63が回転して転写ベルト62を走行させ、転写ベルト62が媒体Pを吸着保持して搬送する。媒体Pは、プロセスユニット11K,11Y,11M,11Cの順に通過する。
各プロセスユニット11K,11Y,11M,11Cでは、各色のトナー像の形成が行われる。すなわち、各プロセスユニット11の帯電ローラ14、現像ローラ15および供給ローラ16には、帯電電圧、現像電圧および供給電圧がそれぞれ印加される。
また、感光体ドラム13が回転し、これに伴って、帯電ローラ14、現像ローラ15および供給ローラ16も回転する。帯電ローラ14は、感光体ドラム13の表面を一様に帯電させる。
さらに、露光ヘッド2が画像データに基づいて光を出射し、一様に帯電された感光体ドラム13の表面を露光して静電潜像を形成する。
感光体ドラム13の表面に形成された静電潜像は、現像ローラ15に付着したトナーによって現像され、感光体ドラム13の表面にトナー像が形成される。感光体ドラム13に形成されたトナー像が、転写ローラ61に印加される転写電圧により、転写ベルト62上の媒体Pに転写される。媒体Pに転写されなかったトナーは、クリーニング部材18によって掻き取られる。
このように、各プロセスユニット11K,11Y,11M,11Cで形成された各色のトナー像が媒体Pに順次転写され、互いに重ね合される。各色のトナー像が転写された媒体Pは、転写ベルト62によってさらに搬送され、定着装置80に到達する。
定着装置80では、媒体P上のトナー像が加熱ローラ81と加圧ローラ82とによって加熱および加圧され、トナー像が媒体Pに定着される。
トナー像が定着した媒体Pは、排出ローラ86,87により、画像形成装置1の外部に排出され、スタッカ部88上に積載される。これにより、媒体Pへのカラー画像の形成が完了する。
また、両面印刷の場合には、定着装置80で第1面にトナー像が定着した媒体Pが、切り替えガイド91、搬送ローラ92、切り替えガイド93および搬送ローラ94によって退避路R5に一旦退避した後、搬送ローラ94および切り替えガイド93によって退避路R5から逆向きに送り出され、搬送ローラ95〜97によって戻り搬送路R4を搬送される。媒体Pは、戻り搬送路R4から搬送路R1に到達し、搬送ローラ75,76によって画像形成部10に搬送される。
その後、画像形成部10において媒体Pの第2面にトナー像が転写され、定着装置80において媒体Pの第2面にトナー像が定着する。トナー像が定着した媒体Pは、排出ローラ86,87により画像形成装置1の外部に排出され、スタッカ部88上に積載される。
<露光ヘッド2およびヘッドホルダ3の動作>
露光ヘッド2が画像形成位置にない場合(すなわちトップカバー102が完全には閉鎖されていない場合)には、回動レバー40のガイド突起44はヘッドホルダ3のガイド溝33の下端部33aに当接している。
また、露光ヘッド2の係合部24は、ヘッドホルダ3の保持溝36の下端部36aで保持され、回動レバー40の第1の当接部45と露光ヘッド2の第2の当接部25との間には隙間がある。
トップカバー102を閉鎖すると、トップカバー102に取り付けられたヘッドホルダ3が−Z方向に移動し、ヘッドホルダ3に保持された露光ヘッド2も−Z方向に移動する。これにより、露光ヘッド2の第3の当接部26が感光体ドラム13上のスペーサ12に当接する。
その結果、図12に示すように、露光ヘッド2がヘッドホルダ3に対して+Z方向に移動し、露光ヘッド2の係合部24が保持溝36の下端部36aから離れて+Z方向に移動する。露光ヘッド2がヘッドホルダ3に対して+Z方向に移動すると、露光ヘッド2の第2の当接部25が回動レバー40の第1の当接部45に当接する。
これにより、回動レバー40が、先端部43が+Z方向に移動するように回動し、回動レバー40のガイド突起44がガイド溝33の下端部33aから離れて+Z方向に移動する。これにより、スプリング48の付勢力は、回動レバー40の第1の当接部45と、露光ヘッド2の当接部25,26とを介して、感光体ドラム13上のスペーサ12に作用する。
その結果、露光ヘッド2と感光体ドラム13との距離が、スペーサ12によって規定された距離に定まる。すなわち、図5を参照して説明したように、LEDアレイチップ51の各LEDから入射面201までの距離LOと、出射面202から感光体ドラム13の表面13aまでの距離LIとが、互いに等しくなる。すなわち、LEDアレイチップ51の各LEDからの出射光が、感光体ドラム13の表面13aに結像する状態となる。
一方、トップカバー102を開放すると、トップカバー102に取り付けられたヘッドホルダ3が+Z方向に移動し、ヘッドホルダ3に保持された露光ヘッド2も+Z方向に移動する。これにより、露光ヘッド2の第3の当接部26が感光体ドラム13上のスペーサ12から離間する。
その結果、図7に示すように、露光ヘッド2がヘッドホルダ3に対して−Z方向に移動し、露光ヘッド2の係合部24が保持溝36の内部を−Z方向に移動し、下端部36aに当接する。露光ヘッド2がヘッドホルダ3に対して−Z方向に移動することにより、露光ヘッド2の第2の当接部25が、回動レバー40の第1の当接部45から−Z方向に離間する。これにより、スプリング48の付勢力が露光ヘッド2には作用しない状態となる。
また、スプリング48の付勢力により、回動レバー40が、先端部43が−Z方向に移動するように回動する。回動レバー40のガイド突起44がガイド溝33の下端部33aに当接することにより、回動レバー40の回動が停止する。
この状態で、露光ヘッド2は、その自重により、係合部24を保持溝36の下端部36aに当接させた状態で、ヘッドホルダ3に保持される。
このように、露光ヘッド2が画像形成位置にあるときには(図12)、スプリング48の付勢力が露光ヘッド2に作用するが、露光ヘッド2が画像形成位置にないときには(図7)、スプリング48の付勢力が規制され、露光ヘッド2には作用しない。そのため、露光ヘッド2の交換時に、スプリング48の付勢力が作用していない状態で露光ヘッド2を取り扱うことができる。
露光ヘッド2の筐体20を樹脂で構成したした場合、筐体20を金属で構成した場合よりも、取り扱い時に筐体20がスプリング48から受ける付勢力によって、筐体20が変形しやすい。筐体20が変形すると、レンズユニットの焦点ずれが生じ、画像品質の低下を招く。
また、露光ヘッド2を変形させないように、露光ヘッド2をヘッドホルダ3と共に交換することも考えられるが、交換部品数が多くなり、コストの増加を招く。
本実施の形態では、露光ヘッド2が画像形成位置にないときには、スプリング48の付勢力が露光ヘッド2には作用しないため、筐体20を剛性の低い材料(例えば樹脂)で構成した場合でも、取り扱い時の筐体20の変形を生じにくくすることができる。
図14は、露光ヘッド2のヘッドホルダ3からの取り外し作業を説明するための模式図である。露光ヘッド2をヘッドホルダ3から取り外す際には、ユーザは、トップカバー102を開放する。その後、図14に示すように、スリット37に近い側の回動レバー40のガイド突起44(図9)を指で押し上げ、回動レバー40を先端部43がZ方向に移動するように回動させる。これにより、露光ヘッド2の+Z方向に一定のスペースが形成される。
この状態で、露光ヘッド2の−X方向の端部を+Z方向に持ち上げ、露光ヘッド2の係合部24を、ヘッドホルダ3の保持溝36のスリット37の位置に到達させる。さらに、露光ヘッド2を−Y方向(前方)に移動させることにより、係合部24がスリット37からヘッドホルダ3の外部に抜ける。
その後、露光ヘッド2をヘッドホルダ3に対して斜めに引き出すことにより、露光ヘッド2の+X方向の端部もヘッドホルダ3の保持溝36から抜ける。これにより、露光ヘッド2のヘッドホルダ3からの取り外しが完了する。
露光ヘッド2をヘッドホルダ3に取り付ける際には、トップカバー102が開放された状態で、露光ヘッド2をヘッドホルダ3に対して斜めに挿入し、露光ヘッド2の+X方向の端部をヘッドホルダ3の保持溝36に係合させる。
さらに、スリット37(図14)に近い側の回動レバー40のガイド突起44(図9)を指で押し上げ、回動レバー40を先端部43が+Z方向に移動するように回動させる。この状態で、露光ヘッド2の−X方向の係合部24を、ヘッドホルダ3のスリット37を介して保持溝36に係合させる。
その後、露光ヘッド2をヘッドホルダ3に対して斜めに押し込み、露光ヘッド2の+X方向の端部もヘッドホルダ3の保持溝36に係合させる。これにより、露光ヘッド2のヘッドホルダ3への取り付けが完了する。
<実施の形態の効果>
以上説明したように、第1の実施の形態の画像形成装置1は、感光体ドラム13を有するプロセスユニット11と、感光体ドラム13を露光する露光ヘッド2と、露光ヘッド2を保持するヘッドホルダ3と、露光ヘッド2をプロセスユニット11に対して付勢する付勢部(回動レバー40およびスプリング48)と、スプリング48の付勢力を規制するガイド溝33とを有する。ガイド溝33は、露光ヘッド2が画像形成位置にない場合には、付勢部の露光ヘッド2に対する付勢力を規制し、露光ヘッド2が画像形成位置にある場合には、付勢部の露光ヘッド2に対する付勢力の規制を解除する。
そのため、露光ヘッド2の取り扱い時に筐体20に過剰な力が作用することが抑制される。これにより、露光ヘッド2の筐体20を剛性の低い材料(例えば樹脂)で構成した場合でも、露光ヘッド2の変形を抑制することができる。
特に、露光ヘッド2が画像形成位置にない場合(すなわち露光ヘッド2がプロセスユニット11から離間した位置で保持されている場合)には、ガイド溝33により、回動レバー40が露光ヘッド2から離間し、露光ヘッド2が画像形成位置にある場合(すなわち露光ヘッド2がプロセスユニット11に当接している場合)には、回動レバー40が露光ヘッド2に当接する。そのため、露光ヘッド2が画像形成位置にない場合には、露光ヘッド2にスプリング48の付勢力が作用せず、これにより露光ヘッド2の変形抑制の効果を高めることができる。
また、ヘッドホルダ3に回動可能に保持される回動レバー40(移動部材)と、回動レバー40を露光ヘッド2に向けて付勢するスプリング48(ばね部材)とを有し、露光ヘッド2が画像形成位置にないときは、回動レバー40の位置が、ガイド溝33により、露光ヘッド2から離間した第1の位置(図7)で規制される。そのため、簡単な構成で、露光ヘッド2が画像形成位置にない場合に、露光ヘッド2にスプリング48の付勢力を作用させないようにすることができる。
また、ヘッドホルダ3は、回動レバー40を第1の位置(図7)よりも更に露光ヘッド2から離間した第2の位置(図14)まで移動した状態で、露光ヘッド2をヘッドホルダ3に対して着脱するためのスリット37(着脱部)を有する。そのため、スプリング48の付勢力に抗して露光ヘッド2を第2の位置に移動させることで、露光ヘッド2を、スリット37を介してヘッドホルダ3から取り外すことができる。
また、プロセスユニット11は、感光体ドラム13および露光ヘッド2の両方に当接するスペーサ12を有し、回動レバー40は、露光ヘッド2に当接する第1の当接部45を有し、露光ヘッド2は、第1の当接部45に当接する第2の当接部25と、スペーサ12に当接する第3の当接部26とを有する。これらスプリング48、第1の当接部45、第2の当接部25、第3の当接部26、およびスペーサ12は、同一直線上に配置されている。そのため、スプリング48の付勢力が露光ヘッド2を撓ませる方向に作用せず、露光ヘッド2の変形抑制の効果を高めることができる。
また、ヘッドホルダ3は、回動レバー40を露光ヘッド2に対して接近および離間する方向に案内するガイド溝33を有し、回動レバー40のガイド突起44がガイド溝33の下端部33aに当接することにより、回動レバー40の位置が第1の位置で規制される。そのため、簡単な構成で、回動レバー40の位置を規制することができる。
また、画像形成装置1が、ヘッドホルダ3が、装置筐体101に対して開閉可能なトップカバー102に取り付けられており、トップカバー102を装置筐体101に対して閉鎖することにより、露光ヘッド2がプロセスユニット11の所定箇所に当接して画像形成位置に位置する。そのため、トップカバー102の開閉に連動して、露光ヘッド2に対するスプリング48の付勢力の作用状態が切り替えられる。
第2の実施の形態.
次に、第2の実施の形態について説明する。図15は、第2の実施の形態の移動部材としてのスライド体40Aを示す斜視図である。第2の実施の形態の画像形成装置は、第1の実施の形態の回動レバー40の代わりに、図15のスライド体40Aを有する。
スライド体40Aは、ここでは略6面体形状を有し、X方向の両端面401と、Y方向の両端面402と、+Z方向の上面403と、−Z方向の下面404とを有する。Y方向の両端面402には、第1の実施の形態で説明したガイド突起44が設けられている。下面404には、第1の実施の形態で説明した第1の当接部45が設けられている。
図16(A)は、露光ヘッド2およびヘッドホルダ3の各一部を拡大して示す、XZ面に平行な面における断面図である。図16(B)は、露光ヘッド2およびヘッドホルダ3の各一部を拡大して示す、YZ面に平行な面における断面図である。
ヘッドホルダ3は、図16(A)に示すように、スライド体40AのX方向両側に、Z方向に延在するガイド壁39をそれぞれ有し、図16(B)に示すように、スライド体40AのY方向両側に、Z方向に延在する側壁部31をそれぞれ有する。スライド体40Aは、X方向両側の一対のガイド壁39、およびY方向両側の一対の側壁部31により、Z方向にスライド可能(移動可能)に保持されている。
図16(B)に示すように、それぞれの側壁部31には、第1の実施の形態で説明したガイド溝33が形成され、各ガイド溝33にはスライド体40Aのガイド突起44が係合している。そのため、スライド体40AのZ方向の移動範囲は、ガイド溝33によって規制される。
スライド体40Aとヘッドホルダ3の天板部30との間には、第1の実施の形態で説明したスプリング48が設けられている。スプリング48は、スライド体40Aの上面403に当接し、スライド体40Aを−Z方向に付勢する。
露光ヘッド2は、第1の実施の形態と同様、スライド体40Aの第1の当接部45に当接する第2の当接部25と、感光体ドラム13上のスペーサ12(図12)に当接する第3の当接部26とを有する。
露光ヘッド2が画像形成位置にない場合には、スライド体40Aのガイド突起44がガイド溝33の下端部33aに当接し、この状態でスライド体40Aが保持される。すなわち、スプリング48の付勢力は、露光ヘッド2には作用しない。
露光ヘッド2が画像形成位置にある場合には、露光ヘッド2の第3の当接部26が感光体ドラム13上のスペーサ12(図12)に当接することにより、露光ヘッド2がヘッドホルダ3に対して+Z方向に移動し、露光ヘッド2の第2の当接部25がスライド体40Aの第1の当接部45に当接する。これにより、スライド体40Aのガイド突起44がガイド溝33の下端部33aから離れ、スライド体40Aが+Z方向に移動する。
その結果、スプリング48の付勢力は、スライド体40Aの第1の当接部45、および露光ヘッド2の当接部25,26を介して、感光体ドラム13上のスペーサ12に作用する。これにより、露光ヘッド2と感光体ドラム13との距離が、スペーサ12によって規定された距離に定まる。
第2の実施の形態の画像形成装置の構成および動作は、第1の実施の形態の回動レバー40に変えてスライド体40Aを用いたことを除き、第1の実施の形態と同様である。露光ヘッド2のヘッドホルダ3からの取り外しも、第1の実施の形態と同様に行われる。
以上説明したように、第2の実施の形態では、第1の実施の形態の回動レバー40の代わりにスライド体40Aを用いるため、第1の実施の形態で説明した効果に加え、装置構成をさらに簡単にすることができる。
第3の実施の形態
次に、第3の実施の形態について説明する。上述した第1および第2の実施の形態では、露光ヘッド2が画像形成位置にあるときにはスプリング48の付勢力を露光ヘッド2に作用させ、露光ヘッド2が画像形成位置にないときにはスプリング48の付勢力を露光ヘッド2に作用させない。
これに対し、第3の実施の形態では、露光ヘッド2が画像形成位置にあるときにはスプリング48の付勢力を露光ヘッド2に強く作用させ、露光ヘッド2が画像形成位置にないときにはスプリング48の付勢力を露光ヘッド2に弱く作用させる。すなわち、露光ヘッド2が画像形成位置にないときには、スプリング48の付勢力を規制するが、0にはしない。
図17(A)は、第3の実施の形態の露光ヘッド2およびヘッドホルダ3を示す、XZ面に平行な面における断面図である。第3の実施の形態では、第1の実施の形態で説明した回動レバー40(図7)も、第2の実施の形態で説明したスライド体40A(図15)も設けられていない。
また、第3の実施の形態では、ヘッドホルダ3の天板部30と露光ヘッド2との間に、付勢部としてのスプリング48が設けられている。すなわち、スプリング48が露光ヘッド2に直接当接している。スプリング48は、圧縮コイルばねである。
スプリング48の周囲を囲むように、スプリング48の付勢力を規制する規制部としてのスプリング規制壁300が設けられている。スプリング規制壁300は、ヘッドホルダ3の天板部30から−Z方向に延在する。スプリング規制壁300の下端部には、スプリング48の内側に侵入してその動作を規制する爪状の規制部301が形成されている。
規制部301は、スプリング48のうち、ヘッドホルダ3の天板部30と規制部301との間に位置する第1のコイル部分48aの最大ピッチP1を規制する。一方、規制部301と露光ヘッド2との間に位置する第2のコイル部分48bのピッチは、ヘッドホルダ3に対する露光ヘッド2の相対位置によって変化する。
図17(A)に示した状態では、露光ヘッド2は画像形成位置にはなく、露光ヘッド2の係合部24がヘッドホルダ3の保持溝36の下端部36aに当接している。この状態では、スプリング48の第1のコイル部分48aの両端が、ヘッドホルダ3の天板部30と規制部301に当接しているため、露光ヘッド2には作用しない。そのため、露光ヘッド2には、スプリング48の第2のコイル部分48bの付勢力のみが作用する。
図17(B)は、露光ヘッド2が画像形成位置にあるときの露光ヘッド2およびヘッドホルダ3を示す、XZ面に平行な面における断面図である。露光ヘッド2が画像形成位置にあるときには、露光ヘッド2がヘッドホルダ3に対して+Z方向に移動するため、スプリング48の第1のコイル部分48aおよび第2のコイル部分48bが共に圧縮される。これにより、露光ヘッド2には、スプリング48の第1のコイル部分48aの付勢力と第2のコイル部分48bの付勢力とが作用する。
このように、露光ヘッド2が画像形成位置にあるときには、露光ヘッド2にはスプリング48の大きい付勢力が作用し、露光ヘッド2が画像形成位置にないときには、露光ヘッド2にはスプリング48の小さい付勢力が作用する。そのため、露光ヘッド2を、露光ヘッド2にスプリング48の小さい付勢力が作用している状態で取り扱うことができる。これにより、露光ヘッド2の筐体20の剛性の低い材料で構成した場合でも、筐体20の変形を抑制することができる。
第3の実施の形態の画像形成装置の構成および動作は、第1の実施の形態の回動レバー40を用いる代わりに、スプリング48を露光ヘッド2に当接させ、スプリング規制壁300を用いたことを除き、第1の実施の形態と同様である。
露光ヘッド2のヘッドホルダ3からの取り外しも、第1の実施の形態と概ね同様に行われる。すなわち、ユーザは、まず、スリット37(図14)に近い側のスプリング48を指で押し上げる。そして、露光ヘッド2の−X方向の端部を+Z方向に持ち上げ、露光ヘッド2の係合部24をスリット37からヘッドホルダ3の外部に抜き出し、その後、露光ヘッド2の全体をヘッドホルダ3から斜めに引き出す。
以上説明したように、第3の実施の形態では、露光ヘッド2が画像形成位置にない場合には、スプリング規制壁300によりスプリング48の露光ヘッド2に対する付勢力を規制し、露光ヘッド2が画像形成位置にある場合には、スプリング48の露光ヘッド2に対する付勢力の規制を解除する。そのため、露光ヘッド2の取り扱い時に筐体20に過剰な力が作用することを抑制することができ、露光ヘッド2の筐体20を剛性の低い材料で構成した場合でも、露光ヘッド2の変形を抑制することができる。
以上、本発明の各実施の形態および変形例について説明したが、本発明は、上述した各実施の形態に限定されるものではなく、種々の変形または改変が可能である。
上記の実施の形態では、カラー画像を形成する画像形成装置について説明したが、本発明は単色(モノクロ)画像を形成する画像形成装置に適用することもできる。また、本発明は、例えば、電子写真方式を利用して媒体に画像を形成する画像形成装置(例えば複写機、ファクシミリ、プリンタ、複合機等)およびその定着装置に利用することができる。