JP2021036198A - 電流センサの製造方法および電流センサ - Google Patents

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政明 ▲高▼田
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康弘 清水
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Abstract

【課題】外部磁場の影響を低減することができる電流センサを提供する。【解決手段】検出対象の電流によって生じる磁場に基づき電流を検出する電流センサの製造方法である。本方法は、電流センサ(1)を準備する工程と、同相磁場(Bc)を電流センサに印加する工程(ST1)と、ゲインを調整する工程(ST2)とを含む。電流センサは、電流(I)に応じて互いに逆相の磁場(B1,B2)を感知する第1及び第2磁気センサと、出力部とを備える。出力部は、第1磁気センサの感知結果と第2磁気センサの感知結果との差動増幅を演算して、電流の検出結果を示す出力信号を生成する。同相磁場は、第1磁気センサと第2磁気センサとに同相で入力される。ゲインを調整する工程は、同相磁場に応じて、第1及び第2磁気センサの感知結果として出力部に差動増幅される2つの信号量が合致するように、電流センサにおける信号のゲインを調整する。【選択図】図9

Description

本発明は、電流によって生じる磁場に基づいて電流を検出する電流センサの製造方法および電流センサに関する。
特許文献1は、電流が流れるバスバーに取り付けられる電流センサを開示している。特許文献1の電流センサは、2つの磁気センサと、2つの増幅器と、演算回路とを備えている。2つの磁気センサは、互いの磁界感知面が直交するように配置されている。各々の磁気センサの出力は、それぞれの増幅回路を介して演算回路に入力されている。演算回路は、各々の出力に基づいて、互いに直交するベクトルのベクトル合成を演算することにより、電流センサの取り付け角度に依らない計測精度を得ている。特許文献1では、上記のようにバスバーへの取り付け誤差に対して計測精度を維持する目的で2つの磁気センサを用いる際に、2組の磁気センサ及び増幅器を同一性能にするべく、一方の増幅器の増幅抵抗が調整されている。
特開2002−333456号公報
本発明の目的は、電流によって生じる磁場に基づいて電流を検出する電流センサにおいて、外部磁場の影響を低減することができる電流センサ及びその製造方法を提供することにある。
本発明に係る電流センサの製造方法は、検出対象の電流によって生じる磁場に基づき電流を検出する電流センサの製造方法である。本方法は、電流センサを準備する工程と、同相磁場を電流センサに印加する工程と、電流センサにおける信号のゲインを調整する工程とを含む。電流センサは、磁場を感知する第1磁気センサと、電流に応じて第1磁気センサが感知する磁場とは逆相の磁場を感知する第2磁気センサと、出力部とを備える。出力部は、第1磁気センサの感知結果と第2磁気センサの感知結果との差動増幅を演算して、電流の検出結果を示す出力信号を生成する。同相磁場は、第1磁気センサと第2磁気センサとに同相で入力される。ゲインを調整する工程は、同相磁場に応じて、第1及び第2磁気センサの感知結果として出力部に差動増幅される2つの信号量が合致するように、電流センサにおける信号のゲインを調整する。
本発明に係る電流センサは、第1磁気センサと、第1演算部と、第2磁気センサと、第2演算部と、第3演算部と、調整部とを備える。第1磁気センサは、第1のセンサゲインにおいて磁場を感知する。第1演算部は、第1磁気センサの感知結果に第1の演算ゲインを乗算する。第2磁気センサは、電流に応じて第1磁気センサが感知する磁場とは逆相の磁場を、第2のセンサゲインにおいて感知する。第2演算部は、第2磁気センサの感知結果に第2の演算ゲインを乗算する。第3演算部は、第1及び第2演算部の演算結果に基づき電流の検出結果を示す出力信号を算出する。調整部は、第1及び第2のセンサゲイン並びに第1及び第2の演算ゲインのうちの少なくとも1つのゲインを調整する。調整部は、第1のセンサゲインと第1の演算ゲインの積と、第2のセンサゲインと第2の演算ゲインの積とを合致させる。
本発明に係る電流センサ及びその製造方法によると、電流によって生じる磁場に基づいて電流を検出する電流センサにおける信号のゲインが調整されることにより、外部磁場の影響を低減することができる。
実施形態1に係る電流センサの外観を例示する斜視図 実施形態1に係る電流センサの構成を示すブロック図 電流センサにおける磁気センサの構成を例示する回路図 実施形態1に係る電流センサの調整部及び第1演算部の構成例を示す図 電流センサにおける第3演算部の構成例を示す図 電流センサにおける信号磁場と磁気センサとの関係を説明するための図 電流センサにおける外部磁場耐性を説明するための図 電流センサにおける各種信号に対する外部磁場の影響を例示するグラフ 実施形態1に係る電流センサの調整方法を示すフローチャート 電流センサに同相磁場が印加される状態の一例を示す図 実施形態1に係る電流センサのゲイン調整を説明するための図 電流センサの通電補正を説明するための図 電流センサに同相磁場が印加される状態の別例を示す図 実施形態2に係る電流センサの構成を示すブロック図 実施形態2に係る電流センサの調整部の構成例を示す図 実施形態3に係る電流センサの構成を示すブロック図 実施形態4に係る電流センサの構成を示すブロック図 実施形態4に係る電流センサのゲイン調整を説明するための図 電流センサに検出される電流が流れる導体の変形例1を示す図 電流センサに検出される電流が流れる導体の変形例2を示す図 変形例2において同相磁場が印加される状態を例示する図
以下、添付の図面を参照して本発明に係る電流センサ及びその製造方法の実施形態を説明する。
各実施形態は例示であり、異なる実施形態で示した構成の部分的な置換または組み合わせが可能であることは言うまでもない。実施形態2以降では実施形態1と共通の事項についての記述を省略し、異なる点についてのみ説明する。特に、同様の構成による同様の作用効果については、実施形態毎には逐次言及しない。
(実施形態1)
実施形態1では、検出対象の電流によって生じる磁場(以下「信号磁場」という)に基づいて電流を検出する電流センサにおいて、外部磁場耐性を確保するための調整機能を有する電流センサを提供する。外部磁場耐性は、信号磁場とは別に外部から印加される外部磁場の影響によって、電流の検出結果が変動しないようにする耐性である。
1.構成
実施形態1に係る電流センサの構成について、図1,2を用いて説明する。図1は、実施形態1に係る電流センサ1の外観を例示する斜視図である。図2は、本実施形態に係る電流センサ1の構成を示すブロック図である。
電流センサ1は、例えば図1に示すように、バスバー2に取り付けられる。バスバー2は、長手方向(Y方向)に電流センサ1の検出対象の電流Iが流れる導体の一例である。以下、バスバー2の幅方向をX方向とし、長手方向をY方向とし、厚さ方向をZ方向とする。
本実施形態に係る電流センサ1は、図2に示すように、2つの磁気センサ11,12と、演算装置3とを備える。電流センサ1は、2つの磁気センサ11,12を用いて、バスバー2に流れる電流Iによる信号磁場を感知して、電流Iの検出結果を演算装置3で算出する。
バスバー2は、Y方向における途中の一部分において、2つの流路21,22に分岐されている。電流センサ1は、第1及び第2流路21,22間に配置されている。第1流路21は電流センサ1よりも+Z側に位置し、第2流路22は電流センサ1よりも−Z側に位置する。図1に例示するように、電流Iがバスバー2を+Y向きに流れると、第1流路21と第2流路22とに分流する。分流した各々の電流は、第1流路21と第2流路22との双方において+Y向きに流れる。
電流センサ1において、2つの磁気センサ11,12は、例えばX方向に並んで配置される。第1磁気センサ11と第2磁気センサ12とは、それぞれ第1流路21近傍と第2流路22近傍とにおいて、電流Iに基づく信号磁場が互いに逆相に分布する領域に配置される(図6参照)。第1及び第2磁気センサ11,12は、例えば磁気抵抗素子を含み、1軸成分の磁場を感知する感度軸を有する。各々の磁気センサ11,12は、例えば感度軸の方向がX方向に適宜、許容誤差の範囲内で平行になるように配置される。磁気センサ11,12の構成の詳細については後述する。
第1磁気センサ11は、磁電変換のためのセンサゲインを有する(以下「G1」とする)。第1磁気センサ11は、センサゲインG1に従って磁場の感知結果を示す第1センサ信号S1を生成する。第1磁気センサ11のセンサゲインG1は、本実施形態における第1のセンサゲインの一例である。
また、第2磁気センサ12は、磁電変換のためのセンサゲインを有する(以下「G2」とする)。第2磁気センサ12は、センサゲインG2に従って磁場の感知結果を示す第2センサ信号S2を生成する。第2磁気センサ12のセンサゲインG2は、本実施形態における第2のセンサゲインの一例である。
演算装置3は、図2に示すように、第1演算部31と、第2演算部32と、第3演算部33と、温度検出部34と、調整部4とを備える。演算装置3は、本実施形態における電流センサ1の出力部の一例である。演算装置3の構成の詳細については後述する。
第1演算部31は、例えば1倍以上の倍率を示す演算ゲインを有する(以下「A1」とする)。第1演算部31は、第1磁気センサ11から第1センサ信号S1を入力し、入力した第1センサ信号S1に演算ゲインA1を乗算する。第1センサ信号S1は、第1演算部31による乗算を介して、第1検出信号Sp1として第3演算部33に出力される。第1演算部31と第1磁気センサ11とは、第1検出信号Sp1を生成する磁気検出部10Aを構成する。第1演算部31の演算ゲインA1は、本実施形態における第1の演算ゲインの一例である。
第2演算部32は、例えば1倍以上の倍率を示す演算ゲインを有する(以下「A2」とする)。第2演算部32は、第2磁気センサ12から第2センサ信号S2を入力し、入力した第2センサ信号S2に演算ゲインA2を乗算する。第2センサ信号S2は、第2演算部32による乗算を介して、第2検出信号Sp2として第3演算部33に出力される。第2演算部32と第2磁気センサ12とは、第2検出信号Sp2を生成する磁気検出部10Bを構成する。第2演算部32の演算ゲインA2は、本実施形態における第2の演算ゲインの一例である。
第3演算部33は、例えば1倍以上の倍率を示す演算ゲインを有する。第3演算部33は、固有の演算ゲインにおいて、第1演算部31からの第1検出信号Sp1と第2演算部32からの第2検出信号Sp2との差動増幅を演算して、演算結果を示す出力信号Soutを生成する。第3演算部33は、電流センサ1による電流Iの検出結果として、出力信号Soutを出力する。
また、本実施形態において、第3演算部33は、温度補償回路等を含む。第3演算部33は、温度検出部34による検出結果の温度に応じて、演算ゲイン等の変動を補正するように、出力信号Soutの温度補償を行う。
温度検出部34は、例えば半導体温度センサであり、周囲の温度を検出する。温度検出部34の種類は特に限定されず、例えば、サーミスタ、熱電対、リニア正温度係数抵抗器、白金測温抵抗体などが用いられてもよい。また、温度検出部34は、第3演算部33の温度補償回路に組み込まれてもよい。
調整部4は、電流センサ1における種々のゲインを調整する機能を実現するための回路等である。本実施形態において、調整部4は、第1演算部31の演算ゲインA1及び/又は第2演算部32の演算ゲインA2を調整する。調整部4は、演算装置3に組み込まれていてもよいし、演算装置3とは別途、構成されてもよい。
本実施形態では、調整部4による調整機能によって、電流センサ1における外部磁場耐性を確保する(詳細は後述)。調整部4による調整機能は、アナログ領域において実現されてもよいし、デジタル領域において実現されてもよい。
演算装置3において、第1〜第3演算部31〜33は、バッファとして機能してもよい。また、本実施形態において、各演算部31〜33は、各々のオフセットを調整するオフセット調整回路を含み得る。オフセットは、各演算部31〜33が、入力される信号がない状態で出力する信号の値についての基準値からのずれを示す。例えば、第3演算部33は、出力信号Soutにおけるオフセットの温度補償を行ってもよい。
また、2つの磁気センサ11,12と演算装置3とは、図2に示すような電流センサ1において、例えば同一のパッケージ内に配置される。2つの磁気センサ11,12は、例えば1つの集積チップ内に配置される。2つの磁気センサ11,12を同一チップ内で近接配置することにより、外部磁場が空間的に不均一な場合における外部磁場耐性を向上できる。さらに、電流センサ1の周囲温度に勾配が合った場合において、磁気センサl1、l2間の温度に対する磁電変換利得ばらつきを抑制でき、外部磁場耐性を向上できる。
第1及び第2演算部31,32は、例えば、電流センサ1内部で同一の集積チップ内に近接配置される。これにより、電流センサ1の周囲温度に勾配があった場合において、第1及び第2演算部31,32間の温度に対するゲインばらつきを抑制でき、外部磁場耐性を向上できる。
磁気センサ11,12と演算装置3との間にループ配線がある場合、交流の外部磁場が鎖交して起電力を発生することにより、電流の検出誤差を招くことが想定される。これに対して、上述のように第1及び第2演算部31,32のばらつきを抑制することで、起電力の同相成分を第3演算部33において打ち消すことができ、電流センサ1における交流の外部磁場耐性を向上できる。
また、2つの磁気センサ11,12と演算装置3とは、図2に示すような電流センサ1において、例えば、ループ配線が生じないように最短に配線される。これにより、交流の外部磁場耐性を向上でき、電流センサ1の検出精度を良くすることができる。
1−1.磁気センサについて
電流センサ1における磁気センサ11,12の構成の詳細について、図3を用いて説明する。2つの磁気センサ11,12は同様に構成される。以下では、一方の磁気センサ11について説明する。図3は、電流センサ1における磁気センサ11の構成を例示する回路図である。
図3の例において、磁気センサ11は、4つの磁気抵抗素子13a〜13dを含み、ホイートストンブリッジ回路を構成する。磁気センサ11は、例えば電源電圧Vddにより定電圧駆動される。それぞれの磁気抵抗素子13a〜13dは、例えばAMR(Anisotropic Magneto Resistance)素子である。
本例において、4つの磁気抵抗素子13a〜13dのうちの第1及び第2磁気抵抗素子13a,13bの直列回路と、第3及び第4磁気抵抗素子13c,13dの直列回路とが並列に接続される。第1及び第4磁気抵抗素子13a,13dは、磁気センサ11に入力される磁場に対して増減傾向が共通する磁気抵抗値MR1,MR4を有する。第2及び第3磁気抵抗素子13b,13cは、第1及び第4磁気抵抗素子13a,13dの磁気抵抗値MR1,MR4とは逆の増減傾向の磁気抵抗値MR2,MR3を有する。
磁気センサ11の電源電圧Vddは、第1及び第3磁気抵抗素子13a,13c間の接続点に供給される。第2及び第4磁気抵抗素子13b,13d間の接続点は接地される。第1及び第2磁気抵抗素子13a,13b間のノード14pは、電位S1pを有する。第3及び第4磁気抵抗素子13c,13d間のノード14mは、電位S1mを有する。各ノード14p,14mの電位S1p,S1mは、例えばVdd/2を中点電位として変動する。本例において、磁気センサ11は、2つの電位S1p,S1mによる差動信号として、センサ信号S1を生成する。
以上の磁気センサ11の構成は一例であり、特にこれに限定されない。例えば、磁気センサ11は、ハーフブリッジ回路で構成されてもよく、シングルエンドでセンサ信号S1を生成してもよい。また、磁気抵抗素子13a〜13dはAMR素子に限らず、例えばGMR(Giant Magneto Resistance)、TMR(Tunnel Magneto Resistance)、BMR(Balistic Magneto Resistance)、CMR(Colossal Magneto Resistance)等の種々のMR素子であってもよい。
また、磁気センサ11,12として、ホール素子を有する磁気素子、磁気インピーダンス効果を利用するMI(Magneto Impedance)素子を有する磁気素子又はフラックスゲート型磁気素子などが用いられてもよい。また、磁気センサ11,12の駆動方法としては、定電流駆動、パルス駆動などが採用されてもよい。
1−2.演算装置について
電流センサ1における演算装置3の構成の詳細について、図4,5を用いて説明する。図4は、実施形態1における調整部4と第1演算部31の構成例を示す図である。図5は、第3演算部33の構成例を示す図である。
電流センサ1の演算装置3においては、各部31〜33,4に種々の構成を採用することができる。例えば、調整部4は、電流センサ1の製造出荷時等に、レーザトリム、ツェナーザッピング、抵抗リンク、EEPROMトリム、デジタルトリムなどを適用可能な各種回路を含んでもよい。以下では、調整部4が第1演算部31を調整対象とする例を説明する。第2演算部32は、第1演算部31と同様に構成することができる。
図4(a),(b),(c)は、それぞれ調整部4及び第1演算部31についての第1、第2及び第3の構成例を示す。図4(a)に示す第1の構成例は、調整部4がアナログ領域において演算ゲインA1を調整する例である。図4(b)に示す第2の構成例と、図4(c)に示す第3の構成例とは、それぞれ調整部4がデジタル領域において演算ゲインA1を調整する例である。
第1の構成例において、第1演算部31は、図4(a)に示すように増幅器50を備える。本構成例において、調整部4は、増幅器50のゲインすなわち演算ゲインA1を規定する抵抗40などを含み、抵抗40の抵抗値Rを調整する。増幅器50は、シングルエンドの入力端子を有してもよいし、差動の入力端子を有してもよい。また、増幅器は、シングルエンドの出力端子を有してもよいし、差動の出力端子を有してもよい。増幅器50は、バッファアンプであってもよい。
第2の構成例において、第1演算部31は、図4(b)に示すように、増幅器50と、A/D(アナログ/デジタル)変換器51と、デジタル処理部52とを備える。本構成例において、調整部4は、例えば、フラッシュメモリ等の内部メモリ41を有する。調整部4は、内部メモリに演算ゲインA1を規定する値を格納する。
図4(b)の構成例において、第1演算部31のA/D変換器51は、増幅器50を介して入力するセンサ信号S1をA/D変換する。デジタル処理部52は、例えば調整部4の内部メモリ41に格納された値を参照し、A/D変換された信号に演算処理を行って、演算結果を第1検出信号Sp1として出力する。
第3の構成例において、第1演算部31は、図4(b)の構成に加えて、図4(b)に示すように、D/A(デジタル/アナログ)変換器53をさらに備える。本構成例の第1演算部31において、D/A変換器53は、デジタル処理部52の演算処理結果にD/A変換を行って、変換結果を第1検出信号Sp1として出力する。D/A変換器53は、シングルエンドの出力端子を有してもよいし、差動の出力端子を有してもよい。
以上のような各種構成において、調整部4は、上述した各種手法等を適用して、例えば演算ゲインA1を0.1%以下の分解能で調整する。これにより、電流センサ1における外部磁場耐性を精度良く確保することができる。調整部4は、上記の構成例と同様に、第2演算部32の調整を行ってもよい。調整部4は、第1及び第2演算部31,32の双方を調整可能に構成されてもよいし、一方のみ調整可能に構成されてもよい。
演算装置3の第3演算部33についても、種々の構成を採用可能である。第3演算部33の各種構成例を図5(a)〜(g)に示す。図5(a),(b),(c)に示す構成例は、それぞれ第3演算部33がアナログ入力で且つアナログ出力で構成される例である。
例えば、図5(a)に示すように、第3演算部33は、差動増幅器60を備えてもよい。この場合、第3演算部33における温度補償は、差動増幅器60のゲインおよびオフセットを調整することによって、アナログ領域で行われてもよい。差動増幅器60は、シングルエンドの出力端子を有してもよいし、差動の出力端子を有してもよい。
また、第3演算部33は、図5(b)に示すように、差動増幅器60に加えて、A/D変換器61と、デジタル処理部62と、D/A変換器63とを備えてもよい。D/A変換器63は、シングルエンドの出力端子を有してもよいし、差動の出力端子を有してもよい。D/A変換器63の出力側に、バッファアンプ等が設けられてもよい。
第3演算部33における温度補償は、図5(b)のデジタル処理部62等において、デジタル領域で行われてもよい。また、第3演算部33においては、図5(c)に示すように、図5(b)の構成例から差動増幅器60が省略されてもよい。この場合、A/D変換器61は差動入力する。
また、第3演算部33は、デジタル出力で構成されてもよい。例えば図5(d)に示すように、第3演算部33は、図5(b)の構成例からD/A変換器63を省略して構成されてもよい。また、図5(e)に示すように、図5(c)の構成例からD/A変換器63が省略されてもよい。
また、第3演算部33は、デジタル入力で構成されてもよい。例えば、図5(f)に示すように、第3演算部33は、図5(c)の構成例からA/D変換器61を省略して構成されてもよい。また、第3演算部33は、図5(g)に示すように、デジタル処理部62を備え、デジタル入力で且つデジタル出力で構成されてもよい。
以上のように構成される第3演算部33は、例えば電流センサ1の製造出荷時に温度補償等の各種調整を行われてもよい。例えば、上記の調整部4と同様に、レーザトリム等の各種手法を適用することにより、第3演算部33が調整されてもよい。第3演算部33の調整により、電流センサ1の検出精度を向上することができる。
また、演算装置3は、電流センサ1の各種機能を実現するための各種半導体集積回路等を含んでもよい。例えば、演算装置3は、所定の機能を実現するように設計された専用の電子回路や再構成可能な電子回路などのハードウェア回路を含んでもよい。また、演算装置3は、例えばソフトウェアと協働して所定の機能を実現するCPU等を含んでもよい。演算装置3は、フラッシュメモリ等の内部メモリを含んでもよく、内部メモリに各種データ及びプログラム等を格納してもよい。演算装置3は、CPU、MPU、マイコン、DSP、FPGA、ASIC等の種々の半導体集積回路で構成されてもよい。
2.動作
以上のように構成される電流センサ1の動作について、以下説明する。
本実施形態に係る電流センサ1の基本的な動作について、図6を用いて説明する。図6は、電流センサ1における信号磁場B1,B2と磁気センサ11,12との関係を説明するための図である。図6は、図1のA−A’断面近傍における各流路21,22及び各磁気センサ11,12を示している。
図6では、検出対象の電流がバスバー2を+Y向きに流れた際に(図1参照)、第1流路21近傍に生じる信号磁場B1と、第2流路22近傍に生じる信号磁場B2とを例示している。バスバー2においては、電流が分流して第1流路21と第2流路22とに流れる。これにより、図6に示すように、第1流路21近傍の信号磁場B1は第1流路21の周囲を周回し、第2流路22近傍の信号磁場B2は第2流路22の周囲を周回する。
本実施形態に係る電流センサ1では、第1流路21と第2流路22とにおいて電流が同じ向き(例えば+Y向き)に流れるため、第1流路21近傍の信号磁場B1と第2流路22近傍の信号磁場B2とは、同じ周回方向を有する(例えば時計回り)。このことから、図6に示すように、第1及び第2流路21,22間における第1流路21近傍の領域R1と第2流路22近傍の領域R2とにおいて、それぞれを通過する信号磁場B1,B2のX成分が、互いに逆向きになる。
そこで、本実施形態の電流センサ1では、上記のような第1流路21近傍の領域R1に一方の磁気センサ11が配置され、他方の磁気センサ12が第2流路22近傍の領域R2に配置される。これにより、2つの磁気センサ11,12には、互いに逆相の信号磁場B1,B2が入力されることとなる。
第1磁気センサ11は、第1流路21近傍の信号磁場B1の検出結果として、入力された磁場に応じた第1センサ信号S1を生成する(図2参照)。第2磁気センサ12は、第2流路22近傍の信号磁場B2の検出結果として、入力された磁場に応じた第2センサ信号S2を生成する。
ここで、各磁気センサ11,12に入力される磁場には、信号磁場B1,B2だけでなく、外乱磁場のようなノイズも含まれることが想定される。このようなノイズは、2つの磁気センサ11,12の配置位置を近接させることにより、各磁気センサ11,12に対して、同相(同じ向きで且つ同程度の大きさ)で入力されると考えられる。
そこで、本実施形態に係る電流センサ1においては、演算装置3が、2つの磁気センサ11,12の感知結果の差動増幅を演算して、電流の検出結果を示す出力信号Soutを算出する。これにより、それぞれの磁気センサ11,12の感知結果に同相で含まれ得るノイズを相殺して、信号磁場B1,B2に基づく電流の検出精度を良くすることができる。
2−1.外部磁場耐性について
以上のような電流センサ1において、外部磁場によって出力信号Soutを変動させないようにする外部磁場耐性について、図7,8を用いて説明する。図7は、電流センサ1における外部磁場耐性を説明するための図である。図8は、電流センサ1における各種信号に対する外部磁場の影響を例示するグラフである。
図7では、図6と同様の断面近傍の各流路21,22及び各磁気センサ11,12において、想定される外部磁場の一例として同相磁場Bcが印加される様子を示している。同相磁場Bcは、上述の信号磁場B1,B2(図6)とは異なり、第1磁気センサ11と第2磁気センサ12とに同相で入力される磁場である。
電流センサ1の使用時には、例えば電流センサ1が取り付けられたバスバー2とは別の隣接するバスバー等からの磁場や、地磁気、鉄塔から発生する磁場などの種々の外部磁場が想定される。これらの外部磁場は、図7に例示する同相磁場Bcのように、電流センサ1の各磁気センサ11,12に入力されることが想定される。図8(a)に、同相磁場Bcが入力されたときの各磁気センサ11,12の各センサ信号S1,S2を例示する。
図8(a)は、第1磁気センサ11のセンサゲインG1と、第2磁気センサ12のセンサゲインG2とがずれている場合のセンサ信号S1,S2の特性を例示している。電流センサ1における2つの磁気センサ11,12のセンサゲインG1,G2には、例えば数パーセント程度の製造ばらつきが在ることが想定される。この場合、図8(a)に示すように、同相磁場Bcに応じた2つのセンサ信号S1,S2の変動の仕方(グラフの傾き)が、互いに異なることとなる。
図8(b)は、図8(a)の各センサ信号S1,S2に基づく各検出信号Sp1’,Sp2’の一例を示す。図8(c)は、図8(b)の各検出信号Sp1’,Sp2’に基づく出力信号Sout’を示す。
図8(b),(c)では、上記のような2つの磁気センサ11,12間のばらつきを考慮せずに各検出信号Sp1’,Sp2’が生成された場合を例示している。この場合、図8(b)に示すように、同相磁場Bcに応じた2つの検出信号Sp1’,Sp2’の変動の仕方が、2つのセンサ信号S1,S2と同様に互いに異なっている。このため、2つの検出信号Sp1’,Sp2’の差動増幅時に同相磁場Bcの影響が残り、図8(c)に示すように、出力信号Sout’が同相磁場Bcに応じて変動してしまう。
そこで、本実施形態に係る電流センサ1は、次式(1)を適宜、許容誤差の範囲内で成立させるように、調整部4において第1及び第2演算部31,32の演算ゲインA1,A2の少なくとも一方を調整する。
G1×A1=G2×A2 …(1)
上式(1)によると、2つのセンサゲインG1,G2がばらつく場合においても、電流センサ1において各検出信号Sp1,Sp2を生成するための通算のゲイン「G1×A1」、「G2×A2」が合致する。これにより、2つの検出信号Sp1,Sp2の差動増幅時に同相磁場Bcの様な外部磁場の影響を適切に打ち消して、電流センサ1の外部磁場耐性を確保することができる。以上のような外部磁場耐性を有する電流センサ1の製造方法について、以下説明する。
2−2.電流センサの製造方法について
本実施形態に係る電流センサ1の調整部4は、例えば電流センサ1の製造出荷時に、同相磁場Bcを用いて設定される。以下、電流センサ1の製造時にゲイン等を調整する方法について、図9〜13を用いて説明する。図9は、本実施形態に係る電流センサ1の調整方法を示すフローチャートである。
図9のフローチャートは、電流センサ1の製造出荷時における検査段階等において、出荷前の電流センサ1が準備された状態において開始される。電流センサ1は、上述した基本的な動作が実行可能な状態にまで準備される。本フローチャートにおける各処理は、例えば検査者が所定の制御装置(例えばPC又は各種検査装置)を用いて実施される。
図9に示す調整方法においては、調整対象として準備された電流センサ1に、同相磁場Bcを印加する(ST1)。同相磁場Bcは、例えばヘルムホルツコイルを用いて発生させることができる。同相磁場Bcの発生方法は特に限定されず、例えば電磁石や永久磁石が用いられてもよい。発生させた同相磁場Bcが電流センサ1に印加される様子の一例を、図10に示す。
図10は、電流センサ1がバスバー2に取り付けられた状態において同相磁場Bcが印加される例を示している。図10の例において、同相磁場Bcは、X方向に沿って印加され、電流センサ1を含む空間領域において均一な分布を有する。同相磁場Bcは、適宜許容誤差の範囲内で各磁気センサ11,12の感度軸の方向に平行に印加されてもよいし、特に感度軸の方向を考慮せずに印加されてもよい。また、同相磁場Bcは、2つの磁気センサ11,12を含む範囲内で均一な空間分布を有してもよい。
本実施形態では、上記のような同相磁場Bcを用いて、第1演算部31の演算ゲインA1及び第2演算部32の演算ゲインA2の少なくとも一方を調整する(ST2)。ステップST2について、図11(a)〜(c)を用いて説明する。
図11(a)は、未調整の各検出信号Sp1,Sp2と同相磁場Bcとの関係を例示するグラフである。図11(b)は、図11(a)の例からステップST2の調整後の各検出信号Sp1,Sp2と同相磁場Bcとの関係を示すグラフである。図11(c)は、図11(b)の状態に対応する出力信号Soutと同相磁場Bcとの関係を示すグラフである。
図11(a)は、ステップST2の調整前において、同相磁場Bcに応じた各検出信号Sp1,Sp2の変化量ΔSp1,ΔSp2が、互いに異なった例を示している。変化量ΔSp1,ΔSp2は、各検出信号Sp1,Sp2が同相磁場Bcの印加によって、印加されていない状態から変化した信号量を示す。同相磁場Bcと各々の変化量ΔSp1,ΔSp2との間の関係は、次式(2),(3)のように表される。
ΔSp1=A1×G1×Bc …(2)
ΔSp2=A2×G2×Bc …(3)
上式(2)において、同相磁場Bcに対するゲイン「A1×G1」は、図11(a)では、第1検出信号Sp1のグラフの傾きに対応する。また、上式(3)におけるゲイン「A2×G2」は、第1検出信号Sp2のグラフの傾きに対応する。図11(a)では、式(2)のゲイン「A1×G1」と式(3)のゲイン「A2×G2」とがずれていることから、第1及び第2検出信号Sp1,Sp2のグラフの傾きが互いに異なっている。
ステップST2では、例えば、図11(a),(b)に示すように第1検出信号Sp1の変化量ΔSp1が第2検出信号Sp2の変化量ΔSp2に合致するように、調整部4を用いて第1演算部31の演算ゲインA1が調整される。ステップST2は、第1演算部31からの第1検出信号Sp1の変化量ΔSp1と、第2演算部32からの第2検出信号Sp2の変化量ΔSp2とを測定することにより行われる。各々の変化量ΔSp1,ΔSp2は、例えば、同相磁場Bcを印加する前後の各検出信号Sp1,Sp2の値に基づき測定できる。
ステップST2において、変化量ΔSp1,ΔSp2間の合致は、適宜、許容誤差の範囲内で行える。許容誤差は、例えば±0.1%である。例えば、各々の変化量ΔSp1,ΔSp2をモニタしながら演算ゲインA1を徐々に変更することにより、両者を合致させることができる。或いは、演算ゲインA1の調整前の変化量ΔSp1,ΔSp2等に基づいて、適切な調整後の演算ゲインA1の値が算出されてもよい。この場合、例えば上式(2),(3)のG1×Bc,G2×Bcに対応するセンサ信号S1,S2の変化量が参照されてもよい。
上記のステップST2の調整によると、図11(b)に示すように、第1検出信号Sp1のグラフの傾きと第2検出信号Sp2のグラフの傾きとが等しくなる。このような第1及び第2検出信号Sp1,Sp2を差動入力することにより、図11(c)に示すように、同相磁場Bcによっては変動しない出力信号Soutを得ることができる。よって、電流センサ1における外部磁場耐性を確保することができる。
図11(c)の例において、出力信号Soutは、図11(b)の第1及び第2検出信号Sp1,Sp2間の信号差ΔOSに起因するオフセット成分ΔOfsを含んでいる。出力信号Soutのオフセット成分ΔOfsは、電流の検出時に検出誤差になると想定される。そこで、図9に示す調整方法では、ステップST2の次に、第1演算部31による第1検出信号Sp1のオフセット及び第2演算部32による第2検出信号Sp2のオフセットの少なくとも一方を調整する(ST3)。
ステップST3では、例えば同相磁場Bcが印加されていない状態における第1及び第2検出信号Sp1,Sp2間の信号差ΔOSが測定される。信号差ΔOSは、同相磁場Bcが印加された状態で測定されてもよい。ステップST3では、第1及び第2検出信号Sp1,Sp2間の信号差ΔOSが適宜、許容誤差の範囲内で「0」となるように、例えば第2演算部32のオフセットが調整される(図11(b)参照)。これにより、出力信号Soutにおけるオフセット成分ΔOfsが抑制され(図11(c)参照)、電流センサ1の検出誤差を低減することができる。
次に、以上のような調整が為された電流センサ1に対して、通電補正を行う(ST4)。通電補正は、電流センサ1が取り付けられたバスバー2に電流Iを流して、電流センサ1の第3演算部33等を調整するキャリブレーション工程である。図12を用いて、電流センサ1の通電補正(ST4)について説明する。
図12(a)は、ステップST4における各センサ信号S1,S2と電流Iとの関係を示すグラフである。図12(b)は、図12(a)の各センサ信号S1,S2に対して調整済みの各検出信号Sp1,Sp2を例示するグラフである。図12(c)は、図12(b)の各検出信号Sp1,Sp2に基づく出力信号Soutを例示するグラフである。
図12(a)は、電流Iに基づく信号磁場を感知する2つの磁気センサ11,12がばらついている場合における2つのセンサ信号S1,S2を例示している。図12(a)の各センサ信号S1,S2のグラフでは、互いに逆向きの傾きの大きさが異なっている。また、電流I=0の場合の第1及び第2センサ信号S1,S2の値がずれている。
これに対して、図12(b)に示すように第1及び第2検出信号Sp1,Sp2では、ステップST2の調整により、グラフの傾きの大きさが合致している。また、ステップST3の調整により、電流I=0の場合における第1及び第2検出信号Sp1,Sp2の値が合致している。このように調整された各検出信号Sp1,Sp2に基づいて、第3演算部33は、図12(c)に示すように、電流Iに対して線形応答する出力信号Soutを生成することができる。
ステップST4の通電補正においては、例えばバスバー2に所望の大きさの電流Iを流した場合に応答する出力信号Soutの値を確認して、第3演算部33のゲイン及びオフセット等を調整することができる。また、バスバー2の通電による発熱を利用して、電流センサ1における温度補償の確認及び調整を行うこともできる。例えば、第3演算部33における温度係数の関数形を、各種パラメータを用いて予め設定しておき、通電時における出力信号Soutの温度ドリフト等をモニタしながら、各種パラメータを調整することができる。
ステップST4の通電補正を完了することにより、図9に示す調整方法は終了する。
以上の調整方法によると、同相磁場Bcに応じた各検出信号Sp1,Sp2の変化量ΔSp1,ΔSp2を合致させる調整により(ST2)、調整後の電流センサ1では、同相磁場Bcに基づく式(2),(3)から式(1)が成立する。すなわち、ステップST2では、第1磁気検出部10AによるゲインG1×A1と、第2磁気検出部10BによるゲインG2×A2とを合致させるように、調整部4が設定される。このように、電流センサ1の製造工程において、外部磁場耐性を確保する設定を行うことができる。
また、以上の説明では、電流センサ1がバスバー2に取り付けられた状態でステップST1〜ST3が行われる例を説明したが、ステップST1〜ST3において電流センサ1はバスバー2に取り付けられていなくてもよい。ステップST1において同相磁場Bcが印加される状態の別例を図13に示す。
図13においては、特にバスバー2に取り付けられていない電流センサ1に対して、図10の例と同様に同相磁場Bcが印加されている。このような状態においても、ステップST2,ST3の調整を行うことができる。これにより、例えば、電流センサ1を取り付けるバスバー2の形状が複雑な場合であっても、ステップST1〜ST3を容易に実施可能である。
また、上述したステップST4の通電補正は、ステップST1〜ST3の後に、電流センサ1をバスバー2に取り付けた状態において実施される。通電補正(ST4)は、例えば三相交流の測定用など、複数の電流センサ1が各々バスバー2に組み付けられた電流センサユニットが製造される場合に、電流センサユニットを組み上げた状態において、実施することもできる。
また、以上の説明では、ステップST2において第1演算部31の演算ゲインA1を調整する例を説明したが、ステップST2は特にこれに限らない。ステップST2では、第2演算部32の演算ゲインA2が調整されてもよいし、双方の演算ゲインA1,A2が調整されてもよい。
また、以上の説明では、ステップST3のオフセット調整が、ステップST2の後に実施されたが、ステップST3は特にこれに限らない。例えば、ステップST3はステップST1,ST2の前に実施されてもよい。また、特に第1及び第2演算部31,32のオフセット調整が必要ない場合等には、適宜、ステップST3の調整が省略されてもよい。
3.まとめ
以上のように、本実施形態に係る電流センサ1の製造方法は、検出対象の電流Iによって生じる信号磁場B1,B2に基づき電流Iを検出する電流センサ1の製造方法である。本方法は、電流センサ1を準備する工程と、同相磁場Bcを電流センサ1に印加する工程(ST1)と、電流センサ1における信号のゲインを調整する工程(ST2)とを含む。電流センサ1は、磁場を感知する第1磁気センサ11と、電流Iに応じて第1磁気センサ11が感知する信号磁場B1とは逆相の信号磁場B2を感知する第2磁気センサ12と、出力部の一例である演算装置3とを備える。演算装置3は、第1磁気センサ11の感知結果と第2磁気センサ12の感知結果との差動増幅を演算して、電流Iの検出結果を示す出力信号Soutを生成する。同相磁場Bcは、第1磁気センサ11と第2磁気センサ12とに同相で入力される。ゲインを調整する工程は、同相磁場Bcに応じて、第1及び第2磁気センサ11,12の感知結果として演算装置3に差動増幅される2つの信号量の一例として、第1及び第2検出信号Sp1,Sp2の変化量ΔSp1,ΔSp2が合致するように、電流センサ1における信号のゲインを調整する。
以上の方法によると、同相磁場Bcに応じた変化量ΔSp1,ΔSp2が合致するように調整されることにより、外部磁場耐性を確保した電流センサ1を製造でき、電流センサ1における外部磁場の影響を低減することができる。
本実施形態において、同相磁場Bcは、均一な空間分布を有する。均一な同相磁場Bcを用いることにより、電流センサ1のゲインの調整を適切に行うことができる。
また、本実施形態において、第1磁気センサ11は、センサゲインG1(第1のセンサゲイン)において第1センサ信号S1を生成する。第2磁気センサ12は、センサゲインG2(第2のセンサゲイン)において第2センサ信号S2を生成する。演算装置3は、第1演算部31と、第2演算部32と、第3演算部33とを備える。第1演算部31は、第1センサ信号S1を入力して、入力した信号に演算ゲインA1(第1の演算ゲイン)を乗算する。第2演算部32は、第2センサ信号S2を入力して、入力した信号に演算ゲインA2(第2の演算ゲイン)を乗算する。第3演算部33は、第1演算部31の演算結果と第2演算部32の演算結果とに基づき出力信号Soutを算出する。ゲインを調整する工程(ST2)は、演算ゲインA1,A2の少なくとも一方を調整する。
これにより、磁気センサ11,12のセンサゲインG1,G2間にばらつきがあっても、外部磁場耐性を確保することができる。また、電流センサ1における2つの磁気センサ11,12間の製造ばらつきを抑える必要性をなくして、任意の磁気センサ11,12を使用可能にすることもできる。
また、本実施形態において、ゲインを調整する工程(ST2)は、第1磁気検出部10AにおけるセンサゲインG1と演算ゲインA1の積と、第2磁気検出部10BにおけるセンサゲインG2と演算ゲインA2の積とが合致するように、少なくとも1つのゲインを調整する(式(1)参照)。これにより、第1検出信号Sp1と第2検出信号Sp2とにおける外部磁場の影響を精度良く打ち消して、出力信号Soutにおける外部磁場の影響を低減することができる。
また、本実施形態に係る電流センサ1は、第1磁気センサ11と、第1演算部31と、第2磁気センサ12と、第2演算部32と、第3演算部33と、調整部4とを備える。第1磁気センサ11は、センサゲインG1において磁場を感知する。第1演算部31は、第1磁気センサ11の感知結果に演算ゲインA1を乗算する。第2磁気センサ12は、電流Iに応じて第1磁気センサ11が感知する信号磁場B1とは逆相の信号磁場B2を、センサゲインG2において感知する。第2演算部32は、第2磁気センサ12の感知結果に演算ゲインA2を乗算する。第3演算部33は、第1及び第2演算部31,32の演算結果に基づき電流Iの検出結果を示す出力信号Soutを算出する。調整部4は、演算ゲインA1,A2のうちの少なくとも一方を調整する。調整部4は、センサゲインG1と演算ゲインA1の積と、センサゲインG2と演算ゲインA2の積とを合致させる。これにより、電流センサ1において、外部磁場の影響を低減することができる。
また、本実施形態において、調整部4は、第1磁気センサ11と第2磁気センサ12とに同相で磁場Bcが入力されたときに(ST1)、同相磁場Bcに応じて、第1演算部31の演算結果を示す信号量としての変化量ΔSp1と第2演算部32の演算結果を示す信号量としての変化量ΔSp2とが合致するように、少なくとも1つのゲインを調整する(ST2)。このような同相磁場Bcを入力することによって、調整部4の調整機能が確認できる。
なお、調整部4は、特に同相磁場Bcを用いずに設定されてもよい。調整部4の設定は、式(1)を適宜許容誤差の範囲内で成立させる、「A1×G1」と「A2×G2」とを合致させるように行われてもよい。
(実施形態2)
実施形態1では、演算ゲインA1,A2が調整される電流センサ1について説明した。演算ゲインA1,A2に限らず、センサゲインG1,G2の調整によっても電流センサの外部磁場耐性を確保することができる。実施形態2では、センサゲインG1,G2が調整される電流センサについて、図14,15を用いて説明する。
図14は、実施形態2に係る電流センサ1Aの構成を示すブロック図である。本実施形態に係る電流センサ1Aは、実施形態1の電流センサ1と同様の構成において(図2参照)、図14に示すように、調整部4Aが第1及び第2磁気センサ11,12のセンサゲインG1,G2を調整するように構成される。
本実施形態における調整部4Aは、実施形態1の調整部4と同様に、上述した式(1)を成立させるように、第1磁気センサ11のセンサゲインG1と第2磁気センサ12のセンサゲインG2との少なくとも一方を調整する。本実施形態の電流センサ1Aは、例えば実施形態1と同様の製造方法において、図9のステップST2において、調整部4を用いてセンサゲインG1,G2の少なくとも一方を調整することにより製造できる。
本実施形態における調整部4Aとしては、センサゲインG1,G2を調整可能な種々の構成を採用することができる。例えば第1及び第2磁気センサ11,12を駆動する電圧又は電流を制御することにより、各々のセンサゲインG1,G2を調整する。図15(a),(b),(c)に、本実施形態における調整部4Aの第1、第2及び第3の構成例を示す。
第1の構成例において、調整部4Aは、図15(a)に示すように、電源電圧Vddの電源と第1磁気センサ11の間に接続される抵抗42Aと、電源と第2磁気センサ12との間に接続される抵抗42Bとを備える。各抵抗42A,42Bは、例えば各々の抵抗値Ra,Rbを半固定又は可変に構成される。
図15(a)の構成例において、調整部4Aは、各抵抗42A,42Bを介して、第1磁気センサ11に供給する駆動電圧V11と、第2磁気センサ12に供給する駆動電圧V12とを制御する。各々の抵抗値Ra,Rbは、例えば図9のステップST2において、実施形態1と同様にレーザトリム、ツェナーザッピング、抵抗リンク、EEPROMトリム、デジタルトリム等の各種手法によって設定される。
第2の構成例において、調整部4Aは、図15(b)に示すように、第1磁気センサ11の駆動電圧V11を生成する電圧制御回路43Aと、第2磁気センサ12の駆動電圧V12を生成する電圧制御回路43Bとを備える。本例において、各電圧制御回路43A,43Bは、それぞれ基準電圧Vref1,Vref2を入力するオペアンプと、NMOSトランジスタとを備える。
図15(b)の構成例の調整部4Aにおいて、各電圧制御回路43A,43Bは、それぞれ基準電圧Vref1,Vref2に合致させるように、各磁気センサ11,12の駆動電圧V11,V12を制御する。上記の第1の構成例と同様に各種手法等によって、各基準電圧Vref1,Vref2を設定することにより、各駆動電圧V11,V12を調整することができる。
第3の構成例において、調整部4Aは、図15(c)に示すように、第1磁気センサ11の駆動電流I11を生成する電流制御回路44Aと、第2磁気センサ12の駆動電流I12を生成する電流制御回路44Bとを備える。本例において、各電流制御回路44A,44Bは、それぞれ抵抗値Ra,Rbを有する抵抗と、基準電圧Vref1,Vref2を入力するオペアンプと、PMOSトランジスタとを備える。
図15(c)の構成例の調整部4Aにおいて、各電流制御回路44A,44Bは、それぞれ次式(21),(22)のように各磁気センサ11,12の駆動電流I11,I12を制御する。
I11=(Vdd−Vref1)/R11 …(21)
I12=(Vdd−Vref2)/R12 …(22)
本構成例においては、上式(21),(22)に基づき、各基準電圧Vref,Vref2、或いは抵抗値Ra,Rbを設定することにより、各駆動電流I11,I12を調整することができる。本構成例においても、第1及び第2の構成例と同様に、各種手法等を適用して上記の調整を行える。
以上の説明では、本実施形態の調整部4Aが2つの磁気センサ11,12の双方のセンサゲインG1,G2を調整可能に構成される例を説明した。本実施形態の調整部4Aは、特にこれに限らず、2つの磁気センサ11,12のセンサゲインG1,G2のうちのいずれか一方を調整可能に構成されてもよい。
以上のように、本実施形態に係る電流センサ1Aにおいて、調整部4Aは、センサゲインG1,G2の少なくとも一方を調整する。また、本実施形態に係る電流センサ1Aの製造方法において、ゲインを調整する工程(図9のST2)は、センサゲインG1,G2の少なくとも一方を調整する。
これにより、例えば第1演算部31の演算ゲインA1と、第2演算部32の演算ゲインA2との間にばらつきがある場合であっても外部磁場耐性を確保して、電流センサ1Aにおける外部磁場の影響を低減することができる。
上記の実施形態1,2では、演算ゲインA1,A2とセンサゲインG1,G2とのうちの一方を調整する電流センサ1,1A及びその製造方法について説明した。これに限らず、演算ゲインA1,A2とセンサゲインG1,G2との双方が調整可能な電流センサ及びその製造方法が提供されてもよい。即ち、本実施形態に係る電流センサは、2つの演算ゲインA1,A2と2つのセンサゲインG1,G2のうちの少なくとも1つのゲインを調整する調整部を備えてもよい。また、本実施形態に係る電流センサの製造方法において、ゲインを調整する工程は、2つの演算ゲインA1,A2と2つのセンサゲインG1,G2のうちの少なくとも1つのゲインを調整してもよい。これによっても、電流センサにおける外部磁場の影響を低減することができる。
(実施形態3)
実施形態3では、周囲の温度に応じて調整部が動作する電流センサについて説明する。実施形態3に係る電流センサについて、図16を参照して説明する。
図16は、実施形態3に係る電流センサ1Bの構成を示すブロック図である。本実施形態に係る電流センサ1Bは、実施形態1の電流センサ1と同様の構成において(図2参照)、図16に示すように、調整部4Bが、温度検出部34によって検出される温度に基づき動作する。
本実施形態における調整部4Bは、例えば実施形態1と同様の構成に加えて、温度補償回路等を備える。本実施形態の調整部4Bは、例えば温度検出部34によって検出される温度に応じて、式(1)についての許容誤差の範囲から脱しないように、演算ゲインA1,A2の少なくとも一方を調整する。これにより、種々の温度環境下において、電流センサ1Bの外部磁場耐性を向上することができる。
以上の説明では、温度に応じて調整部4Bが演算ゲインA1,A2を調整する例を説明した。これに限らず、例えば実施形態2と同様に、調整部4Bが、温度に応じてセンサゲインG1,G2を調整してもよい。また、温度検出部34は、調整部4Bの温度補償回路に組み込まれていてもよい。
以上のように、本実施形態に係る電流センサ1Bは、周囲の温度を検出する温度検出部34をさらに備える。調整部4Aは、温度検出部34によって検出される温度に応じて、演算ゲインA1,A2及びセンサゲインG1,G2のうちの少なくとも1つのゲインを調整する。これにより、種々の温度環境下において、電流センサ1Bにおける外部磁場の影響を低減できる。
(実施形態4)
実施形態4では、実施形態2とは演算装置と磁気センサ間の接続関係が異なる電流センサについて説明する。実施形態4に係る電流センサについて、図17,18を参照して説明する。
図17は、実施形態4に係る電流センサ1Cの構成を示すブロック図である。本実施形態に係る電流センサ1Cは、実施形態2の電流センサ1Aと同様の構成において(図14参照)、第1及び第2磁気センサ11A,12Aの双方が、第1及び第2演算部31A,32Aの双方に接続される。本実施形態において、第1及び第2磁気センサ11A,12Aは差動出力し、第1及び第2演算部31A,32Aは差動入力する。本実施形態の各磁気センサ11A,12Aは、例えば図3の構成例の磁気センサ11と同様に構成される。
第1磁気センサ11Aは、次式(41),(42)のように互いに差動のセンサ信号S1p,S1mを生成する。
S1p=Vdd/2+DS1/2 …(41)
S1m=Vdd/2−DS1/2 …(42)
上式(41),(42)において、DS1は、第1磁気センサ11Aのセンサ信号S1p,S1m間の信号差である。信号差DS1は、例えば図6の例の信号磁場B1が入力された場合に正となる。
また、第1磁気センサ11Aと同様に、第2磁気センサ12Aは、次式(43),(44)のように互いに差動のセンサ信号S2p,S2mを生成する。
S2p=Vdd/2+DS2/2 …(43)
S2m=Vdd/2−DS2/2 …(44)
上式(43),(44)において、DS2は、第2磁気センサ12Aのセンサ信号S2p,S2m間の信号差である。信号差DS2は、例えば図6の例の信号磁場B2が入力された場合に正となる。
第1演算部31Aは、例えば、第1磁気センサ11Aからのセンサ信号S1pと第2磁気センサ12Aからのセンサ信号S2mとを入力し、次式(45)のように第1演算信号So1を算出する。
So1=A1×(S1p−S2m) …(45)
即ち、第1演算部31Aは、演算ゲインA1の乗算と、センサ信号S1p,S2m間の減算とを演算する。本実施形態において、第1磁気センサ11Aからのセンサ信号S1pは第1センサ信号の一例であり、第2磁気センサ12からのセンサ信号S2mは第4センサ信号の一例である。第1演算部31Aは、算出した第1演算信号So1を第3演算部33に出力する。
一方、第2演算部32Aは、第1磁気センサ11Aからのセンサ信号S1mと第2磁気センサ12Aからのセンサ信号S2pとを入力し、次式(46)のように第2演算信号So2を算出する。
So2=A2×(S1m−S2p) …(46)
即ち、第2演算部32Aは、演算ゲインA2の乗算と、センサ信号S1m,S2p間の減算とを演算する。本実施形態において、第1磁気センサ11Aからのセンサ信号S1mは第3センサ信号の一例であり、第2磁気センサ12からのセンサ信号S2pは第2センサ信号の一例である。第2演算部32Aは、算出した第2演算信号So2を第3演算部33に出力する。
第3演算部33は、第1演算部31Aからの第1演算信号So1と第2演算部32Aからの第2演算信号So2とに基づき次式(47)を演算して、電流センサ1Cによる検出結果としての出力信号Soutを生成する。
Sout=A3×(So1−So2) …(47)
=A3×(A1+A2)×(DS1+DS2)/2 …(47a)
上式(47)において、A3は第3演算部33の演算ゲインである。上式(47a)によると、本実施形態に係る電流センサ1Cでは、出力信号Soutにおいて、外部磁場による影響を、2つの磁気センサ11,12の信号差DS1,DS2間で打ち消すことができる。
そこで、本実施形態における調整部4Cは、同相磁場Bcに応じた2つの磁気センサ11,12の信号差DS1,DS2に基づいて、センサゲインG1,G2の少なくとも一方を調整する。本実施形態における電流センサ1Cのゲイン調整について、図18を用いて説明する。
図18(a)は、未調整のセンサゲインG1,G2による信号差DS1,DS2と同相磁場Bcとの関係を例示するグラフである。図18(b)は、図18(a)の信号差DS1,DS2に対応する出力信号Soutを示すグラフである。図18(c)は、図18(a)から調整後の信号差DS1,DS2を示すグラフである。図18(d)は、図18(c)の信号差DS1,DS2に対応する出力信号Soutを示すグラフである。
図18(a)〜(d)のゲイン調整は、例えば図9のステップST2において、同相磁場Bcを用いて行われる。図18(a)では、センサゲインG1,G2が未調整であることから、双方の信号差DS1,DS2のグラフの傾きが異なっている。この際、図18(b)に示すように、出力信号Soutは同相磁場Bcに応じて変動している。
そこで、本実施形態におけるゲイン調整では、図18(a)に示すように、同相磁場Bcに応じた各々の信号差DS1,DS2の変化量ΔS1,ΔS2が測定される。双方の変化量ΔS1,ΔS2が適宜、許容誤差の範囲内で合致するように、調整部4CにおいてセンサゲインG1,G2の少なくとも一方が調整される。
上記の調整により、図18(c)に示すように、双方の信号差DS1,DS2のグラフの傾きを同じにすることができる。これにより、図18(d)に示すように、同相磁場Bcによっては変動しない出力信号Soutを得ることができる。よって、本実施形態に係る電流センサ1Cにおける外部磁場耐性を確保することができる。
以上の説明では、同相磁場Bcに応じた信号差DS1,DS2の変化量ΔS1,ΔS2を用いてセンサゲインG1,G2の調整が行われる例を説明した。これに限らず、同相磁場Bcに応じた各演算信号So1,So2の変化量や、各演算部31A,32Aへの入力信号の変化量を用いて、センサゲインG1,G2の調整が行われてもよい。
以上のように、本実施形態に係る電流センサ1Cにおいて、第1磁気センサ11Aは、センサゲインG1を用いてセンサ信号S1p(第1センサ信号)と、同信号とは差動のセンサ信号S1m(第3センサ信号)とを生成する。第2磁気センサ12Aは、センサゲインG2を用いて、センサ信号S2p(第2センサ信号)と、同信号とは差動のセンサ信号S2m(第4センサ信号)とをさらに生成する。第1演算部31Aは、センサ信号S1pとセンサ信号S2mとを入力する。第2演算部32Aは、センサ信号S2pとセンサ信号S1mとを入力する。ゲインを調整する工程(図9のST2)は、センサゲインG1,G2の少なくとも一方を調整する。これにより、本実施形態に係る電流センサ1Cにおいて、外部磁場の影響を低減することができる。
以上の説明では、調整部4Cが図9のステップST2において用いられる例を説明した。これに限らず、例えば調整部4Cは、実施形態3の調整部4Bと同様に、温度検出部34によって検出される温度に応じて動作してもよい。
また、以上の説明において、第1及び第2演算部31A,32Aは、入力する信号間の減算を演算した(式(45),(46))。減算の代わりに、第1及び第2演算部31A,32Aは、入力する信号の加算を演算してもよい。この場合、例えば第2磁気センサ12Aが各演算部31A,32Aに出力するセンサ信号S2p,S2mを入れ替えることにより、式(47a)のように出力信号Soutを得ることができる。
また、本実施形態において、第3演算部33は、式(47)のような第1及び第2演算信号So1,So2間の減算により、式(47a)のように、第1及び第2磁気センサ11A,12Aの感知結果において同相磁場Bcの影響が打ち消される差動増幅を演算した。第3演算部33は、第1及び第2演算信号So1,So2を加算してもよい。この場合、例えば第2演算部32Aに入力するセンサ信号S1m,S2pを入れ替えることによって、式(47a)と同じ結果が得られる。即ち、第3演算部33において、第1及び第2磁気センサ11A,12Aの感知結果の差動増幅を演算することができる。
(他の実施形態)
上記の各実施形態では、電流センサ1が取り付けられる導体の一例として、図1のバスバー2を説明したが、特にこれに限らず、種々の導体が用いられてもよい。電流センサ1の検出対象の電流が流れる導体の変形例について、図19〜21を用いて説明する。
図19は、電流が流れる2つの流路21,22を有する導体2Aの変形例1を示す。図19(a)は、本変形例の導体2Aの平面図を示している。図19(b)は、図19(a)の導体2Aにおいて同相磁場Bcを印加する状態を例示している。
本変形例の導体2Aは、長手方向(Y方向)において第1及び第2流路21,22が+Y側の端部で連結しており、−Y側の端部で分離している。図19(a)に示すように、導体2Aを流れる電流は、第1流路21を+Y向きに流れると、+Y側の端部で迂回することにより、第2流路22を−Y向きに流れる。電流による信号磁場B1,B2は、図19(a)に示すように、例えばZ方向における導体2Aの同じ側(例えば+Z側)で第1流路21近傍の領域R10と、第2流路22近傍の領域R20とにおいて、互いに逆相を有する。
本変形例においては、例えば電流センサ1が導体2Aに取り付けられた状態において、2つの磁気センサ11,12が、それぞれ第1流路21近傍の領域R10と第2流路22近傍の領域R20とに配置される。これにより、本変形例においても、上記各実施形態と同様に、電流センサ1におけるS/N比を良くして電流の検出精度を向上できる。
本変形例の導体2Aに電流センサ1を取り付けた状態において、同相磁場Bcを用いた調整を行う場合、例えば図19(b)に示すように、同相磁場Bcを印加する(図9のST1)。これにより、ゲイン調整(ST2)等を行える。
図20は、電流センサ1に検出される電流の流路が1つの導体2Bの変形例2を示す。図20(a),(b)は、それぞれXZ平面における導体2Bの断面図において、各磁気センサ11,12の配置例を示している。
図20の例では、導体2Bの長手方向(Y方向)に電流が流れており、電流による信号磁場B1は、XZ平面において導体2Bの周囲を周回している。信号磁場B1は、例えば図20(a)に示すように、Z方向における導体2Bの+Z側の領域R11と−Z側の領域R21とで、互いに逆相を有する。本変形例においては、例えば電流センサ1が導体2Bに取り付けられた状態において、2つの磁気センサ11,12が、それぞれ+Z側の領域R11と−Z側の領域R21とに配置される。この際、各々の磁気センサ11,12は、例えば感度軸の方向がX方向に適宜、許容誤差の範囲内で平行になるように配置される。
また、信号磁場B1は、図20(b)に示すように、X方向における導体2Bの+X側の領域R12と−X側の領域R22とにおいても、互いに逆相を有する。2つの磁気センサ11,12は、それぞれ+X側の領域R12と−X側の領域R22とに配置されてもよい。この際、各々の磁気センサ11,12は、例えば感度軸の方向がZ方向に適宜、許容誤差の範囲内で平行になるように配置される。上記の領域R11〜R22に限らず、2つの磁気センサ11,12は、導体2Bを介して対向し、信号磁場B1が互いに逆相となる種々の領域に配置可能である。
図21(a),(b)は、それぞれ図20(a),(b)に対応して、変形例2の導体2Bにおいて同相磁場Bcを印加する状態を例示している。図20(a),(b)のような磁気センサ11,12の配置で同相磁場Bcを用いた調整を行う場合、例えば図21(a),(b)に示すように、同相磁場Bcを印加する(図9のST1)。図21(a),(b)に限らず、適宜、同相磁場Bcを印加する方向を設定可能である。
以上のように、本変形例に係る電流センサ1において、2つの磁気センサ11,12は、電流が流れる導体2Bを介して対向するように配置される。これによっても、電流センサ1におけるS/N比を良くして電流の検出精度を向上できる。
1,1A〜1C 電流センサ
11,11A 第1磁気センサ
12,12A 第2磁気センサ
2,2A,2B バスバー
3 演算装置
31,31A 第1演算部
32,32A 第2演算部
33 第3演算部
34 温度検出部

Claims (9)

  1. 検出対象の電流によって生じる磁場に基づき前記電流を検出する電流センサの製造方法であって、
    磁場を感知する第1磁気センサと、
    前記電流に応じて前記第1磁気センサが感知する磁場とは逆相の磁場を感知する第2磁気センサと、
    前記第1磁気センサの感知結果と前記第2磁気センサの感知結果との差動増幅を演算して、前記電流の検出結果を示す出力信号を生成する出力部と
    を備える電流センサを準備する工程と、
    前記第1磁気センサと前記第2磁気センサとに同相で入力される同相磁場を前記電流センサに印加する工程と、
    前記同相磁場に応じて、前記第1及び第2磁気センサの感知結果として前記出力部に差動増幅される2つの信号量が合致するように、前記電流センサにおける信号のゲインを調整する工程と
    を含む電流センサの製造方法。
  2. 前記同相磁場は、均一な空間分布を有する
    請求項1に記載の電流センサの製造方法。
  3. 前記第1磁気センサは、第1のセンサゲインにおいて第1センサ信号を生成し、
    前記第2磁気センサは、第2のセンサゲインにおいて第2センサ信号を生成し、
    前記出力部は、
    前記第1センサ信号を入力して、入力した信号に第1の演算ゲインを乗算する第1演算部と、
    前記第2センサ信号を入力して、入力した信号に第2の演算ゲインを乗算する第2演算部と、
    前記第1演算部の演算結果と前記第2演算部の演算結果とに基づき前記出力信号を算出する第3演算部とを備え、
    前記ゲインを調整する工程は、前記第1及び第2のセンサゲイン並びに前記第1及び第2の演算ゲインのうちの少なくとも1つのゲインを調整する
    請求項1又は2に記載の電流センサの製造方法。
  4. 前記ゲインを調整する工程は、前記第1のセンサゲインと前記第1の演算ゲインの積と、前記第2のセンサゲインと前記第2の演算ゲインの積とが合致するように、前記少なくとも1つのゲインを調整する
    請求項3に記載の電流センサの製造方法。
  5. 前記ゲインを調整する工程は、前記第1の演算ゲインと前記第2の演算ゲインの少なくとも一方を調整する
    請求項3又は4に記載の電流センサの製造方法。
  6. 前記第1磁気センサは、前記第1のセンサゲインを用いて前記第1センサ信号とは差動の第3センサ信号をさらに生成し、
    前記第2磁気センサは、前記第2のセンサゲインを用いて前記第2センサ信号とは差動の第4センサ信号をさらに生成し、
    前記第1演算部は、前記第1センサ信号と前記第4センサ信号とを入力し、
    前記第2演算部は、前記第2センサ信号と前記第3センサ信号とを入力し、
    前記ゲインを調整する工程は、前記第1のセンサゲイン及び前記第2のセンサゲインの少なくとも一方を調整する
    請求項3に記載の電流センサの製造方法。
  7. 検出対象の電流によって生じる磁場に基づき前記電流を検出する電流センサであって、
    第1のセンサゲインにおいて磁場を感知する第1磁気センサと、
    前記第1磁気センサの感知結果に第1の演算ゲインを乗算する第1演算部と、
    前記電流に応じて前記第1磁気センサが感知する磁場とは逆相の磁場を、第2のセンサゲインにおいて感知する第2磁気センサと、
    前記第2磁気センサの感知結果に第2の演算ゲインを乗算する第2演算部と、
    前記第1及び第2演算部の演算結果に基づき前記電流の検出結果を示す出力信号を算出する第3演算部と、
    前記第1及び第2のセンサゲイン並びに前記第1及び第2の演算ゲインのうちの少なくとも1つのゲインを調整する調整部とを備え、
    前記調整部は、前記第1のセンサゲインと前記第1の演算ゲインの積と、前記第2のセンサゲインと前記第2の演算ゲインの積とを合致させる
    電流センサ。
  8. 前記調整部は、前記第1磁気センサと前記第2磁気センサとに同相で磁場が入力されたときに、当該磁場に応じて、前記第1演算部の演算結果を示す信号量と前記第2演算部の演算結果を示す信号量とが合致するように、前記少なくとも1つのゲインを調整する
    請求項7に記載の電流センサ。
  9. 周囲の温度を検出する温度検出部をさらに備え、
    前記調整部は、前記温度検出部によって検出される温度に応じて、前記少なくとも1つのゲインを調整する
    請求項7又は8に記載の電流センサ。
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