JP2021034633A - セラミックス回路基板の製造方法 - Google Patents

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克樹 穴井
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Abstract

【課題】パワーモジュール用として、良質なCu配線を持ち、緻密性に優れたセラミックス回路基板の製造方法を提供する。【解決手段】Bi2O3換算で0.1質量%以上、10質量%以下のBiを含む原料を粉砕して粉砕粉を得る工程と、前記粉砕粉とバインダとを用いて複数のグリーンシートを得る工程と、前記グリーンシートの1以上に、CuまたはCuを含む合金からなる導電体粒子を含む導電体ペーストを用いて回路パターンを形成する工程と、2以上の前記グリーンシートを積層してブロック積層体を得る工程と、前記ブロック積層体を、露点が10℃以上、60℃以下の窒素雰囲気において、550℃以上、700℃以下の温度で熱処理する熱処理工程と、前記熱処理されたブロック積層体を、1025℃以下で焼成して焼結体を得る工程と、を有する。【選択図】図2

Description

本発明は、セラミックス回路基板の製造方法に関する。
モータ等の各種産業機器、エンジンコントロールユニット(ECU)等の車載機器、あるいは冷蔵庫、エアコン等の家電機器、携帯電話やスマートフォン等の移動体通信機器等、各種電子機器に用いられる電源回路や増幅回路にて、セラミックス基板に半導体素子を実装した半導体集積回路装置(以下モジュールと呼ぶ)が用いられる。
その中で高電圧・大電流を必要とする電子機器に用いられるモジュールはパワーモジュールと呼ばれる。近年、電子機器の小型化・高機能化が進んでおり、パワーモジュールもまた同様に小型化・高機能化が求められている。また小型化に伴い、電力の出力密度は増大することからパワーモジュールの動作温度が高くなる。そのため、パワーモジュール実装部材には高温での動作が可能な熱信頼性も求められる。
最近では、半導体素子としてSiCを用いたパワーモジュールが注目されている。現在のパワーモジュールの半導体素子にはSiが主に用いられているが、SiCはSiより高温での動作が可能であり、パワーモジュールの小型化・高機能化に寄与できる。
パワーモジュールの小型化・高機能化に向けて低温焼成セラミックス(LTCC)で構成するセラミックス回路基板が提案されている(例えば特許文献1)。LTCC回路基板をパワーモジュール用実装基板として用いることで回路の高集積化による小型化が可能である。また、周辺の実装部材との接続においても従来使われているアルミワイヤボンディングを必要としないため、耐熱信頼性やパワーモジュールとしての動作性向上に期待できる。
また、パワーモジュール用実装基板として絶縁信頼性が求められる。LTCC回路基板の導電体として主にCuやAgが使われているが、絶縁信頼性低下を招くマイグレーション効果がCuの方がAgより起こりにくい傾向がある。このことからLTCC回路基板の導電体としてCuが好ましいと考えられる。Cu配線を有するセラミックス回路基板として特許文献2が提案されている。
特許文献1は、主成分Mg、Al、Siの酸化物と副成分B、Mn、CuとBiまたはZnの酸化物からなるセラミックス回路基板用途のセラミックス基板とその製造方法を開示している。製造方法には原料の粉砕、グリーンシートの作製、導電体ペースト付シート成形体の作製、積層体の作製、焼成の工程を包含する。セラミックス基板を構成する結晶相としてコーディエライトの他にエンスタタイト、スピネルを含む場合がある。セラミックス基板の膨張係数は25〜400℃の範囲において4.5ppm/℃以下であり、比誘電率は5.5以下である。また、損失を示す誘電正接の逆数であるQ値と周波数の積であるf・Q値が10THz以上である。
特許文献2は、絶縁基板が構成元素として少なくともSi、Al、Mg、B及びOを含有し、結晶相としてコーディエライトを含有している焼結体で絶縁基板表面及び内部の配線導体がCu、Au、Ag、Alの群から選ばれる1種の導体を含有している配線基板とその製造方法を開示している。絶縁基板は開気孔率が0.3%以下、誘電率が7以下、抗折強度が150MPa以上を特徴としている。また、結晶相としてアルミナ、ガーナイト、スピネル、ムライト、フォルステライト、エンスタタイト、アノーサイト、スラソウナイト、セルジアン、ジルコニア、CaZrO3及びCaSiO3からなる群から選ばれる少なくとも1種を含有している焼結体である。製造方法は、配線導体にCuを用いた場合について、水蒸気を含有する窒素雰囲気中で温度700℃前後の熱処理をする脱脂工程と窒素、窒素+水蒸気混合または窒素+水素混合の雰囲気で温度700〜1000℃の熱処理をする焼成工程が記載されている。
特開2005−272199号公報 特開2005−93533号公報
特許文献1では焼成工程において、空気中で800〜1050℃の処理をしているが、導電体にCuを用いた場合、空気中の熱処理ではCuは酸化してしまい、低抵抗の配線が得られない。従って酸化を防ぐために窒素などの還元雰囲気で脱脂および焼成をする必要がある。しかし、この条件では原料であるBiが還元してしまい、緻密な焼結体が得られなくなる課題がある。Biが還元される原因としては、バインダ由来の炭素との反応による還元あるいはバインダが分解する際に酸素分圧が低下し、Biが還元しやすい雰囲気になったことが考えられる。
特許文献2では、導電体にCuを用いた場合の脱脂工程について、酸化を避けるため水蒸気を含有する窒素雰囲気中で700℃前後に加熱するとされているが、副成分としてBiが含まれていないため、単に水蒸気を含んだだけではBiの還元やCuの酸化を解決できず、良質なCu配線を得られない可能性がある。
そこで本発明では、パワーモジュール用として、良質なCu配線を持ち、緻密性に優れたセラミックス回路基板の製造方法を提供することを目的とする。
本発明のセラミックス回路基板の製造方法は、Bi換算で0.1質量%以上、10質量%以下のBiを含む原料を粉砕して粉砕粉を得る工程と、前記粉砕粉とバインダとを用いて複数のグリーンシートを得る工程と、前記グリーンシートの1以上に、CuまたはCuを含む合金からなる導電体粒子を含む導電体ペーストを用いて回路パターンを形成する工程と、2以上の前記グリーンシートを積層してブロック積層体を得る工程と、
前記ブロック積層体を、露点が10℃以上、60℃以下の窒素雰囲気において、550℃以上、700℃以下の温度で熱処理する熱処理工程と、前記熱処理されたブロック積層体を、1025℃以下で焼成して焼結体を得る工程と、を有することを特徴とする
前記熱処理において、昇温の速度を20℃/h以上、60℃/h以下で行ってもよい。
本発明によれば、パワーモジュール用として、良質なCu配線を持ち、緻密性に優れたセラミックス回路基板の製造方法が得られる。
セラミックス回路基板の一実施形態の断面を示す模式図である。 セラミックス回路基板の製造方法の一実施形態を示すフローチャートである。 図2に示すフローチャートの工程の一例を示す詳細なフローチャートである。 (a)〜(c)は実施例1〜3における焼結体の断面SEM像である。 比較例4における焼結体の断面SEM像である。 (a)、(b)は実施例1、2における焼結体断面部のエネルギー分散型X線分析(EDX)による分析結果である。 比較例4における焼結体断面部のエネルギー分散型X線分析(EDX)による分析結果である。 実施例3における脱脂工程後の導電体のSEM像である。 比較例5における脱脂工程後の導電体のSEM像である。 焼結体密度の焼成温度依存性を示している。
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
(セラミックス回路基板の構造)
図1は、本実施形態によるセラミックス回路基板10の模式的な断面図である。セラミックス回路基板10は、セラミックス基板11と内部配線12xとを備える。セラミックス基板11は板形状を有しており、表面11xおよび裏面11yを有する。セラミックス基板11は、例えば、複数のセラミックスグリーンシートが積層され、焼成することによって形成されている。より具体的には、セラミックス基板11は表面セラミックス層11x、裏面セラミックス層11yおよび1以上の中間セラミックス層11zを含む。これらの層は一体的に焼結しているため、明瞭な層界面を有していない場合がある。
内部配線12xはセラミックス基板11の内部に位置しており、セラミックス基板11の表面11xおよび裏面11yにおいて露出している。内部配線12xは、表面11xにおいて露出した部分が表面配線12yを構成し、裏面11yにおいて露出した部分が裏面配線12zを構成している。
(セラミックスの組成)
セラミックス基板11は、主成分および副成分を含むセラミックスからなる。セラミックスの主成分はMg、Al、Siの酸化物を含む。より具体的には、主成分は、Mg、Al、Siの酸化物中のMg、Al、Siを、それぞれMgO、Al、SiOに換算し、足し合わせた合計質量に対して、MgO換算で10〜25質量%、Al換算で15〜40質量%、SiO換算で45〜65質量%の割合で含有する。ここで、「10〜25質量%」は10質量%以上、25質量%以下の範囲を示す。以下、分かりやすさのため、数値範囲を「〜」で示す場合がある。温度範囲についても同様とする。
主成分は上述する組成を有することが好ましい。この理由は、例えば、本出願人による特開2005−272199号公報に実験結果とともに示されている。要約すると以下の通りである。
MgがMgO換算で10質量%より少ないと、1000℃以下の低温焼成において緻密な焼結体が得られず、セラミックス基板として十分に高い強度が得られにくくなる。また、25質量%より多いと、同様に1000℃以下の低温焼成において、焼成時にコーディエライト結晶以外の結晶相が析出するようになり、低い比誘電率が得られにくくなる。
AlがAl換算で15質量%より少ないと、1000℃以下の低温焼成において、焼成時に析出するコーディエライト結晶比率が少なくなり 、低い比誘電率を得られにくくなる。また、40質量%より多いと、1000℃以下の低温焼成において緻密な焼結体が得られにくくなり、セラミックス基板として十分に高い強度が得られにくくなる。
SiがSiO換算で45質量%より少ないと、1000℃以下の低温焼成において、緻密な焼結体が得られにくくなり、セラミックス基板として十分に高い強度が得られにくくなる。また、65質量%より多いと、1000℃以下の低温焼成において、焼成時に析出するコーディエライト結晶の比率が少なくなり 、低い比誘電率が得られにくくなる。また、緻密なセラミックス基板が得られにくくなる。
また、副成分は、100質量%の主成分に対して、B換算で0.1〜5質量%、CuO換算で0.1〜10質量%、Mn換算で0〜10質量%、Bi換算で0.1〜10質量%の割合でB、Cu、Mn、Biを含有する。
Bは低温焼結促進の効果を奏する。Bが、B換算で0.1質量%より少ないと、1000℃以下の低温焼成においては緻密なセラミックス基板が得られにくくなる。また、5質量%より多いと、誘電損失が高くなり、低損失な焼結体が得られにくくなる。このためBの含有比率は、B換算で0.1〜5質量%であるのが好ましい。より好ましくは1.5〜3.8質量%である。
Cuは低温焼結促進の効果および焼成時のコーディエライトの結晶相の析出を促進する効果を奏する。CuがCuO換算で0.1質量%より少ないと、1000℃以下の低温焼成において、緻密なセラミックス基板が得られにくくなり、さらにコーディエライトの結晶相が析出しにくくなる。また、10質量%より多いと、誘電損失が高くなり、低損失な焼結体が得られにくくなる。このためCuの含有比率は、CuO換算で0.1〜10質量%であることが好ましい。より好ましくは0.5〜5質量%である。
Mnもまた低温焼結促進の効果および焼成時のコーディエライトの結晶化を促進する効果を奏する。MnがMn換算で10質量%より多いと、誘電損失が高くなり、低損失なセラミックス基板が得られにくくなる。このためMnの含有比率は、Mn換算で0〜10質量%であることが好ましい。より好ましくは1〜5質量%である 。
BiはBと同じく低温焼結促進の効果を奏する。BiがBi換算で0.1質量%より少ないと、緻密なセラミックス基板が得られにくくなる。また10質量%より多いと、低誘電率で低損失なセラミックス基板が得られにくくなる。このためBiの含有比率は、Bi換算で0.1〜10質量%であることが好ましい。より好ましくは0.5〜10質量%であり、さらに好ましくは3.9〜8.0質量%である。
また、BとBiは両方を含有することにより焼結体密度が高くなりやすいため好ましい。特に好ましい比率として、Biに対するBの比B/Biは、それぞれBiおよびB換算で、0.3以上0.8以下であることが好ましい。
(バインダ)
粉末状のセラミックス原料を用いてシートやバルクなどの固形状の成形体を得るために、有機物であるバインダが使われる。バインダには、アクリル系、エチルセルロース、ポリビニルブチラールといった有機物が主に使用される。
一般的にバインダは焼結体を得るための焼成工程を行う前に使用するバインダの分解温度以上で熱処理し、熱分解によるバインダ除去を行う。この工程を脱脂あるいは脱バインダという。バインダの残留量が多い状態で焼成を行うとセラミックス基板の変形やデラミネーションが生じる。また、それらが起こらない場合でもバインダが残留していると基板の物性低下が懸念される。これらのことからバインダは脱脂の工程で取り除く必要がある。
バインダには脱脂工程における除去の容易性と、固形状の成形体としての強度・扱いやすさが求められる。エチルセルロースやポリビニルブチラールは成形体としての強度は高いが脱脂性が悪く、長時間での脱脂が必要となる。特に還元雰囲気などの酸素濃度が低い雰囲気では容易に脱脂することができない。一方、アクリル系バインダは酸素濃度が低い雰囲気でも比較的容易に脱脂することができ、大気中での熱処理が困難なセラミックス基板によく用いられる。しかし、成形体の強度はエチルセルロースやポリビニルブチラールに比べて低い特徴がある。
以上のことからバインダはセラミックス基板を得る上での制約を考慮し、使い分けられる。本発明のセラミックス回路基板は配線としてCuを用いており、大気中での熱処理ではCuが酸化し、低抵抗な配線を得ることができない。そこで、窒素あるいは水蒸気を含有した窒素雰囲気で熱処理を行うため、バインダには脱脂性の良いアクリル系バインダを用いている。
(配線)
内部配線12x、表面配線12y、裏面配線12zは、CuまたはCuを含む合金からなる。一般にLTCC基板の配線としては、AgやCu等が用いられるが、絶縁信頼性の低下を招くマイグレーションを考慮した場合、パワーモジュール用LTCC基板の配線として本実施形態ではCuを用いている。
マイグレーションとは電圧を印加したときに、配線を形成する金属が電子の移動や電解によって配線間のセラミックス中を移動する現象である。セラミックス中に配線を形成する金属が析出されることで絶縁信頼性は低下し、回路の短絡を起こす要因となる。マイグレーションは温度や湿度、印加電圧などに対し、依存性があるが金属種によってマイグレーションの起こりやすさは異なり、CuとAgを比較するとAgの方がマイグレーションを発生しやすい。
したがってAgを導電体として用いた場合、マイグレーションによる絶縁信頼性の低下を考慮する必要があるため、Cuに比べて回路の高集積化が困難であり、使用条件(印加電圧や温度、湿度など)も限定される。このことから導電体としてCuを用いることが好ましい。
本発明ではセラミックスの焼成温度が1025℃以下であるため、導電体として融点の低いAgやCuを用いることが可能であるが、良質なCu配線を形成するにはCuの焼成温度を考慮する必要がある。一般的にセラミックスと導電体の焼成温度や焼成による収縮挙動が大きく異なると基板の反りや、配線の剥離が発生する。
そこで本発明者は配線を形成するCu粉について検討し、収縮開始温度が800℃以上、850℃以下のCu粉を選択することで良質なCu配線をもつLTCC回路基板を作製した。
(セラミックス回路基板の製造方法)
以下、セラミックス回路基板の製造方法を説明する。
図2および図3は、本発明のセラミックス回路基板10の製造方法の一実施形態を示すフローチャートである。以下、本実施形態の製造方法を工程順に説明する。
(A)原料の粉砕粉の用意
図2に示すように、まず、主成分および副成分を含む粉砕粉を用意する
まず、主成分の素原料を調製する(ステップA11)。具体的には、主成分となる、Mg、Al、Siの酸化物を素原料として用意し、Mg、Al、Siの酸化物中のMg、Al、Siを、それぞれMgO、Al、SiOに換算し、足し合わせた合計質量に対して、MgO換算で10〜25質量%、Al換算で15〜40質量%、SiO換算で45〜65質量%の割合で、Mg、Al、Siの酸化物を秤量する。
副成分の素原料を調製する(ステップA12)。具体的には、B、Cu、Mn、Biをそれぞれ含有する素原料を用意し、主成分100質量%に対して、B換算で0.1〜5質量%、CuO換算で0.1〜10質量%、Mn換算で0〜10質量%、Bi換算で0.1〜10質量%の割合でB、Cu、Mn、Biを含有する素原料を秤量する。B、Cu、Mn、Biを含有する素原料として、H3BO3、Bi、CuO、Mn、MnOx等、これらの元素を含む他の化合物やこれらの元素の他の酸化状態の酸化物を用いても良い。
秤量した主成分および副成分の酸化物を混合する(ステップA2)。例えば、秤量した主成分および副成分の酸化物に分散媒として水等の適当な液体を加え、ボールミル等で混合し、スラリーを得る。得られたスラリーを加熱によって乾燥させ、らいかい機等で解砕する。解砕粉をアルミナ製のるつぼに入れ、大気中1000℃以上1050℃未満の温度で仮焼し、仮焼体を得る(ステップA3)。仮焼体を粉砕することによって仮焼体の粉砕粉を得る(ステップA4)。
(B)グリーンシートの形成
仮焼体の粉砕粉と水などの液体とアクリル系バインダと可塑剤を混合し、スラリーを得る。スラリーからドクターブレード法などによって、複数のグリーンシートを作製する。粉砕粉は乾燥させると凝集するため、乾燥させずに粉砕粉のスラリーに直接所定量のバインダや可塑剤を混合してグリーンシート用のスラリーとしても良い。
(C)配線付きグリーンシートの作製
1以上のグリーンシートに、収縮開始温度が800〜850℃のCu粉を含む導電体ペーストを付与し、回路パターンを形成した配線付きグリーンシートを得る。導電体ペーストの付与により、ビア及び/又はスルーホールや内部配線、表層配線を形成することが可能である。
(D)ブロック積層体の形成
2以上のグリーンシートを積層し、熱および圧力を加えてブロック積層体を作製する。作製の際、積層体の成形密度が均一になるよう圧力は等法的に加えるのが好ましい。
(E)熱処理工程
ブロック積層体に含まれるバインダを熱処理によって分解させて取り除く工程を行う。以下、この工程を脱脂と称し、得られた積層体を脱脂体と呼ぶ。酸素濃度が1〜20ppmの窒素雰囲気に、露点温度が10℃以上、60℃以下となるように水蒸気を混合させ、550℃以上、700℃以下の温度で脱脂を行い、脱脂体を得る。この条件で脱脂を行うことでバインダが効率よく熱分解し、かつ焼結助剤であるBiの還元を抑制することができ、(F)焼成工程を経てCu配線を有した緻密な焼結体が得られる。
Cu配線を有したブロック積層体の脱脂はCu配線の酸化を防ぐため、窒素や水素などの還元雰囲気で処理する必要がある。ただし、酸素濃度の低い還元雰囲気ではバインダの酸素との反応による熱分解が進まず、バインダを効率よく取り除くことができない。また、窒素雰囲気で処理をした場合、副成分であるBiが融点の低いBiに還元されてしまい、脱脂や焼成の工程で、揮発してしまう。このため、窒素雰囲気で熱処理を行うと、緻密な焼結体を得ることができない。
水蒸気を含んだ窒素雰囲気で脱脂を行うとバインダを効率よく熱分解することができる。さらに副成分であるBiの還元を抑制することができるため、焼成工程を経て緻密な焼結体を得ることができる。水蒸気を含んだ窒素雰囲気は、水が入った容器を介して窒素を熱処理炉に供給することで可能となる。窒素雰囲気の露点は、水温を変えることにより調整できる。
脱脂において水蒸気を混合させる前の酸素濃度は1〜20ppm、好ましくは5〜15ppmが望ましい。酸素濃度が1ppmより低いと副成分であるBiが還元されてしまい、緻密な焼結体を得ることができなくなる可能性がある。また、酸素濃度が20ppmより高いと、導電体であるCuが酸化してしまい、低抵抗な配線を得ることができない。
窒素雰囲気の露点温度は10〜60℃、好ましくは10〜40℃がさらに好ましい。露点温度が10℃より低いとバインダの除去が困難であり、副成分であるBiが還元されて緻密な焼結体を得ることができなくなる。また、露点温度が60℃より高いと低温で配線を形成するCu粉が焼結してしまい、配線にクラックや剥離が生じる。
脱脂における温度は550〜700℃が好ましい。温度が550℃より低いと脱脂が不十分となり、焼成時に残留したバインダ成分による熱分解がデラミネーションを引き起こして良質な焼結体を得ることができない。温度が700℃より高い場合、副成分であるBiが還元されてしまい、緻密な焼結体を得ることができなくなる。さらに配線を形成するCu粉が焼結してしまい、配線にクラックや剥離が生じる可能性がある。
脱脂温度に到達するまでの昇温は遅くすることが好ましく、具体的には20〜60℃/hが好ましい。昇温速度が60℃/hより速いとバインダは急激に熱分解を起こし、ブロック積層体中に発生するCOガスによってデラミネーションを引き起こす可能性があり、強度が低下する。また、昇温速度が20℃/hより遅いとブロック積層体への影響は小さいが、工程にかかる時間が長くなり、効率よく脱脂を処理することが出来ない。
(F)脱脂体の焼成
脱脂体を焼成し、焼結体を得る。具体的には、酸素濃度が1ppm〜20ppmである窒素雰囲気において、脱脂体を温度950〜1025℃で焼成する。これにより、主成分がコーディエライト結晶として析出したセラミックス基板11と内部配線12x、表面配線12y、裏面配線12zを含む焼結体が得られる。好ましくは、焼成温度は、970〜1025℃以下であり、より好ましく970〜1000℃以下である。
Cu配線を有する脱脂体の焼成においてCu配線の酸化を防ぐため、酸素濃度が低い窒素や水素などの還元雰囲気で処理する必要がある。酸素濃度は1〜20ppm、好ましくは5〜15ppmである。酸素濃度が20ppmより高いと導電体であるCuが酸化してしまい、低抵抗な配線を得ることができなくなる。酸素濃度が1ppmより低い場合、副成分であるCuOがCuに還元され、基板の絶縁信頼性低下、誘電特性の劣化を起こす可能性がある。
得られた焼結体をそのままセラミックス回路基板として用いてもよいし、表面のセラミックス層および裏面のセラミックス層を研削および研磨によって除去し、表面の平坦化および平滑化を行ってもよい。これにより図1に示すセラミックス回路基板10が得られる。
(実施例)
(1)試料の作製
以下の手順により、セラミックス回路基板に相当する試料を作製した。
主成分の素原料となるMgO、Al、SiOと副成分素原料となるH3BO3、Bi、CuO、Mnを以下の表1に示す質量比に従って秤量し(ステップA11、ステップA12)、イオン交換処理をした水を分散媒としてボールミルで40時間混合を行った(ステップA2)。ボールミルのメディアにはジルコニアボールを用いた。また、混合時の泡の発生を抑制するための消泡材と原料の分散性を良くするための分散剤を添加物として加えた。混合スラリーを加熱乾燥した後、乳鉢で解砕し、アルミナ製のるつぼに入れ、大気雰囲気中1050℃にて仮焼を行った(ステップA3)。その後、得られた仮焼体を乳鉢で解砕し、さらにボールミルで粉砕を行った。ボールミルの際、分散媒としてエタノールとブタノールを仮焼体の濃度が40質量%になるよう添加し、ボールミルのメディアにはジルコニアボールを用いた。ボールミルによる粉砕は得られる仮焼体の粉砕粉の比表面積が20m/gに到達するまで行った(ステップA4)。
仮焼体の粉砕粉の濃度が40質量%であるエタノール・ブタノール混合溶液に粉砕粉100質量%に対し、アクリル系バインダを29.2質量%、可塑剤を11.0質量%、エタノールを49.1質量%を混合させ、スラリーを得た。得たスラリーからドクターブレード法を用いて厚さ約100μmのグリーンシートを得た(ステップB)。
グリーンシートに収縮開始温度が800℃〜850℃のCu粉を含む導電体ペーストを付与し、回路パターンを形成した配線付きグリーンシートを得た(ステップC)。
グリーンシートを44.5mm×44.5mmの大きさに切断し、グリーンシートを8〜9枚積層し、温度60℃、圧力3tの加熱圧着によりブロック積層体を作製した。また、7〜8枚積層したグリーンシートの上に配線付きグリーンシートを積層させて加熱圧着したブロック積層体も作製した。
ブロック積層体を表2に示す条件で熱処理を行い、それぞれの脱脂体を得た。
表2の条件で熱処理した脱脂体について酸素濃度が5〜15ppm、温度1000℃の条件で焼成し、焼結体を得た(ステップE)。
(2)試料の評価
得られた焼結体についてCu配線の異常の有無を光学顕微鏡で確認した。また、SEM(走査電子顕微鏡)で焼結体断面の組織を観察し、空隙の割合を空隙面積率として緻密性を評価した。
表2の条件で作製した焼結体について発光分光分析あるいはEDX(エネルギー分散型X線分析)により焼結体中のBiの有無を調査した。
(3)結果
実施例1〜3のいずれの条件においても本発明のセラミックス回路基板の特徴を満たす焼結体を得た。
図4(a)、(b)、(c)は、それぞれ表2に示す実施例1、2、3で作製した焼結体断面のSEM象を示す。空隙面積率はいずれも1.0%未満であり、緻密な焼結体であった。図5は比較として窒素のみの雰囲気にて温度700℃で脱脂をした後(比較例4)、焼成を行ったセラミックス基板の断面のSEM象を示す。空隙面積率が14.0%で空隙の多い焼結体であった。比較例4では緻密性のある、高い強度を有したセラミックス基板を得ることができない。
図6(a)、(b)は、それぞれ実施例1と実施例2の脱脂体を焼成した焼結体断面のEDXの分析結果を示す。いずれもBiを示すピークを観測し、Biの残存が認められる結果を得た。また、実施例3で作製した焼結体についても発光分光分析によりBiが残存している結果を得た。図7は比較として窒素雰囲気にて温度700℃で脱脂をした後(比較例4)、焼成を行ったセラミックス基板についてのEDXの結果を示しており、Biの残存が認められる結果を得ることができなかった。また、発光分光分析によりBiの含有量は0.01〜0.02重量%でほとんど存在していない結果を得た。以上のことから脱脂工程において窒素と水蒸気を混合した雰囲気で熱処理することが好ましく、窒素と水蒸気の混合雰囲気で熱処理することで焼結を促進する副成分であるBiの低減を抑制し、緻密な焼結体を得ることができる。
比較例5の条件で脱脂を行ったところ、Cu配線の剥離が生じた。図8は実施例3におけるCu配線のSEM像を示し、図9は比較例5におけるCu配線のSEM像を示す。図9よりCu粒子が互いに結合しており、焼結が生じていることを確認した。窒素雰囲気の露点温度が高いとCu粒子の焼結による配線の剥離が生じることから、脱脂工程において窒素雰囲気の露点温度は10〜60℃が好ましい。
実施例との比較として昇温速度200℃/hで脱脂を行ったところ(比較例6)、脱脂体にデラミネーションが生じた。焼成後の焼結体においてもデラミネーションが生じており、脱脂工程において昇温速度は遅く20〜60℃/hが好ましい。
図10に表2の実施例1で熱処理した脱脂体を温度925〜1000℃の範囲で焼成した焼結体の密度を示す。焼成の温度が925℃の場合、密度は低く、緻密な焼結体でない結果を得た。このことから緻密な焼結体を得るためには焼成温度は950〜1025℃が好ましい。
本発明のセラミックス回路基板は、パワーモジュール用のセラミックス回路基板として好適に用いることが可能である。また、パワーモジュールに限らず種々の用途に用いることが可能である。
10 セラミックス回路基板
11 セラミックス基板
11x 表面
11y 裏面
11z 中間セラミックス層
12x 内部配線
12y 表面配線
12z 裏面配線


Claims (2)

  1. セラミックス回路基板の製造方法であって、
    Bi換算で0.1質量%以上、10質量%以下のBiを含む原料を粉砕して粉砕粉を得る工程と、
    前記粉砕粉とバインダとを用いて複数のグリーンシートを得る工程と、
    前記グリーンシートの1以上に、CuまたはCuを含む合金からなる導電体粒子を含む導電体ペーストを用いて回路パターンを形成する工程と、
    2以上の前記グリーンシートを積層してブロック積層体を得る工程と、
    前記ブロック積層体を、露点が10℃以上、60℃以下の窒素雰囲気において、550℃以上、700℃以下の温度で熱処理する熱処理工程と、
    前記熱処理されたブロック積層体を、1025℃以下で焼成して焼結体を得る工程と、
    を有することを特徴とするセラミックス回路基板の製造方法
  2. 前記熱処理において、昇温の速度を20℃/h以上、60℃/h以下で行う
    ことを特徴とする請求項1に記載のセラミックス回路基板の製造方法
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