JP2021032570A - 放射性アルミニウム廃棄物処理方法 - Google Patents

放射性アルミニウム廃棄物処理方法 Download PDF

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【課題】放射性アルミニウム廃棄物に含まれるアルミニウムを、化学的に安定である酸化アルミニウムに変換する放射性アルミニウム廃棄物処理方法を提供する。【解決手段】本発明に係る放射性アルミニウム廃棄物処理方法は、放射性アルミニウム廃棄物に含まれるアルミニウムを酸化アルミニウムに変換する放射性アルミニウム廃棄物処理方法であって、放射性アルミニウム廃棄物を、アルカリ金属の水酸化物の水溶液で溶解し、不純物を沈殿させる溶解工程(工程S1)と、前記溶解工程で得られた溶液を、固液分離し不純物を除去する第1固液分離工程(工程S2)と、前記第1固液分離工程で得られた溶液に酸性水溶液を添加し、水酸化アルミニウムを主成分とする固体を沈殿させる中和工程(工程S3)と、前記中和工程で得られた溶液を、固液分離し固体を得る第2固液分離工程(工程S4)と、前記第2固液分離工程で得られた固体を焼成する焼成工程(工程S6)と、を含むことを特徴とする。【選択図】 図1

Description

本発明は、放射性アルミニウム廃棄物に含まれるアルミニウムを酸化アルミニウムに変換する放射性アルミニウム廃棄物処理方法に関する。
発電用原子炉や試験研究炉等の原子力施設においては、例えば中性子反射体としてアルミニウムを材料とした部材が使用されている。原子力施設が廃止措置となる場合、このようなアルミニウム製の部材を放射性アルミニウム廃棄物として処分する方法には、地中に埋設して処分することを挙げることができる。
一方、アルミニウムは反応性が高いことから、放射性アルミニウム廃棄物をそのまま埋設処分することはできない。そこで、例えば、特許文献1(特開平10−221493号公報)には、放射性アルミニウム廃棄物をアルカリ性溶液で溶解して水酸化アルミニウムの沈殿物として回収し、当該沈殿物をドラム缶に入れコンクリート等を充填し固化体とした上で、埋設処分することが提案されている。
特開平10−221493号公報
金属アルミニウムは化学的に安定ではなく、コンクリートを構成するアルカリ性物質と反応し水素が発生してしまい、廃棄体(固化体)形成時にドラム缶の内圧が上昇するや内容物がドラム缶から溢れ出す等の固化体の健全性に影響する。また、特許文献1に記載の従来技術において沈殿物として回収される水酸化アルミニウムは、コンクリートの劣化要因であるアルカリ骨材反応を抑制する混和材を用いての固化が想定されているが、その使用量を超えた場合にはコンクリートの圧縮強度や中性化に影響する。このようなことから、現在、放射性アルミニウム廃棄物は難廃棄体として分類され、固化体の作製が行われず管理区域内に保管されているのが現状である。
放射性廃棄物を埋設により処分を行うためには、ドラム缶内で化学反応を起こさないように、放射性アルミニウム廃棄物を安定的なアルミニウム化合物とする必要があるが、従来このような提案がなされておらず問題であった。
また、放射性アルミニウム廃棄物を埋設処分する際には、当該廃棄物が最大放射能濃度を超えないようにすることも要請される。
発電用原子炉や試験研究炉等の部材として用いられるアルミニウム材には、その強度を増すためなどに鉄や銅が添加されている。アルミニウム材中の鉄や銅は、原子炉等で利用される過程で中性子による照射を受け、Fe−59やCo−60など放射線源となる核種に変換される。放射性アルミニウム廃棄物を埋設する上で放射能濃度を抑制するため、これらの核種が除去されることが好ましいが、これまでにこれらの核種を除去する技術は提案されておらず問題であった。
また、アルミニウム材には極微量のウランが含まれていることが知られている。このような極微量のウランは、中性子の照射を受けることで、核分裂生成物(FP)や超ウラン元素(TRU)が生成する。これらFPやTRUは、揮発性、準揮発性及び非揮発性のものに分けられるが、放射性アルミニウム廃棄物を処理・処分するためには、これらの核種の放射能濃度をできるだけ低減することが必要である。例えば、ウランの核分裂により、準揮発性で数十年の半減期を持つSr−90やCs−137、非揮発性で長半減期核種であるTc−99などが生成される。放射性アルミニウム廃棄物を埋設する上では、このようなSr−90、Cs−137やTc−99も除去されることが好ましいが、これまでに当該核種を除去する技術は提案されておらず問題であった。
上記のような問題点を解決するために、本発明に係る放射性アルミニウム廃棄物処理方法は、放射性アルミニウム廃棄物に含まれるアルミニウムを酸化アルミニウムに変換する放射性アルミニウム廃棄物処理方法であって、放射性アルミニウム廃棄物を、アルカリ金属の水酸化物の水溶液で溶解し、不純物を沈殿させる溶解工程と、前記溶解工程で得られた溶液を、固液分離し不純物を除去する第1固液分離工程と、前記第1固液分離工程で得られた溶液に酸性水溶液を添加し、水酸化アルミニウムを主成分とする固体を沈殿させる中和工程と、前記中和工程で得られた溶液を、固液分離し固体を得る第2固液分離工程と、前記第2固液分離工程で得られた固体を焼成する焼成工程と、を含むことを特徴とする。
また、本発明に係る放射性アルミニウム廃棄物処理方法は、前記焼成工程を実施する前に、前記第2固液分離工程で得られた固体を水で洗浄する洗浄工程をさらに含むことを特徴とする。
また、本発明に係る放射性アルミニウム廃棄物処理方法は、前記焼成工程を300℃以上で実施することを特徴とする。
本発明に係る放射性アルミニウム廃棄物処理方法は、第2固液分離工程で得られた固体を焼成する焼成工程を有しており、このような本発明に係る放射性アルミニウム廃棄物処理方法によれば、放射性アルミニウム廃棄物に含まれるアルミニウムを、化学的に安定である酸化アルミニウムに変換することができ、ドラム缶内にコンクリート等と共に封入し固化体となし、埋設処分することが可能となる。
また、本発明に係る放射性アルミニウム廃棄物処理方法は、溶解工程で得られた溶液を、固液分離し不純物を除去する第1固液分離工程を有しており、このような本発明に係る放射性アルミニウム廃棄物処理方法によれば、Fe−59やCo−60など放射線源となる核種を除去でき、放射能濃度を抑制することが可能となり、埋設処分のための管理を容易とすることができる。
また、本発明に係る放射性アルミニウム廃棄物処理方法は、中和工程で得られた溶液を、固液分離し固体を得る第2固液分離工程を有しており、このような本発明に係る放射性アルミニウム廃棄物処理方法によれば、準揮発性のSr−90、Cs−137や長半減期核種であるTc−99などを除去でき、放射能濃度を抑制することが可能となり、埋設処分のための管理を容易とすることができる。
本発明は、放射性アルミニウム廃棄物を湿式法により化学的に安定な酸化アルミニウム(アルミナ)に変換するものである。このように、放射性アルミニウム廃棄物を化学的に安定な酸化アルミニウム(アルミナ)とすることを安定化処理と称する。
本発明では、放射性アルミニウム廃棄物を安定化処理し、安定化処理した固化体がコンクリート等と反応せず、かつ放射性アルミニウム廃棄物中の放射性同位元素を除去・低減させることで、廃棄体の作製を容易とし、廃棄体を安全に管理することを可能とした。
本発明の実施形態に係る放射性アルミニウム廃棄物処理方法の各工程のフローの一例を模式的に示す図である。 アルミニウム合金(A6061)の化学成分を示す図である。 アルミニウム合金(A6061)の照射済み試験片の放射能測定結果を示す図である。 第1固液分離工程S2で分離された固体の不純物の放射能測定結果を示す図である。 第1固液分離工程S2で分離された液体(不純物除去液)の放射能測定結果を示す図である。 第2固液分離工程S4で分離された液体(中和濾液)の放射能測定結果を示す図である。
以下、本発明の実施の形態を図面を参照しつつ説明する。図1は本発明の実施形態に係る放射性アルミニウム廃棄物処理方法の各工程のフローの一例を模式的に示す図である。本発明は、発電用原子炉や試験研究炉等の原子力施設で使用済みの放射性アルミニウム廃棄物に含まれるアルミニウムを化学的に安定な酸化アルミニウム(アルミナ)に変換する放射性アルミニウム廃棄物処理方法である。
ここで、本明細書において、「放射性アルミニウム廃棄物」は、発電用原子炉や試験研究炉等の原子力施設で既に用いられ、中性子による照射を受けた部材であり、アルミニウムを主材料とするものである。また、本明細書において「アルミニウム」には、純粋な金属アルミニウム、及び、それに対して他の金属が添加されたアルミニウム合金が含まれるものとする。
すなわち、本明細書における「アルミニウム」には、意図的に添加された鉄や銅などを含有するアルミニウム合金がその範疇に入る。また、本明細書における「アルミニウム」には、極微量のウラン等を含有するものもその範疇に入る。なお、アルミニウム合金中の鉄や銅などが、アルミニウム合金から分離された場合には、鉄や銅を「不純物」と称する。
本発明に係る放射性アルミニウム廃棄物処理方法は、湿式法により放射性アルミニウム廃棄物を溶解し、金属アルミニウムとそれに含まれる放射性同位元素を分離する。続いて、中性化処理により、アルミニウム成分を沈殿させ、それを焼成することにより、安定な酸化アルミニウム(アルミナ)とする工程を基本としている。
国立研究開発法人日本原子力研究開発機構においては、材料試験炉としてJMTR(Japan Materials Testing Reactor)を運営している。このJMTRは、発電用軽水炉燃料や材料の照射試験を中心に、新型転換炉、高速炉、高温ガス炉、核融合炉などの燃料・材料の照射試験に広く利用されてきた。
JMTRの炉心構造物には、ステンレス鋼の他、中性子反射体として、アルミニウム製の部材が使用されている。JMTRは廃止措置の方針が決定しており、その炉心で用いられていた当該アルミニウム製の部材は、適切に廃棄処分される必要がある。
図1における放射性アルミニウム廃棄物は、例えば、上記のようなアルミニウム製の部材を想定している。本発明に係る放射性アルミニウム廃棄物処理方法では、工程S1において、このような放射性アルミニウム廃棄物をアルカリ金属の水酸化物の水溶液に溶解する。
代表的なアルカリ金属の水酸化物としては、水酸化ナトリウム(NaOH)を挙げることができる。また、他のアルカリ金属の水酸化物としては、水酸化カリウム(KOH)を挙げることができる。
なお、このような溶解工程S1を実施する前段の工程として、放射性アルミニウム廃棄物を粉砕する工程を設けることも好ましい。このような粉砕工程では、機械粉砕を用いることができる。
溶解工程S1で、例えば水酸化ナトリウムを用いてアルミニウムを溶解させると、アルミン酸ナトリウム(Na[Al(OH)4])が反応式(1)に示すように生成される。
2Al+2NaOH+6H2O→2Na[Al(OH)4]+3H2・・・(1)
溶解工程S1を経ると、放射性アルミニウム廃棄物を構成するアルミニウムは溶解し液体となり、放射性アルミニウム廃棄物から分離した不純物が沈殿した状態となる。
続く工程S2においては、溶解工程S1で得られた溶液に対して、第1固液分離工程を実施することで、前記の不純物を除去する。第1固液分離工程S2で用いる方法としては、濾過を挙げることができるが、その他の固液分離法も適宜用いることができる。
第1固液分離工程S2で除去される不純物には、Fe−59やCo−60などが含まれており、本発明に係る放射性アルミニウム廃棄物処理方法によれば、Fe−59やCo−60など放射線源となる核種を除去でき、またTRUはアルカリと反応すると沈殿物を生成するまたは加水分解をするので同様に除去でき、放射能濃度を抑制することが可能となり、埋設処分を行うことができるようになる。
次の工程S3は中和工程であり、この工程においては、第1固液分離工程S2で得られた溶液に酸性水溶液を添加し、水酸化アルミニウムを主成分とする固体を沈殿させる。代表的には、酸性水溶液として塩酸(HCl)を用いることができる。また、この工程では他の酸性水溶液として、硫酸(H2SO4)、硝酸(HNO3)なども用い得る。
中和工程S3で水酸化アルミニウムはゲル状である。この水酸化アルミニウムは中和によって生成される塩化ナトリウムはゲル状水酸化アルミニウムに内包される。中和工程S3で発生する反応は、式(2)によって現すことができる。
Na[Al(OH)4]+HCl→Al(OH)3+NaCl+H2O・・・(2)
続く工程S4においては、中和工程S3で得られた溶液に対して、第2固液分離工程を実施する。第2固液分離工程S4で用いる方法としては、濾過を挙げることができるが、その他の固液分離法も適宜用いることができる。
第2固液分離工程S4によって固液分離された液体側には、Sr−90、Cs−137やTc−99などが含まれている。このため、本発明に係る放射性アルミニウム廃棄物処理方法によれば、準揮発性のSr−90、Cs−137や長半減期核種であるTc−99などを除去でき、放射能濃度を抑制することが可能となり、埋設処分のための管理が容易となる。
続く工程S5においては、第2固液分離工程S4で得られた固体を水で洗浄する洗浄する。この洗浄工程S5は、脱塩を行うことが目的である。洗浄工程S5の際には、前記固体を乾燥させることが好ましい。ただし、S6の焼成工程を1000℃以上で実施する場合には、塩化ナトリウムは揮発するので洗浄工程S5を必ずしも実施する必要はない。
焼成工程S6では、第2固液分離工程S4で得られた固体、又は、洗浄工程S5を経た固体に対して焼成が行われる。このような焼成工程S6における反応は、(3)によって示すことができる。
2Al(OH)3→Al23+H2O・・・(3)
本発明に係る放射性アルミニウム廃棄物処理方法は、第2固液分離工程S4で得られた固体を焼成する焼成工程S6を有しており、このような本発明に係る放射性アルミニウム廃棄物処理方法によれば、放射性アルミニウム廃棄物に含まれるアルミニウムを、化学的に安定である酸化アルミニウムに変換することができ、ドラム缶内にコンクリート等と共に封入し固化体となし、埋設処分することが可能となる。
また、本発明に係る放射性アルミニウム廃棄物処理方法は、溶解工程S1で得られた溶液を、固液分離し不純物を除去する第1固液分離工程S2を有しており、このような本発明に係る放射性アルミニウム廃棄物処理方法によれば、Fe−59やCo−60など放射線源となる核種を除去でき、放射能濃度を抑制することが可能となり、埋設処分のための管理が容易となる。
また、本発明に係る放射性アルミニウム廃棄物処理方法は、中和工程S3で得られた溶液を、固液分離し固体を得る第2固液分離工程S4を有しており、このような本発明に係る放射性アルミニウム廃棄物方法によれば、準揮発性のSr−90、Cs−137や長半減期核種であるTc−99などを除去でき、放射能濃度を抑制することが可能となり、埋設処分のための管理が容易となる。
試料片として、アルミニウム合金であるA6061を用いた。図2にA6061の化学成分を示す。このようなアルミニウム合金に対して京大炉で照射を行った。これにより、放射性アルミニウム廃棄物を模擬する照射済みアルミニウム合金(A6061)の試験片を得た。試験片の形状は、10mm×10mm×2mmであった。
また、照射条件は、熱中性子束2.8×1013[n/cm2/s]、照射時間20分、冷却時間4日であった。
また、図3はアルミニウム合金(A6061)の照射済み試験片の放射能測定結果を示す図である。本実施例における全ての放射能測定では、ゲルマニウム半導体検出器(キャンベラ製)を用いた。
図3の放射能測定結果から、アルミニウム合金(A6061)の照射済み試験片には、Tc−99m、Cr−51、Sr−85、Mn−54、Fe−59、Co−60、Cu−64、Na−24、La−140などの核種が含まれることがわかる。
ここで、検出されたTc−99m、Sr−85、La−140はウランの核分裂核種であると考えられ、長期に使用されたアルミニウム製の中性子反射体にはTc−99mの崩壊によるTc−99、Sr−90、Cs−137などの長寿命核種やTRUが存在することとなる。また、Cr−51、Mn−54、Fe−59、Co−60、Cu−64、Na−24などは、アルミニウム自体、或いはアルミニウムを合金化するために添加された金属に由来すると考えられる核種である。
溶解工程S1
アルミニウム合金(A6061)の照射済み試験片の溶解には、水酸化ナトリウム溶液を使用した。濃度は3〜6M程度で十分照射済み試験片を溶解することが可能であった。
溶解時間を短縮するためには、水酸化ナトリウム溶液が沸騰しない60℃以下程度まで水酸化ナトリウム溶液を昇温した上で、溶解工程を実施すると効果的であることを確認した。
溶解後、照射済み試験片中に含まれている固体の不純物は溶液中に残留した。溶解工程で得られた溶液は、黒色であった。
第1固液分離工程S2
第1固液分離工程S2として、溶解工程で得られた溶液に対して、濾過によって不純物の除去を行った。濾過によって不純物を除去した液体側を、不純物除去液と称する。濾過によって除去した不純物が乾燥により褐色や灰色となった。
図4に、第1固液分離工程S2で分離された固体の不純物の放射能測定結果を示す。不純物側においては、Cr−51、Mn−54、Fe−59、Co−60、Cu−64、La−140などの核種を確認することできる。
このように、溶解工程S1で得られた溶液を、固液分離し不純物を除去する第1固液分離工程S2により、Cr−51、Mn−54、Fe−59、Co−60、Cu−64、La−140など放射線源となる核種を除去でき、放射能濃度を抑制することが可能である。
図5に第1固液分離工程S2で分離された液体(不純物除去液)の放射能測定結果を示す。不純物除去液においては、Tc−99m、Cr−51、Sr−85、Mn−54、Na−24などの核種が確認できた。
中和工程S3
本工程においては、第1固液分離工程S2で分離された液体(不純物除去液)に対して、塩酸を添加することによりアルミン塩酸から水酸化アルミニウムを生成する。不純物除去液に塩酸を加える際には、撹拌しながら塩酸を加えた。中和工程S3で生成される水酸化アルミニウムはゲル状であった。
第2固液分離工程S4
第2固液分離工程S4として、中和工程S3で得られた溶液に対して、濾過によって不純物の除去を行った。
濾過によって得られる水酸化アルミニウムには、中和によって生成される塩化ナトリウムが、ゲル状の水酸化アルミニウムに内包されるため、洗浄工程S5を実施する場合には、一度乾燥させる。乾燥は50℃の恒温槽にて行った。ゲル状水酸化アルミニウムから水分が抜けるまで十分長い時間乾燥を行った。
また、第2固液分離工程S4による濾過によって、水酸化アルミニウムを除去した液体側について、放射能測定を実施した。図6に第2固液分離工程S4で分離された液体(中和濾液)の放射能測定結果を示す。中和濾液においては、Tc−99m、Na−24などの核種が確認でき
た。
このように第2固液分離工程S4で分離される液体(中和濾液)には、長半減期核種であるTc−99などが含まれており、水酸化アルミニウム側からはTc−99mなどを除去でき、放射能濃度を抑制することが可能である。
なお、図5及び図6の放射能測定結果から、Cr−51、Sr−85、Mn−54は液体中に溶解しており、本分離工程で除去が可能である。ここで、Sr−85の除去性能から、ストロンチウムの同位体である半減期が28.8年であるSr−90の除去も可能であることが明らかとなった。一方、第2固液分離工程S4で分離される固体(主にAl23、NaCl)側には、一部Cr−51、Sr−85、Mn−54が残留することが予想されるが、本工程でのこれらの核種の残留率は、1/10以下であることを確認している。さらに、分離された固体(主にAl23、NaCl)を洗浄することにより、これらの核種が除去されることも予想される。
乾燥させた水酸化アルミニウムの固体物について、X線回折の測定を行った結果、バイヤライト系水酸化アルミニウムと、塩化ナトリウムとが検出された。着目しているセシウムについては、ナトリウムと同じアルカリ金属であり、化学的挙動がナトリウムとほぼ同じであることから、中和により、塩化セシウム(CsCl)が検出されるものと予想される。
洗浄工程S5
第2固液分離工程S4で得られた水酸化アルミニウムを主成分とする固体に対して、洗浄工程S5を実施した。洗浄を行う前段に、当該固体を粉砕すると好ましい。洗浄はイオン交換水等の純水を用いて行った。水酸化アルミニウムは水に対して不溶性であるので、洗浄によってアルミニウムが溶出することはないと考えられる。
焼成工程S6
洗浄工程S5で洗浄した水酸化アルミニウムを400〜1000℃にて焼成する。焼成工程S6においては、焼成温度を上昇させていくことに伴い、200〜300℃付近にて、反応式(3)に示すように水酸化アルミニウムの脱水が起こり、化学的に安定である酸化アルミニウム(アルミナ)が生成される。
脱水後の昇温に伴い、酸化アルミニウム(アルミナ)は、アモルファス状の遷移酸化アルミニウム(アルミナ)となる。さらに300℃〜1000℃の温度範囲で焼成されると結晶性の酸化アルミニウム(アルミナ)にすることができる。さらに、800℃以上で焼成することにより、生成した酸化アルミニウム(アルミナ)から塩化ナトリウムを除去することができるようになる。
塩化ナトリウムの融点は800℃であり、液体になると揮発性をもつことが知られている。焼成温度800℃にて塩化ナトリウムの揮発が起こる。従って800℃以上で焼成すると塩化ナトリウムは除去できる。
酸化アルミニウム(アルミナ)に塩化ナトリウムが残留している場合には、より好ましくは、1000℃にて焼成することで除去する。本実施例では、1000℃にて焼成することで、塩化ナトリウムを排した、酸化アルミニウム(アルミナ)を回収した。
このように、塩化ナトリウムとほぼ同じ化学的性質を持つ塩化セシウムの除去も可能であることが分かり、Cs−137の除去の可能性も見出すことができた。
以上のような実施例から、放射性アルミニウム廃棄物を模擬する照射済み試験片を、アルカリ溶液と反応させて、水素ガスを発生させながら溶解し、溶解液を中和し得られた沈殿物を焼成して酸化アルミニウムに変換することが確認できた。このように変換された酸化アルミニウムは固化剤と混合しコンクリート固化しても水素ガスが発生しないものである。
また、本発明では、溶解工程S1後に、溶解液に放射性アルミニウム廃棄物中に含有する放射化不純物が不溶化物質として除去されることで、放射線源となる核種を除去できる。実施例では、第1固液分離工程S2により、Cr−51、Mn−54、Fe−59、Co−60、Cu−64、La−140などの核種の除去が確認できた。
また、本発明では、中和工程S3の後、放射化不純が溶液側に残留することを利用して、放射線源となる核種を除去できる。実施例では、第2固液分離工程S4により、Tc−99m、Na−24などの核種の除去が確認できた。
S1・・・溶解工程
S2・・・第1固液分離工程
S3・・・中和工程
S4・・・第2固液分離工程
S5・・・洗浄工程
S6・・・焼成工程

Claims (3)

  1. 放射性アルミニウム廃棄物に含まれるアルミニウムを酸化アルミニウムに変換する放射性アルミニウム廃棄物処理方法であって、
    放射性アルミニウム廃棄物を、アルカリ金属の水酸化物の水溶液で溶解し、不純物を沈殿させる溶解工程と、
    前記溶解工程で得られた溶液を、固液分離し不純物を除去する第1固液分離工程と、
    前記第1固液分離工程で得られた溶液に酸性水溶液を添加し、水酸化アルミニウムを主成分とする固体を沈殿させる中和工程と、
    前記中和工程で得られた溶液を、固液分離し固体を得る第2固液分離工程と、
    前記第2固液分離工程で得られた固体を焼成する焼成工程と、を含むことを特徴とする放射性アルミニウム廃棄物処理方法。
  2. 前記焼成工程を実施する前に、前記第2固液分離工程で得られた固体を水で洗浄する洗浄工程をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の放射性アルミニウム廃棄物処理方法。
  3. 前記焼成工程を300℃以上で実施することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の放射性アルミニウム廃棄物処理方法。
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