JP2021031728A - 貴金属の回収方法 - Google Patents
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Abstract
Description
〔1〕 カルコゲン元素と還元剤との存在下で、貴金属イオンを含む溶液を還元処理する還元工程を含むことを特徴とする、貴金属の回収方法。
〔2〕 前記カルコゲン元素がSe元素及びTe元素からなる群から選択される少なくとも1種の元素である〔1〕に記載の貴金属の回収方法。
〔3〕 前記還元剤がヒドラジンおよびその誘導体である〔1〕又は〔2〕に記載の貴金属の回収方法。
〔4〕 前記カルコゲン元素がカルコゲン化合物である
〔1〕〜〔3〕のいずれか1項に記載の貴金属の回収方法。
〔5〕 前記貴金属含有水溶液に含まれる貴金属イオンの濃度が、貴金属換算して10ppm以上であり、
前記カルコゲン元素の濃度が、単体カルコゲン換算して、貴金属イオン1に対して0.0005以上であり、
前記還元剤の添加量が貴金属イオン1に対して1以上である〔1〕〜〔4〕のいずれか1項に記載の貴金属の回収方法。
〔6〕 前記還元工程において得られた貴金属を凝集させ、沈殿させる凝集沈殿工程を更に含む〔1〕〜〔5〕のいずれか1項に記載の貴金属の回収方法。
〔7〕 前記凝集沈殿工程において得られたカルコゲン含有貴金属を精製する精製工程を更に含む〔6〕に記載の貴金属の回収方法。
〔8〕 前記精製工程が、前記凝集沈殿したルコゲン含有貴金属を熱分解させる熱分解工程を含む〔7〕に記載の貴金属の回収方法。
〔9〕 カルコゲン元素と貴金属とを含むカルコゲン含有貴金属であって、
前記カルコゲン含有貴金属がコア―シェル構造を有するナノ粒子であり、
前記コア―シェル構造の中心部が単体カルコゲンを含み、
前記コア―シェル構造の外周部が貴金属を含む
ことを特徴とするカルコゲン含有貴金属。
〔10〕 カルコゲン元素と還元剤との存在下で、貴金属イオンを含む溶液を還元処理して得られたものである〔9〕に記載のカルコゲン含有貴金属。
〔11〕 〔1〕〜〔6〕の何れか1項に記載の貴金属の回収方法で得られたものである〔9〕又は〔10〕に記載のカルコゲン含有貴金属。
本実施形態の貴金属回収方法において処理の対象とする貴金属イオンを含む溶液(以下、貴金属含有溶液ということがある)とは、各種工業の過程(リサイクル処理過程も含む)において得られる貴金属ないしその化合物を含む液をいう。これは、水性の液が普通であるが、有機性のものを排除しない。本実施形態の貴金属回収方法において処理の対象とする貴金属含有溶液は、pHが1以下である強酸溶液であることが好ましく、1〜6Mの強酸を含む水溶液であることがより好ましい。1〜4Mの強酸を含む水溶液であることが更に好ましい。強酸が、塩酸又は硝酸もしくはその混合物からなる群から選択される少なくとも1種の強酸であることが好ましい。強酸の具体例は、1M〜3Mの塩酸、1M〜3Mの硝酸、2〜4Mの硝酸と0.1〜1Mの塩酸とを含む混合酸などを含む。なお、本実施形態の好ましい範囲以外の貴金属含有溶液は、必要に応じて、各種慣用の手段を利用して、予め強酸を添加したり、濃縮したり、或いは、希釈したりした後、本実施形態の好ましい範囲に調製して、本発明の方法に付してもよい。
なお、本発明の濃度単位「ppm」は、貴金属分で換算して、「1ppm=1x10−6g/g(貴金属質量/溶液質量)」である。
本実施形態の貴金属回収方法で用いるカルコゲン元素がSe元素及びTe元素からなる群から選択される少なくとも1種の元素であることが好ましい。
本実施形態の貴金属回収方法で用いる還元剤としては、その還元作用によって、貴金属イオンを還元して貴金属を形成することができるものであれば、いずれの物質も使用可能である。従って、このような還元剤の例としては、水素化ホウ素ナトリウム、水素化アルミニウムリチウム、水素、ヒドラジン及びその誘導体、ヒドラジン塩(例えば硫酸ヒドラジン等)及びその誘導体、ヒドロキシルアミン及びその誘導体、ヒドロキシルアンモニウム塩及びその誘導体、普通の原子価より低い原子価を持つ元素の酸化物または酸素酸とその塩(例えばCO、SO2、亜硫酸塩)、電子を与え易い金属(例えばアルカリ金属、アルカリ土類金属、Zn、Cu、Hg)およびそのアマルガム、低原子価金属イオン(例えばFe2+、Sn2+、Ti3+、Cr2+)を含む塩、硫黄化合物(例えば硫化ナトリウム、硫化アンモニウム等)、ギ酸、シュウ酸、アルデヒド、ピロガロール、アスコルビン酸等の有機物などが例示される。
本実施形態の貴金属回収方法は上記還元処理工程を含むことが特徴とする。本実施形態の還元処理工程は、貴金属イオン溶液を調製する工程、カルコゲン元素と貴金属イオン溶液とを混合する工程、還元剤を添加する工程を含むことが好ましい。それらの工程の順は特に限定されないが、貴金属イオン溶液を調製する工程、カルコゲン元素と貴金属イオン溶液とを混合する工程、還元剤を添加する工程の順で含むことが好ましい。また、カルコゲン元素と貴金属イオンの混合溶液を調製する工程、還元剤を添加する工程を含むことができる。その際、それらの順に特に限定されないが、混合溶液を調製する工程、還元剤を添加する工程の順で行いことが好ましい。
本実施形態の貴金属回収方法は、上記還元処理工程で還元剤を添加する後、前記還元工程において得られた貴金属を凝集沈殿させる凝集沈殿工程を含むことが好ましい。本実施形態にかかる凝集沈殿工程は、上記還元処理工程で還元剤を添加する後、得られた混合溶液を、常温〜90℃の温度で静置することが好ましい。30〜90℃で静置することがより好ましく、40〜90℃で静置することがより好ましい。静置時間は、特に限定されなく、1〜1.5時間であることが好ましく、1〜2時間であることより好ましく、1〜3時間であることが更に好ましい。静置した後、公知の方法で固液分離する。固液分離方法の例は、遠心分離法、分離濾過法、吸引濾過法等を含む。また、必要に応じて、例えば、圧濾器、真空濾過器、連続式の濾過器等のような種々の他の汎用濾過装置を使用することもできる。さらに、濾過に際して、濾過速度を大きくするために、別途圧力を加えたり、または、例えば濾過助剤のような補助剤を使用してもよい。また、濾紙、濾布等を使用する場合には、汎用のものを使用することができる。凝集沈殿工程で、カルコゲン含有貴金属の析出物が得られる。
本実施形態の貴金属回収方法で得られた、カルコゲン含有貴金属の析出物の一例は、単体カルコゲンと貴金属とを含む複合材料である。この複合材料は、中心部の単体カルコゲン粒子と外周部の貴金属粒子とを含む二次粒子を有する。この複合材料は、特に、中心部の単体カルコゲン粒子と外周部の貴金属粒子とを含むコア―シェル構造を含む。
中心部の単体カルコゲン粒子サイズは、本実施形態の貴金属回収方法で使用するカルコゲン元素の種類に異存する。カルコゲン元素が単体カルコゲンである場合、添加する単体カルコゲンの粒子サイズと同じ範囲である。本実施形態の貴金属回収方法で使用するカルコゲン元素がカルコゲン化合物である場合、回収対象の貴金属イオン溶液中において、貴金属イオンとともに単体カルコゲン粒子を析出する。その場合、ナノサイズの単体カルコゲン粒子であることが好ましい。貴金属は単体カルコゲン粒子の外周部で析出する。ナノサイズの貴金属粒子であることが好ましい。ここの「ナノサイズ」とは、粒子径が0.1〜100nm、0.1〜20nm、もしくは0.5〜10nmのサイズである。
本実施形態の貴金属回収方法は、上記凝集沈殿工程で得られた貴金属を精製する精製工程を更に含むことが好ましい。
前記凝集沈殿工程により、還元剤で処理された溶液を、固体(固体残渣)と液体(濾液)とに分離することができる。この内、濾液側には、目的の貴金属は、僅かしか若しくはほとんど存在しないのが普通である。一方、固体残渣の側には、処理前の液中にあった貴金属とカルコゲンのほとんど若しくはほぼ全量が存在しているのが普通である。得られた固体残渣は、必要に応じてさらに焼成してもよいし、また、得られた固体残渣にさらに王水を加えて、貴金属を溶解させて、これにより目的の貴金属を回収してもよい。なお、回収された貴金属の単離については、溶融電解等の慣用の分離操作により分離して単離品を得ることもできる。以上のようにして、本発明に従って、形成された固体残渣を採取することにより、処理前の貴金属含有溶液から、そこに含有される貴金属のほとんど若しくはほぼ全量を回収することができる。
熱分解の温度は、カルコゲン含有貴金属に含まれるカルコゲンを揮発して除くことができれば特に限定されない。例えば、大気圧で、単体のSeおよびTeの沸点はそれぞれ685°Cおよび988°Cであるため、カルコゲン元素がSe及びTeからなる群から少なくとも1種の元素である場合、大気圧において、500〜1500℃であることが好ましく、700〜1200℃の範囲であることがより好ましい。また、低気圧では、より低い沸点になるので、大気圧より低い加熱温度でもよい。しかし、熱分解装置の簡単化の観点から、大気圧で熱分解することが好ましい。
図8は、本発明の回収方法において、還元処理工程での反応メカニズムを説明する例示図である。図7は、1M塩酸水溶液系におけるカルコゲン(Se、Te),各種貴金属(Pd、Pt、Au、Ru、Rh)およびヒドラジン(強酸性溶液中ではN2H5 +として存在)の酸化還元電位を示す図である。図7は、既知の熱力学データに基づき算出した結果である。
使用装置: ThermoScientific iCAP7200Duo 高周波誘導結合プラズマ発光分析装置
測定条件:アルゴンプラズマ中でのカルコゲン元素からのICP発光強度より定量
サンプル処理方法:試料溶液を1M塩酸に100倍希釈
使用装置: ThermoScientific iCAP7200Duo 高周波誘導結合プラズマ発光分析装置
測定条件:アルゴンプラズマ中での貴金属元素からのICP発光強度より定量
サンプル処理方法: 試料溶液を1M塩酸に100倍希釈
使用装置:Rigaku Supermini200 波長分散型蛍光X線分析装置
測定条件:蛍光X線強度の比較から純度測定
サンプル処理方法:試料を直接測定
使用装置:ThermoScientific iCAP7200Duo 高周波誘導結合プラズマ発光分析装置
測定条件:アルゴンプラズマ中での貴金属元素からのICP発光強度より溶液中に残留する貴金属濃度を定量
サンプル処理方法:試料溶液を1M塩酸に100倍希釈
使用装置:Rigaku Supermini200 波長分散型蛍光X線分析装置
測定条件:蛍光X線強度より定量
サンプル処理方法:試料を直接測定
使用装置:Bruker D2PHASER 粉末X線回折装置
測定条件:X線回折パターンより定性し、回折線幅より平均粒子径を算出
サンプル処理方法:試料を直接測定
使用装置:日本電子 JEM−2100F透過電子顕微鏡
測定条件:200 kVの加速電圧における透過電子像撮影
サンプル処理方法:試料を直接測定
使用装置:日本電子 JCM−6000PLUS走査電子顕微鏡
測定条件:15kVの加速電圧における二次電子像撮影
サンプル処理方法:試料を直接測定
3Mの硝酸(富士フィルム和光純薬製、特級試薬)を含む水溶液15mLに、Pdイオン濃度がPd金属換算して53ppm(7.5μmol)になるように、Pd(富士フィルム和光純薬製、液状、1000ppm パラジウム標準液)を溶解した。また、Se元素濃度が単体Se換算して39ppm(7.5μmol、Pdに対して1当量)になるように、SeO3 2−(富士フィルム和光純薬製、液状、1000ppm セレン標準液)を溶解した。この溶液をドライバス中で90℃に加熱し、還元剤として、ヒドラジン1水和物(関東化学製、液状、純度98.0%以上、特級試薬)1.2mL(25mmol、Pdに対して3300当量)をこの溶液に加えたところ、カルコゲン含有パラジウム(黒色析出物)の生成を確認した。試料を撹拌後、90℃で1時間静置した。遠心分離による固液分離後、試料の上澄み液中に残留するPd濃度を高周波誘導結合プラズマ発光分析法により求めた。得られた結果をPd初期濃度と比較したところ、Pd回収率は99.6%となった。その結果を表1に示す。
Se元素39ppmの代わりにH6TeO6(富士フィルム和光純薬製、液状、1000ppm テルル標準液)64ppm(7.5μmol、Pdに対して1当量)を用いた以外は、実施例1と同様な方法でPdを回収した。実施例1と同様な測定方法でPd回収率を測定した。その結果が99.8%であった。その結果を表1に示す。
3Mの硝酸の代わりに3Mの塩酸(富士フィルム和光純薬製、液状、特級試薬)を用いた以外は、実施例1と同様な方法でPdを回収した。実施例1と同様な測定方法でPd回収率を測定した。その結果が66.1%であった。その結果を表1に示す。
Se元素39ppmの代わりにTe元素64ppmを用いた以外は、実施例3と同様な方法でPdを回収した。実施例1と同様な測定方法でPd回収率を測定した。その結果が98.9%であった。その結果を表1に示す。
Se元素を含まなかった以外は、実施例1と同様な方法でPdを回収した。実施例1と同様な測定方法でPd回収率を測定した。この場合のPd回収率は0%であった。その結果を表1に示す。
Se元素を含まなかった以外は、実施例3と同様な方法でPdを回収した。実施例1と同様な測定方法でPd回収率を測定した。この場合のPd回収率は0%であった。その結果を表1に示す。
3.4Mの硝酸および0.5Mの塩酸を含む水溶液1.5mLに、Pdイオン500ppmおよびSe元素を0.5ppmとなるように溶解した。この溶液をドライバス中で90℃に加熱し、ヒドラジン1水和物300μLをそれぞれの溶液に加えたところ、黒色析出物の生成を確認した。試料を撹拌後、90℃で1時間静置した。遠心分離による固液分離後、試料の上澄み液中に残留するPd濃度を高周波誘導結合プラズマ発光分析法により求めた。得られた結果をPd初期濃度と比較したところ、Pd回収率は99.6%であった。その結果を表2に示す。
Se元素0.5ppmの代わりにSe元素5ppmを用いた以外は、実施例5と同様な方法でPdを回収した。実施例5と同様な測定方法でPd回収率を測定した。その結果が99.6%であった。その結果を表2に示す。
Se元素0.5ppmの代わりにSe元素50ppmを用いた以外は、実施例5と同様な方法でPdを回収した。実施例5と同様な測定方法でPd回収率を測定した。その結果が99.6%であった。その結果を表2に示す。
波長分散型蛍光X線分析結果を図1A及び図1Bに示す。波長分散型蛍光X線分析結果より、このカルコゲン含有貴金属(黒色析出物)中にはPd(図1A)およびSe(図1B)が含まれる。
Se元素0.5ppmの代わりにTe元素0.5ppmを用いた以外は、実施例5と同様な方法でPdを回収した。実施例5と同様な測定方法でPd回収率を測定した。その結果が99.7%であった。その結果を表2に示す。
Se元素0.5ppmの代わりにTe元素5ppmを用いた以外は、実施例5と同様な方法でPdを回収した。実施例5と同様な測定方法でPd回収率を測定した。その結果が99.7%であった。その結果を表2に示す。
Se元素0.5ppmの代わりにTe元素50ppmを用いた以外は、実施例5と同様な方法でPdを回収した。実施例5と同様な測定方法でPd回収率を測定した。その結果が99.7%であった。その結果を表2に示す。
3Mの塩酸を含む水溶液1.5mLに、Pd 500ppmおよびSe元素を0.5ppmとなるように溶解した。これらの溶液をドライバス中で90℃に加熱し、ヒドラジン1水和物200μLを溶液に加えたところ、黒色析出物の生成を確認した。各試料を撹拌後、90℃で1時間静置した。遠心分離による固液分離後、各試料の上澄み液中に残留するPd濃度を高周波誘導結合プラズマ発光分析法により求めた。得られた結果をPd初期濃度と比較したところ、Pd回収率は99.7%であった。その結果を表2に示す。
Se元素0.5ppmの代わりにSe元素5ppmを用いた以外は、実施例11と同様な方法でPdを回収した。実施例11と同様な測定方法でPd回収率を測定した。その結果が99.7%であった。その結果を表2に示す。
Se元素0.5ppmの代わりにSe元素50ppmを用いた以外は、実施例11と同様な方法でPdを回収した。実施例11と同様な測定方法でPd回収率を測定した。その結果が99.6%であった。その結果を表2に示す。
Se元素0.5ppmの代わりにTe元素0.5ppmを用いた以外は、実施例11と同様な方法でPdを回収した。実施例11と同様な測定方法でPd回収率を測定した。その結果が99.0%であった。その結果を表2に示す。
Se元素0.5ppmの代わりにTe元素5ppmを用いた以外は、実施例11と同様な方法でPdを回収した。実施例11と同様な測定方法でPd回収率を測定した。その結果が99.7%であった。その結果を表2に示す。
Se元素0.5ppmの代わりにTe元素50ppmを用いた以外は、実施例11と同様な方法でPdを回収した。実施例11と同様な測定方法でPd回収率を測定した。その結果が99.8%であった。その結果を表2に示す。
3Mの塩酸を含む水溶液1.5mLに、Au(富士フィルム和光純薬、液状、1000ppm 金標準液) 500ppmおよびSe元素を0.4ppmとなるようにそれぞれ溶解した。これらの溶液をドライバス中で90℃に加熱し、ヒドラジン1水和物120μLを溶液に加えたところ、黒色析出物の生成を確認した。試料を撹拌後、90℃で1時間静置した。遠心分離による固液分離後、試料の上澄み液中に残留するAu濃度を高周波誘導結合プラズマ発光分析法により求めた。得られた結果をAu初期濃度と比較したところ、Au回収率は100%であった。その結果を表2に示す。
Se元素0.4ppmの代わりにSe元素4ppmを用いた以外は、実施例17と同様な方法でAuを回収した。実施例17と同様な測定方法でAu回収率を測定した。その結果が100%であった。その結果を表2に示す。
Se元素0.4ppmの代わりにSe元素40ppmを用いた以外は、実施例17と同様な方法でAuを回収した。実施例17と同様な測定方法でAu回収率を測定した。その結果が100%であった。その結果を表2に示す。
波長分散型蛍光X線分析結果は、図6に示す。波長分散型蛍光X線分析結果より、このカルコゲン含有貴金属(黒色析出物)中にはAuおよびSeが含まれる。
Se元素0.4ppmの代わりにTe元素0.4ppmを用いた以外は、実施例17と同様な方法でAuを回収した。実施例17と同様な測定方法でAu回収率を測定した。その結果が99.9%であった。その結果を表2に示す。
Se元素0.4ppmの代わりにTe元素4ppmを用いた以外は、実施例17と同様な方法でAuを回収した。実施例17と同様な測定方法でAu回収率を測定した。その結果が100%であった。その結果を表2に示す。
Se元素0.4ppmの代わりにTe元素40ppmを用いた以外は、実施例17と同様な方法でAuを回収した。実施例17と同様な測定方法でAu回収率を測定した。その結果が100%であった。その結果を表2に示す。
3Mの塩酸を含む水溶液1.5mLに、Pd 250ppm,Au 250ppm,Pt 250ppmを溶解し、更にSe元素を0.4ppmとなるように加えた。これらの溶液をドライバス中で90℃に加熱し、ヒドラジン1水和物120μLをそれぞれの溶液に加えたところ、黒色析出物の生成を確認した。各試料を撹拌後、90℃で1時間静置した。遠心分離による固液分離後、各試料の上澄み液中に残留するPd、Au、Pt各濃度を高周波誘導結合プラズマ発光分析法により求めた。得られた結果をPd、Au、Pt各初期濃度と比較したところ、Pd回収率は99.5%、Au回収率は100%、Pt回収率は33.3%であった。その結果を表2に示す。
Se元素0.4ppmの代わりにSe元素4ppmを用いた以外は、実施例23と同様な方法でPd、Au、Ptを回収した。実施例22と同様な測定方法でPd、Au、Pt各回収率を測定した。Pd回収率は100%、Au回収率は100%、Pt回収率は40.8%であった。その結果を表2に示す。
Se元素0.4ppmの代わりにSe元素40ppmを用いた以外は、実施例23と同様な方法でPd、Au、Ptを回収した。実施例22と同様な測定方法でPd、Au、Pt各回収率を測定した。Pd回収率は100%、Au回収率は99.9%、Pt回収率は70.7%であった。その結果を表2に示す。
実施例7で得られたカルコゲン含有貴金属(黒色析出物)を大気雰囲気、1000℃において2時間処理したところ、金属光沢を示す銀色の物質(貴金属)が得られた。この物質を波長分散型蛍光X線分析法、粉末X線回折法、SEM観察法で評価した。
実施例19で得られたカルコゲン含有貴金属(黒色析出物)を大気雰囲気、1000℃において2時間処理したところ、金属光沢を示す金色の物質が得られた。この物質を波長分散型蛍光X線分析法で評価した。
Claims (11)
- カルコゲン元素と還元剤との存在下で、貴金属イオンを含む溶液を還元処理する還元工程を含むことを特徴とする、貴金属の回収方法。
- 前記カルコゲン元素がSe元素及びTe元素からなる群から選択される少なくとも1種の元素である
請求項1に記載の貴金属の回収方法。 - 前記還元剤がヒドラジン、ヒドラジン誘導体又はそれらの塩である
請求項1又は請求項2に記載の貴金属の回収方法。 - 前記カルコゲン元素がカルコゲン化合物である
請求項1〜3のいずれか1項に記載の貴金属の回収方法。 - 前記貴金属含有水溶液に含まれる貴金属イオンの濃度が、貴金属換算して10ppm以上であり、
前記カルコゲン元素の濃度が、単体カルコゲン換算して、0.1ppm以上であり、かつ、貴金属イオン濃度1に対して0.0005以上であり、
前記還元剤の添加量が、貴金属イオン1当量に対して1当量以上である
請求項1〜4のいずれか1項に記載の貴金属の回収方法。 - 前記還元処理工程において得られた貴金属を凝集させ、沈殿させる凝集沈殿工程を更に含む
請求項1〜5のいずれか1項に記載の貴金属の回収方法。 - 前記凝集沈殿工程において得られたカルコゲン含有貴金属を精製する精製工程を更に含む
請求項6に記載の貴金属の回収方法。 - 前記精製工程が、前記凝集沈殿したカルコゲン含有貴金属を熱分解させる熱分解工程を含む
請求項7に記載の貴金属の回収方法。 - カルコゲン元素と貴金属とを含むカルコゲン含有貴金属であって、
前記カルコゲン含有貴金属がコア―シェル構造を有するナノ粒子であり、
前記コア―シェル構造の中心部が単体カルコゲンを含み、
前記コア―シェル構造の外周部が貴金属を含む
ことを特徴とするカルコゲン含有貴金属。 - カルコゲン元素と還元剤との存在下で、貴金属イオンを含む溶液を還元処理して得られたものである請求項9に記載のカルコゲン含有貴金属。
- 請求項1〜6の何れか1項に記載の貴金属の回収方法で得られたものである請求項9又は10に記載のカルコゲン含有貴金属。
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