JP2021030150A - 通電加熱式触媒の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】担体を保持するマットの保持力確保を確実とすることを目的とする。【解決手段】本発明に係る通電加熱式触媒の製造方法は、触媒を担持する担体の外周面に、有機成分を有するマットを巻き付ける工程と、前記担体を筒に圧入した後に、又は前記担体を前記筒に圧入する前に、前記担体を通電により加熱する工程と、を含んでいる。【選択図】図2
Description
本発明は、通電加熱式触媒の製造方法に関する。
自動車等のエンジンから排出される排気ガスを浄化する装置としてEHC(Electrically Heated Catalyst:通電加熱式触媒)が知られている。EHCでは、エンジンの始動直後など、排気ガスの温度が低く、触媒が活性化し難い条件下であっても、通電加熱により強制的に触媒を活性化させ、排気ガスの浄化効率を高めることができる。
尚、EHCによっては、触媒を担持するハニカム構造を有する円柱状の担体の外周面に、その担体の軸方向に延設された表面電極が形成されていることもある。また、EHCによっては、互いに対向配置された一対の表面電極を外周面に備えた担体が、マットを介して外筒に覆われていることもある。マットにより担体が外筒に固定・保持される(以上、例えば特許文献1参照)。
ところで、上述したマットは製造時に有機成分で無機繊維同士を互いに固着した部材であり、エンジンから排出される排気ガスの熱により有機成分が焼失されるまでは、焼失後に比べ、保持力が低いことがある。さらにEHCでは表面電極を取り出すための開口をマットに形成する場合があるが、この開口によりマットの保持面積が小さくなり、通常の触媒と比べて保持力が低いこともある。マットの保持力が低い場合、エンジンの排気ガスの圧力(具体的には風圧)により担体の位置ずれが発生する可能性がある。
そこで、本発明では、担体を保持するマットの保持力確保を確実とすることを目的とする。
本発明に係る通電加熱式触媒の製造方法は、触媒を担持する担体の外周面に、有機成分を有するマットを巻き付ける工程と、前記担体を筒に圧入した後に、又は前記担体を前記筒に圧入する前に、前記担体を通電により加熱する工程と、を含んでいる。
本発明によれば、担体を保持するマットの保持力確保を確実とすることができる。
以下、本発明を実施するための形態について図面を参照して説明する。
図1(a)はEHCの製造方法の一例を示すフローチャートである。図1(b)はEHCの製造方法の他の一例の一部を示すフローチャートである。図2(a)乃至(f)はEHCの製造方法を説明するための図である。
EHCの製造方法では、図1(a)に示すように、担体にマットを巻き付ける工程が実施される(ステップS1)。具体的には、図2(a)に示すように、互いに対向配置された一対の表面電極11,12を外周面に備えた担体20に対し、図2(b)に示すように、マット30を巻き付ける。一対の表面電極11,12は担体20と物理的に接触しているとともに電気的に接続されている。
尚、担体20は、白金やパラジウム等の触媒を担持する多孔質部材である。担体20自体は、通電加熱されるため、導電性を有するセラミックス、具体的にはSiC(炭化珪素)からなることが好ましい。担体20は、外形が略円柱形状であって、内部は多数の格子輪郭のセル構造を有している。格子輪郭は四角形や六角形、八角形等、種々の形状を採用することができる。
一方、マット30は有機成分で無機繊維同士を互いに固着した可撓性を有する円筒型の断熱部材である。有機成分としては、例えばアクリル系樹脂、アクリルゴム等のゴム、カルボキシメチルセルロース又はポリビニルアルコール等の水溶性有機重合体、スチレン樹脂等の熱可塑性樹脂、エポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂等が挙げられる。マット30には、図2(b)に示すように、2つの開口31,32が設けられている。開口31により表面電極11の引出部11aをマット30の外側に引き出すことができる。同様に、開口32により表面電極12の引出部12aをマット30の外側に引き出すことができる。
図1(a)に示すように、ステップS1の工程を終えると、次に、担体を外筒に圧入する工程が実施される(ステップS2)。具体的には、図2(c)に示すように、マット30が巻き付けられた担体20を、破線矢印ARの方向に移動させ、図2(d)に示すように、円筒型の外筒40の内部に圧入する。ここで、外筒40には2つの貫通孔41,42が設けられている。貫通孔41により表面電極11の引出部11aが外筒40の外部に引き出され、貫通孔42により表面電極12の引出部12aが外筒40の外部に引き出される。マット30が担体20と外筒40との間に充填されることにより、担体20が外筒40に保持されて固定される。
図1(a)に示すように、ステップS2の工程を終えると、次に、担体を加熱する工程と昇温特性を計測する工程が連続して実施される(ステップS3,S4)。ステップS3の工程とステップS4の工程は並行して実施されてもよい。具体的には、図2(e)に示すように、表面電極11の引出部11aと電源50とを配線51で接続し、表面電極12の引出部12aを配線52を通じて接地する。電源50には既存の電源設備や商用電源を使用すればよい。また、電源50の電源種別は直流であってもよいし、交流であってもよいし、直流と交流の組み合わせであってもよい。電源50から供給される電気により担体20を通電して加熱する。加熱により担体20の温度は上昇し、その熱がマット30にも伝導する。これにより、マット30の温度も上昇し、排気ガスの熱を使用しなくとも、マット30の温度が有機成分を焼失可能な所定の温度(例えば500℃など)以上になれば、マット30の有機成分を焼失させることができる。マット30の有機成分が焼失することで、マット30の保持力が確保される。
また、担体20を加熱している間、担体20の昇温特性(例えば昇温抵抗等)を計測して検査する。図2(e)に示す昇温特性は、時間の経過と担体20の温度との関係を表している。昇温特性は、例えばパソコンやスマートデバイスなどのコンピュータと接続された温度センサを担体20に接触させることで取得することができる。昇温特性の取得に非接触型の温度センサを利用してもよい。このように、EHCの製造過程で、担体20の加熱と併せて、担体20の昇温特性も取得することで、その昇温特性をEHCのトレーサビリティなどに有効利用することでEHCを容易に管理することができる。
図1(a)に示すように、ステップS3,S4の工程を終えると、次に、特性識別コードを付与する工程が実施される(ステップS5)。具体的には、図2(f)に示すように、昇温特性に応じた識別コード70を発行し、外筒40の外周面のいずれかの箇所に添付する。これにより、排気管(又は車両)に取り付ける前のEHC100が完成する。尚、識別コード70に担体20の重量や寸法などの情報を含めてもよい。また、図2(f)では、識別コード70の一例として2次元コードが示されているが、2次元コードに代えて、バーコードを採用してもよい。
図1(a)に示すように、ステップS5の工程を終えると、次に、担体特性情報をECU(Electronic Control Unit)に書き込む工程が実施される(ステップS6)。担体特性情報は少なくとも昇温特性を含んでいる。担体特性情報に上述した担体20の重量や寸法などを含めてもよい。ECUに担体特性情報を書き込むことにより、排気ガスの温度が低く、触媒が活性化し難い条件下であっても、ECUは担体特性情報に応じて通電を適切に制御することで、触媒を効率良く活性化させることができる。すなわち、EHC100の制御性を向上させることができる。
以上、図1(a)及び図2(a)乃至(f)を参照して、EHCの製造方法の一例を説明したが、図1(b)に示すように、担体を加熱する工程(ステップS3)を実施した後に、担体を外筒に圧入する工程(ステップS2)を実施してもよい。すなわち、図2(b)及び(c)に示すように、マット30を巻き付けた担体20を外筒40に圧入する前に、マット30の有機成分を焼失させてもよい。
マット30を巻き付けた担体20を外筒40に圧入した後に、担体20を加熱する場合、外筒40の存在により、配線51,52の引き回しが難しくなる場合がある。また、外筒40に担体20を圧入した構成物は重量も増加するため、取り扱いに手間がかかる可能性もある。マット30を巻き付けた担体20を外筒40に圧入する前に、担体20を加熱すれば、配線51,52を容易に引き回せるだけでなく、担体20自体も外筒40がある場合に比べて軽量であるため、容易に取り扱うことができる。
一方で、マット30を巻き付けた担体20を外筒40に圧入する前に、担体20を加熱した場合、マット30の有機成分が焼失することにより、マット30の保持力が確保され、マット30の外筒40への圧入が難しくなる可能性もある。したがって、マット30を巻き付けた担体20を外筒40に圧入した後に、担体20を加熱する場合には、マット30を外筒40に円滑に圧入することができるという利点もある。
以上、本実施形態によれば、EHC100の製造方法は、触媒を担持する担体20の外周面に、有機成分を有するマット30を巻き付ける工程と、その担体20を外筒40に圧入した後に、又は担体20を外筒40に圧入する前に、担体20を通電により加熱する工程と、を含んでいる。これにより、担体20を保持するマット30の保持力確保を確実とすることができる。
尚、ステップS3の工程の際に、担体20内に触媒を活性化させるガス(例えばCO(一酸化炭素)やNOx(窒素酸化物)など)を導入し、触媒が活性化する際に発生する熱を、通電による熱に加えて、利用してもよい。工場によっては発電によってこのようなガスが排出されるが、排出されたガスを担体20内に導入することで、工場から排出されるガスを浄化できるだけでなく、通電に要する電気使用量も低減することができる。
ただし、ガスでマット30の有機成分を焼失させる場合、多大な流量が求められ、これに伴い、担体20に大きな圧力がかかり、マット30の保持力が低ければ、担体20の位置ずれが発生するおそれがある。通電による加熱であれば、担体20に圧力をかけずにマット30の有機成分を焼失させることができるため、触媒を活性化させるガスは通電による加熱に対して補助的に利用することが望ましい。具体的には、触媒を活性化させるガスは担体20の位置ずれが発生しない程度の流量で利用することが望ましい。
以上本発明の好ましい実施形態について詳述したが、本発明は係る特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
11,12 表面電極
20 担体
30 マット
40 外筒
50 電源
70 識別コード
100 EHC
20 担体
30 マット
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Claims (1)
- 触媒を担持する担体の外周面に、有機成分を有するマットを巻き付ける工程と、
前記担体を筒に圧入した後に、又は前記担体を前記筒に圧入する前に、前記担体を通電により加熱する工程と、
を含む通電加熱式触媒の製造方法。
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