[第1実施形態]
<眼科システムの構成>
図1は、眼科システム9の外観斜視図である。図1に示すように、眼科システム9は、例えば被検者H1に装用される眼鏡レンズ等の度数の処方値の決定に用いられる。この眼科システム9は、視標呈示装置10とコントローラ11と検眼テーブル12と左右一対のフォロプタ14とを備える。また、眼科システム9は、被検眼Eの眼特性の他覚的な測定に用いられる左右一対の波面センサ20(図2参照)を備える。
視標呈示装置10は、被検者H1の被検眼E(図3参照)の視力等の視機能の自覚検査に用いられる。この視標呈示装置10は、検眼テーブル12を基準として被検者H1とは反対側に設置固定されている。なお、視標呈示装置10が検眼テーブル12上に配置されていてもよい。視標呈示装置10は、コントローラ11の制御の下、表示窓10aを通して各種の視標チャート13を被検眼Eに対して呈示する。なお、視標呈示装置10の構成については公知技術であるので、ここでは具体的な説明は省略する。
検眼テーブル12は、被検者H1と視標呈示装置10との間に配置されている。この検眼テーブル12は、上下方向に昇降自在であり、被検者H1の体格に合わせて上下方向の高さ位置が調整される。これにより、被検者H1が検眼テーブル12の上面に肘をついて姿勢を安定させることができる。また、検眼テーブル12の上面には、コントローラ11が配置されていると共にポール16が固定されている。
ポール16の上部には横方向に延びるアーム18が設けられており、このアーム18の先端部には左右一対のフォロプタ14(レフラクターヘッドともいう)が吊り下げ固定されている。
左右一対のフォロプタ14は、本発明の矯正装置に相当するものであり、被検眼E(図3参照)の両眼に対応して個別に設けられている。各フォロプタ14は、コントローラ11の制御の下、トライアルレンズ24b(図3参照)等を被検眼Eの前方に適宜配置することで被検眼Eの視機能を矯正する。被検者H1は、左右のフォロプタ14の一方又は両方の各検査窓22,23(図3参照)を通して視標チャート13を見ながら検者H2からの質問に応答する。
コントローラ11は、検者H2による入力操作を受け付けて、この入力操作に基づき視標呈示装置10、各フォロプタ14、及び各波面センサ20の駆動を制御する。
図2は、左右のフォロプタ14を視標呈示装置10に対向する側、すなわち被検者H1に対向する側とは反対側から見た正面図である。図2に示すように、各フォロプタ14の接眼側の第1検査窓22(図3参照)とは反対側の第2検査窓23には、それぞれ被検眼Eの眼特性を測定するための波面センサ20が個別に且つ着脱自在に連結される。このため、被検眼Eの視力の自覚検査のみを行う場合には各フォロプタ14からそれぞれ各波面センサ20が取り外される(図2の符号2A参照)。また逆に、被検眼Eの眼特性の他覚測定の測定結果を用いて前述の自覚検査を行う場合には各フォロプタ14の第2検査窓23にそれぞれ波面センサ20が連結される(図2の符号2B参照)。なお、各フォロプタ14にそれぞれ波面センサ20が連結された状態で自覚検査のみを行うこともできる。
<フォロプタ>
図3は、波面センサ20の連結後の左右のフォロプタ14の断面図である。図4は、波面センサ20の連結前の左右のフォロプタ14の断面図である。図3及び図4に示すように、各フォロプタ14は、既存の装置と同一構成であり、光軸OAと、光軸OAに沿って配置された第1検査窓22及び第2検査窓23と、回転ディスク機構24と、フォロプタ筐体25と、をそれぞれ備える。なお、各フォロプタ14は左右対称の構造を有するので、ここでは各フォロプタ14の一方の構成について説明する。
光軸OAは、第1検査窓22、第2検査窓23、及び光学素子の光軸であり、被検者H1から視標呈示装置10に向かう前後方向(作動距離方向)に平行である。
第1検査窓22及び第2検査窓23は、本発明の2個の検査窓に相当するものであり、光軸OAに沿って間隔をあけて設けられている。第1検査窓22は、被検眼Eの接眼用の検査窓であり、フォロプタ筐体25の被検眼Eに対向する側の前側面に設けられている。また、第2検査窓23は、フォロプタ筐体25の被検眼Eに対向する側とは反対側(視標呈示装置10に対向する側)の後側面に設けられている。この第2検査窓23(開口部23a、図4参照)は、本発明の被連結部材として機能する。なお、図2及び図3では、各検査窓22,23として透明板を例に挙げているが、各検査窓22,23が開口穴であってもよい。
回転ディスク機構24は、本発明の配置機構に相当するものであり、フォロプタ筐体25内に収納されている。回転ディスク機構24は、複数のレンズディスク24aと、不図示のモータ駆動機構と、を備える。各レンズディスク24aは円盤状に形成されている。また、各レンズディスク24aは、光軸OAに平行な方向(前後方向)に延びた不図示の回転軸によって回転自在に保持されている。
各レンズディスク24aには、その周方向に沿って度数の異なる複数種類のトライアルレンズ24b(本発明の第1光学素子に相当)と、少なくとも1つの開口穴(不図示)と、遮蔽板24c(本発明の第1光学素子に相当)と、が設けられている。なお、トライアルレンズ24b及び遮蔽板24cは本発明の第1光学素子に相当するが、本発明の第1光学素子には、例えばピンホール、マドックスレンズ、赤緑フィルタ、赤緑フィルタ、クロスシリンダ、及び偏光板などの各種光学素子が含まれる。各レンズディスク24aは、それぞれ回転軸(不図示)を中心として回転することで、1以上のトライアルレンズ24b或いは開口穴或いは遮蔽板24cを光軸OA上に選択的に配置する。
モータ駆動機構(不図示)は、コントローラ11の制御の下、各レンズディスク24aを既述の回転軸(不図示)を中心として回転させる。これにより、第1検査窓22と第2検査窓23との間に1又は複数のトライアルレンズ24b等が配置される。なお、モータ駆動機構については公知技術(例えば特許文献1参照)であるので、その詳細についての説明は省略する。
<波面センサ>
左右の波面センサ20は、既述のコントローラ11と共に本発明の眼科装置を構成する。各波面センサ20は、センサ筐体26と、ダイクロイックミラー28と、波面センサ本体29と、を備えている。なお、各波面センサ20は左右対称の構造を有するので、ここでは各波面センサ20の一方の構成について説明する。
センサ筐体26は、ダイクロイックミラー28を保持すると共に波面センサ本体29を収納する。また、センサ筐体26のフォロプタ14に対向する側の前側面には、筒状の連結部材27が設けられている。また、センサ筐体26の視標呈示装置10に対向する側の後側面には、光軸OAに対して傾斜した状態でダイクロイックミラー28が保持されている。
連結部材27は、例えば金属材料又は硬質樹脂材料によってフォロプタ14の第2検査窓23の開口部23aに着脱自在に連結可能な形状を有する。なお、連結部材27をセンサ筐体26と一体形成したり、センサ筐体26とは別体で形成された連結部材27をセンサ筐体26に固定又は連結(接続)したりしてもよい。連結部材27を開口部23aに連結(嵌合)することで、フォロプタ14に対して波面センサ20が連結及び保持される。
連結部材27の内部には、被検眼Eによる視標チャート13の視認を妨げない位置で且つ後述の波面センサ本体29による測定を妨げない位置に、赤外線光源99(図5参照)が設けられている。赤外線光源99は、フォロプタ14の各検査窓22,23及びトライアルレンズ24b等を介して、被検眼Eに向けて近赤外光LA(図5参照)を出射する。この近赤外光LAの波長域は、例えば940〜950nmである。なお、赤外線光源99を連結部材27の内部に設ける代わりに、センサ筐体26の内部の連結部材27とダイクロイックミラー28との間の位置に赤外線光源99を設けてもよい。
ダイクロイックミラー28は、本発明の第2光学素子に相当するものであり、センサ筐体26の後側面により光軸OAに対して傾斜した状態で連結部材27に対向する位置に保持されている。ダイクロイックミラー28は、連結部材27が開口部23aに連結された場合に、光軸OA上で且つ第2検査窓23に対向する位置に配置される。これにより、ダイクロイックミラー28は、光軸OAに沿った第1光路LP1から第2光路LP2を分岐させる。
ダイクロイックミラー28により分岐された第2光路LP2上には、対物レンズ30を含む波面センサ本体29が設けられている。このため、センサ筐体26は、第2光路LP2に対して平行な方向に延びた形状を有する。
ここで、左右のダイクロイックミラー28による第2光路LP2の分岐方向は、左右の光軸OAの双方を含む面(水平面)に平行で且つ互いに遠ざかる外側方向に設定されている。換言すると、左右の波面センサ20は、左右のダイクロイックミラー28による第2光路LP2の分岐方向が互いに外側の向きになるように、左右のフォロプタ14にそれぞれ連結される。これにより、左眼側の光軸OA上に配置されたダイクロイックミラー28は、この光軸OAから左方向側に第2光路LP2を分岐させる。また、右眼側の光軸OA上に配置されたダイクロイックミラー28は、この光軸OAから右方向側に第2光路LP2を分岐させる。
仮に各ダイクロイックミラー28による第2光路LP2の分岐方向を上方向又は下方向に設定した場合には、被検眼Eの両眼が輻湊している状態で両眼に対する両フォロプタ14のアライメントを行った際に、左右の波面センサ20同士が干渉するおそれがある。これに対して、本実施形態では、左右のダイクロイックミラー28による第2光路LP2の分岐方向を互いに外側の向きに設定することで、左右の波面センサ20同士の干渉を確実に防止することができる。
なお、本実施形態では既述の水平面上で第1光路LP1に対して第2光路LP2が垂直(略垂直を含む)になっているが、第1光路LP1に対して第2光路LP2が傾斜していてもよい。
また、本実施形態のダイクロイックミラー28には、補償光学素子48(AO:Adaptive Optics)が設けられている。なお、補償光学素子48については設置しなくともよい。
図5は、被検眼Eの右眼に対応する波面センサ20(ダイクロイックミラー28及び波面センサ本体29)の光学系の概略図である。なお、左右の波面センサ20の光学系は左右対称の構造であるので、ここでは被検眼Eの右眼に対応する波面センサ20の光学系の構成について説明を行う。また、図5では、図面の煩雑化を防止するために、フォロプタ14、ダイクロイックミラー28、及び波面センサ本体29を別体で図示している。
図5に示すように、ダイクロイックミラー28は、可視光(波長域:約380nm〜780nm)は透過させると共に、可視光とは波長域が異なる近赤外光(波長域:約800nm〜1100nm)は反射する。具体的には、ダイクロイックミラー28は、後述の波面センサ本体29から入射する近赤外光LBを被検眼Eに向けて反射する。また、ダイクロイックミラー28は、被検眼Eからフォロプタ14の各検査窓22,23等を介して入射した近赤外光LA,LBを波面センサ本体29に向けて反射する。なお、視標チャート13の像光はダイクロイックミラー28を透過するので、被検眼Eは視標チャート13を視認可能である。
波面センサ本体29は、連続測定可能な測定機であり、被検眼Eの眼特性(波面収差)の測定に用いられる。また、波面センサ本体29は、被検眼Eの両眼の眼位(視線方向)の測定、被検眼Eの両眼の輻湊角の測定、及び前眼部の観察(瞳孔径及び瞳孔中心の検出)にも用いられる。波面センサ本体29は、ダイクロイックミラー28に向けて近赤外光LBを出射すると共に、ダイクロイックミラー28にて反射された2波長の近赤外光LA,LBを受光して波長域ごとの受光信号をコントローラ11へ出力する。
波面センサ本体29は、前眼部観察系29Aと、収差測定系29Bと、対物レンズ30と、ダイクロイックミラー31と、ミラー32と、を備える。
対物レンズ30は、後述の収差測定系29Bからミラー32及びダイクロイックミラー31を経て入射した波長830〜840nmの近赤外光LBを、ダイクロイックミラー28に向けて出射する。また、対物レンズ30には、被検眼Eにて反射された2波長の近赤外光LA,LBが第1光路LP1、ダイクロイックミラー28、及び第2光路LP2を経て入射する。近赤外光LA,LBは、対物レンズ30を透過してダイクロイックミラー31に入射する。
ダイクロイックミラー31は、波長940〜950nmの近赤外光LAは透過し、波長830〜840nmの近赤外光LBは反射する。これにより、ダイクロイックミラー31は、後述の収差測定系29Bからミラー32を経て入射する波長830〜840nmの近赤外光LBを対物レンズ30に向けて反射する。また、ダイクロイックミラー31は、対物レンズ30から入射した2波長の近赤外光LA,LBのうち、近赤外光LAは前眼部観察系29Aに入射させ、近赤外光LBはミラー32に向けて反射する。
ミラー32は、収差測定系29B及びダイクロイックミラー31のいずれか一方から入射した近赤外光LBを、他方に向けて反射する。
前眼部観察系29Aは、コントローラ11の制御の下、近赤外光LAを受光して被検眼Eの観察像を取得する。この観察像は、例えば、アライメント、被検眼Eの両眼の眼位(視線方向)、輻湊状態、及び瞳孔径の測定(検出、検知、検査、及び判定を含む)に用いられる。この前眼部観察系29Aは、アライメント光学系34と、リレーレンズ35A,35Bと、結像レンズ36と、撮像素子37(受光素子)と、を備える。
アライメント光学系34は、ダイクロイックミラー31、対物レンズ30、及びダイクロイックミラー28等を介して、被検眼Eの前眼部にアライメント光束を投光(投影)する。これにより、後述の撮像素子37で取得される前眼部の観察像に輝点像が生じるため、被検眼Eに対する波面センサ20のアライメントが可能となる。なお、本実施形態では、アライメントは検者H2による手動で行うものとする。
リレーレンズ35A,35Bは、ダイクロイックミラー31から入射した近赤外光LAを、結像レンズ36に向けて出射する。結像レンズ36は、リレーレンズ35Bから入射した近赤外光LA(前眼部の像光)を撮像素子37の受光面に結像させる。
撮像素子37は、公知のエリアセンサ(エリアイメージセンサ)であり、結像レンズ36により結像された近赤外光LAを受光(撮像)して、被検眼Eの前眼部の観察像を示す受光信号をコントローラ11へ出力する。
収差測定系29Bは、本発明の他覚測定系の一部を構成するものであり、コントローラ11の制御の下、近赤外光LBを受光して、被検眼Eの眼屈折力等の測定に用いられるハルトマン像150を出力する。この収差測定系29Bは、光源系29B1と受光系29B2とを有する。
光源系29B1は、被検眼Eに対して照射する近赤外光LB(本発明の測定光に相当)を出射する。この光源系29B1は、SLD(Super luminescent diode)等の半導体光源40と、コリメートレンズ41と、第1偏光子47Aと、偏光ビームスプリッタ42と、を備える。
半導体光源40は、コリメートレンズ41に向けて波長830〜840nmの近赤外光LBを出射する。コリメートレンズ41は、半導体光源40から入射した近赤外光LBを略平行光とした後に、第1偏光子47Aに向けて出射する。なお、被検眼Eの眼底に近赤外光LBが集光するように、必要に応じて半導体光源40を被検眼Eの度数に合せて移動させてもよい。
第1偏光子47Aは、直線偏光であるS偏光及びP偏光のうちで例えばS偏光(本発明の第1直線偏光に相当)のみを通過させる偏光子(偏光フィルタ)である。これにより、第1偏光子47Aは、コリメートレンズ41から入射した近赤外光LBをS偏光とした後、この近赤外光LB(S偏光)を偏光ビームスプリッタ42に向けて出射する。
偏光ビームスプリッタ42は、第1偏光子47Aと共に本発明の変換素子を構成する。この偏光ビームスプリッタ42は、第1偏光子47Aを通過するS偏光を反射し且つP偏光を透過する。従って、偏光ビームスプリッタ42は、コリメートレンズ41から入射した近赤外光LBをミラー32に向けて反射する。これにより、ミラー32、ダイクロイックミラー31、対物レンズ30、ダイクロイックミラー28、及びフォロプタ14の各検査窓22,23と1以上のトライアルレンズ24bとを経て被検眼Eに近赤外光LBが照射される。そして、被検眼Eにて反射された近赤外光LB(戻り光)は、直線偏光であるP偏光となり、往路と同じ経路を逆向きに進行して偏光ビームスプリッタ42に入射する。
この際に、被検眼Eに向けて進行する近赤外光LBがフォロプタ14内のトライアルレンズ24bを通過すると、その一部がトライアルレンズ24bの表面で反射され、この反射光に対応する反射ノイズLCが被検眼Eからの戻り光である近赤外光LBと共に偏光ビームスプリッタ42に入射する。偏光ビームスプリッタ42は、ダイクロイックミラー31等を経てミラー32から入射した近赤外光LB(反射ノイズLCを含む)のS偏光成分以外を透過させて、ミラー43に向けて出射する。
受光系29B2は、被検眼Eからの戻り光である近赤外光LBを受光する。この受光系29B2は、偏光ビームスプリッタ42を光源系29B1と共用すると共に、第2偏光子47Bと、ミラー43と、レンズ系44A,44Bと、ハルトマン板45と、撮像素子46(受光素子)と、を備える。
第2偏光子47Bは、本発明の偏光子に相当するものであり、さらに既述の第1偏光子47A及び偏光ビームスプリッタ42と共に本発明のノイズ除去部を構成する。第2偏光子47Bは、本発明の第2直線偏光に相当するP偏光のみを通過させる偏光子(偏光フィルタ)である。これにより、第2偏光子47Bは、偏光ビームスプリッタ42から入射した近赤外光LB(戻り光)及び反射ノイズLCのうち、近赤外光LB(戻り光)のP偏光成分のみを透過してミラー43に向けて出射すると共に、P偏光ではない反射ノイズLCは遮断又は低減する。
ミラー43は、偏光ビームスプリッタ42から入射した近赤外光LBを、レンズ系44Aに向けて反射する。レンズ系44A,44Bは、ミラー43から入射した近赤外光LBをハルトマン板45に向けて出射する。
ハルトマン板45の表面には、焦点距離が等しい多数の微小レンズが形成されている。ハルトマン板45は、レンズ系44Bから入射した近赤外光LBを、各微小レンズに対応した複数の光束に分割し、各々の光束を撮像素子46の受光面上に結像させる。なお、レンズ系44B及びハルトマン板45は、レンズ系44Bからハルトマン板45に略平行光が入射するように必要に応じて移動する。また、半導体光源40、レンズ系44B、及びハルトマン板45を連動して移動させてもよい。
撮像素子46は、公知のエリアセンサであり、ハルトマン板45により受光面上に結像された複数の光束を受光(撮像)して、各光束に対応した複数の点像を示すハルトマン像150(受光信号)をコントローラ11へ出力する。これにより、被検眼Eの眼特性(眼屈折力等)を示す被検眼Eの波面収差の測定が可能となる。なお、ハルトマン像150は、本発明の受光画像に相当する。
補償光学素子48(波面補償デバイスともいう)は、例えばLCOS(Liquid Crystal On Silicon)等が用いられるが、その種類については特に限定はされない。補償光学素子48は、収差測定系29Bの撮像素子46で受光される近赤外光LB(戻り光)に含まれる高次収差を除去するようにコントローラ11により制御される。なお、具体的な制御方法については公知技術であるので、ここでは具体的な説明は省略する。また、本実施形態では、補償光学素子48をダイクロイックミラー28に設けているが、その配置については適宜変更可能であり、視標呈示装置10との間に設置して高次収差を除去した場合の被検眼Eの視標チャート13の見えを実現できるようにしてもよい。
<コントローラ>
図6は、コントローラ11の機能ブロック図である。なお、図6では視標呈示装置10の図示は省略している。図6に示すように、コントローラ11は、波面センサ20と共に本発明の眼科装置の一部を構成する。このコントローラ11は、視標呈示装置10、各フォロプタ14、及び各波面センサ20に対して有線接続又は無線接続されており、これら各部の動作を統括的に制御する。なお、本実施形態のコントローラ11は、視標呈示装置10及び各フォロプタ14を制御する既存のもの(上記特許文献1参照)に、各波面センサ20を制御する機能等を付加(例えばソフトウェア的に付加)したものである。
コントローラ11は、各種のプロセッサ(Processor)及びメモリ等から構成された演算回路を備える。各種のプロセッサには、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、及びプログラマブル論理デバイス[例えばSPLD(Simple Programmable Logic Devices)、CPLD(Complex Programmable Logic Device)、及びFPGA(Field Programmable Gate Arrays)]等が含まれる。なお、コントローラ11の各種機能は、1つのプロセッサにより実現されてもよいし、同種または異種の複数のプロセッサで実現されてもよい。
コントローラ11は、不図示の記憶回路又は記憶装置に格納されているプログラムを読み出し実行することで、フォロプタ制御部49及び波面センサ制御部52として機能する。
フォロプタ制御部49は、度数決定部50及びディスク機構制御部51を含む。
度数決定部50は、各フォロプタ14に波面センサ20が連結されている場合には、後述の眼特性演算部58から入力された被検眼Eの眼特性(波面収差)の演算結果に基づき、被検眼Eの視機能を矯正するためのトライアルレンズ24bの度数を決定する。この度数には、例えば、球面度数(S:Sphere)、円柱度数(C:Cylinder)、及び乱視軸角度(A:AXIS)等が含まれる。
例えば度数決定部50は、波面収差の2次収差に基づきトライアルレンズ24bの度数を決定したり、或いは波面収差の高次収差を加味したベストフォーカス、スポット径、及び最小のRMS(Root Mean Square)波面収差に基づきトライアルレンズ24bの度数を決定したりする。なお、トライアルレンズ24bの度数の決定方法は公知技術であるので、具体的な説明は省略する。
また、度数決定部50は、各フォロプタ14に波面センサ20が連結されていない場合には、検者H2によりコントローラ11に入力された入力情報、例えば別途測定された被検眼Eの眼特性(眼屈折力)の測定結果に基づき、被検眼Eの視機能を矯正するためのトライアルレンズ24bの度数を決定する。
ディスク機構制御部51は、回転ディスク機構24の駆動を制御する。このディスク機構制御部51は、度数決定部50が決定したトライアルレンズ24bの度数に基づき、回転ディスク機構24を駆動して光軸OA上に1以上のトライアルレンズ24bを配置したり、開口穴(不図示)を配置したりする。また、ディスク機構制御部51は、被検眼Eの片眼のみの検査を行う場合には、被検眼Eとは反対側の僚眼に対応する光軸OA上に遮蔽板24cを配置する。
波面センサ制御部52は、観察系制御部54、測定系制御部56、眼特性演算部58、及び再測定制御部60を含む。
観察系制御部54は、前眼部観察系29Aの各部及び赤外線光源99を制御して、赤外線光源99による被検眼Eへの近赤外光LAの照射と、撮像素子37による近赤外光LA(戻り光)の受光と、を実行させる。また、観察系制御部54は、撮像素子37から出力された近赤外光LAの受光信号に基づき、コントローラ11の不図示の表示部に被検眼Eの前眼部の観察像を表示させる。
測定系制御部56は、収差測定系29B及び補償光学素子48等を制御して、光源系29B1による被検眼Eへの近赤外光LBの照射と、受光系29B2の撮像素子46による近赤外光LBの受光と、補償光学素子48による収差除去と、を実行させる。撮像素子46から出力されたハルトマン像150は、後述の眼特性演算部58に入力される。
眼特性演算部58は、既述の収差測定系29Bと共に本発明の他覚式測定系を構成する。この眼特性演算部58は、撮像素子46から入力されたハルトマン像150に基づき、公知の手法で被検眼Eの眼屈折力等の眼特性(波面収差)を演算する。そして、眼特性演算部58は、眼特性の演算結果を度数決定部50へ出力する。これにより、度数決定部50によるトライアルレンズ24bの度数決定と、ディスク機構制御部51による回転ディスク機構24の駆動(トライアルレンズ24bの変更)と、が自動的に実行される。
再測定制御部60は、各フォロプタ14に波面センサ20が連結されている場合であって且つ回転ディスク機構24の駆動が実行された場合には、測定系制御部56及び眼特性演算部58を再作動させる。これにより、収差測定系29Bが、トライアルレンズ24bを通して、被検眼Eへの近赤外光LBの照射と撮像素子46による近赤外光LBの受光と、を実行する。また、眼特性演算部58は、撮像素子46から出力されるハルトマン像150に基づき、被検眼Eの眼特性を演算する。
次いで、再測定制御部60は、眼特性演算部58による新たな被検眼Eの眼特性の演算結果に基づき、公知の手法で残余度数を演算する。そして、再測定制御部60は、残余度数が所定範囲内であるか否か、例えばS,Cが±0.25°以内であるか否かを判定する。再測定制御部60は、残余度数が所定範囲内である場合には作動を停止する。
一方、再測定制御部60は、残余度数が所定範囲外である場合には、度数決定部50に対して残余度数の演算結果を出力する。これにより、度数決定部50が、既に光軸OA上に配置されている1又は複数のトライアルレンズ24bの度数と、残余度数とに基づき、新たに光軸OA上に配置するトライアルレンズ24bの度数を決定し、この決定結果をディスク機構制御部51へ出力する。そして、ディスク機構制御部51が、回転ディスク機構24を駆動して光軸OA上に配置するトライアルレンズ24bを変更する。
再測定制御部60は、トライアルレンズ24bの変更が完了した場合には、測定系制御部56及び眼特性演算部58の再作動と、残余度数の演算及び判定と、を行う。以下、再測定制御部60は、残余度数が所定範囲内になるまで、度数決定部50に対する残余度数の演算結果の出力と、測定系制御部56及び眼特性演算部58の再作動と、残余度数の演算及び判定と、を繰り返し実行する。
<波面センサの位置合わせ>
各フォロプタ14に波面センサ20を連結する場合には、各フォロプタ14の光軸OAと、波面センサ20の連結部材27の中心軸との左右方向(X方向)及び上下方向(Y方向)の位置合わせを行う。また、波面センサ20が光軸OA(Z軸)の軸周り方向に回転すると、被検眼Eの乱視度数の測定結果に影響が生じるので、波面センサ20の回転位置を調整する。この回転位置の調整には例えば乱視模型眼が用いられる。
[第1実施形態の作用]
図7は、上記構成の第1実施形態の眼科システム9を用いた被検者H1の眼鏡レンズの処方値の決定処理の流れを示すフローチャートである。図7に示すように、検者H2は、最初に、各フォロプタ14の第2検査窓23の開口部23aにそれぞれ波面センサ20の連結部材27を連結させる。これにより、各フォロプタ14に波面センサ20が連結される。
波面センサ20が起動すると、アライメント光学系34による被検眼Eに対するアライメント光束の照射と、赤外線光源99による被検眼Eに対する近赤外光LAの照射と、前眼部観察系29Aによる被検眼Eの前眼部の観察像の取得と、不図示の表示部による観察像の表示と、が実行される。検者H2は、表示部に表示される観察像及び観察像内のアライメント光束に基づき、各フォロプタ14を手動で移動させて、被検眼Eに対する各波面センサ20の手動アライメントを実行する(ステップSA1)。
手動アライメントの完了後、検者H2がコントローラ11に対して測定開始指示を入力すると(ステップSB1)と、コントローラ11の測定系制御部56が、収差測定系29B及び補償光学素子48等に対して各々の作動を指令する制御指令を出力する(ステップSB2)。これにより、収差測定系29Bの光源系29B1の半導体光源40から近赤外光LBが出射される。この近赤外光LBは、第1偏光子47A及び偏光ビームスプリッタ42を経てS偏光に変換された後、ダイクロイックミラー31、対物レンズ30、ダイクロイックミラー28、及びフォロプタ14のトライアルレンズ24bを経て被検眼Eに照射される。
そして、被検眼Eにて反射された近赤外光LB(戻り光)は、P偏光となり、トライアルレンズ24bの表面にて反射された反射ノイズLCと共に、往路と同じ経路を逆向きに進行して偏光ビームスプリッタ42に入射し、さらに偏光ビームスプリッタ42を透過して第2偏光子47Bに入射する。この際に、P偏光ではない反射ノイズLCは、第2偏光子47Bによって遮断又は低減される。これにより、近赤外光LBに含まれる反射ノイズLCが除去又は低減される。
一方、P偏光である近赤外光LBは、第2偏光子47Bを透過して、ミラー43及びハルトマン板45等を介して撮像素子46の受光面に入射する。これにより、撮像素子46による近赤外光LBの受光(ステップSC1)とハルトマン像150の出力(ステップSC2)とが実行される。また、制御指令を受けて補償光学素子48による収差除去も実行される。
撮像素子46からハルトマン像150の入力を受けた眼特性演算部58は、このハルトマン像150に基づき、被検眼Eの眼屈折力等の眼特性(波面収差)を演算する(ステップSB3)。これにより、各検査窓22,23を通して視標チャート13を見ている被検眼Eの眼特性をリアルタイム且つ連続測定することができる。また、近赤外光LBに含まれる反射ノイズLCが第2偏光子47Bにより除去又は低減されているので、眼特性演算部58は被検眼Eの眼特性をより正確に測定することができる。そして、眼特性演算部58は、被検眼Eの眼特性の演算結果を度数決定部50に出力する。
眼特性演算部58からの眼特性の演算結果の入力を受けた度数決定部50は、この演算結果に基づき、トライアルレンズ24bの度数(S、C、A)を決定し、この結果をディスク機構制御部51に出力する(ステップSB4)。これにより、ディスク機構制御部51が、度数決定部50が決定した度数に基づき回転ディスク機構24に対して、トライアルレンズ24bの配置を指令する制御指令を出力する(ステップSB5)。この指令を受けて、回転ディスク機構24が駆動して光軸OA上に1又は複数のトライアルレンズ24bを配置する(ステップSA2)。
トライアルレンズ24bの配置が完了すると、再測定制御部60が測定系制御部56及び眼特性演算部58を再作動させる。これにより、測定系制御部56が波面センサ20の収差測定系29B及び補償光学素子48等に対して再び制御指令を出力し(ステップSB6)、この指令に応じて、撮像素子46による近赤外光LBの受光(ステップSC3)及び撮像素子46から眼特性演算部58に対するハルトマン像150の出力(ステップSC4)等が実行される。
そして、眼特性演算部58が、トライアルレンズ24bを通した被検眼Eの眼特性(波面収差)を演算する(ステップSB7)。これにより、トライアルレンズ24bを通した被検眼Eの眼特性をリアルタイム且つ正確に連続測定することができる。
次いで、再測定制御部60は、眼特性演算部58による新たな被検眼Eの眼特性の演算結果に基づき残余度数を演算し、この残余度数が所定範囲内であるか否かを判定する(ステップSB8)。残余度数が所定範囲内である場合には後述のステップSB9に進む(ステップSB8でYES)。
一方、再測定制御部60は、残余度数が所定範囲外である場合には(ステップSB8でNO)、度数決定部50に対して残余度数の演算結果を出力する。これにより、度数決定部50が、既に光軸OA上に設置されているトライアルレンズ24bの度数と、残余度数とに基づき、新たに光軸OA上に設置するトライアルレンズ24bの度数を決定する(ステップSB4)。次いで、既述のステップSB5及びステップSA2の処理が繰り返し実行され、光軸OA上に配置されるトライアルレンズ24bが変更される。このように本実施形態では、トライアルレンズ24bを通した被検眼Eの眼特性の正確な測定結果を速やかにフォロプタ14にフィードバックして光軸OA上に配置するトライアルレンズ24bを速やかに変更することができる。
トライアルレンズ24bの変更後、再測定制御部60は、測定系制御部56及び眼特性演算部58を再作動させる。これにより、既述のステップSB6、ステップSC3、ステップSC4、及びステップSB7の処理が繰り返し実行される。そして、再測定制御部60は、残余度数が所定範囲内であるか否かを判定する(ステップSB8)。以下、再測定制御部60により残余度数が所定範囲内であると判定されるまで、上述の一連の処理が繰り返される。
再測定制御部60により残余度数が所定範囲内であると判定されると(ステップSB8でYES)、検者H2は、被検者H1に装用される眼鏡レンズ等の度数の処方値を決定する(ステップSB9)。
[第1実施形態の効果]
以上のように第1実施形態の眼科システム9では、第1偏光子47A、第2偏光子47B、及び偏光ビームスプリッタ42を用いて、撮像素子46に入射する近赤外光LB(戻り光)に含まれる反射ノイズLCを除去又は低減することができる。その結果、トライアルレンズ24bに反射防止処理が施されていない既存のフォロプタ14或いは安価なフォロプタ14に対して波面センサ20を連結した場合であっても、被検眼Eの眼特性を正確に測定することができる。
[第2実施形態]
図8は、第2実施形態の眼科システム9のコントローラ11の機能ブロック図である。上記第1実施形態では、第1偏光子47A、第2偏光子47B、及び偏光ビームスプリッタ42を用いて、近赤外光LBに含まれる反射ノイズLCを除去又は低減しているが、第2実施形態の眼科システム9では、撮像素子46から出力されるハルトマン像150から反射ノイズLCに基づくノイズ画像152を差し引く。このため、図示は省略するが、第2実施形態の眼科システム9には、上記第1実施形態とは異なり収差測定系29B内に第1偏光子47A及び第2偏光子47Bが設けられてはいない。なお、収差測定系29B内に第1偏光子47A及び第2偏光子47Bを設けた上でさらに撮像素子46より出力されるハルトマン像150から反射ノイズLCに基づくノイズ画像152を差し引く処理を行ってもよい。
また図8に示すように、第2実施形態の眼科システム9は、コントローラ11にノイズ画像152を記憶する記憶部53を備え、且つ波面センサ制御部52が既述の図6に示した各部の他に、取得制御部200、配置制御部202、ノイズ画像取得部204、及び補正画像生成部206として機能する。なお、第2実施形態の眼科システム9は、これらの点を除けば上記第1実施形態と基本的に同じ構成であるので、上記第1実施形態と機能又は構成上同一のものについては同一符号を付してその説明は省略する。
取得制御部200は、本発明の第1取得制御部に相当する。この取得制御部200は、光軸OA上に新たなトライアルレンズ24bが配置されるごと、すなわち光軸OA上におけるトライアルレンズ24bの配置の切り替えが行われるごとに、配置制御部202、測定系制御部56、及びノイズ画像取得部204を作動させる。なお、第2実施形態(後述の第3実施形態も同様)では、トライアルレンズ24bは本発明の透光性の第1光学素子に相当する。また、本発明の透光性の第1光学素子は、トライアルレンズ24bに限定されるものではなく、各種の測定光を透過可能な各種の光学素子が含まれる。
配置制御部202は、ディスク機構制御部51を介して回転ディスク機構24を駆動することで、光軸OA上に遮蔽板24cを配置させる。これにより、被検眼Eに向けて照射される近赤外光LBが遮蔽板24cにより遮断される。なお、光軸OA上において、遮蔽板24cはトライアルレンズ24bよりも被検眼E側に配置される。
また、配置制御部202は、後述のノイズ画像取得部204によるノイズ画像152の取得後に、ディスク機構制御部51を介して回転ディスク機構24を駆動して光軸OA上から遮蔽板24cを退避させる。
第2実施形態の測定系制御部56は、取得制御部200により作動された場合に、収差測定系29Bを制御して、光源系29B1及び受光系29B2を作動させる。これにより、光源系29B1の半導体光源40から近赤外光LBが出射され、この近赤外光LBが偏光ビームスプリッタ42、ダイクロイックミラー31、対物レンズ30、及びダイクロイックミラー28等を経てフォロプタ14に入射する。
この際に、フォロプタ14の光軸OA上には遮蔽板24cが配置されているので、被検眼Eに対して近赤外光LBが入射することはなく、トライアルレンズ24bの表面で反射された一部の近赤外光LBである反射ノイズLCのみが往路と同じ経路を逆向きに進行して偏光ビームスプリッタ42に入射する。そして、反射ノイズLCは、ミラー43及びハルトマン板45等を介して撮像素子46の受光面に入射する。これにより、撮像素子46により反射ノイズLCのみが受光され、撮像素子46から反射ノイズLCに基づくノイズ画像152が出力される。
ノイズ画像取得部204は、撮像素子46から出力されたノイズ画像152を取得し、このノイズ画像152を記憶部53内に記憶させる。以下、光軸OA上でのトライアルレンズ24bの配置が切り替えられるごとに、取得制御部200の制御の下、配置制御部202による遮蔽板24cの配置と、収差測定系29Bによる近赤外光LBの出射及び反射ノイズLCの受光と、ノイズ画像取得部204によるノイズ画像152の取得及び記憶と、が繰り返し実行される。
図9は、補正画像生成部206による補正画像150Aの生成を説明するための説明図である。図9及び既述の図8に示すように、補正画像生成部206は、既述のノイズ画像取得部204と共に本発明のノイズ除去部を構成するものであり、収差測定系29B(受光系29B2)の撮像素子46からハルトマン像150が出力された場合に作動する。この第2実施形態のハルトマン像150は、第1実施形態のハルトマン像150とは異なり反射ノイズLCに基づくノイズ画像152を含んでいる。
補正画像生成部206は、撮像素子46から入力されたハルトマン像150と、記憶部53内のノイズ画像152と、に基づき、公知の手法でハルトマン像150からノイズ画像152を差し引いた補正画像150A(差分画像ともいう)を生成し、この補正画像150Aを眼特性演算部58へ出力する。このようにノイズ画像152を含むハルトマン像150からノイズ画像152を差し引く画像処理を実行することで、ノイズ画像152を含まない補正画像150Aが得られる。この補正画像150Aは、第1実施形態のハルトマン像150に実質的に相当する。
第2実施形態の眼特性演算部58は、補正画像生成部206から入力された補正画像150Aに基づき、公知の手法で被検眼Eの眼屈折力等の眼特性(波面収差)を演算し、その演算結果を度数決定部50へ出力する。なお、コントローラ11の他の各部は、第1実施形態と基本的に同じであるので、ここでは具体的な説明は省略する。
[第2実施形態の作用]
図10は、上記構成の第2実施形態の眼科システム9を用いた被検者H1の眼鏡レンズの処方値の決定処理の流れを示すフローチャートである。なお、最初のトライアルレンズ24bの配置が完了するまでの処理(ステップSB5及びステップSA2)は、図7に示した第1実施形態と基本的に同じであるので、ここでは具体的な説明は省略する。なお、ステップSB1のあとに、第1検査窓22及び第2検査窓23による反射ノイズLCの影響がある場合には、測定開始前、もしくは最初に遮蔽板24cの配置を行った状態でノイズ画像152の取得を行い、トライアルレンズ24bが配置されない状態で取得されたノイズ画像152から補正画像150Aを生成してもよい。
フォロプタ14の光軸OA上への1又は複数のトライアルレンズ24bの配置が完了すると、コントローラ11の波面センサ制御部52の取得制御部200が、配置制御部202、ノイズ画像取得部204、及び補正画像生成部206をそれぞれ作動させて、ノイズ画像152の取得処理を開始する(ステップSD)。
図11は、第2実施形態におけるノイズ画像152の取得処理の流れを示すフローチャートである。図11に示すように、最初に配置制御部202がディスク機構制御部51を介して回転ディスク機構24に対して、遮蔽板24cの配置を指令する制御指令を出力する(ステップSB10)。この指令を受けて、回転ディスク機構24が駆動してフォロプタ14の光軸OA上に遮蔽板24cを配置する(ステップSA10)。
遮蔽板24cの配置が完了すると、測定系制御部56が収差測定系29Bに対して収差測定系29Bの作動を指令する制御指令を出力する(ステップSB12)。この指令を受けて、光源系29B1から近赤外光LBが出射され、この近赤外光LBが偏光ビームスプリッタ42及びダイクロイックミラー28等を経てフォロプタ14に入射する(ステップSC11)。
フォロプタ14に入射した近赤外光LBは、光軸OA上に配置されている遮蔽板24cにより遮断される。その結果、フォロプタ14に入射した近赤外光LBが被検眼Eには入射することはなく、近赤外光LBの一部のみがトライアルレンズ24bの表面にて反射される。これにより、トライアルレンズ24bの表面で反射された反射ノイズLCのみが往路と同じ経路を逆向きに進行して偏光ビームスプリッタ42に入射し、ミラー43及びハルトマン板45等を介して撮像素子46の受光面に入射する。そして、撮像素子46が反射ノイズLCのみを受光してノイズ画像152をノイズ画像取得部204へ出力する(ステップSC12)。
撮像素子46からノイズ画像152を取得したノイズ画像取得部204は、このノイズ画像152を記憶部53内に記憶させる(ステップSB13)。
次いで、配置制御部202が、ディスク機構制御部51を介して回転ディスク機構24に対して、遮蔽板24cの退避を指令する制御指令を出力する(ステップSB14)。この指令を受けて、回転ディスク機構24が駆動してフォロプタ14の光軸OA上から遮蔽板24cを退避させる(ステップSA12)。以上でノイズ画像152の取得処理が完了する。
図10に戻って、ノイズ画像152の取得処理が完了すると、第1実施形態と同様に、光源系29B1による近赤外光LBの出射と、受光系29B2(撮像素子46)による近赤外光LBの受光及びハルトマン像150の出力と、が実行される(ステップSB6、ステップSC3,SC4)。
撮像素子46からハルトマン像150が出力されると、補正画像生成部206が作動する。補正画像生成部206は、撮像素子46から入力されたハルトマン像150と、記憶部53内のノイズ画像152と、に基づき、ハルトマン像150からノイズ画像152を差し引いた補正画像150Aを生成する(ステップSB6−1)。これにより、ノイズ画像152を含まないハルトマン像150である補正画像150Aが得られる。そして、補正画像生成部206は、補正画像150Aを眼特性演算部58へ出力する。
補正画像生成部206から補正画像150Aの入力を受けた眼特性演算部58は、この補正画像150Aに基づき、被検眼Eの眼屈折力等の眼特性(波面収差)を演算する(ステップSB7)。補正画像150A内のノイズ画像152は既に除去或いは低減されているので、眼特性演算部58は被検眼Eの眼特性をより正確に測定することができる。
以下、上記第1実施形態と同様に、再測定制御部60による残余度数の演算及び判定が実行される(ステップSB8)。そして、残余度数が所定範囲外である場合には、トライアルレンズ24bの度数の決定(ステップSB4)及びトライアルレンズ24bの配置(ステップSB4,SA2)が実行された後、再び既述の図11に示したノイズ画像152の取得処理が繰り返し実行される(ステップSD)。
次いで、既述のステップSB6、ステップSC3、ステップSC4、ステップSB6−1、ステップSB7、及びステップSB8の処理が繰り返し実行される。以下、再測定制御部60により残余度数が所定範囲内であると判定されるまで、上述の一連の処理が繰り返される。
一方、再測定制御部60により残余度数が所定範囲内であると判定されると(ステップSB8でYES)、検者H2は、被検者H1に装用される眼鏡レンズ等の度数の処方値を決定する(ステップSB9)。なお、光軸OA上にトライアルレンズ24bを配置する前に遮蔽板24cを先に配置してからその後にトライアルレンズ24bを配置してもよい。この動作により、トライアルレンズ24bの変更による被検眼Eの見えの煩わしさの発生が防止される。
[第2実施形態の効果]
以上のように第2実施形態の眼科システム9では、ノイズ画像152を取得して、ハルトマン像150からノイズ画像152を差し引く画像処理を行うことで、ノイズ画像152が除去又は低減されている補正画像150Aを生成することができる。その結果、第2実施形態においても上記第1実施形態と同様の効果が得られる。また、第2実施形態は、上記第1実施形態とは異なり、収差測定系29Bに第1偏光子47A及び第2偏光子47Bを配置する必要はなく、ソフトウェア的な改修で実現可能であるので、第1実施形態よりも安価に実現することができる。
[第3実施形態]
図12は、第3実施形態におけるノイズ画像152の取得処理の流れを示すフローチャートである。
上記第2実施形態では、光軸OA上でのトライアルレンズ24bの配置の切り替えが行われるごとにノイズ画像152の取得処理を実行しているが、第3実施形態では、光軸OA上に配置可能なトライアルレンズ24b(透光性の第1光学素子)の全ての配置パターンに対応したノイズ画像152を事前に取得する。
なお、第3実施形態の眼科システム9の構成は、取得制御部200及び配置制御部202の機能が一部異なる点を除けば上記第2実施形態と基本的には同じである。上記第2実施形態と機能又は構成上同一のものについては同一符号を付してその説明は省略する。
第3実施形態の取得制御部200は、本発明の第2取得制御部に相当する。第3実施形態の取得制御部200は、予め定められたタイミングごと、例えば眼科システム9の起動時ごと或いは一定期間経過ごとに配置制御部202、ノイズ画像取得部204、及び補正画像生成部206をそれぞれ作動させて、既述の配置パターンごとのノイズ画像152の取得を実行させる。
第3実施形態の配置制御部202は、取得制御部200の制御の下、ディスク機構制御部51を介して回転ディスク機構24を駆動して、既述の配置パターンごとに、1又は複数のトライアルレンズ24bと、遮蔽板24cと、をそれぞれ光軸OA上に配置させる。
[第3実施形態の作用]
図12に示すように、第3実施形態のコントローラ11(波面センサ制御部52)の取得制御部200は、眼科システム9の起動時等の予め定められたタイミングで、配置制御部202、測定系制御部56、及びノイズ画像取得部204をそれぞれ作動させる。
最初に、配置制御部202が、ディスク機構制御部51を介して回転ディスク機構24に対して、遮蔽板24cの配置と、第1の配置パターンでのトライアルレンズ24bの配置と、を指令する制御指令を出力する(ステップSB10,SB11)。これらの指令を受けて、回転ディスク機構24が駆動してフォロプタ14の光軸OA上に、遮蔽板24cと、第1の配置パターンに対応した1又は複数のトライアルレンズ24bと、をそれぞれ配置する(ステップSA10,SA12)。
トライアルレンズ24b及び遮蔽板24cの配置が完了すると、測定系制御部56が収差測定系29Bに対して収差測定系29Bの作動を指令する制御指令を出力する(ステップSB12)。この指令を受けて、光源系29B1から近赤外光LBが出射され、この近赤外光LBが偏光ビームスプリッタ42及びダイクロイックミラー28等を経てフォロプタ14に入射する(ステップSC11)。これにより、上記第2実施形態と同様に、撮像素子46が反射ノイズLCのみを受光して、第1の配置パターンに対応するノイズ画像152をノイズ画像取得部204へ出力する(ステップSC12)。
第1の配置パターンに対応するノイズ画像152を取得したノイズ画像取得部204は、このノイズ画像152を記憶部53内に記憶させる(ステップSB13)。
次いで、取得制御部200は、配置制御部202、測定系制御部56、及びノイズ画像取得部204を繰り返し作動させる。これにより、フォロプタ14の光軸OA上に、遮蔽板24cと、第2の配置パターンに対応した1又は複数のトライアルレンズ24bが配置される(ステップSB11,SA11)。そして、既述のステップSC11、ステップSC12、及びステップSB13の各処理が繰り返し実行されることで、第2の配置パターンに対応したノイズ画像152が記憶部53に記憶される。
以下、全てのトライアルレンズ24bの配置パターンに対応するノイズ画像152の取得及び記憶部53への記憶が完了するまで、既述の一連の処理が繰り返し実行される(ステップSB13−1でNO)。
記憶部53に全ての配置パターンに対応したノイズ画像152が記憶されると、配置制御部202がディスク機構制御部51を介して回転ディスク機構24に対して、遮蔽板24cの退避を指令する制御指令を出力する(ステップSB13−1でYES、ステップSB14)。この指令を受けて、回転ディスク機構24が駆動してフォロプタ14の光軸OA上から遮蔽板24cを退避させる(ステップSA12)。以上で第3実施形態のノイズ画像152の取得処理が完了する。
図13は、第3実施形態の眼科システム9を用いた被検者H1の眼鏡レンズの処方値の決定処理の流れを示すフローチャートである。なお、トライアルレンズ24bの配置が完了するまでの処理(ステップSB5及びステップSA2)の流れは、図7に示した第1実施形態と基本的に同じであるので、ここでは具体的な説明は省略する。
図13に示すように、ステップSA2においてトライアルレンズ24bの配置が完了すると、補正画像生成部206は、フォロプタ14の光軸OA上に配置された1又は複数のトライアルレンズ24bの配置パターンに対応するノイズ画像152を記憶部53内から選択する(ステップSB5−1)。なお、このノイズ画像152の選択処理は、トライアルレンズ24bの配置後から補正画像150Aの生成前の期間内であれば、実行するタイミングは特に限定はされない。
次いで、上記第2実施形態と同様に、撮像素子46による近赤外光LBの受光及びハルトマン像150の出力が実行される(ステップSB6、ステップSC3,SC4)。
そして、補正画像生成部206は、撮像素子46から入力されたハルトマン像150と、先に記憶部53内から選択したノイズ画像152と、に基づき、補正画像150Aを生成して、この補正画像150Aを眼特性演算部58へ出力する(ステップSB6−1)。
補正画像生成部206から補正画像150Aの入力を受けた眼特性演算部58は、この補正画像150Aに基づき、被検眼Eの眼屈折力等の眼特性(波面収差)を演算する(ステップSB7)。
以下、上記各実施形態と同様に、再測定制御部60による残余度数の演算と、この残余度数が所定範囲内であるか否かの判定と、が実行される(ステップSB8)。そして、残余度数が所定範囲外である場合には、度数決定部50によるトライアルレンズ24bの度数の決定(ステップSB4)、及びトライアルレンズ24bの配置(ステップSB4,SA2)が実行された後、既述のノイズ画像152の選択処理(ステップSB5−1)が繰り返し実行される。
次いで、既述のステップSB6、ステップSC3、ステップSC4、ステップSB6−1、ステップSB7、及びステップSB8の処理が繰り返し実行される(ステップSB8でNO)。以下、再測定制御部60により残余度数が所定範囲内であると判定されるまで、上述の一連の処理が繰り返される。そして、再測定制御部60により残余度数が所定範囲内であると判定されると(ステップSB8でYES)、検者H2は、被検者H1に装用される眼鏡レンズ等の度数の処方値を決定する(ステップSB9)。
[第3実施形態の効果]
以上のように第3実施形態の眼科システム9では、全てのトライアルレンズ24bの配置パターンに対応したノイズ画像152の取得を予め実行しておくことにより、上記第2実施形態と同様に補正画像150Aを生成することができるので、上記各実施形態と同様の効果が得られる。また、第3実施形態では、全ての配置パターンに対応したノイズ画像152を予め取得しておくことで、被検眼Eの眼特性の演算に要する時間を短縮させることができる。
[波面センサの他実施形態]
図14は、被検眼Eの右眼に対応する他実施形態の波面センサ100の光学系の概略図である。なお、左右の波面センサ100の光学系は左右対称の構造であるので、ここでは被検眼Eの右眼に対応する波面センサ100の光学系の構成について説明を行う。また、上記各実施形態と機能又は構成上同一のものについては、同一符号を付してその説明は省略する。さらに、図14中のフォロプタ14は、上記各実施形態で説明したフォロプタ14と同一のものであるが、図面の煩雑化を防止するために一部構成の図示を省略している。
波面センサ100は、上記各実施形態と共通のダイクロイックミラー28と、上記各実施形態とは異なる波面センサ本体100aと、を有する。なお、図14では、ダイクロイックミラー28に設けられている補償光学素子48については図示を省略している。
波面センサ100のセンサ筐体125は、ダイクロイックミラー28を保持すると共に波面センサ本体100aを収納する。また、センサ筐体125には、フォロプタ14の第2検査窓23の開口部23aに対して着脱自在に連結可能な連結部材27Aが形成されている。この連結部材27Aは、上記各実施形態の連結部材27と基本的に同じものである。これにより、上記各実施形態と同様に、フォロプタ14に対して波面センサ100を着脱自在に連結させることができる。
ダイクロイックミラー28(本発明の第2光学素子)は、センサ筐体125の後側面により、光軸OAに対して傾斜した状態で連結部材27Aに対向する位置に保持されている。ダイクロイックミラー28は、連結部材27Aが開口部23aに連結された場合に、光軸OA上で且つ第2検査窓23に対向する位置に配置されることで、光軸OAに沿った第1光路LP1から第2光路LP2を分岐させる。
ダイクロイックミラー28は、第1実施形態と同様に、可視光は透過させると共に、可視光とは波長域が異なる近赤外光は反射する。これにより、ダイクロイックミラー28は、波面センサ本体100aから入射する近赤外光LBを被検眼Eに向けて反射する。また、ダイクロイックミラー28は、被検眼Eからフォロプタ14を介して入射した近赤外光LA,LBを波面センサ本体100aに向けて反射する。
波面センサ本体100aは、ダイクロイックミラー28に向けて近赤外光LBを出射すると共に、ダイクロイックミラー28にて反射された2波長の近赤外光LA,LBを受光して波長域ごとの受光信号(前眼部の観察像及びハルトマン像150)をコントローラ11へ出力する。
波面センサ本体100aは、赤外線光源112と、対物レンズ108と、ダイクロイックミラー107と、前眼部観察系G1と、収差測定系G2を構成する光源系G2a及び受光系G2bと、画像データ出力部115と、ミラー制御部116と、傾斜角検出部117と、を備える。なお、赤外線光源112及び傾斜角検出部117は省略してもよい。
赤外線光源112は、例えば波長940〜950nmの赤外光(近赤外光LA)を発光するLED(Light Emission Diode)である。赤外線光源112は、ダイクロイックミラー28に対向する位置に2個配置されており、ダイクロイックミラー28に近赤外光LAを照射する。これにより、ダイクロイックミラー28及びフォロプタ14の1以上のトライアルレンズ24b等を介して、被検眼Eに対して近赤外光LAが照射される。そして、被検眼Eからの近赤外光LAの戻り光は、往路と同じ経路を逆向きに進行して対物レンズ108に入射する。
対物レンズ108は、後述の光源系G2aから入射した波長840nmの近赤外光LBを、ダイクロイックミラー28に向けて出射する。また、対物レンズ108には、被検眼Eにて反射された2波長の近赤外光LA,LBが第1光路LP1、ダイクロイックミラー28、及び第2光路LP2を経て入射する。近赤外光LA,LBは、対物レンズ108を透過してダイクロイックミラー107に入射する。
ダイクロイックミラー107は、波長940〜950nmの近赤外光LAは透過し、波長840nmの近赤外光LBは反射する。これにより、ダイクロイックミラー107は、後述の光源系G2aから入射する近赤外光LBを対物レンズ108に向けて反射する。また、ダイクロイックミラー107は、対物レンズ108から入射した2波長の近赤外光LA,LBのうち、近赤外光LAは前眼部観察系G1に入射させ、近赤外光LBはレンズ系106に向けて反射する。なお、被検眼Eからの可視帯域の反射光は、ダイクロイックミラー28を透過し、波面センサ100の外部に抜ける。
前眼部観察系G1は、レンズ系113及び撮像素子114を備える。
レンズ系113は、図中では簡略化して記載しているが、複数のレンズを組み合わせた光学系である。これは、後述する他のレンズ系においても同様である。レンズ系113は、ダイクロイックミラー107から入射した近赤外光LAを撮像素子114の受光面に結像させる。
撮像素子114は、公知のエリアセンサ[例えばCCD(Charge Coupled Device)型のイメージセンサ]であり、レンズ系113により結像された近赤外光LAを受光(撮像)して、被検眼Eの前眼部の観察像(受光信号)を画像データ出力部115へ出力する。
光源系G2aは、光源101、レンズ系102、第1偏光子47A、偏光ビームスプリッタ104、絞り105、及びレンズ系106を備える。
光源101は、波長830〜840nmの近赤外光LBを出射するレーザーダイオードである。レンズ系102は、光源101から入射した近赤外光LBを略平行光とした後に、第1偏光子47Aに向けて出射する。
第1偏光子47Aは、レンズ系102から入射した近赤外光LBを例えばS偏光とした後、この近赤外光LB(S偏光)を偏光ビームスプリッタ104に向けて出射する。
偏光ビームスプリッタ104は、例えばS偏光を透過し且つP偏光を反射する。偏光ビームスプリッタ104は、第1偏光子47Aから入射した近赤外光LBを絞り105に向けて透過させる。これにより、絞り105、レンズ系106、ダイクロイックミラー107、対物レンズ108、ダイクロイックミラー28、及びフォロプタ14等を経て被検眼Eに近赤外光LBが照射される。そして、被検眼Eにて反射された近赤外光LB(戻り光)は、往路と同じ経路を逆向きに進行して偏光ビームスプリッタ104に入射する。
偏光ビームスプリッタ104は、対物レンズ108から入射した近赤外光LB(P偏光)を受光系G2bの第2偏光子47Bに向けて反射する。
受光系G2bは、偏光ビームスプリッタ104を光源系G2aと共用すると共に、第2偏光子47B、レンズ系120、ハルトマン板121、及び撮像素子122を備える。
第2偏光子47Bは、偏光ビームスプリッタ104から入射した近赤外光LB(戻り光)及び反射ノイズLCのうち、P偏光である近赤外光LB(戻り光)を透過してレンズ系120に向けて出射すると共に、P偏光ではない反射ノイズLCは遮断又は低減する。
レンズ系120は、第2偏光子47Bから入射した近赤外光LBをハルトマン板121に向けて出射する。
ハルトマン板121の表面には、焦点距離が等しい多数の微小レンズが形成されている。ハルトマン板121は、レンズ系120から入射した近赤外光LBを、各微小レンズに対応した複数の光束に分割し、各々の光束を撮像素子122の受光面上に結像させる。
撮像素子122は、公知のエリアセンサ[例えばCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)イメージセンサ]であり、ハルトマン板121により受光面上に結像された複数の光束を受光(撮像)して、各光束に対応した複数の点像を示すハルトマン像150(受光信号)を画像データ出力部115へ出力する。これにより、被検眼Eの眼特性(眼屈折力等)を示す被検眼Eの波面収差の測定が可能となる。
画像データ出力部115は、撮像素子114から入力された被検眼Eの前眼部の観察像の画像データと、撮像素子122から入力されたハルトマン像150の画像データと、をコントローラ11へ出力する。なお、画像データ出力部115は、前眼部の観察像の画像データとハルトマン像150の画像データとを統合した画像データをコントローラ11へ出力してもよい。これにより、部分的な色彩の違いにより、波面収差の様子を視覚的に把握可能な前眼像が得られる。よって厳密な瞳孔中心を波面収差表示の原点とすることができる。
なお、波面センサ100に、角膜形状測定用部材であるプラチド板(図示省略)を取り付けることで角膜形状の測定が可能になる。この場合には、画像データ出力部115は、測定した角膜形状データと波面情報とを連動して出力する機能を有する。
ミラー制御部116は、ダイクロイックミラー28を左右に回転させる不図示のアクチュエータを駆動してダイクロイックミラー28の回転を制御する。また、ミラー制御部116は、不図示のロータリーエンコーダを介してダイクロイックミラー28の回転角度を検出し、その検出結果を画像データ出力部115へ出力する。これにより、受光系G2bの測定結果の座標軸(座標系)を変更して、受光系G2bで適切なデータが得られるようにデータ変換を行うことができる。
傾斜角検出部117は、波面センサ100の傾斜角を検出する傾斜角センサを備え、その検出結果に基づき傾斜角の情報を画像データ出力部115に出力する。これにより、受光系G2bの測定結果の座標軸(座標系)を変更して、受光系G2bで適切なデータが得られるようにデータ変換を行うことができる。
なお、上記第2実施形態及び第3実施形態のように、予め取得したノイズ画像152に基づき補正画像150Aの生成を行う場合には、第1偏光子47A及び第2偏光子47Bを省略してもよい。
[その他]
上記各実施形態では、波面センサ20に前眼部観察系29Aが設けられているが、前眼部観察系29Aが省略されていてもよい。すなわち、本発明の眼科装置には観察系を備えない装置も含まれる。
上記各実施形態では、本発明の眼科装置がコントローラ11及び各波面センサ20により構成されているが、本発明の眼科装置が各波面センサ20のみで構成されていてもよい。この場合には、波面センサ制御部52(度数決定部50を含めても良い)が各波面センサ20と一体に設けられている或いは内蔵されており、この波面センサ制御部52がコントローラ11と有線接続又は無線接続されている。
上記各実施形態では、被検者H1に装用される眼鏡レンズ等の処方値の決定に用いられる眼科システム9を例に挙げて説明したが、他の用途に用いられる眼科システム9にも本発明を適用することができる。
上記各実施形態では、各フォロプタ14の第2検査窓23に連結部材27,27Aを着脱自在に連結させているが、フォロプタ筐体25の被検眼Eに対向する側とは反対側の後側面に設けられている穴部、凹部、凸部、及び突起等を被連結部材として、この被連結部材に対して各種の連結部材を着脱自在に連結させてもよい。この場合には、被連結部材及び連結部材が上記各実施形態とは異なる位置に設けられていてもよい。
上記各実施形態の収差測定系29Bでは、被検眼Eに対して近赤外光LB(S偏光)を照射し且つ撮像素子46にて近赤外光LBの戻り光(P偏光)を受光しているが、被検眼Eに対して近赤外光LB(P偏光)を照射し且つ撮像素子46にて近赤外光LBの戻り光(S偏光)を受光してしてもよい。また、上記各実施形態では本発明の第1直線偏光及び第2直線偏光としてS偏光及びP偏光を例に挙げて説明しているが、互いに偏光方向が異なる直線偏光であれば第1直線偏光及び第2直線偏光の種類は特に限定はされない。
上記各実施形態では、本発明の変換素子として第1偏光子47A及び偏光ビームスプリッタ42を例に挙げて説明したが、本発明の変換素子が例えば偏光ビームスプリッタ42のみで構成されていてもよく、変換素子の種類は特に限定はされない。また、上記各実施形態では、本発明の偏光子として第2偏光子47Bを例に挙げて説明したが、偏光子の種類についても特に限定はされない。
上記各実施形態では、本発明の眼科装置(他覚式測定系)として波面センサ20を例に挙げて説明したが、被検眼Eの眼屈折力を測定するレフラクトメータ、被検眼Eの角膜形状を測定するケラトメータ、眼屈折力及び角膜形状を測定するオートケラトレフラクトメータ、及び被検眼Eの眼底写真を撮影する眼底カメラ、被検眼Eの断層像を取得する3次元眼底像撮影装置などを含む公知の各種の他覚式測定系をフォロプタ14に連結してもよい。