以下、本発明の実施形態について、添付図面を参照して説明する。以下に説明する実施形態は、特許請求の範囲に記載された本発明の内容を限定するものではない。また、以下に説明される構成の全てが、本発明の必須要件であるとは限らない。
図1〜図9は、本発明の好ましい一実施形態の芝生面情報表示システム1(以下、単に「システム」という)を示している。先ず、図1および図2に基づいて、システム1の受信ユニット10が組み込まれる芝刈り機20の概略構成を説明する。
芝刈り機20は、芝生面の傾斜に対して独立して追従する複数の芝刈りユニット21A〜21Eを具備する。これらの芝刈りユニット21A〜21Eは、モアユニットと呼ばれる。左右一対の前輪23の前方には、3個の芝刈りユニット21A〜21Cが左右方向に所定の間隔を有して配置される。また、前輪23と左右一対の後輪24との間には、別な2個の芝刈りユニット21D,21Eが配置される。芝刈りユニット21D,21Eの一部は、車両25の下側に配置される。上方から見て、後方左側の芝刈りユニット21Dは、前側の芝刈りユニット21Aと芝刈りユニット21Bとの間に配置され、後方右側の芝刈りユニット21Eは、前側の芝刈りユニット21Bと芝刈りユニット21Cとの間に配置される。つまり、後側の芝刈りユニット21D,21Eは、前側の芝刈りユニット21A,21B,21Cの左右方向の各隙間に対応する位置に配置され、芝の刈り残しがないようにしている。ここでの車両25は、芝刈りユニット21A〜21Eが連結される車両本体を総称している。
芝刈りユニット21A〜21Eはそれぞれ、外郭をなす金属製のフレーム27と、フレーム27に装着される刃部28とを主な構成要素とし、昇降リンク機構29によって車両25に昇降可能に取付けられる。ここでの刃部28は、リールカッターと呼ばれる螺旋状の回転刃と、ベットナイフと呼ばれる固定刃との組み合わせにより、芝草をはさむように刈り切るいわゆるリール式であるが、他に水平に回転する回転刃で、芝草をたたくように刈り切るロータリー式や、水平に回転する回転刃と固定刃との組み合わせで、芝草をはさみ切る回転はさみ式や、二枚の重なり合う可動刃が水平に往復することで、芝草をはさみ切るバリカン式などの各種方式の刃部28を採用してもよい。
車両25の略中央部には、オペレータ(運転者)が着席する運転座席としてのシート31が配設される。シート31の前方上部には、操向用のハンドルとなるステアリングホイール32が旋回可能に設けられる。シート31に着席したオペレータによってステアリングホイール32が操作されることで、芝刈り機20の進行方向が決定される。
シート31の一側部には、芝刈りユニット21A〜21Eの昇降レバー33などを含む表示操作ボックス34が設けられる。表示操作ボックス34には、昇降レバー33のようなオペレータの手動操作を可能にする操作部と、芝刈り機20の運転状態や故障状態などの、芝刈り機20に関する種々の情報をオペレータに表示する表示部が設けられる。表示部は、例えばLED(発光ダイオード)やLCD(液晶表示器)などで構成される。また図示しないが、シート31の前方下部には前進用の走行ペダルや、後進用の走行ペダルや、ブレーキペダルが配設される。これらのペダルが操作されることによって、芝刈り機20の前進、後進、停止、および走行速度が決定される。芝刈り機20は、対象範囲となるゴルフ場内の芝を刈るのに移動する。
乗用型の芝刈り機20には、昇降リンク機構29を介して芝刈りユニット21A〜21Eが車両25に連結され、シート31に着座したオペレータが昇降レバー33を操作することにより、油圧駆動の昇降リンク機構29を適宜動作させて、図1に示す芝刈り作業時の位置である下降位置と、図2に示す芝刈り作業を行わない非作業時の位置(例えば、車両25を走行させるときの位置)である上昇位置の何れかに、各芝刈りユニット21A〜21Eを移動させることが可能になる。
シート31の後部には、車両25の上部からアーチ形の保護フレーム35が立設される。保護フレーム35の上部には、シート31の直上に位置して、芝刈り機20に後付けされた受信ユニット10が装着される。受信ユニット10は芝刈り作業の支障にならなければ、車両25のどの部位に設けてもよいが、好ましくは平面視で車両25の略中央部に配設される。受信ユニット10は、ゴルフ場内を移動する一乃至複数の芝刈り機20にそれぞれ装着されるが、その構成については後ほど詳しく説明する。
芝刈り機20は、車両25の内部に配設されたエンジン(図示せず)からの回転動力を、前輪23および/または後輪24に伝達して、車両25を前進または後進させる構成を有する。こうしたエンジン方式の芝刈り機20は、本実施形態のシステム1が対象範囲とするゴルフ場の各ホールにおいて、地面に広く敷設された芝を、短時間に所望の長さ(高さ)に刈ることができて好ましい。但し、システム1としてはエンジン以外の例えば手動や電動の芝刈り機20であっても構わない。
図3は、システム1の芝刈情報送出手段となる受信ユニット10の電気的構成を示したものである。同図において、受信ユニット10は、周知のCPU(中央演算装置)、計時カウンタ、入出力装置などのマイクロコンピュータで構成される制御手段41や、マイクロコンピュータの一部を構成する記録媒体としての記憶手段42の他に、制御手段41の入力側ポートに接続するGPS(Global Positioning System)アンテナ44付きの測位装置45や、刈高検出装置46や、補正情報受信部47や、操作部48や、制御手段41の出力側ポートに接続する芝刈情報出力部49を備えて構成される。制御手段41は、記憶手段42に予め記憶されたプログラムを読み取ることで、後述する芝刈情報作成手段51と、芝刈情報転送手段52として主に機能する構成となっている。
測位装置45は、車両25ひいては芝刈り機20の略中央部の位置を検出して、その結果となる芝刈り機20の位置情報を制御手段41に信号出力するものである。測位装置45は、GPS衛星を含む4機以上のGNSS(Global Navigation Satellite System)衛星からの信号をGPSアンテナ44で受信し、その信号から移動する芝刈り機20の現在の位置を示す位置情報を取得するGNSS受信装置で構成される。好ましいGNSS受信装置は、主に芝刈り機20の測位のために使用する測位情報(例えばL1信号、L2信号、L5信号などの測位信号)に加えて、当該測位情報に含まれる誤差を修正補強するために使用する測位補強情報(例えばL6信号などの測位補助信号)をさらに受信する機能を有する。現状はGNSS衛星の中で、準天頂衛星(Quasi-Zenith Satellites)となる「みちびき」からのL6信号を測位装置45が受信することで、芝刈り機20の位置情報をセンチメートル単位の精度で管理できる。
刈高検出装置46は、前述した芝刈りユニット21A〜21Eの刃部28によって、芝刈り作業時に地面から芝生をどの程度の高さに刈るのかという刈高を検出し、その検出結果となる刈高情報を信号出力するものである。例えば、フレーム27に対して刃部28の上下取付け位置を調整することで、その位置に応じた刈高が設定される芝刈り機20では、フレーム27に対する刃部28の高さを刈高検出装置46により検出する。また、複数種の刃部28が予め用意されていて、その中の一つの刃部28をフレーム27に取付けることで、装着した刃部28に応じた刈高が設定される芝刈り機20では、刃部28の形状の違いを刈高検出装置46により検出する。何れの場合も刈高検出装置46は、例えば接触式のスイッチや、非接触式のセンサーまたはカメラなどで構成することができる。
補正情報受信部47は、受信ユニット10にRTK(Real Time Kinematic)を用いた測位を実現させるために付加されたものである。このRTK測位では、既知の座標位置に設置された基準局(図示せず)が、測位装置45と同様にGNSS衛星からの信号を受信し、そこから得られた基準局の位置と既知の座標位置との差(誤差)となる補正情報を、補正情報受信部47がリアルタイムで受信する。受信ユニット10の制御手段41は、測位装置45からの芝刈り機20の位置情報に、補正情報受信部47からの補正情報を加味して、芝刈り機20のより正確な補正した位置情報(誤差±20mm以内)を算出する。補正情報は基準局が個々に直接生成してもよいし、センター装置(図示せず)が各々の基準局で受信したGNSS衛星の信号を一元的に受け取って、個々に補正情報を生成しても構わない。補正情報受信部47は、図示しない各種の無線通信ネットワークを介して、基準局やセンター装置からの補正信号を受信する構成となっている。
操作部48は、オペレータからの手動操作や、芝刈り機20に連動する操作を受け付けるもので、ここでは主に測位装置45による測位の開始と測位の停止や、記憶手段42に記憶されている芝刈情報の転送を、制御手段41に指示するものである。例として操作部48は、表示操作ボックス34に設けられた操作ボタンとすることができる。この場合、操作ボタンを操作すると、測位開始の指示信号が制御手段41に送出され、次に再び操作ボタンを操作すると、測位停止の指示信号が制御手段41に送出され、操作ボタンを操作する毎に、測位開始と測位停止の指示が切り替わる。別な例として、操作ボタンの代わりに、芝刈りユニット21A〜21Eの昇降および車両25の移動と停止に連動した操作スイッチとしてもよい。この場合、芝刈りユニット21A〜21Eが降下し、且つ車両25が前進または後進したら、操作スイッチから制御手段41に測位開始の指示信号が送出され、芝刈りユニット21A〜21Eが上昇し、或いは車両25が停止したら、操作スイッチから制御手段41に測位停止の指示信号が送出される構成とする。
芝刈情報出力部49は、芝刈情報生成手段51で生成された芝刈情報を制御手段41の外部に出力するものである。例として芝刈情報出力部49は、こうした芝刈情報を無線や有線で送信する送信部とすることができ、送信部からインターネット上に設置された後述のセンターサーバ60などに、何時でも芝刈情報を転送出力することが可能になる。
次に、制御手段41のソフトウェア構成について説明する。芝刈情報生成手段51は、測位装置45からの芝刈り機20の位置情報と、刈高検出装置46からの刈高情報に基づき、どの時刻にどの地点で芝生をどの程度の高さに刈ったのかという芝刈情報を生成するもので、芝刈情報生成手段51で生成される芝刈情報は、時刻と少なくとも二次元の位置と芝生の刈高とを関連付けたデータとして、記憶手段42にその都度蓄積記憶される。
特に本実施形態の芝刈情報生成手段51は、操作部48からの測位開始の指示信号を受けて、測位装置45からの位置情報の取り込みを開始し、測位装置45が芝刈り機20の位置情報を送出するたびに、同時刻に補正情報受信部47で受信した補正情報を取り込んで、RTK測位による補正した芝刈り機20の位置情報を算出する。そして、この補正した芝刈り機20の位置情報と、刈高検出装置46から得られた同時刻での芝生の刈高とを関連付けたデータを、記憶手段42に芝刈情報として記憶させる。したがって芝刈情報生成手段51は、測位装置45が芝刈り機20の位置情報を送出する所定の時間間隔で、芝刈り機20の移動履歴となる各地点の位置情報と、芝刈り機20の各地点に対応した芝生の高さとなる刈高情報とを含んだ一連の芝刈情報を、記憶手段42に蓄積記憶させる構成を有する。その後、芝刈情報生成手段51は操作部48からの測位停止の指示信号を受けると、測位装置45からの位置情報の取り込みを停止し、それまでの芝刈情報の生成を終了する。
芝刈情報転送手段52は、記憶手段42に蓄積記憶された時系列の芝刈情報を、芝刈情報出力部49から制御手段41の外部に纏めて転送させるものである。芝刈情報転送手段52がどのタイミングで芝刈情報を転送させるのかについては、特に限定しない。例として、操作部48からの測位停止の指示信号を受けて、それまで記憶手段42に蓄積されていた芝刈情報の転送を開始させる。代わりに、前述の操作ボタンや操作スイッチとは別な第2操作ボタンを配設し、芝刈情報生成手段51が芝刈情報を生成しているか否かに拘わらず、オペレータが第2ボタンを操作したら、それまで記憶手段42に蓄積されていた芝刈情報の転送を開始させてもよい。
図4は、システム1の一部をなすセンターサーバ60の電気的構成を示したものである。同図において、センターサーバ60は、受信ユニット10と同様のハードウェア構成を有する制御手段61や記憶手段62の他に、制御手段61の入力側ポートに接続する芝刈情報入力部63や、制御手段61の入力側ポートおよび出力側ポートに接続する端末送受信部64を備えて構成される。制御手段61は、記憶手段62に予め記憶されたプログラムを読み取ることで、後述する芝生面情報作成手段66と、芝生面情報転送手段67として主に機能する構成となっている。
芝刈情報入力部63は、受信ユニット10の芝刈情報出力部49から出力された芝刈情報を受け入れるもので、例として芝刈情報を無線や有線で受信する受信部とすることができる。本実施形態のセンターサーバ60は、一乃至複数のゴルフ場で稼働する芝刈り機20にそれぞれ装着された受信ユニット10からの芝刈情報を、インターネットなどの通信ネットワークを介して一元的に受信し、記憶手段52に各々保存管理するセンター管理装置として機能する。
端末送受信部64は、ユーザーが保有するパソコンや、タブレット端末や、スマートフォンなどの端末71(図9を参照)からの指令を受けて、芝生面情報作成手段66で生成された芝生面情報を制御手段61の外部に出力するものである。例として端末送受信部64は、端末71との間で様々な情報やデータを無線や有線で送信および受信する端末送受信部とすることができる。
芝生面情報作成手段66は、芝刈り機20が移動する対象範囲となるゴルフ場の全体について、メッシュの標高データを取得し、この標高データと芝刈情報入力部63から取り込んだ芝刈情報に含まれる位置情報から、芝刈り機20が芝刈りを行なった芝生面の各地点における三次元(緯度,経度,標高)位置情報を生成するものである。芝生面情報作成手段66は三次元位置情報を生成するに際し、予め通信ネットワークに接続する地図情報管理サーバ(図示せず)にアクセスし、その地図情報管理サーバに記憶保存されている国土地理院の基盤地図情報の中から、対象範囲として設定されたゴルフコースの全体について、特に5mメッシュの標高データを取得し、その標高データを記憶手段62に記憶保持させている。
また芝生面情報作成手段66は、上述した三次元位置情報の他に、芝刈情報に含まれる刈高情報から、ゴルフ場の各コースにおける芝生面の高さの違いに応じた例えばラフS3やフェアウェイS2(図8を参照)などの複数の領域をそれぞれ識別し、こうした領域に関する特徴として、例えばフェアウェイS2の幅や輪郭、ラフS3とフェアウェイS2におけるそれぞれの芝生面の高さなどの領域関連情報を生成する機能をさらに備えている。
芝生面情報転送手段67は、端末71からの指令を受けて、芝生面情報作成手段66で生成された三次元位置情報や領域関連情報などの芝生面情報を、芝刈情報出力部49から指令を受けた端末71に転送させ、その端末71の表示手段72(図9を参照)に表示させる表示制御手段としての機能を有している。
図5は、ゴルフ場全体を撮影した空中写真と、そこに重ね合わせた標高データの一例を示したものである。図中、符号Xは空中写真で撮影されたゴルフ場であり、符号Yは、国土地理院の発行する基盤地図情報において、5mメッシュの標高データの取得可能領域を示している。この5mメッシュの標高データは、センターサーバ60の芝生面情報作成手段66が、通信ネットワークに接続する地図情報管理サーバにアクセスすることで取得可能である。なお、基盤地図情報には5mメッシュの他に10mメッシュの標高データも用意されているが、データが細かい5mメッシュの標高データを利用するのが好ましい。
芝生面情報作成手段66は、ゴルフ場Xの全体を含む太枠内全体の標高データを、前述の地図情報管理サーバから取得する。ここでは、「15/29021/12666」と、「15/29022/12666」と、「15/29021/12667」と、「15/29022/12667」の4つの二次元領域内について、5mメッシュの標高データの全てを取得し、この取得した標高データと、ゴルフ場Xで芝刈り機20が芝刈り作業を行ったときに生成された一連の芝刈情報に含まれる位置情報とを用いて、芝刈り機20が移動した緯度や経度だけでなく、標高を加味した芝生面の各地点における三次元位置情報を生成する。芝生面情報作成手段66で生成された三次元位置情報は、芝刈情報に含まれる刈高情報と関連付けて、記憶手段62に記憶保持される。
図6は、図5に示すゴルフ場Xの中で、特定のコースXh全体を拡大して示したものである。同図において、符号YLは5mメッシュの線を示している。芝生面情報作成手段66は、ゴルフ場Xの各コースXhについて、それぞれ5mメッシュの標高データを取得し、各コースXhの芝生を芝刈り機20が刈ったときの芝刈情報に含まれる二次元の位置情報に対して、標高を含めた三次元位置情報を作成して、これを刈高情報と共に記憶手段62に記憶させる。三次元位置情報は、芝刈り機20が移動したコースXhの全軌跡について、最小5m間隔の各地点での標高データが含まれており、必要に応じて芝生面情報転送手段67が端末71に三次元位置情報を転送することで、例えばこれからプレイするゴルフコースの主要な地点について、その地点の標高を地図情報に重ね合わせて端末71の表示手段72に表示させることができる。
図7は、コースXh内の特定の場所で、三次元位置情報に含まれる各地点Ypの標高を示している。同図において、各地点Ypに示す数字は、何れもその地点Ypの標高(単位:メートル)を示している。また図示しないが、各地点Ypの緯度と経度も、標高と共に三次元位置情報に含まれている。芝生面情報作成手段66は、記憶手段62から三次元位置情報を読み出すことにより、コースXh内のどの地点Ypであっても、任意の2つの地点Yp1、Yp2の標高差を三次元位置情報により算出できる。例えば一の地点Yp1と他の地点Yp2との間の標高差は、一の地点Yp1の標高である「16.71」メートルと、他の地点Yp2の標高である「18.53」メートルの差、すなわち18.53−16.71=1.82メートルと算出できる。また、三次元位置情報には緯度や経度の情報も含まれているので、芝生を敷いた地面が一の地点Yp1からどの方向にどのような標高差で傾いているのかを三次元位置情報から算出し、これを芝生面情報として芝生面情報転送手段67が端末71の表示手段72に表示させることもできる。
次に上記構成について、その作用を図8および図9を参照して詳しく説明する。先ず、図8に基づいてゴルフ場X内の特定のコースXh上での芝刈り機20の動作状態を説明する。同図において、実際のコースXhには、ティーグラウンドS1や、フェアウェイS2や、ラフS3や、バンカーS4や、グリーンS6や、林S7などが配置される。またここには図示しないが、コースXhに池が配置される場合もある。
ゴルフ場Xでは、主にティーグラウンドS1、フェアウェイS2、ラフS3、グリーンS6の各領域で、芝刈り機20による芝生(芝)の刈込みが行われる。芝生の刈込み頻度と刈高は領域ごとに異なり、例えばフェアウェイS2の領域で芝刈り機20が芝を刈り込む場合に設定される刈高H2は、ラフS3の領域で芝刈り機20が芝を刈り込む場合に設定される刈高H3よりも短い(H2<H3)。
フェアウェイS2では、フェアウェイS2用の刈高H2に設定した芝刈り機20で芝の刈込みを行なうと、操作部48からの測位開始の指示信号を受けて、受信ユニット10の芝刈情報生成手段51が測位装置45からの位置情報の取り込みを開始する。芝刈情報生成手段51は、測位装置45が所定の時間間隔で芝刈り機20の位置情報を送出するたびに、同時刻に補正情報受信部47で受信した補正情報を取り込んで、RTK測位による補正した正確な芝刈り機20の位置情報を算出する。そして、この補正した芝刈り機20の位置情報と、刈高検出装置46から得られたフェアウェイS2用に設定した芝生の刈高H2とを関連付けたデータを、記憶手段42に芝刈情報として蓄積記憶させて行く。こうしてフェアウェイS2の領域内に芝刈り機20を満遍なく走行させ、フェアウェイS2の全体で芝生を一定の刈高H2に刈り込んだら、芝刈情報生成手段51が操作部48からの測位停止の指示信号を受けて、測位装置45からの位置情報の取り込みを停止する。記憶手段42には、それまでフェアウェイS2の領域内で芝刈り機20が移動した全地点の芝刈情報が蓄積記憶される。
同様に、フェアウェイS2の周囲に配置されるラフS3についても、ラフS3用の刈高H3に設定した芝刈り機20で芝の刈込みが行われ、操作部48からの測位開始の指示信号を受けて、芝刈情報生成手段51が測位装置45からの位置情報の取り込みを開始する。芝刈情報生成手段51は、補正した芝刈り機20の位置情報と、刈高検出装置46から得られたラフS3用に設定した芝生の刈高H3とを関連付けたデータを、記憶手段42に芝刈情報として蓄積記憶させて行き、ラフS3の領域内に芝刈り機20を満遍なく走行させ、ラフS3の全体で芝生を一定の刈高H3に刈り込んだら、操作部48からの測位停止の指示信号を受けて、測位装置45からの位置情報の取り込みを停止する。これにより記憶手段42には、それまでラフS3の領域内で芝刈り機20が移動した全地点の芝刈情報が蓄積記憶される。
その他、ティーグラウンドS1やグリーンS6での芝の刈込みについても、同様の手順で記憶手段42に芝刈情報を直積記憶できる。芝刈情報転送手段52は、一つのコースXhについて、記憶手段42に蓄積記憶されたティーグラウンドS1や、フェアウェイS2や、ラフS3や、グリーンS6における一連の芝刈情報を、操作部48からの芝刈情報の転送指示信号を受けて、受信ユニット10の芝刈情報出力部49からセンターサーバ60の芝刈情報入力部63に転送する。転送された芝刈情報は、芝生面情報作成手段66がセンターサーバ60側で様々な芝生面情報を生成するために、センターサーバ60の記憶手段62に記憶保持される。
図9は、端末71の表示手段72に表示されるコース画面73の一例を示している。同図において、センターサーバ60の芝生面情報転送手段67は、端末71に組み込まれたマイコンによる制御部と連携して、ゴルフ場Xの中の平面的なコースXhのレイアウト図74や、そのレイアウト図74における一つの代表的な断面を示す切断図75を配置したコース画面73を、ユーザーが保有する端末71の表示手段72に表示させる。レイアウト図74には、コースXh内の主な対象物となるティーグランドS1、フェアウェイS2、ラフS3、バンカーS4、グリーンS6、林S7の各領域が、それぞれ区別して視認できるように配置される。
芝生面情報転送手段67は、レイアウト図74における各領域の輪郭を、芝生面情報作成手段66が生成した領域関連情報から決定して、端末71の表示手段72に表示させている。例えば図9に示すフェアウェイS2の外周縁となる輪郭S2Rは、芝生面情報作成手段66が記憶手段62に記憶保持されているコースXhについての一連の芝刈情報の中で、フェアウェイS2用に設定された刈高H2の刈高情報を含む芝刈情報を抽出し、その芝刈情報に含まれる位置情報や、5mメッシュの標高データを加味した三次元位置情報から、フェアウェイS2とされる全地点を特定して、フェアウェイS2がコースXh内のどの領域にあるのかを認識する。そして、認識したフェアウェイS2の領域から、フェアウェイS2の輪郭S2Rとなる領域関連情報を生成し、これを芝生面情報転送手段67により端末71に転送することで、コース画面73のレイアウト図74中に、芝刈り作業に基づく最新のフェアウェイS2の輪郭S2Rを表示させている。その他の芝刈り作業を行なったティーグラウンドS1や、ラフS3や、グリーンS6の各領域についても、同様の手順で、コース画面73のレイアウト図74中に、最新の輪郭を表示させることができる。
また図8に示すように、コースXh内のバンカーS4には芝が生えておらず、林S7には複数本の木が立ち並んでいて、何れも芝刈り機20を入れることができない。したがって、記憶手段62に記憶された一連の芝刈情報には、バンカーS4や林S7の各領域に対応した芝刈情報を含んでいない。そこで芝生面情報作成手段66は、コースXhとされる領域内で、芝刈情報が存在しない地点に対応した領域から、例えばその領域が閾値よりも小さい場合にはバンカーS4であると判断し、閾値よりも大きい場合には林S7であると判断して、バンカーS4や林S7の輪郭となる領域関連情報を生成する。こうした領域関連情報が、芝生面情報転送手段67により端末71に転送されると、コース画面73のレイアウト図74中に、最新のバンカーS4や林S7の輪郭を表示させることができる。したがって本実施形態では、芝刈り機20が芝刈り作業を行なうのに伴い、受信ユニット10から一連の芝刈り情報が送出されるたびに、ホールXhの最新のレイアウト図54が、コース画面73で端末71の表示手段72に表示される。
さらに芝生面情報作成手段66は、コースXh内の各領域の輪郭だけでなく、各領域の幅を領域関連情報として生成してもよい。こうした領域関連情報が、芝生面情報転送手段67により端末71に転送されると、コース画面73のレイアウト図74中に、例えばフェアウェイS2の任意の地点における一端から他端までの幅を表示させることができる。
芝生面情報転送手段67は、芝生面情報作成手段66が生成した三次元位置情報に基づいて、レイアウト図74と共に切断図75を端末71の表示手段72に表示させている。例えば図9に示す切断図75は、芝生面情報作成手段66が予め設定した一の地点と他の地点とを結ぶ線上の各地点について、記憶手段62に記憶保持されているコースXhについての一連の芝刈情報の中から、各地点の位置情報を含んだ芝刈情報を抽出し、その位置情報と記憶手段62に記憶された標高データから、各地点の三次元位置情報を生成する。これを芝生面情報転送手段67により端末71に転送することで、コース画面73に、一の地点から他の地点に至る地面の高さを図示した断面図75を表示させている。
好ましくは、一の地点と他の地点とを結ぶ線をレイアウト図74に表示させることで、レイアウト図74上でどの断面を断面図74として表示させるのかを、ユーザーに直感的に認識させることができる。また、表示手段72の表面に操作手段として透明なタッチパネル(図示せず)が設けられている場合、タッチパネルへのタッチ操作により、レイアウト図74に表示される設定した一の地点や他の地点を、タッチした別な位置に変更できるように構成してもよい。端末71への操作で一の地点や他の地点の位置を簡単に設定変更できれば、ユーザーが希望する断面の断面図75を、何時でもコース画面73を介して視認できる。
さらに、ここには図示しないが、芝刈情報に含まれる刈高情報を利用して、一の地点と他の地点とを結ぶ線上の各地点における芝生面の高さを、領域関連情報として芝生面情報作成手段66で作成し、この領域関連情報を芝生面情報転送手段67により端末71に転送することで、コース画面73に切断図75に沿った各地点の芝生の刈高を数字などで表示させてもよい。端末71の操作部への操作により、レイアウト図74における一の地点や他の地点を変更することで、例えばフェアウェイS2やラフS3における芝生面の高さがどの程度なのかを、ユーザーが何時でもコース画面73を介して視認できる。
以上のように、本実施形態のシステム1は、対象範囲であるゴルフ場XのコースXhを移動する芝刈り機20に取り付けられ、芝刈り機20の移動履歴となるコースXh上の芝生面における各地点の位置情報を含んだ一連の芝刈情報を送出する芝刈情報送出手段としての受信ユニット10と、ゴルフ場XのコースXhの全体についてメッシュの標高データを取得し、当該標高データと芝刈情報に含まれる位置情報から、芝生面の各地点における緯度,経度,標高による三次元位置情報を生成する芝生面情報生成手段66と、芝生面情報生成手段66で生成された三次元位置情報を、例えば端末71の表示手段72に表示させる表示制御手段としての芝生面情報転送手段67と、を備えている。
この場合、対象範囲となるコースXh内を移動する芝刈り機20が芝刈り作業を行なった芝生面の各地点について、少なくとも二次元の位置情報を含んだ一連の芝刈情報を受信ユニット10から出力すると、芝生面情報生成手段は対象範囲の全体について取得したメッシュの標高データを利用して、芝刈情報に含まれる位置情報から、緯度や経度だけでなく標高を加味した芝生面の各地点における三次元位置情報を生成し、その三次元位置情報を例えばユーザーが保有する端末71などの表示手段72に表示させる。したがって、ユーザーが知りたい芝刈り機20で刈り終えた芝生面の正確な三次元位置情報を、表示手段72に表示させることが可能になる。
また本実施形態では、芝刈り機20が芝生面をどの程度の高さに刈るのかを検出して、その検出結果を刈高情報として出力する刈高検出手段となる刈高検出装置46をさらに備え、芝刈情報送出手段となる受信ユニット10は、芝生面の各地点の位置情報と、刈高検出装置46で検出された芝生面の各地点での刈高情報とを関連付けて、一連の芝刈情報を送出する構成とし、芝生面情報生成手段66は、芝刈情報に含まれる刈高情報から、対象範囲となるコースXh内における芝生面の高さの違いに応じた複数の領域を識別し、領域に関する特徴を領域関連情報として生成する構成とし、表示制御手段となる芝生面情報転送手段67は、芝生面情報生成手段66で生成された領域関連情報を、例えば端末71の表示手段72に表示させる構成となっている。
この場合、受信ユニット10から出力される一連の芝刈情報には、ホールXhの各地点における芝生面の高さとなる刈高情報が含まれており、この刈高情報を利用して、芝生面情報生成手段66が芝生面の高さの違いに応じて識別された領域の特徴として、例えばフェアウェイS2の幅および輪郭、ラフS3やフェアウェイS2における芝生面の高さなどの領域関連情報を生成すると、その領域関連情報を例えばユーザーが保有する端末71などの表示手段72に表示させる。したがって、ユーザーが知りたい芝刈り機20で刈り終えた芝生面のラフS3やフェアウェイS2などの各領域に関係した様々な情報を、表示手段72に表示させることが可能になる。
以上、本発明の好ましい一実施形態について説明したが、本発明は当該実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更実施が可能である。本実施形態における制御手段61や記憶手段62の構成の一部または全てを、センターサーバ60以外の機器(例えば端末71)に配設してもよい。この場合、機器と芝刈情報送出手段となる受信システム10は、有線や無線の通信手段で相互に接続される。