JP2021028567A - バーナ - Google Patents
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Abstract
Description
このように、自励振動によって火炎を振動させるバーナにおいて、中心流体噴出口及びその周囲の第1周囲流体噴出口に加え、さらに、最適化された位置で第2周囲流体噴出口及び第3周囲流体噴出口が設けられていることで、中心流体と周囲流体とを段階的に混合及び燃焼させることができる。これにより、第1〜3周囲流噴出口から噴出させる各周囲流体の流量及び流速を最適なバランスに調整できる。
従って、被加熱物を加熱する際、NOXの排出量を抑制することが可能になる。
以下、本発明に係るバーナの構成及び燃焼方法について詳述する。
図1〜図4は、本発明の一実施形態であるバーナ1の構造を説明する図であり、図1は中心流体噴出口と各周囲流体噴出口との位置関係の一例を示す平面図、図2は図1中に示したE−E断面図(横断面図)である。また、図3は、本発明の一実施形態であるバーナ1における流体の噴出方向の変動状態を示す概念図である。また、図4は、バーナ1と被加熱体50との位置関係の一例を示す概略図である。なお、図1〜図4(及び、実施例の欄で説明する図5)においては、各流体噴出口及び開口部等の配置関係やサイズを示すための模式図であることから、ノズルとしての管壁等、詳細な部分の図示を一部省略している。
中心流体噴出口2の上流側における流体噴出流路6の側壁61には、それぞれ対向する位置で一対の開口部62a,62bが設けられているとともに、これら一対の開口部62a,62b同士が連通管7で連通されている。
また、バーナ1は、流体噴出流路6における開口部62a,62bよりも下流側が、開口部62a,62bが配置された一対の側壁63,63の間隔が下流側に向かって漸次拡開する断面扇形状とされている。
第1周囲流体噴出口3は、平面視で中心流体噴出口2の周囲に配置されている。
また、第2周囲流体噴出口4は、平面視における中心流体噴出口2からの位置が、第1周囲流体噴出口3よりも離間した位置で、且つ、中心流体噴出口2の拡開方向と直交する方向の位置に配置されている。
そして、第3周囲流体噴出口5は、平面視における中心流体噴出口2からの位置が、第2周囲流体噴出口4よりも離間した位置で、且つ、中心流体噴出口2の拡開方向と直交する方向の位置に配置されている。
また、第1周囲流体噴出口3には図示略の周囲流体供給管路が接続され、支燃性ガス又は燃料ガスの何れかが導入されることで、何れかのガスを噴出させる開口部(ノズル)として構成される。
第1周囲流体噴出口3を、中心流体噴出口2に対して上記のような配置関係となるように構成することで、燃料ガスを噴出する位置と実質的に隣接した位置から支燃性ガスを噴出させることができる。
一方、本実施形態では、図1中に示すように、中心流体噴出口2の相当径をL、中心流体噴出口2から第2周囲流体噴出口4までの中心間距離をLB、第2周囲流体噴出口4から第3周囲流体噴出口5までの中心間距離をLB−Cとしたとき、これらの関係が下記式(1)及び(2)を満たすことがより好ましい。
LB≦15L ・・・・・(1)
LB−C≦15L ・・・・・(2)
次に、上記構成を備えた本実施形態のバーナ1を燃焼させる方法について説明する。
本実施形態のバーナ1は、詳細な図示を省略するが、基本的には、中心流体噴出口2から噴出される中心流体Dを燃料ガスとし、第1周囲流体噴出口3、第2周囲流体噴出口4及び第3周囲流体噴出口5から噴出される周囲流体A,B,Cを支燃性ガスとすることで、燃料ガス(中心流体D)の噴出方向で火炎を形成することができる。
また、支燃性ガスとしては、例えば、酸素と空気との混合ガスを例示できる。このような混合ガスとしては、上記の空気の代わりに、例えば、窒素ガス、炭酸ガス又は排ガス等を用い、これを酸素と混合して用いることも可能である。また、上記の混合ガスに用いる酸素としては、工業用純酸素を用いてもよい。
上記のように、燃料ガスからなる中心流体Dに向けて、支燃性ガスからなる周囲流体A,B,Cが順次噴出されることで、燃焼効率が向上し、NOXの排出量を効果的に抑制できる。また、火炎による伝熱効率が向上し、被加熱物50(図4参照)を均一に加熱することが可能になる。
本発明に係る加熱方法は、上記構成を備えた本発明に係るバーナ1を用い、被加熱物50を加熱する方法である。
本実施形態の加熱方法は、上記構成とされたバーナ1を用いて被加熱物を加熱する方法なので、自励振動で振動する火炎によって被加熱物を加熱する際、NOXの排出量を抑制し、且つ、バーナ1の中心軸Jから離れた位置であっても均一に広域で加熱できる方法である。
QA=0.05〜0.20 ・・・・・(3)
QB=0.20〜0.80 ・・・・・(4)
QC=0.20〜0.80 ・・・・・(5)
V≦VB≦VC≦8V ・・・・・(6)
以上説明したように、本実施形態のバーナ1によれば、中心流体Dを噴出させる中心流体噴出口2、その周囲に配置され、周囲流体Aを噴出させる第1周囲流体噴出口3、この第1周囲流体噴出口3よりも中心流体噴出口2から離間し、且つ、中心流体噴出口2の拡開方向と直交する方向の位置に配置され、周囲流体Bを噴出させる第2周囲流体噴出口4、及び、この第2周囲流体噴出口4よりも中心流体噴出口2から離間し、且つ、中心流体噴出口2の拡開方向と直交する方向の位置に配置され、周囲流体Cを噴出させる第3周囲流体噴出口3からなり、中心流体Dを包み込むように周囲流体Aが噴出され、さらに、周囲流体B及び周囲流体Cが噴出されることで、中心流体Dに向けて周囲流体A,B,Cが順次噴出される複数の流体噴出口を備えた構成を採用している。
このように、自励振動によって火炎を振動させるバーナ1において、中心流体噴出口2及びその周囲の第1周囲流体噴出口3に加え、さらに、最適化された位置で第2周囲流体噴出口4及び第3周囲流体噴出口5が設けられていることで、中心流体Dと周囲流体A,B,Cとを段階的に混合及び燃焼させることができる。これにより、第1〜3周囲流噴出口3,4,5から噴出させる各周囲流体A,B,Cの流量及び流速を最適なバランスに調整できるので、良好な燃焼状態を保持し、且つ伝熱効率が高められる。また、自励振動による火炎の振動を速くした場合でも、形成させる火炎の長さを確保することができる。
従って、被加熱物50を加熱する際、NOXの排出量を抑制し、且つ、バーナ1の中心軸Jから離れた位置であっても均一に広域で加熱することが可能になる。
本実施例においては、図1〜図4に示すような構成とされたバーナ1を準備し、以下に示す各条件で燃焼・加熱試験を行った。
本実施例においては、図2中に示した、バーナ1の中心流体噴出口2の開口角度αを30°としたものを用いた。また、本実施例では、図4中に示した、中心流体噴出口2から第2周囲流体噴出口3までの中心間距離LB、第2周囲流体噴出口3から第3周囲流体噴出口4までの中心間距離LB−Cが、下記表1に示す値とされたバーナ1を使用した。
また、バーナ運転条件としては、燃料ガス(プロパンガス)の流量を13Nm3/h、支燃性ガスの流量を170Nm3/hとし、酸素比1.05で燃焼させた。なお、この酸素比とは、燃料ガスが完全燃焼するのに必要な酸素量を1とした場合の、酸素の割合をいう。
また、中心流体噴出口2における、自励振動による燃料ガスの振動周期は1秒とした。
本実施例においては、火炎の振動方向Rに直交する方向、即ち、中心流体噴出口2の拡開方向に直交する方向への対流伝熱効率について、図4及び図5中に示す被加熱物50の代替物として抜熱体を用い、この抜熱体の表面温度を測定することで評価した。
また、本実施例においては、第1〜3周囲流体噴出口3,4,5から噴出させる周囲流体A,B,Cの総流量に対する各々の割合QA,QB,QC、並びに、中心流体噴出口2から噴出させる中心流体Dの流速V、第2周囲流体噴出口4及び第3周囲流体噴出口5から噴出させる周囲流体B,Cの流速VB,VCを、下記表1に示す条件とした。
なお、下記表1中に示した燃焼状態の評価において、「○」は良好な燃焼状態であることを示し、「×」は不良な燃焼状態 (不完全燃焼気味で煤の形成が多い) ことを示している。
さらに、本実施例では、バーナ面−測定面の距離を変化させて測定する試験を実施し、バーナの軸方向への対流伝熱効率について評価し、発明例及び比較例1,2,参考例6,7におけるバーナ面からの距離と伝熱量との関係を図6のグラフに示した。
図6のグラフに示すように、発明例においては、当該グラフ中に示す全ての条件の中で、最も高い伝熱効率を示している。これは、中心流体噴出口2から噴出した燃料ガスが、第2周囲流体噴出口4から噴出した支燃性ガスと混合することで火炎が高温化し、残りの燃料ガスが、さらに第3周囲流体噴出口5から噴出した支燃性ガスと混合することで火炎が高温化することで、抜熱体に近い位置に高温火炎を形成でき、輻射伝熱効率が増加したものと考えられる。
また、表1中に示す結果より、発明例においては、排出されるNOXの濃度も低水準であることがわかる。これは、支燃性ガスを、燃料ガスに対して遠方から高速で吹き込むことにより、燃料ガスが段階的に燃焼することで緩慢燃焼化し、NOXの発生量が抑えられる、所謂ステージング燃焼による効果と考えられる。
図6のグラフ及び表1中に示すように、比較例1においては、上記の発明例と比較して、伝熱効率が低く、また、NOX濃度が高い結果となった。
図6のグラフに示すように、比較例2においては、比較例1に比べて伝熱効率は高められているものの、上記の発明例には及ばないことがわかる。これは、比較例2においては、高温の火炎が形成されているものの、火炎と抜熱体との距離が大きめであるため、十分に輻射伝熱が増加しなかったためと考えられる。また、表1中に示すように、比較例2においては、NOX濃度が比較的高い結果となった。
比較例3においては、バーナを設置した試験炉内に大量の煤が形成される様子が確認され、表1中に示すように燃焼状態が不良であった。これは、中心流体噴出口2から噴出した燃料ガスが、第3周囲流体噴出口5から噴出する支燃性ガスと十分に混合されず、結果として不完全燃焼が生じたものと考えられる。
比較例4においては、比較例3と同様に、バーナを設置した試験炉内に大量の煤が形成する様子が確認され、表1中に示すように燃焼状態が不良であった。この理由は、比較例3の場合と同様と考えられる。また比較例4では、保炎が不十分であり、時々火炎が吹き飛ぶ様子も確認された。
参較例6においては、燃焼状態に問題はなかったものの、NOX濃度が高く、また、図6のグラフに示すように、上記の比較例2程度には伝熱効率が高められていたものの、それ以上にはならなかった。これは、第2周囲流体噴出口4から噴出する支燃性ガスの流速VBが、第3周囲流体噴出口5から噴出する支燃性ガスの流速VCに比べて速すぎるために、残りの燃料ガスと、第3周囲流体噴出口5から噴出する支燃性ガスとが十分に混合されなかったためと考えられる。
参較例7においては、燃焼状態に問題はなく、また、NOX濃度も抑制されていたものの、図6のグラフに示すように、上記の比較例1、即ち従来の条件のバーナを用いた場合と比較して伝熱効率が低下する結果となった。これは、第3周囲流体噴出口5から噴出する支燃性ガスの流速VCが速すぎるために、対流伝熱による寄与が大きくなり、また、高温の火炎を形成させる前に支燃性ガスが抜熱体に衝突してしまい、逆に抜熱体から熱を奪う作用が大きくなったためと考えられる。
2…中心流体噴出口
3…第1周囲流体噴出口
4…第2周囲流体噴出口
5…第3周囲流体噴出口
6…流体噴出流路
6a…導入口
61…(一対の)側壁
62a,62b…(一対の)開口部
63…(一対の)側壁
63a…一面
63b…他面
64…(角筒型の)流路
7…連通管
50…被加熱物
D…中央流体(燃料ガス)
A,B,C…周囲流体(支燃性ガス)
J…中心軸(中心流体噴出口における流体の噴出方向)
S…中心線(中心流体噴出口の拡開方向に直交する中心線)
L…中心流体噴出口の相当径
LB…中心流体噴出口から第2周囲流体噴出口までの中心間距離
LB−C…第2周囲流体噴出口から第3周囲流体噴出口までの中心間距離
QA,QB,QC…周囲流体の総流量に対する各周囲流体の割合
V,VB,VC…流速(中心流体又は周囲流体)
Claims (1)
- 先端部に設けられた複数の流体噴出口の各々から酸素を含む支燃性ガス又は燃料ガスの少なくとも何れかを噴出し、これらを燃焼させるバーナであって、
前記複数の流体噴出口は、中心流体Dを噴出させる中心流体噴出口、周囲流体Aを噴出させる第1周囲流体噴出口、周囲流体Bを噴出させる第2周囲流体噴出口及び周囲流体Cを噴出させる第3周囲流体噴出口からなり、且つ、前記中心流体Dを包み込むように前記周囲流体Aが噴出され、さらに、前記周囲流体B及び前記周囲流体Cが噴出されることで、前記中心流体Dに向けて前記周囲流体A,B,Cが順次噴出されるものであり、
前記中心流体噴出口の上流側における流体噴出流路の側壁には、それぞれ対向する位置で一対の開口部が設けられているとともに、該一対の開口部同士が連通管で連通されており、
前記流体噴出流路における前記開口部よりも下流側は、前記開口部が配置された一対の側壁の間隔が下流側に向かって漸次拡開する断面扇形状とされており、
前記第1周囲流体噴出口は、平面視で前記中心流体噴出口の周囲に配置されており、
前記第2周囲流体噴出口は、平面視における前記中心流体噴出口からの位置が、前記第1周囲流体噴出口よりも離間した位置で、且つ、前記中心流体噴出口の拡開方向と直交する方向の位置に配置されており、
前記第3周囲流体噴出口は、平面視における前記中心流体噴出口からの位置が、前記第2周囲流体噴出口よりも離間した位置で、且つ、前記中心流体噴出口の拡開方向と直交する方向の位置に配置されていることを特徴とするバーナ。
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JP2005113200A (ja) * | 2003-10-07 | 2005-04-28 | Taiyo Nippon Sanso Corp | バーナー又はランスのノズル構造及び金属の溶解・精錬方法 |
JP2008513721A (ja) * | 2004-09-15 | 2008-05-01 | エージーエー エービー | 燃焼に関する方法およびバーナ |
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