JP5801675B2 - バーナおよびバーナ燃焼方法 - Google Patents

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Description

本発明は、バーナおよびバーナ燃焼方法に関するものである。
一般に、鉄鋼用加熱炉やガラス溶解炉等の工業用の高温加熱プロセスでは、炉内下部にビレットや溶融ガラスなどの被加熱物があり、その上部空間に火炎が作られ、火炎からの熱放射によって加熱あるいは溶解する構造になっている。
そのためバーナの火炎には、熱放射の強い火炎であることとともに、被加熱物を均一に加熱できるような火炎であることが求められている。
熱放射の強い火炎を作る方法として、特許文献1には、中央部の燃料ノズルから燃料流れを噴出し、それと同時に燃料ノズルを取り囲む環状酸素ノズルから酸素流れを噴出する構造のバーナを用いる方法が開示されている。
この方法は、ノズルからの燃料流れと酸素流れの噴出速度を遅くすることで、燃料と酸素の混合を遅くし、火炎軸方向に大きな火炎を作ることで、火炎からの熱放射を高めている。
また、特許文献2には、横方向に偏平な火炎を作ることにより、被加熱物から見て火炎の面積を大きくして、熱放射を高めるようにしたバーナを用いる方法が開示されている。
また、特許文献3には、複数のノズルから燃料流れと酸化剤流れを別々に噴射することにより、横方向に偏平な火炎を作り、被加熱物から見て火炎の面積を大きくすることで熱放射を高めたバーナを用いる方法が開示されている。
このバーナは、複数の燃料ノズルと酸化剤ノズルを有し、複数の燃料ノズルから噴射した燃料流れでシート状の燃料流を作り、複数の酸化剤ノズルから噴射されたシート状の酸化剤流れを、この燃料流に当てることで扁平な火炎を形成することができる。
また、特許文献4、5には、燃料ノズルの上下から酸化剤流れを角度を付けて噴射し、バーナから離れた1点で、酸化剤流れを燃料流れの上下両方から同時に衝突させて燃焼させることにより、横方向に偏平な火炎を形成させるバーナが開示されている。
このバーナでは、酸化剤の噴出角度を大きくすることで、より偏平な火炎が形成され、熱放射が大きくなることが示されている。
特開平3−186111号公報 特開平7−4623号公報 特開平9−112814号公報 特開2000−161614号公報 特開2000−161615号公報
しかしながら、特許文献1に記載された方法では、流速を遅くすることで火炎の推進力が弱まり火炎が浮き上がるため、熱放射は大きくない。また、火炎の浮き上がりが炉天井部を損傷する原因にもなるため、熱放射を高めるには限界がある。
また、特許文献2に記載された方法では、燃料と酸素の接触面積が大きく、燃料と酸素の混合が良いため、火炎長が短くなるという問題がある。
また、特許文献3に記載された方法では、バーナが、複数のノズルから燃料流れと酸化剤流れを噴射する構造のため、一本当たりから噴射される燃料と酸化剤の量が少なく、運動量が低下して火炎長が短くなり、バーナから離れた位置での熱放射が小さくなるという問題がある。
また、特許文献4、5に記載された方法では、火炎が短くなり、バーナから離れた位置での熱放射が弱くなるという問題がある。
また、燃料流れと酸化剤流れの衝突点をバーナから離れた位置にすることで、離れた位置で偏平な火炎を形成できるとしているが、離れた位置で衝突させた場合、酸化剤流れの運動量が小さくくなり、偏平な火炎が形成できない。
さらに、衝突するまでに、酸化剤流れおよび燃料流れともに多くの炉内ガスを巻き込むため緩慢に燃焼するようになり、火炎温度が低くなるので熱放射が弱くなるという問題もある。
上述のように、従来のバーナでは、火炎の偏平化などの方法により熱放射を大きくする工夫がなされていたが、火炎長が短くなるためバーナから離れたところの熱放射は小さくなるといった問題があった。
また、火炎の偏平化にも限界があり、広い範囲を一本のバーナで均一に加熱することができないといった問題があった。
上記課題を解決するため、請求項1に係る発明は、酸化剤流れと燃料流れとを供給して燃焼させるバーナであって、前記酸化剤流れは、前記燃料流れの周囲または近傍から噴出する1次酸化剤流れと、前記燃料流れを中心とした対称な位置から噴出する複数の2次酸化剤流れとからなり、前記燃料流れ、前記1次酸化剤流れ、および前記2次酸化剤流れの各流れを形成する流体噴出流路のうち、少なくとも1つが、該流れの噴出口に向かって拡がるように形成され、側壁において対向する位置に2つの開口部が設けられており、前記開口部には、圧力を制御する圧力制御機構が設けられており、前記圧力制御機構によって、一方の開口部の圧力が静圧より低い圧力のときに、他方の開口部の圧力が静圧より高い圧力に制御されることにより、前記噴出口から噴出される前記流れの噴出方向が、該流れ以外の流れ側又はその反対側に変化することを特徴とするバーナである。
また、請求項2に係る発明は、前記圧力制御機構が、2つの前記開口部を接続する連通管からなることを特徴とする請求項1に記載のバーナである。
また、請求項3に係る発明は、前記連通管に調節弁が設けられていることを特徴とする請求項2に記載のバーナである。
また、請求項4に係る発明は、前記流れの噴出口に向かって拡がって形成された前記流体噴出流路の開き角が90°以下であることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載のバーナである。
また、請求項5に係る発明は、請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載のバーナを用いたバーナ燃焼方法であって、前記1次酸化剤流れに含まれる酸素の流量と前記2次酸化剤流れに含まれる酸素の流量の合計量に対する前記1次酸化剤流れに含まれる酸素の流量の比率が、10%以上70%以下であることを特徴とするバーナ燃焼方法である。
また、請求項6に係る発明は、前記燃料流れ、前記1次酸化剤流れ、および前記2次酸化剤流れの各流れを形成する前記流体噴出流路のうち、少なくとも1つについて、前記圧力制御機構によって、2つの前記開口部の圧力を静圧より低い圧力から高い圧力の範囲で周期的に変化させることを特徴とする請求項5に記載のバーナ燃焼方法である。
また、請求項7に係る発明は、前記燃料流れ、または前記1次酸化剤流れを形成する前記流体噴出流路について、前記圧力制御機構によって、2つの前記開口部の圧力を静圧より低い圧力から高い圧力の範囲で周期的に変化させることを特徴とする請求項5に記載のバーナ燃焼方法である。
また、請求項8に係る発明は、前記2次酸化剤流れの流速が20m/s以上であることを特徴とする請求項5ないし請求項7のいずれか1項に記載のバーナ燃焼方法である。
また、請求項9に係る発明は、前記開口部の圧力の周期的な変化の周波数が、0.003Hz以上20Hz以下であることを特徴とする請求項6ないし請求項8のいずれか1項に記載のバーナ燃焼方法である。
本発明のバーナは、圧力制御機構が設けられていることから、バーナを回転させたり、振動させたりするための大掛かりな機械的駆動装置を使用することなく、火炎を周期的に揺動させることができ、一本のバーナで広い範囲を均一に加熱することができる。
図1は、本発明の第1の実施形態のバーナの概略を示す平面図である。 図2は、本発明の第1の実施形態のバーナに用いられるノズルの噴出口を拡大して示す図であり、図2(a)は側面図で、図2(b)は平面図である。 図3(a)及び図3(b)は、本発明の各ノズルによる各流れの噴出方向の変動の様子を示す概念図である。 図4は、本発明の各ノズルに用いられる圧力制御機構の一例を示す図である。 図5(a)及び図5(b)は、本発明の第1の実施形態のバーナ燃焼方法を示す側面図である。 図6は、本発明の第2の実施形態のバーナの概略を示す平面図である。 図7(a)及び図7(b)は、本発明の第2の実施形態のバーナ燃焼方法を示す側面図である。 図8は、本発明の第3の実施形態であるバーナの概略を示す平面図である。 図9(a)及び図9(b)は、本発明の第3の実施形態であるバーナ燃焼方法を示す側面図である。 図10(a)ないし図10(d)は、本発明の第4の実施形態であるバーナ燃焼方法を示す側面図である。 図11(a)ないし(e)は、本発明の燃料ノズルおよび1次酸化剤ノズルの配置される位置関係についての一実施形態を示す平面図である。 図12(a)及び図12(b)は、本発明の一実施例における放射熱流束を示すグラフである。 図13は、本発明の一実施例における周波数とNO排出量の関係を示すグラフである。 図14は、本発明の一実施例における周波数とNO排出量の関係を示すグラフである。 図15は、本発明の一実施例における周波数とNO排出量の関係を示すグラフである。 図16(a)及び図16(b)は、本発明の一実施例における放射熱流束を示すグラフである。 図17は、本発明の一実施例における周波数とNO排出量の関係を示すグラフである。 図18(a)及び図18(b)は、本発明の一実施例における放射熱流束を示すグラフである。 図19は、本発明の一実施例における周波数とNO排出量の関係を示すグラフである。
以下、本発明の実施形態であるバーナおよびバーナ燃焼方法について、図面を参照して説明する。なお、以下の説明で用いる図面は、特徴を分かり易くするために、便宜上特徴となる部分を拡大して示している場合があり、各構成要素の寸法比率が実際と同じであるとは限らない。
[第1の実施形態]
<バーナ>
図1は、本発明の第1の実施形態であるバーナ1を示す図である。
図1に示すように、バーナ1は、燃料流れを噴出する燃料ノズル2と、1次酸化剤流れを噴出する1次酸化剤ノズル3と、2次酸化剤流れを噴出する2次酸化剤ノズル4から概略構成されている。
燃料ノズル2、1次酸化剤ノズル3、および2次酸化剤ノズル4内には、それぞれ燃料流れ、1次酸化剤流れ、および2次酸化剤流れを形成する流体噴出流路が形成されている。
1次酸化剤ノズル3は、燃料ノズル2の周囲または近傍に設けられている。ここで、周囲または近傍に設けられているとは、1次酸化剤ノズル3と燃料ノズル2が、所望の距離内に配置されていることをいい、1次酸化剤ノズル3が、実質的に燃料ノズル2と隣接した位置に配置されていることをいう。
このように構成することで、燃料流れを噴出する位置と、実質的に隣接した位置から1次酸化剤流れを噴出することができる。
また、燃料ノズル2は、1次酸化剤ノズル3の内側において、1次酸化剤ノズル3と同軸上に配置されている。
具体的には、燃料ノズル2は円筒状に形成されており、1次酸化剤ノズル3は、燃料ノズル2の外周を囲むように形成されている。すなわち、1次酸化剤ノズル3は、断面形状が所定幅を有したリング状(ドーナツ状)に形成されており、燃料ノズル2は、リング状に形成された1次酸化剤ノズル3の内周内に配置されている。
もっとも、燃料ノズル2と1次酸化剤ノズル3の配置位置については、上記形態に限定されず、また1次酸化剤ノズル3の断面形状もリング状である必要はなく、1次酸化剤ノズル3が、燃料ノズル2の周囲または近傍に配置されていればよい。
2次酸化剤ノズル4は、燃料ノズル2を軸中心とした、対称な位置に複数配置されている。したがって、2次酸化剤ノズル4を2つ用いた場合は、平面視した際に、2次酸化剤ノズル4は、燃料ノズル2に対して点対称な位置に配置されている。
この対象な位置に配置された2つの2次酸化剤ノズル4の間の距離hは、燃料流れや、1次酸化剤流れや、2次酸化剤流れの流速などを勘案して、適宜決めればよい。
なお、図1においては、2次酸化剤ノズル4を2つ配置する場合について描かれているが、これに限定されず、3つ以上でも構わない。3つ以上の場合は、平面視した際に、各2次酸化剤ノズル4を頂点とする図形の重心の位置に、燃料ノズル2が配置されるようにすればよい。
また、燃料ノズル2、1次酸化剤ノズル3、および2次酸化剤ノズル4のうち、少なくとも1つには圧力制御機構5が設けられている。
なお、以下の説明では、便宜上2次酸化剤ノズル4に圧力制御機構5が設けられている例について説明するが、圧力制御機構5は、燃料ノズル2や1次酸化剤ノズル3に設けられていても構わない。
圧力制御機構5が設けられた2次酸化剤ノズル4は、図2(a)及び図2(b)に示すように、2次酸化剤流れの噴出口6に向かって、径が拡がるように形成されている。言い換えれば、2次酸化剤ノズル4内に形成される流体噴出流路も、2次酸化剤流れの噴出口6に向かって拡がるように形成されている。
また、2次酸化剤ノズル4の側壁7には、対向する位置に2つの開口部8,9が設けられている。
そして、各開口部8,9には、2次酸化剤ノズル4内を流れる流体の開口部8,9付近の圧力を制御する圧力制御機構5が設けられている。この圧力制御機構5は、圧力調整装置10と、圧力調整装置10と各開口部8,9を結ぶ配管11とからなる。
圧力制御機構5により、一方の開口部8の圧力が静圧より低い圧力に制御されるときには、他方の開口部9の圧力が静圧よりも高い圧力になるように制御され、2つの開口部8,9の圧力を交互に反転させるように構成されている。
そして、2つの開口部8,9の圧力を交互に反転させることで、本実施形態では、2次酸化剤流れの噴出方向を周期的に変化させることができる。
詳しく説明すると、圧力制御機構5を用いて、図3(a)に示すように、2次酸化剤ノズル4の側壁7に設けられた開口部8の圧力を静圧よりも低くし、対向する位置にある開口部9の圧力を静圧よりも高くすると、2次酸化剤流れは、開口部8が設けられた側壁7側に傾いて噴出することとなる。
逆に、圧力制御機構5を用いて、図3(b)に示すように、開口部8の圧力を静圧よりも高くし、開口部9の圧力を静圧よりも低くすると、2次酸化剤流れは開口部9が設けられた側壁7側に傾いて噴出することとなる。
このようにして2次酸化剤流れの噴出方向を周期的に変化させて、2次酸化剤ノズル4から噴出させることができる。
なお、圧力制御機構5は、主として圧力調整装置10から構成されており、この圧力調整装置10を適宜制御することによって、一方の開口部8の圧力と他方の開口部9の圧力を周期的に交互に反転させている。
もっとも、圧力制御機構5の構成は、このような構成に限定されるものではなく、例えば図4(a)及び図4(b)に示すように、2つの開口部8,9を連通管12によって接続するだけでも構わない。
このような構成を採用することで、自励振動現象が生じ、2つの開口部8,9の圧力を周期的に切り替えることが可能となっている。
この際、連通管12に調節弁13を設け、調節弁13によって連通管12の圧力抵抗を調節することで、自励振動による圧力の切り替えの周期を調節しても構わない。
なお、図2(a)に示すように、噴出口6に向かって拡がるように形成されている2次酸化剤ノズル4の開き角αは、被加熱部の加熱面の大きさに合わせて適宜決めればよいが、90°以下とすることが好ましい。90°よりも大きい場合は、2次酸化剤流れの噴出方向の振動が不安定となり、均一加熱することができなくなるからである。
<バーナ燃焼方法>
次に、上記したバーナ1を用いたバーナ燃焼方法について説明する。
本実施形態では、図5(a)及び図5(b)に示すように、基本的には燃料ノズル2から燃料流れを噴出させ、1次酸化剤ノズル3から1次酸化剤流れを噴出させ、2次酸化剤ノズル4から2次酸化剤流れを噴出させて、燃料流れの噴出先に火炎Aを形成させる。
燃料流れとしては、典型的には天然ガス(LNG)を例示することができるが、重油などの液体燃料であっても構わない。
また、1次酸化剤流れや2次酸化剤流れとしては、例えば酸素と空気の混合ガスを例示することができ、空気の替わりに窒素ガス・炭酸ガス・排ガスなどを用いても構わない。また、酸素としては、工業用純酸素を用いてもよい。
また、本実施形態では、各2次酸化剤ノズル4から噴出する2次酸化剤流れの噴出方向を、それぞれ燃料流れ側とは反対側(外側)の方向と、燃料流れ側(内側)の方向とを交互に周期的に変化させている。
ここで、燃料流れ側とは反対側(外側)の方向に噴出させるとは、図5(a)に示すような状態のことをいう。すなわち、燃料ノズル2の上側に配置された2次酸化剤ノズル4aからは、2次酸化剤ノズル4aの外側である上側に向かって2次酸化剤流れを噴出させ、燃料ノズル2の下側に配置された2次酸化剤ノズル2bからは、2次酸化剤ノズル4bの外側である下側に向かって、2次酸化剤流れを噴出させる。
この際、2次酸化剤流れは、中心火炎Aから離れた方向に噴出されるため、還元領域Bが広がる。
また、2次酸化剤流れを燃料流れ側に噴出させるとは、図5(b)に示すような状態のことをいう。すなわち、2次酸化剤ノズル4aからは、2次酸化剤流れを燃料流れ側である下側に向かって噴出させ、2次酸化剤ノズル4bからは、2次酸化剤流れを上側に向かって噴出させることをいう。
このように2次酸化剤流れの噴出方向を、図5(a)及び図5(b)に示すように、交互に周期的に変化させることで、燃料ノズル2の噴出先に形成される火炎Aが揺動することとなる。その結果、伝熱面積が拡大し、伝熱効率の向上、被加熱物の均一加熱が可能となる。
また、本実施形態では、2次酸化剤流れの流速は20m/s以上とすることが好ましく、60m/s以上とすることがより好ましい。2次酸化剤流れの流速を20m/s以上とするとこで、NOの発生を抑制することができるとともに、2次酸化剤流れが中心火炎から離れたときは還元領域が広がるため、NOの発生を更に抑制することができる。
また、2次酸化剤ノズル4の開口部8,9における圧力の周期的な変化の周波数、すなわち2次酸化剤流れの噴出方向の切り替え周期の周波数は、0.003Hz以上20Hz以下の範囲で制御することが好ましい。周期が20Hzより大きいと、振動により燃料と酸化剤の混合が促進されてしまうので、NOの低減効果が小さくなるとともに、火炎長も短くなるので、バーナから離れた位置での放射熱流速が小さくなって好ましくなく、また、0.003Hzより小さいと、局所的に放射熱流速が大きくなり、均一加熱ができなくなるからである。
また、1次酸化剤流れに含まれる酸素の流量と、2次酸化剤流れに含まれる酸素の流量の合計量に対する、1次酸化剤流れに含まれる酸素の流量の比率が、10%以上70%以下であることが好ましい。
[第2の実施形態]
次に、本発明の第2の実施形態であるバーナおよびバーナ燃焼方法について説明する。本実施形態は第1の実施形態の変形例であり、第1の実施形態と同様の部分については適宜説明を省略する。
<バーナ>
図6に示すように、本実施形態のバーナ21も、第1の実施形態と同様に、燃料ノズル22と、1次酸化剤ノズル23と、2次酸化剤ノズル24から構成されており、2次酸化剤ノズル24は、燃料ノズル22を軸中心とした対称な位置に2個配置されている。
また、1次酸化剤ノズル23は、燃料ノズル22を左右で挟むように、燃料ノズル22の近傍に2個配置されている。
本実施形態の2次酸化剤ノズル24は、第1の実施形態と異なり、圧力制御機構が設けられていないため、2次酸化剤ノズル24から噴出する2次酸化剤流れは、噴出方向が変動しない。
一方、燃料ノズル22および1次酸化剤ノズル23には、第1の実施形態の2次酸化剤ノズル4に設けられた圧力制御機構5と同様な圧力制御機構25,26が設けられており、同様な原理により、噴出方向を変動させることができる。
すなわち、燃料ノズル22および1次酸化剤ノズル23は、図2(a)及び図2(b)に示す2次酸化剤ノズル4と同様に、両方とも各ノズル22,23の噴出口(図示略)に向かって拡がるように形成されており、各ノズル22,23の側壁において、対向する位置に2つの開口部(図示略)が設けられている。
また、各開口部には、開口部付近の流体の圧力を制御する圧力制御機構25,26が設けられている。そして、この圧力制御機構25,26により、一方の開口部の圧力が静圧より低い圧力のときに、他方の開口部の圧力が静圧よりも高い圧力になるように制御され、2つの開口部の圧力を周期的に交互に反転させるように構成されている。
なお、噴出口に向かって拡がるように形成されている燃料ノズル22および1次酸化剤ノズル23の開き角は、被加熱部の加熱面の大きさに合わせて適宜決めればよいが、ともに90°以下とすることが好ましい。90°よりも大きい場合は、燃料流れないし1次酸化剤流れの噴出方向の振動が不安定となり、均一加熱することができなくなるからである。
<バーナの燃焼方法>
次に、上記したバーナ21を用いたバーナ燃焼方法について説明する。
本実施形態では、図7(a)及び図7(b)に示すように、2次酸化剤流れを一定方向に噴出させながら、燃料ノズル22から噴出する燃料流れと、1次酸化剤ノズル23から噴出する1次酸化剤流れの噴出方向を同一になるようにしながら、周期的に噴出方向を変化させるように制御する。
具体的には、図7(a)に示すように、1次酸化剤流れと燃料流れを共に2次酸化剤ノズル24a側(図7では左側)に噴出する状態と、図7(b)に示すように、2次酸化剤ノズル24b側(図7では右側)に噴出する状態とが、交互になるように周期的に制御する。
この際、図7(a)の状態では、燃料流れの噴出方向には還元領域Cが形成されるとともに、燃料ノズル22の下流と2次酸化剤ノズル24bの下流に挟まれた空間に緩慢混合領域Dが形成される。一方、図7(b)の状態では、逆に燃料ノズル22の噴出方向に還元領域Cが形成され、燃料ノズル22の下流と2次酸化剤ノズル24aの下流とで挟まれた空間に緩慢混合領域Dが形成される。
本実施形態のバーナ燃焼方法では、上記のように燃料流れ及び1次酸化剤流れの噴出方向を制御した結果、火炎が揺動し、被加熱物に対して広い範囲を加熱することが可能となる。また、1次酸化剤流れおよび燃料流れの噴出方向の切り替え周期を適正範囲にすることで、均一な加熱が可能となる。
また、本実施形態でも、よりNOの発生を抑制することができることから、2次酸化剤流れの流速は20m/s以上とすることが好ましく、60m/s以上とすることがより好ましい。
また、よりNOの発生を抑制できるとともに火炎長も長くでき、均一加熱ができるようになることから、1次酸化剤流れおよび燃料流れの噴出方向の切り替え周期の周波数は、0.003Hz以上20Hz以下の範囲で制御することが好ましい。
また、1次酸化剤流れに含まれる酸素の流量と、2次酸化剤流れに含まれる酸素の流量の合計量に対する、1次酸化剤流れに含まれる酸素の流量の比率が、10%以上70%以下であることが好ましい。
[第3の実施形態]
次に、本発明の第3の実施形態であるバーナおよびバーナ燃焼方法について説明する。本実施形態は第1の実施形態または第2の実施形態の変形例であり、同様の部分については適宜説明を省略する。
<バーナ>
本実施形態のバーナ31も、図8に示すように、第1の実施形態と同様、燃料ノズル32と、1次酸化剤ノズル33と、2次酸化剤ノズル34から構成されている。具体的には、1次酸化剤ノズル33は、燃料ノズル32を左右で挟むように燃料ノズル32の近傍に2個配置され、2次酸化剤ノズル34は、燃料ノズル32を軸中心とした対称な位置に2個配置されている。
また、本実施形態では、燃料ノズル32、1次酸化剤ノズル33および2次酸化剤ノズル34のいずれにも、圧力制御機構35,36,37が設けられている。
すなわち、燃料ノズル32、1次酸化剤ノズル33および燃料ノズル34は、図2(a)及び図2(b)に示す2次酸化剤ノズル4と同様に、いずれも各ノズル32,33,34の噴出口(図示略)に向かって拡がるように形成されており、各ノズル32,33,34の側壁において、対向する位置に2つの開口部(図示略)が設けられている。
また、各開口部には、開口部付近の流体の圧力を制御する圧力制御機構35,36,37が設けられている。そして、この圧力制御機構35,36,37により、一方の開口部の圧力が静圧より低い圧力のときに、他方の開口部の圧力が静圧よりも高い圧力になるように制御され、2つの開口部の圧力を交互に反転させることができる。
なお、噴出口に向かって拡がるように形成されている各ノズル32、33、34の開き角は、被加熱部の加熱面の大きさに合わせて適宜決めればよいが、いずれも90°以下とすることが好ましい。90°よりも大きい場合は、燃料流れ、1次酸化剤流れないし2次酸化剤流れの噴出方向の振動が不安定となり、均一加熱することができなくなるからである。
<バーナの燃焼方法>
次に、上記バーナ31を用いたバーナ燃焼方法について説明する。
本実施形態では、図9(a)及び図9(b)に示すように、燃料ノズル32から噴出する燃料流れと、1次酸化剤ノズル33から噴出する1次酸化剤流れと、2次酸化剤ノズル34から噴出する2次酸化剤流れについて、いずれも噴出方向が同一になるようにしながら、噴出方向を周期的に変動させながら制御する。
具体的には、図9(a)に示すように、燃料流れ、1次酸化剤流れ、および2次酸化剤流れをいずれも2次酸化剤ノズル34a側(図9では左側)に噴出する状態と、図9(b)に示すように、いずれも2次酸化剤ノズル34b側(図9では右側)に噴出する状態とが、交互になるように周期的に制御する。
このように制御することで、火炎が揺動し、被加熱物に対して広い範囲を加熱することが可能となる。また、燃料流れ、1次酸化剤流れ、及び2次酸化剤流れの噴出方向の切り替え周期を適正範囲にすることで、均一な加熱が可能となる。
また、本実施形態でも、よりNOの発生を抑制することができることから、2次酸化剤流れの流速は20m/s以上とすることが好ましく、60m/s以上とすることがより好ましい。
また、よりNOの発生を抑制できるとともに火炎長も長くでき、均一加熱ができるようになることから、燃料流れ、1次酸化剤流れ、及び2次酸化剤流れの噴出方向の切り替え周期の周波数は、0.003Hz以上20Hz以下の範囲で制御することが好ましい。
また、1次酸化剤流れに含まれる酸素の流量と、2次酸化剤流れに含まれる酸素の流量の合計量に対する、1次酸化剤流れに含まれる酸素の流量の比率が、10%以上70%以下であることが好ましい。
[第4の実施形態]
次に、本発明の第3の実施形態であるバーナ燃焼方法について説明する。本実施形態は第3の実施形態の変形例であり、第3の実施形態と同様なバーナを用いていることから、バーナについては説明を省略する。
本実施形態では、図10(a)ないし図10(d)に示すように、燃料ノズル32から噴出する燃料流れと、1次酸化剤ノズル33から噴出する1次酸化剤流れが、共に噴出方向が同一となるようにしながら周期的に変動するように制御する。また、2次酸化剤ノズル34から噴出する2次酸化剤流れの噴出方向については、燃料流れないし1次酸化剤流れとは異なった周期で変動するように制御する。
具体的には、図10(a)に示すように、まず燃料ノズル32から噴出する燃料流れ、1次酸化剤ノズル33から噴出する1次酸化剤流れ、および2次酸化剤ノズル34から噴出する2次酸化剤流れを、いずれも2次酸化剤ノズル34a側(図10では左側)に噴出する。
次に、図10(b)に示すように、2次酸化剤ノズル34bから噴出する2次酸化剤流れのみ噴出方向を反対側に変動させ、2次酸化剤ノズル34bの外側(図10では右側)に向けて噴出するようにする。
その後、図10(c)に示すように、燃料ノズル32から噴出する燃料流れ、および1次酸化剤ノズル33から噴出する1次酸化剤流れを、ともに反対側である2次酸化剤ノズル34b側(図10では右側)に向けて噴出する。
そして、図10(d)に示すように、2次酸化剤ノズル34aから噴出する2次酸化剤流れを、反対側である2次酸化剤ノズル34b側(図10では右側)に向けて噴出する。
次に、図10(c)に示すように、2次酸化剤ノズル34aから噴出する2次酸化剤流れのみ噴出方向を反対側に変動させ、2次酸化剤ノズル34aの外側(図10では左側)に向けて噴出するようにする。
その後、図10(b)に示すように、燃料ノズル32から噴出する燃料流れ、および1次酸化剤ノズル33から噴出する1次酸化剤流れを、ともに反対側である2次酸化剤ノズル34a側(図10では左側)に向けて噴出する。
そして、図10(a)に示すように、2次酸化剤ノズル34bから噴出する2次酸化剤流れを、反対側である2次酸化剤ノズル34a側(図10では左側)に向けて噴出する。
以上を1周期として、各ノズル32,33,34から噴出する各流れの噴出方向を周期的に変動させるように制御する。
このように制御する結果、火炎が揺動し、被加熱物に対して広い範囲を加熱することが可能となる。また、1次酸化剤流れおよび燃料流れの噴出方向の切り替え周期を適正範囲にすることで、均一な加熱が可能となる。
加えて、本実施形態のように制御することで、より還元雰囲気が形成され、NOの生成をより抑制することができる。
また、本実施形態でも、よりNOの発生を抑制することができることから、2次酸化剤流れの流速は20m/s以上とすることが好ましく、60m/s以上とすることがより好ましい。
また、よりNOの発生を抑制できるとともに火炎長も長くでき、均一加熱ができるようになることから、燃料流れ、1次酸化剤流れ、及び2次酸化剤流れの噴出方向の切り替え周期の周波数は、0.003Hz以上20Hz以下の範囲で制御することが好ましい。
また、1次酸化剤流れに含まれる酸素の流量と、2次酸化剤流れに含まれる酸素の流量の合計量に対する、1次酸化剤流れに含まれる酸素の流量の比率が、10%以上70%以下であることが好ましい。
以上、本発明を実施形態に基づいて説明したが、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることは言うまでもない。
例えば、燃料ノズルと1次酸化剤ノズルの位置関係について、図11(a)に示すように、圧力制御機構(図示略)が設けられた燃料ノズル41を囲うように、断面形状が略矩形の筒状の1次酸化剤ノズル42を配置してもよい。
また、図11(b)に示すように、圧力制御機構(図示略)が設けられた燃料ノズル43を上下で挟むように、1次酸化剤ノズル44が設けられていてもよい。
更に、図11(c)または図11(d)に示すように、圧力制御機構(図示略)が設けられた燃料ノズル45を、上下または左右で挟むように、圧力制御機構(図示略)が設けられた1次酸化剤ノズル46を配置する構成であってもよい。
また、図11(d)に示すように、圧力制御機構(図示略)が設けられた燃料ノズル47の周囲を囲むように、圧力制御機構(図示略)が設けられた1次酸化剤ノズル48を複数個(図11(d)では8個)配置してもよい。
以下、本発明の効果について、実施例を示して説明する。もっとも、本発明は、以下の実施例に限定されるものではなく、その要旨を変更しない範囲で適宜変更して実施することができる。
(実施例1)
実施例1では、実験炉において第1の実施形態(2次酸化剤流れを振動)で示したようなバーナ燃焼方法によって、炉下面への放射熱流束を測定する試験を実施した。この際、2次酸化剤ノズル間距離hは400mmし、酸化剤噴出速度を100m/sとした。また、2次酸化剤ノズルの開き角αは30°とした。
燃料として天然ガスを、酸化剤として酸素濃度40%の酸素富化空気を用いた。燃料流量は10Nm/hとし、酸素流量は24.2Nm/hとし、時間平均の酸素比を1.05として燃焼させた。また、供給する酸素量のうち、1次酸化剤ノズルから30%を供給し、2次酸化剤ノズルから70%を供給することとした。また、2次酸化剤ノズルから噴出する2次酸化剤流れの噴出方向の振動周期の周波数は0.5Hzとした。
図12(a)及び図12(b)に、放射熱流束分布の結果を示す。
なお、図12(a)は、バーナからの距離が1000mmの位置での結果を、図12(b)は、バーナからの距離が2000mmの位置での結果を示している。また、比較のため、図12(a)及び図12(b)においては、2次酸化剤ノズルに圧力制御機構を設けず、2次酸化剤流れの噴出方向を変動させない場合についての結果も併せて示している。
図12(a)及び図12(b)に示すように、2次酸化剤流れを振動させることにより、中心からの距離に対してフラットで高い放射熱流束が得られた。
また、図13に、2次酸化剤流れの振動周期の周波数を0.003Hz〜100Hzに変化させた際のNO排出量の結果を示す。なお、図13において縦軸は、定常燃焼(酸素濃度を40%に固定した通常燃焼)時のNO排出量を基準値(NOref)として規格化した値(NO/NOref)を表している。
図13に示すように、2次酸化剤流れの噴出方向の変動の周期の周波数は、20Hzのところで急激にNOが増加する傾向にあることが認められ、周波数を20Hz以下にすることが好ましいことが確認された。
(実施例2)
実施例2でも、実験炉において第1の実施形態で示したようなバーナ燃焼方法によって、2次酸化剤ノズル間距離(h)を変えた際のNO排出量への影響を調べた。
試験では、ノズル間距離を100,200,300,400,500mmの5条件とし、2次酸化剤流れの周期を0.003〜100Hzの範囲で変化させた。
2次酸化剤流れの噴出速度を100m/sと、2次酸化剤ノズルの開き角αは30°とした。燃料として天然ガスを、酸化剤として酸素濃度40%の酸素富化空気を用いた。燃料流量は10Nm/hとし、酸素流量は24.2Nm/hとして、酸素比1.05で燃焼させた。
また、供給する酸素量のうち、1次酸化剤ノズルから30%を供給し、2次酸化剤ノズルから70%を供給することとした。
図14に、NO排出量の結果を示す。なお、図14において縦軸は、定常燃焼(酸素濃度を40%に固定した通常燃焼)時のNO排出量を基準値(NOref)として規格化した値(NO/NOref)を表している。
図14に示すように、ノズル間距離を大きくすることによりNOは減少することが認められた。また、2次酸化剤流れの噴出方向の変動の周波数については、20Hzのところで急激にNOが増加する傾向にあることが観察され、周波数を20Hz以下にすることが好ましいことが確認された。
(実施例3)
実施例3でも、実験炉において第1の実施形態で示したようなバーナ燃焼方法によって、2次酸化剤流れの流速を10、20、30、60、100、200、300m/sの条件で変化させた際のNO排出量への影響を調べた。
2次酸化剤ノズル間距離を400mmとし、2次酸化剤流れの噴出方向の変動周期の周波数を0.003〜100Hzの範囲で変化させた。また、2次酸化剤ノズルの開き角αは30°とした。
燃料として天然ガスを、酸化剤として酸素濃度40%の酸素富化空気を用いた。燃料流量は10Nm/hとし、酸素流量は24.2Nm/hとして、酸素比1.05で燃焼させた。
また、供給する酸素量のうち、1次酸化剤ノズルから30%を供給し、2次酸化剤ノズルから70%を供給することとした。
図15に、NO排出量の結果を示す。なお、図15において縦軸は、定常燃焼(酸素濃度を40%に固定した通常燃焼)時のNO排出量を基準値(NOref)として規格化した値(NO/NOref)を表している。
図15に示すように、2次酸化剤流れの噴出流速を上昇させると、NO排出量が減少する傾向にあることが確認できた。また、流速が20m/s以上であれば、NOを大幅に低減でき、60m/s以上にするとより好ましいことが認められた。
(実施例4)
実施例4では、実験炉において第2の実施形態(燃料流れ及び1次酸化剤流れを振動)で示したようなバーナ燃焼方法によって、炉下面への放射熱流束を測定する試験を実施した。この際、2次酸化剤ノズル間距離を400mmとし、燃料ノズル及び1次酸化剤ノズルの開き角αは30°とした。
また、燃料として天然ガスを、酸化剤として酸素濃度40%の酸素富化空気を用いた。燃料流量は10Nm/hとし、酸素流量は24.2Nm/hとして、酸素比1.05で燃焼させた。
供給する酸素量のうち、1次酸化剤ノズルから30%を供給し、2次酸化剤ノズルから70%を供給することとした。
図16(a)及び図16(b)に、放射熱流束分布の結果を示す。
なお、図16(a)は、バーナからの距離が1000mmの位置での結果を、図16(b)は、バーナからの距離が2000mmの位置での結果を示している。また、比較のため、図16(a)及び図16(b)において、燃料ノズル及び1次酸化剤ノズルに圧力制御機構を設けず、燃料流れ及び1次酸化剤流れの噴出方向を変動させない場合についての結果も併せて示している。
図16(a)及び図16(b)に示すように、燃料流れ及び1次酸化剤流れの両方を振動させることにより、2次酸化剤流れのみを振動させた場合と比較して、更に中心からの距離に対してフラットで高い放射熱流束が得られた。
また、図17に、燃料流れ及び1次酸化剤流れの振動周期の周波数を0.003Hz〜100Hzに変化させた際のNO排出量の結果を示す。なお、図17において縦軸は、定常燃焼(酸素濃度を40%に固定した通常燃焼)時のNO排出量を基準値(NOref)として規格化した値(NO/NOref)を表している。
図17に示すように、燃料流れと1次酸化剤流れの噴出方向の変動の周期の周波数は、20Hzのところで急激にNOが増加する傾向にあることが認められ、周波数を20Hz以下にすることが好ましいことが確認された。
(実施例5)
実施例5では、実験炉において第3の実施形態(燃料流れ、1次酸化剤流れ及び2次酸化剤流れを振動)で示したようなバーナ燃焼方法によって、炉下面への放射熱流束を測定する試験を実施した。この際、2次酸化剤ノズル間距離を400mmとし、燃料ノズル、1次酸化剤ノズル及び2次酸化剤ノズルの開き角αは30°とした。
また、燃料として天然ガスを、酸化剤として酸素濃度40%の酸素富化空気を用いた。燃料流量は10Nm/hとし、酸素流量は24.2Nm/hとして、酸素比1.05で燃焼させた。
供給する酸素量のうち、1次酸化剤ノズルから30%を供給し、2次酸化剤ノズルから70%を供給することとした。
図18(a)及び図18(b)に、放射熱流束分布の結果を示す。
なお、図18(a)は、バーナからの距離が1000mmの位置での結果を、図18(b)は、バーナからの距離が2000mmの位置での結果を示している。また、比較のため、図18(a)及び図18(b)において、燃料ノズル、1次酸化剤ノズル及び2次酸化剤ノズルに圧力制御機構を設けず、燃料流れ、1次酸化剤流れ及び2次酸化剤流れの噴出方向を変動させない場合についての結果も併せて示している。
図18(a)及び図18(b)に示すように、燃料流れ、1次酸化剤流れ及び2次酸化剤流れの全てを振動させることにより、燃料流れ及び1次酸化剤流れのみを振動させた場合と比較して、更に中心からの距離に対してフラットで高い放射熱流束が得られた。
また、図19に、燃料流れ、1次酸化剤流れ及び2次酸化剤流れの振動周期の周波数を0.003Hz〜100Hzに変化させた際のNO排出量の結果を示す。なお、図19において縦軸は、定常燃焼(酸素濃度を40%に固定した通常燃焼)時のNO排出量を基準値(NOref)として規格化した値(NO/NOref)を表している。
また、図19には、第3の実施形態に示したようなバーナ燃焼方法を行った場合だけでなく、第4の実施形態に示したようなバーナ燃焼方法を行った場合についての結果も示してある。
図19に示すように、燃料流れ、1次酸化剤流れ及び2次酸化剤流れの噴出方向の変動の周期の周波数は、20Hzのところで急激にNOが増加する傾向にあることが認められ、周波数を20Hz以下にすることが好ましいことが確認された。
また、第3の実施形態に示したようなバーナ燃焼方法よりも、第4の実施形態に示したようなバーナ燃焼方法の方が、よりNO排出量が少ないことが確認された。
(実施例6)
実施例6では、実験炉において第2の実施形態(燃料流れ及び1次酸化剤流れを振動)で示したようなバーナ燃焼方法によって、燃焼試験を行った。この際、燃料ノズル及び1次酸化剤ノズルの開き角αを、30°、60°、90°、100°、110°に変化させて試験を行った。
燃料として天然ガスを、酸化剤として酸素濃度40%の酸素富化空気を用いた。燃料流量は10Nm/hとし、酸素流量は24.2Nm/hとして、酸素比1.05で燃焼させた。
供給する酸素量のうち、1次酸化剤ノズルから30%を供給し、2次酸化剤ノズルから70%を供給することとした。また、燃料流れ及び1次酸化剤流れの振動周期を2秒とした。
燃焼試験を行った結果、ノズルの開き角αは、90°までは安定して振動することが確認できた。開き角αが100°では振動が不安定になり、振動が継続して起こらない場合もあった。さらに開き角αを大きくして110°にした場合、振動は生じなくなった。
本発明は、バーナ及びバーナ燃焼方法に関するものなので、燃焼器を利用する製造業において幅広く利用することができる。
1,21,31・・・バーナ、2,22,32・・・燃料ノズル、3,23,33・・・1次酸化剤ノズル、4,24,34・・・2次酸化剤ノズル、5,35,36,37・・・圧力制御機構、6・・・噴出口、7・・・側壁、8,9・・・開口部、10・・・圧力調整装置、11・・・配管、12・・・連結管、13・・・調節弁

Claims (9)

  1. 酸化剤流れと燃料流れとを供給して燃焼させるバーナであって、
    前記酸化剤流れは、前記燃料流れの周囲または近傍から噴出する1次酸化剤流れと、前記燃料流れを中心とした対称な位置から噴出する複数の2次酸化剤流れとからなり、
    前記燃料流れ、前記1次酸化剤流れ、および前記2次酸化剤流れの各流れを形成する流体噴出流路のうち、少なくとも1つが、該流れの噴出口に向かって拡がるように形成され、側壁において対向する位置に2つの開口部が設けられており、
    前記開口部には、圧力を制御する圧力制御機構が設けられており、
    前記圧力制御機構によって、一方の開口部の圧力が静圧より低い圧力のときに、他方の開口部の圧力が静圧より高い圧力に制御されることにより、前記噴出口から噴出される前記流れの噴出方向が、該流れ以外の流れ側又はその反対側に変化することを特徴とするバーナ。
  2. 前記圧力制御機構が、2つの前記開口部を接続する連通管からなることを特徴とする請求項1に記載のバーナ。
  3. 前記連通管に調節弁が設けられていることを特徴とする請求項2に記載のバーナ。
  4. 前記流れの噴出口に向かって拡がって形成された前記流体噴出流路の開き角が90°以下であることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載のバーナ。
  5. 請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載のバーナを用いたバーナ燃焼方法であって、
    前記1次酸化剤流れに含まれる酸素の流量と前記2次酸化剤流れに含まれる酸素の流量の合計量に対する前記1次酸化剤流れに含まれる酸素の流量の比率が、10%以上70%以下であることを特徴とするバーナ燃焼方法。
  6. 前記燃料流れ、前記1次酸化剤流れ、および前記2次酸化剤流れの各流れを形成する前記流体噴出流路のうち、少なくとも1つについて、前記圧力制御機構によって、2つの前記開口部の圧力を静圧より低い圧力から高い圧力の範囲で周期的に変化させることを特徴とする請求項5に記載のバーナ燃焼方法。
  7. 前記燃料流れ、または前記1次酸化剤流れを形成する前記流体噴出流路について、前記圧力制御機構によって、2つの前記開口部の圧力を静圧より低い圧力から高い圧力の範囲で周期的に変化させることを特徴とする請求項5に記載のバーナ燃焼方法。
  8. 前記2次酸化剤流れの流速が20m/s以上であることを特徴とする請求項5ないし請求項7のいずれか1項に記載のバーナ燃焼方法。
  9. 前記開口部の圧力の周期的な変化の周波数が、0.003Hz以上20Hz以下であることを特徴とする請求項6ないし請求項8のいずれか1項に記載のバーナ燃焼方法。
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