JP2021028315A - チオラクトン化合物の製造方法 - Google Patents

チオラクトン化合物の製造方法 Download PDF

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雅彦 関
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Abstract

【課題】高純度なチオラクトン化合物を収率良く得る製造方法の提供。【解決手段】沸点85℃以上のアルコール溶媒中で、下式のチオラクトン化合物を結晶化させて取り出す、チオラクトン化合物の製造方法。式中、R1及びR2は、それぞれ、H又は、ベンジル基等のウレイン保護基である。【選択図】なし

Description

本発明は、チオラクトン化合物の新規な製造方法に関する。
チオラクトン化合物は、環状エステルであるラクトン化合物の環を形成する酸素原子を硫黄原子に置き換えた構造を有する化合物である。チオラクトン化合物は、医薬、食品、化粧品をはじめとする各種有用化合物の合成中間体として重要な化合物である。
チオラクトン化合物を合成中間体として活用した合成法の一つとして、以下に表されるビオチン(水溶性ビタミンの一種)の製造法が知られている(特許文献1、2参照)。
Figure 2021028315
前記合成法では、ジカルボン酸化合物から始まり、3工程の反応を経てラクトン化合物を合成した後、硫化反応によりチオラクトン化合物を得る。次いで、このものにパラジウム触媒存在下、吉草酸エチル基を有する亜鉛試薬を接触させてビオチンの側鎖を導入する。次いで2工程の反応を経てビオチンが製造できると報告されている。
以上の通り、ビオチンは、非常に多くの工程を経て製造される。ビオチンを、特に医薬品等に使用する場合には、高収率で純度の高いものが必要になるため、各中間体の純度および収率の向上が重要になる。
特許文献1には、製造したチオラクトン化合物をメタノール中で結晶化させて取り出している。メタノールを使用する上記方法は、純度の面では優れるものの、収率の面では改善の余地があった。
また、特許文献2には、製造したチオラクトン化合物をエーテル系溶媒、炭化水素系溶媒、アルコール系溶媒、およびアルコール系溶媒/水混合溶媒等の溶媒中で結晶化させて取り出すことができるとされている。ところが、実施例で具体的に使用されている溶媒は2−プロパノール/水混合溶媒の一種類しかない。2−プロパノール/水混合溶媒を使用する上記方法は、収率の面では優れるものの、純度の面では改善の余地があった。また、水を含む混合溶媒を使用しているため、回収・乾燥・再利用等の後処理が煩雑となり、この点でも改善の余地があった。
M,Seki. 等 Chem. Eur. J.2004, 10, 6102 特開2000−351780号公報
このように、本発明者等が上記従来技術を追試したところ、結晶化後のチオラクトン化合物の収率および純度の点において改善の余地があることが明らかとなった。
従って、本発明の目的は、高純度なチオラクトン化合物を収率良く得る製造方法を提供することにある。
本発明者らは、前記課題を解決するために鋭意検討を重ねた。その結果、特定の溶媒中でチオラクトン化合物を結晶化させることにより、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
本発明は、
沸点が85℃以上のアルコール溶媒(以下、単にアルコール溶媒ともいう。)中で、
下記式(I)
Figure 2021028315
(式中、R及びRは、それぞれ、水素原子又はウレイン保護基であり、同一であっても、異なる基であってもよい。)で表されるチオラクトン化合物(以下、単にチオラクトン化合物ともいう)を結晶化させて取り出すことを特徴とするチオラクトン化合物の製造方法
である。
本発明の方法によれば、高純度でチオラクトン化合物が収率よく得られる。特定の沸点以上のアルコール溶媒を使用することにより、適切な加熱状態でチオラクトン化合物を溶解することができ、収率よく、高純度のチオラクトン化合物を製造できるものと考えられる。
本発明は、特定の溶媒中で、チオラクトン化合物を結晶化させて取り出すことが特徴である。
以下、本発明の製造方法について詳細に説明する。
(チオラクトン化合物)
チオラクトン化合物は、下記式(I)で示される化合物である。
Figure 2021028315
[R及びRの説明]
前記式(I)において、R及びRはそれぞれ、水素原子又はウレイン基保護基である。これらR及びRは、同一であっても、異なる基であってもよい。
前記ウレイン基保護基としては、置換基を有してもよいアリールアルキル型保護基が好ましく、ベンジル基、ベンゼン環に置換基を有する炭素数8〜10の置換ベンジル基、またはベンジル炭素に置換基を有する炭素数8〜10の置換ベンジル基等が挙げられる。
ベンゼン環に置換基を有する炭素数7〜11の置換ベンジル基としては、例えば、4−メチルベンジル基、4−メトキシベンジル基、4−ニトロベンジル基、4−アミノベンジル基、4−ヒドロキシベンジル基等が挙げられる。なお、当然のことながら、ベンゼン環の1位は、−CH−が結合している位置である。
ベンジル炭素に置換基を有する置換ベンジル基としては、例えば、α−メチルベンジル基、ベンズヒドリル基、トリチル基等が挙げられる。
前記チオラクトン化合物の中でも、次工程の反応等の効率化、それ自体の生産を考慮すると、RおよびRは、共に、ウレイン基保護基であることが好ましく、ベンジル基であることが特に好ましい。
前記チオラクトン化合物としては、前記特許文献に記載の方法によって製造できる。通常、前記特許文献に記載の方法によれば、HPLC(高速液体クロマトグラフィー)純度(ピーク面積%)が75〜95%程度の化合物が得られる。本発明においては、このような純度のチオラクトン化合物を対象とできる。
本発明で対象とするチオラクトン化合物を製造する方法は、特に比較的簡便な方法、かつ高収率でチオラクトン化合物が得られる点から、下記式(II)
Figure 2021028315
(式中R及びRは、前記式(I)におけるものと同義である。)
で示されるラクトン化合物(以下、単にラクトン化合物とも言う)と、チオカルボン酸アルカリ金属塩と、を接触させる方法を用いることが好ましい。
以下、ラクトン化合物と、チオカルボン酸アルカリ金属塩と、を接触させてチオラクトン化合物を得る方法について説明する。
<チオラクトン化合物の製造方法>
<<チオラクトン化合物の製造方法/ラクトン化合物>>
前記式(II)で示されるラクトン化合物は、公知の方法、すなわち、前記特許文献に記載の方法で製造することができる。また、市販品が存在すれば、それを使用することができる。
<<チオラクトン化合物の製造方法/チオカルボン酸アルカリ金属塩、およびその製造方法>>
チオラクトン化合物を製造する際に用いるチオカルボン酸アルカリ金属塩としては、チオ酢酸アルカリ金属塩(例えば、チオ酢酸ナトリウム、チオ酢酸カリウム、チオ酢酸リチウム等)、チオ安息香酸アルカリ金属塩(例えば、チオ安息香酸ナトリウム、チオ安息香酸カリウム、チオ安息香酸リチウム等)が挙げられる。
これらのチオカルボン酸アルカリ金属塩は市販のものを用いても良い。
あるいは、対応するチオカルボン酸と塩基性アルカリ金属塩(例えば、水酸化アルカリ金属塩、炭酸アルカリ金属塩、酢酸アルカリ金属塩)とを反応させてチオカルボン酸アルカリ金属塩を製造し、これを用いても良い。チオカルボン酸と塩基性アルカリ金属塩とを反応させたものを使用する場合、一旦、反応系外に得られたチオカルボン酸アルカリ金属塩を取り出して使用することができる。また、反応系外に取り出さずに得られたチオカルボン酸アルカリ金属塩をそのまま使用することもできる。
中でも、チオカルボン酸アルカリ金属塩を反応系外に取り出す際に、不純物が低減されるものと考えられるため、反応系外に取り出したチオカルボン酸アルカリ金属塩を使用することが好ましい。同様に、市販のチオカルボン酸アルカリ金属塩も、反応系外に一旦取り出したものであるため、好ましく使用できる。チオカルボン酸アルカリ金属塩を製造してそのまま用いる場合、以下の方法で、対応するチオカルボン酸と塩基性アルカリ金属塩とを反応させることが好ましい。
チオカルボン酸の使用量については、塩基性アルカリ金属塩1モルに対して、チオカルボン酸を1〜2モル使用することが好ましく、1〜1.4モル使用することがより好ましく、1.1〜1.25モル使用することがさらに好ましい。得られるチオカルボン酸アルカリ金属塩は、不安定であるため、チオカルボン酸の使用量を塩基性アルカリ金属塩の使用量よりも多くして製造することが好ましい。
チオカルボン酸と塩基性アルカリ金属塩とを反応させる場合、両者を反応溶媒中で攪拌混合することにより、反応が進行する。両者を反応させる際に使用する反応溶媒(以下、第一反応溶媒ともいう。)は、両者を十分に溶解するものであれば、特に制限されるものではない。具体的には、アミド類(例えば、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、N,N−ジメチルアセトアミド(DMA))、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)、N,N−ジメチルイミダゾリジン−2−オン(DMI)を使用することができる。中でも、塩基性アルカリ金属塩やチオカルボン酸アルカリ金属塩の溶解性やこれらに対する安定性の観点から、アミド類、特にN,N−ジメチルアセトアミド(DMA)を用いることが好ましい。両者を混合する場合、特に制限されるものではないが、塩基性アルカリ金属塩にチオカルボン酸を添加することが好ましい。第一反応溶媒の使用量は、反応容器の容量等を勘案して適宜決定すれば良いが、通常ラクトン化合物1gに対して、0.5〜10mL、好ましくは1〜5mLの範囲で用いれば良い。
チオカルボン酸アルカリ金属塩を製造する際の反応温度は、通常、0〜50℃、好ましくは5〜40℃、特に好ましくは10〜30℃の温度範囲である。反応時間は、特に制限されるものではなく、反応装置の性能に応じて適宜決定すればよいが、0.5〜4時間、好ましくは0.5〜3時間、特に好ましくは0.5〜2時間の範囲で十分である。
反応が終了した後の工程は、特に制限されるものではない。前記方法により得られたチオカルボン酸アルカリ金属塩を、反応系外に取り出さずに使用する場合、下記<<チオラクトン化合物の製造/ラクトン化合物とチオカルボン酸アルカリ金属塩との接触>>に詳述するように、該チオカルボン酸アルカリ金属塩を含む反応溶液をラクトン化合物との接触に用いればよい。
また、前記方法により得られたチオカルボン酸アルカリ金属塩を、一旦、反応系外に取り出して使用する場合も、他成分と分離した後、下記<<チオラクトン化合物の製造/ラクトン化合物とチオカルボン酸アルカリ金属塩との接触>>に詳述するように、ラクトン化合物との接触に用いればよい。
チオカルボン酸アルカリ金属塩とラクトン化合物との反応において、チオカルボン酸アルカリ金属塩の使用量は、ラクトン化合物が反応するのに十分な量を用いればよい。具体的には、ラクトン化合物1モルに対して、1〜3モル、好ましくは1〜2モル、特に好ましくは1〜1.8モルの範囲で用いればよい。
なお、反応系外にチオカルボン酸アルカリ金属塩を取出さずに使用する場合には、チオカルボン酸とアルカリ金属塩との反応において、使用量の少ない原料を基準とすればよい。つまり、前記チオカルボン酸アルカリ金属塩の製造においては、アルカリ金属塩の使用量が少ない場合を最も好ましい態様としているが、この場合、チオカルボン酸アルカリ金属塩の量は、アルカリ金属塩の量と同じであると考えればよい。
<<チオラクトン化合物の製造/反応溶媒>>
ラクトン化合物とチオカルボン酸アルカリ金属塩との接触を円滑に進めるために、両者の反応においては、反応溶媒(以下、第二反応溶媒ともいう。)を使用することが好ましい。
上記第二反応溶媒としては、特に制限されるものではない。具体的には、エーテル類(例えば、t−ブチルメチルエーテル(TBME))、芳香族類(例えば、クロロベンゼン、トルエン、キシレン)、アミド類(例えば、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、N,N−ジメチルアセトアミド(DMA))、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)、N,N−ジメチルイミダゾリジン−オン(DMI)等の反応溶媒が挙げられる。これらの反応溶媒は単独で使用しても、或いは上記反応溶媒の混合溶媒としても良い。かかる反応溶媒の中でも、アミド類が好ましく、特にN,N−ジメチルアセトアミド(DMA)が好ましい。なお、チオカルボン酸アルカリ金属塩を反応系外に取り出さず使用する場合には、チオカルボン酸アルカリ金属塩の製造で使用した第一反応溶媒を、そのまま第二反応溶媒とすることができる。また、該第一反応溶媒に、アミド類等の反応溶媒を混合し、第二反応溶媒とすることもできる。さらに、第二反応溶媒は、水を含むこともできる。
第二反応溶媒の使用量は、反応容器の容量等を勘案して適宜決定すれば良いが、通常ラクトン化合物1gに対して、0.5〜100mL、好ましくは1〜10mL、特に好ましくは1〜3mLの範囲で用いれば良い。
<<チオラクトン化合物の製造/ラクトン化合物とチオカルボン酸アルカリ金属塩との接触>>
ラクトン化合物とチオカルボン酸アルカリ金属塩との接触方法については特に制限されず、製造装置の構成等を勘案して適宜決定すればよい。具体的には、チオカルボン酸アルカリ金属塩を反応溶媒(第二反応溶媒)中に分散させ、次いで、ラクトン化合物と混合することにより接触させることができる。または、ラクトン化合物を反応溶媒(第二反応溶媒)中に分散させ、次いで、チオカルボン酸アルカリ金属塩と混合してもよい。なお、チオカルボン酸アルカリ金属塩を反応系外に取り出さず使用する場合には、反応溶媒(第一反応溶媒)中でチオカルボン酸とアルカリ金属塩とを混合した溶液と、ラクトン化合物と、を混合し、ラクトン化合物とチオカルボン酸アルカリ金属塩とを接触させることができる。
上記反応温度は、反応溶媒(第二反応溶媒)の沸点によるため一概に決められない。アミド類の場合、110〜140℃が好ましい。また、反応時間については、0.5〜5時間、好ましくは0.3〜3時間、特に好ましくは0.5〜2時間の範囲で設定することが好ましい。
反応時の圧力も特に制限されるものではない。具体的には、大気圧下、減圧下、加圧下の何れかの圧力下で反応を実施してもよい。操作性を考慮すると、大気圧下で実施することが好ましい。また、反応時の雰囲気も特に制限されるものではない。具体的には、空気雰囲気下、不活性ガス(窒素、アルゴン等)雰囲気下で実施することができる。安定した反応の進行を考慮すると、不活性ガス雰囲気下、特に窒素雰囲気下で実施することが好ましい。
このようにして得られたチオラクトン化合物は、単離せずに(溶媒中に溶解している状態のまま)、次の工程で使用することもできるが、一旦、反応系外に取り出して(反応溶媒(第二反応溶媒)と分離して)使用することが好ましい。
チオラクトン化合物を反応系外に取り出す方法は特に制限されるものではないが、反応系内に水を加えて取り出す方法が好ましい。加える水の量は、特に制限されるものではなく、得られるチオラクトン化合物が十分に析出できる量であればよい。具体的には、ラクトン化合物1gに対して、2〜8mLの水を混合することが好ましく、4〜6mLの水を混合することが好ましい(なお、反応時に溶媒が水を既に含む場合には、その含まれる水と新たに混合する水との合計量が前記範囲を満足することが好ましい。)。また、該水の量は、反応溶媒(第二反応溶媒)1mLに対して、1〜5mLの水を混合することが好ましく、1.5〜4mLの水を混合することが好ましい。析出したチオラクトン化合物は、例えばろ過等の公知の方法により、単離すればよい。
本発明においては、以上の方法で得られるチオラクトン化合物を、沸点が85℃以上のアルコール溶媒中で結晶化させて取り出すことにより、高純度なチオラクトン化合物とすることができる。また、必要に応じて、以下の処理をすることが好ましい。
<<チオラクトン化合物の製造/その他の処理(酸処理・脱水処理)>>
本発明によれば、チオラクトン化合物の収率を高めるためには、以下の方法で処理することもできる。具体的には、以下の酸処理・脱水処理を行うことができる。このような処理により、開環したチオラクトン化合物が再度、環化してチオラクトン化合物に戻るものと推定され、収率を向上できる。
先ず、酸処理として、チオラクトン化合物および難水溶性有機溶媒を含む溶液(以下、第一溶液ともいう。)と、酸と、を接触させる。この場合、該第一溶液の濃度は、難水溶性有機溶媒100容量部に対して、難水溶性有機溶媒以外の反応溶媒を10〜50容量部、水を80〜120容量部とすることが好ましく、さらに該反応溶媒を20〜40質量部、水を90〜110容量部とすることが好ましい。この場合、チオラクトン化合物を含む固形分1gに対して、合計溶媒(水が含まれる場合には水を含む)が5〜15mLとなることが好ましく、該合計溶媒が8〜13mLとなることがより好ましい。このような範囲を満足するように、必要に応じて、難水溶性有機溶媒、水、およびその他の有機溶媒を反応系内に追加することができる。なお、酸と接触させる前に、活性炭と接触させてもよい。
ここで、難水溶性有機溶媒は、チオラクトン化合物を溶解するものであれば、特に制限されない(なお、「難水溶性」とは、温度20℃の水100gに対する溶解度が7g以下を意味する)。そのため、公知の有機溶媒が利用できる。このような有機溶媒としては、例えば、脂肪族炭化水素類、芳香族炭化水素類、エーテル類、ハロゲン化炭化水素類等が挙げられる。
脂肪族炭化水素類としては、ヘキサン(溶解度:>0.2g)等が挙げられる。
芳香族炭化水素類としては、ベンゼン(溶解度:>0.2g)、トルエン(溶解度:>0.2g)等が挙げられる。
エーテル類としては、ジエチルエーテル(溶解度:6.9g)等が挙げられる。
ハロゲン化炭化水素類としては、ジクロロメタン(溶解度:1.3g)、クロロホルム(溶解度:0.8g)等が挙げられる。
これら有機溶媒は、単独で用いても、2種以上を混合して使用してもよい。これらの中でも、入手しやすさ・扱いやすさ等の実用性観点から、芳香族炭化水素類、特にトルエンが好ましい。
該第一溶液と酸とを混合することにより、得られる第一溶液のpHを0〜2の範囲にすることが好ましい(pHが0〜2の第一溶液を第一混合溶液とする場合もある)。使用するチオカルボン酸アルカリ金属塩、溶媒の量等にもよるが、通常、該第一溶液のpHは、5〜7未満である。その第一溶液と酸とを混合することにより、該第一溶液のpHを0〜2の範囲とすることが好ましい。
使用する酸は、特に制限されるものではなく、塩化水素、硫酸等の酸が挙げられる。中でも、塩化水素(塩酸)を使用することが好ましい。塩酸等の水を含む酸を使用した場合、両者が攪拌混合された第一溶液のpHが0〜2の範囲となることが好ましい。なお、攪拌混合を止め、静置すると、該第一溶液は有機層と水層とに分離するが、この場合、水層のpHの範囲も0〜2の範囲となることが好ましい。
この第一溶液は、チオラクトン化合物の収率を高めるためには、その温度を50〜80℃とすることが好ましい。そのため、50〜80℃における第一溶液のpHが0〜2であることが好ましい。pHの測定については、下記に詳述した通りの方法で測定する。第一溶液の温度を50〜80℃とするには、第一溶液、および酸の温度を予め調整しておくこともできるし、第一混合溶液とした後、その温度を50〜80℃とすることもできる。第一溶液を50〜80℃とする時間は、特に制限されるものではなく、0.2〜1時間であればよい。
次いで、得られた前記第一溶液を分液することにより、難水溶性有機溶媒層を取り出す。得られた難水溶性有機溶媒層を還流温度にて還流しながら、反応系中から水を除く。水の除去にかかる時間は、特に制限されるものではないが、0.5〜5時間であることが好ましい。
以上のような操作を行うことにより、チオラクトン化合物の収率が向上するものと考えられる。なお、この操作は必須の操作ではないが、以下の場合に特に好適に働くものと考えている。即ち、チオラクトン化合物が開環した化合物を含む場合があり、そのような化合物はチオカルボン酸アルカリ金属塩を製造し、系外から取出さずに使用した場合にできると推定される。そして、この操作は、このような化合物を再び環化させるものと考えられる。そのため、この操作は、チオカルボン酸アルカリ金属塩を製造し、系外から取出さずに使用した場合に特に効果的な操作である。
次に、上記チオラクトン化合物は、下記に示す被毒物質のような不純物を含む場合があるので、必要に応じて、水の除去後の前記溶液を、下記に詳述する水を含む洗浄液と接触させて得られる混合液(以下、第二溶液ともいう。)のpHを7.0〜8.0の範囲とする(以下、pH調整処理ともいう。)こともできる。
<<チオラクトン化合物の製造/その他の処理(pH調整処理)>>
前記水を含む洗浄液は、第二溶液のpHが7.0〜8.0の範囲となる水溶液であれば、特に制限されない。中でも、該pHが7.0〜8.0の範囲となるようなアルカリ水溶液を使用することが好ましい。アルカリ水溶液を使用する場合、通常の市販のものを使用することができる。または、アルカリ金属塩(例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等の強塩基性アルカリ金属塩、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム等の弱塩基性アルカリ金属塩)を水に溶解し調製することもできる。
これら洗浄液の使用量は、アルカリ水溶液の濃度およびアルカリ金属塩の種類等に依存するため一概に決められないが、目安として、チオラクトン化合物1gに対して、5wt%炭酸水素ナトリウム水溶液、0.1〜50mL、好ましくは1〜4mLとすることが好ましい。
第二溶液を得る方法は、特に制限されるものではなく、攪拌装置を備えた反応容器内で、水の除去後の前記溶液と、前記洗浄液と、を攪拌混合することにより接触させることができる。第二溶液のpHの値は、第二溶液中に電極を浸し、pHの一般的な測定方法を用いて測定した値である。なお、上記攪拌混合を一旦停止し、静置すると、上記第二溶液は有機層と水層とに分離するが、分離後の水層中に電極を浸しそのpHを測定しても、7.0〜8.0の範囲となることが好ましい。
前記pHが7.0未満の場合は、下記に詳述する側鎖導入反応が進行し難くなる。この理由は明らかではないが、側鎖導入反応の被毒物質となる成分が残存するようになることが原因と推定している。一方、前記pHが8.0を超える場合は、チオラクトン環が開環し、第二溶液から取り出されるチオラクトン化合物の収量が低下する。
該第二溶液のpHが7.0〜8.0の範囲にあれば、分液し有機層(難水溶性有機溶媒層)を得ることができる。また、該pHが7.0〜8.0の範囲にない場合、具体的には該pHが7.0未満の場合、さらにアルカリ水溶液を加えてpHを調整することが好ましい。前記した通り、pHが8.0を超えると、チオラクトン化合物の収量が低下するため、上記pHの調整途中で該pHが8.0を超えないように該pHを確認しながら調整する必要がある。
そして、特に制限されるものではないが、pHを7.0〜8.0とした混合液(第二溶液)は、50〜80℃の温度範囲とすることが好ましい。該温度範囲とするためには、混合中の第二溶液が前記温度範囲を満足するように前記第一溶液および前記洗浄液の温度を予め調整したものを混合してもよい。また、両者を混合し得られた第二溶液の温度を50〜80℃としてもよい。なお、50〜80℃の温度範囲の第二溶液においても、pHは7.0〜8.0を満足することが好ましい。
第二溶液を攪拌しておく時間は、特に制限されるものではない。通常であれば、0.1〜2時間、好ましくは0.3〜0.5時間であることが好ましい。
なお、このpH調整処理も必須の操作ではないが、以下の場合に特に好適に働くものと考えている。すなわち、使用するチオカルボン酸アルカリ金属塩が、次工程で使用する触媒の被毒物質となる不純物を含む場合に、その低減に特に効果的である。この被毒物質となる成分は、不明であるが、チオカルボン酸が影響しているものと推定される。そのため、この操作は、チオカルボン酸とアルカリ金属塩とを反応させてチオカルボン酸アルカリ金属塩を製造し、系外から取出さずに使用した場合に特に効果的な操作である。
次いで、第二溶液を攪拌後、分液し有機層(難水溶性有機溶媒層)を得た後、必要に応じて、該有機層を活性炭で処理(以下、活性炭処理ともいう。)してもよい。または、上記有機層を減圧濃縮し、得られた残渣と、溶媒(以下、第三反応溶媒ともいう。)と、を混合し、得られた溶液(以下、第三溶液ともいう。)を活性炭で処理してもよい。好ましくは、第三溶液を活性炭処理することが好ましい。
<<チオラクトン化合物の製造/その他の処理(活性炭処理)>>
該活性炭処理の方法は、特に制限されるものではない。そのため、上記有機層(上記第三溶液)と活性炭とを接触させることで処理できる。この活性炭処理は、<<チオラクトン化合物の製造/その他の処理(酸処理・脱水処理)>>、および<<チオラクトン化合物の製造/その他の処理(pH調整処理)>>の操作を行わず、水を反応系内に加えて結晶化させて取り出したチオラクトン化合物を対象とすることができる。さらには、何れか一方の操作のみを行い調製したチオラクトン化合物を対象とすることができる。
残渣と混合する上記溶媒(第三反応溶媒)は、上記残渣を溶解するものであれば特に制限されない。中でも、下記で詳述する沸点が85℃以上のアルコール溶媒が好ましく、より好ましくは2−ブタノールが好ましく使用される。溶媒の使用量は、溶媒の種類によるため一概に決められない。2−ブタノールであれば、残渣1gに対して4〜10mLの範囲で用いればよい。
処理温度(第三溶液と活性炭とを接触させる温度)は、50〜100℃、好ましくは、70〜90℃の温度範囲とすることが好ましい。
処理時間(第三溶液と活性炭とを接触させる時間)は、0.2〜3時間、好ましくは、0.5〜2時間であることが好ましい。
活性炭処理後は、通常の操作でチオラクトン化合物を得ることができる。例えば、該活性炭をろ過して除去し、得られたろ液からチオラクトン化合物を得る方法が挙げられる。特に好ましくは、得られたろ液、または該ろ液を減圧濃縮し得られるチオラクトン化合物を下記[チオラクトン化合物の取り出し(結晶化)]に用いることが好ましい。
<<チオラクトン化合物の製造方法/沸点が85℃以上のアルコール溶媒中でのチオラクトン化合物の取り出し(結晶化)>>
本発明は、前記した方法でチオラクトン化合物を製造した後、沸点が85℃以上のアルコール溶媒(前記したように、以下、アルコール溶媒ともいう。)中でのチオラクトン化合物の取り出すようにした点で、従来の製造方法と異なっており、その点に特徴を有している。
[沸点が85℃以上のアルコール溶媒]
本発明において、沸点が85℃以上のアルコール溶媒は、チオラクトン化合物を溶解し、該アルコール溶媒中で、チオラクトン化合物を結晶化させて取り出すために使用する。
前記沸点の上限については、特に規定しないが、極端に高沸点のアルコール溶媒は、除去が困難なため、実用上は140℃以下となる。
使用するアルコール溶媒は、沸点が85℃以上で、チオラクトン化合物を溶解するものであれば、特に制限されない。そのため、公知のアルコール溶媒が利用できる。このようなアルコール溶媒としては、例えば、1−ブタノール(沸点:117℃)、2−メチル−1−プロパノール(沸点:108℃、)2−ブタノール(沸点:99℃)等が挙げられる。
これらアルコール溶媒は、単独で用いても、2種以上を混合して使用してもよい。
中でも、後処理、具体的にはチオラクトン化合物の乾燥処理が容易なことから、沸点が低い方が好ましく、2−ブタノールが好ましく使用される。使用するアルコール溶媒は、通常の市販のものを使用することができる。
また、該アルコール溶媒は、不可避的に混入される水が含まれていてもよい。そのため、該アルコール溶媒には、水が50質量%未満含まれてもよい。ただし、得られるチオラクトン化合物の純度、乾燥のし易さ、溶媒の回収・再利用等の点を考慮すると、水は少ない方が好ましい。そのため、水の含有割合は10質量%以下であることがより好ましく、さらには1質量%以下であることが好ましく、特には0.2質量%以下であることが好ましく、最も好ましくは水を含有しない(0質量%)場合である。
前記アルコール溶媒の量は、特に制限されるものではないが、チオラクトン1gに対して、5〜10mLのアルコール溶媒中でチオラクトン化合物を結晶化させることが好ましい。なお、該アルコール溶媒の量が、上記範囲を超える量のアルコール溶媒を使用してチオラクトン化合物を一旦溶解させた場合、結晶化前に前記有機層(前記ろ液)を減圧濃縮しておくことが、結晶化によるチオラクトン化合物の収量を増すために、好ましい。
[チオラクトン化合物の取り出し(結晶化)]
沸点が85℃以上のアルコール溶媒中でのチオラクトン化合物の取り出し方法については、特に制限されない。製造装置の構成等を勘案して適宜決定すればよい。具体的には、上記アルコール溶媒にチオラクトン化合物を溶解し、得られた溶液(以下、第四溶液ともいう。)を冷却することにより、チオラクトン化合物を結晶化させ、チオラクトン化合物を取り出すことができる。なお、アルコール溶媒を使用し前記活性炭処理を行った場合は、得られたろ液を第四溶液として使用できる。
冷却時の温度は、特に制限されるものではないが、チオラクトン化合物の純度をより一層高くするためには、−10〜20℃の温度範囲とすることが好ましい。より好ましくは、一旦50〜100℃の温度範囲でチオラクトン化合物を溶解し、その後、20〜50℃の温度範囲まで冷却し、同温で0.5〜3時間保持し、さらに−5〜10℃の温度範囲まで冷却し、同温で1〜5時間保持することが好ましい。
以上の方法を行うことにより、得られるチオラクトン化合物は、高純度で収率の良いものである。そのため、下記ビオチン誘導体の製造方法に供する原料として好適に使用することができる。
(ビオチン誘導体の製造方法)
前記チオラクトン化合物は、それを原料として、下記式(IV)
Figure 2021028315
(式中、R及びRは、前記式(I)におけるものと同義であり、Rは、下記式(III)におけるものと同義である。)
で表されるビオチン誘導体を効果的に製造できる。
前記チオラクトン化合物からビオチン誘導体を製造する方法は、公知の方法を採用できる。例えば、パラジウム触媒およびニッケル触媒から選ばれる少なくとも1種の触媒存在下、チオラクトン化合物と、下記式(III)
Figure 2021028315
(式中、Rは、アルキル基又はアラルキル基である。)
で表される亜鉛試薬と、を用いる方法が報告されている(Tetrahedron Letters 41 (2000) 5099−5101、Organic Syntheses, Vol. 84, p.285−294(2007);Coll. Vol. 11, p.281−288(2009).)
以下に実施例を挙げて、本発明を詳細に説明する。ただし、以下の実施例は具体例であって、本発明はこれらにより限定されるものではない。
なお、実施例および比較例における評価は、以下の方法で行った。
<高速液体クロマトグラフィー(HPLC)の測定条件>
装置:高速液体クロマトグラフィー(HPLC)。
検出器:紫外吸光光度計(測定波長:254nm)。
カラム、充填剤:L−column、C18、5μm(4.6×150mm);
X Bridge、C18、5μm(4μ8mm×150mm)
カラム温度:40℃。
移動相:アセトニトリル:50mM KHPO水溶液(pH3)=50:50
流速:1.0mL/分。
なお、上記HPLCの測定条件において、チオラクトン化合物は約9.1分、ビオチン誘導体は約30.5分にピークが確認される。
以下の実施例、比較例において、チオラクトン化合物、ビオチン誘導体の各純度の値は、すべて、上記HPLCの測定条件に準じて測定される全ピークの面積値(溶媒由来のピークを除く)の合計に対する各化合物のピーク面積値の割合から求められる値である。
(製造例)
下記式で表される反応を行い、チオラクトン化合物を合成した。
Figure 2021028315
反応器中で、N,N−ジメチルアセトアミド(42mL;第二反応溶媒)にラクトン化合物(28.00g、86.8mmol)を溶解させ、反応器中を窒素置換した。得られた溶液を、窒素雰囲気下、125℃に昇温し、該溶液中にチオ酢酸カリウム(14.88g、130.3mmol;チオカルボン酸アルカリ金属塩)を加え同温で1.5時間攪拌した。攪拌後、得られた反応溶液を100℃まで冷却した後、該反応液を水(140mL)に加え2時間攪拌後、析出した結晶を濾過することにより、チオラクトン化合物を、水を含む湿体として得た(40.3g)。
(実施例1)
製造例で得られたチオラクトン化合物(40.3g)に2−ブタノール(196mL;アルコール溶媒)を加え、70℃に昇温し、該チオラクトン化合物を溶解した。得られた溶液に、活性炭(特製白鷺、1.4g)を加え、同温で1.5時間攪拌を行い、同温でろ過した。このとき、活性炭表面に付着した溶液を2−ブタノール(70℃、10mL)で洗い流し、上記ろ過で得られたろ液と混合した。
上記洗い流した液を混合したろ液を112gまで減圧濃縮した。このときチオラクトン化合物が析出したため、得られた濃縮液を内温80℃まで加熱し、該チオラクトン化合物を溶解した。その後、25℃までゆっくり冷却した。なお、冷却中、65℃でチオラクトン化合物の結晶が析出し始めた。25℃で1時間攪拌した後、−5℃まで冷却し、同温で3時間撹拌した。得られた結晶を濾過し、ろ取した結晶の表面を2−ブタノール(10mL)で洗浄し、60℃、17時間送風乾燥し、チオラクトン化合物を得た(24.3g、82.7%(ラクトン化合物基準))。該チオラクトン化合物のHPLC純度は100%だった。
(比較例1)
製造例で得られたチオラクトン化合物(2.85g)を50℃でメタノール(20mL)に溶解し活性炭(特製白鷺、0.3g)加えて同温で30分撹拌し濾過した。このろ液を14mLまで減圧濃縮し50℃まで加熱して固体を溶解後2時間かけて−5℃まで冷却後、同温で3時間撹拌した。析出した結晶を濾過、60℃、17時間送風乾燥することによりチオラクトン化合物(2.28g、76%(ラクトン化合物基準))を得た。本品のHPLC純度は、99.13%だった。
(実施例2)
亜鉛末(9.87g、151mmol)をテトラヒドロフラン(16mL)とトルエン(11mL)とからなる混合溶媒に懸濁させ、26〜30℃を維持するように臭素(5.03g、31.5mmol)を3.5時間かけて滴下した。得られた溶液を55度に加熱し、同温を維持するように1.5時間かけて5−ヨード吉草酸エチル(16.1g、63mmol)を滴下した。得られた溶液を同温で3時間攪拌した後、30℃に冷却した。その後、同温で、実施例1で得られたチオラクトン化合物(15g、45mmol)、トルエン(32mL)、および10%Pd/C(0.41g、0.39mmol)のN,N−ジメチルホルムアミド(4mL)懸濁液を添加し、同温で15時間攪拌した。
15時間攪拌後、得られた反応液に、16%塩酸(29mL)を25℃で加え、同温で1時間攪拌した後、ろ過した。得られたろ液に10%塩酸(10mL)を加えた後、40℃で3時間攪拌した。攪拌後、静置し、水層と有機層の2層に分離させ、該水層を除去した。得られた有機層を、水(31mL)、水(53mL)、水(53mL)、10%炭酸水素ナトリウム水溶液(53mL)、10%チオ硫酸ナトリウム水溶液(53mL)、および水(31mL)の順で洗浄した。
有機層を濃縮した後、トルエン(26mL)を加えて濃縮し、再度同様の操作を行った。得られた濃縮残渣をメタノール(100mL)に溶解させ、活性炭(雪A、1.71g)を加えて、40℃で1時間攪拌した。反応液をろ過し、ビオチン誘導体(18.1g、収率(チオラクトン化合物基準):90.7%)のメタノール溶液を得た。

Claims (5)

  1. 沸点が85℃以上のアルコール溶媒中で、
    下記式(I)
    Figure 2021028315
    (式中、R及びRは、それぞれ、水素原子又はウレイン保護基であり、同一であっても、異なる基であってもよい。)
    で表されるチオラクトン化合物を、
    結晶化させて取り出すことを特徴とする、
    チオラクトン化合物の製造方法。
  2. 前記チオラクトン化合物が前記アルコール溶媒中に溶解した溶液と、
    活性炭と、
    を接触させた後、
    該活性炭を除去して得られる溶液中で該チオラクトン化合物を結晶化させて取り出すことを特徴とする、
    請求項1に記載のチオラクトン化合物の製造方法。
  3. 前記アルコール溶媒が2−ブタノールである、
    請求項1又は2に記載のチオラクトン化合物の製造方法。
  4. 前記アルコール溶媒中に溶解したチオラクトン化合物が、
    不活性ガス雰囲気下、
    下記式(II)
    Figure 2021028315
    (式中R及びRは、前記式(I)におけるものと同義である。)
    で示されるラクトン化合物と、チオカルボン酸アルカリ金属塩と、
    を接触させて得られたものである、
    請求項1〜3の何れか一項に記載のチオラクトン化合物の製造方法。
  5. 請求項1〜4の何れか一項に記載のチオラクトン化合物の製造方法を行うことにより、チオラクトン化合物を製造した後、
    パラジウム触媒およびニッケル触媒から選ばれる少なくとも1種の触媒存在下、
    得られたチオラクトン化合物と、
    下記式(III)
    Figure 2021028315
    (式中、Rは、アルキル基又はアラルキル基である。)
    で表される亜鉛試薬と、
    を接触させて、
    下記式(IV)
    Figure 2021028315
    (式中、R及びRは、前記式(I)におけるものと同義であり、Rは、前記式(III)におけるものと同義である。)
    で表されるビオチン誘導体を製造する方法。
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