JP2021027813A - 嗅覚受容体の利用 - Google Patents

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孝夫 今枝
和美 早川
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和美 早川
律子 与語
Ritsuko Yogo
律子 与語
幸一郎 岩井
Koichiro Iwai
幸一郎 岩井
清美 榊原
Kiyomi Sakakibara
清美 榊原
ユミ 斎木
Yumi Saiki
ユミ 斎木
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Abstract

【課題】加齢度や疾患などの健康状態への関連付けや、健康状態の把握や予測を、容易かつ的確に行うための手段の提供。【解決手段】(a)墨汁又はボルネオール、(b)家庭用ガス又はテトラヒドロチオフェン、及び(c)炒めたニンニク又はジアリルジスルフィドから選択される1種又は2種以上のにおい成分に対する検知能力及び/又は認知能力に関する嗅覚情報を、前記1種又は2種以上のにおい成分に応答する嗅覚受容体の遺伝子における多型に関する多型情報を利用して評価する工程、を備える嗅覚検査方法。【選択図】なし

Description

本明細書は、嗅覚受容体(Olfactory Receptor;OR)の利用に関する。
ヒトは、嗅細胞に発現している受容体とにおい成分とが結合し、その情報が脳に入力されることにより、においを認識するといわれている。ヒトの場合、受容体は396種類存在することが報告されている。
例えば、ヒトが、特定のにおい成分を検知する閾値や特定のにおい成分を同定できるか否かを検査する各種の嗅覚検査方法が知られている。例えば、図7に示すように、閾値検査には、T&Tオルトファクトメーター、パネル選定検査があり、におい成分の同定検査に関しては、T&Tオルトファクトメーター、OSIT−J、Open Essence、UPSIT、Sniffin’Sticks、B−SITなどの検査方法がある。
T&Tオルトファクトメーター(第一薬品産業株式会社製)は、においの検知閾値と認知閾値を評価する検査である。においは、β-フェニルエチルアルコール(ローズ様の香気)、メチルシクロペンテノロン(香ばしいカラメル様香気)、イソ吉草酸(汗様の不快臭)、γ-ウンデカラクトン(桃様の香気)、スカトール(糞様の不快臭)の5種類の成分を使用する。この方法では、はじめてにおいを感じた濃度(検知閾値)とどのような感じのにおいかを感じた濃度(認知閾値)とを測定できるようになっている。
パネル選定検査(第一薬品産業株式会社製)は、においの検知閾値を評価する検査であり、官能検査のパネル選定やパネルの嗅力トレーニングに用いられる。T&Tオルトファクトメーターと共通する5種類のにおいを使用している。
においスティック(Odor Stick Identification Test for Japanese; OSIT−J)(第一薬品産業株式会社製)は、においの同定能力を評価する検査である。においは日本人に馴染みのある12種類のにおい(墨汁、材木、香水、メントール、みかん、カレー、家庭用のガス、バラ、ヒノキ、蒸れた靴下・汗臭い、練乳、炒めたにんにく)を使用する。
Open Essence(富士フィルム和光純薬工業株式会社製)は、においの同定能力を評価する検査である。においスティックと同様の12種類のにおいを用いる。
このように、例えば、我が国で用いられているにおい成分は、T&Tオルトファクトメーター、パネル選定検査で使用されている5種類のにおい成分、においスティック及びOpen Essenceで使用されている12種類である。
ここで、嗅覚検査結果と健康状態や疾患などの関連が各種報告されている。例えば、においスティックの12のにおい成分を用いて、平均年齢68.9歳の女性(健常者群、アルツハイマー病患者群、パーキンソン病患者群)を対象とした嗅覚検査結果が報告されている(非特許文献1、2)。この報告によれば、図8に示すように、材木、香水、みかん、家庭用ガス、炒めたニンニクの正答率が加齢とともに低下していること、アルツハイマー病患者及びパーキンソン病患者は、健常者に比べ、概して正答率が低いこと、アルツハイマー病患者は墨汁、材木、バラ、ひのき、炒めたニンニクのにおい正答率が、パーキンソン病患者は墨汁、メントール、カレー、バラ、ひのき、蒸れた靴下、練乳のにおい正答率が、健常者に比べ劣っている。
また、アルツハイマー病患者の嗅覚認知能力低下は、アミロイドβやタウタンパク質の蓄積量、簡易認知機能検査(MMSE:Mini-Mental State Examination)、アルツハイマー型認知症評価尺度(ADAS:Alzheimer's Disease Assessment Scale)とも相関があることが報告されている(非特許文献3)。
さらに、軽度認知障害(MCI:Mild Cognitive Impairment)患者を対象とした実験では、メントール、みかん、カレーのにおいの認知能力が、レム睡眠行動異常症患者では、バラ、ひのき、メントールのにおいの認知能力が劣っていたことも報告されている(非特許文献4、5)。
こうした各種の嗅覚検査において用いられているにおいのうちいくつかは、当該におい成分に応答する嗅覚受容体が報告されている(特許文献1〜3)。さらに、嗅覚受容体をコードする遺伝子における多型が、嗅覚受容体におけるにおい成分の嗅覚閾値に影響を与えることが報告されている(非特許文献6〜10)。かかる嗅覚受容体として、例えば、OR1D2,OR2J3,OR2M7,OR5A1,OR7D4,OR10G4,OR11H7などの嗅覚受容体が挙げられている。
特開2017−176134号公報 特表2008−538278号公報 特開2012−250958号公報
Jinbo D et al., Psychogeriatrics, 11: 196-204, 2011 関一彦、日老医誌、50: 243-248, 2013 Kouzuki M. et al., Neurol Sci. 39, 321-328; 2018 勝沼紗矢香、日鼻誌、53:73-74、2014 宮本智之、Aroma Research、11:214-217、2010 Keller A. et al., Nature, 491: 468-472, 2007 Menashe I.et al., PLos Biol, 5: e284, 2007 McRae J. F. et al Chem Senses, 37: 584-593, 2012 Jaeger S. R. et al., Curr. Biol, 23: 1601-1605, 2013 Mainland J.D. et al., Nat Neurosci, 17: 114-120, 2014
上記のとおり、嗅覚受容体の遺伝子多型がにおいの嗅覚閾値等に影響を与えることがあるなど、嗅覚特性には、当該個人の生来的な個人差を包含している。
種々の嗅覚検査方法による検査は、非侵襲性であるとともに簡便であり、被験者への負担が少ない点において好都合である。加えて、嗅覚検査結果は、健康状態や種々の疾患などに関連付けられることがわかっている。したがって、嗅覚検査方法は、個人の健康状態や疾患との関連を検査する方法として有用である。
一方、嗅覚検査結果は、個人の嗅覚特性の出力結果であり、確かに個人の現在の嗅覚特性を表すものである。しかしながら、かかる嗅覚検査結果を、嗅覚特性の個人差を包含させたまま、健康状態や疾患等に関連付けしてしまうと、正確な関連付けができない場合がある。すなわち、個人の嗅覚特性を正確に把握するには、嗅覚特性の個人差が考慮されるべきである。また、個人差によって補正された嗅覚特性によって、初めて健康状態や疾患との正確な関連付けが可能となる、といえる。
嗅覚検査方法に用いられているにおいに着目すると、その多くは、そのにおいを構成するにおい成分に応答する嗅覚受容体が明らかにされておらず、遺伝子多型を特定することができていない。このため、遺伝子多型と嗅覚閾値等の関連性も判明していない。このため、嗅覚検査結果における個人差を考慮することができていないのが現状である。
本明細書は、加齢度や疾患などの健康状態への関連付けをより的確に行うための手段を提供する。また、本明細書は、嗅覚検査及び/又は多型解析によって、より健康状態の把握や予測を容易にする手段を提供する。
本発明者らは、嗅覚検査方法で用いられている上記12のにおいのうち、健康状態や疾患に関連深いとされているにおいである「墨汁」、「家庭用ガス」及び「炒めたニンニク」に着目した。さらに、これらのにおいを単一成分で代替するにおい成分として、それぞれ、ボルネオール、テトラヒドロチオフェン及びジアリルジスルフィドを選択し、これらのにおい成分に応答する嗅覚受容体を探索した。その結果、これらのにおい成分につき、それぞれ特異的に応答する嗅覚受容体を同定できた。本明細書は、これらの知見に基づき以下の手段を提供する。
[1]嗅覚検査方法であって、
(a)墨汁又はボルネオール、(b)家庭用ガス又はテトラヒドロチオフェン、及び(c)炒めたニンニク又はジアリルジスルフィドから選択される1種又は2種以上のにおい又はにおい成分に対する検知能力及び/又は認知能力に関する嗅覚情報を、前記1種又は2種以上のにおい成分等に応答する嗅覚受容体の遺伝子における多型に関する多型情報を利用して評価する工程、を備える、方法。
[2]前記多型情報は、前記(a)に関してOR2M3をコードする遺伝子の多型に関する多型情報、前記(b)に関してOR4S2をコードする遺伝子の多型に関する多型情報、及び前記(c)に関してOR2W1をコードする遺伝子の多型に関する多型情報から選択される1種又は2種以上である、[1]に記載の方法。
[3]前記多型情報は、前記(a)に関して配列番号1で表されるアミノ酸配列を有するタンパク質をコードする遺伝子の多型に関する多型情報、前記(b)に関して配列番号3で表されるアミノ酸配列を有するタンパク質をコードする遺伝子の多型に関する多型情報、前記(c)に関して配列番号5で表されるアミノ酸配列を有するタンパク質をコードする遺伝子における多型に関する多型情報である、[2]に記載の方法。
[4]さらに、メントール、バラ又はフェニルアセトアルデヒド及び蒸れた靴下又はイソ吉草酸からなる群から選択される1種又は2種以上のにおい又はにおい成分に対する検知能力及び/又は認知能力に関する嗅覚情報を、前記1種又は2種以上のにおい成分等に応答する嗅覚受容体の遺伝子における多型に関する多型情報を利用して評価する工程を備える、[1]〜[3]のいずれかに記載の方法。
[5](a)墨汁又はボルネオール、(b)家庭用ガス又はテトラヒドロチオフェン、(c)炒めたニンニク又はジアリルジスルフィドから選択される1種又は2種以上のにおい又はにおい成分に対応して、前記(a)に関してOR2M3をコードする遺伝子の多型に関する多型情報、前記(b)に関してOR4S2をコードする遺伝子の多型に関する多型情報及び前記(c)に関してOR2W1をコードする遺伝子の多型に関する多型情報から選択される1種又は2種以上の多型情報を取得する工程、
を備える、前記(a)〜(c)のにおい又はにおい成分の検知能力及び/又は認知能力に関する嗅覚検査を補正するための情報を取得する、方法。
[6]OR2M3をコードする遺伝子の多型に関する多型情報、OR4S2をコードする遺伝子の多型に関する多型情報及びOR2W1をコードする遺伝子の多型に関する多型情報から選択される1種又は2種以上の多型情報を取得する工程、
を備える、加齢度に関連する加齢度関連情報を取得する、方法。
[7]OR2M3をコードする遺伝子の多型に関する多型情報及びOR2W1をコードする遺伝子の多型に関する多型情報から選択される1種又は2種以上の多型情報を取得する工程、
を備える、アルツハイマー病に関連するアルツハイマー病関連情報を取得する、方法。
[8]OR2M3をコードする遺伝子の多型に関する多型情報を取得する工程、
を備える、パーキンソン病に関連するパーキンソン病関連情報を取得する、方法。
[9]OR2M3をコードする遺伝子の多型に関する多型情報、OR4S2をコードする遺伝子の多型に関する多型情報及びOR2W1をコードする遺伝子の多型に関する多型情報から選択される1種又は2種以上の多型情報を取得するための1又は2以上の試薬又はデバイスを備える、キット。
[10](a)墨汁又はボルネオール、(b)家庭用ガス又はテトラヒドロチオフェン、(c)炒めたニンニク又はジアリルジスルフィドから選択される1種又は2種以上のにおい又はにおい成分に対する検知能力及び/又は認知能力に関する嗅覚情報を取得する工程と、
前記1種又は2種以上のにおい又はにおい成分に対応して、前記(a)に関してOR2M3をコードする遺伝子の多型に関する多型情報、前記(b)に関してOR4S2をコードする遺伝子の多型に関する多型情報及び前記(c)に関してOR2W1をコードする遺伝子の多型に関する多型情報から選択される1種又は2種以上の多型情報を取得する工程と、
を備える、加齢度又は疾患に関連する情報を取得する方法。
[11](a)墨汁又はボルネオール、(b)家庭用ガス又はテトラヒドロチオフェン、(c)炒めたニンニク又はジアリルジスルフィドから選択される1種又は2種以上のにおい又はにおい成分に対する検知能力及び/又は認知能力に関する嗅覚情報を取得するための第1のキットと、
前記1種又は2種以上のにおい成分等に対応して、前記(a)に関してOR2M3をコードする遺伝子の多型に関する多型情報、前記(b)に関してOR4S2をコードする遺伝子の多型に関する多型情報及び前記(c)に関してOR2W1をコードする遺伝子の多型に関する多型情報から選択される1種又は2種以上の多型情報を取得するための第2のキットと、を備える、加齢度又は疾患に関連する情報を取得するためのキット。
[12]多型と嗅覚との関連性に関する情報を取得する方法であって、
(a)墨汁又はボルネオール、(b)家庭用ガス又はテトラヒドロチオフェン、(c)炒めたニンニク又はジアリルジスルフィドから選択される1種又は2種以上のにおい又はにおい成分に対する被験者の検知能力及び/又は認知能力に関する嗅覚情報を取得する工程と、
前記1種又は2種以上のにおい成分等に対応して、前記被験者の、前記(a)に関してOR2M3をコードする遺伝子の多型に関する多型情報、前記(b)に関してOR4S2をコードする遺伝子の多型に関する多型情報及び前記(c)に関してOR2W1をコードする遺伝子の多型に関する多型情報から選択される1種又は2種以上の多型情報を取得する工程と、
前記嗅覚情報と前記多型情報とに基づいて、前記多型と前記1種又は2種以上のにおい又はにおい成分に対する嗅覚による検知能力又は認知能力との関連性についての関連性情報を取得する工程と、を備える方法が提供される。
[13]多型と健康状態との関連性に関する情報を取得する方法であって、
被験者の加齢度、アルツハイマー病及びパーキンソン病からなる群から選択される1種又は2種以上の健康状態についての指標を含む指標情報を取得する工程と、
前記1種又は2種以上の健康状態に対応して、前記被験者の、加齢度に関して、OR2M3をコードする遺伝子の多型に関する多型情報、OR4S2をコードする遺伝子の多型に関する多型情報及びOR2W1をコードする遺伝子の多型に関する多型情報から選択される1種又は2種以上の多型情報、アルツハイマー病に関して、OR2M3をコードする遺伝子の多型に関する多型情報及びOR2W1をコードする遺伝子の多型に関する多型情報から選択される1種又は2種の多型情報、及びパーキンソン病に関して、OR2M3をコードする遺伝子の多型に関する多型情報を取得する工程と、
前記指標情報と前記多型情報とに基づいて、前記多型と前記1種又は2種以上の健康状態との関連性についての関連性情報を取得する工程と、を備える方法。
[14]多型と嗅覚受容体応答性との関連性に関する情報を取得する方法であって、
(a)墨汁又はボルネオール、(b)家庭用ガス又はテトラヒドロチオフェン、(c)炒めたニンニク又はジアリルジスルフィドから選択される1種又は2種以上のにおい又はにおい成分に対応して、前記(a)に関してOR2M3をコードする遺伝子の多型に関する多型情報、前記(b)に関してOR4S2をコードする遺伝子の多型に関する多型情報及び前記(c)に関してOR2W1をコードする遺伝子の多型に関する多型情報から選択される1種又は2種以上の多型情報に基づいて、多型を有する嗅覚受容体を取得する工程と、
前記多型を有する嗅覚受容体について、前記1種又は2種以上のにおい又はにおい成分に対する応答性を含む応答性情報を取得する工程と、
を備える方法。
[15]嗅覚受容体多型の嗅覚受容体応答性を変化させる化合物のスクリーニング方法であって、
(a)墨汁又はボルネオール、(b)家庭用ガス又はテトラヒドロチオフェン、(c)炒めたニンニク又はジアリルジスルフィドから選択される1種又は2種以上のにおい又はにおい成分に対応して、前記(a)に関してOR2M3をコードする遺伝子の多型に関する多型情報、前記(b)に関してOR4S2をコードする遺伝子の多型に関する多型情報及び前記(c)に関してOR2W1をコードする遺伝子の多型に関する多型情報から選択される1種又は2種以上の多型情報に基づいて、多型を有する嗅覚受容体を取得する工程と、
前記多型を有する嗅覚受容体に被験化合物を供給して、前記1種又は2種以上のにおい又はにおい成分に対する前記嗅覚受容体の応答性を変化させる化合物をスクリーニングする工程と、
を備える、方法。
[16]多型と健康状態との関連性に関する情報を取得する方法であって、
加齢度に関して、OR2M3をコードする遺伝子の多型に関する多型情報、OR4S2をコードする遺伝子の多型に関する多型情報及びOR2W1をコードする遺伝子の多型に関する多型情報から選択される1種又は2種以上の多型情報、アルツハイマー病に関して、OR2M3をコードする遺伝子の多型に関する多型情報及びOR2W1をコードする遺伝子の多型に関する多型情報から選択される1種又は2種の多型情報、及びパーキンソン病に関して、OR2M3をコードする遺伝子の多型に関する多型情報を利用して、加齢度、アルツハイマー病及びパーキンソン病のいずれかの健康状態に対応する多型を有する遺伝子改変動物を取得する工程と、
前記遺伝子改変動物の前記健康状態についての指標を含む指標情報を取得する工程と、を備える、方法。
[17]健康状態を改善する化合物のスクリーニング方法であって、
加齢度に関して、OR2M3をコードする遺伝子の多型に関する多型情報、OR4S2をコードする遺伝子の多型に関する多型情報及びOR2W1をコードする遺伝子の多型に関する多型情報から選択される1種又は2種以上の多型情報、アルツハイマー病に関して、OR2M3をコードする遺伝子の多型に関する多型情報及びOR2W1をコードする遺伝子の多型に関する多型情報から選択される1種又は2種の多型情報、及びパーキンソン病に関して、OR2M3をコードする遺伝子の多型に関する多型情報を利用して、加齢度、アルツハイマー病及びパーキンソン病のいずれかの健康状態に対応する多型を有する遺伝子改変動物を取得する工程と、
被験化合物を前記遺伝子改変動物に投与して前記健康情報を改善する化合物をスクリーニングする工程と、
を備える、方法。
ボルネオールに対する全嗅覚受容体応答評価結果を示す図である。 テトラヒドロチオフェンに対する全嗅覚受容体応答評価結果を示す図である。 ジアリルジスルフィドに対する全嗅覚受容体応答評価結果を示す図である。 ボルネオールに対する応答性の濃度依存性評価結果を示す図である。 テトラヒドロチオフェンに対する応答性の濃度依存性評価結果を示す図である。 ジアリルジスルフィドに対する応答性の濃度依存性評価結果を示す図である。 従来用いられている各種の嗅覚検査方法とにおい成分との関係を示す図である。 非特許文献1及び非特許文献2による特定のにおいに対する嗅覚の認知能力と疾患との関係を示す図である。
本明細書は、新規に同定された特定におい成分に応答する嗅覚受容体の利用に関し、嗅覚検査方法、嗅覚受容体遺伝子の多型と嗅覚検査に対する影響に関する影響情報、前記多型と健康度、アルツハイマー病やパーキンソン病に関する情報を取得する方法等に関する。
本明細書に開示される手段によれば、(a)墨汁又はボルネオール、(b)家庭用ガス又はテトラヒドロチオフェン、(c)炒めたニンニク又はジアリルジスルフィドに対する検知能力又は認知能力を含む嗅覚検査結果に関する嗅覚情報を、これらのにおい又はにおい成分に影響を及ぼす可能性のある遺伝子の多型情報に基づいて適正化できるため、より高い確度で、被験者の嗅覚に関する特性を取得でき、かつより高い確度で、加齢度や疾患との関連付けを行うことができる。
さらに、これらのにおい又はにおい成分に影響を及ぼす可能性のある遺伝子における多型に関する多型情報を、これらのにおい又はにおい成分に対する検知能力又は認知能力を含む検査結果に関する嗅覚情報及び/又は加齢度や疾患などの健康状態に関する情報への関連付けが可能になるため、新たに、抗老化や疾患の治療などの標的遺伝子又は標的タンパク質を見出すことも可能となる。
本明細書において「多型」とは、遺伝子型における多型(遺伝的多型)を意味している。遺伝的多型としては、VNTR、STRP、一塩基多型(SNP)が挙げられるが、本明細書において、嗅覚受容体遺伝子の多型というときには、SNPを意味している。なお、嗅覚受容体遺伝子上の多型とは、嗅覚受容体タンパク質のコード領域における多型に限定するものではなく、プロモーター、ターミネーター他の調節領域における多型を包含する。
本明細書において「におい成分」とは、ヒトなどに供給したとき、なんらかのにおいを感知させる物質をいう。概して、常温又は体温付近の温度で少なくとも一部が気体となる物質である。
本明細書において「嗅覚受容体」又は「受容体」は、嗅細胞(嗅覚受容神経)にあるGタンパク質結合受容体の1種であればよく、由来動物種を特に限定しない。本評価方法の目的に応じて、由来動物種や受容体の種類を選択することができ、必要に応じて1又は2以上の受容体を用いることができる。ヒトにおいて知覚されうるにおい成分の応答評価のためには、ヒト由来の受容体を用いることが好ましい。
例えば、ヒト嗅覚受容体のアミノ酸配列及びそれをコードするDNAの塩基配列は公知である。代表的なポリヌクレオチド(cDNA)を含む塩基配列は公知のデータベースGenBank(http://www.ncbi.nlm.nih.gov/genbank/)等から容易に取得できる。
以下、新規に同定された特定のにおい成分に応答する嗅覚受容体について説明し、さらに、これらの嗅覚受容体の利用について説明する。
(墨汁又はボルネオールに対して応答する嗅覚受容体)
墨汁は、既述のにおいスティック及びOpen Essenceにおいて使用されており、アルツハイマー病患者及びパーキンソン病患者の嗅覚検査において、このにおいに対する認知能力が低下することがわかっている。
墨汁のにおい成分はボルネオールであり、墨汁のにおいは、ボルネオールで代替することができる。本発明者らによれば、墨汁又はボルネオールは、ヒト嗅覚受容体(タンパク質)の一つであるOR2M3によって応答され、においとして認知される。ヒト嗅覚受容体の396種類に対してスクリーニングした結果、OR2M3が選択された。
ヒトOR2M3は、配列番号1で表されるアミノ酸配列からなり、配列番号2で表される塩基配列でコードされるタンパク質である。嗅覚検査法は、主としてヒトなどの哺乳類に適用されるが、他の哺乳動物等の動物に適用されうる。この場合、OR2M3に対応するホモログ又はオルソログについても、後述する応答評価方法に従い、墨汁又はボルネオールに選択的応答性を示す限り、当該動物等に関連した嗅覚検査に用いることができる。また、ヒトOR2M3において人工的に変異を導入した変異体について、墨汁又はボルネオールに対する応答性を変化(増強又は抑制等)させて利用する態様もありうる。
ヒトOR2M3と同様に、あるいは、ヒトOR2M3を代替して、墨汁又ボルネオールに対する応答性を評価可能なタンパク質としては、墨汁又はボルネオールに対する応答性を有する範囲で、配列番号1で表されるアミノ酸配列に対する同一性が、例えば、70%以上、また例えば75%以上、また例えば80%以上、また例えば85%以上、また例えば90%以上、また例えば95%以上、また例えば96%以上、また例えば97%以上、また例えば98%以上、また例えば99%以上、また例えば99.5%以上であるアミノ酸配列を有するタンパク質が挙げられる。
また、配列番号2で表される塩基配列に対する同一性が、例えば、70%以上、また例えば75%以上、また例えば80%以上、また例えば85%以上、また例えば90%以上、また例えば95%以上、また例えば96%以上、また例えば97%以上、また例えば98%以上、また例えば99%以上、また例えば99.5%以上の塩基配列によってコードされるタンパク質であって、墨汁又はボルネオールに対する応答性を有するタンパク質が挙げられる。
なお、本明細書において、塩基配列又はアミノ酸配列の同一性又は類似性とは、当該技術分野で知られているとおり、配列を比較することにより決定される、2以上のタンパク質あるいは2以上のポリヌクレオチドの間の関係である。当該技術で“同一性 ”とは、タンパク質またはポリヌクレオチド配列の間のアラインメントによって、あるいは場合によっては、一続きのそのような配列間のアラインメントによって決定されるような、タンパク質またはポリヌクレオチド配列の間の配列不変性の程度を意味する。また、類似性とは、タンパク質またはポリヌクレオチド配列の間のアラインメントによって、あるいは場合によっては、一続きの部分的な配列間のアラインメントによって決定されるような、タンパク質またはポリヌクレオチド配列の間の相関性の程度を意味する。より具体的には、配列の同一性と保存性(配列中の特定アミノ酸又は配列における物理化学特性を維持する置換)によって決定される。なお、類似性は、後述するBLASTの配列相同性検索結果においてSimilarityと称される。同一性及び類似性を決定する方法は、対比する配列間で最も長くアラインメントするように設計される方法であることが好ましい。同一性及び類似性を決定するための方法は、公衆に利用可能なプログラムとして提供されている。例えば、AltschulらによるBLAST(Basic Local Alignment Search Tool)プログラム(たとえば、Altschul SF, Gish W, Miller W, Myers EW, Lipman DJ., J. Mol. Biol., 215: p403-410 (1990), Altschyl SF, Madden TL, Schaffer AA, Zhang J, Miller W, Lipman DJ., Nucleic Acids Res. 25: p3389-3402 (1997))を利用し決定することができる。BLASTのようなソフトウェアを用いる場合の条件は、特に限定するものではないが、デフォルト値を用いるのが好ましい。
(家庭用ガス又はテトラヒドロチオフェンに対して応答する嗅覚受容体)
家庭用ガスは、既述のにおいスティック及びOpen Essenceにおいて使用されており、加齢によりこのにおいに対する認知能力が低下することがわかっている。
家庭用ガスのにおい成分はテトラチオフェンであり、家庭用ガスのにおいは、テトラチオフェンで代替することができる。本発明者らによれば、家庭用ガス又はテトラチオフェンチオフェンは、ヒト嗅覚受容体の一つであるOR4S2によって応答され、においとして認知される。ヒト嗅覚受容体の396種類に対してスクリーニングした結果、OR4S2が選択された。
ヒトOR4S2は、配列番号3で表されるアミノ酸配列からなり、配列番号4で表される塩基配列でコードされるタンパク質である。既述のとおり、OR4S2に対応するホモログ又はオルソログについても、後述する応答評価方法に従い、家庭用ガス又はテトラチオフェンに選択的応答性を示す限り、当該動物等に関連した嗅覚検査に用いることができる。また、ヒトOR4S2において人工的に変異を導入した変異体について、既述のとおり利用する態様もありうる。
ヒトOR4S2と同様に、あるいは、ヒトOR4S2を代替して、家庭用ガス又はテトラチオフェンに対する応答性を評価可能なタンパク質としては、家庭用ガス又はテトラチオフェンに対する応答性を有する範囲で、配列番号3で表されるアミノ酸配列に対する同一性が、例えば、70%以上、また例えば75%以上、また例えば80%以上、また例えば85%以上、また例えば90%以上、また例えば95%以上、また例えば96%以上、また例えば97%以上、また例えば98%以上、また例えば99%以上、また例えば99.5%以上であるアミノ酸配列を有するタンパク質が挙げられる。
また、配列番号4で表される塩基配列に対する同一性が、例えば、70%以上、また例えば75%以上、また例えば80%以上、また例えば85%以上、また例えば90%以上、また例えば95%以上、また例えば96%以上、また例えば97%以上、また例えば98%以上、また例えば99%以上、また例えば99.5%以上の塩基配列によってコードされるタンパク質であって、家庭用ガス又はテトラチオフェンに対する応答性を有するタンパク質が挙げられる。
(炒めたニンニク又はジアリルジスルフィドに対して応答する嗅覚受容体)
炒めたニンニクは、既述のにおいスティック及びOpen Essenceにおいて使用されており、加齢によりこのにおいに対する認知能力が低下することがわかっているとともに、アルツハイマー病によりこのにおいに対する認知能力が低下することがわかっている。
炒めたニンニクのにおい成分はジアリルジスルフィドであり、炒めたニンニクのにおいは、ジアリルジスルフィドで代替することができる。本発明者らによれば、家庭用ガス又はジアリルジスルフィドは、ヒト嗅覚受容体の一つであるOR2W1によって応答され、においとして認知される。ヒト嗅覚受容体の396種類に対してスクリーニングした結果、OR2W1が選択された。
ヒトOR2W1は、配列番号5で表されるアミノ酸配列からなり、配列番号6で表される塩基配列でコードされるタンパク質である。既述のとおり、OR2W1に対応するホモログ又はオルソログについても、後述する応答評価方法に従い、炒めたニンニク又はジアリルジスルフィドに選択的応答性を示す限り、当該動物等に関連した嗅覚検査に用いることができる。また、ヒトOR2W1において人工的に変異を導入した変異体について、既述のとおり利用する態様もありうる。
ヒトOR2W1と同様に、あるいは、ヒトOR2W1を代替して、炒めたニンニク又はジアリルジスルフィドに対する応答性を評価可能なタンパク質としては、炒めたニンニク又はジアリルジスルフィドに対する応答性を有する範囲で、配列番号5で表されるアミノ酸配列に対する同一性が、例えば、70%以上、また例えば75%以上、また例えば80%以上、また例えば85%以上、また例えば90%以上、また例えば95%以上、また例えば96%以上、また例えば97%以上、また例えば98%以上、また例えば99%以上、また例えば99.5%以上であるアミノ酸配列を有するタンパク質が挙げられる。
また、配列番号6で表される塩基配列に対する同一性が、例えば、70%以上、また例えば75%以上、また例えば80%以上、また例えば85%以上、また例えば90%以上、また例えば95%以上、また例えば96%以上、また例えば97%以上、また例えば98%以上、また例えば99%以上、また例えば99.5%以上の塩基配列によってコードされるタンパク質であって、炒めたニンニク又はジアリルジスルフィドに対する応答性を有するタンパク質が挙げられる。
本明細書における嗅覚検査方法他、後述する嗅覚情報を補正するための情報を取得する方法、加齢度又は疾患に関連する情報の取得方法、多型と嗅覚との関連性に関する情報を取得する方法、多型と健康状態との関連性に関する情報を取得する方法、多型と嗅覚受容体応答性との関連性に関する情報を取得する方法、嗅覚受容体多型の嗅覚受容体応答性を変化させる化合物のスクリーニング方法及びこれらのためのキット等においては、上記3種のにおい又はにおい成分に対して応答する嗅覚受容体のほか、以下に示すにおい又はにおい成分に対して応答する嗅覚受容体を利用できる。これらにおい又はにおい成分に対する応答する嗅覚受容体を利用することで、嗅覚検査方法の精度を一層向上させることができる。
(メントールに対して応答する嗅覚受容体)
これらの嗅覚受容体に加えて、例えば、メントールに応答する嗅覚受容体として、OR2W1が挙げられる。メントールは、においスティックで用いられているにおい成分であり、パーキンソン病患者において、メントールのにおい正答率が健常者に比べて劣っている。ヒトOR2W1は、既述のとおり、配列番号5で表されるアミノ酸配列からなり、配列番号6で表される塩基配列でコードされるタンパク質である。
既述のとおり、OR2W1に対応するホモログ又はオルソログについても、後述する応答評価方法に従い、メントールに選択的応答性を示す限り、当該動物等に関連した嗅覚検査に用いることができる。また、ヒトOR2W1において人工的に変異を導入した変異体について、既述のとおり利用する態様もありうる。
(バラ又はフェニルアセトアルデヒドに対して応答する嗅覚受容体)
さらに、例えば、バラ又はフェニルアセトアルデヒドに対して応答する嗅覚受容体として、OR51L1が挙げられる。バラは、においスティックで用いられているにおい成分であり、アルツハイマー病患者及びパーキンソン病患者(ただし、アルツハイマー病患者がより劣っている。)が、健常者に比べてにおい正答率が劣っている。バラのにおい成分は、フェニルアセトアルデヒドであり、バラのにおいは、フェニルアセトアルデヒドで代替できる。
ヒトOR51L1は、例えば、配列番号7で表されるアミノ酸配列からなり、配列番号8で表される塩基配列でコードされるタンパク質である。既述のとおり、OR51L1に対応するホモログ又はオルソログについても、後述する応答評価方法に従い、フェニルアセトアルデヒドに選択的応答性を示す限り、当該動物等に関連した嗅覚検査に用いることができる。また、ヒトOR51L1において人工的に変異を導入した変異体について、既述のとおり利用する態様もありうる。
(蒸れた靴下又はイソ吉草酸に対して応答する嗅覚受容体)
さらに、例えば、蒸れた靴下又はイソ吉草酸に対して応答する嗅覚受容体として、OR51E1及び/又はOR51I2が挙げられる。蒸れた靴下は、においスティックで用いられているにおい成分であり、パーキンソン病患者が、健常者に比べてにおい正答率が劣っている。蒸れた靴下におい成分は、イソ吉草酸であり、蒸れた靴下のにおいは、イソ吉草酸で代替できる。
ヒトOR51E1及びOR51I2は、それぞれ、例えば、配列番号9及び11で表されるアミノ酸配列からなり、配列番号10及び12で表される塩基配列でコードされるタンパク質である。既述のとおり、OR51E1及びOR51I2に対応するホモログ又はオルソログについても、後述する応答評価方法に従い、イソ吉草酸に選択的応答性を示す限り、当該動物等に関連した嗅覚検査に用いることができる。また、ヒトOR51E1及びヒトOR51I2において人工的に変異を導入した変異体について、既述のとおり利用する態様もありうる。
(嗅覚受容体の利用)
本発明者らが、特定のにおい成分等に応答するとして見出したこれらの嗅覚受容体をコードする遺伝子における多型の有無は、嗅覚検査結果に影響を及ぼす可能性がある。これまで、嗅覚受容体遺伝子における多型が、嗅覚受容体における応答性を変化(増強又は抑制)することがあるからである。したがって、これらの嗅覚受容体遺伝子における多型の有無に関する情報を取得して、その情報で、検査結果に対して注意を喚起することができる。また、これらの嗅覚受容体遺伝子における多型と嗅覚検査結果との関連性から、多型がにおい成分に対する検知能力及び/又は認知能力に及ぼす影響を予め取得して、検査結果を補正する情報として取得したり、当該情報を利用したりして嗅覚検査結果の精度を向上させることができる。
さらに、こうした嗅覚受容体遺伝子の多型の有無等と嗅覚検査とを実施することが可能なキットを提供することで、確度の高い嗅覚検査方法を容易に実施できるようになる。
さらにまた、嗅覚受容体遺伝子の多型を解析することで、嗅覚情報や加齢度や疾患などの情報と関連付けすることが可能となり、健康状態に関して嗅覚検査及び/又は多型解析による把握が容易になる。以下、嗅覚受容体又は当該受容体をコードする遺伝子の利用について説明する。
(嗅覚検査方法)
本明細書に開示される嗅覚検査方法(以下、本検査方法ともいう。)は、(a)墨汁又はボルネオール、(b)家庭用ガス又はテトラヒドロチオフェン、(c)炒めたニンニク又はジアリルジスルフィドから選択される1種又は2種以上のにおい又はにおい成分(以下、単に、におい成分等ともいう。)に対する検知能力又は認知能力に関する嗅覚情報を、前記1種又は2種以上のにおい成分等に応答する嗅覚受容体の遺伝子における多型に関する多型情報を利用して、前記嗅覚情報を評価する工程、を備えることができる。
本検査方法によれば、上記(a)〜(c)のにおい成分等に対する検知能力及び/又は認知能力に関する嗅覚情報とともに、検査対象となったにおい成分に関連する嗅覚受容体遺伝子の多型情報情報とを利用することで、嗅覚情報を、遺伝子多型による補正する必要性(可能性)の有無、補正の内容を提供できるため、確度の高い嗅覚情報を取得することができる。
上記(a)〜(c)のにおい成分等に対する検知能力及び/又は認知能力に関する嗅覚情報は、従来公知の方法のほか、これらのにおい成分についての個別の方法で取得することができる。当業者であれば、本願出願時における種々の嗅覚検査方法に関する公知技術から、これらの成分の検知能力及び/又は認知能力のための嗅覚検査方法を適宜デザインすることができる。
上記(a)〜(c)のにおい成分等に対して応答する嗅覚受容体における遺伝子多型の存在及びその種類は、公知のデータベースにおいてから取得することができる。例えば、The Human Olfactory Data Explorerがあり、1000人ゲノムプロジェクトで解析された各嗅覚受容体のハプロタイプの種類と頻度の情報を取得することができる(https://genome.weizmann.ac.il/horde/)。
また、嗅覚情報を評価するのに用いる多型情報としては、嗅覚検査の対象者(個体)から取得したゲノム情報や特定遺伝子のゲノム上の領域を取得した上で、多型の有無やその組合せや、各多型についてホモ型であるか又はヘテロ型であるかなどの情報を含むことができる。なお、個体のゲノム上の多型情報は、当業者であれば公知の方法に基づいて取得することができる。
多型の存在があれば、嗅覚情報に対して、多型による検査結果に対する影響の可能性があることのほか、後述する、多型がにおい成分の検知能力及び/又は認知能力に対する影響に関する影響情報を参照するべきであるとの情報を提供することができる。また、さらに、上記影響情報を利用して、嗅覚情報を積極的に補正できる場合もある。
本検査方法において利用できる多型情報は、(a)に関してOR2M3をコードする遺伝子の多型に関する情報であり、(b)に関して、OR4S2をコードする遺伝子の多型に関する情報であり、(c)に関してOR2W1をコードする遺伝子の多型に関する情報である。ここで、これらの遺伝子については、ホモログ又はオルソログを含んでいる。
OR2M3遺伝子については、例えば、配列番号1で表されるアミノ酸配列をコードする遺伝子の多型、配列番号2で表される塩基配列を含む遺伝子の多型が挙げられる。OR4S2遺伝子については、例えば、配列番号3で表されるアミノ酸配列をコードする遺伝子の多型、配列番号4で表される塩基配列を含む遺伝子の多型が挙げられる。OR2W1遺伝子については、例えば、配列番号5で表されるアミノ酸配列をコードする遺伝子の多型、配列番号6で表される塩基配列を含む遺伝子の多型が挙げられる。
例えば、ヒトOR2M3遺伝子については、例えば、以下の多型が知られている(表1)。また、ヒトOR4S2遺伝子については、例えば、以下の多型が知られている(表2)。また、ヒトOR2W1については、例えば、以下の多型が知られている(表3)。
これらの嗅覚受容体遺伝子における多型情報を得るには、嗅覚検査方法の対象となった被験者の全ゲノム情報や当該嗅覚受容体遺伝子のゲノム情報が予め存在する場合には、それらのゲノム情報に基づいて取得することができるし、そうでない場合には、嗅覚検査に先だって、同時に又はその後におけるゲノム情報等に基づいた多型の検出のための検査によることができる。
(嗅覚情報を補正するための情報を取得する方法等)
こうした、特定の嗅覚受容体遺伝子の1種又は2種以上についての多型に関する多型情報を取得する工程を備える、方法は、多型情報自体が、嗅覚検査の結果についての嗅覚情報の正確な利用や評価に有用であり、嗅覚情報を補正するための情報として取得する方法として実施することができる。
また、これらの嗅覚受容体遺伝子は、嗅覚検査に関連するほか、特定の疾患や加齢度に関連している。こうした多型情報を取得する工程を備える方法は、それ自体、加齢度が疾患に関連する情報を取得する方法として有用である。
例えば、OR2M3をコードする遺伝子の多型に関する多型情報、OR4S2をコードする遺伝子の多型に関する多型情報及びOR2W1をコードする遺伝子の多型に関する多型情報から選択される1種又は2種以上の多型情報を、被験者の加齢度に関する情報を含む加齢度関連情報として取得することができる。既述のとおりにおい成分(a)については、加齢によってその認知能力に影響が出にくく、におい成分(b)及び同(c)については、加齢によって認知能力が低くなる傾向があるからであり、これらのにおい成分に応答する嗅覚受容体遺伝子における多型に関する情報は、例えば、被験者について、例えば年齢に応じて増加又は低下するような公知の生理学的数値に基づいて特定年齢以上であるとか実年齢以上であるとかの加齢度関連情報を提供できる可能性があり、それ自体、加齢度関連情報として有用である。したがって、かかる多型情報は、嗅覚検査に基づく加齢度に関する情報を含む加齢度関連情報を適切化できるほか、独立して、加齢度関連情報を提供できる。ここでの多型情報は、これらの遺伝子における多型の有無、種類及びホモ/ヘテロである。なかでも、OR4S2をコードする遺伝子及びOR2W1をコードする遺伝子の多型情報が有用である。
例えば、OR2M3をコードする遺伝子の多型に関する多型情報及びOR2W1をコードする遺伝子の多型に関する多型情報から選択される1種又は2種の多型情報に基づいて、被験者のアルツハイマー病に関する情報を含むアルツハイマー病関連情報を取得することができる。既述のとおりにおい成分(a)及び同(c)については、アルツハイマー病によって認知能力が低くなる傾向があるからであり、これらのにおい成分に応答する嗅覚受容体遺伝子における多型に関する情報は、アルツハイマー病の発症可能性や予兆、進行度についてのアルツハイマー病関連情報を提供できる可能性があり、それ自体、アルツハイマー病関連情報として有用である。したがって、嗅覚検査に基づくアルツハイマー病関連情報を適切化できるほか、独立してアルツハイマー病関連情報を提供できる。ここでの多型情報は、これらの遺伝子における多型の有無、種類及びホモ/ヘテロである。
例えば、OR2M3をコードする遺伝子の多型に関する多型情報に基づいて、被験者のパーキンソン病に関する情報を含むパーキンソン病関連情報を取得することができる。既述のとおりにおい成分(a)については、パーキンソン病によって認知能力が低くなる傾向があるからであり、このにおい成分に応答する嗅覚受容体遺伝子における多型に関する情報は、パーキンソン病の発症可能性や予兆、進行度に関するパーキンソン病関連情報を提供できる可能性があり、それ自体、パーキンソン病関連情報として有用である。したがって、嗅覚検査に基づくパーキンソン病関連情報を適切化できるほか、独立してアルツハイマー病関連情報を提供できる。ここでの多型情報は、この遺伝子における多型の有無、種類及びホモ/ヘテロである。
(嗅覚検査を補正するための情報を取得するためのキット等)
以上のことから、上記特定のにおい成分に対応する嗅覚受容体遺伝子から選択される1種又は2種以上の遺伝子の多型情報を取得するためのキットを、嗅覚検査を補正するための情報を取得するためのキット、又は、加齢度関連情報、アルツハイマー病関連情報及びパーキンソン病関連情報を得るためのキットなどとして実施できる。
遺伝子の多型を検査するために必要な要素として、特に限定するものではないが、公知の多型の検査方法に準じて適宜デザインすることができる。例えば、ゲノム含有試料の採取のための器具、PCRなどによる遺伝子増幅器具又はプライマーなどの試薬、特定の多型を検出するための分析器具又はプローブなどの試薬、塩基配列の同定のための分析装置等が挙げられ、当業者であれば、必要に応じて、例えば、適宜これらの少なくとも一部を含むようにキットを構成できる。
(加齢度又は疾患に関連する情報の取得方法)
また、(a)〜(c)から選択される1種又は2種以上のにおい成分等に対する検知能力及び/又は認知能力に関する嗅覚情報を取得する工程と、前記1種又は2種以上のにおい又はにおい成分に対応して、前記(a)に関してOR2M3をコードする遺伝子の多型に関する多型情報、前記(b)に関してOR4S2をコードする遺伝子の多型に関する多型情報及び前記(c)に関してOR2W1をコードする遺伝子の多型に関する多型情報から選択される1種又は2種以上の多型情報を取得する工程と、を備える、方法は、適切化された嗅覚情報を得ることができる嗅覚検査方法として実施できるほか、加齢度又は疾患に関連する情報を取得する方法としても実施できる。なお、上記のとおり、加齢度や疾患については、それぞれ、特定のにおい成分等や嗅覚受容体遺伝子を対象とすることができる。
(加齢度又は疾患に関連する情報を取得するためのキット)
本明細書に開示されるキットは、(a)〜(c)から選択される1種又は2種以上のにおい成分等に対する検知能力又は認知能力に関する嗅覚情報を取得するための第1のキットと、前記1種又は2種以上のにおい成分等に対応して、前記(a)に関してOR2M3をコードする遺伝子の多型に関する多型情報、前記(b)に関してOR4S2をコードする遺伝子の多型に関する多型情報及び前記(c)に関してOR2W1をコードする遺伝子の多型に関する多型情報から選択される1種又は2種以上の多型情報を取得するための第2のキットと、を備えることができる。
このキットによれば、嗅覚情報を取得した上で、多型情報で嗅覚情報に基づいて得られる知見を適切化できる。なお、上記のとおり、加齢度や疾患については、それぞれ、特定のにおい成分や遺伝子を対象とすることができる。第1のキットについては、従来公知の嗅覚検査方法に準じて適宜デザインすることができる。また、第2のキットについても、公知の多型の検査方法に準じて適宜デザインすることができる。なお、本キットは、嗅覚検査方法キットとしても実施できる。
(多型と嗅覚との関連性に関する情報を取得する方法)
本明細書によれば、上記(a)〜(c)から選択される1種又は2種以上のにおい成分等に対する被験者の検知能力又は認知能力に関する1種又は2種以上の嗅覚情報を取得する工程と、前記1種又は2種以上のにおい成分等に対応して、前記被験者における、前記(a)に関してOR2M3をコードする遺伝子の多型に関する多型情報、前記(b)に関してOR4S2をコードする遺伝子の多型に関する多型情報及び前記(c)に関してOR2W1をコードする遺伝子の多型に関する多型情報から選択される1種又は2種以上の多型情報を取得する工程と、前記嗅覚情報と前記多型情報とに基づいて、前記多型と前記1種又は2種以上のにおい又はにおい成分に対する嗅覚による検知能力又は認知能力との関連性についての関連性情報を取得する工程と、を備える方法が提供される。
本方法によれば、特定のにおい成分等と嗅覚受容体遺伝子における多型との関連性に関し、多型が嗅覚による検知能力又は認知能力に対する影響(関連性)に関する関連性情報を取得することで、嗅覚検査で得られた嗅覚情報について多型の影響を考慮(加味又は除去)して、適切に評価できる(補正できる)。例えば、多型によって嗅覚検査が影響されないことが判明すれば、嗅覚検査の結果は、そのままその個体の加齢度や疾患に関する状況を反映しているといえる。また、多型によって検査結果が影響されることがあることが判明すれば、嗅覚検査の結果について当該影響が考慮される。
(多型と健康状態との関連性に関する情報を取得する方法)
本明細書によれば、被験者の加齢度、アルツハイマー病及びパーキンソン病からなる群から選択される1種又は2種以上の健康状態についての指標を含む指標情報を取得する工程と、前記1種又は2種以上の健康状態に応じて、加齢度に関して、OR2M3をコードする遺伝子の多型に関する多型情報、OR4S2をコードする遺伝子の多型に関する多型情報及びOR2W1をコードする遺伝子の多型に関する多型情報から選択される1種又は2種以上の多型情報を取得するか、アルツハイマー病に関して、OR2M3をコードする遺伝子の多型に関する多型情報及びOR2W1をコードする遺伝子の多型に関する多型情報から選択される1種又は2種の多型情報を取得する、及びパーキンソン病に関して、OR2M3をコードする遺伝子の多型に関する多型情報を取得する工程と、前記指標情報と前記多型情報とに基づいて、前記多型と前記1種又は2種以上の健康状態との関連性についての関連性情報を取得する工程と、を備える方法が提供される。
本方法によれば、特定の健康状態と特定の嗅覚受容体遺伝子上の多型との関連性情報を取得することで、多型に基づき健康状態を知得したり、予測したりすることができる。また、特定嗅覚受容体又はその遺伝子を健康状態を改善できる標的として利用できるようになる。
指標情報を取得する工程は、加齢度、アルツハイマー病及びパーキンソン病について、それぞれ、公知の方法で得られる診断手法を用いることができる。多型情報の取得する工程については既に述べたとおりである。
(多型と嗅覚受容体応答性との関連性に関する情報を取得する方法)
本明細書によれば、前記(a)に関してOR2M3をコードする遺伝子の多型に関する多型情報、前記(b)に関してOR4S2をコードする遺伝子の多型に関する多型情報及び前記(c)に関してOR2W1をコードする遺伝子の多型に関する多型情報から選択される1種又は2種以上の多型情報に基づいて、多型を有する嗅覚受容体を取得する工程と、前記多型を有する嗅覚受容体の前記(a)〜(c)からなる群から選択される1種又は2種以上のにおい成分等に対する応答性を含む応答性情報を取得する工程と、を備える方法が提供される。この方法によれば、嗅覚受容体多型が、嗅覚受容体としての応答性に変化を与えたのかどうかを確認することができ、その確認結果によっては、この嗅覚受容体をこの嗅覚受容体が関連する健康状態を改善するための標的などとすることができる。
嗅覚受容体の応答性については、公知の方法を採用できる。例えば、多型を有する嗅覚受容体は、生体から単離された嗅覚受容器若しくは嗅細胞等の天然に受容体を発現する組織や細胞、又はそれらの培養物のほか、当該嗅覚受受容体を発現するように遺伝的に操作された組換え細胞又はその培養物の形態で、又は嗅覚受容体を有する人工脂質二重膜等の形態で使用され得る。嗅覚受容体は、嗅覚受容体毎に個別の細胞に発現させるようにすることが好ましい。こうした各種形態の嗅覚受容体は当業者であれば公知技術に基づいて適宜準備することができる。
なお、組換え細胞の場合、嗅覚受容体多型をコードする遺伝子を組み込んだベクターを用いて細胞を形質転換することで作製することができる。
嗅覚受容体を発現させる細胞には、受容体輸送タンパク質1S(RTP1s)をコードする遺伝子を共に導入することが好ましい。RTP1sは、受容体の細胞膜発現を補助する機能を有している。上記組換え細胞の作製に使用できるRTP1sとしては、例えば、ヒトRTP1sが挙げられる。なお、RTP1s遺伝子の代わりにRTP1s変異体遺伝子を用いてもよい。
嗅覚受容体多型の応答性を評価するには、におい成分等と嗅覚受容体多型とを接触させる工程を実施する。におい成分等は、一定濃度で、あるいは異なる濃度、など、あるいは2以上を組み合わせた状態で用いられる。概して、におい成分等が、嗅覚受容体多型と接触するように、嗅覚受容体多型に供給される。
におい成分等と嗅覚受容体多型との接触工程は、例えば、におい成分等の存在下で嗅覚受容体多型を保持する細胞を培養して実施することができる。培養条件は、嗅覚受容体多型発現細胞の培養条件を適宜選択することができる。例えば、培地は、適当な抗生物質を含有する無血清培地を用いることができる。なお、培養時間は、受容体による応答評価が可能な程度な時間行う必要がある。例えば、1時間以上数時間以下程度とすることができる。
嗅覚受容体多型を用いた評価は、従来と同様の手法で実施できる。例えば、におい成分等の応答を、受容体を介したCRE結合タンパク質の活性化を利用して評価する形態等を利用できる。当該形態のためのプロトコールは特に限定されない。例えば、活性化したCRE結合タンパク質がCREに結合して下流の遺伝子の発現を促進することを利用して、当該下流の遺伝子として、レポーター遺伝子を導入し、当該レポーター遺伝子の発現レベルを測定してもよい。レポーター遺伝子としては、公知の発光タンパク質をコードする遺伝子など、当業者であれば適宜選択できる。またレポーター遺伝子の発現レベルは、用いるレポーター遺伝子の種類に応じて適宜決定される。
嗅覚受容体を介したCRE結合タンパク質の活性化経路は、当業者において周知である。受容体と各種のにおい分子とを接触させこれらを結合させることで、細胞内において、Gタンパク質、アデニル酸シクラーゼ(AC)が順次活性化されて、cAMPが上昇する。これに伴いプロテインキナーゼA(PKA)がリン酸化されて下流のシグナル伝達系を活性化する。その一方でPKAが核内に移行して、転写因子CRE結合タンパク質(CREB)を活性化するものである。
なお、上昇したcAMP量を測定する方法としては、ELISA法を用いることもできる。さらに、例えば、受容体の応答は、受容体の応答を測定する方法として当該分野で知られている任意の方法、例えば、カルシウムイメージング法等によって行ってもよい。
こうして取得した、におい成分等に対する嗅覚受容体多型の応答性に基づいて、嗅覚受容体多型がにおい成分等に対して天然の嗅覚受容体(多型でない)の有する応答性と変化したかどうか、応答性、その程度、その応答閾値、濃度依存性、複数の受容体に対する応答パターンが測定される。
また、こうしたにおい成分等による嗅覚受容体多型の応答性を増強する又は抑制する被験化合物の作用についても評価できる。
(嗅覚受容体多型の嗅覚受容体応答性を変化させる化合物のスクリーニング方法)
本明細書によれば、前記(a)に関してOR2M3をコードする遺伝子の多型に関する多型情報、前記(b)に関してOR4S2をコードする遺伝子の多型に関する多型情報及び前記(c)に関してOR2W1をコードする遺伝子の多型に関する多型情報から選択される1種又は2種以上の多型情報に基づいて、多型を有する嗅覚受容体を取得する工程と、前記多型を有する嗅覚受容体の前記(a)〜(c)からなる群から選択される1種又は2種以上のにおい成分等に対する応答性を変化させる化合物をスクリーニングする工程と、を備える、方法が提供される。この方法によれば、例えば、嗅覚受容体多型が多型によって変化してしまった嗅覚受容体応答性を改善(復元)できる化合物をスクリーニングすることができる。かかる化合物のスクリーニングによれば、この嗅覚受容体多型が関わる健康状態を改善できる可能性のある化合物を見出すことができる。
(多型と健康状態との関連性に関する情報を取得する方法)
本明細書によれば、加齢度に関して、OR2M3をコードする遺伝子の多型に関する多型情報、OR4S2をコードする遺伝子の多型に関する多型情報及びOR2W1をコードする遺伝子の多型に関する多型情報から選択される1種又は2種以上の多型情報、アルツハイマー病に関して、OR2M3をコードする遺伝子の多型に関する多型情報及びOR2W1をコードする遺伝子の多型に関する多型情報から選択される1種又は2種の多型情報、及びパーキンソン病に関して、OR2M3をコードする遺伝子の多型に関する多型情報を利用して、加齢度、アルツハイマー病及びパーキンソン病のいずれかの健康状態に対応する多型を有する遺伝子改変動物を取得する工程と、前記遺伝子改変動物の前記健康状態についての指標を含む指標情報を取得する工程と、を備える、方法が提供される。この方法によれば、嗅覚受容体多型と、疾患などの健康状態との関連性を確認することができる。すなわち、嗅覚受容体の多型が、健康状態に影響を及ぼすかどうかを確認できる。確認結果によっては、この嗅覚受容体をこの嗅覚受容体が関連する健康状態を改善するための標的などとすることができる。
遺伝子改変動物の作出については、特に限定するものではないが、例えば、マウス、ラット、イヌ、ウサギ、サルなどの動物を用いて、公知の方法を採用できる。また、遺伝子改変動物における加齢度、アルツハイマー病及びパーキンソン病についての指標は、例えばこうした健康状態を有するモデル動物についての指標を適宜採用できる。
(嗅覚受容体多型の嗅覚受容体応答性を変化させる化合物のスクリーニング方法)
本明細書によれば、加齢度に関して、OR2M3をコードする遺伝子の多型に関する多型情報、OR4S2をコードする遺伝子の多型に関する多型情報及びOR2W1をコードする遺伝子の多型に関する多型情報から選択される1種又は2種以上の多型情報、アルツハイマー病に関して、OR2M3をコードする遺伝子の多型に関する多型情報及びOR2W1をコードする遺伝子の多型に関する多型情報から選択される1種又は2種の多型情報、及びパーキンソン病に関して、OR2M3をコードする遺伝子の多型に関する多型情報を利用して、加齢度、アルツハイマー病及びパーキンソン病のいずれかの健康状態に対応する多型を有する遺伝子改変動物を取得する工程と、前記遺伝子改変動物の前記健康情報を改善することができる化合物をスクリーニングする工程と、を備える、方法が提供される。この方法によれば、例えば、嗅覚受容体多型が多型によって発症した又は進行する加齢度、アルツハイマー病及びパーキンソン病を改善できる可能性のある化合物をスクリーニングすることができる。
(各種キット等)
本明細書によれば、嗅覚受容体多型を用いた上記各種方法のためのキットも提供される。これらのキットは、例えば、嗅覚受容体多型をコードする領域を備える発現ベクター、当該発現ベクターによって形質転換する細胞、当該発明ベクターによって形質転換された細胞、嗅覚受容体を評価するための装置又は試薬等が含むことができる。さらに、嗅覚受容体多型を細胞表面に発現している細胞が収容ないし固定化された固相体を備えるキットが挙げられる。形質転換細胞は、具体的には、個々の受容体をそれぞれ細胞表面に備える動物細胞とすることができる。また、受容体を細胞表面に発現している細胞を収容する固相体としてもよい。典型的には、複数個、例えば、48個、96個のウェルを備えるプレートが挙げられる。また、こうした細胞を固定化したアレイが挙げられる。アレイは、例えば、マトリックス状に細胞固定化領域を備えることができる。こうした固相体は、公知の細胞固定化技術を適宜適用することで作製することができる。
なお、本キットが備えることができる発現ベクターは、当業者であれば、用いようとする受容体をコードするDNAの塩基配列に基づいて適宜構築することができる。なお、嗅覚受容体を発現させる細胞には、既述のとおり、受容体輸送タンパク質1S(RTP1s)をコードする遺伝子を共に導入することが好ましい。
以下、本発明を、実施例を挙げて具体的に説明するが、これらは本発明を限定するものではない。
においスティックで使用されているにおい成分の中で単一成分で代替可能なにおい物質、ボルネオール(墨汁)、テトラヒドロチオフェン(家庭用ガス)、ジアリルジスルフィド(炒めたニンニク)に対する全ヒト嗅覚受容体応答評価を行った。
ヒト嗅覚受容体は登録されている配列情報を基に、PCR法によりクローニングした。PCR法により増幅した各遺伝子をFlexi Vector(Promega)に常法に従って組み込み、SgfIとPmeIサイトを利用して、pF5K CMV−neo Flexi−OR Vectorを作製した。次いで、HEK293細胞を10%ウシ胎児血清(FBS)−ペニシリン/ストレプトマイシンを含むDME培地にて培養した。
表4に示す組成の反応液を調製し、クリーンベンチ内で30分放置した後、384ウェル(ポリーL−リジンコート・ホワイトプレート)の各ウェルに添加した。次いで、HEK293細胞を3.0×105/cm2の割合で各ウェルに播種し、CO2インキュベータ内で24時間培養した。
CRE応答の測定には、細胞内cAMP量の増加をホタルルシフェラーゼ遺伝子由来の発光値としてモニターするルシフェラーゼレポータージーンアッセイを用いた。また、CMVプロモーター下流にウミシイタケルシフェラーゼ遺伝子を融合させたものを同時に遺伝子導入し、遺伝子導入効率や細胞数の誤差を補正する内部標準として用いた。24時間培養後、培地を取り除き、無血清培地で調整した対象におい物質(各1mM)を添加し、4時間CO2インキュベータ内に放置した。
ルシフェラーゼ活性はDual-Glo Luciferase assay system(Promega社)の添付プロトコルに準じて測定した。におい物質刺激により誘導されたホタルルシフェラーゼ由来の発光値をコントロール群(におい非処理群)の発光値で割った値をFold induction of luciferaseとして、応答強度の指標とした。結果を図1〜図3に示す。
図1〜図3に示すように、それぞれのにおい成分に対して特異的に応答する嗅覚受容体(OR)があることが明らかになった。これらの嗅覚受容体が、これらのにおい成分に特異的に応答することは初めて見出された。
本実施例では、実施例1で評価したにおい成分に対する濃度依存的な応答を評価した。実施例1と同様の手順でOR2B2,同2M3,同4S2,同2W1をRTP1sとともにそれぞれ発現させた細胞を作製し、各におい成分(ボルネオール、テトラヒドロチオフェン及びジアリルジスルフィド)の各濃度(30、100、300、1000、3000μM)に対する応答性を調べた。結果を図4〜図6に示す。
図4〜図6に示すように、それぞれの応答性は濃度依存的に増加することが確認された。
以上のように、OR2M3,OR4S2,OR2W1は、いずれも、それぞれ、ボルネオール、テトラチオフェン及びジアリルジスルフィドに対して特異的にかつ濃度依存的に反応することが明らかとなった。これらの嗅覚受容体は、加齢、アルツハイマー病及びパーキンソン病において有意に認知能力の低下が認められるにおい又はにおい成分に関連している。したがって、これらの嗅覚受容体遺伝子の多型が、嗅覚認知能力の低下に関連するか否か、これらの多型が加齢、アルツハイマー病、パーキンソン病に関連するか否かについての探索が可能となり、こうした探索の結果により、嗅覚検査などの結果を適切化したり、嗅覚検査によって、又は多型情報によって、加齢や疾患などの健康状態の変化を予測できるようになる。

Claims (17)

  1. 嗅覚検査方法であって、
    (a)墨汁又はボルネオール、(b)家庭用ガス又はテトラヒドロチオフェン、及び(c)炒めたニンニク又はジアリルジスルフィドから選択される1種又は2種以上のにおい又はにおい成分に対する検知能力及び/又は認知能力に関する嗅覚情報を、前記1種又は2種以上のにおい成分等に応答する嗅覚受容体の遺伝子における多型に関する多型情報を利用して評価する工程、を備える、方法。
  2. 前記多型情報は、前記(a)に関してOR2M3をコードする遺伝子の多型に関する多型情報、前記(b)に関してOR4S2をコードする遺伝子の多型に関する多型情報、及び前記(c)に関してOR2W1をコードする遺伝子の多型に関する多型情報から選択される1種又は2種以上である、請求項1に記載の方法。
  3. 前記多型情報は、前記(a)に関して配列番号1で表されるアミノ酸配列を有するタンパク質をコードする遺伝子の多型に関する多型情報、前記(b)に関して配列番号3で表されるアミノ酸配列を有するタンパク質をコードする遺伝子の多型に関する多型情報、前記(c)に関して配列番号5で表されるアミノ酸配列を有するタンパク質をコードする遺伝子における多型に関する多型情報である、請求項2に記載の方法。
  4. さらに、メントール、バラ又はフェニルアセトアルデヒド及び蒸れた靴下又はイソ吉草酸からなる群から選択される1種又は2種以上のにおい又はにおい成分に対する検知能力及び/又は認知能力に関する嗅覚情報を、前記1種又は2種以上のにおい成分等に応答する嗅覚受容体の遺伝子における多型に関する多型情報を利用して評価する工程を備える、請求項1〜3のいずれかに記載の方法。
  5. (a)墨汁又はボルネオール、(b)家庭用ガス又はテトラヒドロチオフェン、(c)炒めたニンニク又はジアリルジスルフィドから選択される1種又は2種以上のにおい又はにおい成分に対応して、前記(a)に関してOR2M3をコードする遺伝子の多型に関する多型情報、前記(b)に関してOR4S2をコードする遺伝子の多型に関する多型情報及び前記(c)に関してOR2W1をコードする遺伝子の多型に関する多型情報から選択される1種又は2種以上の多型情報を取得する工程、
    を備える、前記(a)〜(c)のにおい又はにおい成分の検知能力及び/又は認知能力に関する嗅覚検査を補正するための情報を取得する、方法。
  6. OR2M3をコードする遺伝子の多型に関する多型情報、OR4S2をコードする遺伝子の多型に関する多型情報及びOR2W1をコードする遺伝子の多型に関する多型情報から選択される1種又は2種以上の多型情報を取得する工程、
    を備える、加齢度に関連する加齢度関連情報を取得する、方法。
  7. OR2M3をコードする遺伝子の多型に関する多型情報及びOR2W1をコードする遺伝子の多型に関する多型情報から選択される1種又は2種以上の多型情報を取得する工程、
    を備える、アルツハイマー病に関連するアルツハイマー病関連情報を取得する、方法。
  8. OR2M3をコードする遺伝子の多型に関する多型情報を取得する工程、
    を備える、パーキンソン病に関連するパーキンソン病関連情報を取得する、方法。
  9. OR2M3をコードする遺伝子の多型に関する多型情報、OR4S2をコードする遺伝子の多型に関する多型情報及びOR2W1をコードする遺伝子の多型に関する多型情報から選択される1種又は2種以上の多型情報を取得するための1又は2以上の試薬又はデバイスを備える、キット。
  10. (a)墨汁又はボルネオール、(b)家庭用ガス又はテトラヒドロチオフェン、(c)炒めたニンニク又はジアリルジスルフィドから選択される1種又は2種以上のにおい又はにおい成分に対する検知能力及び/又は認知能力に関する嗅覚情報を取得する工程と、
    前記1種又は2種以上のにおい又はにおい成分に対応して、前記(a)に関してOR2M3をコードする遺伝子の多型に関する多型情報、前記(b)に関してOR4S2をコードする遺伝子の多型に関する多型情報及び前記(c)に関してOR2W1をコードする遺伝子の多型に関する多型情報から選択される1種又は2種以上の多型情報を取得する工程と、
    を備える、加齢度又は疾患に関連する情報を取得する方法。
  11. (a)墨汁又はボルネオール、(b)家庭用ガス又はテトラヒドロチオフェン、(c)炒めたニンニク又はジアリルジスルフィドから選択される1種又は2種以上のにおい又はにおい成分に対する検知能力及び/又は認知能力に関する嗅覚情報を取得するための第1のキットと、
    前記1種又は2種以上のにおい成分等に対応して、前記(a)に関してOR2M3をコードする遺伝子の多型に関する多型情報、前記(b)に関してOR4S2をコードする遺伝子の多型に関する多型情報及び前記(c)に関してOR2W1をコードする遺伝子の多型に関する多型情報から選択される1種又は2種以上の多型情報を取得するための第2のキットと、を備える、加齢度又は疾患に関連する情報を取得するためのキット。
  12. 多型と嗅覚との関連性に関する情報を取得する方法であって、
    (a)墨汁又はボルネオール、(b)家庭用ガス又はテトラヒドロチオフェン、(c)炒めたニンニク又はジアリルジスルフィドから選択される1種又は2種以上のにおい又はにおい成分に対する被験者の検知能力及び/又は認知能力に関する嗅覚情報を取得する工程と、
    前記1種又は2種以上のにおい成分等に対応して、前記被験者の、前記(a)に関してOR2M3をコードする遺伝子の多型に関する多型情報、前記(b)に関してOR4S2をコードする遺伝子の多型に関する多型情報及び前記(c)に関してOR2W1をコードする遺伝子の多型に関する多型情報から選択される1種又は2種以上の多型情報を取得する工程と、
    前記嗅覚情報と前記多型情報とに基づいて、前記多型と前記1種又は2種以上のにおい又はにおい成分に対する嗅覚による検知能力又は認知能力との関連性についての関連性情報を取得する工程と、を備える方法。
  13. 多型と健康状態との関連性に関する情報を取得する方法であって、
    被験者の加齢度、アルツハイマー病及びパーキンソン病からなる群から選択される1種又は2種以上の健康状態についての指標を含む指標情報を取得する工程と、
    前記1種又は2種以上の健康状態に対応して、前記被験者の、加齢度に関して、OR2M3をコードする遺伝子の多型に関する多型情報、OR4S2をコードする遺伝子の多型に関する多型情報及びOR2W1をコードする遺伝子の多型に関する多型情報から選択される1種又は2種以上の多型情報、アルツハイマー病に関して、OR2M3をコードする遺伝子の多型に関する多型情報及びOR2W1をコードする遺伝子の多型に関する多型情報から選択される1種又は2種の多型情報、及びパーキンソン病に関して、OR2M3をコードする遺伝子の多型に関する多型情報を取得する工程と、
    前記指標情報と前記多型情報とに基づいて、前記多型と前記1種又は2種以上の健康状態との関連性についての関連性情報を取得する工程と、を備える方法。
  14. 多型と嗅覚受容体応答性との関連性に関する情報を取得する方法であって、
    (a)墨汁又はボルネオール、(b)家庭用ガス又はテトラヒドロチオフェン、(c)炒めたニンニク又はジアリルジスルフィドから選択される1種又は2種以上のにおい又はにおい成分に対応して、前記(a)に関してOR2M3をコードする遺伝子の多型に関する多型情報、前記(b)に関してOR4S2をコードする遺伝子の多型に関する多型情報及び前記(c)に関してOR2W1をコードする遺伝子の多型に関する多型情報から選択される1種又は2種以上の多型情報に基づいて、多型を有する嗅覚受容体を取得する工程と、
    前記多型を有する嗅覚受容体について、前記1種又は2種以上のにおい又はにおい成分に対する応答性を含む応答性情報を取得する工程と、
    を備える方法。
  15. 嗅覚受容体多型の嗅覚受容体応答性を変化させる化合物のスクリーニング方法であって、
    (a)墨汁又はボルネオール、(b)家庭用ガス又はテトラヒドロチオフェン、(c)炒めたニンニク又はジアリルジスルフィドから選択される1種又は2種以上のにおい又はにおい成分に対応して、前記(a)に関してOR2M3をコードする遺伝子の多型に関する多型情報、前記(b)に関してOR4S2をコードする遺伝子の多型に関する多型情報及び前記(c)に関してOR2W1をコードする遺伝子の多型に関する多型情報から選択される1種又は2種以上の多型情報に基づいて、多型を有する嗅覚受容体を取得する工程と、
    前記多型を有する嗅覚受容体に被験化合物を供給して、前記1種又は2種以上のにおい又はにおい成分に対する前記嗅覚受容体の応答性を変化させる化合物をスクリーニングする工程と、
    を備える、方法。
  16. 多型と健康状態との関連性に関する情報を取得する方法であって、
    加齢度に関して、OR2M3をコードする遺伝子の多型に関する多型情報、OR4S2をコードする遺伝子の多型に関する多型情報及びOR2W1をコードする遺伝子の多型に関する多型情報から選択される1種又は2種以上の多型情報、アルツハイマー病に関して、OR2M3をコードする遺伝子の多型に関する多型情報及びOR2W1をコードする遺伝子の多型に関する多型情報から選択される1種又は2種の多型情報、及びパーキンソン病に関して、OR2M3をコードする遺伝子の多型に関する多型情報を利用して、加齢度、アルツハイマー病及びパーキンソン病のいずれかの健康状態に対応する多型を有する遺伝子改変動物を取得する工程と、
    前記遺伝子改変動物の前記健康状態についての指標を含む指標情報を取得する工程と、を備える、方法。
  17. 健康状態を改善する化合物のスクリーニング方法であって、
    加齢度に関して、OR2M3をコードする遺伝子の多型に関する多型情報、OR4S2をコードする遺伝子の多型に関する多型情報及びOR2W1をコードする遺伝子の多型に関する多型情報から選択される1種又は2種以上の多型情報、アルツハイマー病に関して、OR2M3をコードする遺伝子の多型に関する多型情報及びOR2W1をコードする遺伝子の多型に関する多型情報から選択される1種又は2種の多型情報、及びパーキンソン病に関して、OR2M3をコードする遺伝子の多型に関する多型情報を利用して、加齢度、アルツハイマー病及びパーキンソン病のいずれかの健康状態に対応する多型を有する遺伝子改変動物を取得する工程と、
    被験化合物を前記遺伝子改変動物に投与して前記健康情報を改善する化合物をスクリーニングする工程と、
    を備える、方法。
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