JP2021027708A - スライド吊金車、及びその金車を用いた延線工法 - Google Patents
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Abstract
Description
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、多導体延線工事における手間を省略し、かつ新線の損傷を抑制することが可能なスライド式吊金車、及びこれを用いた延線工法を提供することを目的とする。
また、幅方向の中間に旧線案内部を設け、幅方向の両端に設けたガイドレールに沿って一対の新線案内環を摺動させるように設けたので、旧線と一対の新線の上下を交代するにあたり、これら3本の線材で吊金車を操作できるため、吊金車が反転しないように操作することが容易である。
尚、本発明は、以下の実施形態に限られるものではない。
旧線案内ローラー11は軸方向の中央ほど小径となる鼓型をなし、アルミニウム合金製の芯材をウレタンゴムで被覆して形成されている。側方ローラー12は円柱形をなし、MCナイロン製である。
新線案内環22は、ガイドレール21に摺動可能に環装されたO型カラビナ23にU字フック22fを係合することで、ガイドレール21に対し摺動可能に連結されている。
次に、図4乃至図15を用いて、本発明にかかるスライド吊金車100を用いた延線工法について説明する。図9に示すように、NO.1鉄塔からNO.4鉄塔まで3つの径間P1,P2,P3に張設された旧線Aを新線Bに張り替える。図4には、2本の鉄塔間に上下4本の電線を記載しているが、最も上のものがアースを取った地線であり、下の3本が送電線である。実際は、鉄塔の左右(図4の手前側と奥側)に4本ずつ計8本の電線が設けられているが、便宜上、図4には片側4本のみを図示している。ここでは、1本の旧送電線(旧線A)を4本の新送電線(新線B)に交換する場合の手順を説明する。
図4、乃至図15において、No.1鉄塔側がドラム場(D場)、NO.4鉄塔側がエンジン場(E場)となる。図中の符号6はウインチ、符号7はドラムを示している。
図4は、空打ち金車展開工程S1(以下、単に「工程S1」のようにいうことがある。)を示している。空打ち金車展開工程S1は、張替え対象の既設電線(旧線A)に多数の空打ち金車(図5参照)を展開する工程である。空打ち金車5は、ローラー51とローラー51の回転軸から吊設されるロープ掛止部52と、落下防止ロープ53とを有している。工程S1において、作業者は、旧線に対しスライド自在に吊設した宙乗り機に乗り作業を行う。作業者は、図4に示す向きに、NO.2鉄塔からNO.1塔に向かって宙乗り機で旧線Aに沿って移動しながら、予め、パイロットロープR1をロープ掛止部52に掛止して連結した多数の空打ち金車5,5,…を、1つずつ順に旧線Aに掛止する。パイロットロープR1は、例えば12mmのナイロンロープからなる。
図6は、スライド吊金車展開工程S2を示している。スライド吊金車展開工程S2は、張替え対象の旧線Aに多数のスライド吊金車100,100,…を展開する工程である。
工程S1で、張替え対象の旧線Aに空打ち金車5,5,…を展開したら、図6(a)に示すように、固定ロープ掛止部3により固定ロープR2で連結した多数のスライド吊金車100,100,…を、その開閉辺14を開いて旧線Aに掛止し、最もNO.2鉄塔に近い側のスライド吊金車100をパイロットロープR1のNO.1鉄塔側の端部に連結する。しかるのち、エンジン場のウインチ6で、パイロットロープR1を、図6(a)の白抜き矢印で示すように、No.2鉄塔側に巻き上げて、空打ち金車5,5,…を回収するとともに、多数のスライド吊金車100,100,…をNo.1鉄塔とNo.2鉄塔の径間に展開する。この際、同時に、一対の新線案内環22,22に挿通するようにして、2本の延線ロープR3,R3も張設しておく。延線ロープR3は、例えば、φ12mmのナイロンロープからなる。工程S2においては、図6(b)に示すように、新線案内環22,22に挿通した延線ロープR3,R3は、旧線Aよりも下方に位置している。
図7は、支持ワイヤ延線工程S3を示している。支持ワイヤ延線工程S3は、工程S2に続けて、径間P1に、2本の支持ワイヤR4,R4を延線する工程である。支持ワイヤR4は、例えば、φ10mmのワイヤからなる。工程S2において径間P1に張設した2本の延線ロープR3,R3のNO.1鉄塔側の端部にそれぞれ支持ワイヤR4を連結し、エンジン場のウインチ6で延線ロープR3,R3をNO.2鉄塔側へ巻き上げることで、2本の支持ワイヤR4,R4が、新線案内環22,22を通るようにして径間P1に張設される。工程S3においては、図7(b)に示すように、新線案内環22,22に挿通した支持ワイヤR4,R4は、旧線Aよりも下方に位置している。
図8は、支持ワイヤ仮上げ工程S4を示している。支持ワイヤ仮上げ工程S4は、2本の支持ワイヤR4,R4を旧線A、及び固定ロープR2より上方へ仮上げする工程である。工程S3の終了後、旧線Aの張力を緩めることで旧線Aを引き下げ、かつ支持ワイヤR4,R4の張力を高めることで、図8(a)、図8(b)に白抜き矢印で示すように、支持ワイヤR4,R4を持ち上げる。この際、一対の新線案内環22,22が旧線Aを挟んで両側を通過するように確認しながら支持ワイヤR4,R4を持ち上げる。
このように、旧線A、及び支持ワイヤR4,R4の3本の線材で、スライド吊金車100の姿勢を制御できるので、スライド吊金車の反転を抑制できる。
図9は、旧線回収工程S5の様子を示している。旧線回収工程S5は、NO.1鉄塔からNO.4鉄塔までの3つの径間P1,P2,P3から旧線Aを引き抜く工程である。先の工程S4で、支持ワイヤR4,R4を仮上げたら、本工程S5において、NO.4鉄塔上で、延線クランプ8を用いて旧線Aに第1延線ワイヤR5を連結する。第1延線ワイヤR5としては、例えば、φ14mmのワイヤが用いられる。NO.1鉄塔側をドラム場、NO.4鉄塔側をエンジン場として、旧線Aをウインチ6でNO.1鉄塔側のドラムへ巻き上げ、径間P3、径間P2、径間P1の順に旧線Aを引き抜く。本工程S5では、図9(b)に示すように、新線案内環22挿通した支持ワイヤR4,R4でスライド吊金車100を支持しながら、旧線Aを引き抜く。
図10は、三ワイヤ同時延線工程S6の様子を示している。三ワイヤ同時延線工程S6は、径間P2、及び径間P3に3本の第2延線ワイヤR6,R6,R6を張設する工程である。工程S5の終了後、第1延線ワイヤR5のNO.4鉄塔側の端部に延線ヨーク9により3本の第2延線ワイヤR6,R6,R6を連結し、ドラム場のウインチ6で、第1延線ワイヤR5をNO.1鉄塔側へ巻き上げる。3本の第2延線ワイヤR6,R6,R6のNO.1鉄塔側の端がNO.2鉄塔に到達したら、図11に示すように、3本の第2延線ワイヤR6,R6,R6をNO.2鉄塔に固定する。本工程S6では、図10(b)に示すように、新線案内環22挿通した支持ワイヤR4,R4でスライド吊金車100を支持しながら、旧線案内部1に挿通した第1延線ワイヤR5を巻き上げる。
図11は、樹脂ロープ延線工程S7を示している。樹脂ロープ延線工程S7は、径間P1において、第1延線ワイヤR5を、ケプラーロープ(「ケプラー」は登録商標)等の樹脂製ロープからなる樹脂ロープR7に交換する工程である。工程S6の終了後、NO.2鉄塔上で、延線クランプ8により、第1延線ワイヤR5のNO.2鉄塔側の端部に樹脂ロープR7を連結し、NO.1側のウインチ6により、第1延線ワイヤR5をNO.1鉄塔側へ巻き上げ、これにより、NO.2鉄塔の樹脂ロープR7が引き出され、図11(b)に示すように、スライド吊金車100の旧線案内部1を通って、径間P1に張設される。
図12は、樹脂ロープ仮上げ工程S8を示している。樹脂ロープ仮上げ工程S8は、工程S7において、径間P1に張設した樹脂ロープR7を仮上げする工程である。工程S7が終了すると、図12(b)に示すように、一対の支持ワイヤR4,R4の張力を下げることで、新線案内環22をガイドレール21に沿ってスライドさせて下降させ、樹脂ロープR7を相対的に引き上げる。一対の支持ワイヤR4,R4は、図12(a)に示すように、NO.2側の端部がNO.2鉄塔上で残り2本の第2延線ワイヤR6,R6にそれぞれ連結される。
図13は、第3延線ワイヤ張設工程S9を示している。第3延線ワイヤ張設工程S9は、全径間P1,P2,P3に一対の第3延線ワイヤR8,R8を張設する工程である。第3延線ワイヤR8は、例えば、14mmの金属ワイヤからなる。工程S8が終了したら、一対の支持ワイヤR4,R4のNO.1鉄塔側の端部に、延線クランプ8,8で、NO.1鉄塔近傍のドラムから引き出した一対の第3延線ワイヤR8,R8を連結し、NO.4鉄塔側のウインチ6で、一対の第3延線ワイヤR8,R8、及び一対の支持ワイヤR4,R4に連結された2本の第2延線ワイヤR6,R6を引っ張り、全径間P1からP3に一対の第3延線ワイヤR8,R8を張設する。スライド吊金車100は、図13(b)に示すように、旧線案内部1に挿通された樹脂ロープR7に支持され、一対の第3延線ワイヤR8,R8は、スライド吊金車100の新線案内環22,22を通って曳行される。
尚、工程S9では、支持ワイヤR4,R4を、第3延線ワイヤR8,R8を延線するための延線ワイヤとして用いている。
図14は、二新線同時延線工程S10を示している。二新線同時延線工程S10は、全径間P1,P2,P3に一対の新線B,Bを張設する工程である。工程S9の終了後、一対の第3延線ワイヤR8,R8のNO.1鉄塔側の端部に、延線クランプ8,8で、ドラムから引き出した一対の新線B,Bを連結し、NO.4鉄塔近傍のウインチ6で、一対の第3延線ワイヤR8,R8を巻き上げて、全径間P1,P2,P3に一対の新線B,Bを張設する。スライド吊金車100は、図14(b)に示すように、旧線案内部1に挿通された樹脂ロープR7に支持され、一対の新線B,Bは、スライド吊金車100の新線案内環22,22を通って曳行される。
図15は、スライド吊金車回収工程S11を示している。スライド吊金車回収工程S11は、径間P1に展開したスライド吊金車100を回収する工程である。工程S10が終了したら、図15(b)に示すように、新線B,Bに張力を加えて、仮上げする。しかる後、一対の新線B,Bでスライド吊金車100を支持しながら、NO.1鉄塔側のウインチ6で、固定ロープR2を巻き上げ、スライド吊金車100をNO.1鉄塔側へ回収する。この際、径間P2,P3に張設されたまま残っている第2延線ワイヤR6が、固定ロープR2に曳行されるが、これを空打ち金車展開工程S1における旧線Aに置き換えて、工程S1を実施して、空打ち金車5,5,…を径間P1に展開する。
1 旧線案内部
11 旧線案内ローラー
13 ローラー支持枠
2 新線案内部
21 ガイドレール
22 新線案内環
22a 新線案内ローラー
23 環状金具
Claims (4)
- 幅方向の中間に設けられ、既設電線を案内する旧線案内部と、
幅方向の両端に設けられ、新線を案内する一対の新線案内部と
を備え、
前記旧線案内部は、上下に対向する一、又は複数対の旧線案内ローラーと、前記一、又は複数対の旧線案内ローラーを軸支するローラー支持枠とを有し、
前記新線案内部は、前記ローラー支持枠に上下の両端を固定される有端環状のガイドレールと、
前記ガイドレールに沿って上下方向に摺動する輪状の新線案内環とを有するスライド吊金車。 - 前記新線案内環は、周方向に配設される少なくとも2つの新線案内ローラーを有する請求項1に記載のスライド吊金車。
- 請求項1、又は請求項2に記載のスライド吊金車を用いる延線工法。
- 請求項1、又は請求項2に記載のスライド吊金車を用い、
前記旧線案内部に旧線を通し、当該旧線に沿って複数の前記スライド吊金車を展開するスライド吊金車展開工程と、
前記一対の新線案内環を通して、一対の支持ワイヤを延線する支持ワイヤ延線工程と、
前記一対の新線案内環を前記ガイドレールに沿って上方へスライドさせて前記一対の支持ワイヤを前記旧線に対し相対的に持ち上げて、前記一対の支持ワイヤにより前記スライド吊金車を支持する支持ワイヤ仮上げ工程と、
前記一対の支持ワイヤにより複数の前記スライド吊金車を支持しながら前記旧線を前記旧線案内部から引き抜くとともに、前記旧線に連結した1本の樹脂ロープを前記旧線案内部に通して延線する旧線回収工程と、
前記一対の新線案内環を前記ガイドレールに沿って下方へスライドさせて前記一対の支持ワイヤを引き下げ、前記樹脂ロープを前記一対の支持ワイヤに対し相対的に持ち上げて、前記樹脂ロープにより前記スライド吊金車を支持する樹脂ロープ仮上げ工程と、
前記一対の支持ワイヤの後端側に連結した一対の新線を前記新線案内環を通して延線する二新線同時延線工程と
を備え、
前記樹脂ロープとして、前記旧線よりも軽い線材を用いるスライド吊金車を用いることを特徴とする延線工法。
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