JP2021024188A - 成型体製造チューブ - Google Patents

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【課題】型崩れしにくい成型体を製造できる成型体製造チューブの提供。【解決手段】内部に水和材料が充填されるチューブ本体2と、前記チューブ本体2の内側に設けられる補助内層3であって、前記チューブ本体2の長手方向に沿って延びるように配置される長尺な筋体30を有する補助内層3と、を備える成型体製造チューブ1。【選択図】図4

Description

本発明は、本発明は、スラリー(泥漿)状乃至液状の水和材料を充填硬化させて丸太状の成形体を製造する際等に好適に使用できる成形体製造チューブに関する。
従来、水和材料(例えばモルタル)を使用して成型体を製造するための資材が種々提供されている。かかる資材として、例えば特許文献1に開示されているような、高強力繊維を袋状にした高強力繊維製筒状袋が知られている。
この高強力繊維製筒状袋内に水和材料を充填した後に硬化させて製造した成型体では、水和材料が硬化した硬化部分の表面が高強力繊維(高強力繊維製筒状袋)で覆われるため、鉄筋等の金属製の資材を使用しなくても耐久性を高めることができるとされている。
特許第2650611号公報
ところで、上記従来の高強力繊維製筒状袋を使用して製造して成型体は、高強力繊維により耐久性が高められているが、硬化部分自体が脆いため、高強力繊維製筒状袋が破れると、硬化部分に亀裂が生じた際に成型体が型崩れしやすくなることが問題となっている。
そこで、本発明は、かかる実情に鑑み、型崩れしにくい成型体を製造できる成型体製造チューブの提供を課題とする。
本発明の成型体製造チューブは、
内部に水和材料が充填されるチューブ本体と、
前記チューブ本体の内側に設けられる補助内層であって、前記チューブ本体の長手方向に沿って延びるように配置される長尺な筋体を有する補助内層と、を備える。
上記構成の成型体製造チューブによれば、成型体を製造すると、水和材料が硬化した硬化体には長尺な筋体が長手方向(硬化体自身の長手方向)に沿って設けられるため、チューブ本体が破れた状態で硬化体に亀裂が生じたとしても、亀裂の両側が筋体に繋ぎ止められる。
これにより、硬化体における亀裂の両側の動きが筋体によって制限されるため、硬化体の崩れの進行が緩やかになる。このように、前記成型体製造チューブは、硬化体に対して、いわゆる擬延性を付与することによって成型体の型崩れを抑制することができる。
また、本発明の成型体製造チューブにおいて、
前記筋体は、前記チューブ本体の内面から前記チューブ本体の径方向内側に離間して配置されていてもよい。
このようにすれば、筋体が硬化体に埋設されるため、チューブ本体が破れても筋体が外部に露出せず、筋体が太陽光や風雨に晒されることによって劣化してしまうことを抑制できる。
また、本発明の成型体製造チューブにおいて、
前記補助内層は、網状であり且つ前記チューブ本体の内面に隣接する隣接層を有し、
前記筋体は、前記隣接層よりも前記径方向内側に配置されていてもよい。
このようにすれば、硬化体の表面が網状の隣接層で覆われるため、硬化体の曲げ強度を高めることができる。
以上のように、本発明の成型体製造チューブによれば、型崩れしにくい成型体を製造できるという優れた効果を奏し得る。
図1は、本発明の一実施形態に係る成型体製造チューブの外観図である。 図2は、同実施形態に係る成型体製造チューブの断面図である。 図3は、同実施形態に係る成型体製造チューブの補助内層を内面側から見た図である。 図4は、同実施形態に係る成型体製造チューブで製造した成型体の断面図である。 図5は、図4における領域Vの拡大図である。
以下、本発明の一実施形態に係る成型体製造チューブについて添付図面を参照しつつ説明を行う。
本実施形態に係る成型体製造チューブは、スラリー(泥漿)状乃至液状の水和材料を充填して成型体を製造するためのものである。なお、本明細書において「水和材料」は、セメント(粉体)に水を加えた混合素材をはじめ、この混合素材に砂を加えたモルタル素材や更に砂利をも加えたコンクリート素材など、水和反応によって硬化するもの(原料と水との混合物)を言う。またセメントには石膏なども含むものとする。
図1に示すように、成型体製造チューブ1は、例えば、山の斜面や、法面の崩れを防止するための構造物(いわゆる、法枠)を構築するための成型体を製造する際に利用される。この場合、成型体製造チューブは、長尺な成型体を地面に這わせて成型できるように構成される。
本実施形態の成型体製造チューブ1は、図2に示すように、内部に水和材料が充填されるチューブ本体2と、チューブ本体2の内側に設けられる補助内層3であって、チューブ本体2内で水和材料が硬化した部分である硬化体を保護するための補助内層3と、前記補助内層3の内部に含まれる補強線材4と、を備えている。
チューブ本体2は、長尺な筒状であり、柔軟性を有している。チューブ本体2の長手方向における一端は閉塞されており、他端は開放されている。以下、チューブ本体2の長手方向における一端を閉塞端、他端を開放端と称する。
なお、チューブ本体2は、透水性を有する材料、より具体的には、繊維素材を含んだ織布により形成されたものとするのが好適である。織布を形成する繊維材料としては、特に限定されるものではないが、例えばポリエステル繊維を含むものとすればよい。また、チューブ本体2は、例えば、帯状のシート材の長辺同士を繋ぎ合わせたもので構成されていればよい。
補助内層3は、長尺な複数の筋体30であって、チューブ本体2の長手方向に沿って広がるようにしてチューブ本体2内に配置される複数の筋体30と、チューブ本体2の内面に沿わせて配置され、且つ複数の筋体30をチューブ本体2の内面から径方向内側(チューブ本体2の径方向における内側)に離間した位置で保持する保持層31と、を有する。
補助内層3は、繊維を立体的に編むことによって構成されており、空隙を多く含む構造となっている。
複数の筋体30のそれぞれは、可撓性を有している。なお、複数の筋体30のそれぞれは、例えば、多数の繊維を束ねて線状にした繊維線を編み込んで筋状にしたもので構成されていていればよい。また、繊維線の編み方は、例えば、鎖編み等であればよい。
複数の筋体30のそれぞれは、図3に示すように、チューブ本体2内に配置された状態でチューブ本体2の長手方向に沿って真っすぐ、若しくは略真っ直ぐに延びるように形成されている。すなわち、複数の筋体30のそれぞれは、自身の長手方向がチューブ本体2の長手方向と一致、若しくは略一致するように形成されている。
また、複数の筋体30は、図2に示すように、チューブ本体2の周方向において互いの間に間隔をあけて並ぶように配置される。すなわち、チューブ本体2内では、複数の筋体30が周方向に間隔を空けて並んでいる。なお、本実施形態では、前記径方向における各筋体30とチューブ本体2の内面との間隔が同一又は略同一となっている。
筋体30は、硬化体の径方向における中心と表面との間の中央部よりも表面側に配置されていることが好ましい。効果:亀裂が広がりにくくなる。
保持層31は、チューブ本体2の内面に隣接する隣接層310と、前記隣接層310と複数の筋体30とを接続する接続層311とを有する。
隣接層310は、チューブ本体2の内周面に対して周方向全周に亘って連続するとともに、チューブ本体2の長手方向で広がるように形成されている。隣接層310は、多数の繊維を鉤編みで編み込むことによってシート状に形成したもので構成されていればよい。
接続層311は、筋体30と隣接層310とをつなぐ脚部311aと、隣り合う筋体30に掛け渡されている架渡部311bとによって構成されている。
脚部311aは、隣接層310から前記径方向に沿って内側に延出し且つ先端が筋体30に接続されている複数の中央脚部311cと、中央脚部311cの基端に対して前記周方向でずれた位置から延出し、且つ先端が中央脚部311cの先端が接続されている筋体30と同じ筋体30に接続されている複数の横側脚部311dとで構成されている。
中央脚部311cは、複数の繊維を束ねたもので構成されている。また、複数の中央脚部311cは、筋体30の長手方向と対応する方向に並べて形成されている。
横側脚部311dも、複数の繊維を束ねたもので構成されている。
複数の横側脚部311dには、基端が中央脚部311cに対して前記周方向における一方側にずれた位置に配置されているものと、基端が中央脚部311cに対して前記周方向における他方側にずれた位置に配置されているものとが含まれている。そのため、横側脚部311dは、先端から基端に向かうにつれて筋体30から前記周方向における一方側若しくは他方側に離れるようにして広がっている。
また、筋体30から前記周方向における一方側に広がる複数の横側脚部311dは、筋体30の長手方向と対応する方向に並べて形成され、筋体30から前記周方向における他方側に広がる複数の横側脚部311dもまた、筋体30の長手方向と対応する方向に並べて形成されている。
なお、横側脚部311dの基端は、前記周方向において、隣り合う別の中央脚部311cの基端に対応する位置で隣接層310に接続されている。
なお、本実施形態では複数の筋体30のそれぞれに対して、脚部311aが一つずつ形成されている。
複数の架渡部311bのそれぞれは、上述のように、前記周方向で隣り合う筋体30のそれぞれに接続されている。なお、架渡部311bも、複数の繊維を束ねたもので構成されている。
以上のように、補助内層3は、網状の隣接層310の内側に、該隣接層310よりも大きな網目の接続層311が配置された構造となっている。
補強線材4は、チューブ本体2の長手方向に沿って広がるようにして保持層31(本実施形態では接続層311)内に配置されている。より具体的に説明すると、補強線材4は、隣接層310の内側(前記径方向における内側)で脚構造の間に配置されている。
補強線材4は、筋体30と同様にチューブ本体2の長手方向に沿って真っすぐ、若しくは略真っ直ぐに延びるように配置されている。
本実施形態では、接続層311に複数の補強線材4が配置されている。そして、複数の補強線材4は、前記周方向において所定の間隔を空けて並ぶようにして接続層311内に配置されている。
なお、補強線材4は、例えば、金属線により構成されていればよい。
本実施形態に係る成型体製造チューブ1の構成は、以上の通りである。続いて、成型体製造チューブ1の使用方法の説明を行う。
成型体製造チューブ1で成型体を製造する場合は、まず、チューブ本体2を広げて成型体を製造する場所に敷設する。
そして、チューブ本体2の開放端から該チューブ本体2内に水和材料を充填する。
チューブ本体2内に充填された水和材料は、複数の筋体30の間から接続層311(複数の脚構造の間)を通り抜けて隣接層310に到達する。
そして、チューブ本体2内の水和材料が硬化すると、図4、図5に示すように、水和材料が硬化した硬化体Oと、補助内層3と、補強線材4と、チューブ本体2とが一体化した成型体が製造される。
水和材料は、上述の通り隣接層310まで到達するため、水和材料が硬化した硬化体Oの内部には筋体30が埋設され、硬化体Oの表面は隣接層310によって覆われ、さらに、隣接層310はチューブ本体2に覆われる。
本実施形態の成型体製造チューブ1によれば、成型体を製造すると、硬化体Oには長尺な筋体30が長手方向(硬化体O自身の長手方向)に沿って設けられるため、チューブ本体2が破れた状態で硬化体Oに亀裂が生じたとしても、亀裂の両側を筋体30によって繋ぎ止めることができる。
これにより、硬化体Oにおける亀裂の両側の動きが筋体30によって制限されるため、硬化体Oの崩れの進行が緩やかになる。このように、成型体製造チューブ1は、硬化体Oに対して、いわゆる擬延性を付与することによって成型体の型崩れを抑制することができる。従って、成型体製造チューブ1は、型崩れしにくい成型体を製造できる。
また、成型体製造チューブ1では、筋体30が硬化体Oに埋設されるため、チューブ本体2が破れても筋体30が外部に露出せず、筋体30が太陽光や風雨に晒されることによって劣化してしまうことを抑制できる。
また、筋体30は、多数の繊維を束ねて線状にした繊維線を編み込むことによって形成されているため、部分的に切れ目が生じた場合、すなわち、一部の繊維が切れたとしても他の繊維が切れずに残るため、切れ目が筋体30全体に広がることを抑えることができる。従って、筋体30は、破断しにくくなっている。
さらに、筋体30は、硬化体Oの径方向における中心と表面との間の中央部よりも表面側に配置されているため、硬化体Oの表面側に亀裂が小さい段階で亀裂の両側の動きを制限することができるため、亀裂が進行するスピード(広がるスピード)を緩やかにすることができる。
なお、接続層311では、複数の筋体30がチューブ本体2の長手方向に沿って延びているのに対して、複数の横側脚部311dと複数の架渡部311bとがチューブ本体2の周方向に沿って延びるように形成されているため、複数の筋体30と複数の横側脚部311dと複数の架渡部311bとは、網状に繋がった状態で硬化体Oに埋設されている。そのため、硬化体Oはより一層崩れにくくなっている。
なお、横側脚部311d、架渡部311bは、それぞれ多数の繊維を束ねたもので構成されているため、横側脚部311d、架渡部311b自体も破断し難くなっている。
さらに、硬化体Oの表面は、網状の隣接層310に覆われるため、曲げ強度が高められている。そして、隣接層310は、多数の繊維を編み込む(本実施形態では鉤編みで編み込む)ことで形成されているため、部分的に破れが生じたとしても、この破れが隣接層310全体に広がることが抑制されるようになっている。
なお、本実施形態に係る成型体製造チューブ1は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々の変更を加え得ることは勿論である。
上記実施形態において、チューブ本体2は、真っ直ぐに延びる筒状に形成されていたが、この構成に限定されない。例えば、チューブ本体2は、格子状に形成されていてもよい。このようにすると、成型体が格子状に形成されるため、法枠も格子状になる。
上記実施形態において、特に言及しなかったが、筋体30の本数は、図2に図示している本数に限らない。補強線材4の本数もまた、図2に図示している本数に限られない。
上記実施形態において、筋体30は、自身の長手方向がチューブ本体2の長手方向に一致又は略一致するように配置されていたが、この構成に限定されない。例えば、筋体30は、自身の長手方向がチューブ本体2の長手方向に対して交差するように配置されていてもよい。
上記実施形態において、特に言及しなかったが、複数の筋体30のそれぞれは、径方向におけるチューブ本体2の中心までの距離が同一又は略同一であったが、この構成に限定されない。例えば、複数の筋体30から径方向におけるチューブ本体2の中心までの距離は、筋体30によって異なっていてもよい。
上記実施形態において、複数の筋体30は、前記周方向において等間隔に並べて配置されていたが、この構成に限定されない。例えば、複数の筋体30は、前記周方向において不均一な間隔で並べて配置されていてもよい。
上記実施形態の補助内層3では、筋体30が保持層31を介してチューブ本体2の内側に配置されていたが、この構成に限定されない。例えば、補助内層3は、筋体30のみを備える構成とし、該筋体30がチューブ本体2内に直接配置されるように構成されていてもよい。この場合、筋体30は、成型体を製造した際に、硬化体Oに埋設されるように構成されていてもよいし、硬化体Oの表面で露出するように構成されていてもよい。
上記実施形態では、補助内層3内に補強線材4が配置されていたが、この構成に限定されない。例えば、補助内層3内には補強線材4が配置されていなくてもよい。
1…成型体製造チューブ、2…チューブ本体、3…補助内層、4…補強線材、30…筋体、31…保持層、310…隣接層、311…接続層、311a…脚部、311b…架渡部、311c…中央脚部、311d…横側脚部、O…硬化体

Claims (3)

  1. 内部に水和材料が充填されるチューブ本体と、
    前記チューブ本体の内側に設けられる補助内層であって、前記チューブ本体の長手方向に沿って延びるように配置される長尺な筋体を有する補助内層と、を備える、
    成型体製造チューブ。
  2. 前記筋体は、前記チューブ本体の内面から前記チューブ本体の径方向内側に離間して配置されている、
    請求項1に記載の成型体製造チューブ。
  3. 前記補助内層は、網状であり且つ前記チューブ本体の内面に隣接する隣接層を有し、
    前記筋体は、前記隣接層よりも前記径方向内側に配置されている、
    請求項2に記載の成型体製造チューブ。
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