以下に、本発明に係る雌螺子固定構造、締結構造及び電気接続箱の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。尚、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。
[実施形態1]
本発明に係る電気接続箱の実施形態の1つを図1から図10に基づいて説明する。
図1から図5の符号1は、本実施形態の電気接続箱を示す。その電気接続箱1は、雌螺子部材10と、この雌螺子部材10が収容され且つ固定される絶縁性の収容部材20と、を備える(図1及び図3から図5)。この電気接続箱1は、その収容部材20に雌螺子部材10を固定させる雌螺子固定構造30を備える(図1及び図3から図5)。その雌螺子固定構造30は、雄螺子部材40が螺合完了状態になるまで雌螺子部材10を仮保持させる仮保持機構30Aを備える。この例示では、その仮保持機構30Aを収容部材20に設ける。また、この電気接続箱1は、収容部材20に収容される導電性の締結対象物50を備える(図1から図5)。そして、この電気接続箱1は、収容部材20の中で締結対象物50を雌螺子部材10と雄螺子部材40とで締結させる締結構造60を備える(図1から図5)。その締結構造60は、締結対象物50と雌螺子部材10と雄螺子部材40と雌螺子固定構造30とで構成される。
雌螺子部材10は、雄螺子部材40の雄螺子部41が螺合される雌螺子部11を有する(図1、図3及び図6から図8)。雌螺子部11は、円筒状に形成され、その内周面に雌螺子が螺刻されている。また、雄螺子部41は、円柱状に警醒され、その外周面に雄螺子が螺刻されている。
更に、この雌螺子部材10は、雌螺子部11における螺子軸方向の一方の端部側に設け、雄螺子部材40が螺合完了状態のときに雄螺子部材40との間で締結対象物50を挟持させる挟持部12を有する(図1、図3、図6及び図7)。ここでは、雌螺子部11における螺子軸方向の一方の端面を挟持部12として利用する。雄螺子部材40は、その挟持部12に螺子軸方向で対向配置させ、螺合完了状態のときに挟持部12との間で締結対象物50を挟持させる挟持部42を有する(図3及び図6)。その挟持部42については、例えば、雄螺子部材40の頭部43における雄螺子部41側の環状の壁面、頭部43と雄螺子部41との間に介在させた座金の環状の壁面等を利用する。
ここで、この例示では、締結対象物50として、導電部材70の板状の連結部51と、収容部材20の部品収容室21(図1)に収容される電子部品80の板状の端子部52と、が設けられている(図1及び図3から図6)。ここで示す導電部材70は、金属等の導電性材料で板状に成形された所謂バスバである。連結部51は、平板状に形成されている。この連結部51には、雄螺子部41を挿通させる円形の貫通孔51aが形成されている(図1)。一方、電子部品80は、板状の端子部52を備えるものであり、かつ、その端子部52を本体81から突出させた状態で配置させるものであれば如何様なものであってもよい(図1)。端子部52は、雄タブ端子等のような片体状に形成されている。この端子部52には、雄螺子部41を挿通させる円形の貫通孔52aが形成されている(図1)。電子部品80においては、本体81を部品収容室21に収容させ、端子部52を部品収容室21から外方に突出させる。
この例示の端子部52は、雌螺子部材10の挟持部12と導電部材70の連結部51との間に挿入させる(図3及び図4)。この端子部52は、その間への挿入完了状態のときに、一方の平面を挟持部12に面接触させ、他方の平面を連結部51の一方の平面に面接触させる。例えば、ここでは、ヒューズを電子部品80の一例として示している。収容部材20においては、予め雌螺子部材10と導電部材70とが収容されており(図5)、電子部品80を部品収容室21に収容していくことによって、端子部52が雌螺子部材10の挟持部12と導電部材70の連結部51との間に挿入されていく(図4)。この収容部材20においては、その雌螺子部材10と導電部材70の連結部51と電子部品80の端子部52とが収容完了状態のときに、雌螺子部材10の螺子軸と略同軸上に連結部51の貫通孔51aと端子部52の貫通孔52aが配置されている。但し、雌螺子部材10は、後述するように、収容部材20に対して相対移動できるので、その相対移動量の範囲内で、それぞれの貫通孔51a,52aの中心に対して螺子軸が偏心している場合もある。
ところで、この例示の電子部品80には、2つの端子部52が設けられている(図1、図4及び図5)。そして、この例示の電気接続箱1においては、それぞれの端子部52毎に対応させた雌螺子部材10と導電部材70とが設けられている。よって、この例示の電気接続箱1には、雌螺子部材10と雄螺子部材40とで締結される連結部51と端子部52の組み合わせが2組設けられている(図3から図5)。換言するならば、この例示の収容部材20には、締結状態を成す雌螺子部材10と雄螺子部材40と連結部51と端子部52の組み合わせが2組収容されている(図3から図5)。尚、それぞれの連結部51については、その内の一方を一方の導電部材70(導電部材70A)が有し、その内の他方を他方の導電部材70(導電部材70B)が有している(図3から図5)。
話を雌螺子部材10に戻すと、この雌螺子部材10は、更に、雌螺子部11における螺子軸方向の他方の端部側の外方で螺子軸方向に対して直交配置された鍔部13を有する(図1及び図6から図8)。その鍔部13は、螺子軸方向における一方の第1壁部(つまり、螺子軸方向で挟持部12側に配置されている第1壁部)13a(図3、図6及び図7)と、螺子軸方向における他方の第2壁部(つまり、螺子軸方向で挟持部12側とは逆側に配置されている第2壁部)13b(図3、図6及び図8)と、を有している。更に、この鍔部13は、螺子軸方向に直交する第1直交方向Go1(図1から図3)の両端の第1被係止部13c及び第2被係止部13d(図3、図7及び図8)と、螺子軸方向及び第1直交方向Go1に直交する第2直交方向Go2(図1、図2及び図4から図6)の両端の第3被係止部13e及び第4被係止部13f(図6から図8)と、を有している。
ここでの第1直交方向Go1とは、雌螺子部材10を収容部材20に収容する際の挿入方向に対する直交方向と、その挿入方向とは逆向きの方向(例えば、雌螺子部材10を収容部材20から取り外す際の抜去方向)に対する直交方向と、を示している(図1及び図2)。よって、第2直交方向Go2とは、雌螺子部材10を収容部材20に収容する際の挿入方向及び当該挿入方向とは逆向きの方向のことをいう。
この例示の鍔部13は、略矩形の外周を有する平板状に形成されている(図1、図7及び図8)。よって、この例示の鍔部13においては、一方の平面が第1壁部13aとなり、他方の平面が第2壁部13bとなる。また、この例示の鍔部13においては、第1直交方向Go1における一方の辺部が第1被係止部13cとなり、第1直交方向Go1における他方の辺部が第2被係止部13dとなる。また、この例示の鍔部13においては、第2直交方向Go2における一方の辺部が第3被係止部13eとなり、第2直交方向Go2における他方の辺部が第4被係止部13fとなる。この例示の鍔部13においては、四隅が各々面取り加工されている。
尚、この例示の雌螺子部材10は、鍔部13の外周が正方形で、かつ、鍔部13のそれぞれの隅部がそれぞれの辺部に対して45度傾斜させた面取り部を有しているので、螺子軸の軸周りに90度ずつ回転させたその全ての位置において同一の外形を成す。このため、この例示の雌螺子部材10においては、鍔部13の4つの辺部の内の何れも収容部材20への挿入起点となり得る。そこで、この例示の雌螺子部材10においては、収容部材20への挿入起点となる鍔部13の辺部を第3被係止部13eとし、この第3被係止部13eを基準にして、鍔部13の残りの3つの辺部における第1被係止部13cと第2被係止部13dと第4被係止部13fとを定義する。
収容部材20は、合成樹脂等の絶縁性材料で成形される。この収容部材20とは、筐体等のような箱状に成形されたものであってもよく、その筐体の中に収容され且つ保持される所謂ブロックとして成形されたものであってもよい。ここでは、ブロックとして成形された収容部材20を例示している。
この収容部材20においては、先に示した部品収容室21が形成されている。この部品収容室21には、開口(電子部品挿入口)21aを介して電子部品80が2つの端子部52側から挿入されていく(図1及び図2)。電子部品80においては、その挿入方向に向けて本体81から2つの端子部52が突出させられている。よって、収容部材20においては、本体81が部品収容室21に対して収容完了位置のときに、2つの端子部52が部品収容室21の外方に突出させられている。収容部材20は、その部品収容室21から外方に突出させられた端子部52が収容される端子収容室22を備える(図1から図6、図9及び図10)。
端子収容室22には、雌螺子部材10と連結部51も収容される。よって、この端子収容室22は、雌螺子収容室と言い換えることもできる。この端子収容室22は、雌螺子部材10と雄螺子部材40と連結部51と端子部52の組み合わせ毎に設けられている(図3から図5)。それぞれの端子収容室22は、螺子軸方向に沿って並べて配置される。端子収容室22は、部品収容室21に対する電子部品80の挿抜方向で開口21aとは逆側に開口22aを有している(図1、図2、図4から図6、図9及び図10)。雌螺子部材10と連結部51は、その開口22aを介して電子部品80の挿入方向とは逆向きで端子収容室22に挿入されていく。
連結部51と端子部52は、端子収容室22の中で雌螺子部材10と雄螺子部材40とによって締結される。端子収容室22には、収容完了状態の雌螺子部材10の螺子軸の延長線上に、雌螺子部材10と雄螺子部材40の螺合作業を行うための開口(作業口)22bが形成されている(図1)。
尚、この例示の導電部材70Aは、矩形の平板状の主体71を有している(図1)。その主体71は、4つの辺部を有している。この例示の導電部材70Aにおいては、その主体71の交差する2つの辺部の内の一方に同一平面上で雄タブ端子72を設け、その内の他方に同一平面上で連結部51を設けている(図1)。雄タブ端子72は、端子収容室22に対する連結部51の挿入方向に沿って主体71から突出させる。この例示の導電部材70Aにおいては、その主体71と雄タブ端子72についても収容部材20に収容される。導電部材70Bについては、図示を省略するが、その導電部材70Aと同じように、主体と雄タブ端子を有している。また、この例示の収容部材20には、電子部品80とは別に、電子部品(例えば、ヒューズ)85(図2)が収容される部品収容室23(図1)と、電子部品(例えば、ヒューズ)86(図2)が収容される部品収容室24(図1)と、が形成されている。一方の導電部材70Aの雄タブ端子72は、部品収容室23に収容された電子部品85に電気接続させる。また、他方の導電部材70Bの雄タブ端子は、2つの部品収容室24に各々収容された電子部品86に電気接続させる。
仮保持機構30Aは、端子収容室22に設ける。この仮保持機構30Aは、端子収容室22毎に設けている。この仮保持機構30Aは、螺子軸方向で第1被係止部13cの第1壁部13aを係止する第1係止部31と、螺子軸方向で第2被係止部13dの第1壁部13aを係止する第2係止部32と、を有する(図3)。また、この仮保持機構30Aは、螺子軸方向で第1被係止部13cの第2壁部13bを係止する第3係止部33と、螺子軸方向で第2被係止部13dの第2壁部13bを係止する第4係止部34と、を有する(図3、図9及び図10)。また、この仮保持機構30Aは、第1直交方向Go1における一方側で第1被係止部13cを係止する第5係止部35と、第1直交方向Go1における他方側で第2被係止部13dを係止する第6係止部36と、を有する(図3、図9及び図10)。また、この仮保持機構30Aは、第2直交方向Go2における一方側で雌螺子部材10を係止する第7係止部37と、第2直交方向Go2における他方側で第4被係止部13fを係止する第8係止部38と、を有する(図6、図9及び図10)。仮保持機構30Aは、これら第1から第8の係止部31−38によって、雌螺子部材10を雄螺子部材40が螺合完了状態になるまで仮保持させる。
第1係止部31と第2係止部32は、第2直交方向Go2に沿って延在させている。雌螺子部材10の雌螺子部11は、その第1係止部31と第2係止部32の間に介在させ、その間から突出させる(図3)。
第1係止部31と第3係止部33は、その間で螺子軸方向に沿って第1被係止部13cを相対移動させ得るものとして形成される(図3)。そして、第2係止部32と第4係止部34は、その間で螺子軸方向に沿って第2被係止部13dを相対移動させ得るものとして形成される(図3)。つまり、この仮保持機構30Aにおいては、第1係止部31と第3係止部33との間及び第2係止部32と第4係止部34との間で鍔部13に対して螺子軸方向の間隔を空けておくことによって、収容部材20に対して雌螺子部材10を螺子軸方向に沿って相対移動させる。よって、この仮保持機構30Aにおいては、第3係止部33や第4係止部34に向けた螺子軸方向の力が雌螺子部材10に作用した際に、その力の掛かる方向に雌螺子部材10を移動させることができる。
第5係止部35は、両端を固定端39a1,39a2とする両持ちの第1アーム体39aに設ける(図3、図6、図9及び図10)。この第5係止部35は、その第1アーム体39aにて、この第1アーム体39aの固定端39a1,39a2の間における第1直交方向Go1への弾性変形が可能な第1可撓部39a3に設ける(図3、図6、図9及び図10)。その第1アーム体39aは、第2直交方向Go2における一方側の固定端39a1から他方側の固定端39a2に向けて(換言するならば、第7係止部37の配置されている側の固定端39a1から第8係止部38の配置されている側の固定端39a2に向けて)第1可撓部39a3を延在させている(図6、図9及び図10)。ここでは、その第2直交方向Go2に沿って延在させた第1可撓部39a3を第5係止部35として利用する。
第6係止部36は、両端を固定端39b1,39b2とする両持ちの第2アーム体39bに設ける(図3、図9及び図10)。この第6係止部36は、その第2アーム体39bにて、この第2アーム体39bの固定端39b1,39b2の間における第1直交方向Go1への弾性変形が可能な第2可撓部39b3に設ける(図3、図9及び図10)。その第2アーム体39bは、第2直交方向Go2における一方側の固定端39b1から他方側の固定端39b2に向けて(換言するならば、第7係止部37の配置されている側の固定端39b1から第8係止部38の配置されている側の固定端39b2に向けて)第2可撓部39b3を延在させている(図9及び図10)。ここでは、その第2直交方向Go2に沿って延在させた第2可撓部39b3を第6係止部36として利用する。
このように、第5係止部35は、第1直交方向Go1に弾性変形させることができるので、第1被係止部13cから第1直交方向Go1に沿った力を受けた際に、その力の掛かる方向へと撓ませることができる。これと同じように、第6係止部36は、第1直交方向Go1に弾性変形させることができるので、第2被係止部13dから第1直交方向Go1に沿った力を受けた際に、その力の掛かる方向へと撓ませることができる。よって、第5係止部35と第6係止部36は、その間で第1直交方向Go1に沿った力を雌螺子部材10から受けた際に、弾性変形と共に雌螺子部材10を力の掛かる方向に移動させることができる。従って、この仮保持機構30Aは、収容部材20に対して雌螺子部材10を第1直交方向Go1に沿って相対移動させることができる。
ここで、この例示の第5係止部35と第6係止部36は、第1直交方向Go1で鍔部13を第1被係止部13c側と第2被係止部13d側から挟み込ませるべく対向配置させる。ここでいう挟み込ませるとは、第5係止部35と第6係止部36とで鍔部13を挟持させる場合、又は、第5係止部35と第6係止部36との間に第1直交方向Go1の隙間を空けて鍔部13を介装させる場合の何れか一方のことを示す。その隙間とは、鍔部13を挟持させるべく設計しているが、公差ばらつき等で生じてしまうもの、又は、設計値として設けられたもののことをいう。ここで示す第5係止部35と第6係止部36は、その間に第1直交方向Go1で鍔部13を挟持させるものとして形成されている。
鍔部13が挟持されている場合、この例示の第5係止部35と第6係止部36は、これらに向けた第1直交方向Go1の力が雌螺子部材10に作用した際に、即座に弾性変形しながら雌螺子部材10を力の掛かる方向に移動させる。一方、鍔部13が隙間を空けて挟み込まれている場合、この例示の第5係止部35と第6係止部36は、これらに向けた第1直交方向Go1の力が雌螺子部材10に作用した際に、鍔部13が当接した後、弾性変形しながら雌螺子部材10を力の掛かる方向に移動させる。よって、この仮保持機構30Aは、隙間(特に設計上の隙間)を空けて鍔部13を挟み込ませることで、鍔部13を挟持させている場合よりも、収容部材20に対する雌螺子部材10の第1直交方向Go1への相対移動量を増やすことができる。ここで示す第5係止部35と第6係止部36は、その間に第1直交方向Go1で鍔部13を挟持させるものとして形成されている(図3)。
第7係止部37は、第2直交方向Go2で雌螺子部11を係止させるものであってもよく、第2直交方向Go2で第3被係止部13eを係止させるものであってもよい。この例示では、第2直交方向Go2で第3被係止部13eに対向配置される壁部を第7係止部37として利用している(図6、図9及び図10)。
第8係止部38は、第4被係止部13fにおける第1被係止部13c側の端部13f1を係止するもの(第8係止部38A)と、第4被係止部13fにおける第2被係止部13d側の端部13f2を係止するもの(第8係止部38B)と、に分けて設ける(図9及び図10)。
第4被係止部13fの一方の端部13f1は、第1被係止部13cと第4被係止部13fとの間の隅部のことである。また、第4被係止部13fの他方の端部13f2は、第2被係止部13dと第4被係止部13fとの間の隅部のことである。一方の第8係止部38Aは、その第4被係止部13fの端部13f1を第2直交方向Go2における他方側から係止する。また、他方の第8係止部38Bは、その第4被係止部13fの端部13f2を第2直交方向Go2における他方側から係止する。
この例示では、一方の第8係止部38Aを第1アーム体39aの第1可撓部39a3に設け、他方の第8係止部38Bを第2アーム体39bの第2可撓部39b3に設ける(図9及び図10)。一方の第8係止部38Aは、第1可撓部39a3から第2可撓部39b3側に向けて突出させた爪状に形成されている。また、他方の第8係止部38Bは、第2可撓部39b3から第1可撓部39a3側に向けて突出させた爪状に形成されている。
この仮保持機構30Aにおいては、雌螺子部材10が第3被係止部13e側から端子収容室22に挿入されてきた際に、それぞれの第8係止部38A,38Bに対して、第3被係止部13eにおける第1被係止部13c側の端部13f3と第2被係止部13d側の端部13f4が当接する。第3被係止部13eの一方の端部13f3は、第1被係止部13cと第3被係止部13eとの間の隅部のことであり、先に示したように面取り加工されている。また、第3被係止部13eの他方の端部13f4は、第2被係止部13dと第3被係止部13eとの間の隅部のことであり、先に示したように面取り加工されている。そこで、それぞれの第8係止部38A,38Bには、それぞれの端部13f3,13f4の傾斜面に対向配置させる傾斜面38A1,38B1を設ける(図9及び図10)。この仮保持機構30Aにおいては、雌螺子部材10の端子収容室22への挿入の際に、それぞれの端部13f3,13f4をそれぞれの傾斜面38A1,38B1に当接させ、それぞれの端部13f3,13f4からそれぞれの傾斜面38A1,38B1に押圧力を作用させることによって、第1アーム体39aと第2アーム体39bを弾性変形させながら、その間隔を拡張させる。第1アーム体39aと第2アーム体39bは、鍔部13がそれぞれの第8係止部38A,38Bを乗り越えた後、弾性変形が解消されて元の位置に戻る。これにより、それぞれの第8係止部38A,38Bは、第2直交方向Go2で第4被係止部13fの端部13f1,13f2に対向配置される。
先に示したように、鍔部13においては、第4被係止部13fのそれぞれの端部13f1,13f2が面取り加工されている。この例示のそれぞれの第8係止部38A,38Bには、それぞれの端部13f1,13f2の傾斜面に対向配置させる傾斜面38A2,38B2が設けられている(図9及び図10)。例えば、この仮保持機構30Aにおいては、それぞれの第8係止部38A,38Bの傾斜面38A2,38B2をそれぞれの端部13f1,13f2の傾斜面と同等の傾斜角度に形成することによって、面接触状態で鍔部13を仮保持させることができる。ここでは、その面接触状態での雌螺子部材10の仮保持位置を基準仮保持位置と称する。収容部材20に対する雌螺子部材10の第2直交方向Go2での仮保持位置は、例えば、それぞれの第8係止部38A,38Bの傾斜面38A2,38B2の傾斜角度を基準仮保持位置での傾斜角度に対して変えることによって調整することができる。
第7係止部37と第8係止部38は、雌螺子部材10を第2直交方向Go2に相対移動させ得るものとして形成されている(図9及び図10)。
ところで、第1係止部31と第3係止部33は、第2直交方向Go2に沿って一方の第8係止部38Aよりも第2直交方向Go2における他方側に延在させる(図6、図9及び図10)。更に、第2係止部32と第4係止部34は、第2直交方向Go2に沿って他方の第8係止部38Bよりも第2直交方向Go2における他方側に延在させる(図9及び図10)。これにより、この仮保持機構30Aにおいては、その第1から第4の係止部31−34が、端子収容室22の開口22aから挿入されてきた雌螺子部材10を収容完了位置まで案内するガイド機構として利用される。そこで、この例示の第1から第4の係止部31−34は、端子収容室22の開口22aまで延在させることによって、雌螺子部材10を開口22aに差し入れてから直ぐに収容完了位置に向けて案内することができる。
この例示では、第5係止部35と第6係止部36にもガイド機構としての機能を持たせる。第5係止部35は、第2直交方向Go2に沿って一方の第8係止部38Aよりも第2直交方向Go2における他方側に延在させたガイド部35aを有している(図9及び図10)。そのガイド部35aは、第1アーム体39aの固定端39a2よりも第2直交方向Go2における他方側に延在させる。また、第6係止部36は、第2直交方向Go2に沿って他方の第8係止部38Bよりも第2直交方向Go2における他方側に延在させたガイド部36aを有している(図9及び図10)。そのガイド部36aは、第2アーム体39bの固定端39b2よりも第2直交方向Go2における他方側に延在させる。ここでは、それぞれのガイド部35a,36aを端子収容室22の開口22aまで延在させている。
以上示した本実施形態の電気接続箱1においては、雌螺子部材10が螺子軸方向の力を受けた際に、収容部材20に対してその力の向きに雌螺子部材10を相対移動させることができる。このため、この電気接続箱1においては、雌螺子部材10と雄螺子部材40とで締結対象物50を締結させるべく、雌螺子部材10の挟持部12上に締結対象物50を設置する際に、その雌螺子部材10が締結対象物50から螺子軸方向の力を受けたとしても、収容部材20に対してその力の向きに雌螺子部材10を相対移動させることができる。従って、この電気接続箱1においては、雌螺子部材10の挟持部12上に締結対象物50を設置する際の力を軽減させることができるので、その設置作業性を向上させることができる。
具体的に、この例示の電気接続箱1においては、端子収容室22に収容されている雌螺子部材10の挟持部12と導電部材70の連結部51との間の隙間が電子部品80の端子部52の板厚より狭くなっていたとしても、その間に挿入され始めた端子部52が雌螺子部材10を螺子軸方向に押動しながら、その間の隙間を押し広げていくことができる。従って、この電気接続箱1においては、雌螺子部材10の挟持部12と導電部材70の連結部51との間に締結対象物50たる端子部52を挿入する際の挿入力を軽減させることができるので、その端子部52の挿入作業性を向上させることができ、これに伴い、電子部品80の部品収容室21への挿入作業性も向上させることができる。
更に、本実施形態の電気接続箱1においては、収容部材20に対して雌螺子部材10を螺子軸方向に対する直交方向(第1直交方向Go1及び第2直交方向Go2)に相対移動させることができる。このため、この電気接続箱1においては、連結部51の貫通孔51aや端子部52の貫通孔52aの中心に対する雌螺子部材10の螺子軸の位置ずれを修正することができる。従って、この電気接続箱1においては、雌螺子部材10と雄螺子部材40とを螺合させる際の作業性も向上させることができる。
本実施形態の電気接続箱1においては、雌螺子部材10と雄螺子部材40とが螺合完了状態となったときに、第1係止部31及び第2係止部32に対して、雌螺子部材10の鍔部13における第1被係止部13c及び第2被係止部13dのそれぞれの第1壁部13aから押圧力を作用させることができる。そして、この電気接続箱1においては、螺合完了状態が続く限り、その押圧力を作用させ続けることができるので、雌螺子部材10を収容部材20に固定させることができる。従って、この電気接続箱1においては、その螺合完了状態が続く限り、雌螺子部材10と雄螺子部材40による締結対象物50(導電部材70の連結部51と電子部品80の端子部52)の締結状態を保ち続けることができる。
[実施形態2]
本発明に係る電気接続箱の実施形態の1つを図11から図17に基づいて説明する。
図11から図17の符号101は、本実施形態の電気接続箱を示す。その電気接続箱101は、前述した実施形態1と同じ雌螺子部材10と、この雌螺子部材10が収容され且つ固定される絶縁性の収容部材120と、を備える(図11及び図13から図17)。この電気接続箱101は、その収容部材120に雌螺子部材10を固定させる雌螺子固定構造130を備える(図11及び図13から図17)。その雌螺子固定構造130は、前述した実施形態1と同じ雄螺子部材40が螺合完了状態になるまで雌螺子部材10を仮保持させる仮保持機構130Aを備える。この例示では、その仮保持機構130Aを収容部材120に設ける。また、この電気接続箱101は、収容部材120に収容される導電性の締結対象物150を備える(図11から図17)。そして、この電気接続箱101は、収容部材120の中で締結対象物150を雌螺子部材10と雄螺子部材40とで締結させる締結構造160を備える(図11から図17)。その締結構造160は、締結対象物150と雌螺子部材10と雄螺子部材40と雌螺子固定構造130とで構成される。
この例示では、締結対象物150として、導電部材170の板状の連結部151が設けられている(図11から図17)。ここで示す導電部材170は、金属等の導電性材料で板状に成形された所謂バスバである。連結部151は、平板状に形成されている。この連結部151には、雄螺子部41を挿通させる円形の貫通孔151aが形成されている(図11)。例えば、この連結部151は、雌螺子部材10と雄螺子部材40とで締結させることによって、導電部材170を収容部材120に固定させる際に用いることができる。また、ここでの図示は省略するが、連結部151と雄螺子部材40との間には、別の締結対象物150としての端子(例えば、LA端子等)を介在させることができる。この場合の連結部151は、その別の端子(LA端子等)と共に雌螺子部材10と雄螺子部材40とで締結させることによって、この別の端子(LA端子等)を導電部材170に電気接続させるために用いることができる。
この例示の導電部材170は、矩形の平板状の主体171を有している(図11)。その主体171は、4つの辺部を有している。この例示の導電部材170においては、その主体171の交差する2つの辺部の内の一方に同一平面上で雄タブ端子172を設け、その内の他方に同一平面上で連結部151を設けている(図11)。この導電部材170は、雄タブ端子172の主体171からの突出方向に沿って収容部材120に収容される。連結部151は、収容部材120に対する導電部材170の収容完了状態のときに、一方の平面を雌螺子部材10の挟持部12に面接触させる。収容部材120においては、雌螺子部材10が導電部材170よりも先に収容されており、導電部材170が収容完了状態となったときに、雌螺子部材10の螺子軸と略同軸上に連結部151の貫通孔151aが配置されている。但し、雌螺子部材10は、後述するように、収容部材120に対して相対移動できるので、その相対移動量の範囲内で、貫通孔151aの中心に対して螺子軸が偏心している場合もある。雄タブ端子172は、電子部品(例えば、ヒューズ)185(図11及び図12)に電気接続される。
収容部材120は、合成樹脂等の絶縁性材料で成形される。この収容部材120とは、筐体等のような箱状に成形されたものであってもよく、その筐体の中に収容され且つ保持される所謂ブロックとして成形されたものであってもよい。ここでは、ブロックとして成形された収容部材120を例示している。
この収容部材120は、電子部品185が収容される部品収容室121を備える(図11及び図12)。その部品収容室121には、開口(電子部品挿入口)121aを介して電子部品185が挿入されていく(図11及び図12)。電子部品185は、その部品収容室121の中で導電部材170の雄タブ端子172に電気接続される。
更に、この収容部材120は、雌螺子部材10が収容される雌螺子収容室122を備える(図11から図17)。その雌螺子収容室122には、連結部151も収容される。この雌螺子収容室122は、部品収容室121に対する電子部品185の挿抜方向で開口121aとは逆側に開口122aを有している(図11、図12、図14から図17)。雌螺子部材10と連結部151は、その開口122aを介して電子部品185の挿入方向とは逆向きで雌螺子収容室122に挿入されていく。
連結部151は、例えば、雌螺子収容室122の中で雌螺子部材10と雄螺子部材40とによって、先の端子(LA端子等)を介在させた上で締結される。雌螺子収容室122には、収容完了状態の雌螺子部材10の螺子軸の延長線上に、雌螺子部材10と雄螺子部材40の螺合作業を行うための開口(作業口)122bが形成されている(図11)。
仮保持機構130Aは、雌螺子収容室122に設ける。この仮保持機構130Aは、実施形態1の仮保持機構30Aにおける第1から第8の係止部31−38と同様の第1から第8の係止部131−138を有しており(図13から図17)、これらによって雌螺子部材10を雄螺子部材40が螺合完了状態になるまで仮保持させる。
よって、第1係止部31は、雌螺子部材10の鍔部13における第1被係止部13cの第1壁部13aを螺子軸方向で係止させるものとして形成する。また、第2係止部132は、鍔部13における第2被係止部13dの第1壁部13aを螺子軸方向で係止させるものとして形成する。また、第3係止部133は、第1被係止部13cの第2壁部13bを螺子軸方向で係止させるものとして形成する。また、第4係止部134は、第2被係止部13dの第2壁部13bを螺子軸方向で係止させるものとして形成する。
第1係止部131と第3係止部133は、実施形態1の第1係止部31及び第3係止部33と同じように、その間で螺子軸方向に沿って第1被係止部13cを相対移動させ得るものとして形成される(図13)。また、第2係止部132と第4係止部134は、実施形態1の第2係止部32及び第4係止部34と同じように、その間で螺子軸方向に沿って第2被係止部13dを相対移動させ得るものとして形成される(図13)。つまり、この仮保持機構130Aにおいては、第1係止部131と第3係止部133との間及び第2係止部132と第4係止部134との間で鍔部13に対して螺子軸方向の間隔を空けておくことによって、収容部材120に対して雌螺子部材10を螺子軸方向に沿って相対移動させる。よって、この仮保持機構130Aにおいては、実施形態1の仮保持機構30Aと同じように、第3係止部133や第4係止部134に向けた螺子軸方向の力が雌螺子部材10に作用した際に、その力の掛かる方向に雌螺子部材10を移動させることができる。
第1係止部131と第2係止部132は、第2直交方向Go2に沿って延在させている。雌螺子部材10の雌螺子部11は、その第1係止部131と第2係止部132の間に介在させ、その間から突出させる(図13)。
第5係止部135は、両端を固定端139a1,139a2とする両持ちの第1アーム体139aに設ける(図13から図17)。この第5係止部135は、その第1アーム体139aにて、この第1アーム体139aの固定端139a1,139a2の間における第1直交方向Go1への弾性変形が可能な第1可撓部139a3に設ける(図13から図17)。その第1アーム体139aは、第2直交方向Go2における一方側の固定端139a1から他方側の固定端139a2に向けて(換言するならば、第7係止部137の配置されている側の固定端139a1から第8係止部138の配置されている側の固定端139a2に向けて)第1可撓部139a3を延在させている(図14から図17)。ここでは、その第2直交方向Go2に沿って延在させた第1可撓部139a3を第5係止部135として利用する。
第6係止部136は、両端を固定端139b1,139b2とする両持ちの第2アーム体139bに設ける(図13、図16及び図17)。この第6係止部136は、その第2アーム体139bにて、この第2アーム体139bの固定端139b1,139b2の間における第1直交方向Go1への弾性変形が可能な第2可撓部139b3に設ける(図13、図16及び図17)。その第2アーム体139bは、第2直交方向Go2における一方側の固定端139b1から他方側の固定端139b2に向けて(換言するならば、第7係止部137の配置されている側の固定端139b1から第8係止部138の配置されている側の固定端139b2に向けて)第2可撓部139b3を延在させている(図16及び図17)。ここでは、その第2直交方向Go2に沿って延在させた第2可撓部139b3を第6係止部136として利用する。
このように、第5係止部135と第6係止部136は、実施形態1の第5係止部35及び第6係止部36と同じように、第1直交方向Go1に弾性変形させることができるので、その間で第1直交方向Go1に沿った力を雌螺子部材10から受けた際に、弾性変形と共に雌螺子部材10を力の掛かる方向に移動させることができる。従って、この仮保持機構130Aは、収容部材120に対して雌螺子部材10を第1直交方向Go1に沿って相対移動させることができる。
ここで、この例示の第5係止部135と第6係止部136は、実施形態1の第5係止部35及び第6係止部36と同じように、第1直交方向Go1で鍔部13を第1被係止部13c側と第2被係止部13d側から挟み込ませるべく対向配置させる。鍔部13が挟持されている場合、この例示の第5係止部135と第6係止部136は、これらに向けた第1直交方向Go1の力が雌螺子部材10に作用した際に、即座に弾性変形しながら雌螺子部材10を力の掛かる方向に移動させる。一方、鍔部13が隙間を空けて挟み込まれている場合、この例示の第5係止部135と第6係止部136は、これらに向けた第1直交方向Go1の力が雌螺子部材10に作用した際に、鍔部13が当接した後、弾性変形しながら雌螺子部材10を力の掛かる方向に移動させる。よって、この仮保持機構130Aは、隙間(特に設計上の隙間)を空けて鍔部13を挟み込ませることで、鍔部13を挟持させている場合よりも、収容部材120に対する雌螺子部材10の第1直交方向Go1への相対移動量を増やすことができる。ここで示す第5係止部135と第6係止部136は、実施形態1の第5係止部35及び第6係止部36と同じように、その間に第1直交方向Go1で鍔部13を挟持させるものとして形成されている(図13)。
第7係止部137は、第2直交方向Go2で雌螺子部11を係止させるものであってもよく、第2直交方向Go2で第3被係止部13eを係止させるものであってもよい。この例示では、実施形態1の第7係止部37と同じように、第2直交方向Go2で第3被係止部13eに対向配置される壁部を第7係止部137として利用している(図15から図17)。
第8係止部138は、実施形態1の第8係止部38と同じように、第4被係止部13fにおける第1被係止部13c側の端部13f1を係止するもの(第8係止部138A)と、第4被係止部13fにおける第2被係止部13d側の端部13f2を係止するもの(第8係止部138B)と、に分けて設ける(図13、図16及び図17)。
この例示では、実施形態1と同じように、一方の第8係止部138Aを第1アーム体139aの第1可撓部139a3に設け、他方の第8係止部138Bを第2アーム体139bの第2可撓部139b3に設ける(図13、図16及び図17)。
この例示でも、それぞれの第8係止部138A、138Bは、爪状に形成されている。そして、この仮保持機構130Aにおいては、実施形態1の仮保持機構30Aと同じように、雌螺子部材10の雌螺子収容室122への挿入の際に、それぞれの端部13f3,13f4をそれぞれの第8係止部138A、138Bのそれぞれの傾斜面138A1,138B1(図16及び図17)に当接させ、それぞれの端部13f3,13f4からそれぞれの傾斜面138A1,138B1に押圧力を作用させることによって、第1アーム体139aと第2アーム体139bを弾性変形させながら、その間隔を拡張させる。第1アーム体139aと第2アーム体139bは、鍔部13がそれぞれの第8係止部138A,138Bを乗り越えた後、弾性変形が解消されて元の位置に戻り、それぞれの第8係止部138A,138Bを第2直交方向Go2で第4被係止部13fの端部13f1,13f2に対向配置させる。
また、この仮保持機構130Aにおいては、実施形態1の仮保持機構30Aと同じように、それぞれの第8係止部138A,138Bの傾斜面138A2,138B2(図16及び図17)をそれぞれの端部13f1,13f2の傾斜面と同等の傾斜角度に形成することによって、面接触状態で鍔部13を基準仮保持位置に仮保持させることができる。収容部材120に対する雌螺子部材10の第2直交方向Go2での仮保持位置は、実施形態1と同じように、例えば、それぞれの第8係止部138A,138Bの傾斜面138A2,138B2の傾斜角度を基準仮保持位置での傾斜角度に対して変えることによって調整することができる。
第7係止部137と第8係止部138は、実施形態1の第7係止部37及び第8係止部38と同じように、雌螺子部材10を第2直交方向Go2に相対移動させ得るものとして形成されている(図16及び図17)。
本実施形態においても、第1係止部131と第3係止部133は、実施形態1の第1係止部31及び第3係止部33と同じように、第2直交方向Go2に沿って一方の第8係止部138Aよりも第2直交方向Go2における他方側に延在させる(図15から図17)。そして、第2係止部132と第4係止部134は、実施形態1の第2係止部32及び第4係止部34と同じように、第2直交方向Go2に沿って他方の第8係止部138Bよりも第2直交方向Go2における他方側に延在させる(図16及び図17)。つまり、この仮保持機構130Aにおいては、実施形態1の仮保持機構30Aと同じように、その第1から第4の係止部131−134を雌螺子部材10の挿入時のガイド機構として利用する。この例示の第1から第4の係止部131−134は、雌螺子収容室122の開口122aまで延在させている。
この例示では、第5係止部135が実施形態1の第5係止部35と同様のガイド部135aを有し、第6係止部136が実施形態1の第6係止部36と同様のガイド部136aを有している。それぞれのガイド部135a,136aは、雌螺子収容室122の開口122aまで延在させている。よって、この例示の第5係止部135と第6係止部136は、実施形態1の第5係止部35及び第6係止部36と同じように、雌螺子部材10の挿入時のガイド機構として利用することができる。
以上示した本実施形態の電気接続箱101においては、雌螺子部材10が螺子軸方向の力を受けた際に、収容部材120に対してその力の向きに雌螺子部材10を相対移動させることができる。このため、この電気接続箱101においては、雌螺子部材10と雄螺子部材40とで締結対象物150を締結させるべく、雌螺子部材10の挟持部12上に締結対象物150を設置する際に、その雌螺子部材10が締結対象物150から螺子軸方向の力を受けたとしても、収容部材120に対してその力の向きに雌螺子部材10を相対移動させることができる。従って、この電気接続箱101においては、雌螺子部材10の挟持部12上に締結対象物150を設置する際の力を軽減させることができるので、その設置作業性を向上させることができる。
具体的に、この例示の電気接続箱101においては、導電部材170を収容部材120に収容させる際に、雌螺子収容室122に収容されている雌螺子部材10の挟持部12に導電部材170の連結部151が接触したとしても、導電部材170の挿入を続けることで、螺子軸方向に向けて連結部151に雌螺子部材10を押動させることができる。また、この例示の電気接続箱101においては、導電部材170を収容部材120に収容する際に、雌螺子収容室122に収容されている雌螺子部材10の雌螺子部11の外周壁の先端部に導電部材170の連結部151が接触したとしても、導電部材170の挿入を続けることで、その連結部151を挟持部12まで案内させることができれば、螺子軸方向に向けて連結部151に雌螺子部材10を押動させることができる。例えば、この例示では、雌螺子部11の先端部における外周壁側の隅部が面取り加工されており、その面取り部で連結部151を挟持部12まで案内させる。従って、この電気接続箱101においては、締結対象物150としての連結部151が設けられている導電部材170を収容部材120に挿入する際の挿入力を軽減させることができるので、その導電部材170の挿入作業性を向上させることができる。
更に、本実施形態の電気接続箱101においては、収容部材120に対して雌螺子部材10を螺子軸方向に対する直交方向(第1直交方向Go1及び第2直交方向Go2)に相対移動させることができる。このため、この電気接続箱101においては、連結部151の貫通孔151aの中心に対する雌螺子部材10の螺子軸の位置ずれを修正することができる。従って、この電気接続箱101においては、雌螺子部材10と雄螺子部材40とを螺合させる際の作業性も向上させることができる。
本実施形態の電気接続箱101においては、雌螺子部材10と雄螺子部材40とが螺合完了状態となったときに、第1係止部131及び第2係止部132に対して、雌螺子部材10の鍔部13における第1被係止部13c及び第2被係止部13dのそれぞれの第1壁部13aから押圧力を作用させることができる。そして、この電気接続箱101においては、螺合完了状態が続く限り、その押圧力を作用させ続けることができるので、雌螺子部材10を収容部材120に固定させることができる。従って、この電気接続箱101においては、その螺合完了状態が続く限り、雌螺子部材10と雄螺子部材40による締結対象物150(導電部材170の連結部151)の締結状態を保ち続けることができる。