JP2021022775A - 送信サーバ、送信装置、受信装置及びプログラム - Google Patents
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Abstract
【課題】デジタル放送で利用する誤り訂正符号と効率的に組み合わせた上で、通信を利用して受信側からの再送要求に応じてデータ再送を可能とする送信サーバ、デジタル放送に係る送信装置及び受信装置、並びにプログラムを提供する。【解決手段】本発明の送信サーバ6は、送信装置2(3)で生成されたデジタル放送に係る誤り訂正符号の符号化データを入力して所定時間分を保存し、IP網8を経て、受信装置5にて誤り訂正符号を用いて符号化データのビット誤りが訂正できなかったときに生成される再送要求パケットを受信し、その応答として当該符号化データにおける再送要求に係る符号化ビットをIPパケット形成で受信装置5に向けて送信する。本発明の送信装置2(3)は当該符号化データを順次、送信サーバ6に出力する。本発明の受信装置5は再送要求を経て得られた符号化ビットを補完し、復号できるまで再送要求を繰り返すように構成される。【選択図】図1
Description
本発明は、衛星放送及び地上放送並びに固定通信及び移動通信の技術分野に関するものであり、特に、放送と通信を連携し、通信を利用して受信側からの再送要求に応じてデータ再送を可能とする送信サーバ、デジタル放送に係る送信装置及び受信装置、並びにプログラムに関する。
衛星放送及び地上放送のデジタル放送方式では、白色雑音下での伝送性能を向上させる技術として、誤り訂正符号が用いられる。例えば高度広帯域衛星デジタル放送では、信号対雑音比に対する利用効率の理論的な上限値であるシャノン限界に迫る性能を有する強力な誤り訂正符号であるLDPC(Low Density Parity Check)符号が利用される(例えば、非特許文献1,2参照)。しかし、衛星デジタル放送では降雨による減衰、地上デジタル放送ではフェージングなど、デジタル放送では、誤り訂正符号のみでは信号を復旧できないほど伝送条件が悪化する場合がある。
一方、デジタル無線通信では、誤り訂正符号以外のデータ補償技術としてARQ(Automatic Repeat reQuest)によるデータ再送制御が知られている(例えば、特許文献1,2参照)。デジタル無線通信において、誤り訂正符号とARQを組み合わせたHybrid ARQを用いることで伝送性能の向上を実現することができ、ARQのみを利用するよりも少ない再送回数、且つ誤り訂正符号のみでは補償できない条件でのデータ伝送が可能となる。ただし、Hybrid ARQを用いる従来の先行技術は、FPUや携帯電話の基地局通信など双方向の通信に限られており、放送のような片方向のブロードキャストにおいて通信と連携し、Hybrid ARQでデータを補償する技法は確立されていない。
尚、Hybrid ARQを構成するものではないが、デジタル放送の伝送条件が悪化した際、双方向の通信が可能な通信路であるIP(Internet Protocol)網を経て受信側から送信側に向けてARQを行い、送信側からデータを再送する技術が開示されている(例えば、特許文献3参照)。
一般的なIP網は、回線が混雑しているなどの何らかの障害により情報が消失する消失通信路(PEC:Packet Erasure Channel)が想定される。そこで、デジタル無線通信におけるHybrid ARQでは、データ補償を行う誤り訂正符号として、LDPC−CC(Convolutional Codes)(例えば、特許文献4参照)やLDGM(Low-Density Generator Matrix)符号(例えば、特許文献5参照)などの消失通信路であるIP通信専用の誤り訂正符号が用いられる。これらのLDPC−CCやLDGM符号は、高度広帯域衛星デジタル放送などと同じくLDPC符号を基にした誤り訂正符号ではあるが、消失通信路であるIP通信のみを考慮して設計された符号であり、IP通信専用の誤り訂正符号の符号化器及び復号器を用意する必要がある。
R. G. Gallager, "Low-Density Parity-Check Codes," in Research Monograph series Cambridge, MIT Press, 1963年12月
"高度広帯域衛星デジタル放送の伝送方式(ISDB-S3) 標準規格 ARIB STD-B44 2.1版"、[online]、平成28年3月25日改定、ARIB、[令和1年7月12日検索]、インターネット<URL:https://www.arib.or.jp/kikaku/kikaku_hoso/std-b44.html>
上記の通り、デジタル無線通信において、誤り訂正符号とARQを組み合わせたHybrid ARQを用いることで伝送性能の向上を実現することができ、ARQのみを利用するよりも少ない再送回数、且つ誤り訂正符号のみでは補償できない条件でのデータ伝送が可能となる。
しかし、放送のような片方向のブロードキャストにおいて通信と連携し、Hybrid ARQでデータを補償する技法は確立されていない。
そこで、デジタル放送においても、通信と連携し、誤り訂正符号とARQを組み合わせたデジタル放送と通信の融合によるHybrid ARQでデータを補償する技法が望まれる。例えば、デジタル放送の伝送条件が悪化した際、双方向の通信が可能な通信路であるIP網を経て受信側から送信側にARQを行い、送信側からデータ再送する伝送システムを構築することで、伝送性能を向上させることができる。つまり、現行のデジタル放送では誤り訂正符号によるデータ補償しか想定していないため、Hybrid ARQでデジタル放送に係るデータを補償することにより、誤り訂正符号では訂正しきれない伝送条件の悪化にも対応できる。
しかし、放送と通信の融合によるHybrid ARQを用いた伝送システムを構築するために、特許文献3に開示されるARQを用いたシステムに、特許文献4,5等に開示されるIP通信専用の誤り訂正符号を適用して構成すると、デジタル放送用の誤り訂正符号の符号化器及び復号器と、IP通信用の符号化器及び復号器をそれぞれ用意し、且つ協働させる仕組みが必要になり、設備規模が増大する。
このため、「デジタル放送で利用する誤り訂正符号」とARQとを効率的に組み合わせた上で、放送と通信の融合によるHybrid ARQを用いた伝送システムを構築することが要望される。
つまり、デジタル放送に係る送信装置の符号化器、及び受信装置の復号器を増大させずに、デジタル放送とIP網による通信を連携させ、例えばLDPC符号及びBCH符号の誤り訂正の連接符号とIP通信を利用した再送要求を組み合わせたHybrid ARQを実現する伝送システムを構成することにより、デジタル放送に係る誤り訂正能力を向上させることが要望される。
また、IP通信による再送を行う場合、再送するビット数が増加すると、通信回線の負荷の増大や、通信回線の帯域の狭い伝送路が用いられる場合には正しく再送ビットを受信装置に到達させることが困難になることが想定される。そのため、可能な限り再送要求するビット数は少なく、効率的にHybrid ARQによるデータ補償を実現する技法が望まれる。
一方で、LDPC符号等のブロック符号では、符号長サイズのブロック単位で復号するが、復号が失敗し誤りが訂正しきれなかった場合、そのブロック単位となる誤り訂正フレーム内のビット誤り位置を特定することができないため、Hybrid ARQによるデータ補償する際には、常に誤り訂正フレームのブロック単位で再送要求する構成とすると、誤り訂正復号により誤り訂正できている符号化ビットも再送要求してしまうことになり、冗長的な再送要求が通信回線の負荷を増大させる要因となりうる。
従って、デジタル放送に係る送信装置の符号化器、及び受信装置の復号器を増大させずに、デジタル放送とIP網による通信を連携させ、例えばLDPC符号及びBCH符号の誤り訂正の連接符号とIP通信を利用した再送要求を組み合わせたHybrid ARQを実現する伝送システムを構成することにより、デジタル放送に係る誤り訂正能力を向上させ、尚且つ、再送要求するビット数を可能な限り少なくし、効率的なHybrid ARQを実現する技法が望まれる。
本発明の目的は、上述の問題に鑑みて、デジタル放送で利用する誤り訂正符号と効率的に組み合わせた上で、通信を利用して受信側からの再送要求に応じてデータ再送を可能とする送信サーバ、デジタル放送に係る送信装置及び受信装置、並びにプログラムを提供することにある。
本発明の送信サーバは、デジタル放送に係る誤り訂正符号を利用して符号化した符号化データをデジタル変調し放送伝送路を介して受信装置に送信する送信装置から、当該符号化データの所定時間分を保存しIP(Internet Protocol)網を介して受信装置に送信可能とする送信サーバであって、前記送信装置で生成された符号化データを順次入力し、前記誤り訂正符号の符号長を構成する誤り訂正フレームのフレーム番号により時系列に管理して所定時間分を更新しながら保存する保存部と、IP網を経て、前記受信装置にて前記誤り訂正符号を用いて符号化データのビット誤りが訂正できなかったときに生成される再送要求パケットを受信し、前記再送要求パケットから再送要求に係る符号化データにおける符号化ビットの位置を示す再送要求ビット位置情報を抽出し、該再送要求ビット位置情報を基に、前記保存部から、再送要求に係る符号化データの所在を探索し、該符号化データのうちの再送要求に係る符号化ビットを読み出し、前記受信装置に向けて該符号化ビットの再送を行うよう制御する再送要求処理部と、当該受信した再送要求パケットに応じて再送要求に係る当該符号化ビットを格納するIPパケット形式の符号化ビットパケットを生成し、IP網を経て前記受信装置に向けて送信するIPパケット生成部と、を備えることを特徴とする。
また、本発明の送信装置は、デジタル放送に係る送信装置であって、本発明の送信サーバに対し、前記デジタル放送に係る誤り訂正符号を利用して符号化した符号化データを順次出力する手段を有することを特徴とする。
また、本発明の送信装置は、デジタル放送に係る送信装置であって、本発明の送信サーバを装置内部に備えることを特徴とする。
また、本発明の受信装置は、送信装置によりデジタル放送に係る誤り訂正符号を利用して符号化した符号化データをデジタル変調し放送伝送路を介して送信された変調波信号を受信する受信装置であって、前記変調波信号を受信して復調する復調部と、復調して得られる当該符号化データから前記誤り訂正符号の符号長を構成する誤り訂正フレームを再構成し前記誤り訂正符号に対応する復号処理を行って受信データを生成し再生可能とする誤り訂正復号部と、前記誤り訂正符号を用いて符号化データのビット誤りが訂正できなかったときに対応する符号化データのうち誤りが生じている可能性の高い符号化ビットを事後対数尤度比の閾値設定に基づく推定により選択し、当該符号化データにおける符号化ビットの位置を示す再送要求ビット位置情報を生成する再送要求ビット選択部と、前記再送要求ビット位置情報を含むIPパケット形式の再送要求パケットを生成し、本発明の送信サーバに向けて送信する再送要求パケット生成部と、当該再送要求パケットに応じて前記送信サーバから、再送された符号化ビットを格納するIPパケット形式の符号化ビットパケットを受信して、当該再送要求に係る符号化ビットを取得するIPパケット受信部と、を備え、前記誤り訂正復号部は、前記誤り訂正符号の復号処理の事後に、又は復号処理の過程で、当該誤り訂正フレームにおける符号化データの各ビットの事後対数尤度比を検出する事後対数尤度比検出部と、前記送信装置から得られた符号化データについて誤り訂正復号の可否を判定し、当該符号化データのビット誤りが訂正できず復号できないと判定した場合に前記再送要求ビット位置情報を含む再送要求パケットを生成させる復号可否判定部と、当該再送要求に応じて再送された符号化ビットを当該復号処理に用いるよう補完し、所定時間内に当該復号処理により復号できるまで、対応する符号化ビットの再送の要求を繰り返す符号化データ補完部と、を有することを特徴とする。
また、本発明の受信装置において、前記再送要求ビット選択部は、当該誤りが生じている可能性の高い符号化ビットとして、前記事後対数尤度比の絶対値に対する所定の閾値以下の符号化ビットを選択することを特徴とする。
また、本発明の受信装置において、前記事後対数尤度比検出部は、前記事後対数尤度比の絶対値に所定の閾値以下の符号化ビットが所定割合以上あるか否かを判定し、当該所定割合以上である場合に、前記再送要求ビット位置情報を含む再送要求パケットを生成させる手段を有することを特徴とする。
また、本発明の受信装置において、前記誤り訂正符号は、内符号としてLDPC符号、外符号としてBCH符号が連接した連接符号からなり、前記復号可否判定部は、前記送信装置から得られた符号化データについて、前記BCH符号の復号処理でエラーフリーにならなかったときに、当該符号化データのビット誤りが訂正できなかったと判定することを特徴とする。
また、本発明のプログラムは、コンピュータを、本発明の送信サーバとして機能させるためのプログラムとして構成する。
また、本発明のプログラムは、コンピュータを、本発明の受信装置として機能させるためのプログラムとして構成する。
本発明によれば、放送受信だけでは防げないデータの損失について、IP網を経て受信側から送信側へ再送要求を実施し、送信側からデータ再送を可能とすることで、受信側でデータを補完することができる。特に、当該再送要求に対するデータ再送としてデジタル放送に係る誤り訂正符号の符号化データにおける選択した符号化ビットを伝送する構成とすることで、デジタル放送で利用する誤り訂正符号と再送要求とを効率的に組み合わせることができ、IP通信用の符号化器及び復号器を用意する必要がなくなり、設備規模が増大させることなく、加えて、伝送効率のよい伝送システムを構成することができる。
〔伝送システム〕
図1は、本発明による一実施形態の送信サーバ6、送信装置2,3及び受信装置5を備える伝送システム1の概略構成を示すブロック図である。図1に示す伝送システム1は、送信装置2,3、受信装置5、1台又は複数台の送信サーバ6、及び、複数台の送信サーバ6を構成するときに設けられる負荷分散装置7を備える。
図1は、本発明による一実施形態の送信サーバ6、送信装置2,3及び受信装置5を備える伝送システム1の概略構成を示すブロック図である。図1に示す伝送システム1は、送信装置2,3、受信装置5、1台又は複数台の送信サーバ6、及び、複数台の送信サーバ6を構成するときに設けられる負荷分散装置7を備える。
送信装置2は、デジタル放送に係る送信データに対し誤り訂正符号化処理を施して誤り訂正符号パリティを付与することにより符号化データを生成し、その符号化データを所定の変調方式でデジタル変調して変調波信号を生成し、送信アンテナ2aを介して放送衛星4を含む衛星放送伝送路経由で、デジタル放送に係る電波を放射する装置である。例えば、送信装置2は、高度広帯域衛星デジタル放送の送信装置とすることができる。また、送信装置2は、順次生成した符号化データを誤り訂正フレームとして管理して、フレーム番号を付与して、ローカルエリアネットワーク経由で、1台又は複数台の送信サーバ6に送信する機能を有する。
送信装置3は、デジタル放送に係る送信データに対し誤り訂正符号化処理を施して誤り訂正符号パリティを付与することにより符号化データを生成し、その符号化データを所定の変調方式でデジタル変調して変調波信号を生成し、送信アンテナ3aを介して地上放送伝送路経由で、デジタル放送に係る電波を放射する装置である。例えば、送信装置3は、現行又は次世代の地上デジタル放送の送信装置とすることができる。また、送信装置3は、順次生成した符号化データを誤り訂正フレームとして管理して、フレーム番号を付与して、ローカルエリアネットワーク経由で、1台又は複数台の送信サーバ6に送信する機能を有する。
受信装置5は、受信アンテナ5aを介して送信装置2から電波放射された変調波信号を受信して復調し、誤り訂正符号の符号長を構成する誤り訂正フレームを再構成し送信装置2における誤り訂正符号化処理に対応する復号処理を行って受信データを生成し再生可能とする機能、及び、受信アンテナ5bを介して送信装置3から電波放射された変調波信号を受信して復調し、誤り訂正符号の符号長を構成する誤り訂正フレームを再構成し送信装置3における誤り訂正符号化処理に対応する復号処理を行って受信データを生成し再生可能とする機能を有する装置である。
また、受信装置5は、送信装置2(又は送信装置3)から得られた符号化データについて誤り訂正復号の可否を判定し、復号できると判定したときはそのまま復号して受信データを生成し、符号化データのビット誤りが訂正できず復号できないと判定した場合には対応する符号化データのうち誤りが生じている可能性の高い符号化ビットを事後対数尤度比の閾値設定に基づく推定により選択し、選択した符号化ビットの再送を要求するIPパケット形式の再送要求パケットを生成し、IP網8を経て、送信サーバ6に向けて送信する機能を有する。さらに、受信装置5は、当該再送要求パケットに応じて送信サーバ6から再送要求に応じて再送された符号化ビットを格納するIPパケット形式の符号化ビットパケットを受信して当該再送要求に応じて再送された符号化ビットを抽出し、当該再送要求に応じて再送された符号化ビットを復号処理に用いるよう補完し、所定時間内に当該復号処理により復号できるまで、対応する符号化ビットの再送の要求を繰り返す機能を有する。尚、受信装置5は、所定時間内に当該復号処理により復号できないときは、ビット誤りを含む状態のまま受信データを生成する。
1台又は複数台の送信サーバ6の各々は、デジタル放送に係る誤り訂正符号を利用して符号化した符号化データをデジタル変調し放送伝送路を介して受信装置5に送信する送信装置2(又は送信装置3)から、当該符号化データの所定時間分を保存し、当該符号化データのうち受信装置5から再送要求された符号化ビットを、IP網8を介して受信装置5に送信可能とするコンピュータとして構成される。
即ち、送信サーバ6は、送信装置2(又は送信装置3)で生成された符号化データを当該ローカルエリアネットワーク経由で順次入力し、誤り訂正符号の符号長を構成する誤り訂正フレームのフレーム番号により時系列に管理して所定時間分を更新しながら保存する機能、IP網8を経て、受信装置5にて送信装置2(又は送信装置3)で利用した誤り訂正符号を用いて符号化データのビット誤りが訂正できなかったときに生成される符号化ビットに関する再送要求パケットを受信し、当該受信装置5に向けて該符号化データのうち受信装置5から再送要求された符号化ビットの再送を行うよう制御する機能、及び、受信装置5からIP網8を経て受信した再送要求パケットに応じて再送要求に係る当該符号化ビットを格納するIPパケット形式の符号化ビットパケットを生成し、IP網8を経て当該受信装置5に向けて送信する機能を有する。
尚、図1に例示する伝送システム1では、送信装置2及び送信装置3を備えるとして説明したが、送信装置2と送信装置3のいずれか一方のみとしてもよい。図1に例示する伝送システム1では、送信装置2(又は送信装置3)と送信サーバ6とを別体として説明したが、送信装置2(又は送信装置3)が送信サーバ6を備える形態とし、1台又は複数台の送信装置2(又は送信装置3)として、ローカルエリアネットワークで接続する代わりに、単純な信号ケーブルで接続する構成としてもよい。
負荷分散装置7は、複数台の送信サーバ6を構成するときに、当該複数台の送信サーバ6とIP網8との間に設けられ、IP網8を経て多くの受信装置5から再送要求パケットを受信した場合に、複数台の送信サーバ6の各処理負荷を分散させ、再送要求に係る符号化ビットパケットを分割送信する装置である。図1に示す伝送システムでは、予めユーザ登録された複数台の受信装置5を対象とし、負荷分散装置7を介在させることで、ユーザ登録数が多くなる場合でも送信サーバ6を追加するだけでよいものとなる。ただし、予め許容するユーザ登録数に対応した送信サーバ6を個別に配設するときは、負荷分散装置7の設置を省略し、送信サーバ6とIP網8とを直接的に接続する形態としてもよい。
以下、より具体的に、送信装置2(又は送信装置3)、送信サーバ6、受信装置5について順に説明する。
〔送信装置〕
図2は、本発明による一実施形態の送信サーバ6及び送信装置2(又は送信装置3)の概略構成を示すブロック図である。尚、図2に示す送信装置2(又は送信装置3)は、本発明に係る主要な構成要素のみを図示しており、エネルギー拡散処理等のその他の構成要素の説明は省略する。
図2は、本発明による一実施形態の送信サーバ6及び送信装置2(又は送信装置3)の概略構成を示すブロック図である。尚、図2に示す送信装置2(又は送信装置3)は、本発明に係る主要な構成要素のみを図示しており、エネルギー拡散処理等のその他の構成要素の説明は省略する。
送信装置2及び送信装置3は、それぞれの放送伝送路(衛星放送伝送路又は地上放送伝送路)に適した誤り訂正符号化処理及び変調方式が採用されるが、図2に示すように、誤り訂正符号化部21、及び変調部22を備えるとして包括して説明する。
誤り訂正符号化部21は、デジタル放送に係る送信データに対し誤り訂正符号化処理を施して誤り訂正符号パリティを付与することにより符号化データを生成し、変調部22に出力する符号化器である。また、誤り訂正符号化部21は、順次生成した符号化データを誤り訂正フレームとして管理して、フレーム番号を付与して、ローカルエリアネットワーク経由で送信サーバ6に送信する機能を有する。
変調部22は、誤り訂正符号化部21から得られる符号化データを所定の変調方式でデジタル変調して変調波信号を生成し、放送伝送路経由でデジタル放送に係る電波を放射する。
デジタル放送に係る送信データは、例えば地上放送伝送路を経由して送信するときはARIB STD−B31に記載され地上デジタル放送で使用されるMPEG2−TSとすることができ、例えば衛星放送伝送路を経由して送信するときはARIB STD−B44に記載され高度広帯域衛星デジタル放送で使用されるTLV(Type Length Value)形式のデータとすることができる。
尚、現行の地上デジタル放送では、内符号として畳み込み符号、外符号としてリードソロモン符号が連接した連接符号で誤り訂正符号化処理が行われる。次世代の地上デジタル放送では、内符号としてLDPC符号、外符号としてBCH(Bose-Chaudhuri-Hocquenghem)符号が連接した連接符号で誤り訂正符号化処理を行うことが検討されている。また、高度広帯域衛星デジタル放送では、内符号としてLDPC符号、外符号としてBCH符号が連接した連接符号で誤り訂正符号化処理が行われる。
〔送信サーバ〕
図2に示す送信サーバ6は、デジタル放送に係る誤り訂正符号を利用して符号化した符号化データをデジタル変調し放送伝送路を介して受信装置5に送信する送信装置2(又は送信装置3)から、当該符号化データの所定時間分を保存し、該符号化データのうち受信装置5から再送要求された符号化ビットについて、IP網8を介して受信装置5に送信可能とするコンピュータとして構成され、保存部61、IPパケット生成部62、及び再送要求処理部63を備える。
図2に示す送信サーバ6は、デジタル放送に係る誤り訂正符号を利用して符号化した符号化データをデジタル変調し放送伝送路を介して受信装置5に送信する送信装置2(又は送信装置3)から、当該符号化データの所定時間分を保存し、該符号化データのうち受信装置5から再送要求された符号化ビットについて、IP網8を介して受信装置5に送信可能とするコンピュータとして構成され、保存部61、IPパケット生成部62、及び再送要求処理部63を備える。
保存部61は、送信装置2(又は送信装置3)で生成された符号化データを当該ローカルエリアネットワーク経由で順次入力し、誤り訂正符号の符号長を構成する誤り訂正フレームのフレーム番号により時系列に管理して所定時間分を更新しながら保存する機能部である。
IPパケット生成部62は、受信装置5からの再送要求に係る当該符号化ビットを格納するIPパケット形式の符号化ビットパケットを生成し、IP網8を経て当該受信装置5に向けて送信する機能部である。この符号化ビットパケットは、受信装置5にて送信装置2(又は送信装置3)で利用した誤り訂正符号を用いて符号化データのビット誤りが訂正できなかったときに生成される。
再送要求処理部63は、受信装置5からIP網8を経て再送要求パケットを受信したときに、当該再送要求パケットに格納される再送要求に係る符号化データにおける符号化ビットの位置を示す再送要求ビット位置情報を抽出し、この再送要求ビット位置情報を基に、保存部61から、再送要求に係る符号化データの所在を探索し、その符号化データのうちの再送要求に係る符号化ビットを読み出し、その符号化ビットをIPパケット生成部62に出力するよう制御する機能部である。
〔受信装置〕
図3は、本発明による一実施形態の受信装置5の概略構成を示すブロック図である。受信装置5は、復調部51、誤り訂正復号部52、再送要求パケット生成部53、IPパケット受信部54、及び再送要求ビット選択部55を備える。
図3は、本発明による一実施形態の受信装置5の概略構成を示すブロック図である。受信装置5は、復調部51、誤り訂正復号部52、再送要求パケット生成部53、IPパケット受信部54、及び再送要求ビット選択部55を備える。
復調部51は、放送伝送路(衛星放送伝送路又は地上放送伝送路)経由で送信装置2(又は送信装置3)から電波放射された変調波信号を受信して復調し、この復調処理で得られる符号化データを誤り訂正復号部52に出力する。
誤り訂正復号部52は、誤り訂正符号の復号処理の事前に、復調部51から得られる符号化データの各ビットの対数尤度比(LLR:Log-likelihood ratio)を算出し、この事前対数尤度比(事前LLR)を用いて、誤り訂正符号の符号長を構成する誤り訂正フレームを再構成し、送信装置2(又は送信装置3)における誤り訂正符号化処理に対応する復号処理を行って受信データを生成し再生可能に外部出力する復号器である。
ここで、誤り訂正復号部52は、事後対数尤度比検出部520、復号可否判定部521、及び符号化データ補完部522を有する。
事後対数尤度比検出部520は、誤り訂正符号の復号処理の事後に、又は復号処理の過程で、当該誤り訂正フレームにおける符号化データの各ビットの事後対数尤度比(事後LLR)を検出する機能部である。
復号可否判定部521は、誤り訂正フレームにおける符号化データについて誤り訂正復号の可否を判定し、復号できると判定したときはそのまま復号して受信データを生成し、符号化データのビット誤りが訂正できず復号できないと判定した場合には、当該誤り訂正フレームにおける符号化データを再送要求ビット選択部55に出力する。
ここで、再送要求ビット選択部55は、復号可否判定部521から得られる誤り訂正フレームにおける符号化データのうち誤りが生じている可能性の高い符号化ビットを事後LLRの閾値設定に基づく推定により選択し、当該誤り訂正フレームにおける符号化データのうち選択した符号化ビットの位置を示す再送要求ビット位置情報を生成する。そして、再送要求ビット選択部55は、再送要求パケット生成部53に再送要求ビット位置情報を出力して、その再送要求ビット位置情報を含むIPパケット形式の再送要求パケットを生成するよう再送要求パケット生成部53に指示する。
符号化データ補完部522は、再送要求パケット生成部53による当該再送要求パケットの送信に応じて送信サーバ6から受信した符号化ビットパケットから、再送要求に係る符号化ビットを抽出して、当該誤り訂正フレームにおける符号化データの復号処理に用いるよう補完する機能部である。
そして、誤り訂正復号部52は、符号化データ補完部522の機能により、当該誤り訂正フレームにおける符号化データについてIP網8経由で取得した符号化ビットを補完して、誤り訂正符号の復号処理により復号できるまで、当該誤り訂正フレームにおける選択した符号化データの再送の要求を繰り返すように構成される。尚、誤り訂正復号部52は、所定時間内に当該復号処理により復号できないときは、ビット誤りを含む状態のまま受信データを生成する。
再送要求パケット生成部53は、復号可否判定部521により復号できないと判定したときに、再送要求ビット選択部55からの指示を受け付けて、当該誤り訂正フレームにおける符号化データのうち選択された符号化ビットの再送を送信サーバ6に対して要求するために、再送要求ビット位置情報を含むIPパケット形式の再送要求パケットを生成し、IP網8を経て、送信サーバ6に向けて送信する機能部である。
IPパケット受信部54は、当該再送要求パケットに応じて送信サーバ6から、再送された符号化ビットを格納するIPパケット形式の符号化ビットパケットを受信して、当該再送要求に係る符号化ビットを取得し、誤り訂正復号部52に出力する機能部である。
(受信装置における受信制御フロー)
図4は、本発明による一実施形態の受信装置5における受信制御フローを示すフローチャートである。
図4は、本発明による一実施形態の受信装置5における受信制御フローを示すフローチャートである。
まず、受信装置5は、復調部51により、放送伝送路(衛星放送伝送路又は地上放送伝送路)経由で送信装置2(又は送信装置3)から電波放射された変調波信号を受信して復調し、この復調処理で得られる符号化データを誤り訂正復号部52に出力する(ステップS1)。
続いて、受信装置5は、誤り訂正復号部52により、復調処理で得られた符号化データの各ビットの事前LLRを算出して誤り訂正フレームを再構成し、送信装置2(又は送信装置3)における誤り訂正符号化処理に対応する復号処理を実行する(ステップS2)。
ここで、誤り訂正復号部52は、復号可否判定部521により、送信装置2(又は送信装置3)から得られた符号化データについて誤り訂正復号の可否を判定し(ステップS3)、復号できると判定したときはそのまま復号して受信データを再生可能に生成し(ステップS3:No)、時系列上、次の符号化データについての復調・復号処理へと移行する。即ち、誤り訂正復号部52は、送信装置2(又は送信装置3)から得られた符号化データについて復号を試みて、ビット誤りがない場合や、ビット誤りが訂正可能な範囲であった場合に、そのまま復号して受信データを再生可能に生成する。
一方、誤り訂正復号部52は、復号可否判定部521により、復号できないと判定した場合には、当該誤り訂正フレームにおける符号化データを再送要求ビット選択部55に出力する(ステップS3:Yes)。
そして、再送要求ビット選択部55は、復号対象の当該誤り訂正フレームにおける符号化データのうち誤りが生じている可能性の高い符号化ビットを事後LLRの閾値設定に基づく推定により選択し、当該誤り訂正フレームにおける符号化データのうち選択した符号化ビットの位置を示す再送要求ビット位置情報を生成して、再送要求パケット生成部53に出力する(ステップS4)。より具体的には、再送要求ビット選択部55は、事後LLRの絶対値に対する所定の閾値以下の符号化ビットを選択し、当該誤り訂正フレームにおける選択した符号化ビットの位置を示す再送要求ビット位置情報を含むIPパケット形式の再送要求パケットを生成するよう再送要求パケット生成部53に指示する。
再送要求パケット生成部53は、再送要求ビット選択部55からの指示を受け付けて、当該誤り訂正フレームにおける符号化データのうち選択された符号化ビットの再送を送信サーバ6に対して要求するために、再送要求ビット位置情報を含むIPパケット形式の再送要求パケットを生成し、IP網8を経て、送信サーバ6に向けて送信する(ステップS5)。
即ち、受信装置5は、伝送条件の悪化などの理由で、符号化データから受信データを復元できなかった場合、誤りが生じている可能性の高い符号化ビットのみを、ARQにより送信サーバ6に向けて再送要求を行う。送信サーバ6は、受信装置5から再送要求パケットを受信した場合、当該再送要求パケットに格納される再送要求に係る符号化データにおける符号化ビットの位置を示す再送要求ビット位置情報を抽出し、この再送要求ビット位置情報を基に、該当する誤り訂正フレームの再送要求に係る符号化ビットを保存部61から読み出し、当該符号化ビットを格納するIPパケット形式の符号化ビットパケットを生成し、IP網8を経て当該受信装置5に向けて送信する。
続いて、受信装置5は、IPパケット受信部54により、当該再送要求パケットに応じて送信サーバ6から再送要求に応じて再送された符号化ビットを格納するIPパケット形式の符号化ビットパケットをIP網8経由で受信して、当該再送要求に係る符号化ビットを取得する(ステップS6)。
続いて、受信装置5は、誤り訂正復号部52における符号化データ補完部522により、IP網8経由で取得した符号化ビットを、当該誤り訂正フレームにおける符号化データの復号処理に用いるよう補完する(ステップS7)。より具体的には、誤り訂正復号部52は、ブロック符号の誤り訂正復号器として構成され対数尤度比を用いた復号を実施するため、符号化データ補完部522により、IP網8経由で取得した符号化ビットについて、ビットの値が0である場合の対数尤度比を+∞(“0”である確からしさとして最大値)、ビットの値が1である場合の対数尤度比を−∞(“1”である確からしさとして最大値)に置き換えることにより補完する。
そして、誤り訂正復号部52は、誤り訂正符号の復号処理により復号できるまで、当該誤り訂正フレームにおける事後LLRの閾値設定に基づく推定により選択した符号化ビットの再送の要求を繰り返し、復号できた符号化データを基に受信データを生成した後、時系列上、次の符号化データについての復調・復号処理へと移行する。尚、誤り訂正復号部52は、所定時間内に当該復号処理により復号できないときは、ビット誤りを含む状態のまま受信データを生成する。
ところで、再送要求パケットは、IPパケット形式で一般的に用いられる非達通知パケットを利用でき、符号化ビットパケットは、その非達通知パケットの応答として再送を行うものとして構成される。このため、誤り訂正復号部52では、復調部51から得られる符号化データに対して再送により得られた符号化ビットを置き換えて、再度、復号を実施することができ、所定時間内で受信データを復元できるまで繰り返し再送要求を行うことで、再生可能に出力することができる。
このように、図1に示す伝送システム1では、降雨による減衰やフェージングなどにより、誤り訂正符号によるデータ復元が不可能なほど伝送条件が悪化した場合、受信装置5はIP網8を通じて送信装置2(又は送信装置3)に誤り訂正フレームにおける符号化データのうち選択された符号化ビットのみの再送を要求する。送信装置2(又は送信装置3)は放送伝送路を経て送信したときと同じ誤り訂正符号の符号化器(即ち、誤り訂正符号化部21)により符号化した符号化データのうち該当符号化ビットをIP網8経由で受信装置5に伝送する。
受信装置5は、電波により受信したときと同じ誤り訂正符号の復号器(即ち、誤り訂正復号部52)により、復号できなかった符号化データに対してIP網8経由で取得した符号ビットを補完して再度の復号を試みて受信データを復元する。電波経由で消失したデータが多いときや、IP網8も消失通信路と考えられ、一部のデータが消失するときでも、受信装置5は、所定時間内で受信データを復元できるまで繰り返し再送要求を行うことで、再生可能に出力することができる。
従って、図1に示す伝送システム1によれば、放送受信だけでは防げないデータの損失について、IP網8を経て受信装置5から送信サーバ6へ再送要求を実施し、送信サーバ6からデータ再送を可能とすることで、受信装置5で符号化データを補完することができる。特に、当該再送要求に対するデータ再送としてデジタル放送に係る誤り訂正符号の符号化データにおける選択した符号化ビットを伝送する構成とすることで、デジタル放送で利用する誤り訂正符号と再送要求とを効率的に組み合わせ、誤り訂正符号に係る符号化器及び復号器を共通化することができる。このため、IP通信用の符号化器及び復号器を用意する必要がなくなり、設備規模が増大させることなく、加えて、伝送効率のよい伝送システム1を構成することができる。
〈実施例〉
以下、伝送システム1を高度広帯域衛星デジタル放送用に構成した、より具体的な一実施例を説明する。
以下、伝送システム1を高度広帯域衛星デジタル放送用に構成した、より具体的な一実施例を説明する。
図5は、本発明による一実施例の送信サーバ6、送信装置2及び受信装置5を備える伝送システム1の概略構成を示すブロック図である。尚、同様な構成要素には、同一の参照番号を付して説明する。
図5に示す一実施例の伝送システム1は、ARIB STD−B44に記載される高度広帯域衛星デジタル放送を例にした実施例であり、本発明による一実施形態の送信サーバ6、送信装置2及び受信装置5を備える。ここでは、1台の送信サーバ6とし、負荷分散装置7の設置は省略しているが、上述したように、複数台の送信サーバ6とし、負荷分散装置7を経由してIP網8と接続する形態としてもよい。
また、図5に例示する伝送システム1では、送信装置2と送信サーバ6とを別体としてローカルエリアネットワークで接続する例を説明するが、送信装置2が送信サーバ6を備える形態とし、ローカルエリアネットワークで接続する代わりに、単純な信号ケーブルで接続する構成としてもよい。
図5に例示する送信装置2は、上述した図2と同様に構成され、デジタル放送に係る送信データに対し誤り訂正符号化処理を施して誤り訂正符号パリティ(LDPCパリティ及びBCHパリティ)を付与することにより符号化データを生成し、その符号化データを所定の変調方式でデジタル変調して変調波信号を生成し、送信アンテナ2aを介して放送衛星4を含む高度広帯域衛星デジタル放送の放送伝送路経由で、デジタル放送に係る電波を放射する。高度広帯域衛星デジタル放送は、符号化データの1フレーム分のビット数が44880ビットであり、誤り訂正符号化処理として、LDPC符号を内符号として利用し、BCH符号を外符号として利用する。また、送信装置2は、順次生成した符号化データを誤り訂正フレームとして管理して、フレーム番号を付与して、送信サーバ6に送信する。
図5に例示する受信装置5は、上述した図3と同様に構成され、受信アンテナ5aを介して送信装置2から電波放射された変調波信号を受信して復調し、送信装置2における誤り訂正符号化処理に対応する復号処理を行って受信データを生成し再生可能とする。
また、受信装置5は、送信装置2から得られた符号化データについて誤り訂正復号の可否を判定し、復号できると判定したときはそのまま復号して受信データを生成し、復号できないと判定した場合には対応する符号化データのうち誤りが生じている可能性の高い符号化ビットを事後LLRの閾値設定に基づく推定により選択し、選択した符号化ビットの再送を要求するIPパケット形式の再送要求パケットを生成し、IP網8を経て、送信サーバ6に向けて送信する機能を有する。そして、受信装置5は、当該再送要求パケットに応じて送信サーバ6から再送要求に応じて再送された符号化ビットを格納するIPパケット形式の符号化ビットパケットを受信して当該再送要求に応じて再送された符号化ビットを抽出し、当該再送要求に応じて再送された符号化ビットを復号処理に用いるよう補完し、所定時間内に当該復号処理により復号できるまで、対応する符号化ビットの再送の要求を繰り返す機能を有する。尚、受信装置5は、所定時間内に当該復号処理により復号できないときは、ビット誤りを含む状態のまま受信データを生成する。
送信サーバ6は、上述した図2と同様に構成され、送信装置2で生成された符号化データを順次入力し、誤り訂正フレームのフレーム番号により時系列に管理して所定時間分を更新しながら保存する機能、受信装置5からIP網8を経て受信した再送要求パケットに応じて再送要求に係る当該符号化ビットを格納するIPパケット形式の符号化ビットパケットを生成し、IP網8を経て当該受信装置5に向けて送信する機能を有する。
従って、本実施例において、送信装置2はデジタル放送に係る送信データに高度広帯域衛星デジタル放送の誤り訂正符号化処理を施した上で変調波信号を生成し、送信アンテナ2aを介して放送衛星4を経て送信する。受信装置5はまず受信アンテナ5aから受信した高度広帯域衛星デジタル放送の変調波信号を復調し、誤り訂正復号処理で受信データを復元するよう試みる。受信装置5は、伝送環境がよく誤りなく受信できた場合や、白色雑音等の影響が誤り訂正符号により復号できる範囲であった場合、そのまま符号化データから受信データを復元して再生可能にする。受信装置5は、降雨減衰が起きるなど伝送環境が悪く、誤り訂正符号では復号できないほど符号化データが劣化した場合、IP網8を通じて該当する符号化データにおける選択した符号化ビットについて送信装置2と連携動作する送信サーバ6に対し再送要求を行う。
受信装置5からIP網8を通じて送信サーバ6に再送要求があった場合、送信サーバ6は誤り訂正符号化処理後の符号化データのうち当該再送要求に係る符号化ビットをIP網8経由で受信装置5に再送する。受信装置5は、IP網8から得られた符号化ビットを補完した符号化データを生成して誤り訂正復号処理を実行し、受信データを復元して再生可能にする。
(実施例:高度広帯域衛星デジタル放送の受信装置における受信制御フロー)
図6は、図5に示す一実施例の高度広帯域衛星デジタル放送の受信装置5における受信制御フローを示すフローチャートである。尚、図4と同様なステップ番号には同一の番号を付している。
図6は、図5に示す一実施例の高度広帯域衛星デジタル放送の受信装置5における受信制御フローを示すフローチャートである。尚、図4と同様なステップ番号には同一の番号を付している。
まず、受信装置5は、復調部51により、高度広帯域衛星デジタル放送の放送伝送路経由で送信装置2から電波放射された変調波信号を受信して復調し、この復調処理で得られる符号化データを誤り訂正復号部52に出力する(ステップS1)。
続いて、受信装置5は、誤り訂正復号部52により、送信装置2における誤り訂正符号化処理に対応する復号処理を実行するため、まず、尤度テーブルから符号化データの各ビットの事前LLRを算出し、誤り訂正フレームを再構成する(ステップS2A)。高度広帯域衛星デジタル放送は、符号化データの1フレーム分のビット数が44880ビットであり、誤り訂正符号化処理として、LDPC符号を内符号として利用し、BCH符号を外符号として利用するため、尤度テーブルを用いてビットが“0”である確からしさ、及びビットが“1”である確からしさを示す事前対数尤度比を算出する。
続いて、受信装置5は、誤り訂正復号部52により、対数尤度比によるsum-productアルゴリズムを利用したLDPC復号を実施後(ステップS2B)、事後対数尤度比検出部520により、LDPC符号の復号処理の事後に、又は復号処理の過程で、当該誤り訂正フレームにおける符号化データの各ビットの事後対数尤度比(LLR)を検出し(ステップS2C)、BCH符号の復号処理を実施する(ステップS2D)。ARIB STD−B44では外符号のBCH符号の復号処理の際にビット誤りのエラーを訂正しきれず、エラーフリーにならなかった場合、データをヌルパケットに置き換える、エラーありのフラグを付けるなどの処理を規定している。
そこで、誤り訂正復号部52は、復号可否判定部521により、送信装置2から得られた符号化データについて誤り訂正復号の可否を判定するため、BCH符号の復号処理でエラーフリーにならなかったか否かを判定する(ステップS3’)。即ち、本実施例では、LDPC符号の訂正能力が不確定であること、またBCH符号の訂正能力が確定的であることに着目し、LDPC符号と連接するBCH符号のエラーフリーの有無を利用して、Hybrid ARQにおける効率的な再送要求を実現するものとしている。
誤り訂正復号部52は、ステップS3’においてBCH符号の復号処理でビット誤りのエラーが訂正しきれたため復号できると判定したときはそのまま復号して受信データを再生可能に生成し(ステップS3’:No)、時系列上、次の符号化データについての復調・復号処理へと移行する。即ち、誤り訂正復号部52は、送信装置2から得られた符号化データについて復号を試みて、ビット誤りがない場合や、ビット誤りが訂正可能な範囲であった場合に、そのまま復号して受信データを再生可能に生成する。
一方、誤り訂正復号部52は、復号可否判定部521により、BCH符号の復号処理でエラーフリーにならなかったため復号できないと判定した場合には、当該誤り訂正フレームにおける符号化データを再送要求ビット選択部55に出力する(ステップS3’:Yes)。
そして、再送要求ビット選択部55は、復号対象の44880ビットの当該誤り訂正フレームにおける符号化データのうち誤りが生じている可能性の高い符号化ビットを事後LLRの閾値設定に基づく推定により選択し、当該誤り訂正フレームにおける符号化データのうち選択した符号化ビットの位置を示す再送要求ビット位置情報を生成して、再送要求パケット生成部53に出力する(ステップS4)。より具体的には、再送要求ビット選択部55は、事後LLRの絶対値に対する所定の閾値以下の符号化ビットを選択し、当該誤り訂正フレームにおける選択した符号化ビットの位置を示す再送要求ビット位置情報を含むIPパケット形式の再送要求パケットを生成するよう再送要求パケット生成部53に指示する。
図7(a),(b)は、それぞれ受信装置5における再送要求ビット選択部55による事後対数尤度比と閾値設定に関する説明図である。LDPC復号過程では、1誤り訂正フレーム(44880ビット)の各ビットについてその確からしさの指標となる事後LLRを得ることができる。図7(a)には、伝送条件の悪化などの理由で、ビット“1”と“0”の事後対数尤度比分布が近接している例を示している。この事後LLRの絶対値が小さいビットほど、LDPC復号結果の0又は1の確からしさが低く、誤りが生じている可能性が高い(若しくは、BCH復号で誤り訂正ができない可能性の高い)ことを示している。この場合、再送要求ビット選択部55は、事後LLRの絶対値に対する所定の閾値tを設定したときに、事後LLRの絶対値に対する閾値t以下の符号化ビットを再送要求の対象とする符号化ビットとして選択する。一方、図7(b)には、伝送条件が良好で、ビット“1”と“0”の事後対数尤度比分布が近接していない例を示している。この場合、再送要求ビット選択部55は、図7(a)に示すケースよりも少ない符号化ビットを選択するか、若しくは選択する符号化ビットが存在しないこともある。このように、再送要求ビット選択部55は、事後LLRの絶対値に対する所定の閾値tを設定することで、伝送条件に応じた誤り訂正性能の推定が可能となる。
再送要求パケット生成部53は、再送要求ビット選択部55からの指示を受け付けて、当該誤り訂正フレームにおける符号化データのうち選択された符号化ビットの再送を送信サーバ6に対して要求するために、再送要求ビット位置情報を含むIPパケット形式の再送要求パケットを生成し、IP網8を経て、送信サーバ6に向けて送信する(ステップS5)。
即ち、受信装置5は、伝送条件の悪化などの理由で、符号化データから受信データを復元できなかった場合、誤りが生じている可能性の高い符号化ビットのみを、ARQにより送信サーバ6に向けて再送要求を行う。送信サーバ6は、受信装置5から再送要求パケットを受信した場合、当該再送要求パケットに格納される再送要求に係る符号化データにおける符号化ビットの位置を示す再送要求ビット位置情報を抽出し、この再送要求ビット位置情報を基に、該当する誤り訂正フレームの再送要求に係る符号化ビットを保存部61から読み出し、当該符号化ビットを格納するIPパケット形式の符号化ビットパケットを生成し、IP網8を経て当該受信装置5に向けて送信する。
続いて、受信装置5は、IPパケット受信部54により、当該再送要求パケットに応じて送信サーバ6から再送要求に応じて再送された符号化ビットを格納するIPパケット形式の符号化ビットパケットをIP網8経由で受信して、当該再送要求に係る符号化ビットを取得する(ステップS6)。
続いて、受信装置5は、誤り訂正復号部52における符号化データ補完部522により、IP網8経由で取得した符号化ビットを、当該誤り訂正フレームにおける符号化データの復号処理に用いるよう補完する(ステップS7)。即ち、IP網8は消失通信路を想定して、誤り訂正復号部52は、IP網8経由で受信できた符号化データについては正しいビットの値を確定し、IP網8の途中の通信路でパケットロス等により消失したパケットについては正しいビットの値が不明とする。そこで、誤り訂正復号部52は、LDPC復号器として構成され対数尤度比を用いた復号を実施するため、符号化データ補完部522により、IP網8経由で取得した符号化ビットについて、ビットの値が0である場合の対数尤度比を+∞(“0”である確からしさとして最大値)、ビットの値が1である場合の対数尤度比を−∞(“1”である確からしさとして最大値)に置き換えることにより補完して、ステップS2Bに移行する。
そして、受信装置5は、再度、誤り訂正復号部52により、対数尤度比によるsum-productアルゴリズムを利用したLDPC復号を実施後(ステップS2B)、事後対数尤度比検出部520により、LDPC符号の復号処理の事後に、又は復号処理の過程で、当該誤り訂正フレームにおける符号化データの各ビットの事後LLRを検出し(ステップS2C)、BCH符号の復号処理を実施する(ステップS2D)。受信装置5は、誤り訂正復号部52により、復調部51から得られる符号化データについて誤り訂正フレームを再構成し、所定時間内に当該復号処理により復号できるまで、当該誤り訂正フレームにおける事後LLRの閾値設定に基づく推定により選択した符号化ビットの再送の要求を繰り返し、復号できた符号化データを基に受信データを生成した後、時系列上、次の符号化データについての復調・復号処理へと移行する。尚、誤り訂正復号部52は、所定時間内に当該復号処理により復号できないときは、ビット誤りを含む状態のまま受信データを生成する。ここで、誤り訂正復号部52は、BCH符号の復号処理のビット誤りのエラーがなくなるまで繰り返し再送要求を行うことで、受信データを完全に復元する構成とすることもできるが、所定時間内として制限を設けることで無限ループ処理を回避するのが好適である。
ところで、再送要求パケットは、IPパケット形式で一般的に用いられる非達通知パケットを利用でき、符号化ビットパケットは、その非達通知パケットの応答として再送を行うものとして構成される。このため、誤り訂正復号部52では、復調部51から得られる符号化データに対して再送により得られた符号化ビットを置き換えて、再度、復号を実施することができ、所定時間内で受信データを復元できるまで繰り返し再送要求を行うことで、再生可能に出力することができる。
尚、符号化ビットパケットは1以上のIPパケットを用いて構成され、例えばIPパケットのIPヘッダを除いたパケット長を1000バイトとして固定長とすることや、想定されるIP網8のMTU(Maximum Transmission Unit)を超えない範囲で任意にパケット長を決めた可変長とすることができる。高度広帯域衛星デジタル放送ではLDPC符号及びBCH符号のパリティまで含めた誤り訂正フレームのフレーム長はLDPC符号の符号化率によらず44880ビット(=5610バイト)である。例えば、送信サーバ6がLDPC符号及びBCH符号のパリティが付与された符号化データのうち再送要求に係るビットが誤り訂正フレーム(44880ビット)の一部又は全部である場合に、例えばIPヘッダを除いたパケット長を1000バイトとした符号化ビットパケットを再送するときに、その1000バイトを超える符号化ビットの信号を1000バイトごとに分割して送信する。換言すると、再送要求に係る符号化ビットが1000バイトを超えないときは、符号化ビットパケットを分割して送信する必要はなくなり、効率的なHybrid ARQが実現される。図8を参照して後述するが、1誤り訂正フレームにおける44880ビットに占める再送要求に係るビットの割合は数%程度で、エラーフリーが実現されることが多いことが確認されており、ほとんどの場合、符号化ビットパケットを分割して送信する必要がなくなる。尚、IP網8がIPv4、IPv6のどちらを用いるのかなどによりヘッダ長は変わるが、送信サーバ6は、伝送環境に合わせたIPヘッダを設けることで、該当のフレームを構成するIPパケットを受信装置5に再送することができる。
図8(a),(b)は、それぞれ本発明による一実施例の高度広帯域衛星デジタル放送の受信装置5における受信性能に関するシミュレーション結果と、その説明図である。図8(a)に示すシミュレーション結果は、ARIB STD−B44に準拠する伝送パラメータとして、変調方式をQPSK、誤り訂正符号をLDPC符号とBCH符号の連接符号、LDPC符号化率61/120(≒1/2)、LDPC符号の復号反復回数は最大50回に設定したシミュレーションにより得られた数値を示している。本シミュレーションでは、受信状況の悪化により、受信装置5でLDPC復号、BCH復号した結果、誤りが訂正しきれずビット誤り率(BER)=2.8E−2となった状況において、IP網経由で送信サーバ6へ再送要求するケースを想定している。
上述したように、受信装置5では、LDPC復号過程で得られる事後LLR絶対値が、所定の閾値t以下となる符号化ビットを送信サーバ6へ再送要求し、送信サーバ6から再送された符号化ビットを利用して再度、誤り訂正を行う。そこで、図8(a)には、図8(b)に示すようにビット誤り率(BER)=2.8E−2のビット“1”と“0”の事後LLR分布に対し、閾値tをパラメータとして、代表して、閾値t=±0.1,±0.3,±0.5(即ち、事後LLR分布の絶対値に対して閾値t=0.1,0.3,0.5)を設定し、シミュレーションした結果を示している。
図8(a)から理解されるように、事後LLR分布の絶対値に対して閾値t=0.5を設定した場合、BER=2.8E−2のエラーについて、再送要求によりエラーフリーを達成できることが確認された。閾値t=0.5のとき再送要求したビット数は812ビットであり、1誤り訂正フレーム(LDPC符号の符号長44880ビット)に占める割合は1.8%である。
LDPC符号は、復号の結果、誤り訂正しきれなかった場合、誤り位置を確実に特定することはできないが、事後LLRを用いて推定することができる。従って、本発明に係る再送要求では、LDPC符号の1誤り訂正フレーム(44880ビット)全てを常に送信サーバ6へ再送要求する場合と比較して、事後LLRを基準に再送要求する符号化ビットを選択する構成としているため、その44880ビット全てを常に再送要求するものではなく、ほとんどのケースで1誤り訂正フレーム(44880ビット)中、数%程度の符号化ビットの再送要求で済むようになる。このため、例えば、事後LLR分布の絶対値に対して閾値t=0.5を設定した場合、再送要求前2.8E−2であったBERをエラーフリーまで改善することができる。これにより、再送要求ビット数を低減することができ、回線帯域の狭い伝送路でも効率的にHybrid ARQによる復号性能向上を実現することができる。
特にLDPC符号を適用する場合、LDPC復号過程で得られる事後LLRの絶対値が小さいビットほど誤訂正となる確率が高いことから、事後LLRの絶対値に対し所定の閾値以下のビットのみを送信サーバ6へ再送要求することで、再送要求する符号化ビットのビット数を低減させ、効率的なHybrid ARQによる誤り訂正能力の向上を実現することができる。
従って、図5に示す伝送システム1によれば、放送受信だけでは防げないデータの損失について、IP網8を経て受信装置5から送信サーバ6へ再送要求を実施し、送信サーバ6からデータ再送を可能とすることで、受信装置5で符号化データを補完することができる。特に、当該再送要求に対するデータ再送としてデジタル放送に係る誤り訂正符号の符号化データにおける選択した符号化ビットを伝送する構成とすることで、デジタル放送で利用する誤り訂正符号と再送要求とを効率的に組み合わせ、誤り訂正符号に係る符号化器及び復号器を共通化することができる。このため、IP通信用の符号化器及び復号器を用意する必要がなくなり、設備規模が増大させることなく、加えて、伝送効率のよい伝送システム1を構成することができる。
(変形例:高度広帯域衛星デジタル放送の受信装置における受信制御フロー)
図9は、本発明による変形例の高度広帯域衛星デジタル放送の受信装置5における受信制御フローを示すフローチャートである。尚、図6と同様なステップ番号には、同一の参照番号を付して説明する。
図9は、本発明による変形例の高度広帯域衛星デジタル放送の受信装置5における受信制御フローを示すフローチャートである。尚、図6と同様なステップ番号には、同一の参照番号を付して説明する。
まず、図6を参照して上述した実施例では、受信装置5は、BCH符号の復号処理でエラーフリーにならなかったため復号できないと判定した場合に(ステップS3’:Yes)、事後LLRの絶対値に対する所定の閾値以下の符号化ビットを選択する(ステップS4)ものとした。しかし、リアルタイム再生を考えた場合、より早く再送要求できた方がよい場合もある。そこで、図9に示す変形例では、BCH復号処理より前に受信状況の悪化を予測して再送要求するように構成される。
図9に示すステップS1乃至ステップS2Bまでの動作は、図6に示す実施例と同様であり、更なる説明は省略する。
図9に示す変形例において、誤り訂正復号部52は、対数尤度比によるsum-productアルゴリズムを利用したLDPC復号を実施後(ステップS2B)、事後対数尤度比検出部520により、LDPC符号の復号処理の事後に、又は復号処理の過程で、当該誤り訂正フレームにおける符号化データの各ビットの事後対数尤度比(LLR)を検出し、事後LLRの絶対値に所定の閾値以下の符号化ビットが所定割合以上あるか否かを判定する(ステップS2C’)。
事後LLRの絶対値に所定の閾値以下の符号化ビットが所定割合未満である場合には(ステップS2C’:No)、受信装置5は、図6に示す実施例と同様に動作するものとし、BCH符号の復号処理を実施して(ステップS2D)、復号可否判定部521により、送信装置2から得られた符号化データについて誤り訂正復号の可否を判定する(ステップS3’)。そして、受信装置5は、BCH符号の復号処理でエラーフリーにならなかったため復号できないと判定した場合には、事後LLRの閾値設定に基づく推定により符号化ビットを選択し、送信サーバ6に対して再送要求して取得し、対数尤度比を置き換えて補完する(ステップS4乃至S7)。
一方、本変形例では、事後LLRの絶対値に所定の閾値以下の符号化ビットが所定割合以上である場合においても(ステップS2C’:Yes)、受信装置5は、事後LLRの閾値設定に基づく推定により符号化ビットを選択し、送信サーバ6に対して再送要求して取得し、対数尤度比を置き換えて補完する(ステップS4乃至S7)。
これにより、図6に示す実施例の利点を全て包含し、尚且つ、誤り訂正復号に必要な符号化ビットの再送要求をより早く行うことができるようになり、リアルタイム再生を考えた場合に有利になる。
尚、図5乃至図9に示す伝送システム1の例では、高度広帯域衛星デジタル放送を例に説明したが、訂正能力が確定された誤り訂正符号を有する伝送システム1であれば、同様に適用することができ、上述した図1乃至図4を参照して説明したように、放送伝送路(衛星放送伝送路又は地上放送伝送路)経由で変調波信号を受信する受信装置5が、送信装置2(又は送信装置3)で用いる誤り訂正符号の符号化データをARQにより再送要求する構成であれば、同様に、デジタル放送に対し安定したHybrid ARQにおける効率的な再送要求を実現することができる。
上述した実施例に関して、送信サーバ6として機能するコンピュータの各手段を機能させるためのプログラムを好適に用いることができる。また、受信装置5として機能するコンピュータの各手段を機能させるためのプログラムを好適に用いることができる。具体的には、各手段を制御するための制御部をコンピュータ内の中央演算処理装置(CPU)で構成でき、且つ、各手段を動作させるのに必要となるプログラムを適宜記憶する記憶部を少なくとも1つのメモリで構成させることができる。即ち、そのようなコンピュータに、CPUによって該プログラムを実行させることにより、上述した各手段の有する機能を実現させることができる。更に、各手段の有する機能を実現させるためのプログラムを、前述の記憶部(メモリ)の所定の領域に格納させることができる。そのような記憶部は、装置内部のRAM又はROMなどで構成させることができ、或いは又、外部記憶装置(例えば、ハードディスク)で構成させることもできる。また、そのようなプログラムは、コンピュータで利用されるOS上のソフトウェア(ROM又は外部記憶装置に格納される)の一部で構成させることができる。更に、そのようなコンピュータに、各手段として機能させるためのプログラムは、コンピュータが読取り可能な記録媒体に記録することができる。また、上述した各手段をハードウェア又はソフトウェアの一部として構成させ、各々を組み合わせて実現させることもできる。
上述の実施例については代表的な例として説明したが、本発明の趣旨及び範囲内で、多くの変更及び置換することができることは当業者に明らかである。従って、本発明は、上述の実施例によって制限するものと解するべきではなく、特許請求の範囲によってのみ制限される。
本発明によれば、デジタル放送で利用する誤り訂正符号と再送要求とを効率的に組み合わせることができるので、デジタル放送に係るデータ補償を行う用途に有用である。
1 伝送システム
2 衛星放送伝送路用の送信装置
2a 衛星放送伝送路用の送信アンテナ
3 地上放送伝送路用の送信装置
3a 地上放送伝送路用の送信アンテナ
4 放送衛星
5 受信装置
5a 衛星放送伝送路用の受信アンテナ
5b 地上放送伝送路用の受信アンテナ
6 送信サーバ
7 負荷分散装置
8 IP網
21 誤り訂正符号化部
22 変調部
51 復調部
52 誤り訂正復号部
53 再送要求パケット生成部
54 IPパケット受信部
55 再送要求ビット選択部
61 保存部
62 IPパケット生成部
63 再送要求処理部
520 事後対数尤度比検出部
521 復号可否判定部
522 符号化データ補完部
2 衛星放送伝送路用の送信装置
2a 衛星放送伝送路用の送信アンテナ
3 地上放送伝送路用の送信装置
3a 地上放送伝送路用の送信アンテナ
4 放送衛星
5 受信装置
5a 衛星放送伝送路用の受信アンテナ
5b 地上放送伝送路用の受信アンテナ
6 送信サーバ
7 負荷分散装置
8 IP網
21 誤り訂正符号化部
22 変調部
51 復調部
52 誤り訂正復号部
53 再送要求パケット生成部
54 IPパケット受信部
55 再送要求ビット選択部
61 保存部
62 IPパケット生成部
63 再送要求処理部
520 事後対数尤度比検出部
521 復号可否判定部
522 符号化データ補完部
Claims (9)
- デジタル放送に係る誤り訂正符号を利用して符号化した符号化データをデジタル変調し放送伝送路を介して受信装置に送信する送信装置から、当該符号化データの所定時間分を保存しIP(Internet Protocol)網を介して受信装置に送信可能とする送信サーバであって、
前記送信装置で生成された符号化データを順次入力し、前記誤り訂正符号の符号長を構成する誤り訂正フレームのフレーム番号により時系列に管理して所定時間分を更新しながら保存する保存部と、
IP網を経て、前記受信装置にて前記誤り訂正符号を用いて符号化データのビット誤りが訂正できなかったときに生成される再送要求パケットを受信し、前記再送要求パケットから再送要求に係る符号化データにおける符号化ビットの位置を示す再送要求ビット位置情報を抽出し、該再送要求ビット位置情報を基に、前記保存部から、再送要求に係る符号化データの所在を探索し、該符号化データのうちの再送要求に係る符号化ビットを読み出し、前記受信装置に向けて該符号化ビットの再送を行うよう制御する再送要求処理部と、
当該受信した再送要求パケットに応じて再送要求に係る当該符号化ビットを格納するIPパケット形式の符号化ビットパケットを生成し、IP網を経て前記受信装置に向けて送信するIPパケット生成部と、
を備えることを特徴とする送信サーバ。 - デジタル放送に係る送信装置であって、
請求項1に記載の送信サーバに対し、前記デジタル放送に係る誤り訂正符号を利用して符号化した符号化データを順次出力する手段を有することを特徴とする送信装置。 - デジタル放送に係る送信装置であって、
請求項1に記載の送信サーバを装置内部に備えることを特徴とする送信装置。 - 送信装置によりデジタル放送に係る誤り訂正符号を利用して符号化した符号化データをデジタル変調し放送伝送路を介して送信された変調波信号を受信する受信装置であって、
前記変調波信号を受信して復調する復調部と、
復調して得られる当該符号化データから前記誤り訂正符号の符号長を構成する誤り訂正フレームを再構成し前記誤り訂正符号に対応する復号処理を行って受信データを生成し再生可能とする誤り訂正復号部と、
前記誤り訂正符号を用いて符号化データのビット誤りが訂正できなかったときに対応する符号化データのうち誤りが生じている可能性の高い符号化ビットを事後対数尤度比の閾値設定に基づく推定により選択し、当該符号化データにおける符号化ビットの位置を示す再送要求ビット位置情報を生成する再送要求ビット選択部と、
前記再送要求ビット位置情報を含むIPパケット形式の再送要求パケットを生成し、請求項1に記載の送信サーバに向けて送信する再送要求パケット生成部と、
当該再送要求パケットに応じて前記送信サーバから、再送された符号化ビットを格納するIPパケット形式の符号化ビットパケットを受信して、当該再送要求に係る符号化ビットを取得するIPパケット受信部と、を備え、
前記誤り訂正復号部は、
前記誤り訂正符号の復号処理の事後に、又は復号処理の過程で、当該誤り訂正フレームにおける符号化データの各ビットの事後対数尤度比を検出する事後対数尤度比検出部と、
前記送信装置から得られた符号化データについて誤り訂正復号の可否を判定し、当該符号化データのビット誤りが訂正できず復号できないと判定した場合に前記再送要求ビット位置情報を含む再送要求パケットを生成させる復号可否判定部と、
当該再送要求に応じて再送された符号化ビットを当該復号処理に用いるよう補完し、所定時間内に当該復号処理により復号できるまで、対応する符号化ビットの再送の要求を繰り返す符号化データ補完部と、を有することを特徴とする受信装置。 - 前記再送要求ビット選択部は、当該誤りが生じている可能性の高い符号化ビットとして、前記事後対数尤度比の絶対値に対する所定の閾値以下の符号化ビットを選択することを特徴とする、請求項4に記載の受信装置。
- 前記事後対数尤度比検出部は、前記事後対数尤度比の絶対値に所定の閾値以下の符号化ビットが所定割合以上あるか否かを判定し、当該所定割合以上である場合に、前記再送要求ビット位置情報を含む再送要求パケットを生成させる手段を有することを特徴とする、請求項5に記載の受信装置。
- 前記誤り訂正符号は、内符号としてLDPC符号、外符号としてBCH符号が連接した連接符号からなり、前記復号可否判定部は、前記送信装置から得られた符号化データについて、前記BCH符号の復号処理でエラーフリーにならなかったときに、当該符号化データのビット誤りが訂正できなかったと判定することを特徴とする、請求項4から6のいずれか一項に記載の受信装置。
- コンピュータを、請求項1に記載の送信サーバとして機能させるためのプログラム。
- コンピュータを、請求項4から7のいずれか一項に記載の受信装置として機能させるためのプログラム。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2019136661A JP2021022775A (ja) | 2019-07-25 | 2019-07-25 | 送信サーバ、送信装置、受信装置及びプログラム |
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Citations (4)
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---|---|---|---|---|
JP2002218427A (ja) * | 2001-01-18 | 2002-08-02 | Mitsubishi Electric Corp | 蓄積型ディジタル放送送信装置、及び蓄積型ディジタル放送受信装置 |
JP2005269480A (ja) * | 2004-03-22 | 2005-09-29 | Sony Ericsson Mobilecommunications Japan Inc | 再送要求方法、無線通信システム、受信機および送信機 |
JP2008017290A (ja) * | 2006-07-07 | 2008-01-24 | Ntt Docomo Inc | 送信装置および受信装置並びに再送制御方法 |
WO2010079529A1 (ja) * | 2009-01-06 | 2010-07-15 | 富士通株式会社 | 無線通信システム、基地局、移動局、無線通信方法 |
-
2019
- 2019-07-25 JP JP2019136661A patent/JP2021022775A/ja active Pending
Patent Citations (4)
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