〔伝送システム〕
図1は、本発明による一実施形態の送信サーバ6、送信装置2,3及び受信装置5を備える伝送システム1の概略構成を示すブロック図である。図1に示す伝送システム1は、送信装置2,3、受信装置5、1台又は複数台の送信サーバ6、及び、複数台の送信サーバ6を構成するときに設けられる負荷分散装置7を備える。
送信装置2は、デジタル放送に係る送信データに対し誤り訂正符号化処理を施して誤り訂正符号パリティを付与することにより符号化データを生成し、その符号化データを所定の変調方式でデジタル変調して変調波信号を生成し、送信アンテナ2aを介して放送衛星4を含む衛星放送伝送路経由で、デジタル放送に係る電波を放射する装置である。例えば、送信装置2は、高度広帯域衛星デジタル放送の送信装置とすることができる。また、送信装置2は、順次生成した符号化データを誤り訂正フレームとして管理して、フレーム番号を付与して、ローカルエリアネットワーク経由で、1台又は複数台の送信サーバ6に送信する機能を有する。
送信装置3は、デジタル放送に係る送信データに対し誤り訂正符号化処理を施して誤り訂正符号パリティを付与することにより符号化データを生成し、その符号化データを所定の変調方式でデジタル変調して変調波信号を生成し、送信アンテナ3aを介して地上放送伝送路経由で、デジタル放送に係る電波を放射する装置である。例えば、送信装置3は、現行又は次世代の地上デジタル放送の送信装置とすることができる。また、送信装置3は、順次生成した符号化データを誤り訂正フレームとして管理して、フレーム番号を付与して、ローカルエリアネットワーク経由で、1台又は複数台の送信サーバ6に送信する機能を有する。
受信装置5は、受信アンテナ5aを介して送信装置2から電波放射された変調波信号を受信して復調し、誤り訂正符号の符号長を構成する誤り訂正フレームを再構成し送信装置2における誤り訂正符号化処理に対応する復号処理を行って受信データを生成し再生可能とする機能、及び、受信アンテナ5bを介して送信装置3から電波放射された変調波信号を受信して復調し、誤り訂正符号の符号長を構成する誤り訂正フレームを再構成し送信装置3における誤り訂正符号化処理に対応する復号処理を行って受信データを生成し再生可能とする機能を有する装置である。
また、受信装置5は、送信装置2(又は送信装置3)から得られた符号化データについて誤り訂正復号の可否を判定し、復号できると判定したときはそのまま復号して受信データを生成し、符号化データのビット誤りが訂正できず復号できないと判定した場合には対応する符号化データの再送を要求するIPパケット形式の再送要求パケットを生成し、IP網8を経て、送信サーバ6に向けて送信する機能を有する。さらに、受信装置5は、当該再送要求パケットに応じて送信サーバ6から再送要求に応じて再送された符号化データを格納するIPパケット形式の符号化データパケットを受信して当該再送要求に応じて再送された符号化データを抽出し、当該再送要求に応じて再送された符号化データを復号処理に用いるよう補完し、所定時間内に当該復号処理により復号できるまで、対応する符号化データの再送の要求を繰り返す機能を有する。尚、受信装置5は、所定時間内に当該復号処理により復号できないときは、ビット誤りを含む状態のまま受信データを生成する。
1台又は複数台の送信サーバ6の各々は、デジタル放送に係る誤り訂正符号を利用して符号化した符号化データをデジタル変調し放送伝送路を介して受信装置5に送信する送信装置2(又は送信装置3)から、当該符号化データの所定時間分を保存しIP網8を介して受信装置5に送信可能とするコンピュータとして構成される。
即ち、送信サーバ6は、送信装置2(又は送信装置3)で生成された符号化データを当該ローカルエリアネットワーク経由で順次入力し、誤り訂正符号の符号長を構成する誤り訂正フレームのフレーム番号により時系列に管理して所定時間分を更新しながら保存する機能、IP網8を経て、受信装置5にて送信装置2(又は送信装置3)で利用した誤り訂正符号を用いて符号化データのビット誤りが訂正できなかったときに生成される再送要求パケットを受信し、当該受信装置5に向けて該符号化データの再送を行うよう制御する機能、及び、受信装置5からIP網8を経て受信した再送要求パケットに応じて再送要求に係る符号化データを格納するIPパケット形式の符号化データパケットを生成し、IP網8を経て当該受信装置5に向けて送信する機能を有する。
尚、図1に例示する伝送システム1では、送信装置2及び送信装置3を備えるとして説明したが、送信装置2と送信装置3のいずれか一方のみとしてもよい。図1に例示する伝送システム1では、送信装置2(又は送信装置3)と送信サーバ6とを別体として説明したが、送信装置2(又は送信装置3)が送信サーバ6を備える形態とし、1台又は複数台の送信装置2(又は送信装置3)として、ローカルエリアネットワークで接続する代わりに、単純な信号ケーブルで接続する構成としてもよい。
負荷分散装置7は、複数台の送信サーバ6を構成するときに、当該複数台の送信サーバ6とIP網8との間に設けられ、IP網8を経て多くの受信装置5から再送要求パケットを受信した場合に、複数台の送信サーバ6の各処理負荷を分散させ、再送要求に係る符号化データパケットを分割送信する装置である。図1に示す伝送システムでは、予めユーザ登録された複数台の受信装置5を対象とし、負荷分散装置7を介在させることで、ユーザ登録数が多くなる場合でも送信サーバ6を追加するだけでよいものとなる。ただし、予め許容するユーザ登録数に対応した送信サーバ6を個別に配設するときは、負荷分散装置7の設置を省略し、送信サーバ6とIP網8とを直接的に接続する形態としてもよい。
以下、より具体的に、送信装置2(又は送信装置3)、送信サーバ6、受信装置5について順に説明する。
〔送信装置〕
図2は、本発明による一実施形態の送信サーバ6及び送信装置2(又は送信装置3)の概略構成を示すブロック図である。尚、図2に示す送信装置2(又は送信装置3)は、本発明に係る主要な構成要素のみを図示しており、エネルギー拡散処理等のその他の構成要素の説明は省略する。
送信装置2及び送信装置3は、それぞれの放送伝送路(衛星放送伝送路又は地上放送伝送路)に適した誤り訂正符号化処理及び変調方式が採用されるが、図2に示すように、誤り訂正符号化部21、及び変調部22を備えるとして包括して説明する。
誤り訂正符号化部21は、デジタル放送に係る送信データに対し誤り訂正符号化処理を施して誤り訂正符号パリティを付与することにより符号化データを生成し、変調部22に出力する符号化器である。また、誤り訂正符号化部21は、順次生成した符号化データを誤り訂正フレームとして管理して、フレーム番号を付与して、ローカルエリアネットワーク経由で送信サーバ6に送信する機能を有する。
変調部22は、誤り訂正符号化部21から得られる符号化データを所定の変調方式でデジタル変調して変調波信号を生成し、放送伝送路経由でデジタル放送に係る電波を放射する。
デジタル放送に係る送信データは、例えば地上放送伝送路を経由して送信するときはARIB STD-B31に記載され地上デジタル放送で使用されるMPEG2-TSとすることができ、例えば衛星放送伝送路を経由して送信するときはARIB STD-B44に記載され高度広帯域衛星デジタル放送で使用されるTLV(Type Length Value)形式のデータとすることができる。
尚、現行の地上デジタル放送では、内符号として畳み込み符号、外符号としてリードソロモン符号が連接した連接符号で誤り訂正符号化処理が行われる。次世代の地上デジタル放送では、内符号としてLDPC符号、外符号としてBCH(Bose-Chaudhuri-Hocquenghem)符号が連接した連接符号で誤り訂正符号化処理を行うことが検討されている。また、高度広帯域衛星デジタル放送では、内符号としてLDPC符号、外符号としてBCH符号が連接した連接符号で誤り訂正符号化処理が行われる。
〔送信サーバ〕
図2に示す送信サーバ6は、デジタル放送に係る誤り訂正符号を利用して符号化した符号化データをデジタル変調し放送伝送路を介して受信装置5に送信する送信装置2(又は送信装置3)から、当該符号化データの所定時間分を保存しIP網8を介して受信装置5に送信可能とするコンピュータとして構成され、保存部61、IPパケット生成部62、及び再送要求処理部63を備える。
保存部61は、送信装置2(又は送信装置3)で生成された符号化データを当該ローカルエリアネットワーク経由で順次入力し、誤り訂正符号の符号長を構成する誤り訂正フレームのフレーム番号により時系列に管理して所定時間分を更新しながら保存する機能部である。
IPパケット生成部62は、受信装置5からの再送要求に係る符号化データを格納するIPパケット形式の符号化データパケットを生成し、IP網8を経て当該受信装置5に向けて送信する機能部である。この符号化データパケットは、受信装置5にて送信装置2(又は送信装置3)で利用した誤り訂正符号を用いて符号化データのビット誤りが訂正できなかったときに生成される。尚、詳細は後述するが、IPパケット生成部62は、符号化データパケットを構成する複数のIPパケットにシーケンス番号を付与した上で、再送要求に係る符号化データのビットが所定値以上離れるように所定規則に基づいて各誤り訂正フレームを縦断するようにビットの並び替えを行うインターリーブ処理を実行するインターリーブ部621を有する。
再送要求処理部63は、受信装置5からIP網8を経て再送要求パケットを受信したときに、保存部61に対し再送要求に係る符号化データの所在を見つけ、その符号化データをIPパケット生成部62に出力するよう制御する機能部である。
〔受信装置〕
図3は、本発明による一実施形態の受信装置5の概略構成を示すブロック図である。受信装置5は、復調部51、誤り訂正復号部52、再送要求パケット生成部53、及びIPパケット受信部54を備える。
復調部51は、放送伝送路(衛星放送伝送路又は地上放送伝送路)経由で送信装置2(又は送信装置3)から電波放射された変調波信号を受信して復調し、この復調処理で得られる符号化データを誤り訂正復号部52に出力する。
誤り訂正復号部52は、復調部51から得られる符号化データについて誤り訂正符号の符号長を構成する誤り訂正フレームを再構成し、送信装置2(又は送信装置3)における誤り訂正符号化処理に対応する復号処理を行って受信データを生成し再生可能に外部出力する復号器である。
ここで、誤り訂正復号部52は、復号可否判定部521、及び符号化データ補完部522を有する。
復号可否判定部521は、送信装置2(又は送信装置3)から得られた符号化データについて誤り訂正復号の可否を判定し、復号できると判定したときはそのまま復号して受信データを生成し、符号化データのビット誤りが訂正できず復号できないと判定した場合には、再送要求パケット生成部53に対して、対応する符号化データの再送要求を示す再送要求パケットを生成するよう指示する機能部である。
符号化データ補完部522は、再送要求パケット生成部53による当該再送要求パケットの送信に応じて送信サーバ6から受信した符号化データパケットを当該復号処理に用いるよう補完する機能部である。
そして、誤り訂正復号部52は、符号化データ補完部522の機能により、復調部51から得られる符号化データについて所定時間内に当該復号処理により復号できるまで、対応する符号化データの再送の要求を繰り返すように構成される。尚、誤り訂正復号部52は、所定時間内に当該復号処理により復号できないときは、ビット誤りを含む状態のまま受信データを生成する。
再送要求パケット生成部53は、復号可否判定部521により復号できないと判定した符号化データについて、その再送を要求するIPパケット形式の再送要求パケットを生成し、IP網8を経て、送信サーバ6に向けて送信する機能部である。
IPパケット受信部54は、当該再送要求パケットに応じて送信サーバ6から再送要求に応じて再送された符号化データを格納するIPパケット形式の符号化データパケットを受信して、当該再送要求に係る符号化データを抽出し、誤り訂正復号部52に出力する機能部である。尚、IPパケット受信部54は、シーケンス番号を利用し、送信サーバ6側のインターリーブ部621の逆処理を行って、再送要求に応じて再送された符号化データを再構成するデインターリーブ部541を有する。
(受信装置における受信制御フロー)
図4は、本発明による一実施形態の受信装置5における受信制御フローを示すフローチャートである。
まず、受信装置5は、復調部51により、放送伝送路(衛星放送伝送路又は地上放送伝送路)経由で送信装置2(又は送信装置3)から電波放射された変調波信号を受信して復調し、この復調処理で得られる符号化データを誤り訂正復号部52に出力する(ステップS1)。
続いて、受信装置5は、誤り訂正復号部52により、送信装置2(又は送信装置3)における誤り訂正符号化処理に対応する復号処理を実行する(ステップS2)。
ここで、誤り訂正復号部52は、復号可否判定部521により、送信装置2(又は送信装置3)から得られた符号化データについて誤り訂正復号の可否を判定し(ステップS3)、復号できると判定したときはそのまま復号して受信データを再生可能に生成し(ステップS3:No)、時系列上、次の符号化データについての復調・復号処理へと移行する。即ち、誤り訂正復号部52は、送信装置2(又は送信装置3)から得られた符号化データについて復号を試みて、ビット誤りがない場合や、ビット誤りが訂正可能な範囲であった場合に、そのまま復号して受信データを再生可能に生成する。
一方、誤り訂正復号部52は、復号可否判定部521により、復号できないと判定した場合には、再送要求パケット生成部53に対して、対応する符号化データの再送要求を示す再送要求パケットを生成するよう指示する(ステップS3:Yes)。即ち、誤り訂正復号部52は、伝送条件の悪化などの理由で、符号化データから受信データを復元できなかった場合、ARQにより送信サーバ6に向けて再送要求を行うよう再送要求パケット生成部53に指示する。
復号可否判定部521からの指示に応じて、再送要求パケット生成部53は、復号可否判定部521により復号できないと判定した符号化データについて、その再送を要求するIPパケット形式の再送要求パケットを生成し、IP網8を経て、送信サーバ6に向けて送信する(ステップS4)。
続いて、受信装置5は、IPパケット受信部54により、当該再送要求パケットに応じて送信サーバ6から再送要求に応じて再送された符号化データを格納するIPパケット形式の符号化データパケットを受信して、当該再送要求に係る符号化データを抽出し、誤り訂正復号部52に出力する(ステップS5)。
続いて、誤り訂正復号部52は、符号化データ補完部522により、再送要求パケット生成部53による当該再送要求パケットの送信に応じて送信サーバ6から受信した符号化データパケットを当該復号処理に用いるよう補完する(ステップS6)。
そして、誤り訂正復号部52は、符号化データ補完部522の機能により、復調部51から得られる符号化データについて所定時間内に当該復号処理により復号できるまで、対応する符号化データの再送の要求を繰り返し、復号できた符号化データを基に受信データを生成した後、時系列上、次の符号化データについての復調・復号処理へと移行する。尚、誤り訂正復号部52は、所定時間内に当該復号処理により復号できないときは、ビット誤りを含む状態のまま受信データを生成する。
ここで、受信装置5における再送要求パケット生成部53による再送要求は、誤り訂正復号部52によってビット誤りが訂正できなかったビットを含む誤り訂正フレーム全体の再送を、その誤り訂正フレームのフレーム番号を指定して送信サーバ6に要求する形態とする。一方、送信サーバ6は、図5を参照して後述するが、再送要求に係る符号化データとしての誤り訂正フレームを識別可能とし、且つその誤り訂正フレームにおいて何番目のビットを表すのか特定できるシーケンス番号を付したIPパケットを利用して再送要求に係る符号化データパケットを生成し、再送要求に応答する。
ところで、再送要求パケットは、IPパケット形式で一般的に用いられる非達通知パケットを利用でき、符号化データパケットは、その非達通知パケットの応答として再送を行うものとして構成される。このため、誤り訂正復号部52では、再送により得られた符号化データ(再送により得られた誤り訂正フレーム全体、又はその誤り訂正フレームにおけるビット誤りが訂正できなかった箇所のビットのみ)と、復調部51から得られる符号化データとを組み合わせて再度、復号を実施することができ、所定時間内で受信データを復元できるまで繰り返し再送要求を行うことで、再生可能に出力することができる。
このように、図1に示す伝送システム1では、降雨による減衰やフェージングなどにより、誤り訂正符号によるデータ復元が不可能なほど伝送条件が悪化した場合、受信装置5はIP網8を通じて送信装置2(又は送信装置3)に符号化データの再送を要求する。送信装置2(又は送信装置3)は放送伝送路を経て送信したときと同じ誤り訂正符号の符号化器(即ち、誤り訂正符号化部21)により符号化した符号化データをIP網8経由で受信装置5に伝送する。
受信装置5は、電波により受信したときと同じ誤り訂正符号の復号器(即ち、誤り訂正復号部52)により、消失した符号化データを補完して受信データを復元する。電波経由で消失したデータが多いときや、IP網8も消失通信路と考えられ、一部のデータが消失するときでも、受信装置5は、所定時間内で受信データを復元できるまで繰り返し再送要求を行うことで、再生可能に出力することができる。
従って、図1に示す伝送システム1によれば、放送受信だけでは防げないデータの損失について、IP網8を経て受信装置5から送信サーバ6へ再送要求を実施し、送信サーバ6からデータ再送を可能とすることで、受信装置5で符号化データを補完することができ、データ補償にデジタル放送に係る誤り訂正符号を利用することで、その再送要求の回数を削減可能となる。特に、当該再送要求に対するデータ再送としてデジタル放送に係る誤り訂正符号の符号化データを伝送する構成とすることで、デジタル放送で利用する誤り訂正符号と再送要求とを効率的に組み合わせ、誤り訂正符号に係る符号化器及び復号器を共通化することができるので、IP通信用の符号化器及び復号器を用意する必要がなくなり、設備規模が増大させることなく効率のよい伝送システム1を構成することができる。
(IPパケットの生成法)
ここで、本実施形態の伝送システム1では、デジタル放送に係るHybrid ARQを実現する際に、当該再送要求に対するデータ再送として通信と連携し、且つ誤り訂正に係る符号化器及び復号器を通信とデジタル放送とで共通化した場合でも、デジタル放送の誤り訂正符号によるデータ補償の確度をより高めるために、IPパケットの生成法に工夫を設けている。即ち、IPパケットの生成法の工夫によりIP網8での消失通信路のふるまいをデジタル放送での白色雑音のふるまいに近づけることで、デジタル放送に係るHybrid ARQにおける誤り訂正能力の向上を図るものとしている。
より具体的に、図5を参照して、送信サーバ6におけるIPパケット生成部62のIPパケットの生成法について説明する。図5(a)乃至(d)は、それぞれ本発明による一実施形態の送信サーバ6におけるIPパケット生成部62のIPパケットの生成法に関する説明図である。
まず、送信サーバ6における保存部61は、送信装置2(又は送信装置3)で生成された符号化データを当該ローカルエリアネットワーク経由で順次入力し、誤り訂正フレームのフレーム番号により時系列に管理して所定時間分を更新しながら保存している。誤り訂正フレームのフレーム長はnビットとする(図5(a)参照)。保存部61は、再送要求に係るフレーム番号を持つ誤り訂正フレームを先頭として連続するフレーム番号を持つmフレームの誤り訂正フレームをIPパケット生成部62に出力する。尚、mは、固定値であるが外部から可変設定することができるものとなっている。
そこで、IPパケット生成部62は、再送要求に係る符号化データとしての誤り訂正フレームを含むmフレームの誤り訂正フレームを縦方向に並べるようにして記憶部(図示略)に一時記憶する(図5(a)参照)。
続いて、IPパケット生成部62は、mフレームの誤り訂正フレームに各ビットを先頭から読み出し、生成するIPパケットのヘッダを除いたパケット長としてmビットのIPペイロードをnパケット分、生成する(図5(b)参照)。即ち、各誤り訂正フレームの1~nビットのうち、それぞれの同一ビット目を1ビットずつ集めmビットとしたものをIPペイロードとする。
続いて、IPパケット生成部62は、生成したnパケット分のIPペイロードに、デジタル放送の誤り訂正フレームにおいて何番目のビットを表すのか特定できるシーケンス番号とIPヘッダを符号化データパケットのヘッダとして付加して、nパケット分のIPパケットを生成する(図5(c)参照)。尚、本例では、分かりやすくシーケンス番号を1~nとして表しているが、各IPパケットを受信装置5にとって誤り訂正フレームのどのビットを示すものであれるかを識別可能な表現形態であれば任意である。
続いて、IPパケット生成部62は、インターリーブ部621を機能させ、生成したnパケット分のIPパケットを、IP網8への送出順として所定規則に基づいたビットの並び替えを行うインターリーブ処理を実行する(図5(d)参照)。
(インターリーブ処理)
図6は、本実施形態におけるIPパケット生成部621におけるインターリーブ部621のインターリーブ処理に関する説明図である。
受信装置5は、デインターリーブ541により、シーケンス番号を利用し、送信サーバ6側のインターリーブ部621の逆処理を行って、再送要求に応じて再送された符号化データを再構成する。
尚、本実施形態におけるIPパケット生成部621は、再送要求に係る符号化データとしての誤り訂正フレームを含むm(mは1以上の整数)個の誤り訂正フレームが必要であり、換言すればインターリーブ部621はmフレーム分の誤り訂正フレームが揃うまでインターリーブ処理を実行することはできない。このためタイムロスが問題となる場合には、再送要求パケット生成部53は、送信サーバ6に向けて、再送要求に係る符号化データとしての誤り訂正フレームを識別可能とし、且つその誤り訂正フレームにおいて何番目のビットを表すのか特定できるシーケンス番号を指定する再送要求パケットを送信するようにして、送信サーバ6は、再送要求に係るnビットの誤り訂正フレームのうちシーケンス番号が示すビット数分n1(<n)のみを、m(mは1以上の整数)個の誤り訂正フレームから抽出して、対応するシーケンス番号を保持したIPパケットを生成し、インターリーブ部621によりそのIPパケットの送出順を並び替えるようにしてもよい。そして、m,nは、固定値であるが外部から可変設定することができるものとすることで、各IPパケットのパケット長の調整を行うことができる。
また、それぞれの誤り訂正フレームから1ビットずつ集めることでIPパケットを生成したが、それぞれの誤り訂正フレームから複数ビット集めることも可能である。逆に2フレーム分の誤り訂正フレームを1フレーム分として扱うことや、mビットのパケットを2n個生成することも可能である。即ち、IP網8におけるパケットロスを予めそうして、これを緩和することができるように、誤り訂正フレームの各ビットの送出順を並び替える形態であれば、その他のインターリーブ技法を適用することが可能である。一般的にインターリーブ処理の対象とする期間(信号長)を長くすればするほどバースト的なパケットロスに強くなるため、伝送システム1全体で許容可能な期間内で最適なインターリーブ処理を実行するよう、インターリーブ部621を構成する。
従って、図1に示す伝送システム1によれば、放送受信だけでは防げないデータの損失について、IP網8を経て受信装置5から送信サーバ6へ再送要求を実施し、送信サーバ6からデータ再送を可能とすることで、受信装置5で符号化データを補完することができ、データ補償にデジタル放送に係る誤り訂正符号を利用することで、その再送要求の回数を削減可能となる。特に、当該再送要求に対するデータ再送としてデジタル放送に係る誤り訂正符号の符号化データを伝送する構成とすることで、デジタル放送で利用する誤り訂正符号と再送要求とを効率的に組み合わせることができ、IP通信用の符号化器及び復号器を用意する必要がなくなり、設備規模が増大させることなく効率のよい伝送システム1を構成することができる。更に、本発明に係るIPパケットの生成法を利用することで、当該再送要求に対するデータ再送として通信と連携した場合でも、デジタル放送の誤り訂正符号によるデータ補償の確度をより高め、有効にビット誤りを訂正できるようになる。
〈実施例〉
以下、伝送システム1を高度広帯域衛星デジタル放送用に構成した、より具体的な一実施例を説明する。
図7は、本発明による一実施例の送信サーバ6、送信装置2及び受信装置5を備える伝送システム1の概略構成を示すブロック図である。尚、同様な構成要素には、同一の参照番号を付して説明する。
図7に示す一実施例の伝送システム1は、ARIB STD-B44に記載される高度広帯域衛星デジタル放送を例にした実施例であり、本発明による一実施形態の送信サーバ6、送信装置2及び受信装置5を備える。ここでは、1台の送信サーバ6とし、負荷分散装置7の設置は省略しているが、上述したように、複数台の送信サーバ6とし、負荷分散装置7を経由してIP網8と接続する形態としてもよい。
また、図7に例示する伝送システム1では、送信装置2と送信サーバ6とを別体としてローカルエリアネットワークで接続する例を説明するが、送信装置2が送信サーバ6を備える形態とし、ローカルエリアネットワークで接続する代わりに、単純な信号ケーブルで接続する構成としてもよい。
図7に例示する送信装置2は、上述した図2と同様に構成され、デジタル放送に係る送信データに対し誤り訂正符号化処理を施して誤り訂正符号パリティ(LDPCパリティ及びBCHパリティ)を付与することにより符号化データを生成し、その符号化データを所定の変調方式でデジタル変調して変調波信号を生成し、送信アンテナ2aを介して放送衛星4を含む高度広帯域衛星デジタル放送の放送伝送路経由で、デジタル放送に係る電波を放射する。高度広帯域衛星デジタル放送は、符号化データの1フレーム分のビット数が44880ビットであり、誤り訂正符号化処理として、LDPC符号を内符号として利用し、BCH符号を外符号として利用する。また、送信装置2は、順次生成した符号化データを誤り訂正フレームとして管理して、フレーム番号を付与して、送信サーバ6に送信する。
図7に例示する受信装置5は、上述した図3と同様に構成され、受信アンテナ5aを介して送信装置2から電波放射された変調波信号を受信して復調し、送信装置2における誤り訂正符号化処理に対応する復号処理を行って受信データを生成し再生可能とする。
また、受信装置5は、送信装置2から得られた符号化データについて誤り訂正復号の可否を判定し、復号できると判定したときはそのまま復号して受信データを生成し、復号できないと判定した場合には対応する符号化データの再送を要求するIPパケット形式の再送要求パケットを生成し、IP網8を経て、送信サーバ6に向けて送信する機能を有する。そして、受信装置5は、当該再送要求パケットに応じて送信サーバ6から再送要求に応じて再送された符号化データを格納するIPパケット形式の符号化データパケットを受信して、当該再送要求に応じて再送された符号化データを復号処理に用いるよう補完し、所定時間内に当該復号処理により復号できるまで、対応する符号化データの再送の要求を繰り返す機能を有する。尚、受信装置5は、所定時間内に当該復号処理により復号できないときは、ビット誤りを含む状態のまま受信データを生成する。
送信サーバ6は、上述した図2と同様に構成され、送信装置2で生成された符号化データを順次入力し、誤り訂正フレームのフレーム番号により時系列に管理して所定時間分を更新しながら保存する機能、受信装置5からIP網8を経て受信した再送要求パケットに応じて再送要求に係る符号化データを格納するIPパケット形式の符号化データパケットを生成し、IP網8を経て当該受信装置5に向けて送信する機能を有する。
従って、本実施例において、送信装置2はデジタル放送に係る送信データに高度広帯域衛星デジタル放送の誤り訂正符号化処理を施した上で変調波信号を生成し、送信アンテナ2aを介して放送衛星4を経て送信する。受信装置5はまず受信アンテナ5aから受信した高度広帯域衛星デジタル放送の変調波信号を復調し、誤り訂正復号処理で受信データを復元するよう試みる。受信装置5は、伝送環境がよく誤りなく受信できた場合や、白色雑音等の影響が誤り訂正符号により復号できる範囲であった場合、そのまま符号化データから受信データを復元して再生可能にする。受信装置5は、降雨減衰が起きるなど伝送環境が悪く、誤り訂正符号では復号できないほど符号化データが劣化した場合、IP網8を通じて該当する符号化データについて送信装置2と連携動作する送信サーバ6に対し再送要求を行う。
受信装置5からIP網8を通じて送信サーバ6に再送要求があった場合、送信サーバ6は誤り訂正符号化処理後の符号化データをIP網8経由で受信装置5に再送する。受信装置5は、IP網8から得られた符号化データを補完して誤り訂正復号処理を実行し、受信データを復元して再生可能にする。
(実施例:高度広帯域衛星デジタル放送の受信装置における受信制御フロー)
図8は、図7に示す一実施例の高度広帯域衛星デジタル放送の受信装置5における受信制御フローを示すフローチャートである。尚、図4と同様なステップ番号には同一の番号を付している。
まず、受信装置5は、復調部51により、高度広帯域衛星デジタル放送の放送伝送路経由で送信装置2から電波放射された変調波信号を受信して復調し、この復調処理で得られる符号化データを誤り訂正復号部52に出力する(ステップS1)。
続いて、受信装置5は、誤り訂正復号部52により、送信装置2における誤り訂正符号化処理に対応する復号処理を実行するため、まず、尤度テーブルから符号化データの各ビットの対数尤度比を算出する(ステップS2A)。高度広帯域衛星デジタル放送は、符号化データの1フレーム分のビット数が44880ビットであり、誤り訂正符号化処理として、LDPC符号を内符号として利用し、BCH符号を外符号として利用するため、尤度テーブルを用いてビットが“0”である確からしさ、及びビットが“1”である確からしさを示す対数尤度比を算出する。
続いて、受信装置5は、誤り訂正復号部52により、対数尤度比によるsum-productアルゴリズムを利用したLDPC復号を実施後(ステップS2B)、BCH符号の復号処理を実施する(ステップS2C)。ARIB STD-B44では外符号のBCH符号の復号処理の際にビット誤りのエラーを訂正しきれない場合、データをヌルパケットに置き換える、エラーありのフラグを付けるなどの処理を規定している。
そこで、誤り訂正復号部52は、復号可否判定部521により、送信装置2から得られた符号化データについて誤り訂正復号の可否を判定するため、BCH符号の復号処理でビット誤りのエラーが訂正しきれなかった、もしくは復号でエラーは訂正できたが所定のBCHエラー数となったか否かを判定する(ステップS3’)。即ち、本実施例では、LDPC符号の訂正能力が不確定であること、またBCH符号の訂正能力が確定的であることに着目し、LDPC符号と連接するBCH符号のエラー訂正数を利用して、Hybrid ARQにおける効率的な再送要求を実現するものとしている。
誤り訂正復号部52は、ステップS3’においてBCH符号の復号処理でビット誤りのエラーが訂正しきれた、もしくは所定のBCHエラー数未満であったため復号できると判定したときはそのまま復号して受信データを再生可能に生成し(ステップS3’:No)、時系列上、次の符号化データについての復調・復号処理へと移行する。即ち、誤り訂正復号部52は、送信装置2から得られた符号化データについて復号を試みて、ビット誤りがない場合や、ビット誤りが訂正可能な範囲であった場合に、そのまま復号して受信データを再生可能に生成する。
一方、誤り訂正復号部52は、復号可否判定部521により、BCH符号の復号処理でビット誤りのエラーが訂正しきれなかった、もしくは復号でエラーは訂正できたが所定のBCHエラー数となったため復号できないと判定した場合には、再送要求パケット生成部53に対して、該当の44880ビットの符号化データの再送要求を示す再送要求パケットを生成するよう指示する(ステップS3’:Yes)。即ち、誤り訂正復号部52は、伝送条件の悪化などの理由で、符号化データから受信データを復元できなかった場合、ARQにより送信サーバ6に向けて再送要求を行うよう再送要求パケット生成部53に指示する。
復号可否判定部521からの指示に応じて、再送要求パケット生成部53は、復号可否判定部521により復号できないと判定した符号化データについて、その再送を要求するIPパケット形式の再送要求パケットを生成し、IP網8を経て、送信サーバ6に向けて送信する(ステップS4)。送信装置2は、受信装置5から再送要求を受け取った場合、BCH符号、LDPC符号で誤り訂正符号化済みのビット列をIPパケット化して符号化データパケットを生成し、IP網8経由で受信装置5に再送する。IPパケット化の方法については図9を参照して後述する。
続いて、受信装置5は、IPパケット受信部54により、当該再送要求パケットに応じて送信サーバ6から再送要求に応じて再送された符号化データを格納するIPパケット形式の符号化データパケットを受信して、当該再送要求に係る符号化データ(44880ビット)を抽出し、誤り訂正復号部52に出力する(ステップS5)。
続いて、誤り訂正復号部52は、符号化データ補完部522により、再送要求パケット生成部53による当該再送要求パケットの送信に応じて送信サーバ6から受信した符号化データパケットを当該復号処理に用いるよう補完するよう対数尤度比を置き換える(ステップS6’)。即ち、IP網8は消失通信路を想定して、誤り訂正復号部52は、IP網8経由で受信できた符号化データについては正しいビットの値を確定し、IP網8の途中の通信路でパケットロス等により消失したパケットについては正しいビットの値が不明とする。そして、誤り訂正復号部52は、LDPC復号器として構成され対数尤度比を用いた復号を実施するため、IP網8を通して受信できたビットについて、ビットの値が0である場合対数尤度比を+∞(“0”である確からしさとして最大値)、ビットの値が1である場合対数尤度比を-∞(“1”である確からしさとして最大値)に置き換えて、ステップS2Bに移行する。
そして、受信装置5は、誤り訂正復号部52により、対数尤度比によるsum-productアルゴリズムを利用したLDPC復号を実施後(ステップS2B)、BCH符号の復号処理を実施する(ステップS2C)。受信装置5は、誤り訂正復号部52により、復調部51から得られる符号化データについて所定時間内に当該復号処理により復号できるまで、対応する符号化データの再送の要求を繰り返し、復号できた符号化データを基に受信データを生成した後、時系列上、次の符号化データについての復調・復号処理へと移行する。尚、誤り訂正復号部52は、所定時間内に当該復号処理により復号できないときは、ビット誤りを含む状態のまま受信データを生成する。ここで、誤り訂正復号部52は、BCH符号の復号処理のビット誤りのエラーがなくなるまで繰り返し再送要求を行うことで、受信データを完全に復元する構成とすることもできるが、所定時間内として制限を設けることで無限ループ処理を回避するのが好適である。
(実施例:IPパケットの生成法)
図9(a)乃至(d)は、それぞれ図7に示す本実施例の送信サーバ6におけるIPパケット生成部62のIPパケットの生成法に関する説明図である。まず、送信サーバ6における保存部61は、送信装置2で生成された符号化データを当該ローカルエリアネットワーク経由で順次入力し、誤り訂正フレームのフレーム番号により時系列に管理して所定時間分を更新しながら保存している。誤り訂正フレームのフレーム長はn=44880ビットとする(図9(a)参照)。保存部61は、再送要求に係るフレーム番号を持つ誤り訂正フレームを先頭として連続するフレーム番号を持つm=8000フレームの誤り訂正フレームをIPパケット生成部62に出力する。
図9では、IPパケットのIPヘッダを除いたパケット長を1000バイトとした場合を例示している。実際には想定されるIP網のMTU(Maximum Transmission Unit)を超えない範囲で任意にパケット長を決めてよい。高度広帯域衛星デジタル放送ではLDPC符号及びBCH符号のパリティまで含めたフレーム長はLDPC符号の符号化率によらず44880ビット(=5610バイト)である。
そこで、IPパケット生成部62は、再送要求に係る符号化データとしての誤り訂正フレームを含む8000フレームの誤り訂正フレームを縦方向に並べるようにして記憶部(図示略)に一時記憶する(図9(a)参照)。
続いて、IPパケット生成部62は、8000フレームの誤り訂正フレームに各ビットを先頭から読み出し、生成するIPパケットのヘッダを除いたパケット長として8000ビットのIPペイロードを44880パケット分、生成する(図9(b)参照)。即ち、各誤り訂正フレームの1~44880ビットのうち、それぞれの同一ビット目を1ビットずつ集め8000ビットとしたものをIPペイロードとする。
続いて、IPパケット生成部62は、生成した44880パケット分のIPペイロードに、デジタル放送の誤り訂正フレームにおいて何番目のビットを表すのか特定できるシーケンス番号とIPヘッダを符号化データパケットのヘッダとして付加して、44880パケット分のIPパケットを生成する(図9(c)参照)。尚、本例では、分かりやすくシーケンス番号を1~44880として表しているが、各IPパケットを受信装置5にとって誤り訂正フレームのどのビットを示すものであれるかを識別可能な表現形態であれば任意である。
続いて、IPパケット生成部62は、インターリーブ部621を機能させ、生成した44880パケット分のIPパケットを、IP網8への送出順として所定規則に基づいたビットの並び替えを行うインターリーブ処理を実行する(図9(d)参照)。
尚、IP網がIPv4、IPv6のどちらを用いるのかなどによりヘッダ長は変わるが、IPパケット生成部62は伝送環境に合わせたIPヘッダを付与することで該当の誤り訂正フレームを示す符号化データパケットをIPパケット形式で受信装置5に再送することができる。
(実施例:インターリーブ処理)
図10は、図7に示す本実施例のIPパケット生成部621におけるインターリーブ部621のインターリーブ処理に関する説明図である。
図10には、隣接するシーケンス番号のパケットが211(=44880の平方根以下の最大の整数)ビット以上離れるようデータ再送に係る符号化データのビット送出順を並べ替えるインターリーブ処理を用いたIPパケットの生成法を示している。送信サーバ6におけるインターリーブ部621は、L=213(=44880/211以上の最小の整数)とし、N=148(=44880-212×211)として、211×213の縦方向にシーケンス番号を並べ、横方向にシーケンス番号を抜き出し、該当のシーケンス番号を持つIPパケットをIP網8に送出することで、隣接するシーケンス番号のIPパケットは必ず211以上離れた状態でIP網8に送出できる。従って、受信装置5は、IP網8にてパケットロスが連続してバースト的に発生した場合でも、211ビット以上離れたビットが消失した程度で符号化データを取得できる。
受信装置5は、デインターリーブ541により、シーケンス番号を利用し、送信サーバ6側のインターリーブ部621の逆処理を行って、再送要求に応じて再送された符号化データを再構成する。
尚、本実施形態におけるIPパケット生成部621は、再送要求に係る符号化データとしての誤り訂正フレームを含むm=8000個の誤り訂正フレームが必要であり、換言すればインターリーブ部621は8000フレーム分の誤り訂正フレームが揃うまでインターリーブ処理を実行することはできない。このためタイムロスが問題となる場合には、再送要求パケット生成部53は、送信サーバ6に向けて、再送要求に係る符号化データとしての誤り訂正フレームを識別可能とし、且つその誤り訂正フレームにおいて何番目のビットを表すのか特定できるシーケンス番号を指定する再送要求パケットを送信するようにして、送信サーバ6は、再送要求に係るn=44880ビットの誤り訂正フレームのうちシーケンス番号が示すビット数分n1(<44880)のみを、8000個の誤り訂正フレームから抽出して、対応するシーケンス番号を保持したIPパケットを生成し、インターリーブ部621によりそのIPパケットの送出順を並び替えるようにしてもよい。そして、m,nは、固定値であるが外部から可変設定することができるものとすることで、各IPパケットのパケット長の調整を行うことができる。
また、それぞれの誤り訂正フレームから1ビットずつ集めることでIPパケットを生成したが、それぞれの誤り訂正フレームから複数ビット集めることも可能である。逆に16000フレーム分の誤り訂正フレームを1フレーム分として扱うことや、8000ビットのパケットを89760個生成することも可能である。即ち、IP網8におけるパケットロスを予めそうして、これを緩和することができるように、誤り訂正フレームの各ビットの送出順を並び替える形態であれば、その他のインターリーブ技法を適用することが可能である。一般的にインターリーブ処理の対象とする期間(信号長)を長くすればするほどバースト的なパケットロスに強くなるため、伝送システム1全体で許容可能な期間内で最適なインターリーブ処理を実行するよう、インターリーブ部621を構成する。
従って、図7乃至図10に示す伝送システム1によれば、放送受信だけでは防げないデータの損失について、IP網8を経て受信装置5から送信サーバ6へ再送要求を実施し、送信サーバ6からデータ再送を可能とすることで、受信装置5で符号化データを補完することができ、データ補償にデジタル放送に係る誤り訂正符号を利用することで、その再送要求の回数を削減可能となる。特に、当該再送要求に対するデータ再送としてデジタル放送に係る誤り訂正符号の符号化データを伝送する構成とすることで、デジタル放送で利用する誤り訂正符号と再送要求とを効率的に組み合わせ、誤り訂正符号に係る符号化器及び復号器を共通化することができるので、IP通信用の符号化器及び復号器を用意する必要がなくなり、設備規模が増大させることなく効率のよい伝送システム1を構成することができる。
また、図7乃至図10に示す伝送システム1の例では、LDPC符号の訂正能力が不確定であること、またBCH符号の訂正能力が確定的であることに着目し、LDPC符号と連接するBCH符号のエラー訂正数を利用するため、デジタル放送に対し安定したHybrid ARQにおける効率的な再送要求を実現することができる。更に、本発明に係るIPパケットの生成法を利用することで、当該再送要求に対するデータ再送として通信と連携した場合でも、デジタル放送の誤り訂正符号によるデータ補償の確度をより高め、有効にビット誤りを訂正できるようになる。
尚、図7乃至図10に示す伝送システム1の例では、高度広帯域衛星デジタル放送を例に説明したが、訂正能力が確定された誤り訂正符号を有する伝送システム1であれば、同様に適用することができ、上述した図1乃至図4を参照して説明したように、放送伝送路(衛星放送伝送路又は地上放送伝送路)経由で変調波信号を受信する受信装置5が、送信装置2(又は送信装置3)で用いる誤り訂正符号の符号化データをARQにより再送要求する構成であれば、同様に、デジタル放送に対し安定したHybrid ARQにおける効率的な再送要求を実現することができる。
上述した実施例に関して、送信サーバ6として機能するコンピュータの各手段を機能させるためのプログラムを好適に用いることができる。具体的には、各手段を制御するための制御部をコンピュータ内の中央演算処理装置(CPU)で構成でき、且つ、各手段を動作させるのに必要となるプログラムを適宜記憶する記憶部を少なくとも1つのメモリで構成させることができる。即ち、そのようなコンピュータに、CPUによって該プログラムを実行させることにより、上述した各手段の有する機能を実現させることができる。更に、各手段の有する機能を実現させるためのプログラムを、前述の記憶部(メモリ)の所定の領域に格納させることができる。そのような記憶部は、装置内部のRAM又はROMなどで構成させることができ、或いは又、外部記憶装置(例えば、ハードディスク)で構成させることもできる。また、そのようなプログラムは、コンピュータで利用されるOS上のソフトウェア(ROM又は外部記憶装置に格納される)の一部で構成させることができる。更に、そのようなコンピュータに、各手段として機能させるためのプログラムは、コンピュータが読取り可能な記録媒体に記録することができる。また、上述した各手段をハードウェア又はソフトウェアの一部として構成させ、各々を組み合わせて実現させることもできる。
上述の実施例については代表的な例として説明したが、本発明の趣旨及び範囲内で、多くの変更及び置換することができることは当業者に明らかである。例えば、従って、本発明は、上述の実施例によって制限するものと解するべきではなく、特許請求の範囲によってのみ制限される。