JP2021021037A - 樹脂ペレット、及び成形体の製造方法 - Google Patents

樹脂ペレット、及び成形体の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】押出機を用いた溶融成形の際に、吐出速度が速く、ブレークアップが生じ難いEVOHのペレット、及びこのようなペレットを用いた成形体の製造方法の提供。【解決手段】エチレン−ビニルアルコール共重合体(A)を含む樹脂ペレットであって、表面からの距離が20〜120μmの領域における(A)の結晶化度Xdに対する、表面からの距離が0〜20μmの領域における(A)の結晶化度Xsの比率(Xs/Xd)が、0.85〜1.05である樹脂ペレット。【選択図】図1

Description

本発明は樹脂ペレット、及び成形体の製造方法に関する。
エチレン−ビニルアルコール共重合体(以下、「EVOH」ともいう。)は、ガスバリア性、透明性、耐油性、非帯電性、機械強度等に優れており、フィルム、シート、容器等の成形体の材料として広く用いられている。
EVOHの成形体は、通常、EVOHのペレットを原料とし、押出機等を用いて溶融成形することにより製造される(特許文献1参照)。EVOHのペレットは、例えば、EVOHの溶液を凝固浴にストランド状に押し出した後に切断して含水ペレットを得て、この含水ペレットを乾燥させること等により製造される。
国際公開第2015/174396号
溶融成形材料であるEVOHのペレットは、溶融加工性が優れることが望ましい。溶融成形等を行うための押出機においては、スクリュ可塑化機構を備えるものが多く使用されている。このスクリュ可塑化機構では、周囲にヒータを配置した加熱シリンダ内にスクリュが挿入され、このスクリュを回転することにより、ホッパーから供給されたペレットが溶融しながらノズル側へと輸送される。このような押出機を用いた溶融成形においては、例えば(1)押出機における圧縮部と出口とで樹脂圧力の差が大きく、吐出速度が速いこと、(2)圧縮部等においてブレークアップが生じないこと等が望ましい。なお、上記(2)のブレークアップに関し、通常、押出機の圧縮部においては、好ましい状態として、溶融した樹脂が一体化したメルトプールと、未溶融樹脂が一体化したソリッドベッドとが分離した状態となっている。しかし、ソリッドベッドが分裂した状態であるブレークアップと称される非定常状態となると、圧力変動により溶融加工が不安定になったり、樹脂の劣化を引き起こしたりする場合があり、好ましくない。従来のEVOHのペレットにおいては、これらの溶融加工性の点において十分とはいえず、改善の余地がある。
本発明は、以上のような事情に基づいてなされたものであり、その目的は、押出機を用いた溶融成形の際に、吐出速度が速く、ブレークアップが生じ難いEVOHのペレット、及びこのようなペレットを用いた成形体の製造方法を提供することである。
本発明によれば上記の目的は、
[1]エチレン−ビニルアルコール共重合体(A)を含む樹脂ペレットであって、表面からの距離が20〜120μmの領域におけるエチレン−ビニルアルコール共重合体(A)の結晶化度Xdに対する、表面からの距離が0〜20μmの領域におけるエチレン−ビニルアルコール共重合体(A)の結晶化度Xsの比率(Xs/Xd)が、0.85〜1.05である樹脂ペレット;
[2]炭素数5以下の脂肪酸のアルミニウム塩(B)をさらに含み、エチレン−ビニルアルコール共重合体(A)に対する炭素数5以下の脂肪酸のアルミニウム塩(B)の含有量がアルミニウム換算で30〜6000ppbである[1]の樹脂ペレット;
[3]炭素数5以下の脂肪酸のアルミニウム塩(B)が酢酸アルミニウム及びプロピオン酸アルミニウムの一方又は双方である[2]の樹脂ペレット;
[4]不飽和カルボン酸(C)をさらに含み、エチレン−ビニルアルコール共重合体(A)に対する不飽和カルボン酸(B)の含有量が1〜200ppmである[1]〜[3]のいずれかの樹脂ペレット;
[5]不飽和カルボン酸(C)の分子量が1000以下である[4]の樹脂ペレット;並びに
[6][1]〜[5]のいずれかの樹脂ペレットを溶融成形する工程を備える成形体の製造方法;
のいずれかを提供することで達成される。
本発明によれば、押出機を用いた溶融成形の際に、吐出速度が速く、ブレークアップが生じ難いEVOHのペレット、及びこのようなペレットを用いた成形体の製造方法を提供できる。
図1は、樹脂ペレットに対する広角X線回折測定の方法を示す模式図である。 図2は、樹脂ペレットに対する広角X線回折測定において、ベースライン補正したプロファイルの一例を示すグラフである。 図3は、図2のプロファイルについて結晶ピークと非晶ピークとに分離した状態を示すグラフである。
<樹脂ペレット>
本発明の樹脂ペレットは、エチレン−ビニルアルコール共重合体(A)(以下、「EVOH(A)」と称することがある)を含む樹脂ペレットであって、表面からの距離が20〜120μmの領域におけるEVOH(A)の結晶化度Xdに対する、表面からの距離が0〜20μmの領域におけるEVOH(A)の結晶化度Xsの比率(Xs/Xd)が、0.85〜1.05である樹脂ペレットである。
本発明の樹脂ペレットは、押出機を用いた溶融成形の際に、押出機における圧縮部と出口とで樹脂圧力の差が大きくて吐出速度が速く、また、ブレークアップが生じ難い。すなわち、本発明の樹脂ペレットは、これらの溶融加工性に優れ、溶融成形材料として好適に用いることができる。本発明の樹脂ペレットがこのような効果が生じる理由としては定かではないが、以下の理由が推測される。従来のEVOHのペレットは、内側のEVOHの結晶化度に比べて表面領域のEVOHの結晶化度が高い。また、結晶化度の高いEVOHは溶融し難い。このように従来のEVOHのペレットは、相対的に溶融しやすいEVOHを、相対的に溶融し難いEVOHで覆っている状態となっている。このため、従来のEVOHのペレットを用いた場合、押出機内での加熱の際、溶融状態にムラが生じたり、溶融が不十分になったりする場合があると考えられる。このような場合、押出機における圧縮部と出口とで樹脂圧力の差が小さく、吐出速度が遅くなり、また、溶融挙動が不安定でブレークアップが生じ易くなると推測される。これに対し本発明の樹脂ペレットにおいては、内側のEVOHの結晶化度と表面領域(表層)のEVOHの結晶化度とがほぼ等しくなっている。これにより本発明の樹脂ペレットは押出機を用いた溶融成形の際に、表面領域が内側と同程度に溶融しやすく、これにより上記効果が生じていると推測される。
本発明の樹脂ペレットにおける上記結晶化度比率(Xs/Xd)の上限は1.05であり、1.04が好ましい。また、この結晶化度比率(Xs/Xd)の下限は0.85であり、0.90が好ましく、0.92がより好ましく、0.95がさらに好ましい。このように、内側のEVOHの結晶化度と表面領域のEVOHの結晶化度とがより同程度であることで、本発明の効果がさらに高まる。なお、結晶化度比率が上記下限を下回ると、本発明のペレットを溶融押出する際に、押出機の供給部でペレット表面の融解が開始し、スクリュに巻き付き、吐出ができなくなる場合がある。
本発明の樹脂ペレットにおける表面からの距離が0〜20μmの領域におけるEVOH(A)の結晶化度Xsの上限は50%が好ましく、48%がより好ましい。このように表面領域(表層)の結晶化度Xsが上記上限以下である場合、溶融成形の際により溶融しやすくなり、本発明の効果がより高まる。一方、上記結晶化度Xsの下限は例えば25%であり、30%であってもよく、35%であってもよい。
なお、本発明の樹脂ペレットにおける表面からの距離が0〜20μmの領域におけるEVOH(A)の結晶化度Xs、及び表面からの距離が20〜120μmの領域におけるEVOH(A)の結晶化度Xdは、実施例に記載の広角X線回折測定により測定することができる。また、これらの結晶化度及び結晶化度比率は、後述するように、樹脂ペレットの組成や製造条件によって調整することができる。
本発明の樹脂ペレットの形状は特に限定されず、従来公知のEVOHのペレットと同様であってよい。本発明の樹脂ペレットは例えば柱状(円柱状、角柱状等)、球状、扁平形状等であってよい。本発明の樹脂ペレットのサイズも特に限定されず、従来公知のEVOHのペレットと同様であってよい。本発明の樹脂ペレットのサイズは、例えば平面視における円相当径として、1mm以上20mm以下であってよい。
本発明の樹脂ペレットは、溶融成形材料として用いられ、通常、乾燥状態である。本発明の樹脂ペレットの全固形分に対する水の含有割合の上限は1質量%が好ましいことがあり、0.1質量%又は0.01質量%がより好ましいことがある。本発明の樹脂ペレットが乾燥状態であると、より良好な溶融加工性等を発揮できる。
(EVOH(A))
EVOH(A)は、エチレン単位とビニルアルコ−ル単位とを有する共重合体である。EVOH(A)は、通常、エチレン−ビニルエステル共重合体のケン化により得られる。エチレン−ビニルエステル共重合体の製造及びケン化は公知の方法により行うことができる。ビニルエステルとしては酢酸ビニルが代表的であるが、ギ酸ビニル、プロピオン酸ビニル、バレリン酸ビニル、カプリン酸ビニル、ラウリン酸ビニル、ステアリン酸ビニル、ピバリン酸ビニル及びバーサティック酸ビニル等のその他の脂肪酸ビニルエステルであってもよい。
EVOH(A)のエチレン単位含有量の下限は10モル%が好ましく、15モル%がより好ましく、20モル%がさらに好ましく、25モル%がよりさらに好ましい。一方、EVOH(A)のエチレン単位含有量の上限は60モル%が好ましく、50モル%がより好ましく、45モル%がさらに好ましい。エチレン単位含有量が10モル%以上の場合、熱安定性等が向上する傾向にある。また、エチレン単位含有量が60モル%以下の場合、酸素バリア性等が向上する傾向にある。
EVOH(A)のケン化度は90モル%以上が好ましく、95モル%以上がより好ましく、99モル%以上がさらに好ましい。EVOH(A)のケン化度が90モル%以上であると、得られる成形体等におけるガスバリア性、熱安定性、耐湿性が良好となる傾向がある。また、ケン化度は100モル%以下であっても、99.97モル%以下であっても、99.94モル%以下であってもよい。
EVOH(A)は、本発明の効果を損なわない範囲で、エチレン、ビニルエステル及びそのケン化物以外の他の単量体由来の単位を有していてもよい。他の単量体由来の単位(エチレン単位、ビニルエステル単位及びビニルアルコール単位以外の単位)のEVOH(A)の全構造単位に対する含有量は30モル%以下が好ましく、20モル%以下がより好ましく、10モル%以下がさらに好ましく、5モル%以下がよりさらに好ましく、1モル%以下が特に好ましい。また、EVOH(A)が上記他の単量体由来の単位を有する場合、その含有量は0.05モル%以上であっても、0.1モル%以上であってもよい。
他の単量体としては、例えばアクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、イタコン酸等の不飽和酸又はその無水物、塩、又はモノ若しくはジアルキルエステル;アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のニトリル;アクリルアミド、メタクリルアミド等のアミド;ビニルスルホン酸、アリルスルホン酸、メタアリルスルホン酸等のオレフィンスルホン酸又はその塩;ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリ(β−メトキシ−エトキシ)シラン、γ−メタクリルオキシプロピルメトキシシラン等のビニルシラン化合物;アルキルビニルエーテル類、ビニルケトン、N−ビニルピロリドン、塩化ビニル、塩化ビニリデン等が挙げられる。
他の単量体由来の単位は、下記式(I)で表される構造単位(I)、下記式(II)で表される構造単位(II)、及び下記式(III)で表される構造単位(III)の少なくともいずれか一種であってもよい。
Figure 2021021037
上記式中、R、R、R、R、R、R、R、R、R、R10及びR11は、それぞれ独立して水素原子、炭素数1〜10の脂肪族炭化水素基、炭素数3〜10の脂環式炭化水素基、炭素数6〜10の芳香族炭化水素基又はヒドロキシ基を表す。R、R及びRのうちの一対、RとR、RとRは結合していてもよい。また、上記炭素数1〜10の脂肪族炭化水素基、炭素数3〜10の脂環式炭化水素基及び炭素数6〜10の芳香族炭化水素基が有する水素原子の一部又は全部は、ヒドロキシ基、アルコキシ基、カルボキシ基又はハロゲン原子で置換されていてもよい。上記式中、R12及びR13は、それぞれ独立して、水素原子、ホルミル基又は炭素数2〜10のアルカノイル基を表す。
EVOH(A)が構造単位(I)、(II)又は(III)を有する場合、樹脂ペレットの加工特性が向上し、得られる成形体等における延伸性及び熱成形性等が良好になる傾向がある。
構造単位(I)、(II)及び(III)において、炭素数1〜10の脂肪族炭化水素基としてはアルキル基、アルケニル基等が挙げられる。炭素数3〜10の脂環式炭化水素基としてはシクロアルキル基、シクロアルケニル基等が挙げられる。炭素数6〜10の芳香族炭化水素基としてはフェニル基等が挙げられる。
構造単位(I)において、R、R及びRは、それぞれ独立して水素原子、メチル基、エチル基、ヒドロキシ基、ヒドロキシメチル基及びヒドロキシエチル基であることが好ましく、中でも、得られる成形体等における延伸性及び熱成形性をさらに向上できる観点から、それぞれ独立して水素原子、メチル基、ヒドロキシ基及びヒドロキシメチル基であることがより好ましい。
EVOH(A)中に構造単位(I)を含有させる方法は特に限定されず、例えば上記エチレンとビニルエステルとの重合において、構造単位(I)に誘導される単量体を共重合させる方法等が挙げられる。構造単位(I)に誘導される単量体としては、例えばプロピレン、ブチレン、ペンテン、ヘキセン等のアルケン;3−ヒドロキシ−1−プロペン、3−アシロキシ−1−プロペン、3−アシロキシ−1−ブテン、3−ヒドロキシ−1−ブテン、4−ヒドロキシ−1−ブテン、4−アシロキシ−1−ブテン、3,4−ジアシロキシ−1−ブテン、3−アシロキシ−4−ヒドロキシ−1−ブテン、4−アシロキシ−3−ヒドロキシ−1−ブテン、3−アシロキシ−4−メチル−1−ブテン、4−アシロキシ−2−メチル−1−ブテン、4−アシロキシ−3−メチル−1−ブテン、3,4−ジアシロキシ−2−メチル−1−ブテン、4−ヒドロキシ−1−ペンテン、5−ヒドロキシ−1−ペンテン、4,5−ジヒドロキシ−1−ペンテン、4−アシロキシ−1−ペンテン、5−アシロキシ−1−ペンテン、4,5−ジアシロキシ−1−ペンテン、4−ヒドロキシ−3−メチル−1−ペンテン、5−ヒドロキシ−3−メチル−1−ペンテン、4,5−ジヒドロキシ−3−メチル−1−ペンテン、5,6−ジヒドロキシ−1−ヘキセン、4−ヒドロキシ−1−ヘキセン、5−ヒドロキシ−1−ヘキセン、6−ヒドロキシ−1−ヘキセン、4−アシロキシ−1−ヘキセン、5−アシロキシ−1−ヘキセン、6−アシロキシ−1−ヘキセン、5,6−ジアシロキシ−1−ヘキセン等のヒドロキシ基あるいはエステル基を有するアルケンが挙げられる。中でも、共重合反応性、及び得られる成形体等の加工性、ガスバリア性の観点からは、プロピレン、3−アシロキシ−1−プロペン、3−アシロキシ−1−ブテン、4−アシロキシ−1−ブテン、及び3,4−ジアシロキシ−1−ブテンが好ましい。なお、“アシロキシ”はアセトキシであることが好ましく、具体的には3−アセトキシ−1−プロペン、3−アセトキシ−1−ブテン、4−アセトキシ−1−ブテン及び3,4−ジアセトキシ−1−ブテンが好ましい。エステルを有するアルケンの場合は、ケン化反応の際に構造単位(I)に誘導される。
構造単位(II)において、R及びRは共に水素原子であることが好ましい。特にR及びRが共に水素原子であり、上記R及びRのうちの一方が炭素数1〜10の脂肪族炭化水素基、他方が水素原子であることがより好ましい。脂肪族炭化水素基としてはアルキル基及びアルケニル基が好ましい。得られる成形体等におけるガスバリア性を特に重視する観点からは、R及びRのうちの一方がメチル基又はエチル基、他方が水素原子であることがより好ましい。また、上記R及びRのうちの一方が(CHOHで表される置換基(但し、hは1〜8の整数)、他方が水素原子であることがさらに好ましい。なお、hは1〜4の整数であることが好ましく、1又は2であることがより好ましく、1であることがさらに好ましい。
EVOH(A)中に構造単位(II)を含有させる方法は特に限定されず、ケン化反応によって得られたEVOHに一価エポキシ化合物を反応させる方法等が用いられる。一価エポキシ化合物としては、下記式(IV)〜(X)で示される化合物が好適に用いられる。
Figure 2021021037
上記式中、R14、R15、R16、R17及びR18は、それぞれ独立して水素原子、炭素数1〜10の脂肪族炭化水素基(アルキル基、アルケニル基等)、炭素数3〜10の脂環式炭化水素基(シクロアルキル基、シクロアルケニル基等)又は炭素数6〜10の脂肪族炭化水素基(フェニル基等)を表す。また、i、j、k、p及びqは、それぞれ独立して1〜8の整数を表す。ただし、R17が水素原子である場合、R18は水素原子以外の置換基を有する。
式(IV)で表される一価エポキシ化合物としては、例えばエポキシエタン(エチレンオキサイド)、エポキシプロパン、1,2−エポキシブタン、2,3−エポキシブタン、3−メチル−1,2−エポキシブタン、1,2−エポキシペンタン、3−メチル−1,2−エポキシペンタン、1,2−エポキシヘキサン、2,3−エポキシヘキサン、3,4−エポキシヘキサン、3−メチル−1,2−エポキシヘキサン、3−メチル−1,2−エポキシヘプタン、4−メチル−1,2−エポキシヘプタン、1,2−エポキシオクタン、2,3−エポキシオクタン、1,2−エポキシノナン、2,3−エポキシノナン、1,2−エポキシデカン、1,2−エポキシドデカン、エポキシエチルベンゼン、1−フェニル−1,2−エポキシプロパン、3−フェニル−1,2−エポキシプロパン等が挙げられる。式(V)で表される一価エポキシ化合物としては、各種アルキルグリシジルエーテル等が挙げられる。式(VI)で表される一価エポキシ化合物としては、各種アルキレングリコ−ルモノグリシジルエーテルが挙げられる。式(VII)で表される一価エポキシ化合物としては、各種アルケニルグリシジルエーテルが挙げられる。式(VIII)で表される一価エポキシ化合物としては、グリシドール等の各種エポキシアルカノールが挙げられる。式(IX)で表される一価エポキシ化合物としては、各種エポキシシクロアルカンが挙げられる。式(X)で表される一価エポキシ化合物としては、各種エポキシシクロアルケンが挙げられる。
一価エポキシ化合物の中では炭素数が2〜8のエポキシ化合物が好ましい。特に取り扱いの容易さ及び反応性の観点から、一価エポキシ化合物の炭素数は2〜6がより好ましく、2〜4がさらに好ましい。また、一価エポキシ化合物は式(IV)又は式(V)で表される化合物であることが特に好ましい。具体的には、EVOHとの反応性及び得られる成形体等の加工性、ガスバリア性等の観点からは、1,2−エポキシブタン、2,3−エポキシブタン、エポキシプロパン、エポキシエタン及びグリシド−ルが好ましく、中でもエポキシプロパン及びグリシド−ルがより好ましい。
構造単位(III)において、R、R、R10及びR11は水素原子及び炭素数1〜5の脂肪族炭化水素基であることが好ましく、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基及びn−ペンチル基がより好ましい。
EVOH(A)中に構造単位(III)を含有させる方法については、特に限定されず、例えば、特開2014−034647号公報に記載の方法が挙げられる。
EVOH(A)は、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
本発明の樹脂ペレットにおけるEVOH(A)の含有量の下限は80質量%が好ましく、90質量%がより好ましく、95質量%がさらに好ましく、97質量%、98質量%又は99質量%がよりさらに好ましい場合もある。一方、EVOH(A)の含有量の上限は例えば99.9質量%であってよい。なお、EVOH(A)の含有量とは、乾燥状態の樹脂ペレットにおける含有量(含有割合)をいう。
(アルミニウム塩(B))
本発明の樹脂ペレットは、炭素数5以下の脂肪酸のアルミニウム塩(B)をさらに含むことが好ましい。このようなアルミニウム塩(B)をさらに含むことで、結晶化度Xdに対する結晶化度Xsの比率(Xs/Xd)が0.85〜1.05である樹脂ペレットを得られやすくなり、溶融加工性をより高めること等ができる。
本発明の樹脂ペレットにおけるアルミニウム塩(B)の含有量の下限は、EVOH(A)に対してアルミニウム換算で30ppbが好ましく、50ppbがより好ましい。アルミニウム塩(B)の含有量を上記下限以上とすることで、アルミニウム塩(B)を含有させることによる溶融加工性の効果を十分に生じさせることができる。一方、アルミニウム塩(B)の含有量の上限は、EVOH(A)に対して6000ppbが好ましく、3000ppbがより好ましく、1500ppbがさらに好ましく、600ppbが特に好ましく、300ppbが最も好ましい。アルミニウム塩(B)の含有量を上記上限以下とすることで、溶融加工性がより高まり、また、スクリュへの付着が低減される傾向にある。なお、本明細書において「ppb」及び「ppm」は、質量基準の含有量の比である。
アルミニウム塩(B)としては、ギ酸アルミニウム(トリギ酸アルミニウム等)、酢酸アルミニウム、プロピオン酸アルミニウム(トリプロピオン酸アルミニウム等)、酪酸アルミニウム(三酪酸アルミニウム等)が挙げられる。これらの中でも、酢酸アルミニウム及びプロピオン酸アルミニウムの一方又は双方を用いることが好ましい。ここで、酢酸アルミニウムは、塩基性酢酸アルミニウム、トリ酢酸アルミニウム等に代表される酢酸のアルミニウム塩の構造を有するものの総称である。アルミニウム塩(B)は、1種又は2種以上を用いることができる。
(不飽和カルボン酸(C))
本発明の樹脂ペレットは、不飽和カルボン酸(C)をさらに含むことが好ましい。不飽和カルボン酸(C)をさらに含むことで、結晶化度Xdに対する結晶化度Xsの比率(Xs/Xd)が0.85〜1.05である樹脂ペレットを得られやすくなり、溶融加工性をより高めること等ができる。
本発明の樹脂ペレットにおける不飽和カルボン酸(C)の含有量の下限は、EVOH(A)に対して1ppmが好ましく、10ppmが好ましく、20ppmがより好ましい。一方、不飽和カルボン酸(C)の含有量の上限は、EVOH(A)に対して200ppmが好ましく、150ppmがより好ましい。不飽和カルボン酸(C)の含有量を上記範囲とすることで溶融加工性をより高めることができる。
不飽和カルボン酸(C)としては、不飽和モノカルボン酸が好ましい。不飽和カルボン酸(C)の炭素数の下限としては、4が好ましく、6がより好ましい。一方、この炭素数の上限としては、16が好ましく、10がより好ましい。また、不飽和カルボン酸(C)の分子量の上限としては、1000が好ましく、500がより好ましく、200がさらに好ましい。この分子量の下限としては例えば80が好ましく、100がより好ましい。このような不飽和カルボン酸(C)を用いることで、溶融加工性をより高めること等ができる。
不飽和カルボン酸(C)としては、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、イソクロトン酸、プロピン酸、2−ペンテン酸、4−ペンテン酸、ソルビン酸、2−ヘプテン酸、2−オクテン酸、桂皮酸(トランス−桂皮酸、シス−桂皮酸)、ミリストレイン酸、パルミトレイン酸、オレイン酸、エライジン酸、バクセン酸、ガドレイン酸、エルカ酸、ネルボン酸、リノール酸、リノレン酸、エレオステアリン酸、ステアリドン酸、アラキドン酸、エイコサペンタエン酸、イワシ酸、ドコサヘキサエン酸、ソルビン酸等の不飽和モノカルボン酸;マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸、アコニット酸、メサコン酸等の不飽和ジカルボン酸等を挙げることができる。不飽和カルボン酸(C)は、1種又は2種以上を用いることができる。
不飽和カルボン酸(C)は、塩の状態で存在していてもよい。不飽和カルボン酸(C)の塩としては、ナトリウム塩、マグネシウム塩、カルシウム塩等が挙げられる。なお、炭素数5以下の不飽和カルボン酸のアルミニウム塩は、炭素数5以下の脂肪酸のアルミニウム塩(B)に分類するものとする。
(その他の成分)
本発明の樹脂ペレットは、本発明の効果を損なわない範囲で、EVOH(A)以外の樹脂、アルミニウム塩(B)以外の金属塩、不飽和カルボン酸(C)以外の酸、ホウ素化合物、酸化防止剤、可塑剤、フィラー、ブロッキング防止剤、滑剤、安定剤、界面活性剤、色剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、乾燥剤、架橋剤、補強材等、他の成分を含んでいてもよい。
アルミニウム塩(B)以外の金属塩としては、層間接着性等を高める観点からはアルカリ金属塩(ナトリウム塩、カリウム塩等)が好ましく、熱安定性の観点からはアルカリ土類金属塩(マグネシウム塩、カルシウム塩等)が好ましい。本発明の樹脂ペレットがアルミニウム塩(B)以外の金属塩を含む場合、その含有量はEVOH(A)に対し金属塩の金属原子換算で1ppm以上が好ましく、10ppm以上がより好ましく、100ppm以上がさらに好ましい。またアルミニウム塩(B)以外の金属塩の含有量は、EVOH(A)に対し金属塩の金属原子換算で10000ppm以下が好ましく、1000ppm以下がより好ましく、500ppm以下がさらに好ましい。アルミニウム塩(B)以外の金属塩の含有量が上記範囲にあると、例えば層間接着性を良好に保ちつつ熱安定性が良好となる傾向にある。
不飽和カルボン酸(C)以外の酸としては、飽和カルボン酸又はリン酸が溶融成形時の熱安定性を高める観点から好ましい。本発明の樹脂ペレットが飽和カルボン酸を含む場合、飽和カルボン酸の含有量はEVOH(A)に対し1ppm以上が好ましく、10ppm以上がより好ましく、50ppm以上がさらに好ましい。また、飽和カルボン酸の含有量は10000ppm以下が好ましく、1000ppm以下がより好ましく、500ppm以下がさらに好ましい。本発明の樹脂ペレットがリン酸を含む場合、リン酸の含有量はEVOH(A)に対し1ppm以上が好ましく、5ppm以上がより好ましい。一方、リン酸の含有量は10000ppm以下が好ましく、1000ppm以下がより好ましく、100ppm以下がさらに好ましい。本発明の樹脂ペレットが飽和カルボン酸又はリン酸を上記範囲内で含むと、溶融加工性がより良好になる傾向にある。
本発明の樹脂ペレットがホウ素化合物を含む場合、その含有量はEVOH(A)に対し1ppm以上が好ましく、10ppm以上がより好ましく、50ppm以上がさらに好ましい。また、ホウ素化合物の含有量は2000ppm以下が好ましく、1000ppm以下がより好ましく、500ppm以下がさらに好ましい。ホウ素化合物の含有量が上記範囲内であると、溶融加工性がより良好になる傾向にある。
これらの各成分を本発明の樹脂ペレットに含有させる方法は特に限定されず、従来公知の方法により行うことができる。
本発明の樹脂ペレットにおけるEVOH(A)、アルミニウム塩(B)、不飽和カルボン酸(C)、アルミニウム塩(B)以外の金属塩、不飽和カルボン酸(C)以外の酸、及びホウ素化合物以外の成分の含有量の上限は、例えば10質量%が好ましく、1質量%、0.1質量%、0.01質量%又は0.001質量%であってもよい。
(樹脂ペレットの製造方法)
本発明の樹脂ペレットの製造方法としては、例えば、EVOH(A)の均一溶液(水/アルコール溶液等)を凝固液中にストランド状に押し出し、得られたストランドを切断して含水ペレットとし、必要に応じて、所定の成分を溶解させた水溶液に含水ペレットを浸漬させ、その後、この含水ペレットを乾燥処理する方法が挙げられる。この方法において、(i)凝固液の温度を比較的低温(例えば0℃以上10℃以下)にしておくこと、(ii)含水ペレットを浸漬させる水溶液にアルミニウム塩(B)及び不飽和カルボン酸(C)の少なくとも一方、好ましくは双方を含有させておくこと、並びに(iii)乾燥処理を比較的緩やかな条件(例えば80℃で3時間及び105℃で16時間程度)で行うことが好ましい。このようにすることで、表面領域のEVOHの結晶化度とその内側のEVOHの結晶化度とが近くなり、結晶化度比率(Xs/Xd)が所定範囲の本発明の樹脂ペレットを効率的に得ることができる。なお、本発明の樹脂ペレットは、上記方法によって製造されたものに限定されるものではない。
<成形体の製造方法>
本発明の成形体の製造方法は、本発明の樹脂ペレットを溶融成形する工程を備える。本発明の成形体の製造方法は、原料として本発明の樹脂ペレットを用いること以外は、従来のEVOHのペレットを用いて溶融成形する方法と同様である。本発明の製造方法により、フィルム、シート、チューブ、袋、容器等の成形体を得ることができる。なお、得られる成形体は、本発明の樹脂ペレットのみから形成されていてもよく、他の材料から形成された部分を有していてもよい。例えば、本発明の樹脂ペレットから形成される層と、他の樹脂層とを有する多層構造体も、成形体の一形態である。
本発明の樹脂ペレットを溶融成形する方法としては、例えば押出成形、キャスト成形、インフレーション押出成形、ブロー成形、溶融紡糸、射出成形、射出ブロー成形等が挙げられる。これらの中でも、ブレークアップが生じ難いという効果等から、スクリュ可塑化機構を備えた押出機を用いた溶融成形に本発明の製造方法を適用することが好ましい。
溶融成形温度はEVOH(A)の融点等により異なるが、150〜270℃程度が好ましい。これらの成形体は再使用の目的で粉砕し再度成形することも可能である。また、フィルム、シート等を一軸又は二軸延伸することも可能である。
以下、本発明を実施例等で具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されない。なお、測定、算出及び評価の方法はそれぞれ後述の方法に従った。
<実施例1〜6、比較例2、3>
(1)EVOH(A)の合成
ジャケット、攪拌機、窒素導入口、エチレン導入口及び開始剤添加口を備えた250L加圧反応槽に、酢酸ビニルを110kg、メタノール27.5kgを仕込み、60℃に昇温した後、30分間窒素バブリングして反応槽内を窒素置換した。次いで反応槽圧力(エチレン圧力)が3.7MPaとなるようにエチレンを導入した。反応槽内の温度を60℃に調整した後、開始剤として38.5gの2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)(和光純薬工業株式会社製「V−65」)をメタノール溶液として添加し、重合を開始した。重合中はエチレン圧力を3.7〜3.8MPaに、重合温度を60℃に維持した。4時間後に酢酸ビニルの重合率が44%となったところで冷却して重合禁止剤としてのソルビン酸を80g添加し重合を停止した。反応槽を開放して脱エチレンした後、窒素ガスをバブリングして脱エチレンを完全に行った。次いで減圧下で未反応の酢酸ビニルを除去した後、メタノールを添加してエチレン−酢酸ビニル共重合体の20質量%メタノール溶液を得た。
次に、ジャケット、攪拌機、窒素導入口、還流冷却器及び溶液添加口を備えた500L反応槽に上記で得たエチレン−酢酸ビニル共重合体の20質量%メタノール溶液を全量仕込んだ。この溶液に窒素を吹き込みながら60℃に昇温し、水酸化ナトリウムの濃度が2規定のメタノール溶液を50L添加した。水酸化ナトリウムの添加終了後、系内温度を60℃に保ちながら2時間攪拌してケン化反応を進行させた。その後酢酸25kgを添加してケン化反応を停止した。その後、80℃で加熱攪拌しながら、イオン交換水を添加し、反応槽外にメタノールを留出させ、EVOH樹脂を析出させた。デカンテーションにより析出したEVOHを収集し、ミキサーで粉砕した。得られたEVOH粉末を1g/Lの酢酸水溶液(浴比20:粉末1kgに対して水溶液20Lの割合)に投入して2時間攪拌洗浄した。これを脱液し、さらに1g/Lの酢酸水溶液(浴比20)に投入して2時間攪拌洗浄した。これを脱液したものを、イオン交換水(浴比20)に投入して攪拌洗浄を2時間行い脱液する操作を3回繰り返して精製を行った。次いで、酢酸0.5g/L及び酢酸ナトリウム0.1g/Lを含有する水溶液10Lに4時間攪拌浸漬してから脱液した。これを60℃で16時間乾燥させることでEVOHの粗乾燥物を28kg得た。
(2)EVOH含水ペレットの製造
ジャケット、攪拌機及び還流冷却器を備えた80L攪拌槽に、EVOHの粗乾燥物28kg、質量比で水/メタノール=35/65の溶液28kgを仕込み、70℃に昇温してEVOHの粗乾燥物を溶解させた。この溶解液を直径4mmのガラス管を通して、5℃に冷却した水/メタノール=90/10(質量比)の混合液中に押し出してストランド状に析出させ、このストランドをストランドカッターでペレット状にカットすることでEVOHの含水ペレットを得た。得られたEVOHの含水ペレットの含水率をメトラー社製ハロゲン水分計「HR73」を用い、乾燥温度180℃、乾燥時間20分、サンプル量10gの条件で測定したところ、EVOH樹脂の乾燥質量基準で51質量%であった。
(3)樹脂ペレットの製造
上記(2)で得たEVOHの含水ペレットを1g/Lの酢酸水溶液(浴比20)に投入して2時間攪拌洗浄した。これを脱液し、さらに1g/Lの酢酸水溶液(浴比20)に投入して2時間攪拌洗浄した。脱液後、酢酸水溶液を更新し同様の操作を行った。酢酸水溶液で洗浄してから脱液したものを、イオン交換水(浴比20)に投入して攪拌洗浄を2時間行い脱液する操作を3回繰り返して精製することで、ケン化反応時の触媒残渣が除去された、含水率50質量%のEVOHの含水ペレットを得た。当該含水ペレットをソルビン酸、酢酸アルミニウム、酢酸ナトリウム、酢酸及びリン酸を含む水溶液に投入し、定期的に攪拌しながら4時間浸漬し、脱液した。なお、表1に記載の通りのソルビン酸含有量とアルミニウム含有量になるように、各成分の水溶液濃度を調整した。その後、80℃で3時間、及び105℃で16時間乾燥させることで、ソルビン酸、酢酸アルミニウム、酢酸、ナトリウム塩及びリン酸化合物を含有したEVOH樹脂ペレットを得た。
(4)樹脂ペレット中のEVOHのエチレン含有量とケン化度
上記(3)で得られた樹脂ペレットのNMR測定を行ったところ、樹脂組成物中のEVOHのエチレン含量は32モル%、ケン化度は99%以上であった。なお、測定に際しては内部標準物質としてテトラメチルシラン、添加剤としてテトラフルオロ酢酸(TFA)を含むジメチルスルホキシド(DMSO)−d6に溶解し、500MHzの1H−NMR(日本電子株式会社製:「GX−500」)を用いて80℃で測定した。
(5)樹脂ペレットの融点
上記(3)で得られた樹脂ペレットについて、JIS−K7121に準じて、示差走査熱量計(DSC)(セイコー電子工業株式会社製「RDC220/SSC5200H」)を用いて、30℃から215℃まで10℃/分の速度にて昇温した後100℃/分で−35℃まで急冷して再度−35℃から195℃まで10℃/分の昇温速度にて測定を実施した。2nd runのチャートから得られる融解ピーク温度(Tpm)をEVOHの融点として求めたところ、いずれの実施例及び比較例でも融点は183℃であった。
(6)ソルビン酸の含有量
乾燥樹脂ペレットを凍結粉砕後、呼び寸法0.150mm(100メッシュ)のふるい(JIS規格Z8801−1〜3準拠)によって粗大粒子を除去して得た粉砕物22gをソックスレー抽出器に充填し、クロロホルム100mLを用いて16時間抽出処理した。得られたクロロホルム抽出液中のソルビン酸の量を高速液体クロマトグラフィーにて定量分析して、樹脂組成物中のソルビン酸の量を定量した。なお、定量に際しては、ソルビン酸の標品を用いて作成した検量線を使用した。
(7)樹脂組成物中のナトリウム塩含有量とリン酸化合物含有量
上記(3)で得られた樹脂ペレット0.5gをテフロン(登録商標)製圧力容器に入れ、ここに濃硝酸5mLを加えて室温で30分間分解させた。30分後蓋をし、湿式分解装置(株式会社アクタック製:「MWS−2」)により150℃で10分間、次いで180℃で5分間加熱することで分解を行い、その後室温まで冷却した。この処理液を50mLのメスフラスコ(TPX製)に移し純水でメスアップした。この溶液について、ICP発光分光分析装置(パーキンエルマー社製「OPTIMA4300DV」)により含有金属の分析を行い、ナトリウム元素及びリン元素の含有量を求めた。いずれの実施例及び比較例でもナトリウム塩含有量は、ナトリウム元素換算値で100〜200ppmであり、リン酸化合物含有量は、リン酸根換算値で10ppm以下であった。
(8)アルミニウム含有量
乾燥樹脂ペレット15gを白金るつぼに量り取り、硝酸と硫酸とを用いて乾式分解を行った。灰化した試料に塩酸約2mLを加え、50mL容ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)製メスフラスコに定容し、孔径0.45μmのPTFEフィルターでろ過して試料溶液を調製した。該溶液を用いて、高周波プラズマ発光分析(ジャーレルアッシュ製ICP発光分析装置「IRIS AP」)により樹脂組成物中のアルミニウム含有量(ppb)を測定した。
(9)結晶化度及び結晶化度比率
上記(3)で得られた樹脂ペレットについて、下記条件で広角X線回折測定を行った。
実験場所:大型放射光施設・SPring−8 BL03XU
X線条件:1μmに集光したX線
X線波長:0.1305nm
カメラ距離:約80mm
露光時間:1秒(照射ダメージがない条件)
検出器:2次元平面検出器
樹脂ペレットを専用の試料ホルダ(ヘリウム雰囲気)に取り付け、X線の照射位置(測定位置)が樹脂ペレットの表面から内部(中心部)にかけて走査するように試料ホルダを2μmずつ動かしながら、各位置にてWAXDデータを取得した。すなわち、図1において、樹脂ペレット10に対してx方向にX線を照射し、y方向に樹脂ペレット10が移動するよう試料ホルダを2μmずつ動かし、2μm毎の各位置で測定を行った。照射の際のX線径は約1μmであった。なお本測定において、例えば120μm位置の測定データとは、樹脂ペレットのある表面の法線方向において、表面から120μmの位置を法線に垂直方向に横切る線を通過したX線からの情報に基づいている。すなわち、厳密に表面から120μm位置だけを反映した情報ではなく、およそ表面から120μmの位置すべてを反映したデータである。こうして得られた各位置におけるWAXDデータ(2次元写真)を強度−回折角2θのプロファイルへと変換(円環平均)した。各プロファイルには、検出器の暗電流補正、及び試料の吸収を考慮したバックグランド散乱補正を行った。さらに補正したプロファイルは、回折角2θが9度と30度の強度がゼロになるようにベースライン(一次関数)を差し引いた(図2参照)。これらの処理を施したプロファイルに対して波形分離解析を適用してみかけの結晶化度を算出した。すなわちEVOHの結晶からの回折成分と非晶からの回折成分に、最小二乗フィッティングをもって分離した。なおEVOHの結晶からの回折成分は、EVOHの結晶構造にしたがって回折ピーク位置等を決めて解析した。みかけの結晶化度は、結晶成分と非晶成分の和に対する結晶成分の割合として計算した(図3参照)。樹脂ペレットの表面からの距離が20〜120μmの領域におけるEVOHの結晶化度Xd(20〜120μmの範囲での2μm毎の各位置における測定値の平均値)、及び樹脂ペレットの表面からの距離が0〜20μmの領域におけるEVOHの結晶化度Xs(0〜20μmの範囲での2μm毎の各位置における測定値の平均値)をそれぞれ求め、これらの結晶化度の比率(Xs/Xd)を求めた。
(10)溶融加工性評価
上記(3)で得られた樹脂ペレットについて、下記装置を用いて押出加工試験を行い、溶融加工性を評価した。
加工機:株式会社プラスチック工学研究所製可視化押出機
口径:40mm
L/D:26
温度プロファイル:供給部/圧縮部/計量部=180/205/220℃
スクリュ:単軸フルフライト(溝深さ:6.1mm/1.8mm、圧縮比:3.0)
回転数:60rpm
(吐出速度)
1分間継続して押出機から吐出されるチップをサンプリングし、吐出速度を求めた。
(圧縮部と出口の圧力差)
押出機に装着した樹脂圧計を用いて押出加工中の圧縮部と出口の樹脂圧力を測定し、圧縮部と出口の樹脂圧力の差を算出した。
(ブレークアップの有無)
可視化窓を通して、圧縮部の状態を一分間目視で観察し続け、以下の基準で評価した。
A:ソリッドベッドとメルトプールとが完全に分離した状態を継続していた。
B:ソリッドベッドが分裂し、メルトプール部分に浮遊する状態を5回以上確認した。
(スクリュ付着物量)
押出加工試験後に、パージング樹脂としてポリエチレン樹脂を押出機中に通過させた。スクリュを抜き出し、残留するパージング樹脂を除去した。パージング樹脂を除去した後に残留するスクリュ付着物を回収して質量を測定した。
<実施例7〜9>
上記(1)において、重合禁止剤をソルビン酸からトランス−桂皮酸に変更し、添加量を100gに変更したこと、上記(2)において溶解液の押出温度を表1に示す通りとしたこと、及び上記(3)においてソルビン酸の代わりにトランス−桂皮酸を含む水溶液に浸漬した以外は実施例1と同様にして樹脂ペレットを得た。なお、表1に記載の通りの桂皮酸含有量とアルミニウム含有量になるように、各成分の水溶液濃度を調整した。
(11)トランス−桂皮酸の含有量
乾燥樹脂ペレットを凍結粉砕後、呼び寸法0.150mm(100メッシュ)のふるい(JIS規格Z8801−1〜3準拠)によって粗大粒子を除去して得た粉砕物22gをソックスレー抽出器に充填し、アセトン100mLを用いて16時間抽出処理した。得られたアセトン抽出液中のトランス−桂皮酸の量を高速液体クロマトグラフィーにて定量分析して、樹脂組成物中のトランス−桂皮酸の量を定量した。なお、定量に際しては、トランス−桂皮酸の標品を用いて作成した検量線を使用した。
<比較例1>
上記(3)において、乾燥条件を80℃で3時間及び105℃で16時間から、80℃で3時間の乾燥を一度だけ行うことに変更し、含水率28質量%の状態でEVOHの含水ペレットを取り出した以外は実施例1と同様にして樹脂ペレットを得た。得られた樹脂ペレットを二軸押出機に投入し、下記の条件で水分をベントから留去することで再度造粒した。得られた造粒物の含水率を上述のEVOH含水ペレットと同様の方法で測定したところ、17質量%であった。その後、造粒物を105℃で16時間乾燥させることで、ソルビン酸、酢酸アルミニウム、酢酸、ナトリウム塩及びリン酸化合物を含有した樹脂ペレットを得た。
押出機:株式会社日本製鋼所製TEX44
L/D:45.5
口径:30mmφ
スクリュ:同方向完全噛合型
回転数:300rpm
ダイホール:3mmφ、5穴
樹脂温度:120℃
Figure 2021021037
実施例1〜9の樹脂ペレットは、結晶化度比率(Xs/Xd)が1に近いことから、吐出速度が13kg/hr以上と速く、かつ圧縮部と出口の圧力差も9MPa以上と大きかった。さらに、ソリッドベッドとメルトプールが完全に分割しており、ブレークアップが生じ難く、安定した溶融加工が可能となった。
一方、比較例1〜3の樹脂ペレットは、結晶化度比率(Xs/Xd)が1.05を上回っており、吐出速度は遅く、かつ圧縮部と出口の圧力差は小さかった。また、溶融挙動が不安定であり、ソリッドベッドが分裂した状態でメルトプール部分に浮遊するブレークアップ現象が観測された。
さらに、結晶化度比率(Xs/Xd)は炭素数5以下の脂肪酸のアルミニウム塩(B)及び不飽和カルボン酸(C)の含有量等により調整できることがわかる。また、炭素数5以下の脂肪酸アルミニウム塩(B)の量を調整することで、スクリュ付着量を低減することもできる。また、造粒方法(押出条件)によっても、結晶化度比率(Xs/Xd)は調整できることがわかる。120℃で高温造粒処理することで樹脂ペレットを得た比較例1は、実施例4と同じ組成でありながら、結晶化度比率(Xs/Xd)は高かった。
本発明の樹脂ペレットは、溶融成形材料として有用である。
10 樹脂ペレット

Claims (6)

  1. エチレン−ビニルアルコール共重合体(A)を含む樹脂ペレットであって、
    表面からの距離が20〜120μmの領域におけるエチレン−ビニルアルコール共重合体(A)の結晶化度Xdに対する、表面からの距離が0〜20μmの領域におけるエチレン−ビニルアルコール共重合体(A)の結晶化度Xsの比率(Xs/Xd)が、0.85〜1.05である樹脂ペレット。
  2. 炭素数5以下の脂肪酸のアルミニウム塩(B)をさらに含み、
    エチレン−ビニルアルコール共重合体(A)に対する炭素数5以下の脂肪酸のアルミニウム塩(B)の含有量がアルミニウム換算で30〜6000ppbである請求項1に記載の樹脂ペレット。
  3. 炭素数5以下の脂肪酸のアルミニウム塩(B)が酢酸アルミニウム及びプロピオン酸アルミニウムの一方又は双方である請求項2に記載の樹脂ペレット。
  4. 不飽和カルボン酸(C)をさらに含み、
    エチレン−ビニルアルコール共重合体(A)に対する不飽和カルボン酸(C)の含有量が1〜200ppmである請求項1〜3のいずれかに記載の樹脂ペレット。
  5. 不飽和カルボン酸(C)の分子量が1000以下である請求項4に記載の樹脂ペレット。
  6. 請求項1〜5のいずれかに記載の樹脂ペレットを溶融成形する工程
    を備える成形体の製造方法。
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