図面を参照しながら、本実施形態に係るデジタル放送システムについて説明する。図面の記載において、同一又は類似の部分には同一又は類似の符号を付している。本実施形態に係るデジタル放送システムは、次世代の地上デジタル放送伝送方式に対応した放送システム(地上デジタルテレビジョン放送システム)である。
(セグメント構造)
まず、本実施形態に係るデジタル放送システムにおけるセグメント構造の一例について説明する。図1は、本実施形態に係るデジタル放送システムにおけるセグメント構造をISDB−Tのセグメント構造と比較して示す図である。
図1(a)に、ISDB−Tのセグメント構造を示し、図1(b)に、次世代の地上デジタル放送伝送方式の互換モードのセグメント構造を示し、図1(c)に、次世代の地上デジタル放送伝送方式の拡張モードのセグメント構造を示す。
図1(a)に示すISDB−Tでは、1つの放送チャンネルは、13セグメントによって構成されており、5.57MHzの帯域幅を有している。ISDB−Tの1つの放送チャンネル内において、中央の1セグメントが部分受信帯域αであり、このような部分受信帯域の両側に配置された12セグメントが非部分受信帯域βである。
図1(b)に示すように、次世代の地上デジタル放送伝送方式の互換モードでは、1つの放送チャンネルは、33セグメント(seg)及び調整帯域(0.07MHz)によって構成されており、ISDB−Tの1つの放送チャンネルと同じ5.57MHzの帯域幅を有している。互換モードのセグメント構造では、1つの放送チャンネル内において、中央の9セグメントが部分受信帯域αであり、このような部分受信帯域αの両外側に配置された24セグメントが非部分受信帯域βであり、このような非部分受信帯域βの両外側に配置されるのが調整帯域γである。
図1(c)に示すように、次世代の地上デジタル放送伝送方式のノーマルモードでは、1つの放送チャンネルは、35セグメントによって構成されており、5.83MHzの帯域幅を有している。拡張モードのセグメント構造では、1つの放送チャンネル内において、中央の9セグメントが部分受信帯域αであり、このような部分受信帯域αの両外側に配置された26セグメントが非部分受信帯域βである。
(送信装置)
次に、本実施形態に係るデジタル放送システムにおける送信装置の構成について説明する。図2は、本実施形態に係るデジタル放送システムにおける送信装置100の構成を示す図である。
図2に示すように、送信装置100は、水平偏波及び垂直偏波の2つの系(以下、「1系」及び「2系」と呼ぶ)を同時に用いる偏波MIMO方式により異なるデータ系列を送信する。但し、2つの系のMIMO伝送に限定されるものではなく、3つ以上の系のMIMO伝送方式を適用してもよい。
また、送信装置100は、2つの系のそれぞれにおいて3階層までの階層伝送を行う。具体的には、本実施形態に係る送信装置100は、A階層データ、B階層データ、及びC階層データを送信することができる。例えば、A階層データは、移動受信向けの放送用データであり、B階層データ及びC階層データは、固定受信向けの放送用データである。
送信装置100は、BICM部101と、マッピング部102と、系統分離部103と、1系送信部110と、2系送信部130とを有する。
BICM部101は、送信データに対してBICM(Bit−Interleaved Coded Modulation)により誤り訂正符号化を行うとともにビットインタリーブを行い、誤り訂正符号化及びビットインタリーブ後の送信データをマッピング部102に出力する。
マッピング部102は、BICM部101から出力される送信データを変調シンボルにマッピングし、変調シンボルにマッピングした送信データを系統分離部103に出力する。
系統分離部103は、マッピング部102から出力される送信データを1系及び2系に分離し、1系のデータ系列を1系送信部110に出力するとともに、2系のデータ系列を2系送信部130に出力する。図3は、系統分離部103の構成例を示す図である。図3に示すように、系統分離部103は、マッピング部102から出力される送信データを1シンボルずつ1系と2系とに切り替えるスイッチ部SWを有する。
1系送信部110及び2系送信部130は、MIMO伝送方式を用いて2系統のデータ系列を送信する2系統の送信部に相当する。本実施形態において、1系送信部110は水平偏波及び垂直偏波のうち一方の系に対応し、2系送信部130は水平偏波及び垂直偏波のうち他方の系に対応する。
1系送信部110は、階層分離部111と、階層別の時間インターリーブ部112(112a、112b、112c)と、階層別のセグメント間インターリーブ部113(113a、113b、113c)と、部分受信帯域分割部114と、帯域別の階層間インターリーブ部115(115a、115b)と、帯域別のセグメント内インターリーブ部116(116a、116b)と、帯域合成部117と、フレーム化部118と、IFFT部119と、GI付与部120とを有する。
階層分離部111は、系統分離部103から出力される1系データ系列をA階層データ、B階層データ、及びC階層データに分離し、A階層データを時間インターリーブ部112aに出力し、B階層データを時間インターリーブ部112bに出力し、C階層データを時間インターリーブ部112cに出力する。
階層別の時間インターリーブ部112(112a、112b、112c)は、階層分離部111から出力されるA階層データ、B階層データ、及びC階層データのそれぞれに対して時間インターリーブを行い、時間インターリーブ後の各階層データを階層別のセグメント間インターリーブ部113(113a、113b、113c)に出力する。
階層別のセグメント間インターリーブ部113(113a、113b、113c)は、階層別の時間インターリーブ部112(112a、112b、112c)から出力されるA階層データ、B階層データ、及びC階層データのそれぞれに対してセグメント間インターリーブ(キャリア単位インターリーブ)を行い、セグメント間インターリーブ後の各階層データを部分受信帯域分割部114に出力する。具体的には、階層別のセグメント間インターリーブ部113(113a、113b、113c)は、対応する階層の全てのセグメントにわたってキャリア単位で周波数インターリーブを行う。
図4は、このようなセグメント間インターリーブの一例を示す図である。図4(a)に、周波数インターリーブ前のキャリアSi(i=0〜nz−1)の配列を示し、図4(b)に、周波数インターリーブ後のキャリアSi(i=0〜nz−1)の配列を示す。ここで、nは、各階層データのセグメント数を示し、zは、1セグメント当たりのキャリア数を示す。なお、zは、SP間隔に基づいて決定される。例えば、FFTサイズが8kポイントである場合、zは、174、192、201のいずれかであり、FFTサイズが16kポイントである場合、zは、276、348、384、402、411のいずれかであり、FFTサイズが32kポイントである場合、zは、552、696、768、804、822、836、838、839のいずれかである。例えば、A階層のセグメント数nが7、zが174である場合、セグメント間インターリーブ部113aは、A階層を構成する全てのセグメント0〜n−1にわたってキャリア単位で周波数インターリーブを行う。すなわち、セグメント間インターリーブ部113aは、A階層データがマッピングされているキャリアS0〜S1217を、図4(a)に示す配列から図4(b)に示す配列に変更する。
部分受信帯域分割部114は、階層別のセグメント間インターリーブ部113(113a、113b、113c)から出力されるA階層データ、B階層データ、及びC階層データを、部分受信帯域と非部分受信帯域とに分割し、部分受信帯域のデータを階層間インターリーブ部115aに出力するとともに、非部分受信帯域のデータを階層間インターリーブ部115bに出力する。
例えば、部分受信帯域分割部114は、9セグメントからなる部分受信帯域αにA階層データを割り当てた後に空きがある場合にB階層データを割り当てることによって部分受信帯域データを生成し、非部分受信帯域βにB階層データの残り及びC階層データを割り当てることによって非部分受信帯域データを生成する。A階層データが9未満のセグメントからなる場合、部分受信帯域分割部114は、B階層データのうちセグメント番号の低い方から順番に部分受信帯域αに割り当てていき、A階層データ及びB階層データを合わせて9セグメントからなる部分受信帯域データを生成する。一方、A階層データが9セグメントからなる場合、部分受信帯域分割部114は、A階層データのみを部分受信帯域データとし、B階層データ及びC階層データを非部分受信帯域データとする。
帯域別の階層間インターリーブ部115(115a、115b)は、部分受信帯域分割部114から出力される部分受信帯域データ及び非部分受信帯域データのそれぞれに対して周波数インターリーブを行い、周波数インターリーブ後の部分受信帯域データをセグメント内インターリーブ部116aに出力するとともに、周波数インターリーブ後の非部分受信帯域データをセグメント内インターリーブ部116bに出力する。
本実施形態において、階層間インターリーブ部115aは、周波数インターリーブとしてセグメント単位インターリーブを行う。図5は、このようなセグメント単位インターリーブの基本的な動作を示す図である。図5(a)に示すように、部分受信帯域αは、セグメント番号No.0からNo.8までの9セグメントからなる。階層間インターリーブ部115aは、インターリーブ前のセグメント番号に対するインターリーブ後のセグメント番号の対応関係を規定するインターリーブテーブルに従って、部分受信帯域データ(部分受信帯域α)を構成するセグメントの配列を、例えば図5(a)に示す配列から図5(b)に示す配列に変更する。
本実施形態において、階層間インターリーブ部115aは、部分受信帯域データにおけるSPパターンにかかわらず、部分受信帯域データをセグメント単位でインターリーブしてもよい。これにより、セグメント間インターリーブ及びセグメント単位インターリーブをSPパターンに応じて使い分ける場合に比べて処理を簡略化できる。
階層間インターリーブ部115aは、セグメント単位インターリーブを行うとき、インターリーブ前のセグメント番号に対するインターリーブ後のセグメント番号の対応関係を、1又は複数のシンボルからなる切り替え周期で切り替える。以下において、切り替え周期が1シンボル分の時間長である一例について説明するが、切り替え周期が例えば2シンボル分の時間長であってもよい。
これにより、1つの階層のデータが同じセグメント番号のセグメントを使用し続けることがない。すなわち、1つの階層のデータが使用するセグメント番号が時間の経過に従って動的に切り替えられる。例えば、9セグメントの部分受信帯域内にA階層が1セグメントのみ含まれ、残りの8セグメントがB階層である場合、インターリーブによって、部分受信帯域のA階層のセグメント番号(すなわち、周波数位置)が変化していくため、9セグメント帯域に広帯域化した効果が得られる。
一方、階層間インターリーブ部115bは、周波数インターリーブとしてセグメント間インターリーブ又はセグメント単位インターリーブを行ってもよい。階層間インターリーブ部115bは、B階層及びC階層でSPパターンが同じ場合は、セグメント間インターリーブを行う。一方、B階層及びC階層でSPパターンが異なる場合は、セグメント単位インターリーブを行う。但し、非部分受信部にC階層のみが含まれる場合は、B階層及びC階層のSPパターンによらず、セグメント間インターリーブが適用される。
帯域別のセグメント内インターリーブ部116(116a、116b)は、帯域別の階層間インターリーブ部115(115a、115b)から出力される部分受信帯域データ及び非部分受信帯域データのそれぞれに対してセグメント内インターリーブを行い、セグメント内インターリーブ後の部分受信帯域データ及び非部分受信帯域データを帯域合成部117に出力する。
例えば、セグメント内インターリーブ部116aは、階層間インターリーブ部115aから出力される部分受信帯域データを構成するセグメント内でキャリアローテーション及びキャリアランダマイズを行い、キャリアローテーション及びキャリアランダマイズ後の部分受信帯域データを帯域合成部117に出力する。一方、セグメント内インターリーブ部116bは、階層間インターリーブ部115bから出力される非部分受信帯域データを構成するセグメント内でキャリアローテーション及びキャリアランダマイズを行い、キャリアローテーション及びキャリアランダマイズ後の非部分受信帯域データを帯域合成部117に出力する。
帯域合成部117は、帯域別のセグメント内インターリーブ部116(116a、116b)から出力される部分受信帯域データ及び非部分受信帯域データを合成し、合成された送信データ(1系データ系列)をフレーム化部118に出力する。
フレーム化部118は、帯域合成部117から出力される送信データからOFDMフレームを構成し、OFDMフレームをIFFT部119に出力する。
IFFT部119は、フレーム化部118から出力されるOFDMフレームに対してIFFTを行ってOFDM信号を生成し、生成したOFDM信号をGI付与部120に出力する。
GI付与部120は、IFFT部119から出力されるOFDM信号にGI(Guard Interval)を付与し、GI付与後のOFDM信号を出力する。GI付与部120から出力されるOFDM信号は、図示を省略する無線送信機により無線信号に変換され、偏波アンテナを介して送信される。
2系送信部130は、2系データ系列が入力される点で、1系データ系列が入力される1系送信部110とは異なるが、2系送信部130は1系送信部110と同様な構成を有する。
2系送信部130は、階層分離部131と、階層別の時間インターリーブ部132(132a、132b、132c)と、階層別のセグメント間インターリーブ部133(133a、133b、133c)と、部分受信帯域分割部134と、帯域別の階層間インターリーブ部135(135a、135b)と、帯域別のセグメント内インターリーブ部136(136a、136b)と、帯域合成部137と、フレーム化部138と、IFFT部139と、GI付与部140とを有する。
ここで、2系送信部130の階層分離部131、階層別の時間インターリーブ部132(132a、132b、132c)、階層別のセグメント間インターリーブ部133(133a、133b、133c)、部分受信帯域分割部134、帯域別の階層間インターリーブ部135(135a、135b)、帯域別のセグメント内インターリーブ部136(136a、136b)、帯域合成部137、フレーム化部138、IFFT部139、及びGI付与部140は、1系送信部110の階層分離部111、階層別の時間インターリーブ部112(112a、112b、112c)、階層別のセグメント間インターリーブ部113(113a、113b、113c)、部分受信帯域分割部114、帯域別の階層間インターリーブ部115(115a、115b)、帯域別のセグメント内インターリーブ部116(116a、116b)、帯域合成部117、フレーム化部118、IFFT部119、及びGI付与部120にそれぞれ対応する。
特に、2系送信部130において、部分受信帯域向けの階層間インターリーブ部135aは、周波数インターリーブとしてセグメント単位インターリーブを行う。階層間インターリーブ部135aは、セグメント単位インターリーブを行うとき、インターリーブ前のセグメント番号に対するインターリーブ後のセグメント番号の対応関係を切り替え周期で切り替える。
これにより、1つの階層のデータが同じセグメント番号のセグメントを使用し続けることがない。すなわち、1つの階層のデータが使用するセグメント番号が時間の経過に従って動的に切り替えられる。例えば、9セグメントの部分受信帯域内にA階層が1セグメントのみ含まれ、残りの8セグメントがB階層である場合、インターリーブによって、部分受信帯域のA階層のセグメント番号(すなわち、周波数位置)が変化していくため、9セグメント帯域に広帯域化した効果が得られる。
しかしながら、インターリーブ前のセグメント番号に対するインターリーブ後のセグメント番号の対応関係が1系送信部110(階層間インターリーブ部115a)及び2系送信部130(階層間インターリーブ部135a)で同じであり、且つ、1系送信部110及び2系送信部130の周波数特性の相関が大きい場合、1系送信部110及び2系送信部130において、同じ階層の同じセグメント番号のデータに伝送エラーが発生しうる。
例えば、A階層が1セグメントのみであり、1系送信部110(階層間インターリーブ部115a)及び2系送信部130(階層間インターリーブ部135a)がA階層データをインターリーブ前のセグメント番号「A」からインターリーブ後のセグメント番号「B」に並べ替えた場合、周波数選択性フェージングの影響により、1系送信部110が送信するセグメント番号「B」及び2系送信部130が送信するセグメント番号「B」の両方がエラーになりうる。その結果、A階層データについて誤り訂正で訂正不能なバースト的なエラーが生じうる。
そこで、本実施形態では、セグメント単位インターリーブを行うとき、インターリーブ前のセグメント番号に対するインターリーブ後のセグメント番号の対応関係として、1系送信部110が用いる対応関係と2系送信部130が用いる対応関係とを互いに異ならせる。
具体的には、1系送信部110(階層間インターリーブ部115a)及び2系送信部130(階層間インターリーブ部135a)のそれぞれは、セグメント単位インターリーブを行うとき、インターリーブ前のセグメント番号に対するインターリーブ後のセグメント番号の対応関係を規定するインターリーブテーブルを切り替え周期で切り替える。ここで、同一の切り替え周期内において、1系送信部110(階層間インターリーブ部115a)が用いるインターリーブテーブルと、2系送信部130(階層間インターリーブ部135a)が用いるインターリーブテーブルとが互いに異なる。
これにより、2つの系統の両方が同時に落ち込む可能性が低くなるため、MIMO伝送方式においてセグメント単位インターリーブを行うときの伝送特性を向上させることができる。例えば、1系送信部110(階層間インターリーブ部115a)がA階層データをインターリーブ前のセグメント番号「A」からインターリーブ後のセグメント番号「B」に並べ替えるとともに、2系送信部130(階層間インターリーブ部135a)がA階層データをインターリーブ前のセグメント番号「A」からインターリーブ後のセグメント番号「C」に並べ替える。これにより、セグメント番号「B」が落ち込む場合であっても、セグメント番号「C」については問題なく伝送され得るため、訂正不能なバースト的なエラーが生じる可能性を抑制できる。
図6は、本実施形態に係る1系送信部110の階層間インターリーブ部115a及び2系送信部130の階層間インターリーブ部135aの構成例1を示す図である。
図6に示すように、1系送信部110の階層間インターリーブ部115aは、1系インターリーブテーブル保持部1151aと、1系セグメント単位インターリーブ部1152aとを有する。2系送信部130の階層間インターリーブ部135aは、2系インターリーブテーブル保持部1351aと、2系セグメント単位インターリーブ部1352aとを有する。
1系インターリーブテーブル保持部1151a及び2系インターリーブテーブル保持部1351aのそれぞれは、複数のインターリーブテーブルを保持する。ここで、複数のインターリーブテーブルは、1系インターリーブテーブル保持部1151a及び2系インターリーブテーブル保持部1351aのそれぞれで個別に用意されている。
1系セグメント単位インターリーブ部1152aは、1系インターリーブテーブル保持部1151aが保持する複数のインターリーブテーブルの中から、セグメント単位インターリーブに用いるインターリーブテーブルを切り替え周期で切り替える。2系セグメント単位インターリーブ部1352aは、2系インターリーブテーブル保持部1351aが保持する複数のインターリーブテーブルの中から、セグメント単位インターリーブに用いるインターリーブテーブルを切り替え周期で切り替える。
図7は、1系インターリーブテーブル保持部1151a及び2系インターリーブテーブル保持部1351aのそれぞれが保持するインターリーブテーブルの一例を示す図である。図7において、切り替え周期が1シンボル分の時間長である一例を示している。なお、図7に示す各テーブルにおいて、インターリーブ後のシンボル番号の配列を図示しているが、インターリーブ前のシンボル番号としては図5(a)に示す配列を用いることができる。
図7(a)に、1系インターリーブテーブル保持部1151aが保持するインターリーブテーブルの一例を示す。図7(b)に、2系インターリーブテーブル保持部1351aが保持するインターリーブテーブルの一例を示す。図7(a)及び(b)に示すように、各シンボル番号に対応するインターリーブテーブルが1系用と2系用とで互いに異なっている。
このように、複数のインターリーブテーブルを1系と2系とで独立に用意し、シンボル毎に使用するテーブルを切り替えることにより、シンボル毎にインターリーブテーブルが変更されるため、1系と2系とでA階層のセグメントが常に同じセグメントナンバーになることを防止できる。
図8は、本実施形態に係る1系送信部110の階層間インターリーブ部115a及び2系送信部130の階層間インターリーブ部135aの構成例2を示す図である。
本構成例2では、1系送信部110の階層間インターリーブ部115a及び2系送信部130の階層間インターリーブ部135aのそれぞれは、基本インターリーブテーブルを切り替え周期で巡回シフトすることにより、インターリーブテーブルを切り替え周期で切り替える。ここで、1系送信部110の階層間インターリーブ部115aが基本インターリーブテーブルを巡回シフトするシフトパターンと、2系送信部130の階層間インターリーブ部135aが基本インターリーブテーブルを巡回シフトするシフトパターンとが互いに異なる。
図8に示すように、1系送信部110の階層間インターリーブ部115aは、右向き巡回シフト部1153aと、1系セグメント単位インターリーブ部1152aとを有する。2系送信部130の階層間インターリーブ部135aは、左向き巡回シフト部1353aと、2系セグメント単位インターリーブ部1352aとを有する。
右向き巡回シフト部1153aは、基本インターリーブテーブル保持部150が保持する基本インターリーブテーブルに対して切り替え周期で右向き巡回シフトを行う。一方、左向き巡回シフト部1353aは、基本インターリーブテーブル保持部150が保持する基本インターリーブテーブルに対して切り替え周期で左向き巡回シフトを行う。
図9は、基本インターリーブテーブル及び巡回シフト後のインターリーブテーブルの一例を示す図である。図9において、切り替え周期が1シンボル分の時間長である一例を示している。
図9(a)に、基本インターリーブテーブルの一例を示す。図9(b)に、右向き巡回シフト後のインターリーブテーブルの一例を示す。図9(c)に、左向き巡回シフト後のインターリーブテーブルの一例を示す。図9(b)及び(c)に示すように、巡回シフトにより、シンボル番号#1乃至#8について、各シンボル番号に対応するインターリーブテーブルが1系用と2系用とで互いに異なっている。
このように、基本テーブルをシンボル毎に巡回シフトさせることで、1系と2系とでA階層のセグメントは常に同じセグメントナンバーを使用することにはならない。
但し、図9の例では、最初のシンボル(シンボル番号#0)においてインターリーブテーブルが1系と2系とで同じものになる。このため、図10に示すように、片方の系についてオフセットのシフトを与え、常に異なるテーブルとなるような構成としてもよい。ここで、部分受信帯域をNセグメントとすると、オフセット量は、1以上N-1以下の整数である。
また、図9の例では、1系は右向きで2系は左向きの巡回シフトとしたが、これらの巡回シフトの向きは逆向きでも同様の効果が得られる。またシフト量も1ずつではなく、2や4などのシフト量を用いることも可能である。ここで、部分受信帯域をNセグメントとすると、シフト量は、1以上N-1以下の整数である。
(受信装置)
次に、本実施形態に係るデジタル放送システムにおける受信装置の構成について説明する。図11は、本実施形態に係るデジタル放送システムにおける受信装置300の構成を示す図である。
図11に示すように、受信装置300は、図2に示した送信装置100が行う処理の逆処理を行うように構成されており、1系及び2系を同時に用いる偏波MIMO方式により異なるデータ系列を受信する。但し、2つの系のMIMO伝送に限定されるものではなく、3つ以上の系のMIMO伝送方式を適用してもよい。
また、受信装置300は、2つの系のそれぞれにおいて3階層までの階層伝送を受信する。具体的には、本実施形態に係る受信装置300は、A階層データ、B階層データ、及びC階層データを受信することができる。受信装置300は、1系受信部310と、2系受信部330と、系統合成部301と、デマッピング部302と、逆BICM部303とを有する。
1系受信部310は、GI除去部311と、FFT部312と、デフレーム化部313と、帯域分離部314と、帯域別のセグメント内デインターリーブ部315(315a、315b)と、帯域別の階層間デインターリーブ部316(316a、316b)と、部分受信帯域合成部317と、階層別のセグメント間デインターリーブ部318(318a、318b、318c)と、階層別の時間デインターリーブ部319(319a、319b、319c)と、階層合成部320とを有する。
GI除去部311は、受信した1系のOFDM信号に付加されているGIを除去し、GI除去後のOFDM信号を出力する。
FFT部312は、GI除去部311から出力されるOFDM信号に対してFFTを行ってOFDMフレームを生成し、生成したOFDMフレームをデフレーム化部313に出力する。
デフレーム化部313は、FFT部312から出力されるOFDMフレームを受信データに変換し、受信データを帯域分離部314に出力する。
帯域分離部314は、デフレーム化部313から出力される受信データから、部分受信帯域データ及び非部分受信帯域データを分離して取得し、部分受信帯域データをセグメント内デインターリーブ部315aに出力するとともに、非部分受信帯域データをセグメント内デインターリーブ部315bに出力する。
帯域別のセグメント内デインターリーブ部315(315a、315b)のうち部分受信帯域向けのセグメント内デインターリーブ部315aは、部分受信帯域データを構成するセグメント内で、キャリアローテーション及びキャリアランダマイズの逆の処理を行い、このような処理が施された部分受信帯域データを階層間デインターリーブ部316aに出力する。一方、非部分受信帯域向けのセグメント内デインターリーブ部315bは、非部分受信帯域データを構成するセグメント内で、キャリアローテーション及びキャリアランダマイズの逆の処理を行い、このような処理が施された非部分受信帯域データを階層間デインターリーブ部316bに出力する。
帯域別の階層間デインターリーブ部316(316a、316b)は、帯域別のセグメント内デインターリーブ部315(315a、315b)から出力される部分受信帯域データ及び非部分受信帯域データのそれぞれに対して周波数デインターリーブを行い、周波数デインターリーブ後の部分受信帯域データ及び非部分受信帯域データを部分受信帯域合成部317に出力する。
本実施形態において、階層間デインターリーブ部316aは、周波数デインターリーブとしてセグメント単位デインターリーブを行う。階層間デインターリーブ部316aは、デインターリーブ前のセグメント番号に対するデインターリーブ後のセグメント番号の対応関係を規定するデインターリーブテーブルに従って、部分受信帯域データ(部分受信帯域α)を構成するセグメントの配列を、例えば図5(b)に示す配列から図5(a)に示す配列に変更する。階層間デインターリーブ部316aは、セグメント単位インターリーブを行うとき、デインターリーブ前のセグメント番号に対するデインターリーブ後のセグメント番号の対応関係を切り替え周期で切り替える。
一方、階層間デインターリーブ部316bは、周波数インターリーブとしてセグメント間インターリーブ又はセグメント単位インターリーブを行ってもよい。
部分受信帯域合成部317は、階層間デインターリーブ部316aから出力される部分受信帯域データ及び階層間デインターリーブ部316bから出力される非部分受信帯域データから、A階層データ、B階層データ、及びC階層データを取得し、A階層データをセグメント間デインターリーブ部318aに出力し、B階層データをセグメント間デインターリーブ部318bに出力し、C階層データをセグメント間デインターリーブ部318cに出力する。
階層別のセグメント間デインターリーブ部318(318a、318b、318c)は、A階層を構成する全てのセグメントにわたってキャリア単位で周波数デインターリーブを行ってA階層データを時間デインターリーブ部319aに出力し、B階層を構成する全てのセグメントにわたってキャリア単位で周波数デインターリーブを行ってB階層データを時間デインターリーブ部319bに出力し、C階層を構成する全てのセグメントにわたってキャリア単位で周波数デインターリーブを行ってC階層データを時間デインターリーブ部319cに出力する。
階層別の時間デインターリーブ部319(319a、319b、319c)は、A階層データ、B階層データ、及びC階層データのそれぞれに対して時間デインターリーブを行って階層合成部320に出力する。
階層合成部320は、階層別の時間デインターリーブ部319(319a、319b、319c)から出力されるA階層データ、B階層データ、及びC階層データを合成して1系データ系列を生成し、生成した1系データ系列を系統合成部301に出力する。
2系受信部330は、2系の信号を受信する点で、1系の信号を受信する1系受信部310とは異なるが、2系受信部330は1系受信部310と同様な構成を有する。
2系受信部330は、GI除去部331と、FFT部332と、デフレーム化部333と、帯域分離部334と、帯域別のセグメント内デインターリーブ部335(335a、335b)と、帯域別の階層間デインターリーブ部336(336a、336b)と、部分受信帯域合成部337と、階層別のセグメント間デインターリーブ部338(338a、338b、338c)と、階層別の時間デインターリーブ部339(339a、339b、339c)と、階層合成部340とを有する。
2系受信部330において、部分受信帯域向けの階層間デインターリーブ部336aは、周波数デインターリーブとしてセグメント単位デインターリーブを行う。階層間デインターリーブ部336aは、セグメント単位デインターリーブを行うとき、デインターリーブ前のセグメント番号に対するデインターリーブ後のセグメント番号の対応関係を切り替え周期で切り替える。
本実施形態では、セグメント単位デインターリーブを行うとき、デインターリーブ前のセグメント番号に対するデインターリーブ後のセグメント番号の対応関係として、1系送信部110が用いる対応関係と2系送信部130が用いる対応関係とを互いに異ならせる。
具体的には、1系受信部310(階層間デインターリーブ部316a)及び2系受信部330(階層間デインターリーブ部336a)のそれぞれは、セグメント単位デインターリーブを行うとき、デインターリーブ前のセグメント番号に対するデインターリーブ後のセグメント番号の対応関係を規定するデインターリーブテーブルを切り替え周期で切り替える。ここで、同一の切り替え周期内において、1系受信部310(階層間デインターリーブ部316a)が用いるデインターリーブテーブルと、2系受信部330(階層間デインターリーブ部336a)が用いるデインターリーブテーブルとが互いに異なる。
図12は、本実施形態に係る1系受信部310の階層間デインターリーブ部316a及び2系受信部330の階層間デインターリーブ部336aの構成例1を示す図である。
図12に示すように、1系受信部310の階層間デインターリーブ部316aは、1系デインターリーブテーブル保持部3161aと、1系セグメント単位デインターリーブ部3162aとを有する。2系受信部330の階層間デインターリーブ部336aは、2系デインターリーブテーブル保持部3361aと、2系セグメント単位デインターリーブ部3362aとを有する。
1系デインターリーブテーブル保持部3161a及び2系デインターリーブテーブル保持部3361aのそれぞれは、複数のデインターリーブテーブルを保持する。ここで、複数のデインターリーブテーブルは、1系デインターリーブテーブル保持部3161a及び2系デインターリーブテーブル保持部3361aのそれぞれで個別に用意されている。
1系セグメント単位デインターリーブ部3162aは、1系デインターリーブテーブル保持部3161aが保持する複数のデインターリーブテーブルの中から、セグメント単位デインターリーブに用いるデインターリーブテーブルを切り替え周期で切り替える。2系セグメント単位デインターリーブ部3362aは、2系デインターリーブテーブル保持部3361aが保持する複数のデインターリーブテーブルの中から、セグメント単位デインターリーブに用いるデインターリーブテーブルを切り替え周期で切り替える。
このように、複数のデインターリーブテーブルを1系と2系とで独立に用意し、シンボル毎に使用するテーブルを切り替えることにより、シンボル毎にデインターリーブテーブルが変更される。
図13は、本実施形態に係る1系受信部310の階層間デインターリーブ部316a及び2系受信部330の階層間デインターリーブ部336aの構成例2を示す図である。
本構成例2では、1系受信部310の階層間デインターリーブ部316a及び2系受信部330の階層間デインターリーブ部336aのそれぞれは、基本デインターリーブテーブルを切り替え周期で巡回シフトすることにより、デインターリーブテーブルを切り替え周期で切り替える。ここで、1系受信部310の階層間デインターリーブ部316aが基本デインターリーブテーブルを巡回シフトするシフトパターンと、2系受信部330の階層間デインターリーブ部336aが基本デインターリーブテーブルを巡回シフトするシフトパターンとが互いに異なる。
図13に示すように、1系受信部310の階層間デインターリーブ部316aは、左向き巡回シフト部3163aと、1系セグメント単位デインターリーブ部3162aとを有する。2系受信部330の階層間デインターリーブ部336aは、右向き巡回シフト部3363aと、2系セグメント単位デインターリーブ部3362aとを有する。
左向き巡回シフト部3163aは、基本デインターリーブテーブル保持部350が保持する基本デインターリーブテーブルに対して切り替え周期で左向き巡回シフトを行う。一方、右向き巡回シフト部3363aは、基本デインターリーブテーブル保持部350が保持する基本デインターリーブテーブルに対して切り替え周期で右向き巡回シフトを行う。
図11に戻り、系統合成部301は、1系受信部310から出力される1系の受信データと、2系受信部330から出力される2系の受信データとを合成してデマッピング部302に出力する。
デマッピング部302は、系統合成部301から出力される受信データの変調シンボルから受信データをデマッピングし、受信データを逆BICM部303に出力する。
逆BICM部303は、デマッピング部302から出力される受信データに対してBICMにより誤り訂正復号を行うとともにビットデインタリーブを行う。
(実施形態のまとめ)
本実施形態に係る送信装置100は、MIMO伝送方式を用いて2系統のデータ系列を送信する1系送信部110及び2系送信部130を有する。1系送信部110及び2系送信部130のそれぞれは、セグメント単位での周波数インターリーブを行うとき、インターリーブ前のセグメント番号に対するインターリーブ後のセグメント番号の対応関係を、1又は複数のシンボルからなる切り替え周期で切り替える。ここで、同一の切り替え周期内において、1系送信部110が用いる対応関係と2系送信部130が用いる対応関係とが互いに異なる。
本実施形態に係る受信装置300は、MIMO伝送方式を用いて2系統のデータ系列を受信する1系受信部310及び2系受信部330を有する。1系受信部310及び2系受信部330のそれぞれは、セグメント単位での周波数デインターリーブを行うとき、デインターリーブ前のセグメント番号に対するデインターリーブ後のセグメント番号の対応関係を、1又は複数のシンボルからなる切り替え周期で切り替える。ここで、同一の切り替え周期内において、1系受信部310が用いる対応関係と2系受信部330が用いる対応関係とが互いに異なる。
1系と2系とで相関の大きい周波数選択性フェージングに対して、常に同じセグメント番号で伝送される場合、1系と2系とが同時に影響を受け、系統合成後にバースト的に誤る可能性がある。本実施形態によれば、1系と2系とで異なるセグメント番号で伝送することで、同時に影響を受ける可能性を下げ、系統合成後にバースト的な誤りを抑制することができる。
次に、本実施形態の効果を誤り率特性のシミュレーションを用いて説明する。以下に示す3種類のインターリーブ手法についてA階層の誤り率特性を比較した。
1)シンボル毎にインターリーブテーブルを変更せず伝送する方法。
2)シンボル毎にインターリーブテーブルを変更して伝送する方法であって、1系と2系とで同じ向きの巡回シフトを用いる。
3)シンボル毎にインターリーブテーブルを変更して伝送する方法であって、1系と2系とで逆向きの巡回シフトを用いる。
本シミュレーションでは、二波マルチパス環境でのMIMO伝送とした。また、階層数は2であり、A階層は3セグメント、B階層は30セグメントである。A階層の変調方式は16QAM変調とした。
図14(a)に、二波の信号電力比を0dB、到来時間差を0.5μs、二波を同位相とした場合における伝送路の周波数特性を示す。図14(b)に、信号対雑音比(CNR)に対するA階層の誤り率を示す。誤り率が1.0×10-3以下で擬似エラーフリーとし、エラーフリーを達成する最小のCNRを所要CNRとする。
図14(b)に示すように、1系と2系とで同じ向きにテーブルを巡回シフトして伝送する場合、所要CNRは15.0dBであった。一方、1系と2系とで逆向きにテーブルを巡回シフトして伝送する場合、所要CNRは12.6dBであった。1系と2系とで巡回シフト方向を逆にさせた場合、2.4dB誤り率特性が改善した。
(その他の実施形態)
上述した実施形態において、送信装置100の階層間インターリーブ部115aが、部分受信帯域データにおけるSPパターンにかかわらず、部分受信帯域データをセグメント単位でインターリーブする一例について説明した。しかしながら、階層間インターリーブ部115aは、部分受信帯域データにおけるSPパターンに基づいて、部分受信帯域データをセグメント単位でインターリーブするか又は部分受信帯域データをキャリア単位でインターリーブするかを切り替えてもよい。
また、上述した実施形態において、送信装置100の部分受信帯域向けの階層間インターリーブ部115aにおいてインターリーブテーブルを1シンボルごとに切り替える一例について説明した。しかしながら、このようなインターリーブテーブルの切り替え処理は、非部分受信帯域向けの階層間インターリーブ部115bにも適用可能である。このような場合、非部分受信帯域向けの階層間インターリーブ部115bは、階層間インターリーブ部115aと同様の構成を有する。さらに、全帯域の33セグメント又は35セグメントに対しても同様の方法で行うことができる。具体的には、全帯域(部分受信帯域及び非部分受信帯域)に対してセグメント単位インターリーブを行う際にインターリーブテーブルを切り替え周期で切り替えてもよい。
また、上述した実施形態において、送信装置100がOFDMフレーム構成前の信号に対してセグメント単位でインターリーブを行うとともに、受信装置300がデフレーム後の信号に対してセグメント単位でデインターリーブを行う一例について説明した。しかしながら、送信装置100がOFDMフレーム構成後の信号に対してセグメント単位でインターリーブを行うとともに、受信装置300がデフレーム前の信号に対してセグメント単位でデインターリーブを行う構成としてもよい。
上述した実施形態において、3階層(A階層、B階層、C階層)の階層伝送を行うケースを例に挙げて説明したが、このようなケースに限定されることなく、2階層(A階層、B階層)の階層伝送を行うケースにも適用可能である。
なお、送信装置100及び受信装置300によって行われる各処理をコンピュータに実行させるプログラムが提供されてもよい。また、送信装置100及び受信装置300のそれぞれは、半導体集積回路(チップ)として構成されてもよい。