JP2021017678A - 空調衣服 - Google Patents
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Abstract
【課題】本発明は、暑熱感が抑制されるため衣服内環境を快適に保つことができ、かつ静音性に優れるため、オフィスや家庭などの着用シーンにおいても良好な着用快適性を有する空調衣服を提供する。【解決手段】本発明の空調衣服は、衣服と身体の間に外気を取り込むための1個乃至は複数個の送風ユニットが具備された衣服であって、該送風ユニットが二重反転ファンを有しており、該送風ユニットの厚みが二重反転ファンの回転軸方向の厚みで60mm以下であることを特徴とする空調衣服である。【選択図】なし
Description
本発明は、暑熱感が抑制されるため衣服内環境を快適に保つことができ、かつ静音性に優れるため、オフィスや家庭などの着用シーンにおいても良好な着用快適性を有する空調衣服に関するものである。
地球温暖化対策として、夏場にエアコンの設定温度を高くすることや冬場にエアコンの設定温度を低くすることは、二酸化炭素排出量の削減に有効な手段の一つである。しかしながら、エアコンの温度を変更した場合、オフィスや住居などの室内空間における快適性が低下し、特に夏場においては発汗によるべたつきによって不快を感じることが問題となる。そこで、ファンを用いることにより衣服内に外気を送り込み、快適性を維持するための衣服が提案されている。
例えば、ファンなどの送風手段により衣服内部に空気を導入する機能に加え、電源部と該電源部に有線または無線通信により接続された制御部を有する空調衣服が提案されている(特許文献1参照)。該技術によれば、表示部の確認や操作などの際に、逐一電源装置を取り出す必要がなく、より利便性が高い空調衣服となる。
また、軸流ファンを有する送風手段が傾斜して装着されており、該送風手段の斜め下方向から衣服内に空気が導入される冷却衣服が提案されている(特許文献2参照)。該技術によれば、未使用時と使用時で外観上変化せず、使用時に雑音が生じず、効率よく身体を冷却することができる冷却衣服となる。
さらに、第1流路に所定温度の液体が導入された体温調節服であって、液体以外に空気が流通する第2流路が形成されており、第2流路の途中にファンが取り付けられている体温調節服が提案されている(特許文献3)。該技術によれば、温度調節された液体により体温調節可能なことに加え、ファンを第2流路の途中に取り付けることで衣服内の空気を循環させ、衣服内部の熱を外部に逃がさないことにより、効率の良い体温調節が可能となる。
特許文献1で開示されている技術によると、ファンなどの送風手段により衣服内環境を快適に保つことが可能であり、かつ独立した制御部にてファンに供給する電力の強度などを変化させることにより、使用者がより快適に着用することが可能となる。しかしながら、送風手段として用いられているプロペラファンを用いた場合、ファンの回転軸部の騒音が大きいため、オフィスや家庭などの日常的な着用シーンにおける着用快適性を損なうことが課題であった。
また、特許文献2で開示されている技術によると、ファンを傾斜させて取り付けることにより、風量を少なく調節した場合であっても空気取込口が上側を向かないため外観上変化しないことに加え、モーター軸の摩擦音や近接部材との衝突音を小さくすることが可能となる。しかしながら、本提案では通常の軸流ファンが用いられており、ファンを回転させた際の騒音が大きいため、オフィスや家庭などの日常的な着用シーンにおける着用快適性を損なうことが課題であった。
さらに、特許文献3で開示されている技術によると、ファンを第2流路の途中に取り付けることで、第1流路に封入された液体による体温調節効果を高めることが可能となる。しかしながら、本提案は所定温度に調節された液体による体温調節が主な手段であるため衣服の構造が複雑になってしまうことや、ファンがフレキシブルダクトを介して接続されているため大型化し、着用快適性が損なわれることが課題であった。
本発明の課題は、上記の技術的課題を解決し、暑熱感が抑制されるため衣服内環境を快適に保つことができ、かつ静音性に優れるため、オフィスや家庭などの着用シーンにおいても良好な着用快適性を有する空調衣服を提供することにある。
公知の空調衣服は、衣服内環境を快適に保つための風量を確保するため、衣服に取り付ける軸流ファンの大きさを大きくすることや、軸流ファンの回転数を高くする手法が採用されてきた。しかしながら、前者の方法ではその大きさや重さゆえに着用時に違和感が生じること、後者の方法では回転数の増加に伴い騒音が大きくなることが着用快適性を低下させる要因であった。
上記課題を解決すべく、本発明者らが検討を進めたところ、送風ユニットに用いられるファンを、通常の軸流ファンでなく、同軸に配置された一対のファンが相互に逆方向に回転する二重反転ファンとすることで風量を維持したまま騒音を低減できることを見出した。しかしながら、パソコンのCPU冷却に用いられる一般的な二重反転ファンを用いた場合、衣服に取り付けた際に違和感が生じ、着用快適性に劣るという課題が新たに生じた。そこで、本発明者らは鋭意検討を重ねた結果、特定の厚みの二重反転ファンを用いることで、着用時の違和感を解消できることを見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明は前記の課題を解決せんとするものであり、本発明の空調衣服は、衣服と身体の間に外気を取り込むための1個乃至は複数個の送風ユニットが具備された衣服であって、該送風ユニットが二重反転ファンを有しており、該送風ユニットの厚みが二重反転ファンの回転軸方向の厚みで60mm以下である。
本発明の空調衣服の好ましい態様によれば、上記送風ユニット中の二重反転ファンの回転軸と、取り付け部の衣服生地とがなす角度が、45〜90°である。
本発明の空調衣服の好ましい態様によれば、上記送風ユニット中の二重反転ファンにおいて、衣服外側に位置する吸気ファンの羽根枚数と、衣服内側に位置する送風ファンの羽根枚数が、異なる枚数である。
本発明の空調衣服の好ましい態様によれば、上記送風ユニット中の二重反転ファンにおいて、衣服外側に位置する吸気ファンの羽根枚数が、衣服内側に位置する送風ファンの羽根枚数よりも多い。
本発明の空調衣服の好ましい態様によれば、上記送風ユニット中の二重反転ファンにおいて、衣服外側に位置する吸気ファンの羽根枚数および衣服内側に位置する送風ファンの羽根枚数が、いずれも5枚以上である。
本発明によれば、暑熱感が抑制されるため衣服内環境を快適に保つことができ、かつ静音性に優れるため、良好な着用快適性を有する空調衣服となる。本発明の空調衣服は、作業現場に限らずオフィスや家庭などの着用シーンにおいても好適に用いることができる。
本発明の空調衣服は、衣服と身体の間に外気を取り込むための1個乃至は複数個の送風ユニットが具備された衣服であって、該送風ユニットが二重反転ファンを有しており、該送風ユニットの厚みが二重反転ファンの回転軸方向の厚みで60mm以下である。以下に、本発明の詳細について説明する。
本発明の空調衣服は、衣服と身体の間に外気を取り込むための送風ユニットが具備されていることが重要である。該送風ユニットによって衣服と身体の間に外気を取り込むことにより、衣服内に滞った空気を襟や袖などの開口部から排出することができるため、衣服内部で空気を循環させた場合に比べ換気効率を飛躍的に高めることができる。
本発明の空調衣服は、具備される送風ユニットの数に特に制限はなく、送風ユニットの大きさや重量、または該空調衣服の着用シーンに応じて、着用時の快適性を損なわない範囲で変更することができる。例えば、静音性が求められるようなオフィスなどの環境下で着用する場合、静音性や着用快適性向上の点から、好ましくは5個以下であり、より好ましくは4個以下であり、さらに好ましくは3個以下である。
本発明の空調衣服は、送風ユニットを収納するための収納部を1個乃至は複数個有していることが好ましい。空調衣服が送風ユニット用の収納部を有していることにより、取り付け具を使用することなく送風ユニットを衣服に固定することが可能となる。また、収納部の数は特に制限されないが、衣服の縫製が容易になることから、5個以下が好ましい。なお、ポケット状の収納部を採用した場合、送風ユニットを収納した際に、吸気口と接する部分の生地に外気を取り込むための開口部が設けられており、かつ送風口と接する部分の生地にも開口部が設けられていることが好ましい。送風ユニットの吸気口と接する部分の生地に外気を取り込むための開口部を設けることにより、効率よく外気を取り込むことが可能となる。また、送風ユニットの送風口と接する部分の生地に開口部を設けることにより、取り込んだ外気を効率よく衣服内に送り込むことが可能となる。
本発明の空調衣服は、A特性音圧レベルが50dB以下であることが好ましい。本発明におけるA特性音圧レベルとは、実施例記載の方法で測定される値を指す。A特性音圧レベルを50dB以下とすることにより、オフィスや家庭などの環境下においても不快に感じず、静音性に優れた空調衣服となる。
本発明の空調衣服に具備される送風ユニットは、二重反転ファンを有していることが重要である。二重反転ファンを用いることにより、身体を冷却するのに十分な風量を維持したまま、モーター回転数を低減させることやファンの外径を小さくすることが可能となり、結果としてファンから生じる騒音を小さくすることができる。なお、本発明における二重反転ファンとは、同軸に配置された一対のファンが相互に逆方向に回転する構造を有するファンである。
本発明の空調衣服に用いられる送風ユニットは、二重反転ファンの回転軸方向の厚みが60mm以下であることが重要である。送風ユニットの厚みを60mm以下、好ましくは50mm以下、より好ましくは40mm以下とすることにより、着用時の違和感が小さくなり、着用快適性に優れた空調衣服となる。なお、本発明における送風ユニットの厚みとは、送風ユニットの外装の厚みのことであり、後述するケースの他、衣服内に外気を送風するための流路(ダクト等)を含むものとする。
本発明の空調衣服に用いられる送風ユニットは、厚みが二重反転ファンの外径よりも小さいことが好ましい。送風ユニットの厚みを二重反転ファンの外径よりも小さくすることにより、送風ユニットを空調衣服に取り付けた際に、衣服の弛みによるファンの傾きが生じにくくなるため、着用快適性に優れた空調衣服となる。なお、本発明における二重反転ファンの外径とは、羽根の先端部が回転時に通る円周上の一点から二重反転ファンの回転軸を通り反対側の円周まで引いた線分の長さのことであり、一対のファンの外径が異なる場合には長い方の外径を二重反転ファンの外径と定義する。
本発明の空調衣服に用いられる送風ユニットは、衣服や指先がファンに巻き込まれることを防止するため、吸気口と送風口を有したケースに収納されていることが好ましい。なお、ケースに収納される内蔵物は特に制限されないが、ファンとモーターのみを収納したものや、ファンとモーターに加え、バッテリー、電源スイッチなどを収納したものなどが挙げられる。
本発明の空調衣服に具備される送風ユニットは、重量が300g以下であることが好ましい。重量を好ましくは300g以下、より好ましくは250g以下、さらに好ましくは200g以下とすることにより、着用時に重量感を感じにくく、着用快適性に優れた空調衣服となる。
本発明の空調衣服に用いられる送風ユニット中の二重反転ファンは、ファンの外径が150mm以下であることが好ましい。ファンの外径を好ましくは150mm以下、より好ましくは120mm以下、さらに好ましくは100mm以下とすることにより、ファンの回転により生じる騒音が小さくなることに加え、外観上も目立たなくなることから、着用快適性および意匠性に優れた空調衣服となる。また、ファンの外径の下限は特に制限されないが、身体の冷却に十分な風量を得るために、10mm以上が好ましい。
本発明の空調衣服に用いられる送風ユニット中の二重反転ファンは、ファンの回転軸と取り付け部の衣服生地とがなす角度が、45〜90°であることが好ましい。ファンの回転軸と衣服生地とがなす角度を、好ましくは45°以上、より好ましくは60°以上、さらに好ましくは75°以上とすることにより、二重反転ファンを有する送風ユニットの衣服生地垂直方向の厚みが薄くなるため、着用時の違和感が小さくなり、着用快適性に優れた空調衣服となる。また、ファンの回転軸と衣服生地とがなす角度の上限は90°である。ファンの回転軸と衣服生地とがなす角度を90°未満とする場合、衣服襟方向に送風口が向くように取り付けることが、衣服内空気の換気が促進されるため、好ましい。なお、ファンの回転軸と取り付け部の衣服生地とがなす角度とは、例えば図1や図2に示すように、送風ユニット中のファンの回転軸(a)もしくはその延長線と、送風ユニット固定部の衣服生地とがなす角度(b)のことを言う。
本発明の空調衣服に用いられる送風ユニット中の二重反転ファンは、衣服外側に位置する吸気ファンの羽根枚数と、衣服内側に位置する送風ファンの羽根枚数が異なる枚数であることが好ましい。吸気ファンと送風ファンの羽根枚数を、好ましくは異なる枚数とし、より好ましくは羽根枚数の最大公約数を1とすることにより、ファン回転時に同時に最接近する羽根の枚数を少なくすることができ、騒音の一因である干渉音を小さくすることが可能となるため、静音性に優れた空調衣服となる。
本発明の空調衣服に用いられる送風ユニット中の二重反転ファンは、衣服外側に位置する吸気ファンの羽根枚数が、衣服内側に位置する送風ファンの羽根枚数よりも多いことが好ましい。吸気ファンの羽根枚数が送風ファンの羽根枚数よりも多いことにより、羽根が接近した際の干渉音が小さくなる傾向にあるため、静音性に優れた空調衣服となる。
本発明の空調衣服に用いられる送風ユニット中の二重反転ファンは、衣服外側に位置する吸気ファンの羽根枚数および衣服内側に位置する送風ファンの羽根枚数がいずれも5枚以上であることが好ましい。吸気ファンおよび送風ファンの羽根枚数が好ましくはいずれも5枚以上、より好ましくはいずれも7枚以上、さらに好ましくはいずれも9枚以上とすることにより、身体を冷却するのに十分な風量を有することに加え、送風ユニットのファン回転軸方向の厚みを薄くすることができ、着用時の違和感が小さく着用快適性に優れた空調衣服となる。また、羽根枚数の上限は特に制限されないが、好ましくはいずれも20枚以下とすることにより、騒音が小さくなる傾向にあるため、静音性に優れた空調衣服となる。
本発明の空調衣服に用いられる繊維の素材としては、ポリエステル系繊維、ポリアミド系繊維、ポリアクリル系繊維、レーヨン系繊維、アセテート系繊維、ポリオレフィン系繊維、ポリウレタン系繊維、綿、麻、絹、ウールなどが挙げられるが、これらに限定されない。中でも、ポリエステル系繊維やポリアミド系繊維は、機械的特性や耐久性に優れるため好ましい。
本発明の空調衣服に用いられる繊維は、吸湿率差(△MR)が2.0〜10.0%であることが好ましい。△MRとは、軽い運動後の衣服内温湿度を想定した温度30℃、湿度90%RHにおける吸湿率と、外気温湿度として温度20℃、湿度65%RHにおける吸湿率の差である。すなわち、△MRは吸湿性の指標であり、△MRの値が高いほど、発汗時の蒸れ感、べたつき感が軽減され、衣服の着用快適性が向上する。繊維の△MRを好ましくは2.0%以上、より好ましくは3.0%以上、さらに好ましくは4.0%以上とすることにより、発汗時の衣服内の蒸れ感やべたつき感が少なく、着用時の快適性が向上する。また、繊維の△MRを好ましくは10.0%以下、より好ましくは9.0%以下、さらに好ましくは8.0%以下とすることにより、生地や衣服を製造時の工程通過性や取り扱い性が良好であり、着用時の耐久性にも優れた空調衣服となる。
本発明の空調衣服に用いられる繊維は、形態に関して特に制限がなく、モノフィラメント、マルチフィラメント、ステープル、紡績糸などのいずれであってもよく、仮撚や撚糸などの加工が施されていてもよい。
本発明の空調衣服に用いられる繊維は、マルチフィラメントとしての総繊度に特に制限がなく、用途や要求特性に応じて適宜選択することができるが、10〜500dtexであることが好ましい。総繊度を好ましくは10dtex以上、より好ましくは30dtex以上、さらに好ましくは50dtex以上とすることにより、糸切れが少なく、工程通過性が良好であることに加え、使用時に毛羽の発生が少なく、耐久性に優れる空調衣服となる。また、総繊度を好ましくは500dtex以下、より好ましくは400dtex以下、さらに好ましくは300dtex以下とすることにより、衣服の柔軟性を損なうことがなく、着用時の快適性に優れる空調衣服となる。
本発明の空調衣服に用いられる繊維は、単繊維繊度に特に制限がなく、用途や要求特性に応じて適宜選択することができるが、0.5〜4.0dtexであることが好ましい。本発明における単繊維繊度とは、総繊度を単繊維数で除した値を指す。単繊維繊度を好ましくは0.5dtex以上、より好ましくは0.6dtex以上、さらに好ましくは0.8dtex以上とすることにより、糸切れが少なく、工程通過性が良好であることに加え、使用時に毛羽の発生が少なく、耐久性に優れる空調衣服となる。また、単繊維繊度を好ましくは4.0dtex以下、より好ましくは2.0dtex以下、さらに好ましくは1.5dtex以下とすることにより、衣服の柔軟性を損なうことがなく、着用時の快適性に優れる空調衣服となる。
本発明の空調衣服に用いられる繊維は、繊維の破断強度に特に制限がなく、用途や要求特性に応じて適宜選択することができるが、機械的特性の観点から2.0〜5.0cN/dtexであることが好ましい。強度を好ましくは2.0cN/dtex以上、より好ましくは3.0cN/dtex以上とすることにより、使用時に毛羽の発生が少なく、また耐久性に優れる空調衣服となる。また、強度を好ましくは5.0cN/dtex以下とすることにより、衣服の柔軟性を損なうことがなく、着用時の快適性に優れる調衣服となる。
本発明の空調衣服に用いられる繊維は、繊維の破断伸度に特に制限がなく、用途や要求特性に応じて適宜選択することができるが、耐久性の観点から10〜60%であることが好ましい。伸度を好ましくは10%以上、より好ましくは15%以上、さらに好ましくは20%以上とすることにより、衣服の耐摩耗性が良好となり、使用時に毛羽の発生が少なく、耐久性に優れる空調衣服となる。また、伸度を好ましくは60%以下、より好ましくは55%以下、さらに好ましくは50%以下とすることにより、衣服の寸法安定性が良好となるため、耐久性に優れる空調衣服となる。
本発明の空調衣服に用いられる繊維は、繊維の断面形状に関して特に制限がなく、用途や要求特性に応じて適宜選択することができ、真円状の円形断面であってもよく、非円形断面であってもよい。非円形断面の具体例として、多葉形、多角形、扁平形、楕円形などが挙げられるが、これらに限定されない。
本発明の空調衣服に用いられる生地は、通気度が50〜500cm3/cm2・sであることが好ましい。生地の通気度を好ましくは50cm3/cm2・s以上、より好ましくは70cm3/cm2・s以上、さらに好ましくは90cm3/cm2・s以上とすることにより、汗の蒸散性に優れ、本発明の生地を衣服として用いた場合に、発汗時の蒸れ感、べたつき感、暑熱感を軽減できる。また、生地の通気度を好ましくは500cm3/cm2・s以下、より好ましくは400cm3/cm2・s以下、さらに好ましくは350cm3/cm2・s以下とすることにより、生地の機械的特性が良好となり、生地や衣服を製造時の工程通過性や取り扱い性が向上するだけでなく、使用時の耐久性にも優れる空調衣服となる。また、生地が薄地となり過ぎず、違和感なく着用することが可能となる。
本発明の空調衣服に用いられる生地は、生地形態に関して特に制限がなく、公知の方法に従い、織物、編物、パイル布帛、不織布などにすることができる。また、本発明の生地は、いかなる織組織または編組織であってもよく、平織、綾織、朱子織、二重織あるいはこれらの変化織や、経編、緯編、丸編、レース編あるいはこれらの変化編などが好適に採用できる。
本発明の空調服に用いられる生地は、必要に応じて染色してもよい。染色方法は特に制限がなく、公知の方法に従い、チーズ染色機、液流染色機、ドラム染色機、ビーム染色機、ジッガー、高圧ジッガーなどを好適に採用することができる。また、本発明では、染料濃度や染色温度に関して特に制限がなく、公知の方法を好適に採用できる。
本発明の空調衣服の形態は、特に制限がなく、上衣、下衣のいずれであってもよく、上衣は長袖、短袖のいずれであってもよく、下衣は長裾、短裾のいずれであってもよい。本発明において、上衣とは上半身に着用する衣服であり、下衣とは下半身に着用する衣服を意味する。本発明における上衣の具体例として、インナーシャツ、タンクトップ、キャミソールなどの下着や、Tシャツ、ポロシャツ、カットソー、パジャマ、ブラウス、ブルゾン、作業着などの一般衣料、スポーツ用インナーシャツ、スポーツ用シャツなどのスポーツ衣料などが挙げられるが、これらに限定されない。また、本発明における下衣の具体例として、インナーパンツのような下着や、スラックス、パンツ、スカート、パジャマ、作業着などの一般衣料、スポーツ用パンツなどのスポーツ衣料などが挙げられるが、これらに限定されない。
以下、実施例により本発明をより詳細に説明する。なお、実施例中の各特性値は、以下の方法で求めた。
A.暑熱感
暑熱感の着用試験のため、被験者20名に対し、実施例によって作製した空調衣服を着用させた。続いて、冷房の効いていない夏の屋内環境を想定した温度30℃、湿度90%RHの室内において、椅子に1時間座って安静に過ごした後の衣服内部の状況について、「暑熱感を全く感じない」を5点、「暑熱感をほとんど感じない」を4点、「暑熱感をわずかに感じる」を3点、「暑熱感を感じる」を2点、「暑熱感を強く感じる」を1点とし、被験者20名が各々付けた点数の平均点を算出し、平均点が3.0点以上を合格とした。
暑熱感の着用試験のため、被験者20名に対し、実施例によって作製した空調衣服を着用させた。続いて、冷房の効いていない夏の屋内環境を想定した温度30℃、湿度90%RHの室内において、椅子に1時間座って安静に過ごした後の衣服内部の状況について、「暑熱感を全く感じない」を5点、「暑熱感をほとんど感じない」を4点、「暑熱感をわずかに感じる」を3点、「暑熱感を感じる」を2点、「暑熱感を強く感じる」を1点とし、被験者20名が各々付けた点数の平均点を算出し、平均点が3.0点以上を合格とした。
B.着用感
着用感については、被験者20名に対し、実施例によって作製した衣服を着用させ、「重量感、送風ユニット厚みによる違和感のいずれも全く無い」を5点、「重量感、送風ユニット厚みによる違和感のいずれもほぼ無い」を4点、「重量感、送風ユニット厚みによる違和感のいずれかがわずかにある」を3点、「重量感、送風ユニット厚みによる違和感のいずれかがある」を2点、「重量感、送風ユニット厚みによる違和感のいずれかが強くある」を1点とし、被験者20名が各々付けた点数の平均点を算出し、平均点が3.0点以上を合格とした。
着用感については、被験者20名に対し、実施例によって作製した衣服を着用させ、「重量感、送風ユニット厚みによる違和感のいずれも全く無い」を5点、「重量感、送風ユニット厚みによる違和感のいずれもほぼ無い」を4点、「重量感、送風ユニット厚みによる違和感のいずれかがわずかにある」を3点、「重量感、送風ユニット厚みによる違和感のいずれかがある」を2点、「重量感、送風ユニット厚みによる違和感のいずれかが強くある」を1点とし、被験者20名が各々付けた点数の平均点を算出し、平均点が3.0点以上を合格とした。
C.A特性音圧レベル
環境騒音45dB以下とした室内において、マネキンに実施例によって作製した空調衣服を着用させ、風量1m3/minとなるようファンを回転させた。続いて、送風ユニットの吸気口からファンの回転軸方向に50cm離れた位置に配置した騒音計(Umarex社製SoundTest−Master)にてA特性音圧レベルを測定し、5秒間の平均値を求めた。
環境騒音45dB以下とした室内において、マネキンに実施例によって作製した空調衣服を着用させ、風量1m3/minとなるようファンを回転させた。続いて、送風ユニットの吸気口からファンの回転軸方向に50cm離れた位置に配置した騒音計(Umarex社製SoundTest−Master)にてA特性音圧レベルを測定し、5秒間の平均値を求めた。
〔実施例1〕
ファン外径が60mm、吸気ファンの羽根枚数が15枚、送風ファンの羽根枚数が11枚である一対のファンを有したモーター付の二重反転ファンを、吸気口および送風口を有したケースに収納した、ファン回転軸方向の厚みが15mmの送風ユニットに、外部電源をケーブルにて接続した。その後、ΔMRが3.9%である吸湿性ナイロン繊維の66dtex−72fの仮撚糸を用い、通気度が150cm3/cm2・sとなるよう作製した編地からなるシャツの背面下部に設けた2つの開口部それぞれに、ファンの回転軸と衣服生地とがなす角度が90°となるよう送風ユニットを取り付けた空調衣服を作製し、各特性値の評価を実施した。得られた評価結果を表1に示す。
ファン外径が60mm、吸気ファンの羽根枚数が15枚、送風ファンの羽根枚数が11枚である一対のファンを有したモーター付の二重反転ファンを、吸気口および送風口を有したケースに収納した、ファン回転軸方向の厚みが15mmの送風ユニットに、外部電源をケーブルにて接続した。その後、ΔMRが3.9%である吸湿性ナイロン繊維の66dtex−72fの仮撚糸を用い、通気度が150cm3/cm2・sとなるよう作製した編地からなるシャツの背面下部に設けた2つの開口部それぞれに、ファンの回転軸と衣服生地とがなす角度が90°となるよう送風ユニットを取り付けた空調衣服を作製し、各特性値の評価を実施した。得られた評価結果を表1に示す。
〔比較例1〕
送風ユニットのファン回転軸方向の厚みが10mm、ファン外径が60mm、羽根枚数が11枚である1つのファンのみで構成されたモーター付の軸流ファンを用いた以外は、実施例1と同じ方法で空調衣服を作製し、各特性値の評価を実施した。得られた評価結果を表1に示す。
送風ユニットのファン回転軸方向の厚みが10mm、ファン外径が60mm、羽根枚数が11枚である1つのファンのみで構成されたモーター付の軸流ファンを用いた以外は、実施例1と同じ方法で空調衣服を作製し、各特性値の評価を実施した。得られた評価結果を表1に示す。
〔比較例2〕
送風ユニットのファン回転軸方向の厚みが80mm、ファン外径が60mm、吸気ファンの羽根枚数が4枚、送風ファンの羽根枚数が3枚である一対のファンを有したモーター付の二重反転ファンを用いた以外は、実施例1と同じ方法で空調衣服を作製し、各特性値の評価を実施した。得られた評価結果を表1に示す。
送風ユニットのファン回転軸方向の厚みが80mm、ファン外径が60mm、吸気ファンの羽根枚数が4枚、送風ファンの羽根枚数が3枚である一対のファンを有したモーター付の二重反転ファンを用いた以外は、実施例1と同じ方法で空調衣服を作製し、各特性値の評価を実施した。得られた評価結果を表1に示す。
〔実施例2〕
ファンの回転軸と衣服生地とがなす角度を75°とし、衣服襟方向に送風口が向くように取り付けた以外は、実施例1と同じ方法で空調衣服を作製し、各特性値の評価を実施した。得られた評価結果を表1に示す。
ファンの回転軸と衣服生地とがなす角度を75°とし、衣服襟方向に送風口が向くように取り付けた以外は、実施例1と同じ方法で空調衣服を作製し、各特性値の評価を実施した。得られた評価結果を表1に示す。
〔実施例3〕
ファン外径が40mm、吸気ファンの羽根枚数が15枚、送風ファンの羽根枚数が11枚である一対のファンを有したモーター付の二重反転ファンを用い、バッテリーや電源スイッチとともに吸気口および排気口を有したケースに収納した、ファン回転軸方向の厚みが10mmの送風ユニットを作製した。その後、ΔMRが3.9%である吸湿性ナイロン繊維の66dtex−72fの仮撚糸を用い、通気度が150cm3/cm2・sとなるよう作製した編地からなるシャツの背面下部に設けた2つのポケット状の収納部に、ファンの回転軸と衣服生地とがなす角度が90°となるよう送風ユニットを収納した空調衣服を作製し、各特性値の評価を実施した。得られた評価結果を表1に示す。
ファン外径が40mm、吸気ファンの羽根枚数が15枚、送風ファンの羽根枚数が11枚である一対のファンを有したモーター付の二重反転ファンを用い、バッテリーや電源スイッチとともに吸気口および排気口を有したケースに収納した、ファン回転軸方向の厚みが10mmの送風ユニットを作製した。その後、ΔMRが3.9%である吸湿性ナイロン繊維の66dtex−72fの仮撚糸を用い、通気度が150cm3/cm2・sとなるよう作製した編地からなるシャツの背面下部に設けた2つのポケット状の収納部に、ファンの回転軸と衣服生地とがなす角度が90°となるよう送風ユニットを収納した空調衣服を作製し、各特性値の評価を実施した。得られた評価結果を表1に示す。
〔実施例4〕
衣服生地にΔMRが2.1%であるナイロン繊維の66dtex−72fの仮撚糸を用い、通気度が150cm3/cm2・sとなるよう作製した編地からなるシャツを用いた以外は、実施例1と同じ方法で空調衣服を作製し、各特性値の評価を実施した。得られた評価結果を表1に示す。
衣服生地にΔMRが2.1%であるナイロン繊維の66dtex−72fの仮撚糸を用い、通気度が150cm3/cm2・sとなるよう作製した編地からなるシャツを用いた以外は、実施例1と同じ方法で空調衣服を作製し、各特性値の評価を実施した。得られた評価結果を表1に示す。
実施例1〜3で得られた空調衣服は、暑熱感、着用感、A特性音圧レベルのいずれの評価においても良好な結果を有していることから、オフィスや家庭などの着用シーンにおいても着用快適性に優れる空調衣服となった。
一方、比較例1で得られた空調衣服は、暑熱感および着用感の評価は良好であったものの、ファンの回転に起因する騒音が発生したことによりA特性音圧レベルが50dBを超えたため、静音性に劣る空調衣服となった。また、比較例2で得られた空調衣服は、暑熱感およびA特性音圧レベルの評価は良好であったものの、ファンの厚みが厚く着用時に違和感が生じたため、着用快適性に劣る空調衣服となった。
本発明の空調衣服は、暑熱感が抑制されるため衣服内環境を快適に保つことができ、かつ静音性に優れるため、良好な着用快適性を有する空調衣服となる。本発明の空調衣服は、作業現場に限らずオフィスや家庭などの着用シーンにおいても好適に用いることができる。
1:衣服生地
2:収納部(ポケット状)
3:送風ユニット
4:二重反転ファン
a:ファンの回転軸
b:ファンの回転軸と衣服生地とがなす角度
2:収納部(ポケット状)
3:送風ユニット
4:二重反転ファン
a:ファンの回転軸
b:ファンの回転軸と衣服生地とがなす角度
Claims (5)
- 衣服と身体の間に外気を取り込むための1個乃至は複数個の送風ユニットが具備された衣服であって、該送風ユニットが二重反転ファンを有しており、該送風ユニットの厚みが二重反転ファンの回転軸方向の厚みで60mm以下であることを特徴とする空調衣服。
- 上記二重反転ファンの回転軸と衣服生地とがなす角度が、45°以上90°以下であることを特徴とする、請求項1記載の空調衣服。
- 上記二重反転ファンにおいて、衣服外側に位置する吸気ファンの羽根枚数と、衣服内側に位置する送風ファンの羽根枚数が、異なる枚数であることを特徴とする、請求項1または2記載の空調衣服。
- 上記二重反転ファンにおいて、衣服外側に位置する吸気ファンの羽根枚数が、衣服内側に位置する送風ファンの羽根枚数よりも多いことを特徴とする、請求項3記載の空調衣服。
- 上記二重反転ファンにおいて、衣服外側に位置する吸気ファンの羽根枚数および衣服内側に位置する送風ファンの羽根枚数が、いずれも5枚以上であることを特徴とする、請求項1〜4のいずれかに記載の空調衣服。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2019135280A JP2021017678A (ja) | 2019-07-23 | 2019-07-23 | 空調衣服 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2019135280A JP2021017678A (ja) | 2019-07-23 | 2019-07-23 | 空調衣服 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2021017678A true JP2021017678A (ja) | 2021-02-15 |
Family
ID=74564178
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2019135280A Pending JP2021017678A (ja) | 2019-07-23 | 2019-07-23 | 空調衣服 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2021017678A (ja) |
-
2019
- 2019-07-23 JP JP2019135280A patent/JP2021017678A/ja active Pending
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